説明

脂肪物質の精製処理

脂肪物質から不純物を除去する方法は、既に多少の精製処理にかけていてもよい脂肪物質を供給し;脂肪物質に液体吸着剤の水性懸濁液を加え、それによって脂肪物質との混合物を形成し;場合によっては多少の水を混合物に加え;そして脂肪物質から分離した水相を形成し、脂肪物質から水相を除去する;工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吸着剤による吸着処理によって脂肪物質から残留不純物を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明との関連においては、脂肪物質は、主として脂肪酸基を含む有機分子から構成される生成物として定義する。特に、これは、既に何らかの精製処理又は化学的修飾にかけられているが、未だ残留不純物を含んでおり、したがって更なる精製処理が必要な生成物を指す。
【0003】
脂肪種子の圧搾及び/又は抽出によるか、又は動物脂肪組織の精製によって製造される食用油脂は、多くの異なる不純物を含む。バージンオリーブオイル及び幾つかの特殊な油のような僅かな例外があるが、これらは一般公衆に販売できるか又は食品若しくは油脂化学製品の製造において用いることができるようにする前に精製しなければならず、かかる油脂化学製品でさえも、更なる残留不純物を除去してこれらが適切に機能することを確保する必要がある可能性がある。
【0004】
食用油産業においては、多数の異なる精製プロセスが用いられている。これらは、粗油を脱ガムして一部又は殆どのホスファチド及び他の水溶性化合物を除去することを含む。脱ガムされた油(本発明との関連においては脂肪物質)は、次にアルカリ精製して遊離脂肪酸を除去することができ、アルカリ精製中性油(これも本発明の関連においては脂肪物質)は、漂白して着色性化合物を除去することができ、漂白プロセスは濾過工程を伴うので、粒子状物質も除去される。最後に、漂白された油は、真空蒸気ストリッピングプロセスにおいて脱臭して悪臭化合物を除去することができる。
【0005】
油脂化学産業において、これも本発明との関連においては脂肪物質としてみなすべきである脂肪酸メチルエステル(FAME)は、水で洗浄して残留メタノール及びグリセロール並びに他の水溶性不純物を除去することができる。しかしながら、水による洗浄では水不溶性不純物を除去することができないので、他の精製処理が望ましい可能性がある。
【0006】
上記で言及した精製処理は、不純物のバルクを除去するが、脂肪物質中に多少の残留不純物が残留するという点で共通している。例えば、水脱ガムプロセスでは水和性ホスファチドしか除去されず、油中の非水和性ホスファチド(NHP)は残留する。これらのNHPを除去するためには、脱ガム酸を用いなければならない。これにより、NHPが水和性ホスファチジン酸に転化し、これは特にホスファチジン酸が解離するような程度までpHを上昇させると水性スラッジとして除去することができる。しかしながら、米国特許4,469,185において示されているように、ホスファチジン酸を水性スラッジとして除去すると、油中に多少の残留ホスファチドが残留し、このために引き続いて水洗浄を行う必要がある。
【0007】
同様に、アルカリ精製処理又は中和処理の間にそれからソープストックを除去した油は、未だ残留石鹸を含んでおり、これらはその後の漂白処理を妨げるので油から除去しなければならない。これらは2工程の連続水洗浄処理によって除去することができるが、これは廃棄することができるようにする前に適当な処理が必要な水性流出流を生成する欠点を有する。したがって、米国特許4,629,588においては、グリセリド油から微量の汚染物質、具体的にはリン脂質を除去するための、約60〜5000オングストロームの有効孔径を有するアモルファスシリカを用いるグリセリド油の精製方法が開示されている。この後者の処理によって水性流出流が回避されるが、その代わりに固体の廃棄生成物が生成する。
【0008】
一定形態のシリカを用いる他のアルカリ精製プロセスが英国特許599,595において開示されている。この粗グリセリド油の精製方法は、油を、水吸着性アニオンを含む塩、「コロイダルシリカ」、及びこれらの混合物をからなる群から選択される水吸着性試薬、及び油中に存在する遊離脂肪酸を中和してソープストックを形成するように作用する水性苛性アルカリ溶液と懸濁混合することを含む。ソープストックが油から分離され、苛性アルカリは遊離脂肪酸を中和するのに必要な量を超える量で用いるので、苛性アルカリの一部は分離時に存在する。苛性物質(caustic)は、ソープストックによって保持される中性油を実質的に減少させ、中性油の鹸化を遅延させるのに有効な量で用いる。このプロセスにおいては、「コロイダルシリカ」は油には加えずにケイ酸ナトリウムのみを加え、シリケートを加える条件下では「コロイダルシリカ」は形成されない。ソープストックを除去した後、油を冷却して残留ソープストックを凝集させることができる。続いて、凝集したソープストック粒子を次に清澄遠心分離機(clarifying centrifuge)によって除去することができる。
【0009】
