説明

胴巻き包装機

【課題】多品種の蓋付き容器の形状や重量等に対応可能な胴巻き包装機を提供する。
【解決手段】コンベヤの容器搬送路2aに載置された容器を搬送する際に、容器搬送路2aを横断するように張設された熱収縮性のフィルムを容器の側面に巻き付けて、容器の後方でシール切断する胴巻き包装機であって、張設されたフィルムに当接した容器の後方を押送する押送部材10を容器の種類に応じて容器搬送路2a上の押送領域に出現させるか否かの切替えができる切替手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の側面を熱収縮性のフィルムで胴巻き包装する胴巻き包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等で販売される弁当容器等の蓋付き容器においてその側面に生じる容器本体と蓋との合わせ目から異物が混入することを防止するために、容器の全体をフィルムで包装すると、フィルムの使用量が多くなる。そのため、ごみ等の環境問題や包装コストの観点から、フィルムの使用量を少なくする簡易包装が求められる。そこで、特許文献1に開示された胴巻き包装機等を利用した胴巻き包装が行われている。この胴巻き包装では、帯状の熱収縮性フィルムを横方向両側の支持ローラ間で容器搬送路を横断するように支持し、そのフィルムを容器の搬送に伴い容器の側面全体に巻いて横方向両側の両シール部材により加熱シールするとともに切断して胴巻きする。その後、その胴巻きフィルムを容器の上面に折り畳むと共に加熱処理により容器に密着させて包装していた。このような胴巻き包装でもフィルムの使用量が多くなるため、容器の側面で容器本体と蓋との合わせ目にのみ帯状の熱収縮性フィルムを巻いてその合わせ目を封止し、フィルムの使用量を少なくする簡易包装について検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−9924号公報号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
品種によって容器の形状やサイズや重量等が異なるため、多品種の容器の形状やサイズや重量等に対応可能な胴巻き包装機の提供が求められる。
例えば、品種によっては、重量が軽い容器や、底が狭くて重心位置が高いために転倒し易い形状の容器が使用され、そのような容器における容器本体と蓋との合わせ目にフィルムを巻き付ける場合、フィルムにテンションをかけ過ぎると、フィルムのテンションによる抵抗で、容器が搬送されずにシール部材が容器にかみ込んでしまったり、容器が転倒し易くなってしまう。逆に、そのかみ込みや転倒を防ぐためにフィルムのテンションを解放し過ぎると、容器本体と蓋との合わせ目に当接しながらその合わせ目を包囲するはずのフィルムが容器から脱落してしまう。
【0005】
本発明は、胴巻き包装するにあたって多品種の蓋付き容器の形状や重量等に対応可能な胴巻き包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかる胴巻き包装機は、コンベヤ1の容器搬送路2aに載置された容器3を搬送する際に容器搬送路2aを横断するように張設された熱収縮性のフィルム7を容器3の側面3aに巻き付けて容器3の後方でシール切断するものであって、張設されたフィルム7に当接した容器3の後方を押送する押送部材10を容器3の種類に応じて容器搬送路2a上の押送領域に出現させるか否かの切替えができる切替手段を備えている。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記押送部材10は前記コンベヤ1の速度に同調する移動速度で容器3を押送する。
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記コンベヤ1には搬送ベルト2が並列に配置され、該搬送ベルト2の間に設けられた開口2bから押送部材10を前記押送領域に出現させる。
【0008】
請求項1〜3の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項4の発明において、複数の駆動手段32,28を含み、一つの駆動手段32の駆動によって押送部材10で容器3を押送し、別の駆動手段28の駆動によって押送部材10を容器搬送路2a上の押送領域に出現させる。
【0009】
請求項1〜4の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項5の発明において、押送部材10を容器搬送方向の上流側の後退位置から下流側に移動させる時間より、下流側から後退位置に復帰させる時間が短く設定されている。
【0010】
