説明

脂肪酸モノエステル化物の製造方法およびエステル交換反応用触媒

【課題】有機スズ化合物を触媒として、油脂から脂肪酸モノエステル化物を製造する方法を提供する。
【解決手段】動物油および/または植物油と、ROH(Rは、炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪族基を示す。)で示されるアルコールとを、有機スズ化合物からなる触媒の存在下にエステル交換する工程を含む、脂肪酸モノエステル化物の製造方法である。転化率が高く、脂肪酸モノエステル化物を効率的に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物油および/または植物油を原料として、有機スズ化合物からなる触媒の存在下にエステル交換することを特徴とする脂肪酸モノエステル化物の製造方法、および有機スズ化合物からなる触媒であって、油脂とアルコールとのエステル交換反応用に使用される触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、植物油や動物油を原料として脂肪酸モノエステル化物を製造し、これをディーゼルエンジン用燃料として使用する試みが行われている。植物油や動物油は、硫黄分の含有率が低いため、ディーゼルエンジン用の燃料として用いた場合に硫黄酸化物(SOX)がほとんど発生せず、しかも、使用済み植物油や動物油の大部分は焼却廃棄処理されているため、資源の有効利用になる。
【0003】
植物油や動物油の主成分は脂肪族トリグリセリドであるため、例えば(1)植物油や動物油をアルカリを触媒としてアルコール溶媒中でエステル交換し、対応する脂肪酸モノエステル化物を製造する方法、(2)金属酸化物を触媒として使用し、原料エステルとアルコールとを該触媒に接触させてエステル交換させる方法、更に(3)植物油や動物油にアルコールを添加して超臨界または亜臨界条件でエステル交換し、脂肪酸モノエステル化物を製造する方法がある。
【0004】
上記(1)の触媒を添加して行う脂肪酸モノエステル化物の製造方法は、脂肪酸塩、脂肪酸などの副生による収率の低下、触媒や脂肪酸塩の除去のため工程が複雑化するといった問題があるが、上記(2)、(3)の方法は脂肪酸塩などの副生がなく、工程も簡潔で優れている。
【0005】
超臨界状態で反応させる方法として、例えば、油脂とアルコールから脂肪酸エステルを製造する方法であって、触媒を添加せず、油脂および/またはアルコールが超臨界状態になる条件で反応させることを特徴とする脂肪酸エステルの製造方法がある(特許文献1)。実施例1では、廃ダイズ油とメタノールとを温度300℃、圧力6.5MPaで反応させ、脂肪酸メチルエステルを得ている。
【0006】
同様に、動物油または植物油を、超臨界状態または亜臨界状態のアルコールを溶媒として用いて無触媒下に処理し、選択的かつ短時間のうちに、溶媒として使用したアルコールに対応する脂肪酸モノエステル化物を得る方法もある(特許文献2)。実施例1では、使用済み菜種油とメタノールとを温度240〜360℃、圧力40MPaで反応させ、モノエステル化物を得ている。
【0007】
また、動物油または植物油とアルコールとのエステル交換反応に、金属酸化物からなる触媒を使用する方法として、非晶質ジルコニウム酸化物(A)と、III族元素の酸化物、V族元素の酸化物、および/またはジルコニウム、ハフニウム以外のIV族元素の酸化物(B)とを含む複合無機酸化物触媒を用いる方法がある(特許文献3)。前記した複合無機酸化物触媒に原料エステルとアルコールとを接触させてエステル交換させ、エステル化物を製造する方法である。上記触媒(A)と(B)とを併用することで、常圧程度の圧力下で反応を進行させることができるという。実施例では、複合無機酸化物触媒として、ZrO2にTiO2またはSiO2を混合した触媒、またはZrO2にスピネル構造のZnAl24またはxZnO、yAl23(x、y=0〜2)を使用し、反応温度200〜250℃で反応させてエステル交換を行っている。
【0008】
一方、エステル交換反応に有機スズ化合物を使用する方法も公知である。例えば、所定のアルコールと有機エステル化合物とを特定構造の有機スズ化合物の存在下で反応させ、対応するエステル化合物を製造する方法がある(特許文献4)。特許文献4記載の発明は、有機スズ化合物の存在下に、有機エステル化合物とアルコール化合物とを、官能基が耐えうる中性の温和な条件でエステル交換反応させて対応するエステル化物を製造することを目的とするものである。有機エステル化合物として、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい飽和、不飽和脂肪酸カルボン酸が例示され、実施例では、3−フェニルプロピオン酸ベンジルとメタノールとを、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロクチル)ジスタノキサン2量体と接触させ、3−フェニルプロピオン酸メチルを得ている。
【0009】
また、カルボン酸エステルと、脂肪族1,2−および1,3−ポリオールとを、二塩化ジアルキルスズ触媒と酸化ジアルキルスズとの2成分系触媒の存在下でエステル交換する方法もある(特許文献5)。特許文献5記載の発明は、カルボン酸と低級アルキルエステルとアルコールおよびポリオールとの間の前記2成分系有機スズ触媒エステル交換反応によるカルボン酸の高級エステルを製造する方法であり、実施例では、1,3−ブタンジオールとアクリル酸とから、二塩化ジメチルスズと酸化ジアルキルスズとの2成分系触媒を使用し、1,3−ブタンジオールジアクリレートを製造している。
【特許文献1】特開2000−143586号公報
【特許文献2】特開2000−204392号公報
【特許文献3】再公表2005−000782号公報
【特許文献4】特開2002−371084号公報
【特許文献5】特開平7−82217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2記載の方法は、トリグリセリドなどを主成分とする油脂をアルコールと反応させるものであるが、反応条件として超臨界条件でエステル交換するものであり、装置の簡略化、安全性の確保などの観点からより温和な条件で脂肪酸モノエステル化物を製造できる方法の開発が望まれる。
【0011】
また、特許文献3記載の方法は、油脂とアルコールとを原料として、特定の複数の無機酸化物触媒を併用するものであるが、実施例で示される複合無機酸化物触媒の効果は、ZrO2にTiO2またはSiO2を混合した無機酸化物触媒で転化率が33〜53%、ZrO2にPO4またはAl23を混合したものでも転化率が59〜83%である。従って、より転化率を向上させ、油脂を原料として脂肪酸モノエステル化物を製造しうる方法の開発が望まれる。
【0012】
また、従来から、エステル交換反応に触媒を使用する方法は知られており、アルカリ金属などが使用されているが、前記したように鹸化物が発生するなどの問題がある。前記特許文献4は、脂肪酸モノエステル化物を製造し得る触媒として有機スズ化合物を使用する方法であるが、特許文献4は、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい飽和、不飽和脂肪酸カルボン酸とのエステル交換を目的とするものであり、油脂などのトリグリセリドのエステル交換を目的とするものではない。
【0013】
特許文献5記載の有機スズ化合物は、二塩化ジアルキルスズ触媒と酸化ジアルキルスズとの2成分系触媒を使用して、脂肪族1,2−および1,3−ポリオールを用いてモノカルボン酸エステルとの間でエステル交換反応を行うものであり、脂肪酸モノエステル化物の製造を目的とするものでなくジエステル化物を製造することを目的とするものである。これは、脂肪酸モノエステルからジグリセライドを製造するようなものであって、油脂を原料として脂肪酸モノエステル化物を製造することの逆反応である。
【0014】
本発明は、こうした状況のもとになされたものであって、油脂を原料としてエステル交換反応を促進しうる有機スズ化合物からなる触媒のエステル交換反応への用途を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、植物油や動物油、さらには使用済天ぷら油などの廃食用油を原料として、温和な反応条件で、効率的に脂肪酸モノエステル化物を製造する方法を提供するものである。
【0016】
特に、有機スズ化合物などの触媒を使用して、反応条件を緩和し、かつ転化率に優れるエステル交換率を達成しうる、脂肪酸モノエステル化物の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
トリグリセリドを主成分とする油脂をアルコールとエステル交換して脂肪酸モノエステル化物を製造する方法において、エステル交換反応用触媒として使用しうる酸触媒について広く検索した結果、有機スズ化合物がエステル交換触媒作用に優れることを見出し、特定構造の有機スズ化合物は、温度25〜250℃、反応条件で優れた転化率でエステル交換することができるため、超臨界または亜臨界条件よりも温和な反応条件で脂肪酸モノエステル化物を製造しうること、更に、上記触媒は、油脂とアルコールとの反応系において該触媒と反応液との分離性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、有機スズ化合物をエステル交換反応用触媒として使用することで、アルカリ金属などの触媒と相違して鹸化物が発生せず目的物の単離が容易である。
【0019】
本発明のエステル交換反応用触媒は有機スズ化合物であり、原料の油脂やアルコールに溶解しない場合は反応液と均一相を形成せず、目的物と触媒との分離が容易である。
【0020】
本発明のエステル交換反応用触媒は、有機スズ化合物であって原料の油脂やアルコールとの親和性に優れるため、エステル交換活性に優れ、脂肪酸モノエステル化物の生産性に優れる。
【0021】
