育苗箱搬送装置及び温湯加温・冷却設備及び栽培施設
【課題】 本発明は、育苗箱搬送装置において、播種機側コンベヤ、早送りコンベヤ又は育苗箱の底面の摩耗を抑えると共に、育苗箱への衝撃を抑え、育苗箱内で培土や種子が偏るのを防止することを課題とする。
【解決手段】 播種設備上で育苗箱を駆動搬送する播種機側コンベヤ（１０３）と、該播種機側コンベヤ（１０３）に続いて育苗箱を非駆動で搬送するフリーコンベヤ（１４８）と、該フリーコンベヤ（１４８）に続いて前記播種機側コンベヤ（１０３）の搬送速度よりも高速で育苗箱を駆動搬送する早送りコンベヤ（１４７）を設け、前記フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱の搬送方向の長さよりも短く設定した育苗箱搬送装置とした。
【解決手段】 播種設備上で育苗箱を駆動搬送する播種機側コンベヤ（１０３）と、該播種機側コンベヤ（１０３）に続いて育苗箱を非駆動で搬送するフリーコンベヤ（１４８）と、該フリーコンベヤ（１４８）に続いて前記播種機側コンベヤ（１０３）の搬送速度よりも高速で育苗箱を駆動搬送する早送りコンベヤ（１４７）を設け、前記フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱の搬送方向の長さよりも短く設定した育苗箱搬送装置とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、育苗箱搬送装置及び温湯加温・冷却設備及び栽培施設に関する。
【背景技術】
【０００２】
播種設備上で播種した育苗箱を段積するために、播種機側コンベヤにより連続的に駆動搬送される育苗箱を、早送りコンベヤにより前記播種機側コンベヤの搬送速度よりも高速で駆動搬送し、連続する育苗箱同士の間隔を空けて搬送する育苗箱搬送装置が知られている。互いの間隔を空けて搬送される各々の育苗箱は、段積装置のリフト機構により１枚ずつ上昇する（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
また、温湯を貯留する温湯槽と、冷却水を貯留する冷却槽と、温湯槽内において種子を複数の種子バケット内に収容して冷却槽側へ順次移送した後、種子を冷却槽の冷却バケットへ順次供給する温湯用移送装置と、冷却槽において種子を前記冷却バケットにより排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設けた温湯加温・冷却設備が知られている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００４】
また、複数の栽培ベッドを設け、該栽培ベッド毎に複数株の植物を栽培する栽培施設において、複数の栽培ベッドを列状に配置して栽培条を形成し、任意の栽培条間に通路を設け、複数の肥料の種類に対応して該肥料を貯留する複数の肥料タンクと、該複数の肥料タンクから各々の肥料を任意の割合で調合して養液収容容器へ供給する養液調合装置を設け、該養液調合装置で肥料を調合した養液を、養液供給管により複数の栽培ベッドの各植物の株元位置へ供給する構成とした栽培施設が知られている（例えば、特許文献３参照。）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平８−１９８４３８号公報
【特許文献２】特開２０１０−４１９５２号公報
【特許文献３】特開２００４−５７１５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
育苗箱搬送装置において、播種機側コンベヤと早送りコンベヤが連ねて設けられているため、播種機側コンベヤと早送りコンベヤの両方に跨る育苗箱の底面には、播種機側コンベヤと早送りコンベヤの搬送速度の差により多大な摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗により、播種機側コンベヤ、早送りコンベヤ又は育苗箱の底面が摩耗し易くなり、また播種機側コンベヤから早送りコンベヤへ乗り継ぐ育苗箱に衝撃が伝わり、育苗箱内で培土や種子が偏ってしまうおそれがある。
【０００７】
また、温湯加温・冷却設備において、温湯槽内の温湯の温度変化により、種子バケットにより種子を所望の時間浸漬しても、温湯の温度と浸漬時間を乗じて得られる積算時間が異なり、あるいは設備の故障等により、種子バケット内の種子を長時間浸漬してしまうと、前記積算時間が異なってしまい、所望の積算時間で加温できないおそれがある。
【０００８】
また、栽培施設内において、局部的な日射量の相違や病害の発生等により、局部的に植物の栽培状況が異なることがある。
本発明は、育苗箱搬送装置において、播種機側コンベヤ、早送りコンベヤ又は育苗箱の底面の摩耗を抑えると共に、育苗箱への衝撃を抑え、育苗箱内で培土や種子が偏るのを防止することを課題とする。
【０００９】
また、温湯加温・冷却設備において、所望の温度及び積算時間で適正に種子を加温することを課題とする。
また、栽培施設内において、植物の栽培状況の局部的な相違に対応して適切に養液を供給できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項１に係る発明は、播種設備（１０２）上で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する播種機側コンベヤ（１０３）と、該播種機側コンベヤ（１０３）に続いて育苗箱（Ｃ）を非駆動で搬送するフリーコンベヤ（１４８）と、該フリーコンベヤ（１４８）に続いて前記播種機側コンベヤ（１０３）の搬送速度よりも高速で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する早送りコンベヤ（１４７）を設け、前記フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さよりも短く設定した育苗箱搬送装置とした。
【００１１】
また、請求項２に係る発明は、フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定した請求項１に記載の育苗箱搬送装置とした。
【００１２】
また、請求項３に係る発明は、自由回転する複数の搬送ローラ（１４８ａ）を搬送方向に配列してフリーコンベヤ（１４８）を構成し、フリーコンベア（１４８）上に、育苗箱（Ｃ）の外側面に付着する土を落とす土除去具（１４９）を設けた請求項１又は請求項２に記載の育苗箱搬送装置とした。
【００１３】
また、請求項４に係る発明は、搬送方向における互いの搬送ローラ（１４８ａ）の間に土除去具（１４９）を配置し、該土除去具（１４９）を前記搬送方向に複数個配列した請求項３に記載の育苗箱搬送装置とした。
【００１４】
また、請求項５に係る発明は、温湯を貯留する温湯槽（１）と、冷却水を貯留する冷却槽（１０）と、温湯槽（１）内において種子を複数の種子バケット（２）内に収容して冷却槽（１０）側へ順次移送した後、種子を冷却槽（１０）へ順次供給する温湯用移送装置（３）と、冷却槽（１０）において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、種子バケット（２）に温度センサ（１８９）と情報送信機（１９０）を設け、該温度センサ（１８９）の検出に基づき情報送信機（１９０）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、種子バケット（２）の温湯槽（１）への浸漬時間を管理する構成とした温湯加温・冷却設備とした。
【００１５】
また、請求項６に係る発明は、複数の栽培ベッド（１５１）を設け、該栽培ベッド（１５１）毎に複数株の植物を栽培する栽培施設において、養液を収容する養液収容容器（１５９）と、該養液収容容器（１５９）を装填する容器装填部材（１５８）と、該容器装填部材（１５８）に装填された養液収容容器（１５９）内の養液を各植物の株元位置へ供給する養液供給管（１６０）を、栽培ベッド（１５１）毎に設けた栽培施設とした。
【００１６】
また、請求項７に係る発明は、複数の栽培ベッド（１５１）を列状に配置して栽培条（１５２）を形成し、任意の栽培条間に通路（１５３）を設け、栽培ベッド（１５１）の両側に設けた支脚（１５７）により、容器装填部材（１５８）を栽培ベッド（１５１）の植物株がない部分の上方で支持する構成とした請求項６に記載の栽培施設とした。
【００１７】
また、請求項８に係る発明は、養液収容容器（１５９）の養液供給に関する情報を検出する検出器（１６１）と、該検出器（１６１）で検出した情報を送信する養液用の情報送信機（１６３）を、各々の養液収容容器（１５９）毎に設け、養液用の情報送信機（１６３）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、各々の栽培ベッド（１５１）毎の養液供給に関する情報を管理する構成とした請求項６又は請求項７に記載の栽培施設とした。
【００１８】
また、請求項９に係る発明は、肥料を貯留する肥料タンク（１６６）と、該肥料タンク（１６６）から肥料を任意の割合で調合して養液収容容器（１５９）へ供給する養液調合装置（１６８）と、栽培ベッド（１５１）で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置（１６５）と、該状況検出装置（１６５）の検出に基づいて肥料の調合割合を変更するべく養液調合装置（１６８）を制御する制御装置（１６２）を設けた請求項６から請求項８の何れか１項に記載の栽培施設とした。
【発明の効果】
【００１９】
請求項１の発明によると、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８の間に跨るときは、播種機側コンベヤ１０３の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、搬送による摩擦抵抗は極めて小さく、円滑に育苗箱Ｃを搬送できる。その後、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨り、播種機側コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の駆動力により育苗箱Ｃが搬送されるが、育苗箱Ｃはフリーコンベヤ１４８の全長で受けられ、搬送による摩擦抵抗は比較的小さくなる。それから、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３から離れてフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨ると、早送りコンベヤ１４７の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、搬送による摩擦抵抗は極めて小さくなる。よって、播種機側コンベヤ１０３から早送りコンベヤ１４７への育苗箱Ｃの搬送において、フリーコンベヤ１４８の介在により搬送による摩擦抵抗を極力小さくしながら、育苗箱Ｃは播種機側コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の少なくとも一方の駆動力で搬送されるから、育苗箱Ｃを円滑に搬送でき、播種機側コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗を抑えると共に、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃を抑え、育苗箱Ｃ内で培土や種子が偏るのを防止することができる。
【００２０】
請求項２の発明によると、請求項１の発明の効果に加えて、フリーコンベヤ１４８の長さを、育苗箱Ｃの搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定したので、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨るときでも、駆動する播種機側コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７が、育苗箱Ｃの底面の搬送方向の長さの半分程度（５分の２以上５分の３以下程度）に接触して育苗箱Ｃを搬送できるため、更なる育苗箱Ｃの円滑搬送、播種機側コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗の抑制、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃の抑制、育苗箱Ｃ内での培土や種子の偏り防止が図れる。
【００２１】
請求項３の発明によると、請求項１又は請求項２の発明の効果に加えて、土除去具１４９によりフリーコンベア１４８上で育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とすので、土除去具１４９による育苗箱Ｃの搬送抵抗で育苗箱Ｃの外側面が摩耗しにくくなると共に、育苗箱Ｃが外側面に付着する土を落とした状態で早送りコンベヤ１４７へ供給され、育苗箱Ｃが外側面に付着した土が早送りコンベヤ１４７の側方ガイド１４７ｂに接触して搬送抵抗となるのを防止でき、また以降の段積装置１１０のリフト機構により育苗箱Ｃを適正に上昇させることができ、育苗箱Ｃの段積を適正に行える。
【００２２】
請求項４の発明によると、請求項３の発明の効果に加えて、互いの搬送ローラ１４８ａの間に土除去具１４９を配置したので、土除去具１４９により除去した土を搬送ローラ１４８ａの間を介して下方に排出でき、フリーコンベヤ１４８上に土が残ることで搬送が円滑に行われなくなるようなことを防止できる。また、土除去具１４９を複数個配列することにより、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を徐々に且つ確実に除去でき、土除去具１４９が育苗箱Ｃの搬送抵抗となるのを極力抑えることができる。
【００２３】
請求項５の発明によると、各々の種子バケット２において、温湯の温度と温湯に浸漬された浸漬時間を管理でき、積算時間を判断できるので、温湯槽１内の温湯の温度変化や設備の故障等があっても、所望の温度及び積算時間で適正に種子を加温することができ、種子の加温不足や加温過多を防止でき、種子に障害を与えることを防止しながら種子の消毒を適正に行える。
【００２４】
請求項６の発明によると、養液収容容器１５９、容器装填部材１５８及び養液供給管１６０からなる養液供給ユニットが栽培ベッド１５１毎に設けられるので、従来の養液供給装置のように栽培施設全体に養液供給のための配管を張り巡らせる必要がなく、前記配管の削減によりコストダウン及び該配管の詰まり防止等のメンテナンスが図れ、従来のような養液供給装置の故障等により栽培施設全体に支障が発生することを防止し、日射量の相違や病害の発生等による栽培ベッド１５１毎の植物の栽培状況の相違に対応して、適切に養液を供給できる。
【００２５】
請求項７の発明によると、請求項６の発明の効果に加えて、容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１の植物株がない部分の上方で支持するので、容器装填部材１５８及び養液収容容器１５９を植物の邪魔にならない位置で且つ通路１５３上でない位置に配置でき、作業者が通路１５３から栽培ベッド１５１の植物への栽培管理作業を容易に行うことができる。
【００２６】
請求項８の発明によると、請求項６又は請求項７の発明の効果に加えて、栽培ベッド１５１毎の給液量や給液時間や給液の有無等の養液供給に関する情報を管理でき、例えば、給液量が多いと植物が良好に栽培されていると判断し、給液量が少ないと植物に病害が発生していると判断し、給液が行われていないと植物が萎れていると判断する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況を素早く判断でき、この判断に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【００２７】
請求項９の発明によると、請求項６から請求項８の何れか１項の発明の効果に加えて、状況検出装置１６５の検出に基づいて肥料の調合割合を変更して養液収容容器１５９内に養液を充填するので、例えば、植物の萎れが多い場合はその栽培ベッド１５１への給液量を増やすべく養液収容容器１５９を早めに作成したり養液収容容器１５９内に多量の養液を充填したりし、植物の成育が旺盛過ぎる場合は養液の肥料濃度が低くなるよう又は養液の窒素成分が少なくなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成し、逆に植物の成育が促進されない場合は養液の肥料濃度が高くなるよう又は養液の窒素成分が多くなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】播種施設のレイアウト図
【図２】播種設備の全体側面図
【図３】段積設備の平面図
【図４】段積設備の側面図
【図５】段積設備の正面図
【図６】偏心カム及び支持板を示す図（Ａ：正面図、Ｂ：側面図）
【図７】積付アームに複数回に分けて積付ける状態を判りやすく示す斜視図
【図８】育苗箱を出芽台車に載置する状態を示す斜視図（Ａ：奥側の載置位置への供給形態、Ｂ：手前側の載置位置への供給形態）
【図９】育苗箱搬送装置の一部を示す平面図
【図１０】育苗箱搬送装置の一部を示す側面図
【図１１】栽培施設を判りやすく示す平面図
【図１２】養液供給システムを判りやすく示す図
【図１３】栽培ベッド及び冷却配管を示す正面断面図
【図１４】栽培ベッド、パッド及び暖房ダクトを示す正面図
【図１５】一部省略した栽培株除去機を示す正面図
【図１６】栽培株除去機を示す側面図
【図１７】温湯消毒設備の一部を示す平面図
【図１８】温湯消毒設備の一部を示す側面図
【図１９】移送装置及び下降装置の一部を示す側面図
【図２０】上昇装置の一部を示す側面図
【図２１】上昇装置の一部及び戻り装置の一部を示す側面図
【図２２】種子袋供給位置を示す側面図
【図２３】反転カム及びガイド板を示す側面図
【図２４】冷却槽を示す断面側面図
【図２５】冷却槽を示す平面図
【図２６】温湯及び冷却水の供給経路を示す図
【図２７】乾燥・出荷工程の工程図
【図２８】乾燥装置の内部を説明する側面図
【図２９】種子バケットを示す平面図
【図３０】種子バケットを示す側面図
【図３１】種子バケットを示す正面図
【図３２】ブロック図
【発明を実施するための形態】
【００２９】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図１は、播種施設の平面レイアウト図である。この播種育苗施設は、２階が育苗箱置場となっており、その育苗箱置場の育苗箱Ｃが育苗箱供給装置１０１によって１階に設置した播種設備１０２に１枚ずつ順次供給される。播種設備１０２は図２に示す構成で、育苗箱Ｃを一定方向に搬送する播種機側コンベヤとなる育苗箱搬送コンベヤ１０３に沿って、育苗箱に床土を入れて鎮圧・均平する床土供給装置１０４、水稲用の灌水装置１０５、床土の上に種籾を播種する播種装置１０６、覆土を施す覆土供給装置１０７、野菜用の灌水装置１０８が設けられている。尚、床土供給装置１０４の育苗箱搬送下手側部分には、育苗箱に供給された床土を均平する均平部１０９を備えている。尚、野菜の種子を播種するときには、野菜用の灌水装置１０８を作動させ、覆土供給装置１０７により覆土した後に灌水するようになっている。播種設備１０２によって播種等を施された育苗箱は、段積設備１１０によってパレット又は出芽台車１１１の上に所定段数ずつ段積みされる。そして、段積みされた育苗箱を出芽室１１２に搬入して出芽させる。出芽室１１２で出芽させた段積状の育苗箱は育苗箱積替装置１１３で緑化台車１４６に棚積みされ、該緑化台車１４６ごと温度管理された緑化室２００へ搬入して所定の大きさに苗が成育するまで育苗する。尚、前記出芽室１１２及び緑化室２００は、それぞれ３室設けられている。
【００３０】
播種設備１０２の播種装置１０６の貯留する種籾の減少に伴って、種籾コンテナ１１４から自動的に該播種装置１０６へ種籾を供給する種籾供給コンベア１１５を設けている。この播種育苗施設には浸種水槽１１６を複数個（５個）設けており、水を張った該浸種水槽１１６内へ種籾を収容した状態の種籾コンテナ１１４を沈めて浸種して種子の芽出しを促進した後、その種子を播種装置１０６へ供給するようになっている。浸種水槽１１６へ供給される水は電気分解により生成される電解水（消毒液）であり、この浸種行程において種子の消毒も行う。従って、浸種水槽１１６は、浸種設備並びに種子消毒設備を構成している。前記電解水として生成される強酸性水と強アルカリ水とは、所望の温度に維持するべく共通の緑化室２００に設けた酸性水タンク２０１及びアルカリ水タンク２０２に貯留されている。浸種水槽１１６へ供給する水は、前記タンク２０１，２０２内の貯留量等に応じて強酸性水か強アルカリ水か適宜選択することができるが、複数個備える浸種水槽１１６ごとに強酸性水と強アルカリ水とを振り分けて供給し、浸種行程が終わると各浸種水槽１１６内の強酸性水と強アルカリ水とを混合させて中和し、中和された水を排水するのが理想的である。尚、この播種育苗施設には種籾コンテナ１１４ごと収容できる催芽設備２０４も備えており、種籾コンテナ１１４内で種子を催芽させることもできる。
【００３１】
次に、段積設備１１０について説明する。この段積設備１１０は、播種設備１０２で播種された育苗箱Ｃを取り込む早送りコンベヤ１４７の終端部に配置され、該早送りコンベヤ１４７で搬送される育苗箱Ｃを下方から持ち上げて段積する段積装置１１７と、該段積装置１１７で段積された育苗箱Ｃを把持して横移動し積付ける積付装置１１８と、該積付装置１１８で育苗箱Ｃが積付けられる積付アーム１１９と、該積付アーム１１９を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構１２０とを備えている。
【００３２】
段積装置１１７は、早送りコンベヤ１４７で搬送される育苗箱Ｃの底面に接触して該育苗箱Ｃを持ち上げる偏心カム１２１と、該偏心カム１２１で持ち上げられた育苗箱Ｃの縁部を支える支持板１２２とを備えている。偏心カム１２１は、偏心した回動軸１２３で駆動する円板であり、持ち上げる育苗箱Ｃの前後左右に計４個設けられている。４個の偏心カム１２１は、同じ移送で駆動回転し、同時に育苗箱Ｃを持ち上げる。支持板１２２は、左右に２枚設けられ、スプリングで左右外側に付勢され、偏心カム１２１の回動軸１２３と一体回転する駆動カム１２４の駆動により、駆動カム１２４の突部１２４ａに押されて育苗箱Ｃ側（左右内側）へ向けて移動する。従って、支持板１２２は、左右外側から育苗箱Ｃ側（左右内側）へ向けて移動して育苗箱Ｃの縁部の下方に突出する構成となっている。
【００３３】
積付装置１１８は、段積された１０枚の育苗箱Ｃをまとめて把持して移動する構成であり、育苗箱Ｃの一側面を保持する固定アーム１２５と、育苗箱Ｃの対向する他側面を保持する可動アーム１２６とで育苗箱Ｃを把持する。固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、上下移動用モータ１２７により上下動し、下動して段積された育苗箱Ｃを把持し、把持した育苗箱Ｃを上動して持ち上げる。また、横移動用モータ１２８により駆動する積付用ラック１２９を介して横移動し、把持した育苗箱Ｃを積付アーム１１９上へ移動する。その後、固定アーム１２５及び可動アーム１２６を下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。
【００３４】
積付アーム１１９は、前後２本のアーム体１１９ａと、該アーム体１１９ａの先端部に各々設けた載せ板１１９ｂとを備え、左右移動用モータ１９２により駆動する移載用ラック１２９を介して左右移動し、下方に設けたパンタグラフ機構１３０により上下移動する。そして、積付装置１１８が３回に分けて上下に重ねて計３０枚の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に積付けると、左右移動用モータ１９２の駆動により積付アーム１１９が往行程の横移動をして待機する出芽台車１１１内まで移動し、パンタグラフ機構１３０により積付アーム１１９が下動して育苗箱Ｃを出芽台車１１１の桟状の載台１１１ａへ移し、その後、左右移動モータ１２８の駆動により積付アーム１１９が復行程の横移動をして退避位置まで移動し、パンタグラフ機構１３０により退避位置から元の通常位置へ上動する。出芽台車１１１は、前後左右計４箇所の載置位置に段積された育苗箱Ｃを載置する構成となっており、前記載置位置が積付アーム１１９に対向する位置にくるべく適宜移動する。従って、積付アーム１１９は、該積付アーム１１９の手前側の載置位置と奥側の載置位置とに育苗箱Ｃを積付ける。尚、出芽台車１１１は、早送りコンベヤ１４７に沿って並行に設けた台車走行レール１３１上を走行する構成となっている。
【００３５】
