説明

腫瘍増殖および転移を調節する方法

腫瘍の増殖又は転移を調節するための方法及び医薬組成物、及び、これを用いた治療の予後判定のための方法を提供する。本発明は、癌又は腫瘍に罹患した患者において抗腫瘍作用をもたらすための方法を提供し、この方法は、患者に少なくとも2つの抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物をそのために有効な量で投与することを含む。1つの実施形態において、上記少なくとも2つの抗癌剤は、アルキル化剤、二官能性アルキル化剤、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、免疫療法剤、抗血管形成剤、ニトロソ尿素化合物、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂抑制剤、放射線、トポイソメラーゼI阻害剤及び抗エストロゲンよりなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は腫瘍学の分野及び進歩した化学療法の用法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌の発生中の細胞の形質転換には細胞成育の調節の正常な様式における多重の改変が関与している。発ガン過程における主要な事象には何らかの手段(例えば増幅、突然変異、染色体再配列)による癌遺伝子機能の活性化、及び多くの場合においては、抗癌遺伝子機能の除去が関与している。最も悪性で治療不可能な腫瘍においては、細胞増殖に対する正常な制約は、形質転換された細胞がその原発部位から逸脱し身体内の別の位置に転移するに従って完全に失われる。一部の腫瘍の増大した増殖及び侵襲性の特性の1つの理由は累積された作用を伴う癌遺伝子における突然変異の漸増数の獲得であると考えられる(非特許文献1)。
【0003】
或いは、癌遺伝子が生物の増殖及び細胞の機能のために必要である正常な細胞シグナリング経路を介して機能する限り(非特許文献2を参照)、シグナリング経路における突然変異のみでは癌を誘発しないとしても、癌遺伝子のシグナリング経路の追加的改変もまた腫瘍の悪性に寄与している場合がある(非特許文献3)。
【0004】
蛋白の数種の異なるクラスが細胞分裂特性及び形質転換に関連する形態における異なる型の変化をもたらすことに関与していることが知られている。これらの変化は、第1に持続的細胞周期進行(不朽化)、第2に増殖抑制シグナル及び細胞アポトーシスシグナルへの応答性の喪失、第3に侵襲性を増強するための細胞の形態的再構築として総括することができる。
【0005】
国立癌研究所が合衆国単独で3人に1人がその生涯において癌に罹患すると推定している。更に癌患者の約50%〜60%が最終的に疾患により死亡することになる。この疾患の広範な発生は悪性疾患の治療のための向上した抗癌剤用法の必要性を強調している。
【0006】
現在観察されている癌の広範な種類の為に、多くの抗癌剤が身体内の癌を破壊するために開発されている。これらの化合物は、正常で健常な細胞には影響を与えることなく、悪性細胞を破壊するか、さもなければ、その増殖を抑制することを目的として癌患者に投与される。抗癌剤はその作用機序に基づいて分類されている。化学療法剤の1つの型は金属配位複合体(例えば白金配位化合物)と称される。この型の化学療法剤は細胞の核内で鎖内DNA交差連結を主に形成し、これにより細胞の複製を防止する。その結果、腫瘍の増殖が先ず抑制され、その後退行させられる。化学療法剤の他の型はアルキル化剤と称される。これらの化合物は分裂中の癌細胞のDNA内に外来性の組成物又は分子を挿入することにより機能する。これらの外来性部分の結果として、癌細胞の通常の機能が妨害され、増殖が防止される。他の型の化学療法剤は抗新生物剤である。この型の薬剤は癌細胞の成育及び蔓延を防止、殺傷又はブロックする。更に別の型の抗癌剤には有糸分裂抑制剤、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、二官能性アルキル化剤等が包含される。
【0007】
残念なことに、これらの薬剤の各々に有害な副作用が伴う。例えば、一般的に使用されている抗新生物剤であるフルオロウラシルは正常な皮膚の浮腫又は紅潮、黒色又はタール状の便、血尿、胸痛、混乱、下痢、息切れ及び眠気を誘発する。フルオロウラシルの投与はまた発熱、悪寒、せき、のどの痛み、下部背部痛、口中の痛み、嘔気、嘔吐、疼痛及び/又は排尿困難を伴う。抗癌目的で一般的に使用されている有糸分裂抑制剤であるタキサン類は、数例のみを挙げると、心臓血管の事象、例えば失神、律動異常、高血圧及び静脈血栓、骨髄抑制、好中球減少症、貧血、末梢神経障害関節痛や筋肉痛、嘔気や嘔吐及び脱毛等を伴う。
【0008】
多くは毒性が多大であることに加えて、多くの従来の抗癌剤は、化学療法剤に対する耐性を付与する後天的又は内因性の腫瘍突然変異の存在の為に、特定の腫瘍の治療においては無効であるか、徐々に有効性を消失する。後天的又は内因性の薬剤耐性は癌化学療法における主要な合併症であり、化学療法による癌患者の大多数の治癒の失敗の原因となっている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。例えば腫瘍はシスプラチンの低減した細胞内蓄積又は増大したDNA修復をもたらす突然変異のその獲得により、シスプラチンのような白金配位化合物に対する耐性を獲得する場合がある(非特許文献7)。薬剤耐性はまた多大な臨床的意味を有する。細胞が特定の抗癌剤に対して耐性となった場合には、用量を増大させなければならず、薬剤関連毒性の悪化をもたらす。
【0009】
コンブレタスタチンは別の種類の抗癌剤である。コンブレタスタチンはアフリカの樹木Combretum caffrum(Combretaceae)の幹より単離されており、マイクロチューブリン組立の強力な抑制剤である。コンブレタスタチンA−4(「CA4」)は合衆国国立癌研究所(NCI)のネズミL1210及びP338リンパ球性白血病細胞系統に対して顕著に活性である。更に、CA4はチューブリンへのコルヒチンの結合の強力な抑制剤としてCombretum caffrumから単離されている別の化合物であるコンブレタスタチンA−1(「CA1」)と競合することがわかっている。CA4もまた特定の細胞系統の増殖を強力に遅延させ(ED50<0.01(g/ml))、そして、強力な抗有糸分裂剤である。特許文献1を参照できる。コンブレタスタチンの溶解性は極めて限定されているため、CA−4及びCA−1の溶解度、そして結果としてはそれらの薬効を増大させるための、コンブレタスタチンA−4ホスフェート及びコンブレタスタチンA−1ジホスフェート(以降それぞれ「CA4P」及び「CA1P」と称する)のようなプロドラッグが開発されている。
【0010】
CA4P及びCA1Pは腫瘍細胞増殖の抑制剤としての活性を有するが、それらの主要な作用機序は、固形腫瘍の新生血管が選択的に破壊され、腫瘍血流の一過性の低下又は完全な遮断が起こり、これが低酸素、アシドーシス及び/又は栄養枯渇による二次的腫瘍細胞死をもたらすという、「血管ターゲティング」の1つであることがわかっている(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。腫瘍塊の大部分を殺傷する場合に有効であっても、一部の腫瘍はなお、腫瘍細胞増殖の進行を最終的にはもたらす腫瘍の再繁殖に寄与する生存性腫瘍組織辺縁部が原因となってCA4P治療に対して耐性となる(非特許文献12;非特許文献13)。生存組織のこの辺縁部は腫瘍周囲と近隣正常組織との間の共有正常血管循環の結果である可能性が最も大きい。CA4Pの毒性副作用もまた報告されている。
【特許文献1】米国特許4,996,237号
【非特許文献1】Bearら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989年、86、p.7495−7499
【非特許文献2】McCormickら著、Nature,1993年、63、p.15−16
【非特許文献3】Gilksら著、Mol.Cell Biol.、1993年、13、p.1759−1768
【非特許文献4】Gottesmanら著、Annu Rev.Biochem.、1993年、62、p.385−427
【非特許文献5】Van Der Zeeら著、Gynecologic Oncol.、1995年、58、p.165−178
【非特許文献6】Casazzaら著、Cancer Treat.Res.、1996年、87、p.1−171
【非特許文献7】Chuら著、J.Biol.Chem.、1994年、269、p.787−790
【非特許文献8】Darkら著、Cancer Res.、1997年、57、p.1829−34
【非特許文献9】Chaplinら著、Anticancer Res.、1999年、19、p.189−96
【非特許文献10】Hillら著、Anticancer Res.、2002年、第22巻、第3号、p.1453−8
【非特許文献11】Holwellら著、Anticancer Res.、2002年、第22巻、第2A号、p.707−11
【非特許文献12】Darkら著、Cancer Res.、1997年、57、p.1829−34
【非特許文献13】Chaplinら著、Anticancer Res.、1999年、19、p.189−96
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
即ち、患者の曝露を最小限にし、薬剤耐性に対抗でき、そして、薬剤に伴う望ましくない副作用を低減する優れた効果的な抗癌剤療法が当該分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は薬剤の組合せを用いる場合に抗腫瘍作用をもたらすための効果的な方法を提供する。本発明の方法は例えば相乗作用の達成又は拮抗作用の回避においてより大きい全体的薬効のような利点を提供し、そして、所望により、副作用の同時低減において用いられる個々の薬剤の1つ以上の量の低減を可能にする。更に又、治療すべき腫瘍が所定の抗癌剤に最適に応答しない(例えば耐性である)場合もなお本発明の組合せ療法の方法の使用は効果的な治療をもたらすのである。
【0013】
