説明

背圧維持装置及びインクジェット記録装置

【課題】従来と比較して記録ヘッド内での圧力変動を確実に吸収する。
【解決手段】記録媒体Pに対して吐出口20からインクを吐出する記録ヘッド2と、インク供給管16aを介して記録ヘッド2にインクを供給する送液ポンプ18とを備えるインクジェット記録装置1内でインク供給管16aの中途部、かつ記録ヘッド2より上方に設けられ、送液ポンプ18から送液されるインクを貯留しつつ記録ヘッド2に供給し、吐出口20の内部を所定の負圧に維持するダンパー3は、インク供給管16aと連通する凹部300が形成されたケーシング部材30と、凹部300の開口部301を覆うことにより、ケーシング部材30との間にインク室34を形成する可撓膜31と、可撓膜31に一端部で当接して当該可撓膜31を外側に付勢するバネ部材32と、バネ部材32から可撓膜31に対する付勢力を変化させる移動部材35とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背圧維持装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置においては、吐出口内の圧力、いわゆる背圧を−6cmAqから−2cmAqの負圧に保つことにより、インクの吐出を良好に維持できることが知られている。
【0003】
そのため、近年、このように背圧を維持する技術として、種々の技術が提案されている。
例えば特許文献1では、インクタンク開放部の可撓性膜を非線形バネで引っ張って液面低下による圧力変化を吸収するカートリッジを提案している。
また、特許文献2,3では、このようなカートリッジを負圧維持部材として用い、これとは別にインクタンクを持たせた方法も開示されている。
さらに、特許文献4では、圧力変化を吸収するダンパーの体積変化に対して内在するバネの復元力を用いてノズル面の負圧を維持する方法も提案されている。
これらの技術では、ヘッドに対する高さ関係を固定化して当該ヘッドより上方に配置されたインクカートリッジやダンパー等、記録ヘッドにインクを供給するインク供給部のインク室に可撓膜を設け、この可撓膜をバネなどの弾性部材で外側に広げることにより、背圧を負圧に保ち、インクの消費、または送液によるヘッド内の圧力変動を吸収するようになっている。
【0004】
ところで、近年、インクジェット記録装置の産業用途適用において、さまざまな製造ラインにインクジェット記録装置を組み込む事例が増えてきている。
例えば、ラベルプリンターや、オンデマンドで印字情報を切り替える用途などに、非接触で印字が可能なインクジェット記録装置を適用することが増えてきている。このようなインクジェット記録装置においては、ヘッド部やインク供給部、インクタンク部をブロック化し、製造ラインの状況に応じて自由な配置ができることが望まれている。
【特許文献1】特開平3−24900号公報
【特許文献2】特開平9−131889号公報
【特許文献3】特開2003−89217号公報
【特許文献4】特開2003−237108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載の技術では、インク供給部と、記録ヘッドとの高さ関係が変わると、インク供給部での制御圧力が変化するため、ダンパーとしてのインク供給部の性能、つまりヘッド内での圧力変動の吸収性能を充分に発揮できない場合が生じる。すなわち、インク供給部と記録ヘッドとの高さ関係がかわると、制御圧力が、後述の図4に示すように、インク送液量に対して背圧変動のなだらかなB領域から、背圧変動の大きいA領域またはC領域に変動してしまう。このようにインク送液量に対する背圧変動の大きい領域では、インクの消費や、ポンプによる送液によって、記録ヘッドの圧力が変動してしまい、インクの吐出量が変動して画質の劣化が生じたり、極端には記録ヘッドからのインクのぼた落ちや、空気の混入が発生したりすることがある。
【0006】
本発明の課題は、配置の自由度が求められている産業用途のインクジェット記録装置において、従来と比較して記録ヘッド内での圧力変動を確実に吸収することのできる背圧維持装置及びインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、
記録媒体に対して吐出口からインクを吐出する記録ヘッドと、インク供給管を介して前記記録ヘッドにインクを供給する送液ポンプとを備えるインクジェット記録装置内で前記インク供給管の中途部、かつ前記記録ヘッドより上方に設けられ、前記送液ポンプから送液されるインクを貯留しつつ前記記録ヘッドに供給し、前記吐出口の内部を所定の負圧に維持する背圧維持装置であって、
前記インク供給管と連通する凹部が形成されたケーシング部材と、
前記凹部の開口部を覆うことにより、前記ケーシング部材との間にインク室を形成する可撓膜と、
前記可撓膜に一端部で当接して当該可撓膜を外側に付勢する弾性部材と、
前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を変化させる付勢力変更機構と、
を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の背圧維持装置において、
前記付勢力変更機構は、
前記弾性部材の他端部に当接するとともに、当該可撓膜に対する接離方向に移動する移動部材を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の背圧維持装置において、
前記弾性部材は、
