説明

脈圧測定装置及び脈圧測定方法

【課題】被験者が自由行動下で常時脈圧測定する場合に、カフ型血圧計を使わず簡易に測定できる常時装着可能な脈圧測定装置。
【解決手段】超音波を用いた血管径センサー12によって、生体内部の血管壁の反射到達時間から血管径が測定できる。また、高さ決定部36によって、心臓の位置と所定の位置の2点間の高低差を決定することで、水頭圧を求めることができる。水頭圧を血管径に換算することによって、血管径及び血圧が略線形変化するとみなせるので、血管径の時間変化を測定することで血圧の時間変化に相関した値を得ることができ、カフ型血圧計を使用せずに精度良く脈圧測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈圧測定装置及び脈圧測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動脈硬化の進行度を観察する指標として脈圧値が用いられる。脈圧値は心臓の収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)との差から求められる。今日、血圧測定には超音波を用いる方法が提案されており、例えば動脈の局所部位において、最大直径及び最小直径を求め、それらのパラメーター値を非線形関数に与えることで、入力される各時刻の直径を換算し、局所部位についての各時刻の血圧値を演算するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−041382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあるように従来の超音波を用いた血圧値の算出にはカフ型血圧計による校正が必要となる。これは24時間自由行動下における血圧測定(24hABPM)や一拍ごとの連続血圧測定を考えた場合、カフを常時身に付けたり、持ち歩いて適時加圧するといった不便さがあり、普段の生活を送る上で実用が困難になる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]被験者の生体表面から生体内部に向けて超音波を送出し、送出した該超音波が前記生体内部の血管周面から反射するとともに前記超音波の反射波を都度、取得して、血管上側面からの該反射波と血管下側面からの該反射波との到達時間差を計測する血管径センサーと、前記血管径センサーが前記被験者の心臓の高さに位置する第1位置と、前記血管径センサーが前記被験者の心臓の位置から鉛直方向に離れて位置する第2位置との高低差を決定する高さ決定部と、制御部と、を備えた脈圧測定装置であって、前記制御部は、前記血管径センサーによって計測する前記反射波の到達時間差に基づいて、前記生体内部の血管径値を求め該血管径値を出力する血管径演算部と、前記高さ決定部により決定された前記高低差を用いて水頭圧値を求め該水頭圧値を出力する水頭圧演算部と、前記血管径演算部から入力した前記血管径値と、前記水頭圧演算部から入力した前記水頭圧値とから、前記被験者の脈圧を求める脈圧演算部と、を有することを特徴とする脈圧測定装置。
【0007】
これによれば、血管径及び血圧が略線形変化するとみなせるので、血管径の時間変化を測定することで、血圧の時間変化に相関した値を得ることができ、カフ型血圧計を使用することなく精度良く脈圧を測定することができる。これによって被験者が自由行動下で常時脈圧測定する際に、カフ型血圧計を使用しない常時装着可能な脈圧測定装置を提供することができる。
【0008】
[適用例2]上記脈圧測定装置であって、前記高さ決定部は、前記第1状態と前記第2状態との鉛直方向の前記高低差を求める高さ計測センサーを含み、前記水頭圧は、前記高さ計測センサーにより測定された前記高低差を用いて求められていることを特徴とする脈圧測定装置。
【0009】
これによれば、水頭圧を求める際の一要素である高低差を容易に測定することができる。
【0010】
[適用例3]上記脈圧測定装置であって、前記脈圧演算部は、前記制御部に入力された前記水頭圧と前記血管径との比に基づいて、前記脈圧と前記血管径との間の関係式を予め設定しておき、前記関係式に前記第2位置における前記血管径の計測値を適用することによって脈圧を求める演算を実行することを特徴とする脈圧測定装置。
【0011】
これによれば、最初に脈圧と血管径との間の関係式を予め求めておくだけで、その後は第2位置での血管径を計測して得られる計測値のみを用いて脈圧を求めることができる。
【0012】
