説明

脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化方法

炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化方法であって、脱水素化される炭化水素を含む反応ガス混合物の流入流をシャフトに配置された固定触媒床を通して流し、反応ガス混合物の流入流をシャフト内の流入ガス流Iに酸素分子含有流入ガスIIを計量することにより得、この流入ガス流Iは、シャフトの固定触媒床へ流動し、水素分子および固定触媒床の上流に脱水素化される炭化水素を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化方法に関し、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化のため、酸素分子、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む反応ガス混合物の流入流全体を、固定触媒床に通して流し、この固定触媒床は、所定の横断面のシャフトに配置され、反応ガス混合物の流入流の流動方向において、はじめに不活性成形体の床および反応ガス混合物の流入流の流動方向に流動する触媒活性床を含み、少なくとも1個の成形触媒体を含み、この成形触媒体は、例えば、その流動方向において、少なくともその入口領域の反応ガス混合物の流入流において、水素分子と酸素分子の水への燃焼反応および/または炭素酸化物および水が得られる反応ガス混合物の流入流に存在する炭化水素と酸素分子の燃焼反応の活性エネルギーが、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の脱水素化のものに比べて低下し、ただし、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の分量(一般に、少なくとも1mol%もしくは少なくとも2mol%または少なくとも3mol%または少なくとも4mol%あるいは少なくとも5mol%)を、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化し、反応ガス混合物の流入流は、シャフト内の流入ガス流Iに固定触媒床の上流の合計体積流量V2の酸素分子を含む流入ガスIIを計量することにより得られ、この流入ガス流Iは、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含み、体積流量V1の固定媒床方向にシャフト内を流動する。
【0002】
本発明はまた、本発明における方法を実施する装置および少なくとも1個の脱水素化炭化水素の部分酸化方法に関する。
【0003】
本出願で使用される「脱水素化炭素」という語句は、分子が、脱水素化される炭化水素分子よりも少ない少なくとも2個(「2個」は実施の点から好ましい)の水素原子を含む炭化水素を含むことを意図する。また、炭化水素という語句は、分子が炭素および水素の元素のみからなる物質を含むものとする。
【0004】
従って、脱水素化炭化水素は、特に、分子内に1つまたは複数のC−C二重結合を有する非環式および環式脂肪族炭化水素を含む。
【0005】
このような脂肪族脱水素化炭化水素の例として、プロペン、イソブテン、エチレン、1−ブテン、2−ブテンおよびブタジエンがある。つまり、脱水素化炭化水素は、特に、単不飽和直鎖炭化水素(n−アルケン)または分岐鎖脂肪族炭化水素(例えば、イソアルケン)およびさらにシクロアルケンを含む。脱水素化炭化水素はまた、分子内に1つ以上の炭素−炭素二重結合を含むアルカポリエン(例えば、ジエンおよびトリエン)を含むものとする。脱水素化炭化水素はまた、アルキル置換基を脱水素化することにより、アルキル芳香族、例えば、エチルベンゼンまたはイソプロピルベンゼンから出発して得ることが可能な炭化水素化合物を含むものとする。例えば、これらは、スチレンまたはα−メチルスチレンなどの化合物である。
【0006】
ごく一般的に、脱水素化炭化水素は、例えば、官能性フリーラジカル重合性化合物(例えば、プロペン由来のアクリル酸またはイソブテン由来のメタクリル酸)およびそれらの重合生成物の合成に役に立つ出発化合物である。例えば、このような官能性化合物を脱水素化炭化水素の部分酸化により得ることができる。脱水素化炭化水素もまた、メチルtert−ブチルエーテルなどの化合物(例えば、オクタン価を増加させる燃料添加剤として適切な次に生じるイソブテン生成物)を調製するのに適切である。しかし、脱水素化炭化水素自体もまた、重合に使用することができる。
【0007】
本明細書において、脱水素化される有用な炭化水素は、特に、非環式および環式アルカン、さらにオレフィン(C−C二重結合数が増加する)がある(例として、n−ブテンのブタジエンへの不均一系触媒による部分脱水素化がある)。
【0008】
つまり、本明細書の「脱水素化される炭化水素」という語句は、例えば、化学量論のCn2n+2[式中、n>1〜n≦20]および化学量論のCn2n[式中、n>1〜n≦20]ならびに化学量論のCn2n-2[式中、n>2〜n≦20およびn=整数]の炭化水素、特に、C2−C16アルカン、例えば、エタン(〜エチレン)、プロパン(〜プロピレン)、n−ブタン、イソブタン(〜イソブテン)、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカンおよびn−ヘキサデカンを含む。
【0009】
しかし、特に、本明細書全体において、脱水素化される炭化水素としてC2−C6アルカンおよび非常に特にC2−C4炭化水素(とりわけ、アルカン)が適用すると言える。つまり、本明細書において脱水素化される炭化水素は、特にエタン、プロパン、n−ブタンおよびイソブタン、さらに1−ブテンおよび2−ブテンである。
【0010】
本明細書において、炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化は、(従来の)脱水素化を意味すると理解され、遊離水素分子が少なくとも中間体として形成され、それに応じて、脱水素化ステップは、吸熱作用的に進む(続くステップとして発熱水素燃焼を含むことができる)。対照に、不均一系触媒による部分酸素脱水素化(Oxidehydrierung)の場合、脱水素化される炭化水素から引き離した水素を、存在する酸素により水(H2O)として直接取り出す。それゆえ、不均一系触媒による部分酸素脱水素化の脱水素化ステップは、常に発熱作用的に進む。
【0011】
さらに、本明細書の不均一系触媒による部分脱水素化は、固定触媒床の脱水素化であるものとする。
【0012】
典型的に、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素(例えば、プロパン)の(従来の)不均一系触媒による部分脱水素化は、比較的高温を必要とする。通常、熱力学平衡により、得られる変換が制限される。典型的な反応温度は、300〜800℃または400〜700℃である。例えば、プロピレンに脱水素化されるプロパンの分子当たり水素分子1個を生成する。高温およびH2反応生成物の除去により、不活性希釈による分圧を低下させるように、標的生成物としての少なくとも1個の脱水素化炭化水素へ平衡位置を移動する。本明細書において、一般に、不活性ガス(不活性希釈ガス)は、適当な反応条件下において基本的に化学的不活性に挙動する反応ガス混合物の構成物質を意味すると理解するものとし、各不活性反応ガス混合物の構成物質のみを考える場合、95mol%以上の程度、好ましくは97mol%以上の程度、または99mol%以上の程度まで化学的に変化しない状態である。典型的な不活性希釈ガスの例として、例えば、N2、H2O、CO2、希ガス、例えば、He、NeおよびArならびにこれらのガス混合物などがある。
【0013】
少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素(例えば、プロパン)の不均一系触媒による部分脱水素化の脱水素化ステップが吸熱作用的に進むため、必要な反応温度を得るのに必要な熱(エネルギー)を事前に反応ガスおよび/または不均一系触媒による脱水素化の過程のどちらかで供給しなければならない。
【0014】
最も簡単な様式において、不均一系触媒による部分脱水素化をシャフトリアクターで行うことができる。シャフト(リアクター)は、反応チャンバーと接触する材料シェルを入れる反応チャンバーであり、反応チャンバーに反応ガス混合物を供給するための少なくとも1つの第1開口部および反応チャンバーから少なくとも1種の生成ガス流を排出するための少なくとも1つの第2開口部を有する。反応チャンバー内(シャフト内)に反応ガス混合物を通して流動する少なくとも1個の固定触媒床を配置する。固定触媒床に滞留時間中、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の所望の部分脱水素化が行われる。
【0015】
シャフト(リアクター)が((準)断熱構成された)その周囲から断熱される場合、すでに適当な脱水素化変換が得られ、反応ガス混合物を350または400〜800℃(多くの場合、500〜700℃または550〜650℃)の温度(出発温度)に加熱し、反応ガス混合物は、(シャフト(リアクター)の)反応チャンバーに配置された少なくとも1個の固定触媒床を通る唯一の断熱パスに流れる。
【0016】
変換および選択された不活性希釈に応じて、固定触媒床を通るシングルパスの反応ガスを約30〜200℃まで冷却する。
【0017】
不均一系触媒による部分脱水素化において、反応ガス混合物の不活性希釈ガスとしての水蒸気をさらに使用することは、2つの理由から有利である。1つ目は、水蒸気は、比較的高温のモル熱容量を有し、これは、さらに使用する場合に上述の冷却を減らす。
【0018】
冷却が減少した場合に、出発温度の低下もまた、多くの場合、所望の変換には十分である。これは、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化の過程において、望ましくない副反応が、出発温度の上昇とともに増加する、少量以下の高沸点の高分子量の有機化合物(熱分解生成物)を含み、触媒表面に堆積し、従って非活性化する炭素原子を含む化合物を形成するという点において有利である。それにも関わらず、不活性希釈ガスとしての水蒸気の存在下において、触媒表面に堆積した炭素を、不均一系触媒による部分脱水素化の高温にて石炭ガス化の原理により、少なくとも部分的または完全に、および連続的に付随的に排除する。
【0019】
有利な様式において、不均一系触媒の炭化水素(例えば、プロパン)脱水素化を、トレイリアクターとして構成される場合の(外部が好ましくは断熱構造の)シャフトリアクターに(リアクターを通る反応ガス混合物のシングルパス≦30mol%および>30mol%(例えば、40mol%以下または50mol%以下あるいは60mol%以下)に対する脱水素化変換の両方で)行なうことができる。
【0020】
トレイリアクターは、空間的に連続して、(反応チャンバーを入れた)シャフトの脱水素化を触媒する1つ以上の固定触媒床を含む。触媒床数は、例えば、1〜20個、適宜、2〜8または3〜6個であってよい。一般に、固定触媒床を放射状にまたは軸上に連続して配列する。
【0021】
特に簡単な様式で実現可能なように、固定触媒床を反応ガスの流動方向を示すその軸に沿ってシャフトの軸上に連続して配列する。しかし、これらはまた、シャフトの同心シリンダーグリッドの環状の空隙に配列することもできる。それはまた、シャフトの環状の空隙を数区分に重ねて配列し、1区分内を放射状に通過後に、反応ガスをその上または下にある次の区分に流すことが可能である。
【0022】
1つの固定触媒床から次の固定触媒床への途中で、この時、反応ガスを、例えば、シャフトの固定床トレイ間に実装された、熱ガスおよび/または液体により操作された間接式熱交換器(例えば、熱交換器リブまたは熱交換器プレートあるいは熱交換器チューブバンドル)を通して通過させることにより、および/またはその間接式熱交換器上で、中間体を加熱させることができる(外部制御温度特性)。
【0023】
別に、シャフトリアクターを断熱的に構成する場合、一般に、シャフトリアクターを通る反応ガスのシングルパス≦40mol%に対する脱水素化変換(例えば、プロパン→プロピレン変換)(例えば、とりわけ、実施例として引用される、独国特許出願公開第102005044916号および独国特許出願公開第19937107号に記載の触媒を使用の場合)は、350もしくは400または450〜500℃(好ましくは400〜500℃)に予熱された反応ガス混合物を(固定触媒床を収容する閉じた反応チャンバー)シャフトに流し、シャフト内、トレイ反応チャンバー内で、間接式熱交換器(外部制御温度特性)により少なくともこの温度範囲に保持するのに十分である。これは、再生に至るまでの固定触媒床の寿命に特に有利であることがわかった。
【0024】
しかし、それは、直接経路(内部制御温度特性)による上記の中間体加熱を行う実施の点からよりさらに簡潔である。このため、各場合、酸素分子を含むガスを、シャフトを通る途中の、例えば、反応ガスの流動方向において、第1固定触媒床を通過後、および反応ガスの流動方向において下流の固定触媒床間の反応ガス混合物に(反応ガスに)制限範囲まで有利に添加することができ、これは、酸素分子、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む反応ガス混合物流を生成する。
【0025】
少なくとも1個の成形触媒体を含むこの反応ガス混合物流の流動方向において、下流の触媒活性床を、(反応ガス混合物流において)、酸素分子、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む反応ガス混合物の流動方向において、少なくともその入口領域において、酸素分子と水素分子の水への燃焼反応および/または反応ガス混合物流に存在する炭化水素の炭素酸化物および水への燃焼反応の活性エネルギーが、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の脱水素化のものに比べ低下するように(例えば、適切な活性組成物の選択により)構成する場合、おもに、反応ガス混合物に存在する水素分子および/または反応ガス混合物に存在する炭化水素と酸素分子(H2OまたはH2Oおよび炭素酸化物へ)の制限された発熱燃焼は、反応ガス混合物が固定触媒床を通過する時に、最初に固定触媒床で起こるだろう。放出された反応熱が反応ガス混合物を加熱し、さらなる通路の過程で再度消費されることができ、これは、おもに吸熱作用および脱水素化特性、固定触媒床を通る反応ガス混合物の熱である。適宜、燃焼に必要な酸素分子を伴うことができるCO2、H2OおよびN2などの、結果として得られた燃焼生成物は、有利な不活性希釈ガスを形成する。
【0026】
続いて、固定触媒床を離れ、事前に形成された水素分子を含む反応ガス混合物が反応ガス混合物の流動方向において、次の固定触媒床に入る前に、再度、酸素分子を含むガスを制限範囲までその混合物に添加することなどもできる。
【0027】
酸素分子、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む反応ガス混合物が触媒活性床に入る場合の「水素燃焼」と「炭化水素燃焼」との間の比重は、主として触媒活性床の入口領域において(反応ガス混合物の流動方向において)、触媒の選択により影響されうる。水素分子および/または炭化水素の燃焼を触媒する有用な触媒は、例えば、米国特許第4788371号、米国特許第48886928号、米国特許第5430209号、米国特許第5530171号、米国特許第5527979号および米国特許第5563314号明細書のものを比較的、具体的に(選択的に)含む。
【0028】
典型的に、主要な「炭化水素燃焼」以上の主要な「水素燃焼」が好ましく、それは、少なくとも1個の脱水素化炭化水素化合物の形成の選択性の増加およびトレイリアクターを通る反応ガスのシングルパスに対する脱水素化変換の増加の両方が生じるためである。一般に、これは、触媒活性床が、触媒として、唯一の脱水素化触媒(とりわけ、独国特許出願公開第19937107号に推奨されるもの(とりわけ、この独国特許出願公開の例示的触媒)を含む場合であり、それは、一般に、これらが脱水素化される炭化水素(例えばプロパン)の脱水素化だけでなく、水素分子および炭化水素と酸素分子の燃焼を触媒することができるためである。競合状態の場合、水素燃焼は、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素(例えば、プロパン)の脱水素化と比較、および例えば、その燃焼と比較して、ともにこれらの触媒全体に極めて急速に進行する(すなわち、所与の条件下において、触媒が必要とする水素分子の燃焼のための活性エネルギーは、はるかに最も少ない)。
【0029】
実施される燃焼反応の程度に応じて(すなわち、供給される酸素分子量にも応じて)、トレイリアクターを通る反応ガス混合物のシングルパス全体の反応特性は、統合的熱特性に関して(すなわち、基本的な熱特性に関して)、吸熱(マイナス)または自己熱(基本的ゼロ)または発熱(プラス)のいずれかに構成することができる。
【0030】
水素分子の燃焼は、脱水素化の過程においてその形成に消費される熱量の約2倍が得られる。
【0031】
当然ながら、2個の固定触媒床間で、内部温度制御の原理および外部温度制御の原理を使用することも可能である。少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化の等温性もまた、好ましいが必然でない、真空にした閉口の(例えば管状)内部物質を組み込み、その後トレイ反応チャンバーの固定触媒床間に挿入することによりさらに改良することができる。このような内部品を特定の固定触媒床に載せることもできる。これらの内部物質は、特定の温度以上で蒸発または融解し、その間に熱を消費し、かつその温度以下になると再度凝縮し、その間に熱を放出する、適切な固体または液体を含む。おもに、等温性をさらに改良するために、流体(ガス状および/または液体)熱担体をシャフトリアクターの材料シェルの外側にさらに流すことができる。しかし、用途がかなり複雑であり、このため、一般に外部断熱構成が好ましい。
【0032】
記載の内部温度制御の測定は、反応ガス混合物の流動方向において、必要な反応温度まで第1固定触媒床に供給される反応ガス混合物を加熱するために行うこともできることが理解されるだろう。このため、他からの水素分子を、このために適宜、反応ガス混合物に事前に供給することができ、この反応ガス混合物は、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含み、シャフトリアクターに流れる。しかし、このような水素の添加を省略することも可能である。この場合、基本的に炭化水素燃焼のみにより、内部温度制御を行うことができる。多くの場合、第1固定触媒床に供給される反応ガス混合物は、別の方法で反応温度にすることもできる。例えば、構成される第1固定触媒床に供給される反応ガス混合物由来の出発ガス流は、すでに適当な温度を有することができる。これらの出発ガス流も、すでに酸素分子を含むことができ、そのため、シャフトの流動方向における、第1固定触媒床に流動するガス混合物に酸素分子を含むガスを計量する問題は生じない。
