胃腸管を処置するための装置とそのためのキット
【課題】胃腸管を処置するための最小限に非侵襲的な処置及び装置を提供する。
【解決手段】本発明による装置(21)は、基端部及び遠位端部(31a、31b)を有しているフレキシブルな細長い部材(31)から構成されて、基端部から遠位端部まで延在している通路(51)を有する。ハンドル(33)は、細長い部材の基端部に結合され、身体の自然の開口部へ、細長い部材の遠位端部を導入する。細長い部材は長さを有し、遠位端部が開口部からアクセスできるキャビティを形成する壁の近くにあるとき、基端部は身体の外部にある。針(61)は通路に配置されて細長い部材の基端部からアクセスでき、通路内の格納位置から、壁を貫通すべく通路から出た拡張位置へと動く。針は、少なくとも1つの開口部(71)と、針を通して開口部に延在する通路(63)を備えるような遠位端部分(61b)を有する。供給組立体(27)は、身体中で非生分解性の固体を形成できる非水溶性の溶液のリザーバ(92)を含む。
【解決手段】本発明による装置(21)は、基端部及び遠位端部(31a、31b)を有しているフレキシブルな細長い部材(31)から構成されて、基端部から遠位端部まで延在している通路(51)を有する。ハンドル(33)は、細長い部材の基端部に結合され、身体の自然の開口部へ、細長い部材の遠位端部を導入する。細長い部材は長さを有し、遠位端部が開口部からアクセスできるキャビティを形成する壁の近くにあるとき、基端部は身体の外部にある。針(61)は通路に配置されて細長い部材の基端部からアクセスでき、通路内の格納位置から、壁を貫通すべく通路から出た拡張位置へと動く。針は、少なくとも1つの開口部(71)と、針を通して開口部に延在する通路(63)を備えるような遠位端部分(61b)を有する。供給組立体(27)は、身体中で非生分解性の固体を形成できる非水溶性の溶液のリザーバ(92)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胃腸管の治療に関し、特に、胃腸管を形成している壁にインプラントを形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
胃食道の逆流疾患(GERD)は、逆流防止障壁の障害であって、胃腸管の食道に胃の内容物が異常に逆流する。胃食道の逆流疾患は、欠陥がある下部食道括約筋(LES)の障害、失敗した食道の蠕動の有無にかかわらない胃内容排出障害によって通常特徴づけられる。疾患は通常、「一過性の下部食道括約筋の弛緩の」エピソードの間にそれ自身を明らかにし、その頻度は逆流する患者において大いに増える。医薬ないし薬物療法は、胃食道の逆流の管理のための最初の系統である。しかしながら、薬物管理は病状の機械的な病因に対応しない。従って、薬物を中止して1年以内に著しい数の患者に症状が再発する。さらに、医薬療法は効果的に胃食道の逆流疾患の酸性の誘発症状に対処できるものの、食道粘膜の外傷は進行中のアルカリ性の逆流のために続く。胃食道の逆流疾患は慢性の状態であるので、酸抑制及び/又は増進薬剤を用いた医薬療法は患者の残りの人生にわたって必要となる。
【0003】
生涯の薬物投与依存の費用と心理的負担、望ましくないライフスタイルの変更、いくらかのより新しい薬物投与の長期間効果に関する疑い、及び症状の制御にもかかわらず持続的に粘膜が変化する潜在性のすべてが、胃食道の逆流疾患の外科的治療を魅惑的なオプションにする。残念ながら、外科の介入は、全ての付き添いの罹患率、死亡率と補正過度の場合更なる外科を必要とする障害のリスクを持つ大手術である。腹腔鏡外科手術は、それが成功するためには、熟練の非常に高いレベルとそれのための特別なトレーニングを要求する。
【0004】
最小限に非侵襲的なアプローチが、胃食道の逆流疾患を処置するためにためされたが、一過性の効果だけを有した。そのようなアプローチは、胃の噴門の高さに硬化剤を注射することを含む。他の生体分解性の物質の注射は、ためされたが、活動の短い持続期間だけを提供することがわかった。
【0005】
気管−食道のフィステルは、重大なガンの末期の合併症であって、肺や気管気管支のツリーと食道において起こる。疾患の性質と範囲はほとんど常に治療の療法を妨げる、そして従って、一時的な調整は療法のゴールである。残念ながら、多く報告された成功した手順は、患者が病院から解放されるような点にまでは、患者の状態を改善することができない。「院内」死亡率は、たびたび30日死亡率よりもより高い。
【0006】
内視鏡検査専門医と食道鏡検査法の専門的知識の増加は、食道の内部人工器官を気管−食道のフィステルの治療において利用できるようにした。そのような手順は、食道のステントか他の挿管法を含む。残念ながら、このために使用される在来のステントの漏斗縁は、たびたび食道の隔壁の縁と粘膜の間のギャップを持つ貧弱な取付けになる。この結果、食品と唾液がたびたび粘膜と人工器官の外の界面の間で通過して、これにより人工器官の目的をくつがえす。前述の考察から、現在提供されている手順の不利を克服するような気管−食道のフィステルを処置するための新しくて改善された手順の必要性がある。体の胃腸管の血管、特に静脈はしばしば拡張することができる。例えば、大きくなって、長くなった静脈は静脈瘤として知られている。そのような静脈瘤は胃腸管の壁で、例えば下部食道括約筋の近くに生じることがある。膨張した静脈は、肛門の縁で又は直腸内部の近くではじ疾として知られている。胃腸管の粘液性の膜における侵食は、潰瘍として知られている。潰瘍からの出血は静脈又は動脈のいずれからも生じる。静脈瘤、じ疾、及び潰瘍は、正常な血管よりも望ましくない出血が疑われる。
【0007】
食道静脈瘤の出血を処置するために硬化療法が使われる。しかしながら、硬化療法を受けた患者における再出血は依然として一般的である。さらに、硬化剤の注射は、いろいろな局所で全身性の合併症を誘発する。少なくとも硬化療法と同じくらい効果的でありながら、合併症をより少なくするような、内視鏡療法を提供する試みにおいて、血管結紮が開発された。残念ながら、比較的大きい血管は、血管結紮が難しいことがある。さらに、血管結紮手順は、血管に裂傷を引起こすことがある。じ疾は静脈瘤と同じ方法で処置されてきたが、これらの治療技術は上述の同じ不都合で苦しむ。
【0008】
激しく出血する潰瘍を持つ患者のために、外科医師は潰瘍の近くの脈管構造に焼灼することを要求されることがある。残念ながら、外科手術の介入は、全ての付き添いの罹患率、死亡率、及び更なる外科手術を必要とする失敗のリスクを持つ大手術である。
【0009】
年輩の人において最も共通の大便失禁は、直腸に大便を保有するための随意調節の損失である。大部分の患者において、大便失禁は、バイオフィードバックトレーニングや便の堅さの変更のような保存的な調節によって当初は処置される。バイオフィードバックは、いくらかの直腸感覚を保有して外部肛門括約筋が機能している患者の約2/3で成功している。しかしながら、しばしば多数のセッションが必要であり、患者は強い動機を与えられる必要がある。家電のバイオフィードバック装置が入手可能であって、アジュバント療法として役に立つことができる。大便失禁へのいくつかの外科のアプローチは、保存的な管理が失敗したときに、ためされたが、成功するとは限らない。これらの治療には、括約筋修復、薄筋又は臀筋筋肉転位を含み、人工の括約筋と結腸フィステル形成を再建する。使われるアプローチは、失禁の原因と外科医の専門的知識に依存する。例えば、生体分解性の化合物が肛門括約筋に注射又は導入されて、かたまりになるか、直腸の壁を増加させる。残念ながら、そのような生体分解性の化合物は、身体によって再吸収されて、従って時間が経つと無効になる。さらに、そのような外科手術の介入は、GERDに関して上述したのと同じ不都合に苦しむ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、本発明の目的は、胃腸管を処置するための最小限に非侵襲的な処置及び装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置を提供するために、胃腸管を形成している壁に物質を注射して、壁に1又は複数のインプラントを形成して、壁を増強ないしはかたまりにすることにある。
【0012】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、物質が非生分解性の物質であるものを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、物質が少なくともひとつの溶液として注射されて、その後で固体を形成するものを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、少なくともひとつの溶液がその溶液から非生分解性の固体を沈澱するような溶液を含むものを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、溶液は生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤を含むようなものを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、水性又は生理学的な溶液が壁の調子を整えるために壁にもたらされるようなものを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、上述の特徴の胃食道の逆流疾患を処置するための処置及び装置であって、1又は複数のインプラントを食道及び/又は胃を下部食道括約筋の近くで形成している壁において形成するようなものを提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、上述の特徴の最小限の侵襲的な処置及び装置であって、気管−食道のフィステルを処置するために、壁に1又は複数のインプラントを形成することによって、食道内でのステントの支持と、食道壁とステントとの間における密封の形成とを容易にするようなものを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、静脈瘤、じ疾、及び胃潰瘍のような、胃腸内の壁における血管を処置するために、血管に物質を注射することによって、実質的に血管を閉塞するようなものを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、大便失禁のために、1又は複数のインプラントを肛門括約筋の近くで壁に形成するようなものを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、非生分解性の物質の1又は複数のインプラントを肛門括約筋に形成して肛門括約筋を増やすようなものを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、可逆的なものを提供することにある。
【0023】
発明の追加的な目的及び特徴は、添付図面と関連させて好ましい実施形態が詳細に明らかにされる以下の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】上部消化管を処置するための本発明の装置を示す斜視図である。
【図2】図1における線2−2に沿った、装置の一部分を示す横断面図である。
【図3】図1における線3−3に沿った、装置の遠位部分の拡大側面図である。
【図4】本発明による上部消化管を処置するための装置の他の実施形態を、図3と同様に示した拡大側面図である。
【図5】図1における線5−5に沿った、装置の基端部分を示す横断面図である。
【図6】本発明による胃食道の逆流疾患を処置するための方法を実施している図1の装置を示す概略図である。
【図7】図6における線7−7に沿った、下部食道括約筋を拡大して示した立面図である。
【図8】図7と同様な下部食道括約筋を示した拡大立面図であって、本発明の方法の他の段階を示している。
【図9】図7の線9−9に沿った、胃の噴門の高さでの図7の下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の方法での食道の不完全な接合を示している。
【図10】図9と同様な下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の他の方法での食道の不完全な接合を示している。
【図11】図9と同様な下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の更に他の方法での食道の完全な接合を示している。
【図12】図7の線12−12に沿った、下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の更なる他の方法の完成の後の、食道の2つの間隔を置いて配置された別々の位置における不完全な接合を示している。
【図13】図8と同様な下部食道括約筋を示す横断面図であって、本発明の他の方法での食道の増強及び/又は接合を示している。
【図14】本発明の胃食道の逆流疾患を処置するための装置の遠位部分の他の実施形態を示した、図4と同様な、拡大側立面図である。
【図15】本発明の上部消化管を処置するための装置の更なる実施形態の遠位部分を示した、図5と同様な、拡大側立面図である。
【図16】本発明の上部消化管を処置するための器具の他の実施形態の一部分を示す斜視図である。
【図17】図16の器具を示した他の斜視図である。
【図18】本発明のいずれかの方法による胃腸管の上の部分を処置するためのキットをいくぶん模式的に部分的に破断して示した上面図である。
【図19】本発明の方法によって処置される胃の噴門の高さでの下部食道括約筋を示した、図9と同様な横断面図である。
【図20】本発明の方法によって処置される胃の噴門の高さでの下部食道括約筋を示した、図19と同様な横断面図である。
【図21】人体の一部分を示す断面図であって、肛門括約筋の部分が本発明の方法によって増強されている。
【図22】図21の線22−22に沿った、肛門括約筋の部分を示す横断面図である。
【図23】本発明による肛門括約筋を処置する方法において使用するための装置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一般に、哺乳類の体内で胃腸管を処置するための装置及びキットが提供される。少なくともひとつのインプラントが、胃腸管を形成している壁に形成される。好ましい処置においては、非水溶性の溶液が壁に導入され、非生分解性の固体が少なくともひとつの非水溶性の溶液から壁にて形成されて壁を処置する。キットは手順における使用のために提供される。
【0026】
本発明の処置は、図1に示されるタイプの装置によって実行できる。ここに示した器具又は医療装置21は、プローブ部材ないしプローブ22を含み、これは光学視認装置23を有している。針組立体26は、プローブ22によって摺動可能に支持される。処置器具21はさらに、針組立体26の基端端部部分に取付けられた供給組立体27を含む。
【0027】
在来の又は他の適当な胃鏡又は内視鏡を、プローブ22として使うことができる。図1に示した例示的なプローブ22は、オリンパスCF Type 40L/I内視鏡であって、日本の東京のオリンパス株式会社によって作られる。プローブ22は、フレキシブルな細長い管状部材ないし挿入管31を含み、これは基端端部及び遠位端部31a及び31bと遠位面32とを有している。挿入管31は図1では部分的に示していて、そのために、基端端部31aと遠位端部31bの部分だけが示される。ハンドル手段ないし組立体は、挿入管31の基端端部31aに結合されて、在来のハンドル33を含む。管状の挿入管31は、複数のボアないし通路を、基端端部31aから遠位端部31bまで延在するようにして、備えている。図2には、5つのそのような通路を示していて、中心の通路36が含まれている。
【0028】
光学視認装置23は、在来のプローブ22と一体的に形成されていて、光学要素又は対物レンズ37を挿入管31の中心の通路36に支持されて有している。レンズ37は遠位面32に視野を有していて、これによって、オペレーターは挿入管の遠位端部31bの前方を見ることができる。光学視認装置37はさらに、ハンドル33の基端端部に取付けられたアイピース41を含んでいる。第2及び第3の照明通路42は、挿入管31における中央通路36の周囲に提供されて、それぞれが光ファイバー組立体又は光ガイド43を運ぶ。図1に一部分だけが示されている結合ケーブル46は、ハンドル33から在来の光源47にまで延在する。第1及び第2の光ガイド43は、挿入管31とケーブル46とを通って延在していて、挿入管31の前方に照明を提供する。
【0029】
挿入管31にはさらに、作業通路ないしチャネル51が提供されて、ハンドル33に形成された側部ポート52へ延びる。追加的な通路56が、挿入管31を通して延在して、空気及び/又は水の出口として使うことができる。挿入管31は、それの体を通しての挿入と前進とを容易にするためにフレキシブルであって、屈曲可能な遠位端を備えていて、要求された方向に遠位面32を選択的に向ける。ハンドル33には複数の指で操作する制御部57が提供されて、とりわけ挿入管31の屈曲可能な遠位端と挿入管31を通しての液体の供給及び除去を操作する。
【0030】
針組立体26は在来のいかなるタイプのものでもよくて、例えば改変された硬化療法針であって、メリーランド州BillericaのC.R.Bard, Inc.社が製造する、Bard(R) Flexitip(TM)針と類似したものである。針組立体26は、針部材ないし針61であって基端端部部分61aと遠位端部部分61bとを有するものと、オプションであるスリーブ部材ないしスリーブ62であって基端端部部分ないし末端62aと遠位端部部分ないし末端62bとを有するものとを含む。スリーブないし細長い管状部材62は、フレキシブルなプラスチックや金属のようなあらゆる適当な材料から作られて、それを通して長手方向に延在している内腔を有していて針61を受入れる。スリーブ62と針61とは、互いに長手方向に摺動可能である。ここで、管状針61はスリーブ62内に摺動可能に配置されていて、管状針がスリーブの遠位端部部分62aの内部にあるような格納位置から、針61がスリーブ62の遠位方向へ突出するような拡張位置へと移動できるようになっている。針61とスリーブ62とは作業チャネル51と挿入管31の側部ポート62との内部に摺動可能に配置されていて、各々が有する長さは、遠位端部分61bと62bとが挿入管31の遠位端部31bから延在し、あるいは、遠位面32の近くにあるとき、基端端部部分61aと62aとに側部ポート52からアクセスできるようになっている。中空又は管状の針61は、基端端部部分61aから遠位端部部分61bへと長手方向に延在している通路63を有する。改変された針の遠位端部部分61bは、ステンレス鋼のようなあらゆる適当な材料から作られていて、16〜28の範囲のゲージサイズを有し、23〜26の範囲のゲージが好ましい。図3に最も明らかに示されるように、遠位端部分61bは、内部通路63を形成するための円筒形の壁66を有すると共に、鋭ったないし斜角をつけられた遠位端部分67をテーパをつけられた端面68によって形成されて有している。少なくともひとつの開口71が遠位端部分61に提供されて、この開口はテーパをつけられた端面68に設けられた開口71aを含むか、この開口から構成される。開口71aに代えて又はこれに加えて、少なくともひとつの図示の複数の開口71を円筒系の壁66に設けることができる。複数の2つの開口71bと2つの追加的な開口71cとは、隔壁66に提供される。開口71bは、互いに正反対に配置されて180゜離れていて、開口71cも同じく互いに直径の正反対に配置されているが、開口71bからのオフセットは90゜である。開口71cは、長手方向に開口71bの後に間隔を隔てて配置される。開口71bと71cは、あらゆる適当な形状又はサイズでよいが、細長くて楕円の形状に示されている。開口71b又は開口71cだけを有している針の遠位端部分61bを提供してもよくて、本発明の範囲内にあることを認めるべきである。針61の1つの実施形態では、テーパをつけられた表面68を閉じて、円筒形の壁66だけに開口71を備えた。針61の、針の基端端部部分61aと中心部分とは、プラスチック、金属、又はあらゆる他の適当な材料からも作ることができる。
【0031】
図4には、針61の改変された遠位端部部分のもう一つの実施形態を示している。遠位端部部分61b’は、鋭敏にされたないしはとがった遠位端76を有し、一般に皮質の形状を有する。閉じられたとがった端76には開口71は設けられない。複数の3つの円周に配置された開口71dは、とがった端76の円筒形の壁66の基部に提供される。開口71dは、約120゜の分離角で円周に間隔を隔てて配置される。第2の組の3つの開口71eが、開口71dの円筒形の壁66の基部に延通する。開口71eは、同じく約120゜の分離角で円周に間隔を隔てて配置される。開口部71eは、開口71dに対して遠位端部部分61b中心軸線のまわりにて角度的にオフセットしている。
【0032】
流体コネクタ81は針61の基端端部部分61aに固定ないし結合されていて、グリップ部材ないしグリップ82はスリーブ62の基端端部部分62aに固定されている(図1参照)。流体コネクタ81は第1及び第2のルーアー取付け部分83及び84、又はあらゆる他の適当な取付け部分を含み、これが針61の通路63に連通している。図1では、第1のルーアー取付け部分83はキャップで閉じられている。流体コネクタ81とグリップ82とは、互いに長手方向に移動可能であって、針61とスリーブ62との間に相対的な長手方向の動きを引き起こす。より詳細には、グリップ82は針61の基端端部部分61aにて流体コネクタ81に対して前方へ及び後方へと摺動できる。グリップ82を流体コネクタ81に対して前方へと動かすと、スリーブ62の遠位端部部分62bは針61の遠位端部部分61bに完全にかぶさるように伸びて、針はスリーブ62内に完全に引っ込む。逆に、グリップ82を流体コネクタ81に対して後方へと動かすと、スリーブの遠位端部部分62bは針の遠位端部部分61bに対して引っ込んで、針の遠位端部部分61bを露出させる。
【0033】
処置器具21のハンドル手段は供給組立体27を含み、これは挿入管31の基端端部31aに結合されている(図1参照)。より詳細には、供給組立体27は針組立体26の基端端部に固定される。供給組立体27は処置装置21の手段に含まれて、液体又は溶液を針61の通路63を通して導入して、針の遠位端部分61bに提供される1又は複数の開口71から出す。供給組立体27は、在来の注射器又は第1の注射器から構成され、この注射器は、その前方端部にてリザーバないしバレル92にルーアー取付け部分93のようななんらかの適当な取付け手段を有すると共に、バレル92内の流体をルーアー取付け部分93を介して押出すためのプランジャー94を有する。供給組立体27はさらに、第2及び第3の注射器96及び97の形態であるような第2及び第2のリザーバを含む。第2の注射器96は、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はあらゆる他の適当な液体で満たされている。第3の注射器97は、食塩水又はあらゆる他の適当な水性又は生理学的な溶液で満たされている。
【0034】
マニホールド組立体ないしマニホールド98は、注射器91、96、及び97を流体コネクタ81に結合するように提供される。1の実施形態では、マニホールド98は、複数の3つの活栓101−103と、複数の少なくとも2つのそして図では複数の4つのポートないしルーアー取付け部分を有する。第1のルーアー取付け部分104は、注射器91の前方のルーアー取付け部分93と協同して結合する。第2のルーアー取付け部分106は、流体コネクタ81の第2のルーアー取付け部分84と協同して結合する。第3及び第4のルーアー取付け部分107及び108が追加的に提供される。第3のルーアー取付け部分107は、その一部分が図1に示されている管109によって、第2の注射器96に結合されていて、第4のルーアー取付け部分108は、その一部分が図1に示されている管110によって、第3の注射器97に結合されている。活栓101−103は在来の方法で作用して、流体流れをルーアー取付け部分104と106−108との間に流す。本発明の他の実施形態(図示せず)では、注射器91は流体コネクタ81や針61の基端端部部分61aに直接固定してもよい。マニホールド98は代わりに、4つよりも少ない又は多くの取付け部分を備えてもよく、複数の注射器又は他の流体リザーバからの流体流れを調節するためのあらゆる他の形態でもよいことを認識すべきである。
【0035】
供給組立体27はさらに、配達装置ないしガン111を含み、別々の予め選択された量の流体をバレル92から針61へと供給する(図1及び図5参照)。ガン111は、プラスチック又は他のあらゆる適当な材料で作られている円筒形のハウジング112を有していて、注射器のバレル92を受入れる。ハウジング112はベース部分113と、ヒンジ116によってベース部分113にピボット式に固定されているカバー部分114とから形成される。ラッチ117がピボット式にカバー部分114に結合されて、ベース部分113に係合して、それによりカバー部分114を閉じた位置にロックする。ハウジング112は、注射器91のルーアー取付け部分93を受入れるための前方の開口118を有する。ハンドル126は、プラスチック又は他のあらゆる適当な材料から作られていて、ベース部分113から垂下している。ハンドル126は、内部空洞127を有する。第1及び第2の間隔を隔てた補強部材128及び129は、ハンドル126の前後にて、ベース部分113から下方へと延びている。補強部材128及び129は長手方向に整列されて、それぞれを長手方向に貫通するようにしてボア132が設けられていて、内部空洞127に開かれている。ボア132内には、プラスチック又は他のあらゆる適当な材料から作られているロッド136が摺動可能に配置されている。ロッド136は、その後方からロッドの長手軸線に対して垂直に延設されているパドル137を有する。パドル137は注射器のプランジャ94と係合するように適合している。人間の手の指を受入れるようなサイズであるリング138が、パドル137から後方へと延在していて、ボア132内のロッド136を後方に引張ることを容易にする。
【0036】
ロッド136とパドル137とはガン111の指操作手段に含まれていて、注射器91のバレル92とプランジャ94との間の相対的な増加的な動きをもたらす。トリガー141は、ロッド136の下方にて、ハンドル126の前面の開口142から延出している。トリガーは、ロッド136の長手軸線と平行な方向に摺動可能なように、内部空洞127内に設けられた第1と第2の間隔を隔てたガイド143の間に配置される。トリガー141は、第1のないし完全に拡張した位置から第2のないし完全に格納された位置へと動く。レバー146は、ピン147によってハンドル126にピボット式に結合される。レバー146は、トリガー141の後方に延びている第1の端部部分146aと、ロッド136の底部に形成された長手方向に間隔を隔てた複数のノッチのうちのひとつと係合するために楔状の形状を有している第2の端部部分146bとを有する。トリガー141が人間の手の指によって後方へ引かれるとき、トリガーはレバーの第1の端部部分146aに係合して、レバー146をピン147を中心としてピボットさせて、第1のないしホームポジションから第2のないし操作ポジションにする。このハーフストローク中に、レバーの第2の端部部分146bは前方へと動いて、ノッチ148のひとつに係合して、ロッド136をハウジング112に対して前方へと移動させる。パドル137はロッド136に追従して、トリガー141を引く毎にプランジャ94をバレル92に段階的に押込む。
【0037】
固定されたストッパ151がハンドル126には設けられていて、トリガー141の後方への動きを制限し、従って、トリガー141を引く毎に注射器91から放出されるバレル92内の流体の段階増加的な量を決定する。トリガー141の後方への行程は、1又は複数の追加的なピンないしストッパ152によって選択的に制限することができ、そのうちのひとつを図5に示している。調節できる制限ピン152はハンドル126に摺動可能に取付けられていて、トリガー141の経路の外である第1の位置からトリガー141の経路の内にある第2の位置へと動かすことができて、第2の位置にあって係合するときには、トリガー141の後方へのストロークを選択的に制限する。
【0038】
コイルスプリング156又は他の適当な付勢部材が、その一端をハンドル126内のピン157に結合され、その第2の端部をレバー146の第2の端部部分146bに固定されて備えられている。スプリング156は、トリガー141への指の押圧が解放されたときに、レバー146をそのホームポジションに戻すように促して、ノッチ148との係合を外す。スプリング156は、レバーの第1の端部部分146aをして、トリガー141を押させて、開口142の外側のホームポジションにする。
【0039】
