説明

胃貯留系

本発明は、膨張性コーティング、より具体的には、フィルム形成ポリマーおよび膨張性成分を含有する膨張性コーティングでコーティングされた錠剤またはカプセルの形態における新規胃貯留系を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、膨張性コーティング、より具体的にはフィルム形成ポリマーおよび膨張性成分を含有する膨張性コーティングでコーティングされた錠剤またはカプセルの形態における新規胃貯留系に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
胃貯留系は異なる方法により製造する。胃環境にて膨潤し、維持できる系は、満腹感を与え、食欲を制御し、それゆえ肥満の制御に使用することができる。
【0003】
これらの系における膨大な仕事量を有する別の主題は、薬物送達の制御である。制御は、空間的、時間的またはその両方であることができる。制御された薬物送達系は、有効成分の治療的に有効な血中濃度を確立するために体に薬物を送達し、これらの血中濃度が達成されると、薬物を遅い速度で体内に送達することにより長期間一定の血中濃度を維持し続ける。従来の投与形態に付随する血中濃度におけるピークと谷を避けることにより、制御された薬物送達系は、悪影響または副作用の発生率を低下させる。非常に重要に制御された薬物送達系は、投与頻度を軽減し、投与および具体化された投与レジメへの整合性の点で患者に便宜をもたらす。
【0004】
胃腸液のpH、組成物および撹拌強度は、胃腸管における薬物送達の具体的な場所(すなわち胃から結腸まで)、摂食状態に対する絶食状態、摂取された食料の種類および量に伴って変化し、個体から個体へのこれらの因子の変化によっても変化するため、経口制御薬物送達系が薬物を胃腸液に送達する速度が、薬物を試験水溶液に放出する速度と同じではないことがあることは、一般に知られている。さらに薬物は、我々が胃から結腸まで動く方法および傾向と同様に吸収されないことがある。いくつかの薬物は、「吸収窓」を有し、すなわちそれらが胃腸管の上部からのみ吸収されるが、結腸からの吸収が均一でないか、または完了しないものがある。従って制御された薬物送達系の胃腸管における位置、ならびに制御された薬物送達系が胃から結腸まで移動する速度は、経口制御薬物送達系の設計に必要であると考えられる重要な因子を表す。従って経口制御送達が、薬物送達時間にわたって薬物を放出する速度における制御(時間的制御)だけでなく、送達される位置における制御(空間的制御)をも設計すべきであることは当業者に知られている。空間的制御は、胃における系の貯留期間を延長することにより達成することができる。胃貯留系はまた、薬物が胃に局所的に有効であるときにも有益である。胃腸管の上部にて吸収される薬物は、胃内容排出および胃腸運動における個体間および個体内のばらつきにより、吸収におけるばらつきを示すことができる。この吸収におけるばらつきは、胃貯留薬物送達系により一部対処され、薬物の一部が即時放出として取得されて一部が持続放出または制御放出として取得されるように、薬物を含有する投与形態を投与することによりさらに対処することができる。
【0005】
空間制御の達成に用いられているアプローチの一つは、サイズが大きく、ならびに胃液上に浮遊することができる系を形成するためのガス生成剤との混合物にて高膨潤性ポリマーを含む組成物を用いることにより持続性または制御性薬物送達系の胃貯留の増大を含む。系内にて生成し、捕捉されたガスが密度を減少させるので、膨潤性ポリマーを含む系が胃液上にすぐに浮遊することは現在、当業者によく認識されている。大きなサイズへの膨潤は、系の胃貯留における重要な因子である。5〜7mm未満のサイズを有する固体は、摂食条件下、遅れた胃内容排出を示すが、そのサイズが幽門括約筋より小さいので胃からさらに排出することができる。5〜7mm未満のサイズの浮遊系でさえ、患者が背臥位である場合、排出することができる。平均休息幽門直径は、約13+7mmであり、膨張した状態にて約12〜18mm直径のサイズを有する投与形態が、一般に幽門括約筋を通じて排除されることは報告されている。この系はまた、胃運動性により作られる撹拌条件下、長期間胃液中にてこのサイズを維持することもできる。そのように大きな無傷系は、空腹時のフェーズの始めにおいて空腹時の移動運動複合体の到着まで排出することができない。サイズおよび浮遊における増大の組合せは、系の増大した胃貯留を生じる。当分野の現在の状態をもたらす先行技術を以下に記載する。
【0006】
(A) 膨潤性胃貯留浮遊マトリックス薬物送達系:
本明細書において用語「膨潤性胃貯留浮遊マトリックス薬物送達系」は、ポリマーコーティングでコーティングしないか、またはポリマー膜もしくは袋の中に置かないで、膨潤し、浮遊することができる、混合物またはマトリックス中に薬物および賦形剤を含有する系を意味する。このタイプの系の発展を例示する代表的な先行文献を以下に示す。
【0007】
帝人社に譲渡された米国特許番号4,777,033('033特許、優先日1985年6月11日)は、セルロースの低級アルキルエーテル、ポリアクリル酸またはその医薬的に許容される塩、薬物、および有効量の沸騰性発泡剤を含有する経口徐放性医薬製剤を開示する。しかし、その組成物から製造される錠剤には未だ、溶解試験を行ったときに錠剤が無傷のままではなかったという主要な欠点がある。従って崩壊性錠剤は、胃における長期間の貯留に適したサイズを達成または維持していない。この先行文献は、系の浮遊達成のために十分に長い時間、密度を十分に軽減して低密度を維持するために、炭酸水素ナトリウムなどの大量のガス生成剤を用いる場合、同成分から形成される錠剤は崩壊するという問題を示した。
【0008】
バイエルAGに譲渡された米国特許番号5,651,985('985特許、優先日1994年2月28日)は、100〜1200mgのKOH/gの酸性数のポリマー固体を有する分子レベルのポリビニルピロリドンおよびメタクリル酸ポリマーにおける均一混合物に分散した薬理的活性化合物を含有し、適宜ガス形成添加剤を含有していてもよい、薬理的活性組成物を特許請求する。ガス形成添加剤の使用により、系の密度はガス生成において減少し、系は水性媒体中にて浮遊することができる。該錠剤は水性媒体中にて崩壊せず、膨潤状態において著しい膨潤性および高次元安定性を示した。この次元安定性は、系内にて用いられる浸食されないマトリックスに起因した。しかし、系は、'033特許と比べて相対的に低品質なガス生成剤を用い、系の次元安定性は高品質のガス生成添加剤を用いたときに維持することができることは知られていない。
【0009】
テンプル大学に譲渡された米国特許番号5,783,212('212特許、優先日1996年2月2日)は、第一膨潤性浸食性ポリマーを含有する第一障壁層、第二膨潤性浸食性ポリマーを含有する薬物層、および第三膨潤性浸食性ポリマーを含有する第二障壁層を含有する、制御放出性医薬錠剤(ここに、第一および第二障壁層は、薬物層よりも早く膨潤し、浸食されるために適合され、第一および第三層のより早い膨潤力および浸食力は、溶解の開始から薬物送達を増大するために適合される)を特許請求する。該特許はまた、系が浮遊するのを補助し、胃中の錠剤の貯留時間を増大する、少なくとも一つの該層がガス発生物質を含む系に及ぶ。該特許は、多層錠剤が圧縮により得られ、ガス発生層が比較的大量のガス生成剤を含む例を含む。すべての錠剤は約15分以内に浮遊することが分かった。例はポリマーとして酸化ポリエチレン(PEO)を用いた。PEOは用いた大量のガス生成剤により生成した大量のガスを維持することができるが、該特許はそのようなポリマーを一つしか例示していない。
【0010】
Ranbaxy研究所に譲渡された米国特許番号6,261,601('601特許、優先日1997年9月17日)は、組成物にて超崩壊剤を用いた。超崩壊剤は、その容積まで数回膨潤することが知られており、その膨潤性は、'033特許に用いられるもののような従来のヒドロゲル形成膨潤性ポリマーよりも優れている。該特許に特許請求されている医薬組成物は薬物、ガス生成成分、膨潤剤、粘弾性剤(viscolyzing agent)を含有し、適宜ゲル形成ポリマーを含有していてもよい。用いられたガス生成剤は、炭酸塩または炭酸水素塩であった。該系は、系の崩壊を予防するために粘弾性剤を用いた。系の欠点は、系の崩壊を予防するために、超崩壊剤、粘弾性剤およびガス生成剤の量を最適化する必要があることであった。同時に、系がすぐに浮力を獲得するような賦形剤の量は、すぐに大きく膨潤したサイズを達成し、胃貯留が所望である十分な時間、これらの特性を維持することもまた必要であった。これらすべての目的を同時に達成することは困難であり、発明者は必ずしもそのようにすることはできない。さらに、ゲル性マトリックスは表面に浸食性層を形成するが、コアは乾燥したままである。従って系中のすべてのガス生成剤が系の酸と反応するとは限らない。従って系の浮力は、十分な量のガス生成剤が環境の酸と反応することができる系を製剤化することにより改善することができる。
【0011】
膨潤性胃貯留浮遊マトリックス薬物送達系を利用した他の先行文献としては、国際公開番号WO 0110419A1、WO 0023045A1、WO 0110417A1、WO 03011255A1および米国出願US 6,861,072が挙げられる。
【0012】
(B) 膨張性ポリマー膜または袋中のガス生成組成物:
Alza社に譲渡された米国特許番号3,786,813('813特許、優先日1972年12月27日)は、メンバーを膨張させるための内蔵手段を有する中空の膨張性の密閉メンバーを含む、使用環境への薬物の制御された連続投与のための薬物送達装置(ここに、該メンバーは、与えられた期間にわたり制御された速度にて薬物を送達するための薬物送達手段に取り付けられる)を特許請求する。該特許は、ガス生成区画が胃環境に接触して生成されるガスがバルーンを膨張させ、それにより系を浮遊させるようなバルーンにつながれた系を例示する。
【0013】
McNeilabに譲渡された米国特許番号4,207,890('890特許、優先日1977年1月4日)は、(a)実質的に非水和性、体液浸透性、薬物浸透性のポリマーフィルムから製造された崩壊性、膨張性、無孔膜;(b)薬物を含み、ポリマー膜により保持されることにより薬物が予め定められた速度にて分散する薬物測定手段;および(c)ポリマー膜内に含まれる有効量の膨張剤、体液に接触したときに、少なくとも最短所望時間の使用環境にて装置が保持される容積にポリマー膜を膨張させる物質および薬物の組合せを含有する、制御され、延長された薬物の体内投与のための薬物分散装置を特許請求する。該特許は、ポリマーフィルムが、薬物含有コアの表面上に直接適用されないが、膜形態にて存在する系を特許請求する。
【0014】
チバ・ガイギー社に譲渡された米国特許番号4,996,058('058特許、優先日1987年9月18日)は、フィルムコーティングされるか、またはカプセルに充填されるサシェからなる投与形態(ここに、該サシェは、胃液と接触して膨張する成分および二酸化炭素または窒素を放出することができる物質を含む)に関する。該特許は、錠剤もしくはカプセルコアの表面にフィルム形成ポリマーおよび膨張性成分を含有するコーティング組成物を適用することにより形成される膨張性コーティング、または錠剤もしくはカプセルコアの表面にそのようなコーティング組成物を適用するための方法を開示していない。我々は、本発明の錠剤またはカプセルコアにコーティングしたときにのみフィルム形成ポリマーを用いたコーティング組成物が、系の所望の浮遊性、膨潤性および/または完全性を提供しないことを見出した。
【0015】
LTS Lohmann Therapie-Systeme AGに譲渡された米国特許番号6,290,989('989特許、優先日1997年1月14日)は、遅発性幽門通過を伴った胃腸管中の活性化合物の制御放出のための装置(ここに、該装置は、'890および'058特許の装置よりも改善されたものである)を特許請求する。'890および'058特許は、活性化合物の放出速度が、サシェを形成するポリマーフィルムの浸透性とは独立して制御されるべき方法についてのアドバイスを提供していなかった。'989特許は、その性質および組成物が活性化合物の放出速度を制御するための手段を提供する多微粒子形態に活性化合物を組み込むことができることを教示する。多微粒子は、サシェ内に存在するか、またはサシェを形成するフィルムに組み込むことができる。
