説明

脂質を低下させかつ血糖値を低下させるためのベンゾ縮合複素環スルファミド誘導体の使用

本発明はグルコース関連疾患および脂質関連疾患を治療する方法であり、この方法は、それを必要としている被験体に本明細書で定義する如き式(I)または式(II)で表される1種以上の新規なベンゾ縮合複素環スルファミド誘導体を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。本発明は、更に、抗糖尿病薬および抗脂質薬および/または抗肥満薬との共治療を実施することを含んで成る治療方法にも向けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2005年12月19日付けで出願した米国仮出願60/751,677(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の利点を請求するものである。
【0002】
本発明は、脂質を低下させ、血糖値を低下させ、血糖コントロールを向上させ、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖症および関連障害を治療する目的でベンゾ縮合複素環スルファミド誘導体を用いることに向けたものである。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は高血糖値の存在を示す医学用語である。糖尿病にかかっている人はインスリンを産生しないか、インスリンをほとんど産生しないか或はインスリンに反応せず、その結果として、血中にグルコースが蓄積する。最も一般的な形態の糖尿病は2型糖尿病であり、これは以前に成人発症型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と呼ばれていて、それが成人の糖尿病を占める度合は>90%であり得る。しかしながら、より若い人達が益々過剰体重または肥満になってきていることから、2型糖尿病は十代の若者および子供にも蔓延してきている。糖尿病はまた妊娠性糖尿病、1型糖尿病または自己免疫性糖尿病(以前は若年発症型糖尿病および1 1/2型糖尿病とも呼ばれており、また、成人における潜在的自己免疫性糖尿病、即ちLADAと呼ばれていた)も指し得る。糖尿病は悪い食習慣または身体的活動の不足(例えばほとんど運動しない生活習慣)、遺伝子変異、膵臓の損傷、薬剤(例えばエイズ治療)または化学品(例えばステロイド)暴露または病気(例えば嚢胞性線維症、ダウン症、クッシング症候群)が原因で起こり得る。糖尿病をもたらす稀な2種類の遺伝子欠陥は若年発症成人型糖尿病(MODY)および非定型糖尿病(ADM)と呼ばれている。
【0004】
2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病または“NIDDM”)は、糖代謝の調節異常およびインスリン耐性を伴う代謝性障害であり、眼、腎臓、神経および血管に関係する長期の合併症を伴う。2型糖尿病を発症するのは一般に成人(中年期以降)であり、これは体がインスリンを充分に産生することができない(インスリン分泌異常)か或はインスリンを有効に利用することができない(インスリンが標的器官および組織で示す作用に対する抵抗)として記述される。より詳細には、2型糖尿病に苦しんでいる患者は相対的にインスリンが欠乏している。即ち、そのような患者における血漿中インスリン濃度は絶対値の点では正常から高いが、存在する血漿中グルコース濃度から予測される濃度より低い。
【0005】
2型糖尿病は下記の臨床的兆候または症状で特徴づけられる:持続的に高い血糖値または高血糖症;多尿症;多渇症および/または過食症;慢性微小血管合併症、例えば網膜症、腎症および神経障害など;および大血管合併症、例えば高脂血症および高血圧など(これらによって盲目、最終段階の腎疾患、手足切断および心筋梗塞がもたらされる可能性がある)。
【0006】
X症候群[またインスリン耐性症候群(IRS)、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームXとも呼ばれる]は、2型糖尿病および心疾患を発症する危険因子を与える障害であり、それには耐糖能異常(glucose intolerance)、高インスリン血症およびインスリン耐性、高トリグリセリド血症、高血圧および肥満症が含まれる。
【0007】
2型糖尿病の診断には、症状の評価および尿および血液中グルコースの測定が含まれる。正確な診断には血糖値測定が必要である。より具体的には、空腹時血糖値測定が用いられる標準的方策である。しかしながら、経口的ブドウ糖負荷試験(OGTT)の方が空腹時血糖値よりも感度が高いと考えられている。2型糖尿病は経口的ブドウ糖負荷異常(OGT)を伴う。従って、OGTTは2型糖尿病診断の助けにはなるが、一般に糖尿病の診断に必要とされていない(非特許文献1、2)。OGTTを用いて膵臓ベータ細胞分泌機能およびインスリン感受性を推定することができ、これは2型糖尿病の診断およびこの病気のひどさおよび進行度合の評価に役立つ(例えば非特許文献3)。より詳細には、糖尿病にかかっているとは診断されていないが境界線の空腹時血糖値を多数回示す患者における高血糖度を確認しようとする時にOGTTが極めて有用である。加うるに、OGTTは、2型糖尿病症状を示す患者を検査して炭水化物代謝が異常であると言った診断の可能性の可否を明らかにすべき時にも有用である。
【0008】
このように、空腹時血糖値は2型糖尿病であると言った診断に要する値より低いがOGTT中の血糖反応が正常と糖尿病の間である人は耐糖能異常であると診断される。耐糖能異常は前糖尿病状態であると見なされ、かつ耐糖能異常(OGTTで判定される如き)は、2型糖尿病発症の強力な指標である(非特許文献4)。
【0009】
2型糖尿病は進行性の病気であり、これは膵臓機能および/または他のインスリン関連プロセスの低下を伴い、血糖値が高くなることによって更に悪化する。従って、2型糖尿病は一般に長期の前糖尿病段階を有し、そのような前糖尿病状態では、いろいろな病生理学的作用によって病理学的高血糖および耐糖能異常、例えばグルコースの利用および効果、インスリンの作用および/またはインスリン産生の異常がもたらされ得る(非特許文献5)。
【0010】
耐糖能異常を伴う前糖尿病状態は、また、腹部肥満、インスリン耐性、高脂血症および高血圧、即ちX症候群の傾向も伴い得る(非特許文献6、7、8)。
【0011】
従って、炭水化物代謝不全は2型糖尿病および耐糖能異常の主要な病因である(非特許文献9)。実際、耐糖能異常および空腹時糖異常から最終的な2型糖尿病に至るまでの状態が存在する(非特許文献10)。
【0012】
2型糖尿病を発症する危険性のある人が病理学的高血糖または耐糖能異常になる度合を低下させることに焦点を当てた初期の診療行為を行うことによって2型糖尿病および関連した合併症および/またはX症候群にならないようにするか或はそれへの進行を遅らせることができる。従って、経口的ブドウ糖負荷異常および/または高血糖値を有効に治療することができれば、そのような障害から2型糖尿病またはX症候群への進行を防止または抑制することが可能になる。
【0013】
脂質異常症は、リポ蛋白質および関連した脂質、例えばトリグリセリドおよびコレステロールなどの血中濃度の変化または濃度が異常であることで特徴づけられる群の病気である。脂質は、非極性分子、例えばトリグリセリドおよびコレステロールエステルなどの中心部が両親媒性脂質、主に燐脂質の外被で取り囲まれていることで本質的に構成されているリポ蛋白質の形態で血流の中を移動する。後天性高脂血症/高リポ蛋白質血症は、食事の不均衡、薬剤または化合物の影響または病気、例えば甲状腺疾患または糖尿病などの結果として発症する。家族性高脂血症/高リポ蛋白血症は常染色体遺伝を特徴とし、血中のリポ蛋白質および脂質含有量が高くなることを伴う。家族性高脂血症/高リポ蛋白血症は、血中のリポ蛋白粒子の組成および種類に応じて5種類(I−V型)に細分される。例えばI型およびIV型の高リポ蛋白血症では主にそれぞれカイロミクロンおよびVLDL粒子内のトリグリセリド量が多い。一般に、HDL−コレステロールとトリグリセリド濃度(脂質異常症の一因である)の間の関係は逆の関係にある。脂質異常症(例えば低HDL−コレステロールおよび高トリグリセリドまたはLDL−コレステロール値)を治療しないままにしておくと他の病気、例えば膵炎、耐糖能異常、糖尿病、冠動脈疾患、虚血性心疾患、アテローム性動脈硬化症、肝脾腫大症および脂肪肝疾患などが更に悪化する可能性がある。
【0014】
グルコース関連疾患、例えば高血糖値,2型糖尿病,X症候群などの有効な治療法を提供する必要性が存在したままである。また、脂質関連疾患、例えば高血糖値,脂質異常症などの有効な治療法を提供する必要性も存在したままである。
【非特許文献1】Emancipator K,Am J Clin Pathol 1999年11月;112(5):665−74
【非特許文献2】Type 2 Diabetes Mellitus,Decision Resources Inc.,2000年3月
【非特許文献3】Caumo A,Bergman RN,Cobelli C,.J Clin Endocrinol Metab 2000,85(11):4396−402)
【非特許文献4】Haffner SM,Diabet Med 1997年8月;14 Suppl 3:S12−8
【非特許文献5】Goldberg RB,Med Clin North Am 1998年7月;82(4):805−21
【非特許文献6】Groop L,Forsblom C,Lehtovirta M,Am J Hypertens 1997年9月;10(9 Pt 2):172S−180S
【非特許文献7】Haffner SM,J Diabetes Complications 1997年3月−4月;11(2):69−76
【非特許文献8】Beck−Nielsen H,Henriksen JE,Alford F,Hother−Nielson O,Diabet Med 1996年9月;13(9 Suppl 6):S78−84
【非特許文献9】Dinneen SF,Diabet Med 1997年8月;14 Suppl 3:S19−24
【非特許文献10】Ramlo−Halsted BA,Edelman SV,Prim Care 1999年12月;26(4):771−89
【発明の開示】
【0015】
発明の要約
本発明は、グルコース関連疾患および/または脂質関連疾患を治療する方法に向けたものであり、この方法は、それを必要としている被験体に式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、
およびRは、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され;
は、水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aは、1から2の整数であり;
【0018】
【化2】

【0019】
から成る群から選択され、ここで、
bは0から4の整数であり;そしてcは0から2の整数であり;
各Rは、独立して、ハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【0020】
【化3】

【0021】
の時にはaが1であることを条件とする]
で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0022】
本発明は、更に、グルコース関連疾患および/または脂質関連疾患の治療を必要としている被験体に式(II)
【0023】
【化4】

【0024】
で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成るグルコース関連疾患および/または脂質関連疾患治療方法にも向けたものである。
【0025】
本発明の具体例はグルコース関連疾患を治療する方法であり、この方法は、それを必要としている被験体に上述した化合物のいずれかを治療的に有効な量で投与することを含んで成る。別の例において、本発明は、脂質関連疾患を治療する方法に向けたものであり、この方法は、それを必要としている被験体に上述した化合物のいずれかを治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0026】
本発明は、更に、少なくとも1種の抗糖尿病薬(anti−diabetic agent)と本明細書に記述する如き式(I)または式(II)で表される化合物を用いた共治療(co−therapy)を実施することを含んで成るグルコース関連疾患治療方法にも向けたものである。本発明は、更に、少なくとも1種の抗脂質薬(anti−lipid agent)と本明細書に記述する如き式(I)または式(II)で表される化合物を用いた共治療を実施することを含んで成る脂質関連疾患治療方法にも向けたものである。本発明は、更に、少なくとも1種の抗糖尿病薬および/または少なくとも1種の抗脂質薬と本明細書に記述する如き式(I)または式(II)で表される化合物を用いた共治療を実施することを含んで成るグルコース関連疾患または脂質関連疾患治療方法にも向けたものである。本発明は、更に、抗肥満薬と本明細書に記述する如き式(I)または式(II)で表される化合物を用いた共治療を実施することを含んで成るグルコース関連疾患治療方法にも向けたものである。
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、グルコース関連疾患および/または脂質関連疾患を治療する方法に向けたものであり、この方法は、それを必要としている被験体に式(I)
【0028】
【化5】

