説明

胃酸分泌阻害剤としてのスピロベンゾイミダゾール

本発明は、式(1)で示され、その式中、置換基及び記号が発明の詳細な説明中に定義される化合物を提供する。該化合物は、胃酸の分泌を阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の製造のための有効化合物として製薬工業において使用される新規化合物に関する。
【0002】
背景技術
欧州特許出願第266326号(米国特許第5,106,862号に相当する)において、非常に広範な様々な置換基を有するベンゾイミダゾール誘導体が開示されており、これらは抗潰瘍剤として有効であると言われている。国際特許出願WO97/47603号(Astra AB)において、特定のベンジルオキシ置換又はベンジルアミノ置換を有するベンズイミダゾールが記載されている。
【0003】
国際特許出願WO04/054984号は、胃腸疾病の治療に有用な化合物である置換された二環式のベンゾイミダゾール誘導体を開示している。
【0004】
国際特許出願WO04/087701号は、ベンゾイミダゾール部の5位に種々の置換基を有する三環式のベンゾイミダゾール誘導体であって、同様に胃腸疾病の治療に有用な化合物である誘導体を開示している。
【0005】
国際特許出願WO05/058893号及びWO05/103057号は、三環式の環系の6位及び7位に置換基を有する三環式のベンゾイミダゾール誘導体を開示しており、これらの化合物は同様に胃腸疾患の治療に有用である。
【0006】
国際特許出願WO05/121139号は、三環式の環系の5位、6位及び7位に置換基を有する三環式のベンゾイミダゾール誘導体を開示しており、これらの化合物は同様に胃腸疾患の治療に有用である。
【0007】
本発明の技術的課題の開示
胃酸分泌をH+/K+−ATPアーゼの遮断により阻害する全体の一連の化合物は先行技術から公知である。プロトンポンプインヒビター(PPI)として呼称される化合物、例えばオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール又はラベプラゾールは、H+/K+−ATPアーゼに不可逆的に結合する。PPIは、既に長期にわたり治療薬として利用されている。可逆的プロトンポンプインヒビター(rPPI)又はアシッドポンプアンタゴニスト(APA)又はカリウム拮抗性アシッドブロッカー(P−CAB)と呼称される新規の化合物クラスは、H+/K+−ATPアーゼに可逆的に結合する。rPPI、APA及びP−CABは20年以上知られていて、多くの企業がその開発に携わっているが、どのrPPI、APA又はP−CABも現在でも治療に利用されていない。従って、本発明の基礎を成す技術的課題は、治療に使用できるアシッドポンプアンタゴニストを提供することである。
【0008】
技術的解決
本発明は、式1
【化1】

[式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、フルオロ−C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル又はフルオロ−C1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲン、フルオロ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ、C2〜C4−アルケニルオキシ、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル−C1〜C4−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、ハロ−C1〜C4−アルコキシ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノ又はスルホニルからなる群から選択される同一又は異なる置換基である]で示される化合物並びにそれらの塩に関する。
【0009】
1〜C4−アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、エチル基及びメチル基である。
【0010】
3〜C7−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを表し、そのうちシクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが有利である。
【0011】
3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキルは、前記のC3〜C7−シクロアルキル基の1つによって置換されている前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル及びシクロヘキシルエチル基である。
【0012】
1〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0013】
1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルは、前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つにより置換された前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、メトキシメチル基、メトキシエチル基、特に2−メトキシエチル基、エトキシエチル基、特に2−エトキシエチル基、及びブトキシエチル基、特に2−ブトキシエチル基である。
【0014】
1〜C4−アルコキシカルボニル(−CO−C1〜C4−アルコキシ)は、前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つが結合されたカルボニル基を表す。挙げられる例は、メトキシカルボニル(CH3O−C(O)−)及びエトキシカルボニル(CH3CH2O−C(O)−)基である。
【0015】
2〜C4−アルケニルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル基を表す。挙げられる例は、2−ブテニル、3−ブテニル、1−プロペニル及び2−プロペニル基(アリル基)である。
【0016】
2〜C4−アルキニルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキニル基を表す。挙げられる例は、2−ブチニル、3−ブチニル、及び有利に2−プロピニル基(プロパルギル基)である。
【0017】
フルオロ−C1〜C4−アルキルは、1つ又は複数のフッ素原子により置換されている前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基又は2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0018】
ヒドロキシ−C1〜C4−アルキルは、ヒドロキシル基で置換された前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、(2S)−2−ヒドロキシプロピル基及び(2R)−2−ヒドロキシプロピル基である。本発明の範囲内でのヒドロキシ−C1〜C4−アルキルは、例えば2個以上のヒドロキシ基によって置換されたC1〜C4−アルキル基であると解される。挙げられる例は、3,4−ジ−ヒドロキシブチル基、特に2,3−ジヒドロキシプロピル基である。
【0019】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは臭素、塩素及びフッ素である。
【0020】
1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシは、他のC1〜C4−アルコキシ基により置換された前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つを表す。挙げられる例は、2−(メトキシ)エトキシ(CH3−O−CH2−CH2−O−)及び2−(エトキシ)エトキシ(CH3−CH2−O−CH2−CH2−O−)基である。
【0021】
1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルは、前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つにより置換された前記のC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、2−(メトキシ)エトキシメチル(CH3−O−CH2−CH2−O−CH2−)基である。
【0022】
フルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルは、フルオロ−C1〜C4−アルコキシ基により置換された前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。この場合、フルオロ−C1〜C4−アルコキシは、1個又はそれ以上のフッ素原子によって置換された前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つを表す。フッ素置換されたC1〜C4−アルコキシ基の挙げられる例は、2−フルオロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基、2−トリフルオロメチル−2−プロポキシ基、1,1,1−トリフルオロ−2−プロポキシ基、ペルフルオロ−t−ブトキシ基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブトキシ基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、ペルフルオロエトキシ基又は1,2,2−トリフルオロエトキシ基であり、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基又はトリフルオロメトキシ基及び有利にジフルオロメトキシ基である。挙げられるフルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル基の例は、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシメチル基、2,2,2−トリフルオロエトキシメチル基、トリフルオロメトキシメチル基、2−フルオロエトキシエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシエチル基、2,2,2−トリフルオロエトキシエチル基、トリフルオロメトキシエチル基であり、有利にはジフルオロメトキシメチル基及びジフルオロメトキシエチル基である。
【0023】
1〜C4−アルキルカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC1〜C4−アルキル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、アセチル基である。
【0024】
1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルは、C1〜C4−アルキルカルボニル基によって置換された前記のC1〜C4−アルキル基を表す。挙げられる例は、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基、2−オキソペンチル基、3−オキソブチル基又は3−オキソペンチル基である。
【0025】
ヒドロキシ−C1〜C4−アルコキシは、ヒドロキシル基で置換された前記のC1〜C4−アルコキシ基を表す。挙げられる有利な例は、2−ヒドロキシエトキシ基である。
【0026】
2〜C4−アルケニルオキシは、酸素原子の他に前記のC2〜C4−アルケニル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、2−ブテニルオキシ、3−ブテニルオキシ、1−プロペニルオキシ及び2−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)である。
【0027】
カルボキシ−C1〜C4−アルキルは、カルボキシル基により置換されたC1〜C4−アルキル基を表す。挙げられる例は、カルボキシメチル及び2−カルボキシエチル基である。
【0028】
1〜C4−アルコキシカルボニル−C1〜C4−アルキルは、前記のC1〜C4−アルコキシカルボニル基の1つによって置換されているC1〜C4−アルキル基を表す。挙げられる例は、メトキシカルボニルメチル基及びエトキシカルボニルメチル基である。
【0029】
ハロゲン−C1〜C4−アルコキシは、完全にもしくは主にハロゲンにより置換されているC1〜C4−アルコキシ基を表す。本願明細書中の"主に"とは、C1〜C4−アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがハロゲン原子により置換されていることを意味する。ハロゲン−C1〜C4−アルコキシ基は、第一に塩素及び/又は殊にフッ素置換されたC1〜C4−アルコキシ基である。ハロゲン置換されたC1〜C4−アルコキシ基の挙げられる例は、2,2,2−トリクロロエトキシ、ヘキサクロロイソプロポキシ、ペンタクロロイソプロポキシ、1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロポキシ、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシ、1,1,1−トリクロロ−2−プロポキシ、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−2−プロポキシ、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−2−ブトキシ、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブトキシ、クロロジフルオロメトキシ、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ、2−トリフルオロメチル−2−プロポキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−プロポキシ、ペルフルオロ−t−ブトキシ、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブトキシ、4,4,4−トリフルオロ−1−ブトキシ、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ペルフルオロエトキシ、1,2,2−トリフルオロエトキシ、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ及び有利にはジフルオロメトキシ基である。
【0030】
モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノは、上記のC1〜C4−アルキル基からの又は2個の同じ又は異なる基により置換されたアミノ基を表す。挙げられる例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジイソプロピルアミノ基である。
【0031】
1〜C4−アルキルカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC1〜C4−アルキル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、アセチル基である。
【0032】
1〜C4−アルキルカルボニルアミノは、C1〜C4−アルキルカルボニル基が結合しているアミノ基を表す。挙げられる例は、プロピオニルアミノ(C37C(O)NH−)基及びアセチルアミノ(アセトアミド、CH3C(O)NH−)基である。
【0033】
1〜C4−アルコキシカルボニルアミノは、上記のC1〜C4−アルコキシカルボニル基の1つにより置換されたアミノ基を表す。挙げられる例は、エトキシカルボニルアミノ基及びメトキシカルボニルアミノ基である。
【0034】
1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシカルボニルは、前記のC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ基の1つと結合するカルボニル基を表す。挙げられる例は、2−(メトキシ)エトキシカルボニル(CH3−O−CH2CH2−O−CO−)及び2−(エトキシ)エトキシカルボニル(CH3CH2−O−CH2CH2−O−CO−)基である。
【0035】
1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノは、上記のC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシカルボニル基の1つにより置換されたアミノ基を表す。挙げられる例は、2−(メトキシ)エトキシカルボニルアミノ基及び2−(エトキシ)エトキシカルボニルアミノ基である。
【0036】
ヒドロキシピロリジノは、ヒドロキシ基によって置換されたピロリジノ基を表す。挙げられる例は、2−ヒドロキシピロリジノ基及び3−ヒドロキシピロリジノ基である。
【0037】
ヒドロキシアゼチジノは、ヒドロキシ基によって置換されたアゼチジノ基を表す。挙げられる例は、3−ヒドロキシアゼチジノ基である。
【0038】
フルオロアゼチジノは、フルオロ原子によって置換されたアゼチジノ基を表す。挙げられる例は、(2S)−及び(2R)−フルオロアゼチジノ基、特に3−フルオロアゼチジノ基である。
【0039】
N−C1〜C4−アルキルピペラジノは、ピペラジノ窒素原子の1つが、前記のC1〜C4−アルキル基の1つによって置換されているピペラジノ基を表す。挙げられる例は、4−メチルピペラジノ基、4−エチルピペラジノ基及び4−イソプロピルピペラジノ基である。
【0040】
式1の化合物の可能な塩は、(置換基に依存して)特に全ての酸付加塩である。薬学で慣用に使用される無機酸及び有機酸の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。これらの好適なものは、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などの酸との水溶性又は非水溶性の酸付加塩であり、前記酸は、この酸が一塩基酸であるか又は多塩基酸であるかに依存して、及びどの塩が所望であるかに依存して、塩の製造において等モル量比又は等モルではない量比で使用される。
【0041】
本発明による式1の化合物の塩は、遊離の化合物を所望の酸を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸がその後に添加される溶剤中に、必要に応じて加熱後に溶解させることによって得られる。酸は、塩の調製において、一塩基性もしくは多塩基性の酸のいずれであるかと、どの塩が所望されているかに依存して、等モルの定量比又はそれとは異なる比で使用することができる。それらの塩は、例えば溶剤の蒸発によって、又は冷却による沈殿によって、再沈殿によって、又は塩用の非溶剤による沈殿と、沈殿後の、例えば濾過による塩の分離によって得られる。
【0042】
例えば、本発明による化合物の工業的規模での製造におけるプロセス生成物として最初に得ることができる薬理学的に非認容性の塩は、当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0043】
本発明による化合物及びその塩は、例えばこれらが結晶形で単離される場合に種々の溶剤量を有してよいことは当業者には知られている。従ってまた本発明は、式1の化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式1の化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物を包含する。
【0044】
式1の化合物は、基本骨格の8位のスピロ炭素原子にキラル中心を有してよい。係るキラル中心の発生は、置換基R4及びR5の性質及び位置に依存する。キラル中心は、例えばR4がR5と異なる場合に生ずる。従って、本発明は、相互の全ての所望の混合比での、考えられる全ての立体異性体、例えば本発明の有利な対象である純粋な立体異性体に関する。
【0045】
従って、本発明は、以下の式1の立体異性体全てに関する:
【化2】

