説明

胃腸炎の治療用組成物

胃腸管の炎症性疾患及び状態、例えば食道に影響を及ぼす炎症性疾患の症状及び付随する炎症、及び状態を治療、予防又は軽減する方法が、本明細書において提供される。また、本発明の方法に有用な医薬組成物も本明細書において提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
胃腸管の炎症性疾患及び状態、例えば食道に影響を及ぼす炎症性疾患の症状及び付随する炎症、及び状態を治療、予防又は軽減する方法に関する。
【0002】
相互参照
本出願は、2007年11月13日付け出願の米国特許仮出願第60/987,720号;2007年12月6日付け出願の米国特許仮出願第61/012,012号;2007年12月21日付け出願の米国特許仮出願第61/015,998号;2008年1月8日付け出願の米国特許仮出願第61/019,818号;2008年3月7日付け出願の米国特許仮出願第61/034,941号;2008年3月10日付け出願の米国特許仮出願第61/035,348号;2008年5月16日付け出願の米国特許仮出願第61/054,103号;2008年5月16日付け出願の米国特許仮出願第61/054,104号;2008年5月16日付け出願の米国特許仮出願第61/054,105号;2008年5月16日付け出願の米国特許仮出願第61/054,106号;2008年5月16日付け出願の米国特許仮出願第61/054,107号;及び2008年8月20日付け出願の米国特許仮出願第61/090,658号の利益を主張し、これらの出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
食道の炎症性疾患は、大人と子供の両方で次第に認められつつある。一つの例は、好酸球性食道炎(EE又はEoE)であり、これは食道での高濃度の好酸球及び基底領域(basal zone)過形成に特徴がある新たに出現し、急増している疾患である。EE(EoE)は、少なくとも患者の一部において、食物アレルギー又は大気中アレルゲン暴露によって誘発されると考えられる(1−5、44)。EE(EoE)の診断は、多くの場合、他の過敏性疾患、例えば喘息、鼻炎、並びにその他の食物及び空気アレルゲン吸入感受性に関連している(39−40)。診断は、多くの場合、例えば幼児において行われ、食道粘膜生検内の高倍率視野当たり15〜20個以上又は24個以上の好酸球(eos/hpf)の発見によって決まる(6−12)。
【0004】
他のアトピー性疾患と同様に、EE(EoE)の発生率は、次第に増加していると思われる(15、35)。この疾患は、逆流様症状、疼痛及び嚥下障害、すなわち胃食道逆流性疾患(「GERD」)の症状と同じような臨床症状を示し得る(42)。EE(EoE)の症状としては、例えば、腹痛、胸痛、窒息、嚥下困難、成長障害、悪心、標準的アンチフラックス(anti−flux)療法で軽減されない逆流、皮膚発疹又はじん麻疹、嘔吐、及び体重減少が挙げられる。一つの系において、EE(EoE)患者の15%は、同時発育遅延を有していた(45)。
【0005】
EE(EoE)は、発展途上国全体を通じてより頻繁に診断されるようになりつつある(7、8、13−16)が、疾患の多くの様相は、その病因、自然歴及び最適療法を含め未だ不明である。EE(EoE)の症状は、多くの場合、GERDの症状に似ており、症状として嘔吐、嚥下障害、疼痛及び食片圧入が挙げられる(8、14、17−20)。しかし、EE(EoE)とGERDの治療は異なり、特に未治療EE(EoE)は、症例の10〜30%において食道狭窄に関連し得ることから、これらを区別することが重要である(14、18、20、21)。GERDの症状とEE(EoE)の症状の重なりは、一般的であり;高PPI GERD治療に応答しないことが、EE(EoE)についての1つの診断指針であり得る(42)。EE(EoE)のGERDとしての誤診に関する頻発は、多くの場合、EE(EoE)を有する患者について治療の遅れをもたらす(42)。
【0006】
長期全身ステロイド療法は、成長及び骨の発育に対して著しい副作用をもたらし得る。抗IL−5モノクロナール抗体を用いる治療がEEで成功していることが報告されているが、この療法は今のところ子供での使用については承認されていない(36)。
【0007】
現行の治療は、除去食(22、23)及び消化態栄養剤(2、24)を含む。真の誘発性食物アレルゲンの同定は、困難であり得、消化態栄養剤は、多くの場合、口に合わず、それによって食事治療介入を複雑にする(1、22)。即席パフ(puff)及び飲み込み法は、患者、特に小さい子供、特に発育遅延を有する子供については効率的に行うことが困難であり得る。これは、食道に送達される局所ステロイドの有効量よりも少ない量をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書におけるある実施形態において、コルチコステロイドと、粘膜付着剤とを含有する経口医薬組成物が提供される。特定の実施形態において、経口医薬組成物は、安定した経口医薬組成物であり、少なくとも1ヶ月間(例えば、周囲条件下で、又は不活性条件下で、例えば不活性ガス又は真空下で)、化学的に及び物理的に安定している。幾つかの実施形態において、経口医薬組成物は、さらに液状ビヒクルを含有する。ある実施形態において、コルチコステロイドは、局所活性コルチコステロイドである。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、ブデソニドである。別の実施形態において、コルチコステロイドは、プロピオン酸フルチカゾンである。
【0009】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の経口医薬組成物が、食道に、例えば経口投与によって投与されると、少なくとも50%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%の経口医薬組成物が、少なくとも15秒間又は1分間、食道に付着するか又は食道に滞留する。ある実施形態において、本明細書に記載の経口医薬組成物が、食道に、例えば経口投与によって投与されると、少なくとも50%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%のコルチコステロイドが、少なくとも15秒間又は少なくとも1分間、食道に付着するか又は食道に滞留する。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドの少なくとも50%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%が、本明細書に記載の経口医薬組成物の施用が、食道に対して、例えば経口投与によって投与された少なくとも15秒又は少なくとも1分後に食道に付着するか又は食道で吸収される。ある実施形態において、食道への経口医薬組成物の投与は、経口医薬組成物の少なくとも一部又は経口医薬組成物の用量を、経口投与すること及び/又は嚥下することを含む。
【0010】
ある実施形態において、食道に対する、例えば経口投与による施用の15秒又は1分後に、食道に付着するか又は食道に滞留する本明細書に記載の経口医薬組成物の重量%は、食道に対する対照組成物の、例えば経口投与による施用の15秒又は1分後に食道に付着するか又は食道に滞留する対照組成物の重量%よりも大きい。幾つかの実施形態において、食道に対する本明細書に記載の経口医薬組成物の、例えば経口投与による施用の15秒又は1分後に食道に付着するか又は食道に滞留するコルチコステロイドの量は、食道に対する対照組成物の、例えば経口投与による施用の15秒又は1分後に食道に付着するか又は食道に滞留するコルチコステロイドの量よりも多い。幾つかの実施形態において、食道に対する本明細書に記載の経口医薬組成物の、例えば経口投与による施用の15秒又は1分後に食道に付着するか又は食道で吸収されるコルチコステロイドの量は、食道に対する対照組成物の、例えば経口投与による施用の15秒又は1分後に食道に付着するか又は食道で吸収されるコルチコステロイドの量よりも多い。特定の実施形態において、本明細書に記載の対照組成物は、経口医薬組成物中に存在するコルチコステロイドと同じコルチコステロイドを経口医薬組成物中に存在する量と同じ量で含有し、且つコルチコステロイド0.5mg毎に約4mLの水性製剤(例えば、パルミコート(Pulmicort)(登録商標)製剤)と、10パックのスプレンダ(Splenda)(登録商標)(McNeil Nutritionals、LLC(Fort Washington、PA 19034−2299に所在)によって供給される)とを含有する。
【0011】
ある実施形態において、本明細書に記載の粘膜付着剤は、非限定的な例として、粘膜付着性多糖、カルボポールである。カルボポールとしては、非限定的な例として、架橋アクリル酸重合体、カルボポール・ウルトレズ(Carbopol Ultrez)及びカルボポール(Carbopol)974Pが挙げられる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の粘膜付着剤は、非限定的な例として、アルギン酸塩である。特定の実施形態において、アルギン酸塩は、非限定的な例として、アルギン酸ナトリウム LF120及び/又はアルギン酸ナトリウム H120Lである。ある実施形態において、粘膜付着剤は、1つ又はそれ以上のマルトデキストリンを含有する。特定の実施形態において、マルトデキストリンは、経口医薬組成物の粘度を実質的に高めない(例えば、マルトデキストリンを欠いている別の同じ組成物と比べて)。さらなる実施形態又は別の実施形態において、マルトデキストリンは、その粘膜付着性(例えば、粘膜付着特性を経口医薬組成物に付与するその能力)について選択される。幾つかの実施形態において、経口医薬組成物は、経口医薬組成物の粘度を高める(例えば、第二のマルトデキストリンを欠いている別の同じ組成物と比べて)第二のマルトデキストリンを含有する。特定の実施形態において、第二のマルトデキストリンは、医薬組成物の粘膜付着特性に実質的に影響を及ぼさない(例えば、第二のマルトデキストリンを欠いている別の同じ組成物と比べて)。
【0012】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された経口医薬組成物に使用される粘膜付着剤は、経口医薬組成物に高められた粘度を付与する(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)。別の実施形態において、粘膜付着剤は、経口医薬組成物の粘度を実質的に高めない(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)。
【0013】
ある実施形態において、本明細書に記載の経口医薬組成物は、さらに第二の粘膜付着剤を含有する。さらなる実施形態又は別の実施形態において、本明細書に記載の経口医薬組成物は、さらに増粘剤を含有する。
【0014】
また、個人に本明細書に記載の任意の医薬組成物を経口投与することからなる個人の胃腸炎又は胃腸炎の症状を治療、予防又は軽減する方法が、本明細書において提供される。ある実施形態において、胃腸炎は、非限定的な例として、食道炎である。特定の実施形態において、個人は、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、クローン病、近位胃腸病(例えば、胆嚢の機能不全を患う個人において)、好酸球性胃腸炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、乳頭の伸長、乳頭の血管拡張、真菌性食道炎(例えば、カンジダ菌、トルロプシス菌、ヒストプラスマ菌、アスペルギルス菌など)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核菌、放線菌、梅毒菌)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患(例えば、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する食道炎、任意の原因の及び腐食性/刺激性食物摂取を含む持続性/再発性食道狭窄、丸薬誘発食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症、又は胃腸炎と診断されている。特定の実施形態において、個人は、好酸球性食道炎を有する。別の特定の実施形態において、個人は、胃食道逆流性疾患(GERD)、非びらん性逆流性疾患(NERD)、又はびらん性食道炎と診断されている。幾つかの実施形態において、胃腸炎は、非限定的な例として、胃及び/又は小腸の炎症、例えば嘔吐下痢症である。
【0015】
ある実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物又は本明細書に記載の方法は、個人に、約0.1mg〜約20mgのコルチコステロイド、約0.1mg〜約10mgのコルチコステロイド、約0.3mg〜約5mgのコルチコステロイド、約0.3mg〜約4mgのコルチコステロイド、約1〜約2mgのコルチコステロイド、約2〜約3mgのコルチコステロイド、又は約0.25〜約2.5mgのコルチコステロイドを投与する(例えば、1日当たり又は用量当たり)ことからなる。
【0016】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の組成物を小児に投与することからなる。特定の実施形態において、小児は、19歳未満、16歳未満、12歳未満、8歳未満、6歳未満、4歳未満又は2歳未満である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の組成物を成人に投与することからなる。
【0017】
本明細書に挙げた全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物及び特許出願が参照することによって組み込まれていると具体的に及び個々に示されているかのように、同じ内容を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
ある実施形態において、本発明は、胃腸管(食道、胃及び/又は消化管を包含する)に影響を及ぼす炎症性疾患の症状及び付随する炎症を治療、予防又は改善するための方法及び医薬組成物に関する。例えば、個人の食道炎を治療、予防又は改善する方法が、本明細書において提供される。ある実施形態において、これらの方法は、前記個人に、コルチコステロイドを、組成物の粘膜付着特性を高める少なくとも1つの賦形剤(粘膜付着剤)と一緒に経口投与することからなる。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドと粘膜付着剤とを含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。ある実施形態において、医薬組成物は、さらに液状ビヒクルを含有する。さらなる実施形態又は別の実施形態において、医薬組成物は、経口投与に適している。幾つかの実施形態において、組成物の高められた粘膜付着特性は、組成物が投与後に長時間食道と接触することを可能にする。
【0019】
ある実施形態において、選択される1つ又は複数の賦形剤は、組成物と胃腸管(例えば、胃腸管又は胃腸管の特定の部位、例えば食道の粘膜及び/又は上皮)の表面との相互作用を、少なくとも1.02倍まで、少なくとも1.05倍まで、少なくとも1.1倍まで、少なくとも1.2倍まで、少なくとも1.25倍まで、少なくとも1.5倍まで、少なくとも2倍まで、少なくとも3倍まで、少なくとも4倍まで又は少なくとも5倍まで高める。ある実施形態において、組成物の相互作用の増大は、嚥下された組成物のボーラスの通過後に生じる組成物と食道との相互作用の少なくとも1.02倍、少なくとも1.05倍まで、少なくとも1.1倍まで、少なくとも1.2倍まで、少なくとも1.25倍まで、少なくとも1.5倍まで、少なくとも2倍まで、少なくとも3倍まで、少なくとも4倍まで又は少なくとも5倍までである。ある実施形態において、これらの増大が、測定され、組成物と胃腸管の表面との相互作用を高める1つ又は複数の賦形剤を欠いている別の同様の組成物の測定値と比較される。ある場合には、組成物の相互作用の増大は、胃腸管、例えば食道の選択された部分又は標的部分に存在する組成物の量の関数として測定される(例えば、ボーラスが食道を通過した後に測定されるように、これは、組成物の少なくとも一部分の初回嚥下の後の5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒などであり得る)。特定の場合には、食道に存在する組成物の量は、任意の適当な方法で、例えば、組成物を放射線標識し、ガンマシンチグラフィーを使用して食道内の組成物の量を測定することによって測定される。組成物と胃腸管の表面(例えば、食道の表面)との相互作用の増大は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)の長さに沿って物質の保持時間を測定することによって測定し得、この場合に保持時間は、賦形剤の存在下ではそれが存在しない場合に比べて増大する。別の実施形態において、相互作用の増大は、治療すべき疾患又は軽い病気の生理学的徴候又は症状の減少によって、例えば標的試料中の全好酸球数の減少によって測定し得る。
【0020】
本発明の1つの態様において、賦形剤の使用は、賦形剤の不存在下で応答を誘発するのに必要とされる有効成分の量を減少させるように機能し得る。幾つかの実施形態において、賦形剤は、使用するコルチコステロイドの量を減少させ得る。従って、本明細書において提供される組成物は、胃腸管(食道、胃及び/又は消化管を包含する)に影響を及ぼす炎症性疾患に苦しんでいる被検体を治療するのに必要とされる有効成分の量を減少させるというさらなる利点を提供する。
【0021】
ある実施形態において、有効成分は、胃腸管の表面との高められた相互作用から恩恵を受ける本明細書に記載の医薬組成物に使用される(例えば、局所活性コルチコステロイド)。
【0022】
本明細書に開示された医薬組成物を用いて治療するのに適した個人は、疾患又は状態、例えば、以下に限定されないが、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、好酸球性胃腸炎、クローン病、セリアック病、近位胃腸病(例えば、胆嚢の機能不全を患う個人において)、好酸球性胃腸炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、乳頭の伸長、乳頭の血管拡張、真菌性食道炎(例えば、カンジダ菌、トルロプシス菌、ヒストプラスマ菌、アスペルギルス菌など)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核菌、放線菌、梅毒菌)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患(例えば、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する食道炎、任意の原因の及び腐食性/刺激性食物摂取を含む持続性/再発性食道狭窄、丸薬誘発食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症、又は嘔吐下痢症と診断されていてもよい。また、組成物は、その他の胃腸障害、例えば胃潰瘍及び十二指腸潰瘍、過活動酸分泌障害、例えばゾリンジャー・エリソン症候群及び喉頭疾患の治療にも使用し得る。
【0023】
本明細書に開示された組成物を用いて治療するのに適した個人は、例えば、疾患又は状態、例えば、以下に限定されないが、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、近位胃腸病(例えば、胆嚢の機能不全を患う個人において)、好酸球性胃腸炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、細長い乳頭、乳頭の拡張血管、真菌性食道炎(例えば、カンジダ菌、トルロプシス菌、ヒストプラスマ菌、アスペルギルス菌など)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核菌、放線菌症、梅毒)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、好酸球性胃流出路閉塞及び関連炎症、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患(例えば、水泡性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する食道炎、任意の原因の及び腐食性/刺激性食物摂取を含む持続性/再発性反復食道狭窄、錠剤誘発食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症又は胃腸炎と診断されていてもよい。また、組成物は、その他の胃腸障害、例えば胃及び十二指腸潰瘍、過剰酸排出障害、例えばゾリンジャー・エリソン症候群及び喉頭障害と診断された個人の治療に使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された組成物又は方法は、その他の胃腸障害、例えば、非限定的な例として、バレット食道、胃食道逆流性疾患(GERD)、非びらん性逆流性疾患(NERD)、又はびらん性食道炎と診断された個人を治療する方法において使用される。幾つかの実施形態において、炎症又は炎症の症状を治療、予防又は軽減する方法は、本明細書に記載の胃腸障害のいずれかを治療する方法を包含する。ある実施形態において、これらの方法は、前記個人に本明細書に記載のコルチコステロイド含有組成物を経口投与することからなる。
