説明

肥満関連遺伝子及びその利用

【課題】精度の高い肥満の遺伝子検査に利用できるポリヌクレオチド、精度の高い肥満の遺伝子検査を行うことができる遺伝子多型の検出方法、及びその方法に使用するオリゴヌクレオチドセットを提供する。
【解決手段】本発明者らは、ヒトFABP2遺伝子、ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子、ヒトKIR6.2遺伝子、ヒトRAGE遺伝子、ヒトPPARγ遺伝子、及びヒトSUR1遺伝子のエクソン31中の特定の多型と肥満体質との間に相関性が存在することを初めて見出した。この多型を検出することにより、肥満体質であるか否かについての信頼性の高い情報が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満体質の検査に用いることができるヒト遺伝子、遺伝子多型の検出方法、及びこの方法に用いるオリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
過度の肥満は、高血圧、高脂血症、II型糖尿病などの増悪因子となるため、健康を維持する上で重要な問題となっている。そのため、肥満の発症機構の解明と予防法及び治療法の確立が医学上重要な課題となっている。
【0003】
遺伝子には、点変異又は遺伝子の部分的若しくは全体的な欠失、挿入若しくは置換等の変異が含まれている場合がある。肥満関連遺伝子としては安静時の代謝量に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子が多く挙げられる。これらの遺伝子に変異がある場合には、タンパク質が発現しなかったり、本来の遺伝子産物であるタンパク質が正常に機能せず、その結果、野生型遺伝子を有するヒトに比べて安静時代謝量が減少したり増加したりする事が知られている。このことは、同じカロリーを摂取した場合に 野生型を有するヒトに比べ 体重が増加し易い、又は減少し易いということを意味している。
【0004】
これまでにも幾つかの遺伝子の変異を調べることにより安静時代謝量の変化を推定する方法は知られている。例えば、β3−アドレナリン受容体遺伝子、UCP(Uncoupling Protein)1遺伝子、β2−アドレナリン受容体遺伝子に変異が生じると、代謝量が変化することが知られている
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、精度の高い肥満の遺伝子検査に利用できるポリヌクレオチド、精度の高い肥満の遺伝子検査を行うことができる遺伝子多型の検出方法、及びその方法に使用するオリゴヌクレオチドセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、74人の被験者について下記の遺伝子多型の有無と安静時代謝量とを調べた。この結果、下記の遺伝子多型の存在により安静時代謝量が以下の表1に示すように有意に変動することを見出した。
【0007】
当該多型により安静時代謝量が減少している場合、同量のカロリーを摂取しても野生型のヒトに比べて太り易いことを意味しており、逆に当該多型により安静時代謝量が増大している場合、同量のカロリーを摂取しても野生型のヒトに比べて痩せ易いことを意味する。
【0008】
【表1】

【0009】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下のポリヌクレオチド、遺伝子多型の検出方法、及びこの方法に用いるオリゴヌクレオチド及びプライマーセットを提供する。
項1. 以下の(1)又は(2)のポリヌクレオチド。
(1) ヒトFABP(Fatty Acid Binding Protein)2遺伝子又はその変異体の163番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、163番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(2) (1)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
項2. 配列番号1の塩基番号163のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である項1に記載のポリヌクレオチド。
項3. 以下の(ア)〜(ウ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(ア) 163番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトFABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドと相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(イ) 163番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトFABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドと相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ウ) 野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(ア)及び(イ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項4. 以下の(a)〜(c)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(a) 163番目の遺伝子多型部位がGであるヒト野生型FABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的でありその3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(b) 163番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトFABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(c) 野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(a)及び(b)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項5. ヒトFABP2遺伝子の163番目における塩基置換を検出するヒトFABP2遺伝子多型の検出方法。
項6. ヒトFABP2遺伝子の163番目におけるGからAへの塩基置換を検出する項5に記載の方法。
項7. 以下の(3)又は(4)のポリヌクレオチド。
(3) ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその変異体の803番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、803番目の遺伝子多型部位がCであるポリヌクレオチド。
(4) (3)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
項8. 配列番号2の塩基番号803のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である項7に記載のポリヌクレオチド。
項9. 以下の(エ)〜(カ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(エ) 803番目の遺伝子多型部位がTである野性型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(オ) 803番目の遺伝子多型部位がCである変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(カ) 野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(エ)及び(オ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項10. 以下の(d)〜(f)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(d) 803番目の遺伝子多型部位がTであるヒト野生型アンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的でありその3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(e) 803番目の遺伝子多型部位がCである変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(f) 野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(d)及び(f)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項11. ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目における塩基置換を検出するヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子多型の検出方法。
項12. ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目におけるTからCへの塩基置換を検出する項11に記載の方法。
項13. 以下の(5)又は(6)のポリヌクレオチド。