前記ケーシング部材と前記可撓膜との間に介在することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の背圧維持装置において、
前記移動部材は、
前記凹部の底部で前記ケーシング部を貫通し、当該ケーシング部に対して相対移動可能に設けられるとともに、
前記インク室の内部で前記弾性部材の前記他端部に当接することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の背圧維持装置において、
前記弾性部材は、前記インク室の内側で前記可撓膜に当接しており、
前記凹部の底部には、前記弾性部材を挿通させた補助開口部が設けられており、
前記補助開口部は、
前記弾性部材の前記他端部の側を包囲する補助可撓膜によって封止されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項2記載の背圧維持装置において、
前記弾性部材及び前記移動部材は、前記可撓膜に対してインク室とは反対の側に配設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の背圧維持装置において、
前記付勢力変更機構は、
磁性材料で形成されるとともに、前記弾性部材における前記一端部または他端部の側に設けられた移動部材と、
前記磁性部材に磁力を作用させて当該磁性部材を前記可撓膜に対する接離方向に移動させる電磁石とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、インクジェット記録装置において、
記録媒体に対して吐出口からインクを吐出する記録ヘッドと、
インク供給管を介して前記記録ヘッドにインクを供給する送液ポンプと、
請求項1〜7の何れか一項に記載の背圧維持装置と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のインクジェット記録装置において、
前記インク室の内部、当該インク室から前記記録ヘッドまでの前記インク供給管の内部、或いは前記吐出口の内部での内圧を測定する内圧測定部と、
前記内圧測定部での測定結果に基づいて前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、
前記付勢力制御部は、
所定圧近傍に圧力制御された前記インク室に一定量のインクが送液される前後での前記内圧の変化量が最も小さくなるよう、前記付勢力を設定することを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項8記載のインクジェット記録装置において、
前記可撓膜の膜面位置を測定する膜面位置測定部と、
前記膜面位置測定部での測定結果に基づいて前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、
前記付勢力制御部は、
所定圧近傍に圧力制御された前記インク室に一定量のインクが送液される前後での前記膜面位置の変化量が最も大きくなるよう、前記付勢力を設定することを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項8記載のインクジェット記録装置において、
前記可撓膜の膜面位置を測定する膜面位置測定部と、
前記膜面位置測定部での測定結果に基づいて前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、
前記付勢力制御部は、
前記膜面位置が所定位置となるよう、前記付勢力を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、インク供給管と連通する凹部が形成されたケーシング部材と、凹部の開口部を覆うことによりケーシング部材との間にインク室を形成する可撓膜と、可撓膜に一端部で当接して当該可撓膜を外側に付勢する弾性部材と、弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を変化させる付勢力変更機構とが背圧維持装置に具備されるので、弾性部材から可撓膜に対する付勢力を付勢力変更機構によって変化させることができる。従って、インク供給部(背圧維持装置)と記録ヘッドとの高さ関係や、さらには弾性部材の弾性係数、装置の製造誤差などに関わらず、インクの消費(排出)や送液(供給)による記録ヘッド内の圧力変動が吸収され、安定した印字が行われる。よって、配置の自由度が求められている産業用途のインクジェット記録装置において、従来と比較して記録ヘッド内での圧力変動を確実に吸収することができる。
また、このようにインク供給部と記録ヘッドとの高さ関係などに関わらず、記録ヘッド内の圧力変動を確実に吸収することができるため、背圧維持装置の汎用性を高めることができる。
【0019】
請求項9記載の発明によれば、インク室の内部、当該インク室から記録ヘッドまでのインク供給管の内部、或いは吐出口の内部での内圧を測定する内圧測定部と、内圧測定部での測定結果に基づいて弾性部材から可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、この付勢力制御部はインク室に一定量のインクが送液される前後での内圧の変化量が最も小さくなるよう付勢力を設定するので、インクの供給によるヘッド内での圧力変動を確実に吸収することができ、ヘッド内の背圧を適切な圧力に維持することができる。
【0020】
