説明

肝脂肪蓄積抑制剤

【課題】高脂血症、脂肪肝、糖尿病等の生活習慣病の予防および治療に役立つ安全性の高い有色米由来の肝脂肪蓄積抑制剤、薬品および皮膚外用剤(化粧品)を提供する。
【解決手段】本発明の肝脂肪蓄積抑制剤は、有色米の色素抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。前記色素抽出物は前記有色米の脱脂米糠抽出物であるとよい。本発明の肝脂肪蓄積抑制剤は、前記有色米が黒米または赤米であることを特徴とする。本発明の飲食品、薬品および皮膚外用剤(化粧品)は、前記肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなることを特徴とする。なお、肝脂肪の蓄積抑制については、図1に示す脂肪代謝経路において、(4)脂肪燃焼促進に関わるもので、上記(1)脂肪吸収抑制〜(3)脂肪分解促進による作用は直接関与しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有色米由来の肝脂肪蓄積抑制剤に関するもので、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品(皮膚外用剤)等の有効成分として適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
過食や運動不足などによる中性脂肪の過剰な蓄積は、高脂血症、脂肪肝、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因となっている。このような生活習慣病は、内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)に密接に関係し、近年、体内脂肪の蓄積を抑制するための各種素材が研究されている。
【0003】
従来、体内脂肪の蓄積を抑制する素材としては、例えばキトサン、低分子アルギン酸ナトリウム、サイリウム種皮由来植物繊維、ミズナラ、コナラ樹木種実粉末(特許文献1参照)、ニガウリ加熱処理物(特許文献2参照)、黒大豆抽出物(特許文献3参照)、タマリンド種皮抽出物(特許文献4参照)などが開示されている。
しかしながら、これらの素材には、中性脂肪の蓄積抑制効果が十分に得られないものもあり、生活習慣病の予防や治療に役立つより付加価値の高い素材が市場で求められているのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開平11−299451号公報:コナラ樹木種実粉末
【特許文献2】特開2006−117658号公報:ニガウリ加熱処理物
【特許文献3】特許公開2002−153240号公報:黒大豆抽出物
【特許文献4】特開平9−291039号公報:タマリンド種皮抽出物
【特許文献5】特許公開2004−91462号公報:黒米由来糖質吸収阻害剤
【特許文献6】特許公開2004−143130号公報:黒米由来血糖値上昇抑制
【特許文献7】特開2006−17654号公報:アセロラ由来のポリフェノール配糖体(皮膚外用剤の使用例)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脂肪蓄積の主な要因としては、体内の脂肪代謝経路に脂肪が過剰に停滞していることが考えられる(図1参照)。そこで、脂肪をターゲットとしてその蓄積抑制効果を評価する場合には、脂肪代謝経路における、(1)脂肪吸収抑制、(2)脂肪蓄積阻害、(3)脂肪分解促進、(4)脂肪燃焼促進のいずれかの作用を検討することが多い。上記特許文献1〜4においては、上記(1)脂肪吸収抑制〜(3)脂肪分解促進に関わる血中トリグリセロール量の変化や内臓脂肪(腹部脂肪)の減少量を測定することにより、脂肪蓄積抑制効果を明らかにしている。
【0006】
ところが、肝脂肪の蓄積抑制については、図1に示す脂肪代謝経路において、(4)脂肪燃焼促進に関わるものであり、上記(1)脂肪吸収抑制〜(3)脂肪分解促進による作用が直接関与するものではない。このため、生活習慣病を効果的に予防・治療するためには、上記(1)脂肪吸収抑制〜(3)脂肪分解促進に有効な素材のみならず、上記(4)脂肪燃焼促進に関与して肝脂肪の蓄積を効果的に抑制する素材を見つけ出すことが重要となる。
【0007】
このような背景の下、本発明者らは、種々の植物由来の抽出物について、その含有成分・含有量等を調査し、アントシアニン、タンニン等の色素を豊富に含有する“黒米”および“赤米”に着目するに至った。そして、各種実験を行った結果、これらの有色米由来の色素抽出物には、上記色素成分に加えて未知の化合物が多量に含まれており、これらの混成物が肝臓への中性脂肪の蓄積を効果的に抑制することを見出した。また、有色米由来の色素抽出物には、肝脂肪蓄積抑制作用に起因する高脂血症改善作用、メタボリックシンドローム予防・治療剤、体重増加抑制作用、血糖値上昇抑制作用が存在することを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
本発明の目的は、高脂血症、脂肪肝、糖尿病等の生活習慣病の予防および治療に役立つ安全性の高い有色米由来の肝脂肪蓄積抑制剤を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高脂血症、脂肪肝、糖尿病等の生活習慣病の予防・治療に役立つ安全性の高い有色米由来の飲食品、薬品および皮膚外用剤(化粧品)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の肝脂肪蓄積抑制剤は、有色米の色素抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤は、前記色素抽出物が、前記有色米の脱脂米糠抽出物であることを特徴とする。
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤は、前記有色米が黒米であることを特徴とする。
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤は、前記有色米が赤米であることを特徴とする。
本発明の高脂血症予防・治療剤は、前記肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなることを特徴とする。
本発明の脂肪肝予防・治療剤は、前記肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなることを特徴とする。
本発明のメタボリックシンドローム予防・治療剤は、前記肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなることを特徴とする。