(5) ヒトKIR(inwardly rectifying potassium channel)6.2遺伝子又はその変異体の67番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、67番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(6) (5)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
項14. 配列番号3の塩基番号67のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である項13に記載のポリヌクレオチド。
項15. 以下の(キ)〜(ケ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(キ) 67番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトKIR6.2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(ク)67番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトKIR6.2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ケ) 野生型及び変異型ヒトKIR6.2遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(キ)及び(ク)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項16. ヒトKIR6.2遺伝子の67番目における塩基置換を検出するヒトKIR6.2遺伝子多型の検出方法。
項17. ヒトKIR6.2遺伝子の67番目におけるGからAへの塩基置換を検出する項16に記載の方法。
項18. 以下の(7)又は(8)のポリヌクレオチド。
(7) ヒトRAGE(Receptor for Advanced Glycation End products)遺伝子又はその変異体の8368番目のP2ヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、8368番目の遺伝子多型部位がTであるポリヌクレオチド。
(8) (7)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
項19. 配列番号4の塩基番号8368のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項18に記載のポリヌクレオチド。
項20. 以下の(コ)〜(シ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(コ) 8368番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトRAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(サ) 8368番目の遺伝子多型部位がTである変異型ヒトRAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(シ) 野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(コ)及び(サ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるか、又はそれに相補的であるオリゴヌクレオチド。
項21. 以下の(g)〜(i)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(g) 8368番目の遺伝子多型部位がGであるヒト野生型RAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的でありその3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(h) 8368番目の遺伝子多型部位がTである変異型ヒトRAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(i) 野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(g)及び(h)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項22. ヒトRAGE遺伝子の8368番目における塩基置換を検出するヒトRAGE遺伝子多型の検出方法。
項23. ヒトRAGE遺伝子の8368番目におけるGからTへの塩基置換を検出する項22に記載の方法。
項24. 以下の(9)又は(10)のポリヌクレオチド。
(9) PPAR(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)γ遺伝子又はその変異体の34番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、34番目の遺伝子多型部位がGであるポリヌクレオチド。
(10) (9)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
項25. 配列番号5の塩基番号34のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項24に記載のポリヌクレオチド。
項26. 以下の(ス)〜(ソ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(ス) 34番目の遺伝子多型部位がCである野性型ヒトPPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(セ) 34番目の遺伝子多型部位がGである変異型ヒトPPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ソ) 野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(ス)及び(セ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項27. 以下の(j)〜(l)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(j) 34番目の遺伝子多型部位がCであるヒト野生型PPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(k) 34番目の遺伝子多型部位がGである変異型ヒトPPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(l) 野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(j)及び(k)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項28. ヒトPPARγ遺伝子の34番目における塩基置換を検出するヒトPPARγ遺伝子多型の検出方法。
項29. ヒトPPARγ遺伝子の34番目におけるCからGへの塩基置換を検出する項28に記載の方法。
項30. 以下の(11)又は(12)のポリヌクレオチド。
(11) ヒトSUR(Sulfonylurea Receptor)1遺伝子又はその変異体のエクソン31の1273番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、1273番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(12) (11)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
項31. 配列番号6の塩基番号3819のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である項30に記載のポリヌクレオチド。
項32. 以下の(タ)〜(ツ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(タ) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトSUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(チ) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトSUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ツ) 野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(タ)及び(チ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項33. 以下の(m)〜(o)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(m) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がGであるヒト野生型SUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(n) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がAであるヒト変異型SUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(o) 野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(m)及び(n)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
