説明

腫瘍を治療するためのルテニウム(II)錯体

式(I)のルテニウム(II)化合物は、癌の治療および/または予防において有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルテニウム(II)化合物、それらの医薬における使用、特に癌の治療および/または予防のための使用、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の治療において使用するための特定のルテニウム(II)錯体が提案されている。例えば、米国特許第4980473号には、被験体の腫瘍細胞の処置に有用だと言われている、ルテニウム(II)およびコバルト(III)の1,10-フェナントロリン錯体が開示されている。
【0003】
抗腫瘍活性を示すことが判っている幾つかの他のルテニウム(II)およびルテニウム(III)錯体が、Guoら, Inorganica Chimica Acta, 273 (1998), 1-7に述べられており、具体的にはtrans-[RuCl2(DMSO)4]、trans-[RuCl4(イミダゾール)2]-およびtrans-[RuCl4(インダゾール)2]-が挙げられている。Clarkeらは、ルテニウム錯体の抗癌活性、特に抗転移活性について概説している:Chem. Rev., 1999, 99, 2511-2533。また、Savaは、“Metal Compounds in Cancer Therapy”, S P Fricker編, Chapman and Hall, London 1994, p. 65-91において、抗転移活性について概説している。
【0004】
Daleら, Anti-Cancer Drug Design, (1992), 7、3-14には、ルテニウム(II)のメトロニダゾール錯体、すなわち[(η6-C6H6)RuCl2(メトロニダゾール)]、ならびにDNAおよび大腸菌の増殖速度に及ぼすその作用が記載されている。メトロニダゾールは、低酸素腫瘍細胞の照射に対する感度を高め、Daleらの錯体の重要な要素であると思われる。Daleらには、これらの錯体がメトロニダゾール配位子の不在下で実際に有効であるかについては全く示されていない。
【0005】
Kramerら, Chem Eur J., 1996, 2, No. 12, p. 1518-1526には、ルテニウムとアミノエステルとのハーフサンドイッチ型錯体が開示されている。
【0006】
Bennettら, Canadian Journal of Chemistry, (2001), 79, 655-669には、アセチルアセトナート配位子を有する特定のルテニウム(II)錯体が開示されている。
【0007】
Oroら, J Chem Soc, Dalton Trans, (1990), 1463には、η6-p-シメンおよびアセチルアセトナート配位子を含むルテニウム(II)錯体が記載されている。
【0008】
我々の同時係属出願GB 0215526.5は、全体として負の荷電を有する二座配位子を含むルテニウム(II)錯体について記載している。
【0009】
Chenら, J. Am. Chem. Soc., 第124巻, No.12, 3064, (2002)には、ルテニウム錯体のグアニン塩基への結合機構が記載されている。この結合モデルでは、グアニン塩基へ水素結合するために、錯体中にジアミノ配位子由来のNH結合が存在することが必要である。同様に、Morrisら, J. Med. Chem., 第44巻, 3616-3621, (2001)には、グアニン塩基への結合についてのルテニウム(II)錯体の選択性が記載されている。
【0010】
WO 01/30790には、ルテニウム(II)化合物、および抗癌剤としてのそれらの使用が開示されている。
【0011】
また、WO 02/02572にも、癌細胞系に対して活性を有するルテニウム(II)化合物が開示されている。中性のジアミン配位子である二座配位子を含む錯体が開示されている。
【0012】
Garciaら, Journal of Organometallic Chemistry, 467 (1994), 119-126は、式中のアレンがベンゼンまたはp-シメンである(η6-アレン)Ru(o-フェニレンジアミン)Cl]PF6の調製について記載している。
【0013】
現在利用可能な化合物の代替物として使用できる新規な抗癌性化合物が必要とされている。
【0014】
特に、異なるタイプの腫瘍細胞に対して異なる活性のプロファイルを有する、および/または他の抗癌剤(例えば、アドリアマイシン)に対して耐性がある細胞に対して活性を示すことができる化合物が必要とされている。
【発明の開示】
【0015】
本発明は、抗腫瘍活性を有するルテニウム(II)錯体の新規な一クラスを提供する。
【0016】
本発明によれば、式(I):
【化1】

【0017】
[式中:
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7、CONR8R9、COR10、SO3H、SO2NR11R12、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13、NR14R15、アリールまたはアラルキルを表し、但し、そのうちの最後の2つの基は、場合により、芳香環上で、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7a、CONR8aR9a、COR10a、SO3G、SO2NR11aR12a、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13a、NR14aR15aから選択される1個以上の基で置換されており、あるいは、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個以下の3〜8員の炭素環または複素環を含む飽和または不飽和の炭素環基または複素環基を表し、そこにおいて、それぞれの炭素環または複素環は、1個以上の他の炭素環または複素環と縮合していてもよく、それらの環はそれぞれ、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3G’、SO2NR11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bまたは(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており;
R1〜R6のうち1個以上は、場合により、別の式(I)の化合物上の別のR1〜R6基と炭素-炭素、炭素-窒素または炭素-酸素結合により共有結合しており;
R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R7a、R8a、R9a、R10a、R11a、R12a、R13a、R14a、R15a、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