米国特許6,027,755においては、粒子の95%が約0.2〜10ミクロンである粒径分布を有する漂白クレー粒子を、0.5ミクロン未満の平均粒径を有するコロイダルクレーであってよいバインダーを用いることによって凝集させることにより製造される漂白生成物が開示されている。凝集の後に得られる微少球体は少なくとも10ミクロン、好ましくは約20ミクロン〜30ミクロンの平均直径を有する。
【0010】
バイオディーゼルとして用いるためのFAMEの製造においては、トリグリセリド油をアルカリ金属水酸化物又はメトキシドのようなアルカリ性触媒の存在下でメタノールと反応させる。この反応によってグリセロールが形成され、グリセロールはFAME中に殆ど溶解しないので、反応混合物は2つの別々の相に分離する。ここでもこの分離は不完全であり、したがって過剰のメタノールが両方の相にわたって分割され、一部のグリセロールがFAME相中に溶解する。更に、アルカリ性触媒の不活性化によって塩が形成され、この塩も2つの相にわたって分割される。したがって、FAME相(本発明との関連においてはこれも脂肪物質とみなされる)は未だ更なる精製が必要である。
【0011】
更に、FAME相は、しばしば不要な化合物を含んでおり、これにより曇り(haze)が引き起こされるか、及び/又は冷浸漬試験及び全汚染度に対して有害な影響を与える。曇りの発生に関与する主要成分の1つは、遊離ステロールグルコシドである。実際、FAMEを製造するために用いるトリグリセリド油の殆どはアシルステロールグルコシドを含んでいるが、エステル交換中の反応条件は、ステロールグルコシド中のアシル基がFAME及び遊離ステロールグルコシドの形成下でエステル交換されるようなものである。この後者の化合物は、FAME中に貧溶性であり、その低い濃度であっても結晶化して曇りを形成する可能性がある。ディーゼル燃料成分としてFAMEを用いる場合には、この曇りは燃料フィルターを閉塞し、最終的に燃料供給を妨げるので非常に望ましくない。勿論、ステロールグルコシドに加えて、他の残留不純物も曇りの形成に寄与して、全汚染度を更に上昇させ、冷浸漬試験の不合格を引き起こす可能性がある。したがって、バイオディーゼルのために用いるFAMEも非常に効率的な精製を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許4,469,185
【特許文献2】米国特許4,629,588
【特許文献3】英国特許599,595
【特許文献4】米国特許6,027,755
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は脂肪物質の処理において液体吸着剤を用いることによって従来技術の種々の欠点を克服することである。
本発明の目的は、脂肪物質の処理中の濾過工程を排除することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、脂肪物質の処理中のプロセス水の使用量及び廃棄水の生成量を減少させることである。
また、保存中に曇りを発生させないバイオディーゼルを提供することも本発明の目的である。
【0015】
本発明のこれら及び更なる目的は、以下の説明及び実施例から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、
(a)既に多少の精製処理にかけていてもよい脂肪物質を供給し;
(b)該脂肪物質に液体吸着剤の水性懸濁液を加え、それにより該脂肪物質との混合物を形成し;
(c)場合によっては多少の水を該混合物に加え;
(d)脂肪物質から分離した水相を形成し、脂肪物質から水相を除去する;
工程を含む方法において、液体吸着剤によってホスファチド、石鹸、及びステロールグルコシドなど(しかしながらこれらに限定されない)の不純物を種々の脂肪物質から除去することができることが見出された。
【0017】
したがって、本発明方法は、バイオディーゼルの製造及び/又は精製に先行するか又はこれを伴う種々のプロセスにおいて有益に用いることができる。
本発明の他の態様は、既に多少の精製処理にかけていてもよい脂肪物質、液体吸着剤、及び水を含む脂肪物質組成物に関する。
【0018】
本発明の更なる態様は、液体吸着剤を脂肪物質と混合するのに好適な混合装置;及び脂肪物質から液体吸着剤を除去するのに好適な、混合装置と直列配置の分離装置;を含む、脂肪物質から不純物を除去するのに好適な装置に関する。
【0019】
本発明の更なる態様は、脂肪物質を酸と混合して固体不純物及び脂肪物質を形成するのに好適な第1の混合装置;脂肪物質から固体不純物を除去するのに好適な、第1の混合装置と直列配置の第1の分離装置;液体吸着剤を脂肪物質と混合するのに好適な、第1の分離装置と直列配置の第2の混合装置;及び、脂肪物質から液体吸着剤を除去するのに好適な、第2の混合装置と直列配置の第2分離装置;を含む、脂肪物質から不純物を除去するのに好適な装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、従来の手順による脂肪物質精製プロセスを示す。
【図2】図2は、従来の手順による脂肪物質精製プロセスを示す。