【0016】
LTS Lohmann Therapie-Systeme AGに譲渡されたPCT公開番号WO 9959637('637特許、優先日1998年5月18日)は、系のガス生成成分が胃液と接触してガスを生成するときに膨張するバッグの形態における長期の幽門通過による胃腸管内の活性物質の制御放出のための装置に関する。バッグは、そこにある活性物質の放出を制御する単層フィルムからなるポリマー膜で構築され、従って系は、'890および'058特許の系、すなわち有効成分の放出がサシェを形成するポリマーフィルムの浸透性とは独立して制御することができない系と関連する欠点を有する。
【0017】
LTS Lohmann Therapie-Systeme AGに譲渡された米国特許番号6,776,999('999特許、優先日1998年10月30日)は、経口摂取可能な医薬形態の胃の多孔質を通した装置の通過を遅らせ、制御された方法にて少なくとも一つの医薬的に活性な化合物を放出する、膨潤性、胃貯留装置であって、(a)少なくとも一つの医薬的に許容される活性化合物を含む医薬形態;(b)胃液と接触してガスを生成する膨張性成分;および(c)上記(a)および(b)の成分を全体として包含し、胃液と接触して(b)により生成したガスにより膨張し、それによりポリマー膜系が微多孔膜、多孔質膜および非多孔性ポリマーフィルムと前記のいずれかとの組合せからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを含有するポリマー膜系を含有する、装置を特許請求する。該特許は、投与および取り扱いを容易にする目的のために、生理学的に許容される物質からなる容器、例えば硬ゼラチンカプセルに充填することができる、サシェの形態における装置を教示する。
【0018】
DepoMed Development社に譲渡されたPCT公開番号WO 04032906A1('906特許、優先日2002年10月11日)は、レボドパのそれを必要とする患者への経口投与のための胃貯留投与形態であって、(a)治療的有効量のレボドパ、結合剤および胃液と接触して二酸化炭素を放出することができる医薬的に許容されるガス生成剤を含有する錠剤、および(b)膨張性、親水性、水浸透性および実質的にガス不浸透性、錠剤膜(ここに、膜は、胃液と接触したガス生成剤からの二酸化炭素の放出の結果として膨張する)を含有し、それにより投与形態が大きくなりすぎて患者の幽門括約筋に到達することができない投与形態を特許請求する。該出願は、薬物含有コア錠剤が膨張性胃浸透膜により覆われる系を特許請求するが、記載および実施例としては、薬物含有錠剤が膨張性胃浸透性ポリビニルアルコール膜から製造されるサシェまたは袋に導入される系が挙げられる。該特許出願は、フィルム形成ポリマーおよび膨張性成分を含有するコーティング組成物を錠剤もしくはカプセルコアの表面に適用することにより形成される膨張性コーティング、または錠剤もしくはカプセルコアの表面にそのような組成物をコーティングするための方法を開示していない。
【0019】
(C) ポリマーフィルムでコーティングされたガス生成組成物:
財団法人微生物化学研究会に譲渡された米国特許番号4,101,650('650特許、優先日1977年4月6日)は、炭酸水素ナトリウム、ラクトースおよびポリビニルピロリドンを含有する顆粒がヒドロキシプロピルメチルセルロースの層でコーティングされた製剤を開示する。次いでこれは、有効成分ペプスタチンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む懸濁液でコーティングされ、0.1〜2mmの範囲の直径の浮遊ミニカプセルを形成する。この系の欠点は、ミニカプセルが胃における長い貯留期間を必要とするよりもはるかに小さいサイズである。さらに顆粒上のヒドロキシプロピルメチルセルロース層は、膨張性ポリマーフィルムではないが、水性媒体と接触してゲル化するフィルムである。
【0020】
エーザイ社に譲渡された米国特許番号4,844,905('905特許、優先日1986年2月24日)は、コアを含む薬物;炭酸ナトリウムおよび有機酸を含有する中間ガス生成層;および膨張性ポリマーフィルムの外皮を含有する顆粒を開示する。顆粒は、胃にとどまることを意図しているが、小サイズであるという欠点を有する。顆粒上のコーティングは浮遊顆粒を提供するために機能するが、これらのコーティングが錠剤またはカプセルコア上に用いられたとき、系は浮遊せず、コーティングは崩壊することを我々は発見した。
【0021】
アストラゼネカABに譲渡された米国特許番号6,284,271('271特許、優先日1997年7月1日)は、第一成分として、発泡性賦形剤、および別の第二成分として、医薬的活性化合物を含有し、適宜医薬的に許容される賦形剤を含有していてもよい複数個の個別ユニット(ここに、各ユニットは、一つがガス生成層であり、他の層が生成ガスを取り囲む障壁層である、少なくとも二つのコーティング層を含有する浮遊生成系により提供される)を含有する発泡性投与形態(ここに、第一成分は、浮遊生成系の層により第二成分から分離している)を特許請求する。該特許は、有効成分を含有するコアを含有する丸薬が、内部ガス生成層および外部疎水性ポリマー層でコーティングされた後、そのコーティングされた丸薬を発泡性賦形剤と混合し、錠剤投与形態に圧縮した投与形態を例示する。該特許は、フィルム形成ポリマーおよび膨張性成分を含有する組成物を錠剤もしくはカプセルコアの表面にコーティングすることにより形成される膨張性コーティング、または錠剤もしくはカプセルコアの表面にそのような組成物をコーティングするための方法を開示していない。
【0022】
上記先行文献のいずれも、錠剤またはカプセルコアが膨張性コーティングでコーティングされた胃貯留薬物送達系を開示もしくは教示しておらず、またはそのような適切なコーティング組成物を用いた系を製造する方法を教示していない。我々は驚くべきことに、内圧を生成することができる物質を含有する錠剤またはカプセルコアがフィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物によりコーティングされた系を見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
発明の目的
膨張性コーティングでコーティングされた錠剤またはカプセルの形態にて胃貯留薬物送達系を、次のほとんどのまたはすべての所望の目的を同時に達成するように提供することが、本発明の目的である:
・ コーティングにより、コア内への水の急速な浸透が、コーティング上にて内圧を生成することができる物質を活性化することを可能にすること
・ コアおよびコーティングがともに膨張することができること
・ コアまたはコーティングまたはその両方のいずれかが治療的有効物質の放出速度を制御するために製剤化することができること
・ 系が浮力および高膨潤度をともに急速に達成すること
・ コーティングが、内圧の生成において爆発または破裂することがある既知のフィルム形成組成物と比べて、物理的完全性を維持すること
・ コーティングが膨張時に装置の元の形状を維持すること
・ 系が、即時放出形態および改変放出形態にて治療的有効物質を提供するために設計することができること。
胃環境にて即座に膨張し、浮遊することができる胃貯留系を提供し、肥満の制御に用いるための満腹感を得ることもまた、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
発明の概要
本発明は、コーティングが一つ以上のフィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有する、コーティングされた錠剤またはカプセルの形態における胃貯留系に関し、該系は、急速に浮遊を達成し、胃における系の貯留に適切なサイズに膨張することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳述
本発明は:
(a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する、錠剤の形態におけるコア、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を該錠剤コアに適用することにより形成される膨張性コーティング
を含有する、コーティングされた錠剤の形態における胃貯留系を提供する。
該系は急速に浮遊を達成することができ、胃における系の貯留に適切なサイズに膨張することができる。
【0026】
本発明はまた:
(a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する、カプセルの形態におけるコア、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物をカプセルコアに適用することにより形成される膨張性コーティング
を含有する、コーティングされたカプセルの形態における胃貯留系も提供する。
該系は、胃における系の貯留に適切なサイズへの即座の浮遊性および膨張性の二重の所望の特性を同時に達成することができる。
【0027】
本発明の胃貯留系は、治療的有効物質を含んでいてよいか、または含んでいなくてよい。治療的有効成分を含まない本発明の胃貯留系は、胃環境において膨潤し、浮遊することができる。その胃における膨張により、満腹感が得られ、それにより食欲が軽減され、従って肥満の制御に有用である。
【0028】
本発明はまた、治療的有効物質を含有する胃貯留薬物送達系を提供し、該系は、そこに含まれる治療的有効物質の改善された送達の提供に有用である。治療的有効物質はコア、コーティングまたはその両方に存在することができる。本発明の胃貯留薬物送達系に用いることができる治療的有効物質は、以下のもの、すなわちアルコール依存症製剤(alcohol abuse preparation)、アルツハイマー病に用いられる薬物、麻酔剤、末端肥大症用薬剤、鎮痛剤、抗喘息剤、抗癌剤、抗凝固剤および抗血栓剤、抗痙攣剤、抗糖尿病剤、制吐剤、抗緑内障薬、抗ヒスタミン剤、抗感染症薬、抗パーキンソン剤、抗血小板剤、抗リウマチ剤、鎮痙薬および抗コリン剤、鎮咳薬、炭酸脱水酵素阻害剤、心血管作動薬、コリンエステラーゼ阻害剤、CNS障害、CNS刺激の治療、避妊薬、嚢胞性線維症管理、ドーパミンレセプターアゴニスト、子宮内膜症管理、勃起不全治療、不妊治療薬、胃腸薬、免疫調節剤および免疫抑制剤、記憶増強剤、片頭痛製剤、筋弛緩剤、ヌクレオシド類似体、骨粗鬆症管理、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、精神治療薬、鎮静剤、催眠薬および精神安定剤、皮膚病に用いられる薬物、ステロイド、およびホルモンから選択することができる。
【0029】
