説明

育苗箱積重ね装置

【課題】一連の播種作業を施された育苗箱を積重ねるため、育苗箱を停止する際に衝撃が作用し、育苗箱の床土、覆土がズレることがあり、効率化、高速化の障害となっている。
【解決手段】搬送ローラ16により搬送される育苗箱は、搬送終端部Eで板バネ部材26に当接する。板バネ部材26は、下端部を固定部材に摺動して移動しつつその湾曲部を弾性変形して、上記衝撃を滑らかに吸収する。持上げ機構27,30,31により育苗箱を持上げる際に、全持上げストロークに亘って板バネ部材は育苗箱を前端規制板21に当接するように付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床土入れした育苗箱に、播種、潅水、覆土等の各種の作業を一連に施した後、上記育苗箱を積重ねて次の工程への運搬を容易とする育苗箱積重ね装置に係り、詳しくは個人農家向けに育苗箱を上方に持ち上げるように順次積重ねる積重ね装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人は、搬送装置にて順次搬送される育苗箱を、下から積上げるようにして順次積重ねる育苗箱積重ね装置を開発した(特許文献1参照)。
【0003】
該育苗箱積重ね装置は、搬送装置に沿って配置した、播種装置、潅水装置、覆土装置、土仕上装置等の各種作業装置の終端部に配置され、育苗箱の排出作業により各作業を中断することなく、連続して播種された育苗箱を積重ねることができ、作業の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−9208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近時、育苗箱への播種、覆土等の各作業の効率化、スピード化が求められており、搬送装置で積重ね装置に搬入される育苗箱の速度が高速化する傾向にある。該育苗箱の一連の作業は、床土、潅水、播種、覆土等の作業が連続して行い得るのに対し、育苗箱の積重ね作業は、間歇動作となるため、積重ね装置における育苗箱の搬送速度は、他の作業に比して高速で行う必要があり、上記育苗箱の一連の作業において、積重ね装置の搬送速度が上記スピード化及び効率化にとって重要な意味をもつ。
【0006】
積重ね装置に搬送される育苗箱は、リミットスイッチを作動して停止するが、搬入速度が速いと、停止する際に育苗箱に衝撃が作用し、該衝撃により育苗箱内の床土、覆土等が前方に片寄ってしまうことがあり、育苗箱に均平に床土、播種、覆土を敷いた適正な育苗箱作業に支障を生ずる虞れがある。
【0007】
そこで、本発明は、育苗箱が積重ね装置に搬入されて停止する際に、育苗箱に生じる衝撃を滑らかに吸収して、もって上述した課題を解決した育苗箱積重ね装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、育苗箱(19)を搬入部から終端部(E)へ向けて搬送する搬送部材(16)と、
前記終端部に配置され、前記育苗箱(19)が前記終端部に搬送されたことを検出する検出手段(71,72)と、
該検出手段の検出により、前記搬送された育苗箱を所定量持上げる持上げ機構(27,30,31,46)と、
前記持上げられた育苗箱を前記所定量持上げた位置に保持する保持部材(25,57)と、を備え、
前記順次搬送される育苗箱を前記持上げ機構により、既に保持部材にて保持されている育苗箱を押上げるようにして持上げ、育苗箱を積重ねてなる育苗箱積重ね装置(7)において、
前記終端部(E)に、前記搬入部から搬送される育苗箱(19)に当接し、滑らかに弾性変形して前記育苗箱が停止する際の衝撃を緩和する衝撃吸収部材(26)を配置した、
ことを特徴とする育苗箱積重ね装置にある。
【0009】
前記衝撃吸収部材は、上下方向を長手方向とし、中央部が搬送方向上流側に向って湾曲している板バネ部材(26)である。
【0010】
前記板バネ部材(26)は、上端部(26a)が固定部材(22,65)に支軸(66)により回転自在に支持され、下端部(26c)が固定部材(67)に摺接して上下方向移動自在に支持されてなる。