指操作可能な調節機構166は、針の基端端部部分61aとスリーブの基端端部部分62aとに結合されていて、針61とスリーブ62との間にて長手方向の相対的な動きをもたらす。調節機構166はいかなる適当なタイプのものでもよくて、互いに調節可能であるような針とスリーブとを有する適当な針組立体と共に使用する。そのような調節機構166のひとつの実施形態はガン111によって支持される。図1に示すように、そのような調節機構166は第1ないし前方の支柱166と第2ないし後方の支柱168とを有し、カバー部分114の上部から上方へ延設される。長手方向に間隔を隔てている支柱167と168とはバレル92に対して垂直に延びる。摺動可能な部材ないし摺動バー171は、前方の支柱167に設けられたボア(図示せず)に摺動可能に取付けられていて、バレル92と平行な方向に前後に動く。大きな頭部172aを有する指ネジ172が、後方の支柱168に設けられたボア(図示せず)に摺動可能に配置される。ネジの頭部172aは後方の支柱と当接し、ネジ172の他端部は摺動バー171の後端部に螺入している。後方支柱168に対して指ネジ172を反時計まわりに回転させると、摺動バー171は前方支柱167に向かって後方に動き、一方、指ネジ172を時計まわりに回転させると摺動バー171は支柱167から遠のくように前方へ動く。L字形の結合具173は、ピン174によって摺動バー171の前方端部にピボット式に結合される。結合具173は、第1及び第2の間隔を隔てたアーム176を有していて、これが両者の間に溝178を形成していて、グリップ82の中央部分を受入れる。ネジ179はアーム176の間に延在して、アームをグリップ82にロックして、従って、スリーブ62を針61に対して長手方向にロックする。
【0040】
処置装置21は、胃食道の逆流疾患の治療(図6乃至図12参照)のようなあらゆる適当な手順に使用することができる。図6乃至図8には人間の身体184の一部分を示していて、下部食道括約筋187を通して胃188まで延在する食道186の形態の内部キャビティを有している。そのようなキャビティは口192の形態の自然の身体開口部によってアクセスできて、壁193によって形成される。食道186は、身体184の胃腸管の一部分であって、口192から肛門(図6−8には示していない)に延在する。食道粘膜196は、食道186内の腔内壁193の内側層として機能すると共に、胃粘膜197は胃188内の腔内壁193の内側層として機能する。食道粘膜と胃粘膜とは、落屑性の円柱接合部198でつながる。壁193はさらに筋肉層を含み、筋肉層は、粘膜層196と197との下に延在している環状筋201の層と環状筋201の下に延在している縦走筋202の層とを含んでいる。筋肉層201と202とは、それぞれ食道186と胃188とのまわりに延在する。粘膜下空間203は、層196又は197を筋肉層201から分離することによって作られた、粘膜層196又は197と環状筋層201との間に位置するすべての空間である。壁193は、少なくとも粘膜層196及び197と、筋肉層201及び202と、粘膜下空間203とを含む深さないし厚さを有する。横隔膜−食道の靱帯204と横隔膜206とは、食道186のまわりにて下部食道括約筋187より上に延在する。下部食道括約筋の近くには、その用語がここで使用されるように、少なくとも食道の下部1/3と、落屑性の円柱接合部198と、胃の噴門又は胃188の上部とを含む。
【0041】
本発明の装置は、オプションとしてバルーン組立体211を含んでいて、これはポリエチレン、ラテックスゴム、シリコーン、又はポリオレフィンのようなあらゆる適当な材料から作られる(図6及び図7参照)。バルーン組立体211は、第1ないし下側のバルーン212を有し、これは下部食道括約筋187の下に配置されるためのサイズに作られていて、胃188における食道186が胃に入る箇所に配置されるようなサイズに示されている。バルーン組立体211は、第2ないし上側のバルーン213を有し、これは食道186において下部食道括約筋187より上に配置されるためのサイズに作られている。開口214を上側バルーン213を通して提供して、挿入管31がバルーン213を通して延在できるようにする。開口214は、上側バルーン213が膨張したときに挿入管とぴったり係合するために、挿入管31に合わせたサイズになっている。膨張管216はバルーン212及び213を膨張させるためのもので、上側バルーン213から食道186及び口192の外部へと延びている。下側及び上側のバルーン212と213との間には結合管が延びていて、膨張管216によって下側バルーン212が膨張させられるようになっている。バルーン組立体211の他の実施形態では、下側バルーン212は上側バルーン213とは分離して、この事例では、各バルーンに別々の膨張管が備えられる。
【0042】
本発明の方法では、不活性の再吸収されることのない材料が身体184に導入されて、体の中空な内臓壁を増強させる。以下に説明する方法の実施形態では、この材料は下部食道括約筋187の近くにて胃腸管の壁193に導入されて、壁を増強してもって胃食道の逆流疾患を処置する。本発明の方法及び/又は装置ではあらゆる適当な材料も使用できるけれども、ひとつのそのような材料は、体内に導入されたときに非生分解性の固体を形成するような少なくともひとつの溶液である。ここで使用するように、固体とは、適度な応力のもとで認知できるような流れを生じることのないあらゆる物質であって、それを変形させようとする(圧縮、張力、及び歪のような)抵抗力に対して定った容積を有し、普通の条件のもとで定ったサイズと形状とを保有するものを意味していて、そのような固体には、スポンジ及び/又は多孔質の物質を含むが、これに限定はされない。少なくともひとつの溶液のひとつのそのような実施形態は、第1と第2の溶液であって、体内で混合されたときには非生分解性の固体を形成する。他のそのような実施形態は非水溶性の溶液であって、流体として体内に導入することができて、その後にそれから固体が沈澱する。好ましい実施形態によるそのような非水溶性ないし増強溶液は、生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤との溶液であって、オプションとして造影剤を含むことができて、体内における溶液の可視化を容易にする。
【0043】
特に好ましい増強ないし充填剤溶液の組成は、約2.5から約8.0重量百分率の生物学的適合性の重合体と、約52から約87.5重量百分率の生物学的適合性の溶剤と、約10から約40重量百分率の生物学的適合性の造影剤であって好ましくは約10μm以下の平均粒子サイズを有するものとから構成される。ここで記述した造影剤を含むあらゆる百分率は、造影剤を利用しないときには比例的に調節されることを認識すべきである。あらゆる造影剤は、好ましくは水不溶解性の生物学的適合性の造影剤である。重合体と造影剤と生物学的適合性の溶剤との重量百分率は、完全な組成の全重量に基づく。好ましい実施形態では、水に不溶解性の、生物学的適合性の造影剤は、硫酸バリウム、タンタル粉末、タンタル酸化物からなるグループから選択される。さらに他の好ましい実施形態では、生物学的適合性の溶剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール乳酸エチル、又はアセトンである。
【0044】
用語“生物学的適合性の重合体”とは、患者の体内において使われるときに、使用される量において、無毒で、化学的に不活性で実質的に非免疫原性の重合体であって、生理学的な液体に対して実質的に不溶解性であるものを称する。適当な生物学的適合性の重合体に含まれるものには、例としては、酢酸セルロース(二酢酸セルロースを含む)、エチレンビニールアルコールコポリマー、ヒドロゲル(例えば、アクリル酸、ポリ(C1−C6)なアクリル酸樹脂、アクリラートコポリマー、ポリアルキルアクリル酸エステルであってここでアルキル及びアルカリ基は独立して1乃至6個の炭素原子を含むようなものや、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、ウレタン/炭酸塩のコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマーとこれらの混合物がある。ウレタン/炭酸塩のコポリマーには、ポリカーボネートのジオールで成端されて、その後にメチレンビスフェノールジイソシアナートのようなジイソシアナートにより反応を起こされて、ウレタン/炭酸塩コポリマーを提供するものを含む。同様に、スチレン/マレイン酸のコポリマーとは、スチレンとマレイン酸との割合が約7:3から約3:7であるようなコポリマーを称する。生物学的適合性の重合体は好ましくは、その場で使用されるときに非炎症性である。使用される特別な生物学的適合性の重合体は危険でなくて、結果として生ずる高分子溶液の粘性、生物学的適合性の溶剤への生物学的適合性の重合体の溶解度に関連して選択される。そのような要因は当業者のよく知るところである。
【0045】
ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリ(C1−C6)なアクリラート、アクリラートコポリマー、ポリアルキルアクリル酸エステルであって、アルキル及びアルカリ基が1乃至6個の炭素原子を含む重合体、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、ウレタン/炭酸塩のコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマーとそれらの混合物は代表的に少なくとも約50,000のそしてより好ましくは約75,000から約300,000の分子量を有する。
【0046】
好ましい生物学的適合性の重合体には、二酢酸セルロースとエチレンビニールアルコールコポリマーとを含む。1の実施形態において、二酢酸セルロースは、約31から約40までの重量百分率アセチル含量を有する。二酢酸セルロース重合体は、市販で入手可能なものか、又は当業者に認識されている手順で用意できる。好ましい実施形態において、選ばれた二酢酸セルロース組成の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定される平均分子量数は、約25,000から約100,000までで、より好ましくは約50,000から約75,000までで、さらに好ましくは約58,000から64,000である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定される二酢酸セルロース組成の重量平均分子量は、好ましくは約50,000から200,000で、さらに好ましくは約100,000から約180,000である。当業者には明らかなように、他の要因が等しければ、低い分子重量を有している二酢酸セルロース重合体は、より高い分子重量の重合体と比較して、より低い粘性を与える。それゆえに、組成の粘性の調整は、重合体組成の分子量の単なる調整によって、容易に成し遂げることができる。
【0047】
エチレンビニールアルコールコポリマーは、エチレンとビニールアルコールモノマーとの残留物を含む。小さい量(例えば、5モルパーセント未満)の追加的なのモノマーは、重合体構造に含められることができるか、又は、そのような追加的なモノマーが組成の性状の注入後でないならば、その上に移植される。そのような追加的なモノマーには、例としてだけ示せば、無水マレイン酸、スチレン、プロピレン、アクリル酸、酢酸ビニル、これらの類似物を含む。
【0048】
エチレンビニールアルコールコポリマーは、市販されて入手可能であるか、当業者に認識されている手順で用意できる。好ましくは、エチレンビニールアルコールコポリマー組成は、DMSO中の8重量−体積パーセントのエチレンビニールアルコールコポリマー溶液が、20℃で60センチポアズ以下の、より好ましくは20℃で40センチポアズ未満の粘性を有するように選択される。当業者には明らかであるように、他のすべての要因が等しいならば、低い分子重量を有するコポリマーは、高い分子重量のコポリマーと比較して、低い粘性の組成を与える。従って、カテーテルで配達するのに必要とされる組成物の粘性調節は、単にコポリマーの組成の分子重量を調節することによって容易に成し遂げられる。
【0049】
同じく明白であるが、コポリマーにおけるビニールアルコールへのエチレンの割合は、組成の全体の疎水性/親水性に影響を及ぼし、それは組成の水への溶解度/不溶解度と共に水性溶液におけるコポリマーの沈殿割合にも影響する。特に好ましい実施形態においては、ここで使用するコポリマーは、約25から約60のモルパーセントのエチレンと約40から約75のモルパーセントのビニルアルコールとから構成され、より好ましくは、約40から約60のモルパーセントのエチレンと約40から約60のモルパーセントのビニルアルコールから構成される。
【0050】
用語“造影剤”は、生物学的適合性の(無毒な)放射線不透過材料であって、哺乳類の被検者への注射中に、例えばX線撮影法によってモニターできるものを称する。造影剤は、水に溶解性でもよいし水に不溶解性でもよい。水溶性の造影剤の例には、メトリザミド、イオパミドール、イオタラミック酸塩ナトリウム、iodomideナトリウム、及びメグルミンを含む。用語“水に不溶解性の造影剤”は、水に溶解することのない(すなわち20℃にてミリリットルあたり0.01ミリグラム未満の水溶解度を有する)造影剤を示し、タンタル、タンタル酸化物、及び硫酸バリウムを含み、これらそれぞれは生体内使用のための適当な形態で商業的に入手可能であり、好ましくは10μm以下の粒子サイズを有する。他の水不溶解性の造影剤には、金、タングステン、及びプラチナ粉末を含む。そのような水に不溶解性の生物学的適合性の造影剤であって平均粒子サイズが10μm以下であるようなものを用意する方法を以下に説明する。好ましくは、造影剤は水に不溶解性である(すなわち20℃にて0.01mg/ml未満の水溶解度をもつ)。
【0051】
用語“生物学的適合性の溶剤”は、有機材料の液体であって、少なくとも体温において生物学的適合性の重合体が溶解可能であり、使用される量にて実質的に無毒であるものを称する。適当な生物学的適合性の溶剤は、例証としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシドの類似体/同族体、エタノール、乳酸エチル、アセトン、などを含む。生物学的適合性の溶剤と共に水溶性の混合物も、使用される水の量が十分に小さくて、人体に注射したときに溶解する重合体が沈澱するのならば、使用できる。好ましくは、生物学的適合性の溶剤は、乳酸エチル又はジメチルスルホキシドである。
【0052】
用語“封入”は、沈澱物に封入された造影剤に関連して使用されるときには、医薬品のカプセル包被のような、いかなる物理的な造影剤の沈澱物への封入をも暗示する意味ではない。むしろ、この用語は一体的に凝集した沈澱物の形態を意味するのに使用されて、個別の成分、例えばコポリマー成分と造影剤成分とに分離することがない。
【0053】
本発明の方法で使用される組成物は在来の方法によって準備され、それぞれの成分を加えて結果としての組成を互いに混ぜ合せて全体の組成が実質的に均一になるようにする。例えば、選ばれた重合体の十分な量が生物学的適合性の溶剤に加えられて、完全な組成のための有効な濃度を達成する。組成は好ましくは、組成の全重量の約2.5から約8.0重量パーセントの重合体から構成され、より好ましくは約4から約5.2重量パーセントである。必要ならば、重合体を生物学的適合性の溶剤に溶解させるために、例えば50℃で12時間のゆるやかな加熱と撹拌を使用できる。
【0054】
十分な量の造影剤が、その後でオプションとして生物学的適合性の溶剤に加えられて、完全な組成のための効果的な濃度を達成する。組成は好ましくは、約10から約40重量パーセントの造影剤から構成され、より好ましくは約20から約40重量パーセント、さらにより好ましくは約30から約35重量パーセントである。造影剤が生物学的適合性の溶剤において可溶でないとき、撹拌が採用されて、結果としての懸濁液を有効に均質にする。懸濁液の形成を高めるために、造影剤の粒子サイズは好ましくは約10μm以下に維持されて、より好ましくは約1から5μm(例えば、平均サイズが2μm)である。1の好ましい実施形態では、例えば分別によって、適当な粒子サイズの造影剤が準備される。そのような実施形態において、約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有しているタンタルのような水に不溶解性の造影剤は、好ましくは清潔な環境においてエタノール(無水)のような有機の液体に加えられる。結果としての懸濁液を撹拌してから約40秒間沈降させると、より大きい粒子がより迅速に沈降する。有機液体の上部部分を除去してから、液体から粒子を分離することで、粒子サイズを小さくすることができて、これは光学顕微鏡で確認できる。この処理はオプションとして繰返されて所望の平均粒子サイズに達するようにする。
【0055】
生物学的適合性の溶剤へ成分を加えるために特別な順序は重要でなくて、結果としての懸濁液に組成物が均質になるのに必要なだけ撹拌を行なう。好ましくは、組成の混合/撹拌は、無水大気の下で大気圧で行なわれる。結果としての組成は、熱殺菌されて、その後で好ましくは密封された褐色瓶か小びんにて必要とされるまで保管される。
【0056】
ここで述べたそれぞれの重合体は、市販されていて入手可能であるが、当業者に良く知られている方法によって準備することもできる。例えば重合体は、代表的に在来の技術によって準備され、例えば、ラジカル、熱、UV、ガンマ照射、又は電子ビーム感応重合を採用して、必要に応じて、重合触媒か重合開始剤を提供して重合体を組成する。重合のための特定の方法は重要ではなく、使用される重合技術は本発明の一部を形成するものではない。生物学的適合性の溶剤の溶解度を維持するために、ここで説明した重合体は架橋結合していないことが好ましい。
【0057】
他の特に好ましい実施形態の増強溶液では、生物学的適合性の重合体組成を、生物学的適合性のプレポリマーを含んでいる生物学的適合性のプレポリマー組成に取替える。この実施形態では、組成は、生物学的適合性のプレポリマーと、オプションとしての生物学的適合性の水に不溶解性の造影剤であって約10μm以下の平均粒子サイズを有するものと、オプションとしての、生物学的適合性の溶剤とから構成される。
【0058】
用語“生物学的適合性のプレポリマー”は、その場で重合して重合体を形成する材料であって、使用される量において、無毒で、化学的に不活性で患者の体内で使用されたときに実質的に非免疫原性であり、生理学的な液体に実質的に不溶解性であるものを称する。そのような組成は、反応性の化学物として体内に導入されて、その後で体内に生物学的適合性の重合体を形成する。適当な生物学的適合性のプレポリマーには、例示としては、シアノアクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート、シリコンプレポリマー、などを含む。プレポリマーは、モノマーでも反応性のオリゴマーでもよい。生物学的適合性のプレポリマーは好ましくは、その場で使用されるときに非炎症性である。
【0059】
プレポリマー組成物は、十分な量のオプションの造影剤を溶液(例えば、液体のプレポリマー)に加えることによって準備できて、完全な重合体組成のための有効な濃度を成し遂げる。プレポリマー組成は好ましくは、約10から約40重量パーセントの造影剤から構成され、より好ましくは約20から約40重量パーセントで、さらにより好ましくは約30重量パーセントである。造影剤が生物学的適合性のプレポリマー組成に可溶でないときには、撹拌を行なって、結果としての懸濁液を均質にする。懸濁液の形成を高めるために、造影剤の粒子サイズは好ましくは約10μm以下に維持されて、より好ましくは約1から約5μm(例えば平均サイズが約2μm)である。
【0060】
プレポリマーが液体であるとき(ポリウレタンの場合など)、生物学的適合性の溶剤を使用することは絶対に必要なわけではないが、増強溶液の適正な粘性を準備するのに好ましい。使用されるときには好ましくは、生物学的適合性の溶剤は、プレポリマー組成の全重量に対してプレポリマー組成の約10から約50重量パーセントを構成する。生物学的適合性の溶剤が使用されるとき、プレポリマーの組成は代表的に、組成の全重量に対してプレポリマーの約90から約50重量パーセントを構成する。
【0061】
特に好ましい実施形態では、プレポリマーはシアノアクリレートであって、これは生物学的適合性の溶剤が存在しないときに好んで使用される。使用されるときに、シアノアクリレート接着剤は、20℃にて約5から約20センチポアズの粘性を有するように選択される。
【0062】
成分を加えるために特別な順序は重要でなくて、結果としての懸濁液に組成物が均質になるのに必要なだけ撹拌を行なう。好ましくは、組成の混合/撹拌は、無水の大気の下で大気圧で行なわれる。結果としての組成は、殺菌されて、その後で好ましくは密封された褐色瓶か小びんにて必要とされるまで保管される。
【0063】
本発明の装置及び方法にて使用するのに好適である増強溶液の特定の実施形態が、米国特許第5,667,767号(1997年9月15日出願)、第5,580,568号(1996年12月3日出願)、及び第5,695,480号(1997年12月9日出願)、及び、国際公開番号WO97/45131号(国際公開日は1997年12月4日)に開示されており、これらのすべての内容をここで参照して引用する。
【0064】
本発明の方法によって処置装置21を操作及び使用するに際しては、注射器91を手順に先だって増強溶液で充填しておく。注射器91は、カバー部分114を開いてバレル92がハウジング112内に配置できるようにして、ガン111に装填する。リング138を掴んでロッド136をハウジング112に対して後方へ引張って、パドル137が格納されたプランジャ94の後ろに配置されるようにする。カバー部分114を閉じて、ラッチ117によってベース部分113に固定する。その後で、医師は必要なだけトリガー141を引いて、パドル137をプランジャ94の後部に係合させる。
【0065】
本発明の方法により、針61とスリーブ62とをプローブ22の作業チャンネル51に配置しておいてから供給組立体27を針組立体26に取付けられるけれども、これに代えて、そのように針組立体をプローブ22内に配置するのに先だって、供給組立体26を針組立体に取付けることもできる。いずれにしても、マニホールド98の第1のルーアー取付け部分104を注射器91のルーアー取付け部分93に結合させて、マニホールドの第2のルーアー取付け部分106を流体コネクタ81の第1のルーアー取付け部分83に結合することで取付は成し遂げられる。結合具173は下方へとピボットされて、第1及び第2のアーム176がグリップ82に係合して、ネジ179を締付けてグリップ82をアーム176間の溝178に固定する。指ネジ172を後側支柱186に対して反時計まわり方向に回転させて、針61がスリーブ62内に完全に格納されるようにする。その後で、食塩水注射器97は管110によってマニホールド98の第3のルーアー取付け部分107までつながれて、DMSO注射器96は管109によってマニホールドの第4のルーアー取付け部分108までつながれる。
【0066】
プローブ22は、光ケーブル46を光源47に接続して、適当な接眼レンズ41をハンドル33に付けることによって準備される。さらに、すべての他の在来のアタッチメントをプローブ22に取付ける。
【0067】
患者を安静にするか麻酔をかけた後で、標準の手順に従って、オプションのバルーン組立体211を口192から食道186へ導入する(図示せず)。下側及び上側のバルーン212及び213を食道に配置するひとつの方法では、下側バルーン212は挿入管31の遠位端部31bに取外し可能に取付けられて、上側バルーン213は下側バルーンより基端側にて挿入管31のまわりに環状に取付けられる。医師はプローブハンドル33を掴んでプローブ22の遠位端部31bを口192へ導入して、挿入管31を食道186の下方へと進める。光学視認装置23は、医師によるそのような挿入管31の前進を容易にする。さらに、光学視認装置23は、医師が下側バルーン212を食道186内にて適切に配置することを確実にすることを可能にする。挿入管31は、遠位端部31bが下部食道括約筋187の近くにあるとき、基端端部31aが身体184の外側にあるような長さを有している。
【0068】
バルーン組立体211はその後で膨張管216によって膨張させられる。上側バルーン213は下部食道括約筋187より上に、食道における実質的に流体密の封鎖をつくり、下側バルーン212は下部食道括約筋187の下で、食道の実質的に流体密の封鎖をつくる。膨張管216はオプションとして、下側バルーン212を胃食道の接合部に対して保持するために使用することができる。結合管217の長手方向のサイズは、上側及び下側のバルーン213及び213が約4から15センチメートルの範囲の距離だけ間隔を隔てるようにされている。バルーン組立体211は、上側及び下側のバルーン213及び212によって仕切られた隔離されたないし密封された空間211を創り出すように働いて、下部食道括約筋187の実質的に中心に合わせられる。挿入管31の追加的な通路56は、密封された空間221内の流体や他の物質を取除くために使用できる。空気で充填されたならば、そのような空気の空間221は増強溶液が壁193に注入される前に沈澱することを抑止する。
【0069】
いま、針組立体26の遠位端部分61b及び62bが、挿入管31の側部ポート52を通して挿入されて進められて、針61とスリーブ62とのそのような遠位端部分が挿入管の遠位端部31bの近くにまで至る。針61とスリーブ62とはそれぞれ移動可能であって、遠位端部部分61a及び62bがそれぞれ挿入管31内に格納されて作業チャンネル51内に後退した第1の位置から、遠位端部部分61a及び62bが挿入管31の端部から遠位へ伸びるような第2の位置へ動く。針及びスリーブのそれぞれは十分な長さを有していて、ガン111を保持している医師は、針とスリーブとの双方を遠位端部31bから遠位へとかなりの距離に伸ばすことができるようにするべきである。
【0070】
図7及び図8には、下部食道括約筋187の近くで壁193を増強するための手順の一部分が示されている。光学視認装置23の案内のもとで、挿入管の遠位端部31bを操作して、増強すべき壁193の部分の上に位置決めする。医師は、調節機構166によって針61に対してスリーブ62を引っ込ませて、針の遠位端部部分61bをスリーブの遠位端部部分62bを越えて少なくとも2ミリメートルの選択された量だけ伸びるようにするが、この長さは2から15ミリメートルが好ましい。そのような拡張の量は容易に決定できて、例えばそのような拡張を指ネジ172の回転の作用と相関させて、これによって、指ネジ172の位置を後側支柱168に対して適切に調節する。スリーブ62に対して針61を引っ込めることは、作業チャンネル51内にて、又は、針61及びスリーブ62が挿入管の遠位端部31bから伸ばされた後で生じる。医師は、注射器97からの食塩水又は他の水性ないし生理的な溶液で針61を下塗りして、針の通路63が食塩水で充填されたことを、食塩水が針の遠位端部分61bの1又は複数の開口71から排出されているのを光学視認装置23で見ることによって確実にする。簡単のために、適当な液体を針の通路63に向けるための、活栓101−103の在来の動作は、手順と関連させて説明はしない。
【0071】
医師は、針61とスリーブ62とを側部ポート52により近づけるように動かして、針61の鋭利な端部67を壁193に貫通させる。光学視認装置23の視野により、医師は壁193の貫通を観察できる。針61とスリーブ62とはいかなる角度においても壁193を貫通することができるけれども、壁に対しての貫通角度は90゜未満が好ましく、より好ましくは40゜未満であって、針の遠位端部部分61bが壁193の粘膜層の下に延在して、さらに深部の筋肉層201及び202やそれを越えたりすることのないようにする(図7参照)。食塩水は壁193に注射されて食道粘膜196又は胃粘膜197を環状筋201から分離させて、内部空間227が食塩水で充填されているような拡大部226を壁193に創り出す。空間227を創り出すのに必要とされる食塩水の量は、0.25から10ccであって、好ましくは1から3ccである。
【0072】
拡大部226を創り出した後に、医師は、針61を空間227から引っ込めて、注射器97のプランジャを引戻すか又は他の適当な方法によって、残っている食塩水を通路63から回収する。次に医師は、針の通路63を注射器96からのDMSOで洗浄して、食塩水が通路63から除去されたことを確実にする。DMSOの洗浄は、わずかな量のDMSOが針の遠位端部部分61bから排出されていることを確認することによって決定される。この洗浄段階は、DMSOを食塩水の活栓103の下流で増強溶液の活栓101の上流に導入することによって高められる。ここで、DMSOは、注射器96のプランジャを引張るか又は他の適当な手段によって、通路63から除去される。食塩水を通路63から除去して、通路をDMSOで洗浄することによって、増強溶液内のDMSOから増強溶液内の生物学的適合性の重合体の注射器91内で早期に沈澱するのを抑制する。針の通路63は次に、注射器91に保持されている増強溶液で下塗りされて、そのような溶液が針の遠位端部部分61bの開口71で利用できるようにする。
【0073】
医師は、挿入管の遠位端部31bを食道に配置して、針の遠位端部部分61bが拡大部226を貫通して食塩水で満たされた空間227に達するようにする。その後で、医師はトリガー141を引いて、所望の予め選択された量の増強溶液をプローブ22と上側213を延通する針61を通して空間227に導入する。針の遠位端部61bでの開口71は増強溶液が空間227の中央に好ましく導入されるように位置決めされている。増強溶液内の造影剤のために、X線透視検査によって増強溶液を視認できる。さらに、増強溶液の壁193内への導入は超音波によって腹部又は食道で監視できる。増強溶液の空間227への注入速度は、0.1cc/分から10cc/分である。
【0074】
いったん増強溶液が壁193に導入されたならば、生物学的適合性の重合体の増強溶液は沈澱して1又は複数の1又は複数の個別の沈澱物ないし固体インプラント228を形成する(図7及び図9参照)。壁193に注入される増強溶液の量ないしボーラスは、それぞれのインプラントについて0.05ccから10ccの範囲である。増強溶液の空間227内の食塩水に対する割合は2:1から1:8までの範囲で、好ましくは増強溶液約1に対して食塩水が約2から3である。1の実施形態では、食塩水によって創り出された空間227が沈澱物ないしインプラント228の形状を予め形成する。図7から分かるように、そこに示されている個別のインプラント228は空間227のすべてよりも少ない空間を占めている。他の実施形態(図示せず)では、食塩水より多くの増強溶液が壁193に導入されて、個別のインプラント228は食塩水で創り出された空間をより充填する。