項34. ヒトSUR1遺伝子エクソン31の1273番目における塩基置換を検出するヒトSUR1遺伝子多型の検出方法。
項35. ヒトSUR1遺伝子エクソン31の1273番目におけるGからAへの塩基置換を検出する項34に記載の方法。
項36. ヒト遺伝子について以下の(i)〜(ix)の遺伝子多型の4以上を検出する工程と、肥満体質であるか否かを判定する工程とを含む肥満体質の検査方法。
(i) ヒトFABP2遺伝子の163番目における塩基置換
(ii) ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目における塩基置換
(iii) ヒトKIR6.2遺伝子の67番目における塩基置換
(iv) ヒトRAGE遺伝子の8368番目における塩基置換
(v) ヒトPPARγ遺伝子の34番目における塩基置換
(vi) ヒトSUR1遺伝子のエクソン31の1273番目における塩基置換
(vii) ヒトβ3−アドレナリン受容体遺伝子における190番目における塩基置換
(viii) ヒトUCP(Uncoupling Protein)1遺伝子の開始コドンから上流3826番目(−3862番目)における塩基置換
(ix) ヒトβ2−アドレナリン受容体遺伝子における46番目における塩基置換
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、代謝に関与する遺伝子において、安静時代謝量に有意な変動をもたらす遺伝子多型が提供された。これにより、当該多型の有無を検出することにより、肥満体質であるか否かの検査を精度よく行うことができるようになり、肥満の予防及び治療に役立たせることができる。さらに本発明によれば、肥満に起因する糖尿病、高血圧、心血管障害、高脂血症等々の多くの生活習慣病の予防、治療への貢献することが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明において、「遺伝子多型」とは、遺伝子中の特定部位において、ヒトによって2種以上の塩基が存在することをいい、頻度の高い型を野生型、頻度の低い型を変異型という。
ヒトFABP(Fatty Acid Binding Protein)2遺伝子
本発明の第1のポリヌクレオチドは、以下の(1)又は(2)のポリヌクレオチドである。
(1) ヒトFABP2遺伝子の163番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、163番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(2) (1)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【0013】
163番目の遺伝子多型部位がAであるヒトFABP2遺伝子としては、代表的には配列番号1に示す塩基配列からなるものが挙げられるが、配列番号1の塩基番号163以外の塩基については、個人間で異なる場合もあり、このような遺伝子も163番目の遺伝子多型部位がAであるヒトFABP2遺伝子に含まれる。アミノ酸配列が変化するような遺伝子の多様性も個人間に存在するが、アミノ酸配列の変化として現れないような遺伝子配列の多様性は個人間でしばしば見られることである。
【0014】
上記ポリヌクレオチドは、ヒトFABP2遺伝子の遺伝子多型の検出のためのプライマーやプローブの設計に用いることができる。
ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子
本発明の第2のポリヌクレオチドは、以下の(3)又は(4)のポリヌクレオチドからなる。
(3) ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその変異体の803番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、803番目の遺伝子多型部位がCであるポリヌクレオチド。
(4) (3)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【0015】
803番目の遺伝子多型部位がCであるヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子としては、代表的には配列番号2に示す塩基配列からなるものが挙げられるが、配列番号2の塩基番号803以外の塩基については、個人間で異なる場合もあり、このような遺伝子も803番目の遺伝子多型部位がCであるヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子に含まれる。
ヒトKIR(inwardly rectifying potassium channel)6.2遺伝子
本発明の第3のポリヌクレオチドは、以下の(5)又は(6)のポリヌクレオチドである。
(5) ヒトKIR(inwardly rectifying potassium channel)6.2遺伝子又はその変異体の67番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、67番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(6) (5)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【0016】
67番目の遺伝子多型部位がAであるヒトKIR遺伝子としては、代表的には配列番号3に示す塩基配列からなるものが挙げられるが、配列番号3の塩基番号67以外の塩基については、個人間で異なる場合もあり、このような遺伝子も67番目の遺伝子多型部位がAであるヒトKIR遺伝子に含まれる。
ヒトRAGE(Receptor for Advanced Glycation End products)遺伝子
本発明の第4のポリヌクレオチドは、以下の(7)又は(8)のポリヌクレオチドである。
(7) ヒトRAGE(Receptor for Advanced Glycation End products)遺伝子又はその変異体の8368番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、8368番目の遺伝子多型部位がTであるポリヌクレオチド。
(8) (7)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【0017】
8368番目の遺伝子多型部位がTであるヒトRAGE遺伝子としては、代表的には配列番号4に示す塩基配列からなるものが挙げられるが、配列番号4の塩基番号8368以外の塩基については、個人間で異なる場合もあり、このような遺伝子も8368番目の遺伝子多型部位がTであるヒトRAGE遺伝子に含まれる。
【0018】
配列番号4は、5'UTRからのイントロン及びエクソンの全てを含む変異型ヒトRAGE遺伝子の塩基配列である。塩基番号8368における変異は、イントロン内の変異である。
【0019】
なお、その他の遺伝子の塩基配列(配列番号1〜3、5、6、34〜36)は、通常通り、エクソンのみの塩基配列である。
PPAR(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)γ遺伝子
本発明の第5のポリヌクレオチドは、以下の(9)又は(10)のポリヌクレオチドである。
(9) PPAR(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)γ遺伝子又はその変異体の34番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、34番目の遺伝子多型部位がGであるポリヌクレオチド。
(10) (9)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【0020】
34番目の遺伝子多型部位がAであるヒトPPAR遺伝子としては、代表的には配列番号5に示す塩基配列からなるものが挙げられるが、配列番号5の塩基番号34以外の塩基については、個人間で異なる場合もあり、このような遺伝子も34番目の遺伝子多型部位がGであるヒトPPAR遺伝子に含まれる。
ヒトSUR(Sulfonylurea Receptor)1遺伝子
本発明の第6のポリヌクレオチドは、以下の(11)又は(12)のポリヌクレオチドである。
(11) ヒトSUR(Sulfonylurea Receptor)1遺伝子又はその変異体のエクソン31の1273番目のヌクレオチドを含む20〜200塩基からなるポリヌクレオチドであって、1273番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(12) (11)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【0021】
1273番目の遺伝子多型部位がAであるヒトSUR遺伝子エクソン31としては、代表的には配列番号6に示す塩基配列からなるものが挙げられるが、配列番号6の塩基番号1273以外の塩基については、個人間で異なる場合もあり、このような遺伝子も1273番目の遺伝子多型部位がAであるヒトSUR遺伝子エクソン31に含まれる。
遺伝子多型の検出方法
本発明の遺伝子多型の検出方法は、以下のヒト遺伝子多型を検出する方法である。