【0029】
[式中、
【0030】
【化6】

【0031】
a,R,RおよびRは、本明細書で定義する如くである]
で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0032】
本発明は、更に、少なくとも1種の抗糖尿病薬および/または少なくとも1種の抗脂質薬と本明細書に記述する如き式(I)または式(II)で表される化合物を用いた共治療を実施することを含んで成るグルコース関連疾患および脂質関連疾患治療方法にも向けたものである。
【0033】
本分野の技術者は、グルコース関連疾患および/または脂質関連疾患の治療によって共病的(co−morbid)な過剰体重および肥満状態が治療されることでさらなる利益を得ることができることを認識するであろう。従って、1つの態様において、本発明の方法は、抗肥満薬(anti−obesity agent)と本明細書に記述する如き式(I)または式(II)で表される化合物を用いた共治療を実施することを含んで成る。
【0034】
本明細書で用いる如き用語“グルコース関連疾患”は、高血糖値で特徴づけられるいずれかの疾患であるとして定義する。グルコース関連疾患には、高血糖値、前糖尿病、経口的ブドウ糖負荷異常、劣った血糖コントロール、2型糖尿病,X症候群(またメタボリックシンドロームとも呼ばれる),妊娠性糖尿病、インスリン耐性、高血糖症および高血糖症の結果として起こる筋肉質量の損失(悪液質)が含まれる。
【0035】
グルコース関連疾患の治療は、血糖値の低下、血糖コントロールの改善、インスリン耐性の低下および/またはグルコース関連疾患発症の予防(例えば患者が2型糖尿病の発症による経口的ブドウ糖負荷異常または高血糖値に苦しまないようにする)を包含し得る。
【0036】
本明細書で用いる如き用語“脂質関連疾患”は、脂質濃度が正常でないことを特徴とするいずれかの疾患であると定義する。脂質関連疾患には、高トリグリセリド値,低HDLコレステロールおよび脂質異常症、とりわけ高トリグリセリド値または低HDLコレステロール値が含まれる。脂質関連疾患の治療は、トリグリセリドの低下、HDLコレステロールの上昇および/またはトリグリセリド/HDL比の改善を包含し得る。
【0037】
本明細書で用いる如き用語“抗糖尿病薬”は、血中濃度の低下、血糖コントロールの改善および/またはインスリン感受性の改善をもたらす製薬学的作用剤(pharmaceutical agent)のいずれかを意味する。2型糖尿病およびX症候群の治療で用いるに有用な抗糖尿病薬には、これらに限定するものでないが、スルホニル尿素、メグリチニド、インスリン分泌を修正する薬剤、ビグアニド、チアゾリジンジオン、PPAR−ガンマ作動薬、レチノイド−X受容体(RXR)モジュレーター,インスリン抵抗性改善薬(insulin sensitizing agents),アルファ−グルコシダーゼ阻害剤,インスリン,インスリンの低分子模擬物,Na−グルコースコトランスポーター阻害剤,アミリン作動薬,グルカゴン拮抗薬,GLP−1およびGLP−1類似物,DPPIV阻害剤などが含まれる。
【0038】
抗糖尿病薬の適切な例には、エキセナチド(exenatide),クロルプロパミド(chlorpropamide),トラザミド(tolazamide),トルブタミド(tolbutamide),グリブリド(glyburide),グリピジド(glipizide),グリメピリド(glimepiride),レパグリニド(repaglinide),メトホルミン(metformin),ロシグリタゾン(rosiglitazone),ピオグリタゾン(pioglitazone),トログリタゾン(troglitazone),イサグリタゾン(isaglitazone)(MCC−555として知られる),2−[2−[(2R)−4−ヘキシル−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−イル]エトキシ]−ベンゼン酢酸,GW2570,タルグレチン(targretin),9−シス−レチノイン酸,アスカルボース(ascarbose),ミグリトール(miglitol),L−783281,TE−17411,T−1095,BAY−279955,フロリゼン(phlorizen),プラムリンチド(pramlintide),通常作用型インスリンインスリン,短期作用型インスリン,中期作用型インスリン,長期作用型インスリン,吸入インスリン,インスリン類似物,アセトヘキサミド(acetohexamide),ブホルミン(buformin),グリボルヌリド(glibornuride),グリヘキサミド(glyhexamide),グリミジン(glymidine),リノグリリド(linogliride),パルモキシレート(palmoxirate),ゾポルレスタット(zopolrestat);エトホルミン(etoformin),グリカルジド(gllicalzide),グリピナミド(glypinamide)などが含まれる。
【0039】
より詳細には、抗糖尿病薬には、これらに限定するものでないが、下記が含まれる:
(a)スルホニル尿素(これは膵臓ベータ細胞を刺激することでインスリン産生を増加させ、従ってインスリン分泌促進因子として働く)。スルホニル尿素の主な作用機構は、ベータ細胞原形質膜の中のATP感受性カリウムチャンネルを封鎖することで、結果としてインスリン放出をもたらす一連のイベントを開始させることにある。スルホニル尿素の適切な例には、これらに限定するものでないが、クロルプロパミド、トラザミド,トルブタミド,グリブリド,グリピジドなどが含まれる;
(b)別の種類のインスリン分泌促進因子であるメグリチニド(これはスルホニル尿素の作用機構とは異なる作用機構を有する)。メグリチニドの適切な例には、これらに限定するものでないが、レパグリニドが含まれる;
(c)インスリン分泌を修正する薬剤、例えばグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)およびこれの模擬物,グルコース−インスリン分泌促進性ペプチド(GIP)およびこれの模擬物、Exendinおよびこれの模擬物,およびジペプチルプロテアーゼ阻害剤(DPPIV)など;
(d)ビグアニド(これは肝臓グルコース産生を増加させかつグルコースの吸収を向上させる)。適切な例には、これらに限定するものでないが、メトホルミンが含まれる;
(e)チアゾリジンジオン、即ち標的器官および組織におけるインスリンの効果を向上させることによって抹消インスリン耐性を低下させるインスリン抵抗性改善薬。この薬剤は核受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−ガンマ(PPAR−ガンマ)と結合してそれを活性化させることで特定のインスリン反応性遺伝子の転写を増加させる。PPAR−ガンマ作動薬の適切な例はチアゾリジンジオンであり、これには、これらに限定するものでないが、ロシグリタゾン,ピオグリタゾン,トログリタゾン,イサグリタゾン(MCC−555として知られる),2−[2−[(2R)−4−ヘキシル−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−イル]エトキシ]−ベンゼン酢酸などが含まれる。加うるに、チアゾリジンジオン以外の薬剤もまたインスリン抵抗性改善薬として作用し、それには、これらに限定するものでないが、GW2570などが含まれる;
(f)レチノイド−X受容体(RXR)モジュレーターもまたインスリン抵抗性改善薬であり、これには、これらに限定するものでないが、タルグレチン,9−シス−レチノイン酸などが含まれる;
(g)他のインスリン抵抗性改善薬には、これらに限定するものでないが、INS−1,PTP−1B阻害剤,GSK3阻害剤,グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤,フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤などが含まれる;
(h)アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(これはアルファ−グルコシダーゼを阻害する働きをする)。アルファ−グルコシダーゼはフルクトースをグルコースに変化させ、従って、このような阻害剤は炭水化物の消化を遅らせる。その後、未消化の炭水化物が腸内で分解されることで食事後のグルコースピークが低下する。適切な例には、これらに限定するものでないが、アカルボースおよびミグリトールが含まれる;
(i)インスリン(通常もしくは短期作用型,中期作用型および長期作用型インスリン,吸入インスリンおよびインスリン類似物、例えば天然のアミノ酸配列が若干異なるインスリン分子などを包含)。このような修飾インスリンは作用開始がより早くそして/または作用期間がより短い可能性がある;
(j)インスリンの低分子模擬物(これらに限定するものでないが、L−783281,TE−17411などを包含);
(k)Na−グルコースコ−トランスポーター阻害剤(これはグルコースの腎再吸収を抑制する)、例えばT−1095,T−1095A,フロリゼンなど;
(l)アミリン作動薬(これらに限定するものでないが、プラムリンチドなどが含まれる);および
(k)グルカゴン拮抗薬、例えばAY−279955など。
【0040】
本明細書で用いる如き用語“抗脂質薬”は、特に明記しない限り、トリグリセリドを低下させるか、脂質を低下させるか、HDL値を高くするか或はトリグリセリド/HDLコレステロール比を改善する能力を有する製薬学的作用剤のいずれかを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、アンチリペミック薬(anti−lipemic agents)、胆汁酸樹脂、コレステロール吸収抑制薬、フィブリン酸誘導体、HMG−CoA還元酵素阻害剤(即ちスタチン)が含まれる。好適な抗脂質薬は、アトルバスタチン(atorvastatin)(Lipitor),セリバスタチン(Baycol),フルバスタチン(Lescol),ロバスタチン(Mevacor),プラバスタチン(Pravachol),ロスバスタチン(Crestor),シムバスタチン(Zocor)から成る群から選択されるスタチンである。
【0041】
本明細書で用いる如き用語“抗肥満薬”は、特に明記しない限り、肥満症を治療し、減量を助長しそして/または食欲を抑制する製薬学的作用剤のいずれかを意味する。減量を助長する適切な例には、これらに限定するものでないが、リモナバント(rimonabant),オルリスタット(orlistat),シブトラミン(sibutramine),マジンドール(mazindol),ベンゾフェタミン(benzphetamine),フェンメトラジン(phenmetrazine),フェンテルミン(phentermine),ジエチルプロピオン(diethylpropion),マジンドール(mazindol),フェニルプロパノールアミン,エフェドリン(ephedrine),キパジン(quipazine),フルオキセチン(fluoxetine),セルトラリン(sertraline),フェンフルラミン(fenfluramine),デキソフェンフルラミン(dexfenflurアミン),アポモルフィン(apomorphine),エキセンジン(Exendin),デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone),エチオコランジオン(etiocholandione),テストステロン(testosterone),オキサンドロロン(oxandrolone),トピラメート(topiramate)などが含まれる。好適な減量助長薬はリモナバント、トピラメート、オルリスタットまたはシブトラミンである。
【0042】
本明細書で用いる如き用語「被験体」は、治療、観察または実験の対象である動物、好適には哺乳動物、最も好適には人を指す。
【0043】
本明細書で用いる如き用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求している活性化合物または製薬学的作用剤が組織系、動物または人に生物学的もしくは医薬的反応(治療を受けさせる病気または障害の症状の軽減を包含)を引き出す量を意味する。
【0044】
本発明が式(I)または式(II)で表される1種以上の化合物と1種以上の抗糖尿病および/または抗脂質薬を投与することを含んで成る共治療または組み合わせ治療に向けたものである場合の“治療的に有効な量”は、薬剤を一緒に組み合わせた時にその組み合わせ効果によって所望の生物学的もしくは医薬的反応が現れるような量を意味する。例えば、式(I)または式(II)で表される化合物と抗糖尿病および/または抗脂質薬を投与することを含んで成る共治療の治療的に有効な量は、前記式(I)または式(II)で表される化合物と抗糖尿および/または抗脂質薬を一緒に投与するか或は逐次的に投与した時の組み合わせ効果が治療的に有効であるようなそれらの量であろう。その上、本分野の技術者は、この上の例に示した如き治療的に有効な量を用いた共治療の場合の前記式(I)または式(II)で表される化合物の量および/または抗糖尿病および/または抗脂質薬の量は個別に治療的に有効な量であるか或は有効な量でなくてもよいことも認識するであろう。
【0045】
本明細書で用いる如き用語“共治療”および“組み合わせ治療”は、その治療を必要としている被験体に式(I)または式(II)で表される1種以上の化合物を1種以上の抗糖尿病および/または抗脂質薬と組み合わせて投与することで治療を実施することを意味し、この場合、前記式(I)または式(II)で表される化合物と前記抗糖尿病および/または抗脂質薬を適切ないずれかの手段で同時、逐次的、個別または単一の製剤(pharmaceutical formulation)として投与する。式(I)または式(II)で表される化合物と抗糖尿病および/または抗脂質薬を個別の剤形(dosage forms)として投与する場合、各化合物を1日当たりに投与する投与回数は同じまたは異なってもよい。式(I)または式(II)で表される化合物と抗糖尿病および/または抗脂質薬を同じまたは異なる投与経路で投与してもよい。適切な投与方法の例には、これらに限定するものでないが、経口、静脈内(iv),筋肉内(im),皮下(sc),経皮および直腸が含まれる。また、化合物を神経系に直接投与することも可能であり、それには、これらに限定するものでないが、脳内、脳室内、大脳室内、鞘内、嚢内、髄腔内および/または脊髄周辺投与経路(ポンプ装置の使用有り無しによる頭蓋内または脊髄内針および/またはカテーテルを用いた送達による)が含まれる。式(I)または式(II)で表される化合物と抗糖尿病および/または抗脂質薬を同時または交互療法に従って治療過程中の同じまたは異なる時に分割または単一形態で同時に投与してもよい。
【0046】
本発明の1つの態様では、Rを水素およびメチルから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rを水素およびメチルから成る群から選択する。本発明の更に別の態様では、RおよびRの各々が水素であるか或はRおよびRの各々がメチルである。
【0047】
本発明の1つの態様では、−(CH−を-CH−および-CH−CH−から成る群から選択する。本発明の別の態様における−(CH−は-CH−である。
【0048】
本発明の1つの態様では、Rを水素およびメチルから成る群から選択し、好適には、Rは水素である。
【0049】
本発明の1つの態様におけるaは1である。
【0050】
本発明の1つの態様におけるbは0から2の整数である。本発明の別の態様におけるcは0から2の整数である。本発明の別の態様におけるbは0から1の整数である。本発明の別の態様におけるcは0から1の整数である。本発明の更に別の態様では、bとcの合計が0から2の整数,好適には0から1の整数である。本発明の更に別の態におけるbは0から2の整数でありそしてcは0である。
【0051】
本発明の1つの態様では、
【0052】
【化7】