Xは、中性または負に荷電しているO-、N-もしくはS-ドナー配位子またはハロであり;
GおよびG'は、独立して、アルカリ金属、アリール、アラルキルおよび(C1〜C6)アルキルから選択され;
Yは、NR16R17であり、Y’は、NR18R19であり、そこにおいて、R16、R17、R18およびR19は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
Lは、1,2-アリーレン、1,2-(C5〜C8)シクロアルキレンまたは(C2〜C6)アルキレンであり、但し、Lが(C2〜C6)アルキレンである場合、R16およびR17の一方はR18およびR19の一方と共有結合して、Lと一緒になってYおよびY’を含む環を形成し、上記1,2-アリーレン、1,2-(C5〜C8)シクロアルキレンおよび(C2〜C6)アルキレン基は、場合により、3個以下の3〜8員の炭素環または複素環を含む1個以上の飽和または不飽和炭素環または複素環基と縮合しており、そこにおいて、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環と縮合していてもよく、上記1,2-アリーレン、1,2-(C5〜C8)シクロアルキレンおよび(C2〜C6)アルキレン基および/またはそれらが縮合している基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’、NR14’R15’、アリールまたはアラルキルから選択される1個以上の基により置換されており、また、1個以上のCH2基が、場合により、C=O基により置換されており、そこにおいて、R7’、R8’、R9’、R10’、R11’、R12’、R13’、R14’およびR15’は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
mは、-2、-1、0、+1または+2であり、mが0でない場合、本化合物は対イオンを含み;
式(I)の化合物は、場合により、二量体の形態であり、そこにおいて、2個のL基は、直接または1個以上の(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oを含む基を介して連結されているか、あるいは、Lは、2個のY基および2個のY’基を有しており;
但し、R2、R3、R5およびR6が全てHである場合、Xは塩素であり、YおよびY’はどちらもNH2であり、Lは1,2-フェニレンであり、R4がCH(CH3)2である場合にR1はCH3ではなく、また、R1およびR4は両方Hであることはない]
のルテニウム(II)化合物が提供される。
【0018】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグの形態とすることができる。プロドラッグとは、in vivoで式(I)の化合物へと変換され得る、本発明の化合物の改変形態である。
【0019】
式(I)の化合物は、1つ以上のキラル中心を有することができる。式(I)の化合物が1つ以上のキラル中心を有している場合、それらは1種のエナンチオマーの形態であってもよいし、1種のエナンチオマーに富むものであってもよいし、あるいは、ラセミ混合物であってもよい。
【0020】
本明細書中で用いられる「アルキル」という用語には、C1〜C6アルキル基が含まれ、それらは分枝状であっても非分枝状であってもよく、開鎖状であってもよく、あるいは、それらがC3〜C6の基である場合は環状であってもよい。非分枝状で開鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。分枝状で開鎖状のアルキルとしては、例えば、2-プロピル、2-ブチルおよび2-(2-メチル)プロピルが挙げられる。環状の基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。本発明の化合物中のアルキル基は、場合により置換されていてもよい。置換基としては、1つ以上のさらなる非置換アルキル基および/または1つ以上のさらなる置換基が挙げられ、例えば、シアノ、ニトロ、-CO2(C1〜C6)アルキル、ハロ、チオール(SH)、チオエーテル(例えばS-(C1〜C6)アルキル)およびスルホネートである。「アルコキシ」という用語は、-O-アルキルを意味する。「アルキルチオ」という用語は、-S-アルキルを意味する。
【0021】
「ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル」および「アミノ(C1〜C6)アルキル」という用語は、それぞれ、1個以上のヒドロキシル(OH)基またはアミノ(NH2)基で置換されている、上記で定義したようなアルキル基をいう。
【0022】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、「アルキル」という用語と同様に定義されるが、2〜6個の炭素原子を含み、かつ、それぞれ1個以上の炭素-炭素二重結合または1個以上の炭素-炭素三重結合を含む基をいう。アルケニル基およびアルキニル基は、場合により、アルキル基と同様に置換されていてもよい。アルケニル基の例としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1,4-ブタジエニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘキサジエニルが挙げられる。
【0023】
「アルキレン」という用語は、「アルキル」という用語の定義と同様にして定義されるが、C2〜C6の基を含み、鎖中で連結されている2個以上(例えば2〜6個)の炭素原子により分離されている基を有する二価の種を表す。好ましくは、アルキレン基は、直鎖状の基である。アルキレン基の例は、1,2-エチレンおよび1,3-プロピレンである。「アルケニレン」および「アルキニレン」という用語は、同様に定義され、それぞれ1個以上の炭素-炭素二重結合または1個以上の炭素-炭素三重結合を含む二価の基をいう。
【0024】
本明細書中で用いられる「アリール」という用語は、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルなどの芳香族炭素環、ならびにピリジル、イミダゾリル、ピロリルおよびフラニルなどの複素環を含む。アリール基は、場合により、例えば(C1〜C6)アルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、ハロ(C1〜C6)アルキル、-CO2(C1〜C6)アルキル、ハロ、チオール(SH)、チオエーテル(例えばS-(C1〜C6)アルキル)およびスルフォネート(SO3H)などの1個以上の置換基で置換されていてもよい。「アリールオキシ」という用語は、-O-アリールを意味する。
【0025】
「複素環」という用語は、3員、4員、5員、6員、7員または8員(好ましくは5員、6員または7員)の飽和または不飽和の環をいい、それらは、独立してN、OおよびSから選択される1〜3個の複素原子を含む芳香族系であっても非芳香族系であってもよく、例えばインドールが挙げられる。
