説明

肛門鏡

【課題】 直腸内の治療部にアクセスすることができ、特に、痔核の治療に使用することができる肛門鏡を提供する。
【解決手段】 このシステムは、肛門鏡と結紮装置とから構成されている。その肛門鏡は、基端部と末端部とを有する長手方向軸を有する管状部材を備えている。その末端部は、患者の直腸へ挿入可能であるのに対して、その基端部は、本体の外側にある。第1の長手方向スロットは、末端部から基端部に向って延在し、そして、第2の長手方向スロットは、基端部から末端部に向って延在している。第1の長手方向スロットおよび第2の長手方向スロットは、管状部材の表面で約180°だけずらして設けられている。第1の長手方向スロットは、直腸内でバンドで縛られる所望の痔核の組織へのアクセスを可能とするように構成され、そして、第2の長手方向スロットは、治療される部位へのアクセスを改善するために、管状部材の長手方向軸に対してある角度をなして結紮装置の方向変換に順応できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の検鏡装置であって、直腸内の治療部にアクセスすることができ、特に、痔核の治療に使用することができる肛門鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムバンド結紮による痔核の治療に関する技術としては、1963年にBlaisdell氏が記述した「Diseases of theColon and Rectum(結腸および直腸の疾患)」が有名である。その技術は、ほとんど感覚のない痔核の領域の上の直腸の組織にゴムバンドを配置することを含んでいる。バンド内に閉じ込められた組織は、その血液供給から切り離され、変性し、そして、腐肉を生じる。そして、ゴムバンドは、その腐肉を生じた組織といっしょに、腸の運動で通過(passed)される。しかし、より重要なことは、その結果として生ずる治癒プロセスが、付近にある組織を固定させ、そして、痔の組織の脱出が最小にされることである。さらに、ゴムバンド結紮技術が、痔の症状に軽減(鎮静,relief)を与えることが分かった。
【0003】
現在、ゴムバンド結紮技術を利用する多数の装置が市場に流通している。例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3である。これらの特許に開示されている装置は、一般に、バンドで縛られるエリアを直接見るために、直腸鏡、あるいは肛門鏡などの機器と共に使用されるように設計されている。ある場合には、直腸鏡、あるいは、肛門鏡を保持するために助手が必要であり、そして、バンディング器具よりも直径がほぼ大きいこれらの観察機器を使用することは、患者、特に、痔核の症状を病んでいる人にはかなりの苦痛を生じている。肛門鏡は、一般に、肛門と結腸とに挿入される中空の管状部材を備えている。その管状本体は、肛門を拡張し、そして、肛門管の皮膚を覆うようになっている。装具の内方端部、あるいは、末端部は、直腸と結腸に入るようになっている。末端部には、患部全体にわたり位置決めされるギャップ、ノッチ、あるいは、スロットが形成されている。管状部材の内部は、医師が検査し、そして、患部で処置を行うための観察およびアクセス通路を供給している。肛門鏡は、特に、痔核の検査と治療とに有効である。痔の組織は、末端部にあるノッチに一点に集められ、そして、その組織は、医師による迅速なアクセスのために肛門鏡の管状内部に隆起することが普通である。肛門鏡の内部内に、ゴムバンド結紮装置、あるいは、あらゆる他の検査、または治療機器の操作のための十分な空間を設けるために、以前は、患者にとって苦痛であることが多い大きな直径の肛門鏡を使用することが選ばれていた。患者により2インチ(5.08cm)から(2+1/2)インチ(6.35cm)より大きい直径を有する肛門鏡を用いて、一般に、処置の危険とコストの増大する全身麻酔薬にゆだねられた手術室で処置を行う必要がある。麻酔薬、手術室および回復室のコストは、1つの処置当たりほぼ$1000である。従って、全身麻酔薬を必要とすることなく使用されることが可能な十分に小さい直径を有するように設計されると同時に、肛門鏡の末端のノッチにおける患部への改善されたアクセスのために、肛門鏡に挿入されるゴムバンド結紮装置の操作を可能とする肛門鏡が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第5,203,863号明細書