【0033】
おもに、内部制御温度特性を有する固定床トレイリアクターに構成されるシャフトリアクターの少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化方法は、公知である(例えば、独国特許出願公開第102005061626号、独国特許出願公開第102005057197号、独国特許出願公開第102005052923号、独国特許出願公開第102005052917号、独国特許出願公開第102005022798号、独国特許出願公開第102005009885号、独国特許出願公開第102005010111号、独国特許出願公開第102004032129号、独国特許出願公開第102005013039号、国際出願第03/076370号、独国特許出願公開第10211275号、国際出願第01/96270号およびこれらの明細書を引用した従来技術を参照)。
【0034】
上述の明細書はまた、トレイリアクターの個々の固定触媒床の構造を開示し、例えば、少なくとも1個の触媒活性成形触媒体を含む実際の触媒活性床は、反応ガス混合物流の流動方向において、不活性成形体の床および酸素分子を含むガスの定量添加で被覆され、ガス流に対して内部温度制御を必要とし、このガス流は、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含み、このような固定触媒床に流動し、その後このガス流が固定触媒床(すなわち、実際の触媒活性床を被覆する不活性床(不活性成形体の床))に達する。
【0035】
しかし、承認された従来技術は、どのような様式において(すなわち、どのように)酸素分子を含むガス流の定量添加を産業規模で行う(実施する)ことを完全に解決していないままである。
【0036】
シャフトの関連固定触媒床方向に流動する水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含むガス流に、酸素分子を含むガス流を供給する様式は、内部の実験結果に従うが、種々の理由において産業規模プロセス手法に関連する。
【0037】
はじめに、局所的に酸素濃度を上昇させ、この場合、酸素分子を含むガスを計量する。好ましくない場合に、これらは、例えば、燃焼可能な(爆発性)ガス混合物を局所的に形成する可能性があり、これは用途の点から望ましくなく、これは、これらの存在期間が長くても短期間であり、局所的に厳しく制限される必要があるためである。さらに、定量添加後に生じる反応ガス混合物は、すでに所望の不均一系触媒の燃焼前に高温である(かつ、不均一系触媒の燃焼の過程においてさらに上昇する)。酸素分子を含む反応ガス混合物が固定触媒床に達する前に、それゆえ、通常、反応ガス混合物内に望ましくない均一なフリーラジカル反応があり(例えば、望ましくない発熱性均一フリーラジカルの部分酸化および/または炭化水素の酸素脱水素化、これらの望ましくない反応により局所的に上昇する反応熱が局所的に温度増加を生じ、その結果、典型的に炭化水素の望ましくない熱分解を増加させる)、これは、標的生成物選択性およびさらに一般に触媒の寿命を低下させる副生成物を広範な帯域で有する。このような標的生成物選択性の低下は、とりわけ、少なくとも1種の標的生成物、少なくとも1個の脱水素化炭化水素を、次に反応させる場合(例えば、不均一性触媒の部分酸化)に有利ではない。固定触媒床内で、このような望ましくないフリーラジカル副反応を実質的に抑制し、なぜなら、大きな内部表面の固定床の電荷がフリーラジカルスカベンジャーとして機能するからである。一般に、このような望ましくないフリーラジカル反応の程度は、利用可能な反応時間とともに指数関数的に増加する。
【0038】
このため、触媒活性床を被覆する不活性床にのみ直接に、酸素分子を含むガスの定量添加を直接行うことがすでに提案されている。しかし、このような手法は、酸素分子を含むガスを不活性床に分配させる場合、不活性床の中央供給分配システム(例えば、流出開口部を有する配管系)は、局所的、基本的、無作為に分配された分配抵抗に対応する(どのような方法およびどの程度までかどうかに応じて、不活性成形体が配管系の特定の流出開口部を遮断する)ことが不利である。これは、比較的様々な場合において、局所的に望ましくない様式において、酸素分子を含むガスの供給流を導く。最も好ましくない場合、これは、単位時間当たりの供給量合計に従い制御された酸素分子を含むガスの供給の場合において、いつくかの流出開口部で、流出開口部から流出する酸素分子を含むガスではなく、むしろ、水素分子および流出開口部に入る脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含むガスを導く恐れがある。さらに、不活性成形体は、流出開口部から流出する個々の定量流の流動方向に望ましくない影響を及ぼし、極端な場合、固定触媒床から局所定量流をまさに流す。
【0039】
定量の酸素分子を含む反応ガス混合物が、流動方向において不活性床の上に配置される実際の触媒活性床に入る場合、反応ガス混合物の酸素分子の均一な分配において、触媒活性床の様々な程度の局所触媒燃焼を生じる。これらは、対応する様々な局所的な熱上昇を伴う。通常、局所的に上昇した温度は、触媒活性床の局所的劣化を促進させる。反応ガス混合物の流動方向において、最大限に膨脹させた不活性床を用いて、反応ガス混合物の触媒活性床への入口で酸素分子の基本的に均一な分配を得ることが可能であるが、不活性床の膨張が増加するほど、床を通過する場合の反応ガス混合物の圧低下が増加し、これは、最終的にコンプレッサーの出力増加を伴う。不活性床の反応ガスの滞留時間の増加に伴い、望ましくない副反応もまた、再度生じうる。これは、とりわけ、不活性床の内部表面積を比較的制限する場合である。
【0040】
それゆえ、本発明の目的は、本明細書の緒言に記載される、非常に包括的および非常に経済的な、すなわち、容易で相対的に複雑でない様式の上述の特徴を考慮し、関連の不活性床の膨張を最小限にすることができる方法を提供することである。米国特許第2584391号の教示は、触媒流動床の方法に関するため、前記の問題を解決することが不可能である。
【0041】
同様に、独国特許出願公開第102004024957号の教示は、前記の問題を解決することが不可能である。はじめに、不均一系触媒の酸素脱水素化に関し、この場合、酸素分子を含む反応ガス混合物を触媒活性床に直接供給し、さらに供給システムが不連続である。さらに、それは、製造に対して比較的複雑なチューブバンドルシステムを必要とし、高価なチューブプレートを有する。
【0042】
国際出願第2004/074222号は、同じく前記の問題を解決するには役に立たない。従って、この明細書では、酸素分子を含むガスおよび脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含むガス流を、互いに厳密に平行な流動制御において流すことが必要であり、これは、比較的複雑な装置を必要とする。さらに、平行な流動結合は、比較的長い混合域を必要とする。
【0043】
同様に、独国特許出願公開第102004003070号は、不均一系触媒の酸素脱水素化に関し、この場合、反応ガス混合物を触媒活性床に直接流すため、前記の問題の解決に寄与することが不可能である。
【0044】
それゆえ、従来技術で解決されなかった問題に提案される解決は、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化方法であり、この場合、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化のために、酸素分子、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む反応ガス混合物の流入流全体を固定触媒床に通して流し、この固定触媒床は、所定の横断面を有するシャフトに配置され、反応ガス混合物の流入流の流動方向において、はじめに、不活性成形体の床および反応ガス混合物流の流動方向に流動する触媒活性床を含み、少なくとも1個の成形触媒体を含み、これは、例えば、(反応ガス混合物の流入流の)その流動方向の反応ガス混合物の流入流、少なくともその入口領域において、水素分子と酸素分子の水への燃焼反応および/または炭素酸化物および水が得られる反応ガス混合物の流入流に存在する炭化水素と酸素分子の燃焼反応の活性エネルギーが、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の脱水素化のものに比べて低下させ、ただし、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の分量(一般に少なくとも1mol%もしくは少なくとも2mol%または少なくとも3mol%または少なくとも4mol%あるいは少なくとも5mol%)を少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化し、反応ガス混合物の流入流は、シャフト内の流入ガス流Iに固定触媒床の上流の合計体積流量V2の酸素分子を含む流入ガスIIを計量することにより得られ、この流入ガス流Iは、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含み、体積流量V1の固定媒床方向にシャフト内を流動し、この場合、流入ガスIIを、流入ガス流IIの流動方向において、固定触媒床の上流に配置される配管系の複数の流出開口部Aから流動する流入ガスII流の形態で、
a)流入ガス流Iの不在を仮定して、流出開口部Aから流出する全ての流入ガスII流の複数個Mの方向は、流入ガス流Iの流動方向と角α90±60°をつくり
b)シャフトの流入ガス流Iの流量Wに対して、固定触媒床からの流出開口部A全ての複数個Mの距離Dは、2・Wを掛けた反応ガス流入混合物(すなわち、反応ガス混合物の流入流を構成するガス混合物)の導入時間J以下であり
c)射影面E内の流入ガス流Iの流動方向に直角の射影面Eへの、流入ガス流Iの流動方向における流出開口部A全ての複数個Mの重心の射影により、流入ガス流Iにより考慮される射影面積の少なくとも75%(好ましくは少なくとも80%、さらに少なくとも85%、または少なくとも90%、有利には少なくとも95%あるいはさらに100%)においてm2≧10で存在する流出開口部重心の数ZAを生じ
d)流出開口部重心の数ZAに対応する流出開口部Aから流出する個々の流入ガスII流(例えば、体積流または質量流)は、50%以下でそれらの数平均(参照基準としての数平均)から偏位し
e)流出開口部の数ZAのうち、1つの流出開口部の重心から(射影面Eに)最も近い流出開口部重心までの距離dは、2√1m2/ZA以下であり、
f)V1:V2比は、≧8である
ように計量する。
【0045】
おもに、本発明における方法の流入ガスII(例えば、空気の場合)を、例えば、20℃(外気温)で計量することができる。
【0046】
本発明において適切には(これは、流出開口部A全体でより一様なガス密度を確実にする)、流入ガス流Iと流入ガスIIの温度間の温度差ΔTII1(大きさ)は、しかし、300℃以下にするものとする。ΔTII1は、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、有利には150℃以下、特に有利には100℃以下、非常に特に好ましくは75℃以下、非常に特に有利には50℃以下、さらに30℃以下および最も良いのは≦20℃もしくは≦10℃または0℃である。
【0047】
2つの温度が同一でない場合、一般に、流入流Iが高温である。
【0048】
上述についてとりわけ、流入流Iが≧350℃(例えば、≧375℃もしくは≧400℃または≧425℃または≧450℃または≧475℃または≧500℃または≧525℃≧550℃あるいは≧600℃)である。一般に、本温度は、≦800℃、多くの場合≦700℃であるだろう。
【0049】
本発明における方法のシャフトに配置される固定触媒床は、シャフトリアクターに配置される単一の固定触媒床またはトレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターの複数の触媒床の1つであってよい。固定触媒床がシャフトリアクターの反応ガスの流動方向において、1つ目である場合、一般に、反応ガス混合物の流入流は、まだ少しの脱水素化炭化水素も含まないだろう。しかし、本発明における方法の固定触媒床が、反応ガスの流動方向において、この第1固定触媒床に続く固定触媒床である場合、反応ガス混合物の流入流(すなわち、この固定触媒床に流れるガス流)は、通常、少なくとも1個の脱水素化炭化水素のいくつかも含むだろう。本発明における方法の固定触媒床はまた、反応ガスの流動方向において、トレイリアクターの最後の固定触媒床であってよい。
【0050】
つまり、本発明における方法は、おもに、トレイリアクターに配置される固定触媒床全てに適用されることができる。
【0051】
しかし、反応ガスの流動方向において、シャフトリアクターに配置される第1固定触媒床に供給される反応ガス流入混合物は、種々の理由において少なくとも1個の脱水素化炭化水素のいくつかをすでに含むことができる。これは、例えば、国際出願第03/076370号または独国特許出願公開第10211275号に記載の手法において、脱水素化リアクターから流出する生成ガス流を2つの同一組成物に分け、2つのうち1つを脱水素化リアクターに供給される反応ガス混合物に脱水素化循環ガスとして再循環させ、もう1つをさらに別の方法(例えば、反応チャンバーで形成された脱水素化炭化水素の不均一系触媒の部分酸化のために)で使用する場合である。
【0052】
さらに、上述はまた、本発明における方法の酸素分子を含む流入ガスIIと合わせて、固定触媒床に供給される反応ガス混合物の流入流を構成する流入ガス流Iに対応して適応する。
【0053】
本発明における方法の有用な流入ガスIIは、おもに、純粋形態の酸素分子または酸素分子および不活性ガスの混合物(例えば、空気)のどちらかである。例えば、使用されるこのような不活性ガスは、窒素分子、二酸化炭素、希ガスおよび/または水蒸気であってよい。
【0054】
用途において適切には、流入ガスIIは、空気および水蒸気の混合物であるだろう。流入ガスIIとして酸素分子および不活性ガスの混合物を使用することは、これが流入ガス流Iに流入ガスIIを入れる場合の流出開口部Aの領域の爆発性挙動をより好ましくするという点において、流入ガスIIとして純粋酸素分子の使用以上に有利である。さらに、流入ガスIIの不活性ガスのさらなる使用は、合計体積流量V2をより大きくすることができ、これは、流入ガス流Iに流入ガスIIを計量する安定性(一様性)に有利であることがわかる。しかし、少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化の生成ガス流の不活性ガスの成分の増加が望ましくない場合(例えば、これらが次の少なくとも1個の脱水素化炭化水素の使用時に、高いコストで運搬されなければならないバラストであることがわかった場合)、流入ガスIIの成分を最小量にするだろう。
【0055】
本発明における方法に適切な流入ガスIIは、例えば、以下の成分を有する:
水蒸気 0〜80体積%
2 10〜97体積%および
2 3〜25体積%。
【0056】
従って、可能な流入ガスIIの成分は、
2O 15〜80体積%
2 20〜85体積%および
2 5〜25体積%
または
2O 15〜60体積%
2 20〜80体積%および
2 5〜20体積%
であってよい。
【0057】
本発明における方法の体積流量V1(Nm3/hにおいて、Nm3は、標準条件下(0℃、1atm)において生じるだろう適当なガス量の体積m3である)対合計体積流量V2(同様に、Nm3/h)の比は、≧8である。それは、好ましくは≧10、より好ましくは≧15および最も好ましくは≧20である。本発明における方法のV1:V2比は、多くの場合さらに≧25もしくは≧30または≧40あるいは≧50である。しかし、一般に、本発明における方法のV1:V2比は、≦500、しばしば≦400または≦300、多くの場合さらに≦200または≦100である。
【0058】
一般に、本発明における方法の固定触媒床は、反応ガス混合物の流動方向において、不活性材料の被覆層だけでなく、不活性成形体の最終層も有する。これは、例えば、軸式トレイリアクター(axialen Hordenreaktor)の場合、一般に固定触媒床が、多くの場合、メッシュサイズが成形触媒体に比べ大きいガス浸透性グリッド(gasdurchlaessigen Gitterrost)により支持されるためである。
【0059】
本発明における方法のシャフトに配置される固定触媒床が、シャフトリアクターの流入ガス流Iの流動方向において、第1(および適宜、唯一の)固定触媒床である場合、シャフトの体積流量V1とともに流動する流入ガス流Iは、通常、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による脱水素化のためにシャフトリアクターに供給される流入ガス流に対応する。一般に、それは、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素(例えば、プロパン)≧5体積%を含む。さらに、それは、例えば、
a)N2
b)N2およびH2O、
c)N2、H2OおよびH2
d)N2、H2O、CO2およびH2または
e)N2、H2O、CO、CO2およびH2
を含むことができる。
【0060】
さらに、酸素分子の限界量をすでに含むことができる。
【0061】
しかし、本発明における方法の固定触媒床が、反応ガスの流動方向において、この第1固定触媒床に続く固定触媒床である場合、通常、流入ガス流Iは、反応ガスの流動方向において、前の固定触媒床から流出する反応ガス混合物に対応し、これは、通常、上述のガスに加えて少なくとも1個の脱水素化炭化水素を含むだろう。一般に、この時、基本的に酸素分子を含むことはないだろう。
【0062】
本明細書において、全ての流出開口部Aの(およびこれらから流出する個々の流入ガスII流の)複数個Mを、合計体積流量V2流出の合計のちょうど50%以上(好ましくは、ちょうど60または70%以上、より好ましくはちょうど80または90%以上および最も好ましくは100%)が流出するこれらの流出開口部A(およびこれらから流出する個々の流入ガスII流)を意味すると理解し、ただし、全ての個々の流入ガスII流全体のうち、これらから流出する個々の流入ガスII流は、この複数個Mに含まれる個々の流入ガスII流の最大以上を含む。