【0046】
本発明による式1の化合物並びに塩の純粋な立体異性体は、例えば不斉合成によって、合成においてキラル出発化合物を使用することによって、そして合成で得られる立体異性体混合物を分割することによって得ることができる。有利には、式1の化合物の純粋な立体異性体は、キラル出発化合物を使用することによって得られる。
【0047】
式1の化合物の立体異性体混合物は、当業者に公知の方法によって純粋な立体異性体に分割することができる。有利には、その混合物は、クロマトグラフィー又は(分別)結晶化によって分離される。エナンチオマー混合物については、その分割は、有利には、キラル酸のようなキラル添加剤を添加することによってジアステレオマー塩を形成させ、引き続き該塩を分割して、その塩から所望の化合物を遊離させることによって行われる。選択的に、キラル補助試薬での誘導体化は、ジアステレオマー分離とキラル補助基の除去を引き続き行うことによって実施できる。更に、エナンチオマー混合物は、キラル分離カラムを使用してクロマトグラフィーによって分離することができる。エナンチオマー混合物の分離のためのもう一つの好適な方法は、酵素的分離である。
【0048】
強調されるべき本発明の一実施態様(実施態様1)は、式1で示され、その式中、R4及びR5がそれぞれ水素である化合物並びにそれらの塩である。強調されるべき本発明のもう一つの実施態様(実施態様2)は、式1で示され、その式中、R1がC1〜C4−アルキルである化合物並びにそれらの塩である。
【0049】
強調されるべき本発明のもう一つの実施態様(実施態様3)は、式1で示され、その式中、R2が水素又はC1〜C4−アルキルである化合物並びにそれらの塩である。
【0050】
強調されるべき本発明のもう一つの実施態様(実施態様4)は、式1で示され、その式中、
R3は、基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基である、化合物並びにそれらの塩である。
【0051】
特に強調されるべき本発明の一実施態様(実施態様5)は、式1で示され、その式中、R1がメチルである化合物並びにそれらの塩である。
【0052】
特に強調されるべき本発明のもう一つの実施態様(実施態様6)は、式1で示され、その式中、R2が水素又はメチルである化合物並びにそれらの塩である。
【0053】
また、本発明は、式1で示され、その式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、フルオロ−C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル又はフルオロ−C1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲン、フルオロ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ、C2〜C4−アルケニルオキシ、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル−C1〜C4−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、ハロ−C1〜C4−アルコキシ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノ又はスルホニルからなる群から選択される同一又は異なる置換基である、化合物並びにそれらの塩に関する。
【0054】
挙げられるべき式1の化合物は、式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はヒドロキシル−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル又はフルオロ−C1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲン、フルオロ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル又はハロゲンからなる群から選択される同一又は異なる置換基である、化合物並びにそれらの塩である。
【0055】
また、挙げられるべき式1の化合物は、式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はヒドロキシル−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル又はフルオロ−C1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲン、フルオロ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル又はハロゲンからなる群から選択される同一又は異なる置換基である、化合物並びにそれらの塩である。
【0056】
特に挙げられるべき式1の化合物は、式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC2〜C4−アルケニルハロゲンであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル又はハロゲンからなる群から選択される同一又は異なる置換基である、化合物並びにそれらの塩である。
【0057】
また、特に挙げられるべき式1の化合物は、式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル又はハロゲンからなる群から選択される同一又は異なる置換基である、化合物並びにそれらの塩である。
【0058】
強調されるべき式1の化合物は、式中、
R1は、C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル又はC2〜C4−アルケニルであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素又はC1〜C7−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、化合物並びにそれらの塩である。
【0059】
また、強調されるべき式1の化合物は、式中、
R1は、C1〜C4−アルキルであり、
R2は、C1〜C4−アルキルであり、
R3は、基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素又はC1〜C7−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、アゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、化合物並びにそれらの塩である。
【0060】
また、強調されるべき式1の化合物は、式中、
R1は、C1〜C4−アルキルであり、
R2は、C1〜C4−アルキルであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C7−アルキルであり、かつ
R32は、水素又はC1〜C7−アルキルであり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、化合物並びにそれらの塩である。
【0061】
また、特に強調されるべき式1の化合物は、式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、メチル、シクロプロピル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル又は2−オキソ−プロピルであり、かつ
R32は、水素又はメチルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、アゼチジノ基、3−フルオロアゼチジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、化合物並びにそれらの塩である。
【0062】
本発明による好ましい例は、式1で示され、その式中、R1、R2、R3、R4及びR5が、表Aに示される意味を有する化合物(Me=CH3、Et=C25)並びにこれらの化合物の塩である。これらの化合物は、例として最終生成物として記載されるか、又は例えば以下に記載される方法工程を使用して同様に製造することができる。
【0063】
表A:
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
本発明による化合物は、例として記載される化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0066】
本発明による化合物を、例えば以下に示す反応式に従って、相応する出発化合物から合成することができる。合成を、当業者に公知の方法で、例えば以下の実施例においてより詳細に記載されているように実施する。
【0067】
反応式1に概説されるように、式1の化合物は、相応の式2の化合物中のカルボニル基を、当業者に広く知られた方法によって、例えばトリエチルシラン/トリフルオロ酢酸を使用するか(West他著のJ.Org.Chem.1973,38,2675−2681)又は、水素化アルミニウムリチウムを使用して、R3がこの条件下で還元され得ない場合に、例えばR3=水素である場合に、還元することによって得ることができる。
【0068】
反応式1
【化3】

【0069】
式2の化合物は、例えば反応式2に概説するようにして製造することができる。第一工程において、式3のケトンを、式4のスピロ−アミノ酸誘導体(式中、Yは、好適な離脱基、例えばC1〜C4−アルコキシ基、例えばエトキシ基)と反応させて、式5の化合物を得る。第二工程において、式5の化合物を、標準的手順によって、好適な酸化剤(例えばクロラニル又は2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン)を使用して酸化させて、式2の化合物を得る。
【0070】
反応式2
【化4】

