脈管・体内導管を治療するデバイスおよび方法
デバイスは、自己拡張部材を有し、その自己拡張部材は、近位端部および本体部を有する。自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、自己拡張部材は、第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有している一方、第2留置位置においては、半径方向に拡張された拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、その第2公称直径は、患者の管腔または体内導管内での展開のために、第1公称直径より大きい。自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、本体部に位置するセル構造体は、自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、近位端部に位置するセル構造体は、自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2009年12月21日に出願された米国特許出願第12/643,942号の優先権を主張する、その出願の一部継続出願であり、米国特許出願第12/643,942号は、2009年10月5日に出願された米国特許出願第12/573,676号の一部継続出願であり、米国特許出願第12/573,676号は、2009年7月8日に出願された米国特許出願第12/499,713号の一部継続出願である。
【技術分野】
【0002】
本出願は、体内の脈管(vasculature)および他の導管(duct、ダクト)を治療するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自己拡張性(外力なしで自ら拡径する性質)を有する人工器官、例えば、ステント、被覆ステント、脈管(vascular, 血管)グラフト(移植片)、フロー・ダイバータ(flow diverter)などのようなものが、体内の導管(ダクト)を治療するために開発されてきた。それら人工器官のうちの多くは、脈管内の障害物(blockages、塞栓、血栓)および脳内に発生する動脈瘤(aneurysms)を治療するために開発されてきた。必要とするのは、脈管および他の体内導管の治療、例えば、動脈瘤、狭窄部(stenoses)、塞栓性閉塞(embolic obstructions)などのようなものの治療の改善された方法およびデバイスである。
【発明の概要】
【0004】
一実施態様によれば、脈管または体内導管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称(代表、平均)直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称(代表、平均)直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開(deployment、配置、配備、留置)のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸(縦軸)まわりを全周にわたって(circumferentially、全周的)延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に(less than circumferentially、部分周的に)延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール(wall、壁)・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール(rail)・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状スリットを有する。
【0005】
別の実施態様によれば、キットが提供され、
そのキットは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、
その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導(navigate)されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向(術者から遠ざかる方向であって、治療部位に接近する方向)に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向(術者に接近する方向)に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状スリットを有する。
【0006】
一実施態様によれば、体内導管または脈管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された(diagonally disposed)複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する位置まで延びている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤが連結され、そのワイヤは、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるとともにそれら脈管または体内導管にアクセス(到達)するために十分な長さおよび柔軟性を有している。
【0007】
別の実施態様によれば、脈管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、前記自己拡張部材が前記非拡張状態から前記拡張状態に遷移するにつれて前記自己拡張部材の捩れが誘導されるように配置された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材の前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する位置まで延びている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤが連結され、そのワイヤは、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるとともにそれら脈管または体内導管にアクセスするために十分な長さおよび柔軟性を有している。
【0008】
別の実施態様によれば、体内導管または脈管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、筒状部と遠位端部とを有し、
前記筒状部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
最も外側に位置するセル構造体は、前記筒状部において、複数の、最も近位寄りに位置する端点を有している。
前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りに位置する複数の端点のうちの一つまたは複数は、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤを有し、
そのワイヤは、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるとともにそれら脈管または体内導管に到達するために十分な長さおよび柔軟性を有している。
【0009】
別の実施態様によれば、キットが提供され、
そのキットは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、
その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されている。
【0010】
別の実施態様によれば、患者の管腔(vessel、血管)から塞栓(embolic obstruction、塞栓性閉塞)を除去する方法が提供され、
その方法は、
(a)送給カテーテルを前進させる(advance)工程であって、その送給カテーテルは、患者の頭蓋内脈管(intracranial vasculature、頭蓋内血管)内において前記塞栓が存在する部位(site)に対する近位端および遠位端を有する内腔を有し、それにより、前記内腔の前記遠位端が、前記塞栓に対して遠位側に位置し、前記内腔は、第1長さ寸法を有するものと、
(b)前記送給カテーテルの前記内腔の前記近位端内に塞栓回収デバイス(retrieval device、探索器具、回収器具)を導入する(introduce)とともに、長手状の自己拡張部材を前記内腔の前記遠位端まで前進させる(advance)工程であって、前記塞栓回収デバイスは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に前記自己拡張部材が連結されており、前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、前記第1長さ寸法より長い第2長さ寸法を有するものと、
(c)前記送給カテーテルを、前記複数のセル構造体のうちの少なくとも一つが前記塞栓のうちの少なくとも一部を捕捉(entrap)するように前記自己拡張部材が展開するのに十分であるように近位方向に後退させる(retract)工程と、
(d)前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材を、近位方向に後退させて患者の体外に抜去する(retract)工程とを含んでいる。
別の実施態様においては、前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材が近位方向に後退させられて患者の体外に抜去される(retract)のに先立ち、前記自己拡張部材が部分的にまたは完全に前記送給カテーテルの前記内腔内に格納される(retract)。
【0011】
別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、相手と交差するように連結される複数の第1交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延び、また、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、相手と交差するように連結される複数の第2交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数の第1交差ストラットのうちの少なくとも一部の厚さ寸法(半径方向寸法)の、幅寸法(周方向寸法)に対する比率は、1より大きい。
【0012】
さらに別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、送給ワイヤと、長手状の自己拡張部材とを有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、前記近位端は、その近位端から延びるようにその近位端と一体的に形成されたワイヤ・セグメントを有し、
そのワイヤ・セグメントの周囲にコイルが配置され、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記ギャップ内の接合剤(bonding agent)を用いて前記送給ワイヤの遠位端に連結される。
【0013】
さらに別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、送給ワイヤと、長手状の自己拡張部材とを有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記第1公称直径(非拡張状態)から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有する。
一実施態様においては、前記長手状の自己拡張部材が、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きい。
【0014】
さらに別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、送給ワイヤと、長手状の自己拡張部材とを有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記第1公称直径(非拡張状態)から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有する。
一実施態様においては、前記長手状の自己拡張部材が、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に開示されている事項についての他のいくつかの実施態様が以下の図面を参照しつつ本明細書に記載されている。
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材から遠位方向に延びる遠位ワイヤ・セグメントを示す。
【図3】図3は、非外傷性(非侵襲性)の先端部を有する自己拡張部材の遠位端を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す自己拡張部材のうち、最も近位寄りに位置するセグメンを示す拡大図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材の遠位端を示す。
【図6A】図6Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図7C】図7Cは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図9】図9は、拡張状態にある自己拡張部材であってバルジすなわち大径部を有するもの示す。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図11A】図11Aは、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図11B】図11Bは、図11Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図13A】図13Aは、本発明の一実施形態に従って塞栓を回収する方法を示す。
【図13B】図13Bは、本発明の一実施形態に従って塞栓を回収する方法を示す。
【図13C】図13Cは、本発明の一実施形態に従って塞栓を回収する方法を示す。
【図14】図14は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図15】図15は、本発明のさらに別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図16】図16は、本発明の別の実施形態に従う自己拡張部材であって内部ワイヤ・セグメントを有するものを示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明の別の実施形態に従う自己拡張部材であって外部ワイヤ・セグメントを有するものを示す斜視図である。
【図18】図18は、本発明のさらに別の実施形態に従う自己拡張部材であって塞栓を捕捉するデバイスを遠位側に有するものを示す斜視図である。
【図19】図19は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図20】図20は、図19に示す自己拡張部材であって長軸方向に延びる(longitudinal、長さ方向に延びる、直線的に延びる)スリットを有するものを示す。
【図21】図21は、図19に示す自己拡張部材であってらせん状を成すスリットを有するものを示す。
【図22】図22は、図19に示す自己拡張部材であって部分的にらせん状を成すスリットを有するものを示す。
【図23】図23は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図24A】図24Aは、本発明のさらに別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図24B】図24Bは、図24Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図25】図25は、本発明の一実施形態に従い、自己拡張部材のうちの、近位方向に延びるワイヤ・セグメントを送給ワイヤに連結する仕方を示す。
【図26】図26は、本発明のさらに別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図27A】図27Aは、図26に示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図27B】図27Bは、図26に示す自己拡張部材を示す平面図である。
【図28A】図28Aは、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材のうちの近位ワイヤ・セグメントを示す。
【図28B】図28Bは、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材のうちの遠位ワイヤ・セグメントを示す。
【図29】図29は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材における半径方向力の変化を示すカーブを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aおよび図1Bは、脈管または体内導管を治療する脈管治療デバイス(塞栓回収デバイス、血管治療デバイス)10であって、本発明の一実施形態に従うものを示している。この脈管治療デバイス10は、患者の頭蓋内脈管(intracranial vasculature、頭蓋内血管)に到達してそれを治療するという用途、例えば、動脈瘤(aneurysms)を治療するという用途、塞栓(embolic obstructions、塞栓性閉塞)を捕捉して除去するという用途に特に適している。しかし、この脈管治療デバイス10は、前記脈管内の他の部位または他の体内導管に到達してそれを治療するという用途に利用可能であることが理解される。他の用途には、例えば、狭窄部(stenoses)の治療や、脈管についての他の種類の疾患または異常の治療がある。図1Aは、この脈管治療デバイス10を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図1Bは、この脈管治療デバイス10を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス10は、自己拡張部材12を有しており、その自己拡張部材12は、長手状のフレキシブル・ワイヤ40に装着されるかまたは他の方法で連結されており、そのフレキシブル・ワイヤ40は、自己拡張部材12から近位方向に延びている。一実施態様においては、自己拡張部材12は、形状記憶材料、例えば、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。一実施態様においては、自己拡張部材12が、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるワイヤ・セグメント42(近位ワイヤ・セグメント)を有し、そのワイヤ・セグメント42は、長手状のフレキシブル・ワイヤ40を自己拡張部材12に連結するために使用される。この種の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40を、ワイヤ・セグメント42に、半田、溶接、接着剤または他の既知の装着方法を用いて連結することが可能である。別の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が自己拡張部材12の近位端に直接的に装着される。一実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が、約0.005インチ(約0.127mm)の幅寸法を有する平坦形状を有し、このとき、ワイヤ・セグメント42の幅寸法は約0.0063インチ(約0.160mm)、厚さ寸法は約0.0035インチ(約0.089mm)である。
【0017】
一実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が、近位方向に延びるワイヤ・セグメント42(近位ワイヤ・セグメント)に、後述の方法によって装着され、その結果、図25に示す連結部が実現される。一実施態様においては、コイル41が、ワイヤ・セグメント42上に配置され、そのコイル41は、密巻きセグメント41aであって、自己拡張部材12の近位端20に接触するものと、疎巻きセグメント41bであって、少なくとも一つのギャップ41cを有するものとを有する。そのギャップ41cは、疎巻きセグメント41bの内部空洞内に接合剤が少なくとも充填されるのに十分なサイズを有する。一実施態様においては、ワイヤ・セグメント42の長さとコイル41の長さとが互いに一致する。一実施態様においては、ワイヤ・セグメント42の長さが、4.0mmであり、このとき、コイル41も同じ長さを有する。コイル41がワイヤ・セグメント42上に設置されると、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が、疎巻きセグメント41b内に設置され、それにより、その遠位端が、ワイヤ・セグメント42の近位端部に接触するとともにその近位端部と長さ方向にオーバラップする。その後、接合剤がコイル41のギャップ41cを通過するように塗布され、それにより、フレキシブル・ワイヤ40がワイヤ・セグメント42に接合される。その接合剤は、接着剤、半田または他の適切な接合剤とすることが可能である。その接合剤が半田である場合、当該プロセスのうちの先行するステップが、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端部およびワイヤ・セグメント42の近位端部を、錫(tin)または他の適切な湿潤剤(wetting agent)で被覆するステップを含む。一実施態様においては、その半田が、金であって、前記連結部のX線不透過性(放射線不透過性)が向上し、それにより、その連結部が、近位側に位置するX線不透過マーカとして作用するように使用される。金を使用することに加えて、コイル41の全体または一部を、X線不透過材料で構成し、それにより、前記連結部のX線不透過性をさらに向上させることが可能である。一実施形態によれば、フレキシブル・ワイヤ40とワイヤ・セグメント42との間に位置するオーバラップ部の長さが、0.75mmと1.0mmとの間の範囲内にある。同じ実施態様であるかまたは別の実施態様において、疎巻きセグメント41bの長さが、フレキシブル・ワイヤ40とワイヤ・セグメント42との間に位置するオーバラップ部の長さと一致するかまたは実質的に一致する。別の実施態様においては、1巻き分のコイル41に代えて、巻き数が2以上であるコイル(2本以上のコイル)であって互いに接触するものを、例えば、第1の密巻きコイルが、自己拡張部材12の近位端20に接触し、第2の疎巻きコイルが、前記第1の密巻きコイルに対して近位方向に位置するギャップを有する状態で使用することが可能である。いずれの図面にも図示しないが、一実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端部のうちのある長さ部分が、遠位方向に進むにつれて先細となって、公称直径から、それより小さい寸法に減少するテーパ部である。その長さ部分に沿って、テーパ部を有しない遠位ワイヤ・コイルであって外径が一定であるものが与えられる。一実施態様によれば、コイル41の直径(外径)が、前記遠位ワイヤ・コイルの外径と一致する。
【0018】
上述の連結構造による一つの利点は、その連結構造が、脈管治療デバイス10が送給カテーテル内を通過するように押し続けられる間、座屈し難い一方で、脈管治療デバイス10が、患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位内を通過するように送給されることを可能にするのに十分な程度の柔軟性を有するということである。一方、前記連結構造は、破断することなく、大きな引張荷重および大きなトルク荷重に耐えることができる。荷重テストにより、前述の実施形態についての前記連結構造は、2ポンドを超える大きさの引張応力に耐えることが可能であることが証明された。一実施態様においては、コイル41が、近位側に位置するX線不透過マーカとしても機能するように、X線不透過材料により構成される。
【0019】
図28Aは、近位ワイヤ・セグメント4002(自己拡張部材4004から近位方向に延びるワイヤ・セグメント)についての別の構成を示している。図示されているように、近位ワイヤ・セグメント4002は、第1部分4002aと、第2部分4002bとを有し、その第2部分4002bは、第1部分4002aの幅寸法より広い幅寸法Wを有する。一実施態様においては、テーパ遷移部4003が、第1部分4002aおよび第2部分4002bを互いに連結する。一実施態様においては、第1部分4002aの幅寸法Wが、約0.0063インチであり、このとき、第2部分4002bの幅寸法Wが、約0.0085インチと約0.0105インチとの間の範囲内にある。一実施態様においては、自己拡張部材4004の近位端4005と、近位ワイヤ・セグメント4002のうちの第2部分4002bとの間の長さ寸法Lが、約0.017インチと約0.022インチとの間の範囲内にある。第2部分4002bを有することの利点は、幅寸法Wが広いほど、近位セグメント・ワイヤ4002を長手状のフレキシブル・ワイヤ40に接合するのに使用可能な表面積が増加するということであり、フレキシブル・ワイヤ40は、自己拡張部材4004を患者の導管まで送給したり、その導管から抜去する際に使用される。一実施態様においては、第1部分4002aが、円形断面構造または円形断面構造に実質的に等しい構造を有し、第2部分4002bが、加圧/コイニングというプロセスによって形成された平坦形状を有する。
【0020】
図1Aおよび図1Bに示す実施態様においては、自己拡張部材12が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント24を有しており、それら波状エレメント24のうち互いに隣接するもの同士は、互いに位相が一致しない非同位相状態で、かつ、対角的に並んだ(互いに斜めに並ぶように対角的に配列された)複数のセル構造体26を形成するように、互いに連結されている。自己拡張部材12は、近位端部14と、筒状を成す本体部16と、遠位端部18とを有し、本体部16に位置する複数のセル構造体26は、連続的に、かつ、自己拡張部材12の長軸30まわりを全周にわたって延びている。近位端部14および遠位端部18に位置する複数のセル構造体26は、自己拡張部材12の長軸30まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。
【0021】
一実施態様においては、自己拡張部材12が、約33.0mmという全長を有し、それの本体部16は、約16.0mmの長さを有し、近位端部14および遠位端部18はそれぞれ、約7.0mmという長さを有する。別の実施態様においては、本体部16の長さが、概して、近位端部14および遠位端部18の長さより約2.5−約3.5倍大きい。
【0022】
使用中、自己拡張部材12は、第1公称直径を有する非拡張状態すなわち収縮(圧縮)状態(図示しない)で、患者の、屈曲蛇行した脈管または体内導管内を通過するように治療部位まで前進させられ、この自己拡張部材12は、非拡張状態から、半径方向に拡張した拡張状態まで動くこと(変形すること)が可能であり、その拡張状態は、自己拡張部材12が前記治療部位において展開するために、前記第1公称直径より大きい第2公称直径を有する。別の例示的な実施態様においては、前記第1公称直径(例えば、本体部16の平均直径)が、約0.017インチ(約0.43mm)から約0.030インチ(約0.76mm)までの範囲内にあり、これに対し、前記第2公称直径(例えば、本体部16の平均直径)は、約2.5mmから約5.0mmまでの範囲内にある。一実施態様においては、セル構造体26のうち、自己拡張部材12のうちの本体部16内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、患者から塞栓(塞栓性閉塞)を部分的にまたは完全に除去することが可能な方法で、前記脈管内に存在する塞栓との係合をセル構造体26に行わせるのに十分な大きさの半径方向力および接触相互作用を生成するように、選択される。別の実施態様においては、セル構造体26のうち、自己拡張部材12のうちの本体部16内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、単位長さ当たりに発生する半径方向力(引き裂き強度、引張強さ)が、約0.005N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、望ましくは、約0.010N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、さらに望ましくは、約0.030N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように、選択される。一実施態様においては、本体部16の直径が、完全に拡張した状態において、約4.0mmであり、このとき、セル構造体26のセル・パターン(セル配列)、ストラット寸法および材料が、本体部16の直径が1.5mmまで減少すると、発生する半径方向力が、約0.040N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように選択される。それと同じかまたは別の実施態様においては、セル構造体26のセル・パターン、ストラット寸法および材料が、本体部16の直径が3.0mmまで減少すると、発生する半径方向力が、約0.010N/mmから約0.020N/mmまでの範囲内にあるように選択される。
【0023】
図1Aおよび図1Bに示すいくつかの実施態様においては、各セル構造体26が同じ寸法を有するように示されており、このとき、各セル構造体26は、一対の短いストラット32と、一対の長いストラット34とを有する。例示的な一実施態様においては、ストラット32が、約0.080インチと約0.100インチとの間の範囲内の長さ寸法を有し、ストラット34が、約0.130インチと約0.140インチとの間の範囲内の長さ寸法を有し、このとき、各ストラット32,34は、切断時(as-cut)の幅寸法(レーザ切断されるチューブの周方向寸法)および厚さ寸法(半径方向寸法)として約0.003インチおよび約0.0045インチをそれぞれ有し、また、研磨後(post-polishing)の幅寸法および厚さ寸法として約0.0022インチおよび約0.0039インチをそれぞれ有する。各ストラット32,34の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きいことによる利点は、ストラット32,34が前記塞栓に係合すること(integration)が促進(容易化)されるということである。別の実施態様においては、研磨後の幅寸法が、約0.0020インチから約0.0035インチまで変化するとともに、研磨後の厚さ寸法が、約0.0030インチから約0.0040インチまで変化し、このとき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.0から約2.0まで、望ましくは、約1.25から約1.75まで変化する。
【0024】
一実施態様においては、本体部16に位置するストラット32および34のみにつき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きい。別の実施態様においては、本体部16および遠位端部18に位置するストラット32および34のみにつき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きい。別の実施態様においては、複数のストラット32および34の一部のみにつき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きい。さらに別の実施態様においては、同じ自己拡張部材12のうちの、互いに異なる複数の部分に位置する複数のストラット32および34が、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率に関して互いに異なり、前記互いに異なる複数の部分のそれぞれの前記比率は、1より大きい。一例としては、自己拡張部材12の近位端部14および遠位端部18に作用する半径方向力は、本体部16に作用する半径方向力より概して小さい可能性があるため、近位端部14および/または遠位端部18に位置する複数のストラット32および34の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、本体部16に位置する複数のストラット32および34の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率より大きい。この構成による利点は、自己拡張部材12が塞栓に係合する能力が、自己拡張部材12の長さに沿ってより一様であるように達成されることである。
【0025】
他の実施態様においては、複数のストラット32および34のうちの一部または全部が、テーパ形状(先細形状)を有し、そのテーパ形状は、ストラット32,34の外面の幅寸法が、内面の幅寸法より狭いというものである。他の実施態様においては、自己拡張部材12が、概して矩形状を成す断面を有する複数のストラット32および34と、テーパ形状を有する複数のストラット32および34との双方を有することが可能である。
【0026】
注記することが重要であることは、本発明の適用対象は、一様な複数のセル構造体26を有する自己拡張部材12にも、特別の寸法特性を有する複数のセル構造体26にも限定されないということである。一例として、別の実施態様においては、近位端部14または/および遠位端部18に位置する複数のセル構造体26のサイズが、本体部16に位置する複数のセル構造体26より大きいかまたは小さい。一実施態様においては、近位端部14および遠位端部18に位置する複数のセル構造体26のサイズが、本体部16に位置する複数のセル構造体26より大きく、その結果、近位端部14および遠位端部18に作用する半径方向力が、本体部16に作用する半径方向力より小さくなる。
【0027】
自己拡張部材12の半径方向強度は、自己拡張部材12の長さに沿って種々の方法で変化させることが可能である。一つの方法は、質量(例えば、幅寸法および/または厚さ寸法)を自己拡張部材12の長さに沿って変化させることである。別の方法は、セル構造体26のサイズを自己拡張部材12の長さに沿って変化させることである。セル構造体26は、一般に、サイズが小さい場合には、サイズが大きい場合より、大きな半径方向力を発生させる。作用する半径方向力を自己拡張部材12の長さに沿って変化させることは、塞栓を捕捉して回収するという用途において特に有利である。例えば、一実施態様においては、半径方向力が、拡張状態にある自己拡張部材12の本体部16のうちの遠位部分において、本体部16のうちの近位部分より大きい。このような構成によれば、半径方向に拡張して塞栓内に侵入する量が、前記遠位部分の方が、前記近位部分に比較して大きいことが促進(容易化)される。自己拡張部材12は、塞栓を患者から除去する除去過程において、近位方向に引っ張られるため、上述の構成によれば、患者から塞栓を除去する上記除去過程において、その塞栓からそれの一部が粒子として離散(dislodge、ディスロッジ、分断、離脱、飛散)してしまう可能性が減少する。別の実施態様においては、半径方向力が、拡張状態にある自己拡張部材12の本体部16のうちの近位部分において、本体部16のうちの遠位部分より大きい。さらに別の実施態様においては、自己拡張部材12の本体部16が、近位部分と、中間部分と、遠位部分とを有し、自己拡張部材12が拡張状態にあるとき、半径方向力が、それら近位部分および遠位部分において、中間部分より大きい。
【0028】