(i) ヒトFABP2遺伝子の163番目における塩基置換、特にGからAへの塩基置換を検出する方法。その相補鎖における対応する塩基置換を検出する方法も本発明の範囲に含まれる。この塩基置換は、特にホモ変異である場合に、野生型FABP2遺伝子を有するヒトに比べて有意に安静時代謝量が減少することから、この遺伝子多型が検出される場合は、肥満体質であることが示唆される。
(ii) ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目における塩基置換、特にTからCへの塩基置換を検出する方法。その相補鎖における対応する塩基置換を検出する方法も本発明の範囲に含まれる。この塩基置換は、特にホモ変異である場合に、野生型アンジオテンシノーゲン遺伝子を有するヒトに比べて有意に安静時代謝量が減少することから、この遺伝子多型が検出される場合は、肥満体質であることが示唆される。
(iii) ヒトKIR6.2遺伝子の67番目における塩基置換、特にGからAへの塩基置換を検出する方法。その相補鎖における対応する塩基置換を検出する方法も本発明の範囲に含まれる。この塩基置換は、特にホモ変異である場合に、野生型KIR6.2遺伝子を有するヒトに比べて有意に安静時代謝量が増大することから、この遺伝子多型が検出される場合は、肥満し難い体質であることが示唆される。
(iv) ヒトRAGE遺伝子の8368番目における塩基置換、特にGからTへの塩基置換を検出する方法。その相補鎖における対応する塩基置換を検出する方法も本発明の範囲に含まれる。この塩基置換は、特にヘテロ変異及びホモ変異の双方の場合に、野生型RAGE遺伝子を有するヒトに比べて有意に安静時代謝量が減少することから、この遺伝子多型が検出される場合は、肥満体質であることが示唆される。
(v) ヒトPPRAγ遺伝子の34番目における塩基置換、特にCからGへの塩基置換を検出する方法。その相補鎖における対応する塩基置換を検出する方法も本発明の範囲に含まれる。この塩基置換は、特にヘテロ変異及びホモ変異の双方の場合に、野生型PPRAγ遺伝子を有するヒトに比べて有意に安静時代謝量が減少することから、この遺伝子多型が検出される場合は、肥満体質であることが示唆される。
(vi) ヒトSUR1遺伝子のエクソン31の1273番目における塩基置換、特にGからAへの塩基置換を検出する方法。その相補鎖における対応する塩基置換を検出する方法も本発明の範囲に含まれる。この塩基置換は、特にホモ変異の場合に、野生型SUR1遺伝子を有するヒトに比べて有意に安静時代謝量が増大することから、この遺伝子多型が検出される場合は、肥満し難い体質であることが示唆される。
【0022】
また、上記6遺伝子多型を複数検出することにより、肥満体質であるか否かの検査精度がその分向上する。
【0023】
また、従来から多型と安静時代謝量の変動との相関が知られている遺伝子として以下の3遺伝子がある。
・β3−アドレナリン受容体遺伝子の190番目のTからCへのヘテロ又はホモ変異により、安静時代謝量が減少する。これにより肥満体質になると考えられる。
・UCP(Uncoupling Protein)遺伝子の開始コドンから上流3826番目(−3826番目)のAからGへのホモ変異により安静字代謝量が減少する。これにより肥満体質になると考えられる。
・β2−アドレナリン受容体遺伝子の46番目のAからGへのホモ変異により、安静時代謝量が減少する。これにより肥満体質になると考えられる。
【0024】
β3−アドレナリン受容体遺伝子(190番目がCである変異型)の塩基配列は配列番号34に記載された配列である。UCP遺伝子の塩基配列は配列番号35に記載された配列である。β2−アドレナリン受容体遺伝子(46番目がGである変異型)の塩基配列は配列番号36に記載された配列である。
【0025】
このように、肥満と相関している遺伝子多型が複数存在することから、遺伝子多型が数ヶ所に生じることにより、薬物代謝酵素活性が変動する。従って、本発明において肥満体質との関係が明らかにされた上記6遺伝子多型と、肥満体質との関係が従来知られていた上記3遺伝子多型との9遺伝子多型のうち、少なくとも任意の4遺伝子多型を検出することにより、肥満体質であるか否かについて信頼性のある判定が得られる。
【0026】
後述する実施例の表2から、上記各遺伝子変異により、概ね、以下のように安静時代謝量が変化することが分かる。
・β3−アドレナリン受容体遺伝子:−200kcal
・UCP遺伝子:−100kcal
・β2−アドレナリン受容体遺伝子:+100kcal
・FABP遺伝子:−100kcal
・アンジオテンシノーゲン遺伝子:−200kcal
・KIR6.2遺伝子:+150kcal
・RAGE遺伝子:−350kcal
・PRRAγ遺伝子:−150kcal
・SUR1エクソン31:+350kcal
検査した遺伝子について、変異により予測される上記の安静時代謝量の変化を合計し、マイナスになれば、肥満体質であると判定することができ、0又はプラスになれば肥満体質ではないと判定することができる。
遺伝子多型の検出手法
遺伝子多型の有無の検出方法は特に限定されず、公知の方法を制限なく使用できる。公知の遺伝子多型の有無の検出方法として、以下の方法を例示できる。
<核酸配列決定法(シークエンシング法)>
核酸配列決定法は被験核酸配列に含まれる塩基配列を検出、同定する方法である。自動シークエンサー等を用いて被験核酸の塩基配列を読み取り、調べようとする多型部位付近の塩基配列を調べることによって多型を検出することができる。
<サザンブロット法>
被験核酸を増幅させた後、ナイロン膜上に固定し、野生型又は特定の変異型に特異的にハイブリダイズする標識プローブをナイロン膜上の被験核酸に作用させて、ハイブリダイズの有無を検出するサザンブロット法も使用できる。
<サンドイッチハイブリダイゼーション法>
固体担体上に固定した補足プローブであって、野生型核酸又は多型核酸に特異的にハイブリダイズするプローブに被験核酸を作用させた後、検出用プローブを作用させることにより、被験核酸が補足プローブにハイブリダイズさせたか否かを検出することによって、多型を検出することができる。
<DNAポリメラーゼの活性を利用する方法>
DNAポリメラーゼの5'エキソヌクレアーゼ活性を利用し、一対のオリゴヌクレオチドと、変異部位と相補的に結合する両端が蛍光標識されたオリゴヌクレオチドとを用いてPCRを行い、遊離された蛍光物質を検出することにより、多型の有無を検出することができる。
<核酸の融解を利用する方法>
予め一本鎖とした被験核酸を、予測される変異部位を含む領域と相補的に結合するオリゴヌクレオチドが固定化された担体に結合させ、結合担体を徐々に昇温させることによって遊離される核酸を検出することにより、被験核酸が予測される変異を有するものであったか否かを調べることができる。
【0027】
上記例示した遺伝子多型検出方法は、通常、予め増幅された被験核酸を使用することが望ましい。増幅方法は、PCR、NASBA、LCR、SDA、RCA、TMAのような既知の方法を制限なく用いることができる。
【0028】
これらの核酸増幅方法は周知であるが、簡単に説明すると、PCRは、一本鎖に変性した標的核酸にオリゴヌクレオチド、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とDNAポリメラーゼを作用させることにより、標的核酸を鋳型とするオリゴヌクレオチド伸長反応が起こり核酸配列の相補鎖が合成される。この反応を繰り返し行うことによって標的核酸を増幅させる。
【0029】
NASBA法、及びTMA法は、RNAから逆転写反応によって1本鎖DNAを合成した後、該DNAを鋳型としてオリゴヌクレオチドおよびRNAポリメラーゼを用いてRNA合成反応を行い、この逆転写反応およびRNA合成反応からなるサイクルを繰り返すことによって標的核酸を増幅させる方法である。
【0030】
LCR法は、2種類のオリゴヌクレオチド、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)の存在下で、標的核酸にリガーゼを作用させ、標的核酸上で2種類のオリゴヌクレオチドを結合させる反応を繰り返すことによって標的核酸を増幅させる方法である。
【0031】
SDA法は、制限酵素とポリメラーゼとを組み合わせて核酸を置換増幅する方法であり、検出対象である核酸に制限酵素を用いて切れ目を入れ、切れ目を有するDNA断片を順番に置換していくDNAポリメラーゼの作用を利用して核酸を増幅する方法である。
【0032】
RCA法は、環状の標的核酸に対して、相補的なオリゴヌクレオチドとDNAポリメラーゼとを作用させることによって、新たに生成したオリゴヌクレオチドが鋳型から分離されながら、連続的に標的核酸を増幅させる方法である。
<遺伝子増幅法>
予想される点突然変異を検出する方法として、従来より、PCR(polymerase chain reaction)法(特公平4−67960号公報、特公平4−67957号公報)などの遺伝子増幅法を利用した遺伝子の点突然変異の検出方法が知られている。PCRによる増幅の有無や増幅速度の差を検出することにより、多型の有無を検出することができる。
<<PCR−SSPC法>>
一対のオリゴヌクレオチドを用いてPCRにより変異箇所を含む部位を増幅後、一本鎖核酸として電気泳動し、変異の有無に応じて電気泳動の移動距離が異なることを利用して多型の有無を検出することができる。
<<PCR−RFLP法>>
PCR-RFLP法は、一対のオリゴヌクレオチドを用いて変異箇所を含む部位を増幅後、制限酵素で処理し電気泳動で分離し、変異の有無に応じて異なる断片サイズを検出することにより多型の有無を検出することができる。
<<ASP(アリル特異的)−PCR >>
この他、PCRなどの遺伝子増幅法を利用して、増幅速度ないしは増幅の有無から変異の有無を判定する方法も用いることができる。
【0033】