1つの特徴において、本発明は癌又は腫瘍に罹患した患者において抗腫瘍作用をもたらすための方法であって、患者に少なくとも2つの抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物をそのために有効な量で投与することを含む上記方法を提供する。1つの実施形態において、少なくとも2つの抗癌剤の1つはタキサンである。別の実施形態においては、少なくとも2つの抗癌剤の1つは白金配位化合物である。好ましい実施形態においては、2つの抗癌剤はタキサンおよび白金配位化合物である。特に好ましいタキサンおよび白金配位化合物はそれぞれパクリタキセル及びカルボプラチンである。好ましいコンブレタスタチン化合物はCA1、CA4、CA1P、CA4P又はそのプロドラッグ又は塩よりなる群から選択される。1つの実施形態において、得られる抗腫瘍作用は、単独又は該他の抗癌剤2つ以上を含む組合せの何れかにおいて使用した場合の該他の抗腫瘍剤の全体的薬効の強化である。コンブレタスタチン化合物は該他の抗癌剤の投与と相対比較して何れかの時期に投与してよい。1つの実施形態において、コンブレタスタチン及び少なくとも2つの他の抗癌剤は同時に投与することにより抗腫瘍作用をもたらしてよい。別の実施形態においては、コンブレタスタチン及び少なくとも2つの他の抗癌剤は何れかの順序において逐次的に投与することにより抗腫瘍作用をもたらしてよい。1つの好ましい実施形態においては、コンブレタスタチン化合物はタキサン及び白金配位化合物の有効量と共に何れかの順序で逐次的に投与する。好ましい実施形態においては、CA4Pをタキサン及び白金配位化合物の有効量と共に何れかの順序で逐次的に投与する。更に別の好ましい実施形態においては、CA4P又はCA1Pをパクリタキセル及びカルボプラチンの有効量と共に何れかの順序で逐次的に投与する。
【0014】
別の特徴において、本発明は、患者に抗癌剤1つ以上をコンブレタスタチン化合物と共にそのために有効な量で投与することにより抗腫瘍作用を達成することを含む、抗癌剤1つ以上による治療に対して最適に応答しない(例えば難治性又は耐性である)腫瘍、特に固形腫瘍を担持する患者において抗腫瘍作用をもたらすための方法を提供する。1つの実施形態において、腫瘍は1つ以上の抗癌剤に対して後天性の耐性を有する細胞を含む。1つの例示される実施形態において、固形腫瘍はタキサンに対して後天性の耐性を有する細胞を含む。別の例示される実施形態において、固形腫瘍は白金配位化合物に対して後天性の耐性を有する細胞を含む。特定の例示される実施形態において、固形腫瘍はカルボプラチン及びパクリタキセルの両方に対して後天性の耐性を有する。別の実施形態において、固形腫瘍はコンブレタスタチンによる治療に対して耐性である細胞を含む。
【0015】
別の特徴において、本発明は癌に罹患した患者の予後を決定するための方法であって、該患者は抗癌剤を投与されており、そして方法は、以下の工程:(a)患者から生物学的試料を得ること;(b)生物学的試料の顆粒球レベルを測定すること;(c)顆粒球レベルをベースラインレベルと比較すること;(d)顆粒球レベルがベースラインレベルより高値である場合に顆粒球レベルを望ましくない予後の表示に関連付け、そして、顆粒球レベルがベースライン以下である場合に好中球レベルを望ましい予後の表示に関連付けることを含む上記方法を提供する。好ましくは、該抗癌剤はコンブレタスタチンである。別の実施形態において、顆粒球は好中球である。別の実施形態において、生物学的試料は抗癌剤治療後24時間未満に得られる。更に好ましい実施形態においては、生物学的試料は抗癌剤治療後6時間未満に得られる。
【0016】
別の特徴において、本発明は追加的抗癌剤治療のために患者を選択するための方法であって、方法が以下の工程:(a)患者由来の第1の生物学的試料中の顆粒球レベルを測定すること;(b)患者に抗癌剤を投与すること;(c)患者から得られた第2の生物学的試料に由来する第2の顆粒球レベルを測定すること;(d)第1及び第2の顆粒球レベルを比較すること;及び、(e)顆粒球レベルの上昇が観察された場合に追加的投与の為に患者を選択すること;を含む上記方法を提供する。
【0017】
別の特徴において、本発明は患者における腫瘍の進行をモニタリングするための方法であって、方法が以下の工程:(a)患者由来の第1の生物学的試料中の顆粒球レベルを測定すること;(b)患者に抗癌剤を投与すること;(c)患者から得られた第2の生物学的試料に由来する第2の顆粒球レベルを測定すること;及び、(d)第1及び第2の顆粒球レベルを比較することを含む上記方法を提供する。
【0018】
別の特徴において、本発明は少なくとも2つの抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物を含む医薬組成物を提供する。例えば、1つの実施形態において、少なくとも2つの他の抗癌剤及び/又はコンブレタスタチン化合物は、個々の薬剤に関する治療用量未満の用量で存在し、薬剤は組合せにおいて使用された場合により効果的であり、或いは、薬効を維持しつつ低減した副作用を示す。或いは、各薬剤はPhysician’s Desk Referenceに記載の量のような個々の薬剤の用量より高用量において提供できる。
【0019】
別の特徴において、本発明は更に医薬品キットを提供する。本発明の例示されるキットは第1の抗癌剤を含む第1の医薬組成物及びコンブレタスタチン化合物を含む第2の医薬組成物を共にパッケージ中に含んでいる。抗癌剤及び/又はコンブレタスタチン化合物は例えば個々の薬剤に関する治療用量未満の量で存在することができ、薬剤は組合せにおいて効果的であり、薬効を維持しつつ低減された副作用を示す。或いは、各薬剤はPhysician’s Desk Referenceにおいて薬剤について記載の量のように、より高用量で提供することができる。
【0020】
特定の特徴において、本発明は組合せの全体的薬効を強化するためにコンブレタスタチン及び1つ以上の他の抗癌剤を投与する順序を提供する。抗血管剤としてのコンブレタスタチンは腫瘍組織への血流を調節する。腫瘍への血流を調節するためにコンブレタスタチン化合物の投与を時限化することにより、組合せの全体的薬効が強化されるように他の抗癌剤の時間依存性の有効腫瘍内濃度を提供することができる。
【0021】
従って本発明は、さらなる実施形態として、有効量のコンブレタスタチン化合物及び少なくとも1つの抗癌剤を投与することからなる、それを必要とする動物、特にヒトにおける腫瘍の増殖又は転移を調節するための方法であって、該抗癌剤の時間依存性の有効腫瘍中濃度を与えるように該腫瘍への血流を調節するために十分な、該抗癌剤の投与に相対的な時間において該コンブレタスタチン化合物を投与する方法を提供する。本発明の方法は使用する組合せの全体的薬効の強化を可能にする。
【0022】
1つの実施形態において、シスプラチン又はカルボプラチンなどの白金系抗癌剤のような最高腫瘍内濃度剤は、逐次的に何れかの順序において、CA4P化合物又はCA1P化合物などのコンブレタスタチン化合物とともに投与される。好ましい実施形態においては、シスプラチン又はカルボプラチンなどの白金系抗癌剤のような最高腫瘍内濃度剤は、CA4P化合物又はCA1P化合物などのコンブレタスタチン化合物と本質的に同時に投与される。
【0023】
更に別の実施形態においては、免疫毒素及びパクリタキセルやドセタキセルなどのタキサン類を含む持続曝露剤は、逐次的に何れかの順序で、コンブレタスタチン化合物と共に投与される。好ましい実施形態においては、持続曝露剤は持続曝露剤への腫瘍組織の曝露時間を延長するための持続曝露剤よりも前に投与される。
【0024】
別の実施形態においては、高AUC剤、例えばCPT−11は、逐次的に何れかの順序で、コンブレタスタチン化合物(例えばCA4P又はCA1P)の投与より前に投与される。別の好ましい実施形態においては、高AUC剤はコンブレタスタチン化合物の投与より前に投与される。
【0025】
コンブレタスタチンと共に逐次的に投与される場合、そのような薬剤は好ましくは例えばコンブレタスタチン化合物の投与の24時間以内、例えば投与の1〜24時間前、2〜24時間前、3〜24時間前、6〜24時間前、8〜24時間前又は12〜24時間前に投与することができる。
【0026】
本発明は更に、コンブレタスタチン化合物及び少なくとも1つの選択された抗癌剤の両方を含む化学療法用医薬組成物及び本発明の方法におけるこれらの使用を提供する。或いは、本発明の方法は、製薬上許容しうる担体媒体又は副次的物質と組み合わせて、活性成分としての上記化合物の1つを含む化学療法用医薬組成物を用いて実施することができる。即ち、このような実施形態において、例えば、CA4P又はCA1Pのようなコンブレタスタチン化合物及び例えば、シスプラチンのような抗癌剤を製剤し、別個に投与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
南アフリカの樹木Combretum caffrumから誘導されるコンブレタスタチン、例えばコンブレタスタチンA−4(CA−4)は当初はチューブリン重合の強力な抑制剤として1980年代に発見された。CA−4及び他のコンブレタスタチン(例えばCA−1)は高い親和性でチューブリン上のコルヒチン結合部位又はその近傍に結合することがわかっている。コンブレタスタチンが培養物中の腫瘍細胞型の多様なスペクトルに対して強力な細胞毒性剤であることは、インビトロ試験が明確に示している。CA−4及びCA−1のそれぞれのホスフェートプロドラッグであるCA4P及びCA1Pは水不溶性の問題に対応するために後に開発された。意外にも、CA4P及びCA1Pもまた、腫瘍細胞自体に対する薬剤の抗増殖作用とは別個である腫瘍組織への血流の迅速で急速な遮断をもたらすことがわかっている。多くの試験は、コンブレタスタチンは腫瘍の微小血管内の血流の広範な遮断を誘発して二次的な腫瘍細胞死をもたらすことを示している(Dark et al.,Cancer Res.,57:1829−34(1997);Chaplin et al.,Anticancer Res.,19:189−96(1999);Hill et al.,Anticancer Res.,22(3):1453−8(2002);Holwell et al.,Anticancer Res.,22(2A):707−11(2002))。正常組織への血流は腫瘍への血流よりもCA4P及びCA1Pによる影響が一般的に非常に低いが、一部の臓器、例えば脾臓、骨格筋及び脳への血流は抑制される場合がある(Tozer et al.,Cancer Res.,59:1626−34(1999))。
【0028】
コンブレタスタチンの新規で非細胞毒性の作用様式に鑑みれば、癌治療のためのこれらの薬剤の新規な「血管ターゲティング」を開発することに重要な利点が存在する。単一薬剤の薬効が、CA4Pで頻繁な投薬法を用いることにより報告された。別の報告によれば、大型の腫瘍は、小型の腫瘍よりもCA4P療法に対してより応答性が高い場合があることを示唆している。しかしながら、CA4Pを投与した動物から採取した多くの腫瘍は、生細胞の辺縁により包囲された中央部が壊死していることを明らかにしている(Dark et al.,Cancer Res.,57:1829−34(1997);Chaplin et al.,Anticancer Res.,19:189−96(1999))。生細胞のこの辺縁は腫瘍周囲と近隣正常組織との間の共有正常血管循環の結果である可能性が最も大きい。本発明者等はこれらを細胞毒性剤と組み合わせることがコンブレタスタチンの抗腫瘍活性を最適化できるという意外な発見を行った。