【0075】
増強溶液を注射するのに先だって、食塩水のような適当な水溶性の又は生理学的溶液を壁193に注射することで、細長くなくて球根状の形状の空間227を創り出すことが見い出された。食塩水の充填された空間227に増強溶液を注射することは、迅速な沈澱析出を容易にして、生物学的適合性の重合体の凝固を高める。この迅速な凝固はインプラント228の所望の形づくりを容易にし、これは図7においてはいくぶん球形で細長い形状になっている。食塩水が比較的軟らかくてスポンジ状のインプラント228の生成を容易にすることも見い出された。増強溶液の注射と生物学的適合性の重合体の凝固とが完成した後で、空間227内の残りの溶液は身体184内に分散して、空間227はインプラント228のまわりに収縮する(図8参照)。
【0076】
増強溶液の注射の前に、壁193に食塩水を注射しておくことは、壁193の組織を慣れさせてないしは準備させておくのに役立って、これは壁193が増強溶液を受入れるのを助けて、従って生物学的適合性の重合体の移植を容易にする。これに関して、食塩水は、インプラント228への拒絶反応を最小にして、身体のインプラントに対する治癒反応に寄与することによって、増強溶液の身体への受容を高める。食塩水はまた、身体のDMSOに対する刺激ないし炎症反応を消炎することを高める。本発明は、身体の組織への溶液のあらゆる導入をカバーするのに十分に広くて、処置のために組織の調子を整えたり準備したりして、それから組織の処置を行なうことを認識すべきである。コンディショニング溶液として食塩水を記述したけれども、あらゆる適当な生理学的又は水性の溶液をも使用できる。
【0077】
空間227内の食塩水はまた、増強溶液からのDMSOの迅速な分散を容易にし、従ってDMSOのいかなる局所的な刺激作用をも希釈する。食塩水は、さらに溶剤の溶解熱のための吸熱器として作用する。
【0078】
本発明の方法により壁193にはただひとつだけのインプラントが形成されて、図9に示す如く下部食道括約筋187の近くに、より明確には胃の分門の近くの壁193に単一のインプラント228が示されているけれども、本発明の1の好ましい実施形態では追加的な複数のインプラント228が作られる。そのための準備においては、針61を拡大部226から取除いて、通路63内の増強溶液をプランジャ94を引戻して回収する。針61は、針の通路63を注射器96からのDMSOで満たすことによって、DMSOで洗浄されて、その後で通路63からDMSOを回収する。引続いて針の通路63を注射器97からの食塩水で上塗りした後で、上述した手順を繰返して、そのような追加的なインプラント228を作る。
【0079】
壁193に形成されるインプラント228の数及び形状は変化させることができる。本発明の1の実施形態では、複数の円周上に間隔を隔てたインプラント229が下部食道括約筋187の下側の落屑性の円柱接合部の下の壁193に作られる(図7及び図10参照)。インプラント229はそれぞれいくぶん枕状の形状であって、食道186の中心線に沿って延びた長手軸線に垂直に延在する実質的に平面に配置されて、胃188に入る。4つのインプラント229が花冠状に配置されて図10に示されている。インプラント229は花冠の中心のまわりに約90゜の間隔を隔てている。しかしながら、4未満の又は4を越えるインプラント229を提供して壁193に形成することもできて、円周上の概略等しい角度間隔ないし中心軸のまわりに対称的に配置することができることも認識すべきである。インプラントの平面は下部食道括約筋187に対して上にも下にも及び/又はその場にも配置できる。他の実施形態では、インプラントは単一の平面に配置されること無く形成されることができる。
【0080】
インプラントのサイズ、間隔、及び形態は、本発明の方法によって食道186が部分的に接合されるか完全に接合されるかによって決定される。図10のインプラント229は、食道186が部分的にだけ接合されるようにサイズが決められて、円周に間隔を隔てている。図11には他の実施形態を示していて、複数の3つの円周に間隔を隔てたインプラント232が完全に食道186を接合している。食道186を完全に接合するためには、3未満又は3を越えるインプラントを代わりに提供できる。
【0081】
本発明の方法の他の実施形態では、複数のインプラントを第1の平面とは間隔を隔てた追加的な平面に配置して作成することができる。図12においては、第2の複数のインプラント233が示されていて、下部食道括約筋187及びインプラント229の平面の上側の壁193に作られている。図12には、複数の4つのインプラント223が、それぞれインプラント229と実質的に同様なサイズ及び形状にて示されている。インプラント233は円周に間隔を隔てて約90゜間隔で、下側の平面のインプラント229とは約45゜オフセットしている。インプラント233は、インプラント229に対して長手方向に整列させてもよいし、又はその他の形態にしてもよいことを認識すべきである。さらに、4未満又は4を越えるインプラント223を提供することができ、インプラント223の数はインプラント229の数よりも多くても等しくても少なくてもよい。本発明の1の実施形態では、インプラントは多数の平面を形成し、ないしは約2センチメートルの長手方向範囲に配置される。そのような列をなすインプラントは、落屑性の円柱の接合部198に長手方向に中心を合わせることができる。他の実施形態では、単一のインプラントを提供して、下部食道括約筋の近くの食道186を増強するか又は部分的に若しくは完全に接合する。
【0082】
本発明の方法の更なる実施形態においては、1又は複数のインプラントを壁193の部分であって、粘膜層196及び197以外の箇所に形成して、下部食道括約筋187の近くの壁193をかさばらせる。例えば、図13に示すように、1又は複数のインプラント236を筋肉層201及び202の一方又は双方に形成することができる。図13に示した例示的なインプラント236は環状筋層201に形成されている。1又は複数のインプラント236は、下部食道括約筋187の近くにて食道を増強するか又は部分的若しくは完全に接合するように働く。そのようなインプラント236はまた、層201及び202の筋肉の伸展性を減らすのに役立って、下部食道括約筋187を堅くするか堅固にするか又はコンプライアンスを増加させて、下部食道括約筋を修正して逆流障壁を再構築することができる。さらに、筋肉層における線維症を含むインプラント236のまわりの自然治癒過程は、下部食道括約筋187にて、さらに筋肉の開口を限定することができる。インプラント236は様々な形態に配置することができ、上述したように様々な形態のインプラントが含まれる。
【0083】
本発明の方法及び装置によって作られるインプラントは壁193にかさを加えて、胃と食道との間に障壁を形成して、層201及び202の筋肉の伸展性を減らして、下部食道括約筋187の近くの壁193の抵抗力を増加させる。軟らかい枕状のインプラントは互いにおだやかに相互作用して、食品が食道の下へ運ばれるようにする。食道が休息しているときには、インプラントは互いに十分に接近していて、胃の中の材料が逆行して流れるのを阻止する。
【0084】
このインプラントは、壁193において粘膜層196又は197と筋肉層202及び203との間に、又は、筋肉層202及び203の中に有利に形成されて、そのような粘膜層の血流と栄養物を阻害しないようにする。インプラントを壁193の余りに表面に形成すると、粘膜への血流を中断させて、それにより空間227を形成する粘膜層が、結局は壊死して脱皮する。溶液としての増強材料の注射により比較的小さい針61を使用することができる。
【0085】
本発明の方法について、増強溶液を壁193に注射するのに先だって壁193に食塩水を注射して空間227を形成することを含むものとして説明したけれども、空間227は他の水性の又は生理学的な溶液によっても又局所麻酔薬によっても形成できることを認識すべきである。代わりに、食塩水又は他の注射によって予め空間227を形成することなしに、増強溶液を壁193に注射してもよい。増強溶液はまた、ここで説明した二次的な目的のための食塩水又は他の溶液の注射をすることなしに、壁193に直接注射してもよい。食塩水又は他の水性又は生理学的な溶液は、オプションとしてそのような増強溶液によって形成された空間に導入することもでき、それは増強溶液を壁193に導入した後のことで、増強溶液中に存在するDMSO又は他の生物学的適合性の溶剤の分散を容易にする。従って、本発明は、処置を容易にすべく処置後の組織へあらゆるコンディショニング溶液を組織へ導入することをカバーするのに十分に広いことが分かる。複数のインプラントを壁193内に形成する代替的な方法においては、複数の空間227を注射器97からの食塩水によって形成することができる。それに続いて、注射器91からの増強溶液をそのような空間のそれぞれに続けて注射する。
【0086】
食塩水又は他の溶液を壁193に予め又は事後に導入することに加えて、又はその代替として、下側及び上側のバルーン212及び213によって形成された密封空間221を食塩水又は水などのそのような水性の溶液で充填して、本発明の方法を容易にすることもできる。隔離された空間221内の食塩水はDMSOを分散させるのに役立って、1又は複数のインプラント228を養生する。
【0087】
本発明のインプラントは他の材料、例えば放射性同位元素、化学療法剤、抗炎症薬、及び/又は抗生物質などのための配達媒介体としても使用できることを認識すべきである。さらに、処置装置21は他の材料を導入するのにも使用することができ、例えば懸濁剤及び造影剤などを体内に、そしてより明確に壁193のような体内の壁に導入する。
【0088】
インプラント内の造影剤によって、上述の手順が完了した後でインプラントを監視することができる。従って、インプラントとその形態との安定性は長期間にわたって観察することができる。更なる手順を実行して、以前に形成されたインプラントを補足することができる。
【0089】
本発明のインプラントは、本発明の手順を逆にすれば取除くことができる。インプラントを除去するためのひとつの方法では、上述したのと同様な手順にて、針の遠位端部部分61bをプローブ22によってインプラントに挿入する。DMSO又は他のあらゆる適当な生物学的適合性の溶剤を開口71から注射して、インプラントを溶解し又は部分的に溶解して、その後で、改質された増強溶液を針の通路63によって取除く。代わりに、拡大部226を形成する粘膜層を切開して、その中のインプラントを壁193から解放する。インプラントの除去を容易にするために、オプションとしてインプラントにDMSOをスプレーしてもよい。本発明の処置はまた、逆に行なうこともできて、インプラントによって創り出された増強ないし接合された領域を適当なやり方、例えばバルーン又はブジーの使用によって拡張させる。
【0090】
本発明の針組立体の他の実施形態では、針61には複数の内腔ないし通路が長手方向に貫通して設けられていて、複数の流体を別々に針で運ぶことができる。さらに他の実施形態では、プローブ22のようなあらゆる適当なプローブの作業チャンネルを通して複数の針を導入できる。そのような針のそれぞれは本発明の1又は複数の段階を実行するために使用できる。例えば、食塩水又は他の生物学的又は水性の溶液の導入のためと、DMSO又は他の生物学的適合性の溶剤の導入のためと、増強溶液の導入のためとに、別々の針を提供する。図14には、複数の針を有する針組立体241の一部分を示している。
【0091】
より詳細には、針組立体241は第1と第2の針242及び243を有していて、これらのそれぞれは実質的に図4に示した針61と実質的に同様である。針61と第1及び第2の針242及び243とを説明するために対応する要素には同様の符号を使用している。第1及び第2の針242及び243のそれぞれは、基端端部部分(図示せず)と、鋭利な遠位端部部分246であって遠位開口247を備えた部分とを有している。他の実施形態(図示せず)では、上述したあらゆる変形された針を針組立体にて利用することができる。
【0092】
針組立体241はさらに、スリーブ部材ないしスリーブ248を含み、これは実質的にスリーブ62と同様である。スリーブ248は、基端端部部分(図示せず)と遠位端部分248bとを有する。円筒形のスリーブ248には、長手方向に内部を貫通する複数の内腔が備えられ、すなわち、第1及び第2の間隔を隔てている内腔251及び252である。第1及び第2の針242及び243はそれぞれ、第1及び第2の内腔251及び252内に配置されてその中で摺動可能に動くようになっている。
【0093】
スリーブ248とそれに支持されている第1及び第2の針242及び243とは、プローブ22の作業チャンネル51内に摺動可能に配置されていて、第1及び第2の針242及び243とスリーブ248との基端端部部分はプローブ部分の側部ポート52にてアクセス可能になっている。第1及び第2の針242及び243の基端端部部分は、あらゆる適当な手段によって互いに固定されて、第1及び第2の針が互いに長手方向に相対的に固定されていて、従ってスリーブ248内を同時に摺動する。図示の実施形態では、第2の針243の遠位端部は、第1の針242の遠位端部から長手方向に間隔を隔てていて、より明確には、第1の針の遠位端部から基端方向へ1乃至3ミリメートルの範囲の距離を有している。他の実施形態では、第1及び第2の針242及び243の遠位端部は、面と向かって配置されていて、長手方向には間隔を隔ててはいない。そのような実施形態では、針は互いに間隔を接近させることができ、単一の鋭利な針であって2つの内腔を有するものと類似している。代わりに、第1及び第2の針242及び243は、スリーブ248によって互いに相対的に長手方向に固定される。そのような他の実施形態では、針242及び243はスリーブ248に対して固定されている。
【0094】
第1及び第2の針242と243との基端端部部分は、処置装置21の供給組立体27に結合される。1の実施形態では、第1の針242は食塩水を有している注射器97に結合され、第2の針243は増強溶液を有している注射器91に結合される。
【0095】
動作と使用については、針組立体241は、針組立体26に関連して上述したのと実質的に同じやり方で処置装置21において利用される。スリーブ248と針242及び243とを作業チャンネル51に挿入して、挿入管の遠位端部31bを食道186に進めて下部食道括約筋187の近くに至った後で、スリーブ248を第1及び第2の針242及び243に対して引っ込ませて、針を作業チャンネル51から延出させる。針を壁193に向けて進めて、遠位側に配置されている第1の針242の鋭利な遠位端部部分246を壁193に貫通させる。その後で、注射器197からの食塩水が壁193に注射されて、空間ないしポケット227を創り出す。さらに第1及び第2の針242及び243を進めることで、第2の針243が食塩水ポケット227によって形成された拡大部226を貫通する。その後で、医師は、第2の針243を通して増強溶液をポケット227に注射して、上述したタイプのインプラントを作る。第1及び第2の針242及び243は、代わりに同時的に壁193に導入してもよくて、それも本発明の範囲に含まれることを認識すべきである。
【0096】
他の手順であって、食塩水を導入するのに先だって増強溶液を導入するのが望ましいものでは、増強溶液のリザーバ91は第1の針242に結合され、食塩水97のリザーバ97は第2の針243に結合される。そのような手順においては、第1の針242が最初に壁193に導入されて、そこにインプラントを形成する。第2の針243の鋭利な遠位端部246は、その後で壁に導入されて、上述した目的のために、適当な量の食塩水をインプラントの近くに注射する。更なる実施形態(図示せず)においては、第1及び第2の針242及び243の遠位端部は長手方向に間隔を隔ててはいなくて、針242と243とが同時に壁193に導入される。
【0097】
針組立体241に第1及び第2の針242及び243を包含することは、手順の複雑さを減らす。増強溶液と食塩水とはもはや同じ針を通して導入されることがないので、単一の針だけを利用して食塩水と増強溶液とを注射していたときに必要であったDMSOの下塗り段階は省略することができる。
【0098】
図15には、複数の針を有している、処置装置21と共に使用する更なる針組立体を示している。そこに示されている針組立体261は針組立体26と実質的に同様であって、針組立体26と261とで対応する要素には同一の参照符号を使用している。針組立体261には、第1及び第2の針262及び263と第1及び第2のスリーブ266及び267が含まれている。針262と263とのそれぞれは実質的に図3に示して上述した針61と同一であって、スリーブ266と267とのそれぞれは上述したスリーブ62と実質的に類似している。第1及び第2の針262及び263は、第1及び第2のスリーブ266及び267に提供されている長手方向に延在する内腔に対して摺動可能に配置されている。このように、第1及び第2の針262及び263は、それぞれの第1及び第2のスリーブ266及び267に対して摺動可能である。他の実施形態の針組立体261では、第1及び第2の針262及び263はそれぞれの第1及び第2のスリーブ266及び267に対して固定してもよい。
【0099】
第1及び第2のスリーブ266及び267はそれぞれ、作業チャンネル61内に配置されて、互いに相対的に及び挿入管31に対して摺動可能に動く。第1及び第2の針262及び263の基端端部部分と、第1及び第2のスリーブ266及び267の基端端部部分とはそれぞれ、側部ポート52にてアクセス可能であって、プローブ22に対して針とスリーブとをコントロールできる。供給組立体27は、第1及び第2の針262及び263のそれぞれの基端端部部分に結合される。こうして、第1の針262は増強溶液のリザーバ91に結合されて、第2の針263は食塩水のリザーバ97に結合される。
【0100】
操作と使用に際しては、針組立体261は、針組立体26及び241に関して上述したのと実質的に同じやり方で利用できる。そのようなひとつの手順においては、第1の針262は壁193に増強溶液を導入するために使用される。第2の針263は壁193に食塩水を導入するために使用される。第1及び第2の針262と263とは互いに相対的にまた挿入管に対して可動であって、増強溶液と食塩水とをあらゆる所望の順序で壁193に注射することができる。
【0101】
図16乃至図17には、プローブ22と針組立体26、241、及び261と共に使用するための他の供給組立体を示している。そこに示した供給組立体276は複数の注射器と活栓とを保持するためのレセプタクルないしマニホールド277を含む。マニホールド277は、プラスチックのようなあらゆる好適な材料から作られている本体278から形成される。本体278は略矩形の形状であって、複数の3つの円筒形の凹部281−283が形成されている第1の側部を有する。各凹部は注射器のバレルを受入れるためのサイズと形状とを有する。より詳細には、第1の注射器286のバレルは、増強溶液のようなあらゆる適当な液体を収容していて、第1の凹部281に配置される。第2の注射器287のバレルは、DMSOのようなあらゆる適当な非水性の液体を収容していて、第2の凹部282に配置される。第3の注射器288のバレルは、水性の又は生理学的な溶液のようなあらゆる適当な液体を収容していて、第3の凹部283に配置される。各凹部のために本体278には溝291が提供される。各溝291はそれぞれの凹部を横切るように延在していて、それぞれの注射器のプランジャ端部に形成されたフランジを受入れるようなサイズと形状にされている。溝291は注射器を本体278内に長手方向にロックするように働く。
【0102】
本体278はさらに、複数の活栓296−298を受入れるためのチャンネル292を含む。そのようなスリーウェイの活栓のそれぞれは、活栓をそれぞれの注射器286−288に固定するための、ルーアー取付け部分301のような適当な取付け具を含む。ルーアー取付け具302のような追加的な取付け具が、第2ないしDMSOの活栓297を第1ないし増強溶液の活栓296と第2ないし食塩水の活栓298とに結合するように働く。
【0103】
第4のスリーウェイ活栓306は、ルーアー取付け具307のようなあらゆる適当な手段によって第1の活栓296に固定される。第4ないしベント注射器308は、ルーアー取付け具311のようなあらゆる適当な手段によって第4のないしベント活栓306に固定される。ベント活栓306は、ルーアー取付け部分312のような追加的な取付け具を含み、供給組立体276を処置装置21の針組立体に結合させる。針組立体26に対して、ルーアー取付け部分312は、流体コネクタ81の第1又は第2のルーアー取付け部分83及び84のいずれかに固定できる。第3の活栓298は追加的なルーアー取付け部分313を含み、これは供給組立体276の動作中には密閉される。図17には、ルーアー取付け部分313を密閉されていない状態で示している。
【0104】
動作と使用については、供給組立体276は上述したあらゆる手順に使用できる。ひとつの例示的な手順において、供給組立体276は針組立体26の流体コネクタ82に結合される。第2の注射器287は約10立方センチメートルのDMSOで満たされていて、第3の注射器288は約10立方センチメートルの食塩水で満たされている。第1の注射器286は約5立方センチメートルの増強溶液で満たされている。注射器286−288と活栓296−298及び306とは組立てられてマニホールド277に配置される。ベント注射器308は第4の活栓に接続される。図17に示すように、食塩水の注射器288は針組立体26から最も遠くの凹部383に配置され、DMSOの注射器287は食塩水の注射器288に隣接する第2ないし中央の凹部282に配置され、増強のシリンダ286は針組立体26の最も近くである第1の凹部281に配置される。
【0105】
プローブ22は身体184の食道186に上述したやり方で配置される。供給組立体276が針組立体26の流体コネクタ21にルーアー取付け部分312によって取付けられた後で、医師は、針61が完全に展開していてスリーブ62に対して格納されていることを容易に確認する。その後で医師は、針61とスリーブ62とをプローブ22の作業チャンネル51に通して、これを光学視認装置23によって針組立体26の遠位先端部を見ながら行なう。上述したやり方で、医師は下部食道括約筋187の近くの適当な位置の粘膜を穿孔して、針の遠位端部部分61bを粘膜下の空間203に通す。医師は、第3の注射器288からの十分な量の食塩水を壁193にゆっくりと注射して、十分な粘膜下の空間ないしポケット227を創り出す。針の遠位端部部分61bを壁193から取去った後で、針61の通路63内に残っている食塩水を、食塩水の注射器288によって除去する。引っ込まされた針の遠位端部部分62bは、それを壁193から取除く間、光学視認装置23の視野内に保持される。
【0106】
いまや、針組立体26は増強溶液を壁193に導入する準備ができた。ここで、食塩水の活栓298を閉じて、DMSOの活栓297を開いて、針61が注射器287からのDMSOで下塗りできるようにする。1の好ましい手順においては、針の遠位端部部分61bの開口71から約0.3立方センチメートルのDMSOが食道186内に自由に吹出すのが見えるまで、針61にDMSOを供給する。それから、DMSOは針61から回収されて、針61の基端端部部分61における約3センチメートルのカラムだけ残される。そのようなDMSOのカラムは流体コネクタ81内のDMSOの量と合わせて約0.2立方センチメートルである。DMSOの活栓297を閉じて、活栓296を開いて、約1立方センチメートルの増強溶液によって針61がゆっくりと上塗りされるようにする。そのような上塗り段階中に、針組立体26内に保持されたDMSOのカラムは針61の遠位端部部分61bに向かって移動して、約6センチメートルのDMSOの先導カラムを提供する。針組立体26の残りは増強溶液の濃厚なカラムで充填される。
【0107】
1の手順では、上述したタイプのインプラントであって約1立方センチメートルの体積を有するものを作るために、以下の追加的な段階が実行される。医師は、増強溶液の活栓296を閉じて、その後でDMSOの活栓を再び開く。針の遠位端部部分61bは再び注射されて粘膜を通して食塩水のポケット227に入る。好ましい手順において、針61はポケット227を作るのに使用された穿孔部位に再び差込まれる。医師は、DMSOの注射器287のプランジャをゆっくりと押込んで、約1立方センチメートルのDMSOを針組立体に届けて、針の遠位端部部分61b内のDMSOの先導カラムとそのようなDMSOカラムの上流側の増強溶液を、ポケット227に届ける。その後で、針の遠位端部部分61bは壁193から取外されて、針組立体26へのDMSOの供給は継続されて、約0.3立方センチメートルのDMSOが開口71から食道186内に自由に噴霧される。そのような噴霧は光学視認装置23を通して見ることができる。医師は、DMSOの活栓297を閉じて、ベント活栓306を開いて、針組立体26内のDMSOをベント注射器308内に回収する。
【0108】
抜取ったDMSOはオプションとして、その中に増強溶液が存在しないかテストするために、適当な水性の溶液中に注入してもよい。抜取ったDMSO内のわずかの増強溶液も水性の溶液内にて沈澱する。針組立体26に増強溶液が残っていないことをさらに確かめるために、医師は、オプションとしてDMSOの活栓297を開いて、十分な量のDMSOを針組立体26内に注入して、約0.3立方センチメートルのDMSOの噴霧が自由に針の遠位端部部分61bから食道186内に流れるようにしてもよい。
【0109】
次の体内移植に備えて、医師は針組立体26をテストして、針61が容易に展開及び格納されることを確認する。医師は次に、十分な量のDMSOを針組立体に供給して、約0.3立方センチメートルが針の開口71から食道186内に自由に噴霧させる。それから、DMSOの活栓297を閉じて、食塩水の活栓を開く。食塩水は、約1立方センチメートルが針の開口71から食道に流れて噴霧されるのが見られるまで、針組立体26に届けられる。その後で、光学視認装置23の対物レンズ37をすすいで、プローブ22の遠位端部から在来のやり方で分配された食塩水又は他の水性の溶液で粘膜表面を洗浄する。
【0110】
注射器286−288は、それらが次の注射のために十分に満たされているかどうかチェックして確認する。もしも再充填することが必要であるのならば、ルーアー取付け部分313を使用して食塩水を注射器288に再充填することができる。同様にして、ベント注射器308を取外して、ルーアー取付け部分311を代りに使用して、増強溶液の注射器286とDMSOの注射器287とを再充填する。ルーアー取付け部分313と311とにより、供給組立体276を分解すること無く、これらの再充填段階を行なうことができる。ルーアー取付け部分313と311はまた、供給組立体276と針組立体26とからすべての空気気泡を取除くのにも使用することができる。挿入管31の遠位端部31bは、再び食道186内に向けられて、上述したやり方で粘膜を穿孔することによって次の移植を開始する。
【0111】
他の手順であって、約1立方センチメートルよりも大きなインプラントを創り出すものにおいては、食塩水のポケットは上述したのと同じやり方で再度穿孔される。その後で、注射器286からの増強溶液を針組立体26に供給して、針61内の6センチメートルの先導カラムのDMSOと下流の増強溶液をポケット227に注射する。医師は、増強溶液の活栓296を閉じて、DMSOの活栓297を開いて、約1立方センチメートルのDMSOのカラムを用いて、針61内の釣り合う増強溶液をポケット内に押込んでインプラントの形成を完了する。医師はその後で、約1立方センチメートルのインプラントの作成に関して上述したのと同じやり方で、この体内移植手順を続行する。
【0112】
上述した増強溶液は、胃食道の逆流疾患の処置以外の他の胃腸の手順にも使用することができて、本発明の範囲内に含まれる。例えば、ここでの溶液はフィステルの近くの管状壁を増強してフィステルのステント又は他の処置を助けるのに使用することができる。上述したあらゆるインプラントの形成を利用することができる。壁の増強は食道におけるステントの支持を容易にして、フィステルの隔離を高める。さらに溶液は、身体の他の筋肉にかさをつくるのに使用できて、例えば肛門括約筋の近くの筋肉で、肛門括約筋の無力症を処置する。溶液はまた、静脈と動脈のような胃腸管を形成している壁の血管を処置するための用途も有する。これについては、溶液は、下部食道の静脈に注射して食道静脈瘤を処置したり、潰瘍の近くの静脈に注射して例えば胃潰瘍を処置したりできる。同様に、溶液はじ疾の処置のためにも使用できる。ひとつの例示的な手順においては、そのような血管の血管部分の付近にて非生分解性の固体を形成して、少なくともひとつの非水性の溶液から血管の閉塞を創り出して、従って閉塞の遠位の血管への血流を終止させる。これにより、インプラントを越えて静脈瘤が出血することは抑えられて、ついには静脈瘤は萎縮して消滅する。
【0113】
