説明

脱水用布

【課題】製紙で使用可能な布に関し、製紙工程中の脱水で用いるに有用な布を提供する。
【解決手段】本布に好適には布の領域を少なくとも3領域持たせて、孔径を特異的に分布させ、前記3領域が、a)1番目の表面領域1、b)平均水力孔直径が1から10ミクロンで厚みが100ミクロン以下の2番目の材料領域2、c)平均水力孔直径が10ミクロン以下の3番目の材料領域3、を含んで成る多領域布構造物とする。布は、原紙から水を除去する通常の脱水用布の有効な代替品であり、これを用いると次の高温乾燥段階にかかるエネルギー費を節約することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製紙で使用可能な布に関する。この布は少なくとも3領域有していて特定の孔径分布を示す。
【背景技術】
【0002】
製紙工程では、セルロース繊維を水性スラリーとしてスクリーンの上に堆積させることが行われる。水を除去すると紙が生じる。その水性スラリーから水を除去する2番目の段階でしばしば脱水用布が用いられる。
【0003】
障壁を含んで成る製紙用布が特許文献1に記述されている。
【0004】
毛細管脱水方法および装置が特許文献2に記述されている。
【0005】
製紙工程中の脱水で用いるに適した新規な布が望まれている、と言うのは、水除去効率を向上させると次の高温乾燥段階の必要性が低下するか或はなくなることで費用を節約することができるからである。本発明はそのような目的および他の重要な目的に向けたものである。
【特許文献1】Eschmannの米国特許第5204171号
【特許文献2】Chuang他のWO9616305
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
本発明の1つの面は、少なくとも3領域を含んで成っていて前記3領域が
a)1番目の表面領域、
b)平均水力孔直径(mean hydraulic pore diameter)が1から10ミクロンの2番目の材料領域、
c)平均水力孔直径が10ミクロン以下の3番目の材料領域、
を含んで成る布構造物である。
【0007】
詳細な説明
本発明は、製紙工程中の脱水で用いるに有用な布を提供するものである。本発明に従う布は、公知の製紙用布とは対照的に、流れ抵抗(flow resistance)領域および毛細管領域を含んで成る。
【0008】
脱水用布は使用時に紙繊維のウエブ(web)に押し付けられる。その紙の繊維を水性懸濁液としてスクリーンの上に堆積させるが、そのウエブは多量の水を保持している。本発明の脱水用布をその湿った状態のウエブに押し付けた時に前記ウエブから有効に除去される水の量は典型的な構造の布を用いた時のそれに比べて10%以上多い。それでも、追加的水を除去する目的で乾燥を行う必要はあり得るが、乾燥時間および温度、従って関連したエネルギーの費用が大きく低下する、と言うのは、本発明の脱水用布を用いると除去される水の量がより多くなるからである。
【0009】
本発明に従う布は少なくとも3領域含んで成る。これらの領域は、例えば合成重合体のステープルもしくは連続フィラメントで出来ている不織材料などであってもよい。本分野の技術者が理解するであろうように、本明細書で用いる如き繊維はフィラメントを個別の
長さに切断または細断したものである一方、フィラメントは実質的に連続的である。表面領域[脱水を受けさせる原紙(incipient paper)の方向に位置する]を同様な不織もしくは膜材料で構成させてもよい。強度および安定性の目的で他の不織領域を織物層に付着させてもよい。
【0010】
本発明に従う布の1つの態様を図1に示す。図1に、本布の断面を示す。1番目の表面領域、即ち領域1は粗いステープル繊維を含んで成り得る。その表面領域は水が本布にほとんど流れ抵抗無しに染み込むことを可能にする領域である。その表面領域の厚みをそれが下方に位置する領域をプレス工程中に物理的に保護するがそれでも紙を本布から分離させている時にその下方に位置する領域が流れ制御領域(flow control region)として有効に働くことを可能にするに充分な厚みにする。下方に位置する次の領域2は、平均水力孔直径が1から10ミクロンの多孔質不織もしくは膜材料であり得る。本布の2番目の領域2に不織材料を用いる場合、これはステープル繊維もしくは連続フィラメントを含んで成っていてもよい。
【0011】
2番目の領域、即ち領域2は流れ制御領域であり、好適には、本布と紙をプレスニップ(press nip)の中に位置させながら起こさせる脱水に対する抵抗が過度に高くならないように、その厚みを100ミクロン以下にする。プレス後の紙を本布から剥がしている時に紙が再び湿ることがないようにする流れ制御領域として領域2が働くようにそれを設計する。それは、また、孔構造がより粗い領域に比べて圧力の均一さも向上させる。圧力の均一さが向上すると本布と紙をプレスニップの中に存在させながら起こさせる脱水の速度が速くなる。その領域の間隙率を約50%以上にする。