【0011】
前記板バネ部材(26)の上端部(26a)を支持する前記支軸(66)が、長孔(65a)により搬送方向に移動自在に固定されてなる。
【0012】
前記持上げ機構は、搬送方向に所定間隔隔てて配置された少なくとも2個の軸(27,27)と、これら軸に固定されたアーム(30)の先端に回転自在に支持される複数のローラ(31…)と、を有し、
前記軸(27)が、前記検出手段(71)の検出に基づき回転して前記複数のローラ(31…)を平行に昇降して、前記育苗箱(19)を持上げてなり、
該育苗箱を持上げる際に、該育苗箱の搬送方向上流側の前端部を規制する規制板(21…)を備え、
前記育苗箱(19)を前記持上げ機構にて持上げる際、該育苗箱を前記ローラ(31…)にて支持しつつ前記板バネ部材(26)にて前記規制板(21…)に付勢して位置決めしてなる。
【0013】
前記保持部材は、前記持上げられる育苗箱(19)の両側面を規制するように立設されたプレート(25…)と、該プレートに、内方に出没自在に付勢されて取付けられた保持片(57)とを、有し、
該保持片(57)は、下端部(57a)を前記プレート(25)に回転自在に支持され、上方に向って左右の前記プレート(25)の内方に突出するように傾斜する傾斜部(57b)と、傾斜部の上端から外方に延び、前記育苗箱(19)を支持し得る支持部(57c)と、を有し、前記持上げ機構による持上げ過程の育苗箱により前記プレート側に没入し、持上げ完了により内方に突出して前記支持部(57c)にて該育苗箱底面を支えてなる。
【0014】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載された構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によると、終端部に搬送された育苗箱が停止する際、育苗箱は、衝撃吸収部材に当接して、その運動エネルギを該衝撃吸収部材が弾性変形することにより吸収され、滑らか停止する。これにより、育苗箱の床土、覆土等が衝撃により片寄ることがなく、育苗箱は、適正な状態に維持されて、高速により積重ねることができ、該育苗箱積重ね装置の高速化により、一連の育苗箱への播種作業の効率化が可能となる。
【0016】
請求項2に係る本発明によると、衝撃吸収部材が、中央部を搬送方向上流側に向って湾曲した板バネ部材からなるので、育苗箱は、該板バネ部材の湾曲部を弾性変形することにより滑らかに停止され、かつ板バネ部材は、上下方向を長手方向とするので、持上げ機構による育苗箱の持上げストロークに対応して育苗箱に付勢力を作用することができる。更に、板バネ部材は、安価にして堅牢であるので、安価に製造できかつ長期に亘ってその性能を維持することができる。
【0017】
請求項3に係る本発明によると、板バネ部材は、上端部が支軸により回転自在に支持され、かつ下端部が上下方向移動自在に摺接しているので、育苗箱の衝撃を軟らかくかつ長いストロークで吸収することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によると、板バネ部材の上端部の支軸を長孔により搬送方向位置を調整自在に固定できるので、板バネ部材の育苗箱との当り具合、その衝撃吸収ストローク、バネ定数等を、育苗箱の搬送速度等に応じて適正に調整することができ、かつ使用による板バネ部材のバネ定数の変化に対しても、適正な値に再調整することができ、適正な育苗箱の衝撃吸収を長期に亘って維持することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明によると、育苗箱を持上げ機構で持上げる際、育苗箱は、持上げ機構のローラにより搬送方向移動自在に支持され、かつ上下方向に長い板バネ部材により上記持上げ機構による上昇中に亘って、その前端部が規制板に当接するように付勢されて、育苗箱は、前端部が揃えられて、正確に積重ねられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】育苗箱への一連の作業機全体(播種機)を示す側面図。
【図2】育苗箱積重ね装置を示す斜視図。