【0053】
から成る群から選択する。本発明の別の態様では、
【0054】
【化8】

【0055】
から成る群から選択する。
【0056】
本発明の1つの態様では、
【0057】
【化9】

【0058】
を2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル),3−(3,4−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル),2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(クロマニル),2−(5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(8−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(2,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−b][1,4]ジオキシニル)および2−(4−メチル−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)から成る群から選択する。
【0059】
本発明の別の態様では、
【0060】
【化10】

【0061】
を2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群から選択する。本発明の別の態様では、
【0062】
【化11】

【0063】
を2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群から選択する。
【0064】
本発明の1つの態様では、Rをハロゲンおよび低級アルキルから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rをクロロ,フルオロ,ブロモおよびメチルから選択する。
【0065】
本発明の1つの態様では、前記式(I)で表される化合物の立体中心の配置はS配置である。本発明の別の態様では、前記式(I)で表される化合物の立体中心の配置はR配置である。
【0066】
本発明の1つの態様における前記式(I)で表される化合物は、ある鏡像異性体が豊富に存在する混合物として存在し、ここで、鏡像異性体豊富度%(%ee)は約75%より上,好適には約90%より上,より好適には約95%より上,最も好適には約98%より上である。
【0067】
本発明の追加的態様は、本明細書で定義する変項の中の1つ以上に関して選択した置換基(即ちR,R,R,R,X−YおよびA)が独立して本明細書で定義する如き完全なリストから選択した個々の置換基のいずれかまたは置換基サブセットのいずれかであるように選択した態様を包含する。
【0068】
本発明の代表的化合物は以下の表1に示す如くである。本発明の追加的化合物は表3に示す如くである。以下の表1および2中の見出しが“立体”の縦列に、星付き結合の所に結合している複素環の炭素原子の所の立体配置を示す。表示無しに示す場合の化合物は立体配置混合物として生じた化合物である。“R”または“S”の表示を付けて示す場合の立体配置は、その鏡像異性体が豊富に存在する出発材料を基にした配置である。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
本明細書で用いる如き「ハロゲン」は、特に明記しない限り、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を意味する。
【0073】
本明細書で用いる如き用語「アルキル」は、特に明記しない限り、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、直鎖および分枝鎖を包含する。例えば、アルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどが含まれる。”低級”をアルキルに関して用いる場合、特に明記しない限り、炭素原子数が1−4の炭素鎖構成を意味する。
【0074】
本明細書で用いる如き「アルコキシ」は、特に明記しない限り、上述した直鎖もしくは分枝鎖アルキル基の酸素エーテル基を表す。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。
【0075】
本明細書で用いる如き記号「*」は立体中心の存在を表す。
【0076】
個々の基(例えばアルキル、アリールなど)が「置換されている」場合、そのような基は置換基のリストから独立して選択される置換基を1つ以上、好適には置換基を1から5個、より好適には置換基を1から3個、最も好適には置換基を1から2個持っていてもよい。
【0077】
置換基の言及に関して、用語「独立して」は、そのような置換基が2個以上可能な場合にそのような置換基が互いに同じまたは異なってもよいことを意味する。
【0078】
本開示の全体に渡って用いる標準的命名法の下では、表示する側鎖の末端部分を最初に記述し、その後、それに隣接する官能性を結合点に向かって記述する。従って、例えば「フェニル−アルキル−アミノ−カルボニル−アルキル−」置換基は、式
【0079】
【化12】

【0080】
で表される基を指す。
【0081】
本明細書、特に本スキームおよび実施例で用いる省略形は下記の如くである:
DCC = ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCE = ジクロロエタン
DCM = ジクロロメタン
DIPEAまたはDIEA = ジイソプロピルエチルアミン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキサイド
EDC = エチルカルボジイミド
EtNまたはTEA = トリエチルアミン
EtO = ジエチルエーテル
EAまたはEtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
IPA = 2−プロパノール
Hept = ヘプタン
HOBT = 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC = 高圧液クロ
LAH = 水素化リチウムアルミニウム
MまたはMeOH = メタノール
NMR = 核磁気共鳴
Pd−C = 炭素に担持されているパラジウム触媒
RP HPLC = 逆相高圧液クロマトグラフィー
RTまたはrt = 室温
TEA = トリエチルアミン
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TLC = 薄層クロマトグラフィー
【0082】
本発明に従う化合物がキラル中心を少なくとも1つ有する場合、それらはそれに応じて鏡像異性体として存在し得る。本化合物がキラル中心を2つ以上有する場合、それらは追加的にジアステレオマーとしても存在し得る。そのような異性体およびこれらの混合物の全部を本発明の範囲内に包含させると理解されるべきである。その上、本化合物が示す結晶形態のいくつかは多形として存在する可能性があり、このように、それらも本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水と一緒に溶媒和物(即ち水化物)または一般的有機溶媒と一緒に溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0083】
本発明の化合物の塩を薬剤で用いる場合、これは無毒の「製薬学的に受け入れられる塩」を指す。しかしながら、本発明に従う化合物またはこれらの製薬学的に受け入れられる塩を調製する時に他の塩を用いることも有用である。本化合物の適切な製薬学的に受け入れられる塩には酸付加塩が含まれ、これらは、例えば本化合物の溶液を製薬学的に受け入れられる酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、こはく酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸または燐酸などの溶液と一緒に混合することで調製可能である。更に、本発明の化合物が酸性部分を持つ場合、これらの適切な製薬学的に受け入れられる塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩など、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩など、そして適切な有機配位子と一緒にした時に生じる塩、例えば第四級アンモニウム塩などが含まれ得る。このように、代表的な製薬学的に受け入れられる塩には下記が含まれる:
酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩/二燐酸塩、ポリガラクツロネート、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、こはく酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)および吉草酸塩。
【0084】
製薬学的に受け入れられる塩を調製する時に使用可能な代表的酸および塩基には下記が含まれる:
酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−樟脳酸、樟脳スルホン酸、(+)−(1S)−樟脳−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、しゅう酸、パルミチン酸、パモ酸、燐酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、こはく酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸およびウンデシレン酸を包含する酸、および
アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミンおよび水酸化亜鉛を包含する塩基。
【0085】
式(I)で表される化合物の調製はスキーム1に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0086】
【化13】

【0087】
従って、適切に置換されている式(X)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)とスルファミド(公知化合物)の反応を好適には前記スルファミドを約2から約5当量の範囲内の量で存在させて有機溶媒、例えばTHF,ジオキサンなど中で好適には約50℃から約100℃の範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度で起こさせることで相当する式(Ia)で表される化合物を生じさせる。
【0088】
別法として、適切に置換されている式(X)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と適切に置換されている式(XI)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を塩基、例えばTEA,DIPEA,ピリジンなどの存在下の有機溶媒、例えばDMF,DMSOなど中で反応させることで相当する式(I)で表される化合物を生じさせる。
【0089】
【化14】

【0090】
である式(X)で表される化合物の調製はスキーム2に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0091】
【化15】

【0092】
従って、適切に置換されている式(XII)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)(例えばこの上のスキーム3に記述したようにして)とNHOH(公知化合物)を場合により有機溶媒、例えばアセトニトリルなど中で反応させることで相当する式(XIII)で表される化合物を生じさせる。
【0093】
式(XIII)で表される化合物と適切に選択した還元剤、例えばLAHなどを有機溶媒、例えばTHF,ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(Xa)で表される化合物を生じさせる。
【0094】
【化16】

【0095】
から選択される式(X)で表される化合物の調製はスキーム3に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0096】
【化17】

【0097】
従って、適切に置換されている式(XIV)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)とNHOHを連成剤、例えばDCCなどの存在下で場合により有機溶媒、例えばアセトニトリルなど中で反応させることで相当する式(XV)で表される化合物を生じさせる。
【0098】
前記式(XV)で表される化合物と適切に選択した還元剤、例えばLAHなどを有機溶媒、例えばTHF,ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(Xb)で表される化合物を生じさせる。
【0099】
【化18】

【0100】
から選択されそしてaが2である
式(X)で表される化合物の調製はスキーム4に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0101】
【化19】

【0102】
従って、Jが適切な脱離基、例えばBr,Cl,I,トシル,メシル,トリフリルなどである適切に置換されている式(XVI)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)(例えば,JがOHである相当する化合物に活性化を受けさせることなどで)とシアン化物、例えばシアン化カリウム,シアン化ナトリウムなどを有機溶媒、例えばDMSO,DMF,THFなど中で反応させることで相当する式(XVII)で表される化合物を生じさせる。
【0103】
前記式(XVII)で表される化合物に還元を公知方法に従って例えばそれを適切な還元剤、例えばLAH,ボランなどと反応させることなどで受けさせることで相当する式(Xc)で表される化合物を生じさせる。
【0104】
【化20】

【0105】
から選択されそしてaが1である式(X)で表される化合物の調製はスキーム5に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0106】
【化21】

【0107】
従って、適切に置換されている式(XVIII)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)に活性化を公知方法に従って受けさせることでJが適切な脱離基,例えばトシレート,Cl,Br,I,メシレート,トリフレートなどである相当する式(XIX)で表される化合物を生じさせる。
【0108】
前記式(XIX)で表される化合物とフタルイミド塩、例えばカリウムフタルイミド,ナトリウムフタルイミドなどを有機溶媒、例えばDMF,DMSO,アセトニトリルなど中で好適には50℃から約200℃の範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度で反応させることで相当する式(XX)で表される化合物を生じさせる。
【0109】
前記式(XX)で表される化合物とN(公知化合物)を有機溶媒、例えばエタノール,メタノールなど中で好適には約50℃から約100℃の範囲内の高温,より好適にはほぼ還流温度などで反応させることで相当する式(Xd)で表される化合物を生じさせる。
【0110】
本分野の技術者は、
【0111】
【化22】