処置装置21以外の配達装置を使用して本発明の方法を実行できる。さらに、生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤とを利用するときの本発明の方法及び装置について説明したけれども、プレポリマーを含むような他の溶液が利用されるときには方法及び装置を必要に応じて改変することができる。不図示の他の実施形態では、本発明の方法はオプションであるバルーン組立体211なしに実行される。ここで述べた注射器や他のリザーバは図示の如く手動で操作するか、又は自動化することができる。例えば在来の単一速度や複数速度のプログラマブル又は他の注射器ポンプを利用して自動化できる。食塩水や類似した溶液が利用されない手順では、食塩水の注射器と関連する食塩水の流体流れハードウェアは、処置装置に備える必要がない。さらに、本発明の方法は上述の食道を通る又は食道内の方法に限定されない。ここでの増強方法は、開腹術、開胸術、腹腔鏡検査法、又は胸腔鏡検査法のような外科手順によっても実行できる。
【0114】
図18には、本発明の方法に従って、人体の胃腸管の上部部分に壁を形成する処置に使用されるキット321が模式的に示されている。キット321はボール紙やプラスチックのようなあらゆる適当な材料で作られているパッケージ322を含んでいて、その内容物を運搬できる。図18に示している例示的なパッケージ322は、箱形であって、底部壁323と4つの側壁324と上部壁326とから形成されている。図18では、上部壁326の一部分を破断していて、壁323、324、及び326で形成されている内部空間327を露出させている。容器ないしパッケージ322の内容物は内部空間327に配置されている。
【0115】
針組立体26は内部空間321内にてパッケージ322によって支持されている。上述したように、針組立体26は針61とスリーブ62と流体コネクタ81とを含む。キャップ328は、スリーブ62の遠位端部部分62bに着脱可能に取付けられていて、格納及びセットアップ中に針の遠位端部部分61bによって不用意に刺されることのないようにユーザを保護する。図18には、例示的な流体コネクタ81のルーアー取付け部分83及び84が示されている。キット321はさらに、注射器91の形態であるリザーバと、なにかの適当なインプラント形成材料の容器ないし小びん331とを含んでいる。1の好ましい実施形態では、インプラント形成材料は非水溶性の又は増強溶液であって、上述したものである。小びん331は針穿孔式のキャップ332を有し、注射器91のルーアー取付け部分93には以下に説明する針368のような標準の皮下注射針(図示せず)が取付けられていて、注射器91に充填するためにキャップ332を穿孔することによって、キャップ332に着脱可能に結合する。上述したように、注射器91のルーアー取付け部分93もまた、針組立体26の流体コネクタ81に着脱可能に結合できる。注射器91から複数の個別の予め選択された量の非水溶性の溶液を供給するためのガン111のような配達機構が、オプションとしてキット321には含まれる。注射器91はガン111内に取付けられた状態で図18に示される。キット321の追加的なオプションの構成要素には、注射器96のような第2のリザーバと、小びん333の形態のDMSOのような生物学的適合性の溶剤の容器とが含まれる。小びん333は針穿孔できるキャップ334を含み、注射器96にはルーアー取付け部分336に標準の皮下注射針(図示せず)を取付け可能であって、小びん333を充填するためにキャップを穿孔することによって着脱可能に結合できる。キット321はさらにオプションとして、活栓101−103のような図18には示していない複数の活栓を含み、上述したやり方で流体の流れを選択的に針組立体26に導くのに適当であるマニホールド組立体98を形成する。第3のリザーバないし注射器(図示せず)及び/又は食塩水のような水性の溶液の小びん(図示せず)もまた、オプションとしてキット321に含まれる。
【0116】
キット321は、上述したあらゆる手順に、また、上部消化管の壁193を処置するためのあらゆる他の手順に使用することができる。キット321の針組立体26は好ましくは、上述のプローブ22のような細長いプローブ部材と共に使用される。これについて、針組立体26はプローブ22を通して、より明確には、プローブの挿入管31の作業チャンネルを通して、胃腸管に導入されるような直径サイズにされている。注射器91は、例えば注射器91のルーアー取付け部分93を在来の小びん330のキャップ332を穿孔する皮下注射針に結合するなどのなんらかの適当な手段によって、小びん331からの非水溶性の溶液で充填される。充填されたときには、注射器91は流体コネクタ81に上述したやり方で取付けられる。プローブ22は食道186に導入されて、挿入管31の遠位端部31bが処置領域の近くに至る。その後で、針組立体22の遠位端部部分61a及び61bは挿入管31を通して進められて、そのような針61とスリーブ62との遠位端部部分が挿入管の遠位端部31bの近くに至る。
【0117】
ガン111又は他の適当な配達機構をオプションとして手順に利用することができる。ガン111が使用されるときには、注射器91は上述したやり方でガンに取付けられる。さらに、オプションの注射器96を使用して、手順中には適当な生物学的適合性の溶剤例えばDMSOを針組立体26を通して供給する。注射器96は、そのルーアー取付け部分336を在来の小びん333のキャップ334を穿孔する皮下注射針に、着脱可能に結合することによって充填される。その後で、注射器96は上述したやり方で流体コネクタ81に結合される。さらに、オプションの食塩水の注射器97は、手順中に上述したやり方で流体コネクタ81に結合できる。
【0118】
胃食道の逆流疾患を処置するための手順についてより詳しく上述したように、注射器91からの非水溶性の溶液を下部食道括約筋187の近くの壁193に導入して、かさを与えるか別の具合に壁193を処置する。そのような上述の例示的な手順のひとつでは、非水溶性の溶液が壁193の筋肉層201及び202の一方又は双方に導入されて、一方又は双方の筋肉層201及び202内に1又は複数の非生分解性のインプラント例えばインプラント236を形成する。そのようなインプラントは、落屑性の円柱の接合部198の上側及び/又は下側に形成され、他のインプラントに加えて又は単独で食道粘膜196にて粘膜下の空間203に形成される。そのような手順について上述したやり方で、DMSOのような生物学的適合性の溶剤及び/又は食塩水のような水性の溶液をオプションとして利用する。
【0119】
図19には、胃の噴門の筋肉層201及び202のそれぞれに複数のインプラントが形成されるような例示的な手順でのインプラントを示している。そのような手順では、針の遠位端部部分61bが上述したやり方で、壁193の一方又は双方の筋肉層201及び202に導入される。その後で、注射器91内の非水性の溶液が針組立体26を通して壁193にパルス状のやり方で、ガン111又は他の手動若しくは自動化された注射器又は装置によって、届けられて、複数の小さな間隔を隔てたインプラント337を環状筋層201及び/又は縦走筋層202内に創り出す。各パルスの非水溶性の溶液の体積は、0.25から5.0立方センチメートルの範囲であって、より好ましくは約0.5から2.0立方センチメートルである。ひとつの好ましい非水溶性の溶液の注射速度は約0.50から2.0立方センチメートル/分である。非水溶性の溶液を壁193にパルス状に導入することで、溶液は針の遠位端部部分61の開口から拡散移動して、複数の湖状の組合わせられたインプラント337を形成する。
【0120】
インプラント337は筋肉繊維の間に散在して、例示的なサイズは0.05から0.2立方センチメートルの範囲であって、より好ましくは0.075から0.125立方センチメートルである。複数のインプラント337と、図19に示す如く、複数の3つのインプラント337aとは壁193の厚さを横切るようにして間隔を隔てている。同様に、複数のインプラント337と、図19に示す如く、複数の2つのインプラント337bは筋肉層201及び202の一方又は双方の厚さを横切るようにして間隔を隔てている。インプラント337は、筋肉層201及び202のまわりに完全に間隔を隔てているか、又は、筋肉層201及び202のまわりにインプラント337の円周上に間隔を隔てている組338のグループになるか、又は、層201及び202のまわりに非対称に間隔を隔てる。図19に示す結果においては、インプラント337の4つの組338が示されていて、各組338は隣接する組338から約90゜の間隔を隔てている。そのような複数の密接に間隔を隔てたインプラント337は、壁193の伸展性を減らす働きをして、それにより下部食道括約筋187を修正して逆流障壁を再建する。堅くなった括約筋は、弛緩して胃188の内部の食品及び/又は他の材料を逆流させにくくなる。そのような密接に間隔を隔てたインプラント337は、非水溶性の溶液をパルス式に導入する以外にも、例えば非水溶性の溶液を連続的に注射することでも形成することができて、これも本発明の範囲内に含まれる。
【0121】
図20には、他の例示的なインプラントのサイズ及び形態であって、胃腸管で使用するためのものを示していて、これは図19と同様に胃の噴門の横断面図を示しており、そのような他のインプラントを示すために区分して描写している。図20におけるひとつの部分に示すように、1又は複数のインプラント341はそれぞれインプラント337よりも小さいサイズを有して壁193に形成されていて、壁の伸展性を減少させる。そのような1又は複数のインプラント341は筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。複数のインプラント341は一方又は双方の筋肉層201及び202の厚さを横切るように間隔を隔てている。1又は複数のインプラント342であって、それぞれがインプラント337よりは大きいサイズを有するが、図7乃至図9に示したインプラント228よりは小さいようなものもまた、筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。図20に示す壁193における他の区分された部分は、複数の2つのインプラント342が層201と202とに形成されているのを示している。図20の胃の噴門の別の区分された部分に示されているように、1又は複数のインプラント343であって、丸形ではないものも壁343の筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。複数の2つの細長い薄いインプラント343がひとつのインプラント342と組合わされて図20に示されている。それぞれの細長いインプラント343は、上述した非水溶性の溶液のような適当な材料を単一パルス式に又は連続的に注射して形成することができ、又は、壁193に形成された2つのより小さいインプラントを合併させることで形成できる。複数のインプラント343は筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。複数の単独タイプのインプラント337、341、342、又は343、または、1又は複数のインプラント337及び341−343の組合わせは、食道186のまわりに対称的に配置されても非対称に配置されてもよい。インプラントは筋肉層201及び202の一方又は双方にそうして形成されて、食道186を形成する表面を変形されたりさせなかったりして、従って、食道を部分的又は完全に接合したりしなかったりする。
【0122】
キット321は気管−食道のフィステルを処置するために使用できる。そのような手順において、非水溶性の溶液は針61によってフィステルの近くの壁193に導入されて、壁を増強し、従ってフィステルを隔離するために食道に配置されるステントの保持を容易にする。キット321はまた、上部消化管内の他の手順、例えば上述した静脈や動脈などの血管を処置する手順や胃潰瘍を処置するための手順にも使用できる。針組立体26の針61とスリーブ62とは所望の手順のために適切なサイズにされる。特に、針61とスリーブ62とのそれぞれは、少なくとも十分な長さを有していて、基端端部部分61aと62aとが体外にあるときに遠位端部部分61bと62bとを処置現場の近くに配置できなければならない。プローブ22は同様なやり方で適切なサイズにされる。
【0123】
本発明の他の胃腸管を処置する方法においては、直腸の壁を処置するために、身体の肛門の近くの下部胃腸管を形成する壁に材料が導入される。図21乃至図23に示すように、胃腸管は直腸346を含み、肛門347にて身体184の外界に開いている。直腸346を形成する壁348の内側層は粘膜層351である。筋肉の層が直腸346のまわりに延在して、直腸壁348の一部分を形成している。そのような筋肉層は、粘膜層351の下側に延在している環状筋層352と、筋肉層352の下に延在している縦走筋層353とから構成される。身体184はさらに、肛門括約筋356を含み、これは内肛門括約筋357と外肛門括約筋358とを有する。内肛門括約筋357は、肛門347にて環状筋層352の終点を形成する。外肛門括約筋358は、深外括約筋361と浅外括約筋362と皮下外括約筋363とから構成される。本願の目的においては、直腸壁348と従って身体184の胃腸管の壁には、内肛門括約筋357と外肛門括約筋358とを含む。
【0124】
本発明による大便失禁を処置するための方法においては、増強か、かさをつけるか、その他の肛門括約筋356の伸展性を減少させるようなあらゆる適当な手段によって、肛門括約筋356の近くにて直腸壁348に溶液を導入する。溶液を直腸壁348に導入するためのひとつの好ましい装置は、在来の注射器366であって溶液で充填されたバレル367を有するものである。在来の細長い針368が注射器366に結合されて、バレル367から直腸壁348に溶液を届ける。管状の針368は在来のタイプであって、その遠位端部には単一の開口を備えている。代わりに、針368は上述した針のいずれかに類似したものでもよい。
【0125】
あらゆる適当な材料ないし溶液が、これには上述したあらゆる材料又は溶液を限定せずに含むが、増強や伸展性の修正又はその他の肛門347近くの直腸壁348の処置に利用できる。本発明の好ましい方法では、少なくともひとつの非水溶性の溶液が直腸壁348に導入されて、直腸壁に非生分解性の固体ないしインプラントを形成する。特に好ましい方法では、少なくともひとつの溶液は生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤との溶液である。いったんそのような溶液が直腸壁348に導入されたならば、生物学的適合性の重合体は溶液から沈澱して、インプラントを形成して、生物学的適合性の溶剤は身体184内に分散する。
【0126】
直腸壁348にはいかなる数及び形態のインプラント371を形成してもよい。1の好ましい方法においては、複数の円周上に間隔を隔てたインプラント371が直腸壁348に形成される(図21乃至図22参照)。個々のインプラント371は、粘膜層351、環状筋層352、及び/又は、縦走筋層353に形成できる。さらに、インプラント371は肛門括約筋356に形成できて、図21乃至図22に示すように、インプラント371は内肛門括約筋357に配置されている。インプラント371は外肛門括約筋358のあらゆるないしすべての部分に形成することができ、すなわち、深外括約筋361、浅外括約筋362、及び/又は、皮下外括約筋363に形成できることを認識すべきである。図21には、例示的なインプラント372をそれぞれ深外括約筋361と浅外括約筋362と皮下外括約筋363とについて破線で示している。
【0127】
複数のインプラント371が肛門347の近くにて直腸壁348に形成されるとき、そのようなインプラントは実質的に平面上に配置してもよいし、図21乃至図22に示す如く、複数の平面上ないしは平面から外れて配置してもよい。インプラント371は肛門347のまわりに対称的に又は非対称的に配置できる。インプラント337及び341−343のいずれかに類似したインプラントを、壁348のあらゆる位置に形成することができて、これには内肛門括約筋357又は外肛門括約筋358も含まれる。そのようなインプラントは、注射器366からの溶液のパルス式の又は連続的な注射又は他のあらゆる適当な手動又は自動化手段によって形成できる。直腸壁348に注射されるそのようなあらゆる溶液の量は0.05から10立方センチメートルの範囲であって、溶液の注射速度は0.1から10立方センチメートル/分の範囲である。
【0128】
肛門347の近くの直腸壁348にかさをつけるには他の装置も利用できる。例えば、図23に示すように、配達機構ないしガン376であって予め選択された量の溶液を直腸壁348に提供するようなってものを利用できる。ガン376は実質的にガン111と類似しており、ガン111と376とで対応する要素には同様な参照符号を付している。ガン376は、ガン111の調節機構166を含んでいない。注射器366はガン376と共に利用することができ、活栓377を注射器366と針368との間に配置していて、DMSOのような生物学的適合性の溶剤、及び/又は、食塩水のような水性の溶液を選択して針368に通して直腸壁348に導入することができる。これについて、それぞれ注射器96と97とのようなリザーバを利用できる。
【0129】
下部胃腸管の他の処置においては、1又は複数のインプラントを胃腸壁の血管のような導管に形成することができる。例えば、血管の部分の付近にて血管内に非生分解性の固体を形成して、少なくともひとつの非水溶性の溶液から血管の閉塞を創り出して、従って閉塞の遠位の血管への血流を終止させる。より詳細には、インプラントはじ疾の近くの血管に形成されて、インプラントを越えるような血流を終端させて、従ってインプラントを越えてのじ疾の出血が止まる。そのような血流の停止は、じ疾に萎縮をもたらして消滅させる。
【0130】
本発明のインプラントは他の材料、例えば放射性同位元素、化学療法剤、抗炎症薬、及び/又は抗生物質などのための配達媒介体としても使用できることを認識すべきである。オプションとしてのインプラント内の造影剤によって、上述の手順が完了した後でインプラントを監視することができる。従って、インプラントとその形態との安定性は長期間にわたって観察することができる。更なる手順を実行して、以前に形成されたインプラントを補足することができる。
【0131】
前述の説明から分かるように、壁193や直腸壁348を含む胃腸管の壁に形成されたインプラントは、様々なサイズであって様々な形態に形成できる。インプラントは上述したいずれかの材料のような、あらゆる適当な材料から形成できる。胃腸管の壁に導入するのに他の好適な材料には、Walkerらが、"Injectable Bioglass as a Potential Substitute for Injectable Polytetrafluorethylene Particles", J.Urol., 148:645-7, 1992、に記述しているような注射可能なバイオガラスや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のような小粒子核をグリセリンに入れたPolytef(R)、ばらばらの重合体とシリコーンゴムとの生地から構成される生物学的適合性の組成物であって例えばBergの米国特許第5,007,940号、第5,158,573号、及び第5,116,387号に開示されたもの、炭素被膜されたビーズから構成される生物学的適合性の組成物であってLawinの米国特許第5,451,406号に開示されているもの、コラーゲンと他の生分解性の材料であってWallaceの米国特許第4,803,075号に開示されたタイプのもの、及び他の公知の注射可能な材料が含まれる。そのようなインプラントを形成するために利用されるあらゆる材料ないし溶液は、様々な手動的又は自動的な、及びパルス式の又は連続的なやり方で注射できる。壁のあらゆる層に1又は複数のインプラントを形成することができ、それには壁のあらゆる筋肉層や壁内の他の血管のためのあらゆる静脈が含まれる。前述の説明を限定すること無しに、本発明のあらゆるインプラント例えばインプラント337及び341−343は、胃腸管又は身体の他の部分における、あらゆる括約筋状の筋肉ないしメカニズムに形成することができることを認識すべきである。
【0132】
前述の説明から、胃腸管を処置するための、最小限の侵襲性の処置、装置、及びキットが提供されることが分かるだろう。胃腸管を形成している壁に材料が注射されて、壁内に1又は複数のインプラントを形成して、壁を増強ないしはかさばらせる。材料は非生分解性の物質でもよい。材料は少なくともひとつの溶液として注射されて、その後で固体を形成する。1の実施形態においては、少なくともひとつの溶液は、それから非生分解性の固体が沈澱するような溶液を含む。より特定の実施形態においては、溶液は生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤とを含む。水性又は生理学的な溶液をオプションとして壁に導入して、壁の調子を整えることができる。装置及びキットは、胃食道の逆流疾患を処置するために、下部食道括約筋の近くにおいて、食道及び/又は胃を形成している壁に1又は複数のインプラントを形成するために使用できる。装置及びキットはまた、気管−食道フィステルを処置するために、1又は複数のインプラントを壁に形成して、食道内でのステントの支持と食道壁とステントとの間のシールの形成とを容易にするために使用できる。装置及びキットはまた、材料を血管に注射して実質的に血管を閉塞することによって、静脈瘤、じ疾、及び胃潰瘍のような食道壁の血管を処置するためにも使用できる。装置及びキットはさらに、大便失禁を処置するために肛門括約筋の近くの壁に1又は複数のインプラントを形成するために、及び/又は、肛門括約筋を増強するために肛門括約筋に非生分解性の材料の1又は複数のインプラントを形成するために使用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は胃腸管の治療に関し、特に、胃腸管を形成している壁にインプラントを形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
胃食道の逆流疾患(GERD)は、逆流防止障壁の障害であって、胃腸管の食道に胃の内容物が異常に逆流する。胃食道の逆流疾患は、欠陥がある下部食道括約筋(LES)の障害、失敗した食道の蠕動の有無にかかわらない胃内容排出障害によって通常特徴づけられる。疾患は通常、「一過性の下部食道括約筋の弛緩の」エピソードの間にそれ自身を明らかにし、その頻度は逆流する患者において大いに増える。医薬ないし薬物療法は、胃食道の逆流の管理のための最初の系統である。しかしながら、薬物管理は病状の機械的な病因に対応しない。従って、薬物を中止して1年以内に著しい数の患者に症状が再発する。さらに、医薬療法は効果的に胃食道の逆流疾患の酸性の誘発症状に対処できるものの、食道粘膜の外傷は進行中のアルカリ性の逆流のために続く。胃食道の逆流疾患は慢性の状態であるので、酸抑制及び/又は増進薬剤を用いた医薬療法は患者の残りの人生にわたって必要となる。
【0003】
生涯の薬物投与依存の費用と心理的負担、望ましくないライフスタイルの変更、いくらかのより新しい薬物投与の長期間効果に関する疑い、及び症状の制御にもかかわらず持続的に粘膜が変化する潜在性のすべてが、胃食道の逆流疾患の外科的治療を魅惑的なオプションにする。残念ながら、外科の介入は、全ての付き添いの罹患率、死亡率と補正過度の場合更なる外科を必要とする障害のリスクを持つ大手術である。腹腔鏡外科手術は、それが成功するためには、熟練の非常に高いレベルとそれのための特別なトレーニングを要求する。
【0004】
最小限に非侵襲的なアプローチが、胃食道の逆流疾患を処置するためにためされたが、一過性の効果だけを有した。そのようなアプローチは、胃の噴門の高さに硬化剤を注射することを含む。他の生体分解性の物質の注射は、ためされたが、活動の短い持続期間だけを提供することがわかった。
【0005】
気管−食道のフィステルは、重大なガンの末期の合併症であって、肺や気管気管支のツリーと食道において起こる。疾患の性質と範囲はほとんど常に治療の療法を妨げる、そして従って、一時的な調整は療法のゴールである。残念ながら、多く報告された成功した手順は、患者が病院から解放されるような点にまでは、患者の状態を改善することができない。「院内」死亡率は、たびたび30日死亡率よりもより高い。
【0006】
内視鏡検査専門医と食道鏡検査法の専門的知識の増加は、食道の内部人工器官を気管−食道のフィステルの治療において利用できるようにした。そのような手順は、食道のステントか他の挿管法を含む。残念ながら、このために使用される在来のステントの漏斗縁は、たびたび食道の隔壁の縁と粘膜の間のギャップを持つ貧弱な取付けになる。この結果、食品と唾液がたびたび粘膜と人工器官の外の界面の間で通過して、これにより人工器官の目的をくつがえす。前述の考察から、現在提供されている手順の不利を克服するような気管−食道のフィステルを処置するための新しくて改善された手順の必要性がある。体の胃腸管の血管、特に静脈はしばしば拡張することができる。例えば、大きくなって、長くなった静脈は静脈瘤として知られている。そのような静脈瘤は胃腸管の壁で、例えば下部食道括約筋の近くに生じることがある。膨張した静脈は、肛門の縁で又は直腸内部の近くではじ疾として知られている。胃腸管の粘液性の膜における侵食は、潰瘍として知られている。潰瘍からの出血は静脈又は動脈のいずれからも生じる。静脈瘤、じ疾、及び潰瘍は、正常な血管よりも望ましくない出血が疑われる。
【0007】
食道静脈瘤の出血を処置するために硬化療法が使われる。しかしながら、硬化療法を受けた患者における再出血は依然として一般的である。さらに、硬化剤の注射は、いろいろな局所で全身性の合併症を誘発する。少なくとも硬化療法と同じくらい効果的でありながら、合併症をより少なくするような、内視鏡療法を提供する試みにおいて、血管結紮が開発された。残念ながら、比較的大きい血管は、血管結紮が難しいことがある。さらに、血管結紮手順は、血管に裂傷を引起こすことがある。じ疾は静脈瘤と同じ方法で処置されてきたが、これらの治療技術は上述の同じ不都合で苦しむ。
【0008】
激しく出血する潰瘍を持つ患者のために、外科医師は潰瘍の近くの脈管構造に焼灼することを要求されることがある。残念ながら、外科手術の介入は、全ての付き添いの罹患率、死亡率、及び更なる外科手術を必要とする失敗のリスクを持つ大手術である。
【0009】
年輩の人において最も共通の大便失禁は、直腸に大便を保有するための随意調節の損失である。大部分の患者において、大便失禁は、バイオフィードバックトレーニングや便の堅さの変更のような保存的な調節によって当初は処置される。バイオフィードバックは、いくらかの直腸感覚を保有して外部肛門括約筋が機能している患者の約2/3で成功している。しかしながら、しばしば多数のセッションが必要であり、患者は強い動機を与えられる必要がある。家電のバイオフィードバック装置が入手可能であって、アジュバント療法として役に立つことができる。大便失禁へのいくつかの外科のアプローチは、保存的な管理が失敗したときに、ためされたが、成功するとは限らない。これらの治療には、括約筋修復、薄筋又は臀筋筋肉転位を含み、人工の括約筋と結腸フィステル形成を再建する。使われるアプローチは、失禁の原因と外科医の専門的知識に依存する。例えば、生体分解性の化合物が肛門括約筋に注射又は導入されて、かたまりになるか、直腸の壁を増加させる。残念ながら、そのような生体分解性の化合物は、身体によって再吸収されて、従って時間が経つと無効になる。さらに、そのような外科手術の介入は、GERDに関して上述したのと同じ不都合に苦しむ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、本発明の目的は、胃腸管を処置するための最小限に非侵襲的な処置及び装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置を提供するために、胃腸管を形成している壁に物質を注射して、壁に1又は複数のインプラントを形成して、壁を増強ないしはかたまりにすることにある。
【0012】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、物質が非生分解性の物質であるものを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、物質が少なくともひとつの溶液として注射されて、その後で固体を形成するものを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、少なくともひとつの溶液がその溶液から非生分解性の固体を沈澱するような溶液を含むものを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、溶液は生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤を含むようなものを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、水性又は生理学的な溶液が壁の調子を整えるために壁にもたらされるようなものを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、上述の特徴の胃食道の逆流疾患を処置するための処置及び装置であって、1又は複数のインプラントを食道及び/又は胃を下部食道括約筋の近くで形成している壁において形成するようなものを提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、上述の特徴の最小限の侵襲的な処置及び装置であって、気管−食道のフィステルを処置するために、壁に1又は複数のインプラントを形成することによって、食道内でのステントの支持と、食道壁とステントとの間における密封の形成とを容易にするようなものを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、静脈瘤、じ疾、及び胃潰瘍のような、胃腸内の壁における血管を処置するために、血管に物質を注射することによって、実質的に血管を閉塞するようなものを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、大便失禁のために、1又は複数のインプラントを肛門括約筋の近くで壁に形成するようなものを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、非生分解性の物質の1又は複数のインプラントを肛門括約筋に形成して肛門括約筋を増やすようなものを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、上述の特徴の処置及び装置であって、可逆的なものを提供することにある。