本発明の胃貯留系のコアは、内圧を生成することができる物質を含む。内圧を生成する物質は、ガス生成剤、一つ以上の高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物から選択することができる。本発明の胃貯留薬物送達系のコアに用いられるガス生成剤は、胃液と接触してガスを生成する単一成分またはガス生成対を含むことができる。本発明に用いることができるガス生成成分は、例えばそこに存在する体液または水素イオンの作用下、ガス、特に二酸化炭素または窒素を遊離させる固体を含む。例としては、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、炭酸水素ナトリウムもしくはカリウムなどの炭酸水素塩、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、またはメタ亜硫酸水素ナトリウムなど、アンモニウムカチオンまたはアジ化ナトリウム、またはその混合物を挙げることができる。これらの塩は、それのみで、またはガス生成対としての酸源と組み合わせて用いることができる。酸源は、食用有機酸、食用有機酸の塩、またはその混合物であることができる。用いることができる有機酸の例としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギン酸、アクリル酸およびそれらの塩、およびその混合物が挙げられる。炭酸水素ナトリウムを好ましいガス生成剤として用いる。有機酸はまた、ポリマー、例えば商標名Carbopol(登録商標)、Eudragit(登録商標)L-100-55、Eudragit(登録商標)S-100、Noveon(登録商標)AA1にて入手可能なアクリル酸ポリマーなどのアクリル酸ポリマーおよびコポリマーであることができ、これはアルカリまたはアルカリ土類金属化合物の炭酸塩または炭酸水素塩と反応してガスを生成する。これらは一般に補助酸源として用いられ、水性媒体と接触したときの膨潤により内圧を生成する特性をそれ自体有することもできる。ガス生成剤は、コアの約0.5重量%〜約50重量%の範囲の量にて用いられる。
【0030】
本発明において内圧を生成することができる物質として用いることができる高膨潤性ポリマーの例としては、高分子量ポリエチレンオキシド、高膨潤性を有するアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールとのアクリル酸コポリマー、例えば商標名Noveon(登録商標)などにて入手可能なもの、およびその混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。高膨潤性ポリマーはコアの約0.5重量%〜約90重量%の範囲の量にて用いることができる。内圧を生成することができる物質として用いることができる超崩壊剤の例としては、架橋カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。超崩壊剤は、コアの約0.5重量%〜約90重量%の範囲の量にて用いることができる。
【0031】
本発明の胃貯留系のコアは、内圧を生成することができる物質を医薬的に許容される賦形剤とともに圧縮することにより得られる、適宜治療的有効物質をさらに含んでいてもよい圧縮錠剤であることができるか、または該コアは、内圧を生成することができる物質と医薬的に許容される賦形剤との混合物を含有し、適宜治療的有効物質をさらに含んでいてもよいカプセルであることができる。コアは均一または不均一であることができ、すなわち(i)有効物質と内圧を生成することができる物質との混合物であることができ、該混合物は圧縮することができるか、または(ii)有効物質および内圧を生成することができる物質が二つの分離層に存在し、さらに該層が積層または同心円であることができる、層状コアであることができる。カプセルまたは錠剤コアは、当業者に知られている従来の方法を用いて得ることができる。種々のパンチおよび金型は、例えばカプセル加工、標準凹面、楕円形、三角形および医薬分野にて通常用いられる他の形状などのコアを得るために用いることができる。
【0032】
胃貯留系のコアは、フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物でコーティングする。通常用いられ、当業者に知られているフィルム形成ポリマーは、本発明のコーティング組成物における使用に適切である。本発明にて用いることができるフィルム形成ポリマーの例としては、セルロース誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーおよびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。フィルム形成ポリマーは、約0.5重量%〜約70重量%の範囲の量のコーティング組成物にて用いることができる。
【0033】
本発明はまた、膨張性コーティングが(a)内圧を生成することができる物質を含有するコーティング組成物をコーティングに適用することにより形成される第一コーティング、および(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を第一コーティングに適用することにより形成される第二膨張性コーティングを含む、胃貯留系も提供する。第一コーティングに用いられる内圧を生成するために用いることができる物質は、上記定義のものである。従って本発明は、二つの型の胃貯留系−(1)錠剤またはカプセルコア、およびフィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有する膨張性コーティングを含む胃貯留系、および(2)錠剤またはカプセルコア、内圧を生成することができる物質を含有する第一コーティング、フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有する第二コーティングを含む、胃貯留系を提供する。第一系における膨張性コーティングは第二系における第二コーティングと同様であり、外部コーティングと称することができることに注意することができる。第二系の第一コーティングはサブコーティングと称することができる。系は、胃における系の貯留に適切なサイズに急速に浮遊し、膨張することができる。
【0034】
外部コーティング組成物に用いることができる膨張性成分は、ガス生成剤、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物からなる群から選択される。用いることができるガス生成剤および用いうる量は本明細書に定義されている。本発明にて用いることができる高膨潤性ポリマーの例としては:
・ ヒドロキシC1−4アルキルC1−4アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシC1−4アルキルセルロースなどの高膨潤性セルロースエーテル、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、より好ましくは高粘性ヒドロキシエチルセルロース;
・ 植物、動物、鉱物または合成起源のガム、例えば(i)寒天、アルギン酸塩、カラギナン、海草由来のファーセレラン(furcellaran)、(ii)グアーガム、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、ローカストビーンガム、陸上植物由来のペクチン、(iii)デキストラン、ジェランガム、ラムザンガム(rhamsan gum)、ウェランガム(welan gum)、キサンタンガムなどの微生物多糖類、および(iv)アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアーおよびデンプングリコール酸ナトリウムなどの改変デンプンなどの合成または半合成ゴム;
・ アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、例えばアクリル酸とビニルグリコールとの架橋ポリマー、および一般に、ポリカルボフィル、商標名Carbopol(登録商標)で入手可能なポリマーなどとして知られるポリマー;
・ 架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドンなどのビニルピロリドンポリマー;ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー;またはその混合物
が挙げられる。
【0035】
高膨潤性ポリマーはコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて用いることができる。用いうる超崩壊剤の例としては、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼンコポリマー、ポリビニルアルコール、アミロース、架橋アミロース、デンプン誘導体、微結晶性セルロースおよびセルロース誘導体、アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンおよびデキストリン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。超崩壊剤は、コーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて用いることができる。コアをコーティング組成物でコーティングして、コアの重量の約2倍まで増量させる。本発明のある具体的態様にて、コーティングは、デンプングリコール酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、少なくとも一つのアクリル酸ポリマーおよびポリカルボフィルを含有する混合物を用いることにより得られる。
【0036】
外部コーティング組成物はさらに、マンニトール、ラクトース、アルカリおよびアルカリ土類金属のハロゲン塩など、およびその混合物などの水溶性賦形剤から選択されるチャネル形成剤(channel former)などの医薬的に許容される賦形剤を含有することができる。これらのチャネル形成剤は、コーティング組成物の約0.5重量%〜約95重量%の範囲の量にて用いることができる。コーティング組成物はさらに、アルカリおよびアルカリ土類金属の炭酸塩および炭酸水素塩、メグルミンなどのアミノ糖、医薬的に許容される酸、およびその混合物などのpH改変剤(pH modifier)を含有することができる。これらのpH改変剤は、コーティング組成物の約0.5重量%〜約50重量%の範囲の量にて用いることができる。コーティング組成物は、タルク、コロイド状シリカなどの抗連結剤(anti-tack agent)を含有することができる。抗連結剤は、コーティング組成物の約0.5重量%〜約10重量%の範囲の量にて用いることができる。コーティング組成物はさらに、Tween、フタル酸ジエチル、ポリエチレングリコールなど、およびその混合物などの可塑剤を含有することができる。これらの可塑剤は、コーティング組成物の約5重量%〜約20重量%の範囲の量にて用いることができる。コーティング組成物はまた、当分野にて従来用いられる結合剤も含有することができる。結合剤はコーティング組成物の約0.5重量%〜約50重量%の範囲の量にて用いることができる。
【0037】
第一コーティング、または本明細書にて称されるようにサブコーティングは、コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する。内圧を生成することができる物質として用いることができる医薬的な賦形剤の例および用いうる量は本明細書に定義する。第一コーティング組成物はさらに、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される超崩壊剤を含有することができる。超崩壊剤は、コーティング組成物の約0.5重量%〜約90重量%の範囲の量にて用いることができる。サブコーティングをコーティングして、コアの約15重量%〜約50重量%増量させる。ある具体的態様にて、アルギン酸、炭酸水素ナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物は、サブコーティングを得るために用いる。第一コーティングは、当業者に知られている圧縮コーティング、フィルムコーティングまたは乾燥粉末コーティング技術によりコアに供することができる。
【0038】
外部コーティングはコーティング組成物による錠剤またはカプセルコアのコーティングにより得られ、膨張性成分が非溶媒ビヒクル中にて懸濁化するように、フィルム形成ポリマーと一つ以上の膨張性成分とを混合することにより得られる。あるいは、コアは、フィルム形成ポリマーと、知られている粉末コーティング技術を用いた一つ以上の膨張性成分の乾燥粉末コーティングとの溶液または懸濁液でコーティングすることができる。
【0039】