【0026】
「アリーレン」という用語は、芳香族炭素環または複素環を含む二価の基をいい、そこにおいて、そのラジカルは環の異なる位置に存在する。アリーレン基の一例は1,2-フェニレンである。
【0027】
「アラルキル」という用語は、例えばベンジルなどのアリールで置換されているアルキルを意味する。「アルカリル」という用語は、例えばメチルフェニルなどの、アルキルで置換されているアリールを意味する。
【0028】
「アラルキレン」という用語は、例えば1-メチレン-4-フェニルなどの、アラルキル基から誘導できる二価の基をいう。そこで2個のラジカルはそれぞれ、アリール環上またはアルキル基上に存在していてもよいし、あるいは、それらのラジカルの一方がアルキル基上に存在し、他方のラジカルがアリール環上に存在していてもよい。「アルカリーレン」という用語は、同様に定義される。
【0029】
「フェロセニレン」という用語は、フェロセン(FeCp2)から誘導されるジラジカル(diradical)をいう。それぞれのラジカルは同一の環に存在していてもよいし、あるいは別々の環に存在していてもよい。
【0030】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択されるハロゲン基を意味する。クロロが特に好ましい。式(I)においてXがハロである場合、Xは、負に荷電しているイオンの特徴の少なくとも幾つかを有するものであり、ルテニウム原子に共有結合しているという訳ではないと考えられることが理解されよう。事実、全ての配位子Xは、幾つかの共有結合性の特徴だけでなく、幾つかのイオン性の特徴も備え得る。
【0031】
「ハロアルキル」という用語は、1個以上のハロ基で置換されているアルキルを意味し、例えばトリフルオロメチルが挙げられる。
【0032】
本発明の化合物において、R1およびR2は、式(I)の化合物においてそれらが結合している環と一緒になって、オルト縮合またはペリ縮合炭素環系または複素環系を表すことができる。炭素環系および複素環系は、飽和でも不飽和でもよい。炭素環系または複素環系が不飽和の場合、それらは芳香族でも非芳香族でもよい。R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、例えば、場合により置換され、場合により水素化されているナフタレンまたはアントラセンなどの、2個または3個の縮合炭素環を含む環系などの、完全に炭素環が縮合している環系を表すことができる。したがって、R1およびR2は、式(I)の化合物においてそれらが結合している環と一緒になって、インダンなどの縮合二環、アントラセン、または、アントラセンの一水素化、二水素化、三水素化、四水素化またはそれ以上に水素化した誘導体などの縮合三環を表すことができる。例えば、R1およびR2は、式(I)においてそれらが結合している環と一緒になって、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、アントラセン、1,4-ジヒドロアントラセン、または1,4,9,10-テトラヒドロアントラセンを表すことができる。
【0033】
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびフェニルから選択されるか、あるいは、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、インダン、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し、上記のフェニル、インダンおよびアントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されている。最も好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つがフェニルであり、かつ他の基が全てHであるか、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つまたは2つが(C1〜C6)アルキルであり、かつ他の基がHであるか、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表す。
【0034】
本発明のもう1つの実施形態では、R1〜R6の1個以上が、場合により、別の式(I)の化合物上の別のR1〜R6基と炭素-炭素、炭素-窒素または炭素-酸素結合により共有結合している。そこで、本発明の化合物は、2個以上の式(I)の化合物が互いに連結している多核錯体であってよい。二核錯体の例としては、C6(R1R2R3R4R5R6)基が、式C6(R2R3R4R5R6)-R1-C6(R2R3R4R5R6) [式中、R1は(C1〜C6)アルキレンであって、場合により、1個以上の式-O-、NR14および(NR14R15)+の基を含み、R14およびR15は上で定義された通りである]の基である化合物が挙げられる。また、芳香環上の2個以上の他の基が連結して、例えばジベンゾクラウンエーテルの形態の三環系を形成することもできる。三核錯体としては、例えば、C6(R1R2R3R4R5R6)基が、式X’(-R1-(C6(R2R3R4R5R6))3 [式中、X’はCR14、Nまたは(NR14)+ であり、R14は上で定義された通りである]の基である化合物が挙げられる。同様に、四核錯体の例は、C6(R1R2R3R4R5R6)基が、式C(-R1-(C6(R2R3R4R5R6))4の基である化合物である。
【0035】
本発明の化合物は、荷電していても(正または負に)、荷電していなくてもよい。式(I)において、mが+1であることが好ましい。mが0でない場合、式(I)の化合物は対イオンを含む。好適な対イオンとしては、例えばPF6-およびBF4-などの非求核性イオンが挙げられる。
【0036】
式(I)の化合物において、Xは、中性または負に荷電しているO-、N-もしくはS-ドナー配位子、またはハロである。好適な配位子としては、例えば、H2O、ジ((C1〜C6)アルキル)S(O)、(C1〜C6)アルキルCO2-またはジ((C1〜C6)アルキル)C=Oが挙げられる。他の配位子としては、例えば、N-ドナーニトリル配位子(例えば、式(C1〜C6)アルキルCNの化合物)、ならびに場合によりピリジン環の1つ以上の炭素環において例えば(C1〜C6)アルキルまたはハロで置換されているN-ドナーピリジン配位子が挙げられる。他の好適な配位子は、メチルアミンおよびエチルアミンなどの(C1〜C6)アルキル一級アミンである。好ましくは、XはハロまたはCH3CNであり、最も好ましくは、Xはクロロである。
【0037】
Y-L-Y'は二座配位子である。好ましくは、Y-L-Y'は、式(II)〜(IV)の配位子から選択される。
【化2】

【0038】
式中、
nは、1、2または3であり、nが2または3である場合、基R8dおよびR9dのそれぞれの対は同一であるか、または異なっており;
