説明

脂肪酸の糖エステルを含む透明フレーバーマイクロエマルション

透明な、熱力学的に安定し且つ濃縮された水中油型マイクロエマルションの配合物が開示されている。該配合物は、レシチンと一緒になった脂肪酸の糖エステルで形成される界面活性剤系を含む。並びに透明飲料の香味料へのそれらの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明はフレーバー産業に関する。更に詳細には、少なくとも20質量%のフレーバーオイルを含む透明な、熱力学的に安定し且つ濃縮された水中油型マイクロエマルション、定義された親水-親油平衡を有する「界面活性剤系」を形成し且つ界面活性剤対補助溶剤の最適化された比を有する非イオン系の又は両性の食品用界面活性剤に関する。本発明はまた透明飲料の配合物における上記マイクロエマルションの使用に関する。
【0002】
発明の背景
エマルションは、飲料技術、化粧用配合物、又は製薬学的配合物において長年広範に使用されてきた。それにもかかわらず、それらの限定された熱力学的安定性とは、静止状態で生じた液相を2つに分離することを意味し、これが適用時の最大の欠点である。一定時間の熱力学的安定性のために、全てのエマルションをベースとする製品では、オイルリング形成(oil-ringing formation)が生じ、最終的に相分離する。
【0003】
エマルションとは異なり、ミセル溶液を含むマイクロエマルションは、それらの化合物が互いに十分混合される場合、一般にエネルギー入力を必要とせずに自然形成する透明な分散液である。非常に小さなサイズの分散したオイル液滴のために、それらはほとんどの場合、直径が140nm未満であり、可視光は散乱できず、従ってマイクロエマルションは透明又は半透明の等方性の溶液であると思われる。従来の水中油型のマイクロエマルションは、水、アルコールなどの共溶媒、油並びに1種又は複数種の界面活性剤及び共界面活性剤から構成される。マイクロエマルションは自然に形成するが、形成時のそれらの成分及び相対量の選択は、それらの形成、オプティクスの外観などの最終的な特徴、並びに官能的安定性及び熱力学的時間安定性にとって非常に重要である。更に、係るマイクロエマルションが、例えば飲料などの食品におけるフレーバーデリバリーシステムとして使用される場合、係るマイクロエマルションはこれらの食品の全ての要求、即ち、広い温度範囲にわたって少なくとも数ヶ月の優れた貯蔵安定性、及び快くない臭い(off-notes)が形成しないことを満たさなければならない。係るエマルションはまた、様々な製品化市場で食品使用に安全であると認定される成分に関して、種々の規制要件に準拠しなければならない。本発明は特にこの課題に対処している。
【0004】
飲料香味料の分野において、マイクロエマルションの使用については、特にWolfらの米国特許第4,835,002号に記載されてきた。この文献は、食品用界面活性剤と一緒になった、水及びある種のアルコール類のマトリックスにおける食用油のマイクロエマルションを開示している。さらに詳細には、この文献は、0.01〜45質量%、有利には1〜25質量%の油、約0.1〜60質量%、有利には1〜30質量%の界面活性剤、及び20〜95質量%、有利には25〜80質量%のエタノール、プロピレングリコールを含むポリオール、デキストロース、スクロース、フルクトース等の糖類を含む組成物を記載している。上記マイクロエマルション組成物において必要なアルコールの割合は、クリア系を得るために少なくとも20質量%である。プロピレングリコールは有利なアルコールとして選択される。
【0005】
米国特許第5,283,056号は、水、1種又は複数種の疎水性フレーバー又はフレグランスオイル及び1種又は複数種の界面活性剤から本質的になる、透明な水中油型のマイクロエマルション濃縮物の組成物を記載している。上記マイクロエマルションは特に洗口液の調製を意図しており、且つ低級アルコールを本質的に含有しない。しかしながら、特に高い油含有率が要求される場合に、これらの組成物は多量の界面活性剤を含む。さらに、特許請求されたマイクロエマルションは、室温でさえも貯蔵安定性が劣り、これは飲料用途には不都合である。
【0006】
さらに1以上の最新の文献、即ち、本出願人が所有する米国特許第6,902,756号は、界面活性剤系とアルコールの最適化された割合を有する、油が高負荷された、透明なマイクロエマルションの製法を記載している。しかしながら、当該文献に改良を加えること、及び世界中の食品消費に広く受け入れられ且つ透明飲料技術において水性フレーバー源として利用できる界面活性剤系に基づくマイクロエマルションを提供することが更に求められている。
【0007】
本発明は厳密にこの要求に対処する。本発明者らは、ここで食品用品質成分から全て構成される、完全に透明な、油が高負荷されたマイクロエマルションの新規且つ有利な食用の配合物を作り出すことが可能となった。該配合物は非常に低い水準の界面活性剤/共界面活性剤を含み、エマルションとして及びフレーバーキャリヤーとしてそれらが使用される最終生成物、即ち透明飲料において感覚刺激的に優れ且つ熱力学的安定性の観点からも優れていることが判明する。