本発明のエステル交換反応用触媒は転化率に優れ、超臨界または亜臨界条件よりも温和な反応条件で脂肪酸モノエステル化物を製造することができ、生産コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、動物油および/または植物油と、ROH(Rは、炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪族基を示す。)で示されるアルコールとを、有機スズ化合物からなる触媒の存在下にエステル交換する工程を含む、脂肪酸モノエステル化物の製造方法である。エステル交換反応に酸触媒やアルカリ触媒を使用する方法は公知であり、遷移金属化合物を触媒として使用する方法も公知であるが、本発明は、有機スズ化合物からなる触媒を使用する点に特徴がある。なお、本発明において「有機スズ化合物」とは、当該化合物中にスズ原子と有機基を構成する炭素原子との直接結合を含むものである。従って、例えばアルキルエステル結合が含まれる場合でも、スズ原子と炭素原子との直接結合を含まない場合には、本願発明の有機スズ化合物の範囲に含まれない。以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
(1)触媒
本発明では、有機スズ化合物として、特に、下記構造式(1)に示す有機スズ化合物を好ましく使用することができる。
【0024】
【化1】

1、R2、R3、R4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1〜15のアルキル基が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基等のフェニルアルキル基、ナフチルアルキル基が挙げられ、これらのアルキル基、アラルキル基を置換する置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。特に炭素原子数1〜15のフッ素置換アルキル基が好ましい。
【0025】
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0026】
mが1でありnが0の化合物として、例えば、C49(CH3)Sn=O、C49(C49)Sn=O、CH3(C37)Sn=O、CH3(CH3)Sn=O、CH3(C25)Sn=O、C25(C817)Sn=O、C25(C25)Sn=O、C25(C37)Sn=O、C37(C817)Sn=O、C37(C37)Sn=O、C37(C817)Sn=O、C817(C49)Sn=O、C817(C817)Sn=O、C817(C1531)Sn=O、C1531(C49)Sn=O、C1531(C1531)Sn=O、C48F(C49)Sn=O、C49(C48F)Sn=O、CH2F(C49)Sn=O、CH3(CH2F)Sn=O、CH3(C24F)Sn=O、C24F(C49)Sn=O、C25(C24F)Sn=O、C25(C36F)Sn=O、C36F(C49)Sn=O、C37(C36F)Sn=O、C37(C816F)Sn=O、C816F(C49)Sn=O、C817(C816F)Sn=O、C817(C1530F)Sn=O、C1530F(C49)Sn=O、C1531(C1530F)Sn=O、C48Cl(C49)Sn=O、C49(C48Cl)Sn=O、CH2Cl(C49)Sn=O、CH3(CH2Cl)Sn=O、CH3(C24Cl)Sn=O、C24Cl(C49)Sn=O、C25(C24Cl)Sn=O、C25(C36Cl)Sn=O、C36Cl(C49)Sn=O、C37(C36Cl)Sn=O、C37(C816Cl)Sn=O、C816Cl(C49)Sn=O、C817(C816Cl)Sn=O、C817(C1530Cl)Sn=O、C1530Cl(C49)Sn=O、C1531(C1530Cl)Sn=O、C48Br(C49)Sn=O、C49(C48Br)Sn=O、CH2Br(C49)Sn=O、CH3(CH2Br)Sn=O、CH3(C24Br)Sn=O、C24Br(C49)Sn=O、C25(C24Br)Sn=O、C25(C36Br)Sn=O、C36Br(C49)Sn=O、C37(C36Br)Sn=O、C37(C816Br)Sn=O、C816Br(C49)Sn=O、C817(C816Br)Sn=O、C817(C1530Br)Sn=O、C1530Br(C49)Sn=O、C1531(C1530Br)Sn=O、C65(C49)Sn=O、C49(C65)Sn=Oなどを使用することができる。
【0027】
mが1でありnが1の化合物として、C49(C25)Sn−O−Sn(OH)C49、C49(C49)Sn−O−Sn(C49)C49、CH3(C49)Sn−O−Sn(OH)CH3、CH3(CH3)Sn−O−Sn(CH3)CH3、CH3(C25)Sn−O−Sn(C25)C25、C25(C49)Sn−O−Sn(OH)C25、C25(C25)Sn−O−Sn(C25)C25、C25(C37)Sn−O−Sn(C37)C25、C37(C49)Sn−O−Sn(OH)C37、C37(C37)Sn−O−Sn(C37)C37、C37(C817)Sn−O−Sn(C817)C37、C817(C49)Sn−O−Sn(OH)C817、C817(C817)Sn−O−Sn(C817)C817、C817(C1531)Sn−O−Sn(C1531)C817、C1531(C49)Sn−O−Sn(OH)C1531、C1531(C1531)Sn−O−Sn(C1531)C1531、C48F(C49)Sn−O−Sn(OH)C48F、C49(C48F)Sn−O−Sn(C48F)C49、CH2F(C49)Sn−O−Sn(OH)CH2F、CH3(CH2F)Sn−O−Sn(CH2F)CH3、CH3(C24F)Sn−O−Sn(C24F)CH3、C24F(C49)Sn−O−Sn(OH)C24F、C25(C24F)Sn−O−Sn(C24F)C25、C25(C36F)Sn−O−Sn(C36F)C25、C36F(C49)Sn−O−Sn(OH)C36F、C37(C36F)Sn−O−Sn(C36F)C37、C37(C816F)Sn−O−Sn(C816F)C37、C816F(C49)Sn−O−Sn(OH)C816F、C817(C816F)Sn−O−Sn(C816F)C817、C817(C1530F)Sn−O−Sn(C1530F)C817、C1530F(C49)Sn−O−Sn(OH)C1530F、C1531(C1530F)Sn−O−Sn(C1530F)C1531、C48Cl(C49)Sn−O−Sn(OH)C48Cl、C49(C48Cl)Sn−O−Sn(C48Cl)C49、CH2Cl(C49)Sn−O−Sn(OH)CH2Cl、CH3(CH2Cl)Sn−O−Sn(CH2Cl)CH3、CH3(C24Cl)Sn−O−Sn(C37)C37、C24Cl(C49)Sn−O−Sn(OH)C24Cl、C25(C24Cl)Sn−O−Sn(C24Cl)C25、C25(C36Cl)Sn−O−Sn(C36Cl)C25、C36Cl(C49)Sn−O−Sn(OH)C36Cl、C37(C36Cl)Sn−O−Sn(C36Cl)C37、C37(C816Cl)Sn−O−Sn(C816Cl)C37、C816Cl(C49)Sn−O−Sn(OH)C816Cl、C817(C816Cl)Sn−O−Sn(C816Cl)C817、C817(C1530Cl)Sn−O−Sn(C1530Cl)C817、C1530Cl(C49)Sn−O−Sn(OH)C1530Cl、C1531(C1530Cl)Sn−O−Sn(C1530Cl)C1531、C48Br(C49)Sn−O−Sn(OH)C48Br、C49(C48Br)Sn−O−Sn(C48Br)C49、CH2Br(C49)Sn−O−Sn(OH)CH2Br、CH3(CH2Br)Sn−O−Sn(C37)C37、CH3(C24Br)Sn−O−Sn(C24Br)CH3、C24Br(C49)Sn−O−Sn(OH)C24Br、C25(C24Br)Sn−O−Sn(C24Br)C25、C25(C36Br)Sn−O−Sn(C36Br)C25、C36Br(C49)Sn−O−Sn(OH)C36Br、C37(C36Br)Sn−O−Sn(C36Br)C37、C37(C816Br)Sn−O−Sn(C816Br)C37、C816Br(C49)Sn−O−Sn(OH)C816Br、C817(C816Br)Sn−O−Sn(C816Br)C817、C817(C1530Br)Sn−O−Sn(C1530Br)C817、C1530Br(C49)Sn−O−Sn(OH)C1530Br、C1531(C1530Br)Sn−O−Sn(C1530Br)C1531、C65(C49)Sn−O−Sn(OH)C65、C49(C65)Sn−O−Sn(C65)C49などを例示することができる。
【0028】
また、本発明では、下記構造式(2)に示す有機スズ化合物であってもよい。
【0029】
【化2】

6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1〜15のアルキル基が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基等のフェニルアルキル基、ナフチルアルキル基が挙げられ、これらのアルキル基、アラルキル基を置換する置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。特に炭素原子数1〜15のフッ素置換アルキル基が好ましい。
【0030】
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0031】
本発明では、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13の全てがC24613である化合物、またはR6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13の全てがC45である化合物を好適に使用することができる。
【0032】