【特許文献2】米国特許第5,122,149号明細書
【特許文献3】米国特許第5,158,563号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、 さらに、本発明の目的は、補助の手術者、あるいは、吸引器への接続を必要とすることなく、バンドで縛るための開口に痔の組織を引き入れるために、その中に組み込まれる吸引装置を有するゴムバンド結紮装置を提供することである。その吸引装置は、吸引力を維持するためにロッキングメカニズムを組み込み、従って、医師が、両手で操作するバンディング技術を行うことを可能とし、それは、1人の手術者だけが必要とされるということを意味する。従って、本発明は、長手方向軸および基端部および末端部を有する管状部材と、末端部から基端部に向って延在する第1の長手方向スロットと、基端部から末端部へ延在する第2の長手方向スロットとを備え、第1の長手方向スロットおよび第2の長手方向スロットが、管状部材の表面で約180°だけ分離され、第1の長手方向スロットが、治療される部位へのアクセスを可能とするように構成され、そして、第2の長手方向スロットが、管状部材の長手方向軸に対してある角度をなしてゴムバンド結紮装置の方向変換に順応できるように構成されている肛門鏡内に挿入可能なゴムバンド結紮装置と共に使用される肛門鏡を提供している。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、末端のノッチに加えて基端のノッチを含む患者の肛門への苦痛なく挿入される適切な直径である肛門鏡を提供する。基端のノッチは、肛門に対して外部にあり、そして、末端のノッチで患部へのアクセスを改善するために、肛門鏡の長手方向軸から離れて肛門鏡の内部に挿入されるゴムバンド結紮装置の方向変換に順応できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、痔の組織をシリンダに吸引し、そして、組織の周りにゴムバンドを配置する性能を含む、内痔の組織の結紮を完了するために、必要な要素すべてを有するそれだけで完備した一人で操作するゴムバンド結紮装置が、提供されている。そのゴムバンドは、引き伸ばされ、そして、使用者が、容易にインナ管状部材の上にゴムバンドを引き伸ばすことを可能とする漸次的段状部分や、リブを組み込む装填円錐体を使用して、インナ管状部材のフロント端部回りに位置決めされる。従来の装填円錐体の場合、ゴムバンドがその円錐体を下って後方にスライドする傾向がある。そのバンドは、インナ管状部材全体にわたりアウタスリーブを前進することによって放出され、従って、インナ管状部材に吸引される痔の組織全体にわたりゴムバンドを配置する。
【0007】
1つの実施形態において、その結紮装置および肛門鏡は、使用後使い捨てである。
【0008】
本発明は、フロント端部全体にわたり引き伸ばしたゴムバンドを保持するためのプラスチック製インナ管状部材であって、そのインナ管状部材が、患者の直腸へ挿入するに十分な長さに延長し、そして、フロント端部から離れて延在するハンドル手段付き管状部材のプランジャを有し、そのハンドル手段が、フロント端部にある開口を介して痔の組織をインナ管状部材の中に引き入れるための吸引力をもたらすためにインナ管状部材のフロント端部から離れてプランジャをスライドする、プラスチック製インナ管状部材と、引き伸ばしたゴムバンドに近接したアウタ管状スリーブの外部端部と、インナ管状部材全体にわたりフィットし、そして、インナ管状部材全体にわたり限られた摩擦をフィットさせ、そして、手術者がインナ管状部材のフロント端部に向ってアウタ管状プッシャスリーブを押し、そして、インナ管状部材の開口を介して痔の組織を嵌入するために、インナ管状部材のフロント端部からゴムバンドを解放するための親指プッシュ手段を有するアウタ管状スリーブの反対側の端部を有するプラスチックアウタ管状プッシャスリーブとを備えている痔の組織の治療のための一人の手術者が操作するゴムバンド結紮装置を提供している。
【0009】