請求項10記載の発明によれば、可撓膜の膜面位置を測定する膜面位置測定部と、膜面位置測定部での測定結果に基づいて弾性部材から可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、この付勢力制御部はインク室に一定量のインクが送液される前後での膜面位置の変化量が最も大きくなるよう付勢力を設定するので、インクの供給によるヘッド内での圧力変動を確実に吸収することができ、ヘッド内の背圧を適切な圧力に維持することができる。
【0021】
請求項11記載の発明によれば、可撓膜の膜面位置を測定する膜面位置測定部と、膜面位置測定部での測定結果に基づいて弾性部材から可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、この付勢力制御部は膜面位置が所定位置となるよう付勢力を設定するので、インクの供給前後で背圧を適切な圧力に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るインクジェット記録装置について説明する。
図1は、本実施の形態におけるインクジェット記録装置1の概略構成を示す側面図である。
【0023】
この図に示すように、インクジェット記録装置1は、シリアルプリント方式によるインクジェットプリンタである。このインクジェット記録装置1には、紙などの記録媒体Pを非記録面側(図中の下側)から支持する平板状のプラテン10が設けられている。プラテン10の上流側及び下流側には、それぞれ記録媒体Pを搬送する搬送ローラ11,12が回転自在に設けられており、これら搬送ローラ11,12は、回転することによって記録媒体Pをプラテン10の上面に沿って所定の方向(以下、搬送方向Xとする)に搬送するようになっている。
【0024】
プラテン10の上方には、搬送方向Xの直交方向(主走査方向)に延在するよう、棒状のガイドレール13が設けられている。ガイドレール13にはキャリッジ14が支持されており、このキャリッジ14はガイドレール13に沿って主走査方向に往復移動するようになっている。
【0025】
キャリッジ14には、インクジェット記録装置1で使用される各色(例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に対応した記録ヘッド2が搭載されている。
【0026】
記録ヘッド2の吐出面、つまり記録媒体Pとの対向面には、記録媒体Pに対してインクを吐出する吐出口20が複数設けられている。各吐出口20には、例えば、電圧の印加によって変形する圧電素子としてのピエゾ素子(図示せず)が付設されており、駆動電圧の印加によって変形することにより、インク流路を圧縮して吐出口20からインクを吐出させるようになっている。なお、インク流路にはヒータ(図示せず)が配設されており、インクが吐出される前にインクを加熱するようになっている。また、高精細な画像記録を可能とするためには、インクは1ドットが2〜20plの微小な液滴として吐出されることが望ましい。
【0027】
これら各記録ヘッド2には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインクを一時的に貯留するサブタンク15aが、それぞれインク供給管16aを介して連結されている。更に、各サブタンク15aはそれぞれインク供給管16bを介してメインタンク15bと連結されており、各メインタンク15b内のインクは、インク供給管16bによってサブタンク15aに供給され、サブタンク15a内に一旦貯留された後、各記録ヘッド2に供給されるようになっている。
【0028】
ここで、メインタンク15bとサブタンク15aとを連結するインク供給管16bの中途部には、メインタンク15bからサブタンク15aに対するインクの流入を制限するための供給弁17が設けられている。
この供給弁17は、例えば、ソレノイドとダイヤフラム(いずれも図示せず)とを備える電磁弁であり、ソレノイドの開閉によってダイヤフラム内に液体が流入又は流出することによって弁の開閉が行われるものである。なお、インクの流入、流出を制限するための機構はこれに限定されず、他の構造を有する各種の弁又はその他の各種機構を用いることが可能である。
【0029】
また、サブタンク15aと記録ヘッド2とを連結するインク供給管16aの中途部には、送液ポンプ18とダンパー3とがこの順に設けられている。
【0030】
送液ポンプ18は、ダンパー3やインク供給管16aを介して記録ヘッド2にインクを送液するものであり、ダンパー3内のインク量が一定量以下になったと判断される場合には、サブタンク15a内に貯留されているインクを強制的に送液するようになっている。なお、このような送液ポンプ18としては、ダイヤフラム式ポンプ、ギア式ポンプ等各種のポンプを適用することが可能である。
【0031】
ダンパー3は、本発明に係る背圧維持装置であり、図2に示すように、記録ヘッド2より上方に配設され、送液ポンプ18から記録ヘッド2に送液されるインクをインク室34に一旦貯留しつつ記録ヘッド2に一定量ずつ供給し、当該記録ヘッド2における吐出口20の内部を所定の負圧(本実施の形態おいては約−5cmAq)に維持するようになっている。つまり、インク室34と吐出口20との高低差をhcmとすると、ダンパー3はインク室34の内部を約−(h+5)cmAqに維持するようになっている。
【0032】
このダンパー3は、凹部300の形成されたケーシング部材30と、当該凹部300の開口部301を覆う可撓膜31と、当該可撓膜31を外側に付勢して吐出口20の内圧(背圧)を負圧とするバネ部材32と、バネ部材32から可撓膜31に対する付勢力を変化させる付勢力変更機構33とを有している。