【0012】
領域2の不織材料を製造する時、米国特許第4,043,331号に開示されている如き電気紡糸(electrospinning)技術を用いてもよいか、或はWO 2003/080905に開示されている如き電気ブロー加工(electroblowing)技術を用いて不織材料を製造することも可能である。別法として、領域2の材料は、例えば米国特許第3,700,545号、4,127,696号および6,861,142号などに開示されている如き海の中の島(islands−in−the−sea)技術を用いて製造された不織材料であってもよい。海の中の島の技術を用いる場合、その海用の重合体は、好適には、島用の微細なフィラメントのみが残存するように溶解し得る種類のものである。溶解し得る海用の重合体の例は、水または水酸化ナトリウム溶液に溶解し得る線状ポリエステルである。その海用の重合体が溶解すると、その領域は島用の微細なフィラメントのみで構成される。そのようなフィラメントに持たせる直径を、好適には、所望の平均水力孔直径および全体的間隙率が達成されるように、0.1から5ミクロンの範囲内にする。フィラメントが小さければ小さいほど結果として間隙が微細になる。断面が円形ではないフィラメントを用いる場合の用語「直径」は、フィラメントの最小断面寸法を指す。微細なフィラメントもしくはステープル繊維で出来ている不織材料を製造する代替手段には、紡糸可能なフィラメントの紡糸、ウエットレイ(wet lay)およびエアレイ(air lay)技術が含まれ、それらは全部充分に確立されていて不織布製造技術分野の技術者に公知である。領域2用の典型的な構成材料にはポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエステルアミドおよび他の溶融紡糸可能重合体(2成分重合体を包含)のいずれも含まれる。ポリアミドが好適である。
【0013】
本布の3番目の領域3はステープル繊維または連続フィラメントを含んで成っていてもよいが、そのフィラメントに好適には領域1の中に存在させるフィラメントのそれよりも微細なデニールを持たせる。領域3の形成は領域2の形成で用いた方法と同じ方法を用いて実施可能である。領域3の中に存在させる材料が示す平均水力孔直径を10ミクロン未満にしかつまた脱水を受けさせるペーパーウエブ(paper web)の平均水力孔直
径よりも小さくする。領域3は毛細管領域である。領域3の中の毛細管力によって、紙と布がプレスニップから出た時に圧力が解放された時点で本布の中の水によってペーパーウエブが再び湿ることがないようにすることができる。
【0014】
領域3の場所が本布の中の領域全部の中で最も重要である。それを本布の中に望ましくは本布がニップの中で圧縮された後に圧力が解放されて膨張した時点で紙から押しやられる水の前線が領域3の中に存在するような場所に位置させる。脱水中に本布が完全に飽和状態になる場合には、領域3を望ましくは本布の下部層に位置させる。領域3の厚みを、好適には、脱水中に起こる流れ抵抗が低くなるに充分なほど薄いが、本布の中を移動する水の前線の移動を許容するほどの厚みにする。領域3の間隙率を好適には流れに対する抵抗が低くなるように50%以上にする。
【0015】
図1に示す領域4および5は粗いフィラメントを含んで成る。そのような粗いフィラメントはフィラメント1本当たりのデニールが1.0以上の如何なるフィラメントであってもよい。別法として、領域4および/または5をプレス用布(press fabric)製造技術の技術者に良く知られた構造を有する不織材料、例えば粗いステープル繊維の梳毛ウエブ(carded web)などで構成させることも可能である。領域4および5の平均水力孔直径を好適には領域2または3のそれよりも大きい桁の直径にする。領域4および5は、水がほとんど流れ抵抗無しに本布を透過することを可能にしかつ紙から押し出された水を貯蔵する領域として働く。
【0016】
本明細書に開示する方法では、本脱水用布の中に流れ制御領域と毛細管領域の両方を用いていることから、プレス工程中に湿った状態の紙から取り除かれる水の量は、流れ制御領域も毛細管領域も持たない布のそれに比べてもまた流れ制御領域のみを持たせた布のそれに比べても多い。本布に含める前記2つの機能的領域は、プレス工程中のいろいろな時点で水が布から紙の中に逆流しないように作用しかつそれらに用いる物理的機構が異なることで一緒になって脱水を向上させるように働く。
【0017】