請求項1〜5の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項6の発明において、前記押送領域に出現させる押送部材10の高さを無段階に調節可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、容器の側面で容器本体と蓋との合わせ目の部分にのみフィルムを巻き付けて合わせ目を封止し、フィルムの使用量を少なくする簡易な胴巻き包装を行うにあたって、容器搬送路上の押送領域に押送部材を出現させる選択切替えがされると、例えば、重量が軽い容器や、底が狭くて重心位置が高いために転倒し易い形状の容器等であっても、容器の容器本体と蓋との合わせ目がフィルムに当接する際に、フィルムのテンションがある程度高くても、押送領域に出現する押送部材が容器の後方を押送し続けるため、シール部材等への容器のかみ込みを防止でき、或いは、容器の転倒を防止することが可能になる。このため、フィルムのテンションを解放し過ぎなくてもよくなり、容器の合わせ目にフィルムを密着させる際に、フィルムが容器から脱落しなくなる。
【0012】
また、簡易な弁当容器その他の蓋付き容器等の容器の形状は、品種によって様々である。品種によっては、容器の傾斜部分を押送部材が押すことによって、容器が押送部材に乗り上げてしまうため、押送部材を出現させない方が好ましい場合もある。このような形状の容器については、切替手段により、押送領域に押送部材を出現させない選択切替えを行うことが有効である。
【0013】
従って、胴巻き包装するにあたっても多品種の蓋付き容器の形状や重量等に対応可能な胴巻き包装機を提供することが可能になる。
請求項2の発明では、押送部材がコンベヤの速度に同調する移動速度で容器を押送するため、容器搬送路に載置された容器の転倒や位置ずれを防止することが可能になる。
【0014】
請求項3の発明では、搬送ベルトの間に設けられた開口から押送部材が容器搬送路上の押送領域に出現するように、押送部材をコンベヤの下方の空間に配設したことから、胴巻き包装機をコンパクトに構成することが可能になる。
【0015】
請求項4の発明では、異なる駆動手段を用いて容器搬送路上に押送部材を出現させるため、押送部材を容器搬送路上に出現させるタイミングを自由に設定変更することが可能になる。
【0016】
請求項5の発明では、押送部材を後退位置に復帰させる時間が短くなるため、連続的に容器を搬送する際に搬送時の間欠時間を短くして、1包装あたりの包装処理時間を短くすることが可能になる。
【0017】
請求項6の発明では、容器搬送路上に出現する押送部材の高さを変更することが可能になるので、例えば、容器の側面の下方部分のみが鉛直方向に対して傾いている場合、その傾き面に押送部材が当たらないように押送部材の高さを変更して、容器の傾斜する部分を押送部材が押すことをなくし、押送部材に対する容器の乗り上げを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】胴巻き包装機の一部を概略的に示す平面図である。
【図2】胴巻き包装機のフィルム支持機構を概略的に示す正面図である。
【図3】胴巻き包装機の容器押送機構を概略的に示す側面図である。
【図4】(a)(b)(c)は夫々胴巻き包装機のフィルム支持機構及びシール機構の作用を示す平面図であり、(d)は包装された蓋付き容器を示す一部切欠正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態の胴巻き包装機は、様々な形状やサイズや重量等を有する多品種の容器に対応可能なものである。
図1に示すように、コンべヤ1は供給コンべヤ1Aと排出コンべヤ1Bとからなり、供給コンべヤ1Aと排出コンべヤ1Bとには一対の無端状の搬送ベルト2が並列に配置され、該搬送ベルト2の間に開口2bが設けられている。該搬送ベルト2上の容器搬送路2aには容器3が載置されて容器搬送方向(前後方向)に沿う矢印の向きに搬送される。
【0020】
供給コンべヤ1Aと排出コンべヤ1Bとの境界付近には、フィルム支持機構4と、そのフィルム支持機構4より容器搬送方向の下流側でフィルム支持機構4に近接するようにシール機構5が配設されていて、フィルム支持機構4より容器搬送方向の上流側で、容器搬送路2aを搬送される容器3を検知する容器検知センサ6が配設されている。
【0021】
供給コンべヤ1Aの両搬送ベルト2の下流端と排出コンべヤ1Bの両搬送ベルト2の上流端とは、後述するシール機構5のシール部材27が互いに接近する時に、シール部材27の接近離間動作に合わせて容器搬送方向に沿って互いに離間するよう構成されている。
【0022】