【0008】
本発明の概要
従って、本発明は、透明な、油が高負荷された、熱力学的に安定な、特定の界面活性剤系を含む水中油型マイクロエマルションに関する。更に詳細には、食用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルジョンであって、
a)少なくとも10質量%のフレーバー油;
b)6〜18である親水-親油平衡、HLBを有する10〜30質量%の界面活性剤系;
c)水及び/又は水溶性共溶媒で形成された親水相;
d)任意に、食品マイクロエマルションにおける一般的な用途のビタミン、酸化防止剤又は他の添加剤を含み、
該界面活性剤系は脂肪酸の糖エステルとレシチンとの組合せである、食用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルジョンに関する。
【0009】
これらの配合物は、フレーバー油濃度と比較して非常に少ない量の界面活性剤及びアルコールを含み、且つ広い温度範囲に対する優れた熱力学的安定性及び官能的安定性を有し得る。更に、それらは透明飲料の透明度に影響を及ぼすことなく容易に透明飲料に組み込むことができる。
【0010】
本発明の驚くほど有利な実施態様によると、フレーバー油の質量は、マイクロエマルションの質量の少なくとも20%、さらに有利には25%を超える。
【0011】
本発明のマイクロエマルションは特に安定且つ透明であるため、油を高負荷することができ、それらは特に透明飲料にとって、価値のあるフレーバーキャリヤーである。その一方で、それらの特有の安定性のために、該エマルションはまた、カプセル化フレーバーの製造のために押し出される良好な出発製品も構成し得る。
【0012】
本発明の更なる対象、態様、及び利点は以下の詳細な説明から明らかになる。
【0013】
本発明の詳細な説明
従って、その組成物中の界面活性剤に対して低い比の共溶媒を有するマイクロエマルションでさえも大量の油を含み、また特にとりわけ高温で安定であり得ることが予想外に発見された。
【0014】
先に引用したように、本発明の一対象は、食品用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルジョンであって、
a)少なくとも10質量%のフレーバー油;
b)6〜18である親水-親油平衡、HLBを有する10〜30質量%の界面活性剤系;
c)水及び/又は水溶性共溶媒で形成された親水相;
d)任意に、食品マイクロエマルションにおける一般的な用途のビタミン、酸化防止剤又は他の添加剤を含み、
前記界面活性剤系は脂肪酸の糖エステルとレシチンとの組合せである、食品用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルジョンを提供することである。
【0015】
好ましい実施態様において、本発明によるマイクロエマルションは上述した量の成分(a)〜(d)から成る。
【0016】
好ましい実施態様において、フレーバー油の量は、界面活性剤の量が明らかにフレーバー油の量を下回るように、マイクロエマルションの質量に対して少なくとも20質量%である。当技術分野において公知のように、マイクロエマルションの界面活性剤などの系における大量の界面活性剤は、快くない臭い、発泡成形、さらに高粘度などの多くの欠点の要因となり得る。従って、大量の油を保持しながら、少量の界面活性剤を使用する可能性は、透明飲料の香味料などのマイクロエマルション用途にとって非常に有利である。
【0017】
本発明の全てのマイクロエマルションは、それらが透明な、本質的に泡立ちのない飲料であって、オイルリング形成又は石けんの快くない臭いのない、飲料消費目的の規制要件に完全に準拠した飲料を提供する場合に、飲料のフレーバーキャリヤーとして有利に使用され得る。
【0018】
基本的に、本発明によるマイクロエマルションは、食品用の種類の界面活性剤を使用することによって水及びある種のアルコールのマトリックス中に分散された食用油から成る。
【0019】
水及びアルコールの上記マトリックス中に分散された食用油は1種又は互いに溶解可能な油の混合物であってよい。この油はマイクロエマルションの油相をなすが、アルコール−水媒体は分散媒をなす。本発明のマイクロエマルションにおいて単独で又は混合物中で使用され得る特定の油の例には、レモン油、ベリー油、ライム油、オレンジ油、グレープフルーツ油、タンジェリン油、マンダリンミカン油、キンカン油、ベルガモット油又はそれらの任意の混合物などの天然抽出物が含まれる。
【0020】
特定の実施態様において、油相は、例えばより良好な安定性のマイクロエマルションを提供するトコフェロールなどの油溶性酸化防止剤を更に含む。
【0021】
水分散媒は有利にはプロピレングリコール(PG)、グリセロール、又は双方の混合物を有する水の混合物である。これは酸化防止剤、抗菌剤、又は防腐剤などの特定の水溶性成分を含有できる。
【0022】
特に好ましいマイクロエマルションは、20%w/wを上回るフレーバーからなるが、界面活性剤系は20%w/w未満である。驚くことに、これらのマイクロエマルションは、初期の配合及び適用の双方において、0℃〜40℃の範囲の温度で優れた安定性及び透明度を示す。対応する飲料は特定の成分の単純な混合によって容易に調製されることは述べる価値がある。