【0071】
式3のケトンは、例えば反応式3に示されるように、式7の化合物を第一級アミン(R2≠H)又はアンモニア(R2=H)の存在下に当業者に公知の条件下で環化反応を実施して製造することができる。式7の化合物の製造は、当業者に公知の幾つかの方法論;反応式3に概説される2つの例によって達成できる。式6のアゾ化合物の還元と引き続いてのアシル化は、当業者に公知のようにして、例えばA.Treibs,R.ZinsmeisterによってChem.Ber.1957,90,87−92に記載されるようにして実施される。選択的に、式8の芳香族化合物を、強還元剤によって還元して、引き続き、例えばKuehne,LambertによってOrg.Synth.;Coll.Vol.V,(1973),400に記載されるようにして又はA.Mann,C.HumbletによってJ.Med.Chem.,(1985)、28,1440−1446に記載されるようにして酸性後処理を行うことができる。式6又は式8の化合物は、例えば特許FR2242984号又はAllan,Collect.Czech.Chem.Commun.1966,31,4129から公知であるか又は該化合物は、同様の方法工程を用いて製造することができる。
【0072】
反応式3
【化5】

【0073】
反応式4に概説されるように、一般式4の所望のβ−アミノ酸誘導体は、式9で示され、その式中、Yが好適な離脱基、例えばC1〜C4−アルコキシ基、例えばエトキシ基である相応のβ−ヒドロキシ酸から、当業者に広く知られた方法によって、例えばRitter反応によって、例えばOrg.React.1969,17,213に記載される方法と同様にして製造することができる。式9の化合物は、当業者に公知である、例えばJ.Chem.Soc.1960,4115から公知であり、又は前記化合物は、同様の方法工程を使用して製造することができる。アセトニトリルをRitter反応において使用すれば、式4*で示され、PGがアセチルであるβ−アミノ酸が得られる。式4*の化合物中の保護基PGを、次いで、アミノ官能基から、当業者に公知の方法によって開裂することができる、例えばPGがアセチル基である場合には、前記保護基は、酸加水分解によって開裂して、式4の化合物を得ることができる。基Yは、当業者に公知の標準的手順によって、例えばエステル化によって任意の他の基Yに変換することができる。
【0074】
反応式4
【化6】

【0075】
前記の反応式により得られる化合物の誘導体化(例えばある基R3を別の基R3に変換すること、又はヒドロキシル基をアルコキシ基又はエステル基に変換すること)が必要であれば、それは同様に自体公知のように実施される。例えば、式1で示され、その式中、R3が−CO−NR31R32である化合物が望ましいのであれば、好適な誘導体化は、自体公知のように(例えばエステル又はカルボン酸をアミドに変換する)、有利には式1の化合物の段階で又はその任意の中間体の段階で実施することができる。
【0076】
上記に概説される反応工程は、例えば実施例でより詳細に記載されるような自体公知の方法で実施される。
【0077】
更に、本発明は、上記の式2、4及び5で示される化合物であって、本発明による式1の化合物の製造方法における中間体である化合物に関する。R1、R2、R3、R4、R5は、式1の化合物についてと同様に定義され、かつYは、好適な離脱基、有利にはC1〜C4−アルコキシ基である。
【0078】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、本発明による化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。本発明に記載される全ての合成経路並びに全ての他の可能な合成経路も、本発明の部分である。
【0079】
優れた効果
本発明による化合物の優れた胃保護作用及び胃酸分泌阻害作用を動物実験モデルによる検査において示すことができる。実施例では、以下に記載するモデルで検査した本発明による式1の化合物に、これらの化合物の番号に相応する番号を付した。
【0080】
潅流されるラット胃に対する分泌阻害作用の試験
以下の第A表に、インビボでの、十二指腸内投与後の潅流されるラット胃のペンタガストリンにより刺激される酸分泌に対する本発明による式1の化合物の影響を示す。
【0081】
表A
【表3】