【図3】図3は、本発明による脂肪物質精製プロセスを示す。
【図4】図4は、本発明による脂肪物質精製プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで用いる「酸脱ガム」とは、粗油を強酸で処理して粗油中に存在する非水和性ホスファチドを分解し、それによってホスファチジン酸を遊離させる脱ガムプロセスである。このホスファチジン酸は、次に水を加えることによって水和させて、脱ガムされた油から分離することができる。
【0022】
ここで用いる「冷浸漬試験」とは、冷浸漬バイオディーゼルが2つの0.8ミクロンフィルターを通過するのにかかる時間(秒)、及びASTM−6217によってフィルター上に回収される粒子状物質の量(mg/Lで表す)である。
【0023】
ここで用いる「酸精製」とは、粗油を強脱ガム酸で処理して非水和性ホスファチドを分解する脱ガムプロセスである。このホスファチジン酸は、次に塩基を加えることによって脱ガム酸を部分的に中和する際に水和するので、脱ガムされた油から分離することができる。
【0024】
ここで用いる「粗油」とは、おそらくは粗油を流通仕様に確実に合致させる水脱ガム処理を除いていかなる処理にもかけられておらず、保存及び輸送中に堆積物を沈殿させないその源から単離された脂肪物質に関する一般的名称である。したがって、粗油は遊離脂肪酸及び/又はガムを含んでいてよい。
【0025】
ここで用いる「脱ガム」とは、粗油を水溶液で洗浄すること(水脱ガム)によるか、それを酸溶液で処理して(酸脱ガム)次に水洗浄することによるか、或いはそれを酸溶液で処理し次に部分的中和を行うこと(酸精製)によって粗油からホスファチドを除去することに関する一般的用語である。
【0026】
ここで用いる「FAAE」は脂肪酸アルキルエステルの略号であり、「FAME」は脂肪酸メチルエステルの略号である。
ここで用いる「脂肪物質」とは、主として脂肪酸基を含む有機分子から構成される植物性物質又は動物性物質から誘導される生成物として定義される。この「脂肪物質」の定義には、明らかに油脂の油脂化学誘導体、例えば低級アルコールの脂肪酸エステルが包含される。
【0027】
ここで用いる「FFA」は遊離脂肪酸の標準的な略号である。
ここで用いる「金属酸化物」とは、金属がカチオンであり酸化物がアニオンである二元酸素化合物として定義される。金属はメタロイドも包含することができる。金属としては、周期律表上のホウ素からポロニウムへ引かれる対角線の左側の元素が挙げられる。メタロイド又は半金属としては、この線上の元素が挙げられる。金属酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
ここで用いる「液体吸着剤」とは、ゾル状、コロイド状、懸濁液など、並びにこれらの混合物など(しかしながらこれらに限定されない)の、連続液相の、粗油を精製することができる物質である。
【0029】
ここで用いる「分離装置」としては、フィルター、遠心分離機、清澄化機、デカンターなどが挙げられる。
ここで用いる「ソープストック(soapstock)」とは、粗トリグリセリド油の化学的中和の副生成物である。これは、多くの着色性化合物、粒子状物質、及び他の不純物、並びに種々の塩を含有する水に加えて、石鹸、ホスファチド、及び中性油を含む。
【0030】
ここで用いる「エステル交換」とはアルコール分解の別名である。これは、アルコールと油又は脂肪のようなグリセリドとの間の反応である。アルコールがメタノールである場合には、アルコール分解はメタノール分解と呼ぶこともできる。
【0031】
図1に、食用油のような脂肪物質を物理的又は化学的に精製するための従来の装置1を示す。インラインミキサー4を用いて脱ガムされた油2を酸3と混合し、これを次にタンク5に供給し、続いて十分に(例えば約2〜約5分間)混合する。次に、インラインミキサー7を用いてこの混合物を苛性物質6と混合する。続いて、混合物を混合タンク8中に供給し、ここで水相中でガムを形成するのに好適な時間(例えば約15〜約30分間)混合する。次に、この混合物を第1の遠心分離機9に送って、ここでガム10を油から分離した後、廃棄する。次に、インラインミキサー12を用いて油を水11で洗浄し、第2の遠心分離機13に送り、ここで水相14を油から分離する。続いて、油を乾燥機15に送り、次に高剪断混合タンク17内で吸着剤又は漂白クレー16と混合して、油から不純物(例えば、リン脂質、並びにCa、Mg、及びFeのような関連する微量元素)を除去する。次に混合物を漂白機18に送り、続いてフィルター19及び20を用いて油から吸着剤を分離する。次に、油を場合によっては保持タンク21内で保存するか、或いは脱臭22にかけて遊離脂肪酸を除去する。バイオディーゼルを製造するためには、乾燥機15からの油を、更なる漂白処理を行うことなくライン23を通してタンク21に直接送ることができる。
【0032】