【0023】
発明の追加的な目的及び特徴は、添付図面と関連させて好ましい実施形態が詳細に明らかにされる以下の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】上部消化管を処置するための本発明の装置を示す斜視図である。
【図2】図1における線2−2に沿った、装置の一部分を示す横断面図である。
【図3】図1における線3−3に沿った、装置の遠位部分の拡大側面図である。
【図4】本発明による上部消化管を処置するための装置の他の実施形態を、図3と同様に示した拡大側面図である。
【図5】図1における線5−5に沿った、装置の基端部分を示す横断面図である。
【図6】本発明による胃食道の逆流疾患を処置するための方法を実施している図1の装置を示す概略図である。
【図7】図6における線7−7に沿った、下部食道括約筋を拡大して示した立面図である。
【図8】図7と同様な下部食道括約筋を示した拡大立面図であって、本発明の方法の他の段階を示している。
【図9】図7の線9−9に沿った、胃の噴門の高さでの図7の下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の方法での食道の不完全な接合を示している。
【図10】図9と同様な下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の他の方法での食道の不完全な接合を示している。
【図11】図9と同様な下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の更に他の方法での食道の完全な接合を示している。
【図12】図7の線12−12に沿った、下部食道括約筋の横断面図であって、本発明の更なる他の方法の完成の後の、食道の2つの間隔を置いて配置された別々の位置における不完全な接合を示している。
【図13】図8と同様な下部食道括約筋を示す横断面図であって、本発明の他の方法での食道の増強及び/又は接合を示している。
【図14】本発明の胃食道の逆流疾患を処置するための装置の遠位部分の他の実施形態を示した、図4と同様な、拡大側立面図である。
【図15】本発明の上部消化管を処置するための装置の更なる実施形態の遠位部分を示した、図5と同様な、拡大側立面図である。
【図16】本発明の上部消化管を処置するための器具の他の実施形態の一部分を示す斜視図である。
【図17】図16の器具を示した他の斜視図である。
【図18】本発明のいずれかの方法による胃腸管の上の部分を処置するためのキットをいくぶん模式的に部分的に破断して示した上面図である。
【図19】本発明の方法によって処置される胃の噴門の高さでの下部食道括約筋を示した、図9と同様な横断面図である。
【図20】本発明の方法によって処置される胃の噴門の高さでの下部食道括約筋を示した、図19と同様な横断面図である。
【図21】人体の一部分を示す断面図であって、肛門括約筋の部分が本発明の方法によって増強されている。
【図22】図21の線22−22に沿った、肛門括約筋の部分を示す横断面図である。
【図23】本発明による肛門括約筋を処置する方法において使用するための装置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一般に、哺乳類の体内で胃腸管を処置するための装置及びキットが提供される。少なくともひとつのインプラントが、胃腸管を形成している壁に形成される。好ましい処置においては、非水溶性の溶液が壁に導入され、非生分解性の固体が少なくともひとつの非水溶性の溶液から壁にて形成されて壁を処置する。キットは手順における使用のために提供される。
【0026】
本発明の処置は、図1に示されるタイプの装置によって実行できる。ここに示した器具又は医療装置21は、プローブ部材ないしプローブ22を含み、これは光学視認装置23を有している。針組立体26は、プローブ22によって摺動可能に支持される。処置器具21はさらに、針組立体26の基端端部部分に取付けられた供給組立体27を含む。
【0027】
在来の又は他の適当な胃鏡又は内視鏡を、プローブ22として使うことができる。図1に示した例示的なプローブ22は、オリンパスCF Type 40L/I内視鏡であって、日本の東京のオリンパス株式会社によって作られる。プローブ22は、フレキシブルな細長い管状部材ないし挿入管31を含み、これは基端端部及び遠位端部31a及び31bと遠位面32とを有している。挿入管31は図1では部分的に示していて、そのために、基端端部31aと遠位端部31bの部分だけが示される。ハンドル手段ないし組立体は、挿入管31の基端端部31aに結合されて、在来のハンドル33を含む。管状の挿入管31は、複数のボアないし通路を、基端端部31aから遠位端部31bまで延在するようにして、備えている。図2には、5つのそのような通路を示していて、中心の通路36が含まれている。
【0028】
光学視認装置23は、在来のプローブ22と一体的に形成されていて、光学要素又は対物レンズ37を挿入管31の中心の通路36に支持されて有している。レンズ37は遠位面32に視野を有していて、これによって、オペレーターは挿入管の遠位端部31bの前方を見ることができる。光学視認装置37はさらに、ハンドル33の基端端部に取付けられたアイピース41を含んでいる。第2及び第3の照明通路42は、挿入管31における中央通路36の周囲に提供されて、それぞれが光ファイバー組立体又は光ガイド43を運ぶ。図1に一部分だけが示されている結合ケーブル46は、ハンドル33から在来の光源47にまで延在する。第1及び第2の光ガイド43は、挿入管31とケーブル46とを通って延在していて、挿入管31の前方に照明を提供する。
【0029】
挿入管31にはさらに、作業通路ないしチャネル51が提供されて、ハンドル33に形成された側部ポート52へ延びる。追加的な通路56が、挿入管31を通して延在して、空気及び/又は水の出口として使うことができる。挿入管31は、それの体を通しての挿入と前進とを容易にするためにフレキシブルであって、屈曲可能な遠位端を備えていて、要求された方向に遠位面32を選択的に向ける。ハンドル33には複数の指で操作する制御部57が提供されて、とりわけ挿入管31の屈曲可能な遠位端と挿入管31を通しての液体の供給及び除去を操作する。
【0030】
針組立体26は在来のいかなるタイプのものでもよくて、例えば改変された硬化療法針であって、メリーランド州BillericaのC.R.Bard, Inc.社が製造する、Bard(R) Flexitip(TM)針と類似したものである。針組立体26は、針部材ないし針61であって基端端部部分61aと遠位端部部分61bとを有するものと、オプションであるスリーブ部材ないしスリーブ62であって基端端部部分ないし末端62aと遠位端部部分ないし末端62bとを有するものとを含む。スリーブないし細長い管状部材62は、フレキシブルなプラスチックや金属のようなあらゆる適当な材料から作られて、それを通して長手方向に延在している内腔を有していて針61を受入れる。スリーブ62と針61とは、互いに長手方向に摺動可能である。ここで、管状針61はスリーブ62内に摺動可能に配置されていて、管状針がスリーブの遠位端部部分62aの内部にあるような格納位置から、針61がスリーブ62の遠位方向へ突出するような拡張位置へと移動できるようになっている。針61とスリーブ62とは作業チャネル51と挿入管31の側部ポート62との内部に摺動可能に配置されていて、各々が有する長さは、遠位端部分61bと62bとが挿入管31の遠位端部31bから延在し、あるいは、遠位面32の近くにあるとき、基端端部部分61aと62aとに側部ポート52からアクセスできるようになっている。中空又は管状の針61は、基端端部部分61aから遠位端部部分61bへと長手方向に延在している通路63を有する。改変された針の遠位端部部分61bは、ステンレス鋼のようなあらゆる適当な材料から作られていて、16〜28の範囲のゲージサイズを有し、23〜26の範囲のゲージが好ましい。図3に最も明らかに示されるように、遠位端部分61bは、内部通路63を形成するための円筒形の壁66を有すると共に、鋭ったないし斜角をつけられた遠位端部分67をテーパをつけられた端面68によって形成されて有している。少なくともひとつの開口71が遠位端部分61に提供されて、この開口はテーパをつけられた端面68に設けられた開口71aを含むか、この開口から構成される。開口71aに代えて又はこれに加えて、少なくともひとつの図示の複数の開口71を円筒系の壁66に設けることができる。複数の2つの開口71bと2つの追加的な開口71cとは、隔壁66に提供される。開口71bは、互いに正反対に配置されて180゜離れていて、開口71cも同じく互いに直径の正反対に配置されているが、開口71bからのオフセットは90゜である。開口71cは、長手方向に開口71bの後に間隔を隔てて配置される。開口71bと71cは、あらゆる適当な形状又はサイズでよいが、細長くて楕円の形状に示されている。開口71b又は開口71cだけを有している針の遠位端部分61bを提供してもよくて、本発明の範囲内にあることを認めるべきである。針61の1つの実施形態では、テーパをつけられた表面68を閉じて、円筒形の壁66だけに開口71を備えた。針61の、針の基端端部部分61aと中心部分とは、プラスチック、金属、又はあらゆる他の適当な材料からも作ることができる。
【0031】
図4には、針61の改変された遠位端部部分のもう一つの実施形態を示している。遠位端部部分61b’は、鋭敏にされたないしはとがった遠位端76を有し、一般に皮質の形状を有する。閉じられたとがった端76には開口71は設けられない。複数の3つの円周に配置された開口71dは、とがった端76の円筒形の壁66の基部に提供される。開口71dは、約120゜の分離角で円周に間隔を隔てて配置される。第2の組の3つの開口71eが、開口71dの円筒形の壁66の基部に延通する。開口71eは、同じく約120゜の分離角で円周に間隔を隔てて配置される。開口部71eは、開口71dに対して遠位端部部分61b中心軸線のまわりにて角度的にオフセットしている。
【0032】
流体コネクタ81は針61の基端端部部分61aに固定ないし結合されていて、グリップ部材ないしグリップ82はスリーブ62の基端端部部分62aに固定されている(図1参照)。流体コネクタ81は第1及び第2のルーアー取付け部分83及び84、又はあらゆる他の適当な取付け部分を含み、これが針61の通路63に連通している。図1では、第1のルーアー取付け部分83はキャップで閉じられている。流体コネクタ81とグリップ82とは、互いに長手方向に移動可能であって、針61とスリーブ62との間に相対的な長手方向の動きを引き起こす。より詳細には、グリップ82は針61の基端端部部分61aにて流体コネクタ81に対して前方へ及び後方へと摺動できる。グリップ82を流体コネクタ81に対して前方へと動かすと、スリーブ62の遠位端部部分62bは針61の遠位端部部分61bに完全にかぶさるように伸びて、針はスリーブ62内に完全に引っ込む。逆に、グリップ82を流体コネクタ81に対して後方へと動かすと、スリーブの遠位端部部分62bは針の遠位端部部分61bに対して引っ込んで、針の遠位端部部分61bを露出させる。
【0033】
処置器具21のハンドル手段は供給組立体27を含み、これは挿入管31の基端端部31aに結合されている(図1参照)。より詳細には、供給組立体27は針組立体26の基端端部に固定される。供給組立体27は処置装置21の手段に含まれて、液体又は溶液を針61の通路63を通して導入して、針の遠位端部分61bに提供される1又は複数の開口71から出す。供給組立体27は、在来の注射器又は第1の注射器から構成され、この注射器は、その前方端部にてリザーバないしバレル92にルーアー取付け部分93のようななんらかの適当な取付け手段を有すると共に、バレル92内の流体をルーアー取付け部分93を介して押出すためのプランジャー94を有する。供給組立体27はさらに、第2及び第3の注射器96及び97の形態であるような第2及び第2のリザーバを含む。第2の注射器96は、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はあらゆる他の適当な液体で満たされている。第3の注射器97は、食塩水又はあらゆる他の適当な水性又は生理学的な溶液で満たされている。
【0034】
マニホールド組立体ないしマニホールド98は、注射器91、96、及び97を流体コネクタ81に結合するように提供される。1の実施形態では、マニホールド98は、複数の3つの活栓101−103と、複数の少なくとも2つのそして図では複数の4つのポートないしルーアー取付け部分を有する。第1のルーアー取付け部分104は、注射器91の前方のルーアー取付け部分93と協同して結合する。第2のルーアー取付け部分106は、流体コネクタ81の第2のルーアー取付け部分84と協同して結合する。第3及び第4のルーアー取付け部分107及び108が追加的に提供される。第3のルーアー取付け部分107は、その一部分が図1に示されている管109によって、第2の注射器96に結合されていて、第4のルーアー取付け部分108は、その一部分が図1に示されている管110によって、第3の注射器97に結合されている。活栓101−103は在来の方法で作用して、流体流れをルーアー取付け部分104と106−108との間に流す。本発明の他の実施形態(図示せず)では、注射器91は流体コネクタ81や針61の基端端部部分61aに直接固定してもよい。マニホールド98は代わりに、4つよりも少ない又は多くの取付け部分を備えてもよく、複数の注射器又は他の流体リザーバからの流体流れを調節するためのあらゆる他の形態でもよいことを認識すべきである。
【0035】
供給組立体27はさらに、配達装置ないしガン111を含み、別々の予め選択された量の流体をバレル92から針61へと供給する(図1及び図5参照)。ガン111は、プラスチック又は他のあらゆる適当な材料で作られている円筒形のハウジング112を有していて、注射器のバレル92を受入れる。ハウジング112はベース部分113と、ヒンジ116によってベース部分113にピボット式に固定されているカバー部分114とから形成される。ラッチ117がピボット式にカバー部分114に結合されて、ベース部分113に係合して、それによりカバー部分114を閉じた位置にロックする。ハウジング112は、注射器91のルーアー取付け部分93を受入れるための前方の開口118を有する。ハンドル126は、プラスチック又は他のあらゆる適当な材料から作られていて、ベース部分113から垂下している。ハンドル126は、内部空洞127を有する。第1及び第2の間隔を隔てた補強部材128及び129は、ハンドル126の前後にて、ベース部分113から下方へと延びている。補強部材128及び129は長手方向に整列されて、それぞれを長手方向に貫通するようにしてボア132が設けられていて、内部空洞127に開かれている。ボア132内には、プラスチック又は他のあらゆる適当な材料から作られているロッド136が摺動可能に配置されている。ロッド136は、その後方からロッドの長手軸線に対して垂直に延設されているパドル137を有する。パドル137は注射器のプランジャ94と係合するように適合している。人間の手の指を受入れるようなサイズであるリング138が、パドル137から後方へと延在していて、ボア132内のロッド136を後方に引張ることを容易にする。
【0036】
ロッド136とパドル137とはガン111の指操作手段に含まれていて、注射器91のバレル92とプランジャ94との間の相対的な増加的な動きをもたらす。トリガー141は、ロッド136の下方にて、ハンドル126の前面の開口142から延出している。トリガーは、ロッド136の長手軸線と平行な方向に摺動可能なように、内部空洞127内に設けられた第1と第2の間隔を隔てたガイド143の間に配置される。トリガー141は、第1のないし完全に拡張した位置から第2のないし完全に格納された位置へと動く。レバー146は、ピン147によってハンドル126にピボット式に結合される。レバー146は、トリガー141の後方に延びている第1の端部部分146aと、ロッド136の底部に形成された長手方向に間隔を隔てた複数のノッチのうちのひとつと係合するために楔状の形状を有している第2の端部部分146bとを有する。トリガー141が人間の手の指によって後方へ引かれるとき、トリガーはレバーの第1の端部部分146aに係合して、レバー146をピン147を中心としてピボットさせて、第1のないしホームポジションから第2のないし操作ポジションにする。このハーフストローク中に、レバーの第2の端部部分146bは前方へと動いて、ノッチ148のひとつに係合して、ロッド136をハウジング112に対して前方へと移動させる。パドル137はロッド136に追従して、トリガー141を引く毎にプランジャ94をバレル92に段階的に押込む。
【0037】
固定されたストッパ151がハンドル126には設けられていて、トリガー141の後方への動きを制限し、従って、トリガー141を引く毎に注射器91から放出されるバレル92内の流体の段階増加的な量を決定する。トリガー141の後方への行程は、1又は複数の追加的なピンないしストッパ152によって選択的に制限することができ、そのうちのひとつを図5に示している。調節できる制限ピン152はハンドル126に摺動可能に取付けられていて、トリガー141の経路の外である第1の位置からトリガー141の経路の内にある第2の位置へと動かすことができて、第2の位置にあって係合するときには、トリガー141の後方へのストロークを選択的に制限する。
【0038】
コイルスプリング156又は他の適当な付勢部材が、その一端をハンドル126内のピン157に結合され、その第2の端部をレバー146の第2の端部部分146bに固定されて備えられている。スプリング156は、トリガー141への指の押圧が解放されたときに、レバー146をそのホームポジションに戻すように促して、ノッチ148との係合を外す。スプリング156は、レバーの第1の端部部分146aをして、トリガー141を押させて、開口142の外側のホームポジションにする。
【0039】
指操作可能な調節機構166は、針の基端端部部分61aとスリーブの基端端部部分62aとに結合されていて、針61とスリーブ62との間にて長手方向の相対的な動きをもたらす。調節機構166はいかなる適当なタイプのものでもよくて、互いに調節可能であるような針とスリーブとを有する適当な針組立体と共に使用する。そのような調節機構166のひとつの実施形態はガン111によって支持される。図1に示すように、そのような調節機構166は第1ないし前方の支柱166と第2ないし後方の支柱168とを有し、カバー部分114の上部から上方へ延設される。長手方向に間隔を隔てている支柱167と168とはバレル92に対して垂直に延びる。摺動可能な部材ないし摺動バー171は、前方の支柱167に設けられたボア(図示せず)に摺動可能に取付けられていて、バレル92と平行な方向に前後に動く。大きな頭部172aを有する指ネジ172が、後方の支柱168に設けられたボア(図示せず)に摺動可能に配置される。ネジの頭部172aは後方の支柱と当接し、ネジ172の他端部は摺動バー171の後端部に螺入している。後方支柱168に対して指ネジ172を反時計まわりに回転させると、摺動バー171は前方支柱167に向かって後方に動き、一方、指ネジ172を時計まわりに回転させると摺動バー171は支柱167から遠のくように前方へ動く。L字形の結合具173は、ピン174によって摺動バー171の前方端部にピボット式に結合される。結合具173は、第1及び第2の間隔を隔てたアーム176を有していて、これが両者の間に溝178を形成していて、グリップ82の中央部分を受入れる。ネジ179はアーム176の間に延在して、アームをグリップ82にロックして、従って、スリーブ62を針61に対して長手方向にロックする。
【0040】
処置装置21は、胃食道の逆流疾患の治療(図6乃至図12参照)のようなあらゆる適当な手順に使用することができる。図6乃至図8には人間の身体184の一部分を示していて、下部食道括約筋187を通して胃188まで延在する食道186の形態の内部キャビティを有している。そのようなキャビティは口192の形態の自然の身体開口部によってアクセスできて、壁193によって形成される。食道186は、身体184の胃腸管の一部分であって、口192から肛門(図6−8には示していない)に延在する。食道粘膜196は、食道186内の腔内壁193の内側層として機能すると共に、胃粘膜197は胃188内の腔内壁193の内側層として機能する。食道粘膜と胃粘膜とは、落屑性の円柱接合部198でつながる。壁193はさらに筋肉層を含み、筋肉層は、粘膜層196と197との下に延在している環状筋201の層と環状筋201の下に延在している縦走筋202の層とを含んでいる。筋肉層201と202とは、それぞれ食道186と胃188とのまわりに延在する。粘膜下空間203は、層196又は197を筋肉層201から分離することによって作られた、粘膜層196又は197と環状筋層201との間に位置するすべての空間である。壁193は、少なくとも粘膜層196及び197と、筋肉層201及び202と、粘膜下空間203とを含む深さないし厚さを有する。横隔膜−食道の靱帯204と横隔膜206とは、食道186のまわりにて下部食道括約筋187より上に延在する。下部食道括約筋の近くには、その用語がここで使用されるように、少なくとも食道の下部1/3と、落屑性の円柱接合部198と、胃の噴門又は胃188の上部とを含む。
【0041】
本発明の装置は、オプションとしてバルーン組立体211を含んでいて、これはポリエチレン、ラテックスゴム、シリコーン、又はポリオレフィンのようなあらゆる適当な材料から作られる(図6及び図7参照)。バルーン組立体211は、第1ないし下側のバルーン212を有し、これは下部食道括約筋187の下に配置されるためのサイズに作られていて、胃188における食道186が胃に入る箇所に配置されるようなサイズに示されている。バルーン組立体211は、第2ないし上側のバルーン213を有し、これは食道186において下部食道括約筋187より上に配置されるためのサイズに作られている。開口214を上側バルーン213を通して提供して、挿入管31がバルーン213を通して延在できるようにする。開口214は、上側バルーン213が膨張したときに挿入管とぴったり係合するために、挿入管31に合わせたサイズになっている。膨張管216はバルーン212及び213を膨張させるためのもので、上側バルーン213から食道186及び口192の外部へと延びている。下側及び上側のバルーン212と213との間には結合管が延びていて、膨張管216によって下側バルーン212が膨張させられるようになっている。バルーン組立体211の他の実施形態では、下側バルーン212は上側バルーン213とは分離して、この事例では、各バルーンに別々の膨張管が備えられる。
【0042】
本発明の方法では、不活性の再吸収されることのない材料が身体184に導入されて、体の中空な内臓壁を増強させる。以下に説明する方法の実施形態では、この材料は下部食道括約筋187の近くにて胃腸管の壁193に導入されて、壁を増強してもって胃食道の逆流疾患を処置する。本発明の方法及び/又は装置ではあらゆる適当な材料も使用できるけれども、ひとつのそのような材料は、体内に導入されたときに非生分解性の固体を形成するような少なくともひとつの溶液である。ここで使用するように、固体とは、適度な応力のもとで認知できるような流れを生じることのないあらゆる物質であって、それを変形させようとする(圧縮、張力、及び歪のような)抵抗力に対して定った容積を有し、普通の条件のもとで定ったサイズと形状とを保有するものを意味していて、そのような固体には、スポンジ及び/又は多孔質の物質を含むが、これに限定はされない。少なくともひとつの溶液のひとつのそのような実施形態は、第1と第2の溶液であって、体内で混合されたときには非生分解性の固体を形成する。他のそのような実施形態は非水溶性の溶液であって、流体として体内に導入することができて、その後にそれから固体が沈澱する。好ましい実施形態によるそのような非水溶性ないし増強溶液は、生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤との溶液であって、オプションとして造影剤を含むことができて、体内における溶液の可視化を容易にする。
【0043】
特に好ましい増強ないし充填剤溶液の組成は、約2.5から約8.0重量百分率の生物学的適合性の重合体と、約52から約87.5重量百分率の生物学的適合性の溶剤と、約10から約40重量百分率の生物学的適合性の造影剤であって好ましくは約10μm以下の平均粒子サイズを有するものとから構成される。ここで記述した造影剤を含むあらゆる百分率は、造影剤を利用しないときには比例的に調節されることを認識すべきである。あらゆる造影剤は、好ましくは水不溶解性の生物学的適合性の造影剤である。重合体と造影剤と生物学的適合性の溶剤との重量百分率は、完全な組成の全重量に基づく。好ましい実施形態では、水に不溶解性の、生物学的適合性の造影剤は、硫酸バリウム、タンタル粉末、タンタル酸化物からなるグループから選択される。さらに他の好ましい実施形態では、生物学的適合性の溶剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール乳酸エチル、又はアセトンである。
【0044】
用語“生物学的適合性の重合体”とは、患者の体内において使われるときに、使用される量において、無毒で、化学的に不活性で実質的に非免疫原性の重合体であって、生理学的な液体に対して実質的に不溶解性であるものを称する。適当な生物学的適合性の重合体に含まれるものには、例としては、酢酸セルロース(二酢酸セルロースを含む)、エチレンビニールアルコールコポリマー、ヒドロゲル(例えば、アクリル酸、ポリ(C1−C6)なアクリル酸樹脂、アクリラートコポリマー、ポリアルキルアクリル酸エステルであってここでアルキル及びアルカリ基は独立して1乃至6個の炭素原子を含むようなものや、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、ウレタン/炭酸塩のコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマーとこれらの混合物がある。ウレタン/炭酸塩のコポリマーには、ポリカーボネートのジオールで成端されて、その後にメチレンビスフェノールジイソシアナートのようなジイソシアナートにより反応を起こされて、ウレタン/炭酸塩コポリマーを提供するものを含む。同様に、スチレン/マレイン酸のコポリマーとは、スチレンとマレイン酸との割合が約7:3から約3:7であるようなコポリマーを称する。生物学的適合性の重合体は好ましくは、その場で使用されるときに非炎症性である。使用される特別な生物学的適合性の重合体は危険でなくて、結果として生ずる高分子溶液の粘性、生物学的適合性の溶剤への生物学的適合性の重合体の溶解度に関連して選択される。そのような要因は当業者のよく知るところである。
【0045】
ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリ(C1−C6)なアクリラート、アクリラートコポリマー、ポリアルキルアクリル酸エステルであって、アルキル及びアルカリ基が1乃至6個の炭素原子を含む重合体、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、ウレタン/炭酸塩のコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマーとそれらの混合物は代表的に少なくとも約50,000のそしてより好ましくは約75,000から約300,000の分子量を有する。
【0046】
好ましい生物学的適合性の重合体には、二酢酸セルロースとエチレンビニールアルコールコポリマーとを含む。1の実施形態において、二酢酸セルロースは、約31から約40までの重量百分率アセチル含量を有する。二酢酸セルロース重合体は、市販で入手可能なものか、又は当業者に認識されている手順で用意できる。好ましい実施形態において、選ばれた二酢酸セルロース組成の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定される平均分子量数は、約25,000から約100,000までで、より好ましくは約50,000から約75,000までで、さらに好ましくは約58,000から64,000である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定される二酢酸セルロース組成の重量平均分子量は、好ましくは約50,000から200,000で、さらに好ましくは約100,000から約180,000である。当業者には明らかなように、他の要因が等しければ、低い分子重量を有している二酢酸セルロース重合体は、より高い分子重量の重合体と比較して、より低い粘性を与える。それゆえに、組成の粘性の調整は、重合体組成の分子量の単なる調整によって、容易に成し遂げることができる。