供給コンべヤ1Aの容器搬送路2aを挟む左右方向(前後方向に対し直交する横方向)の両側には、帯状の熱収縮性のフィルム7をフィルム支持機構4に供給するフィルム案内機構8が配設されている。
【0023】
供給コンべヤ1Aの両搬送ベルト2の下流端部より上流側の所定範囲で両搬送ベルト2間の開口2bから、後述する容器押送機構9の押送部材10が容器搬送路2aに出現して容器3を容器搬送方向の下流側に向けて押しながら、排出コンべヤ1Bの両搬送ベルト2の上流端部より下流側の所定範囲まで移動すると、容器搬送路2a上から下降して隠れるようになっている。
【0024】
排出コンべヤ1Bの容器搬送方向の下流側には、図示しないシュリンクトンネルが設置され、熱収縮性のフィルム7により胴巻き包装された容器3を通過させて、図4(d)に示すように容器3の側面3aにおける容器本体23と蓋24との合わせ目38にフィルム7が密着して封止された包装品を得ることが可能になる。
【0025】
次に、図2に基づきフィルム支持機構4について説明する。
容器搬送路2aより下方位置で、容器搬送方向に対し交差する横方向に延出するように台11が、図示しない本体枠に支持されている。台11上の横方向両側に立設された支持板12間に一対の案内棒13が上下平行に横方向へ架設されている。また、両支持板12間には、両案内捧13と平行に雄螺旋棒14が回転可能に横方向へ支持されており、その雄螺旋棒14は、図1に示すサーボモータ15の回転を受けて回転する。雄螺旋棒14には、コンべヤ1の容器搬送路2aを挟む横方向における一側に左螺施14aが形成され、他方に右螺旋14bが形成されている。左螺施14aと右螺旋14bとは夫々、雌螺旋筒16と螺合している。雌螺旋筒16は、案内棒13に嵌挿された案内筒17と共に、可動板18に各々取着されている。このため、可動板18は、容器搬送路2aの左右両側で、雄螺旋棒14及び案内棒13に支持され、雄螺旋棒14が回転することで、容器搬送路2aの容器搬送中心に対し互いに接近すると共に、サーボモータ15の回転に応じて離間し、動作開始位置としての元の位置に復帰する。
【0026】
可動板18の一部である台板18aには、昇降台19が上下方向に移動可能に支持され、その昇降台19には、容器搬送路2aから横方向に順番に、支持ローラ20と案内ローラ21,22とが上下(鉛直)方向へ延びるように設置されている。昇降台19を上下方向に移動させることにより、支持ローラ20及び案内ローラ21,22の高さ調節が可能であって、例えば、図4(d)に示す容器3の容器本体23と蓋24とが接合する箇所だけ容器3の側面3aが包装されるように、容器3に対し支持ローラ20及び案内ローラ21,22の高さ調節が可能とされている。
【0027】
次に、図1に示すフィルム案内機構8は、フィルム供給源25と案内ローラ26aと繰出しローラ26bとゴムローラ26cとテンションローラ26dとを備えている。繰出しローラ26bは、サーボモータ(不図示)の駆動を受けて回転することによって、フィルム供給源25からフィルム7を引き出す。そのサーボモータの回転が停止すると、フィルム供給源25にはブレーキが掛けられるように構成されている。引き出されたフィルム7は、各ローラ26a,26b,26c,26dによりジグザグ状に巻掛けられた後、フィルム支持機構4の案内ローラ22に掛け渡されている。
【0028】
フィルム案内機構8の各ローラ26a,26b,26c,26d及びフィルム供給源25は上下方向に移動可能に支持されており、フィルム案内機構8の各ローラ26a,26b,26c,26d及びフィルム支持機構4の各ローラ20,21,22は、夫々、容器搬送路2aから上方に所定距離だけ離れた同じ高さ位置でフィルム7を支持するように高さ位置が調節されている。また、フィルム7の脱落を防ぐために各ローラ26a,26b,26c,26d,20,21,22の下端が鍔状に形成されている。テンションローラ26dは、後述する支持ローラ20が搬送途中の容器3の側面3aにフィルム7を巻き付け案内するタイミングで、不図示の駆動手段によって横方向の案内ローラ26a側に移動して、フィルム7の張りを、容器3がフィルム7に当接する直前のフィルム展張状態より比較的に弛い状態に調整できるように横方向に往復移動する。
【0029】
図1に示すシール機構5には、一対のシール部材27が両支持ローラ20より容器搬送方向の下流側で容器搬送路2aを挟む横方向両側に配設されている。シール部材27は、容器搬送路2aの容器搬送中心に対し横方向へ互いに接近離間可能とされていて、フィルム支持機構4及びフィルム案内機構8でフィルム7の高さが変わっても、フィルム7を加熱シールするとともに切断し得るように、上下方向に所定長さを有している。
【0030】
次に、図3に基づき容器押送機構9について説明する。