【図3】育苗箱が搬送された状態を示す斜視図。
【図4】育苗箱が積重ねられた状態を示す斜視図。
【図5】育苗箱積重ね装置を示す側面図。
【図6】育苗箱が搬送された状態を示す側面図。
【図7】育苗箱を持上げる状態を示す側面図。
【図8】育苗箱が積重ねられた状態を示す側面図。
【図9】育苗箱積重ね装置の一部断面した正面図。
【図10】育苗箱を持上げる状態を示す一部断面した正面図。
【図11】育苗箱が更に持上げられた状態を示す一部断面した正面図。
【図12】育苗箱積重ね装置の終端部を示す斜視図。
【図13】終端部を示す側面図。
【図14】育苗箱が搬送された状態の終端部を示す側面図。
【図15】育苗箱を持上げる状態の終端部を示す側面図。
【図16】一部変更した実施の形態による終端部を示す斜視図。
【図17】その側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態を説明する。図1は、育苗箱への一連の作業を連続して行う播種機Hを示す図であり、図1において、一直線状に連続する搬送システム1に、上流側から順次、播種装置2、潅水装置3、土入(覆土)装置4、土を平らに均す土仕上装置5、育苗箱の縁の内側の土を均す(土仕上装置5では困難)隅取り装置6、そして育苗箱積重ね装置7が配置されている。
【0022】
育苗箱積重ね装置7は、図2、図5に示すように、アジャスタ11付きの脚12に支持された平行な2本のフレーム13,13を有しており、左右フレーム13に亘って支持される複数の軸15…に搬送ゴムローラ(搬送部材)16…が固定されていると共に、上記左右フレーム13に沿ってそれぞれ複数の育苗箱ガイド17…が固定されている。前記フレーム13における育苗箱積重ね装置7の搬送上流側には、搬送ベルト18(図3,図4参照)用のローラ20が取付けアーム14を介して支持されていると共に、ガイドローラ24が回転自在に支持されている。これにより、育苗箱は、搬送ベルト18により搬送されつつ、上記各装置2,3,4,5,6により播種、整地された後、搬送ゴムローラ16により積重ね装置7に搬入、搬送される。この際、搬送ベルト18による搬送速度に対して、搬送ゴムローラ16は増速して回転し、速い速度で育苗箱を搬送する。
【0023】
左右フレーム13には、育苗箱19を通過し得る間隔hを存して、ブラケット28を介して育苗箱の上流側前端面を規制する規制板21,21が設けられている。また、積重ね装置7の搬送方向下流側終端部Eには、終端板22が配設されており、該終端板22には搬送方向上流側に立上って、泥付着防止用の終端規制板23が固定されている。左右フレーム13の前記前端規制板21及び終端板22に隣接して、それぞれ積上げプレート(側面規制板)25…が立設されており、育苗箱19は、その前端を前端規制板21,21に規制され、その左右両側端を4個の積上げプレート25…に規制され、そして後端を後述する板バネ部材26,26により付勢(規制)されて、積上げられる。更に、一方のフレーム13には上下方向に高さ調節自在に取付けプレート32が立設されており、該プレート32の上端部分に、積上げられた育苗箱の上限を検出するスイッチ33が設置されている。
【0024】
前記育苗箱積上げ部分における左右フレーム13には、2本のシャフト(軸)27,27が回転自在に支持されており、これらシャフト27には先端に支軸29を有するアーム30,30が固定されており、前記支軸29の左右端部には積上げローラ31,31が回転自在に支持されている。なお、前端側及び終端側の各積上げローラ31は、表面が平滑面からなり、また前記搬送ゴムローラ16…は、一部を除いて表面に凹凸が形成されたローレットローラからなるが、これは、育苗箱を確実に搬送すると共に、育苗箱底面のリムにより、ローラ表面に跡が付くことを減少するためである。積上げローラ31は、育苗箱を前後方向に移動自在に支持するだけで搬送力を付与する必要がなく、かつローラ表面に跡が残らないように、平滑面からなる。
【0025】