【0023】
マイクロエマルションの界面活性剤系は、脂肪酸の糖エステルとレシチンとの混合物である。好ましくは、この糖エステルは脂肪酸のスクロースエステルである。三菱化学フーズ株式会社よりリョートーシュガーエステル溶液LWA−1570の商品名で販売された製品は、驚くほど有益な本発明によるマイクロエマルションを提供し、本発明の好ましい実施態様を提供する。他の例にはシュガーエステル型L−1695、D−1570、及びP−1670が含まれる。
【0024】
脂肪酸の糖エステルがマイクロエマルションに存在する量は、広い範囲の値で変化する。好ましい実施態様は、マイクロエマルションの質量に対して、25質量%を超えない量の糖エステルを含有する。
【0025】
レシチンは有利には0.5〜10質量%の量で存在し、有利にはマイクロエマルションの全質量に対して、0.5〜5質量%の量で存在する。いずれの種類の市販の食品用レシチンも使用され得るが、大豆由来のレシチンが使用された時に飲料用途において特に有用な結果が認められた。この文脈において、有用な市販のレシチン製品の具体的な例は、ここで更に説明された本発明の具体的な実施態様において見出すことができる。
【0026】
本発明のマイクロエマルションの分散媒は、水溶性共溶媒と一緒になった水から本質的に形成され、あるいは正にこの水溶性共溶媒から更に本質的に形成されている。係る水溶性共溶媒は有利には少なくとも2種の水酸基を有するポリアルコールである。好ましい係る物質は、プロピレングリコール、単糖類及び二糖類並びにソルビトール、キシリトール、マンニトール、グリセロールなどの糖アルコール類からなる群から選択されたポリアルコール類である。さらに有利には、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロールとしても公知である)及び双方の混合物が使用される。
【0027】
本発明の特定の実施態様によると、界面活性剤と共溶媒との質量比は0.5〜2.0であり、さらに有利には界面活性剤系の量に対して大過剰の溶媒が存在する。これは高い含油率の製品が予想外の安定性を有する可能性をもたらすので、この実施態様は特に有利であるが、界面活性剤の割合は最小まで減少する。
【0028】
水溶性溶媒は、マイクロエマルションの全質量に対して好ましくは25質量%以上の量で本発明のマイクロエマルション中に存在する。
【0029】
最終的には、これらのマイクロエマルション中の水の量は、他の成分の関数として当業者が容易に調整することができる。特に水は、マイクロエマルションの分散媒を完全にするために、マイクロエマルションの全質量に対して、20質量%未満の量で使用され得る。
【0030】
本発明によるマイクロエマルションは、先に作られた分散媒(水と多価アルコールの混合物)に糖エステル界面活性剤を添加し、透明な界面活性剤/水−相の分散液をもたらすことによって製造される。この界面活性剤分散液に油相を添加し、混合液を穏やかに攪拌すると、乳状の分散液が形成する。最終段階において、レシチンを添加すると、係る分散液は透明なマイクロエマルションに変換する。
【0031】
上記の製造方法に従って、安定で明澄透明な高い含油率のマイクロエマルションは、最小量の界面活性剤及び最適な量のアルコールを使用することによって製造されてきた。
【0032】
「透明」とは、係るマイクロエマルションが有利には少なくとも約80、更に有利には少なくとも約85、最も有利には少なくとも約90、例えば少なくとも約95のHunter「L」透過度を有することを意味する。Hunter L透過度は、Hunter Associates Laboratory(レストン、バージニア州)製のHunter Color QUEST(登録商標)比色計を用いて蒸留水に対するL明度を測定することによって評価される。
【0033】
係るマイクロエマルションはまた、酸化防止剤、ビタミン、特にビタミンE、安息香酸ナトリウム及び他の係る成分を含み得る。
【0034】
係るマイクロエマルションは、その優れた熱力学的安定性、透明性のため、そして配合された製品においてオイルリング形成しないために、特に透明飲料配合物にとって、飲料市場の有利なフレーバー源である。従って、本発明の更なる一対象は、飲料配合物用のフレーバー油のキャリヤーとしての上述されたマイクロエマルションの使用、及び係るマイクロエマルションに基づいて配合された更に透明な飲料である。
【0035】
かかる飲料において、炭酸ガス飽和された又はされていない本発明のエマルションは、一般に、香味付けられた組成物又は製品の全質量の0.01〜0.15%の割合で存在する。本発明のマイクロエマルションを用いて配合された透明飲料は快くない臭いを示さず、最終配合物の安定性は優れている。
【0036】
本発明によるマイクロエマルションを用いて香味付けられた透明飲料は、酸化防止剤成分を有利に含み得る。
【0037】