即ち、野生型遺伝子を容易に増幅し変異型を増幅し難いオリゴヌクレオチドと、野生型遺伝子及び変異型遺伝子に共通するオリゴヌクレオチドとを用いた核酸増幅反応と、変異型遺伝子を容易に増幅し野生型遺伝子を増幅し難いオリゴヌクレオチドと、野生型遺伝子及び変異型遺伝子に共通するオリゴヌクレオチドとを用いた核酸増幅反応とを行うことにより、被験核酸がいずれの型の遺伝子を有するかを調べる方法がある。
【0034】
詳述すれば、野生型検出用オリゴヌクレオチドは、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが野生型遺伝子の当該ヌクレオチドに相補的であり、変異型検出用オリゴヌクレオチドは、遺伝子多型に対応するヌクレオチドが変異型遺伝子の当該ヌクレオチドに相補的である。
【0035】
また、野生型検出用及び変異型検出用のいずれのオリゴヌクレオチドも、遺伝子多型部位に相補的なヌクレオチドが、その3'末端付近に存在する。特に、3'末端から1〜2番目程度に存在することが好ましく、2番目に存在することがより好ましい。
【0036】
また、野生型検出用オリゴヌクレオチド及び変異型検出用オリゴヌクレオチドのいずれも、野生型及び変異型の遺伝子の双方に相補的でないヌクレオチドを有する。このミスマッチ部位の存在により、野生型検出用オリゴヌクレオチドでは、変異型遺伝子に作用させた場合に遺伝子増幅の阻害が増強され、変異型検出用オリゴヌクレオチドでは、野生型遺伝子に作用させた場合に遺伝子増幅の阻害が増強される。ミスマッチヌクレオチドは、多型部位に対応するヌクレオチドの上流(5'末端側)であればよい。時に、多型部位に対応するヌクレオチドに近い位置に存在することにより、遺伝子増幅を確実に阻害することができる。ミスマッチヌクレオチドは、特に、多型部位に相補的なヌクレオチドの上流1−2塩基程度の領域に存在することが好ましく、上流1塩基に存在することがより好ましい。多型部位に相補的なヌクレオチドに隣接してその5'末端側に存在することが最も好ましい。これにより伸長反応を期待しない核酸配列を鋳型とする場合に、塩基多型部位と併せて連続して2塩基のミスマッチが存在することになるため、その下流の伸長反応が強く阻害される。
【0037】
オリゴヌクレオチドのその他の領域は、検出される遺伝子にハイブリダイズできる程度の相補性を有していればよい。また、オリゴヌクレオチドの長さは、通常13〜35塩基程度、好ましくは16〜30塩基程度とすればよい。
【0038】
即ち、代表的な野性型検出用オリゴヌクレオチドは、野生型遺伝子の多型部位に相補的なヌクレオチドが3'末端から2番目に位置し、3'末端から3番目のヌクレオチドは野生型及び変異型遺伝子の双方に相補的でない。
【0039】
対にして用いる他方のオリゴヌクレオチドは、野生型及び変異型に共通のオリゴヌクレオチドであり、両遺伝子において核酸増幅を行うことができる。
【0040】
本発明においては、上記野生型用オリゴヌクレオチドと変異型検出用オリゴヌクレオチドとを、試料に別々、又は同時に作用させる。

オリゴヌクレオチドの伸長方法は、公知の方法で行えばよい。通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼと共に、野生型検出用オリゴヌクレオチドと、変異型検出用オリゴヌクレオチドを同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることで、標的核酸を鋳型としてオリゴヌクレオチドが伸長する。
【0041】
この伸長反応は公知の方法で行えばよく、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Sambrookら、1989)に記載の方法に従って行うことができる。通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼ、野生型及び変異型遺伝子検出に共通するリバースプライマーと共に、野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種変異型検出用オリゴヌクレオチド(フォーワードプライマーに相当)を同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることにより、標的核酸がファワードプライマーとリバースプライマーとの間で増幅される。
核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992))、RCR(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993))などを使用できる。
【0042】
上記のような核酸増幅法を利用した方法では、野生型核酸を増幅でき 野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いて試料核酸の増幅反応を行った場合、試料核酸が野生型であれば反応が起きるが、変異型では反応が起きない。一方、変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いて試料核酸の増幅反応を行った場合、試料核酸が変異型であれば反応が起きるが、野生型であれば反応は起こらない。
【0043】
従って、一つの試料を二つに分け、一方は野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いて反応を行い、他方は変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いて反応を行い、反応が起ったか否かを調べることにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることができる。
【0044】
特に、ヒトを始めとする高等生物は、1種類の遺伝子について、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子をそれぞれ1つずつ有しているが、この方法によれば、試料遺伝子が野生型のホモか、変異型のホモか、あるいは、ヘテロ変異であるかを区別することもできる。すなわち、ヘテロ変異の場合には、野生型遺伝子と変異型遺伝子とが共に存在するため野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いた場合も変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いた場合も増幅反応が起きる。
【0045】
野生型検出用オリゴヌクレオチドと変異型検出用オリゴヌクレオチドとを同時に用いて増幅反応を行った場合の、野生型遺伝子、ホモ変異遺伝子、ヘテロ変異遺伝子の区別は、増幅反応後の試料核酸を2本鎖核酸特異的結合物質と反応させた後、オリゴヌクレオチド量を定量又は比較することにより行える。
【0046】
また、標識したオリゴヌクレオチドを用いることもできる。例えば、各オリゴヌクレオチドを、予め酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質又は発光団などによって標識しておき、伸長又は増幅反応後に、反応したオリゴヌクレオチドの標識を検出すればよい。
酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、FITC、6−FAM、HEX、TET、テキサスレッド(TxR)、Cy3、Cy5などが挙げられる。2本鎖核酸特異的結合物質としては、エチレンブロマイド、SYBR GreenIなどが挙げられる。ハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが挙げられる。放射性物質としては、32P、35Sなどが挙げられる。発光団としては、ルテニウムなどが挙げられる。これらの標識物質は、オリゴヌクレオチドの伸長反応に影響を与えることがなければオリゴヌクレオチドのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、5' 部位に結合させればよい。
【0047】
野生型検出用オリゴヌクレオチドと変異型検出用オリゴヌクレオチドに異なる標識を用いる場合には、1つの反応槽で増幅反応を行っても検出ができる。
実施例
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0048】
ヒト血液サンプルから調製したゲノムについて、以下のようにして遺伝子増幅するか否かを検出した。
【実施例1】
【0049】
β3-アドレナリン受容体遺伝子 Trp64Argの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、65℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward(w) Primerは 5'末端をFITC標識したもの、 Forward(m) Primerは5'末端をTxRで標識したもの、Reverse Primerは5'末端をビオチン標識したものを使用した。
Primer配列
Forward (w): FITC-GCTATCGTGGCCATCGCGTG(配列番号7)
Forward (m) : TxR-GCTATCGTGGCCATCGCACG(配列番号8)
Reverse : Biotin-ACGAACACGTTGGTCATGGTCT(配列番号9)
【実施例2】
【0050】
UCP1遺伝子Ala3826Glyの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、60℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward Primerは 5'末端をBiotin標識したもの、 Reverse(w) Primerは5'末端をFITCで標識したもの、Reverse(m) Primerは5'末端をTxRで標識したものを使用した。