【0082】
方法
麻酔処理したラット(CDラット、メス、200〜250g;1.5g/kg i.m.ウレタン)の腹部を気管切開後に正中上腹部切開により開放し、かつPVCカテーテルを経口により食道に固定し、かつチューブの端部がちょうど胃管腔に設置されるように幽門を介してもう1つのカテーテルを固定した。幽門から通るカテーテルは側方の開放部を通って外側の右腹壁に通じていた。
【0083】
完全に洗浄した後(約50〜100ml)、暖かい(37℃)生理NaCl溶液を連続的に胃に通過させた(0.5ml/分、pH6.8〜6.9;Braun−Unita I)。pH(pHメーター632、ガラス電極EA147;φ=5mm、Metrohm)及び、新たに調製した0.01NのNaOH溶液で滴定し、pH7(Dosimat 665 Metrohm)とすることにより、分泌されたHClをそのつど15分間隔で回収された流出液において測定した。
【0084】
胃液分泌を、同時に、手術(つまり2つの予備的なフラクションの測定後)の終了の約30分後に静脈内ペンタガストリン(左大腿静脈)の1μg/kg(=1.65ml/h)の連続的な注入により刺激した。試験すべき物質を十二指腸内に液体体積2.5ml/kgでペンタガストリンの連続的な注入の開始60分後に投与した。動物の体温を赤外線の照射及び加熱パッドにより一定の37.8〜38℃に維持した(自動、直腸温度センサによる無段制御)。
【0085】
発明の実施様式
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に製造方法が明記されていない式1Iの他の化合物は、同様に又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造できる。省略形のminは分を表し、hは時間を表し、かつm.p.は融点を表す。
【0086】
I. 式1の最終化合物
1. エチル 2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
0.3g(0.77ミリモル)のエチル 2,3−ジメチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]−キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを3mlのトリフルオロ酢酸中に溶かした溶液に、1.1ml(6.9ミリモル)のトリエチルシランを添加し、そして該混合物を、周囲温度で一晩撹拌した。該反応混合物を、飽和水性炭酸水素ナトリウムで中和し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/軽油エーテル/トリエチルアミン 5:4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから再結晶化させることで、140mg(48%)の表題化合物が無色の固体(融点167〜168℃)として得られた。
【0087】
2. メチル 3−アリル−2−メチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
1.8g(4.5ミリモル)のエチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]−キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを21mlのトリフルオロ酢酸中に溶かした溶液に、4.3ml(27ミリモル)のトリエチルシランを添加し、そして該混合物を、40℃で撹拌した。3日後に、0.5mlの追加量のトリエチルシランを添加し、そして撹拌を1日間継続した。該反応混合物を蒸発させ、そして残留物を水性炭酸水素ナトリウムと酢酸エチルとの間で分離させる。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル/トリエチルアミン 5:5:1)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、1.1g(62%)の表題化合物が、ほぼ無色の固体(融点142〜142.5℃)として得られた。
【0088】
3. エチル 3−アリル−2−メチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
3.1g(7.5ミリモル)のエチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]−キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを35mlのトリフルオロ酢酸中に溶かした溶液に、7.2ml(45ミリモル)のトリエチルシランを添加し、そして該混合物を、40℃で2日間撹拌した。該反応混合物を蒸発させ、そして残留物を水性炭酸水素ナトリウムと酢酸エチルとの間で分離させる。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル/トリエチルアミン 6:5:1)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、1.2g(40%)の表題化合物が、無色の固体(融点150℃)として得られた。
【0089】
4. N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.4g(1.1ミリモル)のN,2,3−トリメチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミドを10mlのトリフルオロ酢酸中に溶かした溶液に、トリエチルシラン[5×0.7ml(6.9ミリモル)]を40℃で12日間にわたって添加した。該反応混合物を、1Nの水性水酸化ナトリウムで中和し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:3:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、160mg(41%)の表題化合物が無色の固体(融点237〜238℃)として得られた。
【0090】
5. 2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸
2.56g(6.8ミリモル)のエチル 2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを140mlのジオキサン中に溶かした溶液に、1.63g(68.1ミリモル)の水酸化リチウムを55mlの水中に溶かした溶液を添加し、そして該混合物を60℃で一晩撹拌した。該反応混合物を冷却させ、6Nの塩酸で中和し、そして蒸発乾固させた。粗生成物(45質量%)を、更なる精製を行うことなく後続工程で使用した。
【0091】
6. (2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−イル)−メタノール
1.17g(3.12ミリモル)のエチル 2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを15mlの無水のテトラヒドロフラン中に入れた懸濁液に、9.2ml(9.2ミリモル)の水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1M)を0℃で滴加した。1時間後に、3ml(3ミリモル)の追加量の水素化ジイソブチルアルミニウムを添加し、そして撹拌を1.5時間継続した。該反応混合物に、数滴のメタノール及びL−酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を添加した。1時間後に、シリカゲルを得られたエマルジョンに添加し、そして該混合物を蒸発乾涸させ、そしてシリカゲルを有するカラムに入れた。ジクロロメタン/メタノール(13:1)で溶出させ、そして酢酸エチル/ジエチルエーテルから結晶化させることで、0.25g(24%)の表題化合物が無色の固体(融点272〜274℃)として得られた。
【0092】
7. 3−アリル−N,2−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
1.8g(16ミリモル)のカリウム t−ブトキシドを50mlのt−ブタノール中に溶かした溶液に、0.8g(2ミリモル)のエチル 3−アリル−2−メチル−1′,3,3′、6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを添加し、そして該混合物を55℃で5時間撹拌した。40℃で一晩撹拌した後に、該混合物を蒸発させ、2Nの塩酸で中和し、そして蒸発乾固させた。その残留物に、50mlのN,N−ジメチルホルムアミド及び2.57g(8ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加した。0℃で、5mlのメチルアミン(N,N−ジメチルホルムアミド中7.5M)を添加し、そして該混合物を、周囲温度で24時間撹拌した。該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を飽和水性塩化アンモニウムとジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル/トリエチルアミン 5:5:1)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、0.24g(31%)の表題化合物が、無色の固体(融点226〜227℃)として得られた。
【0093】
8. 3−アリル−N,N,2−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2.25g(20ミリモル)のカリウム t−ブトキシドを55mlのt−ブタノール中に溶かした溶液に、0.97g(2.5ミリモル)のメチル 3−アリル−2−メチル−1′,3,3′、6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを添加し、そして該混合物を55℃で撹拌した。50分後に、10mlの水を添加し、その混合物を2Nの塩酸で中和し、そして蒸発乾涸させた。その残留物に、50mlのN,N−ジメチルホルムアミド及び3.21g(10ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加した。0℃で、3mlの液化ジメチルアミンを添加し、そして該混合物を周囲温度で3日間撹拌した。該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を飽和水性塩化アンモニウムとジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 9:1)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、0.81g(80%)の表題化合物が、無色の固体(融点172〜173℃)として得られた。
【0094】
9. N,2−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.22g(0.57ミリモル)の3−アリル−N,2−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミドと、0.53g(3.4ミリモル)の1,3−ジメチルバルビツール酸と、0.2g(0.17ミリモル)のパラジウム テトラキス(トリフェニルホスフィン)とを25mlの脱ガスされたジクロロメタン中に入れた混合物を、アルゴン下で3日間還流させた。該反応混合物を、飽和水性炭酸水素ナトリウムとジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/メタノール/トリエチルアミン 9:1:1)、引き続きイオン交換クロマトグラフィー(Dowex 50WX8、溶出剤1Nのアンモニア)によって精製し、そして酢酸エチル/ジイソプロピルエーテルから結晶化させることで、31mg(16%)の表題化合物が、無色の固体(融点240〜241℃)として得られた。
【0095】
10. N,N,2−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.4g(1ミリモル)の3−アリル−N,N,2−トリメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミドと、0.47g(3ミリモル)の1,3−ジメチルバルビツール酸と、0.25g(0.22ミリモル)のパラジウム テトラキス(トリフェニルホスフィン)とを50mlの脱ガスされたジクロロメタン中に入れた混合物を、アルゴン下で5日間還流させた。該反応混合物を、飽和水性炭酸水素ナトリウムとジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離させ、無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/メタノール/トリエチルアミン 9:1:1)によって精製することで粗生成物が得られ、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 20:1)によって更に精製した。酢酸エチル/n−ヘプタンからの結晶化によって、89mg(25%)の表題化合物が、無色の固体(融点183℃)として得られた。
【0096】
11. N,N,2,3−テトラメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2.0g(2.3ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を20mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.46g(4.6ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、5.7ml(11.4ミリモル)のジメチルアミン(テトラヒドロフラン中2M)を0℃で添加した。30分後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 9:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.72g(85%)の表題化合物が、無色の固体(融点178〜179℃)として得られた。
【0097】
12. N−(2−ヒドロキシエチル)−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2.0g(2.3ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を20mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.46g(4.6ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.85g(11.3ミリモル)の2−(メチルアミノ)エタノールを0℃で添加した。2時間後に、該反応混合物を、水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そして酢酸エチルから結晶化させることで、0.23g(25%)の表題化合物が、無色の固体(融点194〜195℃)として得られた。
【0098】
13. 1−[(2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−イル)−カルボニル]アゼチジン−3−オール
0.72g(1.44ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を40mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.16g(3.6ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.32g(4.38ミリモル)のアゼチジン−3−オールを室温で添加した。1時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:3:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.39g(67%)の表題化合物が、無色の固体(融点171〜172℃)として得られた。
【0099】
14. 2,3−ジメチル−N−(2−オキソプロピル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.72g(1.44ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を70mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.16g(3.6ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、1ml(7.2ミリモル)のトリエチルアミン及び0.47g(4.29ミリモル)の2−アミノプロパノン塩酸塩を0℃で添加した。一晩撹拌した後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 9:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.36g(62%)の表題化合物が、無色の固体(融点222〜223℃)として得られた。
【0100】
15. 5−[(3−フルオロアゼチジン−1−イル)カルボニル]−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.8ml(6ミリモル)のトリエチルアミン及び0.34g(3.1ミリモル)の3−フルオロアゼチジン塩酸塩を室温で添加した。2時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.66g(77%)の表題化合物が、無色の固体(融点259〜260℃)として得られた。
【0101】
16. N−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.46ml(5.3ミリモル)の2−メトキシエチルアミンを0℃で添加した。室温で4時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そして酢酸エチル/ジエチルエーテルから結晶化させることで、0.7g(81%)の表題化合物が、無色の固体(融点186〜187℃)として得られた。
【0102】
17. N−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.47ml(7.9ミリモル)の2−ヒドロキシエチルアミンを0℃で添加した。室温で一晩撹拌した後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:3:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.46g(39%)の表題化合物が、無色の固体(融点167〜168℃)として得られた。
【0103】
18. 2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.37g(1.06ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を50mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、0.85g(2.7ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.56ml(3.9ミリモル)のアンモニア(メタノール中7N)を室温で添加した。3時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.05g(14%)の表題化合物が、無色の固体(融点272〜273℃)として得られた。
【0104】
19. N−[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.7g(7.9ミリモル)の(S)−1−メチルアミノ−プロパン−2−オールを0℃で添加した。室温で1時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そして酢酸エチルから結晶化させることで、0.05g(14%)の表題化合物が、無色の固体(融点258〜259℃)として得られた。
【0105】
20. N−[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.6g(8ミリモル)の(S)−1−アミノ−プロパン−2−オールを0℃で添加した。室温で2時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.56g(65%)の表題化合物が、無色の固体(融点224〜225℃)として得られた。
【0106】
21. N−(2−メトキシエチル)−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.7g(7.9ミリモル)の(2−メトキシエチル)−メチルアミンを0℃で添加した。3時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.6g(67%)の表題化合物が、無色の固体(融点160〜161℃)として得られた。
【0107】
22. 2,3−ジメチル−5−(ピロリジン−1−イルカルボニル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.62ml(7.5ミリモル)のピロリジンを0℃で添加した。室温で4時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.73g(86%)の表題化合物が、無色の固体(融点263〜264℃)として得られた。
【0108】
23. 5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.5ml(7.5ミリモル)のアゼチジンを0℃で添加した。室温で3時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.52g(63%)の表題化合物が、無色の固体(融点222〜223℃)として得られた。
【0109】
24. N−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.43g(7.5ミリモル)のシクロプロピルアミンを0℃で添加した。室温で2時間後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.65g(79%)の表題化合物が、無色の固体(融点247〜248℃)として得られた。
【0110】
25. 2,3−ジメチル−5−(モルホリン−4−イルカルボニル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
0.74g(2.13ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を100mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、1.71g(5.3ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。30分後に、0.65ml(7.5ミリモル)のモルホリンを0℃で添加した。室温で一晩撹拌した後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そしてジエチルエーテルから結晶化させることで、0.72g(81%)の表題化合物が、無色の固体(融点284〜285℃)として得られた。