本発明の体重増加抑制剤は、前記肝脂肪蓄積抑制剤(赤米由来)を含有してなることを特徴とする。
本発明の血糖値上昇抑制は、前記肝脂肪蓄積抑制剤(赤米由来)を含有してなることを特徴とする。
本発明の飲食品、薬品および皮膚外用剤(化粧品)は、前記肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなることを特徴とする。
【0010】
肝臓への中性脂肪の蓄積は、遊離脂肪酸からの合成量の増加、または肝細胞からの超低比重リポ蛋白(VLDL)としての排出量の減少により起こる。中性脂肪の合成増加は、遊離脂肪酸の伝達や、利用可能な量の増加(食事や脂肪組織から動員されたもの)、アセチルCoAや肝臓での遊離脂肪酸の酸化の減少による結果として起こり、中性脂排出量の低下はアポリポ蛋白、リン脂質やコレステロールを抑圧することでVLDL分泌を減少させることにより起こる。
本発明による有色米の色素色素抽出物によれば、上記のような肝臓における脂質代謝の過程で、必要な酵素活性等を阻害または促進することで、肝臓への蓄積を抑制するものと考えられる。そして、このような肝機能の健全化に伴って体内における脂質代謝能力を高め、高脂血症、脂肪肝、糖尿病、肥満症といった中性脂肪の過剰な蓄積に起因する症状を改善することができる。
なお、従来の脂肪代謝に関連する黒米由来の抽出物としては、特許文献5および6が開示されているが、上記のような肝脂肪の蓄積抑制作用については、何ら記載も示唆もされていない。
【0011】
メタボリックシンドローム(Metabolic Syndrome)とは、ある人について、内臓肥満であり、かつ、(1)高血圧、(2)高脂血症または低HDLコレステロールロール血症、(3)境界型糖尿病または糖尿病の3つのうち2つを満たす状態をいうが、本発明によれば、肝機能を向上させることによって上記(2)および(3)の改善を期待することができる。すなわち、本発明による有色米の色素色素抽出物を、メタボリックシンドロームの予防・治療剤として効果的に使用することができる。
【0012】
本発明において、有色米の色素抽出物は、黒米、赤米等の有色米(古代米)の表皮および胚芽部分から色素成分を抽出してなる組成物を意味する。発明者らの調査によれば、黒米由来の色素抽出物には、アントシアニン、プロアントシアニン(縮合型タンニン)等が含まれ、赤米由来の色素抽出物には、タンニン、プロアントシアニン(縮合型タンニン)等が含まれる。これら既知の色素成分の含有量については、色素抽出物中の20〜30wt%程度であり、残りの成分は構造特定が困難な未知の化合物である。
【0013】
ここで、上記特許文献3には、黒大豆等の色素、すなわちアントシアニジン系色素(アントシアニン)およびその誘導体に、優れた脂肪蓄積抑制作用がある点が開示されている。この文献によれば、黒大豆等から色素成分を抽出することで、純度90wt%以上のアントシアニン系化合物を得ることができ、このアントシアニン系化合物を肥満防止および肥満症の改善・治療の有効成分とすることが示されている。
【0014】
また、上記特許文献4には、タマリンド種皮抽出物には、高濃度のプロアントシアニン(プロアントシアニジン)が含まれることが開示され、重合度2〜80のプロアプロアントシアニジンに、抗肥満作用、糖質分解消化酵素阻害作用、血糖上昇抑制作用、単糖吸収抑制作用、コール酸吸着排泄作用、コレステロール低下作用、血中トリグリセリド低下作用、およびリパーゼ阻害作用の活性が存在することが示されている。
【0015】
しかしながら、本発明による有色米由来の色素抽出物は、アントシアニン系化合物およびプロアントシアニジンを含むものであるが、これらの色素成分に加えて他の化合物を豊富に含む混成物である点で、特許文献3および4に記載の抽出物とはその組成が異なる。このため、本発明においては、有効成分の使用に当たりアントシアニン系化合物またはプロアントシアニジンを精製する必要がない。
また、特許文献3および4に記載の抽出成分は、上記脂肪代謝経路において、図1に示す(1)脂肪吸収抑制〜(3)脂肪分解促進に関与するものであり、本発明のように肝脂肪の蓄積抑制に直接関与して中性脂肪の蓄積を抑制するものではない。この点、本発明による有色米の色素色素抽出物は、その構成成分の組成および作用・効果において特許文献3および4に記載の発明とは異なるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。下記の説明において、肝脂肪蓄積抑制剤の有効成分として有色米由来の色素抽出物を使用する形態を説明するが、高脂血症予防・治療剤、脂肪肝予防・治療剤、メタボリックシンドローム予防・治療剤、または血糖値上昇抑制の体重増加抑制剤に有色米由来の色素抽出物を含有させる場合についても、同様の使用形態を採用しうる。
【0017】
色素抽出物の原料である有色米には、黒米または赤米等の古代米を使用することができる。
黒米は、中国、陝西省漢中地方原産の古代米の一種で、紫黒米、紫米とも呼ばれる。その玄米の表面は黒色で、果皮・種皮および胚芽の部分に紫黒色系色素(アントシアン系)を含む。5分づき(少し精米した状態)にすると米が紫色になり、糠を全て取り除くと白米に近い色になる。米粒の形は、ジャポニカ種(短粒)とインディカ種(長粒)があり、後者の多くは繻(もち)であることが多い。漢方医学によると、黒米には、滋養強壮、精力増進の効果があり、胃腸を丈夫にし、補血、活血し、肺機能を強化させ、視力を回復させ、髪を黒くするなどの効能があると考えられている。黒米の色素(アントシアニン)は、眼精疲労回復効果の他、血管を保護して、動脈硬化を予防し、発ガンの抑制に関係する抗酸化作用が報告されている。
黒米品種としては、紫黒苑(しこくえん)、黒田苑(くろだえん)、湖南黒米:(こなんくろこめ)、黒紫(くろむらさき)、雲南黒米(うんなんくろこめ)、湖北紫黒米(こほくしこくまい)等が挙げられる。
【0018】
赤米は、野生稲の大部分が赤米であることから、赤米はコメのル一ツと考えられている。玄米の色が赤褐色で果皮、種皮の部分に赤色系色素(タンニン系)を含む。5分づき(少し精米した状態)にすると薄紅色になり、糠を全て取り除くと白米になる。米粒の形にはジャボニカ種(短粒)とインディカ種(長粒)があり、日本ではジャボニカ種の粳(うるち)がであることが多い。赤米品種としては、紅茜(べにあかね)、紅吉兆(べにきっちょう)、紅朱雀(べにすざく)、紅飛鳥(べにあすか)、桃園(とうえん)、中之島赤米(なかのしまあかまい)等が挙げられる。
【0019】