紙に圧縮で脱水を受けさせる工程は、各々が布の一部に異なる時点で順次作用する連続的3段階、即ち脱水段階(材料がニップの中を移動するにつれて紙と布にかかる圧力が高くなる段階)、再湿り段階(紙と布が接触した状態のまま紙と布がプレスニップの後方で膨張する段階)および分離段階(紙を布から分離させる段階)を包含する。紙を布から迅速に剥がすことで再湿り段階をできるだけ短くしようとすることが一般的に行われている。それにも拘らず、紙と布を分離させる前にそれらが接触した状態である時間は常にいくらか存在する。紙と布が典型的なプレスニップの中に存在する間の全接触時間は典型的に約2秒以内である。
【0018】
前記毛細管領域では、布と紙がプレスニップから出た時に圧力が取り除かれた時点で紙が再び湿ることがないように毛細管力を利用する。この理由で、その毛細管領域の平均水力孔径の方が湿った状態のペーパーウエブの平均水力孔径よりも小さくなるようにする。そのように孔を小さくすることによってプレス工程の脱水段階中に水が布の中に流れ込むのを強力に抑制することができ、このように、孔の数を多くするのが望ましい。その結果として、この毛細管領域の間隙率を好適には50%より高くする。本布に含める毛細管領域の場所(表面に対する)を紙が再び湿ることがないように選択する。それを本布の中に望ましくは本布がニップの中で圧縮された後に圧力が解放されて膨張した時点で紙から押しやられる水の前線が毛細管領域の中に存在するような場所に位置させる。脱水中に本布が完全に飽和状態になる場合には、前記毛細管領域を望ましくは本布の下部に位置させる。
【0019】
この流れ制御領域は主に紙と布を分離させている時に起こる布から紙への流れを抑制す
る働きをする。紙と布を分離させている時、紙と布の間に部分的真空が生じる。その真空によって水が布から引き出される。紙と布の間の領域に引き込まれた水は容易に紙に吸収され得る。その流れ制御領域は、本布の大部分(毛細管領域を包含)に比べて比較的小さい孔直径を有することから、水に作用するせん断力を高め、それが前記部分的真空によって引き起こされる圧力勾配に対抗する。しかしながら、毛細管層とは異なり、必要な孔直径は、脱水実施中に起こる水の流れを充分に抑制するほどには小さくない。
【0020】
本発明の布の2番目の態様の断面図を図2に示す。領域9、10および11を粗いフィラメント、即ちデニールが1.0以上のフィラメントで構成させる。別法として、領域9、10または11の中の1つ以上をプレス用布製造技術の技術者に良く知られた構造の不織材料、例えば粗いステープル繊維の梳毛ウエブなどで構成させることも可能である。領域6、7および8は図1に示した如き本発明の1番目の態様における領域1、2および3に相当する。領域7は流れ制御領域でありそして領域8は毛細管領域である。領域9、10および11の構造は1番目の態様における領域4および5と同様でありかつそれらの目的も同様である。領域9、10および11と領域4および5の違いは厚みのみであり、それによって、毛細管領域8が適切に位置することを確保する。その他の構造は同じである。領域9、10および11の平均水力孔直径は、流れ制御領域のそれよりもまた毛細管領域のそれよりも大きい桁である。領域9、10および11は、水がほとんど流れ抵抗無しに本布を透過することを可能にしかつ紙から押し出された水を貯蔵する領域として働く。そのような領域の厚みを、領域8が本布の表面に対して領域8がこの上に記述したように毛細管領域として有効に働き得るように位置するような厚みにする。領域12は任意の織物層であり、これを本布に強度と安定性を加える目的で含めてもよい。
【0021】
本発明の布の3番目の態様の断面図を図3に示す。図2に示した態様では毛細管領域8を織物層(領域12)の上部に位置させる。図3に示す態様では毛細管領域8を織物層(領域12)の下方に位置させる。この2番目または3番目の態様に領域9、10および11のいずれかを含めることは任意選択である。
【0022】
いくつかの態様では、本布をフェルトの形態にする。
【0023】
本明細書に開示する態様では、本布の各領域は個別の層であってもよいか、或はより厚い材料の部分であってもよく、その場合には、その厚みを孔構造が異なる部分に分割する(図1、2および3)か或は図4に示すように孔構造を連続的に変えてもよい。
【0024】
図4に示すように、本多層布の1つ以上の層または布全体を、平均水力孔直径および間隙率が材料の一方の表面からもう一方の表面に向かって連続的に変わるように構築してもよい。これは、不織布製造中にデニールが異なるフィラメントの個々の層を位置させることで達成可能である。また、密度またはデニールが異なる繊維を混合した後にそのような種類の繊維の層を材料の厚み全体に渡って繊維の種類と種類の間に明確な境界が存在しないように形成させるドライレイ(dry lay)またはウエットレイ技術を用いることでもそれを達成することができる。また、各被膜間に明確な境界が存在しないように逐次的被膜の各々の孔構造を増分的に変える多段階被覆技術を用いることでもそれを達成することができる。
【0025】