【0111】
26. N−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
1.0g(2.88ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を15mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、2.3g(7.2ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。1時間後に、0.44ml(5.7ミリモル)の3−アミノ−プロパン−1−オールを添加し、そして撹拌を室温で一晩継続した。該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物をジクロロメタン/酢酸エチル/トリエチルアミンから結晶化させることで、0.31g(27%)の表題化合物が、無色の固体(融点237〜238℃)として得られた。
【0112】
27. N−(3−メトキシプロピル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
1.0g(2.88ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を5mlのテトラヒドロフラン中に入れた懸濁液に、0.93g(5.7ミリモル)のN,N′−カルボニルジイミダゾール O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を70℃に加熱した。2時間後に、1.2ml(11.2ミリモル)の3−メトキシ−プロピルアミンを40℃で添加し、そして撹拌を1時間にわたり継続した。該反応混合物を、水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/トリエチルアミン 4:1)によって精製し、そして酢酸エチル/ジエチルエーテルから結晶化させることで、0.42g(35%)の表題化合物が、無色の固体(融点188〜189℃)として得られた。
【0113】
28. N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド メタンスルホン酸塩
7.0g(19.4ミリモル)のN,2,3−トリメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド及び2.05g(20.8ミリモル)のメタンスルホン酸の懸濁液を、80mlのメタノール中に懸濁させ、そして該混合物を70℃に加熱した。40分後に、その溶液を室温に冷却させた。0℃で1時間後に、沈殿物を回収し、水で洗浄し、そして乾燥させることで、5.7g(65%)の表題化合物が、無色の固体(融点321〜324℃)として得られた。
【0114】
29. N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド 塩酸塩
10.0g(27.8ミリモル)のN,2,3−トリメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミドを100mlのメタノール中に入れた懸濁液を加熱還流させた。その混合物に、3mlの濃塩酸を添加し、そして澄明な溶液を室温に冷却させた。得られた沈殿物を回収し、それをメタノールで洗浄し、そして乾燥させることで、5.7g(52%)の表題化合物が、無色の固体(融点309〜311℃)として得られた。
【0115】
30. N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド マロン酸塩
7.0g(19.4ミリモル)のN,2,3−トリメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド及び2.2g(20.8ミリモル)のマロン酸の懸濁液を、80mlのメタノール中に懸濁させ、そして該混合物を70℃に加熱した。30分後に、その溶液を室温に冷却させた。0℃で1時間後に、沈殿物を回収し、水で洗浄し、そして乾燥させることで、6.95g(77%)の表題化合物が、無色の固体(融点261〜263℃)として得られた。
【0116】
31. N−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
1.0g(2.9ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を15mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れた懸濁液に、2.3g(7.2ミリモル)のO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加し、そして該混合物を40℃に加熱した。1時間後に、0.5g(5.2ミリモル)の2−エトキシエチルアミンを室温で添加した。室温で一晩撹拌した後に、該反応混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 13:1)によって精製し、そして酢酸エチルから結晶化させることで、0.17g(14%)の表題化合物が、無色の固体(融点180〜181℃)として得られた。
【0117】
32. N−エチル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
0.5g(1.44ミリモル、粗生成物)の2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸を5mlのテトラヒドロフラン中に入れた懸濁液に、0.47g(2.9ミリモル)のN,N′−カルボニルジイミダゾールを添加し、そして該混合物を70℃に加熱した。4時間後に、2.9ml(5.8ミリモル)のエチルアミン(テトラヒドロフラン中2M)を室温で添加した。室温で2日間撹拌した後に、該反応混合物を、水とジクロロメタンとの間で分離させた。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を酢酸エチル/アセトン/n−ヘプタンから結晶化させることで、0.23g(43%)の表題化合物が、無色の固体(融点223〜224℃)として得られた。
【0118】
33. N−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド マレイン酸塩
0.5g(1.24ミリモル)のN−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド及び0.16g(1.38ミリモル)のマレイン酸の懸濁液を、5mlのメタノール及び2mlの1,2−ジクロロエタン中に懸濁させ、そして該混合物を80℃に加熱した。完全に溶解した後に、該混合物を、室温に冷却させた。沈殿物を回収し、それをアセトンで洗浄し、そして乾燥させることで、0.44g(68%)の表題化合物が、無色の固体(融点191〜192℃)として得られた。
【0119】
34. N−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド マロン酸塩
0.5g(1.24ミリモル)のN−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド及び0.14g(1.35ミリモル)のマロン酸の懸濁液を、5mlのメタノール中に懸濁させ、そして該混合物を40℃に加熱した。完全に溶解した後に、該混合物を、室温に冷却させた。沈殿物を回収し、それをアセトンで洗浄し、そして乾燥させることで、0.41g(65%)の表題化合物が、無色の固体(融点176〜177℃)として得られた。
【0120】
35. N−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド 塩酸塩
0.5g(1.24ミリモル)のN−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド及び0.11g(1.36ミリモル)の濃塩酸を5mlのメタノール中に溶かした溶液を、室温で2時間撹拌した。沈殿物を回収し、それをアセトンで洗浄し、そして乾燥させることで、0.16g(29%)の表題化合物が、無色の固体(融点294〜295℃)として得られた。
【0121】
36. N−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド シュウ酸塩
0.1g(0.26ミリモル)のN−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド及び23mg(0.26ミリモル)のシュウ酸を2mlのアセトン/メタノール中に溶かした溶液を、室温で3時間撹拌した。沈殿物を回収し、それをアセトンで洗浄し、そして乾燥させることで、0.08g(65%)の表題化合物が、無色の固体(融点242〜243℃)として得られた。
【0122】
37. N−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド メタンスルホン酸塩
0.3g(0.78ミリモル)のN−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミドを1mlのメタノール中に溶かした溶液に、82mg(0.85ミリモル)のメタンスルホン酸を添加し、そして該混合物を、室温で15分間撹拌した。沈殿物を回収し、それをアセトンで洗浄し、そして乾燥させることで、0.06g(16%)の表題化合物が、無色の固体(融点308〜309℃)として得られた。
【0123】
II. 出発化合物
A. 3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボン酸
50.0g(0.32モル)の3,5−ジヒドロキシ安息香酸及び10.0gのラネーニッケルを、175mlの4Nの水性水酸化ナトリウム中に懸濁させ、そして5日間水素化させた(60℃、100〜150バールの水素)。該混合物をセライトをとおして濾過し、そして濾液を濃塩酸で0℃で酸性化させた。得られた沈殿物を回収し、氷冷水で洗浄し、そして乾燥させることで、25.2g(50%)の表題化合物が得られた。
【0124】
B. メチル 3−ヒドロキシ−5−オキソ−4−[フェニルジアゼニル]シクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレート
8.64g(0.216モル)の水素化ナトリウム(60%)を320mlのメタノール中に溶かした溶液に、16.8g(0.108モル)の3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボン酸を0℃で添加した。該混合物を、3分間撹拌し、そして−10℃に冷却した。前記の溶液に、塩化ベンゼンジアゾニウムを水中に溶かした溶液[14.0g(0.108モル9の塩酸アニリンを7.5g(0.108モル)の亜硝酸ナトリウム及び18mlの濃塩酸でジアゾ化させることによって製造する]を0℃で滴加した。15分間撹拌した後に、沈殿物を回収し、水で洗浄し、そして430mlのトルエン及び75mlのメタノール中に懸濁させた。1.8gのp−トルエンスルホン酸一水和物を添加し、そして該混合物をディーン・スターク・トラップを用いて還流させて、水を除去した。22時間後に、該混合物を冷却させ、200mlの飽和水性炭酸水素ナトリウム及び150mlの水で洗浄した。有機層を無水の硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(酸化アルミニウム、酢酸エチル)によって精製し、そして酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、21.5g(78%)の表題化合物が、黄色の固体(融点117〜118℃)として得られた。
【0125】
C. エチル 3−ヒドロキシ−5−オキソ−4−[4−ブロモ−フェニルジアゼニル]シクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレート
11.25g(0.49モル)のナトリウムを200mlのエタノール中に溶かした溶液に、100ml(0.47モル)の2−(2−オキソ−プロピル)コハク酸ジエチルエステルを滴加し、そして該反応混合物を2時間還流させた。該混合物を冷却させ、そして蒸発させることで、100mlのエタノール及び800mlの水中に溶解された油状物が得られた。この溶液に、塩化4−ブロモベンゼンジアゾニウムを水中に入れた懸濁液[40g(0.23モル)の4−ブロモアニリンを18.9g(0.27モル)の亜硝酸ナトリウム及び塩酸でジアゾ化させることによって製造される]を0℃で滴加した。20分間撹拌した後に、沈殿物を回収し、水で洗浄し、60℃で真空中で乾燥させることで、71.8g(84%)の表題化合物(融点169〜171℃)が得られた。
【0126】
D. メチル 4−アセトアミド−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレート
20.0g(73ミリモル)のメチル 3−ヒドロキシ−5−オキソ−4−[フェニルジアゼニル]シクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレートを42mlの無水酢酸及び290mlの氷酢酸中に溶かした溶液に、28.8g(0.44モル)の亜鉛粉末を室温で少しずつ添加した。40分後に、該反応混合物を、セライトをとおして濾過し、そして濾過ケークをジオキサンで洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、そしてトルエンと一緒に2回同時蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィーによって、溶出剤として、まず酢酸エチル/トリエチルアミン(9:1)を用いて、次いで酢酸エチル/酢酸(100:1)を用いて、そして酢酸エチルを用いて精製した。残留物を酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、14.1g(85%)の表題化合物が無色の固体(融点131〜132℃)として得られた。
【0127】
E. エチル 4−アセトアミド−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレート
73.0g(198ミリモル)のエチル 3−ヒドロキシ−5−オキソ−4−[4−ブロモ−フェニルジアゼニル]シクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレートを、113mlの無水酢酸と730mlの氷酢酸との混合物中に懸濁させた。78g(1.193モル)の亜鉛粉末を室温で少しずつ添加した。該反応混合物を4時間撹拌し、ジオキサンで希釈し、シリカゲルのパッドを介して濾過し、そして濃縮した。その残留物をジクロロメタンで処理し、沈殿物(4−ブロモアセトアニリド)を濾別し、そして濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン 7:3)によって精製し、そしてジイソプロピルエーテルから結晶化させることで、40.0g(84%)の表題化合物が、白色の結晶(融点111.5〜113.5℃)として得られた。
【0128】
F. メチル 1−アリル−2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート
0.91g(4ミリモル)のメチル 4−アセトアミド−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレート及び0.32ml(4.2ミリモル)のアリルアミンを4mlのトルエン及び0.4mlの氷酢酸中に入れた混合物を、マイクロ波照射を用いて150℃で40分間加熱した。それを12回作動させたサンプルを合し、そして蒸発乾涸させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:1:1)によって精製することで、8.4g(60%)の表題化合物が、黄色の油状物として得られた。
【0129】
1H−NMR(CDCl3)、δ(ppm):2.39(s,3H,CH3)、2.79(t,2H)、3.02(t,2H)、3.21−3.35(m,1H)、3.72(s,3H,OCH3)、4.47(m,2H),4.90(d,1H)、5.27(d,1H)、5.80−5.99(m,1H)。
【0130】
G. エチル 1−アリル−2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート
0.97g(4ミリモル)のエチル 4−アセトアミド−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレート及び0.32ml(4.2ミリモル)のアリルアミンを4mlのトルエン及び0.4mlの氷酢酸中に入れた混合物を、マイクロ波照射を用いて150℃で40分間加熱した。それを20回作動させたサンプルを合し、そして蒸発乾涸させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:1:1)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、11.1g(57%)の表題化合物が、固体(融点95〜97℃)として得られた。
【0131】
H. エチル 1,2−ジメチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート
30.0g(124ミリモル)のエチル 4−アセトアミド−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシレートを250mlのトルエン中に溶かした溶液に、75ml(150ミリモル)のメチルアミン(テトラヒドロフラン中2M)及び30mlの氷酢酸を添加した。該反応混合物を、オートクレーブに移し、そして180℃で2時間加熱した。冷却させた後に、溶剤を除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 9:1)によって精製した。ジイソプロピルエーテルから結晶化させることで、25.0g(85%)の表題化合物が、白色の結晶(融点147.5〜150.0℃)として得られた。
【0132】
I. N,1,2−トリメチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド
23.0g(97.4ミリモル)のエチル 1,2−ジメチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレートを、160mlのメチルアミン(水中40%)中に溶解させ、オートクレーブに移し、そして150℃に3.5時間にわたり加熱した。冷却した後に、揮発物を除去することで、暗色の油状物が残留した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 3:1:1)によって精製し、そしてジイソプロピルエーテルから結晶化させることで、15.5g(73%)の表題化合物が、白色の結晶(融点194〜196℃)として得られた。
【0133】
J. メチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
4.4g(20ミリモル)のエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート、[その塩酸塩であるエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート塩酸塩(実施例U)から、トリエチルアミンでの処理によって遊離される]、4.0g(16ミリモル)のメチル 1−アリル−2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート及び50mgのp−トルエンスルホン酸一水和物をキシレン中に入れた混合物を、還流下に3日間にわたって、ディーン・スターク・トラップを用いて加熱した。溶剤を除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 9:1)によって精製することで、2.41g(92%純度)の表題化合物が固体として得られた。
【0134】
1H−NMR(CDCl3)、δ(ppm):2.32(s,3H,CH3)、2.64−2.90(m,3H)、3.18−3.32(m,4H)、3.65(s,3H,OCH3)、4.27(dd,1H)、4.45(m,2H)、4.92(d,1H)、5.25(d,1H)、5.78−5.96(m,1H)、6.00(bs,1H,NH)、7.10−7.25(m,4H)。
【0135】
K. エチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
11.1g(50.6ミリモル)のエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート、[その塩酸塩であるエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート塩酸塩(実施例U)から、トリエチルアミンでの処理によって遊離される]、11.1g(42.3ミリモル)のエチル 1−アリル−2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート及び50mgのp−トルエンスルホン酸一水和物をキシレン中に入れた混合物を、還流下にディーン・スターク・トラップを用いて加熱した。3日後に、5.95g(27ミリモル)の追加量のエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテートを添加し、そして加熱を1日間継続した。溶剤を除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:3.5:0.5)によって精製した。酢酸エチル/n−ヘプタンからの結晶化によって、3.73g(21%)の表題化合物が、固体(融点164〜165℃)として得られた。
【0136】
L. エチル 2,3−ジメチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
4.48g(23.4ミリモル)のエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート、[その塩酸塩であるエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート塩酸塩(実施例U)から、トリエチルアミンでの処理によって遊離される]、5.5g(23.4ミリモル)のエチル 1,2−ジメチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート及び触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物をキシレン中に入れた混合物を、還流下に3日間加熱した。溶剤を除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール=99:1)によって精製することで、1.97g(21%)の表題化合物が油状物として得られた。
【0137】
1H−NMR(CDCl3):1.21(t,J=6.9Hz,3H)、2.30(s,3H)、2.58−2.64(m,1H)、2.78−2.85(m,2H)、3.13(s,2H)、3.19(s,2H)、3.26−3.32(m,1H)、3.45(s,3H)、4.07(q,J=6.9Hz,2H)、4.22(m,1H)、6.99(s,1H,NH)、7.11−7.17(m,4H)。