本発明はまた、新規コーティング法も提供する。サブコーティングを、内圧を生成することができる物質、例えばガス生成対を含有する懸濁液を非溶媒ビヒクル中にて用いることにより錠剤またはカプセルコア上に蒸着させる。非溶媒ビヒクルの使用は、系が水性媒体と接触するまで、コアがコーティングされている間ガス生成剤が反応またはガスの生成を開始しないことを確実にする。外部コーティングを、フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分の非溶媒中の懸濁液を用いることにより蒸着させる。従って形成されたフィルムは、膨張でき、特別な物理的強度を有し、同時に比較的容易に形成される。本発明において用いられる新規コーティング法は、コア上により多くの量の固体を蒸着させることを可能にし、これは当業者に知られる従来のフィルムコーティング法によっては不可能であった。新規コーティング法はまた、高分子量および高粘性を有するフィルム形成ポリマーを用いることをも可能にする。従来のコーティング法は、中程度から低程度の粘性を有する低分子量ポリマーのみを用いることを好都合にする。高分子量および/または高粘性ポリマーの使用が、使用条件下において長期間その物理的完全性を拡張し、維持することができる持続的フィルムを提供することは当業者に知られていない。本発明の新規コーティング法はまた、当業者にコーティングに困難または不可能であると知られているゼラチンカプセルをコーティングする際にも有用である。従って、本発明は、新規なコーティング組成物、ならびに錠剤およびカプセルをコーティングする新規な方法を提供し、該方法は、従来のコーティング法と比較した場合により多くの量の固体を蒸着させることができ、さらに小型のコーティングされた投与形態を提供する。コア上により多くの量の固体を蒸着させることは圧縮コーティングなどの方法を用いることにより可能であるが、このように得られるコーティングされた投与形態は比較的大きく、飲み込むのに困難であることがあることに留意することができる。
【0040】
本発明の系はまた、種々の医薬的に許容される賦形剤、例えばデンプン、セルロース誘導体、ガム、架橋ポリマーなどの崩壊剤;デンプン、ゼラチン、糖、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸、硬化植物油、コロイド状二酸化ケイ素、ポリエチレングリコール、カルボキシアルキルセルロースなどのセルロース誘導体およびそのアルカリ塩などの滑沢剤;およびその混合物も含むことができる。
【0041】
本発明の系はさらに、外部コーティングの回りのトップコーティングをさらに含むことができ、そのトップコーティングはフィルム形成ポリマーおよび即時放出される治療的有効物質を含有するコーティング組成物を適用することにより得られる。トップコーティングにおける治療的有効物質は、系のコアに存在することができる治療的有効物質と同一か、または異なっていてもよい。トップコーティングは、医薬コーティング分野にて当業者に知られており、従来用いられているフィルム形成ポリマーを利用する。さらに、系は外部コーティングとトップコーティングの間に不活性シールコーティングを含むことができる。シールコーティングは、従来のフィルム形成剤を含有するコーティング組成物を適用することにより得られる。シールコーティングはまた、コアとサブコーティングまたは外部コーティングとの間にも存在することができる。
【0042】
本発明の系は、胃腸液中でのその物理的完全性を維持しながら急速に膨潤し、破裂したり、はじけたりはしない。低密度は、系が胃液中に浮遊するようなガス生成剤により生成されるガスの取り込みにより達成される。コアが錠剤である系が水性媒体中に置かれたときに30分未満、好ましくは15分未満にて浮遊を達成することができるように、膨潤およびガスの取り込みは急速に起こることができる。コアがカプセルである胃貯留系は、水性媒体中に置かれたときに、即座に浮遊することができる。本発明の胃貯留系は、水性媒体中に置かれたときに、約30分間でその元の容積の少なくとも2倍まで膨潤することができる。外部コーティングは、本来は膨張性であり、膨張時その剛性を保持し、それによりコアが崩壊することがあっても、デバイスの元の形態を保持する。系の外部コーティングの膨潤性、浮遊性および物理的完全性はともに、胃環境における胃の貯留時間を確保し、増大する。
【0043】
本発明の胃貯留薬物送達系に存在する治療的有効物質は、即時放出形態もしくは改変放出形態、または即時放出形態と改変放出形態の組合せにて入手可能であることができる。該系は、一つ以上の治療的有効物質を含有することができる。治療的有効物質の制御放出を提供する系の場合、賦形剤を制御する医薬的に許容される放出速度は、治療的有効物質との混合物として存在する。本明細書において用語「との混合物として」は、速度制御賦形剤とコア中の有効物質との物理的混合物、ならびに治療的有効物質組成物を覆う速度制御細胞膜を含む。例えば治療的有効物質は、制御放出多粒子状物質、すなわち治療的有効物質を一つ以上の放出速度制御賦形剤との混合物として含む顆粒、丸薬、ビーズまたはミニピルの形態であることができる。多粒子状物質は、本発明の胃貯留薬物送達系のコアまたはコーティング中に存在することができる。多粒子状物は、治療的有効物質の放出のための独立制御を提供し、両立しない賦形剤からの治療的有効物質の単離もまた提供する。本発明において用いられる速度制御賦形剤は、当業者に知られており、従来用いられているものである。
【0044】
本発明は、以下のように概略することができる−
A1. (a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する錠剤の形態におけるコア、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を錠剤コアに適用することにより形成される膨張性コーティング
を含有するコーティング錠剤の形態における胃貯留系。
B1. 内圧を生成することができる物質がガス生成剤、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物からなる群から選択される、A1記載の胃貯留系。
C1. B1記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する胃貯留薬物送達系。
D1. 治療的有効物質がコアもしくはコーティングまたはその両方に存在する、C1記載の胃貯留薬物送達系。
E1. 治療的有効物質がコアに存在し、コーティングが同一または異なっている、D1記載の胃貯留薬物送達系。
F1. 内圧を生成することができる物質が炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、アンモニウムカチオン、アジ化ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択されるガス生成剤である、B1記載の胃貯留系。
G1. ガス生成剤がコアの約0.5重量%〜約50重量%の範囲の量にて存在する、F1記載の胃貯留系。
H1. 内圧を生成することができる物質が炭酸水素ナトリウムである、F1記載の胃貯留系。
【0045】
I1. 内圧を生成することができる物質がクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギン酸、アクリル酸またはその塩などの有機酸、アクリル酸ポリマーおよびコポリマーおよびその混合物からなる群から選択される酸源をさらに含有する、F1記載の胃貯留系。
J1. 内圧を生成することができる物質が架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される超崩壊剤である、B1記載の胃貯留系。
K1. 超崩壊剤がコアの約0.5重量%〜約90重量%の範囲の量にて存在する、J1記載の胃貯留系。
L1. 内圧を生成することができる物質が高分子量ポリエチレンオキシド、高膨潤性を有するアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールとのアクリル酸コポリマーなどおよびその混合物からなる群から選択される高膨潤性ポリマーである、B1記載の胃貯留系。
M1. 高膨潤性ポリマーがコアの約0.5重量%〜約90重量%の範囲の量にて存在する、L1記載の胃貯留系。
N1. コーティングがセルロース誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールと架橋したアクリル酸のポリマーおよびその混合物からなる群から選択されるフィルム形成ポリマーを含有する、A1記載の胃貯留系。
O1. フィルム形成ポリマーがコーティング組成物の約0.5重量%〜約70重量%の範囲の量にて用いられる、N1記載の胃貯留系。
P1. 膨張性成分がガスを生成することができる物質、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物から選択される、A1記載の胃貯留系。
【0046】
Q1. ガスを生成することができる物質が炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、アンモニウムカチオン、アジ化ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、P1記載の胃貯留系。
R1. ガスを生成することができる物質がさらに、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギン酸、アクリル酸などの有機酸またはその塩およびその混合物からなる群から選択される酸源を含有する、Q1記載の胃貯留系。
S1. ガスを生成することができる物質がコーティング組成物の約0.5重量%〜約30重量%の範囲の量にて存在する、Q1記載の胃貯留系。
T1. ガスを生成することができる物質が炭酸水素ナトリウムである、Q1記載の胃貯留系。
U1. コーティングがさらにアルギン酸を含有する、T1記載の胃貯留系。
V1. 高膨潤性ポリマーがセルロース誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される、P1記載の胃貯留系。
W1. 高膨潤性ポリマーがコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて存在する、V1記載の胃貯留系。
X1. 超崩壊剤が架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される、P1記載の胃貯留系。
Y1. 超崩壊剤がコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて存在する、X1記載の胃貯留系。
Z1. 膨張性成分が少なくとも一つのアクリル酸ポリマー、デンプングリコール酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびポリカルボフィルを含有する混合物である、P1記載の胃貯留系。
【0047】
A2. コーティング組成物がコーティングされてコアの重量の2倍まで増量する、A1記載の胃貯留系。
B2. 一つ以上の治療的有効物質が即時放出形態および/または改変放出形態にて存在し、即時放出用量の一つ以上の治療的有効物質、および/または改変放出用量の同一もしくは異なる治療的有効物質を提供する、C1記載の胃貯留薬物送達系。
C2. 水性媒体中に置いたときの系の浮遊時間が30分未満である、A1記載の胃貯留系。
D2. 水性媒体中に置いたときの系の浮遊時間が15分未満である、C2記載の胃貯留系。
E2. 水性媒体中に置いたときの系が、約30分でその元の容積の少なくとも約2倍に膨潤することができる、A1記載の胃貯留系。
F2. 膨張性コーティングが:
(a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する錠剤コアにコーティング組成物を適用することにより形成される第一コーティング、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を第一コーティングに適用することにより形成される第二コーティング
を含有する、A1記載のコーティングされた錠剤の形態における胃貯留系。