【0029】
別の特徴において、本発明者等はコンブレタスタチンの新しい作用機序はそれらを組合せ化学療法のための理想的な薬剤としていることを発見した。本発明者等は、従来の化学療法と組み合わせた場合に、CA4P又はCA1P化合物のようなコンブレタスタチンが従来の化学療法剤の活性を強化できることを発見した。更に又、コンブレタスタチンは従来の化学療法剤のものとは重複しない、異なる毒性を有することがわかっている。この特性により、重複する毒性を打ち消すために一方又は両方の薬剤の用量を低減しなければならないのではなく、むしろ各薬剤の最高有効用量を組合せて用いることができるようになるのである。最後に、そしておそらくは最も意外な点であるが、本発明者等はコンブレタスタチンが従来の化学療法剤に耐性である多くの癌の治療において有効であることを発見した。
a)定義
本明細書においては、「コンブレタスタチン」という用語は化合物のコンブレタスタチンファミリーの少なくとも1つ、その誘導体又は類縁体、そのプロドラッグ(好ましくはホスフェートプロドラッグ)及びその誘導体、及びこれらの化合物の塩を指す。コンブレタスタチンは南アフリカの樹木Combretum caffrumから単離される抗癌剤化合物を包含し、限定されないが、例えばコンブレタスタチンA−1、A−2、A−3、A−4、B−1、B−2、B−3、B−4、D−1及びD−2及び種々のそのプロドラッグを包含し、例えばコンブレタスタチンA−4ホスフェート(CA4P)化合物、コンブレタスタチンA−1ジホスフェート(CA1P)化合物及びその塩が例示される(例えばPettit et al,Can.J.Chem.(1982);Pettit et al.,J.Org.Chem.,1985;Pettit et al.,J.Nat.Prod.,1987;Lin et al.,Biochemistry(1989);Pettit et al.,J.Med.Chem.,1995;Pettit et al.,Anticancer Drug Design(2000);Pettit et al.,Anticancer Drug Design,16(4−5):185−93(2001)参照)。
【0030】
本発明の方法における使用のために意図されるコンブレタスタチンの塩は参照により全体が本明細書に組み込まれるWO99/35150;WO01/81355;米国特許6,670,344;6,538,038;5,569,786;5,561,122;5,409,953;4,996,237に記載されている。好ましいCA4P化合物はジナトリウム塩又は下記式I:
【0031】
【化1】

[式中、OR及びORの1つは−OQH又は−Oであり、そして他のものはヒドロキシル、−OQH又は−Oであり、
ここでMは1価又は2価の金属カチオン(例えばNa、K、Mg2+)であり、
Qは:
a)少なくとも2つの窒素原子を含有するアミノ酸、ただしここで窒素原子の1つは、プロトンと共に第4級アンモニウムカチオンQHを形成し、好ましくはここでOR及びORの一方はヒドロキシルであり、他方は−OQHであり、ここでQはL−ヒスチジンである;又は
b)有機アミン、ただしここでOR及びORの一方は−OQHであり、そして他方はヒドロキシル又は−OQHであり;Qはプロトンと共に第4級アンモニウムカチオンQHを形成する窒素原子を少なくとも1つ含有する有機アミンであり、好ましくはここでOR及びORの一方はヒドロキシルであり、そして他方は−OQHであり、Qはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)である]のものである。
【0032】
本明細書においては、コンブレタスタチンA−1ジホスフェート(CA1P)化合物という用語はコンブレタスタチンA−1ジホスフェート、そのプロドラッグ、誘導体及びこれらの化合物の塩の少なくとも1つを指す。好ましいCA1P化合物は以下の構造:
【0033】
【化2】

[式中、Xはシス配置における炭素−炭素二重結合であり、そしてOR、OR、OR及びORの1つは−OQH又は−Oであり、そして他のものはヒドロキシル、−OQH又は−Oであり、
ここでMは1価又は2価の金属カチオン(例えばNa、K、Mg2+)であり、
Qは:
a)少なくとも2つの窒素原子を含有するアミノ酸、ただしここで窒素原子の1つは、プロトンと共に第4級アンモニウムカチオンQHを形成し、好ましくはここでOR及びORの一方はヒドロキシルであり、他方は−OQHであり、ここでQはL−ヒスチジンである;又は、
b)有機アミン、ただしここでOR及びORの一方は−OQHであり、他方はヒドロキシル又は−OQHであり;Qはプロトンと共に第4級アンモニウムカチオンQHを形成する窒素原子少なくとも1つを含有する有機アミンであり、好ましくはここでOR及びORの一方はヒドロキシルであり、他方は−OQHであり、そしてQはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)である]を有する。
【0034】
コンブレタスタチンの誘導体又は類縁体は、参考文献として全体が本明細書に組み込まれるSingh et al.,J.Org.Chem.,1989;Cushman et al,J.Med.Chem.,1991;Getahun et al,J.Med.Chem.,1992;Andres et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993;Mannila,et al.,Liebigs.Ann.Chem.,1993;Shirai et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994;Medarde et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1995;Wood et al,Br.J.Cancer,1995;Bedford et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1996;Dorr et al.,Invest.New Drugs,1996;Jonnalagadda et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1996;Shirai et al.,Heterocycles,1997;Aleksandrzak,et al.,Anticancer Drugs,1998;Chen et al.,Biochem.Pharmacol.,1998;Ducki et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Hatanaka et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Medarde et al.,Eur.J.Med.Chem.,1998;Medina et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Ohsumi et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Ohsumi et al.,J.Med.Chem.,1998;Pettit,et al.,J.Med.Chem.,1998;Shirai et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Banwell et al.,Aust.J.Chem.,1999;Medarde et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1999;Shan et al.,PNAS,1999;Combeau et al.,Mol.Pharmacol.,2000;Pettit et al.,J.Med.Chem.,2000;Pinney et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2000;Flynn et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001;Gwaltney et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001;Lawrence et al.,2001;Nguyen−Hai et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001;Xia et al.,J.Med.Chem.,2001;Tahir et al.,Cancer Res.,2001;Wu−Wong et al.,Cancer Res.,2001;Janik et al,Biooorg.Med.Chem.Lett.,2002;Kim et al.,Bioorg Med Chem Lett.,2002;Li et al.,Biooorg.Med.Chem.Lett.,2002;Nam et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2002;Wang et al.,J.Med.Chem.2002;Hsieh et al.,Biooorg.Med.Chem.Lett.,2003;Hadimani et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2003;Mu et al.,J.Med.Chem,2003;Nam et al.,Curr.Med.Chem.,2003;Pettit et al,J.Med.Chem.,2003;WO 03/040077、WO03/035008、WO02/50007、WO02/14329;WO 01/12579、WO01/09103、WO01/81288、WO01/84929、WO00/48590、WO00/73264、WO00/06556、WO00/35865、WO99/34788、WO99/48495、WO92/16486,米国特許6,794,384;6,787,672,6,777,578,6,723,858,6,720,323,6,433,012,6,423,753,6,201,001,6,150,407,6,169,104,5,731,353,5,674,906,5,430,062,5,525,632,4,996,237及び4,940,726及び米国特許出願10/281,528;及び米国特許出願10/281,528に記載されている。
【0035】