【0024】
食道などの胃腸管に影響を及ぼし、ステロイド療法に反応する任意の慢性の炎症性又は悪性疾患を治療、予防又は軽減する方法が、本明細書において提供される。本発明の方法及び組成物は、例えば、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、近位胃腸病(例えば、胆嚢の機能不全を患う個人において)、好酸球性胃腸炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、細長い乳頭、乳頭の拡張血管、真菌性食道炎(例えば、カンジダ菌、トルロプシス菌、ヒストプラスマ菌、アスペルギルス菌など)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核菌、放線菌症、梅毒)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、好酸球性胃流出路閉塞及び関連炎症、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患(例えば、水泡性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する食道炎、任意の原因の及び腐食性/刺激性食物摂取を含む持続性/再発性反復食道狭窄、錠剤誘発食道炎、全身性疾患、先天性疾患、表皮水泡症、術後炎症、及び胃腸炎に付随する炎症及び/又は症状を治療、予防又は軽減するのに有用である。本発明の方法は、また胃腸管、例えば上部胃腸管のその他の疾患又は状態に付随する症状及び/又は炎症を治療、予防又は軽減するのにも有用であり、全身療法を提供するよりもむしろ特定の標的部位を標的とするのに有益である。また、本出願の方法に有用な医薬組成物が、本明細書において提供される。本明細書において使用されるように、本明細書に開示される障害又は疾患に付随する炎症及び/又は症状とは、障害又は疾患に付随する、障害又は疾患によって引き起こされる及び/又は障害又は疾患に由来する炎症及び/又は症状を包含する。
【0025】
本明細書で使用されるように、特に明記しない限りは、「a」、「an」及び「the」という用語の使用は、単数及び複数の実施形態を包含する。本明細書で使用されるように、「個人」という用語は、任意の動物を包含する。幾つかの実施形態において、動物は、哺乳動物である。ある実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。特定の実施形態において、ヒトは、大人である。他の実施形態において、ヒトは、子供(例えば、12歳未満の子供又は6歳未満の子供)である。ある実施形態において、ヒトは、乳児である。本明細書で使用されるように、「治療する方法」又は「治療するための方法」という語句は、幾つかの実施形態において、予防する、頻度を減少させる、予防的処置を提供する、治療する及び軽減する方法を包含することができる。本明細書で使用されるように、「有効量」及び「治療有効量]という語句は、胃腸障害、例えば、以下に限定されないが、食道炎、好酸球性食道炎、GERD、NERD、又はびらん性食道炎に付随する症状又は炎症の変化を誘発するのに十分な量である。本明細書で使用されるように、「又は」という用語は、「及び」及び「又は」を包含する。
【0026】
本明細書で使用されるように、「食道に影響を及ぼす炎症性疾患を治療する」という語句は、このような疾患の症状を治療すること及び疾患に付随する炎症を治療することを包含する。
【0027】
ある実施形態において、本明細書で使用されるように「実質的に」高める又は影響を及ぼすとは、非限定的な例として、約10%、5%、3%、2%又は1%の量の増大又は逸脱それぞれを包含する。
【0028】
方法及び組成物
ある実施形態において、本発明で使用されるコルチコステロイドとしては、局所ステロイド、例えば、ブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾンが挙げられる。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、非限定的な例として、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロピレドノール、コルチバゾール、デフラザコート、デオキシコルチコステロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルチカゾン、フルプレドニデン、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、アセポン酸メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン及びウロベタゾール、並びにこれらの組み合わせ、製薬学的に許容し得る塩及びエステルから選択される。特定の実施形態において、コルチコステロイドはブデソニドである。別の実施形態において、コルチコステロイドは、フルチカゾンのエステル、例えばプロピオン酸フルチカゾンである。
【0029】
胃腸管、例えば、以下に限定されないが、上部胃腸管(例えば、食道)の炎症性疾患の症状及び付随する炎症を治療、予防又は軽減する方法及び医薬組成物が、本明細書において提供される。また、胃腸管逆流の症状及び胃内pHの上昇(これらは、胃腸管、例えば、以下に限定されないが、食道の炎症性疾患に付随する)を予防又は軽減するための方法及び医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0030】
ある実施形態において、粘膜付着特性が高められた製剤において、経口製剤で投与されるコルチコステロイド(例えば、ブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾン)は、例えば、食道の炎症を抑えるのに有効な量で食道に送達される。
【0031】
1つの態様において、コルチコステロイドと粘膜付着剤とを含有する経口医薬組成物が提供される。種々の態様において、典型的なコルチコステロイドは、ブデソニド、すなわち16,17−(ブチリデンビス(オキシ))−11,21−ジヒドロキシ−(11−β,16−α)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン、又はプロピオン酸フルチカゾン、S−(フルオロメチル)6α,9−ジフルオロ−11β,17−ジヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオアート、17プロピオン酸又は(6α、11β、16α、17β)−6,9−ジフルオロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3−オキソ−17−(1−オキソプロポキシ)アンドロスタ−1,4−ジエン−17−カルボチオ酸S−(フルオロメチル)エステルである。
【0032】
ある実施形態において、本明細書に開示され且つ本明細書において使用される医薬組成物は、1つ又はそれ以上の賦形剤を含有する。この医薬組成物に有用な賦形剤としては、非限定的な例として、粘膜付着剤、増粘剤、結合剤、充填剤、潤滑剤、溶媒、懸濁剤、着香剤、着色剤、甘味料、防腐剤、酸化防止剤、緩衝剤、保湿剤、キレート化剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0033】
ある実施形態において、本明細書において利用されるコルチコステロイドは、粒子(例えば、水性媒体に懸濁又は分散させたコルチコステロイド粒子)として利用される。特定の実施形態において、粒子は微粒子である。幾つかの実施形態において、微粒子は、約0.1ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有する。特定の実施形態において、微粒子は、約1ミクロン〜約20ミクロンの平均直径を有する。ある実施形態において、微粒子の少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、10ミクロン未満の直径を有する。
【0034】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物又は製剤は、50%(w/w)未満、40%(w/w)未満、30%(w/w)未満、20%(w/w)未満、10%(w/w)未満、8%(w/w)未満、6%(w/w)未満、5%(w/w)未満、4%(w/w)未満、3%(w/w)未満、2%(w/w)未満、又は約2%、1%(w/w)未満、0.5%(w/w)未満、0.3%(w/w)未満、0.2%(w/w)未満、又は約0.2%(w/w)の未溶解粒子を含有する。ある実施形態において、本明細書に記載の組成物又は製剤は、非コルチコステロイド粒子を実質的に含有していない。
【0035】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の活性コルチコステロイドは、他の有効成分で置換される。ある実施形態において、前記有効成分は、例えば食道の炎症、粘膜炎、食道の癌、食道の感染症(例えば、細菌性又は真菌性感染症)、食道の創傷及び/又は挫傷などを治療するために、食道を標的とする治療薬である。幾つかの実施形態において、前記有効成分は、食道を経由して全身的に吸収される治療薬である。特定の実施形態において、食道を経由して全身的に吸収される治療薬は、胃の中にある場合に分解するか又はその効果を失う薬剤、例えば治療用ペプチドである。
【0036】
本発明において使用されるべき粘膜付着剤としては、非限定的な例として、可溶性ポリビニルピロリドン重合体(PVP);カルボポール、架橋ポリ(アクリル酸)(例えば、カルボポール974P)、カルボマー単独重合体、カルボマー共重合体、水膨潤性であるが水不溶性の繊維状架橋カルボキシ官能重合体、粘膜付着性多糖(例えば、親水性多糖ゴム)、1つ又はそれ以上のマルトデキストリン、アルギン酸塩、架橋アルギン酸ゴムゲル、水分散性ポリカルボキシル化ビニル重合体が挙げられる。幾つかの実施形態において、粘膜付着剤は、カルボポールである。特定の実施形態において、粘膜付着剤は、非限定的な例として、カルボポール974P、カルボポール・ウルトレズ10、アルギン酸ナトリウム LF120及びアルギン酸ナトリウム H120Lから選択される。本明細書で使用されるように、粘膜付着剤とは、胃腸表面(例えば、胃腸管上皮又は粘膜のいずれか又は両方)に付着する薬剤である。幾つかの実施形態において、粘膜付着剤は、セルロースである。特定の実施形態において、粘膜付着剤は、カルボキシメチル−セルロース(CMC)、例えば、カルボキシメチル−セルロースナトリウム(NaCMC)、微晶質セルロース(MCC)、又はこれらの組み合わせである。1つの非限定的な例において、粘膜付着剤は、MCCとCMCとの組み合わせ(例えば、Avicel RC−591)である。幾つかの実施形態において、CMC/MCCの組み合わせ(例えば、Avicel(登録商標)RC−591)は、組成物中に約1mg/mL〜約150mg/mL、1mg/mL〜約75mg/mL、又は約5mg/mL〜約40mg/mLの量で存在する。ある実施形態において、CMC/MCCの混合重量比は、約1/99〜約99/1、約20/80〜約5/95、又は約15/85〜約10/90の間にある。特定の実施形態において、CMCはNaCMCであり、CMC/MCCの混合比は約11/89である。
【0037】
特定の実施形態において、CMC(例えば、CMC/MCCの混合物)とマルトデキストリンの両方を含有する組成物が、本明細書において提供される。ある実施形態において、CMC(例えば、CMC/MCCの混合物)とマルトデキストリンの組み合わせは、同様の量のCMC(例えば、CMC/MCC混合物)又はマルトデキストリンのいずれかを単独で有する組成物と比べて、胃腸管(例えば、食道)の罹患又は標的表面の増大した滞留時間を提供する。
【0038】
ある実施形態において、粘膜付着剤は、1つ又はそれ以上のマルトデキストリンを含有する。種々の態様において、マルトデキストリンの物理的特性は、例えば、具体的なマルトデキストリンのデキストロース当量に応じて変化する。ある態様において、具体的なマルトデキストリンのデキストロース当量は、マルトデキストリンの粘度、吸湿性、甘味、保湿性、可塑性、溶解性及び/又は粘膜付着性に影響を及ぼし得る。従って、種々の実施形態において、マルトデキストリンは、本明細書に記載の医薬組成物に付与されることが望まれる特性に基づいて選択される。ある実施形態において、組成物の粘度を(例えば、マルトデキストリンを欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に高めることなく本明細書に記載の組成物の粘膜付着特性を高めるマルトデキストリンが選択される。幾つかの実施形態において、経口医薬組成物は、経口医薬組成物の粘度を(例えば、第二のマルトデキストリンを欠いている別の同じ組成物と比べて)高める第二のマルトデキストリンを含有する。特定の実施形態において、第二のマルトデキストリンは、医薬組成物の粘膜付着特性に(例えば、第二のマルトデキストリンを欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に影響を及ぼさない。
【0039】
幾つかの実施形態において、粘膜付着剤は、経口医薬組成物の粘度を(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に高めない。さらなる実施形態又は別の実施形態において、粘膜付着剤は、粘膜付着特性(例えば、その経口医薬組成物に粘膜付着性を付与する能力)について選択される。
【0040】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の経口医薬組成物に使用される粘膜付着剤は、経口医薬組成物に(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)高められた粘度を付与する。別の実施形態において、粘膜付着剤は、経口医薬組成物の粘度を(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に高めない。
【0041】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの粘膜付着剤が、少なくとも1つの粘膜付着剤の添加が得られる経口医薬組成物の粘度を(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に高めないように、医薬組成物について選択され、使用される。
【0042】
幾つかの実施形態において、少なくとも2つの粘膜付着剤が、少なくとも2つの粘膜付着剤の添加が得られる経口医薬組成物の粘度を(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に高めないように、医薬組成物について選択され、使用される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの粘膜付着剤は、医薬組成物に単独で用いられる場合には、医薬組成物の粘度を高めるであろうが、医薬組成物に全ての成分と一緒に用いられる場合には、得られる経口医薬組成物の粘度を(例えば、粘膜付着剤を欠いている別の同じ組成物と比べて)実質的に高めない。
【0043】
幾つかの実施形態において、組成物の粘度は、少なくとも約2センチポイズ(cP)、少なくとも約3cP、少なくとも約5cP、少なくとも約10cP、少なくとも約15cP、少なくとも約20cP、少なくとも約25cP、少なくとも約30cP、少なくとも約35cP、少なくとも約40cP、少なくとも約50cP、少なくとも約200cP、又は少なくとも約225cPである。幾つかの実施形態において、組成物の粘度は、少なくとも約100cPである。ある実施形態において、25℃で測定される組成物の粘度は、約50cP〜約250,000cP、約50cP〜約70,000cP、約50cP〜約25,000cP、約50cP〜約10,000cP、約50cP〜約3,000cP、又は約50cP〜約2,000cPである。1つの態様において、25℃で測定される組成物の粘度は、約25センチポイズ(cP)〜約800cP、約50cP〜約800cP、又は約300cP〜約800cPである(例えば、ブルックフィールド粘度計で測定される)。別の態様において、組成物の粘度は、約100cP〜約200cP、約200cP〜約300cP、約250cP〜約600cP又は約400cP〜約600cPの範囲にあり得る。ある実施形態において、製剤の粘度は、約30cP、約100cP、約200cP、約300cP、約400cP、約500cP、又は約250,000cPである(例えば、ultra low adapterを取り付けたブルックフィールド粘度計を用いて25℃で測定される)。
【0044】
幾つかの実施形態において、組成物の粘度は、約13.2sec−1の剪断速度で室温(約25℃)で測定される。ある実施形態において、このような条件下で少なくとも約2センチポイズ(cP)、少なくとも約3cP、少なくとも約5cP、少なくとも約10cP、少なくとも約15cP、少なくとも約20cP、少なくとも約25cP、少なくとも約30cP、少なくとも約35cP、少なくとも約40cP、少なくとも約50cP、少なくとも約200cP、少なくとも約225cP、少なくとも約250cP、少なくとも約300cP、又は少なくとも約400cPである粘度を有する組成物が、本明細書において提供される。幾つかの実施形態において、このような条件下での組成物の粘度は、約50cP〜約250,000cP、約50cP〜約70,000cP、約50cP〜約25,000cP、約50cP〜約10,000cP、約50cP〜約3,000cP、約50cP〜約2,000cP、約250cP〜約250,000cP、約250cP〜約70,000cP、約250cP〜約25,000cP、約250cP〜約10,000cP、約250cP〜約3,000cP、又は約250cP〜約2,000cPである。1つの態様において、25℃で測定される組成物の粘度は、約25センチポイズ(cP)〜約800cP、約50cP〜約800cP、又は約300cP〜約800cPである(例えば、ブルックフィールド粘度計で測定される)。別の態様において、このような条件下での組成物の粘度は、約100cP〜約200cP、約200cP〜約300cP、約250cP〜約600cP又は約400cP〜約600cPの範囲にあり得る。特定の実施形態において、このような条件下で測定される製剤の粘度は、約30cP、約40cP、約100cP、約200cP、約300cP、約400cP、約500cP、又は約250,000cPである。
【0045】
幾つかの実施形態において、組成物の粘度は、室温(約25℃)で約15sec−1の剪断速度で(例えば、スピンドルと試料チャンバー壁との間隔が約6mm以上で)測定される。ある実施形態において、このような条件下で少なくとも約150センチポイズ(cP)、少なくとも約160cP、少なくとも約170cP、少なくとも約180cP、少なくとも約190cP、又は少なくとも約200cPである粘度を有する組成物が、本明細書において提供される。幾つかの実施形態において、このような条件下での組成物の粘度は、約150cP〜約250,000cP、160cP〜約250,000cP、170cP〜約250,000cP、180cP〜約250,000cP、又は190cP〜約250,000cPである。
【0046】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の組成物に使用される粘膜付着剤は、少なくとも1つのマルトデキストリンであるか、又は少なくとも1つのマルトデキストリンを含有する。
【0047】