図9に例示するように、いくつかの他の実施態様においては、本体部16が、大径部すなわちバルジ(膨出部)70を有することが可能であり、その大径部70によれば、自己拡張部材12が塞栓を捕捉するかまたは他の方法で塞栓に係合する能力が向上する。図9においては、単一の大径部70が、本体部16の中央部内に設けられている。別のいくつかの実施態様においては、大径部70が、前記中央部に対して近位寄りの位置または遠位寄りの位置に配置される。別のいくつかの実施態様においては、2以上の大径部70が、本体部16の長さに沿って配置される。一実施態様においては、それら2以上の大径部70が、製造時における公称直径に関して本質的に互いに共通する。別の実施態様においては、それら大径部70のうち、最も遠位寄りに位置するものが、それより近位寄りに位置する他の大径部70より、製造時における公称直径に関して大きい。別の例示的ないくつかの実施態様においては、大径部70の公称直径が、本体部16の公称直径より約25.0−約45.0%大きい。例えば、一実施態様においては、本体部16の、拡張状態における公称直径が約3.0mmである一方、大径部70の公称直径が約4.0mmである。別の実施態様においては、本体部16の、拡張状態における公称直径が約3.50mmである一方、大径部70の公称直径が約5.00mmである。一実施態様においては、拡張(拡径)可能なマンドレルを本体部16の内部通路内に配置し、そのマンドレルを、目標直径を有する大径部70が形成されるように拡張することにより、1以上の大径部70が形成される。別の実施態様においては、所定の幅寸法および直径寸法を有するマンドレルを本体部16内に配置し、その後、自己拡張部材12を、本体部16のうちの少なくとも一部が前記マンドレルに押し付けられるように収縮させることにより、1以上の大径部70が形成される。
【0029】
一実施態様においては、1つまたは2つ以上の大径部70の位置におけるストラット32および34が、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率に関し、本体部16に位置する他のストラット32および34より大きい。さらに別の実施態様においては、1つまたは2つ以上の大径部70の位置におけるストラット32および34が、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率に関し、本体部16に位置する他のストラット32および34より小さい。
【0030】
一実施態様においては、遠位ワイヤ・セグメント50であって、自己拡張部材12に装着されるかまたは一体的に形成されたものが、自己拡張部材12の遠位端22から遠位方向に延びるとともに、自己拡張部材12を患者の治療部位まで送給するために自己拡張部材12を誘導することを支援するように構成されている。図2は、一実施態様に従う遠位ワイヤ・セグメント50を示しており、この遠位ワイヤ・セグメント50は、一様断面を有する第1部分52と、遠位方向に行くにつれて断面積が減少するテーパ断面を有する第2部分54とを有する。例示的な一実施態様においては、第1部分52が、約3.0mmの長さを有し、さらに、切断時の断面寸法として、約0.0045インチ×約0.003インチを有し、これに対し、第2部分54が、約4.0mmの長さを有し、さらに、最も遠位寄りの位置まで断面が減少し、その最も遠位寄りの位置の、切断時の断面寸法は、約0.002インチ×約0.003インチである。研磨後に脈管治療デバイス10について行われるプロセスには、一般に、エッチング・プロセスがあり、このプロセスが行われると、一般に、切断時の断面寸法が40%から50%までの範囲内で減少する。別の実施態様においては、図3に示すように、遠位ワイヤ・セグメント50が、一様断面を有するスプリング部材57を有し、さらに、非外傷性(非侵襲性)の遠位先端部58を備えている。別の実施態様においては、スプリング部材(要素)57および/または非外傷性先端部58が、例えばプラチナのようなX線不透過材料によって構成されるかまたは被覆されている。
【0031】
図28bは、遠位ワイヤ・セグメントについての別の構成を示している。図示されているように、遠位ワイヤ・セグメント4010は、第1部分4011aと、第2部分4011bとを有し、その第2部分4011bは、第1部分4011aの幅寸法より広い幅寸法Wを有する。一実施態様においては、テーパ遷移部4012が、第1部分4011aと第2部分4011bとを互いに連結する。一実施態様においては、第2部分4011bの幅寸法Wが、約0.003インチと約0.004インチとの間の範囲内にあり、このとき、自己拡張部材4014の遠位端4013と、遠位ワイヤ・セグメント4010のうちの第2部分4011bとの間の長さ寸法Lが、約0.015インチと約0.020インチとの間の範囲内にある。第2部分4011bを有することの利点は、幅寸法Wが広いほど、コイル/スプリング・セグメント(スプリング部材)57を遠位セグメント・ワイヤ4010に接合するのに使用可能な表面積が増加するということである。一実施態様においては、第1部分4011aが、円形断面構造または円形断面構造に実質的に等しい構造を有し、第2部分4011bが、加圧/コイニングというプロセスによって形成された平坦形状を有する。
【0032】
一実施態様においては、後に詳述するように、自己拡張部材12が、送給カテーテルの内腔を通過して、患者の治療部位まで送給され、その送給カテーテルは、自己拡張部材12の送給に先立ち、前記治療部位に留置されている。別の実施態様においては、脈管治療デバイス10が、シース(鞘)を有し、そのシースは、自己拡張部材12が前記治療部位まで送給される間、自己拡張部材12を収縮状態(非拡張状態)に拘束し、そのシースは、自己拡張部材12が拡張状態に移行するために、近位方向に抜去可能である。
【0033】
一実施態様においては、拡張状態にある自己拡張部材12が、例えば、それ自身、前記治療部位に存在する塞栓(血栓)内に挿入される(embed)というプロセスにより、前記治療部位に存在する塞栓(血栓)に係合することが可能であり、さらに、長手状のフレキシブル・ワイヤ40のうち、患者の体外に存在する部分を、自己拡張部材12および前記塞栓のうちの少なくとも一部が患者から抜去されるまで、引っ張ることにより、自己拡張部材12を患者から抜去することが可能である。
【0034】
別の実施態様において、前記複数のセル構造体26のうちの少なくとも一部を形成するために、複数の波状エレメント24が位相が互いに一致しないように(非同位相で)互いに連結されたものを使用することは、いくつかの利点を有する。第1に、セル構造体26が曲線形状を有するという性質により、自己拡張部材12が患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位を通過して前記治療部位まで送給される期間における自己拡張部材12の柔軟性が向上する。さらに、複数の波状エレメント24が非同位相であるという非同位相位置関係により、自己拡張部材12を構成する複数のエレメントがよりコンパンクな入り子構造となり、それにより、自己拡張部材12が収縮時に示す直径が減少する。自己拡張部材12において複数のストラット32および34が示すパターンであって、図1Aに示すものや、本明細書に記載されている別の種々の実施態様におけるものについての具体的な利点は、自己拡張部材12を構成する複数のエレメントが順々にはまり込んで入れ子(sequential nesting)となり、これにより、自己拡張部材12が部分的にまたは完全に展開した後に引き続いて送給カテーテルの内腔内に挿入されることが可能となるということである。上述の非同位相位置関係により、さらに、複数のセル構造体26の対角的配向(配列)が生成され、その対角的配向(配列)は、自己拡張部材12が収縮状態と拡張状態との間を遷移するにつれて、ねじれ動作を誘発する可能性があり、そのねじれ動作は、自己拡張部材12が前記塞栓にうまく係合することを助ける。別の実施態様においては、自己拡張部材12が拡張する間に、必要なねじれ動作が発生するように、自己拡張部材12の複数のセル構造体26が特別に配列される。この方法によれば、例えば、異なる複数の種類の塞栓に対処するために、互いに異なる複数の自己拡張部材12であって、それぞれに発生するねじれ動作の程度が互いに異なるものを利用することが可能である。
【0035】
蛍光透視下で脈管治療デバイス10を視認できる能力(可視性)を向上させるために、自己拡張部材12を、タングステン、プラチナ、プラチナ/イリジウム、タンタルおよび金のようなX線不透過材料によって完全にまたは部分的に被覆することが可能である。これに代わるか、またはX線不透過被膜の使用と組み合わせて、X線不透過マーカ60を、自己拡張部材12の近位端20および遠位端22と同じ位置かまたはそれらの近傍位置に配置するか、および/または近位ワイヤ・セグメント42および遠位ワイヤ・セグメント50に沿って配置するか、および/または自己拡張部材12の複数のストラット32および34のうち選択されたものに配置することが可能である。一実施態様においては、X線不透過マーカ60が、プラチナ製コイルのようなX線不透過コイルである。
【0036】
図4Aは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス100を2次元平面展開図で示す。この脈管治療デバイス100は、製造されたチューブの状態および/または拡張されたチューブの状態において、図1Bに示す脈管治療デバイス10と同様な構成を有する。図1Aおよび図1Bに関連付けて前述した脈管治療デバイス10のように、脈管治療デバイス100は、自己拡張部材112を有し、その自己拡張部材112は、長手状のフレキシブル・ワイヤ140に連結されている。自己拡張部材112は、近位端部114と、筒状を成す本体部116と、遠位端部118とを有する。上述のように、自己拡張部材112を非拡張状態で患者の治療部位まで送給するために、自己拡張部材112を送給カテーテルの近位端内に挿入して留置し、自己拡張部材112が、治療部位と同じ位置に予め留置されたかまたはその治療部位を通過するように予め留置された前記送給カテーテルの遠位端に到達するまで、自己拡張部材112を前記送給カテーテルの内腔内を通過するように押すという一方法を行う。近位方向に延びている長手状のフレキシブル・ワイヤ140は、自己拡張部材112の近位端120に装着されるかまたは連結されており、そのフレキシブル・ワイヤ140は、自己拡張部材112に作用した押出力を、自己拡張部材112のうち、長手状のフレキシブル・ワイヤ140との連結部に伝達するように設計されている。図4Aに示すとともに、図4Bにより詳細に示すように、脈管治療デバイス100は、脈管治療デバイス10についての前述のいくつかの実施態様に対し、複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するセル構造体128および130であって近位端部114内に存在するものが、複数のストラット要素であって、自己拡張部材112内の他のストラット要素の幅寸法W2より広い(拡大された)幅寸法W1を有するものを有する点で異なっている。図示されているように、最も近位寄りのセル構造体(複数のセル構造体)128を構成する複数のウォール・セグメント(ウォール部、壁部)のうち、最も近位寄りに位置するウォール・セグメント160,162および164は、幅寸法W1を有するストラットにより構成されている。さらに、最も近位寄りのセル構造体(一つのセル構造体)130を構成するすべてのストラットは、拡大幅寸法W1を有する。幅寸法W1を有する複数のストラットが存在するおかげで、いくつかの利点が得られる。ある利点は、それらストラットにより、フレキシブル・ワイヤ140の遠位端により自己拡張部材112の近位端120に加えられた押出力が、自己拡張部材112が患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位内を進行させられる際に、自己拡張部材112の外周まわりにより均等に分散されるということである。そのようにより均等に分散された押出力により、局部的に発生する大きな力成分が最小化され、その力成分が最小化されないと、その力成分が自己拡張部材112内のそれぞれのまたは複数のストラット要素に作用して、それらストラット要素に座屈を発生させる。さらに、幅寸法W1を有する複数のストラット要素を近位端部114の外周部に配置することにより、それらストラット要素のおかげで、フレキシブル・ワイヤ140によって近位端部114に加えられる押出力のもとその近位端部114に座屈が発生する傾向が大きく低減される。一実施態様においては、切断時の幅寸法W1が約0.0045インチであり、切断時の幅寸法W2が約0.003インチである。前述のように、研磨後に脈管治療デバイス100について行われるプロセスには、一般に、エッチング・プロセスがあり、このプロセスが行われると、一般に、切断時の断面寸法が40%から50%までの範囲内で減少する。
【0037】
注記することが重要であることは、幅寸法W1が、幅広であるすべてのストラットの間において互いに同一であるように図示されているが、このことは不可欠ではない。例えば、一実施態様においては、ウォール・セグメント158が、ウォール・セグメント160の拡大幅寸法より広い拡大幅寸法を有する態様や、ウォール・セグメント160が、ウォール・セグメント162の拡大幅寸法より広い拡大幅寸法を有する態様、その他の態様が可能である。さらに、最も近位寄りのセル構造体130の内側ストラット要素166が、ウォール・セグメント(ストラット)158の拡大幅寸法より広い拡大幅寸法を有する態様が可能である。また、別の実施態様においては、ウォール・セグメント(ストラット)158,160,162,164などにつき、それぞれの幅寸法を拡大することに代わるか、または、それと組み合わせて、それぞれの半径方向厚さ寸法を拡大することが可能である。
【0038】
さらに別の実施態様においては、図5に示すように、自己拡張部材112の遠位端部118に位置する複数のストラット要素180のうちの一部が、他のストラット要素180より大きい質量(重量)を有しており、それにより、脈管治療デバイス100が患者の治療部位まで進行させられる際、ストラット要素180の座屈およびあり得る破断に対する耐性を向上させる。図示する実施態様においては、ストラット要素180が、遠位ワイヤ・セグメント150と同じ幅寸法を有するように、形状が設定されている。別の実施態様においては、ストラット要素180につき、それの幅寸法を拡大することに代わるか、または、それと組み合わせて、それの厚さ寸法を拡大することが可能である。
【0039】
図6Aおよび図6Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス200を示している。図6Aは、この脈管治療デバイス200を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図6Bは、この脈管治療デバイス200を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス200は、自己拡張部材212を有しており、その自己拡張部材212は、近位端部214と、筒状を成す本体部216と、遠位端部218とを有し、自己拡張部材212の近位端220に長手状のフレキシブル・ワイヤ240が装着されるかまたは他の方法で連結されている。この脈管治療デバイス200の構成は、図4Aに関連付けて前述された脈管治療デバイス100の構成と類似するが、セル構造体228および230の複数の近位ウォール・セグメント260が、図6Aにおいて2次元平面展開図で見ると、直線的であるかまたは実質的に直線的である複数のストラット要素を有する点では異なる。一実施態様においては、直線的である複数の近位ウォール・セグメント260が、連続するとともに実質的に直線的である複数の直線レール・セグメント270を形成するように配列されており、それら直線レール・セグメント270は、近位端部214の近位端220から、本体部216のうちの、最も近位寄りの端まで延びており(同様に、図6Aにおいて2次元平面展開図で見ると)、また、望ましくは、それら直線レール・セグメント270は、互いに同じ長さ寸法を有するが、互いに異なる長さ寸法を有してもよい。図6Aに示すパターンが、チューブ構造体を切断するレーザに適用されると、自己拡張部材212が、最終的に、図6Bに示す構成を有することになる。図6Bに示すように、それら直線レール・セグメント270は、実際には、直線的ではなく、曲線的でかつ波状部を有しない形状を有する。有利なことは、この構成によれば、それら直線レール・セグメント270が波状部を有しないものとなり、それにより、押出力(軸方向力)がそれら直線レール・セグメント270に作用したときに、それら直線レール・セグメント270が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上するということである。別の望ましい実施態様においては、ワイヤ・セグメント240とそれら直線レール・セグメント270との成す角度qが、約140度から約150度までの範囲内にある。一実施態様においては、直線レール・セグメント270(2本、第1および第2の直線レール・セグメント)のうちの一方または両方が、幅寸法W1を有し、その幅寸法W1は、セル構造体228および230のうちの、互いに隣接した複数のストラット要素の幅寸法より大きい。直線レール・セグメント270のうちの一方または両方の幅寸法W1が他の部位の幅寸法より拡大されているということによっても、押出力(軸方向力)がそれら直線レール・セグメント270に作用したときに、それら直線レール・セグメント270が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上する。別の実施態様においては、直線レール・セグメント270のうちの一方または両方が、他の部位より拡大された幅寸法を有しないが、その場合と同じかまたは類似した効果を得るために、他の部位より拡大された厚さ寸法を有する。さらに別の実施態様においては、直線レール・セグメント270のうちの一方または両方につき、幅寸法も厚さ寸法も、他の部位より拡大され、それにより、上述の効果と同じかまたは類似した効果が得られる。さらに別の実施態様においては、自己拡張部材212が送給カテーテルまたはシース(図示しない)内に装填されるかまたは収容されるときに、自己拡張部材212の近位端部214の圧縮力がさらに均等に分散するように、各直線レール・セグメント270の幅寸法および/または厚さ寸法が、位置によって変化させられる(分布させられる)。
【0040】
図7Aおよび図7Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス300を示している。図7Aは、この脈管治療デバイス300を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図7Bは、この脈管治療デバイス300を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス300は、自己拡張部材312を有しており、その自己拡張部材312は、近位端部314と、筒状を成す本体部316と、遠位端部318とを有し、自己拡張部材312の近位端320に長手状のフレキシブル・ワイヤ340が装着されるかまたは他の方法で連結されている。この脈管治療デバイス300の構成は、図6Aおよび図6Bに関連付けて前述された脈管治療デバイス200の構成と類似するが、複数のセル構造体のうち、最も近位寄りの1つのセル構造体330が、図7Aにおいて2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有する点では異なる。実質的にダイアモンド形状を有するセル構造体330は、一対の外側ストラット要素358および358と、一対の内側ストラット要素(第1および第2の内側レール)360および360とを有し、それぞれのストラット要素358,360は、図4に示す実施形態および図6に示す実施形態に関連して前述したように、幅寸法および/または厚さ寸法に関し、他の部位より拡大されている。別の望ましい実施態様においては、図7Aにおいて2次元平面展開図で見ると、内側ストラット要素360が、外側ストラット要素358に、約25.0度から約45.0度までの範囲内の角度bで交差する。内側ストラット要素360と外側ストラット要素358とが配向される角度を上述の範囲内に維持すると、自己拡張部材312が座屈することなく、しかも、自己拡張部材312が、送給過程において、収縮時の直径が減少する能力を実質的に阻害することなく、自己拡張部材312の可推性(pushability、押出性、押圧性、押し易さ)が向上する。
【0041】
一実施態様においては、内側ストラット要素360が、外側ストラット要素350より少ない重量を有し、それにより、自己拡張部材312が拡張状態から収縮状態に移行する際に、それらストラット要素358および360が簡単に曲がることが可能となる。このことにより、自己拡張部材312が収縮時に示す直径が減少することが促進(容易化)される。別の実施態様においては、図7Cに示すように、内側ストラット要素360が外側ストラット要素358に、曲線セグメント(曲線コネクタ)361を介して連結されており、それにより、自己拡張部材312が送給状態(収縮状態)に収縮されるとき、内側ストラット要素360が簡単に曲がることが可能となる。
【0042】
図8は、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス400を示している。この脈管治療デバイス400の構成は、図6Aおよび図6Bに示す脈管治療デバイス200の構成と類似するが、この脈管治療デバイス400の自己拡張部材412が、それの近位端部414において、長手状の2本のフレキシブル・ワイヤ440および441であって、共に遠位方向に延びるものに連結されている点では異なる。図示されているように、フレキシルブ・ワイヤ440は、近位端部414のうちの、最も近位寄りの端である最近位端420に装着されるかまたは他の方法で連結されており、一方、フレキシルブ・ワイヤ441は、近位端部414のうちの、最も遠位寄りの端である最遠位端422に、レール・セグメント470との連結点の位置において、装着されるかまたは他の方法で連結されている。さらに別の実施態様においては、長手状の別のフレキシブル・ワイヤ(図示しない)を最遠位端422に装着することが可能である。2本またはそれ以上の本数のフレキシブル・ワイヤ440および441を、押出力を自己拡張部材412の近位端部414に加えるために使用することは、その近位端部414に作用する押出力を複数の装着点(接続点)に分散させるため、有利である。
【0043】
図10は、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス500を示している。図10に示す実施形態においては、自己拡張部材512が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント524を有しており、それら波状エレメント524のうち互いに隣接するものは、互いに位相が一致しない非同位相状態で、かつ、対角的に並んだ(互いに斜めに並ぶように対角的に配列された)複数のセル構造体526を形成するように互いに連結されている。自己拡張部材512は、筒状を成す本体部516と、遠位端部518とを有し、本体部516に位置する複数のセル構造体526は、連続的に、かつ、自己拡張部材512の長軸530まわりを全周にわたって延びている。遠位端部518に位置する複数のセル構造体526は、自己拡張部材512の長軸530まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。複数のセル構造体526のうち、最も近位寄りに位置する複数のセル構造体(最近位セル構造体)528に装着されるかまたは他の方法で連結されているのは、各々、近位方向に延びる長手状の複数本のフレキシブル・ワイヤ540である。長手状のフレキシブル・ワイヤ540を複数本使用することにより、自己拡張部材512の近位端に作用する押出力が、その自己拡張部材512のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが可能となる。別の実施態様においては、図10に示されていないが、複数の最近位セル構造体528の複数のストラット532が、同じ自己拡張部材512の他の部位に位置するストラットより大きな幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような構成によっても、前記押出力が、自己拡張部材512のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが促進(容易化)され、さらに、前記押出力を直接的に受ける複数のストラット532が座屈することが阻止される。
【0044】
図11Aおよび図11Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス600を示している。図11Aは、この脈管治療デバイス600を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図11Bは、この脈管治療デバイス600を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。図11Aおよび図11Bに示す実施形態においては、自己拡張部材612が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント624を有しており、それら波状エレメント624のうち互いに隣接するものは、曲線コネクタ(連結部)628によって互いに連結され、それにより、自己拡張部材612の長さのまわりに配置された複数のクローズド・セル構造体626が形成されている。図示された実施形態においては、自己拡張部材612が、近位端部612と、筒状部(本体部)616とを有し、筒状部616に位置する複数のセル構造体626は、連続的に、かつ、自己拡張部材612の長軸630まわりを全周にわたって延びている。近位端部614に位置する複数のセル構造体626は、自己拡張部材612の長軸630まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。別の実施態様においては、自己拡張部材612が、図1Aおよび図1Bに示す自己拡張部材12によく類似するように、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有する。この種の実施態様においては、自己拡張部材612の遠位端部に位置する複数のセル構造体626が、図11Aに示す近位端部614と同様な方法で、自己拡張部材612の長軸630まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。さらに、図1A,図4A,図6A,図7A,図7C,図10,図14,図15および図19−図24に示す複数の自己拡張部材は、遠位端部(例えば、図1Aにおいては、遠位端部18)が省略され、それにより、図11Aに示す自己拡張部材612のように、近位端部および本体部のみが存在するように、変更することが可能である。
【0045】
図12は、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス700を示している。図12は、この脈管治療デバイス700を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図12に示す実施形態においては、自己拡張部材712が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント724を有しており、それら波状エレメント724のうち互いに隣接するものは、曲線コネクタ(連結部)728によって互いに連結され、それにより、自己拡張部材712の長さのまわりに配置された複数のクローズド・セル構造体726が形成されている。図示された実施形態においては、自己拡張部材712が、筒状部(本体部)716と、遠位端部718とを有し、筒状部716に位置する複数のセル構造体726は、連続的に、かつ、自己拡張部材712の長軸730まわりを全周にわたって延びている。遠位端部718に位置する複数のセル構造体726は、自己拡張部材712の長軸730まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。図10に示す実施形態い関連して記載されたものと同様な方法で、複数のセル構造体726のうち、最も近位寄りに位置する複数の最近位セル構造体732の各々に、各々近位方向に延びる複数本の長手状のフレキシブル・ワイヤ740が装着されるかまたは他の方法で連結されている。この構成により、自己拡張部材712の近位端に作用する押出力が、その自己拡張部材712のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが可能となる。別の実施態様においては、図12に示されていないが、複数の最近位セル構造体732の複数のストラットが、同じ自己拡張部材712の他の部位に位置するストラットより大きな幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような構成によっても、前記押出力が、自己拡張部材712のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが促進(容易化)され、さらに、前記押出力を直接的に受ける前記複数のストラットが座屈することが阻止される。
【0046】
前述のように、使用中、本発明に係る自己拡張部材は、第1公称直径を有する非拡張状態すなわち収縮(圧縮)状態で、患者の、屈曲蛇行した脈管または体内導管内を通過して、例えば塞栓(embolic obstruction、塞栓性閉塞、閉塞部、血栓)のような治療部位まで挿入され、この自己拡張部材は、非拡張状態から、半径方向に拡張した拡張状態まで動くこと(変形すること)が可能であり、その拡張状態は、この自己拡張部材が前記治療部位において展開するために、前記第1公称直径より大きい第2公称直径を有する。図13Aないし図13Cには、自己拡張部材912を、塞栓950の存在部位まで送給してその場所において展開する一方法が示されている。図13Aに示すように、送給カテーテル960であって内腔962を有するものが、塞栓950まで挿入され、それにより、その送給カテーテル960の遠位端964が、塞栓950に対して遠位寄りとなる位置に位置させられる。送給カテーテル960が塞栓950に適切に位置させられた後、塞栓回収デバイス(脈管治療デバイス)900が送給カテーテル960内に挿入されるが、その挿入は、自己拡張部材912を送給カテーテル960の近位端(図示しない)内に導入し、その後、その自己拡張部材912を、押出力を長手状のフレキシブル・ワイヤ940に作用させることにより、送給カテーテル960の内腔962内を通過するように前進させることによって行われる。送給カテーテル960および塞栓回収デバイス900上に配置されたX線不透過マーカおよび/またはX線不透過被膜を使用することにより、図13Bに示すように、自己拡張部材912が送給カテーテル960の遠位端964に位置決めされ、それにより、自己拡張部材912の本体部916が、長さ方向において、塞栓950と位置合わせされる。図13Cに示すように、送給カテーテル960を近位方向に引っ張る一方で、自己拡張部材912を定位置に保持することにより、自己拡張部材912が展開される。塞栓950内において自己拡張部材912が拡張状態まで展開されると、自己拡張部材912が、送給カテーテル960と一緒に、患者の体外位置まで抜去される。一実施態様においては、塞栓回収デバイス900を患者から完全に抜去するのに先立ち、自己拡張部材912が、最初に、部分的に後退させられ、それにより、自己拡張部材912が送給カテーテル960の遠位端964に係合させられる。
【0047】
一実施態様においては、自己拡張部材912が塞栓950において拡張されると、ある長さの時間、同じ場所に留置され、それにより、塞栓950を通過するように最終的に生成される血流により、塞栓950が溶解させられるように塞栓950を通過する灌流(perfusion)通路が形成される。この種の実施態様においては、塞栓950を患者の体外に回収するために塞栓950の一部を自己拡張部材912によって捕捉することが不要である。塞栓950を通過する目標通路を形成するために塞栓950の大部分がすでに溶解させられているか、または、最終的に生成される血流によって塞栓950が完全に除去される場合には、自己拡張部材912を送給カテーテル960内に回収(withdraw)し、その後、自己拡張部材912を患者から抜去することが可能である。
【0048】
別の実施態様においては、自己拡張部材912が塞栓950において拡張され、ある長さの時間、同じ場所に留置され、それにより、塞栓950を通過するように最終的に生成される血流により、塞栓950が変化させられるように塞栓950を通過する灌流(perfusion)通路が形成されるが、塞栓950の変化は、塞栓を、自己拡張部材912によってより簡単に捕捉されるものにする方法、および/または、塞栓を患者の管腔壁(vessel wall、血管壁)からより簡単に分離されるものにする方法によって行われる。例えば、塞栓950を通過するように形成される血流を、塞栓の組織を変化させるのに十分な長さの時間、塞栓950を通過するように生成することが可能であり、その時間の長さは、塞栓を自己拡張部材912によってより簡単に捕捉されるものとする長さおよび/または塞栓を前記管腔壁からより簡単に分離されるものにする長さとすることが可能である。上述の方法を行う場合のように、塞栓950を通過するように血流を生成することは、さらに、組織を保全するためにも役立つ。一実施態様においては、塞栓950を通過する血流を、塞栓子を溶解させるために使用することが可能である。しかし、このように変更された方法では、塞栓子の溶解が、塞栓が自己拡張部材912によってより簡単に捕捉されるように塞栓子を調製する(prepare、準備する)という目的のために行われる。例えば目標の公称(代表、平均)直径を有する塞栓950を形成することにより、塞栓950が適切に調製された場合には、自己拡張部材912が、送給カテーテル940の遠位端964から展開(配備)され、それにより、自己拡張部材912が塞栓950に係合させられる。塞栓950の全部または一部を患者から除去することは、前述の方法に類似する方法によって行われる。
【0049】
さらに別の実施態様においては、自己拡張部材912が塞栓950内に送給されて拡張されると、自己拡張部材912を、長手状のフレキシブル・ワイヤ940から分離し、それにより、自己拡張部材912を患者の体内に永久的に留置することが可能である。この種の実施態様においては、長手状のフレキシブル・ワイヤ940を自己拡張部材912に装着する方法により、それら2つの部品を互いに分離することが可能である。このことは、例えば、自己拡張部材912と長手状のフレキシブル・ワイヤ940との間に位置する機械的なインタロック(連結機構、連動装置)または腐食可能な電解質接合部を使用することにより、行うことが可能である。
【0050】
本明細書に記載されているように、本発明の種々の実施形態に従う自己拡張部材は、自身の遠位端に装着される遠位ワイヤ・セグメントを有してもよいし、有しなくてもよい。別の望ましい実施態様においては、塞栓に自己拡張部材を永久的に留置するように設計された脈管治療デバイスが、自己拡張部材の遠位端に装着される遠位ワイヤ・セグメントを有しない。
【0051】
本発明に係る自己拡張部材におけるセル・パターン(セル配列)に付随する利点の一つは、長手状のフレキシブル・ワイヤに引張力を作用することによって自己拡張部材を回収すると、拡張状態での自己拡張部材の直径が小さくなり、この状態で自己拡張部材が患者から回収され、それにより、脈管が損傷する可能性が減少するということである。さらに、血栓回収(除去)中、自己拡張部材のサイズが減少するにつれて、複数のセル構造体が折り畳まれて血栓をつかんで保持し(pinch down on the clot)、それにより、血栓回収(除去)能力が向上する。別の利点は、セル・パターンにより、自己拡張部材が部分的にまたは完全に展開した後に、自己拡張部材を送給カテーテルの内腔内に格納することが可能となるということである。したがって、いずれかの時点において、自己拡張部材が、不適切な位置で、部分的にまたは完全に展開してしまったと判断されると、その自己拡張部材を、送給カテーテルの遠位端内に格納し、そして、正規な位置に再度、位置決めすることが可能である。
【0052】
