説明

脂肪含有食品

【課題】ポテトチップスやチョコレートなどの脂肪分を多く含有する脂肪含有食品について、本来その食品が有する、味、食感、風味を損なうことなく、体内における脂肪吸収抑制効果の大きい、ヘルシーな脂肪含有食品を提供する。
【解決手段】脂肪含有食品の表面または内部に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質、具体的な代表例としてはシクロデキストリンを添加することである。さらに前記孔構造には、前記脂肪含有食品の他の添加物の少なくとも1種が包接されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その成分に脂肪を有する食品、脂肪含有食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のヘルシー志向の高まりとともに、現代人のカロリー摂取過多が問題視されてきている。カロリー摂取の過多は、内臓に脂肪が蓄積し、いわゆるメタボリックシンドロームの状態から、肥満症、高脂血症、高血圧、糖尿病などいわゆる生活習慣病を引き起こす要因とされている。
なかでも脂肪分の摂取過多は問題視されている。1日の適正脂肪摂取量は50〜70gで、摂取する総エネルギーの20〜25%に抑えるのが良いといわれているが、現代の食生活において、この摂取量以下に抑えることは必ずしも容易ではない人も存在する。
【0003】
かかる現状から、食品メーカーなどは、従来、成分として脂肪を多く含有しているような食品、脂肪含有食品について、その製法など見直し、できるだけ脂肪を抑えた食品などの開発を試みている。
例えば、特許文献1では、スナック菓子に含まれる脂肪分を抑制するために、乳化剤を用いて油性原料と水性原料を水中油型に乳化させたシーズニング液を、油揚げされていないスナック生地にコーティングし、その後該スナック生地を乾燥することで、油脂含量が少なくても多量に油脂を含有するのと同様の口溶けや喉ごしを得られるとしている。
【特許文献1】特開2007−117040公報
【0004】
しかしながら、脂肪分を従来よりも抑制した食品の多くは、味、食感、風味などの面において、従来製法による食品と比較すると、未だ不十分な場合が多く、食べ物を美味しく食べるという、食が本来有していた楽しみを奪う結果となっていることがあった。このことは、そのまま手軽に美味しく食べることのできる菓子などの嗜好品において特に問題であり、例えばノンフライのスナック菓子などが新しく市場に投入されても、消費者は、味、食感、風味の面で、従来からのフライ工程を経たスナック菓子を選択してしまうことが多かった。
更に、特許文献1において、フライ工程をなくすなど、従来の製法を根本的に変える手段は、今までフライ工程で培われてきたノウハウを始めから構築し直すことを意味し、製品して市場に出せるまでの品質にノウハウを積み上げることに多大な労力が必要とされ、またコスト的にも問題がある。
【0005】
加えて、脂肪分の他にも塩分の摂りすぎは高血圧症発症の要因とされているが、ポテトチップスを代表とする、その表面に塩分を振りかけているスナック菓子では、塩味を維持したまま摂取する塩分を減少させうる手段も求められている。菓子などの嗜好品では、その風味を維持することが前提とされるが、その上で脂肪分のみならず塩分の摂取を減少させうる手段は、高血圧症などの生活習慣病を相乗的に予防できる手段となりうるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記現状を鑑みて、解決しようとする問題点は、脂肪含有食品を食するにおいて、本来その食品が有する、味、食感、風味を損なうことなく、体内における脂肪吸収抑制効果の大きい脂肪含有食品を提供することにある。
点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脂肪含有食品では、脂肪含有食品の表面または内部に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が添加されていることを最も主要な特徴とする。
【0008】
更に、前記孔構造を具備する物質の前記孔構造には、前記脂肪含有食品の他の添加物の少なくとも1種が包接されたものとすることも好ましい特徴である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の脂肪含有食品は、従来その食品が含有している脂肪分を少なくするものではないため、その脂肪含有食品が本来有する味、食感、風味を損なうことなく、体内においてその脂肪含有食品の脂肪の成分の吸収を抑制させることができる。
【0010】