一方のフレーム13には、図5及び図9に詳示するように、モータ35が配設されており、該モータの出力軸35aはフレーム13の外側に突出して、大小のスプロケット36,37が固定されている。前記搬送ゴムローラ16の支持軸15にはスプロケット39…が固定されており、これらスプロケット39と前記大スプロケット36との間にはチェーン40が巻掛けられている。なお、スプロケット39’は、機体連結フレームパイプ41(図2参照)の中を通って他方のフレームに延びている軸に連結している。また、上記チェーン40にはテンションスプロケット38がスプリング42により付勢されて当接している。なお、図中60はチェーン等の伝動装置を覆う伝動カバー、62はモータケースである。前記前端側積上げローラ31のシャフト27にはスプロケット43が支持されており、該スプロケット43と前記小スプロケット37との間にチェーン45が巻掛けられている。
【0026】
上記スプロケット43とシャフト27との間にはドッククラッチ46が介在しており、該クラッチ46の被動側ボス46bは、スプリング48により駆動側ボス46aに係合するように付勢されていると共にピン47が植設され、該ピン47はクラッチ作動板49の先端カム(傾斜)面(図示せず)に当接して、1回転接続してシャフト27を回転した後切断するように構成されている。前記モータ35の支持ケースにソレノイド54が固定されており、該ソレノイド54の作動片54aと前記クラッチ作動板49をリンクプレート50,51を介して連結されている。従って、ソレノイド54を1回作動すると、リンクプレート50,51を介してクラッチ作動板49が支点49aを中心に時計方向に回転し、クラッチ46を接続してシャフト27を1回転する。
【0027】
シャフト27は左右両フレーム13,13に亘って延び、他方のフレーム13の外側にてカウンタギヤ53,スプロケット55及びチェーン56を介して終端側積上げローラ31のシャフト27に連結している。従って、始端側及び終端側の両シャフト27,27は、同じタイミングで逆方向に回転して、アーム30,30を介して各積上げローラ31…をシャフト27を中心に平行に回動する。上記左右のシャフト27、アーム30及び各積上げローラ31そしてその1回転駆動機構(46)が、育苗箱を所定量持上げる持上げ機構を構成する。
【0028】
前記各(4個の)積上げプレート25には、それぞれ線状の保持片57…がその下端部57aを支点として回動自在に支持されており、該保持片57は、左右両プレート25の内方に突出する傾斜部57bと、該傾斜面の上端から外方に向って延びる支持部57cと、更に該支持部57cの先端が折曲したストッパ57dと、からなる。該保持片57は、下端枢支部分において、プレート25の内方に突出するように付勢するトーションスプリング59が当接されており、前記ストッパ57dがプレート25の外側面に当接して、該内方突出位置が規制されている。上記積上げプレート25及び保持片57が、持上げられた育苗箱19を持上げ位置に保持する保持部材を構成する。
【0029】
積上げ装置7の終端部Eは、図12,図13に詳示するように、両フレーム13,13の終端部に亘って補助プレート63が連結されており、該補助プレートと共に両フレーム13にそれぞれ設けられた前記終端板22,22の上部裏面側にはブラケット65を介して支軸66が設けられていると共に、該支軸部分が開口している。上記支軸66にはベーナイト鋼等よりなる板バネ部材26の上端部26aが抜止めされて回動自在に支持されており、これら板バネ部材26は前記開口を通って終端板22の表面側に導かれて、上下方向を長手方向として下方に垂下している。該板バネ部材26は、中央部26bが育苗箱搬送方向上流側に向って突出するように湾曲しており、かつ垂下した下端部分26cが、フレーム13に取付けられたプレート67に上下方向に摺動自在に当接している。該板バネ部材26は、その湾曲部分26bにて搬送されてくる育苗箱19に当接して軟らかな(バネ定数の小さい)、比較的長いストロークで上記育苗箱の衝撃を吸収して滑らかに停止する。更に、持上げ機構による育苗箱の持上げストロークの間、育苗箱19を前端規制板21に向けて付勢する。上記板バネ部材26が、育苗箱に当接して滑らかに弾性変形して、育苗箱が停止する際の衝撃を緩和する衝撃吸収部材を構成する。