一方の表面からもう一方の表面に向かって孔径を変えようとする時、不織布製造技術分野の技術者に良く知られた他の技術、例えばカレンダー加工などを適用することも可能である。
【0026】
本布の各領域の各々を天然もしくは合成材料で構成させてもよい。使用可能な天然材料の例は羊毛、綿、シリカなどであり、それらの形態は繊維、粒子または被膜であってもよ
い。合成材料の例はポリアミド、ポリエステルおよびポリプロピレンである。そのような合成材料の形態はステープル繊維、連続フィラメント、粒子、フィルムまたは被膜であってもよい。公知の不織もしくは被覆技術を用いて各領域の所望孔構造を作り出すことができる。適切な不織技術の例には、ウエットレイ、エアレイ、溶融紡糸、スパンボンド、スパンレース、溶融ブロー加工、電気紡糸、電気ブロー加工、カーディング、クロスラッピング(cross−lapping)、ニードルパンチ、カレンダー加工、積層、接着結合、熱結合およびステッチボンドが含まれる。適切な被覆技術の例には、スパッタリング、噴霧、メッキおよび浸漬が含まれる。いくつかの態様では、そのような領域を商業的に入手可能な個別の層として製造または購入した後、上述した技術の中の1つ以上を用いて組み立ててもよい。
【0027】
例えば、下記の如き個々の層を積み重ねることなどで本布を構築することができる:
下部に流れ制御層2を位置させ、続いて粗いステープル繊維のバット4、次に毛細管層3そして最後に別の粗いステープル繊維バット5を位置させる。その積み重ねた組み立て品に穿刺を針が最初に層5を貫きそして最後に層2を貫くように受けさせる。このような様式の穿刺を行うと、穿刺操作中に領域4および5の粗い繊維が流れ制御領域2に押しやられることで表面1が作り出される。穿刺が完了した時点でその組み立て構造物に熱カレンダー加工を表面領域1に対して受けさせることで、表面を滑らかなにしかつ安定にしそして針刺しによっていくらか生じた大きな穴を密封する。次に、その布を使用する時、表面領域1がプレス機の中でセルロース繊維紙構造物に面するように反転させる。
【0028】
本明細書に開示する脱水用布をまた液体を固体から吸収することを伴う他の用途で使用することも可能である。そのような用途には、おむつ、乾燥用生地、遠心分離用布および微細材料の固体/液体分離が含まれる。
【0029】
[実施例]
以下の実施例では、コンピューターを利用して、ペーパーウエブと布がプレスニップの中を通る時にペーパーウエブおよびプレス用布系(press fabric system)の中に生じる水の流れを示すモデルを利用した模擬実験を実施した。このモデルでは、巨視的力学的エネルギーバランスを用いてウエブ/布系の中の水の位置を動的に計算する。プレス工程、ペーパーウエブおよび布の構造、そしてプレス加工を受けさせる前のペーパーウエブおよび布の組成を説明する入力を行うと、このモデルは、プレス加工後の紙の中に存在する固体のパーセントを予測する。このコンピューターを利用したモデルによって、代替布構築物が脱水挙動に対して示す効果を推定することができる。
【実施例1】
【0030】
この実施例では、本発明の脱水用布が示す効果を流れ抵抗層のみを含有させた布および粗い繊維のバットのみで構成させた布と比較して示す。
【0031】
プレスを用い、最大荷重を70気圧にしそしてニップ内の滞留時間を3ミリ秒にして、プレス加工前にセルロース固体が25%の組成を有する75g/mの紙に脱水を受けさせる。プレス用布の形態を図1に示す如き形態にして、布全体の厚みを2.0mmにする。流れ制御領域2を紙側表面から0.3mmの所に位置させて、厚みを0.1mmにしたが、それの平均水力孔直径は5μmで間隙率は50%である。毛細管領域3を布の紙側表面から1.2mmの所に位置させて、厚みを0.5mmにしたが、それの平均水力孔直径は0.5μmで間隙率は75%である。このプレス用布の残りを間隙率が50%の粗い繊維のバットで構成させる。これらのパラメーターおよび値をコンピューターを利用したモデルに入力する。このモデルは、毛細管領域と流れ制御領域の両方を持たせた布をそのような条件下で用いた時のプレス後の固体量は54.8%であると言った推定値を与える。流れ制御領域のみを持たせたプレス用布を用いた時のプレス後の固体量は51.3%であ
り、そして粗い繊維のバットのみで構成させたプレス用布を用いた時のプレス後の固体量は48%である。毛細管領域と流れ制御領域を用いると、流れ制御領域のみを用いた時に比べて脱水が3.5%固体向上し、そして簡素な粗い繊維バットを用いた時に比べて6.8%固体向上する。
【実施例2】
【0032】
この実施例では、本発明の脱水用布が示す効果を流れ抵抗層のみを含有させた布または粗い繊維のバットのみで構成させた布と比較して示す。
【0033】