使い捨てゴムバンド結紮装置は、医師の診察室で使用されることができ、そして、一般に、麻酔薬のあらゆる形を必要としない。1つから3つのバンドが、一般に各患者の臨検に配置され、全部で、6つのほどの多くのバンドは、特に、進行した症例に必要とされることがある。1つの実施形態において、結紮装置および肛門鏡は、プラスチックで作られ、そして、使い捨てであり、従って、それが使用されると、それは、捨てられ、そして、殺菌される必要がない。別の実施形態において、結紮装置および肛門鏡は、金属で作られ、そして、使用後殺菌されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3を参照すると、本発明による肛門鏡の好ましい実施形態の種々の図が示されている。その肛門鏡は、患者の直腸へ挿入するに十分な長さの管状部材4を備えている。管状部材4は、中空本体を画定しており、この中空本体は、対向する両端部に基端部8と末端部10とを有する長手方向軸6を有している。第1の長手方向スロット12は、末端部10から基端部8に向って、管状部材に沿ってある距離だけ延在している。第1の長手方向スロット12および第2の長手方向スロット14は、管状部材の表面上で約180°だけずらして設けられている。
【0011】
管状部材4には、第2の長手方向スロット14により横断される基端部8に近接した外方へ朝顔形に広がるほぼ截頭円錐形のフランジ20が形成されている。管状部材4は、患者の肛門と直腸に管状部材4を挿入することを容易にするために、末端部10に向って内方に先細りした形状となっている。例示の実施形態において、その先細りした形状は、管状部材を基端部近くのほぼ円錐形状に形成された第1の円錐形部分21と、末端部に近接した第2の円錐形部分23との2つの形状で形成されている。その管状部材4の本体は、使用後容易に廃棄することが可能な透明な医療等級のプラスチックから形成されることが好ましい。
【0012】
閉塞具24(図7)は、挿入の間、単一の複合構造を提供するために肛門鏡と共に使用されている。この閉塞具24は、長手方向軸6に沿って肛門鏡内を延通するために、長さ方向(lengthwise)にスライドするようになっている。閉塞具24は、基端部10から突出するドーム状、あるいは、弾頭状フロント部分24aを有している。その閉塞具24は、第1の長手方向スロット12および第2の長手方向スロット14を塞ぐために、管状部材の内部の形状に一致するべく、形状がほぼ円錐形である本体を有している。閉塞具24は、管状部材4よりも幾分長く、そのために、フランジ24bは、フランジ20から突出して、肛門鏡が挿入されたときに閉塞具24を取り除くためのグリップ面24bとして作用するようになっている。
【0013】
ハンドル22は、基端部8のフランジ20から延びるように形成されており、肛門鏡の挿入時に、医師がつかむために使用されている。ハンドル22は、肛門鏡の管状本体が、できるだけ強く、そして剛性を有することを確実ならしめるために、第1の長手方向スロット12と同じ管状部材4の側部に位置されることが好ましい。
【0014】
図5に最もよく示されているように、ハンドル22は、中空であることが好ましく、ハンドル内部にペンライトなどの照明具が挿入できるようになっている。そのペンライトは、光の内部反射により肛門鏡の透明なプラスチック壁を照らすように作用し、肛門鏡により拡張された組織を明るく照らせるように改善されて、医師が観察することができるようになっている。そのような照明手段は、慣例的に、診察し、そして、手術するための肛門鏡の一部である。
【0015】
図4を参照すると、第1の長手方向スロット12および第2の長手方向スロット14は、管状部材4の両端の中間にある領域30においてオーバーラップするような大きさになっていることが好ましい。この配置は、それが、患者の不随筋の収縮に対して管状本体4の構造上の剛性を維持するとともに、管状部材4の長手方向軸6に対してある角度をなして肛門鏡の内部に挿入される医療機器の方向を容易に変えることができるようにしている。
【0016】