【0063】
本発明において好ましくは、製造において可能であるという状況で可能な限り、流出開口部Aから流出する個々の流入ガスII流は、同等に大きい。
【0064】
原則として、本発明における方法の流出開口部Aの形状は任意である。つまり、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形など)および丸形(例えば、楕円形または円形)両方の流出開口部Aが可能である。本発明における方法の流出開口部A全ての形状は、(大きさを含めて)一様が好ましい。丸形流出開口部A(「孔」)が本発明において好ましい。本発明における方法の流出開口部Aの最長寸法L(円形流出開口部の場合は径)(すなわち、特定の流出開口部Aの外形上の2点を直接結ぶ最長線)は、≧0.1mm〜≦5cmが有利である。つまり、Lの可能な値は、≧0.2mm〜≦4cmおよび≧0.3mm〜≦3cmまたは≧0.4mm〜≦2cmあるいは≧0.5mm〜≦1cm、多くの場合、≧1mm〜≦5mmである。
【0065】
流出開口部Aの(横断)面積は、(π・L2)/2[式中、上述の範囲の値をLに挿入する]の領域が好ましい。
【0066】
流出開口部A*の最長寸法Lおよび本流出開口部A*の最短寸法Kから形成される比R(すなわち、流出開口部A*の外形上の2点を結ぶ最短線であり、流出開口部A*の重心を通りつながる)、すなわち、R=L:Kが≧5(通常、Rは<5および≧1である)である場合、本流出開口部A*(例えば、流出開口部A*が溝形である場合)は、本発明の全てにおいて、理論的に、一様な実際の円形流出開口部Aの数nにより置き換えられるものとし、これは以下のように算出する:
【数1】

[式中、
π=円周囲対円直径の比
U=流出開口部A*の周囲および
F=流出開口部A*の流出表面積]
nが整数でない場合、最も近い整数に切り上げる(1.50およびその類似数の場合、数字を切り上げる)。
【0067】
上述の実際の流出開口部Aの径dhを、以下のように算出する:
【数2】

それを流出開口部A*の水力直径として参照する。
【0068】
これらの実際の円形流出開口部Aの重心を直線G上に配置するものとし、その長さは、最長寸法Lに対応し、これは流出開口部A*の重心を通ってつながり、例えば、この重心は、直線Gの長さを2等分にし、少なくとも伸長された直線Gが流出開口部A*の外形を2回切断し、直線Gが、流入流Iの流動方向と直角をつくる。n個の実際の流出開口部の重心は、この直線G上に一様に分配されるものとし、その流出開口部A*の重心がこの分配の中点(重心)を形成する。
【0069】
流入ガス流Iの「不在を仮定して」という語句は、本発明における方法の流出開口部Aから流出する(個々の)流入ガスII流が流入ガス流Iと結合する場合に方向を変更することを表す。それゆえ、角αを、流入ガス流Iが別の変化しないプロセス条件下において抑制される場合に存在する特定の流出開口部Aから流出する(個々の)流入ガスII流の方向を使用することにより決定する。
【0070】
本発明において有利には、流出開口部A全て(またはこれらから流出する流入ガスII流)の複数個Mにおいて、角αは、90±50°、好ましくは90±40°、より好ましくは90±30°、さらに90±20°、さらにより好ましくは90±10°、よりさらに90±5°および最も良いのは90°である。流出開口部から流出する(個々の)流入ガスII流の方向は、流出セントラルジェット(zentralen Strahl)の方向であるものとする。
【0071】
本発明において、流出開口部Aは、固定触媒床の上流に配置されるものとする。つまり、流出開口部Aは、不活性成形体により遮断されないものとする。その代りに、流入流Iの流動方向に直角の流出開口部Aの重心から出るジェットは、少なくとも流出開口部Aの2つの(好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも6つおよび最も好ましくは少なくとも8つ)水力直径dh(dh=4.F/U)のジェット長において、および最も良いのはいくつかのジェット長においていずれかの不活性成形体と適当に接触しないものとする。別に、流出開口部Aを固定触媒床に可能な限り近くに配置する場合、本発明において有利である。
【0072】
本明細書において、固定触媒床から流出開口部Aまでの距離Dは、固定触媒床の不活性被覆床の不活性成形体と接触するいくつかの点と流出開口部の重心を結ぶ最短の直線であるものとする。
【0073】
本発明において、シャフトの流入ガス流Iの流量W(m/s)(=本体積流により流動される最小の横断面積により分割された流入ガス流Iの体積流量(すなわち、流入ガス流Iにより被覆され、流入ガス流Iが流動する、流入ガス流Iに対して直角の面の面積、ただし、流出開口部Aの重心は、上述の面に存在する))に対して、固定触媒床から流出開口部A全ての複数個Mまでの距離Dは、2・Wを掛けた反応ガス流入混合物の導入時間J(s)以下とする。つまり、流出開口部A全ての複数個Mは、D≦2・W・Jを満たすものとする。
【0074】
導入時間Jは、以下を意味すると理解するものとする。
【0075】
導入ガス混合物であって、反応ガス混合物の流入流として酸素分子および脱水素化される炭化水素の同量を有し(各場合、体積%)、出発ガス1としての(すなわち、酸素分子および脱水素化される炭化水素以外のガスとして、導入ガス混合物は、窒素分子のみを含む)脱水素化される炭化水素(または窒素分子を有するその混合物)に、空気の形態(または純粋酸素分子あるいは窒素分子を有するその混合物)の出発ガス2としての酸素分子を添加することより得られ、かつ反応ガス混合物の流入流に存在する場合に同温度TRおよび同圧RRである導入ガス混合物が、残る場合、この導入ガス混合物に存在する酸素量(O2)は、時間の関数として減少する。反応ガス混合物の流入流の導入時間Jは、伴う導入ガス混合物の酸素量がその出発量(絶対量として)の70%に低下した範囲内の時間である。
【0076】
導入時間Jの実験的決定は、以下のような簡易な様式において可能である。
【0077】
石英ガラスから製造されたY型混合ノズル(チューブ内径:0.6cm;壁厚:1mm;フォーク角=90°;フォークの2つの分岐は、螺旋状に巻かれ、それぞれは、直線2m長を有し、フォークを支持するY型混合ノズルの石英チューブは、0.5m長を有する)をオーブン(例えば、放射オーブンまたは強制空気式オーブン)に入れ、この場合、温度TRに加熱する。出発ガス1をフォークの2つの分岐のうちの1つに入れ、出発ガス2をフォークの2つの分岐のもう一方に供給する。フォークを担持するY型混合ノズルの石英チューブの末端に圧PRで開口する減圧弁を配置する。互いに関連する2つの出発ガスの体積流量は、例えば、所望の導入ガス混合物の組成物がフォークの上に形成される量である。絶対体積流量を、Y型混合ノズルの担体チューブから流出する場合の導入ガス混合物の酸素量がその算出可能な出発量の70%のみであるように調節する。Jを、流量で割った長さの指数として流量およびフォークを担持する石英チューブの長さから算出する。一般に、Y型混合ノズルの担体チューブの導入ガス混合物の体積流量は、<10m3/hである。Y型混合ノズルの担体チューブから流出時の導入ガス混合物流の酸素量をラムダプローブ(λプローブ)により決定することができる。これをNernstプローブとして設計することができる。これは、一方を導入ガス混合物流に暴露し、もう一方を酸素基準物質に暴露するセラミックセンサー要素である。例えば、周囲空気をこのような基準物質として使用することができる。高温TRにて、慣例的に使用されるプローブのイットリウム添加二酸化ジルコニウムセラミックは、マイナス酸素イオンを流すことができる。2つのガスの酸素分子の濃度差がプローブのイオン拡散を生成する。これは、プローブ、プローブ電圧の内外に実装される白金電極間で、電流を抽出することができる。この電圧は、Nernst式により説明でき、Y型混合ノズルの担体チューブから流出時の導入ガス混合物流の酸素量を直接測定する。
【0078】
別法として、ラムダ抵抗プローブを使用することができる。本明細書において、一般にセンサー要素は、半導体の二酸化チタンセラミックからなる。酸素欠乏により電荷担体を得、これは供与体として作用する。周囲酸素で欠乏部位を占め、遊離電荷担体数を減少させる。本明細書において、酸素イオンは、伝導率に実質的に寄与しないがむしろ、酸素は、遊離電荷担体の数を減少させる。高濃度の酸素で、センサー材料は、高い抵抗率を有する。固定抵抗を有する電圧分割器により、信号を生成する。
【0079】
ラムダプローブの製造業者は、例えば、Robert Bosch GmbHおよびさらにDensoならびにNGKである。
【0080】
本明細書において、流出開口部の重心は、(均一な質量充填において)流出開口部の質量の理論的重心を意味すると理解するものとする。
【0081】
本発明において好ましくは、条件D≦1・W・J、さらにD≦0.5・W・Jが流出開口部A全ての複数個Mを満たすものとする。最も好ましくは、条件D≦0.2・W・Jが流出開口部A全ての複数個に妥当であるものとする。条件D≦0.05・W・Jが流出開口部A全ての複数個Mを満たす場合がさらに良い。非常に特に有利には、流出開口部A全ては、通常、関連条件を満たす。さらに、本発明において、流出開口部A全てがDにおいて一様な値を有する場合が好ましい。
【0082】
しかし、全ての流出開口部Aは、Dにおいて一様な値を必ずしも必要としない。
【0083】
しかし、流入ガス流Iの流動方向において、全ての流出開口部Aの複数個Mの重心を、流入ガス流Iの流動方向に直角に射影面Eに射影する場合、m2で存在する流出開口部重心の数ZAは、本発明において、射影面E内の流入ガス流Iにより被覆される射影表面積の少なくとも75%において、≧10でなければならない(好ましくは少なくとも80%、さらに少なくとも85%、よりさらに少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%およびより好ましくは100%)。本発明において有利には、上述のZAがZA≧20または≧30、好ましくは≧40または≧50、より好ましくは≧60または≧70、最も好ましくは≧80または≧90あるいは≧100である。本発明において有利には、ZAを大きくなるよう選択する(一般に、ZAの増加は、流出開口部Aの最長寸法Lを減少させる)。おもに、本発明における方法のZAは、100000以上であってよい。しかし、経済的に実行可能な製造のため、一般に、ZAは、通常、≦10000、多くの場合≦1000である。
【0084】
流出開口部の数ZAのうち、(射影面Eにおいて)1つの流出開口部重心から最も近い流出開口部重心までの距離dは、2√1m2/ZA以下とする。
【0085】
つまり、本発明において、dは1.75√1m2/ZA以下または1.5√1m2/ZA以下あるいは1.25√1m2/ZA以下となりうる。
【0086】
当然ながら、流出開口部重心の数ZAもまた、射影面Eにおける流入ガス流Iにより被覆される射影表面積全体に一様に(d=√1m2/ZA)分配することができる。
【0087】
さらに、本発明において、これらの流出開口部Aから流出する流入ガスII流が互いに対抗する流出開口部は、互いに対面しない場合が好ましい。
【0088】
さらに本発明において、流出開口部重心の数ZAに対応する流出開口部Aから流出する個々の流入ガスII(例えば、体積または質量)流が、これらの数平均(数ZA全体の平均)から50%以下(好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下または10%以下、さらに5%以下および最も良いのは全くない)で偏位することが不可欠である。数平均は、参照基準である。
【0089】
本発明において有利には、本発明における方法のシャフトが(非偏位)直列シリンダー形状(平行な面内に位置し、2つの基部表面上に平行に、垂直な線により点を結ぶ、2つの一致の(合同の)基部表面)を有する。シリンダー形状内で、楕円形シリンダーおよび特に円形シリンダーが好ましい。
【0090】
当然ながら、本発明における方法はまた、本発明の固定触媒床の上流の酸素分子を含むガスの注入に加えて、不活性被覆床に酸素分子を含むガスの定量添加を行うものを使用する。
【0091】
さらなる本発明の要件は、固定触媒床を通る反応ガス混合物の流入流のシングルパスに対して、1分量、一般に反応ガス混合物の流入流に存在する脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の少なくとも1mol%もしくは少なくとも2mol%または少なくとも3mol%または少なくとも4mol%あるいは少なくとも5mol%(好ましくは少なくとも7mol%、より好ましくは少なくとも9mol%および最も好ましくは少なくとも11mol%)を少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化する。しかし、上述のモル%は、通常、≦20mol%である。
【0092】
一般に、反応ガス混合物の流入流は、一般に、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素少なくとも5体積%を含むだろう。多くの場合、この体積分率は、同基準値≧10体積%、多くの場合、≧15体積%および通常≧20体積%または≧25体積%あるいは≧30体積%である。しかし一般に、この体積分率は、同基準値≦90体積%、通常、≦80体積%および多くの場合、≦70体積%である。上記は、とりわけ、脱水素化される炭化水素としてのプロパンおよび脱水素化炭化水素としてのプロピレンの場合に(同様に本明細書の他の記載全てに)適用される。当然ながら、これらはまた、イソブタンが脱水素化される炭化水素であり、イソブテンが脱水素化炭化水素である場合も適用される。
【0093】
一般に、本発明における方法の流入ガス流Iに計量される流入ガスIIの量は、例えば、存在する脱水素化される炭化水素および脱水素化炭化水素の量(例えば、プロパンおよびプロピレン)に対して、得られる反応ガス流入混合物が酸素分子0.01または0.5〜30体積%を含むなどだろう。
【0094】
本発明において適切には、反応ガス混合物の流入流の酸素分子のモル量は、本明細書に存在する水素分子のモル量の50%以下である。
【0095】
一般に、本明細書に存在する水素分子のモル量に対して、反応ガス混合物の流入流の酸素分子のモル量は、10〜40mol%、しばしば15〜35mol%および多くの場合20〜30mol%である。
【0096】
本発明において有利には、本発明における方法において、反応ガス混合物の流入流に存在する酸素分子全体(または少なくとも95mol%)は、反応ガス混合物の流入流に存在する水素分子消費のために反応ガス混合物の流入流が固定触媒床を通過する場合に消費される。
【0097】
本発明における方法の用途の点から適切には、トレイリアクターの場合、流動される固定触媒床に事前に形成された水素分子量の約半分を、反応ガス混合物の流入流が固定触媒床を通過する場合に酸素分子を用いて燃焼する。
【0098】
本発明における方法の固定触媒床に入る場合の反応ガス混合物の流入流の初期圧は、一般に、1.5〜6bar、しばしば2〜5barおよび多くの場合3〜4barである。
【0099】
本発明における方法の固定触媒床に入る場合の反応ガス混合物の流入流の温度は、一般に、300〜700℃、しばしば350〜600℃および多くの場合400〜500℃である。
【0100】
本明細書において、反応ガスで反応ステップを触媒する固定触媒床の負荷は、ごく一般に標準リットル(=Nl;適当な反応ガス量が標準条件(0℃、1atm)下において生じるリットルの体積)の反応ガス量であり、これを、時間当たり固定触媒床1リットルに通して流すことを意味すると理解するものとする。しかし、負荷は、反応ガスの1構成物質のみを基準とすることもできる。
【0101】
その場合、それは、Nl/l・hのこの構成物質量であり、これを、時間当たりの固定触媒床1リットルに通して流す(純粋不活性材料床は、固定触媒床に計数されない)。負荷は、固定触媒床に存在する触媒量のみを基準とすることもでき、これは、不活性材料で希釈された実際の触媒を含む(明白に後述する)。
【0102】
おもに、本発明における方法は、(本明細書に存在する触媒の合計量に対して)固定触媒床の負荷量で実施することができ、反応ガスおよび本明細書に存在する脱水素化される少なくとも1個の炭化水素(例えば、プロパン)ともに100〜10000h-1(Nl/l・h、略語h-1)、しばしば300〜5000h-1、すなわち、多くの場合500〜3000h-1(実質的に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の所望の変換に関連しない)である。
【0103】
一般に、本発明の方法において、流入ガス流Iは、シャフトに配置される固定触媒床方向に基本的に垂直に流動する。つまり、シャフトの流入ガス流Iの流動方向と固定触媒床の流動表面に配列される面との間につくる角βは、通常、90±30°、好ましくは90±20°、より好ましくは90±10°、さらにより好ましくは90±5°および最も良いのは90°である。
【0104】
通常、本発明における方法のシャフトの固定触媒床の流動表面積は、≧1m2、多くの場合さらに≧2m2もしくは≧3m2または≧4m2あるいは≧5m2である。当然ながら、上述の流動表面積はまた、≧10m2もしくは≧20m2または≧30m2であってよい。世界規模の工場において、上述の流動表面積は、≧40m2または≧50m2であってもよい。通常、当該流動表面積≧100m2は、例外である。
【0105】
触媒活性床に有用な触媒は、おもに、不均一系触媒による脱水素化の従来技術において公知の脱水素化触媒全てである。これらは、大きく2群に分けることができ、具体的に、酸化特性のもの(例えば、酸化クロムおよび/または酸化アルミニウム)および一般的な酸化支持体(例えば、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタンおよび/または酸化セリウム)に堆積する少なくとも1個の一般的に比較的な貴金属(例えば、白金)からなるものである。従って使用することができる脱水素化触媒は、国際出願第01/96270号、欧州特許出願公開第731077号、独国特許出願公開第10211275号、独国特許出願公開第10131297号、国際出願第99/46039号、米国特許第4788371号、欧州特許出願公開第705136号、国際出願第99/29420号、米国特許第4220091号、米国特許第5430220号、米国特許第5877369号、欧州特許出願公開第117146号、独国特許出願公開第19937196号、独国特許出願公開第19937105号、米国特許第3670044号、米国特許第6566573号および国際出願第94/29021号に推奨されるものを含む。本発明における方法のこれらの触媒は、最初に記載の理由において、本発明における方法の触媒活性床の単一の触媒であってよい。おもに、触媒活性床は、触媒活性成形体のみから構成することができる。当然ながら、触媒活性床もまた、不活性成形体で希釈された触媒活性成形体からなることができる。このような不活性成形体は、例えば、焼成粘土(ケイ酸アルミニウム)またはステアタイト(例えば、CeramTec製C220)あるいは他の高温セラミック材料(好ましくは実質的に孔がない)、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、亜鉛アルミニウム混合酸化物、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、ケイ素炭化物または他のケイ酸、例えば、ケイ酸マグネシウムおよび上述の材料の混合物から製造することができる。上述の材料はまた、不活性被覆床および適宜、本発明における方法の固定触媒床の最終床に有用である。
【0106】
有利なことに、本発明における方法の固定触媒床の不活性被覆床は、例えば、本不活性床を通り流動する場合の反応ガス混合物の流入流において、本明細書に存在する酸素分子≦35mol%(好ましくは≦30mol%、より好ましくは≦25mol%、さらに≦20mol%、特に有利には≦15mol%、さらに≦10mol%および最も好ましくは≦5mol%または0mol%)を変換するなどを必要とする。
【0107】
特に、本発明における方法の固定触媒床の触媒活性床における(例えば、単一)触媒として使用される触媒は、独国特許出願公開第19937107号の実施例1、実施例2、実施例3および実施例4におけるものであってよい。
【0108】
これらは、脱水素化触媒であり、二酸化ジルコニウム10〜99.9質量%、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および/または二酸化チタン0〜60質量%、元素の周期表の少なくとも1個の第1または第2主属元素、第3遷移元素、第8遷移元素、ランタンおよび/またはスズ0.1〜10質量%を含み、ただし、質量%の合計を100質量%まで追加する。
【0109】
好ましい実施形態において、上述の脱水素化触媒は、少なくとも1個の第VIII遷移元素、少なくとも1個の第IおよびII主属元素、少なくとも1個の第IIIおよび/または第IV主属元素およびランタニドおよびアクチニドを含む少なくとも1個の第III遷移元素を含む。第VIII遷移元素として、脱水素化触媒の活性組成物は、好ましくは白金および/またはパラジウム、より好ましくは白金を含む。第IおよびII主属元素として、上述の脱水素化触媒の活性組成物は、好ましくはカリウムおよび/またはセシウムを含む。ランタニドおよびアクチニドを含む第III遷移元素として、上述の脱水素化触媒の活性組成物は、好ましくはランタンおよび/またはセリウムを含む。第IIIおよび/または第IV主属元素として、上述の脱水素化触媒の活性組成物は、好ましくはホウ素、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズおよび鉛からなる群から選択される1個または複数個の元素、より好ましくはスズを含む。最も好ましくは、上述の脱水素化触媒の活性組成物は、各場合、少なくとも1個の上述の元素の代表例を含む。
【0110】
一般に、脱水素化触媒は、触媒成形物(一般的に径0.1または1〜10mm、好ましくは1.5〜5mm、典型的な長さ1〜20mm、好ましくは3〜10mm)、錠剤(好ましくは成形物と同じ寸法)および/または触媒リング(Katalysatorringe)(外径および典型的な長さ2〜30mmまたは〜10mm、壁厚1〜10mmまたは〜5mmあるいは〜3mm)であってよい。
【0111】
おもに、触媒の形状(とりわけ、支持触媒の場合)に関して、または不活性成形体の形状に関してのどちらも制限はない。特に一般的な形状は、固体シリンダー、中空シリンダー(リング)、球、円錐、角錐および立方体およびさらに成形物、ワゴンホイール型(Wagenraeder)、星型およびモノリス型である。
【0112】
成形触媒体および不活性成形体の最長寸法(成形体表面における2点を結ぶ最長の直線)は、0.5mm〜100mm、しばしば、1.5mm〜80mmおよび多くの場合3mm〜50mmまたは〜20mmであってよい。
【0113】
最終的に、独国出願第102005044916号の触媒もまた、本発明における方法の固定触媒床の触媒活性床に特に適切な触媒(例えば、単一の触媒)として引用するものとする。
【0114】
本発明における方法に関して、触媒表面に堆積し、触媒を非活性化する炭素を含めた高沸点高分子量の有機化合物を取り出すことができ、高温にて酸素を含むガスとともに時々固定触媒床を流動し、従って堆積した物質を効果的に燃焼させることにより、触媒を再生することができる。
【0115】
長時間の作業後、本明細書において推奨される触媒を、通常、簡易な様式において、例えば、はじめに第1再生ステージにおいて、入口温度300〜600℃(極端な場合、適宜、さらに750℃以下)、多くの場合400〜450℃にて固定触媒床を通る窒素および/または水蒸気で(好ましくは)希釈された空気を通すことにより再生することができる。再生ガスを負荷する触媒は、(再生された触媒の合計量に対して)例えば、50〜10000h-1および再生ガス酸素量0.5〜20体積%であってよい。
【0116】
続くさらなる再生ステージにおいて、別の同一再生条件下において使用される再生ガスは、空気であってよい。用途の点から適切には、再生する前に不活性ガス(例えば、N2、例えばO2、H2Oまたはその混合物1体積%以下の産業用窒素)で触媒をパージすることを推奨する。
【0117】
続いて、一般に、別の同一条件下において純粋水素分子または不活性ガス(好ましくは水蒸気および/または窒素)(水素量は≧1体積%とするものとする)により希釈された水素分子で再生することが好ましい。
【0118】
本発明において、(反応ガス混合物の流入流の流動方向において)固定触媒床の不活性被覆層の床の長さXと射影面Eの距離dの比、すなわち、X:dは、≧0.05、好ましくは≧0.07および特に有利には≧0.1である。多くの場合、本発明における方法の上述のX:d比は、≧0.2もしくは≧0.3または≧0.5あるいは≧1であるだろう。通常、本発明における方法のX:d比は、しかし、通常、≦10および多くの場合≦5である。
【0119】
本発明における方法において、流動方向において、不活性床の上に配置された固定触媒床の実際の触媒活性床に反応ガス混合物を入れる場合、反応ガス混合物の酸素分子の分配は、非常に均一であることが好ましい。反応ガス混合物の酸素分子の局所的に最も高い体積濃度と酸素分子の局所的に最も小さい体積濃度間の差は、実際の触媒活性床に反応ガス混合物を入れる場合の反応ガス混合物の酸素分子の平均体積濃度に対して、好ましくは200%以下、好ましくは150%以下、より好ましくは100%以下および最も好ましくは50%以下または25%以下であるものとする。
【0120】
本発明における方法の典型的な導入時間Jは、≦2000msもしくは≦1000msまたは≦500msまたは≦100msまたは≦50msまたは≦20msあるいは≦10msであってよい。しかし、通常、本発明における方法の導入時間Jは≧1ms値である。
【0121】
おもに、本発明における方法の流入ガスIIを流す配管系のガス配管は、いくつかの所望の横断面を有することができる。つまり、横断面は、例えば、丸形(例えば、円形もしくは長円形または楕円形)または多角形(例えば、三角形、四角形または六角形など)であってよい。
【0122】
用途の点から適切には、流出開口部Aを配置する流入ガスIIを流す配管横断面は、多角形、好ましくは三角形または四角形である。流出開口部Aを配置する、本発明における方法の流入ガスIIを流す配管(チャンネル)の横断面は、好ましくは正方形または長方形である(この場合、流出開口部Aは、固定触媒床に対して四角形の最も近い角に可能な限り近い)。上記の理由として、上記の多角形の横断面を使用する場合、全ての流出開口部Aにおける距離Dおよび角αをともに、より正確な様式およびより簡易の両方において一様に製造(調節)することができることである。流出開口部A自体は、上記の角横断面の場合でも、好ましくは丸形(円形)であり、好ましくは全ての流出開口部A全体に一様な径で製造する。本発明において好ましくは、Dは全ての流出開口部Aにおいて同一である。本発明において有利には、全ての流出開口部Aにおけるαもまた、さらに同一であり、有利には90°±5°または90°である。さらに、流出開口部Aから流出する流入ガスII流もまた、本発明における方法において同一であることが有利であり、反応ガス混合物の流入流を有する固定触媒床の流動表面に関して、流出開口部Aは、流動表面全体に理想的に一様に分配することが好ましい。
【0123】
トレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターにおいて、本発明における方法の固定触媒床が、別の固定触媒床(固定触媒前駆体床)の下流の反応ガスの流動方向において、次の固定触媒床である場合、本発明における方法において、固定触媒前駆体床が(とりわけ、反応ガスの流動方向における床の長さに関して)非常に一様に、非常に均一な様式である(入る)場合に有利である。
【0124】
固定触媒前駆体床のこのような非常に一様な構成の結果、反応ガスが固定触媒前駆体床を通過する場合に実質的に一様な流動であり、これより、本発明における方法の流入ガス流I全体に非常に実質的に一様な圧が生じる。
【0125】
このようにして、一般に、本発明における方法に有利であることを実現することが可能であり、具体的に、流出開口部Aの上流の流入ガス流Iに流出する局所圧の間で生じる最大圧力差が、流出開口部Aから流出する個々の流入ガスII流として生じる圧低下に比べ小さい、またはちょうど同じ大きさである。後者の圧低下が例えば5mbarである場合、本発明において、上述の生じうる最大圧力差が3mbar以下である場合に有利である。
【0126】
さらに、本発明における方法の流入ガスIIを流す配管系を、圧低下が、流入ガスIIの注入点から流出開口部Aで流入ガスIIが到達するまでの配管系の途中では非常に小さく(とりわけ、流出開口部Aを通過する場合の圧低下に関連して、一般に上述の圧低下の1/5以下、有利には1/10であるものとする)、かつ一様な流出開口部Aの場合、非常に一様である(とりわけ、流入ガスIIを特定の供給量合計に制御されて供給する場合)ように構成することが有利であるという点について強調されるものとする。このような小さい圧低下は、例えば、配管系の長さおよび配管系の流量が非常に小さく、配管系の流動横断面が大きく保持される場合に得られる。
【0127】
本発明における方法を、複数の固定触媒床(適宜、トレイリアクターに配置された全て(または1つだけ除く全て))を有するトレイリアクターにおいて使用する場合、流入ガスIIを、各固定触媒床の上流に、好ましくは独立した配管系で供給する。しかし、おもにこれらの独立した配管系は全て、1つの流入ガスII源から供給(供給)されることができる。
【0128】
一般に、しかしこれらは、(様々な組成物を有する)様々な流入ガスIIを供給される。
【0129】
本発明における方法に必要な設備の製造に有用な材料は、特に、独国出願第102005061626号で推奨される鋼鉄、とりわけ、さらに生成物に接触する側面においてはDIN型1.4841のステンレス鋼である。
【0130】
本発明における方法は、とりわけ、トレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターで実施され、シャフトリアクターに配置される全ての固定触媒床を、適宜、反応ガスの流動方向において、シャフトリアクターの第1固定触媒床を除いて使用する場合に有利である。一般に後者の除外は、シャフトリアクターに供給される反応ガスがすでに脱水素化される少なくとも1個の炭化水素、適宜、十分な水素分子および要件に従い、酸素分子を含む場合になされるだろう。通常、後者は、トレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターに供給される反応ガスが残留ガスを含む場合であり、この残留ガスは、(なお)脱水素化される炭化水素があることにより生じる少なくとも1個の脱水素化炭化水素(例えば、標的生成物としてプロピレンからアクロレインおよび/またはアクリル酸)の少なくとも1個の脱水素化炭化水素(例えば、プロピレン)に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素(例えば、プロパン)の不均一系触媒による部分脱水素化の下流に結合の(および同様に、一般に不均一系触媒の)部分酸化から生じ、部分酸化の生成ガス混合物から標的生成物を除去後に残る酸素物(例えば、変換しない酸素分子)を含む(本明細書において、脱水素化炭化水素および/または脱水素化される炭化水素の完全な酸化(燃焼)とは、炭化水素に存在する炭素の全量を炭素の酸化物(CO、CO2)および存在する水素をH2Oに変換し、酸素分子の反応作用を用いた脱水素化炭化水素および/または脱水素化される炭化水素の様々な反応全てを本明細書において「部分酸化」という語句で包含し、アンモニアの付加的反応作用がアンモ酸化を示し、これを、同様に「部分酸化」という語句の下に包含することを意味すると理解する)。
【0131】
例えば、シャフトリアクターに供給される反応ガスは、脱水素化される新しい炭化水素(例えば、新しいプロパン)と上述の残留ガス(一般に水蒸気も含む)の混合物であってよい(適宜、H2、H2Oおよび/またはO2は、やはりさらに反応ガスに計量されることができ、その後、トレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターに入り、例えば、国際出願第03/076370号において、または独国特許出願公開第10211275号における脱水素化循環ガスもまた反応ガスに計量することができ、その後、トレイリアクターに入る)。
【0132】
トレイリアクターとして構成されるこのようなシャフトリアクターの設計(図1および2を参照)を、(本発明における方法のごく一般的な場合であるとして)以下のように構成することができる(以下で使用される番号の位置は、本出願の図1〜17に関連し、具体的な寸法は、実施例として、このようなリアクターの具体例に関連し、当然ながら、当該軸式トレイリアクターもまた、より大きくまたはより小さく設計することができ、固定触媒床の数もまた、増減することができる)。
【0133】
以下の実施例により詳述された軸式トレイリアクターを、直列円形シリンダーのシェル(1)により外部(すなわち、周囲から)から区切り(平行面に位置する2つの等しい大きな円の平行な半径の末端点が、2つの平行な円の面(基部表面および頂部表面)(反応ガスの流動方向において、2つの円表面の1つ目)に対して直角であるラインにより互いに結合する場合、形成されるものは、直列(非偏位)円形シリンダーである(さらに、回転シリンダーとして公知であり、円中心を結ぶラインは、円形シリンダーの軸として公知である)、これは、半楕円形状(DIN28011)を有する曲線のフード(2,3)により頂部および底部でともに完了する(シェルおよびフードはともに圧力容器シェルを形成する)。下部の半楕円径基部の下に、圧力容器を順に、例えば4〜8本の支持体により支える支持フレームにより囲む。シェルの厚さは、30mmである。円形シリンダーのシェルの外径は、6070mmである。円形シリンダーの基部表面および頂部表面の間隔は、2640mmである。上部および下部フード双方の高さは、1350mmである(各場合、円形基部表面または頂部表面の中心から特定のフード最大値までを決定する)。上部フード(3)の壁厚は、一様に30mmであり、下部フード(2)の壁厚は、30mmから始まり、ガス排気口チューブスタブ方向へ一定に45mmまで厚くなる。
【0134】
上部フードは、中心の(中央)ガス吸気口チューブスタブ(4)において漸減する。その内径は、1200mmである。下部フードは、中心の(中央)ガス排気口チューブスタブ(5)において当該様式で漸減する。その内径は、1400mmである。スタブの高さは、各場合240mmである(適当な断熱材料を断熱のために圧力容器壁の外側に適用する場合(例えば層厚300〜500mm)、スタブの高さは、対応して高くなり、それは、スタブが用途に従い適当に、断熱層から突出するためである)。下部フードが、ガス排気口チューブスタブ(5)において漸減する場合、フードは、フードおよびスタブに溶接される補強環(6)をさらに備える。その外径は、1900mmであり、その厚さは、50mmである。下部リアクターフードを円形シリンダーシェルに、好ましくは溶接により結合する一方、上部リアクターフードを、円形シリンダーシェルに、好ましくは溶接リップシール(10)でフランジ接続(7)(円形シリンダーシェル(8)の周囲フランジとフード(9)上の当該周囲フランジとの間)により結合する。図5は、溶接リップシール(10)を含めた縦断面のフランジ接続の拡大詳細図を示す(溶接リップシールは、典型的におよそ2mmの厚さを有する剛鉄シートから製造され、当該溶接リップシールはまた、国際出願第2004/067164号に示される)。使用されるフランジ接続を通るガス漏れは、<10-4mbar・I/sであるものとする。上部フードの取り外しが可能なことは、例えば、触媒を部分的に変更する場合または触媒を完全に変更する場合に不活性成形体および/または触媒の充填および排除を容易にする。
【0135】
ガス吸気口チューブスタブ(4)を介して添加され、上部リアクターフード(3)の内側の脱水素化される少なくとも1個の炭化水素および酸素分子を含む反応ガスの滞留時間を最小にするため(および従って、すでに高温を有する反応ガスの望ましくない副反応を極めて実質的に防止するため)、フードの内部体積を、例えば、直列円形フラストコーン(Kegelstuempf)または一方の上に1つを載せた2つの直列フラストコーンのシェル(シェル厚15mm)に対応することができる形状の挿入型中間天井(11)により減少させる。
【0136】
上部フードの内壁および円形フラストコーンのシェルは、放射状に配列されたリブで適当に補強される(国際出願第2004/067164号を参照)。
【0137】
円形フラストコーンにより被覆された円形は、ガス吸気口チューブスタブ(4)の基部円に対応する。当然ながら、中間天井もまた、例えば国際出願第2004/067164号の図5および図7ならびに図9に示すように円形シリンダーのシェルの頂部表面方向に外側に曲げることができる。挿入型中間天井(11)は、反応ガスに利用可能なフードの内部体積を、中間天井の非存在下におけるその値に対して、少なくとも50体積%、しかし通常は、90体積%以下まで減少させることが好ましいものとする。中間天井(11)を溶接により実装する。用途の点から適切には、中間天井自体は、開口部横断面が1〜8cm2である、その周囲の3〜36個の通路開口部(durchtrittsoeffnung)に基本的に一様に分配している。中間天井とリアクターフードとの間に囲まれた空間Rは、これらの通路開口部を通りフードの残りの内部体積と連結する。基本的に反応ガスが上述の通路開口部を通り空間Rに浸透していないかを確かめるために、空間Rを不活性ガスで連続的にパージし(好ましい窒素分子は、例えば、O2、水蒸気またはその混合物1体積%以下の産業用窒素)、この不活性ガスを、1〜12個の供給配管(53)を通りフード蓋に供給し、通路開口部を通り取り出す(反応ガスに添加される)。一般に、この不活性ガス流は、反応ガスの体積流量(Nm3)に対して、合計1体積%以下、通常、さらに0.1以下または0.01体積%以下であるだろう。
【0138】
ガス排気口チューブスタブ(5)に生成ガス流を取り出すパイプ配管と同様に、フランジ接着により気密性様式において、反応ガスを供給するパイプ配管をガス吸気口チューブスタブ(4)に接続する。用途の点から適切には、各場合において溶接リップシールを使用する。別法として、供給パイプ配管もまた、ガス吸気口チューブスタブ(4)に直接溶接することができる。
【0139】
正確および安全な操作において、上述の(パイプ)配管を、縦の膨張作用を補填するデバイスを備えることが好ましく、例えば、温度変化により発生しうる場合、横の作用様態を特徴とする補償器を使用することが有利である。
【0140】
一般に、多層設計を有するこれらの補償器を、そのパイプ配管と同様の材料から製造することができる。しかし、特に有利な実施形態は、流れるガスと接触する内部チューブ部分を有するもの(一般に、ガス浸透性剛性内部チューブおよびガス不浸透性弾性外部シェル(ガス不浸透性弾性外部チューブ))であり、これは、DIN材料番号1.4893のステンレス鋼から製造することが好ましく、適当にガス浸透性の伸縮継ぎ手および外部のガス不浸透性弾性外部波形部分を有し、これを、とりわけ機械的および熱的負荷可能な材料、例えば材料1.4876(VdTUEV−Wb434において表示)もしくは1.4958/1.4959(DIN17459において設計)またはINCOLOY800Hもしくは800HTあるいはニッケル系材料2.4816(別の表示 合金600)もしくは2.4851(別の表示 合金601)から少なくとも部分的に製造する。
【0141】
別に、目的のトレイリアクターの全ての部分を、DIN材料番号1.4893のステンレス鋼または独国出願第102005061626号に推奨または記載の別のステンレス鋼、特に、さらに生成物と接触する側面にDIN型1.4841のステンレス鋼から製造することができる。
【0142】
下部フードの内側を、全体のフードの高さにわたりフードの内壁に12枚のラメラ(壁)(2)の接着により12個(可能な別法としてさらに8、6もしくは4または3あるいは16個)の合同セクター(チャンバー)に分ける。フードの内壁と接触側で、個々のラメラの(特定のラメラ隆起部の)形状をフードの曲線に適合させる。ラメラの壁厚は、一様に30mmである。ラメラ隆起部に加えて、個々の接着されたラメラは、それぞれ2つの縁部KおよびCを有する。縁部Kは、円形シリンダーのシェルの軸に平行に位置し、縁部Kが直角に位置する下部フードの内壁から円形シリンダーのシェルの基部表面まで1400mm伸長する。縁部Kは、フード内側に面する特定のラメラの面を形成する。縁部Cは、円形シリンダーのシェルの基部表面と接触し、頂部で個々のラメラを終了する。上述の基部表面自体のように、これらは、当該縁部Kと直角をつくり、すなわち、これらは、この円形基部表面の半径に位置する。しかし、これらの半径が3010mmを有する一方、縁部Cの長さは、2460mmのみである。縁部Cは、縁部Kで突出しないが、むしろ縁部Kと衝突する場合フラッシュを終了する。これは、縁部Kの反対側のラメラ(これらの縁部Cは、円形シリンダーのシェルの半径の同じ基部表面に位置する)は接触しないが、むしろ各場合1100mmの間隔を有する。
【0143】
縁部Kは、ガス排気口チューブスタブの外側のこれらの下部末端で終了する。
【0144】
2つの隣接するラメラのラメラ縁部Cが、これらが交差するような範囲まで伸長し、これらのラメラ縁部は、それぞれ30°をつくる。従って、これらを接着する内部フード壁と合わせて2つの隣接のラメラは、それぞれ円形シリンダーのシェルの基部表面方向および下部フードの中央軸方向(=円形シリンダーのシェルの対称の軸の下方に伸長)双方に開口されるチャンバーを囲む。さらに、ラメラ壁は、さらに互いに連結することができる隣接のチャンバーが通る通路開口部を有することができる。12枚のラメラが重力によってのみ下部フードの内部壁に存在し、溶接の継ぎ目を使用しないで下部フードの内部壁に接合するため、12枚のラメラの位置付けおよび相対的配列を、各場合2つの隣接のラメラ間に実装された(溶接された)支柱(13)を使用して安定させる。
【0145】
円形シリンダーのシェルの基部表面および下部フードが接する部分に、軸受リング(14)を実装し(フードの内部壁に溶接し)、これは、水平に位置し、軸受幅60mmを有する。軸受リングの厚さ(高さ)は、20mmである。
【0146】
個々のラメラが底部で軸受リングとぶつかる場合、これらは、軸受リングを継ぎ目なく挿入する正確な切り目を有し、そのため、縁部Cおよび軸受リングの軸受表面は、一水平面にあり、切り目の非存在下において、軸受表面がその長さまで縁部Cを補完する。
【0147】
上記の圧力容器に種々の固定触媒床を入れるため、適当な数の円環形シリンダー(Kreisringzylindereinheit)装置を圧力容器に挿入する。
【0148】
円環は、様々な半径の2つの同軸円環により区切られる1枚の面の面積を意味すると理解する。この時、平行な面に位置する2つの合同(一致)の円環(基部円環および頂部円環)において、2つの外円上の平行な半径の特定の末端点および2つの内部円上の平行な半径の特定の末端点をラインで結び、これが円環形シリンダーを形成する。2つの内部円上の末端点を結ぶラインを円環形シリンダーの内部シェルライン(その全体が内部シェルを形成する)と呼び、2つの外円上の末端点を結ぶラインを円環形シリンダーの外部シェルライン(それらの全体が外部シェルを形成する)と呼ぶ。シェルラインが2つの円環上に垂直である場合、円環形シリンダーは、直列または非偏位である。円環中心を結ぶラインを円環形シリンダーの軸と呼ぶ。直列の円環形シリンダーを、基部円環および頂部円環に平行であり、互いに距離Hを有する2面により交差する場合、高さHの円環形シリンダー装置を2面の間に形成し、これは同様に、基部円環および頂部円環を有する。
【0149】
記載の圧力容器に使用される円環形シリンダー装置の外部シェルの壁厚は、20mmであり、記載の圧力容器に使用される円環形シリンダー装置の内部シェルの壁厚は、30mmである。これらの高さHは、850mmである(ただし、高さHは、反応ガスの流動方向において、第1円環形シリンダー装置では710mmである)。上述の円形シリンダー装置の内部円の半径(円環中心から円環形シリンダー装置の内部シェルまでの距離)は、600mmであり、上述の円環形シリンダー装置の外部円の半径(円環中心から円環形シリンダー装置の外部シェルまでの距離)は、2900mmである。従って、円環形シリンダー装置の外部シェルと円環形シリンダー装置の内部シェルとの間の距離は、2270mmである。
【0150】
内部シェルにより囲まれた空間を、円環形シリンダー装置の内側と見なす。外部および内部シェルとの間に存在する空間を、円環形シリンダー装置の隙間と見なす。
【0151】
壁厚30mmを有する12枚の隔壁WT(15)は、円環形シリンダー装置の隙間を12個の合同のセクター空間に分割する。
【0152】
個々の隔壁は、装置高Hに対応する高さHを有する。隔壁の長さTは、円環形シリンダー装置の外部シェルと円環形シリンダー装置の内部シェルとの間の距離に対応する。これらをもとに、個々の隔壁をその高さH全体に外部シェルおよび内部シェル双方に溶接する。隔壁の高さHは、円環形シリンダー装置の基部円環および頂部円環に対して直角である。隔壁の長さTは、外側から内部シェルおよび末端に放射状に、理論上伸長される場合、円環形シリンダー装置の軸に位置する。2つの隣接の隔壁を、これらが交差するまで上記の方法で伸長する場合、これらは30°をつくる。
【0153】
上記のように区分された第1円環形シリンダー装置を記載の圧力容器に挿入する場合、それを軸受リング(14)上に簡易な様式で配置し、はじめに圧力容器の円形シリンダーのシェルと円環形シリンダー装置の外部シェルとの間の距離は50mmであり、次に、円環形シリンダー装置の隔壁およびラメラ壁を圧力容器の下部フードに互いに接して(または互いの上に、すなわち同時に)存在する(すなわち、円形シリンダーのシェルの軸および円環形シリンダー装置の軸が一致する)ようにして載せた。基部円環は、反応ガスの流動方向において、区分された挿入型円環形シリンダー装置の頂部円環の上に存在する。
【0154】
隣接壁WTの間に、各場合、軸受構造として10枚の高さ200mmおよび壁厚20mmを有する凹凸のない水平壁(軸受壁)Q(54)を挿入する。軸受壁を溶接により壁WT接着する。軸受壁の長さは、円環形シリンダー装置の内部シェルからのその距離が増加または円環形シリンダー装置の外部シェルからの距離が減少すると、自然に増加する。
【0155】
互いに関して、1つおよび同じセクター空間内の軸受壁Qは、用途の点から適切に等距離に配列する。
【0156】
区分された円環形シリンダー装置の基部円環からそれらの下部縁部までの距離が40mmになるように、軸受壁Qを挿入する。
【0157】
さらに、水平壁Qは、通路開口部Oを有し、その中心は、適当に水平壁の高さの半分にある。円環形シリンダー装置の内部シェルからの距離が増加するとともに、水平壁当たりの通路開口部Oの数が増加する。円環形シリンダー装置の内部シェルから同じ距離を有する様々なセクター空間に配置される水平壁を、合同になるように適当に構成する。通路開口部Oは、円形が好ましい。
【0158】
固定触媒床を担持するグリッドセクターを、セクター空間内にこのようにして作製された軸受構造に正確に適合するように配置する。
【0159】
一般に、成形触媒体は、グリッドセクター上に直接に注入しない(適宜、小さいメッシュサイズの金属メッシュの網目(例えば、圧力容器を製造するステンレス鋼製)をグリッドに適用する)。これは、成形触媒体が典型的にグリッドのメッシュサイズに比べ寸法が小さいためである。記載のリアクターにおいて、使用されるグリッドセクターのメッシュサイズは、適当に2または3〜7mm、例えば4mmである。
【0160】
対応して、5mm径のCeramTec製C220ステアタイトの不活性球を、はじめに全てのグリッドセクター全体一様に床の高さ50mmで注入し、続いて成形触媒体床を注入する。同じステアタイトの球の床の高さ25mmのさらなる不活性床、ただし2〜3mm径を、この不活性床に注入し、続いて成形触媒体床を注入する。使用される成形触媒体は、例えば、1.5mm径およびGaussian分配長10〜15mm、最大およそ12.5mmの成形物である(元素化学量論(支持体を含めた活性元素の質量比)ならびに活性触媒に対する触媒前駆体調製および活性は、別に独国特許出願公開第10219879号の実施例4に記載される)。
【0161】
成形触媒体の床の高さは、一様に300mmである(その一様性は、簡易な様式、例えば、完成した床(頂部円環に)に穴あきプレートまたはメッシュを配置し、その開口部を通り突出する成形触媒体を除去することにより実現することができる)。続いて、固定触媒床を、CeramTec製C220ステアタイト環の床で終了する(区分された円環形シリンダー装置の頂部円環まで)。ステアタイト環の形状は、7mm×7mm×4mm(外径×高さ×内径)および床の高さは、一様に200mmである(ただし、この床の高さは、反応ガスの流動方向において、第1円環形シリンダー装置では60mmのみである)。
【0162】
簡易な様式において、例えば、不活性床に残る、図6の注入補助物(16)を、床の高さに対応する高さを有する各グリッドセクター上に配置することにより、不活性床の高さを一様にすることができ、そのようにして、それに沿った簡易な様式において、不活性床を一様な床の高さに平滑にすることが可能である。その要素の壁厚は、典型的に0.3〜2cmである。適当な注入補助物もまた、活性体の床に使用することができる。
【0163】
ステアタイト環の代替として、7mm×7mmの固体ステアタイトシリンダー(外径×高さ)を使用することも可能である。さらに、5mm〜6mm径を有するステアタイト球を使用することも可能である。
【0164】
このような固定触媒床を入れた2つのさらなるこのような円環形シリンダー装置を、流動方向において、固定触媒床を入れたこの最後の(最下の)円環形シリンダー装置上に配置する。全ての円環形シリンダー装置の隔壁WTは、すなわち、これらの外部および内部シェルと同じように互いに一致する。
【0165】
円環形シリンダー装置が互いに存在する場合、不可避的なわずかなガス浸透性の接合がある。圧力容器の円形シリンダーシェル(1)と固定触媒床を入れた円環形シリンダー装置の外部シェルとの間の空間(空隙)を、軸受リング(14)上に存在する断熱材料(例えば、鉱滓綿またはグラスウール)で適切に充填する。
【0166】
特定の円環形シリンダー装置の頂部円環の高さで、圧力容器の円形シリンダーシェル(1)および固定触媒床を入れた円環形シリンダー装置の外部シェルを、それぞれ溶接リップシール(17)によりガス不浸透性様式において互いに結合する。図7は、縦断面の溶接リップシール(17)の拡大図を示す。シールを破壊することなく、かつ紛失することなく、特定の円環形シリンダー装置の熱収縮および膨張を吸収できるように構成される(脱水素化操作および触媒再生の過程において、ともに顕著な温度変化が生じる)。特定の円環形シリンダー装置の基部円環の高さでは、当該シールはなく、これは、反応ガスが各場合ここから圧力容器の円形シリンダー(1)と特定の円環形シリンダー装置の外部シェル(18)との間の空間(空隙)を通過し、圧力均等化するためである。
【0167】
反応ガスの流動方向において、最下(最後)の円環形シリンダー装置の頂部円環の下で、ただし、同円環形シリンダー装置の基部円環上で、内側の全円横断面全体に伸長し、対応して円形に構成される基部(19)を、円環形シリンダー装置内側のこの円環形シリンダー装置の内部シェルに気密性様式において溶接する。2つの円環形シリンダーが互いに存在する場合、円環形シリンダー装置内側の周囲に位置し、溶接の継ぎ目の下に互いにある円環形シリンダー装置間に存在する継ぎ手全体にフラッシュを射出する金属シート(頂部帯)を、内部シェル上の付随の円形シリンダー装置内側の反応ガスの流動方向から上部円環形シリンダー装置の基部円環に溶接する。上部帯は、約8mm厚および60mm幅である。
【0168】
別に、一方の上に1つを配列する3つの円環形シリンダー装置内側は、合わせて非偏位の円形シリンダー全体の内側(20)を形成し、これは、基部(19)により底部で終了し、頂部で上部フードに開口する。
【0169】
本発明の流動における方法に必要な流入ガスIIを通るチューブ(21)(流入ガスII供給チューブ)をこの内側全体(20)に流す。流入ガスII供給チューブの周囲の内側全体(20)の残留空間を0.3〜1.2mmの粒子径を有する石英砂で充填し、(別法として、酸化物セラミックの破片、顆粒および/または球(あるいは他の微細形状体)を使用することも可能であり、充填物は、無埃が好ましく、これは、例えば、水で洗浄し、続いて乾燥(例えば燃焼乾燥)により生成できる)。充填物は、反応ガスの流動方向において第1円環形シリンダー装置の頂部円環のちょうど下(約1cm)で終わる。流入ガスIIの定量添加を、(反応ガスの流動方向において)第1および第2の間ならびに第2および第3固定触媒床の間で行う。
【0170】
リアクターへのチューブ(21)のアクセス(22)は、その中に配置され、固定様式で溶接された入口ポート(23)を通り上部リアクターフード(3)を介する。
【0171】
外部チューブ径は、168.3mmであり、壁厚は、2〜7mmであってよい。各場合、3つのこのようなチューブ(流入ガスII供給チューブ)は、2つの上述の固定触媒床間の流入ガスIIを供給する。3つの流入ガスII供給チューブのこのような1群内で、流入ガスIIの供給は、1つおよび同じ源由来である。しかし、一般に、(流動方向において)第1および第2の固定触媒床間で供給される流入ガスIIの組成物および第2および第3の固定触媒床間に供給される流入ガスIIの組成物は、互いに異なり、異なる源に起因する。
【0172】
3つの流入ガスII供給チューブの特定の群に流入ガスIIを計量することは、各場合、合計量を制御する。
【0173】
流入ガスII供給チューブの上部リアクターフードへの入口の密封を図8の縦断面において示す。密封を外部および内部フランジ接続により行う。流入ガスIIを流すチューブの入口ポート(23)への移動は、3つの部品(3部品)内を通る。これらの3つの部分は、入口ポート(24)のチューブ断面、入口ポート(25)外側のチューブ断面および中間プレート(26)のチューブ断面である。内部フランジ接続は、気密性様式において下から下部チューブ断面を中間プレートのチューブ断面に結合し、外部フランジ接続は、はじめに周囲から入口ポートを密封し、同時に上から気密性様式において上部チューブ断面を中間プレートのチューブ断面に結合する。使用される密封材料は、例えば、マイカもしくは櫛型グラファイトまたは金属封止剤系材料であってよい。上記の構成方法は、外部フランジ接続を解除後すぐに、チューブ(21)の位置を変更する必要なく上部リアクターフードの上昇が可能である。
【0174】
別法の上部リアクターフードへの流入ガスII供給チューブの入口の密封を、図9の縦断面に示す。
【0175】
入口ポート(23)に流入ガスIIを流すチューブの移動は、2部品内を通る。これらの2部品は、入口ポート(27)のチューブ断面および入口ポート(28)外側のチューブ断面である。後者の内径は、前者の内径に比べ10〜30mm大きい。2部品間の気密性移動は、フランジ接続による。このため、周囲フランジは、ポートの上部末端で溶接され、このフランジ10〜30mm上に突出するポート内に流れるチューブ断面まで射出し、溶接リップシール(29)によりフランジに固定する。入口ポート(28)外側のチューブ断面の下部末端で、同様に周囲フランジを溶接する。2つフランジ間の密封材料は、例えば、マイカもしくは櫛型グラファイトまたは金属封止剤系材料であってよい。
【0176】
反応ガスの流動方向において第1円環形シリンダー装置の水平壁Qの通路開口部Oの水平面および反応ガスの流動方向において第2円環形シリンダー装置の水平壁Qの通路開口部Oの水平面で、特定の円環形シリンダー装置の内部シェルにおいて、各場合、中心が正三角形の角である3つの通路開口部Oを配置する。各場合の3つの流入ガスII供給チューブは、これらの開口部MOを通って偏位し(これらを、気密性様式においてこれらの開口部に溶接する)、これらのチューブが特定の円環形シリンダー装置に実装された円形流入ガスII分配ダクトKR(30)にぶつかるまで、特定の円環形シリンダー装置の外部シェルの方向において放射状に水平壁Qの通路開口部Oを通り流れ、円形流入ガスII分配ダクトKRは、これらのチューブを溶接し、それに供給される流入ガスII供給チューブと同じ外部および内部環径を有する。円形分配ダクトKRは、特定の円環形シリンダー装置の通路開口部Oの水平面で、高架橋様通路開口部を通る特定の壁WTに流れるが高架橋に溶接されない。
【0177】
分配ダクトKRおよび通路開口部の空隙幅は、約4〜15mmである。
【0178】
流入ガスII供給チューブの長さは、上部リアクターフードへのそれらの入口から特定の円形分配ダクトKRまでを算出し、≧3および≦6mである。2つの円形分配ダクトにより描かれる円の外径は、2860mmである。当該内径は、2560mmである。
【0179】
通路開口部MOを通る流入ガスII供給チューブの通路を密封するが、これは、通路開口部Oを通る当該通路に適用しない。その代り、これらの通路は、連結している。
【0180】
空隙幅は、約2〜10mmである。
【0181】
円形分配ダクトKR(30)から通路開口部Oを通り流れる流入ガスII分配チューブは、当該円環形シリンダー装置の外部の方向および内部シェルの方向に放射状につながる。
【0182】
分配チューブの外径は、80〜110mmであり、例えば、88.9mmであってよい。分配チューブの壁厚は、2.1〜6.3mmである。
【0183】
円環形シリンダー装置の水平壁Q間で、分配チューブ(32)は、円環形シリンダー装置の基部円環の方向下方に偏位する。
【0184】
反応ガスの流動方向において第1円環形シリンダー装置および反応ガスの流動方向において第2円環形シリンダー装置の軸受構造の真下に(反応ガスの流動方向において第3円環形シリンダー装置の軸受構造の下でない)、流出開口部Aを有し、縁部a、bおよびcならびにこれらの表面を区切るように3組の合同の直角を有する立方計量計(Zudosierungskaesten)(31)を配置し、これに図10で示される縦断面における分配チューブが開口する(計量計の壁厚は、適当に1〜3mm、好ましくは1.5〜2.5および有利には2mmである)。一般に、1つの分配チューブのみが短縁部aを有する計量計(分配計)(Verteilungskaesten)に開口する。3つ以下の分配チューブは、長縁部aを有する計量計(分配計)に開口する。全ての計量計における縁部cの長さは、一様に40mmであり、全ての計量計における縁部bの長さは、一様に150mmである。対照に、縁部aの長さは、様々な計量計において変化する。全ての計量計に合同な長方形a×bの2組のうちの1つは、各場合、円環形シリンダー装置の基部円環の面内にある。
【0185】
縁部cは、基部円環の面および円環形シリンダー装置に属する頂部円環の方向の点に対して全て直角である。全ての計量計の縁部aを平行に整列する。2つの隣接の計量計の間隔は、130mmである。この間隔列において、計量計を円形シリンダー装置内側の全横断面にわたり分配して配列する。縁部aは、円環形シリンダー装置の外側シェルの一方からこの外部シェルのもう一方に割線のように位置する。これらが、円環形シリンダー装置の内部シェルとぶつかる場合、計量計は、ちょうど内部シェルの前で終了し、当該縁部長aを有する(個別の)新規の(新しい)計量計として内部シェルの反対の周辺側に続く。円環形シリンダー装置の外部シェルの内部表面および内部シェルの外部表面上で取り付け具(33)を配置し(好ましくは確実に固定されるように構成する)、これに対して計量計を、長方形表面b×cの中間に固定する。図11(側面図)および12(上面図)は、確実に固定するように構成されるこのような取り付け具の例を示す。
【0186】
全角360℃にわたりガス浸透性である計量多角形(好ましくは規則正しい12側面)を使用する場合、有用な実施例はまた、以下の寸法を含む:
長縁部b:160mm
長縁部c:40mm
計量計の壁厚:2mm
放射状に連続する計量計の間隔(内幅):125mm
流出開口部Aの内径:2.5mm
ビーズのひもに隣接の2つの流出開口部Aの間隔(中心〜中心):一様に60mm
円環形シリンダー装置の基部円環に面する縁部aから理論的ひもの間隔:10mmおよび
放射状に連続する分配計の相互に放射状に対面する長方形表面a×cの流出開口部Aは、互いに対面し、間に空隙を有する。
【0187】
用途において適切には、計量多角形に、計量点を1つおよび同じ多角形において多角形の周囲全体に一様に分配するように、酸素分子を含む流入ガスを供給する。1つおよび同じ多角形のこれらの計量点の数は、例えば、2もしくは3または4または5または6または7あるいはそれ以上であってよい。計量点の数が増加するとともに、多角形の個々の流出開口部Aにおける圧が一様になる。図18は、このような計量多角形構造の図を示す。
【0188】
別の実施形態において、計量計を割線様様式の代わりにさらに同軸の多角形または同軸の円としてクモの巣様様式で円環形シリンダー装置内側の横断面全体に配列してよい。個々の多角形または円を全角360°(計量多角形または円)を完全に製造し、または個別の計量計に分割することができる。
【0189】
計量計の配列は、両円環形シリンダー装置に一致して(同時に)適当に行う。
【0190】
流出開口部Aを立方計量計(分配計)の長方形表面a×cに配置する。これらは全て円形であり、内径2〜4mm、有利には3mmを有する。
【0191】
流出開口部Aを、ひも上にビーズの連続のような計量計(分配計)の2つの合同な長方形表面a×cに配置し、ひもは、円環形シリンダー装置の基部円環に面する縁部aから5mmの間隔を有し、この縁部aに平行に形成する。「ビーズのひも」上の1つの流出開口部Aから次の流出開口部Aまでの距離は、常に(中心から中心まで測定し)100mmである(別法として、50〜100mmの別の一様な距離を使用することも可能である)。記載のリアクターの1つの円環形シリンダー装置に実装される全ての計量計(分配計)の流出開口部Aの合計数は、約2000個である(ビーズのひも上の2つの隣接の流出開口部Aの間隔が<100mmで選択される場合、流出開口部Aの合計数は、10000以下または5000以下であってよい)。円環形シリンダー装置の基部円環に面する縁部aは、基部円環から射出されてはいけない。最終的に、計量計(分配計)が隔壁WTとぶつかる場合、これらの隔壁WTは、計量計(分配計)に対応する通路を有し、ガス浸透性空隙が通路開口部の内部周囲および計量計(分配計)の外部周囲との間に約1cm存在することも強調されるものとする。隣接の長方形の計量計の対面の長方形表面a×cの流出開口部Aは、互いに対面する空隙を有する。
【0192】
原則として、記載のように、流出開口部Aの合計数は、様々な円環形シリンダー装置において同一であってよい。
【0193】
これらは、互いに異なっていてもよい。つまり、この合計数は、反応ガスの流動方向において、円環形シリンダー装置から円環形シリンダー装置まで増加または減少することができる。
【0194】
本発明の記載の軸式トレイリアクターの脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化のモニターおよび制御は、特定の固定触媒床の様々な触媒活性床に存在する温度の測定により適当に行う。
【0195】
上記の軸式トレイリアクターの固定触媒床内の成形触媒体の触媒活性床は、反応ガスの流動方向において床の高さ300mm(30cm)を有する(当然ながら、トレイリアクターは、完全な当該様式において、30cmから偏位する床の高さを設計することもでき(例えば40cm)、40cm高の床の高さは、例えば、使用される成形触媒体が3mm径の当該触媒のひもである場合に望ましく、これは、圧低下を生じ、床の高さが高くなるほど、円環形シリンダー装置内側の径5.47mに、および関連触媒床流出面積21.6m2のみに有利に低下する)。
【0196】
反応ガスの流動方向において、温度測定を、以下の触媒活性床の高さShで行う:
0cm、
7.5cm、
15cm、
22.5cmおよび
30cm。
【0197】
成形触媒体の床の高さが、300mmと異なる値である場合(例えば、240mmもしくは260mmまたは280mm)、温度測定は、当該様式において、この床の高さ全体に等距離に分配される5つの高さで行われる。
【0198】
このため、3成分の熱要素を入れる3つのガイドフィンガー(34)(3成分の熱要素は、3つの異なる(一般に等距離)固定触媒床への挿入深度にて温度を同時に検出する)を、直列円形シリンダーのシェル(1)を通し、および上述の高さShのそれぞれで円環形シリンダー装置の外部シェルを通して(図13を参照)、当該円環形シリンダー装置の軸(すなわち、放射状および水平)に対して直角に触媒活性床に流す。個々のガイドフィンガーは、円環形シリンダー装置の内部シェルまで射出し、固定触媒床から密封される。つまり、特定のガイドフィンガーの内側は、反応ガスと接触しない。ガイドフィンガーの内径は、3〜5mmであり、ガイドフィンガーの外径は、6〜8mmである。1つおよび同じ床の高さShで設置された3つのガイドフィンガー(34)を、周囲に沿った連続したガイドフィンガーが、これらが交差するまで理論的に伸長される場合の角120°をつくるようにシェル(1)の周囲に分配する。連続した床の高さShに配置されるガイドフィンガーの場合、流動方向における、次の3つのガイドフィンガーは、前の3つのガイドフィンガーと一致せず、むしろ90°まで補正される。上述の補正の方向(時計方向または反時計方向)を、触媒活性床全体に保持し、図14に示されるように、ガイドフィンガーは、Sh=0cmおよびSh=30cmで一致する。
【0199】
温度を測定する場合の固定触媒床に対して事前に流入ガスIIの定量添加を調節するために、床の高さSh=0cmおよびSh=30cmにて決定される温度を使用する。ガス吸気口チューブスタブ(4)への反応ガスの入り口とガス排気口チューブスタブ(5)からの反応ガスの流出との間の脱水素化炭化水素に脱水素化される炭化水素のモル比の変化が、リアクターを通るシングルパスに対する脱水素化変換を提供する。所望の脱水素化変換を得るように流入ガスIIを注入する。
【0200】
ガイドフィンガー(34)の導入の詳細な構成は、図13および14の縦断面に示される。
【0201】
これらは、固定触媒床内のガイドフィンガー(34)を内径4〜7mmおよび外径6〜9mmを有する(同様に閉口の)保護フィンガー(Schutzfinger)(35)内に流すことが明らかである。ガイドフィンガー外壁と保護フィンガー内壁との間の空隙は、可能な限り小さくする。適宜、残っている空隙に高温熱伝導ペーストを充填する。この保護フィンガーを円環形シリンダー装置の外部シェルの内壁(36)に気密性に溶接し、そのため、反応ガスは、この点で円環形シリンダー装置のシェル(1)および外部シェルとの間の空隙(38)に通ることができない。シェル(1)の外側で、ガイドフィンガーを内径およそ45mmおよび外径50.8mmであるフラッシュチューブ(37)の対称の軸上に流す。ガイドフィンガーの長さは、2000mmであり、フラッシュチューブの長さは、400mmである。フラッシュチューブを、フランジ(39)により気密性に密封し、そこへ、ガイドフィンガーを、クランプ環シール(40)を通して気密性に挿入する。
【0202】
シェル(1)の外側に、フラッシュチューブを気密性に溶接する。シェル(1)を通るガイドフィンガー(34)の通路は、気密性ではない。不活性ガス(好ましくは窒素分子、例えば、O2、水蒸気またはその混合物1体積%以下の産業用窒素)を、フラッシュチューブに溶接したポート(41)を通して供給し、シェル(1)を通るガイドフィンガー(34)の通路で、円環形シリンダー装置のシェル(1)と外部シェルとの間の空隙へのアクセスを有する(不活性ガスを、空隙(38)を介して間接的にフラッシュチューブのいくつかに供給する)。図13はまた、溶接リップシール17を示す。
【0203】
これらの不活性ガス流は、全体に、一般に反応ガスの流量(Nm3)に対して、1体積%以下、通常、0.1以下または0.01体積%以下であるだろう。
【0204】
図15および16は、横支柱により固定された2つの二脚の縦断面を示す。これらは、外径6mmおよび壁厚1mmを有するチューブからなる。2本の脚を形成するチューブを実装の立方体(43)(30mm×10mm×20mm(幅×高さ×深さ))に埋め込む。
【0205】
脚が適宜、横支柱の中間にぶつかる場合、短スリーブ(42)を挿入面に直角に埋め込む。
【0206】
これらの二脚のいくつかを、グリッドセクターに配置し、その後固定触媒床を注入する。次いで、保護フィンガー(35)を、熱要素のためにガイドフィンガーの水平ガイドを固定し、従ってこれらの下垂を防ぐために上述のスリーブ(42)を通り流す。
【0207】
一致のガイドフィンガー(Sh=0cm、Sh=30cm)を図16における一般的な二脚により支持することができる。
【0208】
上記の軸式トレイリアクターの断熱性を、熱遮断のための圧力容器壁の外側(例えば、層厚300〜500mm)に適当な断熱材料(例えば、発泡ガラスまたは鉱滓綿)を実装することにより、さらに有利に改良することができる。例えば外部壁に固定する取り付け具により、実装を行うことができる(例えば、溶接)。
【0209】
軸式トレイリアクターとして設計されたシャフトリアクターの設計の説明の前に記載した、プロパンからプロピレンへの不均一系触媒による部分脱水素化をこの軸式トレイリアクターで、例えば以下のように実施することができる。
【0210】
以下の成分を有する反応ガス116306Nm3/hを、ガス吸気口チューブスタブを通してトレイリアクターに供給する(リアクターフードおよびフラッシュチューブ(27)へのN2の不活性ガス流を無視するが、それは、反応ガス量(Nm3)に対して、それらの合計量が<0.01体積%であるためである)。
プロパン 34.44体積%、
プロピレン 0.2体積%、
2 52.8体積%、
2 3.04体積%、
CO2 1.61体積%、
CO 0.39体積%、
2 0.09体積%、
エタン 0.12体積%、
2O 7.22体積%、
イソブテン 0.01体積%、
アクリル酸 0.04体積%、
アクロレイン 0.02体積%および
酢酸 0.02体積%。
【0211】
反応ガスは、394℃および入口圧3.10barを有する。
【0212】
適当な分配計の流出開口部Aを通る反応ガスの流動方向において、第1および第2固定触媒床との間に計量される流入ガスII1は、以下の成分を有する空気および水蒸気の混合物2930Nm3/hである:
水 34.9体積%、
2 51.4体積%および
2 13.7体積%。
【0213】
流入ガスII1の温度は、450℃およびその圧は、2.9barである。
【0214】
適当な分配計の流出開口部Aを通る反応ガスの流動方向において、第2および第3固定触媒床との間に計量される流入ガスII2は、以下の成分を有する空気および水蒸気の混合物2600Nm3/hである:
水 54.33体積%、
2 36.09体積%および
2 9.58体積%。
【0215】
流入ガスII2の温度は、450℃であり、その圧は、2.8barである。生成ガス混合物が、ガス排気口チューブスタブ(5)を通して120754Nm3/hをトレイリアクターから放出され、以下の成分を有する:
プロパン 24.95体積%、
プロピレン 5.77体積%、
2 49.865体積%、
2 0体積%、
CO2 3.03体積%、
CO 0.35体積%、
2 4.13体積%、
メタン 0.01体積%、
エタン 0.11体積%、
エチレン 0.01体積%、
2O 11.98体積%および
アクリル酸 0.01体積%。
【0216】
生成ガス混合物の温度は、501℃であり、生成ガス混合物の圧は、2.71barである。
【0217】
流入ガス流I1として、ガス混合物は、120754Nm3/hの反応ガスの流動方向において、第1固定触媒床から流動し(これは流量W1 1.1m/sに対応する)、以下の成分を有する:
プロパン 30.16体積%、
プロピレン 3.03体積%、
2 51.03体積%、
2 0体積%、
CO2 2.36体積%、
CO 0.372体積%、
2 2.14体積%、
メタン 0.001体積%、
エタン 0.116体積%、
エチレン 0.004体積%、
2O 9.75体積%および
アクリル酸 0.022体積%。
【0218】
流入流I1の温度は、496℃であり、その圧は、2.9barである。
【0219】
流入ガス流I2として、ガス混合物は、127180Nm3/hの反応ガスの流動方向において、第2固定触媒床から流動し(これは流量1.33m/sに対応する)、以下の成分を有する:
プロパン 26.85体積%、
プロピレン 4.65体積%、
2 50.29体積%、
2 0体積%、
CO2 2.75体積%、
CO 0.359体積%、
2 3.34体積%、
メタン 0.002体積%、
エタン 0.113体積%、
エチレン 0.005体積%、
2O 11.13体積%および
アクリル酸 0.013体積%。
【0220】
流入流I2の温度は、499℃であり、その圧は、2.8barである。
【0221】
流入ガス流I1の不在を仮定して、流出開口部A1から流出する個々の流入ガスII1全ての方向(これらは、反応ガスの流動方向において、第1円環形シリンダー装置の流入ガスII1のための分配計の流出開口部Aである)は、流入ガスI1の流動方向で角α90°をつくる。
【0222】
流入ガス流I2の不在を仮定して、流出開口部A2から流出する個々の流入ガス流II2全ての方向(これらは、第1反応ガスの流動方向において第2円環形シリンダー装置の流入ガスII2のための分配計の流出開口部Aである)は、流入ガスI2の流動方向で角α90°をつくる。
【0223】
反応ガス流入混合物1の導入時間J1(反応ガスの流動方向において、第2円環形シリンダー装置に流れる)は、0.735秒である。
【0224】
反応ガス流入混合物1の温度が550℃に増加する場合、導入時間は0.15秒に低下する。
【0225】
温度増加に対応するように、圧増加もまた、導入時間Jを短縮する。
【0226】
反応ガス流入混合物2の導入時間J2(反応ガスの流動方向において、第3円環形シリンダー装置に流れる)は、0.761秒である。
【0227】
反応ガス流入混合物2の温度が550℃に増加する場合、導入時間は0.15秒に低下する。
【0228】
関連固定触媒床から全ての流出開口部A1までの距離D1は、5mmである。
【0229】
関連固定触媒床から全ての流出開口部A2までの距離D2は、5mmである。
【0230】
別の実施形態において、D1およびD2はまた、それぞれ5mm〜10mmのいずれかの他の値に一様に調節することができる。