プレスを用い、最大荷重を70気圧にしそしてニップ内の滞留時間を3ミリ秒にして、プレス加工前にセルロース固体が25%の組成を有する200g/mの紙に脱水を受けさせる。プレス用布の形態を図1に示す如き形態にして、布全体の厚みを2.0mmにする。流れ制御領域2を紙側表面から0.3mmの所に位置させて、厚みを0.1mmにしたが、それの平均水力孔直径は5μmで間隙率は50%である。毛細管領域3を布の紙側表面から1.3mmの所に位置させて、厚みを0.5mmにしたが、それの平均水力孔直径は0.5μmで間隙率は75%である。このプレス用布の残りを間隙率が50%の粗い繊維のバットで構成させる。毛細管領域と流れ制御領域の両方を持たせた布をそのような条件下で用いた時のプレス後の固体量は32.3%である。流れ制御領域のみを持たせたプレス用布を用いた時のプレス後の固体量は30.6%であり、そして粗い繊維のバットのみで構成させたプレス用布を用いた時のプレス後の固体量は30.4%である。毛細管領域と流れ制御領域を用いると、流れ制御領域のみを用いた時に比べて脱水が1.7%固体向上し、そして簡素な粗い繊維バットを用いた時に比べて1.9%固体向上する。
【実施例3】
【0034】
この実施例では、流れ制御層および毛細管層として用いる2種類の実験材料が与える効果を示す。
【0035】
プレスを用い、最大荷重を70気圧にしそしてニップ内の滞留時間を3ミリ秒にして、プレス加工前にセルロース固体が25%の組成を有する75g/mの紙に脱水を受けさせる。プレス用布の形態を図1に示す如き形態にして、布全体の厚みを2.0mmにする。流れ制御領域2を紙側表面から0.3mmの所に位置させて、厚みを0.1mmにする。それを海の中の島のポリアミドの不織布で構成させる。流れ制御層を形成させる時、標準的な2成分溶融紡糸技術を用いて、海の中の島の繊維で出来ている不織バットを製造した。この繊維構造物をDuPontのZyte101ナイロン6,6を島用重合体として用いかつEastman AQ55S線状ポリエステルを海用重合体として用いて島の数が18になるように構成させた。重合体の比率をナイロンが75%でポリエステルが25%の比率にした。繊維全体のデニールは3.0でありそして布全体の秤量は84g/立方メートルであった。次に、このバットに冷カレンダー加工を受けさせることで、それを取り扱うことができるに充分な機械的一体性をそれに与えた。次に、その布に95Cの熱水溶液を用いたフラッシュ洗浄を30分間受けさせることで、それに含まれているポリエステルを除去した。その結果として得た不織バットは平均直径が3.9ミクロンのナイロン繊維で構成されていた。その流れ制御層は、水力孔直径が4.8μmで最小水力孔直径が1.2μmで最大水力孔直径が19.7μmで間隙率が50%の孔分布を示す。毛細管領域3を布の紙側表面から1.2mmの所に位置させて、厚みを0.5mmにする。この毛細管層を形成させる時、電子ブロー加工技術を用いて製造したフィラメント直径が1ミクロンのナイロンフィラメントで出来ている不織バットを用いて布の秤量が30.4g/立方メートルになるようにそれを構成させた。その電子ブロー加工したポリアミドの不織布が示した水力孔直径は3.0μmで最小水力孔直径は0.7μmで最大水力孔直径は11.8μmで間隙率は70%である。このプレス用布の残りを間隙率が50%の粗い繊維のバットで構成させる。これらのパラメーターおよび値をコンピューターを利用したモデル
に入力する。このモデルは、示したように構成させた布を用いると毛細管領域と流れ制御領域の両方を持たせた布をそのような条件下で用いてプレスした紙がプレス後に示した固体量は63.6%であるが粗い繊維バットのみで構成させたプレス用布を用いてプレスした紙がプレス後に示した固体量は35.9%であると言った推定値を与える。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1に、本発明の1つの態様に従う布の断面図を示す。
【図2】図2に、本発明の2番目の態様に従う布の断面図を示す。
【図3】図3に、本発明の3番目の態様に従う布の断面図を示す。
【図4】図4に、孔径が布の厚み全体に渡って連続的に変わる布の断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3領域を含んで成っていて前記3領域が
a)1番目の表面領域、
b)平均水力孔直径が1から10ミクロンで厚みが100ミクロン以下の2番目の材料領域、
c)平均水力孔直径が10ミクロン以下の3番目の材料領域、
を含んで成る多領域布構造物。
【請求項2】
更に織物層も含んで成る請求項1記載の多領域布。
【請求項3】
更に粗いフィラメントもしくはステープル繊維で出来ている領域も少なくとも1領域含んで成る請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項4】
前記2番目の領域が直径が5ミクロンに等しいか或はそれ以下の繊維もしくはフィラメントを含んで成る請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項5】