更に、前記孔構造を具備する物質の前記孔構造には、前記脂肪含有食品の他の添加物の少なくとも1種が包接されたものである場合には、その食品を口の中に入れるまでは、他の添加物によって前記物質の包接部分が保護される一方、その食品を口に入れ、唾液などで、液状になった時点で、前記他の添加物が溶出し、より親和性の強い脂肪成分を包接するので、体内における脂肪吸収抑制効果が大きい一方、その食品の有する味、食感、風味が、十分維持される。
【0011】
特に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が、シクロデキストリン、なかでもα-シクロデキストリンであれば、世界的基準でも食品添加物としての安全性が認められているだけではなく、それ自体は、ほとんど無味、無臭なので、添加される脂肪含有食品の本来有する味、食感、風味を変えてしまうおそれが殆どない。
【0012】
さらに、密封された包装袋に封入されている脂肪含有食品に対して、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質を添加した場合、その食品の製造出荷から食べる直前までは密封されており、外部環境の影響を殆ど受けないため、前記物質も、例えば水分、酸素、二酸化炭素などの外的因子を無駄に包接してしまうことなく、その食品の脂肪成分を効率的に包接できる。このため、体内において効率的な脂肪吸収抑制効果を発揮することができる。
【0013】
加えて、前記疎水性の分子を包接することのできる孔構造の外側部位は、親水性であり、周りに存在する水分などを吸着しやすいので、密封された包装袋に封入されている脂肪含有食品に前記物質を添加した場合、包装袋中の乾燥状態を長期間維持することが容易である。
【0014】
なかでも、フライ工程を経るなどの理由で、その表面に脂肪成分が多いポテトチップスのような脂肪含有食品の場合、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質を、前記脂肪含有食品の表面に振りかけるなどして添加すれば、両者は隣接して存在することになるので、前記孔構造が、効率的に脂肪成分を包接できる。
一方、成分自体に脂肪分が多いチョコレートのような脂肪含有食品に対しては、前記物質を前記脂肪含有食品に練りこむなどして混入させれば、両者は隣接して存在する割合が増加するので、前記孔構造が、効率的に脂肪成分を包接できる。
【0015】
更に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質がシクロデキストリンであり、前記スナック菓子の表面に、塩分およびシクロデキストリンを含むシーズニングが添加されたスナック菓子である場合に、前記シクロデキストリンの添加割合を全シーズニングに対し50〜80重量%であり、かつ塩分に対し100〜300重量%とすれば、シクロデキストリンを添加しなかった場合に比べて塩味が強まるので、スナック菓子の風味を劣化させることなく、添加する塩分量を従来よりも減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(脂肪含有食品)
本発明が対象とする脂肪含有食品は、脂肪成分を含む食品であれば足りる。ここでいう脂肪とは、栄養学的な意味での脂肪であって、動物性脂肪であるか植物性脂肪であるかを問わない。また食品そのものの性質として脂肪が含まれている食品であっても、フライ工程など調理法によって、脂肪成分が後から添加される食品であってもよい。
【0017】
なかでも、本発明が特に有用なのは、ポテトチップスを含むスナック菓子、ナッツ、ジャーキー、ポップコーン、チョコレートなどの嗜好品のように、ヘルシー志向の観点から、脂肪分の多さゆえに敬遠されがちな食品を対象とした場合である。
【0018】
更に、前記脂肪含有食品が、工場出荷から店頭陳列を経て消費者が消費するまでの間、密封された包装袋に封入されている食品であることが好ましい。疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が、水分や酸素などの外的因子を包接してしまい、食品中の脂肪の包接を阻害するのを抑制できるからである。食品を密封する包装袋に用いる包装用積層フィルムの様態は特段制限されないが、なかでも包装袋にしたとき最内側となる層として、アルミニウム蒸着などによるバリア層を具備しているものが好ましい。最内層にバリア層を具備する包装袋は、封入された食品を外部の環境から遮断して、包装袋の内部で、その環境を一定状態に維持できる。このような環境の中で、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質は、他の外的因子の影響を受けることなく、効率的に封入された脂肪含有食品の脂肪を包接する。