【0231】
流入ガス流I1の流動方向に対して直角の射影面E1への流入ガス流I1の流動方向における全ての流出開口部A1の射影において、流入流I1により考慮される射影表面積のm2に存在する流出開口部重心の数ZA1は、≧50である。
【0232】
射影面の1つの流出開口部重心から最も近い流出開口部重心までの距離は、100mm以下である。
【0233】
流入ガス流I2の流動方向に対して直角の射影面E2への流入ガス流I2の流動方向における全ての流出開口部A2の射影において、流入流I2により考慮される射影表面積のm2に存在する流出開口部重心の数ZA2は、≧50である。
【0234】
射影面の1つの流出開口部重心から最も近い流出開口部重心までの距離は、100mm以下である。
【0235】
反応ガス混合物の流入流1が、反応ガスの流動方向において第2円環形シリンダー装置に存在する固定触媒床を通過する場合、反応ガス混合物の流入流1に存在するプロパン6.19mol%をプロピレンに変換する。
【0236】
反応ガス混合物の流入流2が、反応ガスの流動方向において、第3円環形シリンダー装置に存在する固定触媒床を通過する場合、反応ガス混合物の流入流2に存在するプロパン3.09mol%をプロピレンに変換する。
【0237】
次いで、その中に存在するプロピレンを酸化するためにそれ自体公知の様式において使用することができるガス排気口チューブスタブ(5)を通りトレイリアクターから放出され生成ガス混合物を、その中に存在するプロパンにより、部分的に標的生成物としてアクロレインおよび/またはアクリル酸に下流の不均一系触媒の部分酸化を行った。
【0238】
手法は、例えば、独国特許出願公開第102005061626号、独国特許出願公開第102005057197号、独国特許出願公開第102005052923号、独国特許出願公開第102005052917号、独国特許出願公開第102005022798号、独国特許出願公開第102005009885号、独国特許出願公開第102005010111号、独国特許出願公開第102004032129号、独国特許出願公開第102005013039号、国際出願第03/076370号、独国特許出願公開第10211275号、国際出願第01/96270号、独国特許出願公開第102005056377号明細書およびこれらの明細書に引用されている従来技術のようであってよい。特に、手法は、独国特許出願公開第102004032129号および独国特許出願公開第102005013039号または独国特許出願公開第102005022798号に記載のようであってよい。
【0239】
通常、標的生成物は、部分酸化の生成ガス混合物および残りの残留ガス、少なくともプロパンを含む部分から続いて取り出され、適宜、軸式トレイリアクターのガス吸気口チューブスタブを通して供給される反応ガスの生成における不変換プロピレンを不均一系触媒による部分脱水素化に再循環する。
【0240】
上記に対応する様式において、上記の軸式トレイリアクターのガス吸気口チューブスタブを通り供給される反応ガス116309Nm3/hを、温度20℃および圧4barの規格の粗製プロパン8063Nm3/h、
プロパン ≧98.0体積%、
プロピレン ≦0.11体積%、
n−ブタン <0.001体積%、
イソブタン <0.05体積%、
エタン <1.5体積%、
エチレン <0.02体積%および
他のC4炭化水素 <0.001体積%
と温度104℃および圧3.3barのこのような部分酸化の残留ガス102961Nm3/hを(例えば、国際出願第2004/067164号の図10のように)結合することにより得、以下の成分を有する:
プロパン 31.18体積%、
プロピレン 0.215体積%、
2 59.69体積%、
2 3.44体積%、
CO2 1.81体積%、
CO 0.444体積%、
2 0.098体積%、
エタン 0.06体積%、
エチレン 0.003体積%、
22.96体積%、
アクリル酸 0.04体積%、
アクロレイン 0.03体積%および
酢酸 0.03体積%。
【0241】
2種のガス流を結合するために、これらを互いに、例えばパイプ配管に設置された静的混合機で激しく混合する。
【0242】
ガス吸気口チューブスタブに供給される上述の結合および時間が時間内で可能な限り密接であることが有利である。
【0243】
結合により、はじめにP=3.21barおよびT=95.7℃でガス混合物を形成する。ガス排気口チューブスタブ(S)から放出される生成ガス混合物の間接的熱交換により、394℃および入口圧3.10barを生じる。
【0244】
それ自体公知の様式の少なくとも1つの除去ステップにおいて、標的生成物をプロピレンからアクロレインおよび/またはアクリル酸への不均一系触媒ガス相の部分酸化で得られた生成ガス混合物から取り出すことができる。通常、手法は、ガス相から液体相への基本除去ステップの少なくとも1種の標的生成物を変換することである(生成ガス混合物は、適宜、事前に冷却する)。これは、標的生成物の部分的または完全および適宜、分別凝縮(例えば、アクロレインおよび/またはアクリル酸)により、および/または水性もしくは有機溶剤に生成ガス混合物由来の少なくとも1種の標的生成物の吸収により行うことができる(すなわち、分別凝縮および/または水または水溶液を用いた吸収を互い重ねて行うこともできる)。一般に、基本除去ステップとして分別凝縮および/または水もしくは水溶液の吸収が好ましい。標的生成物としてアクリル酸および/またはアクロレインの場合、適切な吸収剤は、例えば、水、低級カルボン酸の水溶液および疎水性有機溶剤、例えば、ジフェニルおよびジフェニルエーテルの混合物(例えば、Diphyl(登録商標)またはDiphyl(75〜99.9質量%)およびフタル酸ジメチル(0.1〜25質量%)の混合物である。アクリル酸の場合、標的生成物を含む生成ガス混合物は、分別凝縮されることが好ましい。例えば、基本除去(とりわけ、アクリル酸の場合)を以下の明細書に記載のように行うことができる(例えば、欧州特許出願公開第1388533号、欧州特許出願公開第1388532号、独国特許出願公開第10235847号、欧州特許出願公開第792867号、国際出願第98/01415号、欧州特許出願公開第1015411号、欧州特許出願公開第1015410号、国際出願第99/50219号、国際出願第00/53560号、国際出願第02/09839号、独国特許出願公開第10235847号、国際出願第03/041833号、独国特許出願公開第10223058号、独国特許出願公開第10243625号、独国特許出願公開第10336386号、欧州特許出願公開第854129号、米国特許第4317926号、独国特許出願公開第19837520号、独国特許出願公開第19606877号、独国特許出願公開第190501325号、独国特許出願公開第10247240号、独国特許出願公開第19740253号、欧州特許出願公開第695736号、欧州特許出願公開第982287号、欧州特許出願公開第1041062号、欧州特許出願公開第117146号、独国特許出願公開第4308087号、独国特許出願公開第4335172号、独国特許出願公開第4436243号、独国特許出願公開第19924532号、独国特許出願公開第10332758号および独国特許出願公開第19924533号を参照)。アクリル酸除去もまた、欧州特許出願公開第982287号、欧州特許出願公開第982289号、独国特許出願公開第10336386号、独国特許出願公開第10115277号、独国特許出願公開第19606877号、独国特許出願公開第19740252号、独国特許出願公開第19627847号、欧州特許出願公開第920408号、欧州特許出願公開第1068174号、欧州特許出願公開第1066239号、欧州特許出願公開第1066240号、国際出願第00/53560号、国際出願第00/53561号、独国特許出願公開第10053086号および欧州特許出願公開第982288号に記載のように行うことができる。国際出願第/0196271号の図7に記載または独国特許出願公開第102004032129号およびその対応特許に記載のように除去することが好ましい。ふさわしい除去態様はまた、国際出願第2004/063138号、国際出願第2004/035514号、独国特許出願公開第10243625号および独国特許出願公開第10235847号明細書に記載の方法である。得られた粗製アクリル酸のさらなる加工は、例えば、国際出願第01/77056号、国際出願第03/041832号、国際出願第02/055469号、国際出願第03/078378号および国際出願第03/041833号明細書に記載のように行うことができる。
【0245】
上記の分離プロセスの一般的な特徴は、標準圧(1bar)の沸点が≦−30℃である生成ガス混合物のこれらの構成物質を基本的に含む残留ガス流(すなわち、凝縮または揮発静し難い構成物質)が、例えば個別の内部物質を含む、例えば、特定の分離カラムの頂部に通常残り、その下部区分に、少なくとも1種の標的生成物を含む生成ガス混合物が、通常、前の直接および/または間接冷却後に供給されることである。
【0246】
通常、分離カラムの下部区分において、特定の少なくとも1種の標的生成物および標的生成物に類似の揮発性の副構成物質を含めた、生成ガス混合物の揮発性の少ない構成物質は、凝縮相で得られる。
【0247】
通常、残留ガス構成物質は、第一級プロパン、適宜、部分酸化で不変換のプロピレン、酸素分子および多くの場合、部分酸化でも使用される他の不活性希釈ガス、例えば、窒素および二酸化炭素である。使用される分離プロセスに応じて、水蒸気は、微量のみまたは20体積%以下の残留ガスに存在することができる。この残留ガスを使用して上記のように進めることができる(および一般に進む)。
【0248】
この点で、アクリル酸は、根本的に、部分酸化生成ガス混合物から除去され、この混合物は、標的生成物としてアクリル酸を含み、好ましくは以下のように記載されるように得られており、すなわち、適宜、事前に直接および/または間接冷却により冷却された生成ガス混合物が、国際出願第2004/035514号および独国特許出願公開第10243625号の実施例に記載のように、粗製アクリル酸の側留排出口(Seitenabzug)下で個別の内部取付物を含むカラムを(例えば、それ自体に)上行して分別凝縮し、かつ/または水または水溶液で吸収されることを再度強調するものとする。回収した粗製アクリル酸に、続いて懸濁結晶化を行うことが好ましく、形成されたアクリル酸懸濁結晶を洗浄カラムにより、残っている母液から取り出すことが好ましい。有利には、使用される洗浄液は、洗浄カラム内の事前に除去されたアクリル酸結晶の融解物である。さらに、洗浄カラムは、結晶床を強制的に移動するものが好ましい。油圧洗浄カラム(例えば、TNO洗浄カラム)または機械的洗浄カラムがより好ましい。具体的な詳細において、国際出願第01/77056号、国際出願第03/041832号および国際出願第03/041833号の記載に従うことができる。つまり、残っている母液を、分別凝縮に再循環することが好ましい(さらに、欧州特許出願第1015410号を参照)。通常、副構成要素の排気口は、パージ流として粗製アクリル酸の分留管の下にある。
【0249】
1つ結晶化ステージのみを使用し、ポリNaアクリル酸系過吸収剤を生成するのに極めて適切である、純度≧99.8質量%を有するアクリル酸を得ることが可能である。
【0250】
また、独国特許出願公開第10245585号および独国特許出願公開第10246119号に記載の要件の特性も、本発明における方法に適用する。
【0251】
一般に、本発明における方法はまた、不均一系触媒による部分脱水素化の本発明における方法が少なくとも1個の脱水素化炭化水素の少なくとも1つの不均一系触媒の部分酸化に続くものである。
【0252】
図1〜17を以下に示す:
図1: 本発明において適切なトレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターの縦断面の上面図。
【0253】
図2: 本発明において適切なトレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターの縦断面の正面図。
【0254】
図3: グリッドを省略した円環形シリンダー装置の上面図。
【0255】
図4: その上に実装されたグリッドおよび金属ワイヤーの網目を有する円環形シリンダー装置の平面図。
【0256】
図5: 円環形シリンダーシェル(1)と上部リアクターフードとの間で結合されるフランジ。
【0257】
図6: 注入補助物。
【0258】
図7: 頂部円環の水平面で、円形シリンダーシェル(1)と円環形シリンダー装置の外部シェルとの間の溶接リップシール。
【0259】
図8: 上部リアクターフードの入口スタブに流入ガスIIを流すチューブの3部品移動。
【0260】
図9: 上部リアクターフードの入口スタブに流入ガスIIを流すチューブの2部品移動。
【0261】
図10: 計量計への分配チューブの開口部。
【0262】
図11: 分配計用に形成される確実な固定を構成する取り付け具の側面図。
【0263】
図12: 図11の側面図に示される取り付け具の平面図。
【0264】
図13: 固定触媒床への熱要素の導入。
【0265】
図14: 固定触媒床内で一方の上に1つを流し、合同である2つの熱要素の導入。
【0266】
図15: 熱要素ガイドフィンガーを支持する二脚。
【0267】
図16: 固定触媒床内で一方の上に1つを流し、合同である2つの熱要素のガイドフィンガーを支持する二脚。
【0268】
図17: シャフトリアクターの模造物。
【0269】
実施例
立方体(シャフト)リアクター模造物(44)を使用した。壁厚3mmの立方体の内側(リアクター模造物の全ての要素は、1.4541のステンレス鋼から製造した)は、以下の寸法を有した。基部表面は、840mm(縁部a)×900mm(縁部b)であった。立方体リアクター模造物の高さ(縁部c)は、1200mmであった。
【0270】
リアクター模造物の基部表面60cm上(測定は、基部表面から計量計(分配計)の上部縁部a*までの距離に基づく)をリアクター模造物の内側に、縁部bに平行な最長縁部b*と、同様に長方形の横断面a*×c*を有する3つの同一の立方体計量計(45)を実装した。これらの計量計の壁厚は、2mmであった。縁部a*は、縁部aに平行であり、15cmを有した。縁部c*は、縁部cに平行であり、4cmを有した。2つの計量計間の間隔は、13cmであった。3つの分配計の中間を、立方体幅a=840mmでその縁部a*の中央に配列した。縁部b*は、900mmを有した。分配計を、それぞれ限界表面a*×c*により限界表面a×cに溶接した。頂部で、立方体リアクター模造物を開口し(すなわち、蓋がなかった)、底部および4つの側面を閉口した。
【0271】
連続したビーズのひものように配列された3mm径の円形流出開口部A(46)を配置された計量計の2つの長方形表面c*×b*において、ひもを、基部表面a×bに面し、この縁部に平行に形成される縁部b*から5mm離した。
【0272】
「ビーズのひも」上の1つの流出開口部Aから次の流出開口部Aまでの距離は、(重心から重心を測定して)10cmであった。隣接の長方形の計量計の相互に対面する長方形表面c*×b*の流出開口部Aは、空隙を間にして互いに対面した。
【0273】
プレート厚3mmの穴あきプレート(47)を計量計(45)に配置した(横断面a×b上)。孔の形状は、一様に長円形であった。これらの横寸法は、3mmであり、これらの縦寸法は、1.5cmであった。穴あきシートの開放率は、30%であった(%開放率=(浸透可能な表面積の合計/表面積合計)×100)。孔の中心を、方形ピッチで一様に分配した。
【0274】
ステアタイト環7m×7mm×4mm(外径×高さ×内径)の床の高さ20cmの不活性床(48)を穴あきシートに注入した。一様な金メッシュが、この不活性床に位置し、縦および横の金属ワイヤーから構成される。
【0275】
2本の最も近い平行なワイヤーの距離は、2mmであった。グリッド(49)をこの金メッシュに配置し、金メッシュのように、全横断面a×b全体に伸長した。グリッドの高さ(縁部cに平行)は、10cmであった。また、グリッドは、ハチの巣状構造を有した。個々のハチの巣状は、内部表面3cm×3cmの方形横断面を有した。グリッドの壁厚は、1mmであった。
【0276】
計量計の下に計量配管(50)を配置し、これは、縁部a(最も近い縁部aまでの距離は、10cmであった)に平行に位置し、壁b×cの当該開口部を通り挿入され、気密性様式において計量計に溶接された。計量配管は、方形横断面10cm×10cmを有した。その長さは、第3計量計の縁部a*の末端まで伸長した。
【0277】
特定の分配計の下に、計量配管は、8cm径の円形開口部を有し、これは、基部表面a×bに面する表面a*×b*の当該(中央に実装された)円形開口部と一致し、分配計に溶接された。計量配管の長さは、800mであった。
【0278】
CO210体積%および空気90体積%からなる(流入ガスIIと見立てた)混合物40m3/hをこの計量配管に供給した(T=25℃、P=1.1bar)。
【0279】
10cmの距離で、穴あきプレート(51)を計量配管下の立方体リアクター模造物に溶接し、全横断面積a×b上に伸長した。穴あきプレートの孔(プレート厚3mm)は、1cm径を有した。孔の中心を、方形ピッチで一様に分配した。穴あきプレートの開口部率は、6%であった。
【0280】
上述の穴あきプレートの下で、円形スタブ(52)(内径300mm)は、立方体リアクター模造物につながった。基部表面a×bからのその距離は、5cmであった。最も近い表面a×cからのその距離は、10cmであった。
【0281】
スタブを通る表面b×cは、挿入された計量配管を通る表面b×cと対面であった(計量配管およびスタブを同じ流動方向において理論的に伸長した場合、伸長線は基本的に一致した)。
【0282】
空気2500m3/h(T=25℃、P=1.1bar)を、スタブを通して立方体リアクター模造物に流した(流入ガス流Iと見立てた)。
【0283】
Siemens製Ultramat22Pにより(ガス混合物を吸引し、キュベットを通りそれを流し、その成分のCO2量をUV分光計で決定し、比較キュベットの成分の挙動と比較する)、ハチの巣状グリッドの個々の断面のハチの巣状のCO2量を決定した。
【0284】
理論的平均CO2濃度は、0.16体積%であった。
【0285】
最大測定CO2濃度は、0.30体積%であった。
【0286】
最小測定CO2濃度は、0.02体積%であった。
【0287】
立方体リアクター模造物の縦断面積を図17に示す。
【0288】
2006年3月30日出願の米国仮特許出願第60/787165号および2006年4月12日出願の米国特許仮出願第60/791207号を参考文献により本出願に組み込む。上述の教示に関して、本発明からの多くの変更および逸脱が可能である。それゆえ、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている方法と異なって実施することができることを前提としうる。