前記3番目の領域が直径が5ミクロンに等しいか或はそれ以下の繊維もしくはフィラメントを含んで成る請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項6】
前記2番目の領域が電気紡糸された繊維もしくはフィラメント材料である請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項7】
前記2番目の領域が電気ブロー加工された繊維もしくはフィラメント材料である請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項8】
前記2番目の領域が海の中の島のフィラメントもしくは繊維がスパンボンドされた材料である請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項9】
前記3番目の領域が電気紡糸された繊維もしくはフィラメント材料である請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項10】
前記3番目の領域が電気ブロー加工された繊維もしくはフィラメント材料である請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項11】
前記3番目の領域が海の中の島のフィラメントもしくは繊維がスパンボンドされた材料である請求項1または請求項2記載の多領域布。
【請求項12】
前記繊維もしくはフィラメントがポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリエステルアミドから選択される材料で出来ている請求項4記載の多領域布。
【請求項13】
前記繊維もしくはフィラメントがポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンから成る群から選択される材料で出来ている請求項5記載の多領域布。
【請求項14】
前記電気紡糸されたフィラメントもしくは繊維材料がポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選択される請求項6記載の多領域布。
【請求項15】
前記電気ブロー加工されたフィラメントもしくは繊維材料がポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選択される請求項7記載の多領域布。
【請求項16】
前記スパンボンドされた海の中の島のフィラメントもしくは繊維材料がポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選択される請求項8記載の多領域布。
【請求項17】
前記電気紡糸されたフィラメントもしくは繊維材料がポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選択される請求項9記載の多領域布。
【請求項18】
前記電気ブロー加工されたフィラメントもしくは繊維材料がポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選択される請求項10記載の多領域布。
【請求項19】
前記2番目の領域と前記3番目の領域が粗いフィラメントもしくはステープル繊維の領域で分離されている請求項3記載の多領域布。
【請求項20】
前記3番目の領域に続いて粗いフィラメントもしくは繊維の領域が存在しそして次に織物層に続いて粗いフィラメントもしくは繊維の領域が存在する請求項19記載の多領域布。
【請求項21】
前記2番目の領域に続いて粗いフィラメントもしくは繊維の領域が存在しそして次に織物層に続いて粗いフィラメントもしくは繊維の領域が存在しそして次に3番目の領域に続いて粗いフィラメントもしくは繊維の領域が存在する請求項19記載の多領域布。
【請求項22】
a)i)1番目の表面領域、
ii)平均水力孔直径が1から10ミクロンで厚みが100ミクロン以下の2番目の材料領域、
iii)平均水力孔直径が10ミクロン以下の3番目の材料領域、
を含んで成る布を液体または液体と固体の混合物を含んで成る材料に接触させることを含んで成っていて、接触時間が2秒以内の間に前記混合物の液体が前記布の中に吸収される方法。
【請求項23】
前記材料がペーパーウエブである請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−283272(P2006−283272A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102290(P2006−102290)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】