【0030】
一方の終端板22にはブラケット70を介してリミットスイッチ71が配設されており、また上記ブラケット70に終端板22よりも搬送方向上流側に突出する3角形状の作動板72が枢支されている。該作動板72はピン73を介して上記リミットスイッチ71を作動するように構成されており、育苗箱19が終端部に到着して停止したことを検出し、該リミットスイッチ71の検出信号により前記ソレノイド54を作動する。これらリミットスイッチ71、作動板72が、育苗箱が終端部に搬送されたことを検出する検出手段を構成する。
【0031】
ついで、上述した構成に基づく、本育苗箱積重ね装置7の作動について説明する。各装置2,3,4,5,6を通って播種、整地された育苗箱19は、搬送ベルト18により本積重ね装置7に搬入される。すると、搬送ゴムローラ16…により増速されて、かつ育苗箱ガイド17,17に案内されて終端部Eに向って搬送される。該育苗箱19は、図3に示すように、終端板22に当接する前に板バネ部材26の湾曲部26bに当接する。すると、板バネ部材26は、図14に示すように、上端部26aを支点にして下端部26cがプレート67に摺動しつつ下方に延びるように弾性変形して、育苗箱19は、運動エネルギ(衝撃)を吸収されて滑らか停止する。これにより、育苗箱19は、比較的速い速度で搬送されてきても、その中の土が片寄ることなく適正な状態のまま停止する。
【0032】
上記育苗箱19の終端部Eへの到達を、作動板72を介してリミットスイッチ71が検出することにより、ソレノイド54が作動してその作動片54aを伸長する。これにより、リンクプレート50,51を介して作動板49を回動して、その先端カム面によるピン47の掣肘を解除して、スプリング48によりドッククラッチ46を接続する。すると、モータ35に基づくスプロケット43の回転が前端側シャフト27に伝達されると共に、他側の伝動装置53,55,56を介して終端側シャフト27に伝達され、図6及び図10に示すように、アーム30を介して各積上げローラ31…をシャフト27を中心として平行に回動する。更に、図7及び図11に示すように、各積上げローラ31…が回動すると、育苗箱19は、搬送ゴムローラ16から積上げローラ31に移載されて、各積上げプレート(側面規制板)25…に案内されて上方に持上がる。
【0033】
この際、各保持片57…は、育苗箱19がその傾斜部57bに当接することにより、スプリング59に抗して外方に回動し、そして前記積上げローラ31の上端回動付近で支持部57cに対応し、スプリング59に順じてストッパ57dがプレート25に当接する通常規制位置に戻り、これにより育苗箱19は持上げられた位置に保持される。シャフト27が更に回転して、各積上げローラ31が上端位置を過ぎて下降しても、上記保持片57の支持部57cにより育苗箱19は持上げられた位置に保持されて各積上げローラ31のみが下降する。この状態では、ソレノイド54が非作動状態に戻されており、作動板49はドッククラッチ46のボス外周面に摺接する通常位置にあり、被動側ボス46bの回転によりピン47が先端カム(傾斜)面に当接して、被動側ボス46bをスプリング48に抗して移動して、シャフト27の1回転終了時に対応して該クラッチ46が切断され、シャフト27及び積上げローラ31は停止する。
【0034】
また、上記積上げローラ31による育苗箱19の持上げ時、図15に示すように、その全ストロークに亘って板バネ部材26が育苗箱19の後端面に当接して、該育苗箱を前端規制板21に当接するように付勢する。これにより育苗箱19は、積上げローラ31により前後方向移動自在に支持されていることが相俟って、前端規制板21により前端が整列され、かつ両側端を各積上げプレート(側面規制板)25…により整列されて持上げられる。
【0035】
順次搬入される育苗箱19は、図4,図8に示すように、積重ね装置7により下段から順次積上げられ、上限リミットスイッチ33が最上端の育苗箱19を検出まで繰返される。
【0036】