図2に、食用油のような脂肪物質を物理的又は化学的に精製するための従来の装置60を示す。インラインミキサー63を用いて脱ガムされた油61を酸62と混合し、次にこれをタンク64中に供給し、続いて十分に(例えば約2〜約5分間)混合する。次に、インラインミキサー66を用いてこの混合物を苛性物質65と混合する。続いて、混合物を混合タンク67中に供給し、ここで水相中でガムを形成するのに好適な時間(例えば約15〜約30分間)混合する。次に、この混合物を遠心分離機68に送って、ここでガム69を油から分離した後、廃棄する。次に、油から不純物(例えば、リン脂質、Ca、Mg、及びFeのような関連する微量元素、並びに遊離脂肪酸)を除去するために、混合タンク71を用いて油をGrace GmbH & Co., KGから入手できるTriSyl(登録商標)シリカのような吸着剤70と混合する。続いて、油を乾燥機72に送り、次にフィルター73を用いて油から吸着剤を除去する。次に、混合タンク75を用いて油を漂白クレー74と混合し、混合物を漂白機76に送り、続いてフィルター77及び78を用いて油からクレーを分離する。次に、油を場合によっては保持タンク79内で保存し、脱臭80にかけて遊離脂肪酸を除去する。バイオディーゼルを製造するためには、フィルター73からの油を、更なる漂白処理を行うことなくライン81を通してタンク79に直接か又は脱臭80に直接送ることができる。
【0033】
本発明によれば、従来の油の精製及び脱ガムプロセスにおいて用いられている精製工程の幾つかが排除される。本発明の一態様においては、例えば前段の分離工程によって脂肪物質中に多少の不純物が残留するので、更なる精製が必要な脂肪物質が与えられる。本発明方法の第1の態様においては、脂肪物質は脱ガムされたトリグリセリド油であり、これはしたがって未だ遊離脂肪酸を含む。かかる脂肪物質は、第1に脱ガム酸を脂肪物質中に分散させ、それによって脂肪物質中に存在する非水和性ホスファチドを分解し、続いてかかる酸−脂肪物質分散液中に水又は例えば苛性ソーダのような塩基を分散させることによって脱ガム酸を含む水相のpHを上昇させることによって、酸脱ガムされているか又は酸精製されていてもよい。これらの処理によってガムが分離相を形成し、これを遠心分離機によって除去することができる。
【0034】
上記で言及した除去工程では脂肪物質中の不純物の全てを完全に除去することはできないので、米国特許4,698,185に開示されているようなそれに続く水洗浄、或いはEP−0349718に開示されているような再循環を用いる2台遠心分離機プロセスのような更なる精製工程が通常は必要である。上記で言及したこれらの更なる従来の精製工程を用いる代わりに、本発明方法を用いて脱ガムされたトリグリセリド油(例えば酸脱ガム又は酸精製された油)から残留ホスファチドを除去することができる。したがって、酸精製された油からガムを除去するために用いる遠心分離機から排出される油を、水性液体吸着剤と混合することにより本発明方法によって処理することができる。80℃〜100℃の範囲であるその温度を変える必要はないが、より低い温度を用いることも本発明の範囲内である。
【0035】
本発明の更なる態様は、液体吸着剤を脂肪物質と混合するのに好適な混合装置;及び脂肪物質から液体吸着剤を除去するのに好適な、混合装置と直列配置の分離装置;を含む、脂肪物質から不純物を除去するのに好適な装置に関する。
【0036】
本発明の更なる態様は、脂肪物質を酸と混合して固体不純物及び脂肪物質を形成するのに好適な第1の混合装置;脂肪物質から固体不純物を除去するのに好適な、第1の混合装置と直列配置の第1の分離装置;液体吸着剤を脂肪物質と混合するのに好適な、第1の分離装置と直列配置の第2の混合装置;及び、脂肪物質から液体吸着剤を除去するのに好適な、第2の混合装置と直列配置の第2分離装置;を含む、脂肪物質から不純物を除去するのに好適な装置に関する。この装置には、液体吸着剤を第2の分離装置から第1の分離装置へ再循環するのに好適な、第2の分離装置の出口を第1の分離装置の入口へ接続する導管を更に含ませることができる。
【0037】
図3に、食用油のような脂肪物質を物理的又は化学的に精製するための本発明による装置30を示す。インラインミキサー33を用いて脱ガムされた油31を酸32と混合し、これを次にタンク34中に供給し、続いて十分に(例えば約2〜約5分間)混合する。次に、インラインミキサー36を用いてこの混合物を苛性物質35と混合する。続いて、混合物を混合タンク37中に供給し、ここで水相中でガムを形成するのに好適な一定の時間(例えば約15〜約30分間)混合することができる。次に、この混合物を第1の遠心分離機38に送って、ここでガム39を油から分離した後、廃棄する。次に、インラインミキサー42を用いて油を液体吸着剤40及び水41と混合し、第2の遠心分離機43に送り、ここで水相44を油から分離することができる。水相は液体吸着剤を含む。好ましくは、液体吸着剤40は第1の遠心分離機38の後に油に加えるが、その前の任意の時点で加えることもできる。更に、水相44は第1の遠心分離機38の前の油の流れに再循環して戻すことができる。更に、この態様は2つの遠心分離機を含んでいるが、このプロセスは1つのみの遠心分離機を用いて行うことができ、その場合には液体吸着剤はこの遠心分離機の前に加える。更に、このプロセスは2つより多い遠心分離機を用いて行うこともできる。1つ又は複数の遠心分離機の後、油を乾燥機45に送り、次に高剪断混合タンク47内で吸着剤46と混合して、油から不純物(例えば、リン脂質、Ca、Mg、及びFeのような関連する微量元素、並びに遊離脂肪酸)を除去することができる。次に混合物を漂白機48に送り、続いてフィルター49及び50を用いて油から吸着剤を分離することができる。次に、油を場合によっては保持タンク51内で保存するか、或いは脱臭52にかけて遊離脂肪酸を除去する。バイオディーゼルを製造するためには、乾燥機45からの油を、更なる吸着剤処理を行うことなくライン53を通してタンク51に直接送ることができる。