図4、図5および図6は、肛門鏡の内部へ挿入され、そして、肛門鏡の長手方向軸6に対してある角度をなして方向を変えた状態の結紮装置40を例示している。図5は、図4の断面図であり、そして、図6は、図4に示される装置の側面図である。図の結紮装置40は、米国特許第5,741,273号明細書に記載およびクレームされているゴムバンド結紮装置である。このゴムバンド結紮装置は、本発明に係る肛門鏡と一緒に使用するに特に適したものであり、第2の長手方向スロット14の中の痔核に装置の作用先端42を配置し、次のバンディング手術のために痔核部を作用先端42の中に吸入するようになっている。本発明の肛門鏡は、肛門鏡の内部を通って案内され、そして、第2の長手方向スロット14を貫通し肛門鏡の長手方向軸6から離れて方向変換されながら、第1の長手方向スロット12の位置で患部への最適なアクセスを必要とする他の医療装置が適用されることを知ることは当業者には明らかである。
【0017】
本発明の肛門鏡は、全身麻酔薬にたよることなく、その肛門鏡を挿入することができる程度に十分に小さな直径である。医療機器を操作するために肛門鏡内の内部スペースを縮小することは、実質的に、第1の長手方向スロット12と協働する第2の長手方向スロット14にまで長手方向に延ばすことによりオフセットされ、肛門鏡の長手方向軸6に対する角度へその機器の方向を変換することにより機器の操作性を許容している。たとえば、図4および図5には、肛門鏡の管状本体4の小さな直径にもかかわらず、第1の長手方向スロット12内の患部の位置に正確に機器の42の作用先端を位置決めするために、医師の能力をかなり改善する肛門鏡の長手方向軸6に対しておよそ35°の角度に方向変換されている機器40が示されている。
【0018】
使用において、その肛門鏡は、患者の肛門と直腸とへ挿入されることになる。挿入の間、閉塞具24は、肛門鏡の基端部10および第1の長手方向スロット12および第2の長手方向スロット14を塞いでいる。截頭円錐形のフランジ20は、患者の肛門に近接して位置決めされて保護する。肛門鏡の管状本体4は、肛門を拡張し、そして、肛門管の皮膚を覆うようになる。基端部10は、直腸に入るようになる。肛門鏡の挿入後、閉塞具24は、基端部8から取り除かれ、第1の長手方向スロット12および第2の長手方向スロット14を貫通する。管状部材4は、収縮する括約筋の動きにもかかわらず、肛門をしっかりと広げた状態に保つ。特に、麻酔薬が使用されないとき、収縮する肛門のこの動きは強い。透明な管状部材4は、痔核の観察を確実にすることができる。基端部10の第1の長手方向スロット12が、痔核に一点に集められるとき、組織は、スロットにより設けられるスペースへ隆起され、そのために、組織は、ゴムバンド結紮による検査および/または治療のために位置決めされる。あらゆる不随筋狭窄部にもかかわらず、管状部材4は、肛門管を広げた状態に保ち、直腸を適切に観察できる状態を維持する。さらに、フランジ20および管状本体は、その処置に使用される機器に対する肛門と肛門管とのシールドとして作用する。麻酔を使用しない場合や部分麻酔しかしない場合において、意識のある(麻酔をしていない)患者には特に重要である。
【0019】
大多数の患者への使用に適切である好ましい装置において、本発明の肛門鏡は、全長が(3+1/2)インチ(8.89cm)、基端部8の内径が(1+3/8)インチ(3.49cm)、末端部10の内径が3/4インチ(1.91cm)の長さであることが好ましい。第1の長手方向スロット12は、本体に沿っておよそ(1+7/8)インチ(4.76cm)延在し、そして、第2の長手方向スロット14は、管状部材の本体に沿って、およそ2インチ(5.08cm)延在している。フランジ20は、最も幅広いポイントで、直径が約(2+1/4)インチ(5.72cm)でる。
【0020】
図8は、痔の組織の治療のために一人で操作するゴムバンド結紮装置である結紮装置40を例示し、結紮装置40が、
フロント端部全体にわたり引き伸ばしたゴムバンドを保持するためのプラスチック製インナ管状部材5であって、そのインナ管状部材5が、患者の前記直腸へ挿入するのに十分な長さに延長され、そして、フロント端部から離れたところに延在するハンドル手段付き管状部材36のプランジャを有し、そのハンドル手段が、フロント端部にある開口15を介して痔の組織をインナ管状部材の中に引き入れるための吸引力をもたらすためにインナ管状部材5のフロント端部から離れたところにプランジャをスライドする、プラスチック製インナ管状部材5と、および