積付アーム１１９は、前記奥側の載置位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを奥側の載置位置の載台上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台上へ移載する。復行程の横移動の途中で奥側の載置位置の育苗箱Ｃから外れ且つ出芽台車１１１内の位置に到達したことを検出する横移動センサ１３２を、積付アーム１１９の移動経路に沿う位置に設けている。復行程の横移動の途中で横移動センサ１３２が上述の位置に到達したことを検出すると、横移動しながらパンタグラフ機構１３０により上動して通常位置へ戻る。また、手前側の載置位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを手前側の載置位置の載台上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台上へ移載し、復行程の横移動で退避位置Ｉへ移動する。
【００３６】
この退避位置Ｉに積付アーム１１９がある状態で、積付装置１１８が最初の計１０枚の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に直接積付ける。その後、積付装置１１８が２回目の積付を行う前に、積付アーム１１９が退避位置Ｉから通常位置Ｈへ上動する。従って、積付装置１１８が２回目及び３回目の積付を行うときは、積付アーム１１９は通常位置にある。
【００３７】
積付装置１１８から積付アーム１１９に最初（１回目）に積付けるとき、段積された育苗箱Ｃを把持する把持位置Ｊよりも退避位置Ｉにある積付アーム１１９は下位の位置となる。従って、積付装置１１８の固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、育苗箱Ｃを把持してから把持位置Ｊから若干浮上し、横移動して積付アーム１１９上へ移動し、前記退避位置Ｉまで下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。積付装置１１８から積付アーム１１９に２回目の育苗箱Ｃを積付けるとき、把持位置Ｊと積付アーム１１９上の１回目の育苗箱Ｃの上面とは略同じ高さとなる。従って、積付装置１１８の固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、育苗箱Ｃを把持して把持位置Ｊから若干浮上し、横移動して積付アーム１１９上へ移動し、前記１回目の育苗箱Ｃの上面まで若干下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。積付装置１１８から積付アーム１１９に３回目の育苗箱Ｃを積付けるとき、把持位置Ｊよりも積付アーム１１９上の２回目の育苗箱Ｃの上面が高くなる。
【００３８】
従って、積付装置１１８の固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、育苗箱Ｃを把持して把持位置Ｊから前記２回目の育苗箱Ｃの上面よりも若干高い位置まで上動し、横移動して積付アーム１１９上へ移動し、前記２回目の育苗箱Ｃの上面まで若干下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。
【００３９】
以上により、この段積設備１１０は、早送りコンベヤ１４７で搬送される育苗箱Ｃを下方から持ち上げて段積する段積装置１１７と、該段積装置１１７で段積された育苗箱Ｃを把持して横移動し積付ける積付装置１１８と、該積付装置１１８で育苗箱Ｃが積付けられる積付アーム１１９と、該積付アーム１１９を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構１２０を設けている。よって、積付装置１１８で育苗箱Ｃを直接積付アーム１１９に積付けるので、移載精度を良好に維持しながら、作業能率向上が図れる。
【００４０】
また、積付装置１１８は、段積された育苗箱Ｃを複数回に分けて上下に重ねて積付アーム１１９へ積付ける構成とし、前記複数回の積付は、段積された育苗箱Ｃを把持する把持位置Ｊよりも下位の位置へ積付ける形態と、把持位置Ｊよりも上位の位置へ積付ける形態とを有し、前記下位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから下降行程を介して積付け、前記上位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから上昇行程を介して積付ける構成としている。よって、下位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから下降行程を介して積付け、前記上位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから上昇行程を介して積付ける構成としたので、複数回の積付における積付位置の高さが把持位置Ｊの高さに極力近くなり、複数回の積付の移送経路を全体的に短縮化でき、作業能率向上が図れる。
【００４１】
また、積付アーム１１９は、通常位置から往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを前記所定位置にある載台１１１ａ上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台１１１ａ上へ移載し、前記下動した状態のままの復行程の横移動で載台位置から退避位置Ｊへ退避する構成とし、積付装置１１８は、積付アーム１１９に最初に育苗箱Ｃを積付けるとき、前記退避位置Ｊにある積付アーム１１９に直接積付け、次の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に積付ける前に、積付アーム１１９を通常位置Ｈへ上動する構成としている。よって、積付アーム１１９に最初に育苗箱Ｃを積付けるときは、退避位置Ｊにある積付アーム１１９に直接積付けるので、積付アーム１１９が退避位置Ｊから通常位置Ｈに上動するのを待たずして育苗箱Ｃを積付けることができ、作業能率の向上が図れる。尚、段積装置１１７が計１０枚の育苗箱Ｃを段積して積付装置１１８が最初の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に積付けるまでの所要時間は、積付アーム１１９が通常位置Ｈから育苗箱Ｃを出芽台車１１１の手前側の載置位置に載置して退避位置Ｉに戻るまでの所要時間と略同等である。
【００４２】
また、積付アーム１１９は、該積付アーム１１９の手前側と奥側の位置に育苗箱Ｃを積付ける構成とし、前記奥側の位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを前記所定位置にある載台１１１ａ上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台１１１ａ上へ移載し、復行程の横移動で上動しながら通常位置Ｈへ復帰し、前記手前側の位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを前記所定位置にある載台１１１ａ上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台１１１ａ上へ移載し、復行程の横移動で退避位置Ｉへ移動し、退避位置Ｉから通常位置Ｈへ上動する構成としている。よって、奥側の位置に積付けるときは、積付アーム１１９が復行程の横移動で上動しながら通常位置Ｈへ復帰するので、積付アーム１１９の通常位置Ｈへの復帰を早めることができ、作業能率の向上が図れる。
【００４３】
段積された育苗箱を収容する出芽台車１１１は、約３日間出芽室４８内で発芽処理される。出芽室１１２内で発芽した育苗箱群は、緑化台車１４６へ積み替えるにあたり、パレットＰ又は出芽台車１１１ごと育苗箱積替装置１４３に供給される。
【００４４】
ところで、育苗箱Ｃは、底板部と四方の側壁部とを備えて上方が開口した周知の構成であり、側壁部の上部が外方に突出して縁部を構成している。育苗箱Ｃは、平面視で長手方向６０ｃｍ、短手方向３０ｃｍの長方形状となっている。
【００４５】
次に、播種機側コンベヤとなる育苗箱搬送コンベヤ１０３から早送りコンベヤ１４７までの育苗箱搬送装置について説明する。育苗箱搬送コンベヤ１０３は、育苗箱搬送用駆動モータにより播種設備１０２上で育苗箱Ｃを駆動搬送する構成であり、その搬送終端部は複数の播種機側搬送ローラ１０３ａにより構成されている。育苗箱搬送コンベヤ１０３の直後には、該育苗箱搬送コンベヤ１０３に続くフリーコンベヤ１４８を設けており、該フリーコンベヤ１４８により育苗箱Ｃを非駆動で搬送する。フリーコンベヤ１４８は、自由回転する複数の搬送ローラ１４８ａを搬送方向に配列した構成となっている。フリーコンベヤ１４８の直後には、該フリーコンベヤ１４８に続いて早送りコンベヤ１４７を設けており、該早送りコンベヤ１４７は、左右に２本設けた搬送チェーン１４７ａにより育苗箱Ｃを搬送する構成であり、育苗箱搬送コンベヤ１０３の搬送速度よりも高速で育苗箱Ｃを駆動搬送する。尚、フリーコンベヤ１４８の長さは、２４ｃｍ〜３６ｃｍの長さ、すなわち育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの５分の２以上５分の３以下の長さで、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さ（６０ｃｍ）よりも短く設定されている。
【００４６】
また、フリーコンベア１４８上には、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とす土除去具１４９を左右に設けている。この土除去具１４９は、育苗箱Ｃの外側面に接触するブラシ状の形態であり、極力、育苗箱Ｃの搬送抵抗とならないように構成されている。尚、土除去具１４９を板状のスクレーパにより構成してもよい。土除去具１４９は、搬送方向においてフリーコンベヤ１４８の互いの搬送ローラ１４８ａの間に配置し、異なる搬送ローラ１４８ａの間に複数個設けられてフリーコンベヤ１４８の搬送方向に複数個配列されている。尚、土除去具１４９は、互いの搬送ローラ１４８ａの間の中央の位置に配置されている。
【００４７】
尚、播種設備１０２の播種作業能力を１０００箱／Ｈｒとしたとき、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動による搬送速度は１０ｍ／ｍｉｎ、早送りコンベヤ１４７の駆動による搬送速度は１５ｍ／ｍｉｎとなる。播種設備１０２の播種作業能力を２０００箱／Ｈｒとしたとき、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動による搬送速度は２０ｍ／ｍｉｎ、早送りコンベヤ１４７の駆動による搬送速度は３０ｍ／ｍｉｎとなる。つまり、早送りコンベヤ１４７の駆動による搬送速度は、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動による搬送速度の１．５倍となる。尚、育苗箱Ｃの重さは、培土及び灌水による水分が充填されている状態で約７ｋｇである。
【００４８】
以上により、この育苗箱搬送装置は、播種設備１０２上で育苗箱Ｃを駆動搬送する播種機側コンベヤとなる育苗箱搬送コンベヤ１０３と、該育苗箱搬送コンベヤ１０３に続いて育苗箱Ｃを非駆動で搬送するフリーコンベヤ１４８と、該フリーコンベヤ１４８に続いて前記育苗箱搬送コンベヤ１０３の搬送速度よりも高速で育苗箱Ｃを駆動搬送する早送りコンベヤ１４７を設け、前記フリーコンベヤ１４８の長さを、育苗箱Ｃの搬送方向の長さよりも短く、育苗箱Ｃの搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定している。
【００４９】
これにより、育苗箱搬送コンベヤ１０３で駆動搬送される育苗箱Ｃは、やがて育苗箱搬送コンベヤ１０３の終端から突出し、育苗箱搬送コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８の間に跨って搬送される。このとき、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、フリーコンベヤ１４８は非駆動であるので搬送による摩擦抵抗は極めて小さく、フリーコンベア１４８の長さ分すなわち育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの５分の２以上５分の３以下の部分には搬送の駆動力が伝わらないことになるが、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの少なくとも約半分の残りの部分に育苗箱搬送コンベヤ１０３から搬送の駆動力が伝えられるので、円滑に育苗箱Ｃを搬送できる。その後、育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨るが、育苗箱Ｃはフリーコンベヤ１４８の全長で受けられ、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの約半分の部分に育苗箱搬送コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の搬送の駆動力が伝えられ、育苗箱搬送コンベヤ１０３と早送りコンベヤ１４７の搬送速度の相違で育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３と早送りコンベヤ１４７に対してスリップしながら搬送されるが、搬送による摩擦抵抗は比較的小さくなる。それから、育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３から離れてフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨ると、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの少なくとも約半分の部分に早送りコンベヤ１４７から搬送の駆動力が伝えられて、早送りコンベヤ１４７の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、搬送による摩擦抵抗は極めて小さくなる。よって、育苗箱搬送コンベヤ１０３から早送りコンベヤ１４７への育苗箱Ｃの搬送において、フリーコンベヤ１４８の介在により搬送による摩擦抵抗を極力小さくしながら、育苗箱Ｃは育苗箱搬送コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の少なくとも一方の駆動力で搬送されるから、育苗箱Ｃを円滑に搬送でき、育苗箱搬送コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗を抑えると共に、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃を抑え、育苗箱Ｃ内で培土や種子が偏るのを防止することができる。
【００５０】
また、育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨るときでも、駆動する育苗箱搬送コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７が、育苗箱Ｃの底面の搬送方向の長さの半分程度（５分の２以上５分の３以下程度）に接触して育苗箱Ｃを搬送できるため、育苗箱の円滑搬送、育苗箱搬送コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗の抑制、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃の抑制、育苗箱Ｃ内での培土や種子の偏り防止が図れる。
【００５１】
また、自由回転する複数の搬送ローラ１４８ａを搬送方向に配列してフリーコンベヤ１４８を構成し、フリーコンベア１４８上に、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とす土除去具１４９を設け、土除去具１４９によりフリーコンベア１４８上で育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とすので、土除去具１４９による育苗箱Ｃの搬送抵抗で育苗箱Ｃの外側面が摩耗しにくくなると共に、育苗箱Ｃが外側面に付着する土を落とした状態で早送りコンベヤ１４７へ供給され、育苗箱Ｃが外側面に付着した土が早送りコンベヤ１４７の側方ガイド１４７ｂに接触して搬送抵抗となるのを防止でき、また以降の段積設備１１０のリフト機構すなわち支持板１２２により適正に育苗箱Ｃを支持できることにより育苗箱Ｃを適正に上昇させることができ、育苗箱Ｃの段積を適正に行える。
【００５２】
また、搬送方向における互いの搬送ローラ１４８ａの間に土除去具１４９を配置し、該土除去具１４９を前記搬送方向に複数個配列したので、土除去具１４９により除去した土を搬送ローラ１４８ａの間を介して下方に排出でき、フリーコンベヤ１４８上に土が残ることで搬送が円滑に行われなくなるようなことを防止できる。また、土除去具１４９を複数個配列することにより、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を徐々に且つ確実に除去でき、土除去具１４９が育苗箱Ｃの搬送抵抗となるのを極力抑えることができる。
【００５３】
緑化室２００での育苗の他、温室等の栽培施設１５０において植物を栽培することができる。この栽培施設１５０は、複数の栽培ベッド１５１を列状に配置して栽培条１５２を複数形成し、各々の栽培条間に通路１５３を設けている。尚、通路１５３は、任意の栽培条間にのみ設ける構成としてもよい。通路１５３上には温湯を流して栽培施設１５０内を暖房する暖房配管１５４を設け、この暖房配管１５４に暖房用ボイラ１５５から温湯が供給される暖房装置を設けている。各々の栽培ベッド１５１は、ロックウールで構成され、２〜３個のロックウールキューブ１５６を載置し、該ロックウールキューブ１５６に１株ずつ植物を移植して複数株（２〜３株）の植物を栽培する構成となっている。栽培ベッド１５１の両側に支脚１５７を設け、該支脚１５７の上端部で容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１を跨ぐように支持している。容器装填部材１５８は、養液を収容する養液収容容器１５９を装填する装填台を備えている。容器装填部材１５９は、栽培ベッド１５１の上方で、ロックウールキューブ１５６の上方でない隣り合うロックウールキューブ１５６の間の部分すなわち植物株がない部分の上方で支持される。
【００５４】
養液収容容器１５９の下部には、収容する養液を吐出する吐出口を複数個（３個）設けている。この吐出口に養液供給管１６０の一端を接続し、養液供給管１６０の他端をロックウールキューブ１５６に接続し、養液供給管１６０により、養液収容容器１５９内の養液を各植物の株元位置へ供給する構成となっている。尚、植物が養液を吸収してロックウールキューブ１５６の養液の保有量が減少すると、自ずと養液供給管１６０を介してロックウールキューブ１５６へ養液が供給される構成となっている。養液収容容器１５９は、各々の栽培ベッド１５１毎に設定される。
【００５５】
養液収容容器１５９には、該養液収容容器１５９内の養液量を検出する養液量センサ１６１を設けている。この養液量センサ１６１が、養液収容容器の養液供給に関する情報を検出する検出器となる。また、養液収容容器１５９には、前記養液量センサ１６１が検出する養液量を管理制御装置１６２へ送信する養液用の情報送信機１６３を設けている。従って、養液用の情報送信機１６３が、前記検出器で検出した情報を管理制御装置１６２へ送信する。管理制御装置１６２は、養液用の情報送信機１６３からの入力により、各々の養液収容容器１５９内の養液量の減少を判断し、モニター１６４等の表示装置に表示する。これにより、養液の残量が少ない養液収容容器１５９を判別し、新たな養液収容容器１５９の装填準備をすることができる。また、各々の栽培ベッド１５１における所定時間当たりの養液の使用量を演算でき、例えば、養液の使用量が多い栽培ベッド１５１では栽培が良好に行われていると判断し、養液の使用量が少ない栽培ベッド１５１では病害の発生等により栽培不良が発生していると判断できる。従って、管理制御装置１６２により、各々の栽培ベッド１５１毎の養液供給に関する情報を管理できる。
【００５６】
各々の栽培ベッド１５１の上方には、当該栽培ベッド１５１で栽培される植物を撮影する撮影装置１６５を設けている。よって、この撮影装置１６５は、栽培ベッド１５１で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置となる。尚、撮影装置１６５は、全ての栽培ベッド１５１毎に設けるが、一部の栽培ベッド１５１の上方にのみ設けてもよい。撮影装置１６５による撮影画像が管理制御装置１６２に入力され、管理制御装置１６２内で撮影画像を解析することにより、植物の萎れの発生や植物の成育状況を判断できる。一方、複数の肥料の種類に対応して該肥料を貯留する複数の肥料タンク１６６と、原水を貯留する原水タンク１６７と、複数の肥料タンク１６６及び原水タンク１６７から各々の肥料又は原水を任意の割合で調合して養液収容容器１５９へ供給する養液調合装置１６８を設けている。尚、養液調合装置１６８は、各々の肥料タンク１６６又は原水タンク１６７からの肥料又は原水の供給量を調節する調節弁１６９と、各々の肥料タンク１６６又は原水タンク１６７からの肥料又は原水を混合して養液収容容器１５９へ充填する混合部１７０を備えている。そして、養液の残量が少ない養液収容容器１５９を判別し、新たな養液収容容器１５９の装填準備として養液収容容器１５９を作成する。尚、後述する栽培状況等の情報により、養液収容容器１５９内の養液の残量が少なくなくても、新たな養液収容容器１５９の装填準備として養液収容容器１５９を作成することもできる。また、撮影装置１６５の検出による栽培情報及び養液量センサ１６１の検出による養液収容容器１５９内の養液の使用量に基づいて、管理制御装置１６２により養液調合装置１６８を制御して所望の養液を充填した養液収容容器１５９を作成する。すなわち、所定時間当たりの養液収容容器１５９内の養液の使用量に基づき、養液の使用量が多いときは栽培が良好で旺盛であると判断し、肥料濃度や窒素成分が低い養液を充填して養液収容容器１５９を作成する。逆に、養液の使用量が少ないときは病害の発生等により栽培不良であると判断し、肥料濃度や窒素成分が高い養液を充填して養液収容容器１５９を作成する。また、撮影装置１６５の検出により植物に萎れがあるときは、給液量を増やすべく養液収容容器１５９内の養液の充填量を増やす。尚、養液のｐＨを調整するための酸タンクを設け、養液調合装置１６８により酸タンクから酸を供給してもよい。
【００５７】
以上により、この栽培施設１５０は、複数の栽培ベッド１５１を設け、該栽培ベッド１５１毎に複数株の植物を栽培し、養液を収容する養液収容容器１５９と、該養液収容容器１５９を装填する容器装填部材１５８と、該容器装填部材１５８に装填された養液収容容器１５９内の養液を各植物の株元位置へ供給する養液供給管１６０を、栽培ベッド１５１毎に設けている。よって、養液収容容器１５９、容器装填部材１５８及び養液供給管１６０からなる養液供給ユニットが栽培ベッド１５１毎に設けられるので、従来の養液供給装置のように栽培施設全体に養液供給のための配管を張り巡らせる必要がなく、前記配管の削減によりコストダウン及び該配管の詰まり防止等のメンテナンスが図れ、従来のような養液供給装置の故障等により栽培施設全体に支障が発生することを防止し、日射量の相違や病害の発生等による栽培ベッド１５１毎の植物の栽培状況の相違に対応して、適切に養液を供給できる。
【００５８】
また、栽培施設１５０は、複数の栽培ベッド１５１を列状に配置して栽培条１５２を形成し、任意の栽培条間に通路１５３を設け、栽培ベッド１５１の両側に設けた支脚１５７により、容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１の植物株がない部分の上方で支持する構成としている。よって、容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１の植物株がない部分の上方で支持するので、容器装填部材１５８及び養液収容容器１５９を植物の邪魔にならない位置で且つ通路１５３上でない位置に配置でき、作業者が通路１５３から栽培ベッド１５１の植物への栽培管理作業を容易に行うことができる。
【００５９】
また、栽培施設１５０は、養液収容容器１５９の養液供給に関する情報を検出する検出器となる養液量センサ１６１と、該養液量センサ１６１で検出した養液の残量や所定時間当たりの使用量の情報を管理制御装置１６２へ送信する養液用の情報送信機１６３を、各養液収容容器１５９毎に設け、養液用の情報送信機１６３の送信により情報が入力される管理制御装置１６２を設け、該管理制御装置１６２により、各々の栽培ベッド１５１毎の養液供給に関する情報を管理する構成としている。よって、栽培ベッド１５１毎の給液量や給液時間や給液の有無等の養液供給に関する情報を管理でき、例えば、給液量が多いと植物が良好に栽培されていると判断し、給液量が少ないと植物に病害が発生していると判断し、給液が行われていないと植物が萎れていると判断する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況を素早く判断でき、この判断に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【００６０】