また、本発明では、下記式で示される有機スズ化合物からなる触媒を使用することができる。
【0033】
【化3】

16、R19がハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜15のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜15、または水酸基のアラルキル基の具体例としては、C25(C25)(C49)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C25(C37)(C49)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C37(C37)(C49)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C37(C49)(C817)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C817)(C817)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C817)(C1531)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C1531)(C1531)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C49)(C48F)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C37(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C817)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C1531)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C48F)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C49、C49(C49)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C49)C49、CH3(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)CH3、CH3(C49)(CH3)Sn−O−Sn(CH3)(C49)CH3、CH3(C25)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C25)C25、C25(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C25、C25(C25)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C25)C25、C25(C37)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C37)C25、C37(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C37、C37(C49)(C37)Sn−O−Sn(C37)(C49)C37、C37(C49)(C817)Sn−O−Sn(C817)(C49)C37、C817(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C817、C817(C817)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C817)C817、C817(C1531)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C1531)C817、C1531(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C1531、C1531(C1531)(C49)Sn−O−Sn(C49)(C1531)C1531、C48F(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C48F、C49(C49)(C48F)Sn−O−Sn(C49)(C48F)C49、CH2F(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)CH2F、CH3(C49)(CH2F)Sn−O−Sn(CH2F)(C49)CH3、CH3(C49)(C24F)Sn−O−Sn(C24F)(C49)CH3、C24F(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C24F、C25(C49)(C24F)Sn−O−Sn(C24F)(C49)C25、C25(C49)(C36F)Sn−O−Sn(C36F)(C49)C25、C36F(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C36F、C37(C49)(C36F)Sn−O−Sn(C36F)(C49)C37、C37(C49)(C816F)Sn−O−Sn(C816F)(C49)C37、C816F(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C816F、C817(C49)(C816F)Sn−O−Sn(C816F)(C49)C817、C817(C49)(C1530F)Sn−O−Sn(C1530F)(C49)C817、C1530F(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C1530F、C1531(C49)(C1530F)Sn−O−Sn(C1530F)(C49)C1531
48Cl(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C48Cl、C49(C49)(C48Cl)Sn−O−Sn(C48Cl)(C49)C49、CH2Cl(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)CH2Cl、CH3(C49)(CH2Cl)Sn−O−Sn(CH2Cl)(C49)CH3、CH3(C49)(C24Cl)Sn−O−Sn(C37)(C49)C37、C24Cl(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C24Cl、C25(C49)(C24Cl)Sn−O−Sn(C24Cl)C25、C25(C49)(C36Cl)Sn−O−Sn(C36Cl)(C49)C25、C36Cl(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C36Cl、C37(C49)(C36Cl)Sn−O−Sn(C36Cl)(C49)C37、C37(C49)(C816Cl)Sn−O−Sn(C816Cl)(C49)C37、C816Cl(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C816Cl、C817(C49)(C816Cl)Sn−O−Sn(C816Cl)(C49)C817、C817(C49)(C1530Cl)Sn−O−Sn(C1530Cl)(C49)C817、C1530Cl(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C1530Cl、C1531(C49)(C1530Cl)Sn−O−Sn(C1530Cl)(C49)C1531、C48Br(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C48Br、C49(C49)(C48Br)Sn−O−Sn(C48Br)(C49)C49、CH2Br(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)CH2Br、CH3(C49)(CH2Br)Sn−O−Sn(C37)(C49)C37、CH3(C49)(C24Br)Sn−O−Sn(C24Br)(C49)CH3、C24Br(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C24Br、C25(C49)(C24Br)Sn−O−Sn(C24Br)(C49)C25、C25(C49)(C36Br)Sn−O−Sn(C36Br)(C49)C25、C36Br(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C36Br、C37(C49)(C36Br)Sn−O−Sn(C36Br)(C49)C37、C37(C49)(C816Br)Sn−O−Sn(C816Br)(C49)C37、C816Br(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C816Br、C817(C49)(C816Br)Sn−O−Sn(C816Br)(C49)C817、C817(C49)(C1530Br)Sn−O−Sn(C1530Br)(C49)C817、C1530Br(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C1530Br、C1531(C49)(C1530Br)Sn−O−Sn(C1530Br)(C49)C1531、C65(C49)(OH)Sn−O−Sn(OH)(C49)C65、C49(C49)(C65)Sn−O−Sn(C65)(C49)C49などを例示することができる。
【0034】
また、式(3)において、R16、R19がハロゲン原子である有機スズ化合物の具体例としては、例えば、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、