[適用例4]被験者の所定の部位の血管径を測定する工程と、前記被験者の心臓の高さに位置する第1位置と、前記被験者の心臓の位置から鉛直方向に離れて位置する第2位置との高低差を決定する工程と、前記高低差を用いて前記第1位置と前記第2位置との間の水頭圧を求める工程と、前記血管径と前記水頭圧とを用いて脈圧を求める工程と、前記脈圧を表示する工程と、を有することを特徴とする脈圧測定方法。
【0013】
これによれば、血管径及び血圧が略線形変化するとみなせるので、血管径の時間変化を測定することで、血圧の時間変化に相関した値を得ることができ、カフ型血圧計を使用することなく精度良く脈圧を測定することができる。これによって被験者が自由行動下で常時脈圧測定する際に、カフ型血圧計を使用しない常時装着可能な脈圧測定方法を提供することができる。
【0014】
[適用例5]上記脈圧測定方法であって、前記高低差を決定する工程は、前記第1位置と前記第2位置との鉛直方向の前記高低差を計測する高さ計測センサーにより決定されていることを特徴とする脈圧測定方法。
【0015】
これによれば、水頭圧を求める際の一要素である高低差を容易に測定できる。
【0016】
[適用例6]上記脈圧測定方法であって、前記脈圧を求める工程は、前記水頭圧と前記血管径との比に基づいて、前記脈圧と前記血管径との間の関係式を予め設定しておき、前記関係式に前記第2位置による前記血管径の計測値を適用することによって脈圧を求めることを特徴とする脈圧測定方法。
【0017】
これによれば、最初に脈圧と血管径との間の関係式を予め求めておくだけで、その後は第2位置での血管径を計測して得られる計測値のみを用いて脈圧を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る脈圧測定装置が装着された状態を示す外観図。
【図2】本実施形態に係る血管径センサーを示す図。
【図3】本実施形態に係る脈圧測定装置の測定位置を示す図。
【図4】本実施形態に係る回路ブロックを示す図。
【図5】本実施形態に係る血管壁圧力と血管径(容積)との関係を示す図。
【図6】本実施形態に係る水頭分圧が加わった血管径を示す図。
【図7】本実施形態に係る血管径と血圧との時間変化を示す図。
【図8】本実施形態に係る測定方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大又は縮小して表示している。
【0020】
図1は、本実施形態に係る脈圧測定装置2が装着された状態を示す外観図である。脈圧測定装置2は、被験者4(図3参照)の手首部16に装着され、橈骨動脈14の血管径d(図2参照)を測定し、脈圧ΔPを求める。
【0021】
図2は、本実施形態に係る血管径センサー12を示す図である。血管径センサー12は、手首部16の内側の橈骨動脈14に対して超音波が照射できるような位置に取り付けられている。血管径センサー12は数M〜数十MHzのパルス信号やバースト信号を送信し、送信波及び受信波より橈骨動脈14壁からの反射波の到達時間を計測する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る脈圧測定装置2の測定位置を示す図である。位置Hは脈圧測定装置2が被験者4の心臓38の高さに位置し、位置Lは心臓38の位置から鉛直方向に高さhだけ離れた高さに位置する。
【0023】
図4は、本実施形態に係る回路ブロックを示す図である。本実施形態に係る脈圧測定装置2は、血管径センサー12と、高さ決定部36と、制御部20と、を備えている。
【0024】
血管径センサー12は、血管径センサー部27と、血管径センサー駆動部(駆動部)28と、を備えている。血管径センサー部27は発信部29と受信部31とから構成されている。血管径センサー部27は生体内部の橈骨動脈14に超音波を送受信して、橈骨動脈14壁の反射波の到達時間差を計測する。駆動部28は、血管径センサー部27を駆動させる。
【0025】
高さ決定部36は、脈圧測定装置2が心臓38の高さに位置する位置Hと、心臓38の高さから鉛直方向に高低差hだけ離れた高さに位置する位置Lとの高低差hを決定する。高低差hは予め、ものさし等で測定した値を入力してもよいし、高さ決定部36に高さ計測センサーを備えて計測してもよい。なお、高さ計測センサーとして高精度な気圧センサーなどを用いて高さの計測を行ってもよい。
【0026】