従って本発明はまた、香味料組成物又は香味付けられた製品の着香特性を、付与、改良、強化又は改質する方法にも関する。係る方法は上記組成物又は上記で規定したマイクロエマルションの製品に添加することを含む。
【0038】
最終的には、本発明のマイクロエマルションは押出技術学においてフレーバー油の供給源として有利に使用できることが予想外に確立されてきた。本発明において押出技術とは、一般に炭水化物マトリックス材料の使用に基づく方法において、係る材料を溶融状態に加熱して活性成分と合し、押出し、そして押し出された塊を急冷して上記成分を保護するガラスを形成させる方法を意味する。多くの先行技術は押し出し技術について記載している。一般的な引用には、特に米国特許第3,704,137号、米国特許第4,707,367号、米国特許第4,610,890号、国際公開第99/27798号パンフレット、米国特許第4,977,934号、欧州特許第202409号が含まれており、これにより全てが参照により含まれる。係る押し出し方法の更に詳細な説明は本発明では保証されていない。
【0039】
本発明は目下、次の例を用いて説明されるが、これらの例に限定されない。温度は摂氏度で示されており、略語は当技術分野における共通の意味をもつ。
【0040】
本発明の実施態様
実施例1〜5
本発明によるマイクロエマルションの調製及び使用
一般的な方法
本発明によるフレーバーマイクロエマルションは、最初に水、プロピレングリコール、及び糖エステル界面活性剤を混合することによって調製された。次に予備マイクロエマルションを得るために、任意の他の水溶性添加剤を添加した。
【0041】
別個に、選択したフレーバーを、良好に分散した透明/半透明の系が形成されるまで、適量のレシチン、及び他の油溶性の添加剤と混合した。次いで、室温で及び穏やかな攪拌下で、予備マイクロエマルションの特定の量を、フレーバー−レシチン混合物に添加した。混合の数分後に、更に時には直ちに、透明で且つ安定なフレーバーマイクロエマルションが得られた。本質的な成分の添加の順序は重要ではなかった。しかしながら、記載された添加順番に従って、混合相間の熱力学平衡を促進させること、換言すれば、マイクロエマルションの形成時間を速めることが可能であった。
【0042】
予備マイクロエマルションの調製
上述の方法に従って、一般的な予備マイクロエマルションは、以下に示された量の成分を用いて調製された。
【0043】
【表1】

【0044】
上記の活性の意味は、40%の糖エステルを含有する溶液として商業的に入手可能なリョートー糖エステルLWA−1570が、活性であり、その残りが水とエタノールのブレンド(56%水と4%エタノール)であるという事実に由来する。
【0045】
この予備マイクロエマルションは29.90+/−0.06mN/mの表面張力と29.1nmの液滴サイズを示した。
【0046】
本発明によるマイクロエマルションの調製
以下に示す6種のフレーバー試料は、全て0.01質量%のトコフェロールを含有し、全てFirmenich Citrus Center(米国、フロリダ州)より市販されている。係る試料が、レシチンと混合されると、形成された油性相がそれぞれの予備マイクロエマルションと混合されて、本発明による6種の透明マイクロエマルションが調製される。これを以下に示した表にまとめる。
【0047】
【表2】

【0048】
上記マイクロエマルションに使用されたそれぞれのフレーバーは、表面張力特性と共に以下の表に示されている。
【0049】
【表3】

【0050】
2週間後、上記の全ての配合されたフレーバーマイクロエマルションは、室温で優れた透明性及び安定性を示した。
【0051】
透明飲料はこれらのマイクロエマルションを用いて調製された。
【0052】
実施例6−12
本発明によるマイクロエマルションの調製及び使用
上記の実施例に示された方法を用いると、本発明による種々のマイクロエマルションが、示された濃度において、表Iに示された成分と混合することにより調製された。
【0053】
これらのエマルションを用いて、透明飲料は、以下の表に示された質量%で、マイクロエマルションを該飲料に添加することにより調製された。
【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルションであって、
a)少なくとも10質量%のフレーバー油;
b)6〜18である親水-親油平衡、HLBを有する10〜30質量%の界面活性剤系;
c)水及び/又は水溶性共溶媒で形成された親水相;
d)任意に、食品マイクロエマルションにおける一般的な用途のビタミン、酸化防止剤又は他の添加剤を含み、
前記界面活性剤系は脂肪酸の糖エステルとレシチンとの組合せであることを特徴とする、食用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルション。
【請求項2】
前記フレーバー油の質量が、マイクロエマルションの質量の少なくとも20%、さらに有利には25%を超えることを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項3】
前記糖エステルが脂肪酸のスクロースエステルであることを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項4】