本発明において、色素抽出物を得るための原料としては、黒米および赤米の品種は問わず、これらの品種(上記に列挙したものを含む。)のうち1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。米粒の形は、ジャポニカ種(短粒)とインディカ種(長粒)のいずれであってもよいし、これらを混合して用いてもよい。米の種類についても、粳米または糯米のいずれを使用してもよいし、これらを混合して用いてもよい。
【0020】
また、有色米から色素成分を抽出する場合、脱脂米糠を原料として用いることが望ましい。これは、米糠中の油分を除くことにより、この脱脂物から有効成分が効率よく抽出されるためである。さらに、脱脂米糠を使用することで、通常は廃棄物として処理される原料から付加価値の高い素材を製造することが可能になる。
【0021】
好ましい脱脂用溶媒としては、N−ヘキサン、アセトン等が挙げられる。特に、脱脂用溶媒としてN−ヘキサンを用いると、抽出油分を食用油として使用し得るとともに、色素抽出物を食品素材等に利用しやすくなる。
【0022】
色素成分の抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル等の極性溶媒を使用することができる。これらの溶媒を2種以上混合してもよい。
望ましくは、水またはエタノールを抽出溶媒として用いると、有効成分が効率よく抽出される。特に、含水エタノールは、抽出の際に有効成分の活性を低下させにくく、抽出物の食品使用における安全面の上でも好ましい抽出溶媒である。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水等を使用することができる。
【0023】
抽出温度としては、例えば含水エタノールを使用する場合、抽出温度20〜80℃、望ましくは40〜50℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、また、抽出温度が高すぎると、有効成分の活性が低下しやすくなるためである。
【0024】
抽出溶媒としての含水エタノールは、エタノール濃度40〜90%(wt/wt)、望ましくはエタノール濃度60〜80%(wt/wt)であるとよい。エタノール濃度40%(wt/wt)以上としたのは、エタノール含有量が少なすぎると、有効成分の抽出量が不十分になりやすいためである。また、エタノール濃度90%(wt/wt)以下としたのは、エタノール濃度が高すぎると、米糠中の油分が含水エタノール中に溶け出しやすくなるからである。なお、含水エタノール抽出は、有効成分の含有率を向上させるため、エタノール濃度を段階的に変えながら繰り返して行うとよい。
【0025】
色素抽出物の抽出方法としては、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0026】
具体的な抽出方法を示すと、抽出溶媒を満たした処理槽に原料(脱脂米糠)を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には、抽出原料の5〜100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分〜2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。
【0027】
その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施し、本発明による肝脂肪蓄積制剤とする。
色素成分の精製方法は、合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP−20等)、ゲル濾過樹脂等に抽出液を通して色素成分を吸着させ、これをメタノール、エタノール等で溶出させて減圧濃縮を行うとよい。なお、赤米由来の色素成分の精製には、オクタデシルシリカゲル(ODS)を用いると有効成分を効率よく回収することができる。
【0028】
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)を適宜配合するとよい。
【0029】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0030】
具体的な製法としては、有色米の脱脂米糠の色素抽出物を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、前記色素抽出物を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0031】
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)を飲食品に適用する場合の添加量としては、病気予防や健康維持が主な目的であるので、飲食品に対して有効成分の含量が合計1〜20wt%以下であるのが好ましい。
【0032】
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明の色素抽出物を適宜配合して製造することができる。本発明の色素抽出物に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0033】
本発明による肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、局所組織内投与、皮内、皮下、筋肉内および静脈内注射などによることができる。また、坐剤などの形態としてもよい。
【0034】
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5〜5000mg、子供では通常0.5〜3000mg程度投与することができる。
肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3〜15.0wt%、非経口投与による場合は、0.01〜10wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0035】
本発明の色素抽出物には、アントシアニン、プロアントシアニン等のポリフェノール成分が含まれるが、特許文献7によれば、アセロラ由来のポリフェノール配糖体が血糖値上昇抑制(グルコシダーゼ阻害活性)のための皮膚外用剤として使用される点が開示されており、本発明の中性脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)についても同様に皮膚外用剤(化粧品、医薬品および医薬部外品を含む。)として肝脂肪蓄積抑制を期待することができる。
【0036】
本発明の肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)を配合しうる化粧品の形態としては、例えば乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