ある実施形態において、粘膜付着剤(例えば、マルトデキストリン)は、液状ビヒクルに実質的に溶解するか又は少なくとも部分的に溶解する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の経口医薬組成物は、経口医薬組成物中の液状ビヒクルmL当たり約0.1g未満又は約1g未満のマルトデキストリンを含有する。ある場合には、本明細書に記載の組成物又は製剤は、マルトデキストリン2g未満/組成物mL、マルトデキストリン1.5g未満/組成物mL、マルトデキストリン1g未満/組成物mL、マルトデキストリン0.5g未満/組成物mL、マルトデキストリン0.25g未満/組成物mL、マルトデキストリン約0.05g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.5g/組成物mL、マルトデキストリン約0.05g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.4g/組成物mL、マルトデキストリン約0.05g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.3g/組成物mL、マルトデキストリン約0.1g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.5g/組成物mL、マルトデキストリン約0.1g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.4g/組成物mL、マルトデキストリン約0.1g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.3g/組成物mL、マルトデキストリン約0.2g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.5g/組成物mL、マルトデキストリン約0.2g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.4g/組成物mL、又はマルトデキストリン約0.2g/組成物mL〜マルトデキストリン約0.3g/組成物mLを含有する。幾つかの実施形態において、マルトデキストリンは、液状ビヒクルに実質的に溶解する。ある実施形態において、マルトデキストリンは、4よりも大きい、5よりも大きい、10よりも大きい、11よりも大きい、12よりも大きい、13よりも大きい、14よりも大きい、15よりも大きい、約15、約4〜約10、約4〜約9、約4〜約8、約11〜約20、約12〜約19、約13〜約18、又は約14〜約16のデキストロース当量(DE)を有する。特定の実施形態において、第一のマルトデキストリンは、約4〜約10、約4〜約9又は約4〜約8のDEを有し、第二のマルトデキストリンは、約10〜約20、約12〜約19、又は約13〜約18のDEを有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物に使用される少なくとも1つのマルトデキストリンは、コルチコステロイドの溶解性を高めるか又はコルチコステロイド粒子の懸濁性を高めるのに十分に高い分子量を有する。
【0048】
幾つかの実施形態において、粘膜付着剤は、例えば、米国特許第6,638,521号、同第6,562,363号、同第6,509,028号、同第6,348,502号、同第6,306,789号、同第5,814,330号及び同第4,900,552号明細書に記載されており、これらの明細書のそれぞれは、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0049】
1つの非限定的な例において、粘膜付着剤は、非限定的な例として、二酸化チタン、二酸化ケイ素及びクレーから選択される少なくとも2つの粒状成分であることができる。幾つかの実施形態において、組成物が投与の前に任意の液体でさらに希釈されない場合には、二酸化ケイ素の量は、組成物の約3重量%〜約15重量%である。ある実施形態において、二酸化ケイ素は、非限定的な例として、フュームド二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、コアセルベート化二酸化ケイ素、ゲル二酸化ケイ素、及びこれらの混合物から選択される。幾つかの実施形態において、クレーは、非限定的な例として、カオリン鉱物、蛇紋石、スメクタイト、イライト又はこれらの混合物から選択される。ある実施形態において、クレーは、非限定的な例として、ラポナイト、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、モンモリロナイト又はこれらの混合物から選択される。
【0050】
ある実施形態において、粘膜付着剤は、胃腸管(例えば、食道、胃及び/又は消化管)に影響を及ぼす炎症性疾患の症状及び/又は付随する炎症が、単回投与又は反復投与としてコルチコステロイド含有経口製剤の投与の後に軽減されるような十分な時間、コルチコステロイドを胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に暴露させるのに十分な量で提供される。
【0051】
幾つかの実施形態において、粘膜付着剤は、コルチコステロイド含有医薬組成物を、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に経口投与などにより施用の後に、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に、5秒間、10秒間、15秒間、30秒間、45秒間又は1分間、付着させるか又は滞留させるのに十分な量で選択される。ある実施形態において、粘膜付着剤は、コルチコステロイド含有組成物を、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に施用後に、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に、1.5分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間又は60分間、付着させるか又は滞留させるのに十分な量で選択される。幾つかの実施形態において、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に、5秒間、10秒間、あるいは0.25分間、0.5分間、0.75分間、1分間、1.5分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間又は60分間、付着するコルチコステロイド含有組成物の量は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に投与後に少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも8重量%、少なくとも9重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%である。特定の実施形態において、少なくとも50%の医薬組成物が、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に施用の後に、少なくとも1分間又は少なくとも15分間、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着するか又は滞留する。
【0052】
ある実施形態において、粘膜付着剤は、コルチコステロイドを、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に経口投与などにより施用の後の5秒、10秒、あるいは0.25分、0.5分、0.75分、1分、1.5分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分又は60分後に、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着させるか又は胃腸管の表面(例えば、食道の表面)で吸収させるのに十分な量で選択される。幾つかの実施形態において、5秒間、10秒間、あるいは0.25分間、0.5分間、0.75分間、1分間、1.5分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間又は60分間、胃腸管の表面に付着する及び/又は胃腸管の表面で吸収されるコルチコステロイドの量(すなわち、食道に付着するか又は食道に滞留する量と、炎症を起こした胃腸管で吸収される量との合計)は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に投与の後で少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも8重量%、少なくとも9重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%である。幾つかの実施形態において、少なくとも50%のコルチコステロイドが、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に投与の少なくとも1分後又は少なくとも15分後に、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着する及び/又は胃腸管の表面(例えば、食道の表面)で吸収される。
【0053】
特定の実施形態において、食道に対する本明細書に記載の組成物の経口投与の後に(例えば、組成物の初回嚥下又は飲み込みの後に)、投与されたコルチコステロイド又は組成物の少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、15重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%又は95重量%が、食道に対する組成物の施用の後の少なくとも5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、40秒、45秒、50秒、あるいは1分、1.5分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分又は60分後に食道内に存在する(例えば、ガンマシンチグラフィーで測定される)。ある場合には、製剤同士の間の付着時間(例えば、滞留時間)の小さな相違(例えば、増大)でさえも、治療的に顕著な又は臨床的に顕著な結果又は改善をもたらすことができる。
【0054】
幾つかの実施形態において、5秒、10秒、15秒、30秒又は45秒後あるいは1分、1.5分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分又は60分後に胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着するか又は滞留するコルチコステロイド含有組成物の重量%は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着する対照組成物の重量%よりも大きい(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍よりも大きい)。ある実施形態において、対照組成物は、コルチコステロイド0.5mg、1mg又は2mg(例えば、パルミコート(登録商標)の2吸入液(2 Respules)、それぞれ微細化ブデソニドを0.25mg、0.5mg又は1mg含有する2mL懸濁液)毎に、同じ量のコルチコステロイドと、4mLの水性製剤と、10パックのスプレンダ(登録商標)(McNeil Nutritionals、LLC(Fort Washington、PA 19034−2299所在)によって供給される)とを含有する。例えば、ブデソニド含有医薬組成物についての幾つかの実施形態において、対照組成物は、4mLのパルミコート(登録商標)と10パックのスプレンダ(登録商標)とを含有する。幾つかの実施形態において、対照組成物は、コルチコステロイド0.5mg、1mg又は2mg(例えば、パルミコート(登録商標)の4吸入液(Respules)、それぞれ微細化ブデソニドを0.25mg、0.5mg又は1mg含有する2mL懸濁液)毎に、同じ量のコルチコステロイドと、8mLの水性製剤と、20パックのスプレンダ(登録商標)(スプレンダ(登録商標)のパックは、約1gを含有し、McNeil Nutritionals、LLC(Fort Washington、PA 19034−2299所在)によって供給される)を含有する。ある実施形態において、対照組成物は、同じ容量及び同じコルチコステロイドを、安定した経口医薬組成物中に存在する量と同じ量でを含有し且つ25℃及び約13.2sec−1の剪断速度で約1cPの粘度を有する(例えば、パルミコート(登録商標)の吸入液(Respule))。また、対照組成物として本明細書に記載の製剤も、本明細書において意図される。胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着するか又は滞留するコルチコステロイド含有組成物の重量%は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着するコルチコステロイド含有組成物の量を、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に投与されたコルチコステロイド含有組成物の全量で割り算し、得られた結果に100%を掛け算することによって決定し得る。同様に、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着する対照組成物の重量%は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着する対照組成物の量を、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に投与された対照組成物の全量で割り算し、得られた結果に100%を掛け算することによって決定し得る。幾つかの実施形態において、5秒、10秒、15秒、30秒又は45秒後あるいは1分、1.5分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分又は60分後に胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に付着するか又は胃腸管の表面(例えば、食道の表面)で吸収されるコルチコステロイドの量は、同じ量のコルチコステロイドを含有する対照組成物、例えばコルチコステロイド0.5mg又は1mg毎に、4mLの水性製剤と10パックのスプレンダ(登録商標)とを含有する対照組成物よりも多い(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍よりも多い)。スプレンダ(登録商標)の1パックは、デキストロースとマルトデキストリンとスクラロースとを含有する混合物約1gを含有する。
【0055】
ある実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、同じ量のコルチコステロイドを含有する対照組成物と比べて大きい粘膜付着特性及び低下した粘度を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、対照組成物と比べると実質的に同様の粘膜付着特性と低下した粘度を有する。ある実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、対照組成物の時間の長さよりも長いか又は同じ時間の長さ、胃腸管部位(例えば、食道)に付着するか又は滞留し、同時に対照組成物よりも小さいか又は対照組成物と同じ粘度を有する。特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物が、胃腸管部位(例えば、食道)に対照組成物の時間の長さと同じ時間の長さ付着するか又は滞留する場合には、本明細書に記載の医薬組成物の粘度は、対照組成物の粘度よりも小さい。ある実施形態において、ここで使用される対照組成物は、4mLのパルミコート(登録商標)(例えば、2mLの用量当たりブデソニド0.25mg又は0.5mg)と、10パックのスプレンダ(登録商標)(例えば、コルチコステロイド0.5mg又は1mg毎に、4mLの水性製剤と10パックのスプレンダ(登録商標))を含有する。幾つかの実施形態において、対照組成物は、コルチコステロイド0.5mg、1mg又は2mg(例えば、パルミコート(登録商標)の4吸入液(Respules)、それぞれ微細化ブデソニド0.25mg、0.5mg、又は1mgを含有する2mL懸濁液)毎に、同じ量のコルチコステロイドと、8mLの水性製剤と、20パックのスプレンダ(登録商標)(スプレンダ(登録商標)のパックは、約1gを含有し、McNeil Nutritionals、LLC(Fort Washington、PA 19034−2299所在)によって供給される)とを含有する
【0056】
ある実施形態において、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)への本明細書に記載の医薬組成物又はコルチコステロイドの付着及び/又は吸収は、シンチグラフィーで又はアッセイで測定し得る。幾つかの実施形態において、このような測定は、生体内又は生体外で行われる。ある実施形態において、生体内シンチグラフィーは、本明細書に記載の医薬組成物を検出可能な放射性同位元素と結合させ、標識された組成物を被検体に投与し、医薬組成物又はコルチコステロイドの胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に対する付着を、放射能を検出又は測定する装置(例えば、カメラ)を用いて検出及び/又は測定することを含み得る。幾つかの実施形態において、生体内シンチグラフィーは、本明細書に記載のコルチコステロイドを検出可能な放射性同位元素に結合し、標識されたコルチコステロイドを本明細書に記載の組成物に配合し、組成物を被検体に投与し、医薬組成物又はコルチコステロイドの胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に対する付着を、放射能を検出又は測定する装置(例えば、カメラ)を用いて検出及び/又は測定することを含み得る。ある実施形態において、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)に対する本明細書に記載の医薬組成物又はコルチコステロイドの付着を検出するための生体外アッセイは、本明細書に記載の組成物を胃腸粘膜組織(例えば、ブタの食道組織)の細片の末端部に塗布し、組成物を、該細片の反対側の末端部の向きの人工唾液の流れに供することを含み得る。組成物及び/又はコルチコステロイドの付着の測定は、溶出した組成物及び/又はコルチコステロイドの量又は胃腸表面組織に残存する組成物及び/又はコルチコステロイドの量を検出することによって所定時間で測定し得る。
【0057】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物(本明細書に記載の組成物で投与されるコルチコステロイド)は、5秒、10秒、15秒、30秒あるいは45秒又は1分、1.5分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分又は60分よりも長い食道通過時間を有し、この場合の食道通過時間は、本明細書に記載の医薬組成物の投与(例えば、経口で及び/又は食道に)から活性が最大活性の≦10%に低下するまでの遅れ時間である。ある実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物(本明細書に記載の組成物で投与されるコルチコステロイド)は、約5秒、10秒、15秒、30秒又は45秒あるいは1分、1.5分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分又は60分の食道平均通過時間を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物(本明細書に記載の組成物で投与されるコルチコステロイド)は、最大活性の10秒後に1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%未満の食道排出(emptying)を有する。
【0058】
