説明

脚式移動ロボットの制御装置

【課題】脚式移動ロボットにおいて、平面上歩行の他、手先が環境と接触したり、接触点の間で内力が働く場合にも適用可能で、接触が離れたり、接触点で滑りが生じる、あらゆる接触状態の遷移を判定可能な手法、動作生成手法、実時間での姿勢制御手法を得る。
【解決手段】脚式移動ロボットにおいて、環境からロボットが受ける3次元の力と3次元のモーメントを算出する。そして、与えられたロボットの動作に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する。さらに、前記算出された3次元の力と3次元のモーメントが凸錐の内部に含まれるかどうかを判定する。これにより、あらゆる接触状態の遷移に適用可能な判定手法が導かれる。また、この手法をもとにすることで、接触状態の遷移を考慮した脚式移動ロボットの動作が生成される。さらに、実時間での姿勢制御が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホームロボットや各種サービスロボット等に用いる脚式移動型の2足歩行ロボットの動作を生成したり、動作を制御する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脚式移動ロボットの動作は、ロボットが床から受ける反力の作用中心点であるZMP(Zero-Moment Point)を規範として生成されてきた(高西、石田、山崎、加藤:日本ロボット学会誌、vol. 3、 no. 4、 pp. 325-336、 1985、 特開2002-326173)。ここで、ZMPは床反力の作用中心点であるため、床反力中心点と呼ばれる場合もある。
【0003】
脚式移動ロボットが水平な床面上を歩く場合、ZMPが足裏と床面の接触点が形成する支持多角形の内部に含まれる限り、ロボットは転倒せずに歩行を継続することが保証される。一方、ZMPが支持多角形の端に来ると、ロボットの足裏と床面との接触が離れることで、ロボットが転倒する可能性が生じる。
【0004】
しかしながら、先に述べたようにZMPは床反力の作用中心点であるため、ZMPを用いても足裏と床面が滑るかどうかを判定することはできない。また、脚式移動ロボットの手先が環境と接触する場合には、接触点の間で内力が発生するが、内力の影響はZMPの位置には現れない。つまり、この場合もZMPを用いることでは、ロボットと環境の接触点で、滑りが生じたり接触が離れるといった接触状態の遷移を判定することは不可能である。
【0005】
特許第3132156号明細書において、ZMPを規範にして脚式移動ロボットが階段を上る動作が生成されている。しかし、先に述べたように、ZMPを用いたのでは接触点が単一の面上にない場合や、接触点で滑りが生じる場合には、接触状態の遷移を判定することは出来ない。これは、ロボットは床から3次元の力と3次元のモーメントを受けるが、ZMPではモーメントのうち床面と平行な2成分のみを用いているからである。
【特許文献1】特開2002-326173号公報
【特許文献2】特許第3132156号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、脚式移動ロボットにおいて、ロボットが環境から受ける3次元の力と3次元のモーメントを考慮し、そして、これら3次元の力と3次元のモーメントが力−モーメント空間において形成する凸錐を用いて、接触状態の遷移を判定する機能を有する脚式移動ロボットの制御装置を提供することにある。
【0007】
さらに、本発明の第2の目的は、脚式移動ロボットにおいて、ロボットが環境から受ける3次元の力と3次元のモーメントを考慮し、そして、これら3次元の力と3次元のモーメントが力−モーメント空間において形成する凸錐を用いて、接触状態が遷移しない脚式移動ロボットの動作を生成する装置を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の第3の目的は、脚式移動ロボットにおいて、ロボットが環境から受ける3次元の力と3次元のモーメントを考慮し、ロボットの姿勢を実時間で制御する脚式移動ロボットの動作制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した第1の目的を達成するために、少なくとも上体と、前記上体に連結される複数本の脚部からなる脚式移動ロボットが歩行などの動作を行うとき、環境からロボットが受ける3次元の力と3次元のモーメントを算出する手段、与えられたロボットの動作に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段、前記計測された3次元の力と3次元のモーメントが凸錐の内部に含まれるかどうかを判定する手段を有するように制御装置を構成した。