引き伸ばしたゴムバンド17に近接したアウタ管状スリーブ27の挿入端部と、インナ管状部材全体にわたりフィットし、そして、インナ管状部材全体にわたり限られた摩擦をフィットさせ、そして、手術者がインナ管状部材のフロント端部に向けてアウタ管状プッシャスリーブ27を押して、そして、インナ管状部材5の開口15を介して痔の組織を嵌入するために、インナ管状部材5のフロント端部からゴムバンド17を解放するための親指プッシュ手段26を有するアウタ管状スリーブの反対側の端部を有するプラスチックアウタ管状プッシャスリーブ27と、を備えている。
【0021】
ゴムバンド結紮装置40は、フロント端部から増大する直径の先細りを有するインナ管状部材5およびアウタ管状プッシャスリーブ27を組みこんでいる。
【0022】
ゴムバンド結紮装置40は、プランジャハウジング16を含むインナ管状部材5を有し、そのインナ管状部材5の前記フロント端部から間隔をあけて、その中に吸引力をもたらすために、プランジャ18が、プランジャハウジング16内をスライドする。
【0023】
ゴムバンド結紮装置40は、インナ管状部材5のフロント端部15全体にわたり前記ゴムバンド20を装填するために、インナ管状部材5のフロント端部15への挿入のために段階分けリブを有する円錐形状の装填器(図9)を備えている。
【0024】
その円錐形状の装填器(図9)は、インナ管状部材5のフロント端部15をオーバーラップする薄いスリーブを有している。
【0025】
ゴムバンド結紮装置40は、丸みづけされたインナ管状部材5のフロント端部15を有している。
【0026】
ゴムバンド結紮装置40は、インナ管状部材16内に吸引力を保持するために、プランジャを管状部材5の引き戻し位置に保持するロッキング手段37を有している。
【0027】
ロッキング手段は、プランジャが移動するのを防止するための管状部材における少なくとも1つの肩部リングである。
【0028】
ロッキング手段37は、プランジャ18が、インナ管状部材16の外側に、はるか後方に引き戻されることを防止するために、第2の安全リング38を有している。
【0029】
本発明の特定の実施形態が、記述され、そして、例示されてきたが、そのような実施形態は、本発明を単に例示し、そして、付随する法律により解釈されるように、本発明を限定するものではないと考慮されるべきである。
【0030】
1つの実施形態において、本発明のゴムバンド結紮装置40は、透明プラスチックか、あるいは、不透明プラスチックかのいずれかのプラスチックで作られており、そして、使い捨てである。別の実施形態において、ゴムバンド結紮装置40は、ステンレススチールで作られ、そして、それぞれの使用後、殺菌することができる。図8に示されるように、ゴムバンド結紮装置40は、インナ管状部材5よりも直径がわずかに小さな開口15を有する半球形、、面取り、あるいは、丸みづけされたフロント端部19付きのインナ管状部材5を有している。そのインナ管状部材5は、それがフロント端部19から後方へ延在するにつれて直径が増大するようにわずかに先細りに形成することができる。別の実施形態において、インナ管状部材5は、先細りではなく、形状が円筒形でもよい。インナ管状部材5の長さは、痔の組織の治療のために患者の直腸へ挿入するのに十分なものである。インナ管状部材5は、その中にプランジャ18を有するプランジャハウジング16と一体化され、従って、プランジャ18が、プランジャハウジング16内で後方に移動されるとき、吸引力が、フロント端部19の開口15で生ずるようになっている。
【0031】
引き伸ばしたゴムバンド17、あるいは、ある場合に引用されるゴムバンドは、フロント端部19に近接したインナ管状部材5全体わたり位置決めされている。アウタ管状プッシャスリーブ27は、インナ管状部材5全体にわたりフィットし、そして、インナ管状部材5上に限られた摩擦によってフィットしている。アウタ管状プッシャスリーブ27が、インナ管状部材5のフロント端部19に向けて前方に押されるとき、そのゴムバンド17は、インナ管状部材5のフロント端部19から押し離されて、そして、インナ管状部材5のフロント端部における開口15へ吸引された痔の組織を嵌入する。
【0032】