【0112】
から選択される式(X)で表される化合物の調製を公知方法に従って同様に実施することができるか或は例えば前記スキーム2から5に概略を示す方法に従うが相当するナフチル縮合化合物をベンゾ縮合出発材料の代わりに選択して用いることで実施することも可能であることを理解するであろう。
【0113】
本分野の技術者は、更に、式(X)で表される化合物の単一の鏡像異性体(または一方の鏡像異性体が豊富に存在する鏡像異性体混合物)が必要な場合に相当する単一の鏡像異性体(または一方の鏡像異性体が豊富に存在する鏡像異性体混合物)を妥当な出発材料の代わりに用いて前記スキーム1から5に記述した如き方法を適用することができることも理解するであろう。
【0114】
本分野の技術者は、本発明の反応段階をいろいろな溶媒もしくは溶媒系中で実施してもよいがまた前記反応段階を適切な溶媒もしくは溶媒系の混合物中で実施することも可能であることを理解するであろう。
【0115】
本発明に従う化合物を生じさせる過程で立体異性体の混合物がもたらされる場合には、通常の技術、例えば分取クロマトグラフィーなどを用いてそのような異性体を分離することができる。このような化合物はラセミ形態で調製可能であるか、或は鏡像特異的合成または分割のいずれかを用いて個々の鏡像異性体を生じさせることも可能である。標準的技術、例えば光学活性酸、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/または(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などを用いて塩を生じさせた後に分別結晶化を行いそして遊離塩基を再生させてジアステレオマー対を生じさせることなどで、そのような化合物を例えばそれらの成分である鏡像異性体に分割することも可能である。また、ジアステレオマーであるエステルまたはアミドを生じさせた後にクロマトグラフィーによる分離を行いそしてキラル補助剤を除去することで、そのような化合物の分割を行うことも可能である。別法として、キラルHPLCカラムを用いてそのような化合物の分割を行うことも可能である。
【0116】
本発明の化合物を調製する過程のいずれかを実施する時、関係する分子のいずれかが有する敏感もしくは反応性基を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性がある。これは通常の保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編集,Plenum Press,1973およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991などに記述されている如きそれらを用いて達成可能である。そのような保護基は本技術分野で公知の方法を用いて後の便利な段階で除去可能である。
【0117】
本発明は、更に、式(I)で表される1種以上の化合物を製薬学的に受け入れられる担体と一緒に含有する製薬学的組成物も包含する。本明細書に記述する本発明の1種以上の化合物をとして含有する製薬学的組成物の調製は、本化合物1種または2種以上を通常の製薬配合技術(pharmaceutical compounding techniques)に従って製薬学的担体と一緒に密に混合することで実施可能である。そのような担体は所望の投与経路(例えば経口、非経口)に応じて幅広く多様な形態を取り得る。このように、液状の経口用製剤(oral preparation)、例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液などの場合の適切な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、安定剤、着色剤などが含まれ、固体状の経口用製剤、例えば粉末、カプセルおよび錠剤などの場合に適切な担体および添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、顆粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。固体状の経口用製剤にまた糖などの如き物質による被覆または腸溶性被膜による被覆を受けさせることで主要な吸収部位を調節することも可能である。非経口投与の場合の担体を一般に無菌水で構成させるが、溶解性または防腐性を向上させる他の材料を添加することも可能である。また、注射可能な懸濁液または溶液を調製することも可能であり、この場合には水性担体を適切な添加剤と一緒に用いてもよい。
【0118】
本発明の製薬学的組成物を調製する時、本発明の1種以上の化合物を有効成分として製薬学的担体と通常の製薬配合技術に従って密に混合するが、そのような担体は投与で望まれる製剤の形態、例えば経口または非経口、例えば筋肉内投与などに応じて幅広く多様な形態を取り得る。本組成物を経口投薬形態で調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能である。このように、液状の経口用製剤、例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液などの場合の適切な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤などが含まれ、固体状の経口用製剤、例えば粉末、カプセル、カプレット、ゲルカップおよび錠剤などの場合に適切な担体および添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、顆粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。投与が容易なことが理由で錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。望まれるならば、錠剤に糖による被覆または腸溶性被膜による被覆を標準的な技術で受けさせてもよい。非経口投与の場合の担体は一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助するか或は防腐の目的などで他の材料を含有させることも可能である。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。本明細書に示す製薬学的組成物では、投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、茶サジ1杯など当たりの有効成分含有量を、それをこの上に記述した如き有効量で送達するに必要な量にする。本明細書に示す製薬学的組成物では、単位投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、座薬、茶サジ1杯など当たりの含有量を約0.1−1000mgにして、それを約0.01−200.0mg/kg/日、好適には約0.1から100mg/kg/日、より好適には約0.5−50mg/kg/日、より好適には約1.0−25.0mg/kg/日、より好適には約0.5−10.0mg/kg/日、最も好適には約1.0から約50mg/kg/日またはそれらのいずれかの範囲の投薬量で投与してもよい。しかしながら、このような投薬量は当該患者の要求、治療すべき病気のひどさおよび用いる化合物に応じて変わり得る。毎日の投与またはポストペリオディックドーシング(post−periodic dosing)のいずれの使用も利用可能である。
【0119】
本組成物を好適には単位剤形にし、例えば経口、非経口、鼻内、舌下もしくは直腸投与または吸入もしくは吹送による投与に適した錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、無菌の非経口用溶液もしくは懸濁液、定量エーロゾルもしくは液体スプレー、滴、アンプル、自動注入デバイスまたは座薬などの形態にする。別法として、本組成物を週に1回または月に1回投与するに適した形態で提供することも可能であり、例えば本活性化合物の不溶塩、例えばデカン酸塩などは筋肉内注射用持続性薬剤製剤(depot preparation)を生じさせるに適合し得る。固体状組成物、例えば錠剤などを調製する場合、本主要有効成分を製薬学的担体、例えば通常の錠剤用材料、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、燐酸ジカルシウムまたはゴムなどおよび他の製薬学的希釈剤、例えば水などと混合して本発明の化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩の均一な混合物を含有する固体状の予備調合組成物を生じさせる。このような予備調合組成物が均一であると述べる場合、これは、この組成物を等しく有効な剤形、例えば錠剤、ピルおよびカプセルなどに容易に細分可能なように有効成分が組成物全体に渡ってむらなく分散していることを意味する。次に、このような固体状の予備調合組成物を細分して本発明の有効成分を0.1から約1000mg含有する前記種類の単位剤形にする。作用が長期に渡ると言った利点を与える剤形が得られるように本新規組成物の錠剤またはピルに被覆を受けさせてもよいか或は他の様式で配合してもよい。例えば、そのような錠剤またはピルに内部の投薬成分と外側の投薬成分を含めて、その後者が前者の上を覆う形態にしてもよい。この2成分を腸溶性層[これは胃の中で起こる崩壊に抵抗して前記内部成分が無傷のまま十二指腸の中に運ばれるようにするか或は放出が遅れるようにする働きをする]で分離しておいてもよい。そのような腸溶性層または被膜ではいろいろな材料が使用可能であり、そのような材料には数多くの高分子量酸に加えてシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの如き材料が含まれる。
【0120】
本発明の新規な組成物を経口または注射で投与する目的で添加することができる液体形態には、水溶液、適切な風味のシロップ、水性または油懸濁液、そして食用油、例えば綿実油、ゴマ油、椰子油または落花生油などが用いられている風味付き乳液ばかりでなく、エリキシルおよび同様な製薬学的媒体が含まれる。水性懸濁液用の適切な分散もしくは懸濁剤には、合成および天然のゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチンなどが含まれる。
【0121】
本発明に記述するグルコース関連疾患および/または脂質関連疾患を治療する方法は、また、本明細書で定義した如き化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を含んで成る製薬学的組成物を用いることでも実施可能である。この製薬学的組成物の本化合物含有量は約0.1mgから1000mg、好適には約50から500mgの範囲であってもよく、そしてこれを選択した投与様式に適した如何なる形態に構築してもよい。担体には、必要かつ不活性な製薬学的賦形剤が含まれ、これには、これらに限定するものでないが、結合剤、懸濁剤、滑剤、風味剤、甘味剤、防腐剤、染料およびコーティングが含まれる。経口投与に適した組成物には、固体形態物、例えばピル、錠剤、カプレット、カプセル[各々に瞬時放出、好機放出および徐放製剤が含まれる]、顆粒および粉末など、そして液状形態物、例えば溶液、シロップ、エリキシル、乳液および懸濁液などが含まれる。非経口投与で用いるに有用な形態物には無菌の溶液、乳液および懸濁液が含まれる。
【0122】
本発明の化合物は有利に1日1回の投与で投与可能であるか、或は1日当たりの投薬量全体を1日当たり2回、3回または4回に分割した用量で投与することも可能である。更に、本発明の化合物を適切な鼻内媒体を局所的に用いることによる鼻内形態で投与するか或は本分野の通常の技術者に良く知られた経皮皮膚パッチを用いて投与することも可能である。投与を経皮送達系の形態で行う時には、勿論、そのような投与は断続的ではなくむしろ投薬療法全体に渡って連続的であろう。
【0123】
例えば錠剤またはカプセル形態の経口投与の場合には、本活性薬剤成分を無毒で製薬学的に受け入れられる不活性な経口用担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと一緒にしてもよい。その上、望まれるか或は必要な場合には、また、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤をそのような混合物に添加することも可能である。適切な結合剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはベータ−ラクトースなど、コーン甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントなど、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。
【0124】
液状形態には適切な風味の懸濁もしくは分散剤、例えば合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、メチル−セルロースなどを含有させてもよい。非経口投与の場合には無菌の懸濁液および溶液が望まれる。静脈内投与が望まれる場合には一般に適切な防腐剤が入っている等浸透圧性製剤を用いる。
【0125】
本発明の化合物はこの上に示した組成物のいずれかの状態でグルコース関連疾患および/または脂質関連疾患の治療が必要とされている時にはいつでも本技術分野で確立された投薬療法に従って投与可能である。
【0126】
本製品の1日当たりの投薬量は成人1人当たり0.01から200mg/日に及ぶ幅広い範囲またはそれのいずれかの範囲に渡って多様であり得る。経口投与の場合には、本組成物を、好適には、治療を受けさせるべき患者の症状に応じて投薬量を調整して、本有効成分を0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、500および1000ミリグラム含有する錠剤の形態で提供する。通常は、有効量の本薬剤を体重1kg当たり約0.01mg/日から体重1kg当たり約200mg/日の投薬レベルで供給する。この範囲は好適には体重1kg当たり約0.1から約100.0mg/日、より好適には体重1kg当たり約0.5から約50mg/日、より好適には体重1kg当たり約1.0から約25.0mg/日である。本化合物を1日当たり1から4回の計画で投与してもよい。
【0127】
本分野の技術者は投与すべき最適な投薬量を容易に決定することができ、これは使用する個々の化合物、投薬様式、製剤の濃度、投与様式および病気の状態の進行に伴って変わるであろう。加うるに、治療を受けさせる個々の患者に関連した要因の結果として投薬量を調整する必要もあり、そのような要因には、患者の年齢、体重、食事および投与時期が含まれる。
【0128】
本分野の技術者は、一般に受け入れられる適切な公知の細胞および/または動物モデルを用いたインビボおよびインビトロ両方の試験が試験化合物が所定疾患の治療または予防で示す能力の予測になることを認識するであろう。
【0129】
本分野の技術者は、更に、健康な患者および/または所定疾患に苦しんでいる患者におけるヒト臨床試験(ヒトに関する用量範囲および効力を初めて示す試験を包含)を臨床および医学技術で良く知られている方法に従って達成することができることも認識するであろう。
【0130】
以下に示す実施例は本発明の理解の補助で示すものであり、決して本明細書に示す請求の範囲に挙げる発明を限定することを意図するものでなく、そのように解釈されるべきでない。
【実施例1】
【0131】
((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−イル)メチル)スルファミド(化合物番号3)
【0132】
【化23】

【0133】
カテコール(5.09g,46.2ミリモル)および炭酸カリウムをアセトニトリル中で一緒にして還流に1時間加熱した。2−クロロメチル−3−クロロ−1−プロペン(5.78g,46.2ミリモル)を加えた後の反応物を継続して還流下に24時間置いた。その溶液を室温に冷却した後、濾過した。その濾液に蒸発を受けさせ、その残留物を水で希釈した後、ジエチルエーテル(3 x)で抽出した。その有機溶液を一緒にしてMgSOで乾燥させた後、濃縮した。クロマトグラフィー(ヘキサン中2%のエチルエーテル)で3−メチレン−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンを無色の油として得た。
MS(ESI):163.2(M+H
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.94(m,4H),5.07(s,2H),4.76(s,4H).
【0134】
3−メチレン−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5.00g,30.8ミリモル)を無水THF(100mL)に溶解させた。ボラン−THF(THF中1.0M,10.3mL)を0℃で加えた。その反応物を室温で5時間撹拌した。アミノスルホン酸(6.97g,61.6ミリモル)を加えた。その反応物を還流に一晩加熱した。その反応物を室温に冷却した後、水酸化ナトリウム水溶液(3.0M,100mL)を加えた。その溶液に酢酸エチル(3 x 100mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機溶液を一緒にしてMgSOで乾燥させた。その溶液に濃縮を真空下で受けさせた後、クロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%から8%のメタノール)による精製で((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−イル)メチル)アミンを無色の油として得た。
MS(ESI):180.1(M+H
H NMR(300MHz,DMSO),δ:6.92(m,4H),4.21(m,2H),4.07(m,2H),3.33(幅広,2H),3.16(d,J=4Hz,1H),2.72(d,J=4Hz,1H),2.30(m,1H).
【0135】
((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−イル)メチル)アミン(2.90g,16.2ミリモル)およびスルファミド(3.11g,32.4ミリモル)を無水ジオキサン(60ml)中で一緒にして還流に一晩加熱した。クロロホルムを加えた後、沈澱物を濾過で除去した。その濾液に濃縮を真空下で受けさせた後、クロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%から8%のアセトン)による精製で表題の化合物をオフホワイトの固体として得た。
258.8(M+H
H NMR(300MHz,DMSO),δ:6.92(m,4H),6.71(幅広,1H),6.59(幅広,2H),4.19(m,2H),4.04(m,2H),3.00(m,2H),2.39(m,1H).
【実施例2】
【0136】
N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号1)
【0137】
【化24】