【0033】
ケーシング部材30は、凹部300を側方に向けて配設されており、下側壁部に形成された貫通口を介して凹部300の内部をインク供給管16aに連通させている。なお、このようなケーシング部材30の材料としては、例えばポリプロピレンやポリエチレン等、耐腐食性を有する材料を用いることができる。
【0034】
可撓膜31は、可撓性を有する膜状の部材であり、ケーシング部材30との間にインク室34を形成している。なお、このような可撓膜31としては、例えばポリエチレンテレフタラートなどの高分子材料によるフィルムを用いることが好ましく、インクに気体が溶解するのを防止する観点からは、気体を通し難くするよう、複数の素材を層状に積層させたフィルムを用いるのが好ましい。
【0035】
バネ部材32は、ケーシング部材30と可撓膜31との間に介在しており、可撓膜31に対して一端部(図中、右側の端部)で垂直に当接している。なお、本実施の形態においては、バネ部材32はコイルバネとなっているが、板バネ等、他の形状のバネとしても良い。
【0036】
付勢力変更機構33は、可撓膜31に対する接離方向(図中の左右方向)に移動する移動部材35を有している。
この移動部材35は、バネ部材32の軸方向に延在する棒状の部材であり、ケーシング部材30における凹部300の底部で当該ケーシング部材30を貫通し、可撓膜31の法線方向に沿ってケーシング部材30に対し相対移動可能に設けられている。より詳細には、移動部材35は、インク室34の内部でバネ部材32の他端部(図中、左側の端部)に当接しており、可撓膜31に対する接離方向に移動することによってバネ部材32から可撓膜31への付勢力を変化させるようになっている。なお、本実施の形態においては、移動部材35の側周面にはネジ溝が形成されており、回転することによって可撓膜31の接離方向に移動するようになっている。また、ケーシング部材30における移動部材35の貫通部分は、図示しないシール部材によってシールされている。
【0037】
続いて、図3を参照しつつ、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の制御構成について説明する。
【0038】
この図に示すように、インクジェット記録装置1は、上述のキャリッジ14や記録ヘッド2、送液ポンプ18、供給弁17、付勢力変更機構33のほか、記録媒体搬送機構40、内圧測定部41、圧力記憶部42、残量検知センサ43及び制御部5を備えている。
【0039】
記録媒体搬送機構40は、上述の搬送ローラ11,12の少なくとも一方を回転させることによって記録媒体Pを搬送方向Xに搬送させるものである。
【0040】
内圧測定部41は、記録ヘッド2の背圧として、インク室34の内部か、当該インク室34から記録ヘッド2までのインク供給管16aの内部か、或いは記録ヘッド2における吐出口20の内部での内圧を測定するものであり、本実施の形態においては、上述の図2に示すように、インク供給管16aに接続されて、当該インク供給管16a内部での内圧を測定するようになっている。
【0041】
圧力記憶部42は、従来より公知の記憶装置であり、後述のようにバネ部材32から可撓膜31への付勢力を調整する際に、内圧測定部41による測定結果の変化量を記憶するようになっている。
【0042】
残量検知センサ43は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各サブタンク15a内に配設されており、当該サブタンク15a内のインク量を検知するようになっている。
【0043】
制御部5は、インクジェット記録装置1の各部を統括的に制御するものである。
例えば、この制御部5は、内圧測定部41の検知結果に基づいてダンパー3のインク室34内のインクが一定量あるか否かを判断し、インク室34内にインクが不足していると判断するときは、送液ポンプ18を動作させてサブタンク15a内のインクを一定量だけダンパー3に供給するようになっている。なお、本実施の形態においては、ダンパー3に供給されるインク量は、当該ダンパー3の内圧が1〜3cmAqだけ変動する量となっている。また、ダンパー3内のインク量の判定手段としては、ダンパー3内の圧力を測定する方法の他、可撓膜31の変位位置を検出する方法や、記録ヘッド2から吐出されたインクの量をカウントし、残量を逆算する方法などを用いることができる。
【0044】
また制御部5は、残量検知センサ43の検知結果からサブタンク15a内のインク残量が所定量以下であると判断するときは、供給弁17を動作させて所定の時間だけ供給弁17を開放し、各メインタンク15b内のインクをそれぞれ対応するサブタンク15aに供給するようになっている。なお、供給弁17を開放する時間は、例えば、10秒、20秒等、予め設定されており、設定された時間だけ供給弁17を開放する。このように供給弁17を開放する時間は、インクの種類等によってそれぞれ設定されていてもよい。
【0045】
また制御部5は、キャリッジ14を主走査方向に往復移動させるとともに、キャリッジ14の動作に合わせて記録媒体Pが搬送方向Xに間欠的に搬送されるよう記録媒体搬送機構40を制御するようになっている。
【0046】
また制御部5は、記録ヘッド2を動作させて記録ヘッド2のインク流路内のインクを30℃〜150℃程度に加熱するとともに、インクを2〜20plの微小な液滴として記録媒体P上に吐出させ所定の画像を形成させるようになっている。