【0038】
本発明方法の第2の態様においては、精製する脂肪物質は、アルカリ中和プロセスにかけたが、未だ水で洗浄していないトリグリセリド油である。かかるアルカリ精製したトリグリセリド油は、多少の残留石鹸、ホスファチド、及び水を含む可能性があり、これは油を水性液体吸着剤で処理する本発明の一態様による方法によって有利に除去することができる。ここでも、80℃〜95℃の範囲であるその温度を変化させる必要はない。しかしながら、より低い温度を用いることは本発明の範囲内である。
【0039】
本発明の他の態様においては、精製する物質は、一価アルコールとして例えばメタノールを用いるエステル交換プロセスから得られる生成物のような、低級アルカノール、例えばメタノール及び脂肪酸のエステルを含む脂肪物質である。エステル交換反応の後、反応混合物は2つの相:グリセロール、低級アルコール、例えばメタノール、及びエステル交換触媒の一部を含む重質相;並びに、脂肪酸エステル、低級アルコール、若干の微量のグリセロール、及び触媒のごく一部を含む軽質相;に分離する。通常は、低級アルコール、例えばメタノールは蒸発によって軽質相から除去するが、蒸発残渣は未だ、微量のアルコール、微量のグリセロール、及びエステル交換触媒の一部を含んでおり、これらの成分は通常は水洗浄によって除去する。
【0040】
本発明方法の一態様によれば、液体吸着剤を洗浄水に加えることができ、場合によっては、水にエステル交換のために用いた触媒の残渣を中和するのに十分な酸(例えばクエン酸)を含ませる。洗浄水は遠心分離機によってFAMEから分離することができ、この分離は5分間程度の短い保持時間の後に行うことができるが、1日間〜3日間の遙かに長い保持時間を適用してステロールグルコシドが結晶化するのを促進させることもできる。
【0041】
本発明の更なる態様によれば、水洗浄処理にかけたFAMEを中間保存に送り、次に液体吸着剤を含む更なる水洗浄処理にかけることができる。中間保存によってFAME相を冷却して、これによってステロールグルコシドの結晶化を促進させ、FAMEを洗浄するのに用いる水中に液体吸着剤を存在させることによって、ステロールグルコシドの除去を促進させる。本発明のプロセス中においては低下した温度を保持する必要はない。これを再び上昇させてFAMEの粘度を減少させ、これによって遠心分離機の能力を向上させることができ、グルコシドが再溶解する危険はない。
【0042】
図4に、バイオディーゼルのような脂肪物質を物理的又は化学的に精製するための本発明による装置100を示す。インラインミキサー103を用いて粗バイオディーゼル101を酸102と混合し、これを次にタンク104中に供給し、続いて十分に(例えば約15分間)混合し、これによってグリセロールを含む重質相及び脂肪酸エステルを含む軽質相を形成する。次に、この混合物を第1の遠心分離機105に送って、ここで重質相106を軽質相から分離し、次に更に処理してグリセリンを回収する。脂肪酸エステルを含む軽質相は、次にインラインミキサー109を用いて液体吸着剤108及び水107と混合して、水相及び脂肪酸エステル相を形成する。液体吸着剤は、第1の遠心分離機の前の任意の時点で粗バイオディーゼルに加えることもできる。この混合物を第2の遠心分離機110に送り、ここで水相111を脂肪酸エステル相から分離する。続いて、脂肪酸エステル相を乾燥機112へ送る。場合によっては、インラインミキサー115を用いて、ミキサー103からの粗バイオディーゼル混合物を液体吸着剤114及び水113と混合して、水相及び脂肪酸エステル相を形成することができる。
【0043】
金属酸化物のゾル又はコロイド等、並びにこれらの誘導体又は混合物のような種々の液体吸着剤を本発明において用いることができる。好ましくは、液体吸着剤としては、例えばコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイダルジルコニア、コロイダルチタニア等、又はこれらの混合物のような金属酸化物のゾル又はコロイドが挙げられる。かかる物質は、種々の粒径、形状、分布、多孔度、固形分濃度、表面被覆、対イオン等を有していてよい。多数の異なる商業的に入手できるグレードがあり、粒子は、負電荷及びナトリウム又はアンモニウムカチオンなどの陽性対イオンを有していてもよく、或いは安定剤対イオンが例えば塩化物アニオンのような陰性アニオンである場合には正電荷を有していてもよい。本発明方法にしたがって処理する脂肪物質が遊離脂肪酸を含む場合には、これらの酸が不純物の除去を妨げるのを阻止しなければならない。したがって、負電荷で、したがって遊離脂肪酸をはじく液体吸着剤が好ましく用いられる。