【0138】
ラセミ型2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチルアミン(4.4g,26ミリモル)およびスルファミド(5.1g,53ミリモル)を1,4ジオキサン(100mL)中で一緒にして2時間還流させた。その反応物を室温に冷却し、濾過で固体を少量取り出した後、廃棄した。その濾液に蒸発を真空下で受けさせた後、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:メタノール−10:1)で精製することで白色の固体を得た。その固体をDCMから再結晶化させることで表題の化合物を白色の固体として得た。
融点:97.5-98.5℃
元素分析:
計算分析値: C,44.25;H,4.95;N,11.47;S,13.13
測定分析値: C,44.28;H,4.66;N,11.21;S,13.15
H NMR(DMSO d6)δ6.85(m,4H),6.68(bd s,3H,NH),4.28(m,2H),3.97(dd,J=6.9,11.4Hz,1H),3.20(m,1H),3.10(m,1H).
【実施例3】
【0139】
(ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−イルメチル)スルファミド(化合物番号2)
【0140】
【化25】

【0141】
カテコール(10.26g,93.2ミリモル),ナトリウムメトキサイド(メタノール中25重量%,40.3g,186ミリモル)およびジクロロ酢酸メチル(13.3g,93.2ミリモル)を無水メタノール(100mL)中で一緒にした。その溶液を還流に一晩加熱した。その反応物を室温に冷却し、濃塩酸を添加して酸性にした後、真空下で体積を約50mLにまで小さくした。水を加えた後の混合物にジエチルエーテル(3 x 100mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機溶液を一緒にしてMgSOで乾燥させ、濃縮して褐色の固体を得た後、クロマトグラフィー(ヘキサン中2%の酢酸エチル)にかけることでベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸メチルエステルを無色の油として得た。
MS(ESI):195.10(M+H).
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.89(幅広,4H),6.29(s,1H),4.34(q,J=7Hz,2H),1.33(t,J=7Hz,3H).
【0142】
ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸メチルエステル(7.21g,40.0ミリモル)に水酸化アンモニウム(水中29%,10mL)およびアセトニトリルを混合物が均一になるに充分な量(〜5mL)で加えた。その溶液を室温で2時間撹拌した後、蒸留水を加えた。ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸アミドが白色の固体として沈澱し、それを濾過で集めた後、さらなる精製無しに用いた。
MS(ESI):160.00(M+H
H NMR(300MHz,DMSO),δ:7.99(s,幅広,1H),7.72(s,幅広,1H),6.94(m,2H)6.86(m,2H),6.30(s,1H).
【0143】
ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸アミド(5.44g,32.9ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF,100mL)に溶解させた。水素化リチウムアルミニウム(LAH,THF中1M,39.5mL,39.5ミリモル)を室温の前記溶液にゆっくり加えた。その反応物を室温で24時間撹拌した。蒸留水を添加することで余分なLAHを分解させた。水酸化ナトリウム水溶液(3.0M,100mL)を加えた後の溶液に酢酸エチル(3 x 100mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機溶液を一緒にして水で洗浄した後、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させることでC−ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−イル−メチルアミンを無色の油として得た。
MS(ESI):152.1(M+H
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.87(m,4H),6.09(t,J=4Hz,1H),3.13(d,J=4Hz,2H)
【0144】
C−ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−イル−メチルアミン(2.94g,19.4ミリモル)およびスルファミド(3.74g,38.9ミリモル)を無水ジオキサン(50mL)中で一緒にした後、その溶液を還流に一晩加熱した。その反応物に濃縮を受けさせた後、その残留物をクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%から10%のアセトン)にかけることで表題の化合物を白色の固体として得た。
MS(ESI):230.0(M+H
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.87(m,4H),6.25(t,J=4Hz,1H),4.79(幅広,1H),4.62(幅広,1H),3.64(d,J=4Hz,2H).
【実施例4】
【0145】
(2S)−(−)−N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号4)
【0146】
【化26】

【0147】
カテコール(13.2g,0.12モル)および炭酸カリウム(16.6g,0.12モル)をDMF(250mL)に入れて撹拌しながらこれに(2R)−グリシジルトシレート(22.8g,0.10モル)を加えた後、その反応物を60℃で24時間撹拌した。その反応物を室温に冷却し、氷水(1L)で希釈した後、ジエチルエーテルで抽出(4回)した。その有機溶液を一緒にして10%の炭酸カリウムで3回,水で1回そして食塩水で1回洗浄した後、真空下で蒸発させることで白色の固体を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:メタノール-50:1)で精製することで((2S)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メタノールを固体として得た。
【0148】
その固体(13.3g,68ミリモル)をピリジン(85mL)に溶解させ、0℃に冷却し、p−トルエンスルホニルクロライド(13.0g,68ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で20時間撹拌した。その反応物をジエチルエーテル(1L)および1N HCl(1.2L)で希釈した。その有機層を分離し、1N HCl(500mL)で2回,水(150mL)で4回そして食塩水で1回洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで白色の固体を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(Hept:EA-2:1)で精製することでトルエン−4−スルホン酸(2S)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステルを白色の固体として得た。
【0149】
その白色の固体とカリウムフタルイミド(14.4g,78ミリモル)をDMF(250mL)中で一緒にして還流に1時間加熱し、室温に冷却し、激しく撹拌している水(1.5L)の中に注ぎ込んだ後、撹拌を30分間実施した。白色の固体を濾過で取り出し、その固体を水で数回,2%NaOH,そして再び水で洗浄した後、空気中に放置して乾燥させることで(2S)−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオンを白色粉末状固体として得た。
【0150】
その粉末状の白色固体とヒドラジン(2.75g,86ミリモル)をEtOH(225mL)中で一緒にして還流に2時間加熱し、室温に冷却し、1N HClを添加してpH1.0にした後、撹拌を15分間実施した。白色の固体を濾過で取り出し、新鮮なEtOHで洗浄し(固体を廃棄)た後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせることで固体を得て、それをジエチルエーテルと希NaOH水溶液の間で分離させた。そのジエチルエーテル溶液を乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで明黄色の油を得た。その油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH-10:1)で精製することで油を得た。その油の一部(4.82g,29ミリモル)を2−プロパノール(250mL)に入れて1N HCl(30mL)で処理し、蒸気浴上で均一になるまで加熱した後、室温になるまで冷却した。3時間後の混合物を氷で2時間冷却した。薄片状の白色固体((2S)−C−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンの相当するHCl塩)を濾過で取り出した後、2−プロパノールを用いて再び再結晶化させることで白色の固体を得た。
[α]=−69.6(c=1.06,EtOH)
【0151】
その白色の固体をDCMと希NaOHの間で分離させ、そのDCMを乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2S)−C−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンを油として得た。
[α]=−57.8(c=1.40,CHCl
【0152】
その油(2.1g,12.7ミリモル)およびスルファミド(2.44g,25.4ミリモル)をジオキサン(75mL)に入れて2時間還流させた後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 10:1)で精製することで白色の固体を得て、それをDCMから再結晶化させることで表題の化合物を結晶性の白色固体として得た。
融点102−103℃
[α]=−45.1°(c=1.05,M);
H NMR(DMSOd6)δ6.86(m,4H),6.81(bd s,3H,NH),4.3(m,2H),3.97(dd,J=6.9,11.4Hz,1H),3.20(dd,J=5.5,13.7Hz,1H),3.10(dd,J=6.9,13.7Hz,1H)
元素分析:
計算分析値: C,44.25;H,4.95;N,11.47;S,13.13
測定分析値: C,44.20;H,4.69;N,11.40;S,13.22.
【実施例5】
【0153】
N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−N’,N’ジメチルスルファミド(化合物番号6)
【0154】
【化27】

【0155】
ラセミ型2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチルアミン(8.25g,5.0ミリモル)およびトリエチルアミン(1.52g,15ミリモル)をDMF(10mL)中で一緒にして氷浴内で冷却しながらこれにジメチルスルファモイルクロライド(1.44g,10ミリモル)を加えた。次に、その反応混合物を継続して冷却しながら3時間撹拌した。その反応混合物を酢酸エチルと水の間で分離させ、その酢酸エチル溶液を食塩水で洗浄し,乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得た。その油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン−1:1)で精製することで白色の固体を得て、それを再結晶化(酢酸エチル/ヘキサン)させることで表題の化合物を綿状の白色固体として得た。
融点76-78℃
MS 273(MH
元素分析:
計算分析値: C,48.52;H,5.92;N,10.29;S,11.78
測定分析値: C,48.63;H,5.62;N,10.20;S,11.90
H NMR(CDCl)δ6.87(m,4H),4.59(bd m,1H,NH),4.35(m,1H),4.27(dd,J=2.3,11.4Hz,1H),4.04(dd,J=7.0,11.4,1H),3.36(m,2H),2.82(s,6H).
【実施例6】
【0156】
N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−N−メチルスルファミド(化合物番号7)
【0157】
【化28】

【0158】
ラセミ型2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチルアミン(825mg,5ミリモル)を蟻酸エチル(15mL)に溶解させ、30分間還流させた後、真空下で蒸発させることでN−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−ホルムアミドを油として得た。
【0159】
その油をジエチルエーテル(25mL)に入れて0℃でTHF中1MのLAH(9.0mL,9.0ミリモル)で処理した後、室温で5時間撹拌した。その反応物を氷浴内で冷却しながら水(0.50mL)に続いて3N NaOH(0.50mL)そして水(0.50mL)で反応を消滅させた。次に、その混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過で除去し、その濾液に真空下の蒸発を受けさせることで残留物を得て、それを1N HClとジエチルエーテルの間で分離させた。その水相を1N NaOHで塩基性にした後、ジエチルエーテルを用いた抽出を実施した。その有機相を乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−メチル−アミンを油として得た。
MS 180(MH
H NMR(CDCl)δ6.85(m,4H),4.30(m,2H),4.02(dd,J=7.9,11.6Hz,1H),2.85(m,2H),2.50(s,3H)
【0160】
その油(380mg,2.1ミリモル)およびスルファミド(820mg,8.5ミリモル)をジオキサン(15mL)中で一緒にして1.5時間還流させた後、真空下で蒸発させることで粗残留物を得た。その残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン 1:1)で精製し、その結果として得た固体を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化させることで表題の化合物を白色の固体として得た。
融点97−98℃
MS 257(M−1
元素分析:
計算分析値: C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41
測定分析値: C,46.48;H,5.65;N,10.90;S,12.07
H NMR(CDCl)δ6.86(m,4H),4.52(bs,2H),4.46(m,1H),4.29(dd,J=2.3,11.5Hz,1H),4.05(dd,J=6.5,11.5Hz,1H),3.51(dd,J=6.7,14.9Hz,1H),3.40(dd,J=5.9,14.9Hz,1H),2.99(s,3H).
【実施例7】
【0161】
(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号8)
【0162】
【化29】