本明細書に記載の医薬組成物に使用される任意の増粘性賦形剤としては、非限定的な例として、架橋ポリ(アクリル酸)(例えば、カルボポール974P)、グリセリン、カルボマー単独重合体、カルボマー共重合体、アカシア(アラビアゴム)、寒天、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒバマタ、ベントナイト、カルボマー、カラゲナン、カルボポール、セルロース、微晶質セルロース(MCC)、イナゴマメ、ツノマタ(chondrus)、デキストロース、フルセララン、ゼラチン、ガハッチゴム、グアーガム、ヘクトライト、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、ハチミツ、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、カラヤガム、キサンタンゴム、ポリエチレングリコール(例えば、PEG200−4500)、トラガカントゴム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、オキシポリゲラチン、ペクチン、ポリゲリン、ポビドン、炭酸プロピレン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(PVM/MA)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリレート)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチル−セルロース(CMC)(例えば、カルボキシメチル−セルロースナトリウム(NaCMC)を含む)、二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン(PVP:ポビドン)、スプレンダ(登録商標)(デキストロース、マルトデキストリン及びスクラロース)又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
ある実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、非ニュートン流体又はニュートン流体である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、非ニュートン流体である。特定の実施形態において、非ニュートン流体は、塑性流体、擬塑性流体又はダイラタント非ニュートン流体である。幾つかの特定の実施形態において、非ニュートン流体は、チキソトロープ流体である。ある実施形態において、非ニュートン流体組成物は、剪断作用により希薄になり、剪断作用がないと濃くなる。従って、幾つかの実施形態において、軽度又は中程度の攪拌の後に容易に注ぐのに適した流動性医薬組成物が、本明細書において提供される。また、幾つかの実施形態において、軽度又は中程度の攪拌の後に容易に注ぐのに適していると同時に、医薬組成物が食道を少なくとも部分的に被覆し、治療有効量のコルチコステロイドを食道に局所送達することを可能にするために経口投与の際に十分に粘稠になる流動性医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0060】
ある実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、胃腸管、例えば食道、胃及び/又は消化管に影響を及ぼす炎症性疾患を治療、予防又は軽減するのに使用される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、液体の形態である。液体の形態としては、非限定的な例として、乳剤、溶液、懸濁液、シロップ、スラリー、分散液、コロイドなどが挙げられる。また、コルチコステロイド(例えば、局所コルチコステロイド、例えばブデソニド)と粘膜付着剤とを、溶解性錠剤、溶解性ウエファー、カプセル、又はゲルカプセルの形態で含有する医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、液体、半固体又は固体の形態である。特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、半固体の形態、例えば、ゲル、ゲルマトリックス、クリーム、ペーストなどである。幾つかの実施形態において、半固体の形態は、液状ビヒクルからなる。
【0061】
本発明の方法及び組成物は、任意の年齢の個人によって使用される。「個人(individual)」とは、任意の動物、例えば哺乳動物、又は例えばヒト、例えば治療を必要とする患者を意味する。
【0062】
「個人(individual)」とは、任意の動物、例えば哺乳動物、又は例えばヒト、例えば治療を必要とする患者を意味する。幾つかの実施形態において、ヒトは小児である。小児は、パフ(puff)及び嚥下法を用いることが最も困難である傾向があることから、治療を必要とする場合が多い。ある実施形態において、本発明の方法は、成人を含め任意の年齢の個人に使用される。
【0063】
ある実施形態において、本明細書において提供される組成物は、有効成分の任意の適当な供給源を利用して調製される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物に使用されるコルチコステロイド(例えば、ブデソニド)は、純(neat)コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)である。幾つかの実施形態において、純コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)は、純バルクコルチコステロイドである。ある実施形態において、純コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)は、粉末コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)である。特定の実施形態において、純コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)は、微粉砕コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)である。
【0064】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、市販製剤で投与される。他の実施形態において、コルチコステロイドは、コルチコステロイドの市販製剤を含有する組成物で投与される。例えば、幾つかの実施形態において、コルチコステロイド含有組成物は、市販製剤及び賦形剤、例えば組成物に粘膜付着性を付与する賦形剤、及び/又は希釈剤を含有する。コルチコステロイドがブデソニドである幾つかの実施形態において、市販製剤は、パルミコート吸入液(Pulmicort Respules)(登録商標)である。コルチコステロイドがブデソニドである他の実施形態において、市販製剤は、リノコート・アクア(Rhinocort Aqua)(登録商標)である。コルチコステロイドがフルチカゾンである幾つかの実施形態において、市販製剤は、フロナーゼ(Flonase)(登録商標)である。幾つかの実施形態において、市販製剤と任意の希釈剤との比は、約1:0.5〜約1:100の間にある。希釈剤としては、任意の製薬学的に許容し得る経口希釈剤、例えば、粉末希釈剤(例えばタルク)及び液状希釈剤(例えば水、エタノール及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。ある実施形態において、市販製剤は、エントコート(Entocort)(登録商標)である。ある実施形態において、エントコート(Entocort)(登録商標)製剤は、水性ビヒクルに溶解する及び/又は分散する。特定の実施形態において、エントコート(Entocort)(登録商標)製剤は、ブデソニド粒子から腸溶性コーティングを除去するのに十分なpHを有する液状ビヒクルに分散する。別の実施形態において、エントコート(Entocort)(登録商標)製剤は、その中のブデソニド粒子から腸溶性コーティングを除去するのに十分なpHを有する溶媒で予備処理され、その後に該粒子は本明細書に記載の組成物に製剤される。
【0065】
ある実施形態において、コルチコステロイド含有組成物は、微細化ブデソニド、エデト酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、水及び場合により1つ又はそれ以上の賦形剤(賦形剤は、本明細書に列記した賦形剤のいずれかから選択される)を含有する。ある実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.1mg〜約1.0mg/2mL組成物(又は組成物1g当たり約0.05mg〜約0.5mg)を含有する。幾つかの実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.2mg〜約0.6mg/2mL組成物(又は組成物1g当たり約0.1mg〜約0.3mg)を含有する。特定の実施形態において、組成物は、約0.25mg/2mL組成物を含有する。別の特定の実施形態において、組成物は、約0.5mg/2mL組成物を含有する。
【0066】
別の実施形態において、コルチコステロイド含有組成物は、微細化ブデソニド、微晶質セルロース(MCC)、カルボキシメチルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む)、デキストロース、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸カリウム、水、場合により塩酸及び場合により1つ又はそれ以上の賦形剤(賦形剤は、本明細書に列記した賦形剤のいずれかから選択される)を含有する。特定の実施形態において、組成物は約4.5のpHを有する。幾つかの実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.1mg〜約1.0mg/g組成物を含有する。ある実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.3mg〜約0.6mg/g組成物を含有する。特定の実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.4mg又は0.44mg/g組成物を含有する。ある実施形態において、組成物は、約3.8mg/8.6g組成物を含有する。幾つかの実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.1mg〜約1.0mg/mL組成物(約0.01〜約0.1%(w/w))を含有する。ある実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.3mg〜約0.8mg/mL組成物(約0.03〜約0.08%(w/w))を含有する。特定の実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.6〜約0.7mg/mL組成物(約0.06〜約0.07%(w/w))を含有する。さらに特定の実施形態において、組成物は、ブデソニド約0.63mg/mL組成物(約0.063%(w/w))を含有する。
【0067】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイド含有組成物は、超微細プロピオン酸フルチカゾン、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む)、デキストロース、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、フェニルエチルアルコール、及び場合により1つ又はそれ以上の賦形剤(賦形剤は、本明細書に列記した賦形剤のいずれかから選択される)を含有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約5〜約7のpHを有する。ある実施形態において、組成物は、プロピオン酸フルチカゾン約20〜約80μg/mg組成物を含有する。幾つかの実施形態において、組成物は、プロピオン酸フルチカゾン約40〜約60μg/mg組成物を含有する。特定の実施形態において、組成物は、プロピオン酸フルチカゾン約50μg/mg組成物を含有する。幾つかの実施形態において、組成物は、約0.02%(w/w)のベンザルコニウムナトリウムと約0.25%(w/w)のフェニルエチルアルコールとを含有する。
【0068】
本発明の組成物は、典型的にはヒト患者のための治療において使用されるが、ある実施形態において、これらは、動物薬において同様又は同一の疾患を治療するために使用される。幾つかの実施形態において、組成物は、例えば、哺乳動物、例えば、以下に限定されないが、霊長類及び家畜哺乳動物を治療するのに使用される。幾つかの実施形態において、組成物は、例えば、草食動物を治療するのに使用される。本発明の組成物は、幾何異性体及び光学異性体を含む。
【0069】
本発明で使用するのに適した医薬組成物としては、1つ又は複数の有効成分をその意図する目的を達成するのに有効な量で含有する組成物が挙げられる。
【0070】
正確な用量は、組成物が投与される形態、治療すべき被検体、治療すべき被検体の年齢、体重/身長、及び/又は主治医の好み及び経験に左右される。ある実施形態において、組成物中のコルチコステロイドの最適濃度は、使用する具体的なコルチコステロイド、患者の特徴、及び治療が求められる炎症の性質に左右される。種々の実施形態において、これらの因子は、医薬及び製薬技術の当業者によって本明細書の開示を考慮して決定される。
【0071】
一般に、治療有効量が望ましい。治療有効量とは、治療前の症状及び/又は炎症の状態と比べてこのような症状及び/又は炎症の改善の度合いをもたらすコルチコステロイドの量を指す。製剤及び有効量を含有する製剤を施用する方法は、本発明の範囲内に入る。種々の実施形態において、本明細書に記載の方法又は組成物に使用されるコルチコステロイド(例えば、ブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾン)の量は、1日当たり約2.5〜400μg/kg体重であり、又は例えば1日当たり5〜300μg/kgの範囲、又は例えば1日当たり5〜200μg/kgの範囲、又は例えば1日当たり5〜100μg/kgの範囲、又は例えば1日当たり10〜100μg/kgの範囲、又は例えば1日当たり10〜50μg/kgの範囲、すなわち例えば10〜100μg/kg/日の範囲、又は例えば5〜50μg/kg/日の範囲、あるいは特定の実施形態においては10〜60μg/kg/日の範囲である。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された方法に、明細書に開示された組み合わせ又は組み合わせの用量に使用されるコルチコステロイド(例えば、ブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾン)の量としては、非限定的な例として、約50μg〜約500mg、約50μg〜約200mg、約50μg〜約100mg、約50μg〜約50mg、約100μg〜約20mg、約250μg〜約20mg、約250μg〜約15mg、約250μg〜約10mg、約250μg〜約5mg、約300μg〜約4mg、約350μg〜約2mg、約250μg〜約3mg、又は約500μg〜約3mg、約375μg〜約1.5mg、又は約500μg〜約2mg、又は約1mg〜約3mgが挙げられる。例示的な実施形態において、投与剤は、有効量の組成物を食道に到達させるのに十分な容量で提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、1回又はそれ以上の用量を含有する。ある実施形態において、本明細書に記載の組成物は、反復投与単位(multiple unit)容器に入れられる。従って、本明細書に記載の組成物と容器(例えば、反復投与単位容器又は単回投与単位容器)とからなるキットが、本明細書において提供される。ある実施形態において、約2回〜約180回、約10回〜約60回、約14回又は約30回の用量からなる組成物又は該組成物を含有するキットが、本明細書において提供される。
【0072】
例示の実施形態において、コルチコステロイドの用量又は量(分割量を含む)は、本明細書に開示の組成物のいずれかが胃腸管、例えば食道の標的部分及び/又は炎症部分に有効量で到達することを可能にするのに十分な容量の組成物中に提供される。幾つかの実施形態において、食道に送達される組成物の有効量は、食道を被覆するか又は少なくとも部分的に被覆し、組成物を患部、例えば単なる例として、食道下部、食道と胃の連結部、胃及び/又は十二指腸に送達させるのに十分な量である。ある実施形態において、本明細書に記載の組成物は、例えば約1〜50mL、例えば約1〜40mL、例えば約1〜30mL、例えば約1〜25mL、例えば約1〜20mL、例えば約5〜25mL、例えば約10〜20mL、例えば約10mL、例えば約15mL、例えば約20mL、例えば約1〜15mL、例えば約1〜10mL、例えば約2〜8mL、例えば約3〜7mL、例えば約4〜6mL、例えば約5mL、例えば約6〜14mL、例えば約8〜12mL、例えば約9〜11mL、例えば約10mLの容量として製剤される。さらに特定の実施形態において、約0.25mg〜約6mg、約0.375mg、約0.5mg、約0.75mg、約1mg、約1.25mg、約1.5mg、又は約2mgのコルチコステロイド(例えば、ブデソニド)が、本明細書に記載の医薬組成物の単一用量又は単位用量に配合され、単一用量又は単位用量は、約10〜20mL、又は例えば約10mL、又は例えば約15mL、又は例えば約20mL、又は例えば約1〜15mL、又は例えば約1〜10mL、又は例えば約2〜8mL、又は例えば約3〜7mL、又は例えば約4〜6mL、又は例えば約5mL、又は例えば約6〜14mL、又は例えば約8〜12mL、又は例えば約9〜11mL、又は例えば約10mLの全容量を有する。本明細書で論じるように、「液体」とは、スラリー、溶液、懸濁液、分散液又はこれらの任意の組み合わせを包含し、使用する個々の成分並びにビヒクル及び溶媒の溶解性及び量に左右される。幾つかの実施形態において、適切な口当たりのよい用量は、食道を被覆するか又は少なくとも部分的に被覆するのに十分な容量であり、特定の実施形態において、この容量は、食道を被覆するか又は少なくとも部分的に被覆し、コルチコステロイドを患部、例えば単なる例として、食道下部、食道と胃の連結部、胃及び/又は十二指腸に送達させるのに十分な容量である。組成物は、例えば、1日に4回、1日に3回、1日に2回、1日に1回、1日おき、週に3回、週に2回、又は週に1回送達させ得る。用量は、例えば、1日を通して複数の用量に分割してもよいし、又は例えば1日に4回、3回、2回、又は1回の用量で提供してもよい。ある場合には、さらに頻繁な投与(例えば、1日に1回に対して1日に2回)は、より短い総合治療又は症状の解消のより早い開始のために提供する。1つの具体例において、用量は1日に1回提供される。
【0073】
ある実施形態において、本明細書に記載の用量又は組成物は、食物と共に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の用量又は組成物は、食物なしで投与される。ある実施形態において、本明細書に記載の用量又は組成物は、食物摂取状態又は絶食状態で投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の用量又は組成物は、朝に投与されるか、昼に投与されるか、夕方に投与されるか、夜に投与される又はこれらの組み合わせで投与される。幾つかの実施形態において、用量は、夜に投与される。別の態様において、用量は、就寝の約30分前に投与され、本明細書に記載の組成物の投与後に食物又は水は摂取されない。本発明のさらに別の実施形態において、用量は、就寝時間前に投与され、この場合に組成物の投与の後に、患者又は個人は、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間又は少なくとも8時間、実質的に仰臥位にある。
【0074】
幾つかの実施形態において、胃腸管、例えば食道の炎症又は炎症に付随する症状を治療、予防又は軽減する方法であって、それを必要とする個人に反復投与容器から本明細書に記載の医薬組成物の単一の単位用量を投与することからなる、方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態において、反復投与容器からの単一の単位用量の投与することは、(1)反復投与容器を振盪し、該反復投与容器は、少なくとも1回の単位用量の本明細書に記載の医薬組成物を含有し;(2)反復投与容器から投与デバイス(例えば、スプーン、カップ又は注射器などのヒト個人に投与するのに適したデバイス)に単一の単位用量を注入し(あるいは分注し);(3)単一の単位用量を、それを必要とする個人に投与することからなる。さらに特定の実施形態において、反復投与容器の振盪することは、その中の液体が注入(容易な注入)に適した粘度を有するまで生じる。幾つかの特定の実施形態において、前記方法は、さらに、単一の単位用量を注いだ後に及び単一の単位用量をそれを必要とする個人に投与する前に、待つことからなる。特定の実施形態において、待ち時間は、組成物の粘度を所望のレベル、例えば組成物の被覆能力を向上させる粘度に到達させるのに十分な時間である。幾つかの実施形態において、待ち時間は、例えば、約3秒以上;約5秒以上;約10秒以上;約15秒以上;約20秒以上;約25秒以上;約30秒以上;約40秒以上;約45秒以上;約50秒以上;又は約60秒以上である。他の特定の実施形態において、組成物は、組成物を投与デバイスに注入した後に直ちに投与される。幾つかの実施形態において、前記方法は、反復投与容器を十分に振盪することからなる。