図14を参照するに、図6Aに示す脈管治療デバイス200の一変形例が示されており、その変形例は、自己拡張部材212のうちの筒状を成す本体部216に位置する複数のセル構造体226のうちの少なくとも一部に交差する複数の幅狭ストラット要素280を有する。それら幅狭ストラット要素280は、セル構造体226を形成する複数のストラット要素282より狭い幅寸法を有するように形状が設計されている。別のいくつかの例示的な実施態様においては、幅狭ストラット要素280の切断時または研磨後の幅寸法が、他のストラット要素282の切断時または研磨後の幅寸法よりそれぞれ、約25−約50%狭い。血栓回収という目的で使用する場合、幅狭ストラット要素282の目的は、自己拡張部材212が塞栓に係合して捕捉する能力を向上させることにある。この目的は、いくつかの要因のおかげで達成される。第1に、幅狭ストラット要素280の幅寸法が狭いことにより、それら幅狭ストラット要素280が塞栓を貫通する(塞栓に入り込む)することが容易になる。第2に、自己拡張部材212が塞栓内において展開されるにつれて、それら幅狭ストラット要素280は、捕捉した塞栓のうちのいくつかの部分を、それら幅狭ストラット要素280より外側に位置してそれらより幅広であるストラット要素282との間で挟んでつまむように作用する。第3に、それら幅狭ストラット要素280は、塞栓に作用する半径方向力を局部的に増加させるために使用することが可能である。注記することが重要なことは、幅狭ストラット要素280の用途は、自己拡張部材212の筒状を成す本体部216内に位置する複数のセル構造体226内において使用するという用途に限定されないということである。それら幅狭ストラット要素280は、機能向上という観点から、自己拡張部材212を構成する複数のセル構造体226の一部または全部に配置することが可能である。さらに、注記することが重要なことは、幅狭ストラット要素280の用途は、図6に示す実施形態に限定されるのではなく、本明細書に開示されている種々の実施形態のすべてに適用可能であるということである。最後に、別のいくつかの例示的な実施態様においては、図15に示すように、複数の幅狭ストラット要素280が、一つまたは2つ以上のセル構造体226内に配置され、また、それら幅狭ストラット要素280は、さらに、単一の幅狭ストラット要素280を有するセル構造体226および/または幅狭ストラット要素280を有しないセル構造体226と協働するように使用することも可能である。
【0053】
動脈瘤の治療においては、血流をダイバート(方向変換)するという用途のために脈管治療デバイス200が使用される場合、複数のセル構造体226が、動脈瘤嚢から遠ざかる向きに血流を効果的に方向変換するのに十分である密度を有する。別の実施態様においては、セル構造体226の密度を調整することに代わるか、または、それと組み合わせて、図14および図15に示す幅狭ストラット要素280に類似した複数の中間ストラット要素が、自己拡張部材212の有効壁表面を増加させるために使用される。それら実施態様においては、それら中間ストラット要素が、セル構造体226の他のストラット要素と同じ寸法か、それより小さい寸法か、もしくは、それより大きい寸法か、またはそれら寸法を組み合わせたものを有する。逆に、別の実施態様であって、複数のコイルまたはそれと似た構造体を動脈瘤嚢の内部に留置することを目的とする動脈瘤の治療に使用されるものにおいては、複数のセル構造体226が、それらコイルを、複数のセル構造体226内を通過することを促進(容易化)するのに十分なサイズを有する。
【0054】
図16は、図6Aおよび図6Bに示す実施形態に従う脈管治療デバイス200の変形例を示しており、その変形例においては、自己拡張部材212が患者の治療部位まで前進する際における自己拡張部材212の可推性(pushability)が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との間を延びる内部ワイヤ・セグメント241の追加によって向上させられている。この方法により、長手状のフレキシブル・ワイヤ240によって加えられる押出力が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との双方に伝達される。内部ワイヤ・セグメント241は、自己拡張部材212の近位端220および遠位端222に装着された独立の部品としてもよいし、望ましくは、長手状のフレキシブル・ワイヤ240から一体的に延びるものとしてもよい。自己拡張部材212が収縮状態で治療部位まで送給される過程において、内部ワイヤ・セグメント241は、前記押出力のうちの少なくとも一部を自己拡張部材212の遠位端222に十分に分配(伝達)するように、実質的に直線的である構造を有する。自己拡張部材212が拡張するとき、自己拡張部材212は、図16に示すように、長さ方向に収縮して、内部ワイヤ・セグメント241にスラック(弛み)を発生させ、自己拡張部材212内において長いピッチを有するらせんが形成される。内部ワイヤ・セグメント241を使用することに付随する別の利点は、自己拡張部材212が拡張されて内部らせんが形成されることにより、自己拡張部材212が塞栓を捕捉することが促進(容易化)されるということである。
【0055】
別の実施態様においては、図17に示すように、自己拡張部材212が患者の治療部位まで前進する際における自己拡張部材212の可推性(pushability)が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との間を延びる外部ワイヤ・セグメント243の追加によって向上させられている。この方法により、長手状のフレキシブル・ワイヤ240によって加えられる押出力が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との双方に伝達される。外部ワイヤ・セグメント243は、自己拡張部材212の近位端220および遠位端222に装着された独立の部品としてもよいし、望ましくは、長手状のフレキシブル・ワイヤ240から一体的に延びるものとしてもよい。自己拡張部材212が収縮状態で治療部位まで送給される過程において、外部ワイヤ・セグメント243は、前記押出力のうちの少なくとも一部を自己拡張部材212の遠位端222に十分に分配(伝達)するように、実質的に直線的である構造を有する。自己拡張部材212が拡張するとき、自己拡張部材212は、図17に示すように、長さ方向に収縮して、外部ワイヤ・セグメント243にスラック(弛み)を発生させる。外部ワイヤ・セグメント243を使用することに付随する別の利点は、自己拡張部材212が拡張されて、自己拡張部材212が塞栓に係合して捕捉することを促進(容易化)しつつ、外部ワイヤ・セグメント243が直接、塞栓に作用するということである。
【0056】
別の実施態様においては、図18に示すように、遠位塞栓捕捉(distal emboli capture)デバイス251が、自己拡張部材212の遠位ワイヤ・セグメント250上に配置されるか、または、自己拡張部材212の遠位端222に装着される。この遠位塞栓捕捉デバイス251は、自己拡張部材212が拡張される過程、または、遠位閉塞(distal embolization)を予防するために自己拡張部材212が患者から抜去される過程において、塞栓(embolic obstruction)から離散するかもしれない塞栓片(emboli、血栓子、塞栓子)を捕捉するという機能を有する。図18においては、遠位塞栓捕捉デバイス251が、コイルとして示されている。別の実施態様においては、バスケット、塞栓フィルタまたは他の既知の遠位塞栓捕捉デバイスを、自己拡張部材212の遠位端222または遠位ワイヤ・セグメント250に装着することが可能である。
【0057】
反復するに、図14および図15に示すいくつかの実施態様と同様に、注記することが重要であることは、図16、図17および図18に関連して前述した特徴は、図6に示す実施形態に限定されることなく、本明細書に開示されている種々の実施形態のすべてに適用可能であるということである。
【0058】
図19は、本発明の別の実施形態に従う、体内導管または脈管(血管)を治療する脈管治療デバイス1000を示している。図19は、この脈管治療デバイス1000を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。この脈管治療デバイス1000は、自己拡張部材1012を有し、その自己拡張部材1012は、近位端部1024と、筒状を成す本体部1026と、遠位端部1028とを有し、このとき、長手状のフレキシブル・ワイヤ1014が、自己拡張部材1012の近位端1020に装着されるかまたは他の方法で連結されている。この脈管治療デバイス1000の構成は、図6Aに関連して前述した脈管治療デバイス200の構成に類似しているが、近位端部1024に位置する複数のセル構造体1018および1019が、脈管治療デバイス200(図6A)の近位端部214に位置する複数のセル構造体より空間的に詰めて、かつ、より対称的に配列されている点では異なる。この脈管治療デバイス1000の近位端部1024に位置する複数のセル構造体の、より実質的に対称的に並んだ配列により、送給カテーテルまたはシース(図示しない)に対する自己拡張部材1012の装填または離脱が促進(容易化)され、それら装填または離脱は、近位端部1024を、収縮中、より均等に折り畳むことによって行われる。複数のセル構造体1018および1019を構成する複数の近位ウォール・セグメント1016は、図19の2次元平面展開図で見ると、直線的であるかまたは実質的に直線的である複数の直線ストラット要素1016を有する。一実施態様においては、それら直線ストラット要素1016が、各々、連続的であり、かつ、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメント1017を形成するように並んでおり、それら直線レール・セグメント1017は、近位端部1024の近位端1020から、本体部1026のうちの、最も近位寄りの端まで延びており(再び、図19の2次元平面展開図で見ると)、また、望ましくは、それぞれが互いに同じ長さを有する。別の実施態様においては、ワイヤ・セグメント1014と直線レール・セグメント1017との成す角度qが、約140度から約150度までの範囲内にある。一実施態様においては、直線レール・セグメント1017および1017(2本、第1および第2の直線レール・セグメント)のうちの一方または両方が、幅寸法W1を有しており、その幅寸法W1は、セル構造体1018および/または1019および/または1030を構成する複数のストラット要素のうち、互いに隣接するものの幅寸法より拡大されている。直線レール・セグメント1017および1017のうちの一方または両方の幅寸法W1が拡大されていることにより、さらに、押出力がそれら直線レール・セグメント1017に作用する場合に、それら直線レール・セグメント1017が力を分散させる能力および座屈に耐える能力が向上する。別の実施態様においては、直線レール・セグメント1017のうちの一方または両方が、他の部位より拡大された幅寸法を有しないが、その場合と同じかまたは類似した効果を得るために、他の部位より拡大された厚さ寸法を有する。さらに別の実施態様においては、直線レール・セグメント1017のうちの一方または両方につき、幅寸法も厚さ寸法も、他の部位より拡大され、それにより、上述の効果と同じかまたは類似した効果が得られる。さらに別の実施態様においては、自己拡張部材1012が送給カテーテルまたはシース内に装填されるかまたは収容されるように自己拡張部材1012が折り畳まれるときに、自己拡張部材1012の近位端部1024の圧縮力がさらに均等に分散するように、各直線レール・セグメント1017の幅寸法および/または厚さ寸法が、位置によって変化させられる(分布させられる)。
【0059】
後述の説明は図19に示す実施形態に向けられているが、注記することが重要なことは、図20ないし図22に示すいくつかの実施形態によって採用されているスリットが、本明細書に記載されているすべての脈管治療デバイス、それら脈管治療デバイスについての多数の実施態様およびそれらの変形例に適用可能であるということである。
【0060】
ここで図20を参照するに、図19に示す脈管治療デバイス1000は、長軸方向に延びるスリット1040を有しており、そのスリット1040は、自己拡張部材1012の近位端1020から遠位端1022まで延びている。スリット1040により、セル構造体1018,1019および1030が相対的に移動する(接近および離隔する)ことが可能であり、その相対移動は、自己拡張部材1012が送給カテーテルまたはシース内に装填されるかまたは収容されていて自己拡張部材1012が収縮状態にあるときに、自己拡張部材1012のそれぞれのストラット要素1032が座屈することが阻止される方法で行われる。別の実施態様においては、スリット1040が、自己拡張部材1012の全長より短い長さで延びるとともに、機能向上のために重要である(strategically important)ストラット要素の座屈を阻止するように配置されており、そのストラット要素は、自己拡張部材1012が送給カテーテルまたはシース内に効果的に装填されるかまたは回収される能力に対して最も大きな影響を及ぼす。例えば、一実施態様においては、スリット1040が、自己拡張部材1012の近位端部1024であってストラット要素1032が座屈するかまたは折れ曲がる可能性が最も高い場所にのみ配置される。別の実施態様においては、スリット1040が、自己拡張部材1012の近位端部1024と筒状を成す本体部1026との双方に配置される。
【0061】
図21は、図19に示す脈管治療デバイス1000であって、自己拡張部材1012の全周を延びる対角的配置(長軸に対して斜めに交差する方向に延びる配向)型/らせん状のスリット1050を有するものを示している。一実施態様においては、図21に示すように、らせん状スリット1050が、自己拡張部材1012の近位端部1024のうちの、遠位点、または、その遠位点に隣接する位置から延び出している。図19に示す直線レール・セグメント1017のような直線レール・セグメントを有するこの実施形態に関して言えば、らせん状スリット1050は、複数の直線レール・セグメント1017のうちのいずれかの遠位位置1021、またはその遠位位置1021に遠位方向に隣接する位置から延び出している。本明細書に記載された種々の脈管治療デバイスを試験した結果、座屈が、自己拡張部材の近位端部のうちの遠位位置に隣接するストラット要素において発生する傾向があることが判明した。この現象は、近位端部において直線レール・セグメントを有する自己拡張部材において悪化する。この理由により、そして、図21を参照すると、らせん状スリット1050の始端が、いずれかの直線レール・セグメント1017の遠位位置1021に位置するか、またはその遠位位置1021に隣接した位置に位置する。図19に示す対角的配置および/またはらせん状のスリット1050の構成による利点は、らせん状スリット1050が、座屈が発生し易い場所から延びており、さらに、ストラット要素1032が自己拡張部材1012の長さ方向に座屈することを阻止する。図22に示すように、別の実施態様においては、スリット1050が、自己拡張部材1012の筒状を成す本体部1026の外周部のうちの一部のみに沿って対角的に(斜めに)延びている。図22に示す実施態様においては、スリット1050が、直線レール・セグメント1017の遠位位置1021から延び出している。別の実施態様においては、それぞれのストラット要素1032の座屈が、自己拡張部材1012の近位端部1024のうちの遠位位置ではない位置から開始する場合に、スリット1050の始端が、前記座屈の開始点(スリット1050が存在しなかったならその座屈が開始するであろう位置)に位置するとともに、その開始点から遠位方向に長軸に沿って延びている。
【0062】
図23は、本発明の別の実施形態に従う、体内導管または脈管(血管)を治療する脈管治療デバイス2000を示している。図23は、この脈管治療デバイス2000を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。この脈管治療デバイス2000は、自己拡張部材2012を有し、その自己拡張部材2012は、長手状のフレキシブル・ワイヤ2040に装着されるかまたは他の方法で連結されており、そのフレキシブル・ワイヤ2040は、自己拡張部材2012から近位方向に延びている。一実施態様においては、自己拡張部材2012が、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。一実施態様においては、自己拡張部材2012が、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるワイヤ・セグメント2042(近位ワイヤ・セグメント)を有し、そのワイヤ・セグメント2042は、長手状のフレキシブル・ワイヤ2040を自己拡張部材2012に連結するために使用される。この種の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ2040を、ワイヤ・セグメント2042に、半田、溶接、接着剤または他の既知の装着方法を用いて連結することが可能である。別の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ2040の遠位端が、自己拡張部材2012の近位端2020に直接的に装着される。
【0063】
図23に示す実施形態においては、自己拡張部材2012が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント2024を有しており、それら波状エレメント2024のうち互いに隣接するものは、周方向に並んだ複数のセル構造体2026を形成するように互いに連結されている。自己拡張部材2012は、近位端部2013と、筒状を成す本体部2014と、遠位端部2015とを有し、本体部2014に位置する複数のセル構造体2026は、連続的に、かつ、自己拡張部材2012の長軸2032まわりを全周にわたって延びている。近位端部2013および遠位端部2015に位置する複数のセル構造体2026は、自己拡張部材2012の長軸2032まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。複数のセル構造体2027,2028,2029および2030を構成する複数の近位ウォール・セグメント2016は、図23の2次元平面展開図で見ると、直線的であるかまたは実質的に直線的である複数の直線ストラット要素2016を有する。一実施態様においては、それら直線ストラット要素2016が、各々、連続的であり、かつ、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメント2017を形成するように並んでおり、それら直線レール・セグメント2017は、近位端部2013の近位端2020から、本体部2014のうちの、最も近位寄りの端まで延びており(再び、図23の2次元平面展開図で見ると)、また、望ましくは、それぞれが互いに同じ長さを有する。図6Aおよび図6Bを参照して前述したように、それら直線レール・セグメント2017は、実際には、直線的ではなく、曲線的でかつ波状部を有しない形状を有する。有利なことは、この構成によれば、それら直線レール・セグメント2017が波状部を有しないものとなり、それにより、押出力(軸方向力)がそれら直線レール・セグメント2017に作用したときに、それら直線レール・セグメント2017が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上するということである。別の望ましい実施態様においては、ワイヤ・セグメント2042または2040のうち該当するものとそれら直線レール・セグメント2017との成す角度qが、約140度から約150度までの範囲内にある。一実施態様においては、直線レール・セグメント2017が、幅寸法を有し、その幅寸法は、セル構造体2027および/または2028および/または2029および/または2030および/または2026を構成する複数のストラット要素のうち互いに隣接したものの幅寸法より拡大されている。直線レール・セグメント2017の幅寸法が他の部位の幅寸法より拡大されているということによっても、押出力(軸方向力)が自己拡張部材2012に作用したときに、それら直線レール・セグメント2017が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上する。別の実施態様においては、直線レール・セグメント2017が、他の部位より拡大された幅寸法を有しないが、その場合と同じかまたは類似した効果を得るために、他の部位より拡大された厚さ寸法を有する。さらに別の実施態様においては、直線レール・セグメント2017につき、幅寸法も厚さ寸法も、他の部位より拡大され、それにより、上述の効果と同じかまたは類似した効果が得られる。
【0064】
一実施態様においては、最も近位寄りのセル構造体2027を構成する内側ストラット要素2080の幅寸法および/または厚さ寸法も、自己拡張部材2012がシースまたは送給カテーテル内を通過するように押し出される間に、それら内側ストラット要素2080の座屈に対抗するように、他の部位の寸法より拡大されている。例示的な実施態様においては、他の部位より寸法が拡大されたストラット要素2016および2080の、切断時における公称幅寸法が約0.0045インチであり、一方、他のストラット要素の、切断時の公称幅寸法は約0.003インチである。
【0065】
図24Aおよび図24Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス3000を示している。図24Aは、この脈管治療デバイス3000を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図24Bは、この脈管治療デバイス3000を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス3000の全体の設計構造は、図23に示すとともにその図を参照して前述された脈管治療デバイス2000の設計構造に類似している。それら2つの設計構造間の主要な違いは、セル構造体2026,2027,2028,2029および2030の長さ寸法Lの、幅寸法Wに対する比率にある。図24Aに示すセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、概して、図23に示すセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率より大きいということである。図示されているように、図24Aに示す脈管治療デバイス3000のセル構造体についての長さ寸法Lは、切断時の状態でいうと、概して、図23に示すそれぞれのセル構造体についての長さ寸法より大きく、一方、図24Aに示す脈管治療デバイス3000のセル構造体についての幅寸法Wは、概して、図23に示すそれぞれのセル構造体についての幅寸法より小さい。その結果、図24Aに示すセル構造体におけるそれぞれのストラット要素2040のスロープ(傾斜)が、概して、図23に示すセル構造体におけるそれぞれのストラット要素のスロープより小さい。ストラット要素2040のスロープを小さくするとともに他の寸法特性および材料特性を維持することにより、ストラット要素2040の長さに沿った有効力成分(有効半径方向力)が減少する。この減少によってもたらされる効果は、図24Aに示す脈管治療デバイス3000において、複数の軸方向力成分を、AA線に沿って合計した値が、BB線に沿って合計した値に近似するレベルが、図23に示す脈管治療デバイス2000より高い。実験によって本発明者らが発見したことは、切断時のセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率が約2.0より大きいことと、拡張時のセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率が約1.25より大きいこととの組合せにより、自己拡張部材2012の長さに沿った、長軸方向における半径方向力の分布であって、自己拡張部材2012が送給カテーテルの内腔内を通過するように押し出されるとともにその内腔内に回収される能力を向上させるものが結果的に利点として発生するということである。
【0066】
図26、図27Aおよび図27Bは、本発明の別の実施形態に従う自己拡張部材5000を示す。その自己拡張部材5000は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント5024を有しており、それら波状エレメント5024のうち互いに隣接するものは、互いに位相が一致しない非同位相状態で、かつ、対角的に配列されただ複数のセル構造体5026であって互いに約40.0度から約50.0度までの範囲内の角度を成すものを形成するように互いに連結されている。一実施態様においては、それらセル構造体5026が、約45.0度を有する直線に沿って斜めに配置されている。自己拡張部材5000は、近位端部5014と、筒状を成す本体部5016と、遠位端部5018とを有し、本体部5016に位置する複数のセル構造体5026は、連続的に、かつ、自己拡張部材5000の長軸まわりを全周にわたって延びている。近位端部5014および遠位端部5018に位置する複数のセル構造体5026は、自己拡張部材5000の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。
【0067】
一実施態様においては、自己拡張部材5000が、非拡張状態すなわちクリンプ状態で約1.0mmの公称直径を有し、また、設計上、移植可能な状態で約4.0mmの最大直径を有する。
【0068】
一実施態様においては、自己拡張部材5000が、約36.0プラス・マイナス2.0mmという全長Aを有し、それの本体部5016は、約19.0プラス・マイナス2.0mmの長さPを有する。一実施態様においては、本体部5016内のストラットの幅寸法Nおよび厚さ寸法Oがそれぞれ、約0.0021プラス・マイナス0.0004インチおよび約0.0032プラス・マイナス0.0005インチであり、一方、近位レール・セグメント5030のストラットの幅寸法Lは、約0.0039プラス・マイナス0.004インチである。
【0069】
使用中、自己拡張部材5000は、第1公称直径を有する非拡張状態すなわち収縮(圧縮)状態(図示しない)で、患者の、屈曲蛇行した脈管または体内導管内を通過するように治療部位まで前進させられ、この自己拡張部材5000は、非拡張状態から、半径方向に拡張した拡張状態まで動くこと(変形すること)が可能であり、その拡張状態は、自己拡張部材5000が前記治療部位において展開するために、前記第1公称直径より大きい第2公称直径を有する。別の例示的な実施態様においては、前記第1公称直径(例えば、本体部16の平均直径)が、約0.017インチ(約0.43mm)から約0.030インチ(約0.76mm)までの範囲内にあり、これに対し、前記第2公称直径(例えば、本体部5016の平均直径)は、約2.5mmから約5.0mmまでの範囲内にある。一実施態様においては、セル構造体5026のうち、自己拡張部材5000のうちの本体部5016内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、患者から塞栓(塞栓性閉塞)を部分的にまたは完全に除去することが可能な方法で、前記脈管内に存在する塞栓との係合をセル構造体5026に行わせるのに十分な大きさの半径方向力および接触相互作用を生成するように、選択される。別の実施態様においては、セル構造体5026のうち、自己拡張部材5000のうちの本体部5016内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、単位長さ当たりに発生する半径方向力(引き裂き強度、引張強さ)が、約0.005N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、望ましくは、約0.010N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、さらに望ましくは、約0.030N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように、選択される。一実施態様においては、本体部5016の直径が、設計上、完全に拡張した移植状態において、約4.0mmであり、このとき、セル構造体5026のセル・パターン(セル配列)、ストラット寸法および材料が、本体部5016の直径が1.5mmまで減少すると、生成される半径方向力が、約0.040N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように選択される。それと同じかまたは別の実施態様においては、セル構造体5026のセル・パターン、ストラット寸法および材料が、本体部5016の直径が3.0mmまで減少すると、生成される半径方向力が、約0.010N/mmから約0.020N/mmまでの範囲内にあるように選択される。
【0070】
一実施態様においては、図29のグラフで示すように、セル構造体5026が、特定の寸法特性および材料特性を有するように構成されており、それら寸法特性および材料特性は、自己拡張部材5000が収縮状態すなわちクリンプ状態にあるときに、自己拡張部材5000に作用する半径方向力の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が、約1.50Nと約2.50Nとの間の範囲内にある状態を生起する。自己拡張部材5000が、収縮状態すなわちクリンプ状態から最初に半径方向に約0.50mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、自己拡張部材5000に作用する半径方向力が減少する量の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となる。自己拡張部材5000が、前記初期直径拡張範囲に後続して約0.5mm拡張する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、自己拡張部材5000に作用する半径方向力が減少する量の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となり、このことは、自己拡張部材5000が前記設計上の、完全に拡張した移植状態に移行して、0ではない半径方向力になるまで、継続する。有利であることは、前記初期直径拡張範囲の間、自己拡張部材5000が、比較的大きい半径方向力を発生させ、それにより、当該脈管治療デバイスの初期展開状態において、自己拡張部材5000のストラット要素が患者の導管内の塞栓に係合する可能性が増加するということである。さらに、半径方向力が減少するレート(減少勾配)の初期値が、前記初期直径拡張範囲において、それより後続する直径拡張範囲におけるより、はるかに大きい。図29によって示される例示的な実施態様においては、概して前記初期直径拡張範囲において、半径方向力の減少レート(減少勾配)の初期値が、後続する直径拡張範囲における半径方向力の減少レート(減少勾配)より約20.0−約30.0倍大きい。このような半径方向力特性によってもたらされる利点は、半径方向力の大きな値を、自己拡張部材5000の初期展開段階で実現し得、それにより、自己拡張部材5000のストラット要素が、前記導管内の塞栓内に入り込むことが促進され、このとき、前記初期展開段階に後続する段階において、半径方向力の減少量が大きくなり、その大きな減少量により、合併症を併発することなく、かつ、前記導管に対する不良な相互作用が制限されつつ(例えば、導管壁に対する損傷が少なくて済むなど)、塞栓が患者の導管から除去される能力が向上する。前記半径方向力特性によってもたらされる別の利点は、半径方向力の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が減少するレート(減少勾配)が、線形性に似た特性で減少し、非常に減少した減少レートにおいては、自己拡張部材5000に作用している半径方向力を予測できる精度が、自己拡張部材5000の直径の大小の如何を問わず、均一化されるということである。さらに、有利なことは、自己拡張部材5000に作用する半径方向力が、自己拡張部材5000が、設計上の、移植可能な最大直径の直径を示すときに、0ではない値を実現するように設計されるということである。
【0071】
上述の説明は、多くの具体的事項を含むが、それら具体的事項は、本明細書の開示の範囲を制限するものと解釈すべきではなく、単に、本明細書の開示についての望ましいいくつかの実施態様の例示であると解釈すべきである。例えば、本明細書に列挙されている寸法値以外の寸法値も対象となる。例えば、塞栓回収デバイスであって、拡張時における直径が1.0mmと100.0mmとの間にあり、かつ、長さが最大で、5.0cmから10.0cmまでの範囲内にあるものも対象となる。さらに、本明細書に開示されている複数の特徴のうちの大部分が、前述の種々の実施態様の間で置換可能であることも理解される。当業者であれば、本明細書の開示の範囲および主旨の範囲内にある他の多くの潜在的な変形例を想起する。さらに、本明細書に開示されている複数の実施態様に従う脈管治療デバイスを送給するために、カテーテル、シースまたは他の器具であって当該デバイスを、収縮状態にある自己拡張部材と一緒に治療部位まで送給することが可能であるとともにその自己拡張部材が続いて、脈管内の治療部位において展開することを可能にするものを使用することが可能であることも理解すべきである。その脈管内の治療部位は、(1)血流の方向を変換(ダイバート)するという目的および/またはコイルまたは他の同様な構造体を動脈瘤嚢内に留置するという目的のために、動脈瘤のある頚部である可能性、(2)塞栓を除去するという目的のために、その塞栓が存在する部位である可能性、(3)脈管を通過する血流の速度を増加させるために狭窄部を拡径するという目的のために、その狭窄部が存在する部位である可能性などがある。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2009年12月21日に出願された米国特許出願第12/643,942号の優先権を主張する、その出願の一部継続出願であり、米国特許出願第12/643,942号は、2009年10月5日に出願された米国特許出願第12/573,676号の一部継続出願であり、米国特許出願第12/573,676号は、2009年7月8日に出願された米国特許出願第12/499,713号の一部継続出願である。
【技術分野】
【0002】
本出願は、体内の脈管(vasculature)および他の導管(duct、ダクト)を治療するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自己拡張性(外力なしで自ら拡径する性質)を有する人工器官、例えば、ステント、被覆ステント、脈管(vascular, 血管)グラフト(移植片)、フロー・ダイバータ(flow diverter)などのようなものが、体内の導管(ダクト)を治療するために開発されてきた。それら人工器官のうちの多くは、脈管内の障害物(blockages、塞栓、血栓)および脳内に発生する動脈瘤(aneurysms)を治療するために開発されてきた。必要とするのは、脈管および他の体内導管の治療、例えば、動脈瘤、狭窄部(stenoses)、塞栓性閉塞(embolic obstructions)などのようなものの治療の改善された方法およびデバイスである。
【発明の概要】
【0004】
一実施態様によれば、脈管または体内導管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称(代表、平均)直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称(代表、平均)直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開(deployment、配置、配備、留置)のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸(縦軸)まわりを全周にわたって(circumferentially、全周的)延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に(less than circumferentially、部分周的に)延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール(wall、壁)・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール(rail)・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状スリットを有する。