【0044】
液体吸着剤は水中の懸濁液の形態であってよく、かかる懸濁液の固形分含量は、一般に25重量%〜50重量%の範囲である。液体吸着剤は、当業者に周知の任意の方法によって製造することができる。コストの理由のために、本発明方法の工程(b)において脂肪物質と混合する液体吸着剤の量は、好ましくは可能な限り低く保持する。実際には、用いる液体吸着剤の量は、脂肪物質の全重量を基準として約0.1〜約10.0重量%、好ましくは約0.2〜約5.0重量%、より好ましくは約0.3〜約1.0重量%、更により好ましくは約0.4〜約0.6重量%の範囲である。
【0045】
ホスファチドを有効に除去するために、液体吸着剤と脂肪物質との間の最小の接触時間が好ましい。この時間は重要ではなく、約1分間〜約300分間、好ましくは約2分間〜約60分間、より好ましくは約5〜約30分間の範囲であってよい。より短い時間でもホスファチドのような不純物は除去されるが、より少量の不純物しか除去されず、短時間で同等の除去度を得るためにはより多くのシリカが必要であり、したがってプロセスがより非経済的になる。この時間を10分超或いはそれより長く延長しても、不純物の除去率は殆ど増加しないが、悪影響も与えない。
【0046】
本発明方法の工程(c)にしたがって場合によって加える水は、液体吸着剤を希釈する目的を果たし、それにより本発明方法の工程(d)において脂肪物質からより容易に分離することができる。水を存在させる場合には、その量は重要ではない。典型的には、水の適切量は処理する脂肪物質の約5重量%未満、好ましくは約3重量%未満、より好ましくは約2重量%未満であってよい。5重量%より多い水を用いることができるが、処理及び/又は廃棄する廃水の量、及びその結果、精製コストが全体として増加する。
【0047】
本発明方法の工程(d)にしたがって液体吸着剤を含む水相を分離するためには、遠心分離機が好ましく用いられる。したがって、既存の脱ガム及び中和ラインを改造して、それらによって本発明方法を運転するのを可能にすることが、しばしば非常に単純で直接的である。脱ガム又は中和された油を洗浄するために用いる遠心分離機は、次に液体吸着剤を除去するために用いることができる。このプロセス中に除去される脂肪物質の量は非常に少なく、脂肪物質の全重量を基準として典型的には約10重量%未満、好ましくは約9重量%未満、より好ましくは約8重量%未満、更により好ましくは約7重量%未満である。
【0048】
更に、かかる既存のラインによって、苛性ソーダを油流に加えた後でそれを第1の遠心分離機に導入する直前に液体吸着剤を油流に加える本発明方法の一態様を運転することもできる。かかる態様においては、消費された液体吸着剤がそれぞれガムの流れ(脱ガム)又は石鹸の流れ(中和)の一部を形成するので、別のシリカ流を取り扱う必要がない。更に、油は既に多少の液体吸着剤に曝露されているので、同等の最終結果を得るために本発明方法の工程(b)において加えなければならない新しい液体吸着剤は多少少ない。
【0049】
工程(d)の後に得られる処理された脂肪物質は少量の不純物を含む。例えば、残留リン含量は、約20ppm未満、好ましくは約10ppm未満、より好ましくは約8ppm未満、更により好ましくは約6ppm未満にすることができる。工程(d)の後に脂肪物質中に存在する石鹸の量は、約100ppm未満、好ましくは約80ppm未満、より好ましくは約60ppm未満、更により好ましくは約50ppm未満にすることができる。工程(d)の後に脂肪物質中に存在するステロールグルコシドの量は、約100ppm未満、好ましくは約80ppm未満、より好ましくは約60ppm未満、更により好ましくは約50ppm未満にすることができる。また、本発明の液体吸着剤を用いることによって曇りが減少し、FAAE材料の冷浸漬試験結果が改善する。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は特許請求された発明の特定の例示として与える。しかしながら、本発明は実施例において示される特定の詳細に限定されないことを理解すべきである。実施例及び明細書の残りにおける全ての部及びパーセントは、他に示さない限り重量基準である。
【0051】
実施例1:
1.38重量%の遊離脂肪酸含量(オレイン酸として表す)及び144ppmの残留リン含量を有する水脱ガムした大豆油を、0.40%(体積/重量)の25重量%クエン酸溶液を加え、次に0.53%(体積/重量)の8重量%苛性ソーダ溶液、更に水を3%(体積/重量)に相当する全量で加えることを含む酸精製プロセスにかけた。上記の酸精製処理中に形成されたガムを遠心分離によって除去し、未洗浄油のリン含量を測定した。これは14ppmに下降していた。
【0052】