【0010】
また、環境からロボットが受ける3次元の力と3次元のモーメントを計測し、与えられたロボットの姿勢に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出し、前記計測された3次元の力と3次元のモーメントが凸錐の内部に含まれるかどうかを判定する手段を有するため、ロボットと環境との接触が離れたり、接触点で滑りが生じるような、あらゆる接触状態の遷移を判定でき、脚式移動ロボットが動作する際の安定性を高めることができる。
【0011】
さらに、上記した第2の目的を達成するために、少なくとも上体と、前記上体に連結される複数本の脚部からなる脚式移動ロボットが、接触状態を遷移せずに歩行などの動作を行うため、目標となる3次元の力と3次元のモーメントを計算する手段、与えられたロボットの動作に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段、および、前記計算された3次元の力と3次元のモーメントの目標値が凸錐に含まれない場合は3次元の力と3次元のモーメントの目標値を修正する手段を有するように制御装置を構成した。
【0012】
目標となる3次元の力と3次元のモーメントを計算し、与えられたロボットの姿勢に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出し、さらに、前記計算された3次元の力と3次元のモーメントの目標値が凸錐に含まれない場合は3次元の力と3次元のモーメントの目標値を修正する手段を有するため、ロボットと環境との接触が離れたり、接触点で滑りが生じるような、接触状態の遷移がない、安定な脚式移動ロボットの動作を生成することができる。
【0013】
さらに、上記した第3の目的を達成するために、少なくとも上体と、前記上体に連結される複数本の脚部からなる脚式移動ロボットが、3次元の力と3次元のモーメントを考慮して、実時間で姿勢制御する手段を有するように制御装置を構成した。
【0014】
3次元の力と3次元のモーメントを考慮して、実時間で姿勢制御する手段を有するため、接触状態が遷移しないような、安定な脚式移動ロボットの動作制御が実時間で実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記のように構成したので、脚式移動ロボットにおいて、あらゆるロボットと環境との接触状態の遷移を判定でき、かつ接触状態を遷移させないロボットの動作を容易に得ることができ、ロボットの姿勢を実時間で制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は脚式移動ロボットにおいて、あらゆるロボットと環境との接触状態の遷移を判定でき、かつ接触状態を遷移させないロボットの動作を容易に得ることができ、ロボットの姿勢を実時間で制御することが可能にするため、少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを算出することにより、平面上の歩行における足裏と床面との接触において、滑っていない状態から滑りが生じるとき、または少なくとも一部の接触点において接触が離れるときの接触状態の遷移を判定する手段を備えることによって実現した。
【実施例1】
【0017】
以下、添付図面を参照してこの発明の一つの実施の形態に係る脚式移動ロボットの制御装置を説明する。脚式移動ロボットとしては2足歩行ロボットを例にとる。
【0018】
まず、本発明の第一の実施例として、脚式移動ロボットが歩行などの動作を行うとき、環境からロボットが受ける3次元の力と3次元のモーメントを算出する手段、与えられたロボットの姿勢に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段を示す。
【0019】
図1は、この実施の形態に係る制御装置が適用される脚式移動ロボット、より具体的には2足歩行ロボットを全体的に示す概略図である。Σは基準座標系であり、Σはロボット腰部に固定された座標系、ΣLiは第iリンク(i=1,・・・,n)の重心に固定された座標系を表す。Σに関する位置ベクトルについて、PHj(=[xHjHjHj(j=1,2)は各手先、pFj(=[xFjFjFj)(j=1,2)は各足裏のリンクに固定された点、pLi(=[xLiLiLi)はΣLiの原点、p(=[x)はΣの原点を表す。また、各手先の接触領域と各足裏の支持領域を構成する多角形の頂点を手先か足先かを区別せずp(k=1,・・・,k)とし、p(=[x)はロボットの重心を表す位置ベクトルであり、
【数1】