本明細書においては、「パクリタキセル」とは、パクリタキセル及びその類縁体及び誘導体、例えばパクリタキセルの生物学的活性を有するパクリタキセルの天然又は合成の機能的変異体、並びにパクリタキセルの生物学的活性を有するパクリタキセルのフラグメントを指す。更に本明細書においては、「パクリタキセルの生物学的活性」という用語は、微小管の形成及び/又は作用に影響することにより細胞の有糸分裂を妨害し、これにより抗有糸分裂及び抗新生物作用をもたらすパクリタキセルの活性を指す。パクリタキセル及びその類縁体及び誘導体を製造する方法は当該分野で良く知られており、例えば、米国特許5,569,729;5,565,478;5,530,020;5,527,924;5,484,809;5,475,120;5,440,057;及び5,296,506に記載されている。パクリタキセル及びその類縁体及び誘導体はまた市販されている。合成パクリタキセルは、Taxol(登録商標)としてBristol−Myers Squibb Company,Oncology Division(Princeton,N.J.)より入手可能である。注射用タキソールは30mg/5ml(5mlにつき6mg/ml)の濃度を有する単回用量バイアルとして入手してよい。例えば、腹腔内投与されるパクリタキセル(タキソール)の用量は1〜10mg/kgであってよく、そして静脈内投与される用量は1〜3mg/kg、又は135mg/m〜200mg/mであってよい。しかしながら、治療を要する対象における新生物を治療するために有効なパクリタキセル及びジスコデルモリドの量は各症例の特定の要因、例えば新生物の型、新生物の病期、対象の体重、対象の状態の重症度、及び、投与方法に応じて変動する。当業者はこれらの量を容易に決定できる。
【0036】
白金配位化合物は本明細書において定義する場合は、主に鎖間DNA交差結合を形成する抗癌アルキル化剤を包含する。好ましい白金配位化合物はカルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンを包含する。カルボプラチンはParaplatin(登録商標)(Bristol Myers Squibb,Princeton,N.J.)の登録商標下に静脈内注射用に市販されている。
【0037】
本明細書においては、化合物又は医薬組成物の「有効量」という用語は癌に罹患した動物、好ましくはヒトにおいて所望の抗癌作用又は抗腫瘍作用をもたらすために十分な量をさす。所望の抗腫瘍作用とは、限定しないが、例えば、腫瘍増殖(例えば腫瘍増殖の遅延)、腫瘍サイズ又は転移の調節、特定の抗癌剤に伴う毒性及び副作用の低減、癌の臨床的障害又は症状の緩解又は最小限化、そのような治療の非存在下で別途予測されるものを超えた対象の延命、及び、投与前の何れの腫瘍形成も有さない動物における腫瘍増殖の防止、即ち予防的投与を包含する。本明細書においては、「調節する」、「調節すること」又は「調節」という用語は、特定の過程が生じる速度を変化させること、特定の過程を抑制すること、特定の過程を退行させること、及び/又は、特定の過程の開始を防止することを指す。従って、特定の過程が腫瘍の増殖又は転移である場合、「調節」という用語は、限定しないが、例えば、腫瘍の増殖及び/又は転移が生じる速度を低減すること;腫瘍の増殖及び/又は転移を抑制すること;腫瘍の増殖及び/又は転移を退行させること(腫瘍の収縮及び/又は根絶を包含する)及び/又は腫瘍の増殖及び/又は転移を防止することを包含する。「相乗作用」とは本明細書においては、2剤の組合せによりもたらされる、そして、何れかの薬剤単独の個別の投与により別途生じるものを超過した、超相加性の抗癌作用を指す。2剤間の相乗性の1つの尺度はメジアン作用の原理に基づくChou and Talalayのコンビネーション指数(CI)法である(Chang et al.,Cancer Res.45:2434−2439(1985)参照)。この方法は、細胞毒性の種々のレベルにおいて2剤間の相乗性、相加性又は拮抗性の程度を計算する。CI値が1未満の場合、2剤間には相乗性がある。CI値が1の場合、相加性はあるが相乗性はない。1より高値のCI値は拮抗性を示している。CI値が小さいほど、相乗作用は大きい。相乗性の別の尺度は分数抑制濃度(FIC)である、この分数値は単独で作用する薬剤のIC50の分数として組合せで作用する薬剤のIC50を表示することにより求められる。2つの相互作用する薬剤について、各薬剤のFIC値の合計は相乗相互作用の尺度を示す。FICが1未満である場合は、2剤間に相乗性がある。FIC値1は相加作用を示す。FICが小さいほど、相乗相互作用は大きい。
【0038】
「抗癌剤」という用語は本明細書においては、腫瘍の増殖又は転移を調節することができる化学物質又は電磁気照射(特にエックス線)を指す。コンブレタスタチン化合物と共にそのような薬剤を使用することに言及する場合は、その用語はコンブレタスタチン化合物以外の薬剤を指す。特段の記載が無い限り、この用語はそのような薬剤の1つ又は1つより多くを包含することができる。即ち、「抗癌剤」という用語は本発明の方法及び組成物における1つ以上の化学物質及び/又は電磁気照射の使用を包含する。1つより多い抗癌剤を使用する場合は、コンブレタスタチン化合物の投与の相対的時間は、所望により、1つ又は1つより多い抗癌剤の時間依存性の有効腫瘍内濃度を与えるように選択できる。
【0039】
上記した通り、多くの抗癌剤が本発明の組成物又は方法において用途を有するものの例となる。このような抗癌剤の種類及びその好ましい作用機序を以下に説明する。
【0040】
1.アルキル化剤:ヌクレオチドにアルキル基を供与する化合物。アルキル化されたDNAは自身を複製できず、そして細胞の増殖が停止する。このような化合物の例は、限定しないが、ブスルファン、配位金属複合体(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン及びシスプラチンなどの白金配位化合物)、シクロホスファミド(シトキサン)、デカルバジン、イフォスファミド、メクロレタミン(ムスターゲン)及びメルファランが挙げられる。
【0041】
2.二官能性アルキル化剤:4炭素アルキル鎖の逆の末端に結合している不安定なメタンスルホネート基2個を有する化合物。メタンスルホネート基が癌細胞中のDNAと相互作用して損傷を与え、その増殖を防止する。このような化合物の例は限定しないが、クロラムブシル及びメルファランが挙げられる。
【0042】
3.非ステロイド性アロマターゼ阻害剤:エストロゲン生産に関与する酵素アロマターゼを阻害する化合物。即ち、アロマターゼの遮断がエストロゲンの生産の防止をもたらす。このような化合物の例はアナストロゾール及びエキセムスタンが挙げられる。
【0043】
4.免疫療法剤:悪性疾患に関連する蛋白を生産する癌細胞をターゲティングする抗体又は抗体フラグメント。例示される免疫療法剤は、乳癌の約25パーセント〜30パーセントにおいて多数生じるHER2又はHER2/neuをターゲティングするヘルセプチン;結腸癌の表皮成長因子受容体(EGFR)をターゲティングするエルビタックス;結腸癌により発現される血管内皮成長因子(VEGF)をターゲティングするアバスチン;及びB細胞リンパ腫におけるアポトーシスをトリガーする抗CD20であるリツキサンが挙げられる。その他の免疫療法剤は免疫毒素であり、この場合、毒素分子、例えばリシン、ジフテリア毒素及びシュードモナス毒素を腫瘍特異的抗原を認識する抗体にコンジュゲートする。コンジュゲート形成は生化学的に、又は、組み換えDNA法を介して達成できる。
【0044】
5.ニトロソ尿素化合物:DNA修復に必要な酵素を阻害する。これらの物質は脳まで到達できるため脳腫瘍並びに非ホジキンリンパ腫、多発性硬化症及び悪性黒色腫を治療するために使用される。ニトロソ尿素の例はカルムスチン及びロムスチンが挙げられる。
【0045】
6.代謝拮抗剤:DNA及びリボ核酸(RNA)の合成を妨害する薬剤の一種。これらの物質は期特異的(S期)であり、慢性の白血病並びに乳房、卵巣及び胃腸管の腫瘍を治療するために使用される。代謝拮抗剤の例は5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、シタラビン(Ara−C)及びフルダラビンが挙げられる。
【0046】
7.抗腫瘍抗生物質:抗微生物及び細胞毒性活性を有する化合物。このような化合物は又、酵素及び有糸分裂を化学的に阻害すること、又は、細胞膜を改変することにより、DNAを妨害する場合がある。例としては限定しないが、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン及びマヌナイシン(例えばマヌマイシンA、C、D、E及びG及びその誘導体;例えば米国特許5,444,087参照)が挙げられる。
【0047】
8.有糸分裂抑制剤:有糸分裂を抑制(例えばチューブリン結合化合物)又は細胞の増殖に必要な蛋白合成を防止する酵素を阻害することができる化合物。有糸分裂抑制剤の例はタキサン類、例えばパクリタキセル及びドセタキセル、エポチロン類、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンが挙げられる。
【0048】
9.放射線療法:限定しないが例えば、ビームなどの体外線源、又は小型の放射活性線源のインプラントにより送達されるエックス線又はガンマ線が挙げられる。
【0049】
10.トポイソメラーゼI阻害剤:トポイソメラーゼの活性を妨害し、これによりDNA複製を抑制する物質。このような物質は限定しないがCPT−11及びトポテカンが挙げられる。
【0050】
11.ホルモン療法:限定しないが例えば、タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤、ルプロンなどのGnRHアゴニスト、及びメゲイスなどのプロゲスチン剤が挙げられる。
【0051】
当然ながら広範な種類の機序を介して機能する他の型の抗癌剤も本発明の医薬組成物及び方法において用途を有する。追加的なこのような薬剤は例えば、ロイコボリン、キナーゼ阻害剤、例えばイレッサ及びフラボピリドール、従来の化学療法剤の類縁体、例えばタキサン類縁体及びエポチロン類縁体、抗血管形成剤、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、及び他のVEGF阻害剤、例えばZD6474及びSU6668を包含する。レチノイド類、例えばターグレニンもまた本発明の医薬組成物及び方法において使用できる。ファルネシルトランスフェラーゼ活性を妨害するシグナル伝達阻害剤および化学療法耐性モジュレーター、例えばバルスポダールもまた使用できる。モノクローナル抗体、例えばC225及び抗VEGFr抗体も使用できる。
【0052】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで代謝的に変換されて活性な薬剤をもたらす薬剤の前駆体を指す。即ち、本発明に従って動物に投与されたコンブレタスタチンホスフェートプロドラッグ塩は、例えば、身体内における解離及び内因性非特異的フォスファターゼへの曝露の後に、代謝活性化を起こし、そしてコンブレタスタチンA−4又はコンブレタスタチンA−1をインビボで再生する。