【0005】
別の実施態様によれば、キットが提供され、
そのキットは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、
その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導(navigate)されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向(術者から遠ざかる方向であって、治療部位に接近する方向)に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向(術者に接近する方向)に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状スリットを有する。
【0006】
一実施態様によれば、体内導管または脈管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された(diagonally disposed)複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する位置まで延びている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤが連結され、そのワイヤは、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるとともにそれら脈管または体内導管にアクセス(到達)するために十分な長さおよび柔軟性を有している。
【0007】
別の実施態様によれば、脈管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、前記自己拡張部材が前記非拡張状態から前記拡張状態に遷移するにつれて前記自己拡張部材の捩れが誘導されるように配置された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材の前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する位置まで延びている。
一実施態様においては、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤが連結され、そのワイヤは、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるとともにそれら脈管または体内導管にアクセスするために十分な長さおよび柔軟性を有している。
【0008】
別の実施態様によれば、体内導管または脈管を治療するデバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、筒状部と遠位端部とを有し、
前記筒状部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
最も外側に位置するセル構造体は、前記筒状部において、複数の、最も近位寄りに位置する端点を有している。
前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りに位置する複数の端点のうちの一つまたは複数は、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤを有し、
そのワイヤは、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるとともにそれら脈管または体内導管に到達するために十分な長さおよび柔軟性を有している。
【0009】
別の実施態様によれば、キットが提供され、
そのキットは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、
その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されている。
【0010】
別の実施態様によれば、患者の管腔(vessel、血管)から塞栓(embolic obstruction、塞栓性閉塞)を除去する方法が提供され、
その方法は、
(a)送給カテーテルを前進させる(advance)工程であって、その送給カテーテルは、患者の頭蓋内脈管(intracranial vasculature、頭蓋内血管)内において前記塞栓が存在する部位(site)に対する近位端および遠位端を有する内腔を有し、それにより、前記内腔の前記遠位端が、前記塞栓に対して遠位側に位置し、前記内腔は、第1長さ寸法を有するものと、
(b)前記送給カテーテルの前記内腔の前記近位端内に塞栓回収デバイス(retrieval device、探索器具、回収器具)を導入する(introduce)とともに、長手状の自己拡張部材を前記内腔の前記遠位端まで前進させる(advance)工程であって、前記塞栓回収デバイスは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に前記自己拡張部材が連結されており、前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で、有しており、前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する、直線的である複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、前記第1長さ寸法より長い第2長さ寸法を有するものと、
(c)前記送給カテーテルを、前記複数のセル構造体のうちの少なくとも一つが前記塞栓のうちの少なくとも一部を捕捉(entrap)するように前記自己拡張部材が展開するのに十分であるように近位方向に後退させる(retract)工程と、
(d)前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材を、近位方向に後退させて患者の体外に抜去する(retract)工程とを含んでいる。
別の実施態様においては、前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材が近位方向に後退させられて患者の体外に抜去される(retract)のに先立ち、前記自己拡張部材が部分的にまたは完全に前記送給カテーテルの前記内腔内に格納される(retract)。
【0011】
別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、長手状の自己拡張部材を有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、相手と交差するように連結される複数の第1交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延び、また、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、相手と交差するように連結される複数の第2交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数の第1交差ストラットのうちの少なくとも一部の厚さ寸法(半径方向寸法)の、幅寸法(周方向寸法)に対する比率は、1より大きい。
【0012】
さらに別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、送給ワイヤと、長手状の自己拡張部材とを有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、前記近位端は、その近位端から延びるようにその近位端と一体的に形成されたワイヤ・セグメントを有し、
そのワイヤ・セグメントの周囲にコイルが配置され、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記ギャップ内の接合剤(bonding agent)を用いて前記送給ワイヤの遠位端に連結される。
【0013】
さらに別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、送給ワイヤと、長手状の自己拡張部材とを有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記第1公称直径(非拡張状態)から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有する。
一実施態様においては、前記長手状の自己拡張部材が、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きい。
【0014】
さらに別の実施態様によれば、デバイスが提供され、
そのデバイスは、送給ワイヤと、長手状の自己拡張部材とを有し、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有するが、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記第1公称直径(非拡張状態)から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有する。
一実施態様においては、前記長手状の自己拡張部材が、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に開示されている事項についての他のいくつかの実施態様が以下の図面を参照しつつ本明細書に記載されている。
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材から遠位方向に延びる遠位ワイヤ・セグメントを示す。
【図3】図3は、非外傷性(非侵襲性)の先端部を有する自己拡張部材の遠位端を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す自己拡張部材のうち、最も近位寄りに位置するセグメンを示す拡大図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材の遠位端を示す。
【図6A】図6Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図7C】図7Cは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図9】図9は、拡張状態にある自己拡張部材であってバルジすなわち大径部を有するもの示す。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図11A】図11Aは、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図11B】図11Bは、図11Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図13A】図13Aは、本発明の一実施形態に従って塞栓を回収する方法を示す。
【図13B】図13Bは、本発明の一実施形態に従って塞栓を回収する方法を示す。
【図13C】図13Cは、本発明の一実施形態に従って塞栓を回収する方法を示す。
【図14】図14は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図15】図15は、本発明のさらに別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図16】図16は、本発明の別の実施形態に従う自己拡張部材であって内部ワイヤ・セグメントを有するものを示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明の別の実施形態に従う自己拡張部材であって外部ワイヤ・セグメントを有するものを示す斜視図である。
【図18】図18は、本発明のさらに別の実施形態に従う自己拡張部材であって塞栓を捕捉するデバイスを遠位側に有するものを示す斜視図である。
【図19】図19は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図20】図20は、図19に示す自己拡張部材であって長軸方向に延びる(longitudinal、長さ方向に延びる、直線的に延びる)スリットを有するものを示す。
【図21】図21は、図19に示す自己拡張部材であってらせん状を成すスリットを有するものを示す。
【図22】図22は、図19に示す自己拡張部材であって部分的にらせん状を成すスリットを有するものを示す。
【図23】図23は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図24A】図24Aは、本発明のさらに別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図24B】図24Bは、図24Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図25】図25は、本発明の一実施形態に従い、自己拡張部材のうちの、近位方向に延びるワイヤ・セグメントを送給ワイヤに連結する仕方を示す。
【図26】図26は、本発明のさらに別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図である。
【図27A】図27Aは、図26に示す自己拡張部材を示す斜視図である。
【図27B】図27Bは、図26に示す自己拡張部材を示す平面図である。
【図28A】図28Aは、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材のうちの近位ワイヤ・セグメントを示す。
【図28B】図28Bは、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材のうちの遠位ワイヤ・セグメントを示す。
【図29】図29は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材における半径方向力の変化を示すカーブを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aおよび図1Bは、脈管または体内導管を治療する脈管治療デバイス(塞栓回収デバイス、血管治療デバイス)10であって、本発明の一実施形態に従うものを示している。この脈管治療デバイス10は、患者の頭蓋内脈管(intracranial vasculature、頭蓋内血管)に到達してそれを治療するという用途、例えば、動脈瘤(aneurysms)を治療するという用途、塞栓(embolic obstructions、塞栓性閉塞)を捕捉して除去するという用途に特に適している。しかし、この脈管治療デバイス10は、前記脈管内の他の部位または他の体内導管に到達してそれを治療するという用途に利用可能であることが理解される。他の用途には、例えば、狭窄部(stenoses)の治療や、脈管についての他の種類の疾患または異常の治療がある。図1Aは、この脈管治療デバイス10を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図1Bは、この脈管治療デバイス10を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス10は、自己拡張部材12を有しており、その自己拡張部材12は、長手状のフレキシブル・ワイヤ40に装着されるかまたは他の方法で連結されており、そのフレキシブル・ワイヤ40は、自己拡張部材12から近位方向に延びている。一実施態様においては、自己拡張部材12は、形状記憶材料、例えば、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。一実施態様においては、自己拡張部材12が、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるワイヤ・セグメント42(近位ワイヤ・セグメント)を有し、そのワイヤ・セグメント42は、長手状のフレキシブル・ワイヤ40を自己拡張部材12に連結するために使用される。この種の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40を、ワイヤ・セグメント42に、半田、溶接、接着剤または他の既知の装着方法を用いて連結することが可能である。別の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が自己拡張部材12の近位端に直接的に装着される。一実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が、約0.005インチ(約0.127mm)の幅寸法を有する平坦形状を有し、このとき、ワイヤ・セグメント42の幅寸法は約0.0063インチ(約0.160mm)、厚さ寸法は約0.0035インチ(約0.089mm)である。
【0017】
一実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が、近位方向に延びるワイヤ・セグメント42(近位ワイヤ・セグメント)に、後述の方法によって装着され、その結果、図25に示す連結部が実現される。一実施態様においては、コイル41が、ワイヤ・セグメント42上に配置され、そのコイル41は、密巻きセグメント41aであって、自己拡張部材12の近位端20に接触するものと、疎巻きセグメント41bであって、少なくとも一つのギャップ41cを有するものとを有する。そのギャップ41cは、疎巻きセグメント41bの内部空洞内に接合剤が少なくとも充填されるのに十分なサイズを有する。一実施態様においては、ワイヤ・セグメント42の長さとコイル41の長さとが互いに一致する。一実施態様においては、ワイヤ・セグメント42の長さが、4.0mmであり、このとき、コイル41も同じ長さを有する。コイル41がワイヤ・セグメント42上に設置されると、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端が、疎巻きセグメント41b内に設置され、それにより、その遠位端が、ワイヤ・セグメント42の近位端部に接触するとともにその近位端部と長さ方向にオーバラップする。その後、接合剤がコイル41のギャップ41cを通過するように塗布され、それにより、フレキシブル・ワイヤ40がワイヤ・セグメント42に接合される。その接合剤は、接着剤、半田または他の適切な接合剤とすることが可能である。その接合剤が半田である場合、当該プロセスのうちの先行するステップが、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端部およびワイヤ・セグメント42の近位端部を、錫(tin)または他の適切な湿潤剤(wetting agent)で被覆するステップを含む。一実施態様においては、その半田が、金であって、前記連結部のX線不透過性(放射線不透過性)が向上し、それにより、その連結部が、近位側に位置するX線不透過マーカとして作用するように使用される。金を使用することに加えて、コイル41の全体または一部を、X線不透過材料で構成し、それにより、前記連結部のX線不透過性をさらに向上させることが可能である。一実施形態によれば、フレキシブル・ワイヤ40とワイヤ・セグメント42との間に位置するオーバラップ部の長さが、0.75mmと1.0mmとの間の範囲内にある。同じ実施態様であるかまたは別の実施態様において、疎巻きセグメント41bの長さが、フレキシブル・ワイヤ40とワイヤ・セグメント42との間に位置するオーバラップ部の長さと一致するかまたは実質的に一致する。別の実施態様においては、1巻き分のコイル41に代えて、巻き数が2以上であるコイル(2本以上のコイル)であって互いに接触するものを、例えば、第1の密巻きコイルが、自己拡張部材12の近位端20に接触し、第2の疎巻きコイルが、前記第1の密巻きコイルに対して近位方向に位置するギャップを有する状態で使用することが可能である。いずれの図面にも図示しないが、一実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ40の遠位端部のうちのある長さ部分が、遠位方向に進むにつれて先細となって、公称直径から、それより小さい寸法に減少するテーパ部である。その長さ部分に沿って、テーパ部を有しない遠位ワイヤ・コイルであって外径が一定であるものが与えられる。一実施態様によれば、コイル41の直径(外径)が、前記遠位ワイヤ・コイルの外径と一致する。
【0018】
上述の連結構造による一つの利点は、その連結構造が、脈管治療デバイス10が送給カテーテル内を通過するように押し続けられる間、座屈し難い一方で、脈管治療デバイス10が、患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位内を通過するように送給されることを可能にするのに十分な程度の柔軟性を有するということである。一方、前記連結構造は、破断することなく、大きな引張荷重および大きなトルク荷重に耐えることができる。荷重テストにより、前述の実施形態についての前記連結構造は、2ポンドを超える大きさの引張応力に耐えることが可能であることが証明された。一実施態様においては、コイル41が、近位側に位置するX線不透過マーカとしても機能するように、X線不透過材料により構成される。
【0019】
図28Aは、近位ワイヤ・セグメント4002(自己拡張部材4004から近位方向に延びるワイヤ・セグメント)についての別の構成を示している。図示されているように、近位ワイヤ・セグメント4002は、第1部分4002aと、第2部分4002bとを有し、その第2部分4002bは、第1部分4002aの幅寸法より広い幅寸法Wを有する。一実施態様においては、テーパ遷移部4003が、第1部分4002aおよび第2部分4002bを互いに連結する。一実施態様においては、第1部分4002aの幅寸法Wが、約0.0063インチであり、このとき、第2部分4002bの幅寸法Wが、約0.0085インチと約0.0105インチとの間の範囲内にある。一実施態様においては、自己拡張部材4004の近位端4005と、近位ワイヤ・セグメント4002のうちの第2部分4002bとの間の長さ寸法Lが、約0.017インチと約0.022インチとの間の範囲内にある。第2部分4002bを有することの利点は、幅寸法Wが広いほど、近位セグメント・ワイヤ4002を長手状のフレキシブル・ワイヤ40に接合するのに使用可能な表面積が増加するということであり、フレキシブル・ワイヤ40は、自己拡張部材4004を患者の導管まで送給したり、その導管から抜去する際に使用される。一実施態様においては、第1部分4002aが、円形断面構造または円形断面構造に実質的に等しい構造を有し、第2部分4002bが、加圧/コイニングというプロセスによって形成された平坦形状を有する。
【0020】
図1Aおよび図1Bに示す実施態様においては、自己拡張部材12が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント24を有しており、それら波状エレメント24のうち互いに隣接するもの同士は、互いに位相が一致しない非同位相状態で、かつ、対角的に並んだ(互いに斜めに並ぶように対角的に配列された)複数のセル構造体26を形成するように、互いに連結されている。自己拡張部材12は、近位端部14と、筒状を成す本体部16と、遠位端部18とを有し、本体部16に位置する複数のセル構造体26は、連続的に、かつ、自己拡張部材12の長軸30まわりを全周にわたって延びている。近位端部14および遠位端部18に位置する複数のセル構造体26は、自己拡張部材12の長軸30まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。
【0021】
一実施態様においては、自己拡張部材12が、約33.0mmという全長を有し、それの本体部16は、約16.0mmの長さを有し、近位端部14および遠位端部18はそれぞれ、約7.0mmという長さを有する。別の実施態様においては、本体部16の長さが、概して、近位端部14および遠位端部18の長さより約2.5−約3.5倍大きい。
【0022】
使用中、自己拡張部材12は、第1公称直径を有する非拡張状態すなわち収縮(圧縮)状態(図示しない)で、患者の、屈曲蛇行した脈管または体内導管内を通過するように治療部位まで前進させられ、この自己拡張部材12は、非拡張状態から、半径方向に拡張した拡張状態まで動くこと(変形すること)が可能であり、その拡張状態は、自己拡張部材12が前記治療部位において展開するために、前記第1公称直径より大きい第2公称直径を有する。別の例示的な実施態様においては、前記第1公称直径(例えば、本体部16の平均直径)が、約0.017インチ(約0.43mm)から約0.030インチ(約0.76mm)までの範囲内にあり、これに対し、前記第2公称直径(例えば、本体部16の平均直径)は、約2.5mmから約5.0mmまでの範囲内にある。一実施態様においては、セル構造体26のうち、自己拡張部材12のうちの本体部16内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、患者から塞栓(塞栓性閉塞)を部分的にまたは完全に除去することが可能な方法で、前記脈管内に存在する塞栓との係合をセル構造体26に行わせるのに十分な大きさの半径方向力および接触相互作用を生成するように、選択される。別の実施態様においては、セル構造体26のうち、自己拡張部材12のうちの本体部16内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、単位長さ当たりに発生する半径方向力(引き裂き強度、引張強さ)が、約0.005N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、望ましくは、約0.010N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、さらに望ましくは、約0.030N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように、選択される。一実施態様においては、本体部16の直径が、完全に拡張した状態において、約4.0mmであり、このとき、セル構造体26のセル・パターン(セル配列)、ストラット寸法および材料が、本体部16の直径が1.5mmまで減少すると、発生する半径方向力が、約0.040N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように選択される。それと同じかまたは別の実施態様においては、セル構造体26のセル・パターン、ストラット寸法および材料が、本体部16の直径が3.0mmまで減少すると、発生する半径方向力が、約0.010N/mmから約0.020N/mmまでの範囲内にあるように選択される。
【0023】
図1Aおよび図1Bに示すいくつかの実施態様においては、各セル構造体26が同じ寸法を有するように示されており、このとき、各セル構造体26は、一対の短いストラット32と、一対の長いストラット34とを有する。例示的な一実施態様においては、ストラット32が、約0.080インチと約0.100インチとの間の範囲内の長さ寸法を有し、ストラット34が、約0.130インチと約0.140インチとの間の範囲内の長さ寸法を有し、このとき、各ストラット32,34は、切断時(as-cut)の幅寸法(レーザ切断されるチューブの周方向寸法)および厚さ寸法(半径方向寸法)として約0.003インチおよび約0.0045インチをそれぞれ有し、また、研磨後(post-polishing)の幅寸法および厚さ寸法として約0.0022インチおよび約0.0039インチをそれぞれ有する。各ストラット32,34の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きいことによる利点は、ストラット32,34が前記塞栓に係合すること(integration)が促進(容易化)されるということである。別の実施態様においては、研磨後の幅寸法が、約0.0020インチから約0.0035インチまで変化するとともに、研磨後の厚さ寸法が、約0.0030インチから約0.0040インチまで変化し、このとき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.0から約2.0まで、望ましくは、約1.25から約1.75まで変化する。
【0024】
一実施態様においては、本体部16に位置するストラット32および34のみにつき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きい。別の実施態様においては、本体部16および遠位端部18に位置するストラット32および34のみにつき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きい。別の実施態様においては、複数のストラット32および34の一部のみにつき、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率が1より大きい。さらに別の実施態様においては、同じ自己拡張部材12のうちの、互いに異なる複数の部分に位置する複数のストラット32および34が、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率に関して互いに異なり、前記互いに異なる複数の部分のそれぞれの前記比率は、1より大きい。一例としては、自己拡張部材12の近位端部14および遠位端部18に作用する半径方向力は、本体部16に作用する半径方向力より概して小さい可能性があるため、近位端部14および/または遠位端部18に位置する複数のストラット32および34の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、本体部16に位置する複数のストラット32および34の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率より大きい。この構成による利点は、自己拡張部材12が塞栓に係合する能力が、自己拡張部材12の長さに沿ってより一様であるように達成されることである。
【0025】
他の実施態様においては、複数のストラット32および34のうちの一部または全部が、テーパ形状(先細形状)を有し、そのテーパ形状は、ストラット32,34の外面の幅寸法が、内面の幅寸法より狭いというものである。他の実施態様においては、自己拡張部材12が、概して矩形状を成す断面を有する複数のストラット32および34と、テーパ形状を有する複数のストラット32および34との双方を有することが可能である。
【0026】
注記することが重要であることは、本発明の適用対象は、一様な複数のセル構造体26を有する自己拡張部材12にも、特別の寸法特性を有する複数のセル構造体26にも限定されないということである。一例として、別の実施態様においては、近位端部14または/および遠位端部18に位置する複数のセル構造体26のサイズが、本体部16に位置する複数のセル構造体26より大きいかまたは小さい。一実施態様においては、近位端部14および遠位端部18に位置する複数のセル構造体26のサイズが、本体部16に位置する複数のセル構造体26より大きく、その結果、近位端部14および遠位端部18に作用する半径方向力が、本体部16に作用する半径方向力より小さくなる。
【0027】
自己拡張部材12の半径方向強度は、自己拡張部材12の長さに沿って種々の方法で変化させることが可能である。一つの方法は、質量(例えば、幅寸法および/または厚さ寸法)を自己拡張部材12の長さに沿って変化させることである。別の方法は、セル構造体26のサイズを自己拡張部材12の長さに沿って変化させることである。セル構造体26は、一般に、サイズが小さい場合には、サイズが大きい場合より、大きな半径方向力を発生させる。作用する半径方向力を自己拡張部材12の長さに沿って変化させることは、塞栓を捕捉して回収するという用途において特に有利である。例えば、一実施態様においては、半径方向力が、拡張状態にある自己拡張部材12の本体部16のうちの遠位部分において、本体部16のうちの近位部分より大きい。このような構成によれば、半径方向に拡張して塞栓内に侵入する量が、前記遠位部分の方が、前記近位部分に比較して大きいことが促進(容易化)される。自己拡張部材12は、塞栓を患者から除去する除去過程において、近位方向に引っ張られるため、上述の構成によれば、患者から塞栓を除去する上記除去過程において、その塞栓からそれの一部が粒子として離散(dislodge、ディスロッジ、分断、離脱、飛散)してしまう可能性が減少する。別の実施態様においては、半径方向力が、拡張状態にある自己拡張部材12の本体部16のうちの近位部分において、本体部16のうちの遠位部分より大きい。さらに別の実施態様においては、自己拡張部材12の本体部16が、近位部分と、中間部分と、遠位部分とを有し、自己拡張部材12が拡張状態にあるとき、半径方向力が、それら近位部分および遠位部分において、中間部分より大きい。
【0028】
図9に例示するように、いくつかの他の実施態様においては、本体部16が、大径部すなわちバルジ(膨出部)70を有することが可能であり、その大径部70によれば、自己拡張部材12が塞栓を捕捉するかまたは他の方法で塞栓に係合する能力が向上する。図9においては、単一の大径部70が、本体部16の中央部内に設けられている。別のいくつかの実施態様においては、大径部70が、前記中央部に対して近位寄りの位置または遠位寄りの位置に配置される。別のいくつかの実施態様においては、2以上の大径部70が、本体部16の長さに沿って配置される。一実施態様においては、それら2以上の大径部70が、製造時における公称直径に関して本質的に互いに共通する。別の実施態様においては、それら大径部70のうち、最も遠位寄りに位置するものが、それより近位寄りに位置する他の大径部70より、製造時における公称直径に関して大きい。別の例示的ないくつかの実施態様においては、大径部70の公称直径が、本体部16の公称直径より約25.0−約45.0%大きい。例えば、一実施態様においては、本体部16の、拡張状態における公称直径が約3.0mmである一方、大径部70の公称直径が約4.0mmである。別の実施態様においては、本体部16の、拡張状態における公称直径が約3.50mmである一方、大径部70の公称直径が約5.00mmである。一実施態様においては、拡張(拡径)可能なマンドレルを本体部16の内部通路内に配置し、そのマンドレルを、目標直径を有する大径部70が形成されるように拡張することにより、1以上の大径部70が形成される。別の実施態様においては、所定の幅寸法および直径寸法を有するマンドレルを本体部16内に配置し、その後、自己拡張部材12を、本体部16のうちの少なくとも一部が前記マンドレルに押し付けられるように収縮させることにより、1以上の大径部70が形成される。
【0029】
一実施態様においては、1つまたは2つ以上の大径部70の位置におけるストラット32および34が、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率に関し、本体部16に位置する他のストラット32および34より大きい。さらに別の実施態様においては、1つまたは2つ以上の大径部70の位置におけるストラット32および34が、厚さ寸法の、幅寸法に対する比率に関し、本体部16に位置する他のストラット32および34より小さい。
【0030】
一実施態様においては、遠位ワイヤ・セグメント50であって、自己拡張部材12に装着されるかまたは一体的に形成されたものが、自己拡張部材12の遠位端22から遠位方向に延びるとともに、自己拡張部材12を患者の治療部位まで送給するために自己拡張部材12を誘導することを支援するように構成されている。図2は、一実施態様に従う遠位ワイヤ・セグメント50を示しており、この遠位ワイヤ・セグメント50は、一様断面を有する第1部分52と、遠位方向に行くにつれて断面積が減少するテーパ断面を有する第2部分54とを有する。例示的な一実施態様においては、第1部分52が、約3.0mmの長さを有し、さらに、切断時の断面寸法として、約0.0045インチ×約0.003インチを有し、これに対し、第2部分54が、約4.0mmの長さを有し、さらに、最も遠位寄りの位置まで断面が減少し、その最も遠位寄りの位置の、切断時の断面寸法は、約0.002インチ×約0.003インチである。研磨後に脈管治療デバイス10について行われるプロセスには、一般に、エッチング・プロセスがあり、このプロセスが行われると、一般に、切断時の断面寸法が40%から50%までの範囲内で減少する。別の実施態様においては、図3に示すように、遠位ワイヤ・セグメント50が、一様断面を有するスプリング部材57を有し、さらに、非外傷性(非侵襲性)の遠位先端部58を備えている。別の実施態様においては、スプリング部材(要素)57および/または非外傷性先端部58が、例えばプラチナのようなX線不透過材料によって構成されるかまたは被覆されている。