R1c〜R9c、R1d〜R9dおよびR1e〜R4eは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’、NR14’R15’、アリールまたはアラルキルから選択され、同一のまたは隣接する(すなわち互いに直接結合している)炭素原子に結合する基R1c〜R9c、R1d〜R9dおよびR1e〜R4eの1つ以上の対は、場合により、互いに共有結合して飽和または不飽和炭素環または複素環基を形成し(この炭素環および複素環系は飽和または不飽和であってよく、炭素環または複素環系が不飽和であって隣接する炭素原子に結合している場合、それらは芳香族または非芳香族であり得る)、
Y-L-Y’は、場合により、2個の式(II)の化合物、2個の式(III)の化合物または2個の式(IV)の化合物が互いに直接共有結合している二量体の形態である。
【0039】
式(II)〜(IV)の2個の窒素原子は式(I)のルテニウム原子に配位している。
【0040】
また、R1c〜R9c、R1d〜R9dおよびR1e〜R4eが、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2(C1〜C6)アルキルおよび (C1〜C6)アルコキシから選択されるのが好ましい。
【0041】
Y-L-Y’が式(V):
【化3】

【0042】
[式中、
R1f、R2f、R3fおよびR4fは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’およびNR14’R15’から選択される]
の配位子であるのが特に好ましい。より好ましくは、R1f、R2f、R3fおよびR4fは、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびヒドロキシルから選択される。
【0043】
例えば、Y-L-Y’において、Lが1,2-フェニレン、1,2,-シクロヘキシレンまたは2個の窒素原子を含む(C4〜C6)複素環(例えば、ピペラジニルまたはホモピペラジニル)であり、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、 (C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基により置換されているのが好ましい。
【0044】
より好ましくは、Y-L-Y’において、R16、R17、R18およびR19は全てHである。例えば、R16、R17、R18およびR19がHであり、Lが1,2-フェニレン、1,2,-シクロヘキシレンまたはホモピペラジニルであり、場合により、(C1〜C6)アルキルおよびヒドロキシから選択される1または2個の基により置換されている。
【0045】
配位子Y-L-Y’の別の群は、縮合炭素環系を含み、場合により、縮合環系の1個以上のCH2基がC=O基により置換されているものである。この群の配位子の例は、Y-L-Y’が式(VIA)または(VIB):
【化4】

【0046】
[式中、
R1g、R2g、R3g、R4g、R5gおよびR6gは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’およびNR14’R15’から選択される]
の配位子であるものである。好ましくは、R1g、R2g、R3g、R4g、R5gおよびR6gは全てHである。また、配位子が式(VIA)のものであるのが好ましい。
【0047】
式(I)の化合物は、二量体の形態とすることができ、これはまた、二核錯体とも呼ぶことができる。そうした錯体は、2個のルテニウム原子を含んでいる。二核錯体は、2つの連結している配位子Y-L-Y'を含んで2個のルテニウム中心の間を橋かけするようになっている配位子を用いることにより得ることができる。好ましくは、上記連結は2個のL基の間の直接の共有結合によるものであり、配位子は式YY’L-LYY’を有する。
【0048】
式(I)の化合物および式Y-L-Y’の配位子は、1種以上の互変異性体の形態で存在することができ、それらの全てが本発明に包含される。
【0049】
式(I)の化合物の特に好ましい基は次の通りである。
【0050】
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびフェニルから選択されるか、あるいはR1およびR2は、それらが結合している環と一緒になってインダン、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し、上記のフェニル、インダンおよびアントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、 (C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており;
Xはクロロであり;
mは+1であり;
R16、R17、R18およびR19は全てHであり;
Lは、1,2-フェニレン、1,2-シクロヘキシレンまたは2個の窒素原子を含む(C4〜C6)複素環(例えば、ピペラジニルまたはホモピペラジニル)であり、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、 (C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されている。
【0051】
さらに好ましい式(I)の化合物の基は、次の通りである。
【0052】
R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つがフェニルであり、その他の基が全部Hであるか、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つまたは2つが(C1〜C6)アルキルであり、その他の基がHであるか、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、インダン、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し;
Xはクロロであり;
mは+1であり;
R16、R17、R18およびR19は全てHであり;
Lは1,2-フェニレン、1,2-シクロヘキシレンまたはホモピペリジニルであり、場合により、(C1〜C6)アルキルおよびヒドロキシから選択される1または2個の基により置換されている。
【0053】
錯体[(η6-ビフェニル)Ru(o-フェニレンジアミン)Cl]+を、特にその対イオンPF6-との塩として含む本発明の化合物が特に好ましい。
【0054】
本発明の化合物は、癌細胞系に対して細胞障害活性を示すことが判明しており、したがって、抗癌活性を示すことが予期される。
【0055】