【0053】
上記した通り、本発明は、本発明の医薬組成物を用いて、腫瘍、特に固形腫瘍の増殖又は転移を調節する医薬組成物、並びに例えば本発明の医薬組成物を用いて腫瘍の増殖又は転移を調節する方法に関する。
【0054】
本明細書で使用される「腫瘍」、「腫瘍増殖」又は「腫瘍組織」という用語は、互換的に使用でき、細胞の制御不能な進行性の増殖に起因し、生理学的機能を全く果たさない組織の異常な増殖を指す。固形腫瘍は悪性、例えば転移する傾向を有し、致命的であるか、又は良性であり得る。本発明の方法に従って治療又は防止できる固形腫瘍の例は、肉腫及び癌腫、限定しないが、例えば線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原生肉腫、軟骨種、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、膵臓、癌乳癌、卵巣癌、ファローピウス管癌、腹膜原発癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞性腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、肝転移、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、甲状腺癌、例えば退生甲状腺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、肺癌、例えば小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫及び網膜芽腫が挙げられる。
【0055】
更に、増殖不全性の変化(例えば化生及び形成異常)を含む腫瘍は例えば子宮頚部、食道及び肺のような上皮性の組織においては本発明の医薬組成物及び方法を用いて治療又は防止できる。即ち、本発明は、特に過形成、化生又は最も特定すれば形成異常よりなる非新生物性の細胞増殖が起こっている、新生物又は癌への以前の進行がわかっているか疑われる状態の治療を可能とする(このような異常な増殖状態についての考察はRobbins and Angell,1976,Basic Pathology,2d Ed.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,pp.68〜79を参照できる)。過形成は構造又は機能の顕著な改変を伴わない組織又は臓器における細胞数の増大を含む制御された細胞増殖の一形態である。例えば、子宮内膜過形成は子宮内膜癌に先行する場合が多い。化生は成熟又は完全分化細胞の1つの型が成熟細胞の別の型と置き換わる制御された細胞増殖の一形態である。化生は上皮又は結合組織の細胞に生じる場合がある。非典型的な化生には一部不規則な化生上皮が含まれる。形成異常は癌の前兆である場合が多く、主に上皮に存在し;これは非新生物性の細胞増殖の最も不規則な形態であり、個々の細胞の均一性及び細胞の構築物的な方向が消失する。形成異常の細胞は異常に大きく強力に染色される核を有し、多形現象を示す場合が多い。形成異常は慢性の刺激又は炎症が存在する場合に特徴的に生じ、そして子宮頚部、呼吸路、口腔及び膀胱に発見される場合が多い。このような障害についての考察はFishman et al.,1985,Medicine,2d Ed.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphiaを参照できる。
【0056】
良性であり、本発明の方法により治療又は防止できる腫瘍の他の例は、特に頭部内の部位における動脈静脈(AV)形成異常及び骨髄腫である。
【0057】
本明細書において使用される「時間依存性の有効腫瘍中濃度」という用語は、コンブレタスタチン化合物及び他の抗癌剤の組合せの作用を強化する長時間に渡る(即ち投与時に始まり薬剤が身体内から一掃されるまでの時間)腫瘍組織内の他の抗癌剤の濃度を指す。
【0058】
「最高腫瘍内濃度剤」という表現は、高い腫瘍内濃度において最も効能があるが腫瘍組織から急速に一掃される抗癌剤を指す。このような薬剤は本発明によればコンブレタスタチン化合物の投与と同時か又は時間的に近接して(例えば臨床的に実施可能な程度、特に1時間以内)投与してよい。例示される最高腫瘍内濃度剤は限定しないが、アルキル化剤(例えばシトキサン及びマイトマイシンC)及び金属配位複合体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンが挙げられる。
【0059】
本明細書において使用される「持続曝露剤」という表現は、比較的低い腫瘍内濃度において有効であり得るが最も効果的であるためにはなお特定の腫瘍組織曝露時間を必要とする薬剤を指す。このような薬剤は本発明によればコンブレタスタチン化合物と共に逐次的に何れかの順序で投与してよいが、組合せを強化するためには投与の間に十分な時間差を設けることが必要である。本発明の方法の1つの実施形態において、持続曝露剤はコンブレタスタチンA−4化合物又はコンブレタスタチンA−1化合物の投与後に投与する。例示される持続曝露剤は限定しないが、パクリタキセル及びドセタキセルなどのタキサン類、エトポシド、エトポシドホスフェート、免疫毒素及びエポチロン類が挙げられる。
【0060】
本明細書において使用される「高AUC剤」という表現は、延長された時間に渡り腫瘍組織内に高濃度で存在する場合に最大の薬効を示す薬剤を指す。このような薬剤は本明細書に従ってコンブレタスタチン化合物と共に逐次的に投与してよく、その場合、高AUC剤を先ず投与し、その後コンブレタスタチン化合物を投与するが、ただし、組合せを強化するためには投与の間に十分な時間差を設けることが必要である。例示される高AUC剤は限定しないがアドリアマイシン、CPT−11(イリノテカン)及びトポテカンが挙げられる。
【0061】
本明細書において使用される「生物学的試料」という用語は、例えば血液、組織(例えば腫瘍組織)、血清、便、尿、痰、脳脊髄液及び細胞溶解物由来の細胞上澄みの試料を包含する。例示される実施形態においては、血液が本発明の方法における生物学的試料として使用される。
b)好ましい用量範囲−2成分組合せ療法
本発明によれば、コンブレタスタチン及び抗癌剤を含む進歩した2成分化学療法剤用法が癌治療のために提供される。進歩した化学療法剤用法は副作用を低減でき、そして、新生物性疾患の治療のための薬効を増強する。意外にも、2成分の組合せは単一の抗癌剤療法(1剤療法)の不都合な点の多くを克服する。例えば本発明の方法では、医師は、単一薬剤の場合に用いられていたものより顕著に低値の用量でCA4P又はCA1Pのようなコンブレタスタチン化合物及び/又は抗癌剤を投与できる。本発明による抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物の投与に適する好ましい用量は以下に記載するとおりである。同時又は逐次的な投与の何れかに関わらず、コンブレタスタチン化合物及び少なくとも1つの抗癌剤は、腫瘍の増殖又は転移の調節、特に本明細書に記載する癌の治療の為に有効な何れかの量において、又は、何れかの投与経路において、投与することができる。
【0062】
以下の表Iは本発明の方法において使用するための好ましい2成分化学療法剤組合せ剤及び例示される用量を示す。「コンブレタスタチン」の標記がある場合はコンブレタスタチンA−4、コンブレタスタチンA−1、又は、コンブレタスタチンA−4又はコンブレタスタチンA−1のホスフェートプロドラッグ、例えばCA4P又はCA1Pが好ましく用いられる。
【0063】
(表I:例示される2成分組合せ療法剤及び用量範囲)
【0064】
【表1】

上記表Iにおいて、「5FU」は5−フルオロウラシルを指し、「ロイコボリン」はロイコボリンカルシウムとして使用でき、「UFT」はテガフル:ウラシルの1:4モル比であり、そして「エポチロン」は好ましくは共に参考文献として全体が本明細書に組み込まれるWO99/02514又はWO00/504232に記載されている化合物である。
【0065】
表Iは本発明のCA4P及び特定の抗癌剤の例示される用量範囲を示しているが、本発明の医薬組成物を製剤する場合は、医師は治療すべき患者の状態を根拠とする好ましい用量を利用してよい。例えばコンブレタスタチン化合物は好ましくは治療が必要な限り3週ごとに30〜70mg/mの範囲の用量で投与してよい。シスプラチンの好ましい用量は3週ごとに投与される75〜120mg/mである。カルボプラチンの好ましい用量は200〜600mg/mの範囲内又は0.5〜8mg/mlxminのAUCであり;最も好ましくは4〜6mg/mlxminのAUCである。使用する方法が放射線を利用する場合は、好ましい線量は200〜6000cGYの範囲内である。CPT−11の好ましい用量は週一回100〜125mg/mである。パクリタキセルの好ましい用量は21日ごとに130〜225mg/mである。ゲムシタビンの好ましい用量は毎週80〜1500mg/mである。好ましくはUFTはロイコボリン投与と組み合わせる場合は一日当たり300〜400mg/mの範囲で使用する。ロイコボリンの好ましい用量は毎週投与で10〜600mg/mである。BR96−sFv−PE40免疫毒素の好ましい用量420mg/mである。免疫増強治療におけるコンブレタスタチンA4及びそのプロドラッグと組み合わせたBR96−sFv−PE40免疫毒素の使用、参考文献として全体が本明細書に組み込まれる2000年12月26日出願の米国特許暫定出願60/258,2832に記載されている。
【0066】
1つの例示される実施形態において、コンブレタスタチンプロドラッグ(例えばCA4P)はタキサン、好ましくはパクリタキセルと共に投与される。パクリタキセルは数種のイチイ樹木より単離されている天然のジテルペンである。これは又Taxol(登録商標)の下に市販されている(Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJ)。タキサン及びコンブレタスタチンは両方ともチューブリンに結合する抗有糸分裂剤である。しかしながら、それらは完全に逆の拮抗する作用機序を有する。コンブレタスタチンは腫瘍内のチューブリン単量体に結合し、それらが重合して微小管となることを防止し、これにより腫瘍細胞が有糸分裂を促進する紡錘体を組み立てることを効果的に防止する。一方、タキサン類はチューブリン2量体からの微小管の組立を増強し、脱重合に対抗してそれらを安定化させる。この安定性が、有糸分裂からの離脱に必須である微小管ネットワークの正常な動的再組織化の抑制をもたらす。パクリタキセルは効果的な抗新生物性の化学療法剤としてよく知られている。実際、パクリタキセル(Taxol(登録商標))は白血病及び腫瘍、特に乳癌、肺癌及び卵巣癌、及び悪性黒色腫の治療において良好に使用されている(McGuire et al.,N.Engld.J.Med.334:1−6,1996;Johnson et al.,J.Clin.Ocol.14:2054−2060,1996)。多大な臨床上の良好性にも関わらず、パクリタキセルの使用には多くの重大な不都合が伴う。1つの問題は、例えばそれが引き起こす重度の副作用に関するものであり、脱毛、関節痛、筋肉痛、骨髄抑制及び神経障害が挙げられる。それらの拮抗的作用機序にも関わらず、CA4Pを低減された用量のパクリタキセルと何れかの順序において逐次的に投与することにより毒性を低減及び/又は治療薬効が強化されることを本発明者等は発見した。パクリタキセルと共に投与する場合、CA4Pは週一回45〜63mg/mの範囲の遊離酸用量において使用することが好ましく、そしてパクリタキセルは135〜175mg/mの範囲の用量においてCA4P投与24時間以内に投与することが好ましい。
