説明

胃酸の分泌を抑制するイミダゾピリジン誘導体

本発明は式I:



の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンに関し、Rは−CHCOOH又は−COOHであり、胃酸分泌の外因的又は内因的な刺激を抑制し、胃酸が関連する疾患及び胃腸炎症性疾患の予防及び治療に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規のイミダゾピリジン誘導体及びその薬学的に許容可能な塩に関し、胃酸分泌の外因的又は内因的な刺激を抑制する。前記化合物は胃腸炎症性疾患の予防及び治療に有用である。更なる態様においては、本発明は特に:置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジン及びその薬学的に許容可能な塩と;その調製方法と;活性成分として前記化合物を含む医薬組成物と;上に示した医学的用途のための薬剤の製造における前記化合物の使用と;に関する。
【背景技術】
【0002】
置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンは消化性潰瘍疾患の治療に有用であり、欧州特許0033094号、米国特許第4450164号、欧州特許第0204285号、米国特許第4725601号、国際公開第99/55706号、国際公開第99/55705号、国際公開第03/018582号、及び国際公開第2006/100119号によって、ならびに、「Journal of Medicinal Chemistry,vol.28,876−892,1985」及び「Journal of Medicinal Chemistry,vol.34,533−541,1991」のJ.J.Kaminskiらの刊行物によって既知である。
【0003】
胃酸ポンプ(H、K−ATPアーゼ)は「Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol,vol.35,277−305,1995」においてSachsらによって示されている。
【発明の概要】
【0004】
新規の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンが胃腸炎症性疾患の治療に、特に消化性潰瘍疾患の治療に有用であると見出された。前記置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンは迅速な作用発現、生体内での高い効力及び/又は長い活性期間、高い溶解性、ならびに高い溶解速度といったいくつかの都合の良い特性を呈する。その両性イオン性の特性のために、これらの化合物は酸性溶液及びアルカリ性溶液の双方において、可溶な塩を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
驚くべきことに、一般式I:


の新規の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンが特に、胃酸分泌の抑制物質として有効であることが見出されている。特に、本発明は、置換基Rが−CHCOOH又は−COOHである一般式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、及びその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0006】
処理条件に依存して、式Iによる置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンは、中性形態あるいは塩形態のいずれかで得られる。これらの化合物の中性形態及び塩形態の双方が本発明の範囲内にある。
【0007】
[方法]
本発明は更に、式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの製造方法を提供する。
【0008】
式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの製造方法は以下に詳細に記載される。
【0009】
式IIの出発物質である2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ−[l,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドは、例えば国際公開第02/20523号に開示の方法といった、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を用いて得られ、
a)式III:


の商業上入手可能な6−クロロ−5−ニトロニコチノイルクロリドは式R−OHのアルコールと反応可能であり、Rはメチル、エチル、イソプロピル等のアルキル基であり、以下の式IV:


の対応するエステルを与える。反応は一般的には標準状態で行われる。反応は一般的には標準状態で行われる。
【0010】
b)式IVの化合物はアンモニアと反応可能であり、以下の式Vの化合物を提供し、


はメチル、エチル、イソプロピル等のアルキル基である。反応は一般的には標準状態で行われる。
【0011】
c)式Vの化合物は例えば、水素ガス及びPd/Cといった水素化触媒を用いることによって水素化され、式VI:


の化合物を提供し、Rはメチル、エチル、イソプロピル等のアルキル基である。反応は一般的には不活性溶媒中で標準状態で行われる。
【0012】
d)Rがメチル、エチル、イソプロピル等のアルキル基である式VII:


のイミダゾ[1,2]ピリジンの化合物は式VIの化合物が、塩基の存在下で選択的に、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、及びジメチルホルムアミドといった不活性溶媒における標準状態下で3−クロロ−2−ブタノン又は3−ブロモ−2−ブタノンと反応させることを可能にすることによって調製される。
【0013】
e)式VIIのイミダゾ[1,2]ピリジンの化合物は次いで、Xがブロモ(Br)又はクロロ(Cl)である式VIII:


の化合物と反応させて、式IX:


を提供可能であり、Rはメチル、エチル、イソプロピル等のアルキル基である。この反応は一般的には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン等の有機アミンといった塩基の存在下で選択的に、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、及びジメチルホルムアミドといった不活性溶媒において標準状態下で実行される。
【0014】
f)式IXの化合物はエタノールアミンと反応させて、出発物質である式II:


の2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドを提供可能である。反応は一般的には、40℃ないし80℃といった高温で、純エタノールアミンにおいて、あるいはメタノール又はエタノールといった1以上の溶媒において反応物を加熱することによって実行される。反応はナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、及び1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU)といった、シアン化塩及び強塩基によって触媒される。
【0015】
本発明による、Rが−CHCOOH又は−COOHである式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの製造方法は、出発物質である2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドを、1ないし4当量のグルタル酸無水物及びコハク酸無水物から選択される無水物と反応させて、式Iの所望の化合物を提供可能にするステップを具える。反応は不活性溶媒又はその混合物で反応物を加熱することによって高温で実行される。好適な不活性溶媒は例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)、NMP(N−メチルピロリドン)、THF(テトラヒドロフラン)、シクロヘキサノンといった環式ケトン、ならびにアセトン及びメチルエチルケトンといった脂環式ケトンである。好適な反応温度の範囲は40℃ないし130℃、好適には60℃ないし120℃である。圧力の範囲は大気圧ないし5×10KPaにできる。反応後、生成物は例えば反応混合物からの結晶化を用いて分離されるか、あるいはアセトンのような好適な溶媒を用いて沈殿される。
【0016】
処理条件に依存して、式Iによる置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンは、中性形態あるいは塩形態のいずれかで得られる。両性イオン性の性質のため、式Iの化合物はpHが4以下で塩酸塩といった正に帯電したカチオンの形態であり、pHが8以上でカルボン酸塩アニオンといった負に帯電したアニオンの形態である一方、約5ないし7の範囲のpHで、化合物の中性形態は、化合物の誘電点が5ないし7のpH範囲で見出されうるため存在しうる。
【0017】
式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの塩の調製において、特に酸を添加した塩、好適には薬学的に許容可能な塩を形成可能な酸が用いられる。好適な酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ならびにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸といったスルホン酸である。
【0018】
ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩といったアルカリ塩の調製において、好適には薬学的に許容可能な塩を形成することが可能な塩基が用いられる。これらの塩は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化マグネシウム、及び酢酸マグネシウムといった塩基を用いることによって調製してもよい。
【0019】
[医学的用途]
更なる態様においては、本発明は治療における、式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの使用に関する。特に、本発明は胃酸分泌の抑制用、及び胃腸炎症性疾患、特に消化性潰瘍疾患の治療用の薬剤の製造における、式Iの置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの使用を提供する。
【0020】
本発明による置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの医学的効果は顕著であることが明らかにされた。ラットでの研究においては、ラットが本発明による1μmol/kgの化合物が投与された場合に、実施例1では100%、実施例2では70%の酸分泌の最大抑制が観察された。従って、これらの化合物はヒトを含む哺乳類において、胃炎、逆流性食道炎、ゾリンジャーエリソン症候群、ならびに胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を含む消化性潰瘍疾患といった、胃腸炎症性疾患及び胃酸が関連する疾患の予防及び治療のために用いることができる。更に、化合物は、胃腸分泌抑制効果が所望される他の消化器疾患の治療に、例えば、ガストリノーマの患者に、及び急性上部消化管出血の患者に用いることができる。化合物は更に、胸やけ及び他の胃食道逆流症(GERD)の症状、吐出、短期間及び長期間の酸逆流症の対応、ならびに嘔気の有効な制御及び治療のために用いることができる。化合物は更に、集中治療の状況で、ならびに手術前及び手術後に、患者に用いて、酸の吸引及びストレス性潰瘍を予防できる。
【0021】
両性イオン性の特徴は特に、好適な物理的特性を本発明の化合物に提供する。これらの特性によって、化合物は様々な医薬組成物に好適となる。本発明による化合物の溶解度は酸性の器官(media)において(例えば、胃において)良好であり、即放性(IR)製剤で有効である。中性のpHでは、本発明による化合物、例えば双性イオンの溶解度は低く、徐放性(ER)製剤に用いることができる。塩基性のpHでは、本発明による化合物はアニオン性の形態であり、溶解度が良好であり、特に静注製剤に好適である。
【0022】
生体内投与後に、本発明による化合物は主要な代謝産物としてリナプラザン(linaprazan)を生成する。リナプラザンは胃酸分泌の既知の抑制物質である。従って、本発明の化合物は更に、リナプラザン用のプロドラッグとして作用する。
【0023】
薬学的な活性物質としての本発明による化合物の一般的な1日量は広範囲で変化し、例えば各患者の個別の要求、投与経路、及び治療すべき病気といった様々な因子に依存する。一般的には、経口投与量及び非経口投与量の範囲は1日につき5ないし500mg、好適には10ないし60mg、例えば40mgの活性物質である。
【0024】
本発明の化合物は別個の要求及び疾患に依存して、連続治療ならびにオンデマンド型の治療で患者に投与できる。本発明の化合物によって、胃酸が関連する疾患及び/又は胃腸炎症性疾患に罹患する個体の生活の質を改善する可能性が提供される。
【0025】
本発明の化合物は別個の要求及び疾患に依存して、連続治療ならびにオンデマンド型の治療で、ヒトの患者あるいはウマ、イヌ、ネコ等といった非ヒト哺乳類の患者に投与してもよい。
【0026】
[医薬組成物]