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】図1は、本発明において適切なトレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターの縦断面の上面図を示している。
【図2】図2は、本発明において適切なトレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターの縦断面の正面図を示している。
【図3】図3は、グリッドを省略した円環形シリンダー装置の上面図を示している。
【図4】図4は、その上に実装されたグリッドおよび金属ワイヤーの網目を有する円環形シリンダー装置の平面図を示している。
【図5】図5は、円環形シリンダーシェル(1)と上部リアクターフードとの間で結合されるフランジを示している。
【図6】図6は、注入補助物を示している。
【図7】図7は、頂部円環の水平面で、円形シリンダーシェル(1)と円環形シリンダー装置の外部シェルとの間の溶接リップシールを示している。
【図8】図8は、上部リアクターフードの入口スタブに流入ガスIIを流すチューブの3部品移動を示している。
【図9】図9は、上部リアクターフードの入口スタブに流入ガスIIを流すチューブの2部品移動を示している。
【図10】図10は、計量計への分配チューブの開口部を示している。
【図11】図11は、分配計用に形成される確実な固定を構成する取り付け具の側面図を示している。
【図12】図12は、図11の側面図に示される取り付け具の平面図を示している。
【図13】図13は、固定触媒床への熱要素の導入を示している。
【図14】図14は、固定触媒床内で一方の上に1つを流し、合同である2つの熱要素の導入を示している。
【図15】図15は、熱要素ガイドフィンガーを支持する二脚を示している。
【図16】図16は、固定触媒床内で一方の上に1つを流し、合同である2つの熱要素のガイドフィンガーを支持する二脚を示している。
【図17】図17は、シャフトリアクターの模造物を示している。
【図18】図18は、計量多角形構造の図を示している。
【符号の説明】
【0290】
1 シェル、 2 フード、 3 フード、 4 ガス吸気口チューブスタブ、 5 ガス排気口チューブスタブ、 6 補強環、 7 フランジ接続、 8 円形シリンダーシェル、 9 フード、 10 溶接リップシール、 11 中間天井、 13 支柱、 14 軸受リング、 15 隔壁、 16 注入補助物、 17 溶接リップシール、 18 外部シェル、 19 基部、 20 内側全体、 21 チューブ、 22 アクセス、 23 入口ポート、 24 入口ポート、 25 入口ポート、 26 中間プレート、 27 入口ポート、 28 入口ポート、 29 溶接リップシール、 30 分配ダクト、 31 立方計量計、 32 分配チューブ、 33 取り付け具、 34 ガイドフィンガー、 35 保護フィンガー、 36 外部シェルの内壁、 37 フラッシュチューブ、 38 空隙、 39 フランジ、 40 クランプ環シール、 41 ポート、 42 短スリーブ、 43 立方体、 44 シャフトリアクターの模造物、 45 立方体計量計、 46 円形流出開口部、 47 穴あきプレート、 48 不活性床、 49 グリッド、 50 計量配管、 51 穴あきプレート、 52 円形スタブ、 53 供給配管、 54 水平壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化の方法であって、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化のため、酸素分子、水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む反応ガス混合物の流入流全体を所定の横断面を有するシャフト中に存在する固定触媒床に通して流し、この固定触媒床は、反応ガス混合物の流入流の流動方向において、はじめに、不活性成形体の床と反応ガス混合物流入流の流動方向においてこれと隣接する少なくとも1個の成形触媒体を含む触媒活性床とを含み、それらの床は、その流動方向における、反応ガス混合物の流入流において、少なくともその入口領域において、水素分子と酸素分子の水への燃焼反応および/または炭素酸化物および水が得られる反応ガス混合物の流入流に含まれる炭化水素と酸素分子の燃焼反応については、少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の脱水素化のものに比べてより低い活性エネルギーを必要とするが、ただし、脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の部分量を少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化し、その際、反応ガス混合物の流入流は、シャフト内で、シャフト内を体積流量V1で固定触媒床上に流動する水素分子および脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を含む流入ガス流Iに固定触媒床の上流で酸素分子を含む流入ガスIIを合計体積流量V2で計量することにより得られる前記方法において、該流入ガスIIを、該流入ガス流Iの流動方向において固定触媒床の上流に存在する配管系の複数の流出開口部Aから流出する流入ガスII流の形態で、
a)該流入ガス流Iの不在を仮定して、該流出開口部Aから流出する該流入ガスII流全ての複数個Mの方向は、該流入ガス流Iの流動方向と角α90±60°をつくり、
b)該シャフト内の該流入ガス流Iの流量Wに対して、該固定触媒床からの流出開口部A全ての複数個Mの距離Dは、2・Wを掛けた該反応ガス流入混合物の導入時間J以下であり、
c)射影面E内の該流入ガス流Iの流動方向に直角に該射影面Eへの、該流入ガス流Iの流動方向において、流出開口部A全ての複数個Mの重心の射影に際して、該流入ガス流Iにより考慮される射影面積の少なくとも75%について、任意のm2で存在する流出開口部重心の数ZAは≧10であり、
d)該流出開口部重心の数ZAに対応する該流出開口部Aから流出する該個々の流入ガスII流が50%以下だけその数平均から偏位し、
e)該流出開口部の数ZAのうち、1つの流出開口部重心から最も近い流出開口部重心までの距離dは、2√1m2/ZA以下であり、
f)V1:V2比は、≧8である
ように計量することを特徴とする方法。
【請求項2】
該流入ガスIIが以下の成分:
水蒸気 0〜80体積%
2 10〜97体積%および
2 3〜25体積%
を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該流入ガスIIが以下の成分:
2O 15〜80体積%、
2 20〜85体積%および
2 5〜25体積%
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該V1:V2比が≧15であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該V1:V2比が≧20であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該1つの流出開口部Aの最長寸法Lが≧0.1mm〜≦5cmであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該1つの流出開口部Aの最長寸法Lが≧1mm〜≦5mmであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該流入ガス流Iの不在を仮定して、該流出開口部Aから流出する該流入ガス流II全ての複数個Mの方向が該流入ガス流Iの流動方向と角α90±30°をつくることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該流入ガス流Iの不在を仮定して、該流出開口部Aから流出する該流入ガス流II全ての複数個Mの方向が該流入ガス流Iの流動方向と角α90±10°をつくることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該流出開口部A全ての複数個Mが条件D≦0.5・W・Jを満たすことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該流出開口部A全ての複数個Mが条件D≦0.2・W・Jを満たすことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ZA≧30であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ZA≧50であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ZA≧100であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該距離dが1.5√1m2/ZA以上であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該距離dが√1m2/ZA以下であることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
該流出開口部重心の数ZAに対応する該流出開口部Aから流出する該個々の流入ガスII流が30%以下だけその数平均から偏位することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
該流出開口部重心の数ZAに対応する該流出開口部Aから流出する該個々の流入ガスII流が10%以下だけその数平均から偏位することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
流出開口部A全ておよびこれらから流出する該個々の流入ガスII流の該複数個Mとは、そこから合計体積流量V2のちょうど合計70%以上が流出するこれらの流出開口部Aおよびこれらから流出する該個々の流入ガスII流を表すが、ただし、これらから流出する該個々の流入ガスII流が、該全ての個々の流入ガスII流全体のうち、この複数個Mに含まれない該個々の流入ガスII流の最大より小さいものを含まないことを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
流出開口部A全ておよびこれらから流出する該個々の流入ガスII流の該複数個Mとは、そこから合計体積流量V2のちょうど合計90%以上が流出するこれらの流出開口部Aおよびこれらから流出する該個々の流入ガスII流を表すが、ただし、これらから流出する該個々の流入ガスII流が、該全ての個々の流入ガスII流全体のうち、この複数個Mに含まれない該個々の流入ガスII流の最大より小さいものを含まないことを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
射影面E内の該流入ガス流Iの流動方向に直角に該射影面Eへの、該流入ガス流Iの流動方向において、流出開口部A全ての重心Mの射影に際して、該流入ガス流Iにより考慮される射影面積の少なくとも85%について、任意のm2で存在する流出開口部重心の数ZAは≧10であることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
射影面E内の該流入ガス流Iの流動方向に直角に該射影面Eへの、該流入ガス流Iの流動方向において、流出開口部A全ての重心Mの射影に際して、該流入ガス流Iにより考慮される射影面積の少なくとも95%について、任意のm2で存在する流出開口部重心の数ZAは≧10であることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
該反応ガス混合物の流入流が該固定触媒床を通り流れるが、ただし、その中に含まれる脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の少なくとも2mol%が少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化されることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
該反応ガス混合物の流入流が該固定触媒床を通り流れるが、ただし、その中に含まれる脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の少なくとも5mol%が少なくとも1個の脱水素化炭化水素に脱水素化されることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
該反応ガス混合物の流入流が脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の少なくとも5体積%を含むことを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
該反応ガス混合物の流入流が脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の少なくとも10体積%を含むことを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
該酸素分子の反応ガス混合物の流入流のモル量がその中に含まれる該水素分子のモル量50mol%以下であることを特徴とする、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
該反応ガス混合物の流入流が該固定触媒床を通過する場合に該反応ガス混合物の流入流に含まれる酸素分子の合計量の少なくとも95mol%を該反応ガス混合物の流入流に存在する該水素分子の燃焼に消費することを特徴とする、請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
該固定触媒床に入る場合の該反応ガス混合物の流入流の温度は、300〜700℃であることを特徴とする、請求項1から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
脱水素化される少なくとも1個の炭化水素を有する該固定触媒床の負荷が、該その中に含まれる触媒の合計量に対して、100〜10000Nl/l・hであることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
該導入時間Jが≦2000msであることを特徴とする、請求項1から30までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該導入時間Jが≦100msであることを特徴とする、請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
該流入ガスIIを流す配管の横断面が該流出開口部Aの存在するところで多角形であることを特徴とする、請求項1から32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
該流入ガスIIを流す配管の横断面が該流出開口部Aの存在するところで四角形であることを特徴とする、請求項1から33までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
該流出開口部Aが丸形であることを特徴とする、請求項1から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
該流入ガス流Iの温度と該流入ガス流IIの温度間の温度差ΔTII1が300℃以下であることを特徴とする、請求項1から35までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
該脱水素化される少なくとも1個の炭化水素がプロパンであることを特徴とする、請求項1から36までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
該少なくとも1個の脱水素化炭化水素がプロピレンであることを特徴とする、請求項1から37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
トレイリアクターとして構成されるシャフトリアクターで実施されることを特徴とする、請求項1から38までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
該脱水素化される少なくとも1個の炭化水素の不均一系触媒による部分脱水素化の方法に、該少なくとも1個の脱水素化炭化水素の不均一系触媒の部分酸化の方法が後接続されていることを特徴とする、請求項1から39までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
該少なくとも1個の脱水素化炭化水素の不均一系触媒の部分酸化の後接続された方法がプロピレンからアクロレインおよび/またはアクリル酸の不均一系触媒の部分酸化の方法であることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該不均一系触媒の部分酸化の生成ガス混合物からの該アクリル酸の分離を、事前に場合により直接および/または間接冷却により冷却された該生成ガス混合物を、分離作用のある内部取付物を含むカラム内で、粗製アクリル酸の側留排出口下で分別凝縮し、かつ/または水もしくは水溶液で吸収させることで行うことを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
該粗製アクリル酸の懸濁結晶化の方法が続くことを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
洗浄カラムで形成された該アクリル酸懸濁結晶を洗浄する方法が続くことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
洗浄したアクリル酸懸濁結晶を融解し、ポリマーに重合する方法が続くことを特徴とする、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−531377(P2009−531377A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502061(P2009−502061)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052884
【国際公開番号】WO2007/113162
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】