したがって、もう1つの実施形態では、本発明は、医薬において使用するための、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物を提供する。また、本発明は、癌の治療および/または予防において使用するための、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物の提供、ならびに、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物の、癌の治療および/または予防における使用も包含する。
【0056】
また、本発明により、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物の、癌を治療および/または予防するための医薬の製造における使用も提供される。
【0057】
さらに、本発明により、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物が提供される。
【0058】
本発明のさらにもう1つの態様は、本発明の但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物または組成物の治療上有効量を被験体に投与することを含む、癌の治療および/または予防方法である。
【0059】
本発明の化合物は、腫瘍に直接使用することができる。あるいは、またはさらに、この化合物は、転移を予防もしくは抑制し、かつ/または二次性腫瘍を死滅させるのに使用することができる。転移の予防または抑制は、本明細書で用いられる「癌の予防」という用語に包含されることが理解されよう。
【0060】
「腫瘍」という用語は、肺、肝臓、血液細胞、皮膚、膵臓、胃、結腸、前立腺、子宮、乳房、リンパ節および膀胱の腫瘍を含む、新生細胞増殖のあらゆる形態をさすものと理解すべきである。卵巣腫瘍は、本発明による治療に特に適し得る。
【0061】
本発明の化合物は、例えばシスプラチンなどの他の細胞障害薬に対して耐性がある細胞により引き起こされる腫瘍の治療および/または予防に有効であり得る。
【0062】
本発明の特定の化合物には、それらがシスプラチンおよびアドリアマイシンなどの他の抗癌剤に対する改善された非交叉耐性を示す一方で、非耐性腫瘍細胞に対するすぐれた活性を維持しているという驚くべき利点がある。他の抗癌剤に対して発達した耐性を有する腫瘍細胞を殺すことができることは明らかに非常に望ましい。
【0063】
本発明の化合物は、例えば経口、非経口(例えば筋肉内、静脈内もしくは皮下注射による)、局所、経鼻、または徐放性微小担体によるものを含む、幾つかの経路により投与することができる。したがって、本発明の医薬組成物において使用するための好適な賦形剤としては、食塩水、無菌水、クリーム、軟膏、溶液、ジェル、ペースト、エマルジョン、ローション、オイル、固形担体およびエアロゾルが挙げられる。
【0064】
本発明の組成物は、単位剤形またはサブ単位剤形に製剤化することができ、例えば、錠剤、カプセル剤および舐剤、ならびにこの組成物を非経口投与に適する形態で収容している収容物が挙げられる。好ましくは、この組成物は、注射に適する形態である。
【0065】
本発明の化合物および組成物の具体的な投薬レベルは、使用する具体的な化合物の生物学的活性、被験体の年齢、体重および性別などの、幾つかの要因に応じて決まる。被験体はヒトであってもよいし、または哺乳動物であってもよいことが理解されよう。
【0066】
本発明の化合物および組成物は、単独で、あるいは他の化合物と組合せて投与できる。この他の化合物とは、例えばその腫瘍殺傷作用を増大させることにより、または本発明の化合物に付随する副作用を軽減することにより、本発明の化合物の活性を補う生物学的活性を有するものとすることができる。
【0067】
もう1つの実施形態では、本発明は、場合によっては二量体の形態である式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の化合物を、反応用の適切な溶媒中で、Y-L-Y'と反応させることを含む(式中、R1,R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、Y'およびLは、式(I)について上記で定義したとおりである)、式(I)の化合物の製造方法を提供する。好ましくは、この方法は、場合によっては二量体の形態である式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の化合物を、0℃〜100℃(例えば10℃〜80℃)の温度で、(C1〜C4)アルカノール、ジ(C1〜C6)アルキルケトン(例えばアセトン)もしくは水またはそれらの混合物などの極性溶媒中で、Y-L-Y'と反応させることを含む。式(I)の化合物は、例えば、式(I)の化合物の対イオン(例えばPF6-)を、反応混合物に可溶性の塩の形態(例えばNH4+PF6-)で添加し、続いて反応混合物から結晶化することにより、反応混合物から分離できる。化合物は、場合によっては(例えば適切な溶媒または2種以上の異なる溶媒の混合物からの再結晶により)精製することができる。
【0068】
本発明の方法において出発物質(出発ルテニウム錯体)として使用するための式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の好適な化合物は、WO 01/30790およびWO 02/02572に記載されているようにして製造することができる。式Y-L-Y'の化合物は、市販されているものであってもよいし、あるいは当業者に周知の経路により合成することもできる。
【0069】
ここで、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を説明する。
【実施例】
【0070】
出発物質
[Ru(η-p-シメン)(CH3CN)2Cl]PF6は、次のように調製した。[Ru(η-p-シメン)Cl2]2 (0.50g、0.74mmol)およびNH4PF6 (0.256g、1.6mmol)をCH3CN (20ml)中に入れ、室温にて18時間撹拌した。濾過により沈殿を除去し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去して橙/赤色のオイルを得た。エーテルを加えて粉砕し、黄橙色の固体を得た。
収量0.635g (91%)
上記の錯体を実施例6の出発物質として使用した。
【0071】
実施例1
[(η6-ビフェニル)Ru(o-フェニレンジアミン)Cl]PF6
二量体[Ru(ビフェニル)Cl2]2 (0.220g、0.35mmol)をMeOH/H2O (50ml/10ml)中に懸濁し、1時間加熱還流し、室温に冷却した。次いで、MeOH (5ml)中のジアミノベンゼン(0.065g、0.60mmol)を滴下し、反応混合物をさらに15分間加熱還流し、濾過した。濾液にNH4PF6 (0.122g、0.75mmol)を加えて、ロータリーエバポレーターで濾液の体積を約20mlに減らし、冷凍庫に一晩置いて、褐色がかった微結晶固体を得た。生成物を濾過により回収し、MeOHおよびエーテルにより洗浄し、空気中で乾燥した。これをMeOHから再結晶した。
収量(0.180g、54%)