更なる態様においては、本発明は活性成分として本発明の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物に関する。
【0027】
治療用途においては、本発明の化合物は経口、直腸、非経口、あるいは他のモードでの投与用の医薬組成物に調合される。医薬組成物は1以上の薬学的に許容可能な成分/賦形剤と組合わせた本発明の物質を含む。医薬組成物は固体、半流動性、液体の希釈剤の形態で担体を含んでもよく、医薬組成物をカプセル内に含んでもよい。
【0028】
これらの薬学的な調製は更に本発明の目的である。一般的には、医薬組成物における本発明の化合物の量は、経口投与用の調製時には0.1ないし90重量パーセント、好適には0.1ないし20重量パーセントである。
【0029】
本発明による医薬組成物の調製は、経口投与用の投薬単位の形態においては、本発明による化合物がラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチン、又は別の好適な成分といった当該技術分野に既知の固体粉末成分、ならびに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ナトリウムステアリルフマラート、及びポリエチレングリコールのろうといった崩壊剤及び平滑剤と混合させるステップを具える。混合物は次いで当該技術分野で既知の任意の好適な方法を用いて、顆粒に処理されるか、あるいは錠剤にプレス成形される。
【0030】
軟質のゼラチンカプセルは、本発明の化合物、植物油、脂肪又は軟質のゼラチンカプセル用の他の好適な溶媒を含むカプセルで調製してもよい。硬質のゼラチンカプセルは本発明の化合物の顆粒を含んでもよい。硬質のゼラチンカプセルは更に、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、又はゼラチンといった固体粉末成分と組合わせた本発明の化合物を含んでもよい。
【0031】
直腸投与用の単位剤形は:
(i)坐剤の形態であって、中性脂肪基剤と混合した本発明の化合物を含む形態で;
(ii)直腸用のゼラチンカプセルの形態であって、植物油、パラフィン油、又は直腸用のゼラチンカプセル用の他の好適な溶媒との混合物において本発明の化合物を含む形態で;
(iii)既製のマイクロ浣腸剤(micro−enema)の形態で;あるいは
(iv)マイクロ浣腸剤の乾燥製剤の形態であって、投与の直前に好適な溶媒に再構成される形態で;
調製してもよい。
【0032】
経口投与用の液体調製物は、例えば:0.1重量パーセントないし20重量パーセントの本発明の化合物と;糖又は糖アルコール、ならびにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールの混合物とからなる残余成分と;を含む溶液又は懸濁液などの、シロップ又は懸濁液の形態で調製してもよい。所望の場合は、このような液体調製物は着色剤、香味料、糖、及びカルボキシメチルセルロース、あるいは他の増粘剤を含んでもよい。経口投与用の液体調製物は更に乾燥粉末の形態で調製して、使用前に好適な溶媒で再構成してもよい。
【0033】
非経口投与用の溶液は、薬学的に許容可能な溶媒における本発明の化合物の溶液として、好適には0.1重量パーセントないし10重量パーセントの濃度で調製できる。これらの溶液は更に安定化成分及び/又は緩衝成分を含んでもよく、アンプル又はバイアルの形態で単位用量に調剤される。非経口投与用の溶液は更に乾燥調製物として調製して、使用前に即時に好適な溶媒で再構成してもよい。
【0034】
本発明による化合物は更に、例えばヒト胃粘膜のピロリ菌による汚染に関与する状態の治療又は予防のために、他の活性成分とともに製剤を用いてもよい。このような他の活性成分は抗菌剤であり、特に:
・アモキシシリン、アンピシリン、セファロチン、セファクロール、又はセフィキシムといったBラクタム系抗生物質;
・エリスロマイシン、又はクラリスロマイシンといったマクロライド;
・ゲンタマイシン、カナマイシン、又はアミカシンといったアミノグリコシド;
・ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、又はエノキサシンといったキノロン;
・メトロニダゾール、ニトロフラントイン、又はクロラムフェニコールといった他の抗生物質;あるいは
・次クエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次硝酸ビスマス、又は次没食子酸ビスマスといったビスマス塩を含む調合物;
であってもよい。
【0035】
本発明による化合物は更に水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、及び水酸化マグネシウム又はアルギン酸といった制酸剤とともに、同時使用、別個使用、又は連続使用のために一緒に又は組合わせて用いてもよく、あるいはH2ブロッカ(例えば、シメチジン、ラニチジン)、H−ATPアーゼ抑制物質(例えば、オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、又はテナトプラゾール)といった酸分泌を抑制する医薬品とともに、同時使用、別個使用、又は連続使用のために一緒に又は組合わせて用いてもよく、あるいは胃腸運動促進薬(例えば、シサプリド又はモサプリド)とともに、同時使用、別個使用、又は連続使用のために一緒に又は組合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明による化合物は更に、例えば薬剤誘発型の胃潰瘍に関与する状態を治療又は予防するための他の活性成分とともに、同時使用、別個使用、又は連続使用のために一緒に又は組合わせて用いてもよい。このような他の活性成分はNSAID、NO放出型NSAID、COX−2−抑制物質、又はビスホスホナートであってもよい。
【0037】
本発明による化合物は更に、CCK2遮断薬といったガストリン遮断薬とともに、同時使用、別個使用、又は連続使用のために一緒に又は組合わせて用いてもよい。
【0038】
本発明による化合物は好適には、ヒト又は非ヒト哺乳類における胃酸が関連する疾患、胃腸炎症性疾患、胸やけ、症候性GERD、びらん性食道炎、消化性潰瘍疾患、吐出、酸逆流症、又は嘔気の治療及び/又は予防の方法で用いられ、必要に応じて、有効量の本発明による化合物をヒト又は非ヒト哺乳類に投与するステップを具える。
【0039】
本発明は以下の実施例で更に詳細に例示されるが、本発明の範囲を実施例のみに限定することを目的とするものでがないことは当該技術分野の当業者に明らかである。
【実施例1】
【0040】
〈5−{2−[({8−[(2,6−ジメチルベンジル)アミノ]−2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル}カルボニル)アミノ]エトキシ}−5−オキソペンタン酸の調製〉