また、 本発明の色素抽出物を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0037】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明による色素抽出物の他に、その肝脂肪蓄積抑制効果を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(1)油分の例
[エステル系の油相成分]:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
[炭化水素系の油相成分]:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
[動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ]:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリブ油、カカオ脂、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
[シリコーン系の油相成分]:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
[フッ素系の油相成分]:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
(6)界面活性剤の例
[アニオン性界面活性剤]:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
[カチオン性界面活性剤]:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
[両性界面活性剤]:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
[ノニオン性界面活性剤]:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
[天然系界面活性剤]:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、生コーヒー豆エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明によって得られる色素抽出物の各種作用・効果等の確認のために説明するもので、本発明の範囲は、これらの製品および製法に限定されるものではない。
【0039】
[黒米色素分画(黒米色素抽出物)の作製]
原料となる黒米には、品種「紫黒苑(しこくえん)」を使用した。
黒米糠(400g)を、重量比で5倍量のn−ヘキサンで脱脂後、糠を風乾した。 次に、50%エタノールを用いて室温にて攪拌抽出を行った。抽出液を40℃以下で減圧濃縮を行い、黒米エキス(60g)を得た。黒米エキス(20g)を水に懸濁し、重量比で20倍量(400g)のダイアイオンHP−20を充填したカラムに通液した。水(1L)で洗浄後、50%メタノール (1.5L)、100%メタノールで(1.5L)で順次溶出した。これら2つの溶出液を合わせて40℃以下で減圧濃縮を行い,黒米色素分画(11.5 g)を得た。
【0040】
[赤米色素分画(赤米色素抽出物)の作製]
原料となる赤米には、品種「「紅茜(「べにあかね)」を使用した。
赤米糠(400g)を、重量比で5倍量の70%アセトンを用いて室温にて抽出を行った。抽出液と同体積の水およびn−ヘキサンを加えて振盪分配を行い、水分画を得た。この水分画をオクタデシルシリカゲル(ODS)カラムに通液し、含有成分を吸着させた。カラムをODSの体積の3倍量の水で通液洗浄後、ODSの3倍量のメタノールで溶出を行った。溶出液を40℃以下で減圧濃縮を行い、赤米色素分画(3.38g)を得た。
【0041】
[高脂肪食飼育マウス]
マウス(ddY,雄,10週齡)に、高脂肪食(High Fat Diet 32,日本クレア)および水道水を13日間自由摂取させた。この間、水に懸濁させた各サンプルを1日1回(200mg/kg)、経口投与した。最終日の前日(12日)からマウスを絶食(22h)し、エーテル麻酔下で腹部大動脈から採血を行った。
得られた血液は、遠心分離の後血清を分離し、トリグリセリド、コレステロールおよび血糖値を市販のキット(和光純薬工業)を用いて測定した。また、肝臓および内臓脂肪(副睾丸脂肪,腎周囲脂肪)を摘出し、湿重量を測定した。
【0042】
一方,肝臓の一部(約200mg)には、重量比で19倍量のクロロホルム・メタノール(2:1)混合液を加え、氷冷下でホモジネートを行った。これを遠心分離 (3000回転,10分)し、上清 (200mL) を試験管に採取した。窒素気流下で溶媒を除去した後、リン酸緩衝生理緩衝液 (200 mL) を加えて充分に残渣を分散させた。この懸濁液について、前述のキットを用いてトリグリセリドおよびコレステロール濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
[結 果]
表1に示すように、体重においては、赤米色素分画投与群に体重増加の抑制傾向がみられた。臓器重量においては、内臓脂肪には変化がみられなかったが、赤米色素分画投与群に肝臓重量の低下傾向が認められた。
一方、肝脂質では黒米色素分画および赤米色素分画投与群に有意なトリグリセリドの低下が認められた。さらにこれらの群においては、血清中のトリグリセリドも低下しており、赤米色素分画投与群では、血糖値(グルコース)の低下傾向が認められた。
【0045】
以上の結果より、黒米および赤米色素分画は、肝臓への中性脂肪(トリグリセリド)の蓄積を効果的に抑制するとともに、血中トリグリセリドの蓄積を抑制することで、メタボリックシンドロームの予防・治療に効果があることが判明した。
また、赤米色素分画は、黒米色素分画よりその作用が強く、体重増加抑制(肥満症予防・治療)、および血糖値の正常化(糖尿病予防・治療)にも効果があることが判る。
【0046】
[配合例]
本発明による肝脂肪蓄積抑制剤(色素抽出物)の配合例を示す。下記配合例において、「色素抽出物」には、黒米または赤米由来の色素抽出物、望ましくはこれらの脱脂米糠から得られる色素抽出物が用いられる。各配合例によれば、肝脂肪蓄積抑制作用に基づく高脂血症改善効果、脂肪肝改善効果およびメタボリックシンドローム改善効果を期待することができ、特に、赤米由来の色素抽出物を配合する場合には、上記効果に加えて糖尿病改善効果および肥満症改善効果をも期待することができる。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
【表6】