【0047】
また制御部5は、内圧測定部41での測定結果に基づいてバネ部材32から可撓膜31に対する付勢力を調整して設定するようになっており、より詳細には、インク室34に一定量分のインクが送液される前後での当該内圧測定部41による測定内圧の変化量が最も小さくなり、かつ、吐出口20の内部が所定の負圧(本実施の形態おいては約−5cmAq)となるよう付勢力を設定するようになっている。
【0048】
ここで、ダンパー3のインク室34から排出されて記録ヘッド2に供給されるインク量と、記録ヘッド2の背圧と、移動部材35の位置(可撓膜31側への移動量)との関係を図4に示す。この図に示されるように、グラフ中のA領域,C領域では、インク室34におけるインク量の変動に起因する背圧の変動量が大きくなって背圧が一定に維持されないのに対し、B領域では、インク量の変動に起因する背圧の変動量が小さくなって背圧がほぼ一定に維持される。そして、このように維持される背圧(グラフ中、傾きの小さい領域の圧力)を維持背圧とすると、維持背圧の絶対量は、移動部材35が可撓膜31側に移動してバネ部材32の付勢力が大きくなるほど、大きくなる。そのため、制御部5は、記録ヘッド2の吐出口20とダンパー3のインク室34との高低差(hcm)に起因する圧力を考慮して、インク室34の内圧が約−(h+5)cmAqとなり、吐出口20の背圧が所定の負圧(本発明における所定圧、本実施形態では約−5cmAq)となるよう、維持背圧の大きさ(バネ部材32から可撓膜31への付勢力)を設定するようになっている。
【0049】
続いて、ダンパー3におけるバネ部材32から可撓膜31への付勢力の調整方法について説明する。
まず、図5に示すように、制御部5が送液ポンプ18を駆動させてサブタンク15aからダンパー3のインク室34にインクを充填させる(ステップS1)。
【0050】
次に、制御部5は、バネ部材32から可撓膜31への付勢力が最小値となるよう、移動部材35の位置を設定する。具体的には、移動部材35を可撓膜31から最も離れた位置に配設させる(ステップS2)。
【0051】
次に、制御部5は、インク室34の内圧が約−(h+5)cmAqとなるよう当該インク室34からインクを排出させて貯留インク量を調整する(ステップS3)。
【0052】
次に、制御部5は、インク室34から記録ヘッド2へ吐出量分の定量のインクを送液させて、その前後でのインク供給管16aの内圧を内圧測定部41に測定させた後(ステップS4)、圧力の変化量を圧力記憶部42に記憶させる(ステップS5)。
【0053】
次に、制御部5はバネ部材32から可撓膜31への付勢力が最大値となるよう移動部材35の位置が設定されているか否かを判定し(ステップS6)、設定されていないと判定した場合(ステップS6;No)には、付勢力が所定量だけ増加するよう、移動部材35の位置を設定し(ステップS7)、上述のステップS3に移行する。
【0054】
一方、付勢力が最大値となるよう移動部材35の位置が設定されていると判定した場合(ステップS6;Yes)には、制御部5は、圧力記憶部42内の情報に基づいて、圧力変化量が最小であったときの移動部材35の位置(以下、最適位置とする)を検出し(ステップS8)、検出された最適位置に移動部材35の位置を設定する(ステップS9)。
【0055】
続いて、インクジェット記録装置1による画像の記録方法について説明する。
まず、インクジェット記録装置1に画像記録が指示されると、制御部5はキャリッジ14をプラテン10の上方に移動させる。
【0056】
キャリッジ14が所定の位置に到達すると、制御部5は搬送ローラ11,12によって記録媒体Pを搬送方向Xに搬送させるとともに、キャリッジ14を主走査方向に往復移動させる。また、このとき制御部5は、画像情報に基づいて記録ヘッド2の吐出口20から所要の色のインクを吐出させる。
【0057】
記録ヘッド2からインクが吐出されると、ダンパー3のインク室34内に貯留されているインクが記録ヘッド2に順次供給されてインク室34内のインクが減少し、インク室34内のインクが減少すると、可撓膜31がインク室34の内側に向かって撓みを生ずる。更に、可撓膜31が内側に撓むと、バネ部材32が反発力によって可撓膜31を初期位置に押し戻そうとし、これによってダンパー3のインク室34内及びダンパー3から記録ヘッド2までのインク供給管16a内は負圧状態となっていく。このとき、移動部材35の位置は最適位置に設定されているので、インク送液によるインク室34や吐出口20の内部の圧力変動は、ほぼ最小に維持される。
【0058】
また、内圧測定部41がインク供給管16aの内圧を測定し、この内圧が所定圧力よりも低いと制御部5が判断すると、インク室34内に貯留可能な量のインクを送液ポンプ18によってサブタンク15aからインク室34に供給させる。インクが適切に供給されると、インク室34内に流入したインクの圧力により可撓膜31が外側に押圧される。このとき、移動部材35の位置は最適位置に設定されているので、インク送液によるインク室34や吐出口20の内部の圧力変動は、ほぼ最小に維持される。
【0059】
また、残量検知センサ43がサブタンク15a内のインクの残量を検知し、残量が所定量よりも減少していると制御部5が判断すると、供給弁17を開放して必要量のインクをメインタンク15bからインク供給管16bを介してサブタンク15aに供給させる。これにより、サブタンク15aには常に一定量のインクが貯留されている状態となる。
