説明

育毛用化粧料

【課題】優れた育毛効果を発揮する育毛用化粧料を提供すること。
【解決手段】毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来の構成成分である特定のアミノ酸を配合したことを特徴とする育毛用化粧料。
【効果】分離培養したヒト毛母細胞に対し、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物処理細胞における有意な細胞賦活作用が認められた。また、ヒト毛髪成長に対する作用を調べた結果、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物を配合した育毛剤を連用塗布することにより、有意な毛髪成長速度の増加が観察された。また実際の化粧料処方で調製した育毛用化粧料については、一ヶ月間連用で実使用テストを行った結果、優れた育毛効果を発揮する事が確認された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質の保存領域を構成する複数のアミノ酸を配合したことを特徴とする育毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抜け毛を予防または抑制して、頭髪の成長や発毛を促す育毛効果のある成分が探索され、例えば、センブリエキス、ビタミンEアセテート、ミノキシジール等の血管拡張剤、唐辛子チンキ等の刺激剤、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、ホルモン剤、抗炎症剤、殺菌剤等が使用されてきた。
【0003】
一方、毛髪の主成分であるケラチンは下表の20種類のアミノ酸を含んでいる。これらのアミノ酸が不足すると、毛根の栄養欠乏を招き、これが脱毛の原因となることが指摘されている。

【0004】
アミノ酸を配合した育毛剤の例も数多く見られる。しかし、多くの特許の場合、アミノ酸を育毛効果のある成分としてではなく保湿剤として用いているのが一般的である。其の中でも、アミノ酸と高級脂肪酸、高級アルコール、附子、N−アシルアミノ酸、茶エキス、タンニン、大豆サポニン、トウガラシ、柑橘類等の成分と併用した例が報告されている。(特許文献1〜7参照)
【0005】
有効成分としてシステイン、グルタミン酸、アルギニンの3種類を必須とするアミノ酸のアルキルエステル若しくはエステルの塩から構成される育毛剤の例としては一報の報告が知られている。(特許文献8参照)
【0006】
更に、9種類のアミノ酸を混合物として配合した化粧料の例(特許文献9参照)はあるが、アミノ酸を保湿剤として配合したものである。
【特許文献1】特開平5−286834号公報
【特許文献2】特開平6−227949号公報
【特許文献3】特開平7−132064号公報
【特許文献4】特開平9−175945号公報
【特許文献5】特開平10−059829号公報
【特許文献6】特開平11−363035号公報
【特許文献7】特開2004−143129号公報
【特許文献8】特開2002−363035号公報
【特許文献9】特開平9−87126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
優れた育毛効果を発揮する育毛用化粧料を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来の構成アミノ酸群が、ヒト毛髪に対して育毛作用を有する知見に基づいて毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来の構成成分である複数のアミノ酸を配合したところ意外にも育毛効果のあることが見出された。
【発明の効果】
【0009】
分離培養したヒト毛母細胞に対する毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物の細胞賦活作用を調べた結果、未処理細胞と比較して、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物処理細胞における有意な細胞賦活作用が認められた。また、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合製剤のヒト毛髪成長に対する作用を調べた結果、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物を連用塗布することにより、有意な毛髪成長速度の増加が観察された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、毛髪構造因子由来のペプチドを育毛効果のある成分とし、且つ育毛作用が観察されるアミノ酸至適組成を慶應大学と共同研究して同定し、ポリペプチドを、high sulfur type、high glycine/tyrosine typeおよびhigh glycine/cysteine/serine typeの3群に大別した。内容は以下の表の通りであった。