のように定義されるとする。さらに、zはロボットが水平面上を歩行する場合の床面の高さを表すものとする。fHi(=[(fHi)x(fHi)y(fHi)z])、τHj(j=1,2)は各手先が受ける力・モーメント、fFj,τFj(j=1,2)は各足裏が受ける力・モーメントである。同様に、fは点pで受ける力とする。なお、図ではモーメントを太矢印で表している。nは、点pにおける単位拘束法線ベクトルを表す。I、ωはそれぞれ第iリンクの基準座標系に関する慣性テンソル、角速度ベクトルを表す。以上述べた位置ベクトル、力、モーメントは、全て基準座標系Σで表すものとする。
【0020】
ロボットが動作する際に、慣性力および重力によりロボットが受ける力を基準座標系Σで表したものをf、ロボットが受ける基準座標系まわりのモーメントをτとする。ロボットが受ける力・モーメントは[数式1]、[数式2]により与えられる。
【数2】

・・・・・(1)
【数3】

・・・・・(2)
ここで、
【数4】

はロボットの質量、g=[0 0 −g]Tは重力ベクトルを表す。また、
【数5】

は重心まわりの角運動量を表す。
【0021】
ロボットに力fおよびモーメントτが加わったとき、ロボットは接触している環境から反力・モーメントを受ける。ロボットが接触している環境から受ける反力を基準座標系で表したものをf、ロボットが受ける基準座標系まわりのモーメントをτとすると、これらは手先・足裏と環境との接触面の幾何学的な形状から、[数式3]、[数式4]が得られる。
【数6】

・・・・・(3)
【数7】

・・・・・(4)
さらに、各接触点がロボットに対して発生可能な力の集合は、摩擦コーンをL角錐で近似した場合、[数式5]により与えられる。
【数8】

・・・・・(5)
ここに、μは各点の摩擦係数、
【数9】

が各点の摩擦コーンを近似するL角錐の側辺となる様な単位ベクトルで、
【数10】

は各点に加わる接線方向の力の大きさにより定まる非負のスカラーである。[数式5]を[数式3]、[数式4]に代入すると、(f,τ)がとり得る値の集合は、[数式6]、[数式7]のとおり得られる。
【数11】

・・・・・(6)
【数12】

・・・・・(7)
(f,τ)はベクトルの非負1次結合で表されていることから、これらが力・モーメントの空間でとり得る値の集合は凸多面錐になる。この力・モーメントの集合を、接触力凸多面錐と呼ぶことにする。
【0022】
ロボットに力fおよびモーメントτが加わった場合、(−f,−τ)が[数式6]、[数式7]によって表される接触力凸多面錐に含まれる場合、接触状態は弱安定となり、釣り合いの関係が成立する可能性が生じる。このとき、釣り合いが必ずしも成立するとは言えないが、(−f,−τ)が凸多面錐に含まれない場合は、釣り合いの関係は成立せず、接触状態は必ず遷移する。
【実施例2】
【0023】
次に、この発明の第2番目の実施例として、十分な摩擦のある平面上を脚式移動ロボットが歩行する場合に、接触状態の遷移を判定する手段を示す。十分に摩擦がある床面上で接触状態が遷移するのは、ある接触点において接触が離れる場合である。図2に示す様に、ロボットの足裏のみが水平面と接触している場合を考える。ロボットの足先と水平面の間には十分に大きな摩擦が働くと仮定すると、水平面方向の力と鉛直軸まわりのモーメントについては任意の反力が発生し、[数式8]、[数式9]、[数式10]の釣り合いの関係は必ず成立する。
【数13】

・・・・・(8)
【数14】

・・・・・(9)
【数15】

・・・・・(10)
ここで、
【数16】

は任意の非負数である。一方、鉛直方向の力と水平方向のモーメントは、[数式11]、[数式12]、[数式13]で表されるが、これらは常に釣り合いが成立するとは限らない。
【数17】

・・・・・(11)
【数18】

・・・・・(12)
【数19】

・・・・・(13)
つまり、平らな床面の上を脚式移動ロボットが歩行する場合、ロボットの動作が与えられると、それに対応した[数式11]、[数式12]、[数式13]の左辺が計算される。そして、[数式11]、[数式12]、[数式13]が成立するためには、右辺に含まれる非負のスカラ
【数20】

が存在しなくてはならない。 逆に言うと、与えられたロボットの動作に対して、非負のスカラ
【数21】

が存在するかどうかによって、接触状態が遷移するかどうかが判定される。
【0024】
図3に、平らな床面上におけるロボットと床との接触領域と、これに対応する[数式11]、[数式12]、[数式13]で表された凸多面錐の適当な(f)zの値における断面を示す。
【実施例3】
【0025】
次に、この発明の第3番目の実施例として、滑りやすい路面上を脚式移動ロボットが歩行する場合に、接触状態の遷移を判定する手段を示す。滑りやすい路面上の歩行では、接触状態が遷移する場合として、接触が離れる場合と滑りが生じる場合の両方を同時に考慮しなくてはならない。この場合、特に水平方向のモーメントに関する釣り合いの関係式は床面の摩擦が十分に働く場合と同じである。一方、力に関する釣り合いの関係式、ならびに鉛直軸まわりのモーメントに関する釣り合いの関係は、[数式14]、[数式15]、[数式16]、[数式17]のように表すことができる。
【数22】