また、複数の肥料の種類に対応して該肥料を貯留する複数の肥料タンク１６６と、該複数の肥料タンク１６６から各々の肥料を任意の割合で調合して養液収容容器１５９へ供給する養液調合装置１６８と、栽培ベッド１５１で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置となる撮影装置１６５と、該撮影装置１６５の検出に基づいて肥料の調合割合を変更するべく養液調合装置１６８を制御する制御装置となる管理制御装置１６２を設けている。これにより、撮影装置１６５の検出に基づいて肥料の調合割合を変更して養液収容容器１５９内に養液を充填するので、例えば、植物の萎れが多い場合はその栽培ベッド１５１への給液量を増やすべく養液収容容器１５９を早めに作成したり養液収容容器１５９内に多量の養液を充填したりし、植物の成育が旺盛過ぎる場合は養液の肥料濃度が低くなるよう又は養液の窒素成分が少なくなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成し、逆に植物の成育が促進されない場合は養液の肥料濃度が高くなるよう又は養液の窒素成分が多くなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【００６１】
ところで、イチゴの栽培においては、クラウン部１７１の冷却をするための冷却配管１７２を、栽培ベッド１５１の上方に配置することができる。尚、冷却配管１７２は、ポリエチレンを材質とする屈曲可能なホースで構成されている。この冷却配管１７２にはドライアイスを気化した冷却気体を流すようになっており、冷却配管１７２の適宜の位置に設けた放出孔から冷却気体を放出し、クラウン部１７１を冷却する。前記冷却気体は、ドライアイスを気化した二酸化炭素であるので、光合成を促すこともできる。これにより、冷却気体を冷却配管１７２に送るための送風装置で冷却装置を構成できるので、コストダウンが図れる。尚、ドライアイスは、生鮮業界で不要になったものを使用すればよく、安価に入手できる。従来は、冷却配管に冷却水を送水する冷却装置であるので、送水ポンプやチラー等が必要となり、冷却装置が高額となるおそれがある。
【００６２】
また、異なる冷却装置として、栽培ベッド１５１の両側から下方にパッド１７３を垂らし、パッド１７３の上端を吊り下げ支持する支持パイプ１７４を栽培ベッド１５１の両側に設け、該支持パイプ１７４内に送水して支持パイプ１７４の適宜の位置に設けた吐出孔から水をパッド１７３に供給し、送風装置からの風をパッド１７３に当てて栽培ベッド１５１を冷却する構成とすることができる。支持パイプ１７４は、栽培ベッド１５１の支持も兼ねており、栽培ベッド１５１の両側に設けた脚部１７５により支持されている。送風装置は、冬期等に栽培施設を暖房する暖房装置を利用する。この暖房装置は、ボイラ等の加温装置により加温された空気を送る暖房ダクト１７６を備え、該暖房ダクト１７６の適宜位置に設けた温風吹出口から温風を吹き出す構成となっている。従って、送風装置として使用するときは、加温装置の運転を停止し、暖房ダクト１７６の温風吹出口から常温の空気を吹き出してパッド１７３に当てることになる。尚、暖房ダクト１７６は、複数の栽培ベッド１５１を列状に配列する栽培条に沿って設けられ、栽培ベッド１５１の下方に設けているが、通路１５３上に設けてもよい。従って、濡れたパッド１７３に風があたることにより気化熱が生じ、それに伴う冷気がパッド１７３から上方の栽培ベッド１５１に行き渡り、栽培ベッド１５１を冷却する。よって、チラー等の装置が不要であり、また暖房装置を利用するため、冷却装置のコストダウンが図れる。尚、栽培ベッド１５１の下方の空間は左右のパッド１７３に挟まれた位置にあるので冷却され易く、その空間の冷気を上方の栽培ベッド１５１へ供給して効率良く冷却することができる。
【００６３】
尚、栽培施設１５０内の適宜位置には、栽培施設１５０内の空気を循環及び対流させるためのファンを複数設けている。このファンからの風によりパッド１７３から気化熱を発生させて栽培ベッド１５１を冷却する構成としてもよい。通常、ファンは、栽培施設１５０内の複数箇所に設けた温湿度センサの検出に基づき、異なる箇所の間で温度又は湿度の差が大きいときに作動する。複数のファンは、一方向に風を送る正風用のファンと、前記一方向とは逆方向に風を送る逆風用のファンに区別され、風を送る向きと交差する方向に沿って正風用のファンと逆風用のファンを交互に配置している。また、温度又は湿度の差に応じて駆動するファンの個数を設定する構成であり、例えば、温度又は湿度の差が比較的小さいときは正風用のファンと逆風用のファンを各々半分だけ駆動し、温度又は湿度の差が極めて大きいときは正風用のファンと逆風用のファンを全て駆動する構成となっている。これにより、さほど空気の循環又は対流が不要なときは一部のファンのみ駆動することができるので、省エネルギー化が図れる。尚、駆動するファンの個数で調整する構成に代えて、ファンの回転速度を変更して調整する構成とすることもできる。
【００６４】
栽培ベッド１５１でイチゴを栽培した後は、ロックウールで形成される栽培ベッド１５１にイチゴの栽培株１７７が残るため、栽培ベッド１５１ごと廃棄し、新たな栽培ベッド１５１により次期の栽培を行うようにしているが、そうすると栽培のコストが増大してしまう。そのため、栽培ベッド１５１からイチゴの栽培株１７７を取り除いて、栽培ベッド１５１を再利用することが考えられるが、取り除いた栽培株１７７にロックウールの培地が多く付着し、培地の補充が必要となる。そこで、栽培ベッド１５１上の栽培株１７７を除去しながら、除去した栽培株１７７に付着する培地１７８を分離して栽培ベッド１５１に還元する栽培株除去機１７９を使用することができる。この栽培株除去機１７９は、栽培株を掘り起こす耕うん爪１８０と、掘り起こした栽培株から培地を選別する選別装置となる振動網１８１と、栽培ベッド１５１の縁上（支持パイプ１７４上でもよい）を走行する前後左右計４輪の走行車輪１８２と、作業者が機体全体を移動させるための把持部１８３を備えている。機体上部に設けた駆動モータ１８４の駆動により、耕うん用チェーン１８５を介して耕うん爪１８０及び前側の走行車輪１８２を駆動すると共に、振動用チェーン１８６及び偏心カム１８７を介して振動網１８１を振動させる。尚、耕うん爪１８０及び前側の走行車輪１８２は、同一の駆動軸１８８により駆動して一体回転する構成となっている。耕うん爪１８０及び前側の走行車輪１８２の駆動により、栽培株１７７を掘り起こしながら機体が走行する構成であるが、思うように走行しないときは把持部１８３を把持して機体全体を移動走行させることができる。耕うん爪１８０で掘り起こした栽培株１７７は、耕うん爪１８０の直後に設けた振動網１８１上に載せられ、振動網１８１の振動により、付着する培地を振動網１８１を介して下方の栽培ベッド１５１上に振り落として還元する。また、振動網１８１の振動により、振動網１８１上の栽培株１７７は、徐々に後方に移動し、振動網１８１の後端から栽培ベッド１５１上に落とされる。作業者は、栽培ベッド１５１上に落とされた栽培株１７７を回収すればよい。これにより、作物を替える際の前作物の栽培株１７７の除去作業が容易に行えて作業能率が向上すると共に、培地１７８を低減でき、栽培コストの低減が図れる。
【００６５】
培地としては、ロックウール以外に通常の培土を使用することもできる。この培土として、窒素の添加量が５０〜１００ｍｇ／ｌで、硝酸態窒素又は硝酸カリウムの成分がアンモニア態窒素の成分よりも多い配合とすることができる。これにより、植物の初期成育を旺盛にし、培土の肥効を長期間維持させることができる。また、硝酸態窒素の添加量が５０ｍｇ／ｌ以上では、初期成育の促進効果は変わらず、逆に肥効の維持が困難となるため、窒素の添加量が５０〜２５０ｍｇ／ｌで、硝酸態窒素の添加量が３０〜５０ｍｇ／ｌの培土とすることができる。尚、培土は、一株毎に分離されたセルを縦横に備える苗トレイで苗を育苗する際、培地充填が容易となるので有用である。
【００６６】
ビニポットで一株ずつ育苗したトマト等の苗を移植機で移植するとき、ビニポットを一株ずつ取り外さなければならないので、苗補給作業が面倒である。そこで、事前に苗をビニポットから取り出して前記苗トレイのセルに装填しておき、苗トレイにより複数株の苗を同時に搬送できるようにしておけば、苗の搬送やセルからの苗分離は容易となるので、苗補給作業が容易で移植作業能率の向上が図れる。尚、事前に苗をビニポットから取り出す作業を省略するため、苗をビニポットごと苗トレイのセルに装填し、移植作業時にビニポットから苗を取り出して補給することができる。このとき、ビニポットから苗を取り出し易いように、セルの深さよりもビニポットの深さが高く、セルの上端からビニポットの上端が突出する構成とすればよく、例えば、セルの深さ７．５〜８．５ｃｍに対し、ビニポットの深さを９．５ｃｍとして、ビニポットの上端が１〜２ｃｍ突出する構成とすればよい。
【００６７】
また、苗トレイで育苗した苗を輸送するにあたり、従来は苗トレイごと輸送用のダンボール製の運搬箱内に収容していたので、苗トレイがある分、容積がかさばって運搬箱で多数の苗を輸送できない。そこで、苗トレイから苗を取り出して運搬箱に直接収容することで、多数の苗を運搬箱内に収容することができる。そのとき、不良苗を除去して選別し、良品の苗のみ運搬箱内に収容すればよい。これにより、苗トレイを回収できるので、苗の販売価格を低価格にできる。苗の葉茎部には蒸散防止剤を塗布すれば、輸送中の苗の萎れを防止できる。また、苗の床土部（根鉢部）にはアルギン酸ナトリウムのような糊剤を塗布すれば、輸送中の床土部（根鉢部）の損傷や崩壊を防止できる。尚、糊剤の効力は２日程度しか維持されず、苗の移植後の根の伸長を阻害するようなことを防止する。また、運搬箱の内側面にエチレンガス吸着剤を塗布すれば、輸送中の苗の品質を維持でき、運搬箱内の底部に吸水用の高分子吸水剤を敷設すれば、運搬箱内の水を吸収でき、輸送中の苗の病害発生予防と老化予防を行える。尚、エチレンガス吸着剤に含有する過マンガン酸カリウムがエチレンガスと反応して、二酸化炭素と水が発生するが、水を高分子吸水剤で吸水できる。高分子吸水剤は、敷設しやすいようにシート状に形成してもよい。
【００６８】
尚、図１１及び図１２、図１３、図１４並びに図１５及び図１６における各々の栽培ベッド１５１は、多少異なる形状のものを示したが、何れの形状のものをどの実施形態に使用してもよく、全ての実施形態において同様の形状の栽培ベッド１５１としてもよい。つまり、同一の栽培ベッド１５１において、前記全ての実施形態を実施することもできる。
【００６９】
ところで、播種設備１０２の播種装置１０６で播種する種子は、温湯加温・冷却設備となる種子消毒設備により事前に消毒される。この種子消毒設備は、前工程から後工程の順に温湯消毒装置Ａ、種子冷却装置Ｂ、乾燥装置Ｏを順次設けている。温湯消毒装置Ａは、箱型の温湯槽となる温湯消毒槽１を設け、温湯消毒槽１の上方には多数の種子バケット２を循環移送する温湯用移送装置となる循環移送装置３を設けている。尚、前記温湯消毒槽１は、１１個の種子バケット２を連ねて収容できる構成となっている。また、種子バケット２には、所定量ごとに種子を収容する網状の種子袋Ｐを入れるようになっている。
【００７０】
種子バケット２は、上方に向く開口部８６を備え、下部を丸棒の棒材８７ａを交差させた格子８７で構成し、上部の側面を外向きにパンチング孔８８ａを打ち抜いたパンチングメタル８８で構成している。前記パンチング孔８８ａは外向きに打ち抜かれているので、打ち抜きによって立ち上がるバリ等が外向きに立ち上がり、内面側は滑らかとなる。
【００７１】
循環移送装置３は移送始端側にあって多数の孔を形成する種子バケット２を下降させて温湯消毒槽１内の温湯に浸漬させる下降装置３ｄと、温湯消毒槽１内を浸漬した状態で種子バケット２を移送する移送装置３ａと、移送終端側にあって温湯消毒槽１内を浸漬した種子バケット２を上昇させる上昇装置３ｂと、上昇装置３ｂで上昇させた種子バケット２を下降装置３ｄまで戻す戻し装置３ｃとを備えている。
【００７２】
移送装置３ａは、種子バケット２の上端に設けた縁部２ａを左右下側から受ける案内レール部４を備え、移送始端部には種子バケット２を移送させるためのチェン式の移送コンベア５を左右に設けている。移送コンベア５は、周回経路の適宜位置に種子バケット２を移送させる押し用突起５ａを備え、該押し用突起５ａが種子バケット２の縁部の左右に固着した左右方向の固着軸２ｂを移送方向に押すことで当該種子バケット２を移送し、移送下手側の種子バケット２が順次移送上手側の種子バケット２に押されて温湯消毒槽１内で種子バケット２が移送されていく構成となっている。
【００７３】
上昇装置３ｂは、案内レール部４の終端（移送終端）にある種子バケット２の固着軸２ｂが引っ掛かる持上げ用突起６ａを備えるチェン式の上昇コンベア６を左右に設けている。従って、該上昇コンベア６の駆動により、案内レール部４の終端（移送終端）にある種子バケット２の固着軸２ｂが持上げ用突起６ａに持上げられ、種子バケット２が上昇する構成となっている。上昇コンベア６は、持上げ用突起６ａが固着軸２ｂに引っ掛かる上昇始端位置から種子バケット２を上昇させるにつれて移送装置３ａの移送方向に移動させる斜めの移動経路（周回経路）を備えた側面視で三角形状の周回経路で周回する。そして、前記斜めの移動経路の途中で種子バケット２を反転させる反転カム７を左右に設けており、種子バケット２の上昇で前記反転カム７が種子バケット２の縁部２ａにおける固着軸２ｂの一方側（移送装置３ａの移送方向側、種子冷却装置Ｂ側）に上側から接触して押し下げることにより、固着軸２ｂを支点に種子バケット２をその上部の開口部が種子冷却装置Ｂ側に向くように反転させ、種子バケット２内の種子袋Ｐを種子冷却装置Ｂの冷却バケット８へ排出する構成となっている。尚、温湯消毒槽１の上端から反転カム７の位置にかけて、上昇あるいは反転する種子バケット２から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽１へ案内するガイド板９を設けている。このガイド板９により、種子バケット２から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽１へ戻して温湯消毒槽１内の熱の放出を抑えると共に、前記温湯が種子冷却装置Ｂの冷却槽１０に垂れ落ちることによる冷却効率の低下を防止できる。
【００７４】
戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは、種子バケット２の固着軸２ｂが引っ掛かる搬送用突起１１ａを備えるチェン式の戻しコンベア１１を左右に備えて構成されている。尚、前記搬送用突起１１ａは、戻しコンベア１１の周回方向の前後に対向して配置され、前後の突起１１ａで固着軸２ｂを挟むようにして保持する構成となっている。従って、上昇装置３ｂの上昇コンベア６でその上端部に上昇した種子バケット２を、前記戻しコンベア１１が、受け継いで移送装置３ａの移送始端側に横移動した後、下降させてその下降経路の途中の種子袋供給位置ｒで待機させる。この種子袋供給位置ｒで、種子バケット２は温湯消毒槽１の上方に位置しており、作業者が当該種子バケット２に種子袋Ｐを供給するようになっている。そして、移送装置３ａが作動して移送始端部に種子バケット２を収容するスペースができると、戻しコンベア１１を作動させて前記種子袋供給位置ｒにある種子バケット２を下降させ、種子バケット２を戻しコンベア１１の下端から温湯消毒槽１へ落下して供給する。尚、種子袋供給位置ｒで待機する種子バケット２は、下部の前側が温湯消毒槽１に取り付けたガイド１２に接触し、上部の開口部が前側に向くように傾く。これにより、作業者が種子バケット２に種子（種子袋Ｐ）を容易に供給できる。更に、種子バケット２が傾いている分、種子バケット２が温湯消毒槽１の温湯に浸されない高さで且つ当該種子バケット２の前記開口部の高さを極力低く設定することができるため、種子バケット２への種子（種子袋Ｐ）の供給が容易である。
【００７５】
また、種子袋供給位置ｒにある種子バケット２を下降させて戻しコンベア１１の下端から温湯消毒槽１へ落下するとき、種子バケット２の縁部２ａが案内レール部４に衝突することにより騒音が発生したり衝撃で縁部２ａを変形させるおそれがある。そこで、種子バケット２の縁部２ａが案内レール部４に衝突する前に種子バケット２の底部が温湯消毒槽１の底面に接触するよう、温湯消毒槽１の底面の一部に隆起させた隆起部を設け、該隆起部に落下する種子バケット２の底部が先ず接触する構成とすれば、衝突する部分が水中であるので衝撃音を抑えられ、また縁部２ａの変形を防止して循環移送装置３による種子バケット２の移送の適正化が図れる。
【００７６】
尚、移送装置３ａ、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは種子バケット２を同時に間欠的に移送する構成であるが、移送装置３ａは複数の種子バケット２を同時に移送し、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは各々単一の種子バケットを移送する構成であり、移送装置３ａ、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄで各々の移送ピッチが異なる構成となっている。尚、下降装置３ｄは種子バケット２を種子袋供給位置ｒに移送した状態で停止する。従って、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄの移送速度が移送装置３ａの移送速度より速く設定されており、空の種子バケット２の数を減らすことにより、コストダウンが図れると共に、温湯消毒槽１の上方の空の種子バケット２の数が少ないため、作業者が温湯消毒槽１内の消毒状況や運転状況を視認するときに空の種子バケット２が邪魔になりにくい。
【００７７】
また、移送装置３ａで間欠的に移送される種子バケット２の移送は、移送中の時間より移送停止状態の時間の方が長くなるように設定されている。従って、温湯消毒槽１内の後述する温水噴出口１３の上方に種子バケット２を長く滞留させることができ、種子の殺菌効果を高めることができる。また、移送装置３ａの移送停止時間を長くすることで、これに連動する上昇装置３ｂ及び下降装置３ｄの停止時間を長く設定することができるので、種子袋供給位置ｒでの種子バケット２の停止時間を長く設定でき、停止している種子バケット２に種子（種子袋Ｐ）を容易に供給できる。また、前記移送装置３ａの移送停止時間を調節する切替装置となる調節ダイヤル８９により長時間加温状態と短時間加温状態とに切り替えできる構成となっており、この移送停止時間の切替により同一の種子バケット２が温湯消毒槽１に浸漬される総時間を変更できる。尚、短時間加温状態のときの種子バケット２の間欠的な移送時間の周期は、長時間加温状態のときの２分の１に設定される。従って、種子の品種に応じて種子の消毒時間を変更することができる（例えば、うるち米の種籾は１０分間浸漬し、もち米の種籾は６分間浸漬する等）。これにより、移送装置３ａの移送中の移送速度を変えずに容易に浸漬時間を変えることができる。尚、移送装置３ａ、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは、共通の駆動源であるモータ９０により作動する。従って、調節ダイヤル８９からの信号により制御部４３を介してモータ９０へ出力される構成となっている。
【００７８】
また、種子消毒作業中に装置の故障や点検等のために非常停止したときは、その非常停止時間を計測して前記の消毒時間に加算する制御がなされる。従って、非常停止した分、移送装置３ａで間欠移送の停止時間が短くなる。このとき、非常停止中に設定の消毒時間に達した場合は、ランプ等の警報手段により警報する。よって、種子を必要以上に長く温湯に浸漬することにより、種子割れ等の種子の損傷を防止できる。
【００７９】
温湯消毒槽１内の底部には所定間隔毎に温水噴出口１３を配設し、間欠移送されながら停止している種子バケット２の停止位置下方に温水噴出口１３を位置させ、種子バケット２に向けて温水を噴出し、温水が種子バケット２の孔を通過し網状の種子袋Ｐに収容する種子（種籾）に作用する構成としている。なお、温湯消毒槽１の底部を前後方向中間部に向けて下り傾斜に構成し、中間部に排水溝１４を構成している。
【００８０】
尚、全ての温水噴出口１３を前側（種子投入側）に向けるようにすれば、温湯消毒槽１内の前側（種子投入側）部分の温湯の温度を高くでき、種子バケット２にて温湯消毒槽１内に種子を投入するときにこの投入部周辺の温湯の温度低下を抑えることができ、温湯消毒槽１内の温湯の温度の均一化が図れる。
【００８１】
温湯消毒槽１の後工程には供給シュート１５を介して種子冷却装置Ｂを設けている。この種子冷却装置Ｂには、供給シュート１５の後側に前後方向に長い種子冷却槽１０を設け、この種子冷却槽１０には前側から後側に向けて複数の冷却バケット８を設けている。冷却バケット８は多数の孔を形成し、左右方向の軸８ａにより横軸心回動自在に支持している。そして、冷却バケット８が軸８ａを軸心に回動反転すると冷却バケット８内に収容する種子袋Ｐが次の冷却バケット８に収容される構成である。従って、冷却バケット８及び軸８ａ等により、冷却用移送装置を構成している。尚、冷却バケット８は、反転時に小さく２度回動して種子袋Ｐの排出を確実に行うようにしている。冷却槽１０内には各冷却バケット８の収容部ごとに槽内を仕切る仕切り壁１６を設けており、この仕切り壁１６は種子の排出側（排出シュート１７側）のものほど高くなっている。そして、冷却槽１０に新たな水を供給する冷却用給水口１８が種子冷却槽１０内において種子の排出側（排出シュート１７側）の端部の位置で給水する構成となっており、冷却用給水口１８からの冷却水は冷却槽１０内において仕切り壁１６で仕切られる前記排出側の区画から順次供給されていくことになる。
【００８２】
尚、種子バケット２が上昇装置３ｂで上昇して反転カム７で反転する直前に到達したことをセンサで検出すると、最も温湯消毒装置Ａに近い冷却バケット８が反転してから元に戻り、その後種子バケット２が上昇して反転カム７で反転する構成となっている。これにより、種子バケット２から冷却バケット８に種子を供給する直前に当該冷却バケット８の種子を次の冷却バケット８に供給することができ、冷却バケット８による種子の冷却時間を長くすることができて冷却効果を高めることができる。
【００８３】
また、種子バケット２の容積より冷却バケット８の容積が大きく設定されている。よって、種子バケット２の容積が小さいので、温湯消毒槽１内の種子バケット２が供給されない不要な部分を小さくして温湯を効率良く使用できる。また、冷却バケット８の容積が大きいので、後述する空気噴出口１９からの空気により種子の攪拌が容易になり、冷却効果が高まる。
【００８４】
また、冷却槽１０の冷却バケット８の下方には、空気噴出管２０をそれぞれ設け、ブロワ２１により空気噴出口１９に空気を供給し、浸漬中の冷却バケット８に向けて空気を噴出する構成としている。また、温湯消毒槽１にも空気噴出管１９を設けており、この空気噴出管１９は、温水噴出口１３を備える温水管２２の上側で平面視で交差（直交）するように配置されている。温水管２２は温湯消毒槽１の長手方向（前後方向）に延び、温水噴出口１３が左右に温湯を噴出するので、温湯消毒槽１の短手方向（左右方向）の対流が前後方向の全体にわたって均等に発生し、温湯消毒槽１内の温度むらを抑えることができる。空気噴出管１９は、停止する各種子バケット２の下方に位置しており、各種子バケット２へ向けて空気を噴出することにより全ての種子を均等に攪拌できる。
【００８５】
前記ブロア２１は冷却槽１０用と温湯消毒槽１用とで共通であり、温湯消毒槽１の空気噴出管１９へは温湯消毒槽１の外面（側面）で接触する前後に長い接触管２３を介して空気が供給される。この接触管２３により、温湯消毒槽１へ供給する空気の温度を上昇させることができ、温湯消毒槽１内の温度低下を防止している。
【００８６】
次に種子消毒の工程について説明する。
下降装置３ｄの途中の種子袋供給位置ｒに停止している種子バケット２に種子を収容した網状の種子袋Ｐを供給する。そして種子袋供給位置ｒから温湯消毒槽１内まで下降装置３ｄで種子バケット２を下降して温湯に浸漬する。
【００８７】
温湯消毒槽１内では種子バケット２は移送装置３ａで移送され、移送装置３ａは間欠駆動する。そして、種子バケット２は温水噴出口１３に対向する位置に停止し、停止した状態で噴出する温水に晒され、種子袋Ｐ内の種子の消毒作用を促進するものである。
【００８８】
各温水噴出口１３毎に設定時間停止しながら移送された種子バケット２は移送終端側で上昇装置３ｂによって引き上げられる。そして上昇装置３ｂの途中にある反転装置７で種子バケット２が反転し、種子バケット２内の種子袋Ｐは排出され、供給シュート１５を通過して冷却槽１０の始端側の冷却バケット８内に供給される。
【００８９】
空になった種子バケット２は上昇装置３ｂで引き続いて上方に移送され、次いで、戻し装置３ｃで移送始端側に向けて温湯消毒槽１の上方を間欠移送され、下降装置３ｄで再度種子袋供給位置ｒに循環移送される。