未洗浄油を2つの部分に分け、一方の部分を10%の水で洗浄し、この処理によって残留リン含量は8.8ppmに低下した。より少ない水を用いると、より高い残留リン含量が得られた。他の部分を本発明の一態様にしたがってコロイダルシリカで処理した。1.0重量%の量のLudox(登録商標)PW-50(Grace Davison, Grace GmbH & Co KG, Worms, Germany)を周囲温度において油に加えた。この量は乾燥基準で0.5重量%に相当する。続いて、2重量%の水を加え、次に遠心分離によって除去した。残留リン含量は5.6ppmであり、このタイプのコロイダルシリカが、水のみによって洗浄した場合よりも残留リン含量を低下させるのにより有効であることが示された。
【0053】
実施例1において、Ludox(登録商標)PW-50(pH=10.2)を等量のLudox(登録商標)TMA(pH=7)に置き換えると、7.4ppmの残留リン含量が得られた。
実施例2:
実施例1で用いたものと同じ水脱ガムした大豆油を、ここでも、同等の量及び濃度のクエン酸及び苛性ソーダ並びに等量の全水を用いて酸精製した。これにより、未洗浄油中において11ppmの残留リン含量が得られた。水脱ガムした油を酸処理すると、水脱ガムした油中に未だ存在する非水和性ホスファチドが分解され、したがってホスファチジン酸が形成されるので、未洗浄油を温和な苛性洗浄にかけて、苛性物質の使用によって油のリン含量の減少がどの程度促進されるかを求めた。
【0054】
したがって、0.032%(体積/重量)の14%苛性ソーダ溶液を油の3.0%の全体積に希釈し、これを用いて未洗浄の酸精製油を洗浄した。これにより、そのリン含量が11ppmから4.3ppmに低下した。等量の苛性溶液を用い、これを油の僅か2.0%の全体積に希釈するが、1%のLudox(登録商標)PW-50を含ませると、コロイダルシリカ及びより多くの水を用いないで運転した場合よりも僅かに良好な効果を有し、残留リン含量は3.7ppmであった。
【0055】
実施例から明らかなように、本発明によって液体吸着剤で処理した脂肪物質中に存在する不純物の量は非常に低い。更に、脂肪物質の処理において用いる水の量が非常に減少するか又は完全に排除されるので、相当量の水を除去する必要性も排除され、大きなコスト削減が得られる。
【0056】
本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書において他に記載され特許請求されている発明の範囲を制限することを意図するものではない。更なる修正、均等物、及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特性の特定の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている任意の範囲内の数の任意の部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限R及び上限Rを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次式の数R:R=R+k(R−R)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。ここで引用する全ての公報はその全部を参照として本明細書中に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)既に多少の精製処理にかけていてもよい脂肪物質を供給し;
(b)該脂肪物質に液体吸着剤の水性懸濁液を加え、それにより該脂肪物質との混合物を形成し;
(c)場合によっては該混合物に多少の水を加え;
(d)脂肪物質から分離した水相を形成し、脂肪物質から水相を除去する;
工程を含む、脂肪物質から不純物を除去する方法。
【請求項2】
脂肪物質が既に脱ガム処理にかけた粗トリグリセリド油である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該脱ガム処理が酸精製処理である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
苛性物質を加えた後およびガム分離段階の前の酸精製処理中に、工程(d)において酸精製油から分離された水相を油に加える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
脂肪物質が既にアルカリ性中和処理にかけたトリグリセリド油である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
苛性物質を加えた後およびソープストック分離段階の前のアルカリ精製処理中に、工程(d)において中和油から分離した水相を油に加える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
脂肪物質が脂肪酸メチルエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
液体吸着剤の量が脂肪物質の0.2〜1.0重量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)において加える水が脂肪物質の3重量%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)における脂肪物質からの水相の除去が遠心分離機を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)と(d)との間に約1〜約3日間が経過する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