1,3−ジブロモ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジヨード−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1−(ペンタフルオロエチル)−1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブロモ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン等が挙げられる。
【0035】
式(3)において、R16、R19がアルコキシ基である有機スズ化合物の具体例としては、例えば、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、
1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジブトキシ−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジメトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1−(ペンタフルオロエチル)−1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ジエトキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ジプロポキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン等が挙げられる。
【0036】
式(3)において、R16、R19がアルキルチオ基である有機スズ化合物の具体例としては、例えば、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、
1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(ブチルチオ)−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(メチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1−(ペンタフルオロエチル)−1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(エチルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(プロピルチオ)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン等が挙げられる。
【0037】
式(3)において、R16、R19がチオシアナト基である有機スズ化合物の具体例としては、例えば、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(トリクロロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタクロロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(トリブロモメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタブロモエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(トリヨードメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタヨードエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(トリクロロメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(ペンタクロロエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(トリブロモメチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,3−ビス(ペンタブロモエチル)−1,3−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3,3−ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1−(ペンタフルオロエチル)−1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(ペンタフルオロフェニルメチル)−3,3−ビス(ヘプタフルオロベンジル)ジスタノキサン、1,3−ビス(チオシアナト)−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−(ヘプタフルオロベンジル)−3−(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサン等が挙げられる。
【0038】
式(3)において、R16、R19の少なくとも1つがチオシアナト基である有機スズ化合物としては、前記のビス(チオシアナト)体の例中、チオシアナト基の1つがハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基で置換されたものが挙げられる。具体的には、例えば、1−クロロ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1−クロロ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1−クロロ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1−クロロ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1−ブロモ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1−ブロモ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1−ブロモ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1−ブロモ−3−チオシアナト1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メトキシ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メトキシ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メトキシ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メチルチオ−1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メチルチオ−1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロエチル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メチルチオ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1−チオシアナト3−メチルチオ−1,1,3,3−テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン等が挙げられる。なお、上記は、R16、R19がハロゲン原子の場合であるが、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜15のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜15のアラルキル基、水酸基、またはハロゲン原子のいずれかである化合物を好適に使用することができる。
【0039】
更に、本発明では、下記式で示される有機スズ化合物であってもよい。
【0040】
【化4】

24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソアミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1〜15のアルキル基が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基等のフェニルアルキル基、ナフチルアルキル基が挙げられ、これらのアルキル基、アラルキル基を置換する置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。特に炭素原子数1〜15のフッ素置換アルキル基が好ましい。
【0041】
また、Yが炭素数1〜5のアルコキシ基である場合には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基を好適に使用することができ、特にメトキシ基が好適である。また、ハロゲン原子として、特に塩素原子、臭素原子を好適に使用することができる。
【0042】