【0047】
エチレンビニールアルコールコポリマーは、エチレンとビニールアルコールモノマーとの残留物を含む。小さい量(例えば、5モルパーセント未満)の追加的なのモノマーは、重合体構造に含められることができるか、又は、そのような追加的なモノマーが組成の性状の注入後でないならば、その上に移植される。そのような追加的なモノマーには、例としてだけ示せば、無水マレイン酸、スチレン、プロピレン、アクリル酸、酢酸ビニル、これらの類似物を含む。
【0048】
エチレンビニールアルコールコポリマーは、市販されて入手可能であるか、当業者に認識されている手順で用意できる。好ましくは、エチレンビニールアルコールコポリマー組成は、DMSO中の8重量−体積パーセントのエチレンビニールアルコールコポリマー溶液が、20℃で60センチポアズ以下の、より好ましくは20℃で40センチポアズ未満の粘性を有するように選択される。当業者には明らかであるように、他のすべての要因が等しいならば、低い分子重量を有するコポリマーは、高い分子重量のコポリマーと比較して、低い粘性の組成を与える。従って、カテーテルで配達するのに必要とされる組成物の粘性調節は、単にコポリマーの組成の分子重量を調節することによって容易に成し遂げられる。
【0049】
同じく明白であるが、コポリマーにおけるビニールアルコールへのエチレンの割合は、組成の全体の疎水性/親水性に影響を及ぼし、それは組成の水への溶解度/不溶解度と共に水性溶液におけるコポリマーの沈殿割合にも影響する。特に好ましい実施形態においては、ここで使用するコポリマーは、約25から約60のモルパーセントのエチレンと約40から約75のモルパーセントのビニルアルコールとから構成され、より好ましくは、約40から約60のモルパーセントのエチレンと約40から約60のモルパーセントのビニルアルコールから構成される。
【0050】
用語“造影剤”は、生物学的適合性の(無毒な)放射線不透過材料であって、哺乳類の被検者への注射中に、例えばX線撮影法によってモニターできるものを称する。造影剤は、水に溶解性でもよいし水に不溶解性でもよい。水溶性の造影剤の例には、メトリザミド、イオパミドール、イオタラミック酸塩ナトリウム、iodomideナトリウム、及びメグルミンを含む。用語“水に不溶解性の造影剤”は、水に溶解することのない(すなわち20℃にてミリリットルあたり0.01ミリグラム未満の水溶解度を有する)造影剤を示し、タンタル、タンタル酸化物、及び硫酸バリウムを含み、これらそれぞれは生体内使用のための適当な形態で商業的に入手可能であり、好ましくは10μm以下の粒子サイズを有する。他の水不溶解性の造影剤には、金、タングステン、及びプラチナ粉末を含む。そのような水に不溶解性の生物学的適合性の造影剤であって平均粒子サイズが10μm以下であるようなものを用意する方法を以下に説明する。好ましくは、造影剤は水に不溶解性である(すなわち20℃にて0.01mg/ml未満の水溶解度をもつ)。
【0051】
用語“生物学的適合性の溶剤”は、有機材料の液体であって、少なくとも体温において生物学的適合性の重合体が溶解可能であり、使用される量にて実質的に無毒であるものを称する。適当な生物学的適合性の溶剤は、例証としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシドの類似体/同族体、エタノール、乳酸エチル、アセトン、などを含む。生物学的適合性の溶剤と共に水溶性の混合物も、使用される水の量が十分に小さくて、人体に注射したときに溶解する重合体が沈澱するのならば、使用できる。好ましくは、生物学的適合性の溶剤は、乳酸エチル又はジメチルスルホキシドである。
【0052】
用語“封入”は、沈澱物に封入された造影剤に関連して使用されるときには、医薬品のカプセル包被のような、いかなる物理的な造影剤の沈澱物への封入をも暗示する意味ではない。むしろ、この用語は一体的に凝集した沈澱物の形態を意味するのに使用されて、個別の成分、例えばコポリマー成分と造影剤成分とに分離することがない。
【0053】
本発明の方法で使用される組成物は在来の方法によって準備され、それぞれの成分を加えて結果としての組成を互いに混ぜ合せて全体の組成が実質的に均一になるようにする。例えば、選ばれた重合体の十分な量が生物学的適合性の溶剤に加えられて、完全な組成のための有効な濃度を達成する。組成は好ましくは、組成の全重量の約2.5から約8.0重量パーセントの重合体から構成され、より好ましくは約4から約5.2重量パーセントである。必要ならば、重合体を生物学的適合性の溶剤に溶解させるために、例えば50℃で12時間のゆるやかな加熱と撹拌を使用できる。
【0054】
十分な量の造影剤が、その後でオプションとして生物学的適合性の溶剤に加えられて、完全な組成のための効果的な濃度を達成する。組成は好ましくは、約10から約40重量パーセントの造影剤から構成され、より好ましくは約20から約40重量パーセント、さらにより好ましくは約30から約35重量パーセントである。造影剤が生物学的適合性の溶剤において可溶でないとき、撹拌が採用されて、結果としての懸濁液を有効に均質にする。懸濁液の形成を高めるために、造影剤の粒子サイズは好ましくは約10μm以下に維持されて、より好ましくは約1から5μm(例えば、平均サイズが2μm)である。1の好ましい実施形態では、例えば分別によって、適当な粒子サイズの造影剤が準備される。そのような実施形態において、約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有しているタンタルのような水に不溶解性の造影剤は、好ましくは清潔な環境においてエタノール(無水)のような有機の液体に加えられる。結果としての懸濁液を撹拌してから約40秒間沈降させると、より大きい粒子がより迅速に沈降する。有機液体の上部部分を除去してから、液体から粒子を分離することで、粒子サイズを小さくすることができて、これは光学顕微鏡で確認できる。この処理はオプションとして繰返されて所望の平均粒子サイズに達するようにする。
【0055】
生物学的適合性の溶剤へ成分を加えるために特別な順序は重要でなくて、結果としての懸濁液に組成物が均質になるのに必要なだけ撹拌を行なう。好ましくは、組成の混合/撹拌は、無水大気の下で大気圧で行なわれる。結果としての組成は、熱殺菌されて、その後で好ましくは密封された褐色瓶か小びんにて必要とされるまで保管される。
【0056】
ここで述べたそれぞれの重合体は、市販されていて入手可能であるが、当業者に良く知られている方法によって準備することもできる。例えば重合体は、代表的に在来の技術によって準備され、例えば、ラジカル、熱、UV、ガンマ照射、又は電子ビーム感応重合を採用して、必要に応じて、重合触媒か重合開始剤を提供して重合体を組成する。重合のための特定の方法は重要ではなく、使用される重合技術は本発明の一部を形成するものではない。生物学的適合性の溶剤の溶解度を維持するために、ここで説明した重合体は架橋結合していないことが好ましい。
【0057】
他の特に好ましい実施形態の増強溶液では、生物学的適合性の重合体組成を、生物学的適合性のプレポリマーを含んでいる生物学的適合性のプレポリマー組成に取替える。この実施形態では、組成は、生物学的適合性のプレポリマーと、オプションとしての生物学的適合性の水に不溶解性の造影剤であって約10μm以下の平均粒子サイズを有するものと、オプションとしての、生物学的適合性の溶剤とから構成される。
【0058】
用語“生物学的適合性のプレポリマー”は、その場で重合して重合体を形成する材料であって、使用される量において、無毒で、化学的に不活性で患者の体内で使用されたときに実質的に非免疫原性であり、生理学的な液体に実質的に不溶解性であるものを称する。そのような組成は、反応性の化学物として体内に導入されて、その後で体内に生物学的適合性の重合体を形成する。適当な生物学的適合性のプレポリマーには、例示としては、シアノアクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート、シリコンプレポリマー、などを含む。プレポリマーは、モノマーでも反応性のオリゴマーでもよい。生物学的適合性のプレポリマーは好ましくは、その場で使用されるときに非炎症性である。
【0059】
プレポリマー組成物は、十分な量のオプションの造影剤を溶液(例えば、液体のプレポリマー)に加えることによって準備できて、完全な重合体組成のための有効な濃度を成し遂げる。プレポリマー組成は好ましくは、約10から約40重量パーセントの造影剤から構成され、より好ましくは約20から約40重量パーセントで、さらにより好ましくは約30重量パーセントである。造影剤が生物学的適合性のプレポリマー組成に可溶でないときには、撹拌を行なって、結果としての懸濁液を均質にする。懸濁液の形成を高めるために、造影剤の粒子サイズは好ましくは約10μm以下に維持されて、より好ましくは約1から約5μm(例えば平均サイズが約2μm)である。
【0060】
プレポリマーが液体であるとき(ポリウレタンの場合など)、生物学的適合性の溶剤を使用することは絶対に必要なわけではないが、増強溶液の適正な粘性を準備するのに好ましい。使用されるときには好ましくは、生物学的適合性の溶剤は、プレポリマー組成の全重量に対してプレポリマー組成の約10から約50重量パーセントを構成する。生物学的適合性の溶剤が使用されるとき、プレポリマーの組成は代表的に、組成の全重量に対してプレポリマーの約90から約50重量パーセントを構成する。
【0061】
特に好ましい実施形態では、プレポリマーはシアノアクリレートであって、これは生物学的適合性の溶剤が存在しないときに好んで使用される。使用されるときに、シアノアクリレート接着剤は、20℃にて約5から約20センチポアズの粘性を有するように選択される。
【0062】
成分を加えるために特別な順序は重要でなくて、結果としての懸濁液に組成物が均質になるのに必要なだけ撹拌を行なう。好ましくは、組成の混合/撹拌は、無水の大気の下で大気圧で行なわれる。結果としての組成は、殺菌されて、その後で好ましくは密封された褐色瓶か小びんにて必要とされるまで保管される。
【0063】
本発明の装置及び方法にて使用するのに好適である増強溶液の特定の実施形態が、米国特許第5,667,767号(1997年9月15日出願)、第5,580,568号(1996年12月3日出願)、及び第5,695,480号(1997年12月9日出願)、及び、国際公開番号WO97/45131号(国際公開日は1997年12月4日)に開示されており、これらのすべての内容をここで参照して引用する。
【0064】
本発明の方法によって処置装置21を操作及び使用するに際しては、注射器91を手順に先だって増強溶液で充填しておく。注射器91は、カバー部分114を開いてバレル92がハウジング112内に配置できるようにして、ガン111に装填する。リング138を掴んでロッド136をハウジング112に対して後方へ引張って、パドル137が格納されたプランジャ94の後ろに配置されるようにする。カバー部分114を閉じて、ラッチ117によってベース部分113に固定する。その後で、医師は必要なだけトリガー141を引いて、パドル137をプランジャ94の後部に係合させる。
【0065】
本発明の方法により、針61とスリーブ62とをプローブ22の作業チャンネル51に配置しておいてから供給組立体27を針組立体26に取付けられるけれども、これに代えて、そのように針組立体をプローブ22内に配置するのに先だって、供給組立体26を針組立体に取付けることもできる。いずれにしても、マニホールド98の第1のルーアー取付け部分104を注射器91のルーアー取付け部分93に結合させて、マニホールドの第2のルーアー取付け部分106を流体コネクタ81の第1のルーアー取付け部分83に結合することで取付は成し遂げられる。結合具173は下方へとピボットされて、第1及び第2のアーム176がグリップ82に係合して、ネジ179を締付けてグリップ82をアーム176間の溝178に固定する。指ネジ172を後側支柱186に対して反時計まわり方向に回転させて、針61がスリーブ62内に完全に格納されるようにする。その後で、食塩水注射器97は管110によってマニホールド98の第3のルーアー取付け部分107までつながれて、DMSO注射器96は管109によってマニホールドの第4のルーアー取付け部分108までつながれる。
【0066】
プローブ22は、光ケーブル46を光源47に接続して、適当な接眼レンズ41をハンドル33に付けることによって準備される。さらに、すべての他の在来のアタッチメントをプローブ22に取付ける。
【0067】
患者を安静にするか麻酔をかけた後で、標準の手順に従って、オプションのバルーン組立体211を口192から食道186へ導入する(図示せず)。下側及び上側のバルーン212及び213を食道に配置するひとつの方法では、下側バルーン212は挿入管31の遠位端部31bに取外し可能に取付けられて、上側バルーン213は下側バルーンより基端側にて挿入管31のまわりに環状に取付けられる。医師はプローブハンドル33を掴んでプローブ22の遠位端部31bを口192へ導入して、挿入管31を食道186の下方へと進める。光学視認装置23は、医師によるそのような挿入管31の前進を容易にする。さらに、光学視認装置23は、医師が下側バルーン212を食道186内にて適切に配置することを確実にすることを可能にする。挿入管31は、遠位端部31bが下部食道括約筋187の近くにあるとき、基端端部31aが身体184の外側にあるような長さを有している。
【0068】
バルーン組立体211はその後で膨張管216によって膨張させられる。上側バルーン213は下部食道括約筋187より上に、食道における実質的に流体密の封鎖をつくり、下側バルーン212は下部食道括約筋187の下で、食道の実質的に流体密の封鎖をつくる。膨張管216はオプションとして、下側バルーン212を胃食道の接合部に対して保持するために使用することができる。結合管217の長手方向のサイズは、上側及び下側のバルーン213及び213が約4から15センチメートルの範囲の距離だけ間隔を隔てるようにされている。バルーン組立体211は、上側及び下側のバルーン213及び212によって仕切られた隔離されたないし密封された空間211を創り出すように働いて、下部食道括約筋187の実質的に中心に合わせられる。挿入管31の追加的な通路56は、密封された空間221内の流体や他の物質を取除くために使用できる。空気で充填されたならば、そのような空気の空間221は増強溶液が壁193に注入される前に沈澱することを抑止する。
【0069】
いま、針組立体26の遠位端部分61b及び62bが、挿入管31の側部ポート52を通して挿入されて進められて、針61とスリーブ62とのそのような遠位端部分が挿入管の遠位端部31bの近くにまで至る。針61とスリーブ62とはそれぞれ移動可能であって、遠位端部部分61a及び62bがそれぞれ挿入管31内に格納されて作業チャンネル51内に後退した第1の位置から、遠位端部部分61a及び62bが挿入管31の端部から遠位へ伸びるような第2の位置へ動く。針及びスリーブのそれぞれは十分な長さを有していて、ガン111を保持している医師は、針とスリーブとの双方を遠位端部31bから遠位へとかなりの距離に伸ばすことができるようにするべきである。
【0070】
図7及び図8には、下部食道括約筋187の近くで壁193を増強するための手順の一部分が示されている。光学視認装置23の案内のもとで、挿入管の遠位端部31bを操作して、増強すべき壁193の部分の上に位置決めする。医師は、調節機構166によって針61に対してスリーブ62を引っ込ませて、針の遠位端部部分61bをスリーブの遠位端部部分62bを越えて少なくとも2ミリメートルの選択された量だけ伸びるようにするが、この長さは2から15ミリメートルが好ましい。そのような拡張の量は容易に決定できて、例えばそのような拡張を指ネジ172の回転の作用と相関させて、これによって、指ネジ172の位置を後側支柱168に対して適切に調節する。スリーブ62に対して針61を引っ込めることは、作業チャンネル51内にて、又は、針61及びスリーブ62が挿入管の遠位端部31bから伸ばされた後で生じる。医師は、注射器97からの食塩水又は他の水性ないし生理的な溶液で針61を下塗りして、針の通路63が食塩水で充填されたことを、食塩水が針の遠位端部分61bの1又は複数の開口71から排出されているのを光学視認装置23で見ることによって確実にする。簡単のために、適当な液体を針の通路63に向けるための、活栓101−103の在来の動作は、手順と関連させて説明はしない。
【0071】
医師は、針61とスリーブ62とを側部ポート52により近づけるように動かして、針61の鋭利な端部67を壁193に貫通させる。光学視認装置23の視野により、医師は壁193の貫通を観察できる。針61とスリーブ62とはいかなる角度においても壁193を貫通することができるけれども、壁に対しての貫通角度は90゜未満が好ましく、より好ましくは40゜未満であって、針の遠位端部部分61bが壁193の粘膜層の下に延在して、さらに深部の筋肉層201及び202やそれを越えたりすることのないようにする(図7参照)。食塩水は壁193に注射されて食道粘膜196又は胃粘膜197を環状筋201から分離させて、内部空間227が食塩水で充填されているような拡大部226を壁193に創り出す。空間227を創り出すのに必要とされる食塩水の量は、0.25から10ccであって、好ましくは1から3ccである。
【0072】
拡大部226を創り出した後に、医師は、針61を空間227から引っ込めて、注射器97のプランジャを引戻すか又は他の適当な方法によって、残っている食塩水を通路63から回収する。次に医師は、針の通路63を注射器96からのDMSOで洗浄して、食塩水が通路63から除去されたことを確実にする。DMSOの洗浄は、わずかな量のDMSOが針の遠位端部部分61bから排出されていることを確認することによって決定される。この洗浄段階は、DMSOを食塩水の活栓103の下流で増強溶液の活栓101の上流に導入することによって高められる。ここで、DMSOは、注射器96のプランジャを引張るか又は他の適当な手段によって、通路63から除去される。食塩水を通路63から除去して、通路をDMSOで洗浄することによって、増強溶液内のDMSOから増強溶液内の生物学的適合性の重合体の注射器91内で早期に沈澱するのを抑制する。針の通路63は次に、注射器91に保持されている増強溶液で下塗りされて、そのような溶液が針の遠位端部部分61bの開口71で利用できるようにする。
【0073】
医師は、挿入管の遠位端部31bを食道に配置して、針の遠位端部部分61bが拡大部226を貫通して食塩水で満たされた空間227に達するようにする。その後で、医師はトリガー141を引いて、所望の予め選択された量の増強溶液をプローブ22と上側213を延通する針61を通して空間227に導入する。針の遠位端部61bでの開口71は増強溶液が空間227の中央に好ましく導入されるように位置決めされている。増強溶液内の造影剤のために、X線透視検査によって増強溶液を視認できる。さらに、増強溶液の壁193内への導入は超音波によって腹部又は食道で監視できる。増強溶液の空間227への注入速度は、0.1cc/分から10cc/分である。
【0074】
いったん増強溶液が壁193に導入されたならば、生物学的適合性の重合体の増強溶液は沈澱して1又は複数の1又は複数の個別の沈澱物ないし固体インプラント228を形成する(図7及び図9参照)。壁193に注入される増強溶液の量ないしボーラスは、それぞれのインプラントについて0.05ccから10ccの範囲である。増強溶液の空間227内の食塩水に対する割合は2:1から1:8までの範囲で、好ましくは増強溶液約1に対して食塩水が約2から3である。1の実施形態では、食塩水によって創り出された空間227が沈澱物ないしインプラント228の形状を予め形成する。図7から分かるように、そこに示されている個別のインプラント228は空間227のすべてよりも少ない空間を占めている。他の実施形態(図示せず)では、食塩水より多くの増強溶液が壁193に導入されて、個別のインプラント228は食塩水で創り出された空間をより充填する。
【0075】
増強溶液を注射するのに先だって、食塩水のような適当な水溶性の又は生理学的溶液を壁193に注射することで、細長くなくて球根状の形状の空間227を創り出すことが見い出された。食塩水の充填された空間227に増強溶液を注射することは、迅速な沈澱析出を容易にして、生物学的適合性の重合体の凝固を高める。この迅速な凝固はインプラント228の所望の形づくりを容易にし、これは図7においてはいくぶん球形で細長い形状になっている。食塩水が比較的軟らかくてスポンジ状のインプラント228の生成を容易にすることも見い出された。増強溶液の注射と生物学的適合性の重合体の凝固とが完成した後で、空間227内の残りの溶液は身体184内に分散して、空間227はインプラント228のまわりに収縮する(図8参照)。
【0076】
増強溶液の注射の前に、壁193に食塩水を注射しておくことは、壁193の組織を慣れさせてないしは準備させておくのに役立って、これは壁193が増強溶液を受入れるのを助けて、従って生物学的適合性の重合体の移植を容易にする。これに関して、食塩水は、インプラント228への拒絶反応を最小にして、身体のインプラントに対する治癒反応に寄与することによって、増強溶液の身体への受容を高める。食塩水はまた、身体のDMSOに対する刺激ないし炎症反応を消炎することを高める。本発明は、身体の組織への溶液のあらゆる導入をカバーするのに十分に広くて、処置のために組織の調子を整えたり準備したりして、それから組織の処置を行なうことを認識すべきである。コンディショニング溶液として食塩水を記述したけれども、あらゆる適当な生理学的又は水性の溶液をも使用できる。
【0077】
空間227内の食塩水はまた、増強溶液からのDMSOの迅速な分散を容易にし、従ってDMSOのいかなる局所的な刺激作用をも希釈する。食塩水は、さらに溶剤の溶解熱のための吸熱器として作用する。
【0078】
本発明の方法により壁193にはただひとつだけのインプラントが形成されて、図9に示す如く下部食道括約筋187の近くに、より明確には胃の分門の近くの壁193に単一のインプラント228が示されているけれども、本発明の1の好ましい実施形態では追加的な複数のインプラント228が作られる。そのための準備においては、針61を拡大部226から取除いて、通路63内の増強溶液をプランジャ94を引戻して回収する。針61は、針の通路63を注射器96からのDMSOで満たすことによって、DMSOで洗浄されて、その後で通路63からDMSOを回収する。引続いて針の通路63を注射器97からの食塩水で上塗りした後で、上述した手順を繰返して、そのような追加的なインプラント228を作る。
【0079】
壁193に形成されるインプラント228の数及び形状は変化させることができる。本発明の1の実施形態では、複数の円周上に間隔を隔てたインプラント229が下部食道括約筋187の下側の落屑性の円柱接合部の下の壁193に作られる(図7及び図10参照)。インプラント229はそれぞれいくぶん枕状の形状であって、食道186の中心線に沿って延びた長手軸線に垂直に延在する実質的に平面に配置されて、胃188に入る。4つのインプラント229が花冠状に配置されて図10に示されている。インプラント229は花冠の中心のまわりに約90゜の間隔を隔てている。しかしながら、4未満の又は4を越えるインプラント229を提供して壁193に形成することもできて、円周上の概略等しい角度間隔ないし中心軸のまわりに対称的に配置することができることも認識すべきである。インプラントの平面は下部食道括約筋187に対して上にも下にも及び/又はその場にも配置できる。他の実施形態では、インプラントは単一の平面に配置されること無く形成されることができる。
【0080】
インプラントのサイズ、間隔、及び形態は、本発明の方法によって食道186が部分的に接合されるか完全に接合されるかによって決定される。図10のインプラント229は、食道186が部分的にだけ接合されるようにサイズが決められて、円周に間隔を隔てている。図11には他の実施形態を示していて、複数の3つの円周に間隔を隔てたインプラント232が完全に食道186を接合している。食道186を完全に接合するためには、3未満又は3を越えるインプラントを代わりに提供できる。
【0081】
本発明の方法の他の実施形態では、複数のインプラントを第1の平面とは間隔を隔てた追加的な平面に配置して作成することができる。図12においては、第2の複数のインプラント233が示されていて、下部食道括約筋187及びインプラント229の平面の上側の壁193に作られている。図12には、複数の4つのインプラント223が、それぞれインプラント229と実質的に同様なサイズ及び形状にて示されている。インプラント233は円周に間隔を隔てて約90゜間隔で、下側の平面のインプラント229とは約45゜オフセットしている。インプラント233は、インプラント229に対して長手方向に整列させてもよいし、又はその他の形態にしてもよいことを認識すべきである。さらに、4未満又は4を越えるインプラント223を提供することができ、インプラント223の数はインプラント229の数よりも多くても等しくても少なくてもよい。本発明の1の実施形態では、インプラントは多数の平面を形成し、ないしは約2センチメートルの長手方向範囲に配置される。そのような列をなすインプラントは、落屑性の円柱の接合部198に長手方向に中心を合わせることができる。他の実施形態では、単一のインプラントを提供して、下部食道括約筋の近くの食道186を増強するか又は部分的に若しくは完全に接合する。
【0082】
本発明の方法の更なる実施形態においては、1又は複数のインプラントを壁193の部分であって、粘膜層196及び197以外の箇所に形成して、下部食道括約筋187の近くの壁193をかさばらせる。例えば、図13に示すように、1又は複数のインプラント236を筋肉層201及び202の一方又は双方に形成することができる。図13に示した例示的なインプラント236は環状筋層201に形成されている。1又は複数のインプラント236は、下部食道括約筋187の近くにて食道を増強するか又は部分的若しくは完全に接合するように働く。そのようなインプラント236はまた、層201及び202の筋肉の伸展性を減らすのに役立って、下部食道括約筋187を堅くするか堅固にするか又はコンプライアンスを増加させて、下部食道括約筋を修正して逆流障壁を再構築することができる。さらに、筋肉層における線維症を含むインプラント236のまわりの自然治癒過程は、下部食道括約筋187にて、さらに筋肉の開口を限定することができる。インプラント236は様々な形態に配置することができ、上述したように様々な形態のインプラントが含まれる。
【0083】
本発明の方法及び装置によって作られるインプラントは壁193にかさを加えて、胃と食道との間に障壁を形成して、層201及び202の筋肉の伸展性を減らして、下部食道括約筋187の近くの壁193の抵抗力を増加させる。軟らかい枕状のインプラントは互いにおだやかに相互作用して、食品が食道の下へ運ばれるようにする。食道が休息しているときには、インプラントは互いに十分に接近していて、胃の中の材料が逆行して流れるのを阻止する。
【0084】
このインプラントは、壁193において粘膜層196又は197と筋肉層202及び203との間に、又は、筋肉層202及び203の中に有利に形成されて、そのような粘膜層の血流と栄養物を阻害しないようにする。インプラントを壁193の余りに表面に形成すると、粘膜への血流を中断させて、それにより空間227を形成する粘膜層が、結局は壊死して脱皮する。溶液としての増強材料の注射により比較的小さい針61を使用することができる。
【0085】
本発明の方法について、増強溶液を壁193に注射するのに先だって壁193に食塩水を注射して空間227を形成することを含むものとして説明したけれども、空間227は他の水性の又は生理学的な溶液によっても又局所麻酔薬によっても形成できることを認識すべきである。代わりに、食塩水又は他の注射によって予め空間227を形成することなしに、増強溶液を壁193に注射してもよい。増強溶液はまた、ここで説明した二次的な目的のための食塩水又は他の溶液の注射をすることなしに、壁193に直接注射してもよい。食塩水又は他の水性又は生理学的な溶液は、オプションとしてそのような増強溶液によって形成された空間に導入することもでき、それは増強溶液を壁193に導入した後のことで、増強溶液中に存在するDMSO又は他の生物学的適合性の溶剤の分散を容易にする。従って、本発明は、処置を容易にすべく処置後の組織へあらゆるコンディショニング溶液を組織へ導入することをカバーするのに十分に広いことが分かる。複数のインプラントを壁193内に形成する代替的な方法においては、複数の空間227を注射器97からの食塩水によって形成することができる。それに続いて、注射器91からの増強溶液をそのような空間のそれぞれに続けて注射する。
【0086】
食塩水又は他の溶液を壁193に予め又は事後に導入することに加えて、又はその代替として、下側及び上側のバルーン212及び213によって形成された密封空間221を食塩水又は水などのそのような水性の溶液で充填して、本発明の方法を容易にすることもできる。隔離された空間221内の食塩水はDMSOを分散させるのに役立って、1又は複数のインプラント228を養生する。
【0087】
本発明のインプラントは他の材料、例えば放射性同位元素、化学療法剤、抗炎症薬、及び/又は抗生物質などのための配達媒介体としても使用できることを認識すべきである。さらに、処置装置21は他の材料を導入するのにも使用することができ、例えば懸濁剤及び造影剤などを体内に、そしてより明確に壁193のような体内の壁に導入する。
【0088】