制御部20は、血管径演算部30と、水頭圧演算部33と、脈圧演算部32と、を備えている。血管径演算部30は、血管径センサー12によって計測した橈骨動脈14壁の反射波の到達時間差に基づいて、血管径dを求める。水頭圧演算部33は、高さ決定部36で決定した高低差hを用いて、水頭圧を算出する。脈圧演算部32は、血管径演算部30と水頭圧演算部33の演算結果を用いて、被験者4の脈圧ΔPを求める。
【0027】
本実施形態に係る脈圧測定装置2は、表示部34と、スイッチ(SW)37と、電源部40とを備えている。表示部34は、被験者4の脈圧ΔPを表示する。また、それをグラフなどで可視化して表示することもできる。スイッチ37は、脈圧測定装置2の各機能部に対して電源部40からの電源の供給/遮断を切り替える。電源部40は、脈圧測定装置2の各機能部に対して電源を供給する。本実施形態では、例えば、充電可能な二次電池を想定している。
【0028】
図5は、本実施形態に係る血管壁圧力と血管径(容積)との関係を示す図であり、血管の管法則を示す図である。本実施形態では図5に示す略線形近似領域を用いている。この部分では、血管径d及び血管壁圧力Pが略線形変化するとみなせるので、血管径dの時間変化を測定することで、血圧Pの時間変化に相関した値が得られる。
【0029】
図6は、本実施形態にかかる水頭圧分が加わった血管径dを示す図である。本実施形態に係る脈圧測定装置2を、図3に示すように、手首部16に装着した状態で心臓38の位置Hの位置で血管径dの時間変化の測定を行う。続いて、心臓38の位置から鉛直方向に高低差hだけ離れた位置Lの位置に腕を下ろし、血管径dの時間変化の測定を行う。この場合、被験者4が安定状態にあるとすると、血管には心臓38の位置に比べ水頭圧分のみの圧力が余分にかかることになる。つまり、この状態で血管径dの時間変化を測定すると、水頭圧分が加わった血圧Pの時間変化に相関した値が得られる。これより、水頭圧(ρ・g・h)、(ρ:血液の密度、g:重力加速度)に対応する血管径のdの変化分Δdがわかる。
【0030】
血液の密度ρは個人差で1.055±0.005g/cm3程度なので、血圧値への影響は±0.数mmHgであることから一定とみなせる。水頭圧(ρ・g・h)は、高さの測定を正確に行えば正しい値を得られることがわかる。
【0031】
水頭圧(ρ・g・h)の算出ができれば、これを血管径dに換算することで、収縮期血圧Psysと拡張期血圧Pdiaの血圧差である脈圧ΔPを求めることができる。
【0032】
ここで、水頭圧(ρ・g・h)を血管径dに換算し、脈圧ΔPを算出する方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る血管径dと血圧Pとの時間変化を示す図である。水頭圧(ρ・g・h)による圧力値がどのくらいの血管径d変化に対応するのかの算出は、下記の(a),(b)の方法がある。
【0033】
(a)血管径d変化を10秒程度計測し、図3に示す位置Hの位置での平均血管径dm1、及び位置Lの位置での平均血管径dm2をそれぞれ算出する。続いて、平均血管径(dm1,dm2)の変化分Δdmを式(1)より求める。
【0034】
Δdm=dm2−dm1 …(1)
水頭圧分の血管径変化Δdを式(2)より求める。
【0035】
Δd=Δdm …(2)
これにより、図3の位置Hでの平均収縮期血管径dmsys1及び平均拡張期血管径dmdia1を用いると、圧力及び血管径の関係を考えると式(3)が成立する。
【0036】
(Psys−Pdia):ρ・g・h=(dmsys1−dmdia1):Δdm …(3)
よって脈圧ΔP(Psys−Pdia)は、式(4)より求まる(図7(A)参照)。
【0037】
(Psys−Pdia)=(ρ・g・h)・(dmsys1−dmdia1)/Δdm …(4)
【0038】
(b)血管径d変化を10秒程度計測し、図3の位置Hでの平均収縮期血管径dmsys1及び平均拡張期血管径dmdia1、及び位置Lでの平均収縮期血管径dmsys2及び平均拡張期血管径dmdia2をそれぞれ算出する。続いて、平均収縮期血管径(dmsys1及びdmsys2)及び平均拡張期血管径(dmdia1及びdmdia2)の変化分(Δdmsys,Δdmdia)を式(5)及び(6)より求める。
【0039】
Δdmsys=dmsys2−dmsys1 …(5)
Δdmdia=dmdia2−dmdia1 …(6)
また、上記より平均をとり、水頭圧分の血管径変化Δdを式(7)より求める。
【0040】
Δd=(Δdmsys+Δdmdia)/2 …(7)
これにより、圧力及び血管径の関係を考えると式(8)が成立する。