【0138】
M. N,2,3−トリメチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
3.6g(16.4ミリモル)のエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート、[その塩酸塩であるエチル(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート塩酸塩(実施例U)から、トリエチルアミンでの処理によって遊離される]、4.3g(18.2ミリモル)のN,1,2−トリメチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド及び触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物をキシレン中に入れた混合物を、還流下に6日間加熱した。溶剤を除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 9:1)によって精製した。ジエチルエーテルから結晶化させることで、1.3g(55%)の表題化合物(融点93〜94℃)が得られた。
【0139】
N. メチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
1.98g(4.9ミリモル)のメチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを75mlの酢酸エチル中に入れた懸濁液に、1.14g(5.0ミリモル)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンを添加した。30分後に、飽和水性炭酸水素ナトリウムを添加し、そして該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離させ、無水の硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 6:3.5:0.5)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、1.53g(78%)の表題化合物が、無色の固体(融点216〜217℃)として得られた。
【0140】
O. エチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
3.65g(8.7ミリモル)のエチル 3−アリル−2−メチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを120mlの酢酸エチル中に入れた懸濁液に、2.1g(9.3ミリモル)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンを添加した。1時間後に、250mlの飽和水性炭酸水素ナトリウムを添加し、そして該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離させ、無水の硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ジオキサン/メタノール 8:1.5:0.5)によって精製し、かつ酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化させることで、3.2g(89%)の表題化合物が、淡黄色の固体(融点183〜183.5℃)として得られた。
【0141】
P. エチル 2,3−ジメチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
1.5g(3.8ミリモル)のエチル 2,3−ジメチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレートを50mlのテトラヒドロフラン及び5mlのジクロロメタン中に溶かした溶液に、0.86g(3.8ミリモル)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンを0℃で添加した。4時間後に、50mlの1Nの水性水酸化ナトリウムを添加し、そして該混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を分離させ、無水の硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。ジエチルエーテルから結晶化させることで、0.95g(63%)の表題化合物(融点205〜206℃)が得られた。
【0142】
Q. N,2,3−トリメチル−6−オキソ−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
1.3g(3.4ミリモル)のN,2,3−トリメチル−6−オキソ−1′,3,3′,4,5,6,7,9−オクタヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミドを50mlのテトラヒドロフラン中に溶かした溶液に、0.77g(3.4ミリモル)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンを0℃で添加した。4時間後に、50mlの1Nの水性水酸化ナトリウムを添加し、そして該混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を分離させ、無水の硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。ジエチルエーテルから結晶化させることで、0.68g(53%)の表題化合物(融点261〜261℃)が得られた。
【0143】
R. エチル (2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート
リチウム ジイソプロピルアミドをヘプタン/テトラヒドロフラン中に溶かした溶液(305ml、0.55モル)を、−75℃に冷却し、そして55ml(0.56モル)の酢酸エチルを、温度を−75℃未満に保ちながら滴加した。添加が完了した後に、該混合物を−75℃で30分間撹拌した。36.5g(0.27モル)の2−インダノンを90mlのテトラヒドロフラン中に溶かした溶液を、温度を−75℃に保ちながら滴加した。該混合物を、温度を−12℃に高めながら60分間撹拌した。該混合物を、200mlのテトラヒドロフラン/水(1:1)でクエンチングし、そして500mlの飽和水性塩化アンモニウム溶液を添加した。該混合物を、5Nの塩酸で酸性化し、そしてt−ブチルメチルエーテルで抽出した(2×500ml)。有機層を無水の硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物を、蒸留により123〜130℃及び0.5mmHgで精製することで、31.2g(52%)の表題化合物が得られた。
【0144】
1H−NMR(CDCl3):1.30(t,J=7.1Hz,3H)、2.76(s,2H)、3.02(d,J=16.1Hz,2H)、3.15(d,J=16.1Hz,2H)、3.71(s,1H,OH)、4.21(q,J=7.1Hz,2H),7.18(m,4H)。
【0145】
S. エチル [2−(アセチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]アセテート
75g(0.34モル)のエチル(2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテートを1.5Lのアセトニトリル中に溶かした溶液を、5℃に冷却した。67mlのクロロスルホン酸を、温度を14℃に上昇させながら滴加した。次いで、該反応混合物を周囲温度で5時間にわたり撹拌した。該混合物を、水(10L)中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を真空中で濃縮することで、47.7g(54%)の表題化合物(融点72〜73℃)が得られた。
【0146】
T. (2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)酢酸塩酸塩
23.5g(90ミリモル)のエチル[2−(アセチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]アセテートを200mlの5Nの塩酸中に溶かした溶液を、一晩還流させた。該混合物を蒸発乾涸させ、そして残留物を酢酸エチルと混合した。得られた固体を濾過によって回収することで、12.4g(61%)の表題化合物(融点176〜178℃)が得られた。
【0147】
U. エチル (2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセテート塩酸塩
12.4g(55ミリモル)の(2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)酢酸塩酸塩を250mlのエタノール中に溶かした溶液を、0〜5℃に冷却し、そして7.5mlの塩化チオニルを20分の間で滴加した。該混合物を3時間にわたり還流させ、真空中で濃縮することで、17g(定量的)の表題化合物(融点188〜190℃)が得られた。
【0148】
産業上利用可能性
式1の化合物並びにそれらの製剤学的に認容性の塩(=本発明による有効化合物)は、それらを産業上利用可能にする有用な薬理学的特性を有する。殊に、式1の化合物及びその塩は、温血動物、殊にヒトにおいて、胃酸分泌の著しい阻害及び優れた胃及び腸の保護作用又は治療作用を示す。この関連において、本発明による有効化合物は、作用の高い選択性、迅速な作用開始、作用の有利な持続、投与による作用期間の効果的な制御、特に良好な抗分泌効力、重篤な副作用の不在及び広い治療範囲により特徴付けられる。
【0149】
"胃及び腸の保護又は治療"とは、この関連において、胃腸疾患、殊に、例えば微生物(例えばヘリコバクターピロリ)、細菌毒素、医薬品(例えばある種の抗炎症薬及び抗リウマチ薬、例えばNSAID類及びCOX阻害剤類)、化学薬品(例えばエタノール)、胃酸又はストレス環境により引き起こされ得る胃腸炎症疾患及び損傷(例えば逆流性食道炎、胃炎、胃酸過多又は医薬品に関連する機能性消化不良及び、消化性潰瘍[消化性潰瘍出血、胃潰瘍、、十二指腸潰瘍])の予防、治療及び補修治療の意味であると解釈される。
【0150】
用語"胃腸疾患"とは、一般知識によれば、
A)制限されないが胸やけ及び/又は逆流が含まれる症状の胃食道逆流疾患(GERD)。
B)制限されないが酸関連喘息、気管支炎、咽頭炎及び睡眠障害が含まれるGERDの他の食道外症状発現。
C)制限されないが気道疾患、例えば喘息、気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が含まれる診断未確定の逆流及び/又は吸入に結びつきうる他の疾患。
D)その根絶が胃腸疾患の治療に重要な役割を担うヘリコバクター・ピロリ感染。
を含む。
E)更に、"胃腸疾患"は、酸分泌に関連すると思われる他の胃腸症状、例えばゾーリンガー・エリソン症候群、急性上部胃腸出血、悪心、化学療法もしくは術後状態による嘔吐、ストレス性潰瘍、IBD(炎症性腸疾患)及び、特にIBS(過敏性腸症候群)を含む。
【0151】
その優れた特性において、本発明による有効化合物は、驚異的にも、抗潰瘍発生特性及び抗分泌特性が確定された種々のモデルにおける先行技術から公知の化合物に明確に勝ることが判明した。その特性のため、本発明による有効化合物は、ヒト医学及び獣医学における使用に顕著に適当であり、その際、前記化合物は殊に胃及び/又は腸及び/又は上部消化管の疾患、特に前記の疾患の治療及び/又は予防のために使用される。
【0152】
従って本発明の他の課題は、上記疾患の治療及び/又は予防において使用するための本発明による有効化合物である。
【0153】
本発明は同様に、前記の疾患の治療及び/又は予防のために使用される医薬品の製造のための、本発明による有効化合物の使用に関する。
【0154】
本発明は更に、上記疾患を治療及び/又は予防するための本発明による有効化合物の使用を含む。
【0155】
本発明の更なる態様は、1種又は複数種の本発明による有効化合物を含有する医薬品である。
【0156】
医薬品として、本発明による有効化合物は、そのままで又は好ましくは好適な医薬品賦形剤と組み合わせて、錠剤、被覆錠剤(例えばフィルムコート錠剤)、多単位粒子系錠剤、カプセル剤、坐剤、顆粒剤、粉剤(例えば凍結乾燥された化合物)、ペレット剤、パッチ剤(例えばTTS[経皮治療システム])、エマルジョン剤、懸濁液剤又は液剤の形態で使用される。有効化合物の含有率は、好ましくは0.1〜95質量%(最終投与形中の質量%)、有利には1〜60質量%である。賦形剤の好適な選択によって、有効化合物に及び/又は所望の作用の開始及び/又は期間に適合された医薬投与形(例えば持続放出形又は遅延放出形)を得ることができる。
【0157】
本発明による有効化合物は、経口的、非経口的(例えば静脈内)、直腸内で又は経皮的に投与することができる。経口投与又は静脈内投与が好ましい。
【0158】
所望の医薬製剤に適した賦形剤又は賦形剤の組合せは、当業者に、その専門知識に基づいて知られており、かつ1種以上の補助成分から構成される。溶剤、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、錯化剤(例えばシクロデキストリン)の他に、以下の賦形剤を例として挙げることができる:経口投与のためには、ゲル化剤、消泡剤、可塑剤、吸着剤、湿潤剤、着色剤、フレーバー、甘味料及び/又は打錠賦形剤(例えば担体、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤);静脈内投与のためには、分散剤、乳化剤、保存剤、可溶化剤、緩衝物質及び/又は等張性調節物質。経皮的投与のためには、当業者は、賦形剤、例えば溶剤、ゲル化剤、ポリマー、浸透促進剤、接着剤、マトリクス物質及び/又は湿潤剤を選択しうる。
【0159】
一般に、ヒト医学において、経口投与の場合、約0.01〜約20、有利には0.02〜5、特に0.02〜1.5mg/体重kgの日用量で、所望の結果を達成するために適切である場合には複数の、有利には1〜2の個別の投与量の形で有効化合物を投与することが好ましいと判明した。非経口的治療の場合には、類似の、又は(殊に活性化合物を静脈投与する場合には)概してより低い用量を使用することができる。更に、投与の頻度は、間欠的な投与、毎週の投与、毎月の投与、より一層まれな投与(例えばインプラント)に適合させることができる。当業者は自身の専門知識に基づいて、そのつど必要とされる活性化合物の最適な用量及び投与方法を容易に決定することができる。
【0160】
該医薬品は、適宜、単位剤形で存在してよく、製剤科学分野でよく知られた任意の方法によって製造できる。全ての方法は、本発明による有効化合物を、賦形剤又は賦形剤の組合せ物と連係させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明による有効化合物と液状の賦形剤又は微細な固形の賦形剤又はその両者とを一様にかつ密接に連係させ、次いで必要であれば、該生成物を所望の医薬品に製剤化することによって製造される。
【0161】
本発明による有効化合物又はそれらの医薬品調剤は、他のグループの薬剤からの1種以上の薬理学的な有効成分[組み合わせ相手]と組み合わせて使用することもできる。"組合せ物"は、本発明による有効化合物と組み合わせ相手の両者を、別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして使用するために供給することと解される。組合せ物は、通常は、相加的もしくは超相加的な意義において当初の作用を高める目的及び/又は組み合わせ相手の副作用を排除もしくは減少させる目的で、又はより迅速な作用開始及びより早期の症状緩和を獲得する目的で設計される。該組合せ物中に含まれる薬剤の好適な医薬製剤を選択することによって、成分の薬剤放出プロフィールを、所望の効果に厳密に適合させることができる。例えばある化合物の放出とその作用の開始は、もう一方の化合物の放出よりも時間的に前である。
【0162】
組合せ物は、例えば全ての有効化合物を含有する組成物(例えば固定組合せ物)又は全ての有効化合物の別々の調剤を含む小分けキットであってよい。
【0163】
"固定組合せ物"は、第一の有効成分と第二の有効成分とが1つの単位用量中に又は単一物中に一緒に存在する組合せ物として定義される。"固定組合せ物"の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、例えば一製剤中に同時の投与のために混合物で存在する医薬組成物である。"固定組合せ物"のもう一つの例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、混合されることなく1つの単位中に存在する医薬組成物である。
【0164】
"小分けキット"は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが1単位より多くで存在する組合せ物として定義される。"小分けキット"の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが別々に存在する組合せ物である。小分けキットの成分は、別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして投与してよい。
【0165】
"他のグループの薬剤"は、例えば、トランキライザー(例えばベンゾジアゼピン類、例えばジアゼパムのグループ)、鎮痙剤(例えば臭化ブチルスコポラミニウム[ブスコパン(登録商標)]、抗コリン作用薬(例えば硫酸アトロピン、ピレンゼピン、トルテロジン)、痛覚低減剤又は正常化剤(例えばパラセタモール、テトラカイン又はプロカイン又は、特にオキセタカイン)及び、適宜、また酵素、ビタミン、微量元素又はアミノ酸を含むと解される。
【0166】
この関連において強調されるべきものは、特に、本発明による有効化合物と、胃酸を緩衝もしくは中和する医薬品(例えばマガルドレート、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム又は他の制酸剤)との組合せ物、又は殊に酸分泌を阻害もしくは低減する医薬品、例えば
(I)ヒスタミン−H2ブロッカー類[例えばシメチジン、ランチジン]、又は
(II)プロトンポンプインヒビター[例えばオメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、テナトプラゾール、イラプラゾール、レミノプラゾール、全てはそれらの塩及びエナンチオマーを含む]、又は
(III)他のカリウム競合型酸ブロッカー[例えばソラプラザン及びそれらの立体異性体、リナプラザン、レバプラザン、全てはそれらの塩を含む]、又は
(IV)いわゆる末梢性抗コリン作用薬(例えばピレンゼピン)との組合せ物、ガストリンアンタゴニスト、例えばCCK2アンタゴニスト(コレストシストキニン2受容体アンタゴニスト)との組合せ物である。
【0167】
挙げられるべき重要な組合せ物は、抗細菌作用を有する物質及び、特に殺細菌作用を有する物質又はそれらの組合せ物との組合せ物である。これらの組み合わせ相手は、特に、その根絶が胃腸疾患の治療に重要な役割を担うヘリコバクター・ピロリ感染の制御に有用である。好適な抗細菌作用を有する活性な組み合わせ相手としては、例えば
(A)セファロスポリン類、例えばシフロキシマキセチル
(B)ペニシリン類、例えばアモキシシリン、アンピシリン
(C)テトラサイクリン類、例えばテトラサイクリンそれ自体、ドキシサイクリン
(D)β−ラクタマーゼインヒビター、例えばクラブラン酸
(E)マクロライド系抗生物質、例えばエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン
(F)リファマイシン類、例えばリファマイシンそれ自体
(G)グリコシド系抗生物質、例えばゲンタマイシン、ストレプトマイシン
(H)ジャイレースインヒビター、例えばシプロフロキサキシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン
(I)オキサゾリジン類、例えばリネゾリド
(J)ニトロフラン類又はニトロイミダゾール類、例えばメトロニダゾール、チニダゾール、ニトロフラントイン
(K)ビスマス塩、例えば次クエン酸ビスマス
(L)他の抗細菌作用を有する物質
並びに(A)〜(L)から選択される物質の組合せ物、例えばクラリスロマイシン+メトロニダゾールを挙げることができる。2種の組み合わせ相手を使用することが好ましい。アモキシシリン、クラリスロマイシン及びメトロニダゾールから選択される2種類の組み合わせ相手を使用することが好ましい。好ましい一例は、アモキシシリンとクラリスロマイシンの使用である。
【0168】
それらの胃及び腸の保護もしくは治療に関する優れた活性の点において、本発明による有効化合物は、特に、"薬剤性消化不良"を引き起こすことが知られる又は一定の潰瘍発生効力を有することが知られる薬剤、例えばアセチルサリチル酸、一定の抗炎症剤及び抗リウマチ剤、例えばNSAID類(非ステロイド系抗炎症薬、例えばエトフェナメート、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、メロキシカム)、経口ステロイド、ビスホスホネート(例えばアレンドロネート)、又はさらにNO放出性NSAID類、COX−2インヒビター(例えばセレコキシブ、ルミラコキシブ)との自由組合せ物もしくは固定組合せ物に適している。
【0169】
更に、本発明による有効化合物は、運動性調整薬又は運動性調節薬(例えばモサプリド、テガセロド、イトプリド、メトクロプラミドのような胃前駆運動物質)との、殊に一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の発生を低減もしくは清浄化する医薬品、例えばGABA−Bアゴニスト(例えばバクロフェン、(2R)−3−アミノ−2−フルオロプロピルホスフィン酸)又はアロステリックGABA−Bアゴニスト(例えば3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−β,β−ジメチルベンゼンプロパノール)、GABA−B再吸収インヒビター(例えばチアガビン)、代謝型グルタミン酸受容体タイプ5(mGluR5)アンタゴニスト(例えば2−メチル−6−(フェニルエチニル)ピリジン塩酸塩)、CB2(カンナビノイド受容体)アゴニスト(例えば[(3R)−2,3−ジヒドロ−5−メチル−3−(4−モルホリニル−メチル)ピロロ[1,2,3,de]−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル]−1−ナフタレニル−メタノンメシル酸塩)との自由組合せ物もしくは固定組合せ物に適している。IBS又はIBDの治療に使用される医薬品、例えば5−HT4受容体アゴニスト、例えばモサプリド、テガセロド;5−HT3受容体アンタゴニスト、例えばアロセトロン、シランセトロン;NK2アンタゴニスト、例えばサレズタント、ネパズタント;κ−オピエートアゴニスト、例えばフェドトジンは、また好適な組み合わせ相手である。
【0170】
また好適な組み合わせ相手は、気道治療薬、例えば酸関連の喘息及び気管支炎の治療のための気道治療薬を含む。幾らかの場合には、組み合わせ相手として睡眠補助薬(例えばゾルピデム[Bikalm(登録商標)]を使用することは、例えばGERD誘発性の睡眠障害の治療のために合理的なことがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