【0031】
図28bは、遠位ワイヤ・セグメントについての別の構成を示している。図示されているように、遠位ワイヤ・セグメント4010は、第1部分4011aと、第2部分4011bとを有し、その第2部分4011bは、第1部分4011aの幅寸法より広い幅寸法Wを有する。一実施態様においては、テーパ遷移部4012が、第1部分4011aと第2部分4011bとを互いに連結する。一実施態様においては、第2部分4011bの幅寸法Wが、約0.003インチと約0.004インチとの間の範囲内にあり、このとき、自己拡張部材4014の遠位端4013と、遠位ワイヤ・セグメント4010のうちの第2部分4011bとの間の長さ寸法Lが、約0.015インチと約0.020インチとの間の範囲内にある。第2部分4011bを有することの利点は、幅寸法Wが広いほど、コイル/スプリング・セグメント(スプリング部材)57を遠位セグメント・ワイヤ4010に接合するのに使用可能な表面積が増加するということである。一実施態様においては、第1部分4011aが、円形断面構造または円形断面構造に実質的に等しい構造を有し、第2部分4011bが、加圧/コイニングというプロセスによって形成された平坦形状を有する。
【0032】
一実施態様においては、後に詳述するように、自己拡張部材12が、送給カテーテルの内腔を通過して、患者の治療部位まで送給され、その送給カテーテルは、自己拡張部材12の送給に先立ち、前記治療部位に留置されている。別の実施態様においては、脈管治療デバイス10が、シース(鞘)を有し、そのシースは、自己拡張部材12が前記治療部位まで送給される間、自己拡張部材12を収縮状態(非拡張状態)に拘束し、そのシースは、自己拡張部材12が拡張状態に移行するために、近位方向に抜去可能である。
【0033】
一実施態様においては、拡張状態にある自己拡張部材12が、例えば、それ自身、前記治療部位に存在する塞栓(血栓)内に挿入される(embed)というプロセスにより、前記治療部位に存在する塞栓(血栓)に係合することが可能であり、さらに、長手状のフレキシブル・ワイヤ40のうち、患者の体外に存在する部分を、自己拡張部材12および前記塞栓のうちの少なくとも一部が患者から抜去されるまで、引っ張ることにより、自己拡張部材12を患者から抜去することが可能である。
【0034】
別の実施態様において、前記複数のセル構造体26のうちの少なくとも一部を形成するために、複数の波状エレメント24が位相が互いに一致しないように(非同位相で)互いに連結されたものを使用することは、いくつかの利点を有する。第1に、セル構造体26が曲線形状を有するという性質により、自己拡張部材12が患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位を通過して前記治療部位まで送給される期間における自己拡張部材12の柔軟性が向上する。さらに、複数の波状エレメント24が非同位相であるという非同位相位置関係により、自己拡張部材12を構成する複数のエレメントがよりコンパンクな入り子構造となり、それにより、自己拡張部材12が収縮時に示す直径が減少する。自己拡張部材12において複数のストラット32および34が示すパターンであって、図1Aに示すものや、本明細書に記載されている別の種々の実施態様におけるものについての具体的な利点は、自己拡張部材12を構成する複数のエレメントが順々にはまり込んで入れ子(sequential nesting)となり、これにより、自己拡張部材12が部分的にまたは完全に展開した後に引き続いて送給カテーテルの内腔内に挿入されることが可能となるということである。上述の非同位相位置関係により、さらに、複数のセル構造体26の対角的配向(配列)が生成され、その対角的配向(配列)は、自己拡張部材12が収縮状態と拡張状態との間を遷移するにつれて、ねじれ動作を誘発する可能性があり、そのねじれ動作は、自己拡張部材12が前記塞栓にうまく係合することを助ける。別の実施態様においては、自己拡張部材12が拡張する間に、必要なねじれ動作が発生するように、自己拡張部材12の複数のセル構造体26が特別に配列される。この方法によれば、例えば、異なる複数の種類の塞栓に対処するために、互いに異なる複数の自己拡張部材12であって、それぞれに発生するねじれ動作の程度が互いに異なるものを利用することが可能である。
【0035】
蛍光透視下で脈管治療デバイス10を視認できる能力(可視性)を向上させるために、自己拡張部材12を、タングステン、プラチナ、プラチナ/イリジウム、タンタルおよび金のようなX線不透過材料によって完全にまたは部分的に被覆することが可能である。これに代わるか、またはX線不透過被膜の使用と組み合わせて、X線不透過マーカ60を、自己拡張部材12の近位端20および遠位端22と同じ位置かまたはそれらの近傍位置に配置するか、および/または近位ワイヤ・セグメント42および遠位ワイヤ・セグメント50に沿って配置するか、および/または自己拡張部材12の複数のストラット32および34のうち選択されたものに配置することが可能である。一実施態様においては、X線不透過マーカ60が、プラチナ製コイルのようなX線不透過コイルである。
【0036】
図4Aは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス100を2次元平面展開図で示す。この脈管治療デバイス100は、製造されたチューブの状態および/または拡張されたチューブの状態において、図1Bに示す脈管治療デバイス10と同様な構成を有する。図1Aおよび図1Bに関連付けて前述した脈管治療デバイス10のように、脈管治療デバイス100は、自己拡張部材112を有し、その自己拡張部材112は、長手状のフレキシブル・ワイヤ140に連結されている。自己拡張部材112は、近位端部114と、筒状を成す本体部116と、遠位端部118とを有する。上述のように、自己拡張部材112を非拡張状態で患者の治療部位まで送給するために、自己拡張部材112を送給カテーテルの近位端内に挿入して留置し、自己拡張部材112が、治療部位と同じ位置に予め留置されたかまたはその治療部位を通過するように予め留置された前記送給カテーテルの遠位端に到達するまで、自己拡張部材112を前記送給カテーテルの内腔内を通過するように押すという一方法を行う。近位方向に延びている長手状のフレキシブル・ワイヤ140は、自己拡張部材112の近位端120に装着されるかまたは連結されており、そのフレキシブル・ワイヤ140は、自己拡張部材112に作用した押出力を、自己拡張部材112のうち、長手状のフレキシブル・ワイヤ140との連結部に伝達するように設計されている。図4Aに示すとともに、図4Bにより詳細に示すように、脈管治療デバイス100は、脈管治療デバイス10についての前述のいくつかの実施態様に対し、複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するセル構造体128および130であって近位端部114内に存在するものが、複数のストラット要素であって、自己拡張部材112内の他のストラット要素の幅寸法W2より広い(拡大された)幅寸法W1を有するものを有する点で異なっている。図示されているように、最も近位寄りのセル構造体(複数のセル構造体)128を構成する複数のウォール・セグメント(ウォール部、壁部)のうち、最も近位寄りに位置するウォール・セグメント160,162および164は、幅寸法W1を有するストラットにより構成されている。さらに、最も近位寄りのセル構造体(一つのセル構造体)130を構成するすべてのストラットは、拡大幅寸法W1を有する。幅寸法W1を有する複数のストラットが存在するおかげで、いくつかの利点が得られる。ある利点は、それらストラットにより、フレキシブル・ワイヤ140の遠位端により自己拡張部材112の近位端120に加えられた押出力が、自己拡張部材112が患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位内を進行させられる際に、自己拡張部材112の外周まわりにより均等に分散されるということである。そのようにより均等に分散された押出力により、局部的に発生する大きな力成分が最小化され、その力成分が最小化されないと、その力成分が自己拡張部材112内のそれぞれのまたは複数のストラット要素に作用して、それらストラット要素に座屈を発生させる。さらに、幅寸法W1を有する複数のストラット要素を近位端部114の外周部に配置することにより、それらストラット要素のおかげで、フレキシブル・ワイヤ140によって近位端部114に加えられる押出力のもとその近位端部114に座屈が発生する傾向が大きく低減される。一実施態様においては、切断時の幅寸法W1が約0.0045インチであり、切断時の幅寸法W2が約0.003インチである。前述のように、研磨後に脈管治療デバイス100について行われるプロセスには、一般に、エッチング・プロセスがあり、このプロセスが行われると、一般に、切断時の断面寸法が40%から50%までの範囲内で減少する。
【0037】
注記することが重要であることは、幅寸法W1が、幅広であるすべてのストラットの間において互いに同一であるように図示されているが、このことは不可欠ではない。例えば、一実施態様においては、ウォール・セグメント158が、ウォール・セグメント160の拡大幅寸法より広い拡大幅寸法を有する態様や、ウォール・セグメント160が、ウォール・セグメント162の拡大幅寸法より広い拡大幅寸法を有する態様、その他の態様が可能である。さらに、最も近位寄りのセル構造体130の内側ストラット要素166が、ウォール・セグメント(ストラット)158の拡大幅寸法より広い拡大幅寸法を有する態様が可能である。また、別の実施態様においては、ウォール・セグメント(ストラット)158,160,162,164などにつき、それぞれの幅寸法を拡大することに代わるか、または、それと組み合わせて、それぞれの半径方向厚さ寸法を拡大することが可能である。
【0038】
さらに別の実施態様においては、図5に示すように、自己拡張部材112の遠位端部118に位置する複数のストラット要素180のうちの一部が、他のストラット要素180より大きい質量(重量)を有しており、それにより、脈管治療デバイス100が患者の治療部位まで進行させられる際、ストラット要素180の座屈およびあり得る破断に対する耐性を向上させる。図示する実施態様においては、ストラット要素180が、遠位ワイヤ・セグメント150と同じ幅寸法を有するように、形状が設定されている。別の実施態様においては、ストラット要素180につき、それの幅寸法を拡大することに代わるか、または、それと組み合わせて、それの厚さ寸法を拡大することが可能である。
【0039】
図6Aおよび図6Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス200を示している。図6Aは、この脈管治療デバイス200を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図6Bは、この脈管治療デバイス200を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス200は、自己拡張部材212を有しており、その自己拡張部材212は、近位端部214と、筒状を成す本体部216と、遠位端部218とを有し、自己拡張部材212の近位端220に長手状のフレキシブル・ワイヤ240が装着されるかまたは他の方法で連結されている。この脈管治療デバイス200の構成は、図4Aに関連付けて前述された脈管治療デバイス100の構成と類似するが、セル構造体228および230の複数の近位ウォール・セグメント260が、図6Aにおいて2次元平面展開図で見ると、直線的であるかまたは実質的に直線的である複数のストラット要素を有する点では異なる。一実施態様においては、直線的である複数の近位ウォール・セグメント260が、連続するとともに実質的に直線的である複数の直線レール・セグメント270を形成するように配列されており、それら直線レール・セグメント270は、近位端部214の近位端220から、本体部216のうちの、最も近位寄りの端まで延びており(同様に、図6Aにおいて2次元平面展開図で見ると)、また、望ましくは、それら直線レール・セグメント270は、互いに同じ長さ寸法を有するが、互いに異なる長さ寸法を有してもよい。図6Aに示すパターンが、チューブ構造体を切断するレーザに適用されると、自己拡張部材212が、最終的に、図6Bに示す構成を有することになる。図6Bに示すように、それら直線レール・セグメント270は、実際には、直線的ではなく、曲線的でかつ波状部を有しない形状を有する。有利なことは、この構成によれば、それら直線レール・セグメント270が波状部を有しないものとなり、それにより、押出力(軸方向力)がそれら直線レール・セグメント270に作用したときに、それら直線レール・セグメント270が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上するということである。別の望ましい実施態様においては、ワイヤ・セグメント240とそれら直線レール・セグメント270との成す角度qが、約140度から約150度までの範囲内にある。一実施態様においては、直線レール・セグメント270(2本、第1および第2の直線レール・セグメント)のうちの一方または両方が、幅寸法W1を有し、その幅寸法W1は、セル構造体228および230のうちの、互いに隣接した複数のストラット要素の幅寸法より大きい。直線レール・セグメント270のうちの一方または両方の幅寸法W1が他の部位の幅寸法より拡大されているということによっても、押出力(軸方向力)がそれら直線レール・セグメント270に作用したときに、それら直線レール・セグメント270が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上する。別の実施態様においては、直線レール・セグメント270のうちの一方または両方が、他の部位より拡大された幅寸法を有しないが、その場合と同じかまたは類似した効果を得るために、他の部位より拡大された厚さ寸法を有する。さらに別の実施態様においては、直線レール・セグメント270のうちの一方または両方につき、幅寸法も厚さ寸法も、他の部位より拡大され、それにより、上述の効果と同じかまたは類似した効果が得られる。さらに別の実施態様においては、自己拡張部材212が送給カテーテルまたはシース(図示しない)内に装填されるかまたは収容されるときに、自己拡張部材212の近位端部214の圧縮力がさらに均等に分散するように、各直線レール・セグメント270の幅寸法および/または厚さ寸法が、位置によって変化させられる(分布させられる)。
【0040】
図7Aおよび図7Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス300を示している。図7Aは、この脈管治療デバイス300を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図7Bは、この脈管治療デバイス300を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス300は、自己拡張部材312を有しており、その自己拡張部材312は、近位端部314と、筒状を成す本体部316と、遠位端部318とを有し、自己拡張部材312の近位端320に長手状のフレキシブル・ワイヤ340が装着されるかまたは他の方法で連結されている。この脈管治療デバイス300の構成は、図6Aおよび図6Bに関連付けて前述された脈管治療デバイス200の構成と類似するが、複数のセル構造体のうち、最も近位寄りの1つのセル構造体330が、図7Aにおいて2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有する点では異なる。実質的にダイアモンド形状を有するセル構造体330は、一対の外側ストラット要素358および358と、一対の内側ストラット要素(第1および第2の内側レール)360および360とを有し、それぞれのストラット要素358,360は、図4に示す実施形態および図6に示す実施形態に関連して前述したように、幅寸法および/または厚さ寸法に関し、他の部位より拡大されている。別の望ましい実施態様においては、図7Aにおいて2次元平面展開図で見ると、内側ストラット要素360が、外側ストラット要素358に、約25.0度から約45.0度までの範囲内の角度bで交差する。内側ストラット要素360と外側ストラット要素358とが配向される角度を上述の範囲内に維持すると、自己拡張部材312が座屈することなく、しかも、自己拡張部材312が、送給過程において、収縮時の直径が減少する能力を実質的に阻害することなく、自己拡張部材312の可推性(pushability、押出性、押圧性、押し易さ)が向上する。
【0041】
一実施態様においては、内側ストラット要素360が、外側ストラット要素350より少ない重量を有し、それにより、自己拡張部材312が拡張状態から収縮状態に移行する際に、それらストラット要素358および360が簡単に曲がることが可能となる。このことにより、自己拡張部材312が収縮時に示す直径が減少することが促進(容易化)される。別の実施態様においては、図7Cに示すように、内側ストラット要素360が外側ストラット要素358に、曲線セグメント(曲線コネクタ)361を介して連結されており、それにより、自己拡張部材312が送給状態(収縮状態)に収縮されるとき、内側ストラット要素360が簡単に曲がることが可能となる。
【0042】
図8は、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス400を示している。この脈管治療デバイス400の構成は、図6Aおよび図6Bに示す脈管治療デバイス200の構成と類似するが、この脈管治療デバイス400の自己拡張部材412が、それの近位端部414において、長手状の2本のフレキシブル・ワイヤ440および441であって、共に遠位方向に延びるものに連結されている点では異なる。図示されているように、フレキシルブ・ワイヤ440は、近位端部414のうちの、最も近位寄りの端である最近位端420に装着されるかまたは他の方法で連結されており、一方、フレキシルブ・ワイヤ441は、近位端部414のうちの、最も遠位寄りの端である最遠位端422に、レール・セグメント470との連結点の位置において、装着されるかまたは他の方法で連結されている。さらに別の実施態様においては、長手状の別のフレキシブル・ワイヤ(図示しない)を最遠位端422に装着することが可能である。2本またはそれ以上の本数のフレキシブル・ワイヤ440および441を、押出力を自己拡張部材412の近位端部414に加えるために使用することは、その近位端部414に作用する押出力を複数の装着点(接続点)に分散させるため、有利である。
【0043】
図10は、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス500を示している。図10に示す実施形態においては、自己拡張部材512が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント524を有しており、それら波状エレメント524のうち互いに隣接するものは、互いに位相が一致しない非同位相状態で、かつ、対角的に並んだ(互いに斜めに並ぶように対角的に配列された)複数のセル構造体526を形成するように互いに連結されている。自己拡張部材512は、筒状を成す本体部516と、遠位端部518とを有し、本体部516に位置する複数のセル構造体526は、連続的に、かつ、自己拡張部材512の長軸530まわりを全周にわたって延びている。遠位端部518に位置する複数のセル構造体526は、自己拡張部材512の長軸530まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。複数のセル構造体526のうち、最も近位寄りに位置する複数のセル構造体(最近位セル構造体)528に装着されるかまたは他の方法で連結されているのは、各々、近位方向に延びる長手状の複数本のフレキシブル・ワイヤ540である。長手状のフレキシブル・ワイヤ540を複数本使用することにより、自己拡張部材512の近位端に作用する押出力が、その自己拡張部材512のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが可能となる。別の実施態様においては、図10に示されていないが、複数の最近位セル構造体528の複数のストラット532が、同じ自己拡張部材512の他の部位に位置するストラットより大きな幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような構成によっても、前記押出力が、自己拡張部材512のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが促進(容易化)され、さらに、前記押出力を直接的に受ける複数のストラット532が座屈することが阻止される。
【0044】
図11Aおよび図11Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス600を示している。図11Aは、この脈管治療デバイス600を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図11Bは、この脈管治療デバイス600を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。図11Aおよび図11Bに示す実施形態においては、自己拡張部材612が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント624を有しており、それら波状エレメント624のうち互いに隣接するものは、曲線コネクタ(連結部)628によって互いに連結され、それにより、自己拡張部材612の長さのまわりに配置された複数のクローズド・セル構造体626が形成されている。図示された実施形態においては、自己拡張部材612が、近位端部612と、筒状部(本体部)616とを有し、筒状部616に位置する複数のセル構造体626は、連続的に、かつ、自己拡張部材612の長軸630まわりを全周にわたって延びている。近位端部614に位置する複数のセル構造体626は、自己拡張部材612の長軸630まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。別の実施態様においては、自己拡張部材612が、図1Aおよび図1Bに示す自己拡張部材12によく類似するように、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有する。この種の実施態様においては、自己拡張部材612の遠位端部に位置する複数のセル構造体626が、図11Aに示す近位端部614と同様な方法で、自己拡張部材612の長軸630まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。さらに、図1A,図4A,図6A,図7A,図7C,図10,図14,図15および図19−図24に示す複数の自己拡張部材は、遠位端部(例えば、図1Aにおいては、遠位端部18)が省略され、それにより、図11Aに示す自己拡張部材612のように、近位端部および本体部のみが存在するように、変更することが可能である。
【0045】
図12は、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス700を示している。図12は、この脈管治療デバイス700を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図12に示す実施形態においては、自己拡張部材712が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント724を有しており、それら波状エレメント724のうち互いに隣接するものは、曲線コネクタ(連結部)728によって互いに連結され、それにより、自己拡張部材712の長さのまわりに配置された複数のクローズド・セル構造体726が形成されている。図示された実施形態においては、自己拡張部材712が、筒状部(本体部)716と、遠位端部718とを有し、筒状部716に位置する複数のセル構造体726は、連続的に、かつ、自己拡張部材712の長軸730まわりを全周にわたって延びている。遠位端部718に位置する複数のセル構造体726は、自己拡張部材712の長軸730まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。図10に示す実施形態い関連して記載されたものと同様な方法で、複数のセル構造体726のうち、最も近位寄りに位置する複数の最近位セル構造体732の各々に、各々近位方向に延びる複数本の長手状のフレキシブル・ワイヤ740が装着されるかまたは他の方法で連結されている。この構成により、自己拡張部材712の近位端に作用する押出力が、その自己拡張部材712のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが可能となる。別の実施態様においては、図12に示されていないが、複数の最近位セル構造体732の複数のストラットが、同じ自己拡張部材712の他の部位に位置するストラットより大きな幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような構成によっても、前記押出力が、自己拡張部材712のうちの、近位側における周囲部まわりに、より均等に分散されることが促進(容易化)され、さらに、前記押出力を直接的に受ける前記複数のストラットが座屈することが阻止される。
【0046】
前述のように、使用中、本発明に係る自己拡張部材は、第1公称直径を有する非拡張状態すなわち収縮(圧縮)状態で、患者の、屈曲蛇行した脈管または体内導管内を通過して、例えば塞栓(embolic obstruction、塞栓性閉塞、閉塞部、血栓)のような治療部位まで挿入され、この自己拡張部材は、非拡張状態から、半径方向に拡張した拡張状態まで動くこと(変形すること)が可能であり、その拡張状態は、この自己拡張部材が前記治療部位において展開するために、前記第1公称直径より大きい第2公称直径を有する。図13Aないし図13Cには、自己拡張部材912を、塞栓950の存在部位まで送給してその場所において展開する一方法が示されている。図13Aに示すように、送給カテーテル960であって内腔962を有するものが、塞栓950まで挿入され、それにより、その送給カテーテル960の遠位端964が、塞栓950に対して遠位寄りとなる位置に位置させられる。送給カテーテル960が塞栓950に適切に位置させられた後、塞栓回収デバイス(脈管治療デバイス)900が送給カテーテル960内に挿入されるが、その挿入は、自己拡張部材912を送給カテーテル960の近位端(図示しない)内に導入し、その後、その自己拡張部材912を、押出力を長手状のフレキシブル・ワイヤ940に作用させることにより、送給カテーテル960の内腔962内を通過するように前進させることによって行われる。送給カテーテル960および塞栓回収デバイス900上に配置されたX線不透過マーカおよび/またはX線不透過被膜を使用することにより、図13Bに示すように、自己拡張部材912が送給カテーテル960の遠位端964に位置決めされ、それにより、自己拡張部材912の本体部916が、長さ方向において、塞栓950と位置合わせされる。図13Cに示すように、送給カテーテル960を近位方向に引っ張る一方で、自己拡張部材912を定位置に保持することにより、自己拡張部材912が展開される。塞栓950内において自己拡張部材912が拡張状態まで展開されると、自己拡張部材912が、送給カテーテル960と一緒に、患者の体外位置まで抜去される。一実施態様においては、塞栓回収デバイス900を患者から完全に抜去するのに先立ち、自己拡張部材912が、最初に、部分的に後退させられ、それにより、自己拡張部材912が送給カテーテル960の遠位端964に係合させられる。
【0047】
一実施態様においては、自己拡張部材912が塞栓950において拡張されると、ある長さの時間、同じ場所に留置され、それにより、塞栓950を通過するように最終的に生成される血流により、塞栓950が溶解させられるように塞栓950を通過する灌流(perfusion)通路が形成される。この種の実施態様においては、塞栓950を患者の体外に回収するために塞栓950の一部を自己拡張部材912によって捕捉することが不要である。塞栓950を通過する目標通路を形成するために塞栓950の大部分がすでに溶解させられているか、または、最終的に生成される血流によって塞栓950が完全に除去される場合には、自己拡張部材912を送給カテーテル960内に回収(withdraw)し、その後、自己拡張部材912を患者から抜去することが可能である。
【0048】
別の実施態様においては、自己拡張部材912が塞栓950において拡張され、ある長さの時間、同じ場所に留置され、それにより、塞栓950を通過するように最終的に生成される血流により、塞栓950が変化させられるように塞栓950を通過する灌流(perfusion)通路が形成されるが、塞栓950の変化は、塞栓を、自己拡張部材912によってより簡単に捕捉されるものにする方法、および/または、塞栓を患者の管腔壁(vessel wall、血管壁)からより簡単に分離されるものにする方法によって行われる。例えば、塞栓950を通過するように形成される血流を、塞栓の組織を変化させるのに十分な長さの時間、塞栓950を通過するように生成することが可能であり、その時間の長さは、塞栓を自己拡張部材912によってより簡単に捕捉されるものとする長さおよび/または塞栓を前記管腔壁からより簡単に分離されるものにする長さとすることが可能である。上述の方法を行う場合のように、塞栓950を通過するように血流を生成することは、さらに、組織を保全するためにも役立つ。一実施態様においては、塞栓950を通過する血流を、塞栓子を溶解させるために使用することが可能である。しかし、このように変更された方法では、塞栓子の溶解が、塞栓が自己拡張部材912によってより簡単に捕捉されるように塞栓子を調製する(prepare、準備する)という目的のために行われる。例えば目標の公称(代表、平均)直径を有する塞栓950を形成することにより、塞栓950が適切に調製された場合には、自己拡張部材912が、送給カテーテル940の遠位端964から展開(配備)され、それにより、自己拡張部材912が塞栓950に係合させられる。塞栓950の全部または一部を患者から除去することは、前述の方法に類似する方法によって行われる。
【0049】
さらに別の実施態様においては、自己拡張部材912が塞栓950内に送給されて拡張されると、自己拡張部材912を、長手状のフレキシブル・ワイヤ940から分離し、それにより、自己拡張部材912を患者の体内に永久的に留置することが可能である。この種の実施態様においては、長手状のフレキシブル・ワイヤ940を自己拡張部材912に装着する方法により、それら2つの部品を互いに分離することが可能である。このことは、例えば、自己拡張部材912と長手状のフレキシブル・ワイヤ940との間に位置する機械的なインタロック(連結機構、連動装置)または腐食可能な電解質接合部を使用することにより、行うことが可能である。
【0050】
本明細書に記載されているように、本発明の種々の実施形態に従う自己拡張部材は、自身の遠位端に装着される遠位ワイヤ・セグメントを有してもよいし、有しなくてもよい。別の望ましい実施態様においては、塞栓に自己拡張部材を永久的に留置するように設計された脈管治療デバイスが、自己拡張部材の遠位端に装着される遠位ワイヤ・セグメントを有しない。
【0051】
本発明に係る自己拡張部材におけるセル・パターン(セル配列)に付随する利点の一つは、長手状のフレキシブル・ワイヤに引張力を作用することによって自己拡張部材を回収すると、拡張状態での自己拡張部材の直径が小さくなり、この状態で自己拡張部材が患者から回収され、それにより、脈管が損傷する可能性が減少するということである。さらに、血栓回収(除去)中、自己拡張部材のサイズが減少するにつれて、複数のセル構造体が折り畳まれて血栓をつかんで保持し(pinch down on the clot)、それにより、血栓回収(除去)能力が向上する。別の利点は、セル・パターンにより、自己拡張部材が部分的にまたは完全に展開した後に、自己拡張部材を送給カテーテルの内腔内に格納することが可能となるということである。したがって、いずれかの時点において、自己拡張部材が、不適切な位置で、部分的にまたは完全に展開してしまったと判断されると、その自己拡張部材を、送給カテーテルの遠位端内に格納し、そして、正規な位置に再度、位置決めすることが可能である。
【0052】
図14を参照するに、図6Aに示す脈管治療デバイス200の一変形例が示されており、その変形例は、自己拡張部材212のうちの筒状を成す本体部216に位置する複数のセル構造体226のうちの少なくとも一部に交差する複数の幅狭ストラット要素280を有する。それら幅狭ストラット要素280は、セル構造体226を形成する複数のストラット要素282より狭い幅寸法を有するように形状が設計されている。別のいくつかの例示的な実施態様においては、幅狭ストラット要素280の切断時または研磨後の幅寸法が、他のストラット要素282の切断時または研磨後の幅寸法よりそれぞれ、約25−約50%狭い。血栓回収という目的で使用する場合、幅狭ストラット要素282の目的は、自己拡張部材212が塞栓に係合して捕捉する能力を向上させることにある。この目的は、いくつかの要因のおかげで達成される。第1に、幅狭ストラット要素280の幅寸法が狭いことにより、それら幅狭ストラット要素280が塞栓を貫通する(塞栓に入り込む)することが容易になる。第2に、自己拡張部材212が塞栓内において展開されるにつれて、それら幅狭ストラット要素280は、捕捉した塞栓のうちのいくつかの部分を、それら幅狭ストラット要素280より外側に位置してそれらより幅広であるストラット要素282との間で挟んでつまむように作用する。第3に、それら幅狭ストラット要素280は、塞栓に作用する半径方向力を局部的に増加させるために使用することが可能である。注記することが重要なことは、幅狭ストラット要素280の用途は、自己拡張部材212の筒状を成す本体部216内に位置する複数のセル構造体226内において使用するという用途に限定されないということである。それら幅狭ストラット要素280は、機能向上という観点から、自己拡張部材212を構成する複数のセル構造体226の一部または全部に配置することが可能である。さらに、注記することが重要なことは、幅狭ストラット要素280の用途は、図6に示す実施形態に限定されるのではなく、本明細書に開示されている種々の実施形態のすべてに適用可能であるということである。最後に、別のいくつかの例示的な実施態様においては、図15に示すように、複数の幅狭ストラット要素280が、一つまたは2つ以上のセル構造体226内に配置され、また、それら幅狭ストラット要素280は、さらに、単一の幅狭ストラット要素280を有するセル構造体226および/または幅狭ストラット要素280を有しないセル構造体226と協働するように使用することも可能である。
【0053】
動脈瘤の治療においては、血流をダイバート(方向変換)するという用途のために脈管治療デバイス200が使用される場合、複数のセル構造体226が、動脈瘤嚢から遠ざかる向きに血流を効果的に方向変換するのに十分である密度を有する。別の実施態様においては、セル構造体226の密度を調整することに代わるか、または、それと組み合わせて、図14および図15に示す幅狭ストラット要素280に類似した複数の中間ストラット要素が、自己拡張部材212の有効壁表面を増加させるために使用される。それら実施態様においては、それら中間ストラット要素が、セル構造体226の他のストラット要素と同じ寸法か、それより小さい寸法か、もしくは、それより大きい寸法か、またはそれら寸法を組み合わせたものを有する。逆に、別の実施態様であって、複数のコイルまたはそれと似た構造体を動脈瘤嚢の内部に留置することを目的とする動脈瘤の治療に使用されるものにおいては、複数のセル構造体226が、それらコイルを、複数のセル構造体226内を通過することを促進(容易化)するのに十分なサイズを有する。
