説明

耐震壁材

【課題】 本発明は地震に対して優れた耐震壁材を提供する。
【解決手段】 耐震壁材は、芯材Sの両側に接着剤Bを塗布し、その接着剤Bに表面材1aと裏面材1bを固定してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震に対して優れた耐震壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の耐震壁材の構成について、図6に示す。耐震壁材100は、鋼板101と鋼板101の間に、粘弾性体(シリコン、アスファルト等)102を挟着し、周囲に於て前記鋼板101と鋼板101を接合し、それらの鋼板101をスポット熔接105で固定して構成してある。
又、前記従来の耐震壁材は、図7に示すような状態で使用されている。この図7は、複数階を示す断面図であり、床梁110、中間繋ぎ材110a、2階梁111、中間繋ぎ材111a、3階梁112に対し、従来の耐震壁材100を取り付ける図である。
この図7から明らかなように、床梁110とその上の中間繋ぎ材110aの間に耐震壁材100を取り付け、その中間繋ぎ材110aと2階梁111との間に耐震壁材100を取り付けている。即ち、耐震壁材100は、梁と梁の間に、各々が独立した状態で取り付けられている。
尚、この耐震壁材100はよく知られているので、文献を上げない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のように、2枚の鋼板101に粘弾性体102を挟着した耐震壁材100は、粘弾性体102の性質から、製造時に、温湿管理が必要である。又、この耐震壁材100は、縦横が約1mであり、1枚づつ生産していて、連続成形には設備費が嵩む。又、鋼板101の錆を避けるために、特殊メッキ鋼板を使用するが、熔接部においては予めメッキ膜を除去した後に、スポット熔接しなければならず、前処理費用がかかる等、課題が多い。
そこで、前記2枚鋼板に替えて、木板を積層して形成の積層耐震壁材(構造合板)が考えられるが、この構造合板は釘やビスで固定され、反復する荷重に対して緩みが生じ、特に、衝撃荷重による抵抗力の低下が著しいので、大地震における余震に対する抵抗力に問題がある。
又、裁断された複数の材を接着剤で板条に形成した合成耐震壁材は、衝撃振動に対して前記構造合板とよく似ている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の耐震壁材は、芯材Sの両側に接着剤Bを塗布し、その接着剤Bに表面材1aと裏面材1bを固定してなるものである。
又、請求項2の耐震壁材は、表面材1aと裏面材1bに適宜の間隔で開口部を形成するものである。
又、請求項3の耐震壁材は、表面材1aと裏面材1bに木板を使用する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の耐震壁材は、鋼板が接着剤で覆われて空気に曝されないので、メッキ鋼板を使用する必要はない。
又、請求項2の耐震壁材は、開口部10を設けることによって、その開口部10を曲折できるので、運搬に有利である。
又、請求項3の耐震壁材は、表面材1aと裏面材1bに木板を使用するので、鋼板の顕著な皺には追従できない場合でも、木材より剛性の低い接着剤は十分追従できるので、木材のひび割れが生じ難い利点を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本願の発明の実施例を図面を参照して説明すると、図1は耐震壁材1の斜視図である。
耐震壁材1を構成する部材について説明すると、中心には鋼板である芯材Sを使用し、この芯材Sの両側には接着剤Bを介して表面材1aと裏面材1bの木板を使用する。即ち、芯材Sの両側に接着剤Bを塗布し、その接着剤Bに表面材1aと裏面材1bを固定する。
この耐震壁材1は、前記鋼板Sを挟んで表面材1aと裏面材1bが固定された板材となり、この耐震壁材1は、従来のように、梁と梁の間に、1枚の耐震壁材1を取り付けるのではなく、図2の断面図に示すように、床梁110〜3階梁112の間を1枚の耐震壁材1として取り付けることができる。
【0007】
又、図3に示す断面の耐震壁材1は、前記の耐震壁材1と異なり、床梁110、中間繋ぎ材110a、2階梁111、中間繋ぎ材111a、3階梁112に相当する箇所において、表面材1aと裏面材1bをなくして形成するものである。即ち、梁に相当する箇所は、芯材Sのみで形成する。
そこで、先ず、床梁110とビルの3階梁112に相当する長さの鋼板Sを準備する。又、床梁110と中間繋ぎ材110aの間の長さの表面材1aと裏面材1b、中間繋ぎ材110aと2階梁111の長さの表面材1aと裏面材1b、……のように、梁と梁の間の長さの表面材1aと裏面材1bを準備する。
そして、前記各梁の長さの開口部10を除いた箇所の鋼板Sの両側に、即ち、前記表面材1a(裏面材1b)の長さに相当する箇所に接着剤Bを塗布して、鋼板Sの両側から、表面材1aと裏面材1bを接着剤Bを介して固定して、長い耐震壁材1を製作する。