pが1である化合物として、C49(OH)Sn=O、CH3(OH)Sn=O、C25(OH)Sn=O、C817(OH)Sn=O、C1531(OH)Sn=O、C48F(OH)Sn=O、C48F(OH)Sn=O、C24F(OH)Sn=O、C36F(OH)Sn=O、C816F(OH)Sn=O、C1530F(OH)Sn=O、C48Cl(OH)Sn=O、CH2Cl(OH)Sn=O、C24Cl(OH)Sn=O、C24Cl(OH)Sn=O、C36Cl(OH)Sn=O、C816Cl(OH)Sn=O、C1530Cl(OH)Sn=O、C48Br(OH)Sn=O、C48Br(OH)Sn=O、CH2Br(OH)Sn=O、C36Br(OH)Sn=O、C1530Br(OH)Sn=O、C1530I(OH)Sn=O、C48I(OH)Sn=O、C49(Cl)Sn=O、CH3(Cl)Sn=O、C25(Cl)Sn=O、C817(Cl)Sn=O、C1531(Cl)Sn=O、C48F(Cl)Sn=O、C48F(Cl)Sn=O、C24F(Cl)Sn=O、C36F(Cl)Sn=O、C816F(Cl)Sn=O、C1530F(Cl)Sn=O、C48Cl(Cl)Sn=O、CH2Cl(Cl)Sn=O、C24Cl(Cl)Sn=O、C24Cl(Cl)Sn=O、C36Cl(Cl)Sn=O、C816Cl(Cl)Sn=O、C1530Cl(Cl)Sn=O、C48Br(Cl)Sn=O、C48Br(Cl)Sn=O、CH2Br(Cl)Sn=O、C36Br(Cl)Sn=O、C1530Br(Cl)Sn=O、C1530I(Cl)Sn=O、C48I(Cl)Sn=O、C49(Br)Sn=O、CH3(Br)Sn=O、C25(Br)Sn=O、C817(Br)Sn=O、C1531(Br)Sn=O、C48F(Br)Sn=O、C48F(Br)Sn=O、C24F(Br)Sn=O、C36F(Br)Sn=O、C816F(Br)Sn=O、C1530F(Br)Sn=O、C48Cl(Br)Sn=O、CH2Cl(Br)Sn=O、C24Cl(Br)Sn=O、C24Cl(Br)Sn=O、C36Cl(Br)Sn=O、C816Cl(Br)Sn=O、C1530Cl(Br)Sn=O、C48Br(Br)Sn=O、C48Br(Br)Sn=O、CH2Br(Br)Sn=O、C36Br(Br)Sn=O、C1530Br(Br)Sn=O、C1530I(Br)Sn=O、C48I(Br)Sn=O、C49(OCH3)Sn=O、CH3(OCH3)Sn=O、C25(OCH3)Sn=O、C817(OCH3)Sn=O、C1531(OCH3)Sn=O、C48F(OCH3)Sn=O、C48F(OCH3)Sn=O、C24F(OCH3)Sn=O、C36F(OCH3)Sn=O、C816F(OCH3)Sn=O、C1530F(OCH3)Sn=O、C48Cl(OCH3)Sn=O、CH2Cl(OCH3)Sn=O、C24Cl(OCH3)Sn=O、C24Cl(OCH3)Sn=O、C36Cl(OCH3)Sn=O、C816Cl(OCH3)Sn=O、C1530Cl(OCH3)Sn=O、C48Br(OCH3)Sn=O、C48Br(OCH3)Sn=O、CH2Br(OCH3)Sn=O、C36Br(OCH3)Sn=O、C1530Br(OCH3)Sn=O、C1530I(OCH3)Sn=O、C48I(OCH3)Sn=O、C49(OC25)Sn=O、CH3(OC25)Sn=O、C25(OC25)Sn=O、C817(OC25)Sn=O、C1531(OC25)Sn=O、C48F(OC25)Sn=O、C48F(OC25)Sn=O、C24F(OC25)Sn=O、C36F(OC25)Sn=O、C816F(OC25)Sn=O、C1530F(OC25)Sn=O、C48Cl(OC25)Sn=O、CH2Cl(OC25)Sn=O、C24Cl(OC25)Sn=O、C24Cl(OC25)Sn=O、C36Cl(OC25)Sn=O、C816Cl(OC25)Sn=O、C1530Cl(OC25)Sn=O、C48Br(OC25)Sn=O、C48Br(OC25)Sn=O、CH2Br(OC25)Sn=O、C36Br(OC25)Sn=O、C1530Br(OC25)Sn=O、C1530I(OC25)Sn=O、C48I(OC25)Sn=Oなどを使用することができる。
【0043】
また、pが2以上の化合物してとして、C49(OH)Sn(=O)Sn(=O)C49(OH)、CH3(OH)Sn(=O)Sn(=O)CH3(OH)、C25(OH)Sn(=O)Sn(=O)C25(OH)、C817(OH)Sn(=O)Sn(=O)、C1531(OH)Sn(=O)Sn(=O)C1531(OH)、C48F(OH)Sn(=O)Sn(=O)C48F(OH)、C24F(OH)Sn(=O)Sn(=O)C24F(OH)、C36F(OH)Sn(=O)Sn(=O)C36F(OH)、C816F(OH)Sn(=O)Sn(=O)C816F(OH)、C1530F(OH)Sn(=O)Sn(=O)C1530F(OH)、C48Cl(OH)Sn(=O)Sn(=O)C48Cl(OH)、CH2Cl(OH)Sn(=O)Sn(=O)CH2Cl(OH)、C24Cl(OH)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(OH)、C36Cl(OH)Sn(=O)Sn(=O)C36Cl(OH)、C816Cl(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C816Cl)(OH)、C1530Cl(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C1530Cl)(OH)、C48Br(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C48Br)(OH)、C48Br(OH)Sn(=O)Sn(=O)、CH2Br(OH)Sn(=O)Sn(=O)、C36Br(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C36Br)(OH)、C1530Br(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C1530Br)(OH)、C1530I(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C1530I)(OH)、C48I(OH)Sn(=O)Sn(=O)(C48I)(OH)、C49(Cl)Sn(=O)Sn(=O)(C49)(Cl)、CH3(Cl)Sn(=O)Sn(=O)CH3Cl、C25ClSn(=O)Sn(=O)C25Cl、C817(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C817(Cl)、C1531(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C1531(Cl)、C48F(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C48F(Cl)、C48F(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C48F(Cl)、C24F(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C24F(Cl)、C36F(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C36F(Cl)、C816F(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C816F(Cl)、C1530F(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C1530F(Cl)、C48Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C48Cl(Cl)、CH2Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)CH2Cl(Cl)、C24Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(Cl)、C24Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(Cl)、C36Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C36Cl(Cl)、C816Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C816Cl(Cl)、C1530Cl(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C1530Cl(Cl)、C48Br(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(Cl)、C48Br(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(Cl)、CH2Br(Cl)Sn(=O)Sn(=O)CH2Br(Cl)、C36Br(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C36Br(Cl)、C1530Br(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C1530Br(Cl)、C1530I(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C1530I(Cl)、C48I(Cl)Sn(=O)Sn(=O)C48I(Cl)、C49(Br)Sn(=O)Sn(=O)C49(Br)、CH3(Br)Sn(=O)Sn(=O)CH3(Br)、C25(Br)Sn(=O)Sn(=O)C25(Br)、C817(Br)Sn(=O)Sn(=O)C817(Br)、C1531(Br)Sn(=O)Sn(=O)C1531(Br)、C48F(Br)Sn(=O)Sn(=O)C48F(Br)、C48F(Br)Sn(=O)Sn(=O)C48F(Br)、C24F(Br)Sn(=O)Sn(=O)C24F(Br)、C36F(Br)Sn(=O)Sn(=O)C36F(Br)、C816F(Br)Sn(=O)Sn(=O)C816F(Br)、C1530F(Br)Sn(=O)Sn(=O)C1530F(Br)、C48Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)C48Cl(Br)、CH2Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)CH2Cl(Br)、C24Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(Br)、C24Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(Br)、C36Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)C36Cl(Br)、C816Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)C816Cl(Br)、C1530Cl(Br)Sn(=O)Sn(=O)C1530Cl(Br)、C48Br(Br)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(Br)、C48Br(Br)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(Br)、CH2Br(Br)Sn(=O)Sn(=O)CH2Br(Br)、C36Br(Br)Sn(=O)Sn(=O)C36Br(Br)、C1530Br(Br)Sn(=O)Sn(=O)C1530Br(Br)、C1530I(Br)Sn(=O)Sn(=O)C1530I(Br)、C48I(Br)Sn(=O)Sn(=O)C48I(Br)、C49(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C49(OCH3)、CH3(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)CH3(OCH3)、C25(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C25(OCH3)、C817(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C817(OCH3)、C1531(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C1531(OCH3)、C48F(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C48F(OCH3)、C48F(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C48F(OCH3)、C24F(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C24F(OCH3)、C36F(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C36F(OCH3)、C816F(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C816F(OCH3)、C1530F(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C1530F(OCH3)、C48Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C48Cl(OCH3)、
CH2Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)CH2Cl(OCH3)、C24Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(OCH3)、C24Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(OCH3)、C36Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C36Cl(OCH3)、C816Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C816Cl(OCH3)、C1530Cl(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C1530Cl(OCH3)、C48Br(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(OCH3)、C48Br(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(OCH3)、CH2Br(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)CH2Br(OCH3)、C36Br(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C36Br(OCH3)、C1530Br(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C1530Br(OCH3)、C1530I(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C1530I(OCH3)、C48I(OCH3)Sn(=O)Sn(=O)C48I(OCH3)、C49(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C49(OC25)、CH3(OC25)Sn(=O)Sn(=O)CH3(OC25)、C25(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C25(OC25)、C817(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C817(OC25)、C1531(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C1531(OC25)、C48F(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C48F(OC25)、C48F(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C48F(OC25)、C24F(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C24F(OC25)、C36F(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C36F(OC25)、C816F(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C816F(OC25)、C1530F(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C1530F(OC25)、C48Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C48Cl(OC25)、CH2Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)CH2Cl(OC25)、C24Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(OC25)、C24Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C24Cl(OC25)、C36Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C36Cl(OC25)、C816Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C816Cl(OC25)、C1530Cl(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C1530Cl(OC25)、C48Br(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(OC25)、C48Br(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C48Br(OC25)、CH2Br(OC25)Sn(=O)Sn(=O)CH2Br(OC25)、C36Br(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C36Br(OC25)、C1530Br(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C1530Br(OC25)、C1530I(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C1530I(OC25)、C48I(OC25)Sn(=O)Sn(=O)C48I(OC25)などを使用することができる。
【0044】
本発明で有機スズ化合物からなる触媒が、エステル交換反応用触媒として好適である理由については明確でない。しかしながら、触媒作用は、触媒が反応物と反応中間体をつくり、触媒がないときと異なる反応経路をとらせ、このため活性化エネルギーが低下して反応速度が大きくなるためと考えられている。触媒作用によって反応速度を増加させうるか否かは、反応物と中間体を生成しうるか、その結果、活性化エネルギーを低下させうるかに依存する。本発明のエステル交換反応用触媒は、炭素数1〜15のアルキル基などを含む有機スズ化合物であり、油脂とアルコールとのエステル交換反応において、これらとの親和性に優れ、かつ有機スズ化合物の特定構造によって油脂とアルコールとのエステル交換反応における反応速度を増加しうると考えられる。
【0045】
(2)動物油および/または植物油
本発明では、上記有機スズ化合物からなるエステル交換反応用触媒を使用して、動物油および/または植物油とアルコールとをエステル交換反応して対応する脂肪酸モノエステル化物を製造することができる。
【0046】
使用する「動物油」とは、動物由来の油であり、油脂を含む概念である。本発明で使用できる動物油としては、イワシ油、サバ油、ニシン油、サンマ油、マグロ油、タラ肝油など魚類の体から得られる魚油;ラード脂、ニワトリ脂、バター脂、牛脂、牛骨脂、鹿脂、イルカ脂、馬脂、豚脂、骨油、羊脂、牛脚油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、鯨油などがあり、魚油、牛脂および豚脂からなる群から選択される1以上の油であることが好ましく、これらの油が複数混合したもの、ジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、一部、酸化、還元等の変性を起こした油でもよい。
【0047】
また、本発明において、「植物油」とは、植物由来の油であり、油脂を含む概念である。本発明で使用できる植物油としては、ココアバター脂、トウモロコシ油、ラッカセイ油、棉実油、ダイズ油、ヤシ油、オリーブ油、サフラワー油、アブラギリ油、アマニ油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、アンズの仁油、ヒマシ油、大風子油、シナ脂、綿実油、綿実ステアリン、ゴマ油、パーム油、パーム核油、コメ油、カポック油などがあげられ、より好ましくは、ひまわり油、サフラワー油、桐油、アマニ油、大豆油、菜種油、綿実油、オリーブ油、椿油、ヤシ油およびパーム油から選択される1種以上であるが、これらには限定されない。また、これらの油が複数混合したもの、ジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、一部、酸化、還元等の変性を起こした油でもよい。
【0048】
上記動物油や植物油は、原料動物や植物から直接採取したものであってもよいが、食用油などとして使用した後、廃棄されたものであってもよい。これらには、下記式(5)で示されるトリグリセリドが主成分として含まれるため、エステル交換によって脂肪酸モノエステル化物を効率的に製造することができるからである。
【0049】
【化5】

上記トリグリセリドに含まれるR21、R22およびR23の置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基などがあり、上記トリグリセリドに含まれる脂肪族基としては、原料の動物種や植物種によって適宜選択することができる。
【0050】
(3)アルコール
本発明で使用するアルコールは、ROH(Rは、炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪族基を示す。)で示され、Rのうち炭素数1から24の飽和または不飽和の脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基などがあげられる。
【0051】
Rがアルキル基であるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノールなどが例示される。
【0052】
Rがアラルキル基であるアルコールとしてはベンジルアルコール、α−フェネチルアルコール、β−フェネチルアルコールが例示され、ベンジルアルコールが好ましい。
【0053】
Rがアルケニル基であるアルコールとしては、アリルアルコール、1−メチルアリルアルコール、2−メチルアリルアルコール、3−ブテン−1−オ−ル、3−ブテン−2−オ−ルなどが例示され、アリルアルコールが好ましい。
【0054】
Rがアルキニル基であるアルコールとしては、2−プロピン−1−オール、2−ブチン−1−オ−ル、3−ブチン−1−オ−ル、3−ブチン−2−オ−ルなどが例示される。
【0055】
この中で、アルコールとしては、Rが炭素数1〜8、より好ましくは1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコールである。より好ましくはメタノール、エタノールであり、さらに好ましくはメタノールである。アルコールは、単独でも、二種以上を混合して用いても良い。また、アルコールは、光学異性体が存在する場合には、光学異性体を含んでもよい。
【0056】
(4)エステル交換反応
本発明では、上記動物油および/または植物油とアルコールとを、温度25〜250℃、より好ましくは40〜200℃、特に好ましくは50〜180℃、圧力は大気圧〜10MPa、より好ましくは大気圧〜4MPa、特に好ましくは大気圧〜3MPaで反応させる。25℃を下回ってもエステル交換反応は進行するが、時間がかかり生産性が低下する場合がある。一方、250℃を超えても転化率は向上せず、副生成物が発生する場合があり、不利である。また、反応圧力が大気圧より低くてもエステル交換反応は進行するが、沸騰状態となり反応容量が増大し不利である。一方、10MPaを超えても転化率は向上せず、副生成物が発生する場合があり、不利である。
【0057】
反応時間は、上記動物油および/または植物油に含まれる脂肪酸トリグリセリドが、上記アルコールとエステル交換を行い、対応する脂肪酸モノエステル化物とグリセリンとを得るに足る時間である。一般には、反応時間は反応条件に応じて10分から50時間、より好ましくは30分〜24時間である。
【0058】
上記エステル交換反応では、動物油や植物油に含まれるトリグリセリド1モルに対し、理論的には3モルのアルコールと反応させると、1モルのグリセリンと3モルの対応する脂肪酸モノエステル化物が生成する。しかしながら本発明では、動物油および植物油の合計量に含まれるトリグリセリド1モルに対し、3〜80モル、より好ましくは5〜50モル、特に好ましくは6〜40モルのアルコールを添加する。これによって、効率的に、脂肪酸モノエステル化物を製造することができる。3モルを下回るとエステル化反応が不十分となり、一方、80モルを超えると反応装置が巨大化して不経済である。
【0059】
本発明の有機スズ化合物を含むエステル交換反応用触媒の使用量は、特に制限はされないが、原料の動物油および/または植物油などの油脂のエステル結合1当量に対して、0.00005〜1モル、好適には0.0001〜0.5モル程度である。
【0060】
本発明の製造方法を実施する装置の形式は特に規定しないが、たとえばバッチ式反応器や連続式槽型反応器、ピストンフロー型流通式反応器、塔型流通式反応器などを用いることができる。使用する油脂、アルコール、エステル交換反応用触媒に応じて適宜選択することができる。
【0061】
例えば、エステル交換反応用触媒が、原料油脂やアルコールに溶解しない場合には、図1に示すように、エステル交換反応用触媒をカラムに充填し、または上記触媒を担体に担持させるなどして固定床を形成し、これに上記油脂およびアルコールを供給し、上記反応条件でエステル交換させる方法がある。なお、エステル交換反応用触媒が原料油脂、アルコール、反応生成物などのいずれかに溶解する場合には、原料油脂およびアルコールとエステル交換反応を行い、反応液から目的物や使用触媒を分離すればよい。
【0062】
(5)脂肪酸モノエステル化物の分離
本発明では、上記エステル交換反応についで、得られた反応液に含まれる前記脂肪酸モノエステル化物をグリセリンと分離して脂肪酸モノエステル化物画分を得る。上記エステル交換反応用触媒を固定床として使用した場合には、反応液には、脂肪酸モノエステル化物とグリセリンと共に、過剰に添加したアルコールが含まれる。
【0063】
このようなエステル交換反応液から脂肪酸モノエステル化物を単離する方法としては、(1)前記エステル交換反応液を蒸留塔に導入し、蒸留条件を選択して、塔頂からアルコールを留出させ、塔中からグリセリンを抜き出し、および塔底から脂肪酸モノエステル化物を回収する方法、(2)前記反応液を蒸留塔に導入し、蒸留条件を選択して、塔頂からアルコールおよびグリセリンを留出させ、塔底から脂肪酸モノエステル化物を回収する方法、(3)前記反応液を第一蒸留塔に導入し、蒸留条件を選択して、塔頂からアルコールを留出させ、塔底からグリセリンおよび脂肪酸モノエステル化物を抜き出し、次いで第二蒸留塔に塔底液を導入してグリセリンと脂肪酸モノエステル化物とを分離回収する方法、(4)反応液を蒸留塔に導入し、メタノール留出後に、脂肪酸モノエステル化物とグリセリンとを液−液分離する方法、その他、いずれの方法を使用してもよい。好ましくは、上記(4)の方法である。
【0064】
一方、エステル交換反応用触媒が原料油脂、アルコール、反応生成物などのいずれかに溶解する場合には、エステル交換反応を行い、上記した脂肪酸モノエステル化物の単離方法と同様に操作して、使用したエステル交換反応用触媒との沸点差や溶媒との親和性に応じて系外に除去し、脂肪酸モノエステル化物を単離すればよい。
【0065】
なお、エステル交換反応の際に、予めエステル交換反応用触媒を溶解するが少なくとも脂肪酸モノエスエル化物と反応しない溶媒を反応液に添加し、該溶媒を分取することでエステル交換反応用触媒と脂肪酸モノエステル化物とを分離してもよい。
【0066】
(6)アルコールの再利用
本発明では、エステル交換反応液からアルコールを回収し、再度に上記エステル交換反応用触媒の固定床に油脂とともに供給して、再使用することが好ましい。これにより、収率を向上させることができる。
【0067】
(7)脂肪酸モノエステル化物
本発明の脂肪酸モノエステル化物は、上記各工程によって製造される。原料が植物油や動物油であるためSOx成分が少なく、エステル交換反応の後に脂肪酸モノエステル化物画分を単離しているため悪臭がなく、かつ脂肪酸エステル化物は高揮発性であり、バイオディーゼル燃料として好適に使用することができる。
【0068】
本発明によって製造される脂肪酸モノエステル化物は、バイオディーゼル燃料として好適であり、地球の循環系に組み込まれたバイオマス資源を原料としたもので、化石資源由来の軽油に比べ環境への負荷の低減に大きく寄与するものである。本発明の製造方法は、調理などに使われた廃食用油などの産業・家庭廃棄物の大量処理技術、特にそれらを有用化合物に選択的かつ効果的に変換する技術としても大いに期待できる。