【００９０】
なお、循環移送装置３は間欠駆動の代わりに低速で連続的に駆動するように構成してもよい。
冷却槽１０の冷却バケット８に供給された種子袋Ｐは冷却水により冷却される。冷却バケット８は循環移送装置３の間欠駆動と連動する構成とし、温湯消毒槽１から種子冷却槽１０へ次の種子袋Ｐが供給される前に回動反転して次の冷却バケット８へ種子袋Ｐを供給し、温湯消毒槽１からの種子袋Ｐを受け入れる。すなわち、冷却終端側の冷却バケット８から順次回動反転することで種子袋Ｐを順に次の冷却バケット８に移送すると共に、冷却始端側の冷却バケット８に温湯消毒槽１からの種子袋Ｐを受け入れるようにしている。
【００９１】
そして、複数の冷却バケット８を順次通過した種子袋Ｐは排出シュート１７から排出され、次工程の乾燥装置Ｏで乾燥される。
この種子消毒装置は、温湯を貯留する温湯槽１と、冷却水を貯留する冷却槽１０と、温湯槽１内において種子を複数の種子バケット２内に収容して冷却槽１０側へ順次移送した後、種子を冷却槽１０の冷却バケット８へ順次供給する温湯用移送装置３と、冷却槽１０において種子を前記冷却バケット８により排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、温湯用移送装置３による各種子バケット２の冷却バケット８への種子の供給時間間隔を、冷却用移送装置による冷却バケット８の排出側への種子の移送時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置による冷却バケット８の排出側への種子の移送時間間隔の複数分の１となる短時間加温状態とに切り替える切替装置８９を設けている。
【００９２】
従って、種子バケット２内に収容した種子は、温湯用移送装置３により温湯槽１内において冷却槽１０側へ順次移送されながら処理され、種子バケット２は、最終的に種子を冷却槽１０の冷却バケット８へ供給する。冷却バケット８は、冷却槽１０において種子を排出側へ順次移送しながら種子を冷却する。そして、切替装置８９を長時間加温状態に切り替えると、各種子バケット２が冷却バケット８へ種子を供給する度に、冷却バケット８は種子を排出側へ移送する。切替装置８９を短時間加温状態に切り替えると、複数の種子バケット分の種子を同じ冷却バケット８へ供給し、種子バケット２から冷却バケット８へ種子を複数回供給する度に、冷却バケット８は種子を排出側へ移送する。従って、温湯槽１での加温時間の変更に拘らず、冷却槽１０での冷却時間は一定になる。
【００９３】
よって、種子を温湯槽１及び冷却槽１０で連続的に移送させて高能率化を図ると共に、加温可能な時間が短い品種では切替装置８９を短時間加温状態に切り替え、加温可能な時間が長い品種では切替装置８９を長時間加温状態に切り替えることにより、加温により種子の発芽障害や消毒不足を防止しながら、加温時間の変更に拘らず冷却時間を一定にして適正な冷却効果を得ることができ、冷却不足による発芽障害や処理能率の低下を防止できる。
【００９４】
また、種子バケット２は、上方に向く開口部８６を備え、下部を棒材８７ａを交差させた格子８７で構成し、上部の側面を外向きにパンチング孔８８ａを打ち抜いた板状のパンチングメタル８８で構成し、反転して種子を冷却槽１０の冷却バケット８へ供給する構成としている。
【００９５】
従って、種子バケット２が反転することにより該種子バケット２から冷却バケット８へ種子を供給するが、種子バケット２の側面を外向きにパンチング孔８８ａを打ち抜いたパンチングメタル８８で構成しているので、種子バケット２に収容した種子袋Ｐ等を種子バケット２の側面に引っ掛けずに該側面上を滑らせて円滑に冷却バケット８へ供給できる。また、温湯槽１内において、循環及び攪拌される温湯及びエアは、種子バケット２の下部の格子８７から種子バケット２内に円滑に供給される。
【００９６】
よって、温湯槽１内において循環及び攪拌される温湯を種子バケット２の下部の格子から種子バケット２内に円滑に供給できるので、種子の加温処理を良好に行えると共に、種子バケット２から冷却バケット８へ円滑に種子を供給できるので、加温処理後に即座に冷却処理がなされないことによる種子の発芽障害や処理能率の低下を防止できる。
【００９７】
この種子消毒装置によると、前後に長い温湯消毒槽１により複数の種子バケット２を移送しながら連続的に能率的に温湯消毒することができ、また、温湯消毒装置Ａから種子冷却装置Ｂに種子袋Ｐを簡単に供給することができる。
【００９８】
また、循環移送装置３が設定時間毎に間欠駆動するため、一つの種子バケット２が温湯に浸漬する時間を一定にすることができ、かつ停止毎に温水にさらされるため、多数の種子袋Ｐに均一な消毒を効率よく行うことができる。そして、冷却バケット８と循環移送装置３は連動して駆動するため、種子袋Ｐを冷却水に浸漬する時間をも一定にすることができ多数の種子袋Ｐに均一な冷却を行なうことができる。
【００９９】
また、温水噴出口１３を温湯消毒槽１内全体にわたって設定間隔毎に配置することで、温湯消毒槽１内の温度むらを防止し、種子バケット２内の種子袋Ｐの種子に温湯の浸透が均等化し、温湯殺菌効果を高めることができる。また、種子バケット２を温湯消毒槽１内で間欠移送することにより、種子の浸漬、離水が迅速になり、浸漬殺菌時間が正確となり、殺菌効果を高めることができる。すなわち、本実施の形態では１つの種子バケット２は１０箇所の温水噴出口１３毎にその上方で停止して浸漬される。
【０１００】
また、冷却槽１０内に空気を噴出させることで、冷却槽１０内の冷却水の温度上昇を低減する防止することができ、冷却効果を大きくすることができる。
また、冷却バケット８を所定時間毎に駆動反転させ、冷却水内で種子袋Ｐを所定時間停止冷却しながら移送するので、冷却効果を高めることができる。
【０１０１】
次に、温湯消毒槽１及び冷却槽１０に使用する温湯及び冷却水の供給経路について説明する。
温湯消毒槽１内には温湯オーバーフロー樋２４を設け、温湯オーバーフロー樋２４にオーバーフローした温湯は外部に排出される。また、温湯消毒槽１内には温湯オーバーフロー樋２４とは別の温湯排出口２５を設け、該温湯排出口２５から戻り経路となる温湯戻り路２６を介して切替弁２７に供給される。従って、前記切替弁２７の切替により、前記温湯排出口２５から温湯を排出する状態に切り替える構成となっている。
【０１０２】
そして、温湯戻り路２６からの温湯は、切替弁２７を介して給湯経路となる給湯路２８に供給される。該給湯路２８には、ポンプ２９及びヒータとなるインラインヒータ３０を設けている。尚、前記インラインヒータ３０は、ボイラ３１から各種バルブを備える蒸気供給路３２を介して水蒸気が供給され、熱量を得る構成である。この給湯路２８を介して温湯が温水噴出口１３から温湯消毒槽１へ供給される。尚、温湯消毒槽１内の温湯の温度は温湯用水温センサ３３により約６０℃になるよう制御する。
【０１０３】
また、冷却槽１０からオーバーフローした冷却水を、冷却水オーバーフロー樋３４、冷却水オーバーフロー経路となる還流路３５を経由して回収槽３６に還流するように構成している。回収槽３６内の冷却水は、給水経路となる給水路３７へ供給される。該給水路３７は、開閉弁３８を備え、前記切替弁２７へ水を供給する構成となっている。そして、切替弁２７の切替により、給水路３７の水を給湯路２８に供給する構成となっている。
【０１０４】
従って、切替弁２７は、給水路３７からの水を給湯路２８へ供給する水補給状態と、温湯戻り路２６からの温湯を給湯路２８へ供給する温湯循環状態とに切り替わる構成となっている。また、温湯消毒槽１には、水位計３９と前述した温湯用水温センサ３３とを設けている。よって、水位計３９の検出により温湯消毒槽１内の水位が設定値より低いことが制御部４０に入力されると、制御部４０からの出力により、開閉弁３８が開き、前記水補給状態に切替弁２７が切り替えられ、ポンプ２９が作動し、ボイラ３１が作動してインラインヒータ３０が作動し、回収槽３６内の水を加温しながら温湯消毒槽１に補給するよう制御される。このとき、温湯用水温センサ３３の検出により温湯消毒槽１内の温湯の温度が所望の温度に達している場合は、ボイラ２９並びにインラインヒータ３０を停止して、回収槽３６内の水を加温せずに温湯消毒槽１に補給するようになる。水位計３９の検出により温湯消毒槽１内の水位が設定値に達したことが制御部４０に入力されると、制御部４０からの出力により、開閉弁３８が閉じ、ボイラ２９並びにインラインヒータ３０を停止して、水の補給を停止する。温湯消毒槽１内の水位が設定値に達している場合に、温湯用水温センサ３３の検出により温湯消毒槽１内の温湯の温度が所望より低いことが制御部４０に入力されると、制御部４０からの出力により、前記温湯循環状態に切替弁２７が切り替えられ、ポンプ２９が作動し、ボイラ３１が作動してインラインヒータ３０が作動して、温湯消毒槽１内の温湯を循環しながら加熱し温湯が所望の温度（約６０℃）となるよう制御される。
【０１０５】
また、前記切替弁２７は、給水路３７からの水と温湯戻り路２６からの温湯とを混合して給湯路２８へ供給する混合状態に切り替えることができる構成となっている。更に、前記混合状態において、給水路３７からの水と温湯戻り路２６からの温湯との混合割合を変更して調節できるようになっている。これにより、温湯消毒槽１内の水位や水温に応じて、所望の水位及び水温に精度良く制御することができるようにしている。また、温湯消毒槽１内の水位が設定値に達している場合でも、温湯消毒槽１内の温湯が種子により汚れているときには、給水路３７からの水を温湯消毒槽１内に供給するようにし、汚れた温湯を温湯オーバーフロー樋２４からオーバーフローさせて外部に排出することができる。よって、温湯消毒槽１内の温湯が汚れている場合に種子消毒作業を中断して前記温湯を入れ替えるようなことをせずに、種子消毒作業をしながら温湯消毒槽１内の温湯を入れ替えることができ、種子消毒の連続作業が行えて作業能率の向上が図れる。
【０１０６】
この構成によると、熱効率の向上をはかり、使用水量の削減を図ることができる。特に、回収槽３６に貯留する水は、次回の種子消毒作業開始時に温湯消毒槽１に水を張り込むのに使用でき、あるいは非作業時に洗浄用の水として温湯消毒槽１に張り込むことができる。
【０１０７】
尚、温湯オーバーフロー樋２４からオーバーフローする温湯は二方向切替弁９１に供給され、一方に切り替えるとそのまま排出され、他方に切り替えると暖房用ポンプ９２を介して放熱管９３に供給されてから排出される。この放熱管９３は温湯消毒槽１の前側に配置されているので、種子袋供給位置ｒで種子バケット２へ種子袋Ｐを供給する作業者用の暖房となり、作業者の足冷えを防止し作業環境の改善が図れる。
【０１０８】
尚、上記とは別に、温湯消毒槽１に新たな水を供給するための給水手段となる消毒用給水口４１を設けている。また、前述のように、冷却槽１０に新たな水を供給するための給水手段となる冷却用給水口１８を設けている。冷却用給水口１８は、冷却槽１０内の水温を検出する冷却用の水温センサ４２の検出に基づいて、水温が所定温度より高いときに制御部４３からの信号により自動的に開いて給水する構成となっている。これにより、冷却槽１０内の水温を所望の温度に維持することができ、冷却効果を高めることができる。 尚、冷却用給水口１８は冷却槽１０内において種子の排出側（排出シュート１７側）の端部の位置で給水する構成となっているので、冷却用給水口１８からの冷却水は冷却槽１０内において仕切り壁１６で仕切られる前記排出側の区画から順次供給され、前記排出側の区画ほど水温を低くして種子が順次水温が低い区画に搬送されていく構成にでき、冷却効果を高めることができる。また、冷却槽１０の水を循環させながら冷却するチラー９４も備えている。
【０１０９】
また、作業開始時に温湯消毒槽１及び冷却槽１０へ水を供給するときは、先ず制御部４３からの信号により消毒用給水口４１を開き、回収槽３６に水があるときはポンプ２９及びインラインヒータ３０を作動させ、温湯消毒槽１内に水を充填し、インラインヒータ３０により温湯消毒槽１内の水を加温しながら制御部４３からの信号により冷却用給水口１８を開いて冷却槽１０へ水を供給する。これにより、温湯消毒槽１内の水を加温するのと同時に冷却槽１０へ水を供給するので、作業開始までの準備時間を短縮でき、作業能率を向上させることができる。
【０１１０】
尚、温湯消毒槽１及び冷却槽１０から水を抜いて空にするための排水口９８を各々設けている。制御装置は、運転終了スイッチを操作して全作業を終了すると、前記排水口９８が開き、温湯消毒槽１及び冷却槽１０を空にする。これにより、配管内の凍結による機器の故障や配管をはじめ温湯消毒槽１及び冷却槽１０の残水による雑菌の繁殖を防止する。温湯消毒槽１及び冷却槽１０には、各々の水の有無を検知する水有無センサ９９を設けている。運転開始スイッチを操作して作業を開始し、各々の水有無センサ９９が残水がないことを検出すると、排水口９８を閉じてから、消毒用給水口４１及び冷却用給水口１８を自動的に開く。これにより、排水口９８の閉め忘れによる作業開始時間の遅れや無駄な水の発生を防止し、省エネ効率の良い無人運転が可能となる。
【０１１１】
また、給湯路２８においてポンプ２９及びインラインヒータ３０の下手側の分岐点で分岐されるチラー洗浄用路９５を設けている。このチラー洗浄用路９５は、更に二又に分岐してチラー９４の吸込側経路と吐出側経路とに連通している。給湯路２８の分岐点よりも下手側に温湯槽用弁９６を設け、チラー９４の吸込側経路と吐出側経路に各々洗浄用弁９７を設けている。従って、作業終了後等、チラー９４を洗浄するとき、温湯槽用弁９６を閉じ、一方の洗浄用弁９７を開き、ポンプ２９を駆動することによって、チラー９４に温湯を供給して該チラー９４の内部配管等を洗浄できる。尚、洗浄用温湯の温度が低いときには、インラインヒータ３０を作動させればよい。また、開く洗浄用弁９７を切り替えることにより、正洗と逆洗との双方が行える。これにより、種籾のボウが詰まりやすく清掃が頻繁に必要なチラー９４を良好に洗浄できる。
【０１１２】
次に、乾燥及び保管工程について説明する。冷却装置Ｂの排出シュート１７から取り出した種子袋Ｐを、脱水機５１で脱水し、次いで、網コンテナ４６に段積みし、網コンテナ４６を水切りし、乾燥装置Ｏまたは乾燥室５２に送り込んで乾燥する。次いで、放冷室５３に網コンテナ４６を送り込んで放冷し、低温貯蔵庫５３に送り込み貯蔵する。この構成によると、網コンテナ４６に種子袋Ｐを段積みしたままで連続して乾燥、放冷、貯蔵をすることができ、作業時間を短縮し作業能率を高めることができる。
【０１１３】
次に、乾燥装置Ｏについて説明する。
乾燥室５５の一側には乾燥受け台５６を設け、他側には送風ファン５７、出芽用暖房機５８を設けている。乾燥室５５の底部には温風通路４４を設け、温風通路４４を経由して暖房機５８で温めた空気を送風ファン５７で送り、乾燥受け台５６に送り込むように構成している。
【０１１４】
また網コンテナ４６にコンテナシート４８を敷き込んで多数の種子袋Ｐを段積みし、この網コンテナ４６を乾燥受け台５６に載置する。そして、網コンテナ４６の上部にはダクトフード４７を載置し、ダクトフード４７の下部とコンテナシート４８の上部とを、例えばファスナ４９により密閉状に接続して簡易乾燥室を構成し、ダクトフード４７の上部と送風ファン５７とを循環通路４５により接続し、乾燥風を循環するように構成している。
【０１１５】
また、乾燥受け台５６には、下側が狭く上側の網コンテナ４６下部全面に向かって順次拡がる乾燥風路５６ａを仕切り板５６ｂにより仕切り構成し、温風通路４４から網コンテナ４６に向けて乾燥風を均等に送り込み、段積み種子袋Ｐを均等に乾燥するように構成している。前記構成によると、網コンテナ４６には下側から上側へ向けて均等な乾燥風が流れ、種子袋Ｐを均等に能率的に乾燥することができる。
【０１１６】
尚、冷却水オーバーフロー樋３４すなわち冷却水のオーバーフロー口を、冷却槽１０内において種子の投入側（温湯消毒装置Ａ側）の端部の位置に設けても良い。これにより、冷却槽１０において冷却用給水口１８とオーバーフロー口とを互いに対向する端部に配置することになり、種子を冷却することにより温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出しながら、冷却用給水口１８からの水をオーバーフローさせずに冷却槽１０内に効率良く供給することができるので、種子の冷却効果を高めることができる。また、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く回収槽３６に回収できるので、回収槽３６から給水路３７を介して給湯路２８へ供給される水の温度を高めることになり、ヒータ３０による加熱量を抑えることができ、ボイラ３１の燃費の削減が図れてランニングコストの低減が図れる。また、仕切り壁１６により冷却槽１０の種子投入側の区画ほど水温が高くなるようにしているので、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出できる。更に、各区画を経た上澄みの水をオーバーフロー口から回収できるので、きれいな水を温湯用として再利用することができる。
【０１１７】
そして、種子バケット２の底部には、温湯用の温度センサ１８９と、該温湯用の温度センサ１８９が検出する温度の情報及び当該種子バケット２の識別のための固有番号の情報を送信する情報送信機１９０を設けている。情報送信機１９０の送信により、温度の情報が管理制御装置１６２に入力され、管理制御装置１６２により、当該種子バケット２の温湯消毒槽１への浸漬時間に基づき、温湯の温度と浸漬時間を乗じて得られる積算時間を温度変化に対応しながら演算し、管理する。尚、管理制御装置１６２は、温度の情報が所定の低温（例えば４０℃）以下のときは、仮に温湯消毒槽１へ浸漬されていても種子への影響が小さいこともあるため温湯消毒槽１へ浸漬されていると判断せず、浸漬時間としてカウントしない。
【０１１８】
また、管理制御装置１６２は、温度の情報が前記所定の低温を超過した状態が、浸漬時間が循環移送装置３の移送の設定に基づく所定時間よりも少ないとき、警報を発する構成となっている。これにより、インラインヒータ３０やボイラ３１等の加温装置の故障で温湯消毒槽１の温湯の温度が極めて低温となった場合に警報でき、作業者が種子消毒設備の作動を停止させることにより、種子を所望の積算時間で消毒できずに冷却槽１０へ排出されるようなことを防止できる。逆に、温度の情報が極めて高温（例えば１００℃以上）であるときや、積算時間が所望の設定積算時間を超過するときは、警報を発する構成となっている。これにより、作業者が温湯消毒槽１内の種子バケット２を取り出して、加温過多により種子に障害を与えてしまうようなことを防止できる。尚、種子バケット２には取っ手２５０を設けており、作業者が取っ手２５０を把持して種子バケット２を移動させることができる。前記取っ手２５０は、種子バケット２の上方位置と種子バケット２の側方位置に回動し、通常は種子バケット２の側方位置で種子バケット２への種子袋Ｐの投入の邪魔にならないようになっている。
【０１１９】
よって、この温湯加温・冷却設備は、温湯を貯留する温湯槽となる温湯消毒槽１と、冷却水を貯留する冷却槽１０と、温湯消毒槽１内において種子を複数の種子バケット２内に収容して冷却槽１０側へ順次移送した後、種子を冷却槽１０へ順次供給する温湯用移送装置３と、冷却槽１０において種子を複数の冷却バケット８により排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、種子バケット２に温湯用の温度センサ１８９と情報送信機１９０を設け、該温湯用の温度センサ１８９の検出に基づき情報送信機１９０の送信により情報が入力される管理制御装置１６２を設け、該管理制御装置１６２により、種子バケット２の温湯消毒槽１への浸漬時間を管理する構成としている。
【０１２０】
従って、各々の種子バケット２において、温湯の温度と温湯に浸漬された浸漬時間を管理でき、積算時間を判断できるので、温湯消毒槽１内の温湯の温度変化や、循環移送装置３等の設備の故障があっても、所望の温度及び積算時間で適正に種子を加温することができ、種子の加温不足や加温過多を防止でき、種子に障害を与えることを防止しながら種子の消毒を適正に行える。
【０１２１】
また、個々の種子バケット２における積算時間を演算することにより、個々の種子袋Ｐの出荷において積算時間を履歴として開示することにより、種子の品質の信頼性を向上させることができる。
【０１２２】
同様に、冷却バケット８の底部には、冷却用の温度センサ２５１と、該冷却用の温度センサ２５１が検出する温度の情報及び当該冷却バケット８の識別のための固有番号の情報を送信する情報送信機１９０を設けている。情報送信機１９０の送信により、温度の情報が管理制御装置１６２に入力され、管理制御装置１６２により、当該冷却バケット８の冷却槽１０への浸漬時間に基づき、冷却の温度と浸漬時間を乗じて得られる積算時間を温度変化に対応しながら演算し、管理する。管理制御装置１６２は、積算時間が所望の設定積算時間を満たさないときは、警報を発する構成となっている。これにより、チラー９４等の冷却水供給装置の故障や、冷却バケット８の反転により排出側へ順次移送する冷却用移送装置の故障で、所望の冷却が行われていないことを判断でき、作業者が種子消毒設備の作動を停止させることにより、種子を所望の冷却能率で冷却できずに冷却槽１０から排出されるようなことを防止できる。
【符号の説明】
【０１２３】
１：温湯消毒槽、２：種子バケット、３：温湯用移送装置、１０：冷却槽、１０２：播種設備、１０３：育苗箱搬送コンベヤ、１４７：早送りコンベヤ、１４８：フリーコンベヤ、１４８ａ：搬送ローラ、１４９：土除去具、１５１：栽培ベッド、１５２：栽培条、１５３：通路、１５７：支脚、１５８：容器装填部材、１５９：養液収容容器、１６０：養液供給管、１６１：養液量センサ、１６２：管理制御装置、１６３：養液用の情報送信機、１６５：撮影装置、１６６：肥料タンク、１６８：養液調合装置、１８９：温湯用の温度センサ、１９０：情報送信機、Ｃ：育苗箱
【技術分野】
【０００１】
本発明は、育苗箱搬送装置及び温湯加温・冷却設備及び栽培施設に関する。
【背景技術】
【０００２】
播種設備上で播種した育苗箱を段積するために、播種機側コンベヤにより連続的に駆動搬送される育苗箱を、早送りコンベヤにより前記播種機側コンベヤの搬送速度よりも高速で駆動搬送し、連続する育苗箱同士の間隔を空けて搬送する育苗箱搬送装置が知られている。互いの間隔を空けて搬送される各々の育苗箱は、段積装置のリフト機構により１枚ずつ上昇する（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
また、温湯を貯留する温湯槽と、冷却水を貯留する冷却槽と、温湯槽内において種子を複数の種子バケット内に収容して冷却槽側へ順次移送した後、種子を冷却槽の冷却バケットへ順次供給する温湯用移送装置と、冷却槽において種子を前記冷却バケットにより排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設けた温湯加温・冷却設備が知られている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００４】
また、複数の栽培ベッドを設け、該栽培ベッド毎に複数株の植物を栽培する栽培施設において、複数の栽培ベッドを列状に配置して栽培条を形成し、任意の栽培条間に通路を設け、複数の肥料の種類に対応して該肥料を貯留する複数の肥料タンクと、該複数の肥料タンクから各々の肥料を任意の割合で調合して養液収容容器へ供給する養液調合装置を設け、該養液調合装置で肥料を調合した養液を、養液供給管により複数の栽培ベッドの各植物の株元位置へ供給する構成とした栽培施設が知られている（例えば、特許文献３参照。）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平８−１９８４３８号公報
【特許文献２】特開２０１０−４１９５２号公報
【特許文献３】特開２００４−５７１５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
育苗箱搬送装置において、播種機側コンベヤと早送りコンベヤが連ねて設けられているため、播種機側コンベヤと早送りコンベヤの両方に跨る育苗箱の底面には、播種機側コンベヤと早送りコンベヤの搬送速度の差により多大な摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗により、播種機側コンベヤ、早送りコンベヤ又は育苗箱の底面が摩耗し易くなり、また播種機側コンベヤから早送りコンベヤへ乗り継ぐ育苗箱に衝撃が伝わり、育苗箱内で培土や種子が偏ってしまうおそれがある。
【０００７】
また、温湯加温・冷却設備において、温湯槽内の温湯の温度変化により、種子バケットにより種子を所望の時間浸漬しても、温湯の温度と浸漬時間を乗じて得られる積算時間が異なり、あるいは設備の故障等により、種子バケット内の種子を長時間浸漬してしまうと、前記積算時間が異なってしまい、所望の積算時間で加温できないおそれがある。
【０００８】
また、栽培施設内において、局部的な日射量の相違や病害の発生等により、局部的に植物の栽培状況が異なることがある。
本発明は、育苗箱搬送装置において、播種機側コンベヤ、早送りコンベヤ又は育苗箱の底面の摩耗を抑えると共に、育苗箱への衝撃を抑え、育苗箱内で培土や種子が偏るのを防止することを課題とする。