前記糖エステルがマイクロエマルションの質量に対して、25質量%を超えない量で存在することを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項5】
前記レシチンがマイクロエマルションの全質量に対して、0.5〜10質量%の量で存在し、有利には0.5〜5質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1記載のエマルション。
【請求項6】
前記共溶媒が少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリアルコールであることを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項7】
前記ポリアルコールがプロピレングリコール、単糖類及び二糖類並びに糖アルコール類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6記載のマイクロエマルション。
【請求項8】
前記共溶媒がプロピレングリコール、グリセリン及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6記載のマイクロエマルション。
【請求項9】
前記フレーバー油が有利には、レモン油、ベリー油、ライム油、オレンジ油、グレープフルーツ油、タンジェリン油、マンダリンミカン油、キンカン油及びベルガモット油、並びにそれらの任意の混合物からなる群から選択されるシトラスオイルであることを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項10】
20質量%未満の水を含有することを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項11】
前記水溶性共溶媒の含有率がマイクロエマルションの質量に対して、30質量%以上であることを特徴とする、請求項10記載のマイクロエマルション。
【請求項12】
前記水溶性共溶媒がプロピレングリコール又はグリセロールであることを特徴とする、請求項10記載のマイクロエマルション。
【請求項13】
アスコルビン酸、トコフェロール、ビタミンE及び安息香酸ナトリウムからなる群から選択される成分を含むことを特徴とする、請求項1記載のマイクロエマルション。
【請求項14】
食用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルションであって、
a)少なくとも10質量%のフレーバー油;
b)脂肪酸の糖エステルとレシチンとの組合せである10〜30質量%の界面活性剤系;
c)1:2〜2:1である相対的な質量%比において、水及びプロピレングリコール又はグリセロールで形成された親水相;及び
d)任意に、食品マイクロエマルションにおける一般的な用途のビタミン、酸化防止剤又は他の添加剤を含むことを特徴とする、食用の、透明な、フレーバー油が高負荷された、熱力学的に安定なマイクロエマルション。
【請求項15】
前記レシチンの量がマイクロエマルションの質量に対して、0.5〜5質量%含まれ、前記糖エステルがマイクロエマルションの質量に対して、5〜25質量%である量で存在することを特徴とする、請求項14記載のマイクロエマルション。
【請求項16】
前記糖エステルが脂肪酸のスクロースエステルであることを特徴とする、請求項14記載のマイクロエマルション。
【請求項17】
前記フレーバー油の質量が、マイクロエマルションの質量の少なくとも20%、さらに有利には25%を超えることを特徴とする、請求項14記載のマイクロエマルション。
【請求項18】
前記フレーバー油が有利には、レモン油、ベリー油、ライム油、オレンジ油、グレープフルーツ油、タンジェリン油、マンダリンミカン油、キンカン油及びベルガモット油、並びにそれらの任意の混合物からなる群から選択されるシトラスオイルであることを特徴とする、請求項14記載のマイクロエマルション。
【請求項19】
請求項1記載のマイクロエマルションを含むことを特徴とする、透明飲料。
【請求項20】
請求項14記載のマイクロエマルションを含むことを特徴とする、透明飲料。
【請求項21】
香味料組成物又は香味付けられた製品の官能的特性を、付与、改良、強化又は改質する方法において、請求項1記載のマイクロエマルションをフレーバーキャリヤーとして前記組成物又は製品に添加することを特徴とする、香味料組成物又は香味付けられた製品の官能的特性を、付与、改良、強化又は改質する方法。

【公表番号】特表2009−506767(P2009−506767A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528605(P2008−528605)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052806
【国際公開番号】WO2007/026271
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】