インプラント内の造影剤によって、上述の手順が完了した後でインプラントを監視することができる。従って、インプラントとその形態との安定性は長期間にわたって観察することができる。更なる手順を実行して、以前に形成されたインプラントを補足することができる。
【0089】
本発明のインプラントは、本発明の手順を逆にすれば取除くことができる。インプラントを除去するためのひとつの方法では、上述したのと同様な手順にて、針の遠位端部部分61bをプローブ22によってインプラントに挿入する。DMSO又は他のあらゆる適当な生物学的適合性の溶剤を開口71から注射して、インプラントを溶解し又は部分的に溶解して、その後で、改質された増強溶液を針の通路63によって取除く。代わりに、拡大部226を形成する粘膜層を切開して、その中のインプラントを壁193から解放する。インプラントの除去を容易にするために、オプションとしてインプラントにDMSOをスプレーしてもよい。本発明の処置はまた、逆に行なうこともできて、インプラントによって創り出された増強ないし接合された領域を適当なやり方、例えばバルーン又はブジーの使用によって拡張させる。
【0090】
本発明の針組立体の他の実施形態では、針61には複数の内腔ないし通路が長手方向に貫通して設けられていて、複数の流体を別々に針で運ぶことができる。さらに他の実施形態では、プローブ22のようなあらゆる適当なプローブの作業チャンネルを通して複数の針を導入できる。そのような針のそれぞれは本発明の1又は複数の段階を実行するために使用できる。例えば、食塩水又は他の生物学的又は水性の溶液の導入のためと、DMSO又は他の生物学的適合性の溶剤の導入のためと、増強溶液の導入のためとに、別々の針を提供する。図14には、複数の針を有する針組立体241の一部分を示している。
【0091】
より詳細には、針組立体241は第1と第2の針242及び243を有していて、これらのそれぞれは実質的に図4に示した針61と実質的に同様である。針61と第1及び第2の針242及び243とを説明するために対応する要素には同様の符号を使用している。第1及び第2の針242及び243のそれぞれは、基端端部部分(図示せず)と、鋭利な遠位端部部分246であって遠位開口247を備えた部分とを有している。他の実施形態(図示せず)では、上述したあらゆる変形された針を針組立体にて利用することができる。
【0092】
針組立体241はさらに、スリーブ部材ないしスリーブ248を含み、これは実質的にスリーブ62と同様である。スリーブ248は、基端端部部分(図示せず)と遠位端部分248bとを有する。円筒形のスリーブ248には、長手方向に内部を貫通する複数の内腔が備えられ、すなわち、第1及び第2の間隔を隔てている内腔251及び252である。第1及び第2の針242及び243はそれぞれ、第1及び第2の内腔251及び252内に配置されてその中で摺動可能に動くようになっている。
【0093】
スリーブ248とそれに支持されている第1及び第2の針242及び243とは、プローブ22の作業チャンネル51内に摺動可能に配置されていて、第1及び第2の針242及び243とスリーブ248との基端端部部分はプローブ部分の側部ポート52にてアクセス可能になっている。第1及び第2の針242及び243の基端端部部分は、あらゆる適当な手段によって互いに固定されて、第1及び第2の針が互いに長手方向に相対的に固定されていて、従ってスリーブ248内を同時に摺動する。図示の実施形態では、第2の針243の遠位端部は、第1の針242の遠位端部から長手方向に間隔を隔てていて、より明確には、第1の針の遠位端部から基端方向へ1乃至3ミリメートルの範囲の距離を有している。他の実施形態では、第1及び第2の針242及び243の遠位端部は、面と向かって配置されていて、長手方向には間隔を隔ててはいない。そのような実施形態では、針は互いに間隔を接近させることができ、単一の鋭利な針であって2つの内腔を有するものと類似している。代わりに、第1及び第2の針242及び243は、スリーブ248によって互いに相対的に長手方向に固定される。そのような他の実施形態では、針242及び243はスリーブ248に対して固定されている。
【0094】
第1及び第2の針242と243との基端端部部分は、処置装置21の供給組立体27に結合される。1の実施形態では、第1の針242は食塩水を有している注射器97に結合され、第2の針243は増強溶液を有している注射器91に結合される。
【0095】
動作と使用については、針組立体241は、針組立体26に関連して上述したのと実質的に同じやり方で処置装置21において利用される。スリーブ248と針242及び243とを作業チャンネル51に挿入して、挿入管の遠位端部31bを食道186に進めて下部食道括約筋187の近くに至った後で、スリーブ248を第1及び第2の針242及び243に対して引っ込ませて、針を作業チャンネル51から延出させる。針を壁193に向けて進めて、遠位側に配置されている第1の針242の鋭利な遠位端部部分246を壁193に貫通させる。その後で、注射器197からの食塩水が壁193に注射されて、空間ないしポケット227を創り出す。さらに第1及び第2の針242及び243を進めることで、第2の針243が食塩水ポケット227によって形成された拡大部226を貫通する。その後で、医師は、第2の針243を通して増強溶液をポケット227に注射して、上述したタイプのインプラントを作る。第1及び第2の針242及び243は、代わりに同時的に壁193に導入してもよくて、それも本発明の範囲に含まれることを認識すべきである。
【0096】
他の手順であって、食塩水を導入するのに先だって増強溶液を導入するのが望ましいものでは、増強溶液のリザーバ91は第1の針242に結合され、食塩水97のリザーバ97は第2の針243に結合される。そのような手順においては、第1の針242が最初に壁193に導入されて、そこにインプラントを形成する。第2の針243の鋭利な遠位端部246は、その後で壁に導入されて、上述した目的のために、適当な量の食塩水をインプラントの近くに注射する。更なる実施形態(図示せず)においては、第1及び第2の針242及び243の遠位端部は長手方向に間隔を隔ててはいなくて、針242と243とが同時に壁193に導入される。
【0097】
針組立体241に第1及び第2の針242及び243を包含することは、手順の複雑さを減らす。増強溶液と食塩水とはもはや同じ針を通して導入されることがないので、単一の針だけを利用して食塩水と増強溶液とを注射していたときに必要であったDMSOの下塗り段階は省略することができる。
【0098】
図15には、複数の針を有している、処置装置21と共に使用する更なる針組立体を示している。そこに示されている針組立体261は針組立体26と実質的に同様であって、針組立体26と261とで対応する要素には同一の参照符号を使用している。針組立体261には、第1及び第2の針262及び263と第1及び第2のスリーブ266及び267が含まれている。針262と263とのそれぞれは実質的に図3に示して上述した針61と同一であって、スリーブ266と267とのそれぞれは上述したスリーブ62と実質的に類似している。第1及び第2の針262及び263は、第1及び第2のスリーブ266及び267に提供されている長手方向に延在する内腔に対して摺動可能に配置されている。このように、第1及び第2の針262及び263は、それぞれの第1及び第2のスリーブ266及び267に対して摺動可能である。他の実施形態の針組立体261では、第1及び第2の針262及び263はそれぞれの第1及び第2のスリーブ266及び267に対して固定してもよい。
【0099】
第1及び第2のスリーブ266及び267はそれぞれ、作業チャンネル61内に配置されて、互いに相対的に及び挿入管31に対して摺動可能に動く。第1及び第2の針262及び263の基端端部部分と、第1及び第2のスリーブ266及び267の基端端部部分とはそれぞれ、側部ポート52にてアクセス可能であって、プローブ22に対して針とスリーブとをコントロールできる。供給組立体27は、第1及び第2の針262及び263のそれぞれの基端端部部分に結合される。こうして、第1の針262は増強溶液のリザーバ91に結合されて、第2の針263は食塩水のリザーバ97に結合される。
【0100】
操作と使用に際しては、針組立体261は、針組立体26及び241に関して上述したのと実質的に同じやり方で利用できる。そのようなひとつの手順においては、第1の針262は壁193に増強溶液を導入するために使用される。第2の針263は壁193に食塩水を導入するために使用される。第1及び第2の針262と263とは互いに相対的にまた挿入管に対して可動であって、増強溶液と食塩水とをあらゆる所望の順序で壁193に注射することができる。
【0101】
図16乃至図17には、プローブ22と針組立体26、241、及び261と共に使用するための他の供給組立体を示している。そこに示した供給組立体276は複数の注射器と活栓とを保持するためのレセプタクルないしマニホールド277を含む。マニホールド277は、プラスチックのようなあらゆる好適な材料から作られている本体278から形成される。本体278は略矩形の形状であって、複数の3つの円筒形の凹部281−283が形成されている第1の側部を有する。各凹部は注射器のバレルを受入れるためのサイズと形状とを有する。より詳細には、第1の注射器286のバレルは、増強溶液のようなあらゆる適当な液体を収容していて、第1の凹部281に配置される。第2の注射器287のバレルは、DMSOのようなあらゆる適当な非水性の液体を収容していて、第2の凹部282に配置される。第3の注射器288のバレルは、水性の又は生理学的な溶液のようなあらゆる適当な液体を収容していて、第3の凹部283に配置される。各凹部のために本体278には溝291が提供される。各溝291はそれぞれの凹部を横切るように延在していて、それぞれの注射器のプランジャ端部に形成されたフランジを受入れるようなサイズと形状にされている。溝291は注射器を本体278内に長手方向にロックするように働く。
【0102】
本体278はさらに、複数の活栓296−298を受入れるためのチャンネル292を含む。そのようなスリーウェイの活栓のそれぞれは、活栓をそれぞれの注射器286−288に固定するための、ルーアー取付け部分301のような適当な取付け具を含む。ルーアー取付け具302のような追加的な取付け具が、第2ないしDMSOの活栓297を第1ないし増強溶液の活栓296と第2ないし食塩水の活栓298とに結合するように働く。
【0103】
第4のスリーウェイ活栓306は、ルーアー取付け具307のようなあらゆる適当な手段によって第1の活栓296に固定される。第4ないしベント注射器308は、ルーアー取付け具311のようなあらゆる適当な手段によって第4のないしベント活栓306に固定される。ベント活栓306は、ルーアー取付け部分312のような追加的な取付け具を含み、供給組立体276を処置装置21の針組立体に結合させる。針組立体26に対して、ルーアー取付け部分312は、流体コネクタ81の第1又は第2のルーアー取付け部分83及び84のいずれかに固定できる。第3の活栓298は追加的なルーアー取付け部分313を含み、これは供給組立体276の動作中には密閉される。図17には、ルーアー取付け部分313を密閉されていない状態で示している。
【0104】
動作と使用については、供給組立体276は上述したあらゆる手順に使用できる。ひとつの例示的な手順において、供給組立体276は針組立体26の流体コネクタ82に結合される。第2の注射器287は約10立方センチメートルのDMSOで満たされていて、第3の注射器288は約10立方センチメートルの食塩水で満たされている。第1の注射器286は約5立方センチメートルの増強溶液で満たされている。注射器286−288と活栓296−298及び306とは組立てられてマニホールド277に配置される。ベント注射器308は第4の活栓に接続される。図17に示すように、食塩水の注射器288は針組立体26から最も遠くの凹部383に配置され、DMSOの注射器287は食塩水の注射器288に隣接する第2ないし中央の凹部282に配置され、増強のシリンダ286は針組立体26の最も近くである第1の凹部281に配置される。
【0105】
プローブ22は身体184の食道186に上述したやり方で配置される。供給組立体276が針組立体26の流体コネクタ21にルーアー取付け部分312によって取付けられた後で、医師は、針61が完全に展開していてスリーブ62に対して格納されていることを容易に確認する。その後で医師は、針61とスリーブ62とをプローブ22の作業チャンネル51に通して、これを光学視認装置23によって針組立体26の遠位先端部を見ながら行なう。上述したやり方で、医師は下部食道括約筋187の近くの適当な位置の粘膜を穿孔して、針の遠位端部部分61bを粘膜下の空間203に通す。医師は、第3の注射器288からの十分な量の食塩水を壁193にゆっくりと注射して、十分な粘膜下の空間ないしポケット227を創り出す。針の遠位端部部分61bを壁193から取去った後で、針61の通路63内に残っている食塩水を、食塩水の注射器288によって除去する。引っ込まされた針の遠位端部部分62bは、それを壁193から取除く間、光学視認装置23の視野内に保持される。
【0106】
いまや、針組立体26は増強溶液を壁193に導入する準備ができた。ここで、食塩水の活栓298を閉じて、DMSOの活栓297を開いて、針61が注射器287からのDMSOで下塗りできるようにする。1の好ましい手順においては、針の遠位端部部分61bの開口71から約0.3立方センチメートルのDMSOが食道186内に自由に吹出すのが見えるまで、針61にDMSOを供給する。それから、DMSOは針61から回収されて、針61の基端端部部分61における約3センチメートルのカラムだけ残される。そのようなDMSOのカラムは流体コネクタ81内のDMSOの量と合わせて約0.2立方センチメートルである。DMSOの活栓297を閉じて、活栓296を開いて、約1立方センチメートルの増強溶液によって針61がゆっくりと上塗りされるようにする。そのような上塗り段階中に、針組立体26内に保持されたDMSOのカラムは針61の遠位端部部分61bに向かって移動して、約6センチメートルのDMSOの先導カラムを提供する。針組立体26の残りは増強溶液の濃厚なカラムで充填される。
【0107】
1の手順では、上述したタイプのインプラントであって約1立方センチメートルの体積を有するものを作るために、以下の追加的な段階が実行される。医師は、増強溶液の活栓296を閉じて、その後でDMSOの活栓を再び開く。針の遠位端部部分61bは再び注射されて粘膜を通して食塩水のポケット227に入る。好ましい手順において、針61はポケット227を作るのに使用された穿孔部位に再び差込まれる。医師は、DMSOの注射器287のプランジャをゆっくりと押込んで、約1立方センチメートルのDMSOを針組立体に届けて、針の遠位端部部分61b内のDMSOの先導カラムとそのようなDMSOカラムの上流側の増強溶液を、ポケット227に届ける。その後で、針の遠位端部部分61bは壁193から取外されて、針組立体26へのDMSOの供給は継続されて、約0.3立方センチメートルのDMSOが開口71から食道186内に自由に噴霧される。そのような噴霧は光学視認装置23を通して見ることができる。医師は、DMSOの活栓297を閉じて、ベント活栓306を開いて、針組立体26内のDMSOをベント注射器308内に回収する。
【0108】
抜取ったDMSOはオプションとして、その中に増強溶液が存在しないかテストするために、適当な水性の溶液中に注入してもよい。抜取ったDMSO内のわずかの増強溶液も水性の溶液内にて沈澱する。針組立体26に増強溶液が残っていないことをさらに確かめるために、医師は、オプションとしてDMSOの活栓297を開いて、十分な量のDMSOを針組立体26内に注入して、約0.3立方センチメートルのDMSOの噴霧が自由に針の遠位端部部分61bから食道186内に流れるようにしてもよい。
【0109】
次の体内移植に備えて、医師は針組立体26をテストして、針61が容易に展開及び格納されることを確認する。医師は次に、十分な量のDMSOを針組立体に供給して、約0.3立方センチメートルが針の開口71から食道186内に自由に噴霧させる。それから、DMSOの活栓297を閉じて、食塩水の活栓を開く。食塩水は、約1立方センチメートルが針の開口71から食道に流れて噴霧されるのが見られるまで、針組立体26に届けられる。その後で、光学視認装置23の対物レンズ37をすすいで、プローブ22の遠位端部から在来のやり方で分配された食塩水又は他の水性の溶液で粘膜表面を洗浄する。
【0110】
注射器286−288は、それらが次の注射のために十分に満たされているかどうかチェックして確認する。もしも再充填することが必要であるのならば、ルーアー取付け部分313を使用して食塩水を注射器288に再充填することができる。同様にして、ベント注射器308を取外して、ルーアー取付け部分311を代りに使用して、増強溶液の注射器286とDMSOの注射器287とを再充填する。ルーアー取付け部分313と311とにより、供給組立体276を分解すること無く、これらの再充填段階を行なうことができる。ルーアー取付け部分313と311はまた、供給組立体276と針組立体26とからすべての空気気泡を取除くのにも使用することができる。挿入管31の遠位端部31bは、再び食道186内に向けられて、上述したやり方で粘膜を穿孔することによって次の移植を開始する。
【0111】
他の手順であって、約1立方センチメートルよりも大きなインプラントを創り出すものにおいては、食塩水のポケットは上述したのと同じやり方で再度穿孔される。その後で、注射器286からの増強溶液を針組立体26に供給して、針61内の6センチメートルの先導カラムのDMSOと下流の増強溶液をポケット227に注射する。医師は、増強溶液の活栓296を閉じて、DMSOの活栓297を開いて、約1立方センチメートルのDMSOのカラムを用いて、針61内の釣り合う増強溶液をポケット内に押込んでインプラントの形成を完了する。医師はその後で、約1立方センチメートルのインプラントの作成に関して上述したのと同じやり方で、この体内移植手順を続行する。
【0112】
上述した増強溶液は、胃食道の逆流疾患の処置以外の他の胃腸の手順にも使用することができて、本発明の範囲内に含まれる。例えば、ここでの溶液はフィステルの近くの管状壁を増強してフィステルのステント又は他の処置を助けるのに使用することができる。上述したあらゆるインプラントの形成を利用することができる。壁の増強は食道におけるステントの支持を容易にして、フィステルの隔離を高める。さらに溶液は、身体の他の筋肉にかさをつくるのに使用できて、例えば肛門括約筋の近くの筋肉で、肛門括約筋の無力症を処置する。溶液はまた、静脈と動脈のような胃腸管を形成している壁の血管を処置するための用途も有する。これについては、溶液は、下部食道の静脈に注射して食道静脈瘤を処置したり、潰瘍の近くの静脈に注射して例えば胃潰瘍を処置したりできる。同様に、溶液はじ疾の処置のためにも使用できる。ひとつの例示的な手順においては、そのような血管の血管部分の付近にて非生分解性の固体を形成して、少なくともひとつの非水性の溶液から血管の閉塞を創り出して、従って閉塞の遠位の血管への血流を終止させる。これにより、インプラントを越えて静脈瘤が出血することは抑えられて、ついには静脈瘤は萎縮して消滅する。
【0113】
処置装置21以外の配達装置を使用して本発明の方法を実行できる。さらに、生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤とを利用するときの本発明の方法及び装置について説明したけれども、プレポリマーを含むような他の溶液が利用されるときには方法及び装置を必要に応じて改変することができる。不図示の他の実施形態では、本発明の方法はオプションであるバルーン組立体211なしに実行される。ここで述べた注射器や他のリザーバは図示の如く手動で操作するか、又は自動化することができる。例えば在来の単一速度や複数速度のプログラマブル又は他の注射器ポンプを利用して自動化できる。食塩水や類似した溶液が利用されない手順では、食塩水の注射器と関連する食塩水の流体流れハードウェアは、処置装置に備える必要がない。さらに、本発明の方法は上述の食道を通る又は食道内の方法に限定されない。ここでの増強方法は、開腹術、開胸術、腹腔鏡検査法、又は胸腔鏡検査法のような外科手順によっても実行できる。
【0114】
図18には、本発明の方法に従って、人体の胃腸管の上部部分に壁を形成する処置に使用されるキット321が模式的に示されている。キット321はボール紙やプラスチックのようなあらゆる適当な材料で作られているパッケージ322を含んでいて、その内容物を運搬できる。図18に示している例示的なパッケージ322は、箱形であって、底部壁323と4つの側壁324と上部壁326とから形成されている。図18では、上部壁326の一部分を破断していて、壁323、324、及び326で形成されている内部空間327を露出させている。容器ないしパッケージ322の内容物は内部空間327に配置されている。
【0115】
針組立体26は内部空間321内にてパッケージ322によって支持されている。上述したように、針組立体26は針61とスリーブ62と流体コネクタ81とを含む。キャップ328は、スリーブ62の遠位端部部分62bに着脱可能に取付けられていて、格納及びセットアップ中に針の遠位端部部分61bによって不用意に刺されることのないようにユーザを保護する。図18には、例示的な流体コネクタ81のルーアー取付け部分83及び84が示されている。キット321はさらに、注射器91の形態であるリザーバと、なにかの適当なインプラント形成材料の容器ないし小びん331とを含んでいる。1の好ましい実施形態では、インプラント形成材料は非水溶性の又は増強溶液であって、上述したものである。小びん331は針穿孔式のキャップ332を有し、注射器91のルーアー取付け部分93には以下に説明する針368のような標準の皮下注射針(図示せず)が取付けられていて、注射器91に充填するためにキャップ332を穿孔することによって、キャップ332に着脱可能に結合する。上述したように、注射器91のルーアー取付け部分93もまた、針組立体26の流体コネクタ81に着脱可能に結合できる。注射器91から複数の個別の予め選択された量の非水溶性の溶液を供給するためのガン111のような配達機構が、オプションとしてキット321には含まれる。注射器91はガン111内に取付けられた状態で図18に示される。キット321の追加的なオプションの構成要素には、注射器96のような第2のリザーバと、小びん333の形態のDMSOのような生物学的適合性の溶剤の容器とが含まれる。小びん333は針穿孔できるキャップ334を含み、注射器96にはルーアー取付け部分336に標準の皮下注射針(図示せず)を取付け可能であって、小びん333を充填するためにキャップを穿孔することによって着脱可能に結合できる。キット321はさらにオプションとして、活栓101−103のような図18には示していない複数の活栓を含み、上述したやり方で流体の流れを選択的に針組立体26に導くのに適当であるマニホールド組立体98を形成する。第3のリザーバないし注射器(図示せず)及び/又は食塩水のような水性の溶液の小びん(図示せず)もまた、オプションとしてキット321に含まれる。
【0116】
キット321は、上述したあらゆる手順に、また、上部消化管の壁193を処置するためのあらゆる他の手順に使用することができる。キット321の針組立体26は好ましくは、上述のプローブ22のような細長いプローブ部材と共に使用される。これについて、針組立体26はプローブ22を通して、より明確には、プローブの挿入管31の作業チャンネルを通して、胃腸管に導入されるような直径サイズにされている。注射器91は、例えば注射器91のルーアー取付け部分93を在来の小びん330のキャップ332を穿孔する皮下注射針に結合するなどのなんらかの適当な手段によって、小びん331からの非水溶性の溶液で充填される。充填されたときには、注射器91は流体コネクタ81に上述したやり方で取付けられる。プローブ22は食道186に導入されて、挿入管31の遠位端部31bが処置領域の近くに至る。その後で、針組立体22の遠位端部部分61a及び61bは挿入管31を通して進められて、そのような針61とスリーブ62との遠位端部部分が挿入管の遠位端部31bの近くに至る。
【0117】
ガン111又は他の適当な配達機構をオプションとして手順に利用することができる。ガン111が使用されるときには、注射器91は上述したやり方でガンに取付けられる。さらに、オプションの注射器96を使用して、手順中には適当な生物学的適合性の溶剤例えばDMSOを針組立体26を通して供給する。注射器96は、そのルーアー取付け部分336を在来の小びん333のキャップ334を穿孔する皮下注射針に、着脱可能に結合することによって充填される。その後で、注射器96は上述したやり方で流体コネクタ81に結合される。さらに、オプションの食塩水の注射器97は、手順中に上述したやり方で流体コネクタ81に結合できる。
【0118】
胃食道の逆流疾患を処置するための手順についてより詳しく上述したように、注射器91からの非水溶性の溶液を下部食道括約筋187の近くの壁193に導入して、かさを与えるか別の具合に壁193を処置する。そのような上述の例示的な手順のひとつでは、非水溶性の溶液が壁193の筋肉層201及び202の一方又は双方に導入されて、一方又は双方の筋肉層201及び202内に1又は複数の非生分解性のインプラント例えばインプラント236を形成する。そのようなインプラントは、落屑性の円柱の接合部198の上側及び/又は下側に形成され、他のインプラントに加えて又は単独で食道粘膜196にて粘膜下の空間203に形成される。そのような手順について上述したやり方で、DMSOのような生物学的適合性の溶剤及び/又は食塩水のような水性の溶液をオプションとして利用する。
【0119】
図19には、胃の噴門の筋肉層201及び202のそれぞれに複数のインプラントが形成されるような例示的な手順でのインプラントを示している。そのような手順では、針の遠位端部部分61bが上述したやり方で、壁193の一方又は双方の筋肉層201及び202に導入される。その後で、注射器91内の非水性の溶液が針組立体26を通して壁193にパルス状のやり方で、ガン111又は他の手動若しくは自動化された注射器又は装置によって、届けられて、複数の小さな間隔を隔てたインプラント337を環状筋層201及び/又は縦走筋層202内に創り出す。各パルスの非水溶性の溶液の体積は、0.25から5.0立方センチメートルの範囲であって、より好ましくは約0.5から2.0立方センチメートルである。ひとつの好ましい非水溶性の溶液の注射速度は約0.50から2.0立方センチメートル/分である。非水溶性の溶液を壁193にパルス状に導入することで、溶液は針の遠位端部部分61の開口から拡散移動して、複数の湖状の組合わせられたインプラント337を形成する。
【0120】
インプラント337は筋肉繊維の間に散在して、例示的なサイズは0.05から0.2立方センチメートルの範囲であって、より好ましくは0.075から0.125立方センチメートルである。複数のインプラント337と、図19に示す如く、複数の3つのインプラント337aとは壁193の厚さを横切るようにして間隔を隔てている。同様に、複数のインプラント337と、図19に示す如く、複数の2つのインプラント337bは筋肉層201及び202の一方又は双方の厚さを横切るようにして間隔を隔てている。インプラント337は、筋肉層201及び202のまわりに完全に間隔を隔てているか、又は、筋肉層201及び202のまわりにインプラント337の円周上に間隔を隔てている組338のグループになるか、又は、層201及び202のまわりに非対称に間隔を隔てる。図19に示す結果においては、インプラント337の4つの組338が示されていて、各組338は隣接する組338から約90゜の間隔を隔てている。そのような複数の密接に間隔を隔てたインプラント337は、壁193の伸展性を減らす働きをして、それにより下部食道括約筋187を修正して逆流障壁を再建する。堅くなった括約筋は、弛緩して胃188の内部の食品及び/又は他の材料を逆流させにくくなる。そのような密接に間隔を隔てたインプラント337は、非水溶性の溶液をパルス式に導入する以外にも、例えば非水溶性の溶液を連続的に注射することでも形成することができて、これも本発明の範囲内に含まれる。
【0121】
図20には、他の例示的なインプラントのサイズ及び形態であって、胃腸管で使用するためのものを示していて、これは図19と同様に胃の噴門の横断面図を示しており、そのような他のインプラントを示すために区分して描写している。図20におけるひとつの部分に示すように、1又は複数のインプラント341はそれぞれインプラント337よりも小さいサイズを有して壁193に形成されていて、壁の伸展性を減少させる。そのような1又は複数のインプラント341は筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。複数のインプラント341は一方又は双方の筋肉層201及び202の厚さを横切るように間隔を隔てている。1又は複数のインプラント342であって、それぞれがインプラント337よりは大きいサイズを有するが、図7乃至図9に示したインプラント228よりは小さいようなものもまた、筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。図20に示す壁193における他の区分された部分は、複数の2つのインプラント342が層201と202とに形成されているのを示している。図20の胃の噴門の別の区分された部分に示されているように、1又は複数のインプラント343であって、丸形ではないものも壁343の筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。複数の2つの細長い薄いインプラント343がひとつのインプラント342と組合わされて図20に示されている。それぞれの細長いインプラント343は、上述した非水溶性の溶液のような適当な材料を単一パルス式に又は連続的に注射して形成することができ、又は、壁193に形成された2つのより小さいインプラントを合併させることで形成できる。複数のインプラント343は筋肉層201及び202の一方又は双方に形成できる。複数の単独タイプのインプラント337、341、342、又は343、または、1又は複数のインプラント337及び341−343の組合わせは、食道186のまわりに対称的に配置されても非対称に配置されてもよい。インプラントは筋肉層201及び202の一方又は双方にそうして形成されて、食道186を形成する表面を変形されたりさせなかったりして、従って、食道を部分的又は完全に接合したりしなかったりする。
【0122】
キット321は気管−食道のフィステルを処置するために使用できる。そのような手順において、非水溶性の溶液は針61によってフィステルの近くの壁193に導入されて、壁を増強し、従ってフィステルを隔離するために食道に配置されるステントの保持を容易にする。キット321はまた、上部消化管内の他の手順、例えば上述した静脈や動脈などの血管を処置する手順や胃潰瘍を処置するための手順にも使用できる。針組立体26の針61とスリーブ62とは所望の手順のために適切なサイズにされる。特に、針61とスリーブ62とのそれぞれは、少なくとも十分な長さを有していて、基端端部部分61aと62aとが体外にあるときに遠位端部部分61bと62bとを処置現場の近くに配置できなければならない。プローブ22は同様なやり方で適切なサイズにされる。
【0123】
本発明の他の胃腸管を処置する方法においては、直腸の壁を処置するために、身体の肛門の近くの下部胃腸管を形成する壁に材料が導入される。図21乃至図23に示すように、胃腸管は直腸346を含み、肛門347にて身体184の外界に開いている。直腸346を形成する壁348の内側層は粘膜層351である。筋肉の層が直腸346のまわりに延在して、直腸壁348の一部分を形成している。そのような筋肉層は、粘膜層351の下側に延在している環状筋層352と、筋肉層352の下に延在している縦走筋層353とから構成される。身体184はさらに、肛門括約筋356を含み、これは内肛門括約筋357と外肛門括約筋358とを有する。内肛門括約筋357は、肛門347にて環状筋層352の終点を形成する。外肛門括約筋358は、深外括約筋361と浅外括約筋362と皮下外括約筋363とから構成される。本願の目的においては、直腸壁348と従って身体184の胃腸管の壁には、内肛門括約筋357と外肛門括約筋358とを含む。
【0124】
本発明による大便失禁を処置するための方法においては、増強か、かさをつけるか、その他の肛門括約筋356の伸展性を減少させるようなあらゆる適当な手段によって、肛門括約筋356の近くにて直腸壁348に溶液を導入する。溶液を直腸壁348に導入するためのひとつの好ましい装置は、在来の注射器366であって溶液で充填されたバレル367を有するものである。在来の細長い針368が注射器366に結合されて、バレル367から直腸壁348に溶液を届ける。管状の針368は在来のタイプであって、その遠位端部には単一の開口を備えている。代わりに、針368は上述した針のいずれかに類似したものでもよい。
【0125】
あらゆる適当な材料ないし溶液が、これには上述したあらゆる材料又は溶液を限定せずに含むが、増強や伸展性の修正又はその他の肛門347近くの直腸壁348の処置に利用できる。本発明の好ましい方法では、少なくともひとつの非水溶性の溶液が直腸壁348に導入されて、直腸壁に非生分解性の固体ないしインプラントを形成する。特に好ましい方法では、少なくともひとつの溶液は生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤との溶液である。いったんそのような溶液が直腸壁348に導入されたならば、生物学的適合性の重合体は溶液から沈澱して、インプラントを形成して、生物学的適合性の溶剤は身体184内に分散する。
【0126】
直腸壁348にはいかなる数及び形態のインプラント371を形成してもよい。1の好ましい方法においては、複数の円周上に間隔を隔てたインプラント371が直腸壁348に形成される(図21乃至図22参照)。個々のインプラント371は、粘膜層351、環状筋層352、及び/又は、縦走筋層353に形成できる。さらに、インプラント371は肛門括約筋356に形成できて、図21乃至図22に示すように、インプラント371は内肛門括約筋357に配置されている。インプラント371は外肛門括約筋358のあらゆるないしすべての部分に形成することができ、すなわち、深外括約筋361、浅外括約筋362、及び/又は、皮下外括約筋363に形成できることを認識すべきである。図21には、例示的なインプラント372をそれぞれ深外括約筋361と浅外括約筋362と皮下外括約筋363とについて破線で示している。
【0127】
複数のインプラント371が肛門347の近くにて直腸壁348に形成されるとき、そのようなインプラントは実質的に平面上に配置してもよいし、図21乃至図22に示す如く、複数の平面上ないしは平面から外れて配置してもよい。インプラント371は肛門347のまわりに対称的に又は非対称的に配置できる。インプラント337及び341−343のいずれかに類似したインプラントを、壁348のあらゆる位置に形成することができて、これには内肛門括約筋357又は外肛門括約筋358も含まれる。そのようなインプラントは、注射器366からの溶液のパルス式の又は連続的な注射又は他のあらゆる適当な手動又は自動化手段によって形成できる。直腸壁348に注射されるそのようなあらゆる溶液の量は0.05から10立方センチメートルの範囲であって、溶液の注射速度は0.1から10立方センチメートル/分の範囲である。
【0128】
肛門347の近くの直腸壁348にかさをつけるには他の装置も利用できる。例えば、図23に示すように、配達機構ないしガン376であって予め選択された量の溶液を直腸壁348に提供するようなってものを利用できる。ガン376は実質的にガン111と類似しており、ガン111と376とで対応する要素には同様な参照符号を付している。ガン376は、ガン111の調節機構166を含んでいない。注射器366はガン376と共に利用することができ、活栓377を注射器366と針368との間に配置していて、DMSOのような生物学的適合性の溶剤、及び/又は、食塩水のような水性の溶液を選択して針368に通して直腸壁348に導入することができる。これについて、それぞれ注射器96と97とのようなリザーバを利用できる。
【0129】
下部胃腸管の他の処置においては、1又は複数のインプラントを胃腸壁の血管のような導管に形成することができる。例えば、血管の部分の付近にて血管内に非生分解性の固体を形成して、少なくともひとつの非水溶性の溶液から血管の閉塞を創り出して、従って閉塞の遠位の血管への血流を終止させる。より詳細には、インプラントはじ疾の近くの血管に形成されて、インプラントを越えるような血流を終端させて、従ってインプラントを越えてのじ疾の出血が止まる。そのような血流の停止は、じ疾に萎縮をもたらして消滅させる。
【0130】
本発明のインプラントは他の材料、例えば放射性同位元素、化学療法剤、抗炎症薬、及び/又は抗生物質などのための配達媒介体としても使用できることを認識すべきである。オプションとしてのインプラント内の造影剤によって、上述の手順が完了した後でインプラントを監視することができる。従って、インプラントとその形態との安定性は長期間にわたって観察することができる。更なる手順を実行して、以前に形成されたインプラントを補足することができる。
【0131】
前述の説明から分かるように、壁193や直腸壁348を含む胃腸管の壁に形成されたインプラントは、様々なサイズであって様々な形態に形成できる。インプラントは上述したいずれかの材料のような、あらゆる適当な材料から形成できる。胃腸管の壁に導入するのに他の好適な材料には、Walkerらが、"Injectable Bioglass as a Potential Substitute for Injectable Polytetrafluorethylene Particles", J.Urol., 148:645-7, 1992、に記述しているような注射可能なバイオガラスや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のような小粒子核をグリセリンに入れたPolytef(R)、ばらばらの重合体とシリコーンゴムとの生地から構成される生物学的適合性の組成物であって例えばBergの米国特許第5,007,940号、第5,158,573号、及び第5,116,387号に開示されたもの、炭素被膜されたビーズから構成される生物学的適合性の組成物であってLawinの米国特許第5,451,406号に開示されているもの、コラーゲンと他の生分解性の材料であってWallaceの米国特許第4,803,075号に開示されたタイプのもの、及び他の公知の注射可能な材料が含まれる。そのようなインプラントを形成するために利用されるあらゆる材料ないし溶液は、様々な手動的又は自動的な、及びパルス式の又は連続的なやり方で注射できる。壁のあらゆる層に1又は複数のインプラントを形成することができ、それには壁のあらゆる筋肉層や壁内の他の血管のためのあらゆる静脈が含まれる。前述の説明を限定すること無しに、本発明のあらゆるインプラント例えばインプラント337及び341−343は、胃腸管又は身体の他の部分における、あらゆる括約筋状の筋肉ないしメカニズムに形成することができることを認識すべきである。
【0132】
前述の説明から、胃腸管を処置するための、最小限の侵襲性の処置、装置、及びキットが提供されることが分かるだろう。胃腸管を形成している壁に材料が注射されて、壁内に1又は複数のインプラントを形成して、壁を増強ないしはかさばらせる。材料は非生分解性の物質でもよい。材料は少なくともひとつの溶液として注射されて、その後で固体を形成する。1の実施形態においては、少なくともひとつの溶液は、それから非生分解性の固体が沈澱するような溶液を含む。より特定の実施形態においては、溶液は生物学的適合性の重合体と生物学的適合性の溶剤とを含む。水性又は生理学的な溶液をオプションとして壁に導入して、壁の調子を整えることができる。装置及びキットは、胃食道の逆流疾患を処置するために、下部食道括約筋の近くにおいて、食道及び/又は胃を形成している壁に1又は複数のインプラントを形成するために使用できる。装置及びキットはまた、気管−食道フィステルを処置するために、1又は複数のインプラントを壁に形成して、食道内でのステントの支持と食道壁とステントとの間のシールの形成とを容易にするために使用できる。装置及びキットはまた、材料を血管に注射して実質的に血管を閉塞することによって、静脈瘤、じ疾、及び胃潰瘍のような食道壁の血管を処置するためにも使用できる。装置及びキットはさらに、大便失禁を処置するために肛門括約筋の近くの壁に1又は複数のインプラントを形成するために、及び/又は、肛門括約筋を増強するために肛門括約筋に非生分解性の材料の1又は複数のインプラントを形成するために使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然身体開口を有する身体内にキャビティを形成する壁を処置するためのものであり、前記キャビティにアクセスするためのの装置であって、
基端部及び遠位端部と、前記基端部から前記遠位端部まで延在している通路と有するフレキシブルな細長い部材と、
このフレキシブルな細長い部材の遠位端部を身体の自然の開口部に導入するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部に結合されたハンドルと、を有し、
前記フレキシブルな細長い部材は、その遠位端部が前記壁の近くにあるときにその基端部が身体の外部にあるような長さを有し、
更に、前記通路に配置され、壁を貫通すべく前記通路内に位置する格納位置から通路の外に位置する拡張位置まで移動するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能な針を有し、
この針は、少なくとも1つの開口を有する遠位端部分と、前記開口まで針を貫いて延在する通路と、を備え、
更に、供給組立体を有し、この供給組立体は、非生分解性固体を身体内に形成することができる少なくとも1つの非水溶性溶液の少なくとも1つのリザーバを含み、このリザーバは、非水溶性溶液を前記針の通路及び少なくとも1つの開口を通して壁の中に導入するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部に結合され、それにより、壁を処理するために非水溶性溶液から非生分解性固体を壁内に形成する、装置。
【請求項2】
前記針の遠位端部部分は、前記通路を形成する円筒形壁を有し、該円筒形壁は、この円筒形壁を貫いて前記通路に延び、円周方向に間隔を隔てた複数の開口を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの溶液は、生物学的適合性重合体の溶液及び生物学的適合性溶剤であり、前記供給組立体は、生物学的適合性重合体の溶液及び生物学的適合性溶剤のリザーバを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記供給組立体は、生物学的適合性重合体の溶液、生物学的適合性溶剤及び造影剤のリザーバを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記造影剤は、水不溶解性造影剤である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記造影剤は、水溶解性造影剤である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記供給組立体は、複数の別々に予備選択された量の生物学的適合性重合体の溶液及び生物学的適合性溶剤を、壁内への導入のために、それぞれのリザーバから前記針に供給するための送出機構を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記リザーバは、注射器であり、この注射器は、バレルと、このバレルから溶液を出すためのプランジャーと、を有し、前記創出機構は、前記バレルと前記プランジャーとの間の増分相対移動を引き起こすように前記ブランジャーに連結された指操作可能な手段を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記供給組立体は、身体内での生物学的適合性重合体の移植を容易にするために、水溶性溶液のリザーバを更に含む、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記針は、前記フレキシブルな細長い部材の通路内に摺動自在に配置され、前記フレキシブルな細長い部材の基端端部からアクセス可能な基端端部分を有し、前記供給組立体は、前記針の基端端部分に結合される、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの溶液は、非水溶性溶液であり、前記供給組立体は、水溶性溶液の追加のリザーバと、前記フレキシブルな細長い部材内に摺動自在に配置された追加の針を含み、この追加の針は、壁を貫通すべく前記フレキシブルな細長い部材内に位置する格納位置から前記フレキシブルな細長い部材の外部に位置する拡張位置まで移動するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記追加の針は、前記第1の針に対して長手方向に固定され、前記第1の針の遠位端部分から長手方向に間隔を隔てた遠位端部分を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記追加の針は、前記第1の針に対して長手方向に移動できる、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記針は、前記フレキシブルな細長い部材の通路内に摺動自在に配置され、前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能な基端部分と、前記針の上に摺動自在に配置され且つ前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能な基端部分を有するスリーブと、前記針の遠位端部分が前記スリーブを越えて延びる量を選択するために、前記針と前記スリーブとの間の長手方向相対移動を生じさせるように前記針の基端部分と前記スリーブの基端部分とに連結された指操作可能な調整機構と、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
食道括約筋の中を通って胃まで延びる食道と、食道及び胃を形成する壁とを有する人体内の胃食道逆流疾患を処置する際に使用するためのものであり、食道内に導入するためのバルーン組立体を有し、このバルーン組立体は、下部食道括約筋よりも下の食道を密封すべく下部食道括約筋よりも下に配置するための第1バルーンと、下部食道括約筋よりも上の食道を密封すべく下部食道括約筋よりも上に配置するための第2バルーンとを有し、それにより、これらの第1及び第2バルーンは、下部食道括約筋の周りに密封空間を形成し、前記針は、この密封空間から下部食道括約筋の近くの壁の中に延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1バルーンは、前記可撓性細長部材を受け入れるための、前記第1バルーンを貫通する開口を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
哺乳類の体内の胃腸管の上部分を形成する壁を処置する際に使用するためのキットであって、
パッケージと、
このパッケージ内に支持され、基端部及び遠位端部を備えた細長い管状部材を含む針と、
前記細長い管状部材内に摺動自在に配置され、前記細長い管状部材の遠位端部内に隠れる格納位置から前記細長い管状部材の遠位に突出する拡張位置まで移動可能な管状針と、
前記細長い管状部材の基端部によって支持され、前記管状針に結合した流体コネクターと、
前記パッケージ内に支持された流体コネクターに取外し可能に結合可能な注射器と、
前記パッケージ内に支持された注射器に取外し可能に結合可能な非水溶性溶液の容器と、を有し、
非水溶性溶液が身体の壁の中に導入されると、非水溶性溶液から非生分解性溶液を形成可能であり、それにより、非水溶性溶液は、前記容器から前記注射器の中に装填され、前記針組立体によって、前記注射器から壁に送り込まれて、壁内にインプラントを形成する、キット。
【請求項18】
前記細長管状部材は、前記遠位端が下部食道筋に近接するとき、近位端は人体の外にある、口から下部食道筋を経て胃まで延びる食道を備えた胃腸管に使用するための、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記細長管状部材は、可撓性プラスチック製である、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
前記針組立体は、前記細長管状部材を通して胃腸管の中に挿入するような直径方向の大きさである、請求項17に記載のキット。
【請求項21】
前記非水容性の溶液は、生体適合性のポリマーと生体適合性の溶媒との溶液である、請求項17に記載のキット。
【請求項22】
さらに、追加の注射器と、前記パッケージ内で運ばれる生体適合性溶媒の容器とを有する、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
さらに、前記壁の中に挿入するために、個別に事前に選択された複数の量の前記非水溶性の溶液を前記注射器から前記針組立体へ供給するための送出機構を有する、請求項17に記載のキット。
【請求項1】
自然身体開口を有する身体内にキャビティを形成する壁を処置するためのものであり、前記キャビティにアクセスするためのの装置であって、
基端部及び遠位端部と、前記基端部から前記遠位端部まで延在している通路と有するフレキシブルな細長い部材と、
このフレキシブルな細長い部材の遠位端部を身体の自然の開口部に導入するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部に結合されたハンドルと、を有し、
前記フレキシブルな細長い部材は、その遠位端部が前記壁の近くにあるときにその基端部が身体の外部にあるような長さを有し、
更に、前記通路に配置され、壁を貫通すべく前記通路内に位置する格納位置から通路の外に位置する拡張位置まで移動するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能な針を有し、
この針は、少なくとも1つの開口を有する遠位端部分と、前記開口まで針を貫いて延在する通路と、を備え、
更に、供給組立体を有し、この供給組立体は、非生分解性固体を身体内に形成することができる少なくとも1つの非水溶性溶液の少なくとも1つのリザーバを含み、このリザーバは、非水溶性溶液を前記針の通路及び少なくとも1つの開口を通して壁の中に導入するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部に結合され、それにより、壁を処理するために非水溶性溶液から非生分解性固体を壁内に形成する、装置。
【請求項2】
前記針の遠位端部部分は、前記通路を形成する円筒形壁を有し、該円筒形壁は、この円筒形壁を貫いて前記通路に延び、円周方向に間隔を隔てた複数の開口を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの溶液は、生物学的適合性重合体の溶液及び生物学的適合性溶剤であり、前記供給組立体は、生物学的適合性重合体の溶液及び生物学的適合性溶剤のリザーバを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記供給組立体は、生物学的適合性重合体の溶液、生物学的適合性溶剤及び造影剤のリザーバを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記造影剤は、水不溶解性造影剤である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記造影剤は、水溶解性造影剤である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記供給組立体は、複数の別々に予備選択された量の生物学的適合性重合体の溶液及び生物学的適合性溶剤を、壁内への導入のために、それぞれのリザーバから前記針に供給するための送出機構を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記リザーバは、注射器であり、この注射器は、バレルと、このバレルから溶液を出すためのプランジャーと、を有し、前記創出機構は、前記バレルと前記プランジャーとの間の増分相対移動を引き起こすように前記ブランジャーに連結された指操作可能な手段を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記供給組立体は、身体内での生物学的適合性重合体の移植を容易にするために、水溶性溶液のリザーバを更に含む、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記針は、前記フレキシブルな細長い部材の通路内に摺動自在に配置され、前記フレキシブルな細長い部材の基端端部からアクセス可能な基端端部分を有し、前記供給組立体は、前記針の基端端部分に結合される、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの溶液は、非水溶性溶液であり、前記供給組立体は、水溶性溶液の追加のリザーバと、前記フレキシブルな細長い部材内に摺動自在に配置された追加の針を含み、この追加の針は、壁を貫通すべく前記フレキシブルな細長い部材内に位置する格納位置から前記フレキシブルな細長い部材の外部に位置する拡張位置まで移動するために、前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記追加の針は、前記第1の針に対して長手方向に固定され、前記第1の針の遠位端部分から長手方向に間隔を隔てた遠位端部分を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記追加の針は、前記第1の針に対して長手方向に移動できる、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記針は、前記フレキシブルな細長い部材の通路内に摺動自在に配置され、前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能な基端部分と、前記針の上に摺動自在に配置され且つ前記フレキシブルな細長い部材の基端部からアクセス可能な基端部分を有するスリーブと、前記針の遠位端部分が前記スリーブを越えて延びる量を選択するために、前記針と前記スリーブとの間の長手方向相対移動を生じさせるように前記針の基端部分と前記スリーブの基端部分とに連結された指操作可能な調整機構と、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
食道括約筋の中を通って胃まで延びる食道と、食道及び胃を形成する壁とを有する人体内の胃食道逆流疾患を処置する際に使用するためのものであり、食道内に導入するためのバルーン組立体を有し、このバルーン組立体は、下部食道括約筋よりも下の食道を密封すべく下部食道括約筋よりも下に配置するための第1バルーンと、下部食道括約筋よりも上の食道を密封すべく下部食道括約筋よりも上に配置するための第2バルーンとを有し、それにより、これらの第1及び第2バルーンは、下部食道括約筋の周りに密封空間を形成し、前記針は、この密封空間から下部食道括約筋の近くの壁の中に延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1バルーンは、前記可撓性細長部材を受け入れるための、前記第1バルーンを貫通する開口を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
哺乳類の体内の胃腸管の上部分を形成する壁を処置する際に使用するためのキットであって、
パッケージと、
このパッケージ内に支持され、基端部及び遠位端部を備えた細長い管状部材を含む針と、
前記細長い管状部材内に摺動自在に配置され、前記細長い管状部材の遠位端部内に隠れる格納位置から前記細長い管状部材の遠位に突出する拡張位置まで移動可能な管状針と、
前記細長い管状部材の基端部によって支持され、前記管状針に結合した流体コネクターと、
前記パッケージ内に支持された流体コネクターに取外し可能に結合可能な注射器と、
前記パッケージ内に支持された注射器に取外し可能に結合可能な非水溶性溶液の容器と、を有し、
非水溶性溶液が身体の壁の中に導入されると、非水溶性溶液から非生分解性溶液を形成可能であり、それにより、非水溶性溶液は、前記容器から前記注射器の中に装填され、前記針組立体によって、前記注射器から壁に送り込まれて、壁内にインプラントを形成する、キット。
【請求項18】
前記細長管状部材は、前記遠位端が下部食道筋に近接するとき、近位端は人体の外にある、口から下部食道筋を経て胃まで延びる食道を備えた胃腸管に使用するための、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記細長管状部材は、可撓性プラスチック製である、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
前記針組立体は、前記細長管状部材を通して胃腸管の中に挿入するような直径方向の大きさである、請求項17に記載のキット。
【請求項21】
前記非水容性の溶液は、生体適合性のポリマーと生体適合性の溶媒との溶液である、請求項17に記載のキット。
【請求項22】
さらに、追加の注射器と、前記パッケージ内で運ばれる生体適合性溶媒の容器とを有する、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
さらに、前記壁の中に挿入するために、個別に事前に選択された複数の量の前記非水溶性の溶液を前記注射器から前記針組立体へ供給するための送出機構を有する、請求項17に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−254874(P2009−254874A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183841(P2009−183841)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【分割の表示】特願2000−586397(P2000−586397)の分割
【原出願日】平成11年12月10日(1999.12.10)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【分割の表示】特願2000−586397(P2000−586397)の分割
【原出願日】平成11年12月10日(1999.12.10)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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