【0011】
これら3群には、それぞれ高度に保存されたアミノ酸配列が繰り返し出現し、それら保存されたアミノ酸配列から成るデザインペプチドの生理活性を調査したところ、これまでケラチン付随タンパク質の機能は明らかではなかったが、ケラチン付随タンパク質中に存在する保存配列由来のペプチドがマウス体毛に対して、体毛成長速度を増加させる成長促進作用があることを見出し、その成果が(「特願2001−348050」、発明の名称「新規毛髪ケラチン付随タンパク質」と「特願2003−393014」、発明の名称「細胞賦活剤、育毛剤、及び発毛促進剤」)である。
【0012】
しかしながら、ヒトに対する育毛剤への応用にあたって、ペプチドの状態ではコストの面において汎用性がないし、分子量が大きすぎて経皮内への浸透において改良の余地があった。このデザインペプチドを構成しているアミノ酸配列と同等の組成比にてアミノ酸混合物を調製し、ヒト頭髪の毛髪成長に対する作用を研究した。
【0013】
即ち、デザインペプチドを構成している3群において、high sulfur typeを参考にしたアミノ酸混合物については、セリン、システイン、アラニン、バリン、リジン、アルギニン、グルタミン、プロリンのモル比を7:11:1:1:1:1:4:4の割合でアミノ酸混合物を調製し、high glycine/tyrosine typeを参考にしたアミノ酸混合物については、グリシン、チロシン、システインのモル比を8:5:2の割合でアミノ酸混合物を調製し、high glycine/cysteine/serine typeを参考にしたアミノ酸混合物についてはグリシン、セリン、システイン、リジンのモル比を16:7:6:1の割合でアミノ酸混合物を調製した。
【0014】
3種のタイプ、すなわちhigh sulfur type、high glycine/tyrosine typeおよびhigh glycine/cysteine/serine typeのアミノ酸混合物の育毛用化粧料への配合量は0.0001〜20重量%である。より好ましくは0.001〜10重量%である。
【0015】
上記成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で育毛用化粧料に用いられる成分、例えば、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、酸化防止剤、溶媒、香料、防腐剤等を配合することができる。
具体例を以下に示す。
【0016】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12−18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリブ油、カカオ脂、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等が挙げられる。
【0017】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2−エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0018】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0019】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2−エチルヘキシル−1−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0020】
(5)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシルイセチオン酸塩、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、脂肪酸アミドジアルキルアミン等の第3級アミン及びその塩も挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
(6)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0022】
(7)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白、抗炎症、老化防止、紫外線防御、スリミング、ひきしめ、抗酸化、発毛・育毛、保湿、血行促進、抗菌・殺菌、冷感・温感、創傷治癒促進、刺激緩和、鎮痛、細胞賦活等の効果を有する成分であり、植物エキス、海藻エキス、ビタミン及びその誘導体、アミノ酸、ペプチド、ムコ多糖等の生体高分子、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イソフラボン、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、カカオエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カボチャ種子エキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クランベリーエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、大豆発酵エキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、月見草エキス、ツボクサエキス、テルミナリアエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、バナナ花エキス、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、ライチ(レイシ)エキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0023】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、本発明に使用される以外のアミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシン、リシン・アルギニン縮合物などのポリペプチドなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン、ティーツリー油等の抗炎症剤、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB6及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンD及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L−メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0024】
(8)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0025】
(9)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン等が挙げられる。
本発明の育毛用化粧料の応用例としては、例えばヘアクリーム、ローション、ヘアエッセンス、シャンプー、リンス、ヘアスプレータイプの頭髪化粧料等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤の剤型としては、二層状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、ジェル状、スプレー、ムース状、油性など従来公知の剤型を使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の技術範囲がこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
(1)評価方法及び評価基準
試験例1.毛母細胞の賦活作用試験
【0027】
1−1.試験の概要
分離培養したヒト毛母細胞に対する、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物の賦活作用を評価する。
【0028】
1−2.実験方法
ヒト抜去毛より分離培養した毛母細胞を5%仔牛血清(FBS)含有ダルベッコ変法MEM(DMEM/5)を用いて96穴マイクロプレートにほぼコンフルエントになるように播種した。播種24時間後に所定の濃度のアミノ酸混合物を含有した1%FBS含有DMEM(DMEM/1)と交換した。試料含有DMEM/1を用いて48時間培養したのち、0.4mg/mLのMTTを含有するDMEM/1に交換し、2時間培養した。培地を除去したのち、2−プロパノールを添加して溶解した細胞溶解液の550nmでの吸光度を測定することによりMTT還元量を求めた。
MTT還元量は試料を無添加培養細胞(コントロール)の吸光度を100とした百分率、賦活作用(%)で表した。
【0029】
1−3.結果
表1の結果より、未処理細胞と比較して、アミノ酸混合物処理細胞における有意な細胞賦活作用が認められた。
【0030】
【表1】

試験例2.毛乳頭細胞の賦活作用試験
【0031】
2−1.試験の概要
ヒト毛乳頭細胞に対する、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物の賦活作用を評価する。
【0032】
2−2.実験方法
毛乳頭細胞を5%仔牛血清(FBS)含有ダルベッコ変法MEM(DMEM/5)を用いて96穴マイクロプレートにほぼコンフルエントになるように播種した。播種24時間後に所定の濃度のアミノ酸混合物を含有した1%FBS含有DMEM(DMEM/1)と交換した。試料含有DMEM/1を用いて48時間培養したのち、0.4mg/mLのMTTを含有するDMEM/1に交換し、2時間培養した。培地を除去したのち、2−プロパノールを添加して溶解した細胞溶解液の550nmでの吸光度を測定することによりMTT還元量を求めた。
MTT還元量は試料を無添加培養細胞(コントロール)の吸光度を100とした百分率、賦活作用(%)で表した。
【0033】
2−3.結果
表2の結果より、未処理細胞と比較して、アミノ酸混合物処理細胞における有意な細胞賦活作用が認められた。
【0034】
【表2】