1H δ(DMSOd6): 8.49 (d, NH, 2H), 7.81 (m, 2H), 7.47 (m, 3H), 7.18-7.15 (m, 4H), 6.46 (d, NH, 2H), 6.28 (m, 2H), 6.00 (m, 1H), 5.86 (m, 2H)。
【0072】
実施例2
{[(η6-ビフェニル)Ru(ジアミノベンジジン)Cl]PF6}2
二量体[Ru(ビフェニル)Cl2]2 (0.365g、0.55mmol)をMeOH (50ml)中に懸濁し、1時間加熱還流し、室温に冷却した。次いで、MeOH (10ml)中のジアミノベンジジン(0.065g、0.107mmol)を滴下し、反応混合物をさらに20分間加熱還流し、濾過した。濾液にNH4PF6 (0.401g、2.45mmol)を加えて、ロータリーエバポレーターで濾液の体積を約20mlに減らし、冷凍庫に一晩置いて、褐色がかった微結晶固体を得た。生成物を濾過により回収し、MeOHおよびエーテルにより洗浄し、空気中で乾燥した。
収量(0.435g、80%)
1H δ(DMSOd6): 8.42 (m, NH, 4H), 7.86 (m, 4H), 7.5 (m, 6H), 7.36-7.51 (m, 6H), 6.58 (m, NH, 4H), 6.30 (m, 4H), 6.02 (m, 2H), 5.91 (m, 4H)。
【0073】
実施例3
[(η6-ジヒドロアントラセン)Ru(o-フェニレンジアミン)Cl]PF6
二量体[Ru(テトラヒドロアントラセン)Cl2]2 (0.140g、0.20mmol)をMeOH (40ml)および水(8ml)中に懸濁し、1時間加熱還流し、室温に冷却した。次いで、MeOH (5ml)中の1,2-ジアミノベンゼン(0.045g、0.042mmol)を滴下し、反応混合物をさらに20分間加熱還流し、濾過して赤色の溶液を得た。濾液にNH4PF6 (0.100g、0.61mmol)を加えて、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去して赤色がかった固体を得た。固体をメタノールから再結晶し、濾過により回収し、MeOHおよびエーテルにより洗浄し、空気中で乾燥した。
収量81mg、35%
1H δ(DMSOd6): 8.15 (d, NH, 2H), 7.24-7.13 (m, 8H), 6.25 (d, NH, 2H), 5.78-5.73 (m, 4H), 4.11-3.92 (m, 4H)。
【0074】
実施例4
[(η6-ビフェニル)Ru(2,3-ジアミノフェノール)Cl]PF6
上記の錯体を実施例2の化合物と同じ方法で調製した。
収率38%
1H δ(DMSOd6): 8.30 (d, NH, 1H), 8.04 (d, NH, 1H), 7.82 (m, 2H), 7.49 (m, 3H) 6.98 (m, 1H), 6.65 (m, 2H), 6.43 (d, NH, 1H), 6.24 (m, 2H), 6.01-5.94 (m, 3H), 5.46 (m, NH, 1H)。
【0075】
実施例5
[(η6-インダン)Ru(3,4-ジアミノトルエン)Cl]PF6
二量体[Ru(C9H10)Cl2]2 ([Ru(インダン)Cl2]2) (0.244g、0.42mmol)をMeOH (25ml)に溶解し、MeOH (5ml)中の3,4-ジアミノトルエン(0.100g、0.84mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。これを濾過し、濾液にNH4PF6 (0.205g、1.26mmol)を加えた。ロータリーエバポレーターで濾液の体積を約3mlに減らし、冷凍庫に一晩置いて、褐色がかった微結晶固体を得た。濾過により生成物を回収し、MeOHおよびエーテルにより洗浄し、空気中で乾燥した。これをMeOHから再結晶した。
収率79%
1H δ(DMSOd6): 8.04 (m, NH, 2H), 7.08 (m, 1H), 6.98 (m, 2H), 6.21 (m, NH, 2H), 5.73 (m, 2H), 5.63 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.74-2.68 (m, 4H), 2.09-1.97 (m, 2H)。
【0076】
実施例6
[(η6-p-シメン)Ru(o-フェニレンジアミン)Cl]PF6
[Ru (η-p-シメン) (CN3CN)2Cl]PF6 (0.12g、0.25mmol)をCH3CN (20ml)に溶解して黄色がかった溶液を得た。これに1,2-フェニレンジアミン(0.151g、1.40mmol)を加えて、反応混合物を室温で18時間撹拌して深赤色の溶液を得た。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、褐色がかった/赤色のオイル性の固体を得た。これをエーテルで何回も洗浄し、粉砕して赤色がかった粉末を得た。
収率47%
1H δ(DMSOd6): 8.58 (d, NH, 2H), 7.20 - 7.23 (m, 4H), 6.21 (d, NH, 2H), 5.85 (d, 2H), 5.65 (d, 2H), 3.06 (s, 1H), 2.26 (s, 3H), 1.23 (d, 6H)。
【0077】
実施例7
[(η6-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)Ru(1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン)Cl]PF6
MeOH (30ml)中の[Ru(C10H12)Cl2]2 (0.154g、0.253mM)に、1,2-ジアミノ-3-ニトロベンゼン(0.078g、0.51mM)のMeOH (5ml)中の懸濁液を加え、反応混合物を室温で2.5時間撹拌して透明な暗赤色の溶液を得た。溶液を濾過して、ロータリーエバポレーターにより濾液の体積を約7mlに減らした。NH4PF6 (0.2g、1.2mM)を加えて、フラスコを-20℃に2日間放置した。濾過により暗色/黒色の固体(0.55g)を回収した。
NMR (DMSOd6) 1.93 (m, 2H), 2.60(m, 2H), 2.75 (m, 2H), 5.0 (s, NH2), 5.52 (m, 2H), 5.74 (m, 2H), 6.52 (s, 1H), 7.38 (m, 2H)。
【0078】
実施例8
[(η6-インダン)Ru(1,2-ジアミノアントラキノン)Cl]Cl
MeOH (40ml)中の[Ru(C9H10)Cl2] (0.170g、0.3mM)に、1,2-ジアミノアントラキノン(0.143g、0.6mM)を加えて、反応混合物を室温で2時間撹拌した。この時間の後に溶液中から赤色がかった/紫色の固体が沈殿した。濾過により沈殿を回収して空気中で乾燥した。
収量0.23g、75%