【0041】
(Psys−Pdia):ρ・g・h=(dmsys1−dmdia1):(Δdmsys+Δdmdia)/2 …(8)
よって脈圧ΔP(Psys−Pdia)は、式(9)より求まる(図7(B)参照)。
【0042】
(Psys−Pdia)=2・(ρ・g・h)(dmsys1−dmdia1)/(Δdmsys+Δdmdia)…(9)
【0043】
本実施形態によって、水頭圧(ρ・g・h)による血管径変化Δdの算出ができれば、前述の関係より血管径dの計測のみで脈圧ΔP(Psys−Pdia)を求めることができる。水頭圧(ρ・g・h)による血管径変化Δdの算出は常時連続測定開始前、つまり1日のはじめなどに一度行うことで、より高精度な測定ができる。また、測定位置H及びLの高低差hは精度にかかわる重要なパラメーターなので、測定ごとに同じ位置で行う。例えば位置Hを心臓38の位置、位置Lを腕を真っ直ぐ下ろした位置などに決め、高低差hを測定しておく。
【0044】
(血管径の測定方法)
血管径dの測定の場合、図4に示す血管径センサー12の駆動部28により、図2に示すように数M〜数十MHzのパルス信号やバースト信号を送信し、送信波及び受信部31の受信波より血管壁からの反射波の到達時間を測定する。仮に、反射波到達時間が1.73μs、生体内部での音速を1500m/sとすると、血管径dは2.6mmと算出できる。例えば、超音波の送受信にはピエゾ素子を用いてもよい。さらに血管径dの測定方法としては、超音波ビームから得られるエコー信号に基づいて血管壁などを追跡するエコートラッキング法が知られている。エコートラッキング法により、超音波の波長以下の数μm程度の精度で血管壁などの変位を計測することができる。
【0045】
(脈圧の測定方法)
図8は、本実施形態に係る脈圧測定方法を示す図である。図8の(A)に示す水頭圧演算方法の(a)による手順は以下の通りである。
【0046】
まず、ステップS10に示すように、図3に示す被験者の計測位置Hに血管径センサー12を取付け、この位置での血管径dを計測し、平均血管径dm1、平均収縮期血管径dmsys及び平均拡張期血管径dmdiaを算出する。血管径変化は10秒程測定する。血管径dの測定は、超音波反射到達時間の測定により算出する。
【0047】
次に、ステップS11に示すように、血管径センサー12を被験者4の腕における計測位置Lに移し、その際の位置H及び位置Lの高低差hを測定する。この高低差hは予め、ものさし等を使用して測定した値を高さ決定部36に入力してもよいし、高さ決定部36に高さ計測センサーを備えることで高低差hを計測してもよい。なお、高さ計測センサーとしては、高精度な気圧センサーなどを用いて高さの計算を行ってもよい。
【0048】
そして、ステップS12に示すように、水頭圧(ρ・g・h)を算出する。
【0049】
他方、ステップS13に示すように、位置Lでの血管径dを計測し、平均血管径dm2を算出する。
【0050】
ここで、ステップS14に示すように、水頭圧による平均血管径の変化分Δdm(=dm2−dm1)を算出する。
【0051】
次に、ステップS15に示すように、収縮期血圧Psysと拡張期血圧Pdiaの血圧差である脈圧ΔPを算出する。図3の位置Hでの平均収縮期血管径dmsys1及び平均拡張期血管径dmdia1を用いると、式(4)より、脈圧ΔP(Prsys−Prdia)を算出できる。
【0052】
最後にステップS16に示すように、脈圧ΔP値を表示部34に表示する。また、それをグラフなどで可視化して表示部34に表示することもできる。
【0053】
これにより、カフ型血圧計を使用することなく精度良く脈圧を測定することができる。
【0054】
図8の(B)は、水頭圧(ρ・g・h)と血管径変化Δdの比から得られる脈圧ΔPと血管径dの関係式(式(4))を脈圧演算部32に予め設定し、血管径の計測のみから脈圧を測定する方法を示した図である。
【0055】
まず、ステップS20に示すように前述の図8(A)の手順で得られる脈圧と血管径の関係式(式(4))を制御部20に入力する。
【0056】
次に、ステップS21に示すように、位置Lでの血管径dを測定し、平均収縮期血管径dmsysと平均拡張期血管径dmdiaを算出する。
【0057】
そして、ステップS22に示すように入力された式(4)の関係を用いて、脈圧ΔP(Prsys−Prdia)を算出する。
【0058】
最後に、ステップS23に示すように、脈圧ΔP値を表示部34に表示する。また、それをグラフなどで可視化して表示部34に表示することもできる。