毛髪は主として毛母細胞および毛乳頭細胞より構成されており、これら2つの細胞の賦活化は、毛髪のサイクル、特に成長に対して作用することがわかる。
試験例3.ヒト育毛試験
【0035】
3−1.試験の概要
毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合製剤のヒト毛髪成長に対する作用を評価する。
【0036】
3−2.実験方法
パネルの側頭部(なるべく頭頂部に近い位置)に約1cm × 1cmの枠を作成し、マイクロスコープにて刈り毛部位の画像を取り込み、3日後に同一部位を再度マイクロスコープにて取り込んだ。同一毛を対象として、3日間で成長した部分の毛髪長を計測し、1日当りの毛髪成長速度を算出した(単位;mm/日)。1ヶ月間試料を塗布し、再度上述の手順にて成長した毛髪の成長速度を算出した。試料使用前および使用後における毛髪成長速度を比較することにより、試料の作用を評価した。
【0037】
3−3.結果
表3の結果より、毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質由来アミノ酸混合物を連用塗布したB、C、Dは有意な毛髪成長速度の増加が観察された。一方、比較例のAでは、有意な毛髪成長速度の増加が観察されなかった。
【0038】
【表3】

毛髪成長速度に対するアミノ酸混合物の作用(n=4)
A 50% エタノール水溶液
B High sulfur typeのアミノ酸混合物
C High tyrosine/glycine typeのアミノ酸混合物
D High glycine/serine/cysteine typeのアミノ酸混合物
(*B、C、Dはアミノ酸濃度が300mMの50% エタノール水溶液である。)
【0039】
この様に、先行技術の特開2002−363035は3種類のアミノ酸エステル、すなわち、システイン、アルギニン、グルタミン酸のエステルを必須アミノ酸としているが、High sulfur typeのアミノ酸組成は、グルタミン酸が存在しなくても毛髪成長速度が早まることが証明された。
次に実際の育毛用化粧料の応用例を実施例2〜5に挙げる。但し、これら実施例だけに限定されるものでは無い。なお配合量は質量%で示す。
【0040】
実施例2.ローション
エチルアルコール 60.0%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO60) 0.5
酢酸dl−α−トコフェロール 0.1
β−グリチルレチン酸 0.1
1,3―ブチレングリコール 3.0
High tyrosine/glycine typeの
アミノ酸混合物 0.01
精製水 全量100
【0041】
実施例3.透明シャンプー
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液 40.0%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液 15.0
POE(5)ラウリルエーテル 2.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
エデト酸二ナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.2
High glycine/serine/cysteine typeの
アミノ酸混合物 0.1
精製水 全量100
【0042】
実施例4.ヘアクリーム
モノステアリン酸ソルビタン 2.0%
POE(15)セチルエーテル 2.0
テトラオレイン酸POE(30)ソルビット 1.0
セタノール 0.7
ステアリルアルコール 1.0
パルミチン酸セチル 2.0
ヘキサメチルテトラコサン 5.0
ホホバ油 5.0
流動パラフィン 25.0
ブチルパラベン 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
High sulfur type由来アミノ酸コンプレックス 8.0
精製水 全量100
【0043】
実施例5.クリームリンス
モノステアリン酸グリセリル 1.0%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム溶液 4.0
セタノール 2.5
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
プロピルパラベン 0.05
メチルパラベン 0.2
High glycine/serine/cysteine typeの
アミノ酸混合物 2.0
精製水 全量100
上記、2〜5の育毛用化粧料を通常の方法で調製した。
【0044】
実施例2〜5の育毛用化粧料はいずれも安定性が良好で、、試験例3のヒト育毛試験の評価と同様の方法で各育毛用化粧料に対しそれぞれ男性パネル10名ずつで一ヶ月間連用する実使用テストを行った。毎日、朝晩2回、毛髪に適量を使用してもらい、一ヶ月後の使用前および使用後における毛髪の状態を目視で観察し、毛髪成長速度を比較により評価を行ったところ、いずれも優れた育毛効果を発揮している事が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0045】
優れた育毛効果を発揮する育毛用化粧料を提供することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質の保存領域を構成する複数のアミノ酸を配合したことを特徴とする育毛用化粧料。
【請求項2】
毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質の保存領域を構成する複数のアミノ酸が、セリン、システイン、アラニン、バリン、リジン、アルギニン、グルタミン、プロリンの8種類を必須成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の育毛用化粧料。
【請求項3】
毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質の保存領域を構成する複数のアミノ酸が、グリシン、チロシン、システインの3種類を必須成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の育毛用化粧料。
【請求項4】
毛髪構造因子であるケラチン付随タンパク質の保存領域を構成する複数のアミノ酸が、グリシン、セリン、システイン、リジンの4種類を必須成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の育毛用化粧料。

【公開番号】特開2006−206528(P2006−206528A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22335(P2005−22335)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】