【０００９】
また、温湯加温・冷却設備において、所望の温度及び積算時間で適正に種子を加温することを課題とする。
また、栽培施設内において、植物の栽培状況の局部的な相違に対応して適切に養液を供給できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項１に係る発明は、播種設備（１０２）上で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する播種機側コンベヤ（１０３）と、該播種機側コンベヤ（１０３）に続いて育苗箱（Ｃ）を非駆動で搬送するフリーコンベヤ（１４８）と、該フリーコンベヤ（１４８）に続いて前記播種機側コンベヤ（１０３）の搬送速度よりも高速で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する早送りコンベヤ（１４７）を設け、前記フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さよりも短く設定した育苗箱搬送装置とした。
【００１１】
また、請求項２に係る発明は、フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定した請求項１に記載の育苗箱搬送装置とした。
【００１２】
また、請求項３に係る発明は、自由回転する複数の搬送ローラ（１４８ａ）を搬送方向に配列してフリーコンベヤ（１４８）を構成し、フリーコンベア（１４８）上に、育苗箱（Ｃ）の外側面に付着する土を落とす土除去具（１４９）を設けた請求項１又は請求項２に記載の育苗箱搬送装置とした。
【００１３】
また、請求項４に係る発明は、搬送方向における互いの搬送ローラ（１４８ａ）の間に土除去具（１４９）を配置し、該土除去具（１４９）を前記搬送方向に複数個配列した請求項３に記載の育苗箱搬送装置とした。
【００１４】
また、請求項５に係る発明は、温湯を貯留する温湯槽（１）と、冷却水を貯留する冷却槽（１０）と、温湯槽（１）内において種子を複数の種子バケット（２）内に収容して冷却槽（１０）側へ順次移送した後、種子を冷却槽（１０）へ順次供給する温湯用移送装置（３）と、冷却槽（１０）において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、種子バケット（２）に温度センサ（１８９）と情報送信機（１９０）を設け、該温度センサ（１８９）の検出に基づき情報送信機（１９０）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、種子バケット（２）の温湯槽（１）への浸漬時間を管理する構成とした温湯加温・冷却設備とした。
【００１５】
また、請求項６に係る発明は、複数の栽培ベッド（１５１）を設け、該栽培ベッド（１５１）毎に複数株の植物を栽培する栽培施設において、養液を収容する養液収容容器（１５９）と、該養液収容容器（１５９）を装填する容器装填部材（１５８）と、該容器装填部材（１５８）に装填された養液収容容器（１５９）内の養液を各植物の株元位置へ供給する養液供給管（１６０）を、栽培ベッド（１５１）毎に設けた栽培施設とした。
【００１６】
また、請求項７に係る発明は、複数の栽培ベッド（１５１）を列状に配置して栽培条（１５２）を形成し、任意の栽培条間に通路（１５３）を設け、栽培ベッド（１５１）の両側に設けた支脚（１５７）により、容器装填部材（１５８）を栽培ベッド（１５１）の植物株がない部分の上方で支持する構成とした請求項６に記載の栽培施設とした。
【００１７】
また、請求項８に係る発明は、養液収容容器（１５９）の養液供給に関する情報を検出する検出器（１６１）と、該検出器（１６１）で検出した情報を送信する養液用の情報送信機（１６３）を、各々の養液収容容器（１５９）毎に設け、養液用の情報送信機（１６３）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、各々の栽培ベッド（１５１）毎の養液供給に関する情報を管理する構成とした請求項６又は請求項７に記載の栽培施設とした。
【００１８】
また、請求項９に係る発明は、肥料を貯留する肥料タンク（１６６）と、該肥料タンク（１６６）から肥料を任意の割合で調合して養液収容容器（１５９）へ供給する養液調合装置（１６８）と、栽培ベッド（１５１）で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置（１６５）と、該状況検出装置（１６５）の検出に基づいて肥料の調合割合を変更するべく養液調合装置（１６８）を制御する制御装置（１６２）を設けた請求項６から請求項８の何れか１項に記載の栽培施設とした。
【発明の効果】
【００１９】
請求項１の発明によると、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８の間に跨るときは、播種機側コンベヤ１０３の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、搬送による摩擦抵抗は極めて小さく、円滑に育苗箱Ｃを搬送できる。その後、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨り、播種機側コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の駆動力により育苗箱Ｃが搬送されるが、育苗箱Ｃはフリーコンベヤ１４８の全長で受けられ、搬送による摩擦抵抗は比較的小さくなる。それから、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３から離れてフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨ると、早送りコンベヤ１４７の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、搬送による摩擦抵抗は極めて小さくなる。よって、播種機側コンベヤ１０３から早送りコンベヤ１４７への育苗箱Ｃの搬送において、フリーコンベヤ１４８の介在により搬送による摩擦抵抗を極力小さくしながら、育苗箱Ｃは播種機側コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の少なくとも一方の駆動力で搬送されるから、育苗箱Ｃを円滑に搬送でき、播種機側コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗を抑えると共に、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃を抑え、育苗箱Ｃ内で培土や種子が偏るのを防止することができる。
【００２０】
請求項２の発明によると、請求項１の発明の効果に加えて、フリーコンベヤ１４８の長さを、育苗箱Ｃの搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定したので、育苗箱Ｃが播種機側コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨るときでも、駆動する播種機側コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７が、育苗箱Ｃの底面の搬送方向の長さの半分程度（５分の２以上５分の３以下程度）に接触して育苗箱Ｃを搬送できるため、更なる育苗箱Ｃの円滑搬送、播種機側コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗の抑制、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃の抑制、育苗箱Ｃ内での培土や種子の偏り防止が図れる。
【００２１】
請求項３の発明によると、請求項１又は請求項２の発明の効果に加えて、土除去具１４９によりフリーコンベア１４８上で育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とすので、土除去具１４９による育苗箱Ｃの搬送抵抗で育苗箱Ｃの外側面が摩耗しにくくなると共に、育苗箱Ｃが外側面に付着する土を落とした状態で早送りコンベヤ１４７へ供給され、育苗箱Ｃが外側面に付着した土が早送りコンベヤ１４７の側方ガイド１４７ｂに接触して搬送抵抗となるのを防止でき、また以降の段積装置１１０のリフト機構により育苗箱Ｃを適正に上昇させることができ、育苗箱Ｃの段積を適正に行える。
【００２２】
請求項４の発明によると、請求項３の発明の効果に加えて、互いの搬送ローラ１４８ａの間に土除去具１４９を配置したので、土除去具１４９により除去した土を搬送ローラ１４８ａの間を介して下方に排出でき、フリーコンベヤ１４８上に土が残ることで搬送が円滑に行われなくなるようなことを防止できる。また、土除去具１４９を複数個配列することにより、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を徐々に且つ確実に除去でき、土除去具１４９が育苗箱Ｃの搬送抵抗となるのを極力抑えることができる。
【００２３】
請求項５の発明によると、各々の種子バケット２において、温湯の温度と温湯に浸漬された浸漬時間を管理でき、積算時間を判断できるので、温湯槽１内の温湯の温度変化や設備の故障等があっても、所望の温度及び積算時間で適正に種子を加温することができ、種子の加温不足や加温過多を防止でき、種子に障害を与えることを防止しながら種子の消毒を適正に行える。
【００２４】
請求項６の発明によると、養液収容容器１５９、容器装填部材１５８及び養液供給管１６０からなる養液供給ユニットが栽培ベッド１５１毎に設けられるので、従来の養液供給装置のように栽培施設全体に養液供給のための配管を張り巡らせる必要がなく、前記配管の削減によりコストダウン及び該配管の詰まり防止等のメンテナンスが図れ、従来のような養液供給装置の故障等により栽培施設全体に支障が発生することを防止し、日射量の相違や病害の発生等による栽培ベッド１５１毎の植物の栽培状況の相違に対応して、適切に養液を供給できる。
【００２５】
請求項７の発明によると、請求項６の発明の効果に加えて、容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１の植物株がない部分の上方で支持するので、容器装填部材１５８及び養液収容容器１５９を植物の邪魔にならない位置で且つ通路１５３上でない位置に配置でき、作業者が通路１５３から栽培ベッド１５１の植物への栽培管理作業を容易に行うことができる。
【００２６】
請求項８の発明によると、請求項６又は請求項７の発明の効果に加えて、栽培ベッド１５１毎の給液量や給液時間や給液の有無等の養液供給に関する情報を管理でき、例えば、給液量が多いと植物が良好に栽培されていると判断し、給液量が少ないと植物に病害が発生していると判断し、給液が行われていないと植物が萎れていると判断する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況を素早く判断でき、この判断に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【００２７】
請求項９の発明によると、請求項６から請求項８の何れか１項の発明の効果に加えて、状況検出装置１６５の検出に基づいて肥料の調合割合を変更して養液収容容器１５９内に養液を充填するので、例えば、植物の萎れが多い場合はその栽培ベッド１５１への給液量を増やすべく養液収容容器１５９を早めに作成したり養液収容容器１５９内に多量の養液を充填したりし、植物の成育が旺盛過ぎる場合は養液の肥料濃度が低くなるよう又は養液の窒素成分が少なくなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成し、逆に植物の成育が促進されない場合は養液の肥料濃度が高くなるよう又は養液の窒素成分が多くなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】播種施設のレイアウト図
【図２】播種設備の全体側面図
【図３】段積設備の平面図
【図４】段積設備の側面図
【図５】段積設備の正面図
【図６】偏心カム及び支持板を示す図（Ａ：正面図、Ｂ：側面図）
【図７】積付アームに複数回に分けて積付ける状態を判りやすく示す斜視図
【図８】育苗箱を出芽台車に載置する状態を示す斜視図（Ａ：奥側の載置位置への供給形態、Ｂ：手前側の載置位置への供給形態）
【図９】育苗箱搬送装置の一部を示す平面図
【図１０】育苗箱搬送装置の一部を示す側面図
【図１１】栽培施設を判りやすく示す平面図
【図１２】養液供給システムを判りやすく示す図
【図１３】栽培ベッド及び冷却配管を示す正面断面図
【図１４】栽培ベッド、パッド及び暖房ダクトを示す正面図
【図１５】一部省略した栽培株除去機を示す正面図
【図１６】栽培株除去機を示す側面図
【図１７】温湯消毒設備の一部を示す平面図
【図１８】温湯消毒設備の一部を示す側面図
【図１９】移送装置及び下降装置の一部を示す側面図
【図２０】上昇装置の一部を示す側面図
【図２１】上昇装置の一部及び戻り装置の一部を示す側面図
【図２２】種子袋供給位置を示す側面図
【図２３】反転カム及びガイド板を示す側面図
【図２４】冷却槽を示す断面側面図
【図２５】冷却槽を示す平面図
【図２６】温湯及び冷却水の供給経路を示す図
【図２７】乾燥・出荷工程の工程図
【図２８】乾燥装置の内部を説明する側面図
【図２９】種子バケットを示す平面図
【図３０】種子バケットを示す側面図
【図３１】種子バケットを示す正面図
【図３２】ブロック図
【発明を実施するための形態】
【００２９】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図１は、播種施設の平面レイアウト図である。この播種育苗施設は、２階が育苗箱置場となっており、その育苗箱置場の育苗箱Ｃが育苗箱供給装置１０１によって１階に設置した播種設備１０２に１枚ずつ順次供給される。播種設備１０２は図２に示す構成で、育苗箱Ｃを一定方向に搬送する播種機側コンベヤとなる育苗箱搬送コンベヤ１０３に沿って、育苗箱に床土を入れて鎮圧・均平する床土供給装置１０４、水稲用の灌水装置１０５、床土の上に種籾を播種する播種装置１０６、覆土を施す覆土供給装置１０７、野菜用の灌水装置１０８が設けられている。尚、床土供給装置１０４の育苗箱搬送下手側部分には、育苗箱に供給された床土を均平する均平部１０９を備えている。尚、野菜の種子を播種するときには、野菜用の灌水装置１０８を作動させ、覆土供給装置１０７により覆土した後に灌水するようになっている。播種設備１０２によって播種等を施された育苗箱は、段積設備１１０によってパレット又は出芽台車１１１の上に所定段数ずつ段積みされる。そして、段積みされた育苗箱を出芽室１１２に搬入して出芽させる。出芽室１１２で出芽させた段積状の育苗箱は育苗箱積替装置１１３で緑化台車１４６に棚積みされ、該緑化台車１４６ごと温度管理された緑化室２００へ搬入して所定の大きさに苗が成育するまで育苗する。尚、前記出芽室１１２及び緑化室２００は、それぞれ３室設けられている。
【００３０】
播種設備１０２の播種装置１０６の貯留する種籾の減少に伴って、種籾コンテナ１１４から自動的に該播種装置１０６へ種籾を供給する種籾供給コンベア１１５を設けている。この播種育苗施設には浸種水槽１１６を複数個（５個）設けており、水を張った該浸種水槽１１６内へ種籾を収容した状態の種籾コンテナ１１４を沈めて浸種して種子の芽出しを促進した後、その種子を播種装置１０６へ供給するようになっている。浸種水槽１１６へ供給される水は電気分解により生成される電解水（消毒液）であり、この浸種行程において種子の消毒も行う。従って、浸種水槽１１６は、浸種設備並びに種子消毒設備を構成している。前記電解水として生成される強酸性水と強アルカリ水とは、所望の温度に維持するべく共通の緑化室２００に設けた酸性水タンク２０１及びアルカリ水タンク２０２に貯留されている。浸種水槽１１６へ供給する水は、前記タンク２０１，２０２内の貯留量等に応じて強酸性水か強アルカリ水か適宜選択することができるが、複数個備える浸種水槽１１６ごとに強酸性水と強アルカリ水とを振り分けて供給し、浸種行程が終わると各浸種水槽１１６内の強酸性水と強アルカリ水とを混合させて中和し、中和された水を排水するのが理想的である。尚、この播種育苗施設には種籾コンテナ１１４ごと収容できる催芽設備２０４も備えており、種籾コンテナ１１４内で種子を催芽させることもできる。
【００３１】
次に、段積設備１１０について説明する。この段積設備１１０は、播種設備１０２で播種された育苗箱Ｃを取り込む早送りコンベヤ１４７の終端部に配置され、該早送りコンベヤ１４７で搬送される育苗箱Ｃを下方から持ち上げて段積する段積装置１１７と、該段積装置１１７で段積された育苗箱Ｃを把持して横移動し積付ける積付装置１１８と、該積付装置１１８で育苗箱Ｃが積付けられる積付アーム１１９と、該積付アーム１１９を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構１２０とを備えている。
【００３２】
段積装置１１７は、早送りコンベヤ１４７で搬送される育苗箱Ｃの底面に接触して該育苗箱Ｃを持ち上げる偏心カム１２１と、該偏心カム１２１で持ち上げられた育苗箱Ｃの縁部を支える支持板１２２とを備えている。偏心カム１２１は、偏心した回動軸１２３で駆動する円板であり、持ち上げる育苗箱Ｃの前後左右に計４個設けられている。４個の偏心カム１２１は、同じ移送で駆動回転し、同時に育苗箱Ｃを持ち上げる。支持板１２２は、左右に２枚設けられ、スプリングで左右外側に付勢され、偏心カム１２１の回動軸１２３と一体回転する駆動カム１２４の駆動により、駆動カム１２４の突部１２４ａに押されて育苗箱Ｃ側（左右内側）へ向けて移動する。従って、支持板１２２は、左右外側から育苗箱Ｃ側（左右内側）へ向けて移動して育苗箱Ｃの縁部の下方に突出する構成となっている。
【００３３】
積付装置１１８は、段積された１０枚の育苗箱Ｃをまとめて把持して移動する構成であり、育苗箱Ｃの一側面を保持する固定アーム１２５と、育苗箱Ｃの対向する他側面を保持する可動アーム１２６とで育苗箱Ｃを把持する。固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、上下移動用モータ１２７により上下動し、下動して段積された育苗箱Ｃを把持し、把持した育苗箱Ｃを上動して持ち上げる。また、横移動用モータ１２８により駆動する積付用ラック１２９を介して横移動し、把持した育苗箱Ｃを積付アーム１１９上へ移動する。その後、固定アーム１２５及び可動アーム１２６を下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。
【００３４】
積付アーム１１９は、前後２本のアーム体１１９ａと、該アーム体１１９ａの先端部に各々設けた載せ板１１９ｂとを備え、左右移動用モータ１９２により駆動する移載用ラック１２９を介して左右移動し、下方に設けたパンタグラフ機構１３０により上下移動する。そして、積付装置１１８が３回に分けて上下に重ねて計３０枚の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に積付けると、左右移動用モータ１９２の駆動により積付アーム１１９が往行程の横移動をして待機する出芽台車１１１内まで移動し、パンタグラフ機構１３０により積付アーム１１９が下動して育苗箱Ｃを出芽台車１１１の桟状の載台１１１ａへ移し、その後、左右移動モータ１２８の駆動により積付アーム１１９が復行程の横移動をして退避位置まで移動し、パンタグラフ機構１３０により退避位置から元の通常位置へ上動する。出芽台車１１１は、前後左右計４箇所の載置位置に段積された育苗箱Ｃを載置する構成となっており、前記載置位置が積付アーム１１９に対向する位置にくるべく適宜移動する。従って、積付アーム１１９は、該積付アーム１１９の手前側の載置位置と奥側の載置位置とに育苗箱Ｃを積付ける。尚、出芽台車１１１は、早送りコンベヤ１４７に沿って並行に設けた台車走行レール１３１上を走行する構成となっている。
【００３５】
積付アーム１１９は、前記奥側の載置位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを奥側の載置位置の載台上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台上へ移載する。復行程の横移動の途中で奥側の載置位置の育苗箱Ｃから外れ且つ出芽台車１１１内の位置に到達したことを検出する横移動センサ１３２を、積付アーム１１９の移動経路に沿う位置に設けている。復行程の横移動の途中で横移動センサ１３２が上述の位置に到達したことを検出すると、横移動しながらパンタグラフ機構１３０により上動して通常位置へ戻る。また、手前側の載置位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを手前側の載置位置の載台上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台上へ移載し、復行程の横移動で退避位置Ｉへ移動する。
【００３６】
この退避位置Ｉに積付アーム１１９がある状態で、積付装置１１８が最初の計１０枚の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に直接積付ける。その後、積付装置１１８が２回目の積付を行う前に、積付アーム１１９が退避位置Ｉから通常位置Ｈへ上動する。従って、積付装置１１８が２回目及び３回目の積付を行うときは、積付アーム１１９は通常位置にある。
【００３７】
積付装置１１８から積付アーム１１９に最初（１回目）に積付けるとき、段積された育苗箱Ｃを把持する把持位置Ｊよりも退避位置Ｉにある積付アーム１１９は下位の位置となる。従って、積付装置１１８の固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、育苗箱Ｃを把持してから把持位置Ｊから若干浮上し、横移動して積付アーム１１９上へ移動し、前記退避位置Ｉまで下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。積付装置１１８から積付アーム１１９に２回目の育苗箱Ｃを積付けるとき、把持位置Ｊと積付アーム１１９上の１回目の育苗箱Ｃの上面とは略同じ高さとなる。従って、積付装置１１８の固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、育苗箱Ｃを把持して把持位置Ｊから若干浮上し、横移動して積付アーム１１９上へ移動し、前記１回目の育苗箱Ｃの上面まで若干下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。積付装置１１８から積付アーム１１９に３回目の育苗箱Ｃを積付けるとき、把持位置Ｊよりも積付アーム１１９上の２回目の育苗箱Ｃの上面が高くなる。
【００３８】
従って、積付装置１１８の固定アーム１２５及び可動アーム１２６は、育苗箱Ｃを把持して把持位置Ｊから前記２回目の育苗箱Ｃの上面よりも若干高い位置まで上動し、横移動して積付アーム１１９上へ移動し、前記２回目の育苗箱Ｃの上面まで若干下動し、可動アーム１２６を外側へ可動して育苗箱Ｃの把持を解除する。
【００３９】
以上により、この段積設備１１０は、早送りコンベヤ１４７で搬送される育苗箱Ｃを下方から持ち上げて段積する段積装置１１７と、該段積装置１１７で段積された育苗箱Ｃを把持して横移動し積付ける積付装置１１８と、該積付装置１１８で育苗箱Ｃが積付けられる積付アーム１１９と、該積付アーム１１９を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構１２０を設けている。よって、積付装置１１８で育苗箱Ｃを直接積付アーム１１９に積付けるので、移載精度を良好に維持しながら、作業能率向上が図れる。
【００４０】
また、積付装置１１８は、段積された育苗箱Ｃを複数回に分けて上下に重ねて積付アーム１１９へ積付ける構成とし、前記複数回の積付は、段積された育苗箱Ｃを把持する把持位置Ｊよりも下位の位置へ積付ける形態と、把持位置Ｊよりも上位の位置へ積付ける形態とを有し、前記下位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから下降行程を介して積付け、前記上位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから上昇行程を介して積付ける構成としている。よって、下位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから下降行程を介して積付け、前記上位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Ｃを把持位置Ｊから上昇行程を介して積付ける構成としたので、複数回の積付における積付位置の高さが把持位置Ｊの高さに極力近くなり、複数回の積付の移送経路を全体的に短縮化でき、作業能率向上が図れる。
【００４１】