c)3成分以上の組合せ療法−好ましい用量範囲
特定の癌はコンブレタスタチンA−4又はコンブレタスタチンA−1及び複数の抗癌剤により効果的に治療できる。このような3重及び4重の組合せはより大きい薬効をもたらすことができる。このような3重及び4重の組合せにおいて使用する場合、表IIにおいて以下に記載する用量を使用できる。「コンブレタスタチン」の標記がある場合は、コンブレタスタチンA−4、コンブレタスタチンA−1、又は、コンブレタスタチンA−4又はコンブレタスタチンA−1のホスフェートプロドラッグ、例えばCA4P又はCA1P化合物が好ましく用いられる。従って表IIに示すもの以外のこのような組合せはコンブレタスタチンと(1)マイトキサントロン+プレドニソン;(2)ドキソルビシン+タキサン;又は(3)ヘルセプチン+タキサンの組合せを包含する。5−FUは上記した組合せのいずれかにおいてUFTにより置き換えられることができる。
【0067】
(表II:例示される3成分組合せ療法剤及び用量範囲)
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

表IIは本発明の特定の抗癌剤の例示される用量範囲を示しているが、本発明の医薬組成物を製剤する場合は、医師は治療すべき患者の状態を根拠とする好ましい用量を利用してよい。例えば、3成分療法においてカルボプラチン及びパクリタキセルと共に投与する場合は、コンブレタスタチン化合物は好ましくは、投与時において治療が必要な限り3週間ごとに27〜70mg/mの範囲の用量で投与してよい。CA4P(遊離酸)は好ましくは27mg/m〜70mg/mの範囲の用量で投与する。より好ましくはCA4P(遊離酸)は45mg/m〜63mg/mの範囲の用量で投与する。カルボプラチンの好ましい用量は200〜600mg/mの範囲内又は0.5〜8mg/mlxminのAUCであり;最も好ましくは4〜6mg/mlxminのAUCであり、コンブレタスタチン投与の翌日に投与する。パクリタキセルの好ましい用量は130〜175mg/mの範囲であり、CCA4P治療の翌日に投与する。
d)薬剤耐性腫瘍の治療
乳癌及び卵巣癌を包含する大部分の一般的な癌の多くは広範な種類の抗癌剤に対して最初は比較的感受性である。しかしながら、後天的な薬剤耐性の表現型は典型的には化学療法剤への曝露数ヶ月又は数年間の後に生じる。薬剤耐性の分子的根拠を明らかにすることは進歩した診断及び治療上の戦略のための機会を与える場合がある。従って、本発明は、強化された応答を発生させるために有効な量で抗癌剤1つ以上と共にコンブレタスタチンを患者に投与することを含む、抗癌剤1つ以上に対して耐性を示している癌又は腫瘍に罹患した患者を治療することを意図している。本発明者等は意外にも、抗癌剤1つ以上と共にコンブレタスタチンを投与することを含む治療方法が、コンブレタスタチン単独又は抗がん剤1つ以上のいずれかによる治療に対して難治性又は耐性である固形腫瘍を治療するための有効な方法であることを発見したのである。特に本発明者等は、白金配位化合物およびタキサンの両方の有効量とのコンブレタスタチンの有効量の組み合わせが、コンブレタスタチン単独又は抗がん剤1つ以上による治療に対して耐性である腫瘍を治療する場合に有効であることを発見した。
【0070】
タキサン類及び白金配位化合物(例えばカルボプラチン)は一部の腫瘍の治療の為に個別に使用された場合に有効であることがわかっている。しかしながら、多くの腫瘍はなおこれらの薬剤による治療用法に対しては、一方又は両方の薬剤に対する内因性又は後天性の耐性のために、難治性となっている。例えばタキサン抗癌剤による治療に最初は応答していた患者のかなりの数が、治療の過程に渡って耐性を獲得すること、そして、全ての癌がタキサン療法に応答するわけではないことがわかっている。本発明者等は、コンブレタスタチン及びタキサン及び/又は白金配位化合物を含む組成物が意外にも、コンブレタスタチンに対し、又は、1つ以上の抗癌剤に対し難治性であった腫瘍を治療する場合に有効であることを明らかにした。
【0071】
難治性の腫瘍又は癌は、抗癌剤による治療に対して最初は応答できなかった、又は、治療の過程において耐性を発生した患者に由来する腫瘍として識別できる。更に又、特定の癌は特定の抗癌剤による治療に対して内因的に耐性を有するか、耐性を生じることがわかっている。例えば結腸直腸癌又は黒色腫はタキサン療法に本質的に耐性を有することがわかっており、そして卵巣及び肺癌(例えば小及び非小肺癌)は後天的タキソール耐性を生じやすい(Monzo et al.,Proc.A.A.C.R.,38:251(#1689),(1997);Giannakakou et al.,J.Biol.Chem.272,17118−17125,(1997);Ohta et al.,Jpn.J.Cancer Res.85,290−297,(1994);Kavallaris et al.,J.Clin,Invest.100:1282−1293,(1997))。他の例示される難治性腫瘍はシスプラチン又はカルボプラチンに一般的に耐性であるもの、例えば子宮頸癌、卵巣癌、ファローピウス管癌又は腹膜の原発癌が挙げられる。
【0072】
或いは、後天性又は内因性の薬剤耐性を有する患者は、腫瘍組織試料を入手し、そして、当該分野で良く知られている手法を用いて薬剤耐性に関連する遺伝子の配列又は発現分析を実施することにより発見できる。薬剤耐性に一般的に関連している遺伝子の例は、多剤耐性遺伝子(例えばMDR1)、P−糖蛋白、アネキシンI、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)、マクロファージ炎症蛋白2α(MIP2α)、ナチュラルキラー細胞増強因子B(NKEFB)を包含する。これらの遺伝子を分析するための方法は例えば米国特許6,737,240に記載されている。他の遺伝子は特定の抗癌剤に対する耐性に特に関連している。例えばタキソール耐性遺伝子はβ−チューブリン遺伝子及びタキソール耐性関連遺伝子−3(TRAG−3)を包含し、これらは特定の患者において過剰発現される(例えば米国特許6,362,321,米国特許6,251,682,Wahl et al.,Nature Medicine,2:72−79,(1996);Horwitz et al.,Natl.Cancer Inst.15:55−61,(1993);Haber et al.,J.Biol.Chem.270:31269−31275,(1995);及びGiannakakou et al.,J.Biol.Chem.272:17118−17125,(1997)参照)。
【0073】
シスプラチン又はカルボプラチンに対する耐性に関連している特定の遺伝子は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)及びメタロチオネイン遺伝子、癌遺伝子H−ras(Sklar,et al.,Cancer Res.48:793−797(1988);Isonishi et al.,Cancer Res.51:5903−5909(1991);Peters et al.,Int.J.Cancer 54:450−455(1993))、 myc(Niimi et al.,Br.J.Cancer 63:237−241,(1991))、trk(Peters(1993),同)及びfos(Scanlon et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10591−10595,(1991))及びDNA修復遺伝子ERCC−1(Reed et al.,Proc.A.A.C.R.,30:488(1989))及びXPACを包含する。白金配位化合物に対する耐性について腫瘍を試験するための方法は当該分野で知られている(例えば米国特許5,434,046;5,703,336;5,846,725;5,942,389;及び6,046,044参照)。
【0074】
コンブレタスタチン耐性腫瘍には、コンブレタスタチン誘導血流遮断及び腫瘍低酸素の後に生存状態で残存する末梢酸素付与腫瘍細胞の辺縁を有するものが包含される。このような腫瘍は当該分野で知られた標準的な画像化手法、限定しないが、例えば磁気共鳴画像化(MRI)、陽電子発射断層撮影(PET)、コンピューター蛍光断層撮影(CRT)、蛍光系画像化又はシンチグラフ画像化を低酸素感受性マーカーに対して行うことにより発見できる(例えばSengupta et al.,Faseb J.,2004,Stevenson et al.,J.Clin.Oncol.,21(23):4428−38(2003);Galbraith et al.,J Clin Oncol.21(15):2831−42(2003);Anderson et al.,J Clin Oncol.,21(15):2823−30(2003),Siim et al.,Cancer Res.60(16):4582−8(2000)及びMaxwell et al.,Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.42(4):891−4,(1998)参照)。
e)投与順序
作用の如何なる理論にも制約されないが、特定の抗癌剤は比較的高い腫瘍内濃度において最も効果的な場合があるが、急速に腫瘍組織から一掃される。そのような薬剤の場合、コンブレタスタチン及び少なくとも1つの他の抗癌剤の同時投与が組合せの作用を強化できることを本発明者等は発見した。同時投与は他の抗癌剤を腫瘍組織内に再高濃度になるまで急速に蓄積させ、しかもなお、腫瘍組織を一掃している血管がコンブレタスタチン化合物により破壊されるに従い、薬剤を「封じ込める」のである。このような薬剤は本明細書では「最高腫瘍内濃度剤」と称する。最高腫瘍内濃度剤はコンブレタスタチン化合物と同時、又は、時間的に近接して投与してよい。
【0075】