図示しない本体枠に取着されたエアシリンダ28上にはガイドレール29(ガイド部材)が支持されている。ガイドレール29は、両搬送ベルト2の下方位置で、図2に示す開口2bに沿うように延設され、駆動制御手段(不図示)によってエアシリンダ28(駆動手段)を作動させることにより上昇位置Pと下降位置Qとを取る。ガイドレール29には単一のスライダ30が移動可能に支持されている。スライダ30には押送部材10が取着され、また、多関節リンク機構31が回動可能に連結されている。
【0031】
多関節リンク機構31は、駆動レバー34と従動レバー36と連動リンク37とからなる。駆動レバー34及び従動レバー36は、夫々、一端部34a,36aが不図示の本体枠に回動可能に軸支されている。駆動レバー34の他端側には、カムローラ34bが取着されていて、そのカムローラ34bは、従動レバー36のカム溝36b内に配設されている。
【0032】
サーボモータ32(駆動手段)は、本体枠(不図示)に支持され、駆動制御手段(不図示)によって、一方向(矢印の向き)にのみ回転駆動される。サーボモータ32が回転すると、駆動レバー34が一端部34aを中心に一方向(矢印の向き)に回転する。このため、図3中、実線で示した多関節リンク機構31は、駆動レバー34が矢印の向きに2/3周回転すると、二点鎖線で示す位置に移動し、更に、1/3周回転すると、元の位置に復帰する。このように駆動レバー34が2/3周回転する際は、ガイドレール29が上昇位置Pに置かれ、押送部材10が搬送ベルト2間の開口2bから容器搬送路2a上に出現した状態で、押送部材10が開口2bに沿って容器搬送路2aの上流側から下流側へ直線的に前進する。なお、押送部材10はコンベヤ1の速度に同調する移動速度で移動するように駆動される。駆動レバー34が残り1/3周回転する際は、ガイドレール29が下降位置Qに置かれ、押送部材10が容器搬送路2aから退避した状態で、開口2bに沿って容器搬送路2aの下流側から上流側へ直線的に後退する。このようなエアシリンダ28及びサーボモータ32の駆動は、後述する切替手段によって駆動設定状態に切り替えられる時に行われる。押送部材10は、開口2bに沿って後退する際に、前進するときの倍の速度で容器搬送方向における最上流側の位置(後退位置)に復帰する。
【0033】
次に、容器搬送路2aを横断するように張設されたフィルム7に容器3が当接して支持ローラ20に巻き込み案内される際の各動作タイミングについて説明する。
張設されたフィルム7に対し、搬送途中の容器3が容器搬送方向の上流側に位置する時に、容器検知センサ6によって容器3が検知されると、不図示の駆動制御手段が、コンベヤ1の搬送速度に基づき、フィルム7に容器3が当接するタイミングとの関係から、繰出しローラ26bのサーボモータ(不図示)とテンションローラ26dの駆動手段(不図示)の各動作タイミングを求める。
【0034】
不図示の駆動制御手段には、両支持ローラ20を接近離間動作させるサーボモータ15と、両シール部材27を接近離間動作させるサーボモータ(不図示)と、押送部材10を上下方向に往復移動させるエアシリンダ28と、押送部材10を容器搬送方向に往復移動させるサーボモ−タ32との各動作タイミング(動作開始タイミング、動作停止タイミング)や各動作速度や動作開始位置等が予め設定されており、それらが容器検知センサ6による容器3の検知により各々駆動制御される。また、不図示の駆動制御手段は、容器3の種類に応じて押送部材10を容器搬送路2a上に出現させるか否かを選択切替し得る切替手段(不図示)を備えている。これらの設定は、容器搬送速度や容器3のサイズ等に応じて、オペレ一タにより変更可能である。
【0035】
切替手段(不図示)による選択切替え状況に応じて、不図示の駆動制御手段はエアシリンダ28を駆動制御して、押送部材10を容器搬送路2a上に出現させる駆動設定能状態、または、押送部材10を容器搬送路2a上に出現させない停止設定状態に設定し、また停止設定状態の時にサーボモータ32の駆動を停止させる。
【0036】
切替手段により駆動設定状態に切替えられている際の押送部材10の動きと、支持ローラ20及びシール部材27の動きとについて、図3及び図4に基づき説明する。
容器3がフィルム7に当接する前においては、容器検知センサ6による容器3の検知により、図3に示すように、押送部材10は、エアシリンダ28(駆動手段)の駆動によって下降位置Qから上昇位置Pに上昇し、容器搬送路2a上の上下方向及び横方向において容器3の後方に接触可能な領域(押送領域)に出現し、サーボモータ32(駆動手段)の駆動によって容器搬送方向の下流側に移動する(図4(a)参照)。この時、一対の支持ローラ20は、互いに最も離間する待機位置で停止しており、両支持ローラ20に対し容器搬送方向の下流側で近接する一対のシール部材27は、支持ローラ20よりも更に離間する待機位置で停止している。