液体吸着剤によって、処理された脂肪物質からホスファチド、石鹸、及びステロールグルコシドを分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
脂肪物質がFAAEを含み、液体吸着剤によって処理されたFAAEの全汚染物質を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
脂肪物質がFAAEを含み、液体吸着剤によって処理されたFAAEが曇りを発生させる傾向を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
脂肪物質がFAAEを含み、液体吸着剤によって処理されたFAAEの冷浸漬試験を改善させる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
除去プロセスによって約10重量%未満の脂肪物質が損失する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
脂肪物質が工程(d)の後に10ppm未満のリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法によって製造される生成物。
【請求項19】
請求項1に記載の方法を行うための装置。
【請求項20】
(a)既に多少の精製処理にかけていてもよい脂肪物質;
(b)液体吸着剤;及び
(c)水;
を含む脂肪物質組成物。
【請求項21】
該液体吸着剤が組成物の重量を基準として約2重量%未満の量で存在する、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項22】
該液体吸着剤を組成物から除去した後に組成物が80ppm未満の石鹸を含む、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項23】
該液体吸着剤を組成物から除去した後に組成物が50ppm未満の石鹸を含む、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項24】
該液体吸着剤を組成物から除去した後に組成物が100ppm未満のステロールグルコシドを含む、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項25】
該液体吸着剤を組成物から除去した後に組成物が50ppm未満のステロールグルコシドを含む、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項26】
該液体吸着剤を組成物から除去した後に組成物が10ppm未満のリンを含む、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項27】
該液体吸着剤を組成物から除去した後に組成物が5ppm未満のリンを含む、請求項20に記載の脂肪物質組成物。
【請求項28】
(a)脂肪物質を酸と混合して固体不純物及び脂肪物質を形成するのに好適な第1の混合装置;
(b)脂肪物質から固体不純物を除去するのに好適な、第1の混合装置と直列配置の第1の分離装置;
(c)液体吸着剤を脂肪物質と混合するのに好適な、第1の分離装置と直列配置の第2の混合装置;及び
(d)脂肪物質から液体吸着剤を除去するのに好適な、第2の混合装置と直列配置の第2分離装置;
を含む、脂肪物質から不純物を除去するのに好適な装置。
【請求項29】
液体吸着剤を第2の分離装置から第1の分離装置へ再循環するのに好適な、第2の分離装置の出口を第1の分離装置の入口へ接続する導管を更に含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
(a)液体吸着剤を脂肪物質と混合するのに好適な混合装置;及び
(b)脂肪物質から液体吸着剤を除去するのに好適な、混合装置と直列配置の分離装置;
を含む、脂肪物質から不純物を除去するのに好適な装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505446(P2011−505446A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535284(P2010−535284)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010044
【国際公開番号】WO2009/068274
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(500445446)グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー (12)
【出願人】(510146104)エヌ.ヴイ.デスメット・バレストラ・エス.エイ. (1)
【Fターム(参考)】