アウタ管状プッシャスリーブ27の1つの側には、アウタ管状プッシャスリーブ27の端部から延在する部分プッシャフランジ26が設けられている。そのプッシャフランジ26は、プッシャスリーブ27が手術者の親指によって押すことができるようになっており、そのようにして、ゴムバンド17が、インナ管状部材5のフロント端部19から放出されるようになっている。第1の一段高い段状部分28および第2の一段高い段状部分30は、プッシャフランジ26に近接したプッシャスリーブ22の1つの側に示されている。これらの段状部分28,30は、手術者が、目視によるか、あるいは、感触によるかのいずれかによって、ゴムバンド結紮装置40を位置決めするために設けられている目印である。
【0033】
プランジャハウジング16は、ほぼ円筒形であり、そして、先細りした形状ではなく、外側の肩部32は、プランジャ18が後方に引張られるときに、ハウジング16が固くグリップされることを可能としている。プランジャ18は、ステム34に取り付けられており、このステム34は、図8に示されるような断面形状であり、グリップとして作用する肩部36を有している。プランジャ18は、インナ管状部材5のフロント端部19の開口15を介して吸引するために、ハウジング16から引っ張られることが可能である。
【0034】
第1の肩部リング37は、ハウジング16の端部側に位置し、ロッキングシステム(locking system)として作用し、そのために、プランジャ18が、後方に引っ張られ、そして、第1の肩部リング37を制圧するとき、それは、その位置に保持され、そして、ハウジング16およびインナ管状部材5内の真空状態を保持している。ロッキングシステムがない場合、プランジャ18は、直ちに元の位置に戻り、そして、痔の組織をインナ管状部材5の中に引くための真空状態がなくなる。第2の肩部リング38は、第1の肩部リング37の外側に位置決めされ、そして、止め具として作用し、プランジャ18がハウジング16から引っ張り出されることを防止している。
【0035】
第1および第2の肩部リング37,38は、ハウジング16内にプランジャ18をロックするために示されているのに対して、プランジャ18がハウジング16内に戻ることを停止するために他のタイプの固定システムが設けられることができるということは当業者には明らかである。
【0036】
操作において、医師は、図1〜図3の肛門鏡を使用して、患者の直腸を検査し、そして、バンドで縛られる痔の組織の位置を発見すると、医師は、次に、図8に示される結紮装置を挿入する。インナ管状部材5のフロント端部19にある開口15は、痔の組織へできるかぎり近接して位置決めされ、そして、手術者は、ハウジング16を保持し、親指は、フランジ32に位置される状態で、真空状態がハウジング16内に形成されるように第1の肩部リング37を通り越してプランジャ18を後方へ引き、そして、痔の組織は、開口15を介してインナ管状部材5へ引き入れられる。これが完了すると、医師は、プランジャ18の肩部36を解放し、そして、親指プッシャ26を前進させることによって、アウタプラスチックプッシャスリーブ27を前方へ押し、引き伸ばしたゴムバンド17は、インナ管状部材5のフロント端部19から押し離され、痔の組織を捕獲するようになる。ゴムバンド結紮装置40は、その場合、取り除かれることが可能であり、そして、その処置は、医師の診察室への一人の患者の臨検の間に最大3回まで実行されることができる。組み込まれたプランジャメカニズムが、痔の組織をインナ管状部材5へ吸引し、そして、医師がゴムバンド17を配置するために、それをそこに保持するので、吸引器、あるいは、他の装置は、ゴムバンド結紮装置40に取り付けられる必要がない。
【0037】
円錐形状の装填装置41は、図9に示されており、そして、インナ管状部材5のフロント端部19をオーバーラップする薄いスリーブ45を有している。ゴムバンド17は、装填装置41の全体にわたって押され、そして、それが各段状部分、あるいは、リブ全体が前進するにつれて引き伸ばされるようになる。ゴムバンド17がインナ管状部材5のフロント端部19上へスリーブから引き離されるまで、それは移動されるようになる。装填装置41は、次に、取り除かれ、そして、ゴムバンドは、図8に示される位置に移動させられることになる。