【0037】
容器3がフィルム7に当接してから、フィルム7の反力に抗して、フィルム支持機構4より若干、容器搬送方向の下流に前進するまで、押送部材10による容器3の押送が続き、この間、一対の支持ローラ20が容器3の横幅Sより狭い位置まで互いに接近して、フィルム7を容器3の側面3a(容器本体23と蓋24との合わせ目38の部分)に巻き付け案内する(図4(b)参照)。
【0038】
この状熊で更に押送部材10が容器3を押送すると、押送部材10がエアシリンダ28により下降位置Q(図3参照)に下降する。
この下降のタイミングより僅かに遅れて、一対のシール部材27が互いに接近し、フィルム7を挟んで加熱シールし、フィルム7をナイフ(不図示)により切断して容器3を胴巻きする(図4(c)参照)。このとき、繰出しローラ26bによるフィルム7の引出しが停止される。
【0039】
その後、押送部材10は、下降位置Qの高さに保たれた状態で、容器搬送方向における上流側の後退位置に戻り、一対のシール部材27は、互いに離間してフィルム7を解放し、一対の支持ローラ20と共に、夫々、待機位置に戻る。この際に、再度、フィルム7が展張状態で張設される。
【0040】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 容器3の側面3aで容器本体23と蓋24との合わせ目38の部分にのみフィルム7を巻き付けて合わせ目38を封止し、フィルム7の使用量を少なくする簡易な胴巻き包装を行うにあたって、容器搬送路2a上の押送領域に押送部材10を出現させる選択切替えがされると、例えば、重量が軽い容器3や、底が狭くて重心位置が高いために転倒し易い形状の容器3等であっても、容器3の容器本体23と蓋24との合わせ目38がフィルム7に当接する際に、フィルム7のテンションがある程度高くても、容器搬送路2aに出現する押送部材10が容器3を容器搬送方向の下流側に向けて押し続けるため、シール部材27等への容器3のかみ込みを防止でき、或いは、容器3の転倒を防止することが可能になる。このため、フィルム7のテンションを解放し過ぎなくてもよくなり、容器3の合わせ目38にフィルム7を密着させる際に、フィルム7が容器3から脱落しなくなる。従って、簡易な胴巻き包装するにあたっても多品種の蓋付き容器の形状や重量等に対応可能な胴巻き包装機を提供することが可能になる。
【0041】
* 弁当容器その他の蓋付き容器等の容器の形状は、品種によって様々である。品種によっては、容器3の傾斜部分を押送部材10が押すことによって、容器3が押送部材10に乗り上げてしまうため、押送部材10を出現させない方が好ましい場合もある。このような形状の容器3については、切替手段により、容器搬送路2aに押送部材10を出現させない選択切替えを行うことが有効である。
【0042】
* 押送部材10がコンベヤ1の速度に同調する移動速度で容器3を押送するため、容器搬送路2a上に載置された容器3の転倒や位置ずれを防止することが可能になる。
* 搬送ベルト2の間に設けられた開口2bから押送部材10が容器搬送路2a上の押送領域に出現するように、押送部材10をコンベヤ1の下方の空間に配設したことから、胴巻き包装機をコンパクトに構成することが可能になる。
【0043】
* 押送部材10の駆動手段として、容器3を押送する駆動手段(サーボモータ32)とは別に、押送部材10を押送領域に出現させる駆動手段(エアシリンダ28)を配設したことによって、押送部材10を出現させるタイミング等を自由に設定変更することが可能になる。
【0044】
* 多関節リンク機構31によって、押送部材10をガイドレール29に沿って直線的に容器搬送方向の下流側に移動させる時間より、該押送部材10をガイドレール29に沿って後退位置に復帰きせる時間が短くなるため、連続的に容器3を搬送する際に搬送時の間欠時間を短くして、1包装あたりの包装処理時間を短くすることが可能になる。
【0045】
* 搬送ベルト2の間に設けられた開口2bから押送部材10を押送額域に出現させるように、容器押送機構9をコンベヤ1の下方の空間に配設したことから、胴巻き包装機をコンパクトに構成することが可能になる。
【0046】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 本実施形態では、押送部材10を下降位置Qに下降させてから、僅かに遅れて、一対のシール部材27を互いに接近させたが、容器3の種類等に応じて、例えば、一対のシール部材27が加熱シールし終えるまで、押送部材が容器の後方に当接するようにタイミングを設定する等、押送部材を下降位置Qに下降させるタイミングを様々設定できるようにしてもよい。また、押送部材を下降位置Qから上昇位置Pに上昇させるタイミングについても、容器の種類等に応じて、様々設定できるようにしてもよい。