[式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、フルオロ−C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル又はフルオロ−C1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲン、フルオロ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−アルケニル、C2〜C4−アルキニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フルオロ−C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ、C2〜C4−アルケニルオキシ、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル−C1〜C4−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、ハロ−C1〜C4−アルコキシ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシカルボニルアミノ又はスルホニルからなる群から選択される同一又は異なる置換基である]で示される化合物並びにそれらの塩。
【請求項2】
式1で示され、式中、
R1は、水素、C1〜C4−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC2〜C4−アルケニルハロゲンであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシル、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素、C1〜C7−アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基、アジリジノ基、N−C1〜C4−アルキルピペラジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、水素、C1〜C4−アルキル又はハロゲンからなる群から選択される同一又は異なる置換基である、請求項1に記載の化合物並びにそれらの塩。
【請求項3】
式1で示され、式中、
R1は、C1〜C4−アルキルであり、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル又はC2〜C4−アルケニルであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素又はC1〜C7−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、アゼチジノ基、ヒドロキシアゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、請求項1に記載の化合物並びにそれらの塩。
【請求項4】
式1で示され、式中、
R1は、C1〜C4−アルキルであり、
R2は、C1〜C4−アルキルであり、
R3は、基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルカルボニル−C1〜C4−アルキルであり、かつ
R32は、水素又はC1〜C7−アルキルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、アゼチジノ基、フルオロアゼチジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、請求項1に記載の化合物並びにそれらの塩。
【請求項5】
式1で示され、式中、
R1は、C1〜C4−アルキルであり、
R2は、C1〜C4−アルキルであり、
R3は、カルボキシル、C1〜C4−アルコキシカルボニル又は基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、ヒドロキシ−C1〜C4−アルキル又はC1〜C7−アルキルであり、かつ
R32は、水素又はC1〜C7−アルキルであり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、請求項1に記載の化合物並びにそれらの塩。
【請求項6】
式1で示され、式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、基−CO−NR31R32であり、その際、
R31は、水素、メチル、シクロプロピル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル又は2−オキソ−プロピルであり、かつ
R32は、水素又はメチルであるか、又は
R31及びR32は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、ピロリジノ基、アゼチジノ基、3−フルオロアゼチジノ基又はモルホリノ基であり、
R4及びR5は、それぞれ水素である、請求項1に記載の化合物並びにそれらの塩。
【請求項7】
式1で示され、式中、置換基R1、R2、R3、R4及びR5が、以下の表
【表1】