G2. 第一コーティング中の内圧を生成することができる物質がガス生成剤、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物からなる群から選択される、F2記載の胃貯留系。
H2. G2記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する、胃貯留薬物送達系。
【0048】
I2. 第一コーティング組成物がさらに、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される超崩壊剤を含有する、G2記載の胃貯留系。
J2. 第一コーティング組成物がコーティングされてコアの約15重量%〜約50重量%増量する、G2記載の胃貯留系。
K2. 第二コーティング組成物がコーティングされて第一コーティングでコーティングされたコアの重量の2倍まで増量する、G2記載の胃貯留系。
L2. 系がさらに、フィルム形成ポリマーおよび即座に放出される治療的有効物質を含有するトップコーティングを含む、C1記載の胃貯留薬物送達系。
M2. 系がさらに、フィルム形成ポリマーおよび即座に放出される治療的有効物質を含有するトップコーティングを含む、H2記載の胃貯留薬物送達系。
N2. 系がさらに、コーティングに組み込まれた粒子の形態にて治療的有効物質を含む、C1記載の胃貯留薬物送達系。
O2. 系が一つ以上の治療的有効物質を含有する制御放出多粒子をさらに含む、C1記載の胃貯留薬物送達系。
P2. 多粒子がコア、コーティングまたはその両方に存在することができる、O2記載の胃貯留薬物送達系。
【0049】
Q2. 膨張性コーティングが膨張時、系の元の形状を維持するような、A1記載の胃貯留系。
R2. (a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する、カプセルの形態におけるコア、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物をカプセルコアに適用することにより形成される膨張性コーティング
を含む、コーティングされたカプセルの形態における胃貯留系。
S2. 内圧を生成することができる物質がガス生成剤、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物からなる群から選択される、R2記載の胃貯留系。
T2. S2記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する、胃貯留薬物送達系。
U2. 治療的有効物質がコアおよびコーティングに存在する、T2記載の胃貯留薬物送達系。
U2. コアおよびコーティングに存在する治療的有効物質が同一または異なる、T2記載の胃貯留薬物送達系。
V2. 内圧を生成することができる物質が炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、アンモニウムカチオン、アジ化ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択されるガス生成剤である、S2記載の胃貯留系。
W2. ガス生成剤がコアの約0.5重量%〜約50重量%の範囲の量にて存在する、V2記載の胃貯留系。
X2. 内圧を生成することができる物質が炭酸水素ナトリウムである、W2記載の胃貯留系。
Y2. 内圧を生成することができる物質がさらに、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギン酸、アクリル酸などの有機酸またはその塩、アクリル酸ポリマーおよびコポリマーおよびその混合物からなる群から選択される酸源を含む、X2記載の胃貯留系。
Z2. 内圧を生成することができる物質が架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される高膨潤性ポリマーである、S2記載の胃貯留系。
【0050】
A3. 高膨潤性ポリマーがコアの約0.5重量%〜約90重量%の範囲の量にて存在する、Z2記載の胃貯留系。
B3. コーティングがセルロース誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーおよびその混合物からなる群から選択されるフィルム形成ポリマーを含有する、R2記載の胃貯留系。
C3. フィルム形成ポリマーがコーティング組成物の約0.5重量%〜約70重量%の範囲の量にて用いられる、B3記載の胃貯留系。
D3. コーティングがガスを生成することができる物質、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物から選択される膨張性成分を含有する、R2記載の胃貯留系。
E3. ガスを生成することができる物質が炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、アンモニウムカチオン、アジ化ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、D3記載の胃貯留系。
F3. 内圧を生成することができる物質がさらに、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギン酸、アクリル酸などの有機酸またはその塩、およびその混合物からなる群から選択される酸源を含む、E3記載の胃貯留系。
G3. ガスを生成することができる物質がコーティング組成物の約0.5重量%〜約30重量%の範囲の量にて存在する、E3記載の胃貯留系。
H3. ガスを生成することができる物質が炭酸水素ナトリウムである、E3記載の胃貯留系。
【0051】
I3. 超崩壊剤が架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される、D3記載の胃貯留系。
J3. 超崩壊剤がコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて存在する、I3記載の胃貯留系。
K3. 高膨潤性ポリマーがセルロース誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される、D3記載の胃貯留系。
L3. 高膨潤性ポリマーがコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて存在する、K3記載の胃貯留系。
M3. 膨張性成分が少なくとも一つのアクリル酸ポリマー、デンプングリコール酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびポリカルボフィルを含む混合物である、D3記載の胃貯留系。
N3. コーティング組成物がコーティングされてコアの重量の2倍まで増量する、R2記載の胃貯留系。
O3. 一つ以上の治療的有効物質が即時放出形態および/または改変放出形態にて存在し、即時放出用量の一つ以上の治療的有効物質、および/または改変放出用量の同一もしくは異なる治療的有効物質を供する、T2記載の胃貯留薬物送達系。
P3. 水性媒体中に置いたときの系が、約30分でその元の容積の少なくとも約2倍に膨潤することができる、R2記載の胃貯留系。
【0052】
Q3. 系が水性媒体中に置かれたときに、即座に浮遊することができる、R2記載の胃貯留系。
R3. 膨張性コーティングが:
(a)内圧を生成することができる物質を含有するコーティング組成物をコーティングに適用することにより形成される第一コーティング、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を第一コーティングに適用することにより形成される第二膨張性コーティング
を含む、R2記載のコーティングされたカプセルの形態における胃貯留系。
S3. 第一コーティング組成物中の内圧を生成することができる物質がガスを生成することができる物質、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物から選択される、R3記載の胃貯留系。
T3. S3記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含む、胃貯留薬物送達系。
U3. 治療的有効物質がコア、コーティングまたはその両方に存在する、T3記載の胃貯留薬物送達系。
V3. 超崩壊剤が架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される、S3記載の胃貯留系。
W3. 第一コーティング組成物がコーティングされてコアの約15重量%〜約50重量%増量する、R3記載の胃貯留系。
X3. 第二コーティング組成物がコーティングされて第一コーティングでコーティングされたコアの重量の2倍まで増量する、R3記載の胃貯留系。
Y3. 系がさらに、フィルム形成ポリマーおよび即時放出される治療的有効物質を含有するトップコーティングを含む、T2記載の胃貯留薬物送達系。
Z3. 系がさらに、フィルム形成ポリマーおよび即時放出される治療的有効物質を含有するトップコーティングを含む、T3記載の胃貯留薬物送達系。
【0053】
A4. 系がさらに、コーティングに組み込まれる粒子の形態にて治療的有効物質を含む、T2記載の胃貯留薬物送達系。
B4. 系がさらに、一つ以上の治療的有効物質を含有する制御放出多粒子を含む、T2記載の胃貯留薬物送達系。
C4. 多粒子がコア、コーティングまたはその両方に存在することができる、B4記載の胃貯留薬物送達系。
D4. 膨張性コーティングが膨潤時、系の元の形状を維持するような、R2記載の胃貯留系。
E4. 乾燥粉末形態の膨張性成分、または非溶媒ビヒクル中にて懸濁化された膨張性成分を含有するコーティング組成物の適用を特徴とする、錠剤またはカプセルコアをコーティングする方法。
F4. 膨張性成分がガスを生成することができる物質、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物から選択される、E4記載の方法。
G4. ガスを生成することができる物質が炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、アンモニウムカチオン、アジ化ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、F4記載の方法。
H4. 内圧を生成することができる物質がさらに、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルギン酸、アクリル酸などの有機酸またはその塩、およびその混合物からなる群から選択される酸源を含む、G4記載の方法。
【0054】
I4. ガスを生成することができる物質がコーティング組成物の約0.5重量%〜約30重量%の範囲の量にて存在する、G4記載の方法。
J4. ガスを生成することができる物質が炭酸水素ナトリウムである、G4記載の方法。
K4. 超崩壊剤が架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、イオン交換樹脂およびその混合物からなる群から選択される、F4記載の方法。
L4. 超崩壊剤がコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて存在する、K4記載の方法。
M4. 高膨潤性ポリマーがセルロース誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される、F4記載の方法。
N4. 高膨潤性ポリマーがコーティング組成物の約0.5重量%〜約40重量%の範囲の量にて存在する、M4記載の方法。
O4. 膨張性成分が少なくとも一つのアクリル酸ポリマー、デンプングリコール酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびポリカルボフィルを含む混合物である、F4記載の方法。
【0055】
次の実施例は本発明の範囲を限定せず、単に例示として用いられる。
【実施例】
【0056】
比較例1
メトホルミンを含む胃貯留薬物送達系を、以下の第一表に示されるようにして得た。
【表1】