【0059】
これにより、最初に脈圧ΔPと血管径dの関係式を予め脈圧演算部32に記憶しておくだけで、以後は位置Lでの血管径dの測定だけすれば、精度良く脈圧ΔPを測定することができる。
【0060】
本実施形態の脈圧測定装置2及び脈圧測定方法によれば、カフ型血圧計を使用することなく精度良く脈圧ΔPを測定することができる。また、それによりウエアラブルで常時計測可能な脈圧測定装置及び脈圧測定方法が提供できる。
【符号の説明】
【0061】
2…脈圧測定装置 4…被験者 12…血管径センサー 14…橈骨動脈(血管) 16…手首部 20…制御部 27…血管径センサー部 28…血管径センサー駆動部(駆動部) 29…発信部 30…血管径演算部(演算部) 31…受信部 32…脈圧演算部 33…水頭圧演算部 34…表示部 36…高さ決定部 37…スイッチ(SW) 38…心臓 40…電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の生体表面から生体内部に向けて超音波を送出し、送出した該超音波が前記生体内部の血管周面から反射するとともに前記超音波の反射波を都度、取得して、血管上側面からの該反射波と血管下側面からの該反射波との到達時間差を計測する血管径センサーと、
前記血管径センサーが前記被験者の心臓の高さに位置する第1位置と、前記血管径センサーが前記被験者の心臓の位置から鉛直方向に離れて位置する第2位置との高低差を決定する高さ決定部と、
制御部と、
を備えた脈圧測定装置であって、
前記制御部は、
前記血管径センサーによって計測する前記反射波の到達時間差に基づいて、前記生体内部の血管径値を求め該血管径値を出力する血管径演算部と、
前記高さ決定部により決定された前記高低差を用いて水頭圧値を求め該水頭圧値を出力する水頭圧演算部と、
前記血管径演算部から入力した前記血管径値と、前記水頭圧演算部から入力した前記水頭圧値とから、前記被験者の脈圧を求める脈圧演算部と、
を有することを特徴とする脈圧測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脈圧測定装置において、
前記高さ決定部は、前記第1位置と前記第2位置との鉛直方向の前記高低差を求める高さ計測センサーを含み、
前記水頭圧は、前記高さ計測センサーにより測定された前記高低差を用いて求められていることを特徴とする脈圧測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脈圧測定装置において、
前記脈圧演算部は、
前記制御部に入力された前記水頭圧と前記血管径との比に基づいて、前記脈圧と前記血管径との間の関係式を予め設定しておき、
前記関係式に前記第2位置における前記血管径の計測値を適用することによって脈圧を求める演算を実行することを特徴とする脈圧測定装置。
【請求項4】
被験者の所定の部位の血管径を測定する工程と、
前記被験者の心臓の高さに位置する第1位置と、前記被験者の心臓の位置から鉛直方向に離れて位置する第2位置との高低差を決定する工程と、
前記高低差を用いて前記第1位置と前記第2位置との間の水頭圧を求める工程と、
前記血管径と前記水頭圧とを用いて脈圧を求める工程と、
前記脈圧を表示する工程と、
を有することを特徴とする脈圧測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の脈圧測定方法において、
前記高低差を決定する工程は、前記第1位置と前記第2位置との鉛直方向の前記高低差を計測する高さ計測センサーにより決定されていることを特徴とする脈圧測定方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の脈圧測定方法において、
前記脈圧を求める工程は、
前記水頭圧と前記血管径との比に基づいて、前記脈圧と前記血管径との間の関係式を予め設定しておき、
前記関係式に前記第2位置による前記血管径の計測値を適用することによって脈圧を求めることを特徴とする脈圧測定方法。

【図4】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61130(P2012−61130A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207674(P2010−207674)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】