ついで、図16,図17に沿って一部変更した実施の形態を説明する。なお、本実施の形態は、板バネ部材26の取付け部のみが相違し、他の部分は同一なので、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
後端板22の取付けブラケット65には、搬送(前後)方向に延びる長孔65aが形成されており、支軸66がボルト及びナットにより上記長孔に沿って移動自在かつ所定位置にて固定自在に支持されている。該支軸66には板バネ部材26の上端部26aが回転自在にかつ抜止めされて支持されている。
【0038】
従って、本実施の形態による板バネ部材26は、その上端取付け位置を前後方向に調節することにより、育苗箱19が板バネ部材26に当接開始する位置、衝撃吸収ストローク、バネ定数等を調整することができる。これにより、製品出荷時に、各積上げ装置の個性に合せて、また搬送スピードに合せて調整し、最適な板バネ部材26の取付位置に調整して出荷することができる。また、メンテナンス時に調整することにより、経年変化、又は搬送スピードに対応して板バネ部材を調整することができる。
【符号の説明】
【0039】
7 育苗箱積重ね装置
16 搬送部材(搬送ゴムローラ)
19 育苗箱
21 (前端)規制板
22 固定部材(終端板)
25 (積上げ)プレート
26 衝撃吸収部材(板バネ部材)
27 軸(シャフト)
30 アーム
31 (積上げ)ローラ
57 保持片
57a 下端部
57b 傾斜部
57c 支持部
65 固定部材(ブラケット)
65a 長孔
66 支軸
E 終端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗箱を搬入部から終端部へ向けて搬送する搬送部材と、
前記終端部に配置され、前記育苗箱が前記終端部に搬送されたことを検出する検出手段と、
該検出手段の検出により、前記搬送された育苗箱を所定量持上げる持上げ機構と、
前記持上げられた育苗箱を前記所定量持上げた位置に保持する保持部材と、を備え、
前記順次搬送される育苗箱を前記持上げ機構により、既に保持部材にて保持されている育苗箱を押上げるようにして持上げ、育苗箱を積重ねてなる育苗箱積重ね装置において、
前記終端部に、前記搬入部から搬送される育苗箱に当接し、滑らかに弾性変形して前記育苗箱が停止する際の衝撃を緩和する衝撃吸収部材を配置した、
ことを特徴とする育苗箱積重ね装置。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材は、上下方向を長手方向とし、中央部が搬送方向上流側に向って湾曲している板バネ部材である、
請求項1記載の育苗箱積重ね装置。
【請求項3】
前記板バネ部材は、上端部が固定部材に支軸により回転自在に支持され、下端部が固定部材に摺接して上下方向移動自在に支持されてなる、
請求項1記載の育苗箱積重ね装置。
【請求項4】
前記板バネ部材の上端部を支持する前記支軸が、長孔により搬送方向に移動自在に固定されてなる、
請求項3記載の育苗箱積重ね装置。
【請求項5】
前記持上げ機構は、搬送方向に所定間隔隔てて配置された少なくとも2個の軸と、これら軸に固定されたアームの先端に回転自在に支持される複数のローラと、を有し、
前記軸が、前記検出手段の検出に基づき回転して前記複数のローラを平行に昇降して、前記育苗箱を持上げてなり、
該育苗箱を持上げる際に、該育苗箱の搬送方向上流側の前端部を規制する規制板を備え、
前記育苗箱を前記持上げ機構にて持上げる際、該育苗箱を前記ローラにて支持しつつ前記板バネ部材にて前記規制板に付勢して位置決めしてなる、
請求項2ないし4のいずれか記載の育苗箱積重ね装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−195562(P2010−195562A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44809(P2009−44809)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000147693)株式会社石井製作所 (17)
【Fターム(参考)】