【0038】
装填装置41の薄いスリーブ45は、ゴムバンドが、装填装置41とインナ管状部材39との接合箇所にひっかかることを防止する。
【0039】
図8に示されるように、インナ管状部材5のフロント端部19は、半球形か、あるいは、丸みづけされ、ひっかかり、あるいは、患者への苦痛を生じることなく、医師が、痔の組織の一回のつかみサイズを増大するか、あるいは、制御するために、ゴムバンド結紮装置40を回転するか、あるいは、往復することを可能とする。ゴムバンド結紮装置40は、異なるサイズに作られることができる。インナ管状部材12の内径は、8mm、10mmおよび12mmのサイズが好ましい。開口15の大きさは、フロント端部19での丸みづけされた半球形のエッジを可能とするために、インナ管状部材の内径未満のほぼ約0.5mmから1mmである。
【0040】
様々な変更が、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲から逸脱することなく、ここに示されている実施形態に行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による肛門鏡の実施形態の正面斜視図である。
【図2】図1aの肛門鏡の後方斜視図である。
【図3】肛門鏡の末端のノッチと基端のノッチとを明確に示すために、異なる角度からの追加の後方斜視図である。
【図4】挿入された結紮ツールを有する肛門鏡の側面図である。
【図5】図4についての断面図である。
【図6】プランジャが取り除かれる状態での、図4の組み合わされた肛門鏡と結紮ツールとの後方立面図である。
【図7】患者の肛門への挿入を可能とするために、本発明の肛門鏡と共に使用される閉塞具装置の立面図である。
【図8】本発明の実施形態によるゴムバンド結紮装置を示す断面立面図である。
【図9】様々な角度からの装填円錐体の詳細な図である。
【符号の説明】
【0042】
4 管状部材
5 インナ管状部材
6 長手方向軸
8 基端部
10 末端部
12 第1の長手方向スロット
14 第2の長手方向スロット
15 開口 インナ管状部材5のフロント端部
16 プランジャハウジング
16 インナ管状部材
18 プランジャ
17 ゴムバンド 引き伸ばしたゴムバンド
19 インナ管状部材のフロント端部
20 外方へ朝顔形に広がるほぼ截頭円錐形のフランジ
21 第1のほぼ円錐形部分
22 ハンドル プシャスリーブ
23 第2の円錐部分
24 閉塞具
24a ドーム状、あるいは、弾頭状フロント部分
24b フランジ グリップ・把握・つかみ面
26 親指プッシュ手段 プッシャフランジ 部分プッシャフランジ
27 プラスチック製アウタ管状プッシャスリーブ
28 第1の一段高い段状部分 第1の段状部分
30 管状部材4の端部の中間にある領域 第2の一段高い段状部分 第1の段状部分
32 外側の肩部
34 ステム
36 管状部材 肩部
37 ロッキング手段 第1の肩部リング
38 第2の暗線リング
40 ゴムバンド結紮装置 機器
41 装填装置
42 作用先端
45 薄いスリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸の軸線上に基端部と末端部とを備え、患者の直腸に挿入するために十分な長さを有する管状部材を備え、該管状部材には、
前記末端部から前記基端部に向って前記管状部材に沿って延在する第1の長手方向スロットと、
前記基端部から前記末端部に向って前記管状部材に沿って延在する第2の長手方向スロットとを備え、
前記第1の長手方向スロットおよび第2の長手方向スロットは、前記管状部材の表面上で約180°だけずらして設けられている肛門鏡。
【請求項2】
前記直腸の中へ前記管状部材を容易に挿入するために、前記管状部材が前記末端部に向って内方に先細りしている請求項1に記載の肛門鏡。
【請求項3】
前記管状部材の前記基端部が、外方に向かって朝顔形に広がっている請求項2に記載の肛門鏡。
【請求項4】
前記管状部材の前記基端部が、截頭円錐形に朝顔形に広がっている請求項3に記載の肛門鏡。
【請求項5】
ハンドルが、前記管状部材の前記基端部に配置されている請求項3に記載の肛門鏡。
【請求項6】