【0019】
(疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質)
本発明にいう疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質とは、該物質の化学構造として、分子内に環を具備するなどの構造によって、疎水性の分子を包接できる孔構造を有している物質である。一般的には孔構造の直径が、ナノメートル或いはサブナノメートルのオーダーである。一方、塩などの調味料、シーズニング等、他の固体の添加物の大きさは、細かいものでもサブミリメートルのオーダーである。したがって、かかる他の固体の添加物が前記物質の近傍に存在しても、前記他の添加物が、固体状態である限り、前記物質が、他の固体の添加物を包接することはなく、脂肪成分を選択的に包接する。
【0020】
更に本発明で前記物質は食品の添加物として使用される以上、食品添加物として安全上の基準を満たしていることが必要とされる。前記孔構造が、疎水性の分子を包接できるので、特に脂肪が近隣に存在する場合、選択的に脂肪分を包接しやすい。
【0021】
更に、前記孔構造には、前記脂肪含有食品の他の添加物の少なくとも1種が包接されていることが好ましい。前記孔構造は、空孔の場合、何らかの物質を包接しようとする性質を有する。本発明の脂肪含有食品では、体内に入ってから脂肪の吸収を阻害するように働けば足りる。従って、体内に入った時点で速やかに前記脂肪含有食品の脂肪分が包接されるように、体内に入るまでの間、前記孔構造は、脂肪含有食品に用いられる他の添加物を包接し、当該部位が保護されていることが好ましい。
ただし、上述のとおり、他の添加物が固体の場合、そのまま混合しても、前記物質の孔構造に包接されない。したがって、前記孔構造に、前記脂肪含有食品の他の添加物を包接させるには、包接させる他の添加物をナノメートルオーダー以下まで細かくすることや、一旦両者を液体に溶解させたうえで乾燥するなどの手段を取ることが好ましい。
【0022】
前記他の添加物は、調味料、シーズニング、保存料等その種類は問わないが、疎水性の部位と親水性の部位を併せ持つ、両性化合物であることが好ましい。そのような化合物の場合、疎水性の部位が前記孔構造との親和性を有するので、包接される。しかしその後、その食品を体内に摂取する段階において、唾液などで液体状態になったとき、前記両性化合物は前記孔構造から溶出しやすくなる。このため、前記孔構造は、より親和性の高い脂肪を選択して包接するので、前記他の添加物と脂肪との置換が容易に行われる。
【0023】
また、従来から当該脂肪含有食品に用いられている添加物を本発明の他の添加物とすると、その脂肪含有食品の味、食感、風味に影響を与えることがなく好ましい。一方、当該脂肪含有食品の味、食感、風味に影響を与えない範囲で、前記両性化合物のうち、安全性が確保されている化合物を新たに用いてもよい。
【0024】
(シクロデキストリン)
前記物質の代表的な具体例として、シクロデキストリンを挙げることができる。シクロデキストリンとは数分子のα-グルコースがグルコシド結合によって重合して環状構造をとった環状オリゴ糖の総称である。シクロデキストリンには、グルコースが5個以上結合したものが知られている。一般的なものは、グルコースが6個から8個結合したものであり、それぞれ6個結合しているものがα-シクロデキストリン(シクロヘキサアミロース)、7個結合しているものが β-シクロデキストリン(シクロヘプタアミロース)、8個結合しているものがγ-シクロデキストリン(シクロオクタアミロース)と呼ばれている。
【0025】
本発明では、上記いずれのシクロデキストリンも使用できるが、世界的に食品添加物としての使用が認められているα-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンが好ましく、経済性の観点からα-シクロデキストリンが更に好ましい。また、食品添加物としての安全性が認められる範囲で、孔構造の外側の親水性を向上させるなどの目的で、官能基置換などを行った化学修飾シクロデキストリンなども使用できる。
【0026】
シクロデキストリンの環状構造の内部は他の比較的小さな分子を包接できる程度の大きさの空孔となっていることが知られており、空孔の内径はα体で0.45〜0.6nm、β体で0.6〜0.8 nm、γ体で0.8〜0.95nm程度とされている。またシクロデキストリンのヒドロキシ基はこの空孔の外側にあるため、空孔内部は疎水性となっており、疎水性の分子を包接しやすい。これを利用して疎水性の物質をシクロデキストリンに包接させることで水に溶解させたり、水や酸素と反応しやすい物質を保護したりする用途に利用されている。