【0057】
塩酸メトホルミン、HPMC E50LV、クロスポビドンおよびPVP K-90Fは精製水を用いて混合し、顆粒化した。このように得られた顆粒を乾燥し、製粉し、炭酸水素ナトリウム、クロスポビドン、Prosolv SMCC 90、コロイド状二酸化ケイ素、タルクおよびステアリン酸マグネシウムと混合した。このように得られた混合物を圧縮し、コアを得た。次いでこのコアをアルギン酸、炭酸水素ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、マンニトール、PVP K-90F、タルクおよびTween 20を含むイソプロピルアルコール中の懸濁液でコーティングし、コアの20重量%増量してサブコーティングを得た。さらにこれをEudragit L-100-55、tween 20、PEG 400およびタルクをイソプロピルアルコール中にて含有するコーティング組成物でコーティングし、サブコーティングしたコアの約8.5重量%増量させた。
【0058】
このように得られた錠剤は、0.01N塩酸100ml中に置かれたとき、8時間まで浮遊しなかった。錠剤はまた、十分に膨潤せず、すなわち20時間経ったときにその容積の約1.5倍だけ膨潤したことが分かった。従って、この実施例の錠剤は一貫した長期間の胃貯留について所望の特性を有さなかった。
【0059】
比較例2
比較例1に示されるコアを含み、比較例1に示されるサブコーティングでコーティングされた胃貯留薬物送達系は、以下の第二表に示される外部コーティングでコーティングした。
【表2】