【0060】
以上のインクジェット記録装置1によれば、ダンパー3には、インク供給管16aと連通する凹部300が形成されたケーシング部材30と、凹部300の開口部301を覆うことによりケーシング部材30との間にインク室34を形成する可撓膜31と、可撓膜31に一端部で当接して当該可撓膜31を外側に付勢するバネ部材32と、バネ部材32から可撓膜31に対する付勢力を変化させる付勢力変更機構33とが具備されるので、バネ部材32から可撓膜31に対する付勢力を付勢力変更機構33によって変化させることができる。従って、ダンパー3と記録ヘッド2との高さ関係や、バネ部材32の弾性係数、インクジェット記録装置1の製造誤差などに関わらず、インクの消費(排出)や送液(供給)による記録ヘッド2内の圧力変動が吸収され、安定した印字が行われる。よって、配置の自由度が求められている産業用途のインクジェット記録装置において、従来と比較して記録ヘッド2内での圧力変動を確実に吸収することができる。
【0061】
また、インク室34から記録ヘッド2までのインク供給管16aの内部での内圧を測定する内圧測定部41と、内圧測定部41での測定結果に基づいてバネ部材32から可撓膜31に対する付勢力を設定する制御部5とがインクジェット記録装置1に具備され、この制御部5はインク室34に一定量分のインクが送液される前後での内圧の変化量が最も小さくなるよう付勢力を設定するので、インクの供給によるヘッド内での圧力変動を確実に吸収することができ、ヘッド内の背圧を適切な圧力に維持することができる。
【0062】
また、上記のようにダンパー3と記録ヘッド2との高さ関係などに関わらず、記録ヘッド2内の圧力変動を確実に吸収することができるため、ダンパー3の汎用性を高めることができる。
【0063】
<変形例(1)>
続いて、図1,図6(a)を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置の変形例(1)について説明する。なお、上記の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
図1に示すように、本変形例におけるインクジェット記録装置1Aは、上述のダンパー3の代わりに、ダンパー3Aを有している。
このダンパー3Aは、図6(a)に示すように、ケーシング部材30Aと、バネ部材32Aと、移動部材35Aとを有している。なお、この図6(a)や後述の図6(b)、図7では、図示の簡略化のため、インク供給管16aの図示を省略している。
【0065】
ケーシング部材30Aは、凹部300の底部に補助開口部302を有しており、この補助開口部302にバネ部材32Aの他端側(図中、左側の端部)を挿通させている。
【0066】
移動部材35Aは、可撓膜31に対する接離方向に移動可能な板状部材であり、補助開口部302に対向するようケーシング部材30Aの外部に配設されて、バネ部材32Aの他端部に当接している。
【0067】
なお、本実施の形態においては、補助開口部302は、バネ部材32Aの他端部の側を包囲する補助可撓膜31Aによって封止されている。このような補助可撓膜31Aとしては、可撓膜31と同様の材料によるフィルムを用いることができる。
【0068】
以上のインクジェット記録装置1Aによっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<変形例(2)>
続いて、図1,図6(b)を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置の変形例(2)について説明する。なお、上記の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
図1に示すように、本変形例におけるインクジェット記録装置1Bは、上述のダンパー3の代わりに、ダンパー3Bを有している。
このダンパー3Bは、図6(b)に示すように、バネ部材32Bと、移動部材35Bとを有している。
【0071】
バネ部材32Bは、可撓膜31に対してケーシング部材30とは反対の側に配設されており、可撓膜31に対して一端部(図中、左側の端部)で垂直に当接している。
【0072】
移動部材35Bは、可撓膜31に対する接離方向に移動可能な板状部材であり、可撓膜31に対してインク室34とは反対の側に配設されて、バネ部材32Aの他端部(図中、右側の端部)に当接している。
【0073】
なお、本実施の形態においては、移動部材35Bの下端面には移動補助板36が固定されている。この移動補助板36は、ケーシング部材30の下端面に対して摺動可能に当接しており、可撓膜31の接離方向への移動部材35Bの移動をガイドするようになっている。
【0074】
以上のインクジェット記録装置1Bによっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
<変形例(3)>
続いて、図1,図7を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置の変形例(3)について説明する。なお、上記の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図1に示すように、本変形例におけるインクジェット記録装置1Cは、上述のダンパー3の代わりに、ダンパー3Cを有している。
このダンパー3Cは、図7に示すように、移動部材35Cと、移動部材駆動部37とを有している。
【0077】