【0027】
(添加条件)
シクロデキストリンなどの疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質を脂肪含有食品に添加する量などは、特に制限されない。添加する対象の脂肪含有食品の脂肪分を包接して、体内において脂肪吸収抑制効果を発揮できる一方で、味、食感、風味を変えない適量を添加すればよい。
【0028】
特に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質がシクロデキストリンであって、また脂肪含有食品がポテトチップスなどのスナック菓子であって、前記スナック菓子の表面に、塩分およびシクロデキストリンを含むシーズニングが添加されている場合に、前記シクロデキストリンの添加割合を全シーズニングに対し50〜80重量%であり、かつ塩分に対し100〜300重量%とすることが好ましい。シクロデキストリン自身はほとんど無味無臭で、かすかに甘みを感じることができる物質であるが、意外なことに、上記の割合でスナック菓子の添加すると、シクロデキストリンを添加しない場合に比べて塩味が強まることがわかった。
ここで、塩分とは塩化ナトリウム(NaCl)に代表される成分であるが、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの無機塩も含む。一方、塩分以外のシーズニング成分としてはアミノ酸、香辛料、香料などを挙げることができる。
シクロデキストリンの添加によって、塩味が強まる効果は、塩分に対するシクロデキストリンの添加割合に左右されるが、その他にシーズニングに添加されるアミノ酸、香辛料、香料などの成分量にも左右される。スナック菓子の表面にアミノ酸、香辛料、香料などが多く添加されている場合は、塩分に対するシクロデキストリンの添加割合が適正な範囲にあっても、塩味が強まる効果が発揮されない場合があることが分かった。従ってシクロデキストリンの添加割合は、全シーズニングに対し50重量%以上、すなわちシクロデキストリン以外の添加成分を50重量%未満にすることが好ましい。
【0029】
添加する手段も特に制限されないが、対象とする脂肪含有食品の種類によって、好ましい添加方法は相違する。例えば、製造過程において、フライ工程を経るポテトチップスのような食品では、食品の表面にフライ工程などで付着した油分を有する。この場合、その食品の表面に前記物質を添加すると、フライで使用した油と前記物質とが近接して存在することになるので、効率的に脂肪成分の包接が行われる結果、体内における脂肪分吸収抑制効果はより一層大きくなる。
一方、チョコレートのように、成分自体に脂肪分の多い食品に対しては、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質を、製造工程において前記物質を添加して練りこむなどの方法で、その食品の内部に前記物質を混入させて、食品の脂肪分と前記物質とが近接して存在させることが好ましい。
【0030】
なお、シクロデキストリンが、動物性脂肪からステロールや遊離脂肪酸を削減する効果を有することは既に知られている。例えば、特許文献2では、水、液状の動物性脂肪およびシクロデキストリンの混合液を、ポンプやインラインミキサーなどの混合手段を用いて水中油型エマルションを形成して、動物性脂肪からステロールや遊離脂肪酸を削減する方法について開示されている。
【特許文献2】特表平10−510317
【0031】
しかし、特許文献2の方法に換えて、脂肪含有食品への添加という簡便な方法にて体内における脂肪吸収抑制効果を発揮させようとした場合、脂肪含有食品の味、食感、風味を損なうことなく、脂肪分を効率的にシクロデキストリンに包接させるために、種類の選択、添加量、その他手段などをどのように行うべきかについては現在まで十分に明らかにされていなかった。
【0032】
この点に関し、本発明の脂肪含有食品では、工場出荷から消費者が口に入れるまで、シクロデキストリンの孔構造には、脂肪含有食品の他の添加物の少なくとも1種が包接されていることが好ましいことを明らかにした。更に、シクロデキストリンの種類としてはα-シクロデキストリンが好ましいこと、ポテトチップスなど製造にフライ工程を経る必要のある食品では、食品表面に添加したほうが好ましいこと、一方、チョコレートなど成分自体に脂肪を含む食品の場合は、食品内部に混入させることが好ましいことを明らかにした。また、工場出荷から消費者が消費するまでの間は、脂肪含有食品が、密封された包装袋に封入されている状態であることが好ましいことも明らかにした。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