ハンドルが、前記管状部材の前記第1の長手方向スロットと同じ側に配置されている請求項5に記載の肛門鏡。
【請求項7】
前記肛門鏡が、透明なプラスチックで作られている請求項5に記載の肛門鏡。
【請求項8】
前記ハンドルが中空であり、前記ハンドルに照明装置を挿入することができるようになっている請求項7に記載の肛門鏡。
【請求項9】
前記第1の長手方向スロットおよび前記第2の長手方向スロットが、前記管状部材の両端部の中間にある領域でオーバーラップするような大きさに形成されている請求項1に記載の肛門鏡。
【請求項10】
閉塞具が、前記直腸への挿入を援助するべく、前記管状部材の前記第1および第2の長手方向スロットを塞ぐために、半球形のフロント部分を有し、前記管状部材内に挿入可能であり、前記末端部と本体とから突出可能である閉塞具嵌め合いを有している請求項1に記載の肛門鏡。
【請求項11】
基端部と末端部とを有する管状部材と、
前記末端部から前記管状部材に沿って離れた部分へ延在する第1の長手方向スロットと、
前記基端部から前記管状部材に沿って離れた部分へ延在する第2の長手方向スロットとを備え、
前記第1の長手方向スロットおよび前記第2の長手方向スロットは、前記管状部材の表面上で約180°だけずらして設けられている肛門鏡。
【請求項12】
前記第1の長手方向スロットおよび前記第2の長手方向スロットが、前記管状部材の両端部の中間にある領域においてオーバーラップするような大きさに形成されている請求項11に記載の肛門鏡。
【請求項13】
前記肛門鏡内に挿入可能な結紮装置と共に使用される肛門鏡であって、
長手方向軸の軸線上に基端部および末端部を有する管状部材を備え、該管状部材には
前記末端部から前記基端部に向って延在する第1の長手方向スロットと、
前記基端部から前記末端部へ延在する第2の長手方向スロットとを備え、
前記第1の長手方向スロットおよび前記第2の長手方向スロットが、前記管状部材の表面で約180°だけずらして設けられ、前記第1の長手方向スロットが、さらに、治療される部位へのアクセスを可能とするように構成され、そして、前記第2の長手方向スロットが、前記管状部材の長手方向軸に対してある角度をなして医療機器の方向変換に順応できるように構成されている肛門鏡。
【請求項14】
前記第1の長手方向スロットおよび前記第2の長手方向スロットが、前記管状部材の両端部の中間にある領域においてオーバーラップするような大きさに形成されている請求項13に記載の肛門鏡。
【請求項15】
長手方向軸の軸線上に基端部と末端部とを有し、患者の直腸に挿入するために十分な長さを有する管状部材を備え、該管状部材には、
前記基端部から前記末端部に向って前記管状部材に沿って延在する長手方向スロットを備え、
前記基端部から前記末端部に向って前記管状部材に沿って延在する第2の長手方向スロットとを備え、
前記管状部材の長手方向軸線に対する角度を方向変換させて医療器具を適応させている肛門鏡。
【請求項16】
前記管状部材が短くなっている請求項15に記載の肛門鏡。
【請求項17】
前記末端部から基端部に向かって前記管状部材に沿って延在する追加の長手方向スロットを設け、前記追加の長手方向スロットは、前記管状部材の表面上で約180°だけずらして設けられている請求項15に記載の肛門鏡。
【請求項18】
複数の前記長手方向スロットが、前記管状部材の両端部の中間にある領域でオーバーラップするような大きさに形成されている請求項16に記載の肛門鏡。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−131414(P2010−131414A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12567(P2010−12567)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【分割の表示】特願2003−390716(P2003−390716)の分割
【原出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(503427474)メドサージ・メディカル・プロダクツ・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】