【0075】
幾つかの実施形態において、初期治療は、例えば、急性疾患については約3日〜2週間、又は慢性疾患については約4週間〜約16週間、又は慢性疾患については約8週間〜約12週間継続される。種々の実施形態において、長期治療、例えば持続性喘息のための慢性治療と同様の治療が必要とされる。本発明の幾つかの態様において、患者は、例えば、最大6ヶ月間、又は最大1年間治療される。ある態様において、維持治療は、最大1年間又はそれよりも長く続けられる。幾つかの実施形態において、患者は、問題のある発症(episode)の間、疾患の重篤性に応じて持続基準に基づいて又は必要な基準に基づいて治療される。ある実施形態において、患者は、治療が一定期間提供され、次いで患者がある期間薬物投与を休止し、その後に治療を再び開始するローテーション治療基準に基づいて治療される。薬物投与を休止する場合に、患者は、治療、他の医薬を用いた治療、又は減量した薬量を用いた治療を行われないかもしれない。ある実施形態において、患者は、所望の疾患の抑制が得られるまで高用量の組成物を用いて治療を受け、次いで低用量の組成物を用いて継続される。
【0076】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、本明細書に記載の医薬組成物中に任意の有効量で存在する。幾つかの実施形態において、有効量は、胃腸管(例えば、食道)の炎症性疾患又は状態に関連した炎症又は炎症の症状を、有効量の投与の前の炎症性疾患に関連した炎症又は炎症の症状のレベルと比べて軽減するのに十分な量である。ある実施形態において、有効量は、いかなる方法によって、これに限定されないが、炎症又は炎症の症状の軽減を達成するのに十分な有効量の投与によって達成されるこのような軽減を維持するのに十分な量である。幾つかの実施形態において、有効量は、約0.05mg〜約10mg、約0.05mg〜約7.5mg、約0.05mg〜約5mg、約0.25mg〜約3mg、約0.25mg〜約2.5mg、約0.5mg〜約3mg、約0.5mg〜約2mg、約0.5mg〜約0.1mg、約0.5mg〜約5mg、約0.5mg〜約4mg、約1mg〜約4mg、約1mg〜約3mg、約2mg〜約3mg、又は約2mg〜約4mgである。特定の実施形態において、コルチコステロイドの有効量は、約0.05mg、約0.1mg、約0.15mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.37mg、約0.375mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.75mg、約1mg、約1.2mg、約1.25mg、約1.3mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、又は約7.5mg又はそれ以上である。ある実施形態において、コルチコステロイドは、医薬組成物中に約0.01mg/組成物mL〜約2mg/組成物1mLの濃度で存在する。特定の実施形態において、コルチコステロイドは、医薬組成物中に約0.01mg/mL〜約1.5mg/mL、約0.03mg/mL〜約1.5mg/mL、約0.05mg/mL〜約1.5mg/mL、又は約0.07mg/mL〜約1.5mg/mLの濃度で存在する。さらに特定の実施形態において、コルチコステロイドは、医薬組成物中に約0.07mg/mL〜約1mg/mLの濃度で存在する。
【0077】
特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、コルチコステロイド、デキストロース、マルトデキストリン、エデト酸塩、クエン酸塩、ポリソルベート80、任意の防腐剤、任意の着香剤、任意の甘味料、少なくとも1つの追加賦形剤、及び液状ビヒクルを含有する組成物である。特定の実施形態において、組成物は、防腐剤を含有する。さらなる実施形態又は別の実施形態において、組成物は、着香剤を含有する。さらなる実施形態又は別の実施形態において、液状ビヒクルは、水性媒体(例えば、水)である。特定の実施形態において、コルチコステロイド粒子(例えば、微粒子)は、水性媒体に懸濁される。
【0078】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、非限定的な例として、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン及びこれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態において、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾン)は、本明細書に記載の組成物又は製剤中に約0.005mg/mL〜約1.5mg/mL、約0.01mg/mL〜約1mg/mL、約0.01mg/mL〜約5mg/mL、約0.01mg/mL〜約3mg/mL、約0.01mg/mL〜約2mg/mL、約0.01mg/mL〜約1.5mg/mL、約0.05mg/mL〜約0.5mg/mL、約0.05mg/mL〜約0.4mg/mL、約0.07mg/mL〜約1.5mg/mL、又は約0.07mg/mL〜約1mg/mLの量で存在する。さらに特定の実施形態において、ブデソニドは、約0.01mg/mL〜約3mg/mL、約0.01mg/mL〜約1.5mg/mL、約0.05mg/mL〜約0.5mg/mL、約0.05mg/mL〜約0.4mg/mL、又は約0.07mg/mL〜約1mg/mLの量で存在する。別の特定の実施形態において、プロピオン酸フルチカゾンは、約0.005mg/mL〜約1.5mg/mL、又は約0.01mg/mL〜約1mg/mLの量で存在する。
【0079】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物の容量又は組成物の用量は、組成物が投与される個人の食道の長さ(例えば、その長さの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%)を実質的に被覆するのに十分な量である。ある実施形態において、本明細書に記載の組成物の容量又は組成物の用量は、約0.05mL/食道長cm〜約1mL/食道長cm、約0.1mL/食道長cm〜約0.8mL/食道長cm、約0.2mL/食道長cm〜約0.6mL/食道長cm、又は約0.3mL/食道長cm〜約0.5mL/食道長cmであり、この場合に食道長は、組成物が投与される個人の食道の長さである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物の容量又は組成物の用量は、年齢についての身長の50%値すなわち中央値にある個人(例えば、男性、女性、又は両方)の食道長に基づく。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物の容量又は組成物の用量は、約0.05mL/食道長cm〜約1mL/食道長cm、約0.1mL/食道長cm〜約0.8mL/食道長cm、約0.2mL/食道長cm〜約0.6mL/食道長cm、約0.3mL/食道長cm〜約0.5mL/食道長cm、約0.32mL/食道長cm〜約0.41mL/食道長cm、又は約0.3mL/食道長cm〜約0.46mL/食道長cmであり、この場合に食道長は、組成物が投与される個人の年齢の中央値の身長を有する個人の食道の長さである。ある場合には、食道長は、個人の実際の食道長であるか又は式:食道長=1.048(cm)+(0.167身長(cm))に基づいて算出される。ある場合には、例えば、男児についての中央値身長(CDC2000)は、2歳では87cmであり、3歳では95cmであり、4歳では102cmであり、5歳では109cmであり、6歳では115cmであり、7歳では122cmであり、8歳では128cmであり、9歳では134cmであり、10歳では139cmであり、11歳では144cmであり、12歳では149cmであり、13歳では156cmであり、14歳では164cmであり、15歳では170cmであり、16歳では174cmであり、17歳では175cmであり、18歳では176cmである。
【0080】
また、ある実施形態において、本明細書に記載の組成物中の治療薬(例えば、ブデソニドなどのコルチコステロイド)の量又は組成物の用量は、約0.005mg/食道長cm〜約0.3mg/食道長cm、約0.008mg/食道長cm〜約0.2mg/食道長cm、約0.01mg/食道長cm〜約0.15mg/食道長cm、又は約0.015mg/食道長cm〜約0.1mg/食道長cmであり、この場合に食道長は、組成物が投与される個人の食道の長さである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物の容量又は組成物の用量は、年齢についての身長の中央値にある個人(例えば、男性、女性、又は両方)の食道長に基づく。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物中の治療薬(例えば、ブデソニドなどのコルチコステロイド)の量又は組成物の用量は、約0.005mg/食道長cm〜約0.3mg/食道長cm、約0.008mg/食道長cm〜約0.2mg/食道長cm、約0.01mg/食道長cm〜約0.15mg/食道長cm、又は約0.015mg/食道長cm〜約0.1mg/食道長cmであり、この場合に食道長は、組成物が投与される個人の年齢について中央値の身長を有する個人の食道の長さである。
【0081】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の医薬組成物又は医薬組成物の用量は、個人に経口投与された場合に、ボーラスを提供するのに十分な容量で提供又は投与される。ある実施形態において、組成物は、過剰量の有効成分を全身的に送達しない容量を有する。幾つかの実施形態において、医薬組成物又は用量は、個人に投与した場合にボーラスを提供するのに十分な容量で提供され、この場合に食道の末端部でのボーラスの大きさ(例えば、食道下部の括約筋に入るか又は通過する前、例えば直前のボーラスの大きさ)は、食道に入ったボーラスの大きさ(例えば、食道上部の括約筋を通過した後、例えば直後のボーラスの大きさ)の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満又は5%未満である。幾つかの実施形態において、ボーラスの大きさは、直径又は容量の尺度として測定される。ある実施形態において、括約筋の直径は、ガンマシンチグラフィー法を使用して測定できる。特定の実施形態において、組成物の容量又は用量は、組成物又は用量が投与される個人の食道の長さ及び/又は直径を考慮に入れて調節される。
【0082】
本発明の別の例示的な実施形態において、本明細書に開示された組成物は、ロゼンジの形態で提供される。ロゼンジは、口腔内で溶解し、このようにして食道に到達し、食道を少なくとも部分的に被覆し、組成物を患部に、例えば、単なる例として、下部食道、食道−胃接合部、胃及び/又は十二指腸に送達し得る。ロゼンジ又はその他の同様の形態(例えば、錠剤、カプセル、又はその他の固体)は、口腔又は食道で溶解して溶液を生成し、この溶液は、次いで食道を少なくとも部分的に被覆し、その後に組成物を患部に、例えば、単なる例として、下部食道、食道−胃接合部、胃及び/又は十二指腸に送達する。又は、溶解性ロゼンジを用いることが困難であり得る小児、幼児又はその他の患者について、ロゼンジは、粉砕し得るし、あるいは少量の水又はその他の製薬学的に適した液体に溶解され、本明細書の実施形態に示される全量に達し得る。本発明の別の例示的な実施形態において、本明細書に開示された組成物は、胃腸管、例えば食道に対して徐放及び送達のために設計された錠剤、カプセル、又は例えばゲルカプセルの形態で提供される。
【0083】
幾つかの実施形態において、初期治療は、例えば、急性疾患については約3日〜2週間、又は慢性疾患については約4週間〜約16週間、又は慢性疾患については約8週間〜約12週間継続される。種々の実施形態において、長期治療、例えば持続性喘息のための慢性治療と同様の治療が必要とされる。本発明の幾つかの態様において、患者は、例えば、最大6ヶ月間、又は最大1年間治療される。ある態様において、維持治療は、最大1年間又はそれよりも長く続けられる。幾つかの実施形態において、患者は、問題のある発症(episode)の間、疾患の重篤性に応じて持続基準に基づいて又は必要な基準に基づいて治療される。ある実施形態において、患者は、治療が一定期間提供され、次いで患者がある期間薬物投与を休止し、その後に治療を再び開始するローテーション治療基準に基づいて治療される。薬物投与を休止する場合に、患者は、治療、他の医薬を用いた治療、食事療法、又は減量した薬量を用いた治療を行われないかもしれない。ある実施形態において、患者は、所望の疾患の抑制が得られるまで高用量の組成物を用いて治療を受け、次いで低用量の組成物を用いて継続される。ある実施形態において、患者は、本明細書に記載の組成物を用いる治療、別の薬剤を用いる治療、及び/又は食事療法を組み合わせる。ある実施形態において、患者は、所望の疾患の抑制が得られるまで高用量の組成物を用いて治療を受け、次いで低用量の組成物を用いて継続される。
【0084】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法は、間欠治療又は連続治療を含む。ある実施形態において、本明細書に記載の胃腸炎の治療方法は、胃腸炎の予防的治療(例えば、症状及び/又は炎症が生じるのを防ぐ治療)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の胃腸炎の治療方法は、炎症及び/又は炎症の症状が寛解した後に本明細書に記載の医薬組成物を投与するか又は投与を続けることによって胃腸炎の寛解を延長する及び/又は持続する方法を含む。特定の実施形態において、予防及び/又は寛解療法は、場合により、炎症及び/又は炎症の症状が寛解しない場合に使用されるコルチコステロイドの量と比べて低減された量のコルチコステロイドを含有する本明細書に記載の組成物の投与を包含する。
【0085】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物を投与し;このような治療の効果を調べることによって胃腸炎(例えば、EoE)を有する個人を診断する方法が、本明細書において提供される。ある場合においては、個人は、少なくとも1つの制酸薬(例えば、PPI及び/又はH2A)に対して難治性である胃腸炎及び/又はその症状を有する患者である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物を用いる胃腸炎の効果的な治療は、EoEの陽性兆候(psositive indication)である。ある実施形態において、この診断方法は、食道生検の代わりに使用される。
【0086】
種々の実施形態において、本発明の組成物は、製薬学的に許容し得る塩を包含する。製薬学的に許容し得る塩は、一般的に当業者には周知であり、非限定的な例として、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、べシル酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、二酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カルンシレート(carnsylate)、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ素化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、スバセチン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩又はテオクル酸塩が挙げられる。その他の製薬学的に許容し得る塩は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20.sup.th ed.)Lippincott、Williams & Wilkins(2000)に見出し得る。特定の実施形態において、製薬学的に許容し得る塩としては、例えば、酢酸塩、安息香酸塩、臭化物、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、ナプシル酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩又は酒石酸塩が挙げられる。ある実施形態において、このような塩は、本明細書に記載のコルチコステロイド類のいずれかについて使用される。
【0087】
治療される具体的な状態に応じて、組成物は、液状又は固形製剤に製剤し、全身的に又は局所的に投与し得る。幾つかの実施形態において、薬剤は、例えば、当業者に知られているような持効性又は持続性の低放出製剤で送達される。製剤化及び投与の方法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.)Lippincott、Williams & Wilkins(2000)に見出し得る。
【0088】
本発明の種々の実施形態は、1つ又は複数の有効成分の他に、適当な製薬学的に許容し得る賦形剤と助剤とを含有する医薬組成物を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、製薬学的に許容し得る賦形剤及び/又は助剤が、本発明の実施のために本明細書に開示されたコルチコステロイド類を、本発明の範囲内にある全身投与に適した投与剤に製剤化するのに使用される。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、当該技術で周知の製薬学的に許容し得る賦形剤及び/又は助剤を使用して、経口投与に適した投与剤に容易に製剤化される。本発明の組成物を可能にする賦形剤及び/又は助剤は、さらに、治療すべき患者によって経口摂取されるために、組成物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ソフトチュウー(soft chew)、クリーム、ペースト、チュアブル錠、ゲル又はゲルマトリックス、シロップ、スラリー、懸濁液、ガム、ロゼンジなどに製剤することを可能にするのに適した賦形剤及び/又は助剤を含有する。ある場合には、経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)は、経口投与されると、経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)と胃腸管の表面(例えば、食道の表面)との間に界面層が形成されるように製剤される。ある場合には、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)と接触している経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)は、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)上に及び/又はその全体に界面層を介してコルチコステロイドを送達し、界面層の近くの経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)がコルチコステロイドを使い尽くすにつれて濃度勾配が生じる。ある場合には、界面層に最も近い経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)の一部と比べて高い濃度のコルチコステロイドを有する経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)の一部は、界面層に最も近い経口製剤(例えば、懸濁液、クリーム又はゲルマトリックス)の一部にコルチコステロイドを補給する。ある場合には、個人に本明細書に記載の経口製剤を経口投与すると、胃腸管の表面(例えば、食道の表面)と、経口製剤(例えば、チュアブル錠)と唾液との混合物との間に界面層が形成される。
【0089】