【0054】
図16は、図6Aおよび図6Bに示す実施形態に従う脈管治療デバイス200の変形例を示しており、その変形例においては、自己拡張部材212が患者の治療部位まで前進する際における自己拡張部材212の可推性(pushability)が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との間を延びる内部ワイヤ・セグメント241の追加によって向上させられている。この方法により、長手状のフレキシブル・ワイヤ240によって加えられる押出力が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との双方に伝達される。内部ワイヤ・セグメント241は、自己拡張部材212の近位端220および遠位端222に装着された独立の部品としてもよいし、望ましくは、長手状のフレキシブル・ワイヤ240から一体的に延びるものとしてもよい。自己拡張部材212が収縮状態で治療部位まで送給される過程において、内部ワイヤ・セグメント241は、前記押出力のうちの少なくとも一部を自己拡張部材212の遠位端222に十分に分配(伝達)するように、実質的に直線的である構造を有する。自己拡張部材212が拡張するとき、自己拡張部材212は、図16に示すように、長さ方向に収縮して、内部ワイヤ・セグメント241にスラック(弛み)を発生させ、自己拡張部材212内において長いピッチを有するらせんが形成される。内部ワイヤ・セグメント241を使用することに付随する別の利点は、自己拡張部材212が拡張されて内部らせんが形成されることにより、自己拡張部材212が塞栓を捕捉することが促進(容易化)されるということである。
【0055】
別の実施態様においては、図17に示すように、自己拡張部材212が患者の治療部位まで前進する際における自己拡張部材212の可推性(pushability)が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との間を延びる外部ワイヤ・セグメント243の追加によって向上させられている。この方法により、長手状のフレキシブル・ワイヤ240によって加えられる押出力が、自己拡張部材212の近位端220と遠位端222との双方に伝達される。外部ワイヤ・セグメント243は、自己拡張部材212の近位端220および遠位端222に装着された独立の部品としてもよいし、望ましくは、長手状のフレキシブル・ワイヤ240から一体的に延びるものとしてもよい。自己拡張部材212が収縮状態で治療部位まで送給される過程において、外部ワイヤ・セグメント243は、前記押出力のうちの少なくとも一部を自己拡張部材212の遠位端222に十分に分配(伝達)するように、実質的に直線的である構造を有する。自己拡張部材212が拡張するとき、自己拡張部材212は、図17に示すように、長さ方向に収縮して、外部ワイヤ・セグメント243にスラック(弛み)を発生させる。外部ワイヤ・セグメント243を使用することに付随する別の利点は、自己拡張部材212が拡張されて、自己拡張部材212が塞栓に係合して捕捉することを促進(容易化)しつつ、外部ワイヤ・セグメント243が直接、塞栓に作用するということである。
【0056】
別の実施態様においては、図18に示すように、遠位塞栓捕捉(distal emboli capture)デバイス251が、自己拡張部材212の遠位ワイヤ・セグメント250上に配置されるか、または、自己拡張部材212の遠位端222に装着される。この遠位塞栓捕捉デバイス251は、自己拡張部材212が拡張される過程、または、遠位閉塞(distal embolization)を予防するために自己拡張部材212が患者から抜去される過程において、塞栓(embolic obstruction)から離散するかもしれない塞栓片(emboli、血栓子、塞栓子)を捕捉するという機能を有する。図18においては、遠位塞栓捕捉デバイス251が、コイルとして示されている。別の実施態様においては、バスケット、塞栓フィルタまたは他の既知の遠位塞栓捕捉デバイスを、自己拡張部材212の遠位端222または遠位ワイヤ・セグメント250に装着することが可能である。
【0057】
反復するに、図14および図15に示すいくつかの実施態様と同様に、注記することが重要であることは、図16、図17および図18に関連して前述した特徴は、図6に示す実施形態に限定されることなく、本明細書に開示されている種々の実施形態のすべてに適用可能であるということである。
【0058】
図19は、本発明の別の実施形態に従う、体内導管または脈管(血管)を治療する脈管治療デバイス1000を示している。図19は、この脈管治療デバイス1000を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。この脈管治療デバイス1000は、自己拡張部材1012を有し、その自己拡張部材1012は、近位端部1024と、筒状を成す本体部1026と、遠位端部1028とを有し、このとき、長手状のフレキシブル・ワイヤ1014が、自己拡張部材1012の近位端1020に装着されるかまたは他の方法で連結されている。この脈管治療デバイス1000の構成は、図6Aに関連して前述した脈管治療デバイス200の構成に類似しているが、近位端部1024に位置する複数のセル構造体1018および1019が、脈管治療デバイス200(図6A)の近位端部214に位置する複数のセル構造体より空間的に詰めて、かつ、より対称的に配列されている点では異なる。この脈管治療デバイス1000の近位端部1024に位置する複数のセル構造体の、より実質的に対称的に並んだ配列により、送給カテーテルまたはシース(図示しない)に対する自己拡張部材1012の装填または離脱が促進(容易化)され、それら装填または離脱は、近位端部1024を、収縮中、より均等に折り畳むことによって行われる。複数のセル構造体1018および1019を構成する複数の近位ウォール・セグメント1016は、図19の2次元平面展開図で見ると、直線的であるかまたは実質的に直線的である複数の直線ストラット要素1016を有する。一実施態様においては、それら直線ストラット要素1016が、各々、連続的であり、かつ、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメント1017を形成するように並んでおり、それら直線レール・セグメント1017は、近位端部1024の近位端1020から、本体部1026のうちの、最も近位寄りの端まで延びており(再び、図19の2次元平面展開図で見ると)、また、望ましくは、それぞれが互いに同じ長さを有する。別の実施態様においては、ワイヤ・セグメント1014と直線レール・セグメント1017との成す角度qが、約140度から約150度までの範囲内にある。一実施態様においては、直線レール・セグメント1017および1017(2本、第1および第2の直線レール・セグメント)のうちの一方または両方が、幅寸法W1を有しており、その幅寸法W1は、セル構造体1018および/または1019および/または1030を構成する複数のストラット要素のうち、互いに隣接するものの幅寸法より拡大されている。直線レール・セグメント1017および1017のうちの一方または両方の幅寸法W1が拡大されていることにより、さらに、押出力がそれら直線レール・セグメント1017に作用する場合に、それら直線レール・セグメント1017が力を分散させる能力および座屈に耐える能力が向上する。別の実施態様においては、直線レール・セグメント1017のうちの一方または両方が、他の部位より拡大された幅寸法を有しないが、その場合と同じかまたは類似した効果を得るために、他の部位より拡大された厚さ寸法を有する。さらに別の実施態様においては、直線レール・セグメント1017のうちの一方または両方につき、幅寸法も厚さ寸法も、他の部位より拡大され、それにより、上述の効果と同じかまたは類似した効果が得られる。さらに別の実施態様においては、自己拡張部材1012が送給カテーテルまたはシース内に装填されるかまたは収容されるように自己拡張部材1012が折り畳まれるときに、自己拡張部材1012の近位端部1024の圧縮力がさらに均等に分散するように、各直線レール・セグメント1017の幅寸法および/または厚さ寸法が、位置によって変化させられる(分布させられる)。
【0059】
後述の説明は図19に示す実施形態に向けられているが、注記することが重要なことは、図20ないし図22に示すいくつかの実施形態によって採用されているスリットが、本明細書に記載されているすべての脈管治療デバイス、それら脈管治療デバイスについての多数の実施態様およびそれらの変形例に適用可能であるということである。
【0060】
ここで図20を参照するに、図19に示す脈管治療デバイス1000は、長軸方向に延びるスリット1040を有しており、そのスリット1040は、自己拡張部材1012の近位端1020から遠位端1022まで延びている。スリット1040により、セル構造体1018,1019および1030が相対的に移動する(接近および離隔する)ことが可能であり、その相対移動は、自己拡張部材1012が送給カテーテルまたはシース内に装填されるかまたは収容されていて自己拡張部材1012が収縮状態にあるときに、自己拡張部材1012のそれぞれのストラット要素1032が座屈することが阻止される方法で行われる。別の実施態様においては、スリット1040が、自己拡張部材1012の全長より短い長さで延びるとともに、機能向上のために重要である(strategically important)ストラット要素の座屈を阻止するように配置されており、そのストラット要素は、自己拡張部材1012が送給カテーテルまたはシース内に効果的に装填されるかまたは回収される能力に対して最も大きな影響を及ぼす。例えば、一実施態様においては、スリット1040が、自己拡張部材1012の近位端部1024であってストラット要素1032が座屈するかまたは折れ曲がる可能性が最も高い場所にのみ配置される。別の実施態様においては、スリット1040が、自己拡張部材1012の近位端部1024と筒状を成す本体部1026との双方に配置される。
【0061】
図21は、図19に示す脈管治療デバイス1000であって、自己拡張部材1012の全周を延びる対角的配置(長軸に対して斜めに交差する方向に延びる配向)型/らせん状のスリット1050を有するものを示している。一実施態様においては、図21に示すように、らせん状スリット1050が、自己拡張部材1012の近位端部1024のうちの、遠位点、または、その遠位点に隣接する位置から延び出している。図19に示す直線レール・セグメント1017のような直線レール・セグメントを有するこの実施形態に関して言えば、らせん状スリット1050は、複数の直線レール・セグメント1017のうちのいずれかの遠位位置1021、またはその遠位位置1021に遠位方向に隣接する位置から延び出している。本明細書に記載された種々の脈管治療デバイスを試験した結果、座屈が、自己拡張部材の近位端部のうちの遠位位置に隣接するストラット要素において発生する傾向があることが判明した。この現象は、近位端部において直線レール・セグメントを有する自己拡張部材において悪化する。この理由により、そして、図21を参照すると、らせん状スリット1050の始端が、いずれかの直線レール・セグメント1017の遠位位置1021に位置するか、またはその遠位位置1021に隣接した位置に位置する。図19に示す対角的配置および/またはらせん状のスリット1050の構成による利点は、らせん状スリット1050が、座屈が発生し易い場所から延びており、さらに、ストラット要素1032が自己拡張部材1012の長さ方向に座屈することを阻止する。図22に示すように、別の実施態様においては、スリット1050が、自己拡張部材1012の筒状を成す本体部1026の外周部のうちの一部のみに沿って対角的に(斜めに)延びている。図22に示す実施態様においては、スリット1050が、直線レール・セグメント1017の遠位位置1021から延び出している。別の実施態様においては、それぞれのストラット要素1032の座屈が、自己拡張部材1012の近位端部1024のうちの遠位位置ではない位置から開始する場合に、スリット1050の始端が、前記座屈の開始点(スリット1050が存在しなかったならその座屈が開始するであろう位置)に位置するとともに、その開始点から遠位方向に長軸に沿って延びている。
【0062】
図23は、本発明の別の実施形態に従う、体内導管または脈管(血管)を治療する脈管治療デバイス2000を示している。図23は、この脈管治療デバイス2000を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。この脈管治療デバイス2000は、自己拡張部材2012を有し、その自己拡張部材2012は、長手状のフレキシブル・ワイヤ2040に装着されるかまたは他の方法で連結されており、そのフレキシブル・ワイヤ2040は、自己拡張部材2012から近位方向に延びている。一実施態様においては、自己拡張部材2012が、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。一実施態様においては、自己拡張部材2012が、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるワイヤ・セグメント2042(近位ワイヤ・セグメント)を有し、そのワイヤ・セグメント2042は、長手状のフレキシブル・ワイヤ2040を自己拡張部材2012に連結するために使用される。この種の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ2040を、ワイヤ・セグメント2042に、半田、溶接、接着剤または他の既知の装着方法を用いて連結することが可能である。別の実施態様においては、フレキシブル・ワイヤ2040の遠位端が、自己拡張部材2012の近位端2020に直接的に装着される。
【0063】
図23に示す実施形態においては、自己拡張部材2012が、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント2024を有しており、それら波状エレメント2024のうち互いに隣接するものは、周方向に並んだ複数のセル構造体2026を形成するように互いに連結されている。自己拡張部材2012は、近位端部2013と、筒状を成す本体部2014と、遠位端部2015とを有し、本体部2014に位置する複数のセル構造体2026は、連続的に、かつ、自己拡張部材2012の長軸2032まわりを全周にわたって延びている。近位端部2013および遠位端部2015に位置する複数のセル構造体2026は、自己拡張部材2012の長軸2032まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。複数のセル構造体2027,2028,2029および2030を構成する複数の近位ウォール・セグメント2016は、図23の2次元平面展開図で見ると、直線的であるかまたは実質的に直線的である複数の直線ストラット要素2016を有する。一実施態様においては、それら直線ストラット要素2016が、各々、連続的であり、かつ、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメント2017を形成するように並んでおり、それら直線レール・セグメント2017は、近位端部2013の近位端2020から、本体部2014のうちの、最も近位寄りの端まで延びており(再び、図23の2次元平面展開図で見ると)、また、望ましくは、それぞれが互いに同じ長さを有する。図6Aおよび図6Bを参照して前述したように、それら直線レール・セグメント2017は、実際には、直線的ではなく、曲線的でかつ波状部を有しない形状を有する。有利なことは、この構成によれば、それら直線レール・セグメント2017が波状部を有しないものとなり、それにより、押出力(軸方向力)がそれら直線レール・セグメント2017に作用したときに、それら直線レール・セグメント2017が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上するということである。別の望ましい実施態様においては、ワイヤ・セグメント2042または2040のうち該当するものとそれら直線レール・セグメント2017との成す角度qが、約140度から約150度までの範囲内にある。一実施態様においては、直線レール・セグメント2017が、幅寸法を有し、その幅寸法は、セル構造体2027および/または2028および/または2029および/または2030および/または2026を構成する複数のストラット要素のうち互いに隣接したものの幅寸法より拡大されている。直線レール・セグメント2017の幅寸法が他の部位の幅寸法より拡大されているということによっても、押出力(軸方向力)が自己拡張部材2012に作用したときに、それら直線レール・セグメント2017が力を分散させる能力と座屈に耐える能力とが向上する。別の実施態様においては、直線レール・セグメント2017が、他の部位より拡大された幅寸法を有しないが、その場合と同じかまたは類似した効果を得るために、他の部位より拡大された厚さ寸法を有する。さらに別の実施態様においては、直線レール・セグメント2017につき、幅寸法も厚さ寸法も、他の部位より拡大され、それにより、上述の効果と同じかまたは類似した効果が得られる。
【0064】
一実施態様においては、最も近位寄りのセル構造体2027を構成する内側ストラット要素2080の幅寸法および/または厚さ寸法も、自己拡張部材2012がシースまたは送給カテーテル内を通過するように押し出される間に、それら内側ストラット要素2080の座屈に対抗するように、他の部位の寸法より拡大されている。例示的な実施態様においては、他の部位より寸法が拡大されたストラット要素2016および2080の、切断時における公称幅寸法が約0.0045インチであり、一方、他のストラット要素の、切断時の公称幅寸法は約0.003インチである。
【0065】
図24Aおよび図24Bは、本発明の別の実施形態に従う脈管治療デバイス3000を示している。図24Aは、この脈管治療デバイス3000を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図24Bは、この脈管治療デバイス3000を、製造された状態および/または拡張された状態で示している。この脈管治療デバイス3000の全体の設計構造は、図23に示すとともにその図を参照して前述された脈管治療デバイス2000の設計構造に類似している。それら2つの設計構造間の主要な違いは、セル構造体2026,2027,2028,2029および2030の長さ寸法Lの、幅寸法Wに対する比率にある。図24Aに示すセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、概して、図23に示すセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率より大きいということである。図示されているように、図24Aに示す脈管治療デバイス3000のセル構造体についての長さ寸法Lは、切断時の状態でいうと、概して、図23に示すそれぞれのセル構造体についての長さ寸法より大きく、一方、図24Aに示す脈管治療デバイス3000のセル構造体についての幅寸法Wは、概して、図23に示すそれぞれのセル構造体についての幅寸法より小さい。その結果、図24Aに示すセル構造体におけるそれぞれのストラット要素2040のスロープ(傾斜)が、概して、図23に示すセル構造体におけるそれぞれのストラット要素のスロープより小さい。ストラット要素2040のスロープを小さくするとともに他の寸法特性および材料特性を維持することにより、ストラット要素2040の長さに沿った有効力成分(有効半径方向力)が減少する。この減少によってもたらされる効果は、図24Aに示す脈管治療デバイス3000において、複数の軸方向力成分を、AA線に沿って合計した値が、BB線に沿って合計した値に近似するレベルが、図23に示す脈管治療デバイス2000より高い。実験によって本発明者らが発見したことは、切断時のセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率が約2.0より大きいことと、拡張時のセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率が約1.25より大きいこととの組合せにより、自己拡張部材2012の長さに沿った、長軸方向における半径方向力の分布であって、自己拡張部材2012が送給カテーテルの内腔内を通過するように押し出されるとともにその内腔内に回収される能力を向上させるものが結果的に利点として発生するということである。
【0066】
図26、図27Aおよび図27Bは、本発明の別の実施形態に従う自己拡張部材5000を示す。その自己拡張部材5000は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメント5024を有しており、それら波状エレメント5024のうち互いに隣接するものは、互いに位相が一致しない非同位相状態で、かつ、対角的に配列されただ複数のセル構造体5026であって互いに約40.0度から約50.0度までの範囲内の角度を成すものを形成するように互いに連結されている。一実施態様においては、それらセル構造体5026が、約45.0度を有する直線に沿って斜めに配置されている。自己拡張部材5000は、近位端部5014と、筒状を成す本体部5016と、遠位端部5018とを有し、本体部5016に位置する複数のセル構造体5026は、連続的に、かつ、自己拡張部材5000の長軸まわりを全周にわたって延びている。近位端部5014および遠位端部5018に位置する複数のセル構造体5026は、自己拡張部材5000の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びている。
【0067】
一実施態様においては、自己拡張部材5000が、非拡張状態すなわちクリンプ状態で約1.0mmの公称直径を有し、また、設計上、移植可能な状態で約4.0mmの最大直径を有する。
【0068】
一実施態様においては、自己拡張部材5000が、約36.0プラス・マイナス2.0mmという全長Aを有し、それの本体部5016は、約19.0プラス・マイナス2.0mmの長さPを有する。一実施態様においては、本体部5016内のストラットの幅寸法Nおよび厚さ寸法Oがそれぞれ、約0.0021プラス・マイナス0.0004インチおよび約0.0032プラス・マイナス0.0005インチであり、一方、近位レール・セグメント5030のストラットの幅寸法Lは、約0.0039プラス・マイナス0.004インチである。
【0069】
使用中、自己拡張部材5000は、第1公称直径を有する非拡張状態すなわち収縮(圧縮)状態(図示しない)で、患者の、屈曲蛇行した脈管または体内導管内を通過するように治療部位まで前進させられ、この自己拡張部材5000は、非拡張状態から、半径方向に拡張した拡張状態まで動くこと(変形すること)が可能であり、その拡張状態は、自己拡張部材5000が前記治療部位において展開するために、前記第1公称直径より大きい第2公称直径を有する。別の例示的な実施態様においては、前記第1公称直径(例えば、本体部16の平均直径)が、約0.017インチ(約0.43mm)から約0.030インチ(約0.76mm)までの範囲内にあり、これに対し、前記第2公称直径(例えば、本体部5016の平均直径)は、約2.5mmから約5.0mmまでの範囲内にある。一実施態様においては、セル構造体5026のうち、自己拡張部材5000のうちの本体部5016内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、患者から塞栓(塞栓性閉塞)を部分的にまたは完全に除去することが可能な方法で、前記脈管内に存在する塞栓との係合をセル構造体5026に行わせるのに十分な大きさの半径方向力および接触相互作用を生成するように、選択される。別の実施態様においては、セル構造体5026のうち、自己拡張部材5000のうちの本体部5016内に存在する部分につき、寸法特性および材料特性が、単位長さ当たりに発生する半径方向力(引き裂き強度、引張強さ)が、約0.005N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、望ましくは、約0.010N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、さらに望ましくは、約0.030N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように、選択される。一実施態様においては、本体部5016の直径が、設計上、完全に拡張した移植状態において、約4.0mmであり、このとき、セル構造体5026のセル・パターン(セル配列)、ストラット寸法および材料が、本体部5016の直径が1.5mmまで減少すると、生成される半径方向力が、約0.040N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように選択される。それと同じかまたは別の実施態様においては、セル構造体5026のセル・パターン、ストラット寸法および材料が、本体部5016の直径が3.0mmまで減少すると、生成される半径方向力が、約0.010N/mmから約0.020N/mmまでの範囲内にあるように選択される。
【0070】
一実施態様においては、図29のグラフで示すように、セル構造体5026が、特定の寸法特性および材料特性を有するように構成されており、それら寸法特性および材料特性は、自己拡張部材5000が収縮状態すなわちクリンプ状態にあるときに、自己拡張部材5000に作用する半径方向力の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が、約1.50Nと約2.50Nとの間の範囲内にある状態を生起する。自己拡張部材5000が、収縮状態すなわちクリンプ状態から最初に半径方向に約0.50mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、自己拡張部材5000に作用する半径方向力が減少する量の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となる。自己拡張部材5000が、前記初期直径拡張範囲に後続して約0.5mm拡張する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、自己拡張部材5000に作用する半径方向力が減少する量の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となり、このことは、自己拡張部材5000が前記設計上の、完全に拡張した移植状態に移行して、0ではない半径方向力になるまで、継続する。有利であることは、前記初期直径拡張範囲の間、自己拡張部材5000が、比較的大きい半径方向力を発生させ、それにより、当該脈管治療デバイスの初期展開状態において、自己拡張部材5000のストラット要素が患者の導管内の塞栓に係合する可能性が増加するということである。さらに、半径方向力が減少するレート(減少勾配)の初期値が、前記初期直径拡張範囲において、それより後続する直径拡張範囲におけるより、はるかに大きい。図29によって示される例示的な実施態様においては、概して前記初期直径拡張範囲において、半径方向力の減少レート(減少勾配)の初期値が、後続する直径拡張範囲における半径方向力の減少レート(減少勾配)より約20.0−約30.0倍大きい。このような半径方向力特性によってもたらされる利点は、半径方向力の大きな値を、自己拡張部材5000の初期展開段階で実現し得、それにより、自己拡張部材5000のストラット要素が、前記導管内の塞栓内に入り込むことが促進され、このとき、前記初期展開段階に後続する段階において、半径方向力の減少量が大きくなり、その大きな減少量により、合併症を併発することなく、かつ、前記導管に対する不良な相互作用が制限されつつ(例えば、導管壁に対する損傷が少なくて済むなど)、塞栓が患者の導管から除去される能力が向上する。前記半径方向力特性によってもたらされる別の利点は、半径方向力の、自己拡張部材5000の全長にわたる合計値が減少するレート(減少勾配)が、線形性に似た特性で減少し、非常に減少した減少レートにおいては、自己拡張部材5000に作用している半径方向力を予測できる精度が、自己拡張部材5000の直径の大小の如何を問わず、均一化されるということである。さらに、有利なことは、自己拡張部材5000に作用する半径方向力が、自己拡張部材5000が、設計上の、移植可能な最大直径の直径を示すときに、0ではない値を実現するように設計されるということである。
【0071】
上述の説明は、多くの具体的事項を含むが、それら具体的事項は、本明細書の開示の範囲を制限するものと解釈すべきではなく、単に、本明細書の開示についての望ましいいくつかの実施態様の例示であると解釈すべきである。例えば、本明細書に列挙されている寸法値以外の寸法値も対象となる。例えば、塞栓回収デバイスであって、拡張時における直径が1.0mmと100.0mmとの間にあり、かつ、長さが最大で、5.0cmから10.0cmまでの範囲内にあるものも対象となる。さらに、本明細書に開示されている複数の特徴のうちの大部分が、前述の種々の実施態様の間で置換可能であることも理解される。当業者であれば、本明細書の開示の範囲および主旨の範囲内にある他の多くの潜在的な変形例を想起する。さらに、本明細書に開示されている複数の実施態様に従う脈管治療デバイスを送給するために、カテーテル、シースまたは他の器具であって当該デバイスを、収縮状態にある自己拡張部材と一緒に治療部位まで送給することが可能であるとともにその自己拡張部材が続いて、脈管内の治療部位において展開することを可能にするものを使用することが可能であることも理解すべきである。その脈管内の治療部位は、(1)血流の方向を変換(ダイバート)するという目的および/またはコイルまたは他の同様な構造体を動脈瘤嚢内に留置するという目的のために、動脈瘤のある頚部である可能性、(2)塞栓を除去するという目的のために、その塞栓が存在する部位である可能性、(3)脈管を通過する血流の速度を増加させるために狭窄部を拡径するという目的のために、その狭窄部が存在する部位である可能性などがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記第1公称直径から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有するデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記長手状の自己拡張部材は、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きいデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスであって、前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、前記本体部に位置する複数のセル構造体のストラットの断面積より大きい断面積を有するストラットを有し、
前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より大きいデバイス。
【請求項5】
請求項3に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.020N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントを有し、
それら直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
各直線レール・セグメントは、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスであって、さらに、
前記自己拡張部材と一体的に形成されるとともに、その自己拡張部材の前記近位端から近位方向に延びるワイヤ・セグメントと、
そのワイヤ・セグメントの周囲に配置された内部空洞を有するコイルと
を含み、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
そのギャップは、接合剤を前記内部空洞内に導入するのに十分であり、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記内部空洞内の前記接合剤を用いて送給ワイヤの遠位端に連結されているデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項10】
請求項8に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項11】
請求項8に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項12】
請求項8に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスであって、さらに、前記本体部に対して遠位寄りに位置する遠位端部を含み、
その遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の前記長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びているデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数のセル構造体は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントから構成されており、
それら波状エレメントのうち互いに隣接するもの同士は、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結されているデバイス。
【請求項15】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記第1公称直径から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有するデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、前記長手状の自己拡張部材は、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きいデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスであって、前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントを有し、
それら直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
各直線レール・セグメントは、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているデバイス。
【請求項18】
塞栓を回収する塞栓回収デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する位置まで延びており、
当該塞栓回収デバイスは、さらに、
前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に連結され、近位方向に延びる長手状のフレキシブルな第1ワイヤを含む塞栓回収デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も遠位寄りの端に対して遠位方向に延びる長手状のワイヤ・セグメントを含む塞栓回収デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のワイヤ・セグメントは、非外傷性の先端部を含む塞栓回収デバイス。
【請求項21】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有する塞栓回収デバイス。
【請求項22】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有するとともに、第1および第2の内側レールを有し、