【0052】
【表7】

【0053】
【表8】

【0054】
【表9】

【0055】
【表10】

【0056】
【表11】

【0057】
【表12】

【0058】
【表13】

【0059】
【表14】

【0060】
【表15】

【0061】
【表16】

【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
(a) 有色米由来の安全な抽出物を摂取することにより、優れた肝脂肪蓄積抑制効果を得ることができ、高脂血症、脂肪肝、糖尿病等の生活習慣病、並びに生活習慣病を引き起こすメタボリックシンドロームを効果的に予防または治療することができる。
(b) 有色米由来の安全な抽出物であるから、飲食品や薬品の素材として安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】脂肪代謝経路における脂肪蓄積抑制作用を説明するための模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色米の色素抽出物を有効成分とする肝脂肪蓄積抑制剤。
【請求項2】
前記色素抽出物が、前記有色米の脱脂米糠抽出物である、請求項1記載の肝脂肪蓄積抑制剤。
【請求項3】
前記有色米が黒米である、請求項1または2記載の肝脂肪蓄積抑制剤。
【請求項4】
前記有色米が赤米である、請求項1または2記載の肝脂肪蓄積抑制剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、高脂血症予防・治療剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、脂肪肝予防・治療剤。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、メタボリックシンドローム予防・治療剤。
【請求項8】
請求項4記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、体重増加抑制剤。
【請求項9】
請求項4記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、血糖値上昇抑制。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一項記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、飲食品。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一項記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、薬品。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項記載の肝脂肪蓄積抑制剤を含有してなる、皮膚外用剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−195694(P2008−195694A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35465(P2007−35465)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】