【0163】
前記実施例4に概略を示した手順に従い、4−クロロカテコールを反応させることで(2S)−C−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンと(2S)−C−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンの混合物(RP HPLCで6−クロロ:7−クロロ異性体が約3:1の比率)を得た。
【0164】
その混合物を2−プロパノール(100mL)に溶解させた後、ジエチルエーテル中1NのHClをpH=1.0になるまで加えた。沈澱してきた塩酸塩を濾過で取り出し(2.65g)た後、メタノール/IPAを用いた再結晶化を実施することで白色の結晶を得た。その白色の結晶をDCMと希NaOHの間で分離させた。そのDCMを乾燥させた後、真空下で蒸発させることで精製された(2S)−C−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンを油として得た。
[α]=−67.8(c=1.51,CHCl
【0165】
その油(7.75ミリモル)およびスルファミド(1.50g,15.5ミリモル)をジオキサン(50mL)中で一緒にして2.0時間還流させ、室温に冷却した後、真空下で蒸発させることで固体を得た。生成物をDCM/メタノール(20:1)を用いたフラッシュカラムで精製することで表題の化合物を白色の固体として得た。
MS 277(M−1
[α]=−59.9°(c=1.11,M)
H NMR(CDCl)δ6.90(d,J=2.2Hz,1H),6.81(m,2H),4.76(m,1H),4.55(s,2H),4.40(m,1H),4.29(dd,J=2.4,11.5Hz,1H),4.05(dd,J=7.1,11.5Hz,1H),3.45(m,2H)
元素分析:
計算分析値: C,38.78;H,3.98;N,10.05
測定分析値: C,38.80;H,3.67;N,9.99.
この上で調製した(2S)−C−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンの結晶化塩酸塩の濾液を回収(6−クロロ:7−クロロ異性体が約1:1)した後、真空下で蒸発させることで固体を得て、それをDCM(200mL)と希NaOH(0.5M,50mL)の間で分離させた。そのDCM溶液を食塩水で1回洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それを逆相HPLC[TFAが0.20%の水中10-50%ACN(TFAが0.16%)]で精製することで(2S)−C−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンを残留物として得た。
【0166】
その残留物とスルファミド(0.90g,9.4ミリモル)をジオキサン(25mL)中で一緒にして2.5時間還流させ、室温に冷却した後、真空下で蒸発させることで油を得た。その油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/メタノール-10:1を使用)で精製することで(2S)−(−)−N−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドを白色の固体として得た。
MS 277(M−1
H NMR(CDCl/CDOD)δ6.88(d,J=0.7Hz,1H),6.81(m,2H),4.37(m,1H),4.30(dd,J=2.3,11.6Hz,1H),4.04(dd,J=7.0,11.6Hz,1H),3.38(m,2H).
【実施例8】
【0167】
クロマン−2−イルメチルスルファミド(化合物番号10)
【0168】
【化30】

【0169】
クロマン−2−カルボン酸(4.5g,25ミリモル)およびHOBT(3.86g,25ミリモル)をDCM(40mL)とDMF(10mL)中で一緒にした。ジメチルアミノプロピルエチルカルボジイミド(EDC,4.84g,25ミリモル)を室温で加えた後の反応混合物を30分間撹拌した。水酸化アンモニウム(2.26mL,33.4ミリモル)を加えた後の反応混合物を16時間撹拌した。その反応混合物をDCM(50mL)および水(50mL)で希釈した後、その混合物のpHを1N HClで約pH=3.0に調整した。そのDCMを分離した後、その水相にDCMを用いた抽出を2回受けさせた。そのDCM相を一緒にして乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することで油を得た。
【0170】
その油(5.35g,30ミリモル)をTHF(90mL)に入れて撹拌しながらこれにTHF中1MのLAH(36mL,36ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で20時間撹拌した。水で反応を消滅させ、撹拌を2時間実施し、その溶液を傾斜法で取り出し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることでC−クロマン−2−イル−メチルアミンを油状アミンとして得た。
【0171】
その油状アミン(1.63g,10ミリモル)およびスルファミド(1.92g,20ミリモル)をジオキサン(50mL)中で一緒にして2時間かけて還流にした。その溶液を冷却した後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをカラムクロマトグラフィー(DCM:メタノール 10:1)で精製することで白色の固体を得た。その固体を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化させることでクロマン−2−イルメチルスルファミドを白色の固体として得た。
融点100−101℃
MS 241(M−1
元素分析:
計算分析値: C,49.57;H,5.82;N,11.56;S,13.23
測定分析値: C,49.57;H,5.80;N,11.75;S,13.33.
【実施例9】
【0172】
2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−エチルスルファミド(化合物番号16)
【0173】
【化31】

【0174】
シアン化カリウム(2.05g,31.5ミリモル)をDMSO(90mL)に入れておいた2−ブロモメチル−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン)(6.87g,30ミリモル)に加えた後、周囲温度で20時間撹拌した。次に、その反応混合物を水(250mL)で希釈した後、ジエチルエーテルを用いた抽出を2回実施した。そのジエチルエーテルを水で洗浄した後、食塩水で2回洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで2−シアノメチル−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン)を白色の固体として得た。
H NMR(CDCl)δ6.89(m,4H),4.50(m,1H),4.31(dd,J=2.3,11.5Hz,1H),4.08(dd,J=6.2,11.6Hz,1H),2.78(d,J=6.1,Hz,2H)
【0175】
その2−シアノメチル−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン)をTHF(50mL)に溶解させ、THF中1MのBH(80mL,80ミリモル)を加え、その反応混合物を5時間還流させた後、周囲温度で16時間撹拌した。氷浴で冷却しながら2N HClをpH=1.0になるまで加えた。次に、その反応混合物を室温で1時間撹拌した後、真空下で蒸発させることで油を得た。その油を3N NaOHとジエチルエーテルの間で分離させ、そのジエチルエーテル溶液を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで粗2−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)エチルアミンを得た。
MS(M+H) 180.
【0176】
その粗2−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)エチルアミンをジオキサン(100mL)に入れてスルファミド(3.0g,31ミリモル)と一緒にした後、還流に2時間加熱した。その溶液を冷却した後、真空下で蒸発させることでオレンジ色の固体を得て、それをカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH−10:1)で精製することで白色の固体を得た。その固体をDCMから再結晶化させることで表題の化合物を固体として得た。
MS(M−1)257
融点101-103℃(corr)
H NMR(CDCl):δ6.86(m,4H),4.70(m,1H),4.52(s,2H),4.30(m,2H),3.94(dd,J=7.4,11.3Hz,1H),3.43(dd,J=6.4,12.9Hz,2H),1.94(dd,J=6.5,12.9,2H).
元素分析:
測定値: C,46.48;H,5.60;N,10.81;S,12.41
計算値: C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41
【実施例10】
【0177】
(2S)−(−)−N−(6,7ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号29)
【0178】
【化32】

【0179】
4,5ジクロロアテコール(8.6g,48ミリモル)および炭酸カリウム(6.64g,48ミリモル)をDMF(200mL)に入れて撹拌した。(2R)−グリシジルトシレート(9.12g,40ミリモル)を加えた後の反応混合物を60℃で24時間撹拌した。その反応混合物を室温に冷却した後、氷水(600mL)で希釈し、そしてジエチルエーテルを用いた抽出(4回)を実施した。その有機溶液を一緒にして10%の炭酸カリウムで3回、食塩水で2回洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2S)−2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン)メタノールの粘性のある油を得た。
【0180】
その(2S)−2−(6,7ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン)メタノール油(6.4g,27ミリモル)をピリジン(50mL)に溶解させて0℃に冷却した。次に、p−トルエンスルホニルクロライド(5.2g,27ミリモル)を加えた後の反応混合物を室温で20時間撹拌した。その反応混合物をジエチルエーテルおよび1N HCl(750mL)で希釈し、その有機層を分離し、1N HCl(250mL)で2回、水(150mL)で1回、食塩水で2回洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることでトルエン−4−スルホン酸(2S)−6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステルの明黄色固体を得た。
H NMR(CDCl3):δ7.79(d,J=8.3Hz,2H),7.36(d,J=8.0Hz,2H),6.94(s,1H),6.83(s,1H),4.37(m,1H),4.2(m,3H),4.03(dd,J=6.3,11.7Hz,1H),2.47(s,3H).
【0181】
トルエン−4−スルホン酸(2S)−6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステル(8.0g,20.5ミリモル)とカリウムフタルイミド(6.1g,33ミリモル)をDMF(75mL)中で一緒にして還流に1時間加熱し、室温に冷却し、激しく撹拌している水(0.5L)の中に注ぎ込んだ後、撹拌を30分間実施した。白色の固体を濾過で取り出し、その固体を水で数回、2%NaOHそして再び水で洗浄した後、空気中で乾燥させることで(2S)−2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオン(6.0g,80%)を白色粉末状固体として得た。
【0182】
その白色粉末状固体とヒドラジン(1.06g,33ミリモル)をEtOH(80mL)中で一緒にして還流に2時間加熱した後、室温に冷却した。1N HClを加えて反応混合物のpHをpH1.0に調整した後、その反応混合物を15分間撹拌した。白色の固体を濾過で取り出し、新鮮なEtOHで洗浄し(固体を廃棄)た後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせることで固体を得て、それをジエチルエーテルと希NaOH水溶液の間で分離させた。そのジエチルエーテル溶液を乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2S)−2−アミノメチル−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン)の粘性のある油を得た。
H NMR(CDCl3):δ6.98(s,1H),6.96(s,1H),4.25(dd,J=2.0,11.2Hz,1H),4.15(m,1H),4.0(m,1H),2.97(d,J=5.5Hz,2H)
【0183】
その油の一部(3.8g,16ミリモル)とスルファミド(3.1g,32.4ミリモル)をジオキサン(100mL)に入れて2時間還流させた後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 20:1)で精製することで表題の化合物を白色の固体として得て、それを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化させることで表題の化合物を結晶性の白色固体として得た。
MS[M−H]−311.0
融点119−121℃
[α]=−53.4°(c=1.17,M)
H NMR(DMSOd6):δ7.22(s,1H),7.20(s,1H),6.91(bd s,1H),6.68(bd s,2H),4.35(m,2H),4.05(dd,J=6.5,11.5Hz,1H),3.15(m,2H)
元素分析:
元素分析:
測定値: C,34.52;H,3.22;N,8.95;Cl,22.64;S,10.24
計算値: C,34.64;H,2.68;N,8.87;Cl,22.94;S,10.35.
【実施例11】
【0184】
(2S)−(−)−N−(7−アミノ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号36)
【0185】
【化33】

【0186】
(2S)−(−)−N−(2,3−ジヒドロ−7−ニトロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(1.2g,4.15ミリモル)の調製を4−ニトロカテコールを用いて実施例4に概略を示した方法に従って実施した。次に、その(2S)−(−)−N−(2,3−ジヒドロ−7−ニトロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドと10%Pd/Cをメタノール(120mL)中で一緒にした後、水素雰囲気(39psi)下室温で3時間振とうした。固体を濾過で取り出し、DCM中10%のMで洗浄した後、その濾液に真空下の蒸発を受けさせることで粗生成物を得た。その粗生成物を0.2N HCl(25mL)に溶解させた後、凍結乾燥させることで表題の化合物を相当する塩酸塩として薄片状の白色固体として得た。
MS(M+H) 260
H NMR(DMSO d6):δ10.2(bd s,3H),6.86(m,1H),6.85(s,1H),6.74(dd,J=2.5,8.4Hz,1H),4.22(m,2H),3.88(dd,J=6.7,11.4Hz,1H),3.04(m,2H)
【実施例12】
【0187】
(2S)−(−)−N−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号19)
【0188】
【化34】