また、積付アーム１１９は、通常位置から往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを前記所定位置にある載台１１１ａ上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台１１１ａ上へ移載し、前記下動した状態のままの復行程の横移動で載台位置から退避位置Ｊへ退避する構成とし、積付装置１１８は、積付アーム１１９に最初に育苗箱Ｃを積付けるとき、前記退避位置Ｊにある積付アーム１１９に直接積付け、次の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に積付ける前に、積付アーム１１９を通常位置Ｈへ上動する構成としている。よって、積付アーム１１９に最初に育苗箱Ｃを積付けるときは、退避位置Ｊにある積付アーム１１９に直接積付けるので、積付アーム１１９が退避位置Ｊから通常位置Ｈに上動するのを待たずして育苗箱Ｃを積付けることができ、作業能率の向上が図れる。尚、段積装置１１７が計１０枚の育苗箱Ｃを段積して積付装置１１８が最初の育苗箱Ｃを積付アーム１１９に積付けるまでの所要時間は、積付アーム１１９が通常位置Ｈから育苗箱Ｃを出芽台車１１１の手前側の載置位置に載置して退避位置Ｉに戻るまでの所要時間と略同等である。
【００４２】
また、積付アーム１１９は、該積付アーム１１９の手前側と奥側の位置に育苗箱Ｃを積付ける構成とし、前記奥側の位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを前記所定位置にある載台１１１ａ上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台１１１ａ上へ移載し、復行程の横移動で上動しながら通常位置Ｈへ復帰し、前記手前側の位置に積付けるときは、通常位置Ｈから往行程の横移動で段積された育苗箱Ｃを前記所定位置にある載台１１１ａ上へ移動し、下動して段積された育苗箱Ｃを載台１１１ａ上へ移載し、復行程の横移動で退避位置Ｉへ移動し、退避位置Ｉから通常位置Ｈへ上動する構成としている。よって、奥側の位置に積付けるときは、積付アーム１１９が復行程の横移動で上動しながら通常位置Ｈへ復帰するので、積付アーム１１９の通常位置Ｈへの復帰を早めることができ、作業能率の向上が図れる。
【００４３】
段積された育苗箱を収容する出芽台車１１１は、約３日間出芽室４８内で発芽処理される。出芽室１１２内で発芽した育苗箱群は、緑化台車１４６へ積み替えるにあたり、パレットＰ又は出芽台車１１１ごと育苗箱積替装置１４３に供給される。
【００４４】
ところで、育苗箱Ｃは、底板部と四方の側壁部とを備えて上方が開口した周知の構成であり、側壁部の上部が外方に突出して縁部を構成している。育苗箱Ｃは、平面視で長手方向６０ｃｍ、短手方向３０ｃｍの長方形状となっている。
【００４５】
次に、播種機側コンベヤとなる育苗箱搬送コンベヤ１０３から早送りコンベヤ１４７までの育苗箱搬送装置について説明する。育苗箱搬送コンベヤ１０３は、育苗箱搬送用駆動モータにより播種設備１０２上で育苗箱Ｃを駆動搬送する構成であり、その搬送終端部は複数の播種機側搬送ローラ１０３ａにより構成されている。育苗箱搬送コンベヤ１０３の直後には、該育苗箱搬送コンベヤ１０３に続くフリーコンベヤ１４８を設けており、該フリーコンベヤ１４８により育苗箱Ｃを非駆動で搬送する。フリーコンベヤ１４８は、自由回転する複数の搬送ローラ１４８ａを搬送方向に配列した構成となっている。フリーコンベヤ１４８の直後には、該フリーコンベヤ１４８に続いて早送りコンベヤ１４７を設けており、該早送りコンベヤ１４７は、左右に２本設けた搬送チェーン１４７ａにより育苗箱Ｃを搬送する構成であり、育苗箱搬送コンベヤ１０３の搬送速度よりも高速で育苗箱Ｃを駆動搬送する。尚、フリーコンベヤ１４８の長さは、２４ｃｍ〜３６ｃｍの長さ、すなわち育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの５分の２以上５分の３以下の長さで、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さ（６０ｃｍ）よりも短く設定されている。
【００４６】
また、フリーコンベア１４８上には、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とす土除去具１４９を左右に設けている。この土除去具１４９は、育苗箱Ｃの外側面に接触するブラシ状の形態であり、極力、育苗箱Ｃの搬送抵抗とならないように構成されている。尚、土除去具１４９を板状のスクレーパにより構成してもよい。土除去具１４９は、搬送方向においてフリーコンベヤ１４８の互いの搬送ローラ１４８ａの間に配置し、異なる搬送ローラ１４８ａの間に複数個設けられてフリーコンベヤ１４８の搬送方向に複数個配列されている。尚、土除去具１４９は、互いの搬送ローラ１４８ａの間の中央の位置に配置されている。
【００４７】
尚、播種設備１０２の播種作業能力を１０００箱／Ｈｒとしたとき、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動による搬送速度は１０ｍ／ｍｉｎ、早送りコンベヤ１４７の駆動による搬送速度は１５ｍ／ｍｉｎとなる。播種設備１０２の播種作業能力を２０００箱／Ｈｒとしたとき、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動による搬送速度は２０ｍ／ｍｉｎ、早送りコンベヤ１４７の駆動による搬送速度は３０ｍ／ｍｉｎとなる。つまり、早送りコンベヤ１４７の駆動による搬送速度は、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動による搬送速度の１．５倍となる。尚、育苗箱Ｃの重さは、培土及び灌水による水分が充填されている状態で約７ｋｇである。
【００４８】
以上により、この育苗箱搬送装置は、播種設備１０２上で育苗箱Ｃを駆動搬送する播種機側コンベヤとなる育苗箱搬送コンベヤ１０３と、該育苗箱搬送コンベヤ１０３に続いて育苗箱Ｃを非駆動で搬送するフリーコンベヤ１４８と、該フリーコンベヤ１４８に続いて前記育苗箱搬送コンベヤ１０３の搬送速度よりも高速で育苗箱Ｃを駆動搬送する早送りコンベヤ１４７を設け、前記フリーコンベヤ１４８の長さを、育苗箱Ｃの搬送方向の長さよりも短く、育苗箱Ｃの搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定している。
【００４９】
これにより、育苗箱搬送コンベヤ１０３で駆動搬送される育苗箱Ｃは、やがて育苗箱搬送コンベヤ１０３の終端から突出し、育苗箱搬送コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８の間に跨って搬送される。このとき、育苗箱搬送コンベヤ１０３の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、フリーコンベヤ１４８は非駆動であるので搬送による摩擦抵抗は極めて小さく、フリーコンベア１４８の長さ分すなわち育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの５分の２以上５分の３以下の部分には搬送の駆動力が伝わらないことになるが、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの少なくとも約半分の残りの部分に育苗箱搬送コンベヤ１０３から搬送の駆動力が伝えられるので、円滑に育苗箱Ｃを搬送できる。その後、育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨るが、育苗箱Ｃはフリーコンベヤ１４８の全長で受けられ、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの約半分の部分に育苗箱搬送コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の搬送の駆動力が伝えられ、育苗箱搬送コンベヤ１０３と早送りコンベヤ１４７の搬送速度の相違で育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３と早送りコンベヤ１４７に対してスリップしながら搬送されるが、搬送による摩擦抵抗は比較的小さくなる。それから、育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３から離れてフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨ると、育苗箱Ｃの長手方向（搬送方向）の長さの少なくとも約半分の部分に早送りコンベヤ１４７から搬送の駆動力が伝えられて、早送りコンベヤ１４７の駆動力により育苗箱Ｃが搬送され、搬送による摩擦抵抗は極めて小さくなる。よって、育苗箱搬送コンベヤ１０３から早送りコンベヤ１４７への育苗箱Ｃの搬送において、フリーコンベヤ１４８の介在により搬送による摩擦抵抗を極力小さくしながら、育苗箱Ｃは育苗箱搬送コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７の少なくとも一方の駆動力で搬送されるから、育苗箱Ｃを円滑に搬送でき、育苗箱搬送コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗を抑えると共に、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃を抑え、育苗箱Ｃ内で培土や種子が偏るのを防止することができる。
【００５０】
また、育苗箱Ｃが育苗箱搬送コンベヤ１０３とフリーコンベヤ１４８と早送りコンベヤ１４７の間に跨るときでも、駆動する育苗箱搬送コンベヤ１０３及び早送りコンベヤ１４７が、育苗箱Ｃの底面の搬送方向の長さの半分程度（５分の２以上５分の３以下程度）に接触して育苗箱Ｃを搬送できるため、育苗箱の円滑搬送、育苗箱搬送コンベヤ１０３、早送りコンベヤ１４７又は育苗箱Ｃの底面の摩耗の抑制、搬送における育苗箱Ｃへの衝撃の抑制、育苗箱Ｃ内での培土や種子の偏り防止が図れる。
【００５１】
また、自由回転する複数の搬送ローラ１４８ａを搬送方向に配列してフリーコンベヤ１４８を構成し、フリーコンベア１４８上に、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とす土除去具１４９を設け、土除去具１４９によりフリーコンベア１４８上で育苗箱Ｃの外側面に付着する土を落とすので、土除去具１４９による育苗箱Ｃの搬送抵抗で育苗箱Ｃの外側面が摩耗しにくくなると共に、育苗箱Ｃが外側面に付着する土を落とした状態で早送りコンベヤ１４７へ供給され、育苗箱Ｃが外側面に付着した土が早送りコンベヤ１４７の側方ガイド１４７ｂに接触して搬送抵抗となるのを防止でき、また以降の段積設備１１０のリフト機構すなわち支持板１２２により適正に育苗箱Ｃを支持できることにより育苗箱Ｃを適正に上昇させることができ、育苗箱Ｃの段積を適正に行える。
【００５２】
また、搬送方向における互いの搬送ローラ１４８ａの間に土除去具１４９を配置し、該土除去具１４９を前記搬送方向に複数個配列したので、土除去具１４９により除去した土を搬送ローラ１４８ａの間を介して下方に排出でき、フリーコンベヤ１４８上に土が残ることで搬送が円滑に行われなくなるようなことを防止できる。また、土除去具１４９を複数個配列することにより、育苗箱Ｃの外側面に付着する土を徐々に且つ確実に除去でき、土除去具１４９が育苗箱Ｃの搬送抵抗となるのを極力抑えることができる。
【００５３】
緑化室２００での育苗の他、温室等の栽培施設１５０において植物を栽培することができる。この栽培施設１５０は、複数の栽培ベッド１５１を列状に配置して栽培条１５２を複数形成し、各々の栽培条間に通路１５３を設けている。尚、通路１５３は、任意の栽培条間にのみ設ける構成としてもよい。通路１５３上には温湯を流して栽培施設１５０内を暖房する暖房配管１５４を設け、この暖房配管１５４に暖房用ボイラ１５５から温湯が供給される暖房装置を設けている。各々の栽培ベッド１５１は、ロックウールで構成され、２〜３個のロックウールキューブ１５６を載置し、該ロックウールキューブ１５６に１株ずつ植物を移植して複数株（２〜３株）の植物を栽培する構成となっている。栽培ベッド１５１の両側に支脚１５７を設け、該支脚１５７の上端部で容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１を跨ぐように支持している。容器装填部材１５８は、養液を収容する養液収容容器１５９を装填する装填台を備えている。容器装填部材１５９は、栽培ベッド１５１の上方で、ロックウールキューブ１５６の上方でない隣り合うロックウールキューブ１５６の間の部分すなわち植物株がない部分の上方で支持される。
【００５４】
養液収容容器１５９の下部には、収容する養液を吐出する吐出口を複数個（３個）設けている。この吐出口に養液供給管１６０の一端を接続し、養液供給管１６０の他端をロックウールキューブ１５６に接続し、養液供給管１６０により、養液収容容器１５９内の養液を各植物の株元位置へ供給する構成となっている。尚、植物が養液を吸収してロックウールキューブ１５６の養液の保有量が減少すると、自ずと養液供給管１６０を介してロックウールキューブ１５６へ養液が供給される構成となっている。養液収容容器１５９は、各々の栽培ベッド１５１毎に設定される。
【００５５】
養液収容容器１５９には、該養液収容容器１５９内の養液量を検出する養液量センサ１６１を設けている。この養液量センサ１６１が、養液収容容器の養液供給に関する情報を検出する検出器となる。また、養液収容容器１５９には、前記養液量センサ１６１が検出する養液量を管理制御装置１６２へ送信する養液用の情報送信機１６３を設けている。従って、養液用の情報送信機１６３が、前記検出器で検出した情報を管理制御装置１６２へ送信する。管理制御装置１６２は、養液用の情報送信機１６３からの入力により、各々の養液収容容器１５９内の養液量の減少を判断し、モニター１６４等の表示装置に表示する。これにより、養液の残量が少ない養液収容容器１５９を判別し、新たな養液収容容器１５９の装填準備をすることができる。また、各々の栽培ベッド１５１における所定時間当たりの養液の使用量を演算でき、例えば、養液の使用量が多い栽培ベッド１５１では栽培が良好に行われていると判断し、養液の使用量が少ない栽培ベッド１５１では病害の発生等により栽培不良が発生していると判断できる。従って、管理制御装置１６２により、各々の栽培ベッド１５１毎の養液供給に関する情報を管理できる。
【００５６】
各々の栽培ベッド１５１の上方には、当該栽培ベッド１５１で栽培される植物を撮影する撮影装置１６５を設けている。よって、この撮影装置１６５は、栽培ベッド１５１で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置となる。尚、撮影装置１６５は、全ての栽培ベッド１５１毎に設けるが、一部の栽培ベッド１５１の上方にのみ設けてもよい。撮影装置１６５による撮影画像が管理制御装置１６２に入力され、管理制御装置１６２内で撮影画像を解析することにより、植物の萎れの発生や植物の成育状況を判断できる。一方、複数の肥料の種類に対応して該肥料を貯留する複数の肥料タンク１６６と、原水を貯留する原水タンク１６７と、複数の肥料タンク１６６及び原水タンク１６７から各々の肥料又は原水を任意の割合で調合して養液収容容器１５９へ供給する養液調合装置１６８を設けている。尚、養液調合装置１６８は、各々の肥料タンク１６６又は原水タンク１６７からの肥料又は原水の供給量を調節する調節弁１６９と、各々の肥料タンク１６６又は原水タンク１６７からの肥料又は原水を混合して養液収容容器１５９へ充填する混合部１７０を備えている。そして、養液の残量が少ない養液収容容器１５９を判別し、新たな養液収容容器１５９の装填準備として養液収容容器１５９を作成する。尚、後述する栽培状況等の情報により、養液収容容器１５９内の養液の残量が少なくなくても、新たな養液収容容器１５９の装填準備として養液収容容器１５９を作成することもできる。また、撮影装置１６５の検出による栽培情報及び養液量センサ１６１の検出による養液収容容器１５９内の養液の使用量に基づいて、管理制御装置１６２により養液調合装置１６８を制御して所望の養液を充填した養液収容容器１５９を作成する。すなわち、所定時間当たりの養液収容容器１５９内の養液の使用量に基づき、養液の使用量が多いときは栽培が良好で旺盛であると判断し、肥料濃度や窒素成分が低い養液を充填して養液収容容器１５９を作成する。逆に、養液の使用量が少ないときは病害の発生等により栽培不良であると判断し、肥料濃度や窒素成分が高い養液を充填して養液収容容器１５９を作成する。また、撮影装置１６５の検出により植物に萎れがあるときは、給液量を増やすべく養液収容容器１５９内の養液の充填量を増やす。尚、養液のｐＨを調整するための酸タンクを設け、養液調合装置１６８により酸タンクから酸を供給してもよい。
【００５７】
以上により、この栽培施設１５０は、複数の栽培ベッド１５１を設け、該栽培ベッド１５１毎に複数株の植物を栽培し、養液を収容する養液収容容器１５９と、該養液収容容器１５９を装填する容器装填部材１５８と、該容器装填部材１５８に装填された養液収容容器１５９内の養液を各植物の株元位置へ供給する養液供給管１６０を、栽培ベッド１５１毎に設けている。よって、養液収容容器１５９、容器装填部材１５８及び養液供給管１６０からなる養液供給ユニットが栽培ベッド１５１毎に設けられるので、従来の養液供給装置のように栽培施設全体に養液供給のための配管を張り巡らせる必要がなく、前記配管の削減によりコストダウン及び該配管の詰まり防止等のメンテナンスが図れ、従来のような養液供給装置の故障等により栽培施設全体に支障が発生することを防止し、日射量の相違や病害の発生等による栽培ベッド１５１毎の植物の栽培状況の相違に対応して、適切に養液を供給できる。
【００５８】
また、栽培施設１５０は、複数の栽培ベッド１５１を列状に配置して栽培条１５２を形成し、任意の栽培条間に通路１５３を設け、栽培ベッド１５１の両側に設けた支脚１５７により、容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１の植物株がない部分の上方で支持する構成としている。よって、容器装填部材１５８を栽培ベッド１５１の植物株がない部分の上方で支持するので、容器装填部材１５８及び養液収容容器１５９を植物の邪魔にならない位置で且つ通路１５３上でない位置に配置でき、作業者が通路１５３から栽培ベッド１５１の植物への栽培管理作業を容易に行うことができる。
【００５９】
また、栽培施設１５０は、養液収容容器１５９の養液供給に関する情報を検出する検出器となる養液量センサ１６１と、該養液量センサ１６１で検出した養液の残量や所定時間当たりの使用量の情報を管理制御装置１６２へ送信する養液用の情報送信機１６３を、各養液収容容器１５９毎に設け、養液用の情報送信機１６３の送信により情報が入力される管理制御装置１６２を設け、該管理制御装置１６２により、各々の栽培ベッド１５１毎の養液供給に関する情報を管理する構成としている。よって、栽培ベッド１５１毎の給液量や給液時間や給液の有無等の養液供給に関する情報を管理でき、例えば、給液量が多いと植物が良好に栽培されていると判断し、給液量が少ないと植物に病害が発生していると判断し、給液が行われていないと植物が萎れていると判断する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況を素早く判断でき、この判断に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【００６０】
また、複数の肥料の種類に対応して該肥料を貯留する複数の肥料タンク１６６と、該複数の肥料タンク１６６から各々の肥料を任意の割合で調合して養液収容容器１５９へ供給する養液調合装置１６８と、栽培ベッド１５１で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置となる撮影装置１６５と、該撮影装置１６５の検出に基づいて肥料の調合割合を変更するべく養液調合装置１６８を制御する制御装置となる管理制御装置１６２を設けている。これにより、撮影装置１６５の検出に基づいて肥料の調合割合を変更して養液収容容器１５９内に養液を充填するので、例えば、植物の萎れが多い場合はその栽培ベッド１５１への給液量を増やすべく養液収容容器１５９を早めに作成したり養液収容容器１５９内に多量の養液を充填したりし、植物の成育が旺盛過ぎる場合は養液の肥料濃度が低くなるよう又は養液の窒素成分が少なくなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成し、逆に植物の成育が促進されない場合は養液の肥料濃度が高くなるよう又は養液の窒素成分が多くなるよう肥料を調合して養液収容容器１５９を作成する等、栽培ベッド１５１毎の栽培状況に迅速に対応して養液収容容器１５９により栽培ベッド１５１毎に適正に養液を供給でき、収穫量の増大及び品質向上が図れる。
【００６１】
ところで、イチゴの栽培においては、クラウン部１７１の冷却をするための冷却配管１７２を、栽培ベッド１５１の上方に配置することができる。尚、冷却配管１７２は、ポリエチレンを材質とする屈曲可能なホースで構成されている。この冷却配管１７２にはドライアイスを気化した冷却気体を流すようになっており、冷却配管１７２の適宜の位置に設けた放出孔から冷却気体を放出し、クラウン部１７１を冷却する。前記冷却気体は、ドライアイスを気化した二酸化炭素であるので、光合成を促すこともできる。これにより、冷却気体を冷却配管１７２に送るための送風装置で冷却装置を構成できるので、コストダウンが図れる。尚、ドライアイスは、生鮮業界で不要になったものを使用すればよく、安価に入手できる。従来は、冷却配管に冷却水を送水する冷却装置であるので、送水ポンプやチラー等が必要となり、冷却装置が高額となるおそれがある。
【００６２】
また、異なる冷却装置として、栽培ベッド１５１の両側から下方にパッド１７３を垂らし、パッド１７３の上端を吊り下げ支持する支持パイプ１７４を栽培ベッド１５１の両側に設け、該支持パイプ１７４内に送水して支持パイプ１７４の適宜の位置に設けた吐出孔から水をパッド１７３に供給し、送風装置からの風をパッド１７３に当てて栽培ベッド１５１を冷却する構成とすることができる。支持パイプ１７４は、栽培ベッド１５１の支持も兼ねており、栽培ベッド１５１の両側に設けた脚部１７５により支持されている。送風装置は、冬期等に栽培施設を暖房する暖房装置を利用する。この暖房装置は、ボイラ等の加温装置により加温された空気を送る暖房ダクト１７６を備え、該暖房ダクト１７６の適宜位置に設けた温風吹出口から温風を吹き出す構成となっている。従って、送風装置として使用するときは、加温装置の運転を停止し、暖房ダクト１７６の温風吹出口から常温の空気を吹き出してパッド１７３に当てることになる。尚、暖房ダクト１７６は、複数の栽培ベッド１５１を列状に配列する栽培条に沿って設けられ、栽培ベッド１５１の下方に設けているが、通路１５３上に設けてもよい。従って、濡れたパッド１７３に風があたることにより気化熱が生じ、それに伴う冷気がパッド１７３から上方の栽培ベッド１５１に行き渡り、栽培ベッド１５１を冷却する。よって、チラー等の装置が不要であり、また暖房装置を利用するため、冷却装置のコストダウンが図れる。尚、栽培ベッド１５１の下方の空間は左右のパッド１７３に挟まれた位置にあるので冷却され易く、その空間の冷気を上方の栽培ベッド１５１へ供給して効率良く冷却することができる。
【００６３】
尚、栽培施設１５０内の適宜位置には、栽培施設１５０内の空気を循環及び対流させるためのファンを複数設けている。このファンからの風によりパッド１７３から気化熱を発生させて栽培ベッド１５１を冷却する構成としてもよい。通常、ファンは、栽培施設１５０内の複数箇所に設けた温湿度センサの検出に基づき、異なる箇所の間で温度又は湿度の差が大きいときに作動する。複数のファンは、一方向に風を送る正風用のファンと、前記一方向とは逆方向に風を送る逆風用のファンに区別され、風を送る向きと交差する方向に沿って正風用のファンと逆風用のファンを交互に配置している。また、温度又は湿度の差に応じて駆動するファンの個数を設定する構成であり、例えば、温度又は湿度の差が比較的小さいときは正風用のファンと逆風用のファンを各々半分だけ駆動し、温度又は湿度の差が極めて大きいときは正風用のファンと逆風用のファンを全て駆動する構成となっている。これにより、さほど空気の循環又は対流が不要なときは一部のファンのみ駆動することができるので、省エネルギー化が図れる。尚、駆動するファンの個数で調整する構成に代えて、ファンの回転速度を変更して調整する構成とすることもできる。
【００６４】