Primer配列
Forward : Biotin-AGCGATTTCTGATTGACCACA(配列番号10)
Reverse (w) : FITC-AACACATTAACAAATGCACATG(配列番号11)
Reverse (m) : TxR-AACACATTAACAAATGCACGCG(配列番号12)
【実施例3】
【0051】
β2-アドレナリン受容体遺伝子Arg16Glyの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、60℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward(w) Primerは 5'末端をFITC標識したもの、 Forward(m) Primerは5'末端をTxRで標識したもの、Reverse Primerは5'末端をビオチン標識したものを使用した。
Primer配列
Forward (w) : FITC-TCTTGCTGGCACCCAAAAG(配列番号13)
Forward (m) : TxR-CTTGCTGGCACCCAAGGG (配列番号14)
Reverse : Biotin-CTGCGTGACGTCGTGGTC(配列番号15)
【実施例4】
【0052】
FABP2遺伝子 Ala54Thrの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol 、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、62.5℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward(w) Primerは 5'末端をFITC標識したもの、 Forward(m) Primerは5'末端をTxRで標識したもの、Reverse Primerは5'末端をビオチン標識したものを使用した。
Primer配列
Forward (w) : FITC-TCACAGTCAAAGAATCAAGTGC(配列番号16)
Forward (m) : TxR-ATTCACAGTCAAAGAATCAAGAAC(配列番号17)
Reverse : Biotin-CAAAAACAACTTCAATGTTTCGA(配列番号18)
【実施例5】
【0053】
Angiotensinogen遺伝子 Met235Thrの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol 、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、60℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward Primerは 5'末端をBiotin標識したもの、 Reverse(w) Primerは5'末端をFITCで標識したもの、Reverse(m) Primerは5'末端をTxRで標識したものを使用した。
Primer配列
Forward : Biotin-GGCTGTGACAGGATGGAAGACT(配列番号19)
Reverse (w) : FITC-CTGTCCACACTGGCTCCGAT(配列番号20)
Reverse (m) : TxR-GTCCACACTGGCTCCAGT(配列番号21)
【実施例6】
【0054】
KIR6.2遺伝子 Glu23Lysの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、62.5℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward(w) Primerは 5'末端をFITC標識したもの、 Forward(m) Primerは5'末端をTxRで標識したもの、Reverse Primerは5'末端をビオチン標識したものを使用した。
Primer配列
Forward (w) : FITC-GGCAGAGGACCCTGCGGA(配列番号22)
Forward (m) : TxR-GGCAGAGGACCCTGCAAA(配列番号23)
Reverse : Biotin-CCTTTCTTGGACACAAAGCG(配列番号24)
【実施例7】
【0055】
RAGE遺伝子 Gly1704Thrの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、60℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward(w) Primerは 5'末端をFITC標識したもの、 Forward(m) Primerは5'末端をTxRで標識したもの、Reverse Primerは5'末端をビオチン標識したものを使用した。
Primer配列
Forward (w) : FITC-GGTAGGGTGAACCATAACTGGC(配列番号25)
Forward (m) : TxR-GGTAGGGTGAACCATAACTTTC(配列番号26)
Reverse : Biotin-TTTCCCTCGTTAGCCCTCTG(配列番号27)
【実施例8】
【0056】
PPARγ遺伝子 Pro12Alaの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、62.5℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward(w) Primerは 5'末端をFITC標識したもの、 Forward(m) Primerは5'末端をTxRで標識したもの、Reverse Primerは5'末端をビオチン標識したものを使用した。
Primer配列
Forward (w) : FITC-GGGAGATTCTCCTATTGATCC(配列番号28)
Forward (m) : TxR-TGGGAGATTCTCCTATTGAGGC(配列番号29)
Reverse : Biotin-ACAGTGTATCAGTGAAGGAATCG(配列番号30)
【実施例9】
【0057】
SUR1 Exon31遺伝子 AGG1273AGAの多型の検出
1試料当たりミリQ水18μlに2mM dNTPs 2.5μl、PCR Buffer 2.5μl、各Primer 5pmol、Taq DNAポリメラーゼ1.25u、Mgを終濃度2.5mMとなるように最終液量25μlを調製し20ng/μlのゲノムを1μl加え95℃・30秒、65℃・30秒、72℃・30秒の反応を35回繰り返し行い、増幅産物を得た。PCRは野生型を検出するPrimer(w)Primer(w)と変異型を検出するPrimer(m)を用いたアリル特異的PCR法を用いた。この時 Forward Primerは 5'末端をBiotin標識したもの、 Reverse(w) Primerは5'末端をFITCで標識したもの、Reverse(m) Primerは5'末端をTxRで標識したものを使用した。
Primer配列
Forward : Biotin-TGACCTCCATCTCCAACTCC(配列番号31)
Reverse (w) : FITC-AGGCCAGCAGAGAGCTGCC(配列番号32)
Reverse (m) : TxR-AGGCCAGCAGAGAGCTATC(配列番号33)
【実施例10】
【0058】
アビジン結合磁性粒子による検出
実施例1〜9により遺伝子が増幅したか否かを以下のようにして調べた。
【0059】
実施例1〜9にて得られた増幅反応液10μlを500mMトリス緩衝液(pH7.5)、2M NaCl、1mM EDTA 、1.25μgアビジン結合磁性粒子(Genovision製)の溶液40μlに加えて、室温にて15分間反応させた。これによって、増幅された遺伝子断片および、ビオチン標識オリゴヌクレオチドがアビジン結合磁性粒子に捕捉される。次に、磁性粒子を磁石で分離し、未反応蛍光標識オリゴヌクレオチドが含まれる上清を7.5mM NaOH 100μlと混和する。室温で10分間放置後に暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社)で蛍光強度量を測定した。所要時間は約0.5時間であった。得られた蛍光強度量から、以下の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。
FL(試料の蛍光強度)=FLb-FLs
FLb:Negative Control (試料が未添加)の蛍光強度
FLs:各試料の蛍光強度

40歳以上の日本人女性であって、BMI(ボディマスインデックス)が25以上のヒト72人から採取された遺伝子について、上記実施例4〜9のようにして遺伝子多型を検出した。
【0060】
また、安静時代謝率、体重、ボディマスインデックス(BMI:体重(kg)を身長(cm)の2乗で徐した値)、△(kg)を測定した。結果を以下の表2にまとめて示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2中、RMRは以下の式で表される安静時代謝率である
安静時代謝率
=(〔全運動代謝量〕−〔基礎代謝量〕×1.2)/基礎代謝量
また表2中、BW(kg)は体重を示し、BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で徐した値であり、肥満度を示す。△(kg)は、体重の変化量を示す。
【0063】