それら第1および第2の内側レールは、前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成す塞栓回収デバイス。
【請求項23】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有するとともに、第1および第2の内側レールを有し、
それら第1および第2の内側レールは、前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成すとともに、曲線コネクタを介して前記第1および第2の直線レール・セグメントに連結される塞栓回収デバイス。
【請求項24】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、連続的である前記第1および第2の直線レール・セグメントは、互いに同じ長さを有する塞栓回収デバイス。
【請求項25】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記最近位直線ウォール・セグメントは、幅寸法と厚さ寸法とのうちの少なくとも一方に関し、前記自己拡張部材に位置する前記波状エレメントより大きい塞栓回収デバイス。
【請求項26】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記筒状を成す本体部は、第1領域と第2領域とを有し、その第2領域は、前記第1領域より大きい直径を有する塞栓回収デバイス。
【請求項27】
請求項26に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域の直径は、前記第1領域の直径より約25.0−約35.0%大きい塞栓回収デバイス。
【請求項28】
請求項26に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記第1領域に対して遠位寄りに位置する塞栓回収デバイス。
【請求項29】
請求項26に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記筒状を成す本体部の遠位端に位置する塞栓回収デバイス。
【請求項30】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記自己拡張部材のうちの少なくとも一部は、放射線不透過材料で被覆されている塞栓回収デバイス。
【請求項31】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りの端および最も遠位寄りの端に位置するかまたはそれら端の近傍位置に位置する放射線不透過マーカを含む塞栓回収デバイス。
【請求項32】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記長手状の第1ワイヤと連続的な前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間のテーパ角は、2次元平面展開図で見ると、約30.0度と約40.0度との間の範囲内にある塞栓回収デバイス。
【請求項33】
請求項19に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のフレキシブル・ワイヤは、テーパ部を有するとともに、コイル構造体によって包囲されている塞栓回収デバイス。
【請求項34】
請求項33に記載の塞栓回収デバイスであって、前記コイル構造体は、放射線不透過材料を有する塞栓回収デバイス。
【請求項35】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記筒状を成す本体部の長さは、前記近位端部と前記遠位端部とのうちの一方の長さより約2.5−約3.5倍大きい塞栓回収デバイス。
【請求項36】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記近位端部および前記遠位端部に位置するセル構造体のサイズは、前記筒状を成す本体部に位置するセル構造体のサイズより概して大きい塞栓回収デバイス。
【請求項37】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記第1および第2の直線レール・セグメントのうちの一方に連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤを含む塞栓回収デバイス。
【請求項38】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、
前記第1直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤと、
前記第2直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第3ワイヤと
を含む塞栓回収デバイス。
【請求項39】
請求項38に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2ワイヤは、前記第1直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結され、
前記第3ワイヤは、前記第2直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結される塞栓回収デバイス。
【請求項40】
塞栓を回収する塞栓回収デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
当該塞栓回収デバイスは、さらに、
前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に連結され、近位方向に延びる長手状のフレキシブルな第1ワイヤを含む塞栓回収デバイス。
【請求項41】
塞栓を回収する塞栓回収デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、筒状部と遠位端部とを有し、
前記筒状部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
最も外側に位置するセル構造体は、前記筒状部において、複数の、最も近位寄りに位置する端点を有しており、
前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りに位置する複数の端点のうちの一つまたは複数は、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、前記自己拡張部材に連結されている塞栓回収デバイス。
【請求項42】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も遠位寄りの端から遠位方向に延びる長手状のワイヤ・セグメントを含む塞栓回収デバイス。
【請求項43】
請求項42に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のワイヤ・セグメントは、非外傷性の先端部を含む塞栓回収デバイス。
【請求項44】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、ポリゴン形状を有する塞栓回収デバイス。
【請求項45】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置する最近位セル構造体は、2次元平面展開図で見ると、ポリゴン形状を有し、
各最近位セル構造体は、共に、実質的に直線的である第1および第2の外側ストラットと、共に、実質的に直線的である第1および第2の内側ストラットとを有し、
前記第1および第2の内側ストラットは、2次元平面展開図で見ると、前記第1および第2の外側ストラットとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成す塞栓回収デバイス。
【請求項46】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置する最近位セル構造体は、2次元平面展開図で見ると、ポリゴン形状を有し、
各最近位セル構造体は、共に、実質的に直線的である第1および第2の外側ストラットと、共に、実質的に直線的である第1および第2の内側ストラットとを有し、
前記第1および第2の内側ストラットは、2次元平面展開図で見ると、前記第1および第2外側のストラットとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成すとともに、曲線コネクタを介して前記第1および第2の外側ストラットに連結される塞栓回収デバイス。
【請求項47】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数の最近位直線セル構造体のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つのストラットであって、幅寸法と厚さ寸法とのうちの少なくとも一方に関し、前記自己拡張部材の前記筒状部に位置する曲線ストラットより大きい塞栓回収デバイス。
【請求項48】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記筒状部は、第1領域と第2領域とを有し、その第2領域は、前記第1領域より大きい直径を有する塞栓回収デバイス。
【請求項49】
請求項48に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域の直径は、前記第1領域の直径より約25.0−約35.0%大きい塞栓回収デバイス。
【請求項50】
請求項48に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記第1領域に対して遠位寄りに位置する塞栓回収デバイス。
【請求項51】
請求項48に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記筒状部の遠位端に位置する塞栓回収デバイス。
【請求項52】
請求項42に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のワイヤ・セグメントは、テーパ部を有するとともに、コイル構造体によって包囲されている塞栓回収デバイス。
【請求項53】
請求項52に記載の塞栓回収デバイスであって、前記コイル構造体は、放射線不透過材料を有する塞栓回収デバイス。
【請求項54】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記遠位端部に位置するセル構造体のサイズは、前記筒状部に位置するセル構造体のサイズより概して大きい塞栓回収デバイス。
【請求項55】
キットであって、
長手状のフレキシブルなワイヤを含み、
そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の塞栓の存在部位内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、
送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されているキット。
【請求項56】
患者の管腔から塞栓を除去する塞栓除去方法であって、
送給カテーテルを前進させる工程であって、その送給カテーテルは、患者の頭蓋内脈管内において前記塞栓が存在する部位に対する近位端および遠位端を有する内腔を有し、それにより、前記内腔の前記遠位端が、前記塞栓に対して遠位側に位置し、前記内腔は、第1長さ寸法を有するものと、
前記送給カテーテルの前記内腔の前記近位端内に塞栓回収デバイスを導入するとともに、長手状の自己拡張部材を前記内腔の前記遠位端まで前進させる工程と
を含み、
前記塞栓回収デバイスは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、
そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に前記自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、前記第1長さ寸法より長い第2長さ寸法を有しており、
当該塞栓除去方法は、さらに、
前記送給カテーテルを、前記複数のセル構造体のうちの少なくとも一つが前記塞栓のうちの少なくとも一部を捕捉するように前記自己拡張部材が展開するのに十分であるように近位方向に後退させる工程と、
記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材を、近位方向に後退させて患者の体外に抜去する工程と
を含む塞栓除去方法。
【請求項57】
請求項56に記載の塞栓除去方法であって、さらに、
前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材が近位方向に後退させられて患者の体外に抜去されるのに先立ち、前記自己拡張部材を部分的にまたは完全に前記送給カテーテルの前記内腔内に格納する工程を含む塞栓除去方法。
【請求項58】
患者の管腔から塞栓を除去する塞栓除去方法であって、
送給カテーテルを前進させる工程であって、その送給カテーテルは、患者の頭蓋内脈管内において前記塞栓が存在する部位に対する近位端および遠位端を有する内腔を有し、それにより、前記内腔の前記遠位端が、前記塞栓に対して遠位側に位置し、それにより、前記塞栓を通過する灌流通路であって、前記塞栓を通過する血流を生成するものを、ある長さの時間、形成し、前記内腔は、第1長さ寸法を有するものと、
前記送給カテーテルの前記内腔の前記近位端内に塞栓回収デバイスを導入するとともに、長手状の自己拡張部材を前記内腔の前記遠位端まで前進させる工程であって、前記塞栓回収デバイスは、長手状のフレキシブル・ワイヤを有し、そのフレキシブル・ワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に前記自己拡張部材が連結されており、前記長手状のフレキシブル・ワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、前記第1長さ寸法より長い第2長さ寸法を有しているものと、
前記時間の経過後、前記自己拡張部材を前記塞栓内において展開し、それにより、前記自己拡張部材が前記塞栓のうちの少なくとも一部を捕捉する工程であって、前記時間の長さは、前記血流が前記塞栓に作用し、それにより、その塞栓が前記自己拡張部材よって捕捉されることを容易にするのに十分な長さであるものと、
前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材を、近位方向に後退させて患者の体外に抜去する工程と
を含む塞栓除去方法。
【請求項59】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているデバイス。
【請求項60】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状のスリットを有するデバイス。
【請求項61】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記近位端と前記遠位端との間を前記自己拡張部材の全長にわたって延びるデバイス。
【請求項62】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、前記自己拡張部材の全周のうちの少なくとも一部に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項63】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、少なくとも前記自己拡張部材の全周に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項64】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、いずれかの直線レール・セグメントの遠位端から延び出すか、または、いずれかの直線レール・セグメントの遠位端に遠位寄りに隣接する点から延び出すデバイス。
【請求項65】
請求項64に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、前記自己拡張部材の全周のうちの少なくとも一部に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項66】
請求項64に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、少なくとも前記自己拡張部材の全周に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項67】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを有し、それら波状エレメントのうち互いに隣接するもの同士は、前記複数のセル構造体を形成するように互いに連結されているデバイス。
【請求項68】
請求項67に記載のデバイスであって、前記互いに隣接する波状エレメント同士は、前記複数のセル構造体が互いに斜めに並ぶように対角的に配置されるように、互いに連結されるデバイス。
【請求項69】
請求項59に記載のデバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りの端に連結され、近位方向に延びる長手状のフレキシブル・ワイヤを含むデバイス。
【請求項70】
請求項69に記載のデバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も遠位寄りの端に連結され、遠位方向に延びる長手状のワイヤ・セグメントを含むデバイス。
【請求項71】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材の前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記本体部の外周に沿って、互いに概して対称的に並んでおり、それらセル構造体の、製造時における長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約2.0より大きいデバイス。
【請求項72】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材の前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記本体部の外周に沿って、互いに概して対称的に並んでおり、それらセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、前記自己拡張部材の前記半径方向拡張状態で、約1.25より大きいデバイス。
【請求項73】
請求項59に記載のデバイスであって、前記第1および第2の直線レール・セグメントは、同じ長さを有するデバイス。
【請求項74】
請求項59に記載のデバイスであって、前記最近位直線ウォール・セグメントは、幅寸法と厚さ寸法とのうちの少なくとも一方に関し、前記自己拡張部材の他の部位に位置するウォール・セグメントより大きいデバイス。
【請求項75】
請求項59に記載のデバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記筒状を成す本体部は、第1領域と第2領域とを有し、その第2領域は、前記第1領域より大きい直径を有するデバイス。
【請求項76】
請求項75に記載のデバイスであって、前記第2領域の直径は、前記第1領域の直径より約25.0−約35.0%大きいデバイス。
【請求項77】
請求項75に記載のデバイスであって、前記第2領域は、前記第1領域に対して遠位寄りに位置するデバイス。
【請求項78】
請求項75に記載のデバイスであって、前記第2領域は、前記筒状を成す本体部の遠位端に位置するデバイス。
【請求項79】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材のうちの少なくとも一部は、放射線不透過材料で被覆されているデバイス。
【請求項80】
請求項59に記載のデバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りの端および最も遠位寄りの端に位置するかまたはそれら端の近傍位置に位置する放射線不透過マーカを含むデバイス。
【請求項81】
請求項69に記載のデバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記長手状のフレキシブル・ワイヤと前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間のテーパ角は、2次元平面展開図で見ると、約30.0度と約40.0度との間の範囲内にあるるデバイス。
【請求項82】
請求項69に記載のデバイスであって、前記長手状のフレキシブル・ワイヤは、テーパ部を有するとともに、コイル構造体によって包囲されているデバイス。
【請求項83】
請求項82に記載のデバイスであって、前記コイル構造体は、放射線不透過材料を有するデバイス。
【請求項84】
請求項59に記載のデバイスであって、前記筒状を成す本体部の長さは、前記近位端部と前記遠位端部とのうちの一方の長さより約2.5−約3.5倍大きいデバイス。
【請求項85】
請求項59に記載のデバイスであって、前記近位端部および前記遠位端部に位置するセル構造体のサイズは、前記筒状を成す本体部に位置するセル構造体のサイズより概して大きいデバイス。
【請求項86】
請求項59に記載のデバイスであって、さらに、前記第1および第2の直線レール・セグメントのうちの一方に連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤを含むデバイス。
【請求項87】
請求項59に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、
前記第1直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤと、
前記第2直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第3ワイヤと
を含むデバイス。
【請求項88】
請求項87に記載のデバイスであって、前記第2ワイヤは、前記第1直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結され、
前記第3ワイヤは、前記第2直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結されるデバイス。
【請求項89】
請求項59に記載のデバイスであって、前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記非拡張状態と前記半径方向拡張状態との間を遷移するにつれて、前記自己拡張部材のねじれ動作を誘発するように配列されているデバイス。
【請求項90】
キットであって、
長手状のフレキシブルなワイヤを含み、
そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、
送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されているキット。
【請求項91】
請求項90に記載のキットであって、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状スリットを有するキット。
【請求項92】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、前記本体部に位置する複数のセル構造体のストラットの断面積より大きい断面積を有するストラットを有し、
前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項93】
請求項92に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項94】
請求項92に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項95】
請求項92に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項96】
請求項92に記載のデバイスであって、さらに、
前記自己拡張部材と一体的に形成されるとともに、その自己拡張部材の前記近位端から近位方向に延びるワイヤ・セグメントと、
そのワイヤ・セグメントの周囲に配置された内部空洞を有するコイルと
を含み、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
そのギャップは、接合剤を前記内部空洞内に導入するのに十分であり、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記内部空洞内の前記接合剤を用いて送給ワイヤの遠位端に連結されているデバイス。
【請求項97】
請求項96に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項98】
請求項96に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項99】
請求項96に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項100】
請求項96に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項101】
デバイスであって、
送給ワイヤと、
長手状の自己拡張部材と
を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記近位端は、その近位端から延びるようにその近位端と一体的に形成されたワイヤ・セグメントを有し、
そのワイヤ・セグメントの周囲にコイルが配置され、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記ギャップ内の接合剤を用いて前記送給ワイヤの遠位端に連結されるデバイス。
【請求項102】
請求項101に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項103】
請求項101に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項104】
請求項101に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項105】
請求項101に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項106】
請求項101に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項107】
請求項101に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項108】
請求項101に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項109】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているているデバイス。
【請求項110】
請求項109に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項111】
請求項109に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項112】
請求項109に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項113】
請求項109に記載のデバイスであって、さらに、
前記自己拡張部材と一体的に形成されるとともに、その自己拡張部材の前記近位端から近位方向に延びるワイヤ・セグメントと、
そのワイヤ・セグメントの周囲に配置された内部空洞を有するコイルと
を含み、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
そのギャップは、接合剤を前記内部空洞内に導入するのに十分であり、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記内部空洞内の前記接合剤を用いて送給ワイヤの遠位端に連結されているデバイス。
【請求項114】
請求項113に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項115】
請求項113に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項116】
請求項113に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項117】
請求項113に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項118】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、相手ストラットと交差するように連結される複数の第1交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延び、また、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、相手ストラットと交差するように連結される複数の第2交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数の第1交差ストラットのうちの少なくとも一部の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項119】
請求項118に記載のデバイスであって、前記複数の第2交差ストラットのうちの少なくとも一部の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項120】
請求項118に記載のデバイスであって、前記複数の第1交差ストラットの過半数の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項121】
請求項118に記載のデバイスであって、前記複数の第1交差ストラットの全部または実質的な全部の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項122】
請求項118に記載のデバイスであって、前記厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項123】
請求項118に記載のデバイスであって、前記厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項124】
請求項117に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項1】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記第1公称直径から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有するデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記長手状の自己拡張部材は、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きいデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスであって、前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、前記本体部に位置する複数のセル構造体のストラットの断面積より大きい断面積を有するストラットを有し、
前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より大きいデバイス。
【請求項5】
請求項3に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.020N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントを有し、
それら直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
各直線レール・セグメントは、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスであって、さらに、
前記自己拡張部材と一体的に形成されるとともに、その自己拡張部材の前記近位端から近位方向に延びるワイヤ・セグメントと、
そのワイヤ・セグメントの周囲に配置された内部空洞を有するコイルと
を含み、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
そのギャップは、接合剤を前記内部空洞内に導入するのに十分であり、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記内部空洞内の前記接合剤を用いて送給ワイヤの遠位端に連結されているデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項10】
請求項8に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項11】
請求項8に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項12】
請求項8に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスであって、さらに、前記本体部に対して遠位寄りに位置する遠位端部を含み、
その遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の前記長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びているデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数のセル構造体は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントから構成されており、
それら波状エレメントのうち互いに隣接するもの同士は、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結されているデバイス。
【請求項15】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記第1公称直径から最初に半径方向に約0.5mm拡張する初期直径拡張範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−1.5Nから約−3.5Nまでの範囲内となるとともに、前記初期直径拡張範囲に後続する直径範囲内においては、前記自己拡張部材が半径方向に1mm拡張することを想定した場合に、前記自己拡張部材に作用する半径方向力が減少する量の、前記自己拡張部材の全長にわたる合計値が、約−0.10Nから約−0.50Nまでの範囲内となる寸法特性および材料特性を有するデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、前記長手状の自己拡張部材は、前記第2公称直径の最大設計値を有し、その最大設計値まで前記自己拡張部材が拡張したとき、その自己拡張部材に作用する半径方向力は、0より大きいデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスであって、前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントを有し、
それら直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
各直線レール・セグメントは、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているデバイス。
【請求項18】