移動部材35Cは、磁性材料で形成された板状部材であり、本実施の形態においては永久磁石となっている。この移動部材35Cは、バネ部材32における一端部(図中、右側の端部)と可撓膜31との間に介在している。
【0078】
移動部材駆動部37は、電磁石38を有しており、移動部材35に磁力を作用させて当該移動部材35を可撓膜31の接離方向に移動させるようになっている。なお、本変形例(3)において、移動部材35Cの移動方向のうち、可撓膜31に近接する方向とは、インク室34の内側から外側に向かう方向であり、可撓膜31から離間する方向とは、インク室34の外側から内側に向かう方向である。
【0079】
以上のインクジェット記録装置1Cによっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
なお、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
【0081】
例えば、上記実施の形態及び変形例においては、インクジェット記録装置1〜1Cは記録ヘッド2の背圧を測定する内圧測定部41を備え、この内圧測定部41の測定結果に基づいてバネ部材32から可撓膜31への付勢力を調整して設定することとして説明したが、可撓膜31の膜面位置を測定する膜面位置測定部を備え、この膜面位置測定部での測定結果に基づいて付勢力を調整して設定することとしても良い。この場合には、制御部5は、インク室34に一定量分のインクが送液される前後での膜面位置の変化量が最も大きくなるよう付勢力を調整して設定することとしても良いし、所定のタイミングで膜面位置が所定位置となるよう付勢力を調整して設定することとしても良い。ここで、膜面位置の測定位置としては、例えば上述の図2に示すように、可撓膜31の中央部分Oが好ましい。また、膜面位置が所定位置となるよう付勢力を調整する方法としては、例えば図8に示すように、まず制御部5が送液ポンプ18を駆動させてサブタンク15aからダンパー3のインク室34にインクを充填させ(ステップT1)、次にインク室34の内圧が約−(h+5)cmAqとなるよう当該インク室34からインクを排出させて貯留インク量を調整し(ステップT2)、次に膜面位置を膜面位置測定部に測定させた後(ステップT3)、この膜面位置が所定位置となるよう移動部材35の位置を調整して設定する(ステップT4)、という方法を用いることができる。このような膜面位置測定部としては、従来より公知のものを用いることができる。
【0082】
また、インクジェット記録装置1〜1Cをシリアルヘッド方式、つまり記録媒体Pの幅方向に往復移動する記録ヘッド2によって画像を形成する方式の装置として説明したが、ラインヘッド方式、つまり幅方向に延在して固定された記録ヘッドによって画像を形成する方式の装置としても良い。
【0083】
また、ケーシング部材30に対する移動部材35の移動によってバネ部材32から可撓膜31への付勢力を変更することとして説明したが、ケーシング部材30と移動部材35とが相対移動する限りにおいて、移動部材35に対するケーシング部材30の移動によって付勢力を変更することとしても良い。
【0084】
また、ダンパー3のほかにサブタンク15aを設ける構成とし、メインタンク15b内のインクは一旦サブタンク15aに供給された後にダンパー3に供給されるものとしたが、サブタンク15aを設けず、メインタンク15bのインクをダンパー3に直接供給するような構成としてもよい。この場合には、メインタンク15bとサブタンク15aとの間の供給弁17も必要でなくなり、装置構成が簡易となる。サブタンク15aは、一般に、記録ヘッド2及びインク供給管16a内が一定の負圧状態に保たれるように管理し、画像記録時以外に記録ヘッド2からインクが漏出することを防止する役割を負っているものであるが、本発明においてはダンパー3によって記録ヘッド2及びインク供給管16a内の負圧状態を維持するようになっている。このため、サブタンク15aを設けない構成としてもインクが記録ヘッド2のノズルから漏出することがない。
【0085】
また、本発明に係るインクジェット記録装置1を適用可能なインクジェット記録装置1としては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式のいずれの記録ヘッド2を用いるものでも構わない。また、吐出方式としては、例えば、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等のうち、いずれの吐出方式の記録ヘッド2を用いるものでも構わない。
【0086】
また、キャリッジ14には記録ヘッド2が搭載されることとして説明したが、インクが光硬化性である場合には、記録媒体Pに着弾したインクを硬化させるための光照射装置が記録ヘッド2とともに搭載されることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】ダンパーの概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】インク室から排出されるインク量と、記録ヘッドの背圧と、移動部材の位置との関係を示す図である。
【図5】バネ部材から可撓膜への付勢力の調整方法を示すフローチャートである。
【図6】ダンパーの概略構成を示す模式図である。
【図7】ダンパーの概略構成を示す模式図である。
【図8】バネ部材から可撓膜への付勢力の調整方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1〜1C インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