・・・・・(14)
【数23】

・・・・・(15)
【数24】

・・・・・(16)
【数25】

・・・・・(17)
ここで、
【数26】

である。((f)z,(f)y,(f)z)部分空間で考えると、これらの式で表される凸多面錐のl番目の側辺とf=ε断面の交点は
【数27】

となることに注意すると、凸多面錐は断面上では凸多角形となる。これを図4に示す。
【数28】

がこの凸多角形の要素であれば、水平方向の力については接触状態の遷移は必ずしも起こらない。それに対して、この凸多角形の要素に含まれない場合は、接触状態の遷移が必ず起こる。一方、[数式17]のz軸まわりのモーメントの釣合式は、
【数29】

の最小値を(τmin、最大値を(τmaxとかくと、凸多面錐の(f)z(τ)z断面は、図5の様になる。接触状態が遷移しないためには、[数18]において、

【数30】

・・・・・(18)
正のスカラλ>0,λ>0が存在しなくてはならない。以上より、摩擦が十分に働いて滑らないという仮定をしない場合は、十分に摩擦が働く場合に加えて、水平並進2軸と鉛直回りの回転について、釣り合いの関係式を考え、接触状態の遷移の判定を行う。
【実施例4】
【0026】
本発明の第4番目の実施例として、腕を有する脚式移動ロボットを仮定し、腕が環境と接触する場合を想定する。前項までとは異なり、この場合はロボットと環境との接触が単一の面内に含まれるとは限らない。また、この場合、手先と足先の接触点の間で働く内力の影響が顕著になる。図6に示す2次元の場合を例にとり、実施例を説明する。2次元平面内の運動を仮定するので、2次元の力と1次元のモーメントを考慮すればよい。力やモーメントの釣り合いの関係式をまとめると、[数式19]のようになる。
【数31】

・・・・・(19)
次に、この接触力凸多面錐に加えて、内力を考える。ロボットの手が環境と接する場合、ロボットが持つ運動量や角運動量には影響を及ぼさない接触力の成分である内力が存在する。この場合、内力の関係式は[数式20]のように表すことができる。
【数32】

・・・・・(20)
ここで、φは内力に関するパラメータである。[数式19]は式が三つに対して、変数が
【数33】

の四つである。しかしながら、[数式19]に加えて式[数式20]を考えることで、式の数と変数の数が合い、変数を一意に求めることができる。このとき、これらの変数に負のものが含まれるならば、接触状態が遷移することを判定できる。つまり、手先が環境と接触する場合は、接触力凸多面錐に加えて内力の関係式を用いることで、接触状態の遷移を判定する。
【実施例5】
【0027】
本発明の第5番目の実施例として、接触状態を遷移させないような脚式移動ロボットの動作を生成する手法を示す。本発明の第1番目の実施例により与えられたロボットの動作に対して、ロボットが受ける力・モーメントを算出する手法、ならびに接触力凸多面錐を計算する手法をしめした。ここでは、算出された力・モーメントが接触力凸多面錐に含まれない場合に、動作を修正する手法を示す。
【0028】
接触力凸多面錐に含まれない(−f,−τ)が与えられたとき、次のアルゴリムにより、接触力凸多面錐に含まれ、かつ、ユークリッドノルムにより定義された距離が最も近いものに変換することができる。変換後の値を
【数34】