【0060】
サブコーティングされた錠剤を、上記比較例1に示されるように製造した。外部コーティングは、HPMC E5、Eudragit L-100-55およびコーティング補助剤(coating aid)のイソプロピルアルコールおよびジクロロメタンの溶液でコーティングし、サブコーティングされたコアの8.5重量%増量させることにより得た。
【0061】
このように得られた錠剤は、浮遊に要する時間、すなわち浮力(buoyancy)時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。結果は以下の第三表に示す。
【表3】

【0062】
錠剤は約7時間まで浮遊しなかった。30分経ったときにコーティング上に小さな気泡が見られ、1時間以内にコーティングは破裂し、ガスが泡の形態にて抜けるのが観察された。それゆえそのようなコーティングは胃貯留系に適さないだろう。
【0063】
実施例1
メトホルミンを含む胃貯留薬物送達系を、以下の第4表に示されるように得た。
【表4】

【0064】
サブコーティングされたコアを、上記比較例1に示されるように得た。これをさらにNoveon AA1、炭酸水素ナトリウム、Eudragit L-100-55、マンニトール、デンプングリコール酸ナトリウム、Tween 20、PEG 400、タルクおよびイソプロピルアルコールを含有するコーティング組成物でコーティングし、約8.5重量%増量させた。このように得られた錠剤を塩酸メトホルミンの即時放出フラクションを含むトップコーティングでコーティングし、塩酸メトホルミンおよびOpadryを含むコーティング溶液を用いて約24%増量させた。
【0065】
この実施例およびすべての他の実施例にて、サブコーティングおよび外部コーティングを得るために用いられるコーティング溶液は、コーティング組成物の成分を混合し、オーバーヘッド・スターラーで混合物を撹拌しながら適切な担体中にて懸濁させた後、コロイド・ミルに入れることにより製造した。混合物を約30分間製粉し、得られた分散物をコーティングに用いた。
【0066】
錠剤について、溶解媒体1000ml、50rpmにて、米国薬局方溶解装置II型を用いて溶解検討を行った。結果を以下の第5表に示す。
【表5】

【0067】
錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。錠剤を0.01N塩酸およびpH4.5緩衝液100mlに入れ、評価した。本発明の投与形態の膨潤指標を次のように計算した。カプセルまたはカプレットに関わらず製造された投与形態は、三次元固体、円柱、すなわちカプセル/カプレットの曲がった端を無視したものと同等の容積を有するものと仮定され、それに応じて容積を算出した。膨潤質量を円柱と仮定した30、60、120および240分における投与形態の容積の増大として膨潤指標を算出した。以下の第6表に結果を示し、ここに、浮力時間は分で示され、膨潤指標は投与形態の容積が時間の関数として増大する時間数である。
【表6】