ある実施形態において、経口使用するための医薬製剤は、コルチコステロイドを固形賦形剤と混合し、場合によっては得られる混合物を粉砕し、必要ならば、適当な助剤を加えた後に、顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって得られる。適当な賦形剤としては、非限定的な例として、充填剤、例えば糖類又はデンプン類、例えばデキストロース、ラクトース、マルトデキストリン、スクロース、スクラロース、マンニトール又はソルビトール;セルロース調剤、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン又はジャガイモデンプン、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。場合により、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書において使用される医薬組成物は、溶解性錠剤を口当たりよくさせる賦形剤、例えば甘味料又は着香剤を含有する。
【0090】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、液体の形態である。液体の形態の医薬組成物に使用するのに適切な賦形剤としては、例えば、液状組成物の粘膜付着特性を高める賦形剤が挙げられる。また、任意の賦形剤としては、非限定的な例として、液状組成物を口当たりよくさせるか又は液状組成物の粘度を高める賦形剤が挙げられる。美味性を高める任意の賦形剤としては、非限定的な例として、糖類、例えばデキストロース、ラクトース、スクロース、スクラロース、マルトデキストリン、マンニトール又はソルビトール;ハチミツあるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0091】
本明細書に記載の組成物又は製剤のいずれかは、場合により1つ又はそれ以上の増粘剤、を含有し、場合により1つ又はそれ以上の結合剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の充填剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の潤滑剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の溶媒を含有し、場合により1つ又はそれ以上の懸濁剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の着香剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の着色剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の甘味料を含有し、場合により1つ又はそれ以上の防腐剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の酸化防止剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の緩衝剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の保湿剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上のキレート化剤を含有し、場合により1つ又はそれ以上の界面活性剤、あるいはこれらの組み合わせを含有する。
【0092】
防腐剤としては、非限定的な例として、塩化ベンザルコニウム、セトリミド(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、安息香酸、ベンジルアルコール、パラ−ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル、クロルヘキシジン、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、チオメサール(水銀チオサリチル酸塩)、これらの組み合わせなどが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び製剤は、場合により1又はそれ以上の防腐剤を約0.1%(w/w)〜約5%(w/w)、約0.1%(w/w)〜約3%(w/w)、約0.1%(w/w)〜約1%(w/w)、約0.1%(w/w)〜約0.5%(w/w)、約0.2%(w/w)含有する。
【0093】
酸化防止剤としては、非限定的な例として、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、アスコルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、BHT、BHA、重亜硫酸ナトリウム、ビタミンE又はその誘導体、没食子酸プロピル、エデト酸塩(EDTA)(例えば、エデト酸二ナトリウム)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリグリコラメート(Tryglycollamate)(NT)、これらの組み合わせなどが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び製剤は、場合により1つ又はそれ以上の酸化防止剤を約0.01%(w/w)〜約1%(w/w)、約0.01%(w/w)〜約0.5%(w/w)、約0.01%(w/w)〜約0.3%(w/w)、又は約0.01%(w/w)〜約0.1%(w/w)含有する。
【0094】
緩衝剤としては、非限定的な例として、クエン酸緩衝液(すなわち、クエン酸及びクエン酸塩)、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0095】
本明細書で使用されるように、「クエン酸塩」とは、式II(式中、それぞれのRは、独立して、H及び負電荷から選択される)の化合物全てを包含する(例えば、塩として又は解離した塩又は酸として)。ある実施形態において、クエン酸塩は、非限定的な例として、クエン酸ナトリウム、クエン酸などから選択される。
【化1】




【0096】
保湿剤としては、非限定的な例として、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリルトリアセテート、ポリオール(例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリデキストロース)などが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び製剤は、場合により保湿剤を約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)、約1%(w/w)〜約10%(w/w)、約1%〜約8%(w/w)、又は約5%(w/w)含有する。ある実施形態において、保湿剤は、本明細書に記載の組成物及び製剤の1つ又はそれ以上の成分(例えば、甘味料、粘膜付着剤又は増粘剤)の沈殿及び/又は結晶化を抑制する。
【0097】
キレート化剤としては、非限定的な例として、エデト酸塩(EDTA)(例えば、エデト酸二ナトリウム塩)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリグリコラメート(NT)などが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び製剤は、場合により1つ又はそれ以上のキレート化剤を約0.01%(w/w)〜約0.5%(w/w)、約0.01%(w/w)〜約0.3%(w/w)、約0.01%(w/w)〜約0.1%(w/w)、又は約0.05%(w/w)含有する。
【0098】
本明細書で使用されるように、「エデト酸塩」とは、式I(式中、それぞれのRは、独立して、H及び負電荷から選択される)の化合物全てを包含する(例えば、塩として又は解離した塩又は酸として)。ある実施形態において、エデト酸塩は、非限定的な例として、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸などから選択される。
【化2】




【0099】
ある実施形態において、甘味料としては、非限定的な例として、グリセリン、アセスルファムカリウム(AceK)、グリチルリチン酸モノアンモニウム(Magnasweet(登録商標))、ラクトース、グルコース、フルクトース、アラビノース、キシロース、リボース、マンノース、ガラクトース、デキストロース、ソルボース、ソルビトール、マンニトール、マルトース、セロビオース、キシリトールなどが挙げられる。幾つかの実施形態において、着香剤としては、非限定的な例として、ペパーミント、オレンジ、風船ガム、ヒメコウジ、グレープ及びチェリーが挙げられる。
【0100】
界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤、例えば、非限定的な例として、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120)、胆汁酸類又はこれらの塩(例えば、タウロコール酸ナトリウム、デオキシタウロコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸、及びウルソデオキシコール酸)、ノノキシノール又はポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、プルロニック(pluronic)又はポロキサマー、例えばPluronic F68、Pluronic L44、Pluronic L101、これらの組み合わせなどが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び製剤は、約0.001%(w/w)〜約0.5%(w/w)、約0.001%(w/w)〜約0.3%(w/w)、約0.001%(w/w)〜約0.1%(w/w)、又は約0.01%(w/w)の1つ又はそれ以上の界面活性剤を含有する。
【0101】
糖衣錠コアは、適当な被覆を有する。幾つかの実施形態において、濃厚糖溶液が、この目的に使用され、濃厚糖溶液は、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール(PEG)、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適当な有機溶媒又は溶媒混合物を含有する。色素又は顔料が、場合により、複数の活性コルチコステロイド用量の種々の組み合わせを識別又は特定するために錠剤又は糖衣錠コーティングに加えられる。
【0102】
種々の実施形態において、経口使用される医薬製剤としては、ゼラチン製の押し込み式カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトール製の軟密封カプセルが挙げられる。幾つかの実施形態において、押し込み式カプセルは、1つ又は複数の有効成分を、充填剤、結合剤、潤滑剤、安定剤又はこれらの組み合わせとの混合物で含有する。充填剤としては、非限定的な例として、ラクトースが挙げられる。結合剤としては、非限定的な例として、デンプンが挙げられる。潤滑剤としては、非限定的な例として、タルク及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。軟カプセルにおいて、コルチコステロイド類は、適当な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン、又は液状ポリエチレングリコール(PEG)に溶解又は懸濁し得る。また、安定剤が場合により加えられる。
【0103】
1つの実施形態において、本発明は、低い生体利用性を有するコルチコステロイドを提供する。低い生体利用性のために、コルチコステロイドが、本発明のある実施形態において使用され、コルチコステロイドは、胃腸管、例えば食道に留まる。幾つかの実施形態において、低い生体利用性は、全身性副作用及び合併症の減少をもたらし、慢性疾患を有する患者が長期間治療を受けることを可能にする。
【0104】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物又は製剤は、コルチコステロイド(例えば、ブデソニド)を含有する懸濁液又は溶液である。幾つかの実施形態において、組成物(例えば、懸濁液又は溶液)は、液状媒体(例えば、使用する溶媒又は液状ビヒクル、例えば水、アルコール、水性アルコールなど)に溶解するある一定濃度のコルチコステロイド(例えば、ブデソニド)を含有する。ある実施形態において、液状媒体に(例えば、平衡化した試料)溶解したコルチコステロイド(例えば、ブデソニド)の量は、4μg/mLよりも多い、5μg/mLよりも多い、10μg/mLよりも多い、15μg/mLよりも多い、20μg/mLよりも多い、21μg/mLよりも多い、22μg/mLよりも多い、23μg/mLよりも多い、24μg/mLよりも多い、25μg/mLよりも多い、約25μg/mL、30μg/mLよりも多い、約25μg/mL〜約80μg/mL、約30μg/mL〜約80μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、約50μg/mL、約55μg/mL、約60μg/mL、約65μg/mL、又は約70μg/mLである。
【0105】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、液状媒体(例えば、使用する溶媒又は液状ビヒクル、例えば水、アルコール、水性アルコールなど)に溶解しているある一定濃度のブデソニドを含有する。特定の実施形態において、溶解したブデソニドのRエピマーの量(ブデソニドの全体量と比べて)は、28%(w/w)よりも多い、30%(w/w)、39%(w/w)よりも多い、40%よりも多い、約39〜50%、約40〜50%、38%(w/w)未満、約29%〜37%(w/w)、27%(w/w)未満などである。ある場合には、エピマー%は、約50〜55%(w/w)、又は約53〜54%(w/w)の全Rエピマー%(全ブデソニドに比べて)を有する組成物において得られる。ある場合には、試料の平衡は、液体に溶解したコルチコステロイド(例えば、ブデソニド)の濃度が、例えば2日後、3日後、4日後、5日後、1週間後又は1ヵ月後などに実質的に安定であると、達成される。特定の場合には、試料の平衡は、2日後に達成される。
【0106】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、市販製剤で投与される。他の実施形態において、コルチコステロイドは、コルチコステロイドの市販製剤を含有し、本明細書に記載のようにして製剤される組成物で投与される。例えば、幾つかの実施形態において、本明細書において提供されるコルチコステロイド含有組成物は、市販製剤及び賦形剤、例えば希釈剤、着香剤、粘膜付着剤、増粘剤、結合剤、充填剤、潤滑剤、溶媒、懸濁剤、着色剤、甘味料、防腐剤、酸化防止剤、緩衝剤、保湿剤、キレート化剤、界面活性剤、これらの組み合わせなどを含有する。コルチコステロイドがブデソニドである幾つかの実施形態において、市販製剤は、パルミコート吸入液(Pulmicort Respules)(登録商標)(例えば、NDA20−929(これは、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載のように、AstraZenecaによって供給される)である。コルチコステロイドがブデソニドである他の実施形態において、市販製剤は、リノコート・アクア(Rhinocort Aqua)(登録商標)(例えば、NDA20−746(これは、全ての追補を含め、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる)に記載のように、AstraZeneca LP、Wilmington、DE19850によって供給される)である。コルチコステロイドがブデソニドであるさらに別の実施形態において、市販製剤は、シンビコート(Symbicort)(登録商標)(例えば、NDA21−929(これは、全ての追補を含め、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる)に記載のように、AstraZeneca Dunkerque Production、Dunkerque、Franceによって製造される)。コルチコステロイドがフルチカゾンである幾つかの実施形態において、市販製剤は、フロナーゼ(Flonase)(登録商標)である。幾つかの実施形態において、市販製剤と任意の希釈剤との比は、約1:0.5〜約1:100の間にある。希釈剤としては、任意の製薬学的に許容し得る経口希釈剤、例えば、粉末希釈剤(例えばタルク)及び液状希釈剤(例えば水、エタノール及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。ある実施形態において、市販製剤は、エントコート(Entocort)(登録商標)(NDA21−324(これは、全ての追補を含め、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる)に記載のように、AstraZeneca AB、S−151 85 Sodertalje、Swedenによって製造され、Prometheus Laboratories Inc、San Diego、CA92121によって供給される)である。ある実施形態において、エントコート(Entocort)(登録商標)製剤は、水性ビヒクルに溶解する及び/又は分散する。特定の実施形態において、エントコート(Entocort)(登録商標)製剤は、ブデソニド粒子から腸溶性コーティングを除去するのに十分なpHを有する液状ビヒクルに分散する。別の実施形態において、エントコート(Entocort)(登録商標)製剤は、その中のブデソニド粒子から腸溶性コーティングを除去するのに十分なpHを有する溶媒で予備処理され、その後に該粒子は本明細書に記載の組成物に製剤される。
【0107】
ある実施形態において、本明細書に記載のコルチコステロイド組成物は、コルチコステロイド(市販製剤)と、場合によっては1つ又はそれ以上の追加賦形剤とを含有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載のコルチコステロイド組成物は、市販製剤(例えば、製剤の1つ又はそれ以上の有効成分を欠いている)と同様の方法で製剤されたコルチコステロイドと、場合によっては1つ又はそれ以上の追加賦形剤とを含有する。1つ又はそれ以上追加賦形剤は、本明細書に記載のような製剤を得るのに使用できる。特定の実施形態において、市販製剤は、Ultra XCID(Matrixx Initiatives、Inc.、Phoenix、AZによって製造される)である。
【0108】
ある実施形態において、本明細書において提供される組成物は、表1〜12のいずれかに記載の諸成分を含有するか又は該諸成分を組み合わせることによって調製される。種々の実施形態において、マルトデキストリン、デキストロース、HEC、CMC、MCC、カルボマー及びHPMCの1つ又はそれ以上が組成物に使用される。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【0109】
疾患