【0189】
表題の化合物の調製を前記実施例4に記述した手順に従うが4−メチルカテコールを用いて出発することで白色の固体を得て、それを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化させることで表題の化合物を白色の固体として得た。
MS[M−H]−257
H NMR(CDCl3):δ6.76(m,1H),6.66(m,2H),4.80(m,1H),4.57(bd s,1H),4.40(m,1H),4.28(m,1H),4.03(dd,J=6.9,11.4Hz,1H),3.45(m,2H),2.25(s,3H).
元素分析
計算値: C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41
測定値: C,46.65;H,5.60;N,10.84;S,12.61.
【実施例13】
【0190】
糖尿病db/dbマウスのインビボ検定
Db/dbマウスは2型糖尿病にかかり易いことが本技術分野で知られている(Sharma K,McCue P,Dunn SR.Am J Physiol Renal Physiol.2003年6月;284(6):F1138−44)。また、Db/dbは有用な脂質異常症用モデルであることも本技術分野で知られている。
【0191】
8週齢のメスdb/dbマウス(C57BL/6J−Lepdb/db,Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME,USA)を受け取って、単一のケージに入れた後、標準的餌を与えた。尾に穴を開けて血液を採取しそしてグルコメーター(glucometer)(OneTouch Basic,Lifescan,Newtown,PA)を用いてグルコースを監視した。
【0192】
10週齢のマウスを無作為に血糖値(1番目の判断基準,平均で250mg/dl)および体重(2番目の判断基準、平均で37グラム)を基準にして処置グループに分けた。これらのマウスに媒体対照(0.5%のメチルセルロース,pH7.4)および試験化合物を含有(A300mg/kg)させた媒体を日に1回強制経口投与した(1500−1700時の時に0.2ml)。11日目の明サイクル中にマウスを4時間絶食状態にし(餌を0600−1000時の時に取り除き)、そして1000時の時に尾に穴を開けることを通して血糖値をグルコメーターで測定した。次に、これらのマウスにナトリウムペントバルビタール(1ml/kg,i.p,Sleepaway,Fort Dodge,Iowa)を用いて麻酔をかけた後、心臓に穴を開けて血液を採取し、そしてヘパリンで処理しておいた管の中に集めた。
【0193】
白色脂肪組織(WAT)(後腹膜脂肪)および骨格筋(腓腹筋およびヒラメ筋)を切除して重量を測定した。2,000gの遠心分離を4℃で15分間実施することで血漿サンプルを得た後、それにインスリン,HDLコレステロールおよびトリグリセリドの測定を受けさせた。
【0194】
以下に示すデータを1処置グループ当たり9−10匹のマウスを用いて計算した平均および標準誤差として表す。両側スチューデントt−検定を統計学的分析で用いた。あらゆる動物試験をInstitutional Animal Care and Use Committee.の指針に従わせた。
【0195】
化合物番号8に上述した手順に従う評価を受けさせた。実験の5日前のメスdb/dbマウスの血糖値は255±15mg/dlであった。実験終了時の媒体対照マウスの血糖値は166%(420±22mg/dl)上昇していた。化合物番号8で処置するとdb/dbマウスの血糖値が媒体処置マウスに比べて有意に低くなった。化合物番号8で処置した動物のインスリン濃度を媒体処置動物と対比させた結果は統計学的に差がなかった。
【0196】
化合物番号8で処置したマウスが示した骨格筋質量の方が媒体処置マウスのそれよりも高かった。加うるに、化合物番号8で処置した動物が示した脂肪質量減少度も有意ではなかった。化合物番号8のマウスは、また、脂肪質量対無脂肪質量比(fat to lean mass ratio)の有意な低下も示した(媒体:27.9±1.4と対比して化合物番号8:23.4±0.9,p<0.01)。
【0197】
加うるに、化合物番号 8で処置したdb/dbマウスが示した血漿HDLコレステロール値の方が媒体処置マウスのそれよりも高い一方で、化合物番号8で処置したdb/dbマウスが示した血中トリグリセリド濃度の方が媒体処置マウスのそれよりも低かった。
【0198】
媒体処置および化合物番号8処置マウスの測定血糖値、後腹膜脂肪、骨格筋質量、トリグリセリドおよびHDLコレステロールに関するデータの要約は以下の表4に示す如くである。
【0199】
【表4】

【0200】
このように、前記データは、化合物番号8は(a)血糖値の低下,(b)トリグリセリドの低下および(c)HDLコレステロール値の上昇に有効であることを示している。加うるに、化合物番号8で処置した動物の筋肉質量の方が媒体で処置した動物のそれよりも多く、このことは、化合物番号8が筋肉質量を保存する、即ち糖尿病性悪液質を防止する可能性があることを示唆している。
【実施例14】
【0201】
メスdb/dbマウス検定
手に持つホモジナイザーを用いて化合物番号8を0.5%のMethocelに入れて懸濁させることで粒径を小さくしそして磁気撹拌子と撹拌板を用いて前記粒子が投与期間全体に渡って均一に懸濁したままであるようにした。0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel)を媒体/対照として用いた。化合物番号8にマウスおよびラット両方の糖尿病モデルを用いた試験を受けさせた。
【0202】
高血糖症にかかっているメス糖尿病db/dbマウス(血糖値が平均で250mg/dL)をグルコース低下効果試験で用いた。db/dbマウスの平均体重は37グラムであった。Db/dbマウスは2型糖尿病にかかり易い。8週齢のメスdb/dbマウス(C57BL/6J−Lepdb/db,Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME,USA)をグループに分けて1ケージ当たり2匹ずつケージに入れ標準的餌(Laboratory齧歯類用餌5001)を与えた。あらゆるマウスを1週間に渡って隔離した後、動物処置室に移した。尾に穴を開けて血液を1滴(約2ミクロリットル)集めた後、血糖値をグルコメーター(OneTouch UltraSmart,Lifescan,Milpitas,CA)で検出した。10週齢のマウスを無作為に血糖値(1番目の判断基準,平均で250mg/dl)および体重(2番目の判断基準、平均で37グラム)を基準にして3処置グループに分けた。薬剤処置を実施する前に動物を1匹ずつ分けてケージに少なくとも3日間入れることで新しい環境に慣れさせた。
【0203】
このマウス検定を下記の2つの部分で構成させた:検定Aの1番目の単一投与部分では、負対照として用いる10匹のマウスに媒体(0.5%のMethocel)を与え、10匹のマウスを媒体中300mg/kgの化合物番号8JNJ−26489112で処置し、そして正対照として用いる10匹のマウスには媒体中20mg/kgのロシグリタゾン(rosiglitazone)(グルコースを低下させるインスリン抵抗性改善薬)を用いた処置を受けさせた。検定Aの2番目の用量反応部分では、48匹のマウスを各々が12匹のマウスから成る4処置グループに分けた。次に、その4グループに0.5%のMethocel(媒体),媒体中10mg/kgの化合物番号8,30mg/kgの化合物番号8および100mg/kgの化合物番号8を用いた処置を受けさせた。
【0204】
これらのマウスに媒体対照(0.5%のmethocel,pH7.4)または化合物番号8を入れた媒体を10日間に渡って日に1回(1500-1700時の時)強制経口投与した。投与体積を体重1kg当たり5mL(40グラムのマウスの場合には0.2mL)にした。これらのマウスに餌を試験全体に渡って随意与えた。最後に投与してから18時間後に解剖を実施した。
【0205】
1000時の時に尾に穴を開けることで集めた血液を用いて血糖値をグルコメーターで測定した。これらのマウスをナトリウムペントバルビタール(1ml/kg,腹腔内[i.p.]注入,SleepAway,Fort Dodge,Iowa)で麻酔をかけ、心臓に穴を開けて1mLのシリンジを用いて血液を取り出した後、ヘパリンで処理しておいた管の中に集めた。白色脂肪組織(WAT)(後腹膜および鼠径部の脂肪体),褐色脂肪組織(BAT)および骨格筋(腓腹筋およびヒラメ筋)および胃の内容物を切除して重量を測定した。全血を2000〜3000gの遠心分離に4℃で10〜20分間かけることで血漿サンプルを得た後、インスリン,HDL,LDL,総コレステロールおよびトリグリセリドのさらなる測定を行う目的で-20℃で貯蔵した。
【0206】
適切なラット/マウスインスリン酵素結合免疫吸着検定(ELISA)キット(EZRMI−13K,LINCO Research,St.Charles,Missouri)を用いて両方の検定における血漿中インスリン濃度を測定した。血液サンプルをELISAキットに入っているマウス血清(炭を用いたストリッピングを受けさせておいた)で1:4に希釈した。この手順の残りは製造業者の指示に従った。全蛍光度をOrion 1 Microplate Luminometer(Berthold Detection Systems,Pforzheim,Germany)で検出した。
【0207】
血漿中総コレステロール,高密度リポ蛋白(HDL),低密度リポ蛋白(LDL)およびトリグリセリド濃度の測定をBayer ADVIA 1650血液化学分析装置(Bayer HealthCare LLC,Diagnostic Division,Tarrytown,NY)を用いて実施した。製造業者のプロトコルに従うコレステロール測定はコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ変換に続くTrinder終点を用いた酵素方法であり、消去/カタラーゼ方法をHDL測定で用い、Trinder終点を用いた酵素方法をトリグリセリド測定で用いた。
【0208】
この検定の両方の部分(単一用量および用量反応)で得たデータを標準的両側スチューデントt検定で分析して、平均および標準誤差として以下に示す。
【0209】
検定Aの単一用量部分において、投与前のdb/dbマウスが示した平均血糖値は255±15mg/dLであった。以下の表5に示すように、実験終了時に媒体処置マウスが示した血糖値は166%(420±22mg/dL)上昇していた。化合物番号8を300mg/kg用いて処置したマウスでは血糖値が媒体処置マウスに比べて50%低下した。このような効果はロシグリタゾンを用いた処置で観察したそれと同様であった。薬剤で処置したマウスおよび媒体で処置したマウスの間では実測インスリン濃度に変化がなかった。
【0210】
【表5】

【0211】
検定Aの用量反応部分では、以下の表6に示すように、化合物番号8を10,30または100mg/kg用いた処置を実施しても血糖値には影響がなかった。それとは対照的に、化合物番号8を100mg/kg用いた処置を受けさせたマウスにおける高インスリン血症の度合は媒体処置マウスのそれに比べて63.5%低下した。
【0212】
【表6】

【0213】
検定Aの単一用量部分では、媒体対照db/dbマウスが脂質異常症を示して、循環しているトリグリセリド濃度が高くかつHDLが低く、その結果として、HDLに対するトリグリセリドの比率が高かった。以下の表7に示すように、化合物番号8を300mg/kg投与すると媒体処置マウスに比べて血漿中トリグリセリドが39.4%低下しかつHDLが22.8%高くなった。従って、HDLに対するトリグリセリドの比率が50.2%低くなり、このことは脂質プロファイルが改善したことを反映している。このような結果はロシグリタゾンを用いた処置で観察した効果と同様であった。化合物番号8で処置したdb/dbマウスにもロシグリタゾンで処置したマウスにも媒体で処置したマウスにもLDL値に全く変化が観察されなかった。
【0214】
【表7】

【0215】
検定Aの用量反応部分では、マウスを10,30,および100mg/kgの化合物番号8で処置した。化合物番号8を100mg/kg用いた処置を受けさせたマウスは以下の表8に示すようにHDLに対するトリグリセリドの比率の有意な低下を示した。化合物番号8で処置したマウスおよびロシグリタゾンで処置したマウスの両方とも総コレステロール濃度が媒体処置マウスのそれに比べて高くなった(高くなった度合はそれぞれ18.7%および35.1%)。
【0216】
【表8】

【0217】
検定Aの両方の部分とも、食物摂取を9日間に渡って3日毎に監視した。1番目の検定では、表9に示すように、化合物番号8を300mg/kg投与したマウスは媒体処置マウスに比べて有意な食物摂取低下を示したが、ロシグリタゾンを用いた処置を実施すると食物摂取量が増えた。化合物番号8を300mg/kg用いた処置を受けさせたマウスでは、そのように食物摂取量が低下したにも拘らず体重は影響を受けなかった。ロシグリタゾンで処置したマウスは媒体処置マウス(体重上昇:0.3±0.2g)に比べて体重上昇(体重上昇3.1±0.4g,p<0.05)を示した。実験終了時の胃の内容物の重量は、化合物番号8を300mg/kg用いて処置したマウスの方が媒体で処置したマウスよりも2倍多かった。
【0218】
【表9】

【0219】
以下の表10に示すように、化合物番号8を300mg/kg用いて処置したdb/dbマウスの骨格筋質量および褐色脂肪組織重量の方が媒体処置マウスのそれらよりも多かった。加うるに、化合物番号8で処置したマウスでは筋肉に対する白色脂肪組織の比率も有意に低かったが、鼠径部脂肪および後腹膜脂肪体重量に関しては前記グループの間に全く差が見られなかった。
【0220】
【表10】

【0221】
検定Aの用量反応部分では、以下の表11に示すように、化合物番号8を10mg/kg,30mg/kgおよび100mg/kg用いて処置すると媒体処置マウスに比べて褐色脂肪組織の重量が多くなった。化合物番号8を100mg/kgの量で与えたマウスでは胃の内容物が増加することを観察(薬剤処置:0.51±0.04gと対比して対照:0.35±0.03g,p<0.05)したが、用量がより低い時には観察されなかった。前記グループのいずれにおいても食物摂取と体重には差が全く観察されなかった。以下の表11に示す脂肪/筋肉比は、鼠径部脂肪と後腹膜脂肪の総重量/筋肉の重量として計算した比率である。
【0222】
【表11】