【0047】
・ 本実施形態では、押送部材10を上下方向に容器搬送路2aの下方から容器搬送路2a上の押送領域に出現させたが、押送部材を容器搬送路の上方或いは側方の押送領域から離間する位置に配置して、形状や重量等の異なる容器の種類に応じて、押送部材を押送領域に進退させるようにしてもよい。
【0048】
・ 本実施形態では、容器3の後方に当接する押送部材10の面は平らに形成されたものであるが、例えば、凹面状であってもよい。また、容器の後方を2箇所等で支持する等、押送領域に複数の押送部材を出現させるようにしてもよい。容器を押送することが可能であれば、押送部材の形態等は特定されるものではない。
【0049】
・ 本実施形態では、切替手段により、押送部材10を容器搬送路2a上の押送領域に出現させるか否かの二択による選択切替を行い得る構成であったが、例えば、エアシリンダ28に代えて、サーボモータで押送部材を昇降させるといった押送部材の高さ位置制御を行えば、押送領域に出現する押送部材の高さを無段階に調整可能とすることが可能になる。また、コンベヤの容器搬送路の高さ位置を可変にして、押送領域に出現する押送部材の高さを無段階に調整可能とすることが可能になる。例えば、容器の側面の下方部分の面のみが鉛直方向に対して傾いている斜面である場合、その斜面に押送部材が当たらないように押送部材の高さを変更すれば、押送部材に容器が乗り上げて傾くことを防止することが可能になる。
【0050】
・ 本実施形態では、多関節リンク機構31によって、押送部材10を容器搬送方向の上流側の後退位置から下流側に移動させる時間より、下流側から後退位置に復帰させる時間を短くして、1包装あたりの包装処理時間を短くしたが、サーボモータ32の速度を変える等の電気的な制御手段で、下流側から後退位置に復帰させる時間を短くしてもよい。
【0051】
・ 加熱シールすると共にナイフにより切断するシール部材27に代えて、適切な温度に加熱した刃を使用することによりフィルムを溶かしてシールしつつ切断する溶断シールであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…コンベヤ、2…搬送ベルト、2a…容器搬送路、2b…開口、3…容器、3a…容器の側面、7…フィルム、10…押送部材、28…エアシリンダ(駆動手段)、32…サーボモータ(駆動手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤの容器搬送路に載置された容器を搬送する際に、容器搬送路を横断するように張設された熱収縮性のフィルムを容器の側面に巻き付けて、容器の後方でシール切断する胴巻き包装機であって、張設されたフィルムに当接した容器の後方を押送する押送部材を容器の種類に応じて容器搬送路上の押送領域に出現させるか否かの切替えができる切替手段を備えることを特徴とする胴巻き包装機。
【請求項2】
前記押送部材は、前記コンベヤの速度に同調する移動速度で容器を押送することを特徴とする請求項1に記載の胴巻き包装機。
【請求項3】
前記コンベヤには搬送ベルトが並列に配置され、該搬送ベルトの間に設けられた開口から押送部材を前記押送領域に出現させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の胴巻き包装機。
【請求項4】
複数の駆動手段を含み、一つの駆動手段の駆動によって押送部材で容器を押送し、別の駆動手段の駆動によって押送部材を容器搬送路上の押送領域に出現させることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の胴巻き包装機。
【請求項5】
押送部材を容器搬送方向の上流側の後退位置から下流側に移動させる時間より、下流側から後退位置に復帰させる時間が短く設定されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の胴巻き包装機。
【請求項6】
前記押送領域に出現させる押送部材の高さを無段階に調節可能である請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の胴巻き包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−1075(P2011−1075A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144110(P2009−144110)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】