【表2】

に示される意味を有し、その際、MeがCH3であり、かつEtがC25である、請求項1に記載の化合物並びにそれらの塩。
【請求項8】
請求項1に記載の式1の化合物であって、以下の
エチル 2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
メチル 3−アリル−2−メチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
エチル 3−アリル−2−メチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキシレート
N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボン酸
(2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−イル)メタノール
3−アリル−N,2−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
3−アリル−N,N,2−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N,2−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N,N,2−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N,N,2,3−テトラメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−(2−ヒドロキシエチル)−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
1−[(2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−イル)−カルボニル]アゼチジン−3−オール
2,3−ジメチル−N−(2−オキソプロピル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
5−[(3−フルオロアゼチジン−1−イル)カルボニル]−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
N−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−(2−メトキシエチル)−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−5−(ピロリジン−1−イルカルボニル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
N−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−5−(モルホリン−4−イルカルボニル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
N−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−(3−メトキシプロピル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド メタンスルホン酸塩
N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド 塩酸塩
N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド マロン酸塩
N−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド、及び
N−エチル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
からなる群から選択される化合物並びにそれらの塩。
【請求項9】
請求項1に記載の式1の化合物であって、以下の
N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N,N,2,3−テトラメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−N−(2−オキソプロピル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
5−[(3−フルオロアゼチジン−1−イル)カルボニル]−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
N−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
N−(2−メトキシエチル)−N,2,3−トリメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−5−(ピロリジン−1−イルカルボニル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]
N−シクロプロピル−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
2,3−ジメチル−5−(モルホリン−4−イルカルボニル)−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]、及び
N−(3−メトキシプロピル)−2,3−ジメチル−1′,3,3′,6,7,9−ヘキサヒドロスピロ[イミダゾ[4,5−h]キノリン−8,2′−インデン]−5−カルボキサミド
からなる群から選択される化合物並びにそれらの塩。
【請求項10】
式4
【化2】

[式中、R4及びR5が、請求項1において式1の化合物について定義されたものであり、かつYが好適な離脱基である]で示される化合物。
【請求項11】
式5
【化3】

[式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、請求項1において式1の化合物について定義されたものである]で示される化合物。
【請求項12】
式2
【化4】

[式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、請求項1において式1の化合物について定義されたものである]で示される化合物。
【請求項13】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の化合物を、胃腸疾患の治療及び/又は予防のために使用される医薬品の製造のために用いる使用。
【請求項14】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の1種以上の化合物及び/又はそれらの製剤学的に認容性の塩を、慣用の医薬品助剤及び/又は賦形剤と一緒に含有する医薬品。
【請求項15】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の化合物並びにそれらの製剤学的に認容性の塩を、胃腸疾患の予防及び/又は治療のために用いる使用。

【公表番号】特表2008−543808(P2008−543808A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516303(P2008−516303)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063163
【国際公開番号】WO2006/134111
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】