【実施例15】
【0223】
Zucker糖尿病脂肪ラット検定
手に持つホモジナイザーを用いて化合物番号8を0.5%のMethocelに入れて懸濁させることで粒径を小さくしそして磁気撹拌子と撹拌板を用いて前記粒子が投与期間全体に渡って均一に懸濁したままであるようにした。0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel)を媒体/対照として用いた。化合物番号8にマウスおよびラット両方の糖尿病モデルを用いた試験を受けさせた。
【0224】
この検定では、メスZucker糖尿病脂肪(ZDF Gmi−fa/fa)ラットをグルコース低下効果および経口的ブドウ糖負荷試験(OGTT)検定の目的で選択した。7週齢のZDFラット(Charles River Laboratories,Wilmington,MAから入手)を個別のケージに入れてC13004餌(Research Diets,New Brunswick,NJから入手)を与えた。動物処置室に移す前にあらゆるラットを1週間隔離した。尾に穴を開けて血液を1滴(約2ミクロリットル)集めた後、血糖値をグルコメーター(OneTouch UltraSmart,Lifescan,Milpitas,CA)で検出した。
【0225】
8週齢のZDFラットを無作為に血糖値(1番目の判断基準,平均で150mg/dl)および体重(2番目の判断基準、平均で240g)を基準にして4処置グループに分けた。32匹のラットを各々が8匹ずつの4処置グループに分けた。次に、その4グループのそれぞれに0.5%のMethocel(媒体),媒体中10mg/kgの化合物番号8,30mg/kgの化合物番号8および100mg/kgの化合物番号8を用いた処置を受けさせた。
【0226】
これらのラットに媒体対照(0.5%のmethocel,pH7.4)または化合物番号8を入れた媒体を7日間に渡って日に1回(1500-1700時の時)強制経口投与した。投与体積を体重1kg当たり5mL(250グラムのラットの場合には0.2mL)にした。これらのラットに餌を試験全体に渡って随意与えた。
【0227】
処置後の基底血糖値の測定を4日目および6日目に2時間絶食後のラットの尾に穴を開けて血液を2ミクロリットル集めた後にグルコメーター(OneTouch UltraSmart,Lifescan,Milpitas,CA)を用いて実施した。経口的ブドウ糖負荷試験(OGTT)を7日目に4時間絶食後のラットに対して実施した。基底血糖値測定を実施(0分)した直後に化合物番号8または媒体を投与してから2時間後、ラットに50%のグルコース溶液を2g/kgの量で強制投与した。次に、30,60,90および120分の時に尾に穴を開けることを通して血糖値を測定した。
【0228】
8日目にラットをナトリウムペントバルビタール(1ml/kg,腹腔内[i.p.]注入,SleepAway,Fort Dodge,Iowa)で麻酔をかけ、心臓に穴を開けて3mLのシリンジを用いて血液を取り出した後、ヘパリンで処理しておいた管の中に集めた。全血を2000〜3000gの遠心分離に4℃で10〜20分間かけることで血漿サンプルを得た後、インスリン,HDL,総コレステロールおよびトリグリセリドのさらなる測定を行う目的で-20℃で貯蔵した。
【0229】
適切なラット/マウスインスリン酵素結合免疫吸着検定(ELISA)キット(EZRMI−13K,LINCO Research,St.Charles,Missouri)を用いて両方の検定における血漿中インスリン濃度を測定した。血液サンプルをELISAキットに入っているマウス血清(炭を用いたストリッピングを受けさせておいた)で1:4に希釈した。この手順の残りは製造業者の指示に従った。全蛍光度をOrion 1 Microplate Luminometer(Berthold Detection Systems,Pforzheim,Germany)で検出した。
【0230】
血漿中総コレステロール,高密度リポ蛋白(HDL),低密度リポ蛋白(LDL)およびトリグリセリド濃度の測定をBayer ADVIA 1650血液化学分析装置(Bayer HealthCare LLC,Diagnostic Division,Tarrytown,NY)を用いて実施した。製造業者のプロトコルに従うコレステロール測定はコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ変換に続くTrinder終点を用いた酵素方法であり、消去/カタラーゼ方法をHDL測定で用い、Trinder終点を用いた酵素方法をトリグリセリド測定で用いた。
【0231】
この検定で得たデータを標準的両側スチューデントt検定で分析して、平均および標準誤差として以下に示す。
【0232】
Zucker糖尿病ラットを用いた検定Bでは、表12に示すように、化合物番号8を1日当たり30mgまたは100mg/kg用いた処置を実施すると4日目および6日目に用量および時間に依存したグルコース低下効果がもたらされた。
【0233】
【表12】

【0234】
表13に示すように、OGTTを7日目に実施した時、化合物番号8で処置したラットではグルコースおよびインスリンのプロファイルが用量に依存する様式で改善することが分かった。グルコースチャレンジ後、媒体対照ラットでは高血糖値が60分間に渡って持続したままであったが、化合物番号8を100mg/kg用いて処置したラットでは血糖値が低くなって、30分経過した時にピークになった。また、血糖値曲線下の面積の分析値(AUC)も化合物番号8を30mg/kgおよび100mg/kgの用量で処置したZDFラットの方が媒体処置グループのそれよりも有意に低かった。
【0235】
【表13】

【0236】
表14に示すように、化合物番号8を100mg/kg用いて処置すると8日目に血漿中インスリンが32%低下しかつトリグリセリド値も有意に低下した。HDLに対するトリグリセリドの比率は59%低下した。このような結果は、化合物番号8を用いた処置を受けさせたdb/dbマウスで観察した効果と一致していたが、ZDFラットにおける有効用量の方がdb/dbマウスにおける用量の2/3低かった。Zuckerラット検定ではいずれのグループにも食物摂取量低下に関する低下も減量に関する低下も全く観察されなかった。
【0237】
【表14】

【実施例16】
【0238】
Zucker糖尿病脂肪ラット検定
手に持つホモジナイザーを用いて化合物番号8を0.5%のMethocelに入れて懸濁させることで粒径を小さくしそして磁気撹拌子と撹拌板を用いて前記粒子が投与期間全体に渡って均一に懸濁したままであるようにした。0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel)を媒体/対照として用いた。化合物番号8にマウスおよびラット両方の糖尿病モデルを用いた試験を受けさせた。
【0239】
この検定では、メスZucker糖尿病脂肪(ZDF Gmi−fa/fa)ラットをグルコース低下効果の目的で選択した。7週齢のZDFラット(Charles River Laboratories,Wilmington,MAから入手)を個別のケージに入れてC13004餌(Research Diets,New Brunswick,NJから入手)を与えた。動物処置室に移す前にあらゆるラットを1週間に渡って隔離した。尾に穴を開けて血液を1滴(約2ミクロリットル)集めた後、血糖値をグルコメーター(OneTouch UltraSmart,Lifescan,Milpitas,CA)で検出した。
【0240】
8週齢のZDFラットを無作為に血糖値(1番目の判断基準,平均で150mg/dl)および体重(2番目の判断基準、平均で240g)を基準にして4処置グループに分けた。13匹のラットを化合物番号8処置グループの各々が3匹で非処置グループが4匹の4処置グループに分けた。次に、その3グループのそれぞれに0.5メチルセルロース中10mg/kgの化合物番号8,30mg/kgの化合物番号8および100mg/kgの化合物番号8を用いた処置を受けさせた。
【0241】
これらのラットに媒体対照(0.5%のmethocel,pH7.4)または化合物番号8を入れた媒体を7日間に渡って日に1回(1500-1700時の時)強制経口投与した。投与体積を体重1kg当たり5mL(250グラムのラットの場合には0.2mL)にした。これらのラットに餌を試験全体に渡って随意与えた。その後、これらのラットを29日間のウォッシュアウト期間(全く投与を実施しない)に入らせた。
【0242】
処置後の基底血糖値の測定を0日目(ベースライン)および36日目(7日間の投与および29日間のウォッシュアウト後)にラットに餌を随意に与えながら尾に穴を開けて血液を2ミクロリットル集めた後にグルコメーター(OneTouch UltraSmart,Lifescan,Milpitas,CA)を用いて実施した。
【0243】
この検定で得たデータを標準的両側スチューデントt検定で分析して、平均および標準誤差として以下に示すことに加えて結果を以下の表15に示す。化合物番号8を30および100mg/kg用いた処置を実施すると29日間のウォッシュアウト期間後でさえ血糖値が統計学的に有意(p<0.01)に低下することが分かった。
【0244】
【表15】

【実施例17】
【0245】
経口用組成物の具体的態様として、実施例7に示したようにして調製した化合物番号8を100mg用いて、これをサイズOのハードゲルカプセルを満たす総量である580から590mgになるに充分な量の微細ラクトースと一緒に配合する。
【0246】
この上に示した明細に説明の目的で与えた実施例を伴わせて本発明の原理を教示してきたが、本発明の実施は本請求項およびこれらの相当物の範囲内に入る如き通常の変形、応用形および/または修飾形の全部を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース関連疾患を治療する方法であって、それを必要としている被験体に式(I)
【化1】

[式中、
およびRは、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され;
は、水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aは、1から2の整数であり;
【化2】

から成る群から選択され、ここで、
bは0から4の整数であり;そしてcは0から2の整数であり;
各Rは、独立して、ハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【化3】

の時にはaが1であることを条件とする]
で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項2】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され;
が水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化4】

から成る群から選択され、ここで、
bが0から2の整数であり;そしてcが0から1の整数であり;
各Rが独立してハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【化5】

の時にはaが1であることを条件とする;
請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され;
が水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化6】

から成る群から選択され、ここで、
bが0から2の整数であり;そしてcが0であり;
各Rが独立してハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【化7】

の時にはaが1であることを条件とする;
請求項2記載の方法。
【請求項4】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され;
が水素およびメチルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化8】

が2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(クロマニル),2−(5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(8−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(2,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−b][1,4]ジオキシニル)および2−(4−メチル−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)から成る群から選択されるが、但し
【化9】

が2−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル)の時にはaが1であることを条件とする;
請求項3記載の方法。
【請求項5】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素およびメチルから成る群から選択され;
が水素およびメチルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化10】

が2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群から選択される;
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)で表される化合物を(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドおよびこれの製薬学的に受け入れられる塩から成る群から選択する請求項1記載の方法。
【請求項7】
グルコース関連疾患を治療する方法であって、それを必要としている被験体に(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドおよびこれの製薬学的に受け入れられる塩から成る群から選択した化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項8】
前記グルコース関連疾患が高血糖値および2型糖尿病から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記グルコース関連疾患が高血糖値および2型糖尿病から成る群から選択される請求項8記載の方法。
【請求項10】
グルコース関連疾患を治療する方法であって、それを必要としている被験体に式(II)
【化11】

で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項11】
脂質関連疾患を治療する方法であって、それを必要としている被験体に式(I)
【化12】

[式中、
およびRは、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され;
は、水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aは、1から2の整数であり;
【化13】

から成る群から選択され、ここで、
bは0から4の整数であり;そしてcは0から2の整数であり;
各Rは、独立して、ハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【化14】

の時にはaが1であることを条件とする]
で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項12】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され;
が水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化15】

から成る群から選択され、ここで、
bが0から2の整数であり;そしてcが0から1の整数であり;
各Rが独立してハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【化16】

の時にはaが1であることを条件とする;
請求項11記載の方法。
【請求項13】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され;
が水素および低級アルキルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化17】

から成る群から選択され、ここで、
bが0から2の整数であり;そしてcが0であり;
各Rが独立してハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが;但し
【化18】

の時にはaが1であることを条件とする;
請求項12記載の方法。
【請求項14】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され;
が水素およびメチルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化19】

が2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(クロマニル),2−(5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(8−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(2,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−b][1,4]ジオキシニル)および2−(4−メチル−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)から成る群から選択されるが、但し
【化20】

が2−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル)の時にはaが1であることを条件とする;
請求項13記載の方法。
【請求項15】
式(I)で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩において、
およびRが各々独立して水素およびメチルから成る群から選択され;
が水素およびメチルから成る群から選択され;
aが1から2の整数であり;
【化21】

が2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル),2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(6,7−ジクロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群から選択される;
請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記式(I)で表される化合物を(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドおよびこれの製薬学的に受け入れられる塩から成る群から選択する請求項11記載の方法。
【請求項17】
脂質関連疾患を治療する方法であって、それを必要としている被験体に(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドおよびこれの製薬学的に受け入れられる塩から成る群から選択した化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項18】
前記脂質関連疾患が高トリグリセリド値および低HDLコレステロール値から成る群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記脂質関連疾患が高トリグリセリド値および低HDLコレステロール値から成る群から選択される請求項17記載の方法。
【請求項20】
脂質関連疾患を治療する方法であって、それを必要としている被験体に式(II)
【化22】

で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。

【公表番号】特表2009−520032(P2009−520032A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547453(P2008−547453)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048477
【国際公開番号】WO2007/092086
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】