【0008】
前記1枚の耐震壁材1は、図4に示すように、梁に相当する箇所は、芯材Sが直接、梁に触れる状態で取り付けることができる。
又、この耐震壁材1は、図5に示すように、芯材Sが露出箇所(梁に当接する箇所)を曲折でき、自在の形状で梁に取り付けることができる。
【0009】
尚、本発明の耐震壁材の構成は、芯材Sを挟んで構成すればよく、その積層する枚数等は使用目的に合わせて適宜選択できる。
【0010】
又、前記耐震壁材1は、1枚の芯材Sに対し、接着剤Bと表面材1aと裏面材1bを準備し、接着装置(圧着ローラ等)で、連続供給することによって、無限の長さに製作でき、従来の耐震壁材と較べて、温湿管理が不要であると共に、スポット熔接も不要であり経済性に富む。
又、芯材Sに鋼板を使用するに当たって、鋼板は接着剤で塗布されるので、空気に曝されないので、メッキ鋼板を使用する必要はない。又、例えば、0.8mmの鋼板を挟んで3.0mm厚の木製合板で構成の耐震壁材は、容易に切断できるので、現場の施工がしやすいし、必要な長さのものが容易に製作できるので、壁全体を覆うことができる。
【0011】
又、本発明の耐震壁材は、芯材Sに鋼板を使用して反復荷重に対し、抵抗性能を向上させていて、芯材Sの厚みをかかる荷重に対応することが可能に選定して無開口の壁材を構成してあるので、剛性が過大になり、木造建物の耐震化部材としては合理性に欠ける場合が生ずる。
しかし本発明の耐震壁材には、表面材1a(裏面材1b)と表面材1a(裏面材1b)の間に開口部が形成してあるので、剛性の調整が可能になる。又、この開口部は、前記のような梁の位置に設ける必要はなく、剛性を考慮して、適宜の位置に設けることができ、設備配管等の通路として用いることができる。尚、開口部の面積を壁面の15%にしても、十分な剛性調整機能を発揮する。
【0012】
又、長尺の耐震壁材は運送に不便である。例えば、本発明の耐震壁材は、芯材の鋼板の両側に表面材1aと裏面材1bで構成すると共に、適宜間隔に開口部(表面材1aと裏面材1bが無い箇所)を形成すると、その開口部は1枚の鋼板となり、その鋼板部で容易に折り曲げることができて、短くすることができ、運送がし易い。
尚、この曲折した耐震壁材は、使用時に元に戻しすことができ、特に、木造建物に於ては複数階にわたることができ、強力な耐震壁材となる。
【0013】
前記本願発明の積層の耐震壁材の接着剤は、表面材1a(裏面材1b)に比し低剛性であるので、本願発明の積層の耐震壁材が耐震壁材として使用されると、座屈皺により接着剤が強制的に変形させられることがあり、他の耐震壁材の構成材の変形抑止材として作用する。尚、本願発明の耐震壁材は木材が構成材であり、鋼板の顕著な皺には追従できない場合でも、木材より剛性の低い接着剤は十分追従できるので、木材のひび割れが生じ難い利点を備えている。又、硬化しない接着剤は、粘弾性体の性質を備えているので、粘弾性体の変形は、振動エネルギーの吸収作用となり、本願発明の耐震壁材は地震時の建物の揺れを小さくする性質を備えている。
又、本願発明の耐震壁材は、芯材に鋼板を使用して、その鋼板を覆っている木材によって、結露の発生を防止し、木材の柔らかい感触を保ち、鋼板の強靭さを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】耐震壁材の斜視図である。
【図2】耐震壁材を梁に取り付けた断面図である。
【図3】他の構成の耐震壁材の平面図と断面図である。
【図4】他の構成の耐震壁材を梁に取り付けた断面図である。
【図5】曲折した耐震壁材の断面図である。
【図6】従来の耐震壁材である。
【図7】従来の耐震壁材を梁に取り付けた断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 耐震壁材
1a 表面材
1b 裏面材
B 接着剤
S 芯材
110 床梁
110a 中間繋ぎ材
111 2階梁
111a 中間繋ぎ材
112 3階梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の両側に接着剤を塗布し、その接着剤に表面材と裏面材を固定してなることを特徴とする耐震壁材。
【請求項2】
表面材と裏面材に適宜の間隔で開口部を形成することを特徴とする請求項1の耐震壁材。
【請求項3】
表面材と裏面材は木板であることを特徴とする請求項1又は請求項2の耐震壁材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−191897(P2007−191897A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10282(P2006−10282)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(594057587)有限会社新技研 (3)
【Fターム(参考)】