【実施例】
【0069】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に即して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0070】
実施例1
プレッシャーボトル(TAF−SR−50 テフロン(登録商標)内筒密閉容器)のテフロン(登録商標)内筒中に、グリセリントリオレイン酸エステル1.77g(2mmol)、下記式(4)で示すエステル交換反応用触媒 ビス(ジブチルクロロスズ)オキシド(シグマアルドリッチ社製)0.343g(0.1mmol)を量りとり、メタノール5mlを加えて蓋をして密封した。供給メタノールとグリセリントリオレイン酸エステルとのモル比(供給メタノール/グリセリントリオレイン酸エステルモル比)は78であった。また、油脂に対する触媒量は、5mol%であった。前記プレッシャーボトルを、150℃のオイルバスで加熱し15時間反応させた。
【0071】
反応液を、カラムクロマトグラフィーにより精製した。オレイン酸メチルエステルの収率は97%であった。また、ガスクロマトグラフィーで同様に分析した結果、オレイン酸メチルエステル収率は97%とカラムクロマトグラフィーと同じ値を示したので、以下の実施例ではガスクロマトグラフィーでの分析結果とした。
【0072】
エステル交換反応を下記式(5)に示し、結果を表1に示す。
【0073】
【化6】

【0074】
【化7】

実施例2
実施例1と同じグリセリントリオレイン酸エステル、メタノール、触媒およびエステル交換反応装置を使用し、表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様に操作してエステル交換反応を行った。
【0075】
反応液を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。反応液に含まれるオレイン酸メチルエステルの収率は97%であった。結果を表1に示す。
【0076】
実施例3
プレッシャーボトル(TAF−SR−50 テフロン(登録商標)内筒密閉容器)のテフロン(登録商標)内筒中に、グリセリントリオレイン酸エステル1.77g(2mmol)、下記式(6)で示すエステル交換反応用触媒量 モノブチルスズオキシド(東京化成株式会社製)とメタノール5mlとを加えて蓋をして密封した。供給メタノールとグリセリントリオレイン酸エステルとのモル比(供給メタノール/グリセリントリオレイン酸エステルモル比)は78であった。また、油脂に対する触媒量は、5mol%であった。前記プレッシャーボトルを、150℃のオイルバスで加熱し21時間反応させた。
【0077】
反応液を、ガスクロマトで分析した。オレイン酸メチルエステルの収率は96%であった。結果を表2に示す。
【0078】
【化8】

実施例4〜8
実施例3と同じグリセリントリオレイン酸エステル、メタノール、触媒およびエステル交換反応装置を使用し、表2に記載する反応条件に代えてエステル交換反応を行った。結果を表2に示す。
【0079】
実施例9
プレッシャーボトル(TAF−SR−50 テフロン(登録商標)内筒密閉容器)のテフロン(登録商標)内筒中に、グリセリントリオレイン酸エステル1.77g(2mmol)、下記式(7)で示すエステル交換反応用触媒(東京化成株式会社製、商品名「M0744」)の所定量とメタノール5mlとを加えて蓋をして密封した。供給メタノールとグリセリントリオレイン酸エステルとのモル比(供給メタノール/グリセリントリオレイン酸エステルモル比)は78であった。また、油脂に対する触媒量は、5mol%であった。前記プレッシャーボトルを、150℃のオイルバスで加熱し22時間反応させた。
【0080】
反応液を、ガスクロマトで分析した。オレイン酸メチルエステルの収率は95%であった。結果を表3に示す。
【0081】
【化9】

実施例10〜12
実施例9と同じグリセリントリオレイン酸エステル、メタノール、触媒およびエステル交換反応装置を使用し、表3に記載する反応条件に代えてエステル交換反応を行った。結果を表3に示す。
【0082】
実施例13
プレッシャーボトル(TAF−SR−50 テフロン(登録商標)内筒密閉容器)のテフロン(登録商標)内筒中に、グリセリントリオレイン酸エステル1.77g(2mmol)、下記式(8)で示すエステル交換反応用触媒(和光純薬株式会社製、商品名「045−28972」)の所定量とメタノール5mlとを加えて蓋をして密封した。供給メタノールとグリセリントリオレイン酸エステルとのモル比(供給メタノール/グリセリントリオレイン酸エステルモル比)は78であった。また、油脂に対する触媒量は、5mol%であった。前記プレッシャーボトルを、150℃のオイルバスで加熱し22時間反応させた。
【0083】
反応液を、ガスクロマトで分析した。オレイン酸メチルエステルの収率は98%であった。結果を表4に示す。
【0084】
【化10】

実施例14〜23
実施例13と同じグリセリントリオレイン酸エステル、メタノール、触媒およびエステル交換反応装置を使用し、表4に記載する反応条件に代えてエステル交換反応を行った。結果を表4に示す。
【0085】
実施例24
メタノールをエタノールに変更した以外は、実施例14と同じグリセリントリオレイン酸エステル、触媒、エステル交換反応装置を使用し、実施例14と同じ反応条件でエステル交換反応を行った。供給エタノールとグリセリントリオレイン酸エステルとのモル比(供給エタノール/グリセリントリオレイン酸エステルモル比)は54であった。
【0086】
反応液を、ガスクロマトで分析した。反応液に含まれるオレイン酸メチルエステルの収率は、96%であった。結果を表4に示す。
【0087】
比較例1
実施例9と同じグリセリントリオレイン酸エステル、メタノール、およびエステル交換反応装置を使用し、SnCl4を触媒として使用した以外は実施例9と同様に操作してエステル交換反応を行った。結果を表5に示す。
【0088】
比較例2
実施例9と同じグリセリントリオレイン酸エステル、メタノール、およびエステル交換反応装置を使用し、下記式に記載する触媒 2−エチルヘキサン酸第一スズ、を使用した以外は実施例9と同様に操作してエステル交換反応を行った。結果を表5に示す。
【0089】
【化11】

【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の脂肪酸モノエステル化物の製造工程のフローを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物油および/または植物油と、ROH(Rは、炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪族基を示す。)で示されるアルコールとを、有機スズ化合物からなる触媒の存在下にエステル交換する工程を含む、脂肪酸モノエステル化物の製造方法。
【請求項2】
前記触媒が、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で示される有機スズ化合物であることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸モノエステル化物の製造方法。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【請求項3】
前記動物油が、魚油、牛脂および豚脂からなる群から選択される1種以上であり、前記植物油が、ひまわり油、サフラワー油、桐油、アブラギリ油、アマニ油、大豆油、菜種油、綿実油、オリーブ油、椿油、ヤシ油およびパーム油からなる群から選択される1種以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記動物油および/または植物油が、下記式(5)で示されるトリグリセリドを含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【化5】

【請求項5】
前記エステル交換が、温度25〜250℃で行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪酸モノエステル化物の製造方法。
【請求項6】
前記動物油および植物油に含まれるトリグリセリドの合計量に対するアルコールのモル比(アルコール/動物油および植物油)が3〜80である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記アルコールが、メタノールである、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記エステル交換反応についで、エステル交換反応液に含まれる前記脂肪酸モノエステル化物とグリセリンとを分離して脂肪酸モノエステル化物画分を得る工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
動物油および/または植物油と、ROH(Rは、炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪族基を示す。)で示されるアルコールとのエステル交換反応用触媒であって、
下記式(1)、(2)、(3)、(4)で示される有機スズ化合物からなる触媒であることを特徴とする、エステル交換反応用触媒。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−163148(P2008−163148A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353158(P2006−353158)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】