他剤は例えば高濃度で存在する必要はないが、全体的細胞周期の比較的短い期間に最も効果的となる。そのような薬剤は蛋白結合とし、腫瘍組織と接触して残存している時間に渡って不活性とすることができるため、それらは薬剤の持続的供給が腫瘍に到達する条件下で最も効果的となる。これらの場合の組合せ療法の薬効強化は、薬剤の1つの作用が他のものより前に生じるように投与の間に十分な時間差を設けながら抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物を逐次的に投与することにより得られる。即ち、そのような抗癌剤を最初に投与し、その後コンブレタスタチンを投与する前に時間差を設ける場合は、抗癌剤は化合物の作用を生じさせるために十分な時間をかけて腫瘍組織に到達し、更に腫瘍組織に損傷を与えるコンブレタスタチン化合物をその後に投与する。
【0076】
コンブレタスタチンを最初に投与し、その後、抗癌剤の投与の前に腫瘍への血流が再開するように時間差を設ける場合は、腫瘍はまずコンブレタスタチン化合物により弱体化し、その後抗癌剤により腫瘍に更に損傷が加えられる。この後者の場合においては、抗癌剤の腫瘍内濃度の持続時間は際高濃度よりも顕著となる。コンブレタスタチン化合物の初回投与による腫瘍血管への損傷は、血流再開後に、必要な抗癌剤の比較的低濃度が腫瘍組織に到達することを防止しない。このような薬剤は、本明細書においては「持続曝露剤」と称する。即ち、持続曝露剤及びコンブレタスタチン化合物は逐次的に投与してよく、コンブレタスタチン化合物の投与を最初に行い、その後抗癌剤とするか、又はその逆の何れかであってよいが、ただし、組合せの強化のためには投与の間に十分な時間差を設けなければならない。
【0077】
本発明の更に別の実施形態においては、特定の薬剤は、より長い持続時間に渡り腫瘍組織内で比較的高濃度で存在する(即ち、時間に対する濃度のプロットの「曲線下面積(AUC)」を最大限とする)場合に最も効果的となる。このような薬剤を最初に投与し、その後時間差を設けた後にコンブレタスタチン化合物を投与することは、抗癌剤の作用を生じさせ、その後のコンブレタスタチン化合物の投与が腫瘍組織を更に弱体化させることができる。このような薬剤の場合、最初に抗癌剤を投与することは、腫瘍血管の早すぎる損傷を回避し、そして十分な濃度の抗癌剤が腫瘍に到達できるようにする。このような薬剤は本明細書においては「高AUC剤」と称する。即ち、高AUC剤及びコンブレタスタチンA−4化合物又はコンブレタスタチンA−1化合物を逐次的に投与してよく、高AUC剤の投与をコンブレタスタチン化合物の投与に先行させてよいが、ただし組合せの強化のためには、投与の間に十分な時間差を設けなければならない。
【0078】
このような薬剤は好ましくは例えばコンブレタスタチン化合物の投与の24時間以内、例えば投与の2〜24時間前、3〜24時間前、6〜24時間前、8〜24時間前又は12〜24時間前に投与することができる。
【0079】
同時又は逐次的な投与の何れかに関わらず、コンブレタスタチン化合物及び少なくとも1つの抗癌剤は、腫瘍の増殖又は転移の調節、特に本明細書に記載した癌の治療の為に有効な任意の量において、又は、任意の投与経路により、投与することができる。
f)患者の選択及び治療の予後のための方法
他の特徴において、本発明は本明細書に開示した抗癌剤、特にコンブレタスタチン化合物を用いた治療に付す患者を選択するための方法、並びに、治療に対する患者の応答の予後のための方法、及び、抗癌剤により治療の過程をモニタリングするための方法を提供する。
【0080】
方法は抗癌剤で以前に治療されている患者から誘導した生物学的試料中のバイオマーカーのレベルを測定することを包含する。本発明の方法は、顆粒球のレベル、特に好中球のレベルをバイオマーカーとして使用する。顆粒球(多形核顆粒球、又は「PMN」とも称する)は正常血液の白血球60〜70%を含み、血管外の部位にも存在する。顆粒球(例えば好中球、好塩基球又は好酸球)は細胞毒性及び/又は細胞溶解性の機能を有し、腫瘍細胞を貪食又は溶解する。本発明者等は、顆粒球のレベル(例えば好中球レベル)は抗癌剤(例えばコンブレタスタチン)の投与後の患者においてかなり上昇すること、及び、腫瘍応答と相関させた場合にこのようなバイオマーカーは臨床効果の代理マーカーとして使用できることを発見した。
【0081】
顆粒球のレベルは当該分野で知られた許容される任意の方法により測定してよい。1つの実施形態において、好中球レベルは抗癌剤を投与された患者から得た生物学的試料中の顆粒球細胞の数又は密度を測定(例えば計数)することにより直接測定してよい。顆粒球の数又は密度を測定するための方法はフローサイトメトリー及び鑑別的細胞染色を包含する。顆粒球細胞の数又は密度の値は絶対値又は相対値(例えば好中球:リンパ球の比)であってよい。別の実施形態においては、好中球細胞は、試料中の白血球の数を計数してリンパ球(例えばT及びB細胞)の数を差し引くことにより資料中の好中球の数を得ることにより間接的に測定できる。
【0082】
別の実施形態においては、顆粒球レベルは生物学的試料中の顆粒球特異的マーカーの量を測定することにより求めてよい。顆粒球特異的マーカーは、顆粒球により発現され、そして非顆粒球細胞からはより低値のレベル(又は皆無)で発現される遺伝子産物(即ち遺伝子転写物(例えばmRNA)又は蛋白)を包含する。例示される顆粒球特異的マーカーは、クロロアセテートエステラーゼ、Gr−1、好中球特異的抗原、ゼラチナーゼ及びラクトフェリンの顆粒球蛋白、及び、カルプロテクチン(好中球特異的マーカー)が挙げられる。顆粒球特異的遺伝子産物のレベルはプローブを用いて測定してよい。適当なプローブは例えばcDNA、リボプローブ及び抗体を包含する。使用されるプローブの型は一般的に、インサイチュRNAハイブリダイゼーション用のリボプローブ、ノーザンブロッティング用のcDNA及びウエスタンブロッティング又はELISA用の抗体のように、特定の状況により決定されることになる。最も好ましいプローブは好中球特異的遺伝子産物に独特であるヌクレオチド又はポリペプチドの領域に指向されたものである。プローブの標識の形態は放射性同位体の使用等、適切である何れかであってよい。放射性同位体による標識は、プローブが化学的又は生物学的に合成されたかの何れかに関わらず、適当に標識された塩基の使用により達成してよい。標識の他の形態はELISAに特徴的なもののような酵素又は抗体の標識を包含してよい。
【0083】
抗癌剤(例えばコンブレタスタチン)による追加的治療のための患者を選択する方法は、患者から得られた生物学的試料中において観察される顆粒球バイオマーカーのレベルに基づく。その方法は、患者に第1の用量の抗癌剤を投与すること、患者から生物学的試料を得ること、及び、生物学的試料中の顆粒球のレベルを測定すること、及び、得られたレベルに少なくとも部分的に基づいて治療に付すべき患者を選択すること、を包含する。抗癌剤の初回投与後に上昇した顆粒球レベルが観察された場合には、抗癌剤を用いた継続治療に付すべく患者を選択してよい。或いは、投与後に顆粒球レベルが低下又は一定のままであれば、患者はその抗癌剤を用いた治療を中断するように指導されてよい。
【0084】
別の特徴において、顆粒球レベルは抗癌剤(例えばコンブレタスタチン)の投与後の患者における癌の進行をモニタリングするために使用してよい。方法は、抗癌剤投与後の初回の患者における顆粒球レベルを測定すること、抗癌剤の投与後の後の時点の患者における顆粒球レベルを測定することを包含する。例えば、初回の測定は抗癌剤の初回投薬直後の時点において行ってよく、第2回目の測定は抗癌剤の初回投薬又は2回目又はその後の投薬の後である第2の時点において実施してよい。次に、該初回及び第2回目に得られた顆粒球レベルを比較してよい。初回と比較して第2回目の顆粒球のレベルの低下は、腫瘍が進行又は回帰(即ち腫瘍増殖が継続)しているという診断を裏付けるために使用してよい。初回と比較して第2回目の顆粒球のレベルの上昇は、腫瘍が退行(即ち腫瘍が収縮)しているという診断を裏付けるために使用してよい。
【0085】
別の特徴において、本発明は抗癌剤、特にコンブレタスタチンを用いた治療に対する患者の応答(例えば腫瘍の退行又は軽減)の尤度の評価、予測又は予後の方法を提供する。抗癌剤の薬効を予測することができ、そして、患者から得られた生物学的試料中の顆粒球レベルを測定することにより、癌に罹患した患者の考えられる臨床経過を調べることができる。例えば、顆粒球レベルの上昇は腫瘍応答の尤度の上昇と相関する。患者の生物学的試料の上昇した顆粒球レベルの存在は抗癌剤(例えばコンブレタスタチン)を用いた治療に対する腫瘍の応答を示している。逆に特定のベースラインより低値のレベルは治療に対する腫瘍の応答の欠如を示す。例えば、好中球レベルの上昇(即ち好中球増加症)は投与後好中球レベルをベースラインレベル(抗癌剤投与前の同じか異なる患者)と比較することにより調べる。このような患者は好ましい予後を有すると予測される。
【0086】
絶対的顆粒球レベルがベースラインより1.0%を超えて上昇又は低下していることは、上記した何れかの判断を行うために使用してよい。好ましくは顆粒球レベルの上昇又は低下は、2.0%、3.0%、4.0%、5.0%、7.0%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%以上、又はそれより高値である。厳密なベースラインレベルは幾分任意であるが(試験の予後使用における正確性の必然的低下に伴って数的カットオフ値が上方又は下方に移動する場合がある)、本明細書に開示した実験方法を用いること、例えば、評価した抗癌剤を投与されていない患者における顆粒球レベルを明らかにすることのいずれかにより、適切なベースラインレベルを調べることは当業者の技術の範囲内にある。更に又、当業者の知る通り、治療の評価は関連する疾患の症状又は臨床的終点の評価に基づいてもよい。
【0087】
対象の顆粒球レベルの比較は異なる試料採取時間において対象から採取した生物学的試料から得られる測定値を使用する。第1の生物学的試料は必要に応じて、抗癌剤の投与の前の何れかの時点において得てよい。第2の生物学的試料は好ましくは抗癌剤(例えばコンブレタスタチン)の投与の24時間以内に得る。より好ましい実施形態においては、第2の生物学的試料は抗癌剤(例えばコンブレタスタチン)の投与後6時間未満に得る。対象より第2の生物学的試料を得る好ましい時間は抗癌剤投与後4時間である。
【0088】
顆粒球レベルに関してスクリーニングできる生物学的試料は、顆粒球、好ましくは好中球を含有する試料である。例としては限定しないが、腫瘍生検試料又は患者から得た血液又は血清試料が挙げられる。好ましい実施形態においては、生物学的試料は患者の血液から得られる。
g)医薬組成物
上記した通り、本発明の方法は、例えば、投与を同時に行うべき場合におけるコンブレタスタチン化合物及び1つ以上の抗癌剤の両方を含む単一の医薬組成物を用いて、又は、投与を同時又は逐次的に行うべき場合におけるコンブレタスタチン化合物及び抗癌剤を別個に含む医薬組成物2つ以上を用いて、実施することができる。このような医薬組成物は、とりわけ、少なくとも1つの抗癌剤及び/又はコンブレタスタチン化合物、例えばCA4P化合物又はCA1P化合物及び製薬上許容しうる担体を含むことができる。「製薬上許容しうる」という表現は、生理学的に耐容性があり、そして好ましくはヒトへの投与時にアレルギー性又は同様の望ましくない反応、例えば胃の不調、眩暈等をもたらさない分子実体及び組成物を指す。