NMR (DMSOd6) 1.93 (m, 2H), 2.60 (m, 2H), 2.75 (m, 2H), 5.77 (m, 2H), 5.88 (m, 2H), 6.30 (s, 2H, NH2), 6.70 (d, 1H), 7.47 (d, 1H), 7.80 (m, 2H), 7.90 (s, 2H, NH2), 8.10 (m, 1H), 8.20 (m, 1H)。
【0079】
実施例9
[(η6-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)Ru(1,2-ジアミノアントラキノン)Cl]Cl
実施例9の化合物を実施例8の化合物と同様の方法により調製した。
収率70%
NMR (DMSOd6) 1.66-1.73(m, 4H), 2.42-2.45(m, 2H), 2.74-2.77 (m, 2H), 5.54 (m, 2H), 5.73 (m, 2H), 6.33 (s, 2H, NH2), 6.77 (d, 1H), 7.47 (d, 1H), 7.80 (m, 2H), 7.92 (s, 2H, NH2), 8.10 (m, 1H), 8.20 (m, 1H)。
【0080】
B. 生物学的データ
1. Ru化合物の試験プロトコール
ヒト卵巣細胞を24-ウェル組織培養トレー(Falcon Plastic, Becton Dickenson, Lincon Park, NJ, USA)に1×104個/ウェルの密度で加え、72時間増殖させた後、Ru(II)アレン錯体を加えた。ルテニウム化合物の原液を脱イオン水を用いて新しく作り、完全な溶解を保証するために超音波処理した。これらの原液を培地で希釈して最終濃度が0.1〜100μMの範囲となるようにした。全ての化合物をそれぞれの濃度について複数のウェルで評価し、アッセイ全体を少なくとも3回繰り返した。それぞれの実験において、シスプラチンまたはカルボプラチンを正の比較用の対照として用いた。24時間曝露した後に薬剤を含む培地を除去し、細胞をリン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄して新しい培地を添加した。さらに72時間の増殖の後、コールターカウンター(Coulter Electronics Ltd, Luton, UK)を用いて細胞数を計数し、薬剤の阻害効果を未処理の細胞の増殖と比較した線形回帰分析によりIC50値(50%の増殖阻害をおこす薬剤濃度)を計算した。
使用した細胞系および方法は、Airdら、Br. J. Cancer, (2002), 86, 1652-1657にも記載されている。
【0081】
2. 結果
上記のプロトコールを用いて、幾つかの本発明の化合物をA2780卵巣癌細胞系、シスプラチン耐性A2780卵巣癌細胞系(A2780CIS)、およびアドリアマイシン耐性A2780卵巣癌細胞系(A2780AD)について試験した。幾つかの化合物はA549細胞系について試験した。結果を表1に示す。表1は異なる細胞型に対する細胞障害のデータをまとめたものである。
【表1】


【0082】
実施例1、3および6の化合物の1,2-ジアミノベンゼン配位子を1,2-ジアミノエタン配位子に置き換えた点以外は同一の分子である類似物(それぞれ、比較実施例1、2および3)の細胞障害を示すデータが得られた。結果は以下のとおりである。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7、CONR8R9、COR10、SO3H、SO2NR11R12、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13、NR14R15、アリールまたはアラルキルを表し、但し、そのうちの最後の2つの基は、場合により、芳香環上で、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7a、CONR8aR9a、COR10a、SO3G、SO2NR11aR12a、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13a、NR14aR15aから選択される1個以上の基で置換されており、あるいは、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個以下の3〜8員の炭素環または複素環を含む飽和または不飽和の炭素環基または複素環基を表し、そこにおいて、それぞれの炭素環または複素環は、1個以上の他の炭素環または複素環と縮合していてもよく、それらの環はそれぞれ、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3G’、SO2NR11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bまたは(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており;
R1〜R6のうち1個以上は、場合により、別の式(I)の化合物上の別のR1〜R6基と炭素-炭素、炭素-窒素または炭素-酸素結合により共有結合しており;
R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R7a、R8a、R9a、R10a、R11a、R12a、R13a、R14a、R15a、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
Xは、中性または負に荷電しているO-、N-もしくはS-ドナー配位子またはハロであり;
GおよびG'は、独立して、アルカリ金属、アリール、アラルキルおよび(C1〜C6)アルキルから選択され;
Yは、NR16R17であり、Y’は、NR18R19であり、そこにおいて、R16、R17、R18およびR19は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
Lは、1,2-アリーレン、1,2-(C5〜C8)シクロアルキレンまたは(C2〜C6)アルキレンであり、但し、Lが(C2〜C6)アルキレンである場合、R16およびR17の一方はR18およびR19の一方と共有結合して、Lと一緒になってYおよびY’を含む環を形成し、上記1,2-アリーレン、1,2-(C5〜C8)シクロアルキレンおよび(C2〜C6)アルキレン基は、場合により、3個以下の3〜8員の炭素環または複素環を含む1個以上の飽和または不飽和炭素環または複素環基と縮合しており、そこにおいて、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環と縮合していてもよく、上記1,2-アリーレン、1,2-(C5〜C8)シクロアルキレンおよび(C2〜C6)アルキレン基および/またはそれらが縮合している基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’、NR14’R15’、アリールまたはアラルキルから選択される1個以上の基により置換されており、また、1個以上のCH2基が、場合により、C=O基により置換されており、そこにおいて、R7’、R8’、R9’、R10’、R11’、R12’、R13’、R14’およびR15’は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