幾つかの実施形態において、胃腸管、例えば食道の炎症又は炎症に付随する症状を治療、予防又は軽減する方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態において、本明細書において提供される方法は、胃腸管の炎症の症状を弱める又は軽減する方法である。さらに特定の実施形態において、胃腸管の炎症は、好酸球性食道炎(EoE)である。幾つかの実施形態において、本明細書において提供される方法は、好酸球性食道炎(EoE)に付随する炎症を治療する方法である。ある実施形態において、本明細書において提供される方法は、好酸球性食道炎(EoE)に付随する嚥下障害を治療する方法である。幾つかの実施形態において、本明細書において提供される方法は、好酸球性食道炎(EoE)に付随する炎症及び嚥下障害を治療する方法である。ある実施形態において、本明細書に記載の組成物を投与することによって胃腸管の疾患又は状態(例えば、上部胃腸管の疾患又は状態、例えば食道の疾患又は状態)を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0110】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物の投与は、炎症性疾患又は状態に付随する炎症又は症状を治療、予防又は軽減する。胃腸管の疾患又は状態としては、非限定的な例として、胃腸管(例えば、上部胃腸管、食道、胃及び/又は消化管)に関連し、ステロイド療法に反応する任意の慢性の炎症又は悪性状態が挙げられる。ある場合には、本明細書に記載の組成物で治療される疾患又は状態としては、上部胃腸管の疾患又は状態(前結腸疾患及び障害を含む)、食道、胃、及び/又は消化管の疾患又は状態が挙げられる。本発明の方法は、例えば、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、クローン病、近位胃腸病(例えば、胆嚢の機能不全を患う個人において)、好酸球性胃腸炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、細長い乳頭、乳頭の拡張血管、真菌性食道炎(例えば、カンジダ菌、トルロプシス菌、ヒストプラスマ菌、アスペルギルス菌など)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核菌、放線菌症、梅毒)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患(例えば、水泡性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する急性食道炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する持続性/再発性反復食道狭窄、摂取に起因する病気、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症及び胃腸炎に関連する炎症又は症状を治療、予防及び軽減するのに有用である。本発明の方法はまた、例えば、胃食道逆流性疾患(GERD)、非びらん性逆流性疾患(NERD)、バレット食道、及び/又はびらん性食道炎に関連する炎症又は症状を治療、予防及び軽減するのにも有用である。
【0111】
治療についての本明細書における言及は炎症又はその他の症状の予防及び治療に及ぶことが認められるであろう。
【0112】
ある実施形態において、個人に本明細書に記載の組成物のいずれかを経口投与することからなる個人の胃腸管、例えば非限定的な例として、食道、胃及び/又は消化管の炎症を治療、予防又は軽減する方法が、本明細書において提供される。ある実施形態において、経口製剤は、液状ビヒクルを含有し、例えば、スラリー、懸濁液、シロップ、分散液、溶液などとして製剤される。
【0113】
1つの態様において、患者には、コルチコステロイド、例えばブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾンが投与される。
【0114】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法及び組成物によって治療される炎症は、好酸球性炎症及び/又は好中球性炎症に付随する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物を用いて治療すべき個人(例えば、患者)としては、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、近位胃腸病(例えば、胆嚢の機能不全を患う個人において)、好酸球性胃腸炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、細長い乳頭、乳頭の拡張血管、真菌性食道炎(例えば、カンジダ菌、トルロプシス菌、ヒストプラスマ菌、アスペルギルス菌など)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核菌、放線菌症、梅毒)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患(例えば、水泡性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する食道炎、任意の原因の及び腐食性/刺激性食物摂取を含む持続性/再発性反復食道狭窄、錠剤誘発食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症又は胃腸炎と診断された個人が挙げられる。1つの限定されない例において、患者は好酸球性食道炎を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物を用いて治療すべき個人(例えば、患者)としては、胃食道逆流性疾患(GERD)、非びらん性逆流性疾患(NERD)、及び/又はびらん性食道炎と診断された個人が挙げられる。幾つかの実施形態において、患者は、成人である。他の実施形態において、患者は、小児又は乳児である。種々の態様において、小児又は乳児は、16歳未満、12歳未満、8歳未満、6歳未満、4歳未満又は2歳未満である。
【0115】
幾つかの実施形態において、組成物は、患者の経口投与用の単位用量製剤である。幾つかの実施形態において、単位用量のコルチコステロイドが、計量デバイスから投与される。幾つかの実施形態において、計量デバイスは、本明細書に記載の組成物の計量単位用量を、それを必要とする個人の口腔又は咽頭に送達する。ある実施形態において、計量デバイスは、計量吸入器であり、これは計量単位用量を個人の口腔又は咽頭に投与するのに使用される(個人は、計量単位用量を吸入するよりもむしろ嚥下する)。ある実施形態において、計量デバイスは、本明細書に記載の組成物の計量単位用量を容器(例えば、カップ)に分配し、次いでこれが計量単位用量を口腔又は咽頭に経口投与するのに使用される。ある態様において、1日当たり又は投与量当たり約0.01mg〜約20mg、約0.01mg〜約15mg、約0.01mg〜約10mg(例えば、約0.1〜約10mg、約0.25〜約5mg、約0.25mg〜約2.5mg、約1〜約2mg、約2mg〜約3mg)のコルチコステロイドが個人に投与される。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、本明細書に記載の組成物又は単位用量の組成物中、約0.01mg〜約10mg(例えば、約0.1mg〜約10mg、約0.25mg〜約5mg、約0.3mg〜約4mg、約0.25mg〜約2.5mg、約1mg〜約2mg、約2mg〜約3mg)の量で存在する。幾つかの実施形態において、1日に又は単位用量で投与されるコルチコステロイドの量は、約0.5mg〜約3mgである。他の実施形態において、単位用量に存在するか又は1日に投与されるコルチコステロイドの量は、約1〜約3mg、又は約1〜約2mg、又は約2〜約3mgである。
【0116】
本明細書で参照したそれぞれの特許明細書、特許出願明細書、刊行物及び文献の全部が、参照することにより本明細書に組み込まれる。上記の特許明細書、特許出願明細書、刊行物及び文献の引用は、上記のいずれも適切な従来技術であると認めることではないし、これらの刊行物又は文献の内容又は日付に関して何ら承認も構成しない。
【0117】
特に定義しない限りは、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及びシステムと類似又は均等の方法及びシステムのいずれも、本発明の実施又は試験に使用できるが、今般、前記方法、デバイス及び物質が記載される。本明細書に述べた全ての刊行物は、本発明に関連して使用し得る刊行物に報告されている方法、システム、及び方法論を記載及び開示することを目的として、参照することによって本明細書に組み込まれる。本発明は従来発明によるこのような開示の日時よりも前である資格が与えられないと認められると解釈されるべきでない。
【0118】
本発明の基本的態様から逸脱することなく上記に対して変更を行い得る。本発明は1つ又はそれ以上の特定の実施形態を参照して実質的に詳細に記載されているが、当業者には、本出願明細書に具体的に開示された実施形態に対して変更を行い得ること及びさらにこれらの改変及び改良は本発明の範囲及び精神の範囲に入ることが分かるであろう。本明細書に適切に例示的に記載された発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素の不存在下で実施し得る。従って、例えば、本明細書のそれぞれの場合において、「含有する」、「のみから本質的になる」及び「のみからなる」という用語のいずれも、その中の他の2つの用語のいずれかに置き換えられてもよい。従って、使用されている用語及び表現は、記述の用語として使用され且つ限定の用語として使用されず、示される及び記載される要件の均等物又はその部分は除外されないし、また種々の変更が本発明の範囲内で可能であることが認められる。
【0119】
幾つかの実施形態において、約2〜約180単位用量、約10〜約60単位用量、約14単位用量、又は約30単位用量の本明細書に記載の任意の医薬組成物を含有する反復投与単位容器が、本明細書において提供される。さらに特定の実施形態において、それぞれの用量は、約1mL〜約25mL、約1mL〜約20mL、約7mL〜約25mL、約10〜約20mL、約15mL、約20mL、約3〜約7mL、約5mL、約8mL〜約12mL又は約10mLを含有する。さらに特定の実施形態において、それぞれの用量は、約0.1〜約20mg、約0.1〜約10mg、約0.1〜約7.5mg、約0.1〜約5mg、約0.3〜約4mg、約0.25〜約2.5mg、約0.3mg〜約2mg、約0.5mg〜約1mg、約0.7mg〜約1.5mg、約0.375mg、約0.75mg、約1mg、約1.25mg、約1.5mg又は約2mgのコルチコステロイドを含有する。ある実施形態において、約10mL〜約1500mL、約50mL〜約600mL、約150mL、約300mL、約600mL、又は約1,200mLの本明細書に記載の任意の医薬組成物を含有する反復投与単位容器が、本明細書において提供される。特定の実施形態において、反復投与容器は、約330mL又は約55mLの本明細書に記載の組成物を含有する。幾つかの実施形態において、本明細書において提供されるキットは、本明細書に記載のような任意の反復投与容器、本明細書に記載のような医薬組成物(例えば、記載の容量で)、及び送達デバイス(例えば、注射器、カップ、スプーンなど)からなる。特定の実施形態において、送達デバイスは、容器(例えば、噴霧器、エアロゾール装置、ポンプなど)に組み込まれる。ある実施形態において、本明細書に記載の反復投与単位容器のいずれかに入れた医薬組成物は、物理的及び化学的に安定している。
【0120】
ある態様において、1日当たり約0.1mg〜約20mg、約0.25mg〜約20mg、約0.25mg〜約15mg、約0.25mg〜約10mg、又は約0.25mg〜約5mg(例えば、約0.1〜約5mg、約0.3mg〜約4mg、約0.25〜約2.5mg、約0.3mg〜約2mg、約0.5mg〜約1mg、約0.7mg〜約1.5mg、約0.375mg、約0.75mg、約1mg、約1.25mg、約1.5mg又は約2mg)のコルチコステロイドが患者に投与される。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、約0.25mg〜約5mgの間の量の単位用量で存在する。幾つかの実施形態において、1日に又は単位用量で投与されるコルチコステロイドの量は、約0.1mg〜約20mgである。幾つかの実施形態において、1日に又は単位用量で投与されるコルチコステロイドの量は、約0.3mg〜約4mgである。ある実施形態において、1日に又は単位用量で投与されるコルチコステロイドの量は、約0.5mg〜約3mgである。他の実施形態において、単位用量に存在するか又は1日に投与されるコルチコステロイドの量は、約1〜約3mg、又は約1〜約2mg、又は約2〜約3mgである。
【0121】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物又は製剤は、安定している。特定の実施形態において、組成物は、化学的に及び物理的に安定している。ある実施形態において、化学安定性は、その中に初期量又は標識量の少なくとも80%、90%、95%、98%、又は99%のコルチコステロイド及び/又は任意の追加の有効成分を、非限定的な例として、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間又は保存寿命の期間含有する組成物によって証明される。幾つかの実施形態において、物理的安定性は、均一性を実質的に得ることができるか、変わらず実質的に均一であることができる(例えば、少なくとも1日、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間など)か、又は均一性を実質的に回復することができる(例えば、1日、3日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間などそのままにして置いた後の軽度又は中程度の攪拌によって)医薬組成物によって証明される。ある実施形態において、物理的安定性は、医薬組成物であってその中に初期量又は標識量の少なくとも80%、90%、95%、98%、又は99%のコルチコステロイド及び/又は任意の追加有効成分を、非限定的な例として、2日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、又は保存寿命の期間含有する組成物によって証明される。ある実施形態において、本明細書に記載のような均一性は、医薬組成物全体のコルチコステロイド粒子の分散物の均一性、医薬組成物全体のコルチコステロイド粒子の分散物質量の均一性、医薬組成物全体の組成物中の成分の1つ又はそれ以上の濃度の均一性などによって証明される。ある実施形態において、軽度又は中程度の攪拌は、非限定的な例として、振盪、十分な振盪、かき混ぜ、穏やかなかき混ぜなどを含む。幾つかの実施形態において、軽度又は中程度の攪拌は、特殊装置を使用しない攪拌を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物の均一性は、用量均一性(例えば、組成物から送達されるか又は持ち出されるそれぞれの用量は、実質的に類似した量のコルチコステロイドを含有する)を指すか、又は反復投与製剤からの少なくとも幾つか又は全部の用量中のコルチコステロイドの濃度が実質的に類似していることを指す。ある実施形態において、実質的に類似しているとは、例えば、20%以内、15%以内、10%以内、7%以内、5%以内、3%以内、2%以内、又は1%以内であることを包含する。
【0122】
幾つかの実施形態において、本明細書において投与される組成物の用量又は容量は、治療の効果に基づいて調節される。ある実施形態において、好酸球性食道炎の診断は、本明細書に記載の組成物を投与し、治療の効果を調べることによって達成される。ある実施形態において、本明細書に記載され且つ好酸球性食道炎の治療に有効であると個別に調べられた組成物が使用される。治療の効果は、任意の適当な方法で、例えば、症状スコア評価、胃腸鏡検査法(例えば、食道胃鏡検査法)、胃腸管(例えば、食道)生検、組織学的評価、又はこれらの組み合わせで調べることができる。好酸球性食道炎を診断する及び/又は治療の効果を調べる方法としては、任意の適当な方法、例えば、非限定的な例として、Aceves et al.,J Allergy Clin Immunol,Feb.2008;abstract 270又はAceves et al.,Am J Gastroenterol.,Oct.2007,102(10):2271−9に記載の方法が挙げられ、これらの両方はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0123】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の治療(例えば、好酸球性食道炎の治療)の効果を調べる方法は、(i)本明細書に記載の組成物を、好酸球性食道炎と診断されるか又は好酸球性食道炎を罹患していると疑われる個人に投与し;(ii)この個人の1つ又はそれ以上の症状を評価することからなる臨床症状スコア評価である。場合によりスコア付けされる症状としては、非限定的な例として、悪心、嘔吐、疼痛及び胸焼けが挙げられる。総スコア又はスコアの変化が、場合により障害を診断する及び/又は治療の効果を調べるのに使用される。
【0124】
ある実施形態において、本明細書に記載の治療の効果を調べる方法は、(i)本明細書に記載の組成物を、胃腸管の炎症(例えば、好酸球性食道炎)及び/又は付随する症状と診断されるかそれを罹患していると疑われる個人に投与し;(ii)この個人の胃腸表面を内視鏡検査し;(iii)胃腸表面の組織を生検し;(iv)生検組織を評価し、場合により生検組織の内視鏡検査スコアを調べることからなる。特定の実施形態において、前記方法は、さらに、組成物の投与の前に得られた評価した生検組織及び/又は内視鏡検査スコアを、組成物の投与の後の生検組織及び/又は内視鏡検査スコアと比較することからなる。
【0125】
幾つかの実施形態において、(i)個人に本明細書に記載の組成物を投与する前に個人の症状を検査及び/又は測定し;(ii)個人に本明細書に記載の任意の組成物を投与し;(iii)組成物の投与後の個人の症状を検査及び/又は測定し;(iv)本明細書に記載の組成物の投与の前と後の測定又は検査された症状を比較することによって、胃腸炎を有する個人を診断する方法が、本明細書において提供される。個人が示す症状が軽減される(例えば、統計学的に有意な又は臨床的に意義のある量によって)場合には、陽性診断が生じる。特定の実施形態において、胃腸炎を有する個人を診断する方法は、好酸球性食道炎を有する個人を診断することである。
併用
【0126】
本明細書で論じたように、記載の組成物及び製剤は、少なくとも1つのコルチコステロイド(例えば、ブデソニド又はプロピオン酸フルチカゾン)を含有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び製剤は、さらに、少なくとも1つの追加有効成分を含有する。特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物及び製剤は、治療有効量のコルチコステロイドと、治療有効量の少なくとも1つの追加有効成分とを含有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの追加有効成分は、胃腸管(例えば、食道)に影響を及ぼす炎症性疾患の症状及び/又は付随する炎症を治療、予防又は軽減する薬剤である。ある場合には、コルチコステロイドを追加の有効成分と組み合わせると、コルチコステロイドの治療有効量は、追加有効成分が存在しない場合の治療有効量よりも少ないことが理解されるべきである。
【0127】
また、個人に、コルチコステロイドを少なくとも1つの追加有効成分と一緒に又は組み合わせて経口投与することからなる胃腸(例えば、食道)の炎症を予防又は軽減する方法が、本明細書において提供される。ある実施形態において、コルチコステロイドと少なくとも1つの追加有効成分は、単一の製剤である。別の実施形態において、コルチコステロイドと少なくとも1つの追加有効成分は、個別の製剤であり、任意の方法で、例えば、非限定的な例として、同時に投与されるか、連続的に投与されるか又は異なる時間で投与される。例えば、ある実施形態において、コルチコステロイド組成物の数回の用量が、一定の時間にわたって投与され、その後にコルチコステロイド組成物の投与が中止され、少なくとも1つの追加有効成分の投与が少なくとも1回投与される。
【0128】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物、製剤又は方法に使用される少なくとも1つの追加有効成分は、胃腸管(例えば、食道)に影響を及ぼす炎症性疾患の症状及び/又は付随する炎症を治療、予防又は軽減する薬剤である。さらに特定の実施形態において、少なくとも1つの追加有効成分は、第二のコルチコステロイドではない。ある実施形態において、少なくとも1つの追加有効成分は、制酸薬(例えば、H2拮抗薬及び/又はPPI)である。ある実施形態において、少なくとも1つの追加有効成分は、非限定的な例として、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2拮抗薬、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)抑制薬、セロトニン作動薬/運動促進薬、カリウム競合型酸遮断薬(P−CAB)、粘膜保護剤、ヒスタミンH3作動薬、抗ガストリン薬、又はこれらの組み合わせである。
【0129】
ある実施形態において、患者は、本明細書に記載の組成物を用いる治療を、別の投薬及び/又は食事療法と併用する。
【図面の簡単な説明】
【0130】
本発明の新規な特徴は、付属の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点のよりよい理解は、発明の原理が利用される例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【0131】