と表記する。(f,τ)を[数式20]の連立不等式で表される凸多面錐に正射影する。
【数35】

・・・・・(21)
この射影を
【数36】

とすると、所望の射影は、
【数37】

・・・・・(22)
【数38】

・・・・・(23)
と求めることができる。このアルゴリズムの説明図を図7に示す。
【0029】
[数式20]を利用した脚式移動ロボットの動作生成手法を図8に示す。つまり、最初にロボットの動作を生成しておき、[数式1]、[数式2]にもとづいてを計算する。これが接触力凸多面錐に含まれない場合は、[数式22]、[数式23]に基づいて(−f,−τ)を射影し、動作を修正する。
【0030】
本発明の第2から第4の実施例において、摩擦が十分ある床面上の歩行、摩擦係数が小さい床面上の歩行、ならびに手先が環境と接触する場合について、接触状態の遷移を判定した。これら全ての場合において共通して言えることは、接触力凸多面錐を用いていることである。つまり、それぞれの場合において、本発明の第5の実施例を用いることで、接触状態が遷移しない脚式移動ロボットの動作を生成することができる。
【実施例6】
【0031】
本発明の第6番目の実施例として、ロボットの姿勢を実時間で制御する手法を示す。この手法においては、実時間で現在のロボットの関節角度情報や機体の位置姿勢の情報より、ロボットが受ける力・モーメントを算出する。そして、ロボットが受ける力・モーメントの目標値と比較をし、その目標値に収束するようにロボットの動作を制御する。 この制御系のブロック線図を図9に示す。
【0032】
本発明の第2から第4の実施例において、摩擦が十分ある床面上の歩行、摩擦係数が小さい床面上の歩行、ならびに手先が環境と接触する場合について、接触状態の遷移を判定した。これら全ての場合において共通して[数式1]、[数式2]を用いている。つまり、それぞれの場合において、本発明の第6の実施例を用いることで、実時間でロボットの動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】脚式移動ロボットが床面上に立ち、手先で環境と接している図である。
【図2】脚式移動ロボットの足裏と床面との接触を表す図である。
【図3】摩擦が十分ある平らな床面上での歩行における、足裏支持領域と、力・モーメントの領域を示す図である。
【図4】滑りやすい床面上の歩行における、力の領域を示す図である。
【図5】滑りやすい床面上の歩行における、鉛直軸まわりのモーメントの範囲を示す図である。
【図6】2次元平面内で脚式移動ロボットが対象物を押しながら歩く図である。
【図7】接触力凸多面体に含まれない力・モーメントの凸多面体への正射影を示す図である。
【図8】接触力凸多面錐を用いた脚式移動ロボットの動作生成を示す図である。
【図9】力・モーメントを考慮した実時間制御系の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを算出することにより、平面上の歩行における足裏と床面との接触において、滑っていない状態から滑りが生じるとき、または少なくとも一部の接触点において接触が離れるときの接触状態の遷移を判定する手段を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項2】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの、歩行を制御する制御装置において、ロボットと環境の複数の接触点が単一の面上にない場合において、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、前記接触状態の遷移を判定することを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項3】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、ロボットと環境の複数の接触点の間で内力が生じる場合に、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、前記接触状態の遷移を判定する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項4】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、平面上の歩行において、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、前記接触状態が遷移しないロボットの動作を生成する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項5】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの、歩行などを制御する制御装置において、ロボットと環境の複数の接触点が単一の面上にない場合において、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを算出することにより、前記接触状態が遷移しないロボットの動作を生成する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項6】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、ロボットと環境の複数の接触点の間で内力が生じる場合に、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、前記接触状態が遷移しないロボットの動作を生成する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項7】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、平面上の歩行において、実時間でロボットの姿勢を制御する手段を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項8】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの、歩行を制御する制御装置において、ロボットと環境の複数の接触点が単一の面上にないにおいて、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、実時間でロボットの姿勢を制御する手段を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項9】
少なくとも上体と、前記上体に連結された複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、ロボットと環境の複数の接触点の間で内力が生じる場合に、ロボットに加わる6次元の力・モーメントを考慮することにより、実時間でロボットの姿勢を制御する手段を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項10】
少なくとも上体と、前記上体に連結される複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、該ロボットが動作を行うとき、環境からロボットが受ける3次元の力と3次元のモーメントを算出する手段と、与えられたロボットの動作に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段と、前記計測された3次元の力と3次元のモーメントが凸錐の内部に含まれるかどうかを判定する判定手段とを有することを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項11】
環境からロボットが受ける3次元の力と3次元のモーメントを計測する計測手段と、与えられたロボットの姿勢に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段と、前記計測された3次元の力と3次元のモーメントが凸錐の内部に含まれるかどうかを判定する判定手段とを有することを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項12】
少なくとも上体と、前記上体に連結される複数本の脚部からなる脚式移動ロボットの制御装置において、目標となる3次元の力と3次元のモーメントを計算する手段と、与えられたロボットの動作に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段と、前記計算された3次元の力と3次元のモーメントの目標値が凸錐に含まれるかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段で凸錐に含まれないと判断したときに前記3次元の力と3次元のモーメントの目標値を修正する手段とを有することを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
【請求項13】
目標となる3次元の力と3次元のモーメントを計算する手段と、与えられたロボットの姿勢に対応して力−モーメント空間において形成される凸錐を算出する手段と、前記計算された3次元の力と3次元のモーメントの目標値が凸錐に含まれるかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段で凸錐に含まれないと判断したときに前記3次元の力と3次元のモーメントの目標値を修正する手段とを有することを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate