説明

脱脂綿ブロック包装体およびその製造方法

【課題】脱脂綿ブロックを嵩張らないようにコンパクトに包装し、開封後であっても脱脂綿ブロックを衛生的に保護する脱脂綿ブロック包装体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本脱脂綿ブロック包装体1は、帯状の脱脂綿を折畳んで積層した脱脂綿ブロック2を、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さ(略50%の高さ)に圧縮した状態で、内側プラスチック袋4及び外側プラスチック袋5によって2重包装して形成されている。これにより、本脱脂綿ブロック包装体1は嵩張らずにコンパクトになり、しかも、外側プラスチック袋5が開封された後でも、脱脂綿ブロック2は内側プラスチック袋4に収納され保護された状態であるので、外気に接触し難く衛生的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の脱脂綿を折畳んで積層し、又は平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層してなる脱脂綿ブロックを嵩張らずコンパクトに包装した脱脂綿ブロック包装体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脱脂綿ブロック包装体を図5及び図6に基いて説明する。
まず、被包装物は、帯状で両端部をそれぞれ内側に折畳んだ1ブロックの脱脂綿を複数ブロック積層し、又は平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層してなる脱脂綿の所定形状の塊(以下脱脂綿ブロックという)であり、その嵩高は、大気中における(無加圧状態における)綿繊維の弾性及び繊維間の空間によって形成されている。なお、図6には、帯状で両端部をそれぞれ内側に折畳んだ1ブロックの脱脂綿を複数ブロック積層した脱脂綿ブロック2が示されている。
そして、図5及び図6に示すように、この脱脂綿ブロック2は無加圧状態でプラスチック袋51に気密に収納され一重包装されており、脱脂綿を販売されるときには、図5の脱脂綿ブロック包装体50で運搬され、店頭等に並べられていた。
【0003】
しかしながら、従来の脱脂綿ブロック包装体50のように、脱脂綿ブロック2を無加圧状態で包装することは、製造時間の短縮は可能になるが、運搬時には商品が嵩張り、また個々の商品の取扱いも非常に不便であり、しかも、店頭での商品陳列スペースの大きな占有などの点で問題があった。
また、従来の脱脂綿ブロック包装体50では、プラスチック袋51が一旦開封されると、外気がプラスチック袋51内を流れ、内部に収納されている脱脂綿ブロック2に外気が触れるために、衛生的に保管管理する必要がある脱脂綿にとってその環境は好ましいものはでなかった。
【0004】
なお、被包装物は相違するものの、特許文献1には、使い捨ておむつ等を所定枚数重ね合わせた列に、重ね合わせた方向に圧縮力を付与することで全体を圧縮して包装袋等に包装した包装体が開示されている。
【特許文献1】特開平5−97132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された使い捨ておむつの包装体は、単に、複数積層された使い捨ておむつに圧縮力を付与することで全体を圧縮して包装袋等に包装されるだけであるので、包装体としてはコンパクトにはなるが、包装袋が一旦開封されてしまうと、圧縮状態であった個々の使い捨ておむつが復元して、包装袋からはみ出してしまい、外観上の見栄えが悪く、しかも、被包装物が脱脂綿等の衛生材料であった場合には、従来の脱脂綿ブロック包装体と同様に、衛生材料が外気に触れてしまい、衛生的に好ましいものではない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、脱脂綿ブロックを嵩張らないようにコンパクトに包装し、開封後であっても脱脂綿ブロックを衛生的に保護する脱脂綿ブロック包装体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した脱脂綿ブロック包装体の発明は、帯状の脱脂綿を折畳んで積層し、又は平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層してなる脱脂綿ブロックを、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮し、この圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納すると共に、圧縮状態の脱脂綿ブロックを密封収納した前記内側プラスチック袋を、更に外側プラスチックシートによって包装することを特徴とするものである。
【0008】
従って、請求項1の発明では、脱脂綿ブロックが大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮されて包装されているので、商品の運搬のとき、その分多くの商品を運搬することができ、また、従来に比べて個々の商品の取扱いも簡便になる。また、商品を店頭等に陳列する際も、専有スペースを小さくすることができ、換言すれば、従来と同じスペースであればその分多くの商品を陳列することができる。
また、圧縮状態の脱脂綿ブロックは内側プラスチック袋に密封収納されると共に、この脱脂綿ブロックが密封収納された内側プラスチック袋が更に外側プラスチックシートによって包装され、脱脂綿ブロックは2重包装されているので、開封後においても脱脂綿ブロックは外気と接触し難い環境にあり衛生的である。
【0009】
請求項2に記載した脱脂綿ブロック包装体の発明は、請求項1に記載した発明において、前記内側プラスチック袋は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックの全体を完全に被うことができる大きさを有することを特徴とするものである。
【0010】
従って、請求項2に記載した発明では、内側プラスチック袋は、大気中における嵩高を有する脱脂綿ブロックの全体を完全に被うことのできる大きさであるので、外側プラスチックシートを開封した後、脱脂綿ブロックが圧縮状態から復元した場合でも、脱脂綿ブロックが内側プラスチック袋から外部にはみ出すことはない。
【0011】
請求項3に記載した脱脂綿ブロック包装体の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する構成は、前記内側プラスチック袋にプラスチックファスナーを備え、該プラスチックファスナーを閉じることにより、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する構成、または前記内側プラスチック袋の口部をヒートシールすることにより、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する構成のいずれかであることを特徴とするものである。
【0012】
従って、請求項3に記載した発明では、内側プラスチック袋にプラスチックファスナーを備え、該プラスチックファスナーを閉じることにより、圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納する構成は、脱脂綿を最初に使用する際、外側プラスチックシートを開封すると共に、内側プラスチック袋のプラスチックファスナーを開けて、脱脂綿を使用する分だけ取り出した後、内側プラスチック袋のプラスチックファスナーを閉じるようになる。これにより、外側プラスチックシートを開封した後でも、脱脂綿ブロックは内側プラスチック袋に密封収納され保護された状態であるので、脱脂綿ブロックは外気に接触することなく衛生的である。しかも、脱脂綿を取り出した後、内側プラスチック袋のプラスチックファスナーを閉じておけば、内側プラスチック袋内の脱脂綿ブロックは圧縮状態から復元し難くなるので、外側プラスチックシートを開封した後でも、コンパクトな包装形態を維持することができる。
一方、内側プラスチック袋の口部をヒートシールすることにより、圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納する構成では、外側プラスチックシート及び内側プラスチック袋を開封した後の脱脂綿の密封状態が、プラスチックファスナーを備えた内側プラスチック袋を採用した構成よりも若干劣るものの、圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納する製造工程を簡易化させることができる。
【0013】
請求項4に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明は、帯状の脱脂綿を折畳んで積層し、又は平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層してなる脱脂綿ブロックを包装するに際して、該脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に入れ、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮し、この圧縮状態を維持して前記内側プラスチック袋に前記脱脂綿ブロックを密封収納する工程と、前記脱脂綿ブロックを密封収納した前記内側プラスチック袋を、更に外側プラスチックシートによって包装する工程と、からなることを特徴とするものである。
【0014】
従って、請求項4に記載した発明では、脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に入れ、脱脂綿ブロックを大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮して、この圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納し、該内側プラスチック袋を、更に、外側プラスチックシートによって包装することにより、脱脂綿ブロックを嵩張らずコンパクトに2重包装した脱脂綿ブロック包装体を容易に製造することができる。
【0015】
請求項5に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明は、請求項4に記載した発明において、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する工程は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックを、プラスチックファスナーを備えた前記内側プラスチック袋に入れ、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮されるまで、前記内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら前記脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与し、この圧縮状態を維持して、前記プラスチックファスナーを閉じて前記内側プラスチック袋に前記脱脂綿ブロックを密封収納する工程であることを特徴とするものである。
【0016】
従って、請求項5に記載した発明では、圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納する工程において、大気中における嵩高を有する脱脂綿ブロックをプラスチックファスナーを備えた内側プラスチック袋に入れ、内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与して、脱脂綿ブロックを大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮し、プラスチックファスナーを閉じて圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納するので、脱脂綿ブロックを、製造時間を大幅に増加させることなく容易に適宜高さまで圧縮して、内側プラスチック袋に密封収納することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明は、請求項4に記載した発明において、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する工程は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に入れ、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮されるまで、前記内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら前記脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与し、この圧縮状態を維持して、前記内側プラスチック袋の口部をヒートシールして前記脱脂綿ブロックを密封収納する工程であることを特徴とするものである。
【0018】
従って、請求項6に記載した発明では、圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納する工程において、大気中における嵩高を有する脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に入れ、内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与して、脱脂綿ブロックを大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮し、内側プラスチック袋の口部をヒートシールして圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納するので、脱脂綿ブロックを、製造時間を大幅に増加させることなく容易に適宜高さまで圧縮して、内側プラスチック袋に密封収納することが可能となる。
【0019】
請求項7に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載した発明において、前記内側プラスチック袋は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックの全体を完全に被うことができる大きさを有することを特徴とするものである。
【0020】
従って、請求項7に記載した発明では、内側プラスチック袋は、大気中における嵩高を有する脱脂綿ブロックの全体を完全に被うことのできる大きさであるので、外側プラスチックシートを開封した後、脱脂綿ブロックが圧縮状態から復元した場合でも、脱脂綿が内側プラスチック袋から外部にはみ出すことはない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に記載した脱脂綿ブロック包装体の発明によれば、脱脂綿ブロックは、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮された状態で、内側プラスチック袋及び外側プラスチックシートにて2重包装されるので、商品運搬時の嵩張りを防ぎ、個々の商品の取扱いも簡易となる。しかも、商品の陳列スペースを従来よりも広く確保する必要もなく、様々な点で従来の脱脂綿ブロック包装体よりも有利である。さらに、外側プラスチックシートを開封した後、脱脂綿ブロックは内側プラスチックに収納され保護された状態であるので、脱脂綿ブロックは外気に接触し難い環境にあり衛生的である。
【0022】
請求項2に記載した脱脂綿ブロック包装体の発明によれば、外側プラスチックシートの開封後、脱脂綿ブロックが圧縮状態から復元した場合でも、脱脂綿ブロックは、その全体が内側プラスチック袋によって収納され保護される状態が維持されるので、脱脂綿ブロックは外気に接触し難い環境にあり衛生的である。
【0023】
請求項3に記載した脱脂綿ブロック包装体の発明によれば、圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納する構成を、その製造時間や外側プラスチックシートの開封後の脱脂綿ブロックの密封状態等を鑑みて、適宜選択することができる。
【0024】
請求項4に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明によれば、脱脂綿ブロックをその大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮した状態で、内側プラスチック袋及び外側プラスチックシートによって2重包装にしてなる脱脂綿ブロック包装体を容易に製造することができる。
【0025】
請求項5及び6に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明によれば、脱脂綿ブロックを、その大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮する際には、大気中における嵩高を有する脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に入れて、該内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与して、その圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋にヒートシールまたはプラスチックファスナーを閉じることにより密封収納するので、脱脂綿ブロックを適宜高さまで容易に圧縮させて、内側プラスチック袋に密封収納する工程において、その製造時間が大幅に増加されることはない。
【0026】
請求項7に記載した脱脂綿ブロック包装体の製造方法の発明によれば、外側プラスチックシートの開封後、脱脂綿ブロックが圧縮状態から復元した場合でも、脱脂綿ブロックは、その全体が内側プラスチック袋によって収納され保護される状態が維持されるので、脱脂綿ブロックは外気に接触し難い環境にあり衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図4に基いて詳細に説明する。なお、従来例と同一部材は、同一符号を使用して説明する。
本発明の実施の形態に係る脱脂綿ブロック包装体1は、図3に示すように、帯状の脱脂綿を折畳んで積層した、すなわち、帯状で両端部をそれぞれ内側に折畳んだ1ブロックの脱脂綿を複数ブロック積層した脱脂綿ブロック2を、大気中における嵩高の全高A(図1参照)に対して適宜高さB(図2参照)に圧縮した状態で、内側プラスチック袋4及び外側プラスチック袋5に収納され2重包装されて形成されている。なお、圧縮状態の脱脂綿ブロック2を密封収納した内側プラスチック袋4を更に包装する場合は、包装装置によってでも良く。包装装置による場合は、外側プラスチックシートから包装する場合も、外側プラスチックシートを袋状に形成しながら包装する場合もある。また、予め、外側プラスチックシートから外側プラスチック袋5を形成しておいて、該外側プラスチック袋5に収納する場合もある。本発明では両者を含むものである。
なお、本脱脂綿ブロック包装体1は、平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層した脱脂綿ブロックや、帯状の脱脂綿を蛇行状に連続して折畳んで積層した脱脂綿ブロックの包装にも適用することができる。
【0028】
次に、本発明の実施の形態に係る脱脂綿ブロック包装体1の製造方法を図1〜図3に基いて説明する。
被包装物である脱脂綿ブロック2は、図1に示すように、帯状で両端部をそれぞれ内側に折畳んだ1ブロックが複数ブロック積層され、その綿繊維の弾性及び繊維間の空間によって、大気中における嵩高の全高Aを有する形状になっている。
この脱脂綿ブロック2を包装する際には、まず、図1に示すように、大気中における嵩高の全高Aを有する脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に収納して圧縮前脱脂綿ブロック包装体1cを形成する。なお、この内側プラスチック袋4は、大気中における嵩高の全高Aを有する脱脂綿ブロック2の全体を完全に被い収納することのできる大きさである。また、この内側プラスチック袋4の上端には、閉じることにより内側プラスチック袋4内を密封できるプラスチックファスナー3が備えられている。
次に、図1に示す、内側プラスチック袋4内に脱脂綿ブロック2が収納された圧縮前脱脂綿ブロック包装体1cにおいて、内側プラスチック袋4内を吸引減圧しながら、脱脂綿ブロック2の上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与して、図2(A)に示すように、内側プラスチック袋4内の脱脂綿ブロック2を、その大気中における嵩高の全高Aに対して適宜高さ、すなわち、大気中における嵩高の全高Aに対して略50%の高さ(全高B)に圧縮する。
【0029】
そして、脱脂綿ブロック2の圧縮状態を維持して、内側プラスチック袋4のプラスチックファスナー3を閉じ、圧縮状態の脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に密封収納した圧縮後脱脂綿ブロック包装体1aを形成する。
この工程において、図2(A)に示すように、圧縮後脱脂綿ブロック包装体1aには、内側プラスチック袋4内が吸引減圧されると共に、脱脂綿ブロック2の上面に圧縮力が付与されることにより、内側プラスチック袋4の上部に、対向する内壁面が引き寄せられて当接した当接面4aが形成される。
【0030】
なお、上述したように、脱脂綿ブロック2を、大気中における嵩高の全高Aに対して略50%の高さに圧縮するのが好ましいが、圧縮時間や製造設備等を鑑みて、脱脂綿ブロック2を、大気中における嵩高の全高Aに対して40%〜60%の高さの範囲内で圧縮できれば良い。つまり、むやみに圧縮高さを低く設定しても、それを達成するために圧縮時間が大幅に増加したり、製造設備を整備するのに大幅なコスト増となれば、トータル的にコスト増となり逆効果となる虞があるためである。
また、内側プラスチック袋4内の脱脂綿ブロック2を、その大気中における嵩高の全高Aに対して適宜高さに圧縮する工程では、内側プラスチック袋4内の吸引減圧を行わず、脱脂綿ブロック2の上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与するだけで、脱脂綿ブロック2を圧縮させても良く、また、脱脂綿ブロック2の上面に圧縮力を付与せず、脱脂綿ブロック2の底面を内側プラスチック袋4の底面に当接させつつその姿勢を維持した状態で、内側プラスチック袋4内を吸引減圧して、脱脂綿ブロック2を圧縮させても良く、脱脂綿ブロック2を、大気中における嵩高の全高Aに対して適宜高さに圧縮する手段は、製造時間及び製造設備等から適宜選択できるものである。
【0031】
さらに、本実施の形態では、プラスチックファスナー3を備えた内側プラスチック袋4を採用して、プラスチックファスナー3を閉じることにより圧縮状態の脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に密封収納しているが、他の実施の形態として、プラスチックファスナー3を備えていない通常の袋体である内側プラスチック袋4を採用しても良い。この形態の場合には、大気中における嵩高の全高Aを有する脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に収納して圧縮前脱脂綿ブロック包装体1cを形成する。続いて、内側プラスチック袋4内を吸引減圧しながら、脱脂綿ブロック2の上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与して、図2(A)に示すように、内側プラスチック袋4内の脱脂綿ブロック2を、その大気中における嵩高の全高Aに対して略50%の高さ(全高B)に圧縮した状態とする。その後、脱脂綿ブロック2の圧縮状態を維持して、内側プラスチック袋4の口部をヒートシールして、圧縮状態の脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に密封収納した圧縮後脱脂綿ブロック包装体1aを形成する。ところで、これらの本実施の形態と他の実施の形態とは、圧縮状態の脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に密封収納する製造時間や外側プラスチック袋5の開封後の脱脂綿ブロック2の密封状態等、総合的に判断されて選択されるものである。
【0032】
次に、図3に示すように、圧縮状態の脱脂綿ブロック2を内側プラスチック袋4に収納した圧縮後脱脂綿ブロック包装体1aを、更に、外側プラスチック袋5に収納し、口部をヒートシールして、脱脂綿ブロック2を2重包装した本脱脂綿ブロック包装体1を形成する。
この工程では、圧縮後脱脂綿ブロック包装体1aの時に形成された当接面4aを、図3の本脱脂綿ブロック包装体1における全高が高くならないように適宜折畳んだ状態として、外側プラスチック袋5の口部をヒートシールしている。
そして、図4から解るように、本脱脂綿ブロック包装体1は、その嵩高の全高Bが、圧縮前脱脂綿ブロック包装体1cの嵩高の全高Aに対して適宜高さ、すなわち、全高Aに対して略50%の高さに圧縮されて形成される。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る脱脂綿ブロック包装体1では、その嵩高の全高Bが、図5及び図6に示す、従来の脱脂綿ブロック包装体50の嵩高の全高に対して適宜高さ(全高に対して略50%の高さ)に圧縮されて、その包装形態が嵩張らずコンパクトになっているので、商品の運搬時の嵩張りが無くなり、従来より多くの数量を運搬することができ、また、消費者が商品を持ち運ぶ際にもその取扱いが非常に楽になる。また、商品を店頭等に陳列する際も、専有スペースを小さくすることができる等、様々な点で従来の脱脂綿ブロック包装体50よりも良い効果を得ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る脱脂綿ブロック包装体1では、脱脂綿ブロック2が、内側プラスチック袋4及び外側プラスチック袋5によって2重包装され、外側プラスチック袋5が開封された後でも、内側プラスチック袋4のプラスチックファスナー3を閉じることで脱脂綿ブロック2の密封状態を維持でき、脱脂綿ブロック2は常に内側プラスチック袋4に保護された状態であるので、脱脂綿ブロック2は外気に接触し難い環境にあり衛生的である。しかも、脱脂綿を取り出した後、内側プラスチック袋4のプラスチックファスナー3を閉じることで、内側プラスチック袋4内の脱脂綿ブロック2は圧縮状態から復元し難くなるので、外側プラスチック袋5を開封した後でも、コンパクトな包装形態を維持することができる。
【0034】
さらに、本発明の実施の形態に係る脱脂綿ブロック包装体1の内側プラスチック袋4は、大気中における嵩高の全高Aを有する脱脂綿ブロック2の全体を完全に被うことのできる大きさを有しており、外側プラスチック袋5を開封した後、内側プラスチック袋4のプラスチックファスナー3が開いた状態のままで、内側プラスチック袋4内の脱脂綿ブロック2がその圧縮状態から復元した場合でも、内側プラスチック袋4により脱脂綿ブロック2が保護される状態が維持されるので、脱脂綿ブロック2は外気に接触し難い環境にあり衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、脱脂綿ブロックが内側プラスチック袋に収納され、脱脂綿ブロックが圧縮される前の圧縮前脱脂綿ブロック包装体を示す断面図である。
【図2】図2(A)は、脱脂綿ブロックが圧縮された後の圧縮後脱脂綿ブロック包装体の断面図で、(B)は(A)の平面図である。