2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミド(2.0g、5.46mmol:国際公開第02/20523号による方法を用いて取得)及びグルタル酸無水物(0.95g、8.33mmol)はDMF(10ml)に添加した。混合物は80℃まで加熱し、この温度で16時間攪拌した。アセトン(20ml)を反応混合物に添加し、これによって生成物が結晶化し始めた。混合物は室温に冷却した。4時間後、生成物を濾過しアセトン(20ml)で洗浄した。2.25g(86%)の表題の化合物が得られた。化合物の構造はH−NMRスペクトルで確認した。
【0041】
H−NMR(300MHz,DMSO):δ1.73(m,2H)、2.2−2.4(m,16H)、3.52(m,2H)、4.18(t,2H)、4.36(d,2H)、4.99(t,1H)、6.67(s,1H)、7.0−7.2(m,3H)、8.04(s,1H)、8.56(t,1H)、12.10(bs,1H)。
【実施例2】
【0042】
〈4−{2−[({8−[(2,6−ジメチルベンジル)アミノ]−2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル}カルボニル)アミノ]エトキシ}−4−オキソブタン酸の調製〉


2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミド(250mg、0.680mmol:国際公開第02/20523号による方法を用いて取得)及びコハク酸無水物(150mg、1.50mmol)はDMF(2ml)に添加した。混合物は70℃で16時間攪拌した。アセトン(7ml)を添加し、混合物は室温に冷却した。数時間後、室温で攪拌し、生成物を濾過しアセトン(10ml)で洗浄した。280mg(88%)の表題の化合物が得られた。化合物の構造はH−NMRスペクトルで確認した。
【0043】
H−NMR(300MHz,DMSO):δ2.22(s, 3H)、2.33(s,6H)、2,37(s,3H)、2.45−2.50(m,4H)、3.51(m,2H)、4.16(t,2H)、4.36(d,2H)、4.99(t,1H)、6.67(s,1H)、7.0−7.2(m,3H)、8.04(s,1H)、3.55(t,1H)、12.21(s,1H)。
【実施例3】
【0044】
〈出発物質である2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドの調製〉
イソプロピル−8−[(2,6−ジメチルベンジル)アミノ]−2.3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボン酸(5g、14mmol:国際公開第02/20523号に記載のように取得)、エタノールアミン(2.0g、33mmol)、及び1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU:1.5g、10mmol)はメタノール(25ml)に溶解した。混合物は一晩還流した。反応混合物は5℃に冷却した。固体生成物は濾過され、メタノール(15ml)で洗浄した。4.2g(84%)の表題の化合物が白色固体として得られた。化合物の構造はH−NMRスペクトルで確認した。
【0045】
H−NMR(300MHz,DMSO):δ2.23(s,3H)、2.34(s,6H)、2.37(s,2H)、3.3−3.4(m,2H)、3.5−3.6(m,2H)、4.37(d,2H)、4.77(t,1H)、4.97(t,1H)、6.71(s,1H)、7.0−7.2(m,3H)、8.08(s,1H)、8.44(t,1H)。
【0046】
[生物学的効果]
化合物の生物学的効果を確認するために本発明による化合物の生物学的試験が生体内実験で行われた。
【0047】
[雌ラットにおける酸分泌の抑制効果]
Sprague−Dawley株の雌ラットを用いた。胃液分泌物の収集及びテスト物質の投与のために、それぞれ胃(内腔)及び十二指腸の上部にカニューレ処理したフィステルを配備した。手術後14日の回復期間を試験開始前に与えた。
【0048】
分泌試験の前に、動物は20時間絶食し水を与えた。胃は、胃のカニューレを介して水道水で洗浄され(+37℃)、6mlのグルコースリンガー液(Ringer−Glucose)が皮下に与えられた。酸分泌は2.5ないし4時間ペンタガストリン(20nmol/kg・h)とカルバコール(110nmol/kg・h)とを注入(皮下で1.2ml/h)して刺激し、その時間中、胃液分泌物は30分区画で収集した。試験物質又は溶媒は刺激開始後60分(静脈内及び十二指腸内投与で1ml/kg)、あるいは刺激開始2時間前(経口投与、5ml/kg、胃のカニューレを閉塞)のいずれかで与えた。投与と刺激との間の時間間隔は作用の期間を調べるために増加しうる。胃液のサンプルは0.1MのNaOHでpH7.0に滴定され、酸の生成量は滴定量と濃度との積で算出した。
【0049】
更なる計算は4ないし6匹のラットの群の平均応答に基づいた。刺激中の投与の場合においては、試験物質又は溶媒の投与後の期間中の酸の生成量は、わずかな応答として呈示され、30分の期間の前述の投与において、酸の生成量が1.0であった。抑制の割合は試験化合物及び溶媒によって誘発されたわずかな応答から算出した。刺激前の投与の場合においては、抑制の割合は試験化合物及び溶媒の後に記録した酸の生成量から直接的に算出した。ペンタガストリン刺激性の酸の分泌は、双方の本発明の化合物を用いたラットで抑制され、経口でのlμmol/kgの投与後は70%を超えた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:


の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジン又はその薬学的に許容可能な塩であって、Rが−CHCOOH又は−COOHであることを特徴とする、置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジン。
【請求項2】
5−{2−[({8−[(2,6−ジメチルベンジル)アミノ]−2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル}カルボニル)−アミノ]エトキシ}−5−オキソペンタン酸。
【請求項3】
4−{2−[({8−[(2,6−ジメチルベンジル)アミノ]−2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル}カルボニル)−アミノ]エトキシ}−4−オキソブタン酸。
【請求項4】
請求項1に記載の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンを調製する方法であって、式II:


の2,3−ジメチル−8−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−N−ヒドロキシエチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドが40℃ないし130℃の温度で、グルタル酸無水物及びコハク酸無水物から選択される無水物と溶媒中で反応させることが可能なことで特徴づけられる方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記溶媒がジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、環式ケトン、及び脂環式ケトンから選択されることで特徴づけられる方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法において、前記方法が大気圧ないし5×10Kpaの範囲の圧力下で行われることで特徴づけられる方法。
【請求項7】
請求項1に記載の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンを含む医薬組成物であって、薬学的に許容可能な希釈剤又は担体と組合わせることを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の置換型のイミダゾ[1,2−a]ピリジンの使用であって、胃酸が関連する疾患、胃腸炎症性疾患、症候性GERD、びらん性食道炎、消化性潰瘍疾患、胸やけ、吐出、酸逆流症、及び嘔気の治療及び予防のための薬剤の製造用であることを特徴とする使用。


【公表番号】特表2012−510505(P2012−510505A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539063(P2011−539063)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050861
【国際公開番号】WO2010/063876
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511130689)
【Fターム(参考)】