塞栓を回収する塞栓回収デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する位置まで延びており、
当該塞栓回収デバイスは、さらに、
前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に連結され、近位方向に延びる長手状のフレキシブルな第1ワイヤを含む塞栓回収デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も遠位寄りの端に対して遠位方向に延びる長手状のワイヤ・セグメントを含む塞栓回収デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のワイヤ・セグメントは、非外傷性の先端部を含む塞栓回収デバイス。
【請求項21】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有する塞栓回収デバイス。
【請求項22】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有するとともに、第1および第2の内側レールを有し、
それら第1および第2の内側レールは、前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成す塞栓回収デバイス。
【請求項23】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、実質的にダイアモンド形状を有するとともに、第1および第2の内側レールを有し、
それら第1および第2の内側レールは、前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成すとともに、曲線コネクタを介して前記第1および第2の直線レール・セグメントに連結される塞栓回収デバイス。
【請求項24】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、連続的である前記第1および第2の直線レール・セグメントは、互いに同じ長さを有する塞栓回収デバイス。
【請求項25】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記最近位直線ウォール・セグメントは、幅寸法と厚さ寸法とのうちの少なくとも一方に関し、前記自己拡張部材に位置する前記波状エレメントより大きい塞栓回収デバイス。
【請求項26】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記筒状を成す本体部は、第1領域と第2領域とを有し、その第2領域は、前記第1領域より大きい直径を有する塞栓回収デバイス。
【請求項27】
請求項26に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域の直径は、前記第1領域の直径より約25.0−約35.0%大きい塞栓回収デバイス。
【請求項28】
請求項26に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記第1領域に対して遠位寄りに位置する塞栓回収デバイス。
【請求項29】
請求項26に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記筒状を成す本体部の遠位端に位置する塞栓回収デバイス。
【請求項30】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記自己拡張部材のうちの少なくとも一部は、放射線不透過材料で被覆されている塞栓回収デバイス。
【請求項31】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りの端および最も遠位寄りの端に位置するかまたはそれら端の近傍位置に位置する放射線不透過マーカを含む塞栓回収デバイス。
【請求項32】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記長手状の第1ワイヤと連続的な前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間のテーパ角は、2次元平面展開図で見ると、約30.0度と約40.0度との間の範囲内にある塞栓回収デバイス。
【請求項33】
請求項19に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のフレキシブル・ワイヤは、テーパ部を有するとともに、コイル構造体によって包囲されている塞栓回収デバイス。
【請求項34】
請求項33に記載の塞栓回収デバイスであって、前記コイル構造体は、放射線不透過材料を有する塞栓回収デバイス。
【請求項35】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記筒状を成す本体部の長さは、前記近位端部と前記遠位端部とのうちの一方の長さより約2.5−約3.5倍大きい塞栓回収デバイス。
【請求項36】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、前記近位端部および前記遠位端部に位置するセル構造体のサイズは、前記筒状を成す本体部に位置するセル構造体のサイズより概して大きい塞栓回収デバイス。
【請求項37】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記第1および第2の直線レール・セグメントのうちの一方に連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤを含む塞栓回収デバイス。
【請求項38】
請求項18に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、
前記第1直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤと、
前記第2直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第3ワイヤと
を含む塞栓回収デバイス。
【請求項39】
請求項38に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2ワイヤは、前記第1直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結され、
前記第3ワイヤは、前記第2直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結される塞栓回収デバイス。
【請求項40】
塞栓を回収する塞栓回収デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
当該塞栓回収デバイスは、さらに、
前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端に連結され、近位方向に延びる長手状のフレキシブルな第1ワイヤを含む塞栓回収デバイス。
【請求項41】
塞栓を回収する塞栓回収デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、筒状部と遠位端部とを有し、
前記筒状部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
最も外側に位置するセル構造体は、前記筒状部において、複数の、最も近位寄りに位置する端点を有しており、
前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りに位置する複数の端点のうちの一つまたは複数は、近位方向に延びる長手状のフレキシブルなワイヤを有し、そのワイヤは、前記自己拡張部材に連結されている塞栓回収デバイス。
【請求項42】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も遠位寄りの端から遠位方向に延びる長手状のワイヤ・セグメントを含む塞栓回収デバイス。
【請求項43】
請求項42に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のワイヤ・セグメントは、非外傷性の先端部を含む塞栓回収デバイス。
【請求項44】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置するものは、2次元平面展開図で見ると、ポリゴン形状を有する塞栓回収デバイス。
【請求項45】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置する最近位セル構造体は、2次元平面展開図で見ると、ポリゴン形状を有し、
各最近位セル構造体は、共に、実質的に直線的である第1および第2の外側ストラットと、共に、実質的に直線的である第1および第2の内側ストラットとを有し、
前記第1および第2の内側ストラットは、2次元平面展開図で見ると、前記第1および第2の外側ストラットとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成す塞栓回収デバイス。
【請求項46】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数のセル構造体のうち、最も近位寄りに位置する最近位セル構造体は、2次元平面展開図で見ると、ポリゴン形状を有し、
各最近位セル構造体は、共に、実質的に直線的である第1および第2の外側ストラットと、共に、実質的に直線的である第1および第2の内側ストラットとを有し、
前記第1および第2の内側ストラットは、2次元平面展開図で見ると、前記第1および第2外側のストラットとの間でそれぞれ、約30.0度から約45.0度までの範囲内の角度を成すとともに、曲線コネクタを介して前記第1および第2の外側ストラットに連結される塞栓回収デバイス。
【請求項47】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記複数の最近位直線セル構造体のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つのストラットであって、幅寸法と厚さ寸法とのうちの少なくとも一方に関し、前記自己拡張部材の前記筒状部に位置する曲線ストラットより大きい塞栓回収デバイス。
【請求項48】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記筒状部は、第1領域と第2領域とを有し、その第2領域は、前記第1領域より大きい直径を有する塞栓回収デバイス。
【請求項49】
請求項48に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域の直径は、前記第1領域の直径より約25.0−約35.0%大きい塞栓回収デバイス。
【請求項50】
請求項48に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記第1領域に対して遠位寄りに位置する塞栓回収デバイス。
【請求項51】
請求項48に記載の塞栓回収デバイスであって、前記第2領域は、前記筒状部の遠位端に位置する塞栓回収デバイス。
【請求項52】
請求項42に記載の塞栓回収デバイスであって、前記長手状のワイヤ・セグメントは、テーパ部を有するとともに、コイル構造体によって包囲されている塞栓回収デバイス。
【請求項53】
請求項52に記載の塞栓回収デバイスであって、前記コイル構造体は、放射線不透過材料を有する塞栓回収デバイス。
【請求項54】
請求項41に記載の塞栓回収デバイスであって、前記遠位端部に位置するセル構造体のサイズは、前記筒状部に位置するセル構造体のサイズより概して大きい塞栓回収デバイス。
【請求項55】
キットであって、
長手状のフレキシブルなワイヤを含み、
そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の塞栓の存在部位内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、
送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されているキット。
【請求項56】
患者の管腔から塞栓を除去する塞栓除去方法であって、
送給カテーテルを前進させる工程であって、その送給カテーテルは、患者の頭蓋内脈管内において前記塞栓が存在する部位に対する近位端および遠位端を有する内腔を有し、それにより、前記内腔の前記遠位端が、前記塞栓に対して遠位側に位置し、前記内腔は、第1長さ寸法を有するものと、
前記送給カテーテルの前記内腔の前記近位端内に塞栓回収デバイスを導入するとともに、長手状の自己拡張部材を前記内腔の前記遠位端まで前進させる工程と
を含み、
前記塞栓回収デバイスは、長手状のフレキシブルなワイヤを有し、
そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に前記自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを、それらのうち互いに隣接する波状エレメント同士が、互いに斜めに並ぶように対角的に配列された複数のセル構造体を形成するように互いに連結された状態で有しており、
前記自己拡張部材は、近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、前記第1長さ寸法より長い第2長さ寸法を有しており、
当該塞栓除去方法は、さらに、
前記送給カテーテルを、前記複数のセル構造体のうちの少なくとも一つが前記塞栓のうちの少なくとも一部を捕捉するように前記自己拡張部材が展開するのに十分であるように近位方向に後退させる工程と、
記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材を、近位方向に後退させて患者の体外に抜去する工程と
を含む塞栓除去方法。
【請求項57】
請求項56に記載の塞栓除去方法であって、さらに、
前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材が近位方向に後退させられて患者の体外に抜去されるのに先立ち、前記自己拡張部材を部分的にまたは完全に前記送給カテーテルの前記内腔内に格納する工程を含む塞栓除去方法。
【請求項58】
患者の管腔から塞栓を除去する塞栓除去方法であって、
送給カテーテルを前進させる工程であって、その送給カテーテルは、患者の頭蓋内脈管内において前記塞栓が存在する部位に対する近位端および遠位端を有する内腔を有し、それにより、前記内腔の前記遠位端が、前記塞栓に対して遠位側に位置し、それにより、前記塞栓を通過する灌流通路であって、前記塞栓を通過する血流を生成するものを、ある長さの時間、形成し、前記内腔は、第1長さ寸法を有するものと、
前記送給カテーテルの前記内腔の前記近位端内に塞栓回収デバイスを導入するとともに、長手状の自己拡張部材を前記内腔の前記遠位端まで前進させる工程であって、前記塞栓回収デバイスは、長手状のフレキシブル・ワイヤを有し、そのフレキシブル・ワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に前記自己拡張部材が連結されており、前記長手状のフレキシブル・ワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、前記第1長さ寸法より長い第2長さ寸法を有しているものと、
前記時間の経過後、前記自己拡張部材を前記塞栓内において展開し、それにより、前記自己拡張部材が前記塞栓のうちの少なくとも一部を捕捉する工程であって、前記時間の長さは、前記血流が前記塞栓に作用し、それにより、その塞栓が前記自己拡張部材よって捕捉されることを容易にするのに十分な長さであるものと、
前記送給カテーテルおよび前記自己拡張部材を、近位方向に後退させて患者の体外に抜去する工程と
を含む塞栓除去方法。
【請求項59】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているデバイス。
【請求項60】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状のスリットを有するデバイス。
【請求項61】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記近位端と前記遠位端との間を前記自己拡張部材の全長にわたって延びるデバイス。
【請求項62】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、前記自己拡張部材の全周のうちの少なくとも一部に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項63】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、少なくとも前記自己拡張部材の全周に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項64】
請求項60に記載のデバイスであって、前記スリットは、いずれかの直線レール・セグメントの遠位端から延び出すか、または、いずれかの直線レール・セグメントの遠位端に遠位寄りに隣接する点から延び出すデバイス。
【請求項65】
請求項64に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、前記自己拡張部材の全周のうちの少なくとも一部に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項66】
請求項64に記載のデバイスであって、前記スリットは、前記自己拡張部材の長さのうちの少なくとも一部に沿って前記自己拡張部材の長軸に対して斜め方向に延びており、それにより、少なくとも前記自己拡張部材の全周に沿って延びるらせんを形成するデバイス。
【請求項67】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材は、各々、概して長軸方向に延びる複数の波状エレメントを有し、それら波状エレメントのうち互いに隣接するもの同士は、前記複数のセル構造体を形成するように互いに連結されているデバイス。
【請求項68】
請求項67に記載のデバイスであって、前記互いに隣接する波状エレメント同士は、前記複数のセル構造体が互いに斜めに並ぶように対角的に配置されるように、互いに連結されるデバイス。
【請求項69】
請求項59に記載のデバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りの端に連結され、近位方向に延びる長手状のフレキシブル・ワイヤを含むデバイス。
【請求項70】
請求項69に記載のデバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も遠位寄りの端に連結され、遠位方向に延びる長手状のワイヤ・セグメントを含むデバイス。
【請求項71】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材の前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記本体部の外周に沿って、互いに概して対称的に並んでおり、それらセル構造体の、製造時における長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約2.0より大きいデバイス。
【請求項72】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材の前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記本体部の外周に沿って、互いに概して対称的に並んでおり、それらセル構造体の長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、前記自己拡張部材の前記半径方向拡張状態で、約1.25より大きいデバイス。
【請求項73】
請求項59に記載のデバイスであって、前記第1および第2の直線レール・セグメントは、同じ長さを有するデバイス。
【請求項74】
請求項59に記載のデバイスであって、前記最近位直線ウォール・セグメントは、幅寸法と厚さ寸法とのうちの少なくとも一方に関し、前記自己拡張部材の他の部位に位置するウォール・セグメントより大きいデバイス。
【請求項75】
請求項59に記載のデバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記筒状を成す本体部は、第1領域と第2領域とを有し、その第2領域は、前記第1領域より大きい直径を有するデバイス。
【請求項76】
請求項75に記載のデバイスであって、前記第2領域の直径は、前記第1領域の直径より約25.0−約35.0%大きいデバイス。
【請求項77】
請求項75に記載のデバイスであって、前記第2領域は、前記第1領域に対して遠位寄りに位置するデバイス。
【請求項78】
請求項75に記載のデバイスであって、前記第2領域は、前記筒状を成す本体部の遠位端に位置するデバイス。
【請求項79】
請求項59に記載のデバイスであって、前記自己拡張部材のうちの少なくとも一部は、放射線不透過材料で被覆されているデバイス。
【請求項80】
請求項59に記載のデバイスであって、さらに、前記自己拡張部材のうちの、最も近位寄りの端および最も遠位寄りの端に位置するかまたはそれら端の近傍位置に位置する放射線不透過マーカを含むデバイス。
【請求項81】
請求項69に記載のデバイスであって、前記半径方向拡張状態において、前記長手状のフレキシブル・ワイヤと前記第1および第2の直線レール・セグメントとの間のテーパ角は、2次元平面展開図で見ると、約30.0度と約40.0度との間の範囲内にあるるデバイス。
【請求項82】
請求項69に記載のデバイスであって、前記長手状のフレキシブル・ワイヤは、テーパ部を有するとともに、コイル構造体によって包囲されているデバイス。
【請求項83】
請求項82に記載のデバイスであって、前記コイル構造体は、放射線不透過材料を有するデバイス。
【請求項84】
請求項59に記載のデバイスであって、前記筒状を成す本体部の長さは、前記近位端部と前記遠位端部とのうちの一方の長さより約2.5−約3.5倍大きいデバイス。
【請求項85】
請求項59に記載のデバイスであって、前記近位端部および前記遠位端部に位置するセル構造体のサイズは、前記筒状を成す本体部に位置するセル構造体のサイズより概して大きいデバイス。
【請求項86】
請求項59に記載のデバイスであって、さらに、前記第1および第2の直線レール・セグメントのうちの一方に連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤを含むデバイス。
【請求項87】
請求項59に記載の塞栓回収デバイスであって、さらに、
前記第1直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第2ワイヤと、
前記第2直線レール・セグメントに連結され、近位方向に延びる長手状の第3ワイヤと
を含むデバイス。
【請求項88】
請求項87に記載のデバイスであって、前記第2ワイヤは、前記第1直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結され、
前記第3ワイヤは、前記第2直線レール・セグメントの遠位端またはそれの近傍位置において連結されるデバイス。
【請求項89】
請求項59に記載のデバイスであって、前記複数のセル構造体は、前記自己拡張部材が前記非拡張状態と前記半径方向拡張状態との間を遷移するにつれて、前記自己拡張部材のねじれ動作を誘発するように配列されているデバイス。
【請求項90】
キットであって、
長手状のフレキシブルなワイヤを含み、
そのワイヤは、近位端および遠位端を有し、その遠位端に長手状の自己拡張部材が連結されており、
前記自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部と、遠位端を有する遠位端部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びており、
前記長手状のワイヤおよび前記自己拡張部材は、互いに連結されている状態で、第1長さ寸法を有しており、
当該キットは、さらに、
送給カテーテルを有し、
その送給カテーテルは、第2長さ寸法を有するとともに、前記患者の前記脈管または体内導管内を誘導されるために十分な柔軟性を有し、
前記送給カテーテルは、近位端と、遠位端と、内腔とを有し、
その内腔は、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を収容するのに十分な直径であって、前記非拡張状態にある前記自己拡張部材を、前記送給カテーテルの前記近位端から前記遠位端まで移動させることを可能にするものを有し、
前記第2長さ寸法は、前記第1長さ寸法より短く、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端を越えて遠位方向に移動することが可能となり、それにより、前記自己拡張部材が、前記拡張状態となるように展開され、
前記送給カテーテルの前記遠位端および前記自己拡張部材は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの前記遠位端の外側において部分的にまたは完全に展開される場合に、前記自己拡張部材が近位方向に進行して前記送給カテーテルの前記内腔内に格納されることを可能にするように構成されているキット。
【請求項91】
請求項90に記載のキットであって、前記自己拡張部材は、その自己拡張部材の全体長さのうちの少なくとも一部であって前記近位端と前記遠位端との間に位置するものに沿って延びる長手状スリットを有するキット。
【請求項92】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置する複数のセル構造体は、前記本体部に位置する複数のセル構造体のストラットの断面積より大きい断面積を有するストラットを有し、
前記本体部に位置するストラットの厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項93】
請求項92に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項94】
請求項92に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項95】
請求項92に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項96】
請求項92に記載のデバイスであって、さらに、
前記自己拡張部材と一体的に形成されるとともに、その自己拡張部材の前記近位端から近位方向に延びるワイヤ・セグメントと、
そのワイヤ・セグメントの周囲に配置された内部空洞を有するコイルと
を含み、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
そのギャップは、接合剤を前記内部空洞内に導入するのに十分であり、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記内部空洞内の前記接合剤を用いて送給ワイヤの遠位端に連結されているデバイス。
【請求項97】
請求項96に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項98】
請求項96に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項99】
請求項96に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項100】
請求項96に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項101】
デバイスであって、
送給ワイヤと、
長手状の自己拡張部材と
を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記近位端は、その近位端から延びるようにその近位端と一体的に形成されたワイヤ・セグメントを有し、
そのワイヤ・セグメントの周囲にコイルが配置され、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記ギャップ内の接合剤を用いて前記送給ワイヤの遠位端に連結されるデバイス。
【請求項102】
請求項101に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項103】
請求項101に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項104】
請求項101に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項105】
請求項101に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項106】
請求項101に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項107】
請求項101に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項108】
請求項101に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項109】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の前記体内導管または脈管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延びる一方、前記近位端部および前記遠位端部に位置する複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記近位端部において最も外側に位置するセル構造体は、最も近位寄りに位置する複数の直線ウォール・セグメントである最近位直線ウォール・セグメントを有し、
それら最近位直線ウォール・セグメントは、2次元平面展開図で見ると、第1および第2の、実質的に直線的である複数の直線レール・セグメントを形成し、
それら直線レール・セグメントは、それぞれ、前記自己拡張部材のうちの、前記最も近位寄りの端上にあるかまたはそれに近接する位置から、前記筒状を成す本体部上にある遠位位置または前記本体部に近接する遠位位置まで延びているているデバイス。
【請求項110】
請求項109に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項111】
請求項109に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するストラットの長さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項112】
請求項109に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【請求項113】
請求項109に記載のデバイスであって、さらに、
前記自己拡張部材と一体的に形成されるとともに、その自己拡張部材の前記近位端から近位方向に延びるワイヤ・セグメントと、
そのワイヤ・セグメントの周囲に配置された内部空洞を有するコイルと
を含み、
そのコイルは、第1密巻きセグメントと、第2疎巻きセグメントであって少なくとも1つのギャップを有するものとを有し、
そのギャップは、接合剤を前記内部空洞内に導入するのに十分であり、
前記ワイヤ・セグメントの近位端は、前記コイルの前記第2疎巻きセグメントの前記内部空洞内の前記接合剤を用いて送給ワイヤの遠位端に連結されているデバイス。
【請求項114】
請求項113に記載のデバイスであって、前記接合剤は、半田であるデバイス。
【請求項115】
請求項113に記載のデバイスであって、前記接合剤は、接着剤であるデバイス。
【請求項116】
請求項113に記載のデバイスであって、前記送給ワイヤの遠位端と前記ワイヤ・セグメントの近位端とは、オーバラップ部を有し、そのオーバラップ部の長さは、約0.75mmと約1.0mmとの間の範囲内にあるデバイス。
【請求項117】
請求項113に記載のデバイスであって、前記ワイヤ・セグメントは、第1長さ寸法を有し、
前記コイルは、第2長さ寸法を有し、
前記第1長さ寸法は、前記第2長さ寸法に等しいデバイス。
【請求項118】
デバイスであって、
長手状の自己拡張部材を含み、
その自己拡張部材は、第1送給位置から第2留置位置まで移動することが可能であり、
前記自己拡張部材は、前記第1送給位置においては、非拡張状態にあるとともに、第1公称直径を有する一方、前記第2留置位置においては、半径方向に拡張された半径方向拡張状態にあるとともに、第2公称直径を有しており、
その第2公称直径は、患者の脈管または導管内での展開のために、前記第1公称直径より大きく、
前記自己拡張部材は、複数のセル構造体を有し、
前記自己拡張部材は、近位端を有する近位端部と、筒状を成す本体部とを有し、
前記本体部に位置する複数のセル構造体は、相手ストラットと交差するように連結される複数の第1交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたって延び、また、前記近位端部に位置する複数のセル構造体は、相手ストラットと交差するように連結される複数の第2交差ストラットを有するとともに、前記自己拡張部材の長軸まわりを全周にわたってではなく部分的に延びており、
前記複数の第1交差ストラットのうちの少なくとも一部の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項119】
請求項118に記載のデバイスであって、前記複数の第2交差ストラットのうちの少なくとも一部の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項120】
請求項118に記載のデバイスであって、前記複数の第1交差ストラットの過半数の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項121】
請求項118に記載のデバイスであって、前記複数の第1交差ストラットの全部または実質的な全部の厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、1より大きいデバイス。
【請求項122】
請求項118に記載のデバイスであって、前記厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、2.0より小さいデバイス。
【請求項123】
請求項118に記載のデバイスであって、前記厚さ寸法の、幅寸法に対する比率は、約1.25と約1.75との間の範囲内にあるデバイス。
【請求項124】
請求項117に記載のデバイスであって、前記本体部に位置するセル構造体の寸法特性および材料特性は、前記本体部が部分的に拡張している状態で、前記本体部が、単位長さ当たりに、約0.030N/mmと約0.050N/mmとの範囲内にある半径方向力を発生させることを可能にするデバイス。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【公表番号】特表2012−532687(P2012−532687A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519742(P2012−519742)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041434
【国際公開番号】WO2011/006013
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511285406)コンセントリック メディカル,インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041434
【国際公開番号】WO2011/006013
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511285406)コンセントリック メディカル,インク. (1)
【Fターム(参考)】
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