栽培ベッド１５１でイチゴを栽培した後は、ロックウールで形成される栽培ベッド１５１にイチゴの栽培株１７７が残るため、栽培ベッド１５１ごと廃棄し、新たな栽培ベッド１５１により次期の栽培を行うようにしているが、そうすると栽培のコストが増大してしまう。そのため、栽培ベッド１５１からイチゴの栽培株１７７を取り除いて、栽培ベッド１５１を再利用することが考えられるが、取り除いた栽培株１７７にロックウールの培地が多く付着し、培地の補充が必要となる。そこで、栽培ベッド１５１上の栽培株１７７を除去しながら、除去した栽培株１７７に付着する培地１７８を分離して栽培ベッド１５１に還元する栽培株除去機１７９を使用することができる。この栽培株除去機１７９は、栽培株を掘り起こす耕うん爪１８０と、掘り起こした栽培株から培地を選別する選別装置となる振動網１８１と、栽培ベッド１５１の縁上（支持パイプ１７４上でもよい）を走行する前後左右計４輪の走行車輪１８２と、作業者が機体全体を移動させるための把持部１８３を備えている。機体上部に設けた駆動モータ１８４の駆動により、耕うん用チェーン１８５を介して耕うん爪１８０及び前側の走行車輪１８２を駆動すると共に、振動用チェーン１８６及び偏心カム１８７を介して振動網１８１を振動させる。尚、耕うん爪１８０及び前側の走行車輪１８２は、同一の駆動軸１８８により駆動して一体回転する構成となっている。耕うん爪１８０及び前側の走行車輪１８２の駆動により、栽培株１７７を掘り起こしながら機体が走行する構成であるが、思うように走行しないときは把持部１８３を把持して機体全体を移動走行させることができる。耕うん爪１８０で掘り起こした栽培株１７７は、耕うん爪１８０の直後に設けた振動網１８１上に載せられ、振動網１８１の振動により、付着する培地を振動網１８１を介して下方の栽培ベッド１５１上に振り落として還元する。また、振動網１８１の振動により、振動網１８１上の栽培株１７７は、徐々に後方に移動し、振動網１８１の後端から栽培ベッド１５１上に落とされる。作業者は、栽培ベッド１５１上に落とされた栽培株１７７を回収すればよい。これにより、作物を替える際の前作物の栽培株１７７の除去作業が容易に行えて作業能率が向上すると共に、培地１７８を低減でき、栽培コストの低減が図れる。
【００６５】
培地としては、ロックウール以外に通常の培土を使用することもできる。この培土として、窒素の添加量が５０〜１００ｍｇ／ｌで、硝酸態窒素又は硝酸カリウムの成分がアンモニア態窒素の成分よりも多い配合とすることができる。これにより、植物の初期成育を旺盛にし、培土の肥効を長期間維持させることができる。また、硝酸態窒素の添加量が５０ｍｇ／ｌ以上では、初期成育の促進効果は変わらず、逆に肥効の維持が困難となるため、窒素の添加量が５０〜２５０ｍｇ／ｌで、硝酸態窒素の添加量が３０〜５０ｍｇ／ｌの培土とすることができる。尚、培土は、一株毎に分離されたセルを縦横に備える苗トレイで苗を育苗する際、培地充填が容易となるので有用である。
【００６６】
ビニポットで一株ずつ育苗したトマト等の苗を移植機で移植するとき、ビニポットを一株ずつ取り外さなければならないので、苗補給作業が面倒である。そこで、事前に苗をビニポットから取り出して前記苗トレイのセルに装填しておき、苗トレイにより複数株の苗を同時に搬送できるようにしておけば、苗の搬送やセルからの苗分離は容易となるので、苗補給作業が容易で移植作業能率の向上が図れる。尚、事前に苗をビニポットから取り出す作業を省略するため、苗をビニポットごと苗トレイのセルに装填し、移植作業時にビニポットから苗を取り出して補給することができる。このとき、ビニポットから苗を取り出し易いように、セルの深さよりもビニポットの深さが高く、セルの上端からビニポットの上端が突出する構成とすればよく、例えば、セルの深さ７．５〜８．５ｃｍに対し、ビニポットの深さを９．５ｃｍとして、ビニポットの上端が１〜２ｃｍ突出する構成とすればよい。
【００６７】
また、苗トレイで育苗した苗を輸送するにあたり、従来は苗トレイごと輸送用のダンボール製の運搬箱内に収容していたので、苗トレイがある分、容積がかさばって運搬箱で多数の苗を輸送できない。そこで、苗トレイから苗を取り出して運搬箱に直接収容することで、多数の苗を運搬箱内に収容することができる。そのとき、不良苗を除去して選別し、良品の苗のみ運搬箱内に収容すればよい。これにより、苗トレイを回収できるので、苗の販売価格を低価格にできる。苗の葉茎部には蒸散防止剤を塗布すれば、輸送中の苗の萎れを防止できる。また、苗の床土部（根鉢部）にはアルギン酸ナトリウムのような糊剤を塗布すれば、輸送中の床土部（根鉢部）の損傷や崩壊を防止できる。尚、糊剤の効力は２日程度しか維持されず、苗の移植後の根の伸長を阻害するようなことを防止する。また、運搬箱の内側面にエチレンガス吸着剤を塗布すれば、輸送中の苗の品質を維持でき、運搬箱内の底部に吸水用の高分子吸水剤を敷設すれば、運搬箱内の水を吸収でき、輸送中の苗の病害発生予防と老化予防を行える。尚、エチレンガス吸着剤に含有する過マンガン酸カリウムがエチレンガスと反応して、二酸化炭素と水が発生するが、水を高分子吸水剤で吸水できる。高分子吸水剤は、敷設しやすいようにシート状に形成してもよい。
【００６８】
尚、図１１及び図１２、図１３、図１４並びに図１５及び図１６における各々の栽培ベッド１５１は、多少異なる形状のものを示したが、何れの形状のものをどの実施形態に使用してもよく、全ての実施形態において同様の形状の栽培ベッド１５１としてもよい。つまり、同一の栽培ベッド１５１において、前記全ての実施形態を実施することもできる。
【００６９】
ところで、播種設備１０２の播種装置１０６で播種する種子は、温湯加温・冷却設備となる種子消毒設備により事前に消毒される。この種子消毒設備は、前工程から後工程の順に温湯消毒装置Ａ、種子冷却装置Ｂ、乾燥装置Ｏを順次設けている。温湯消毒装置Ａは、箱型の温湯槽となる温湯消毒槽１を設け、温湯消毒槽１の上方には多数の種子バケット２を循環移送する温湯用移送装置となる循環移送装置３を設けている。尚、前記温湯消毒槽１は、１１個の種子バケット２を連ねて収容できる構成となっている。また、種子バケット２には、所定量ごとに種子を収容する網状の種子袋Ｐを入れるようになっている。
【００７０】
種子バケット２は、上方に向く開口部８６を備え、下部を丸棒の棒材８７ａを交差させた格子８７で構成し、上部の側面を外向きにパンチング孔８８ａを打ち抜いたパンチングメタル８８で構成している。前記パンチング孔８８ａは外向きに打ち抜かれているので、打ち抜きによって立ち上がるバリ等が外向きに立ち上がり、内面側は滑らかとなる。
【００７１】
循環移送装置３は移送始端側にあって多数の孔を形成する種子バケット２を下降させて温湯消毒槽１内の温湯に浸漬させる下降装置３ｄと、温湯消毒槽１内を浸漬した状態で種子バケット２を移送する移送装置３ａと、移送終端側にあって温湯消毒槽１内を浸漬した種子バケット２を上昇させる上昇装置３ｂと、上昇装置３ｂで上昇させた種子バケット２を下降装置３ｄまで戻す戻し装置３ｃとを備えている。
【００７２】
移送装置３ａは、種子バケット２の上端に設けた縁部２ａを左右下側から受ける案内レール部４を備え、移送始端部には種子バケット２を移送させるためのチェン式の移送コンベア５を左右に設けている。移送コンベア５は、周回経路の適宜位置に種子バケット２を移送させる押し用突起５ａを備え、該押し用突起５ａが種子バケット２の縁部の左右に固着した左右方向の固着軸２ｂを移送方向に押すことで当該種子バケット２を移送し、移送下手側の種子バケット２が順次移送上手側の種子バケット２に押されて温湯消毒槽１内で種子バケット２が移送されていく構成となっている。
【００７３】
上昇装置３ｂは、案内レール部４の終端（移送終端）にある種子バケット２の固着軸２ｂが引っ掛かる持上げ用突起６ａを備えるチェン式の上昇コンベア６を左右に設けている。従って、該上昇コンベア６の駆動により、案内レール部４の終端（移送終端）にある種子バケット２の固着軸２ｂが持上げ用突起６ａに持上げられ、種子バケット２が上昇する構成となっている。上昇コンベア６は、持上げ用突起６ａが固着軸２ｂに引っ掛かる上昇始端位置から種子バケット２を上昇させるにつれて移送装置３ａの移送方向に移動させる斜めの移動経路（周回経路）を備えた側面視で三角形状の周回経路で周回する。そして、前記斜めの移動経路の途中で種子バケット２を反転させる反転カム７を左右に設けており、種子バケット２の上昇で前記反転カム７が種子バケット２の縁部２ａにおける固着軸２ｂの一方側（移送装置３ａの移送方向側、種子冷却装置Ｂ側）に上側から接触して押し下げることにより、固着軸２ｂを支点に種子バケット２をその上部の開口部が種子冷却装置Ｂ側に向くように反転させ、種子バケット２内の種子袋Ｐを種子冷却装置Ｂの冷却バケット８へ排出する構成となっている。尚、温湯消毒槽１の上端から反転カム７の位置にかけて、上昇あるいは反転する種子バケット２から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽１へ案内するガイド板９を設けている。このガイド板９により、種子バケット２から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽１へ戻して温湯消毒槽１内の熱の放出を抑えると共に、前記温湯が種子冷却装置Ｂの冷却槽１０に垂れ落ちることによる冷却効率の低下を防止できる。
【００７４】
戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは、種子バケット２の固着軸２ｂが引っ掛かる搬送用突起１１ａを備えるチェン式の戻しコンベア１１を左右に備えて構成されている。尚、前記搬送用突起１１ａは、戻しコンベア１１の周回方向の前後に対向して配置され、前後の突起１１ａで固着軸２ｂを挟むようにして保持する構成となっている。従って、上昇装置３ｂの上昇コンベア６でその上端部に上昇した種子バケット２を、前記戻しコンベア１１が、受け継いで移送装置３ａの移送始端側に横移動した後、下降させてその下降経路の途中の種子袋供給位置ｒで待機させる。この種子袋供給位置ｒで、種子バケット２は温湯消毒槽１の上方に位置しており、作業者が当該種子バケット２に種子袋Ｐを供給するようになっている。そして、移送装置３ａが作動して移送始端部に種子バケット２を収容するスペースができると、戻しコンベア１１を作動させて前記種子袋供給位置ｒにある種子バケット２を下降させ、種子バケット２を戻しコンベア１１の下端から温湯消毒槽１へ落下して供給する。尚、種子袋供給位置ｒで待機する種子バケット２は、下部の前側が温湯消毒槽１に取り付けたガイド１２に接触し、上部の開口部が前側に向くように傾く。これにより、作業者が種子バケット２に種子（種子袋Ｐ）を容易に供給できる。更に、種子バケット２が傾いている分、種子バケット２が温湯消毒槽１の温湯に浸されない高さで且つ当該種子バケット２の前記開口部の高さを極力低く設定することができるため、種子バケット２への種子（種子袋Ｐ）の供給が容易である。
【００７５】
また、種子袋供給位置ｒにある種子バケット２を下降させて戻しコンベア１１の下端から温湯消毒槽１へ落下するとき、種子バケット２の縁部２ａが案内レール部４に衝突することにより騒音が発生したり衝撃で縁部２ａを変形させるおそれがある。そこで、種子バケット２の縁部２ａが案内レール部４に衝突する前に種子バケット２の底部が温湯消毒槽１の底面に接触するよう、温湯消毒槽１の底面の一部に隆起させた隆起部を設け、該隆起部に落下する種子バケット２の底部が先ず接触する構成とすれば、衝突する部分が水中であるので衝撃音を抑えられ、また縁部２ａの変形を防止して循環移送装置３による種子バケット２の移送の適正化が図れる。
【００７６】
尚、移送装置３ａ、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは種子バケット２を同時に間欠的に移送する構成であるが、移送装置３ａは複数の種子バケット２を同時に移送し、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは各々単一の種子バケットを移送する構成であり、移送装置３ａ、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄで各々の移送ピッチが異なる構成となっている。尚、下降装置３ｄは種子バケット２を種子袋供給位置ｒに移送した状態で停止する。従って、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄの移送速度が移送装置３ａの移送速度より速く設定されており、空の種子バケット２の数を減らすことにより、コストダウンが図れると共に、温湯消毒槽１の上方の空の種子バケット２の数が少ないため、作業者が温湯消毒槽１内の消毒状況や運転状況を視認するときに空の種子バケット２が邪魔になりにくい。
【００７７】
また、移送装置３ａで間欠的に移送される種子バケット２の移送は、移送中の時間より移送停止状態の時間の方が長くなるように設定されている。従って、温湯消毒槽１内の後述する温水噴出口１３の上方に種子バケット２を長く滞留させることができ、種子の殺菌効果を高めることができる。また、移送装置３ａの移送停止時間を長くすることで、これに連動する上昇装置３ｂ及び下降装置３ｄの停止時間を長く設定することができるので、種子袋供給位置ｒでの種子バケット２の停止時間を長く設定でき、停止している種子バケット２に種子（種子袋Ｐ）を容易に供給できる。また、前記移送装置３ａの移送停止時間を調節する切替装置となる調節ダイヤル８９により長時間加温状態と短時間加温状態とに切り替えできる構成となっており、この移送停止時間の切替により同一の種子バケット２が温湯消毒槽１に浸漬される総時間を変更できる。尚、短時間加温状態のときの種子バケット２の間欠的な移送時間の周期は、長時間加温状態のときの２分の１に設定される。従って、種子の品種に応じて種子の消毒時間を変更することができる（例えば、うるち米の種籾は１０分間浸漬し、もち米の種籾は６分間浸漬する等）。これにより、移送装置３ａの移送中の移送速度を変えずに容易に浸漬時間を変えることができる。尚、移送装置３ａ、上昇装置３ｂ、戻し装置３ｃ及び下降装置３ｄは、共通の駆動源であるモータ９０により作動する。従って、調節ダイヤル８９からの信号により制御部４３を介してモータ９０へ出力される構成となっている。
【００７８】
また、種子消毒作業中に装置の故障や点検等のために非常停止したときは、その非常停止時間を計測して前記の消毒時間に加算する制御がなされる。従って、非常停止した分、移送装置３ａで間欠移送の停止時間が短くなる。このとき、非常停止中に設定の消毒時間に達した場合は、ランプ等の警報手段により警報する。よって、種子を必要以上に長く温湯に浸漬することにより、種子割れ等の種子の損傷を防止できる。
【００７９】
温湯消毒槽１内の底部には所定間隔毎に温水噴出口１３を配設し、間欠移送されながら停止している種子バケット２の停止位置下方に温水噴出口１３を位置させ、種子バケット２に向けて温水を噴出し、温水が種子バケット２の孔を通過し網状の種子袋Ｐに収容する種子（種籾）に作用する構成としている。なお、温湯消毒槽１の底部を前後方向中間部に向けて下り傾斜に構成し、中間部に排水溝１４を構成している。
【００８０】
尚、全ての温水噴出口１３を前側（種子投入側）に向けるようにすれば、温湯消毒槽１内の前側（種子投入側）部分の温湯の温度を高くでき、種子バケット２にて温湯消毒槽１内に種子を投入するときにこの投入部周辺の温湯の温度低下を抑えることができ、温湯消毒槽１内の温湯の温度の均一化が図れる。
【００８１】
温湯消毒槽１の後工程には供給シュート１５を介して種子冷却装置Ｂを設けている。この種子冷却装置Ｂには、供給シュート１５の後側に前後方向に長い種子冷却槽１０を設け、この種子冷却槽１０には前側から後側に向けて複数の冷却バケット８を設けている。冷却バケット８は多数の孔を形成し、左右方向の軸８ａにより横軸心回動自在に支持している。そして、冷却バケット８が軸８ａを軸心に回動反転すると冷却バケット８内に収容する種子袋Ｐが次の冷却バケット８に収容される構成である。従って、冷却バケット８及び軸８ａ等により、冷却用移送装置を構成している。尚、冷却バケット８は、反転時に小さく２度回動して種子袋Ｐの排出を確実に行うようにしている。冷却槽１０内には各冷却バケット８の収容部ごとに槽内を仕切る仕切り壁１６を設けており、この仕切り壁１６は種子の排出側（排出シュート１７側）のものほど高くなっている。そして、冷却槽１０に新たな水を供給する冷却用給水口１８が種子冷却槽１０内において種子の排出側（排出シュート１７側）の端部の位置で給水する構成となっており、冷却用給水口１８からの冷却水は冷却槽１０内において仕切り壁１６で仕切られる前記排出側の区画から順次供給されていくことになる。
【００８２】
尚、種子バケット２が上昇装置３ｂで上昇して反転カム７で反転する直前に到達したことをセンサで検出すると、最も温湯消毒装置Ａに近い冷却バケット８が反転してから元に戻り、その後種子バケット２が上昇して反転カム７で反転する構成となっている。これにより、種子バケット２から冷却バケット８に種子を供給する直前に当該冷却バケット８の種子を次の冷却バケット８に供給することができ、冷却バケット８による種子の冷却時間を長くすることができて冷却効果を高めることができる。
【００８３】
また、種子バケット２の容積より冷却バケット８の容積が大きく設定されている。よって、種子バケット２の容積が小さいので、温湯消毒槽１内の種子バケット２が供給されない不要な部分を小さくして温湯を効率良く使用できる。また、冷却バケット８の容積が大きいので、後述する空気噴出口１９からの空気により種子の攪拌が容易になり、冷却効果が高まる。
【００８４】
また、冷却槽１０の冷却バケット８の下方には、空気噴出管２０をそれぞれ設け、ブロワ２１により空気噴出口１９に空気を供給し、浸漬中の冷却バケット８に向けて空気を噴出する構成としている。また、温湯消毒槽１にも空気噴出管１９を設けており、この空気噴出管１９は、温水噴出口１３を備える温水管２２の上側で平面視で交差（直交）するように配置されている。温水管２２は温湯消毒槽１の長手方向（前後方向）に延び、温水噴出口１３が左右に温湯を噴出するので、温湯消毒槽１の短手方向（左右方向）の対流が前後方向の全体にわたって均等に発生し、温湯消毒槽１内の温度むらを抑えることができる。空気噴出管１９は、停止する各種子バケット２の下方に位置しており、各種子バケット２へ向けて空気を噴出することにより全ての種子を均等に攪拌できる。
【００８５】
前記ブロア２１は冷却槽１０用と温湯消毒槽１用とで共通であり、温湯消毒槽１の空気噴出管１９へは温湯消毒槽１の外面（側面）で接触する前後に長い接触管２３を介して空気が供給される。この接触管２３により、温湯消毒槽１へ供給する空気の温度を上昇させることができ、温湯消毒槽１内の温度低下を防止している。
【００８６】
次に種子消毒の工程について説明する。
下降装置３ｄの途中の種子袋供給位置ｒに停止している種子バケット２に種子を収容した網状の種子袋Ｐを供給する。そして種子袋供給位置ｒから温湯消毒槽１内まで下降装置３ｄで種子バケット２を下降して温湯に浸漬する。
【００８７】
温湯消毒槽１内では種子バケット２は移送装置３ａで移送され、移送装置３ａは間欠駆動する。そして、種子バケット２は温水噴出口１３に対向する位置に停止し、停止した状態で噴出する温水に晒され、種子袋Ｐ内の種子の消毒作用を促進するものである。
【００８８】
各温水噴出口１３毎に設定時間停止しながら移送された種子バケット２は移送終端側で上昇装置３ｂによって引き上げられる。そして上昇装置３ｂの途中にある反転装置７で種子バケット２が反転し、種子バケット２内の種子袋Ｐは排出され、供給シュート１５を通過して冷却槽１０の始端側の冷却バケット８内に供給される。
【００８９】
空になった種子バケット２は上昇装置３ｂで引き続いて上方に移送され、次いで、戻し装置３ｃで移送始端側に向けて温湯消毒槽１の上方を間欠移送され、下降装置３ｄで再度種子袋供給位置ｒに循環移送される。
【００９０】
なお、循環移送装置３は間欠駆動の代わりに低速で連続的に駆動するように構成してもよい。
冷却槽１０の冷却バケット８に供給された種子袋Ｐは冷却水により冷却される。冷却バケット８は循環移送装置３の間欠駆動と連動する構成とし、温湯消毒槽１から種子冷却槽１０へ次の種子袋Ｐが供給される前に回動反転して次の冷却バケット８へ種子袋Ｐを供給し、温湯消毒槽１からの種子袋Ｐを受け入れる。すなわち、冷却終端側の冷却バケット８から順次回動反転することで種子袋Ｐを順に次の冷却バケット８に移送すると共に、冷却始端側の冷却バケット８に温湯消毒槽１からの種子袋Ｐを受け入れるようにしている。
【００９１】
そして、複数の冷却バケット８を順次通過した種子袋Ｐは排出シュート１７から排出され、次工程の乾燥装置Ｏで乾燥される。
この種子消毒装置は、温湯を貯留する温湯槽１と、冷却水を貯留する冷却槽１０と、温湯槽１内において種子を複数の種子バケット２内に収容して冷却槽１０側へ順次移送した後、種子を冷却槽１０の冷却バケット８へ順次供給する温湯用移送装置３と、冷却槽１０において種子を前記冷却バケット８により排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、温湯用移送装置３による各種子バケット２の冷却バケット８への種子の供給時間間隔を、冷却用移送装置による冷却バケット８の排出側への種子の移送時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置による冷却バケット８の排出側への種子の移送時間間隔の複数分の１となる短時間加温状態とに切り替える切替装置８９を設けている。
【００９２】
従って、種子バケット２内に収容した種子は、温湯用移送装置３により温湯槽１内において冷却槽１０側へ順次移送されながら処理され、種子バケット２は、最終的に種子を冷却槽１０の冷却バケット８へ供給する。冷却バケット８は、冷却槽１０において種子を排出側へ順次移送しながら種子を冷却する。そして、切替装置８９を長時間加温状態に切り替えると、各種子バケット２が冷却バケット８へ種子を供給する度に、冷却バケット８は種子を排出側へ移送する。切替装置８９を短時間加温状態に切り替えると、複数の種子バケット分の種子を同じ冷却バケット８へ供給し、種子バケット２から冷却バケット８へ種子を複数回供給する度に、冷却バケット８は種子を排出側へ移送する。従って、温湯槽１での加温時間の変更に拘らず、冷却槽１０での冷却時間は一定になる。
【００９３】
よって、種子を温湯槽１及び冷却槽１０で連続的に移送させて高能率化を図ると共に、加温可能な時間が短い品種では切替装置８９を短時間加温状態に切り替え、加温可能な時間が長い品種では切替装置８９を長時間加温状態に切り替えることにより、加温により種子の発芽障害や消毒不足を防止しながら、加温時間の変更に拘らず冷却時間を一定にして適正な冷却効果を得ることができ、冷却不足による発芽障害や処理能率の低下を防止できる。
【００９４】
また、種子バケット２は、上方に向く開口部８６を備え、下部を棒材８７ａを交差させた格子８７で構成し、上部の側面を外向きにパンチング孔８８ａを打ち抜いた板状のパンチングメタル８８で構成し、反転して種子を冷却槽１０の冷却バケット８へ供給する構成としている。
【００９５】
従って、種子バケット２が反転することにより該種子バケット２から冷却バケット８へ種子を供給するが、種子バケット２の側面を外向きにパンチング孔８８ａを打ち抜いたパンチングメタル８８で構成しているので、種子バケット２に収容した種子袋Ｐ等を種子バケット２の側面に引っ掛けずに該側面上を滑らせて円滑に冷却バケット８へ供給できる。また、温湯槽１内において、循環及び攪拌される温湯及びエアは、種子バケット２の下部の格子８７から種子バケット２内に円滑に供給される。
【００９６】
よって、温湯槽１内において循環及び攪拌される温湯を種子バケット２の下部の格子から種子バケット２内に円滑に供給できるので、種子の加温処理を良好に行えると共に、種子バケット２から冷却バケット８へ円滑に種子を供給できるので、加温処理後に即座に冷却処理がなされないことによる種子の発芽障害や処理能率の低下を防止できる。
【００９７】
この種子消毒装置によると、前後に長い温湯消毒槽１により複数の種子バケット２を移送しながら連続的に能率的に温湯消毒することができ、また、温湯消毒装置Ａから種子冷却装置Ｂに種子袋Ｐを簡単に供給することができる。
【００９８】
また、循環移送装置３が設定時間毎に間欠駆動するため、一つの種子バケット２が温湯に浸漬する時間を一定にすることができ、かつ停止毎に温水にさらされるため、多数の種子袋Ｐに均一な消毒を効率よく行うことができる。そして、冷却バケット８と循環移送装置３は連動して駆動するため、種子袋Ｐを冷却水に浸漬する時間をも一定にすることができ多数の種子袋Ｐに均一な冷却を行なうことができる。
【００９９】
また、温水噴出口１３を温湯消毒槽１内全体にわたって設定間隔毎に配置することで、温湯消毒槽１内の温度むらを防止し、種子バケット２内の種子袋Ｐの種子に温湯の浸透が均等化し、温湯殺菌効果を高めることができる。また、種子バケット２を温湯消毒槽１内で間欠移送することにより、種子の浸漬、離水が迅速になり、浸漬殺菌時間が正確となり、殺菌効果を高めることができる。すなわち、本実施の形態では１つの種子バケット２は１０箇所の温水噴出口１３毎にその上方で停止して浸漬される。
【０１００】
また、冷却槽１０内に空気を噴出させることで、冷却槽１０内の冷却水の温度上昇を低減する防止することができ、冷却効果を大きくすることができる。
また、冷却バケット８を所定時間毎に駆動反転させ、冷却水内で種子袋Ｐを所定時間停止冷却しながら移送するので、冷却効果を高めることができる。