【図3】図3は、圧縮後脱脂綿ブロック包装体が外側プラスチック袋に収納されて、本脱脂綿ブロック包装体が形成される過程を示す断面図である。
【図4】図4は、脱脂綿ブロックの圧縮前後の嵩高の全高を比較した図である。
【図5】図5は、従来の脱脂綿ブロック包装体の斜視図である。
【図6】図6は、図5のW−W線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 脱脂綿ブロック包装体
1b 圧縮後脱脂綿ブロック包装体
1c 圧縮前脱脂綿ブロック包装体
2 脱脂綿ブロック
3 プラスチックファスナー
4 内側プラスチック袋
5 外側プラスチック袋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の脱脂綿を折畳んで積層し、又は平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層してなる脱脂綿ブロックを、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮し、この圧縮状態の脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に密封収納すると共に、圧縮状態の脱脂綿ブロックを密封収納した前記内側プラスチック袋を、更に外側プラスチックシートによって包装することを特徴とする脱脂綿ブロック包装体。
【請求項2】
前記内側プラスチック袋は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックの全体を完全に被うことができる大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の脱脂綿ブロック包装体。
【請求項3】
前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する構成は、前記内側プラスチック袋にプラスチックファスナーを備え、該プラスチックファスナーを閉じることにより、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する構成、または前記内側プラスチック袋の口部をヒートシールすることにより、前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する構成のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の脱脂綿ブロック包装体。
【請求項4】
帯状の脱脂綿を折畳んで積層し、又は平面状の脱脂綿を適宜大きさにカットした脱脂綿を積層してなる脱脂綿ブロックを包装するに際して、
該脱脂綿ブロックを内側プラスチック袋に入れ、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮し、この圧縮状態を維持して前記内側プラスチック袋に前記脱脂綿ブロックを密封収納する工程と、
前記脱脂綿ブロックを密封収納した前記内側プラスチック袋を、更に外側プラスチックシートによって包装する工程と、
からなる脱脂綿ブロック包装体の製造方法。
【請求項5】
前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する工程は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックを、プラスチックファスナーを備えた前記内側プラスチック袋に入れ、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮されるまで、前記内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら前記脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与し、この圧縮状態を維持して、前記プラスチックファスナーを閉じて前記内側プラスチック袋に前記脱脂綿ブロックを密封収納する工程であることを特徴とする請求項4に記載の脱脂綿ブロック包装体の製造方法。
【請求項6】
前記圧縮状態の脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に密封収納する工程は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックを前記内側プラスチック袋に入れ、大気中における嵩高の全高に対して適宜高さに圧縮されるまで、前記内側プラスチック袋内を吸引減圧しながら前記脱脂綿ブロックの上面にその平面と略直交する方向に圧縮力を付与し、この圧縮状態を維持して、前記内側プラスチック袋の口部をヒートシールして前記脱脂綿ブロックを密封収納する工程であることを特徴とする請求項4に記載の脱脂綿ブロック包装体の製造方法。
【請求項7】
前記内側プラスチック袋は、大気中における嵩高を有する前記脱脂綿ブロックの全体を完全に被うことができる大きさを有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の脱脂綿ブロック包装体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−56273(P2008−56273A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234237(P2006−234237)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(595016071)スズラン株式会社 (9)
【Fターム(参考)】