【図1】図1は、経口投与後の時間の関数として食道に存在する組成物の量(%)(食道に存在する放射性標識の量を測定することによって)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0132】
この実施例は、パルミコート吸入液(登録商標)(4mL)を99mTc過テクネチウム酸と混合し、食塩水で約7〜8mL(M0)に希釈することによって調製した放射性標識経口組成物と比較した場合の、本明細書に記載の組成物と食道の間の増大した相互作用を例証する。M0組成物は、13.2sec−1で約1cPの粘度を有する。健康な個人の集団に、放射性標識経口ブデソニド組成物(M1)を投与した。放射性標識ブデソニド組成物(M1)は、パルミコート吸入液(Pulmicort Respules)(登録商標)と、約10パックのスプレンダ(登録商標)(McNeil Nutritionals、LLC(Fort Washington、PA 19034−2299所在)によって供給される)と、99mTc過テクネチウム酸塩とを組み合わせることによって約7〜8mLの容量に調製され、約7%(w/w)のマルトデキストリンを含有し、13.2sec−1で約200cPの粘度を有する。放射性標識ブデソニド組成物(M2)は、パルミコート吸入液(登録商標)と、約70%(w/w)のマルトデキストリンと、99mTc過テクネチウム酸塩とを組み合わせることによって約7〜8mLの容量に調製され、13.2sec−1で約1450cPの粘度を有する。また、健康な個人の集団に、13.2sec−1で約39の粘度を有する放射性標識ブデソニド組成物(リノコート・アクア(登録商標)、M3)を投与した。粘性経口ブデソニド組成物の経口投与の後に食道に存在する放射性標識の量を測定することによって、ブデソニド組成物の相互作用の増大を調べた。図1は、(食道に存在する放射性標識の量を測定することによって)経口投与後の時間の関数として食道に存在する組成物の量の割合を例示する。
【0133】
時間の関数として投与された用量の百分率(%用量・時間(分))の曲線下面積(AUCr)を、食道の活動が最高になり、ピーク値の10%まで下がるまで、50%嚥下(すなわち、投与された用量の50%が口から入る)の時間から測定した。また、t=0分からt=1分までの曲線下面積(AUQ0−1);及びt=0分からt=2分までの曲線下面積(AUQ0−2)も測定した。これらの結果(非粘性試料と粘性試料の比率を含む)を以下に示す:
【表13】

【実施例2】
【0134】
この実施例は、EEを有する子供において疾患活動の寛解の誘導及び維持において5mL及び7mLの用量で本明細書に記載の製剤におけるブデソニドの1日1回及び1日2回の使用についての効果と安全性を詳述する。多数の子供(例えば、ブデソニド投与頻度、量、及び容量当たり20人)を評価して、その群について最も高い好酸球数(eos/hpf)及び平均最大好酸球数を調べる。また、治療の後でも、群について最大好酸球数(eos/hpf)及び平均最大好酸球数を調べる。症状スコア及び平均症状スコアも、治療の前後に調べる。
【0135】
ある場合には、プロトンポンプ阻害薬を用いる従来の治療を受けるか、皮膚又は血液アレルギー検査に基づいた除外食を受けるか、あるいは除外食を受けるか又は除外食を断ったが、食道生検に関して≧24eos/hpfを有し続けた個人が、調査(review)に含まれる。患者は、RAST及び/又は皮膚プリックテストが陽性である場合には食物又は空気アレルゲン感作を有すると定義される。喘息又は湿疹などの慢性疾患を治療するのに使用される長期療法については変更がなく、子供は誰も同時に免疫調節治療を受けていない。
【0136】
内視鏡検査を、内視鏡オリンパスP160(by RD)を使用して行い、全食道、胃及び十二指腸の生検を採取する。24eos/hpfが生検を行った食道部位の少なくとも1つに認められる場合には、好酸球性食道炎と診断される。2つの粘膜生検を、近位食道(輪状咽頭筋の3cm下)、遠位食道(胃食道接合部(GEJ)の3cm上)、及び食道中間(輪状咽頭筋とGEJの間の中間点)から採取する。生検は、日常的に処理され、小児病理学者(RN)によって評価される。400倍の高倍率視野当たりの好酸球の最大数を数える。基底部細胞が上皮の表面管腔(上皮の厚みの>25%)に向かって伸びる場合には、基底部過形成(BZH)が報告される。
【0137】
3〜4ヶ月間の治療後に、生検を用いて追跡内視鏡検査が講じられる。生検内のeos/hpfの最大数を数えて治療に対する応答を調べ、患者を応答者(0〜7eos/hpf)、部分応答者(8〜23eos/hpf)及び非応答者(≧24eos/hpf)に分類する。
【0138】
EE(EoE)内視鏡検査スコアを、治療前後の結果と比べるために工夫する。それは、プロシージャ・レポート及び写真から算出される。4つの分類、(1)青白い及び低下した血管マーキング;(2)「厚くなった」粘膜と共にヒダ形成;(3)白い粘膜プラーク;(4)同心円状の輪又は狭窄。それぞれの分類について、1つ又は2つの食道部位が含まれる場合には1点が与えられ、全食道病変については2点が与えられる。最大スコアは8である。
【0139】
患者は、1日に0.25〜2mgの本明細書に記載の製剤を投与され、その後30分間は任意の固体又は液体を摂取しないように指示される。すでに食事制限中の患者には、食事の変更は行われない。
【0140】
酸消化性疾患を有する子供に基づく改変症状スコアが、EE(EoE)クリニックにおいて日常的に使用される。症状の分類は、(1)胸焼け又は逆流;(2)腹痛又は小児の説明できない過敏性;(3)悪心又は嘔吐;(4)拒食症又は早期飽満;(5)嚥下障害又は嚥下痛;(6)症状を伴う夜間覚醒;(7)消化管出血(前4ヶ月間)を含む。それぞれの分類は、最大14点で0〜2点が与えられる。症状がない場合には、0点が与えられる;症状が軽く、日常活動を妨げない場合には、1点が与えられる;症状が日常活動を中断するほど重篤である場合には、2点が与えられる。以前のGI出血は、付随する血行動態の悪化又は貧血が存在しない場合には軽度(1点)とみなされ、出血が多数であり、貧血を生じるか又は輸血を必要とする場合には重度(2点)とみなされる。
【0141】
全統計分析を、NCSS Statistical Softward Packageを使用して行う。両側(two−tailed)p値を、ブデソニド療法の前後にeos/hpf、EE(EoE)内視鏡検査スコア及び症状スコアについて患者値の平均を比較するために対のある(paired)t検定を使用して算出する。応答者対非応答者によってグループ分けされる変数を比較するために対のない両側t検定を使用する。スピアマンの相関係数を、GraphPad Prismソフトウエアを使用して生じさせる。p値<0.05を有する結果は、統計学的に有意であるとみなされる。平均統計値及び中央値統計値の両方を生じさせ、両方は同等であり平均統計値が示される。
【0142】
被検体
多数の子供についてカルテ審査を行う。全ての子供が、治療開始前に反復食道生検について>24eos/hpfを有する。
【0143】
治療
患者は、反復内視鏡検の前の指定された時間(例えば、1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間など)記載の製剤が投与された。種々の患者が、ブデソニドを0.25〜2mg/日の範囲内の量で投与された。
【0144】
組織学
治療前に、平均最大好酸球数を、遠位、中間及び近位食道部位を含め、全ての患者について調べる。同様に、全ての部位が、指定された時間にわたって評価され、また必要ならば再度評価される。
【0145】
上部胃腸管内視鏡検査
治療前に、全ての患者について平均EE(EoE)内視鏡検査スコアを調べる。治療後に、平均EE(EoE)内視鏡検査スコアを反復する。個人の内視鏡検査スコアの低下(例えば、>95%、>90%、>85%、>75%、>50%、>25%などの)は、治療が成功したことを示す。
【0146】
症状スコア
治療前に、全ての患者について平均症状スコアを調べる。それを、治療後に再度調べる。個人の症状スコアの低下(例えば、>95%、>90%、>85%、>75%、>50%、>25%などの)は、治療が成功したことを示す(単独で又は内視鏡検査スコアにおける上記に挙げた低下と組み合わせて)。
【0147】
成人:
これらのパラメーターを、成人で反復してその効果及び安全性を調べる。
【実施例3】
【0148】
この実施例は、GERDを有する個人(子供及び/又は成人)において疾患活動の寛解の誘導及び維持において、本明細書に記載の製剤におけるブデソニドの1日に1回及び1日に2回の使用の効果及び安全性を詳述する。1日量当たり0〜1mg、1〜2mg、2〜3mg、3〜4mg、4〜5mg及び5〜6mgの用量を、3mL、5mL、7mL、10mL、12mL、15mL又は17.5mLの容量で1日1回、b.i.d.又はt.i.d.投与する。多数の個人(例えば、ブデソニド投与頻度、量、及び容量当たり20人)を評価して、治療前、治療中及び治療後の症状を調べる。投与は、7日間、14日間及び28日間行う。一次結果測定は、胸焼け及び逆流の完全解消を含む(例えば、評価時間点前の7日間にわたって軽度の胸焼け又は逆流のいずれも2日を超えない)。二次結果測定は:胸焼け(日中及び夜間)を示す日数;逆流(日中及び夜間)を示す日数;胸焼け及び逆流のない日数(24時間);胸焼け及び逆流頻度と重症度の複合スコア;胸焼け/逆流の症状の解消までの時間;追加GERD症状の重症度;生活の質(PAGI−QOL〜PGIC(Patient Global Impression of Change)を使用して評価される);胸焼けの完全解消;逆流の完全解消;胸焼け(日中及び夜間)の平均重症度;逆流(日中及び夜間)の平均重症度を含む。これらの症状を採点し(例えば、最も重い症状に3を割り当て、症状なしに0を割り当てる)、治療の効果を測定するのに使用する。
【0149】
ある実施形態が本明細書に示され、記載されるが、このような実施形態は単なる例として提供されることが当業者には明らかであろう。数値の変化、変更及び置換は、当業者には思いつくであろうし、本明細書に開示の範囲に入るとみなされる。本明細書に記載の発明の実施形態の種々の代替を発明の実施において使用し得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、発明の範囲を定義すること及びこれらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造並びにこれらの均等物はそれによって保護されることが意図される。
【0150】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイドと、液状ビヒクルと、粘膜付着剤とを含有してなる安定した経口医薬組成物であって、少なくとも1ヶ月間、化学的に及び物理的に安定していることを特徴とする安定した経口医薬組成物。
【請求項2】
前記コルチコステロイドが局所活性コルチコステロイドである、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項3】
前記コルチコステロイドがブデソニドである、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項4】
前記コルチコステロイドがプロピオン酸フルチカゾンである、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項5】
少なくとも10%の前記安定した経口医薬組成物が、前記安定した経口医薬組成物の経口投与後に、少なくとも15秒間、食道に付着する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも10%の前記コルチコステロイドが、前記安定した経口医薬組成物の経口投与後に、少なくとも15秒間、食道に付着する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも10%の前記コルチコステロイドが、前記安定した経口医薬組成物の経口投与の少なくとも15秒後に食道に付着するか又は食道で吸収される、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項8】
前記安定した医薬組成物の経口投与の15秒後に食道に付着する前記経口医薬組成物の重量%が、対照組成物の経口投与の15秒後に食道に付着する前記対照組成物の重量%よりも大きく、前記対照組成物が、前記安定した経口医薬組成物中に存在するコルチコステロイドと同じコルチコステロイドを同じ量で含有し、且つ前記対照組成物が、さらに、コルチコステロイド0.5mg毎に、約4mLの水性製剤と10パックのスプレンダ(Splenda)(登録商標)を含有する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項9】
前記安定した医薬組成物の経口投与の15秒後に食道に付着するコルチコステロイドの量が、対照組成物の経口投与の15秒後に食道に付着するか又は食道で吸収されるコルチコステロイドの量よりも多く、前記対照組成物が、前記安定した経口医薬組成物中に存在するコルチコステロイドと同じステロイドを、同じ量で含有し、且つ前記対照組成物が、さらに、コルチコステロイド0.5mg毎に、約4mLの水性製剤と10パックのスプレンダ(登録商標)とを含有する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項10】
前記安定した医薬組成物の経口投与の15秒後に食道に付着するか又は食道で吸収されるコルチコステロイドの量が、対照組成物の経口投与の15秒後に食道に付着するか又は食道で吸収されるコルチコステロイドの量よりも多く、前記対照組成物が、前記安定した経口医薬組成物中に存在するコルチコステロイドと同じ容量の同じコルチコステロイドを含有し、且つ前記対照組成物が、25℃で約1cPの粘度と約13.2sec−1の剪断速度を有する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項11】
前記粘膜付着剤が粘膜付着性多糖である、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項12】
前記粘膜付着剤がカルボポールである、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項13】
前記カルボポールが架橋アクリル酸重合体である、請求項12に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項14】
前記粘膜付着剤がアルギン酸塩である、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項15】
前記アルギン酸塩がアルギン酸ナトリウムである、請求項14に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項16】
前記粘膜付着剤がマルトデキストリンを含有する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項17】
前記マルトデキストリンが、前記安定した経口医薬組成物の粘度を実質的に高めない、請求項16に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項18】
前記安定した経口医薬組成物が、前記安定した経口医薬組成物の粘度を高める第二のマルトデキストリンを含有する、請求項17に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項19】
前記第二のマルトデキストリンが、前記医薬組成物の粘膜付着特性に実質的に影響を及ぼさない、請求項18に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項20】
前記粘膜付着剤が、前記安定した経口医薬組成物に高められた粘度を付与する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項21】
前記粘膜付着剤が、前記安定した経口医薬組成物の粘度を実質的に高めない、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項22】
さらに第二の粘膜付着剤を含有する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項23】
さらに増粘剤を含有する、請求項1に記載の安定した経口医薬組成物。
【請求項24】
個人の胃腸炎の炎症又は症状を治療、予防又は軽減する方法であって、前記個人に、コルチコステロイドと、液状ビヒクルと、粘膜付着剤とを含有し、少なくとも1ヶ月間、化学的に及び物理的に安定している安定した経口医薬組成物を経口投与することからなる、方法。
【請求項25】
前記コルチコステロイドが局所活性コルチコステロイドである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記コルチコステロイドがブデソニドである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記コルチコステロイドがプロピオン酸フルチカゾンである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも10%の前記安定した経口医薬組成物が、前記安定した経口医薬組成物の経口投与後に少なくとも15秒間、付着する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも10%の前記コルチコステロイドが、前記安定した経口医薬組成物の経口投与後に、少なくとも15秒間、食道に付着する、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも10%の前記コルチコステロイドが、前記安定した経口医薬組成物の経口投与の少なくとも15秒後に、食道に付着するか又は食道で吸収される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記胃腸炎が食道炎である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記胃腸炎が、好酸球性食道炎、食道に影響を及ぼす炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、近位胃腸病、好酸球性胃腸炎、上皮過形成、基底細胞過形成、乳頭の伸長、乳頭の血管拡張、真菌性食道炎、ウイルス性食道炎、細菌性食道炎、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を有する皮膚疾患、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、セリアック病、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎、腐食性/刺激性食物摂取に続発する食道炎、任意の原因の及び腐食性/刺激性食物摂取を含む持続性/再発性食道狭窄、丸薬誘発食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症、又は嘔吐下痢症である、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記個人が好酸球性食道炎を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記個人が、バレット食道、胃食道逆流性疾患(GERD)、非びらん性逆流性疾患(NERD)、又はびらん性食道炎と診断されている、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
1日当たり約0.1mg〜約20mgのコルチコステロイドが前記個人に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
1日当たり約0.3mg〜約4mgのコルチコステロイドが前記個人に投与される、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−503113(P2011−503113A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533342(P2010−533342)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083288
【国際公開番号】WO2009/064819
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510127701)メリテイジ ファーマ,インク. (3)
【Fターム(参考)】