説明

脱着式コンテナを搭載した特装車

【課題】 塵芥収集車等の特装車において、コンテナの吸入側接続管に圧油が閉じ込められないようにしてキャリアの吸入側接続管とコンテナの吸入側接続管とをカプラで確実に接続することである。
【解決手段】 脱着式コンテナ4をキャリア3に搭載した塵芥収集車において、コンテナ側油圧配管の吸入側接続管50のソケット型カプラ53手前で互いに対向する逆止弁54,55間に放出管57を接続する。放出管57に電磁切換弁56を介設し、電磁切換弁56の消磁による開作動により吸入側接続管50の逆止弁54,55間を大気に開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナがキャリアに積み降ろし可能に搭載された特装車の改良に関し、特に、コンテナ側とキャリア側との油圧配管の接続対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塵芥積込装置や収集した塵芥をコンテナから排出する排出板がコンテナ側に設けられ、一方、コンテナを積み降ろす荷役装置がキャリア側に設けられた塵芥収集車が開示されている。これら塵芥積込装置、排出板及び荷役装置は、油圧シリンダで駆動するようになっている。
【0003】
この塵芥収集車にあっては、キャリア側に油圧ポンプ及びオイルリザーバが設けられていて、キャリア側の油圧シリンダを油圧ポンプで作動させるようになっている。また、キャリア側油圧配管から分岐した接続管とコンテナ側油圧配管から分岐した接続管とを接続してコンテナ側の油圧シリンダを作動させるようになっている。一般に、接続管同士の接続には、一方の接続管端部に取り付けられたソケット型カプラと、他方の接続管端部に取り付けられたプラグ型カプラとを嵌入結合することで行われる。このように、コンテナがキャリアに積み降ろし可能になっているのは、例えば、工場やイベント会場等においてコンテナをキャリアから降ろして定置使用できるようにするためである。コンテナを定置使用するときは、プラグ型カプラとソケット型カプラとの結合を解除してコンテナ側油圧配管とキャリア側油圧配管とを外し、コンテナをキャリアから降ろしてコンテナ側油圧配管を現地(工場等)に設けられている油圧ユニットに接続してコンテナ側の油圧シリンダを作動するようになっている。
【特許文献1】特開平4−80102号公報(第4頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き塵芥収集車において、コンテナを塵芥が半分くらい積み込まれた状態でキャリアから降ろして長時間待機させておくと、コンテナ内で塵芥が膨張し、排出板を駆動する油圧シリンダが塵芥の膨張圧で押されて収縮し、油圧シリンダの内部圧力が高まる。これにより、油圧シリンダ内で圧力が高まった圧油が油圧ポンプに対して低圧側、つまり吸入側となる接続管に流れる。この吸入側接続管のカプラ手前には、圧油の流出を防止するための逆止弁と、圧油の逆流を防止するための逆止弁とが対向して介設されているため、上記吸入側接続管に流れた圧油が逆止弁間に閉じ込められてしまい、当該逆止弁間で油圧(閉じ込め圧)が高まる。このように閉じ込め圧が高まると、キャリアの吸入側接続管のカプラをコンテナの吸入側接続管のカプラに嵌入させようとしても、閉じ込め圧が嵌入力に勝って結合できない事態が生ずる。このことは、塵芥収集車以外の特装車、例えばコンテナに搭載されたタンクを傾倒するダンプ用の油圧シリンダや、上記タンクのゲートを開閉するゲート開閉用の油圧シリンダを備えた吸引装置付タンクコンテナ搭載車等においても、気温上昇による油圧配管内の油膨張等によって内部圧力が高まることにより同様の事態が生ずる。
【0005】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塵芥収集車等の特装車において、コンテナの吸入側接続管に圧油が閉じ込められないようにしてキャリアの吸入側接続管とコンテナの吸入側接続管とをカプラで確実に接続することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明は、コンテナの吸入側接続管のカプラ手前で互いに対向する両逆止弁間を必要に応じて大気に開放するようにしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、コンテナがキャリアに積み降ろし可能に搭載され、上記コンテナには油圧駆動機器用の油圧シリンダが設けられているとともに、上記キャリアにはコンテナ積み降ろし用の油圧シリンダとこの油圧シリンダを作動させる油圧ポンプとが設けられ、上記油圧駆動機器用の油圧シリンダは、コンテナをキャリアに搭載してキャリア側油圧配管から分岐した接続管とコンテナ側油圧配管から分岐した接続管とを各々の端部に取り付けられたカプラの結合により接続した状態で、上記油圧ポンプの起動により作動される一方、上記キャリア側油圧配管から分岐した接続管とコンテナ側油圧配管から分岐した接続管とを上記カプラの結合解除により外してコンテナをキャリアから降ろして定置した状態で、当該定置場所に設置された油圧ユニットに接続されて作動されるように構成された脱着式コンテナを搭載した特装車を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記コンテナ側油圧配管において油圧ポンプに対して吸入側となる接続管のカプラ手前には、圧油の流出を防止する逆止弁と、圧油の逆流を防止する逆止弁とが互いに対向して介設され、これら逆止弁間には放出管が接続され、この放出管には逆止弁間を大気に開放する開閉手段が介設されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、開閉手段は、コンテナをキャリアから降ろす際、コンテナ積み降ろし用の油圧シリンダの起動に連動して消磁され逆止弁間内を大気に開放する電磁切換弁であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、油圧駆動機器用の油圧シリンダは、収集された塵芥を排出する排出板駆動用の油圧シリンダであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、油圧駆動機器用の油圧シリンダは、コンテナに搭載されたタンクを傾倒するダンプ用の油圧シリンダであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、油圧駆動機器用の油圧シリンダは、コンテナに搭載されたタンクのゲートを開閉するゲート開閉用の油圧シリンダであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜5に係る発明によれば、コンテナをキャリアから降ろす際、開閉手段を開作動させることで、コンテナ側油圧配管において油圧ポンプに対して吸入側となる接続管のカプラ手前で互いに対向する逆止弁間が大気に開放され、これにより、油圧駆動機器を駆動する油圧シリンダの内部圧力上昇により上記吸入側接続管の逆止弁間に閉じ込められている油圧(閉じ込め圧)を抜くことができる。したがって、キャリアの吸入側接続管のカプラをコンテナの吸入側接続管のカプラにスムーズに嵌入して結合でき、キャリアの吸入側接続管とコンテナの吸入側接続管とをカプラで確実に接続することができる。
【0014】
特に、請求項2に係る発明によれば、コンテナをキャリアから降ろす際のコンテナ積み降ろし用の油圧シリンダの起動に連動して電磁切換弁を消磁するので、吸入側接続管の逆止弁間を確実に大気に開放することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図3はこの発明の実施の形態1に係る特装車としての塵芥収集車を示す。図3において、1はキャブ、2は車台であり、これらキャブ1及び車台2でキャリア3を構成している。4はキャリア3の車台2に荷役装置5によって積み降ろし可能に搭載される脱着式コンテナである。
【0017】
上記荷役装置5は、後端が車台2後端に軸支された水平アーム6aと、この水平アーム6aに伸縮可能に設けられた垂直アーム6bとからなるL字状の荷役アーム6を備え、上記垂直アーム6bの上端にコンテナ4前端上部の掛合部7に掛止するフック8が設けられている。上記水平アーム6aと車台2の前部とに荷役アーム6を車体後方へ回動させるための回動用油圧シリンダ9が連結されている。図中、10は垂直アーム6bを伸縮させる伸縮用油圧シリンダである。これら回動用油圧シリンダ9と伸縮用油圧シリンダ10とでコンテナ積み降ろし用の油圧シリンダを構成している。
【0018】
図3はコンテナ4の積み降ろし途中の状態を示している。車台2後方の地面からコンテナ4を車台2に積み上げる場合は、回動用油圧シリンダ9を伸長作動させることにより荷役アーム6を車体後方へ回動させてフック8をコンテナ4の掛合部7に掛止する。その状態で回動用油圧シリンダ9を収縮作動させることにより荷役アーム6を車体前方へ回動させていくと、コンテナ4はその前端が浮き上がって前方へ引き込まれ、コンテナ4の主桁11が車台2後端の案内ローラ12に載る(図3に示す状態)。さらに、荷役アーム6を車体前方へ回動させると、コンテナ4が車台2に完全に載る。次いで、伸縮用油圧シリンダ10を伸長作動させて荷役アーム6の垂直アーム6bをコンテナ4と共に車体前方へ移動させる。一方、コンテナ4を降ろす場合は、上記積み上げと逆の操作をすることになる。すなわち、伸縮用油圧シリンダ10を収縮作動させてコンテナ4を車体後方へ移動させ、その状態で回動用油圧シリンダ9を伸長作動させることにより、荷役アーム6を車体後方へ回動させていく。これにより、コンテナ4は、前端が浮き上がり、案内ローラ12に載って車体後方へ移動し、後端のキャスター13が着地し(図3の状態)、車台2の車体後方へ押し出される。コンテナ4は、車台2から降ろされて前端の脚14と上記キャスター13とで地面に定置される。
【0019】
一方、上記コンテナ4は、図4に拡大詳示するように、車体後方に開口する塵芥詰込口15を有する塵芥収容箱16と、上記塵芥詰込口15上端に枢軸17で下開き可能に接続された塵芥投入箱18とを備えてなる。この塵芥投入箱18は、その車体前方側が開放されて塵芥収容箱16の塵芥詰込口15に連通されるとともに、背面下方に塵芥を投入する投入口19が開口され、その下部に塵芥の貯留室20が形成されており、この塵芥投入箱18内には、塵芥を圧縮し、押し潰して塵芥収容箱16内に詰み込む塵芥詰込装置21が装備されている。
【0020】
上記塵芥詰込装置21は、塵芥投入箱18の両側壁に沿って敷設されて車体の後方下部に向って傾斜する溝形鋼よりなる案内溝部材22を備え、この案内溝部材22の上端部に上記枢軸17が枢支されている。一方、上記塵芥投入箱18内には、その全幅に亘って形成された昇降板23が収納されていて、この昇降板23の上下には、上記案内溝部材22の内壁に沿って転動自在に嵌合される案内ローラ24が軸着されている。また、上記昇降板23の背面上部には、ブラケット25を介して枢軸26が軸支されており、この枢軸26は、上記案内溝部材22背面に沿うとともに、昇降板23の摺動距離に合致するように塵芥投入箱18の側壁に形成された切欠部18aを越えて塵芥投入箱18内側より外側に突出している。
【0021】
そして、図4に破線で示すように、外側に突出した枢軸26と塵芥投入箱18の下部外側間には、一対の昇降用油圧シリンダ27が案内溝部材22の傾斜方向に沿って設けられていて、この昇降用油圧シリンダ27の伸縮作動により上記昇降板23を案内溝部材22に沿って上下方向に往復動させるようになされている。
【0022】
また、上記昇降板23の下端には、塵芥投入箱18の幅方向全体に亘って延設された押込板28が枢軸29によって前後に揺動自在に軸支されるとともに、この押込板28の背面に突出した支持片30と上記昇降用油圧シリンダ27先端の枢軸26との間には一対の押込用油圧シリンダ31が連結されていて、この押込用油圧シリンダ31の伸縮作動により、上記押込板28を枢軸29回りに前後に揺動させるようになされている。そして、押込板28を上記押込用油圧シリンダ31と昇降用油圧シリンダ27との共働により、詰込終了状態(図4の(a)位置)から反転(図4の(b)位置)、押し潰し(図4の(c)位置)、圧縮(図4の(d)位置)へと移動させて再度図4の(a)位置に戻すことにより、塵芥を塵芥収容箱16に詰め込むようにしている。
【0023】
上記塵芥収容箱16内には、油圧駆動機器としての排出板32が移動可能に設けられ、塵芥収容箱16は、上記塵芥詰込装置21によって塵芥詰込口15を経て詰め込まれた塵芥を収容する手前側(車体後方)の塵芥収容空間16aと、その奥側空間16bとに上記排出板32で区画されており、奥側空間16bの下部には、上記排出板32を車軸方向に移動させて塵芥を排出する油圧駆動機器用の、つまり排出板駆動用の油圧シリンダ(排出用油圧シリンダ)33が設けられている。この排出用油圧シリンダ33は、基部33aと、基部33aに対して伸縮自在な第1ピストン33bと、第1ピストン33bに対して伸縮自在な第2ピストン33cと、第2ピスtン33cに対して伸縮自在な第3ピストン33dとからなる3段式油圧シリンダである。そして、上記基部33aの基端は、排出板32の下方に設けられたブラケット34に枢軸35により回動自在に軸支され、上記第3ピストン33dの先端は、奥側空間16bの最奥部に取り付けられた取付部材36に枢軸37により回動自在に軸支されている。そして、この排出用油圧シリンダ33が伸長作動することにより、排出板32を塵芥収容箱16の塵芥詰込口15に近接させて塵芥収容空間16aの容積を最小にする一方、排出用油圧シリンダ33が収縮作動することにより、塵芥収容空間16aの容積を増大させるようになっている。
【0024】
次に、上記塵芥収集車の油圧回路の概略を図1を参照しながら説明する。
【0025】
図1中、二点鎖線で区切られた右側はキャリア3側に設けられた油圧系統であり、左側はコンテナ4側に設けられた油圧系統である。
【0026】
キャリア3側の油圧系統において、38はキャリア3走行用エンジンの動力取出装置(PTO)39によって駆動される油圧ポンプである。この油圧ポンプ38はオイルリザーバ40の作動油を吐出し、その吐出油はキャリア側電磁制御弁41を経てオイルリザーバ40に戻り、キャリア側電磁制御弁41を経てキャリア3側の回動用油圧シリンダ9及び伸縮用油圧シリンダ10に圧油が供給され、これらにより、キャリア側油圧回路42を構成している。また、キャリア3側には、キャリア側電磁制御弁41に対する油圧配管から分岐した2本の接続管43,44が設けられている。そのうち、一方の接続管43は油圧ポンプ38の吐出側接続管であり、他方の接続管44は油圧ポンプ38の吸入側接続管である。上記吐出側接続管43の端部にはソケット型カプラ45が、吸入側接続管44の端部にはプラグ型カプラ46がそれぞれ取り付けられている。
【0027】
コンテナ4側の油圧系統において、47はコンテナ側電磁制御弁であり、このコンテナ側電磁制御弁47を経てコンテナ4側の昇降用油圧シリンダ27、押込用油圧シリンダ31及び排出用油圧シリンダ33に圧油が供給され、これらによりコンテナ側油圧回路48を構成している。また、コンテナ4側には、コンテナ側電磁制御弁47に対する油圧配管から分岐した2本の接続管49,50が設けられている。そのうち、一方の接続管49は油圧ポンプ38に対して高圧側、つまり吐出側となる接続管であり、他方の接続管50は油圧ポンプ38に対して低圧側、つまり吸入側となる接続管である。上記吐出側接続管49の端部には、上記キャリア3側のソケット型カプラ45が着脱可能に嵌入結合されるプラグ型カプラ51が取り付けられ、その手前には圧油の流出を防止する逆止弁52が介設されている。上記吸入側接続管50の先端には、上記キャリア3側のプラグ型カプラ46が着脱可能に嵌入結合されるソケット型カプラ53が取り付けられ、その手前には圧油の流出を防止する逆止弁54と、圧油の逆流を防止する逆止弁55とが互いに対向して介設されている。上記吐出側接続管49の逆止弁52はカプラ45,51の嵌入結合により、上記吸入側接続管50の逆止弁54はカプラ46,53の嵌入結合によりそれぞれ開くようになっている。
【0028】
この発明の特徴として、上記吸入側接続管50の逆止弁54,55間には、図2にも示すように、開閉手段としての電磁切換弁56が介設された放出管57が接続され、その上流側には絞り58が介設されているとともに、下流側には回収タンク59が介設されている。図2中、57aは上記吸入側接続管50の逆止弁54,55間を大気に開口する略逆J字状の放出管端部である。また、上記回収タンク59の下端には回収タンク59内に回収された圧油を排出する排出管60が接続され、この排出管60には排出管60を開閉するコック61が設けられている。上記電磁切換弁56は、コンテナ4をキャリア3から降ろす際、開作動して、つまり、コンテナ積み降ろし用の油圧シリンダである回動用油圧シリンダ9及び伸縮用油圧シリンダ10の少なくとも1つのシリンダの起動に連動して消磁され、上記逆止弁54,55間を大気に開放するようになっている。なお、電磁切換弁56による自動切換えに代えて手動コックの開操作により上記逆止弁54,55間を大気に開放するようにしてもよい。
【0029】
このように構成された塵芥収集車では、排出用油圧シリンダ33は、コンテナ4をキャリア3に搭載してキャリア側油圧配管から分岐した接続管43,44とコンテナ側油圧配管から分岐した接続管49,50とを、カプラ45,51の嵌入結合とカプラ46,53の嵌入結合とにより着脱可能に接続した状態で、上記油圧ポンプ38の起動により駆動される一方、キャリア側油圧配管42から分岐した接続管43,44とコンテナ側油圧配管48から分岐した接続管49,50とを、上記カプラ45,51の結合解除とカプラ46,53の結合解除とにより外してコンテナ4をキャリア3から降ろして定置した状態で、当該定置場所に設置された油圧ユニットに接続されて作動されるようになっている。
【0030】
そして、コンテナ4を塵芥が半分くらい積み込まれた状態でキャリア3から降ろして長時間待機させていた場合に、コンテナ4内で塵芥が膨張すると、排出板32を駆動する排出用油圧シリンダ33が塵芥の膨張圧で押されて収縮し、これにより、排出用油圧シリンダ33の内部圧力が高まり、排出用油圧シリンダ33内で圧力が高まった圧油が油圧ポンプ38に対して低圧側である吸入側接続管50に流れる。この吸入側接続管50に流れた圧油は、吸入側接続管50のソケット型カプラ53手前に介設された互いに対向する逆止弁54,55間に入る。この際、この逆止弁54,55間は、コンテナ4をキャリア3から降ろす際に、電磁切換弁56が回動用油圧シリンダ9及び伸縮用油圧シリンダ10の少なくとも1つのシリンダの起動に連動して消磁されて大気に開放されているので、上記両逆止弁54,55間に入った油圧を自動的に抜くことができて油圧(閉じ込め圧)が高くなるのを回避することができる。したがって、キャリア3側のプラグ型カプラ46を吸入側接続管50のソケット型カプラ53にスムーズに嵌入して結合でき、キャリア3の吸入側接続管44とコンテナ4の吸入側接続管50とをカプラ46,53で確実に接続することができる。
【0031】
(実施の形態2)
図6および図7はこの発明の実施の形態2に係る特装車としての吸引装置付タンクコンテナ搭載車を示し、図5はその油圧回路の概略図を示す。この吸引装置付タンクコンテナ搭載車では、実施の形態1の塵芥収集車における塵芥収容箱16及び塵芥投入箱18はなく、したがって、塵芥詰込装置21を構成する昇降用油圧シリンダ27や押込用油圧シリンダ31、及び排出板32を駆動する排出用油圧シリンダ33はない。その代わりに、吸引装置62及びタンク(油圧駆動機器)63をコンテナ4に搭載している。上記タンク63は後端に開閉可能なゲート(油圧駆動機器)64を備えており、このゲート64は、油圧駆動機器用の油圧シリンダとしてのゲート開閉用の油圧シリンダ65の伸縮作動により上下方向に開閉するようになっている。また、上記タンク63は、油圧駆動機器用の油圧シリンダとしてのダンプ用の油圧シリンダ66の伸縮作動により傾動するようになっている。
【0032】
この吸引装置付タンクコンテナ搭載車によれば、上記ゲート開閉用の油圧シリンダ65やダンプ用の油圧シリンダ66のコンテナ4側の油圧系統において、気温上昇による油圧配管内の油膨張等によって内部圧力が高まっても、実施の形態1と同様に、コンテナ4をキャリア3から降ろす際に、電磁切換弁56が回動用油圧シリンダ9及び伸縮用油圧シリンダ10の少なくとも1つのシリンダの起動に連動して消磁されて大気に開放されているので、上記両逆止弁54,55間に入った油圧を自動的に抜くことができて油圧(閉じ込め圧)が高くなるのを回避することができる。したがって、キャリア3側のプラグ型カプラ46を吸入側接続管50のソケット型カプラ53にスムーズに嵌入して結合でき、キャリア3の吸入側接続管44とコンテナ4の吸入側接続管50とをカプラ46,53で確実に接続することができる。
【0033】
なお、実施の形態1では塵芥収集車を、実施の形態2では吸引装置付タンクコンテナ搭載車を示したが、これら以外の特装車にも適用することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明は、コンテナがキャリアに積み降ろし可能に搭載された特装車において、コンテナ側とキャリア側との油圧配管の接続対策として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態1に係る塵芥収集車の油圧回路の概略図である。
【図2】(a)は実施の形態1においてコンテナの車体前部下側の正面図、(b)はその側面図である。
【図3】実施の形態1に係る塵芥収集車の側面図である。
【図4】実施の形態1に係る塵芥収集車に搭載されるコンテナの縦断側面図である。
【図5】実施の形態2の図1相当図である。
【図6】実施の形態2においてタンクを傾倒させた状態を示す側面図である。
【図7】実施の形態2の図3相当図である。
【符号の説明】
【0036】
3 キャリア
4 コンテナ
9 回動用油圧シリンダ(コンテナ積み降ろし用の油圧シリンダ)
10 伸縮用油圧シリンダ(コンテナ積み降ろし用の油圧シリンダ)
32 排出板(油圧駆動機器)
33 排出用油圧シリンダ(油圧駆動機器用の油圧シリンダ)
38 油圧ポンプ
43,49 吐出側接続管
44,50 吸入側接続管
45,53 ソケット型カプラ
46,51 プラグ型カプラ
54,55 逆止弁
56 電磁切換弁(開閉手段)
57 放出管
63 タンク(油圧駆動機器)
64 ゲート(油圧駆動機器)
65 ゲート開閉用の油圧シリンダ(油圧駆動機器用の油圧シリンダ)
66 ダンプ用の油圧シリンダ(油圧駆動機器用の油圧シリンダ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナがキャリアに積み降ろし可能に搭載され、
上記コンテナには油圧駆動機器用の油圧シリンダが設けられているとともに、上記キャリアにはコンテナ積み降ろし用の油圧シリンダとこの油圧シリンダを作動させる油圧ポンプとが設けられ、
上記油圧駆動機器用の油圧シリンダは、コンテナをキャリアに搭載してキャリア側油圧配管から分岐した接続管とコンテナ側油圧配管から分岐した接続管とを各々の端部に取り付けられたカプラの結合により接続した状態で、上記油圧ポンプの起動により作動される一方、上記キャリア側油圧配管から分岐した接続管とコンテナ側油圧配管から分岐した接続管とを上記カプラの結合解除により外してコンテナをキャリアから降ろして定置した状態で、当該定置場所に設置された油圧ユニットに接続されて作動されるように構成された脱着式コンテナを搭載した特装車であって、
上記コンテナ側油圧配管において油圧ポンプに対して吸入側となる接続管のカプラ手前には、圧油の流出を防止する逆止弁と、圧油の逆流を防止する逆止弁とが互いに対向して介設され、
これら逆止弁間には放出管が接続され、この放出管には逆止弁間を大気に開放する開閉手段が介設されていることを特徴とする脱着式コンテナを搭載した特装車。
【請求項2】
請求項1に記載の脱着式コンテナを搭載した特装車において、
開閉手段は、コンテナをキャリアから降ろす際、コンテナ積み降ろし用の油圧シリンダの起動に連動して消磁され逆止弁間を大気に開放する電磁切換弁であることを特徴とする脱着式コンテナを搭載した特装車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脱着式コンテナを搭載した特装車において、
油圧駆動機器用の油圧シリンダは、収集された塵芥を排出する排出板駆動用の油圧シリンダであることを特徴とする脱着式コンテナを搭載した特装車。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の脱着式コンテナを搭載した特装車において、
油圧駆動機器用の油圧シリンダは、コンテナに搭載されたタンクを傾倒するダンプ用の油圧シリンダであることを特徴とする脱着式コンテナを搭載した特装車。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の脱着式コンテナを搭載した特装車において、
油圧駆動機器用の油圧シリンダは、コンテナに搭載されたタンクのゲートを開閉するゲート開閉用の油圧シリンダであることを特徴とする脱着式コンテナを搭載した特装車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−273448(P2006−273448A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90929(P2005−90929)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】