表2から分かるように、各遺伝子の特定部位の変異により安静時代謝率に有意な変化が認められ、これらの遺伝子多型により肥満体質であるか否かについて信頼性のある検査を行えることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)又は(2)のポリヌクレオチド。
(1) ヒトFABP(Fatty Acid Binding Protein)2遺伝子又はその変異体の163番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、163番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(2) (1)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号1の塩基番号163のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
以下の(ア)〜(ウ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(ア) 163番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトFABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドと相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(イ) 163番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトFABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドと相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ウ) 野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(ア)及び(イ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
以下の(a)〜(c)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(a) 163番目の遺伝子多型部位がGであるヒト野生型FABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的でありその3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(b) 163番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトFABP2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(c) 野生型及び変異型ヒトFABP2遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(a)及び(b)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
ヒトFABP2遺伝子の163番目における塩基置換を検出するヒトFABP2遺伝子多型の検出方法。
【請求項6】
ヒトFABP2遺伝子の163番目におけるGからAへの塩基置換を検出する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
以下の(3)又は(4)のポリヌクレオチド。
(3) ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその変異体の803番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、803番目の遺伝子多型部位がCであるポリヌクレオチド。
(4) (3)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号2の塩基番号803のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
以下の(エ)〜(カ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(エ) 803番目の遺伝子多型部位がTである野性型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(オ) 803番目の遺伝子多型部位がCである変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(カ) 野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(エ)及び(オ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
以下の(d)〜(f)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(d) 803番目の遺伝子多型部位がTであるヒト野生型アンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的でありその3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(e) 803番目の遺伝子多型部位がCである変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(f) 野生型及び変異型ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(d)及び(f)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目における塩基置換を検出するヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子多型の検出方法。
【請求項12】
ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目におけるTからCへの塩基置換を検出する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
以下の(5)又は(6)のポリヌクレオチド。
(5) ヒトKIR(inwardly rectifying potassium channel)6.2遺伝子又はその変異体の67番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、67番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(6) (5)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号3の塩基番号67のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項13に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
以下の(キ)〜(ケ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(キ) 67番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトKIR6.2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(ク)67番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトKIR6.2遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ケ) 野生型及び変異型ヒトKIR6.2遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(キ)及び(ク)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
ヒトKIR6.2遺伝子の67番目における塩基置換を検出するヒトKIR6.2遺伝子多型の検出方法。
【請求項17】
ヒトKIR6.2遺伝子の67番目におけるGからAへの塩基置換を検出する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
以下の(7)又は(8)のポリヌクレオチド。
(7) ヒトRAGE(Receptor for Advanced Glycation End products)遺伝子又はその変異体の8368番目のP2ヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、8368番目の遺伝子多型部位がTであるポリヌクレオチド。
(8) (7)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号4の塩基番号8368のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項18に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