馬鈴薯をスライサーで薄切りにし、水に漬けて表面を軽く洗い、その後乾燥させて乾燥馬鈴薯を得た。この乾燥馬鈴薯を200℃のパーム油で4分間揚げて、味付け前のポテトチップスを得た。この味付け前のポテトチップス100gに対し、塩0.9g、α-シクロデキストリン10gの割合で振りかけた。なお、比較のため、塩0.9gのみを振りかけたポテトチップスも製造した。その後、一般的なポテトチップス用の包装用積層フィルム(最内側層にアルミニウム蒸着層を具備する。)を用いた包装袋の中に封入し、一般的なポテトチップスに行うのと同じく密封した。5日後これを開封し、中のポテトチップスを食べてみたところ、α-シクロデキストリンを振りかけたポテトチップスは、これを振りかけない比較用のポテトチップスと比べて、味、食感、風味ともに変わらないものであった。
【0034】
(実施例2)
実施例1よりも、更に微細な味覚の違いを検証するため、2種類のポテトチップスについて直接交互に対比することによる味覚実験を行った。実施例1と同じ方法にて製造した、味付け前のポテトチップス各32gに下記(1)〜(4)のシーズニングを振りかけ、手混合で1分以上攪拌した。被験者22人に2種類のシーズニングのポテトチップスを交互に食べてもらい、どちらがより塩味を感じるかを統計調査した。
(1)あら塩(塩分100重量%)0.5g
(2)あら塩(塩分100重量%)0.5g+α-シクロデキストリン1.27g
(3)うす塩味シーズニング(塩分28.4重量%)1.76g
(4)うす塩味シーズニング(塩分28.4重量%)1.76g+α-シクロデキストリン1.27g
なお(2)のシクロデキストリンは、塩分に対し254重量%、全シーズニングに対し71%であり、(4)のシクロデキストリンは、塩分に対し254重量%、全シーズニングに対し42%である。
(1)と(2)の比較及び(3)と(4)の比較で、塩味を強く感じた人の分布を表1に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示した結果より、(1)と(2)の比較では、α-シクロデキストリンを添加した(2)の方に塩味を強く感じた人が多かったが、(3)と(4)の比較では、α-シクロデキストリンを添加しない(3)の方に塩味を強く感じた人が多かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪含有食品の表面または内部に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が添加されていることを特徴とする脂肪含有食品。
【請求項2】
脂肪含有食品の表面または内部に、疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が添加されており、
前記孔構造には、前記脂肪含有食品の他の添加物の少なくとも1種が包接されていることを特徴とする脂肪含有食品。
【請求項3】
前記疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が、シクロデキストリンである、請求項1または2記載の脂肪含有食品。
【請求項4】
前記疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質が、α-シクロデキストリンである、請求項1または2記載の脂肪含有食品。
【請求項5】
前記脂肪含有食品が、密封された包装袋に封入されている食品である、請求項1または2記載の脂肪含有食品。
【請求項6】
前記脂肪含有食品が、スナック菓子である、請求項1または2記載の脂肪含有食品。
【請求項7】
前記疎水性の分子を包接することのできる孔構造を具備する物質がシクロデキストリンであり、前記スナック菓子の表面に、塩分およびシクロデキストリンを含むシーズニングが添加されたスナック菓子であって、
前記シクロデキストリンの添加割合が、全シーズニングに対し50〜80重量%であり、かつ塩分に対し100〜300重量%である、請求項6記載の脂肪含有食品。
【請求項8】
前記脂肪含有食品が、ポテトチップスである、請求項1または2記載の脂肪含有食品。
【請求項9】
前記脂肪含有食品が、チョコレートである、請求項1または2記載の脂肪含有食品。



【公開番号】特開2009−225782(P2009−225782A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232707(P2008−232707)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】