【０１０１】
次に、温湯消毒槽１及び冷却槽１０に使用する温湯及び冷却水の供給経路について説明する。
温湯消毒槽１内には温湯オーバーフロー樋２４を設け、温湯オーバーフロー樋２４にオーバーフローした温湯は外部に排出される。また、温湯消毒槽１内には温湯オーバーフロー樋２４とは別の温湯排出口２５を設け、該温湯排出口２５から戻り経路となる温湯戻り路２６を介して切替弁２７に供給される。従って、前記切替弁２７の切替により、前記温湯排出口２５から温湯を排出する状態に切り替える構成となっている。
【０１０２】
そして、温湯戻り路２６からの温湯は、切替弁２７を介して給湯経路となる給湯路２８に供給される。該給湯路２８には、ポンプ２９及びヒータとなるインラインヒータ３０を設けている。尚、前記インラインヒータ３０は、ボイラ３１から各種バルブを備える蒸気供給路３２を介して水蒸気が供給され、熱量を得る構成である。この給湯路２８を介して温湯が温水噴出口１３から温湯消毒槽１へ供給される。尚、温湯消毒槽１内の温湯の温度は温湯用水温センサ３３により約６０℃になるよう制御する。
【０１０３】
また、冷却槽１０からオーバーフローした冷却水を、冷却水オーバーフロー樋３４、冷却水オーバーフロー経路となる還流路３５を経由して回収槽３６に還流するように構成している。回収槽３６内の冷却水は、給水経路となる給水路３７へ供給される。該給水路３７は、開閉弁３８を備え、前記切替弁２７へ水を供給する構成となっている。そして、切替弁２７の切替により、給水路３７の水を給湯路２８に供給する構成となっている。
【０１０４】
従って、切替弁２７は、給水路３７からの水を給湯路２８へ供給する水補給状態と、温湯戻り路２６からの温湯を給湯路２８へ供給する温湯循環状態とに切り替わる構成となっている。また、温湯消毒槽１には、水位計３９と前述した温湯用水温センサ３３とを設けている。よって、水位計３９の検出により温湯消毒槽１内の水位が設定値より低いことが制御部４０に入力されると、制御部４０からの出力により、開閉弁３８が開き、前記水補給状態に切替弁２７が切り替えられ、ポンプ２９が作動し、ボイラ３１が作動してインラインヒータ３０が作動し、回収槽３６内の水を加温しながら温湯消毒槽１に補給するよう制御される。このとき、温湯用水温センサ３３の検出により温湯消毒槽１内の温湯の温度が所望の温度に達している場合は、ボイラ２９並びにインラインヒータ３０を停止して、回収槽３６内の水を加温せずに温湯消毒槽１に補給するようになる。水位計３９の検出により温湯消毒槽１内の水位が設定値に達したことが制御部４０に入力されると、制御部４０からの出力により、開閉弁３８が閉じ、ボイラ２９並びにインラインヒータ３０を停止して、水の補給を停止する。温湯消毒槽１内の水位が設定値に達している場合に、温湯用水温センサ３３の検出により温湯消毒槽１内の温湯の温度が所望より低いことが制御部４０に入力されると、制御部４０からの出力により、前記温湯循環状態に切替弁２７が切り替えられ、ポンプ２９が作動し、ボイラ３１が作動してインラインヒータ３０が作動して、温湯消毒槽１内の温湯を循環しながら加熱し温湯が所望の温度（約６０℃）となるよう制御される。
【０１０５】
また、前記切替弁２７は、給水路３７からの水と温湯戻り路２６からの温湯とを混合して給湯路２８へ供給する混合状態に切り替えることができる構成となっている。更に、前記混合状態において、給水路３７からの水と温湯戻り路２６からの温湯との混合割合を変更して調節できるようになっている。これにより、温湯消毒槽１内の水位や水温に応じて、所望の水位及び水温に精度良く制御することができるようにしている。また、温湯消毒槽１内の水位が設定値に達している場合でも、温湯消毒槽１内の温湯が種子により汚れているときには、給水路３７からの水を温湯消毒槽１内に供給するようにし、汚れた温湯を温湯オーバーフロー樋２４からオーバーフローさせて外部に排出することができる。よって、温湯消毒槽１内の温湯が汚れている場合に種子消毒作業を中断して前記温湯を入れ替えるようなことをせずに、種子消毒作業をしながら温湯消毒槽１内の温湯を入れ替えることができ、種子消毒の連続作業が行えて作業能率の向上が図れる。
【０１０６】
この構成によると、熱効率の向上をはかり、使用水量の削減を図ることができる。特に、回収槽３６に貯留する水は、次回の種子消毒作業開始時に温湯消毒槽１に水を張り込むのに使用でき、あるいは非作業時に洗浄用の水として温湯消毒槽１に張り込むことができる。
【０１０７】
尚、温湯オーバーフロー樋２４からオーバーフローする温湯は二方向切替弁９１に供給され、一方に切り替えるとそのまま排出され、他方に切り替えると暖房用ポンプ９２を介して放熱管９３に供給されてから排出される。この放熱管９３は温湯消毒槽１の前側に配置されているので、種子袋供給位置ｒで種子バケット２へ種子袋Ｐを供給する作業者用の暖房となり、作業者の足冷えを防止し作業環境の改善が図れる。
【０１０８】
尚、上記とは別に、温湯消毒槽１に新たな水を供給するための給水手段となる消毒用給水口４１を設けている。また、前述のように、冷却槽１０に新たな水を供給するための給水手段となる冷却用給水口１８を設けている。冷却用給水口１８は、冷却槽１０内の水温を検出する冷却用の水温センサ４２の検出に基づいて、水温が所定温度より高いときに制御部４３からの信号により自動的に開いて給水する構成となっている。これにより、冷却槽１０内の水温を所望の温度に維持することができ、冷却効果を高めることができる。 尚、冷却用給水口１８は冷却槽１０内において種子の排出側（排出シュート１７側）の端部の位置で給水する構成となっているので、冷却用給水口１８からの冷却水は冷却槽１０内において仕切り壁１６で仕切られる前記排出側の区画から順次供給され、前記排出側の区画ほど水温を低くして種子が順次水温が低い区画に搬送されていく構成にでき、冷却効果を高めることができる。また、冷却槽１０の水を循環させながら冷却するチラー９４も備えている。
【０１０９】
また、作業開始時に温湯消毒槽１及び冷却槽１０へ水を供給するときは、先ず制御部４３からの信号により消毒用給水口４１を開き、回収槽３６に水があるときはポンプ２９及びインラインヒータ３０を作動させ、温湯消毒槽１内に水を充填し、インラインヒータ３０により温湯消毒槽１内の水を加温しながら制御部４３からの信号により冷却用給水口１８を開いて冷却槽１０へ水を供給する。これにより、温湯消毒槽１内の水を加温するのと同時に冷却槽１０へ水を供給するので、作業開始までの準備時間を短縮でき、作業能率を向上させることができる。
【０１１０】
尚、温湯消毒槽１及び冷却槽１０から水を抜いて空にするための排水口９８を各々設けている。制御装置は、運転終了スイッチを操作して全作業を終了すると、前記排水口９８が開き、温湯消毒槽１及び冷却槽１０を空にする。これにより、配管内の凍結による機器の故障や配管をはじめ温湯消毒槽１及び冷却槽１０の残水による雑菌の繁殖を防止する。温湯消毒槽１及び冷却槽１０には、各々の水の有無を検知する水有無センサ９９を設けている。運転開始スイッチを操作して作業を開始し、各々の水有無センサ９９が残水がないことを検出すると、排水口９８を閉じてから、消毒用給水口４１及び冷却用給水口１８を自動的に開く。これにより、排水口９８の閉め忘れによる作業開始時間の遅れや無駄な水の発生を防止し、省エネ効率の良い無人運転が可能となる。
【０１１１】
また、給湯路２８においてポンプ２９及びインラインヒータ３０の下手側の分岐点で分岐されるチラー洗浄用路９５を設けている。このチラー洗浄用路９５は、更に二又に分岐してチラー９４の吸込側経路と吐出側経路とに連通している。給湯路２８の分岐点よりも下手側に温湯槽用弁９６を設け、チラー９４の吸込側経路と吐出側経路に各々洗浄用弁９７を設けている。従って、作業終了後等、チラー９４を洗浄するとき、温湯槽用弁９６を閉じ、一方の洗浄用弁９７を開き、ポンプ２９を駆動することによって、チラー９４に温湯を供給して該チラー９４の内部配管等を洗浄できる。尚、洗浄用温湯の温度が低いときには、インラインヒータ３０を作動させればよい。また、開く洗浄用弁９７を切り替えることにより、正洗と逆洗との双方が行える。これにより、種籾のボウが詰まりやすく清掃が頻繁に必要なチラー９４を良好に洗浄できる。
【０１１２】
次に、乾燥及び保管工程について説明する。冷却装置Ｂの排出シュート１７から取り出した種子袋Ｐを、脱水機５１で脱水し、次いで、網コンテナ４６に段積みし、網コンテナ４６を水切りし、乾燥装置Ｏまたは乾燥室５２に送り込んで乾燥する。次いで、放冷室５３に網コンテナ４６を送り込んで放冷し、低温貯蔵庫５３に送り込み貯蔵する。この構成によると、網コンテナ４６に種子袋Ｐを段積みしたままで連続して乾燥、放冷、貯蔵をすることができ、作業時間を短縮し作業能率を高めることができる。
【０１１３】
次に、乾燥装置Ｏについて説明する。
乾燥室５５の一側には乾燥受け台５６を設け、他側には送風ファン５７、出芽用暖房機５８を設けている。乾燥室５５の底部には温風通路４４を設け、温風通路４４を経由して暖房機５８で温めた空気を送風ファン５７で送り、乾燥受け台５６に送り込むように構成している。
【０１１４】
また網コンテナ４６にコンテナシート４８を敷き込んで多数の種子袋Ｐを段積みし、この網コンテナ４６を乾燥受け台５６に載置する。そして、網コンテナ４６の上部にはダクトフード４７を載置し、ダクトフード４７の下部とコンテナシート４８の上部とを、例えばファスナ４９により密閉状に接続して簡易乾燥室を構成し、ダクトフード４７の上部と送風ファン５７とを循環通路４５により接続し、乾燥風を循環するように構成している。
【０１１５】
また、乾燥受け台５６には、下側が狭く上側の網コンテナ４６下部全面に向かって順次拡がる乾燥風路５６ａを仕切り板５６ｂにより仕切り構成し、温風通路４４から網コンテナ４６に向けて乾燥風を均等に送り込み、段積み種子袋Ｐを均等に乾燥するように構成している。前記構成によると、網コンテナ４６には下側から上側へ向けて均等な乾燥風が流れ、種子袋Ｐを均等に能率的に乾燥することができる。
【０１１６】
尚、冷却水オーバーフロー樋３４すなわち冷却水のオーバーフロー口を、冷却槽１０内において種子の投入側（温湯消毒装置Ａ側）の端部の位置に設けても良い。これにより、冷却槽１０において冷却用給水口１８とオーバーフロー口とを互いに対向する端部に配置することになり、種子を冷却することにより温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出しながら、冷却用給水口１８からの水をオーバーフローさせずに冷却槽１０内に効率良く供給することができるので、種子の冷却効果を高めることができる。また、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く回収槽３６に回収できるので、回収槽３６から給水路３７を介して給湯路２８へ供給される水の温度を高めることになり、ヒータ３０による加熱量を抑えることができ、ボイラ３１の燃費の削減が図れてランニングコストの低減が図れる。また、仕切り壁１６により冷却槽１０の種子投入側の区画ほど水温が高くなるようにしているので、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出できる。更に、各区画を経た上澄みの水をオーバーフロー口から回収できるので、きれいな水を温湯用として再利用することができる。
【０１１７】
そして、種子バケット２の底部には、温湯用の温度センサ１８９と、該温湯用の温度センサ１８９が検出する温度の情報及び当該種子バケット２の識別のための固有番号の情報を送信する情報送信機１９０を設けている。情報送信機１９０の送信により、温度の情報が管理制御装置１６２に入力され、管理制御装置１６２により、当該種子バケット２の温湯消毒槽１への浸漬時間に基づき、温湯の温度と浸漬時間を乗じて得られる積算時間を温度変化に対応しながら演算し、管理する。尚、管理制御装置１６２は、温度の情報が所定の低温（例えば４０℃）以下のときは、仮に温湯消毒槽１へ浸漬されていても種子への影響が小さいこともあるため温湯消毒槽１へ浸漬されていると判断せず、浸漬時間としてカウントしない。
【０１１８】
また、管理制御装置１６２は、温度の情報が前記所定の低温を超過した状態が、浸漬時間が循環移送装置３の移送の設定に基づく所定時間よりも少ないとき、警報を発する構成となっている。これにより、インラインヒータ３０やボイラ３１等の加温装置の故障で温湯消毒槽１の温湯の温度が極めて低温となった場合に警報でき、作業者が種子消毒設備の作動を停止させることにより、種子を所望の積算時間で消毒できずに冷却槽１０へ排出されるようなことを防止できる。逆に、温度の情報が極めて高温（例えば１００℃以上）であるときや、積算時間が所望の設定積算時間を超過するときは、警報を発する構成となっている。これにより、作業者が温湯消毒槽１内の種子バケット２を取り出して、加温過多により種子に障害を与えてしまうようなことを防止できる。尚、種子バケット２には取っ手２５０を設けており、作業者が取っ手２５０を把持して種子バケット２を移動させることができる。前記取っ手２５０は、種子バケット２の上方位置と種子バケット２の側方位置に回動し、通常は種子バケット２の側方位置で種子バケット２への種子袋Ｐの投入の邪魔にならないようになっている。
【０１１９】
よって、この温湯加温・冷却設備は、温湯を貯留する温湯槽となる温湯消毒槽１と、冷却水を貯留する冷却槽１０と、温湯消毒槽１内において種子を複数の種子バケット２内に収容して冷却槽１０側へ順次移送した後、種子を冷却槽１０へ順次供給する温湯用移送装置３と、冷却槽１０において種子を複数の冷却バケット８により排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、種子バケット２に温湯用の温度センサ１８９と情報送信機１９０を設け、該温湯用の温度センサ１８９の検出に基づき情報送信機１９０の送信により情報が入力される管理制御装置１６２を設け、該管理制御装置１６２により、種子バケット２の温湯消毒槽１への浸漬時間を管理する構成としている。
【０１２０】
従って、各々の種子バケット２において、温湯の温度と温湯に浸漬された浸漬時間を管理でき、積算時間を判断できるので、温湯消毒槽１内の温湯の温度変化や、循環移送装置３等の設備の故障があっても、所望の温度及び積算時間で適正に種子を加温することができ、種子の加温不足や加温過多を防止でき、種子に障害を与えることを防止しながら種子の消毒を適正に行える。
【０１２１】
また、個々の種子バケット２における積算時間を演算することにより、個々の種子袋Ｐの出荷において積算時間を履歴として開示することにより、種子の品質の信頼性を向上させることができる。
【０１２２】
同様に、冷却バケット８の底部には、冷却用の温度センサ２５１と、該冷却用の温度センサ２５１が検出する温度の情報及び当該冷却バケット８の識別のための固有番号の情報を送信する情報送信機１９０を設けている。情報送信機１９０の送信により、温度の情報が管理制御装置１６２に入力され、管理制御装置１６２により、当該冷却バケット８の冷却槽１０への浸漬時間に基づき、冷却の温度と浸漬時間を乗じて得られる積算時間を温度変化に対応しながら演算し、管理する。管理制御装置１６２は、積算時間が所望の設定積算時間を満たさないときは、警報を発する構成となっている。これにより、チラー９４等の冷却水供給装置の故障や、冷却バケット８の反転により排出側へ順次移送する冷却用移送装置の故障で、所望の冷却が行われていないことを判断でき、作業者が種子消毒設備の作動を停止させることにより、種子を所望の冷却能率で冷却できずに冷却槽１０から排出されるようなことを防止できる。
【符号の説明】
【０１２３】
１：温湯消毒槽、２：種子バケット、３：温湯用移送装置、１０：冷却槽、１０２：播種設備、１０３：育苗箱搬送コンベヤ、１４７：早送りコンベヤ、１４８：フリーコンベヤ、１４８ａ：搬送ローラ、１４９：土除去具、１５１：栽培ベッド、１５２：栽培条、１５３：通路、１５７：支脚、１５８：容器装填部材、１５９：養液収容容器、１６０：養液供給管、１６１：養液量センサ、１６２：管理制御装置、１６３：養液用の情報送信機、１６５：撮影装置、１６６：肥料タンク、１６８：養液調合装置、１８９：温湯用の温度センサ、１９０：情報送信機、Ｃ：育苗箱
【特許請求の範囲】
【請求項１】
播種設備（１０２）上で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する播種機側コンベヤ（１０３）と、該播種機側コンベヤ（１０３）に続いて育苗箱（Ｃ）を非駆動で搬送するフリーコンベヤ（１４８）と、該フリーコンベヤ（１４８）に続いて前記播種機側コンベヤ（１０３）の搬送速度よりも高速で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する早送りコンベヤ（１４７）を設け、前記フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さよりも短く設定した育苗箱搬送装置。
【請求項２】
フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定した請求項１に記載の育苗箱搬送装置。
【請求項３】
自由回転する複数の搬送ローラ（１４８ａ）を搬送方向に配列してフリーコンベヤ（１４８）を構成し、フリーコンベア（１４８）上に、育苗箱（Ｃ）の外側面に付着する土を落とす土除去具（１４９）を設けた請求項１又は請求項２に記載の育苗箱搬送装置。
【請求項４】
搬送方向における互いの搬送ローラ（１４８ａ）の間に土除去具（１４９）を配置し、該土除去具（１４９）を前記搬送方向に複数個配列した請求項３に記載の育苗箱搬送装置。
【請求項５】
温湯を貯留する温湯槽（１）と、冷却水を貯留する冷却槽（１０）と、温湯槽（１）内において種子を複数の種子バケット（２）内に収容して冷却槽（１０）側へ順次移送した後、種子を冷却槽（１０）へ順次供給する温湯用移送装置（３）と、冷却槽（１０）において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、種子バケット（２）に温度センサ（１８９）と情報送信機（１９０）を設け、該温度センサ（１８９）の検出に基づき情報送信機（１９０）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、種子バケット（２）の温湯槽（１）への浸漬時間を管理する構成とした温湯加温・冷却設備。
【請求項６】
複数の栽培ベッド（１５１）を設け、該栽培ベッド（１５１）毎に複数株の植物を栽培する栽培施設において、養液を収容する養液収容容器（１５９）と、該養液収容容器（１５９）を装填する容器装填部材（１５８）と、該容器装填部材（１５８）に装填された養液収容容器（１５９）内の養液を各植物の株元位置へ供給する養液供給管（１６０）を、栽培ベッド（１５１）毎に設けた栽培施設。
【請求項７】
複数の栽培ベッド（１５１）を列状に配置して栽培条（１５２）を形成し、任意の栽培条間に通路（１５３）を設け、栽培ベッド（１５１）の両側に設けた支脚（１５７）により、容器装填部材（１５８）を栽培ベッド（１５１）の植物株がない部分の上方で支持する構成とした請求項６に記載の栽培施設。
【請求項８】
養液収容容器（１５９）の養液供給に関する情報を検出する検出器（１６１）と、該検出器（１６１）で検出した情報を送信する養液用の情報送信機（１６３）を、各々の養液収容容器（１５９）毎に設け、養液用の情報送信機（１６３）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、各々の栽培ベッド（１５１）毎の養液供給に関する情報を管理する構成とした請求項６又は請求項７に記載の栽培施設。
【請求項９】
肥料を貯留する肥料タンク（１６６）と、該肥料タンク（１６６）から肥料を任意の割合で調合して養液収容容器（１５９）へ供給する養液調合装置（１６８）と、栽培ベッド（１５１）で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置（１６５）と、該状況検出装置（１６５）の検出に基づいて肥料の調合割合を変更するべく養液調合装置（１６８）を制御する制御装置（１６２）を設けた請求項６から請求項８の何れか１項に記載の栽培施設。
【請求項１】
播種設備（１０２）上で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する播種機側コンベヤ（１０３）と、該播種機側コンベヤ（１０３）に続いて育苗箱（Ｃ）を非駆動で搬送するフリーコンベヤ（１４８）と、該フリーコンベヤ（１４８）に続いて前記播種機側コンベヤ（１０３）の搬送速度よりも高速で育苗箱（Ｃ）を駆動搬送する早送りコンベヤ（１４７）を設け、前記フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さよりも短く設定した育苗箱搬送装置。
【請求項２】
フリーコンベヤ（１４８）の長さを、育苗箱（Ｃ）の搬送方向の長さの５分の２以上５分の３以下の長さに設定した請求項１に記載の育苗箱搬送装置。
【請求項３】
自由回転する複数の搬送ローラ（１４８ａ）を搬送方向に配列してフリーコンベヤ（１４８）を構成し、フリーコンベア（１４８）上に、育苗箱（Ｃ）の外側面に付着する土を落とす土除去具（１４９）を設けた請求項１又は請求項２に記載の育苗箱搬送装置。
【請求項４】
搬送方向における互いの搬送ローラ（１４８ａ）の間に土除去具（１４９）を配置し、該土除去具（１４９）を前記搬送方向に複数個配列した請求項３に記載の育苗箱搬送装置。
【請求項５】
温湯を貯留する温湯槽（１）と、冷却水を貯留する冷却槽（１０）と、温湯槽（１）内において種子を複数の種子バケット（２）内に収容して冷却槽（１０）側へ順次移送した後、種子を冷却槽（１０）へ順次供給する温湯用移送装置（３）と、冷却槽（１０）において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、種子バケット（２）に温度センサ（１８９）と情報送信機（１９０）を設け、該温度センサ（１８９）の検出に基づき情報送信機（１９０）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、種子バケット（２）の温湯槽（１）への浸漬時間を管理する構成とした温湯加温・冷却設備。
【請求項６】
複数の栽培ベッド（１５１）を設け、該栽培ベッド（１５１）毎に複数株の植物を栽培する栽培施設において、養液を収容する養液収容容器（１５９）と、該養液収容容器（１５９）を装填する容器装填部材（１５８）と、該容器装填部材（１５８）に装填された養液収容容器（１５９）内の養液を各植物の株元位置へ供給する養液供給管（１６０）を、栽培ベッド（１５１）毎に設けた栽培施設。
【請求項７】
複数の栽培ベッド（１５１）を列状に配置して栽培条（１５２）を形成し、任意の栽培条間に通路（１５３）を設け、栽培ベッド（１５１）の両側に設けた支脚（１５７）により、容器装填部材（１５８）を栽培ベッド（１５１）の植物株がない部分の上方で支持する構成とした請求項６に記載の栽培施設。
【請求項８】
養液収容容器（１５９）の養液供給に関する情報を検出する検出器（１６１）と、該検出器（１６１）で検出した情報を送信する養液用の情報送信機（１６３）を、各々の養液収容容器（１５９）毎に設け、養液用の情報送信機（１６３）の送信により情報が入力される管理制御装置（１６２）を設け、該管理制御装置（１６２）により、各々の栽培ベッド（１５１）毎の養液供給に関する情報を管理する構成とした請求項６又は請求項７に記載の栽培施設。
【請求項９】
肥料を貯留する肥料タンク（１６６）と、該肥料タンク（１６６）から肥料を任意の割合で調合して養液収容容器（１５９）へ供給する養液調合装置（１６８）と、栽培ベッド（１５１）で栽培される植物の状況を検出する状況検出装置（１６５）と、該状況検出装置（１６５）の検出に基づいて肥料の調合割合を変更するべく養液調合装置（１６８）を制御する制御装置（１６２）を設けた請求項６から請求項８の何れか１項に記載の栽培施設。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図３２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図３２】
【公開番号】特開２０１２−１０６３３（Ｐ２０１２−１０６３３Ａ）
【公開日】平成２４年１月１９日（２０１２．１．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１４９２００（Ｐ２０１０−１４９２００）
【出願日】平成２２年６月３０日（２０１０．６．３０）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１月１９日（２０１２．１．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月３０日（２０１０．６．３０）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
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