mは、-2、-1、0、+1または+2であり、mが0でない場合、本化合物は対イオンを含み;
式(I)の化合物は、場合により、二量体の形態であり、そこにおいて、2個のL基は、直接または1個以上の(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oを含む基を介して連結されているか、あるいは、Lは、2個のY基および2個のY’基を有しており;
但し、R2、R3、R5およびR6が全てHである場合、Xは塩素であり、YおよびY’はどちらもNH2であり、Lは1,2-フェニレンであり、R4がCH(CH3)2である場合にR1はCH3ではなく、また、R1およびR4は両方Hであることはない]
のルテニウム(II)化合物。
【請求項2】
R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびフェニルから選択されるか、あるいは、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、インダン、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し、上記のフェニル、インダンおよびアントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが+1である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Xがハロである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Y-L-Y'が式(II)〜(IV):
【化2】

[式中、
nは、1、2または3であり、nが2または3である場合、基R8dおよびR9dのそれぞれの対は同一であるか、または異なっており;
R1c〜R9c、R1d〜R9dおよびR1e〜R4eは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’、NR14’R15’、アリールまたはアラルキルから選択され、同一のまたは隣接する炭素原子に結合する基R1c〜R9c、R1d〜R9dおよびR1e〜R4eの1つ以上の対は、場合により、互いに共有結合して飽和または不飽和炭素環または複素環基を形成し、
Y-L-Y’は、場合により、2個の式(II)の化合物、2個の式(III)の化合物または2個の式(IV)の化合物が互いに直接共有結合している二量体の形態である]
の配位子から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R16、R17、R18およびR19が全てHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R1c〜R9c、R1d〜R9dおよびR1e〜R4eが、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2(C1〜C6)アルキルおよび (C1〜C6)アルコキシから選択される、請求項5または6に記載の化合物。
【請求項8】
Y-L-Y’が式(V)
【化3】

[式中、
R1f、R2f、R3fおよびR4fは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’およびNR14’R15’から選択される]
の配位子である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
Y-L-Y’が式(VIA)または(VIB)
【化4】

[式中、
R1g、R2g、R3g、R4g、R5gおよびR6gは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、ヒドロキシル、CO2R7’、CONR8’R9’、COR10’、SO3H、SO2NR11’R12’、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13’およびNR14’R15’から選択される]
の配位子である、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
R1f、R2f、R3fおよびR4fが、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびヒドロキシルから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
R1g、R2g、R3g、R4g、R5gおよびR6gが全てHである、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
医薬において使用するための、但し書を除く請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
但し書を除く請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の、癌を治療および/または予防するための医薬の製造における使用。
【請求項14】
但し書を除く請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項15】
但し書を除く請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物または請求項14に記載の組成物の治療上有効量を被験体に投与することを含む、癌の治療および/または予防方法。
【請求項16】
場合によっては二量体の形態の式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の化合物を、反応用の適切な溶媒中で、Y-L-Y’と反応させることを含む(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、Y'およびLは、請求項1で定義したとおりである)、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2006−525982(P2006−525982A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506200(P2006−506200)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001837
【国際公開番号】WO2004/096819
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(501337513)ザ ユニバーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ エジンバラ (8)
【Fターム(参考)】