3〜3C ダンパー(背圧維持装置)
5 制御部(付勢力制御部)
15a インク供給管
18 送液ポンプ
20 吐出口
30,30A ケーシング部材
31 可撓膜
31A 補助可撓膜
32〜32B バネ部材(弾性部材)
33 付勢力変更機構
34 インク室
35〜35C 移動部材
38 電磁石
41 内圧測定部
300 凹部
301 開口部
302 補助開口部
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して吐出口からインクを吐出する記録ヘッドと、インク供給管を介して前記記録ヘッドにインクを供給する送液ポンプとを備えるインクジェット記録装置内で前記インク供給管の中途部、かつ前記記録ヘッドより上方に設けられ、前記送液ポンプから送液されるインクを貯留しつつ前記記録ヘッドに供給し、前記吐出口の内部を所定の負圧に維持する背圧維持装置であって、
前記インク供給管と連通する凹部が形成されたケーシング部材と、
前記凹部の開口部を覆うことにより、前記ケーシング部材との間にインク室を形成する可撓膜と、
前記可撓膜に一端部で当接して当該可撓膜を外側に付勢する弾性部材と、
前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を変化させる付勢力変更機構と、
を有することを特徴とする背圧維持装置。
【請求項2】
請求項1記載の背圧維持装置において、
前記付勢力変更機構は、
前記弾性部材の他端部に当接するとともに、当該可撓膜に対する接離方向に移動する移動部材を有することを特徴とする背圧維持装置。
【請求項3】
請求項2記載の背圧維持装置において、
前記弾性部材は、
前記ケーシング部材と前記可撓膜との間に介在することを特徴とする背圧維持装置。
【請求項4】
請求項3記載の背圧維持装置において、
前記移動部材は、
前記凹部の底部で前記ケーシング部を貫通し、当該ケーシング部に対して相対移動可能に設けられるとともに、
前記インク室の内部で前記弾性部材の前記他端部に当接することを特徴とする背圧維持装置。
【請求項5】
請求項2記載の背圧維持装置において、
前記弾性部材は、前記インク室の内側で前記可撓膜に当接しており、
前記凹部の底部には、前記弾性部材を挿通させた補助開口部が設けられており、
前記補助開口部は、
前記弾性部材の前記他端部の側を包囲する補助可撓膜によって封止されていることを特徴とする背圧維持装置。
【請求項6】
請求項2記載の背圧維持装置において、
前記弾性部材及び前記移動部材は、前記可撓膜に対してインク室とは反対の側に配設されていることを特徴とする背圧維持装置。
【請求項7】
請求項1記載の背圧維持装置において、
前記付勢力変更機構は、
磁性材料で形成されるとともに、前記弾性部材における前記一端部または他端部の側に設けられた移動部材と、
前記磁性部材に磁力を作用させて当該磁性部材を前記可撓膜に対する接離方向に移動させる電磁石とを有することを特徴とする背圧維持装置。
【請求項8】
記録媒体に対して吐出口からインクを吐出する記録ヘッドと、
インク供給管を介して前記記録ヘッドにインクを供給する送液ポンプと、
請求項1〜7の何れか一項に記載の背圧維持装置と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項8記載のインクジェット記録装置において、
前記インク室の内部、当該インク室から前記記録ヘッドまでの前記インク供給管の内部、或いは前記吐出口の内部での内圧を測定する内圧測定部と、
前記内圧測定部での測定結果に基づいて前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、
前記付勢力制御部は、
所定圧近傍に圧力制御された前記インク室に一定量のインクが送液される前後での前記内圧の変化量が最も小さくなるよう、前記付勢力を設定することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項8記載のインクジェット記録装置において、
前記可撓膜の膜面位置を測定する膜面位置測定部と、
前記膜面位置測定部での測定結果に基づいて前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、
前記付勢力制御部は、
所定圧近傍に圧力制御された前記インク室に一定量のインクが送液される前後での前記内圧の変化量が最も小さくなるよう、前記付勢力を設定することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項8記載のインクジェット記録装置において、
前記可撓膜の膜面位置を測定する膜面位置測定部と、
前記膜面位置測定部での測定結果に基づいて前記弾性部材から前記可撓膜に対する付勢力を設定する付勢力制御部とを備え、
前記付勢力制御部は、
前記膜面位置が所定位置となるよう、前記付勢力を設定することを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−12707(P2010−12707A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175233(P2008−175233)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】