【0068】
それゆえ、外部コーティングの組成物が本発明の胃貯留薬物送達系の浮力および膨潤指標に有意に作用することは上記実施例から明らかである。
【0069】
実施例2
実施例1に用いられるものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を、以下の第7表に示す外部コーティング組成物でコーティングした。
【表7】

【0070】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。結果を以下の第8表に示す。
【表8】

【0071】
実施例3
実施例1にて用いられるものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を、以下の第9表に示される外部コーティング組成物でコーティングした。
【表9】

【0072】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。結果を以下の第10表に示す。
【表10】

【0073】
実施例4
実施例1にて用いたものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を以下の第11表に示す外部コーティング組成物でコーティングした。
【表11】

【0074】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。以下の第12表に結果を示す。
【表12】

【0075】
実施例5
実施例1にて用いたものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を以下の第13表に示す外部コーティング組成物でコーティングした。
【表13】

【0076】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。以下の第14表に結果を示す。
【表14】

【0077】
実施例6
実施例1にて用いたものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を以下の第15表に示す外部コーティングされた組成物でコーティングした。
【表15】

【0078】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。以下の第16表に結果を示す。
【表16】

【0079】
実施例7
実施例1にて用いたものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を以下の第17表に示す外部コーティング組成物でコーティングした。
【表17】

【0080】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。以下の第18表に結果を示す。
【表18】

【0081】
実施例8
実施例1にて用いたものと同様のサブコーティングされたコアを含む胃貯留薬物送達系を以下の第19表に示す外部コーティング組成物でコーティングした。
【表19】

【0082】
このように得られた錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、および膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。以下の第20表に結果を示す。
【表20】

【0083】
実施例9
バクロフェンを含む胃貯留薬物送達系を、以下の第21表に示すように製造した。
【表21】

【0084】
バクロフェン、フマル酸、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、混合物を得、これをサイズ0硬ゼラチンカプセルに充填した。充填されたカプセルは、アルギン酸、炭酸水素ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、マンニトール、ポビドン、タルク、Tween 20をイソプロピルアルコール中にて含むコーティング懸濁液でコーティングし、コアカプセルの約25重量%増量させた。これにNoveon AA1、炭酸水素ナトリウム、Eudragit L-100-55、Eudragit S-100、マンニトール、デンプングリコール酸ナトリウム、Tween 20、PEG、タルクおよびフタル酸ジエチルをイソプロピルアルコール中にて含むコーティング溶液を用いて外部コーティングをし、溶液を約18重量%までコーティングした。最後に、バクロフェン、ポビドンK-30、タルクおよびTween 20を含むトップコーティングをカプセルに行い、精製水中のコーティング溶液を用いて約1.5%増量させた。
【0085】
このように得られたカプセルを水性媒体に浸すとすぐに浮遊が見られた。膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大についてカプセルを評価した。以下の第22表に結果を示す。
【表22】

【0086】
実施例10
カルビドパおよびレボドパを含む胃貯留薬物送達系を以下の第23表に示すように製造した。
【表23】

コーティングされたカプセルを上記実施例に示すように製造した。
【0087】
実施例11
バクロフェンを含む胃貯留薬物送達系を以下の第24表に示すように製造した。
【表24】

賦形剤とバクロフェンとを混合し、これを硬ゼラチンカプセルに充填することによりコアを得た。次いでカプセルを上記実施例と同様のサブコーティングおよび外部コーティングでコーティングした。
【0088】
実施例12
バクロフェンを含む胃貯留薬物送達系を以下の第25表に示すように得た。
【表25】

【0089】
コーティングされた錠剤を上記実施例に示すように得た。サブコーティングでコーティングされたコアを0.01N塩酸およびpH4.5緩衝液100ml中に置いた。サブコーティングされた錠剤が容器の底にとどまり、約3分後に崩壊し始め、約6分で完全に崩壊したことが分かった。
【0090】
サブコーティングされたコアを外部コーティングでコーティングし、0.01N塩酸およびpH4.5緩衝液100ml中に置いた。錠剤を、浮遊に要する時間、すなわち浮力時間、膨潤指標、すなわち投与形態の容積における増大について評価した。以下の第26表に結果を示す。
【表26】

【0091】
本発明は具体的態様を参照することにより記載されているが、これは例示の目的のためにのみなされ、本発明の精神または範囲を限定するものと解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有する、錠剤の形態におけるコア、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を該錠剤コアに適用することにより形成される膨張性コーティング
を含有する、コーティングされた錠剤の形態における胃貯留系。
【請求項2】
内圧を生成することができる物質が、ガス生成剤、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物からなる群から選択される、請求項1記載の胃貯留薬物送達系。
【請求項3】
請求項2記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する、胃貯留薬物送達系。
【請求項4】
一つ以上の治療的有効物質が即時放出形態および/または改変放出形態にて存在し、即時放出用量の一つ以上の治療的有効物質、および/または改変放出用量の同一もしくは異なる治療的有効物質を提供する、請求項3記載の胃貯留薬物送達系。
【請求項5】
水性媒体中に置いたときの系の浮遊時間が15分未満である、請求項4記載の胃貯留薬物送達系。
【請求項6】
膨張性コーティングが
(a)コーティング上にて内圧を生成することができる物質を含有する錠剤コアにコーティング組成物を適用することにより形成される第一コーティング、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を第一コーティングに適用することにより形成される第二コーティング
を含有する、請求項1記載のコーティングされた錠剤の形態における胃貯留系。
【請求項7】
請求項6記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する、胃貯留薬物送達系。
【請求項8】
(a)コーティング上にて内圧を生成することができる物質を含有する、カプセルの形態におけるコア、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性成分を含有するコーティング組成物を該カプセルコアに適用することにより形成される膨張性コーティング
を含有する、コーティングされたカプセルの形態における胃貯留系。
【請求項9】
内圧を生成することができる物質が、ガス生成剤、高膨潤性ポリマー、超崩壊剤およびその混合物からなる群から選択される、請求項8記載の胃貯留系。
【請求項10】
請求項9記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する、胃貯留薬物送達系。
【請求項11】
一つ以上の治療的有効物質が即時放出形態および/または改変放出形態にて存在し、即時放出用量の一つ以上の治療的有効物質、および/または改変放出用量の同一もしくは異なる治療的有効物質を提供する、請求項10記載の胃貯留薬物送達系。
【請求項12】
系が水性媒体中に置かれたときに、即座に浮遊することができる、請求項10記載の胃貯留薬物送達系。
【請求項13】
膨張性コーティングが
(a)コーティング上に内圧を生成することができる物質を含有するコーティング組成物を適用することにより形成される第一コーティング、および
(b)フィルム形成ポリマーおよび一つ以上の膨張性組成物を含有するコーティング組成物を第一コーティングに適用することにより形成される第二膨張性コーティング
を含有する、請求項6記載のコーティングされたカプセルの形態における胃貯留系。
【請求項14】
請求項13記載の胃貯留系および一つ以上の治療的有効物質を含有する、胃貯留薬物送達系。
【請求項15】
乾燥粉末形態にて、または非溶媒ビヒクルに懸濁させて、膨張性成分を含有するコーティング組成物を適用することを特徴とする、錠剤またはカプセルコアをコーティングする方法。

【公表番号】特表2007−530530(P2007−530530A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504562(P2007−504562)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000091
【国際公開番号】WO2005/101983
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(503252832)サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LIMITED
【Fターム(参考)】