以下の(コ)〜(シ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(コ) 8368番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトRAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(サ) 8368番目の遺伝子多型部位がTである変異型ヒトRAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(シ) 野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(コ)及び(サ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるか、又はそれに相補的であるオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
以下の(g)〜(i)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(g) 8368番目の遺伝子多型部位がGであるヒト野生型RAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的でありその3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(h) 8368番目の遺伝子多型部位がTである変異型ヒトRAGE遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(i) 野生型及び変異型ヒトRAGE遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(g)及び(h)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
ヒトRAGE遺伝子の8368番目における塩基置換を検出するヒトRAGE遺伝子多型の検出方法。
【請求項23】
ヒトRAGE遺伝子の8368番目におけるGからTへの塩基置換を検出する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
以下の(9)又は(10)のポリヌクレオチド。
(9) PPAR(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)γ遺伝子又はその変異体の34番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、34番目の遺伝子多型部位がGであるポリヌクレオチド。
(10) (9)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号5の塩基番号34のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項24に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
以下の(ス)〜(ソ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(ス) 34番目の遺伝子多型部位がCである野性型ヒトPPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(セ) 34番目の遺伝子多型部位がGである変異型ヒトPPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ソ) 野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(ス)及び(セ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
以下の(j)〜(l)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(j) 34番目の遺伝子多型部位がCであるヒト野生型PPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(k) 34番目の遺伝子多型部位がGである変異型ヒトPPARγ遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子のいずれとも相補的でないオリゴヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(l) 野生型及び変異型ヒトPPARγ遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(j)及び(k)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
ヒトPPARγ遺伝子の34番目における塩基置換を検出するヒトPPARγ遺伝子多型の検出方法。
【請求項29】
ヒトPPARγ遺伝子の34番目におけるCからGへの塩基置換を検出する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
以下の(11)又は(12)のポリヌクレオチド。
(11) ヒトSUR(Sulfonylurea Receptor)1遺伝子又はその変異体のエクソン31の1273番目のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるポリヌクレオチドであって、1273番目の遺伝子多型部位がAであるポリヌクレオチド。
(12) (11)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項31】
配列番号6の塩基番号3819のヌクレオチドを含む20〜300塩基からなるか、又はそれに相補的である請求項30に記載のポリヌクレオチド。
【請求項32】
以下の(タ)〜(ツ)を備える遺伝子多型検出用オリゴヌクレオチドセット。
(タ) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がGである野性型ヒトSUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(チ) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がAである変異型ヒトSUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応するヌクレオチドが該多型部位のヌクレオチドに相補的である変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(ツ) 野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(タ)及び(チ)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項33】
以下の(m)〜(o)を含む遺伝子多型検出用プライマーセット。
(m) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がGであるヒト野生型SUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する野生型検出用オリゴヌクレオチド。
(n) エクソン31の1273番目の遺伝子多型部位がAであるヒト変異型SUR1遺伝子又はその相補鎖の当該多型部位を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズできる20〜30塩基のオリゴヌクレオチドであって、遺伝子多型部位に対応する塩基が該多型部位のヌクレオチドに相補的であり、その3'末端から1〜2番目に存在し、それに隣接する上流1〜2塩基の領域に野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子のいずれとも相補的でないヌクレオチドを有する変異型検出用オリゴヌクレオチド。
(o) 野生型及び変異型ヒトSUR1遺伝子の双方にハイブリダイズでき、核酸増幅において(m)及び(n)とそれぞれ対にして用いることができる20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項34】
ヒトSUR1遺伝子エクソン31の1273番目における塩基置換を検出するヒトSUR1遺伝子多型の検出方法。
【請求項35】
ヒトSUR1遺伝子エクソン31の1273番目におけるGからAへの塩基置換を検出する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ヒト遺伝子について以下の(i)〜(ix)の遺伝子多型の4以上を検出する工程と、肥満体質であるか否かを判定する工程とを含む肥満体質の検査方法。
(i) ヒトFABP2遺伝子の163番目における塩基置換
(ii) ヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子の803番目における塩基置換
(iii) ヒトKIR6.2遺伝子の67番目における塩基置換
(iv) ヒトRAGE遺伝子の8368番目における塩基置換
(v) ヒトPPARγ遺伝子の34番目における塩基置換
(vi) ヒトSUR1遺伝子のエクソン31の1273番目における塩基置換
(vii) ヒトβ3−アドレナリン受容体遺伝子における190番目における塩基置換
(viii) ヒトUCP(Uncoupling Protein)1遺伝子の開始コドンから上流3826番目(−3862番目)における塩基置換
(ix) ヒトβ2−アドレナリン受容体遺伝子における46番目における塩基置換


【公開番号】特開2006−67866(P2006−67866A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253810(P2004−253810)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(500002928)
【出願人】(594162076)株式会社東洋紡ジーンアナリシス (4)
【Fターム(参考)】