【0089】
好ましくは、本明細書において使用される「製薬上許容しうる」という用語は、連邦の規制当局又は州政府より認可されるか、又は、動物、そして特にヒトにおける使用に関する米国薬局方又は他の一般的に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。「担体」という用語は例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、補助剤又はベヒクルを指し、これらと共に本発明の活性剤を投与するものである。このような薬学的担体は滅菌された液体、例えば水又は油、例えば石油、動物、植物又は合成起源のもの、例えばピーナツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油等であることができる。水又は水性の食塩溶液及び水性のデキストロース及びグリセロール溶液が特に注射溶液用の担体として好ましく使用される。E.W.Martinが「Remington’s Pharmaceutical Science」において適当な薬学的担体を記載している。
【0090】
本発明の医薬組成物は何れかの適当な経路、例えば注射、経口、肺、経鼻、又は他の投与形態により、投与できる。一般的に、本発明の範囲内に意図される医薬組成物は、特に、製薬上許容しうる希釈剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体を含む。そのような組成物は種々の緩衝物質(例えばトリス塩酸、酢酸塩、リン酸塩)含量、pH及びイオン強度の希釈剤;添加剤、例えば洗剤及び可溶化剤(例えばツイーン80、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存料(例えばチメルソール、ベンジルアルコール)及び増量物質(例えば乳糖、マンニトール);ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のような重合体化合物の粒状調製品内への、又は、リポソーム内への物質の配合を包含することができる。このような組成は本発明の医薬組成物の成分の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビトロ消失速度に影響する場合が有る。例えば、参考文献として本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.18042)p1435−1712を参照できる。本発明の医薬組成物は例えば液体形態に製造でき、又は、乾燥粉末、例えば凍結乾燥形態であることができる。このような組成物の投与の特定の方法は後に記載する。
h)投与方法
上記した通り、本発明はCA4P化合物又はCA1P化合物のようなコンブレタスタチン化合物及び少なくとも1つの抗癌剤をとりわけ含んでいる、腫瘍の増殖及び転移を調節するための方法に関する。本発明の薬剤は別個に(例えば別個に製剤して投与する)か、又は、本発明の医薬組成物として組み合わせて投与できる。投与は何れかの適当な経路により、例えば非経腸、経粘膜、例えば経口、経鼻又は直腸、又は、経皮的に行うことができる。好ましくは、投与は非経腸、例えば静脈内注射により行う。投与のための代替の手段はまた、限定しないが、小動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び、頭蓋内投与、又は、治療すべき腫瘍内部又は腫瘍を包囲する組織内部への注射を包含する。
【0091】
コンブレタスタチン化合物、例えばCA4P化合物又はCA1P化合物及び抗癌剤はリポソームのような小胞を包含する、任意の適当な医薬品製剤中で上記した通り使用してよい[Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treat et al.,in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(eds.),Liss:New York,pp.317−327参照、一般的には前出文献も参照]。好ましくは、本発明の薬剤を含有するリポソームの投与は非経腸、例えば、静脈内注射によるが、そのほか限定しないが、小動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び、頭蓋内投与、又は、治療すべき腫瘍内部又は腫瘍を包囲する組織内部への注射も包含してよい。
【0092】
更に別の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、例えば静脈内注入、インプラント可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム又は他の投与様式を用いるような制御放出系において送達することができる。特定の実施形態においては、ポンプを使用してよい[Langer,上出;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald et al.,Surgery 88:507(1980);Saudek et al.,N.Engl.J.Med.321:574(1989)参照]。別の実施形態においては、重合体物質を使用してよい[Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.)/CRC Press:Boca Raton,Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley:New York(1984);Ranger and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983);see also Levy et al.,Science 228:190(1985);During et al.,Ann.Neurol.25:351(1989);Howard et al.,J.Neurosurg.71:105(1989)参照]。更に別の実施形態においては動物の標的組織の近接部に制御放出系を設置することにより全身用量の僅か少量を必要とするのみとなる[Goodson,Medical Applications of Controlled Release,上出,vol.2,pp.115−138(1984)参照]。特に、制御放出装置は不適切な免疫活性化又は腫瘍の部位の近接部において動物に導入できる。他の制御放出系はLanger[Science 249:1527−1533(1990)]の文献において検討されている。
【0093】
以下の実施例は本発明の実施形態を説明するために提示する。それらは如何なる点においても本発明を制限しない。
【実施例】
【0094】
実施例I及び実施例IIの実施を容易にするために以下のプロトコルを提示する。
【0095】
薬剤投与:げっ歯類への投与のため、CA4Pを生理食塩水(0.9%NaCl)に溶解した。パクリタキセルをエタノールとCremophor(登録商標)の50/50混合物に溶解し、4℃において保存し;パクリタキセルの最終希釈はNaCl0.9%を用いて薬剤投与直前に行った。パクリタキセルの新鮮調製物を用いることにより沈殿を回避した。CPT−11は生理食塩水に溶解した。注射した全化合物の容量はマウスで0.01ml/g、ラットで0.005ml/gとした。
【0096】
インビボ抗腫瘍試験:以下の腫瘍モデル、即ちA2780ヒト卵巣癌、ネズミ線維肉腫M5076及びM5076/ddp(シスプラチン及びカルボプラチンに耐性)を使用した。
【0097】
ヒト腫瘍はBalb/cnu/nuヌードマウスにおいて維持した。M5076及びM5076ddpはC57BL/6マウスにおいて維持した。腫瘍はドナーマウスより得た腫瘍フラグメントを用いて、適切なマウス系統に皮下移植物として増殖させた。
【0098】
マウスの指定宿主系統において、以下の腫瘍、即ちC57Bl/6においてはネズミM5076線維肉腫(M5076);ヌードマウスにおいてはヒトA2780卵巣癌を継代させた。腫瘍の継代はネズミ腫瘍では2週に1回、そしてヒト腫瘍系統では概ね2〜3週ごとに行った。薬効試験に関しては、M5076及びM5076ddp腫瘍を(C57Bl/6xDBA/2)F1交雑マウスに移植し、ヒト腫瘍はヌードマウスに移植した。薬効試験用の全腫瘍インプラントは皮下(sc)とした。
【0099】
意味の有る応答を検出するために必要な動物の数を実験開始時にプールし、各々に13ゲージのトロカールを用いて腫瘍フラグメント(〜50mg)の皮下移植を行った。早期の段階の腫瘍の治療のためには、動物を再度プールした後に種々の投与及び対照群に分配した。進行段階の疾患を有する動物の治療のためには、腫瘍を所定のサイズ領域(範囲外の腫瘍は除外)にまで増殖させ、そして動物を種々の投与及び対照群に均一に分配した。各動物の投与は個体の体重に基づいて行った。投与動物は投与関連の毒性/死亡に関して毎日確認した。動物の各群の計量は投与開始前(Wt1)、そして次に最終投薬後(Wt2)に再度行った。体重の変化(Wt2−Wt1)は投与関連毒性の尺度となる。
【0100】
腫瘍応答は、腫瘍が1gmの所定の「標的」サイズに到達するまで、週2回、カリパスを用いた腫瘍の計測により調べた。腫瘍重量(mg)を以下の式により測定した。
【0101】
腫瘍重量=(長さx幅2)÷2
抗腫瘍活性は、最大耐容性用量(MTD)において評価したが、これはそれより少しでも低値では過剰な毒性(即ち1例より多い死亡)が生じる用量レベルとして定義されるものである。MTDはODと等しい場合が多い。死亡例があった場合は、死亡日を記録した。自身の腫瘍が標的サイズに到達するよりも前に死亡した投与マウスは薬剤毒性により死亡したものとみなした。標的サイズ未満の腫瘍を担持した状態で死亡した対照マウスは無かった。薬剤毒性により生じた1例より多い死亡のあった投与群は過剰毒性の投薬があったものとみなし、そのデータは化合物の抗腫瘍薬効の評価には含めなかった。
【0102】
腫瘍応答の終点は対照群(C)と比較した場合に投与腫瘍(T)が所定の標的サイズに到達するまでに要した時間(日数)の差として定義される腫瘍増殖遅延(T−C値)の項として表示した。
【0103】
腫瘍細胞殺傷を測定するために、腫瘍体積倍加時間を以下の式によりまず計算した。
TVDT=対照腫瘍が標的サイズに到達するためのメジアン時間(日数)−対照腫瘍が標的サイズの半分に到達するためのメジアン時間(日数)、及び、Log細胞殺傷=T−C÷(3.32xTVDT)
データの統計学的な評価はGehanの一般化Wilcoxon検定を用いて行った。
【0104】
(実施例1.2成分組合せ化学療法)
M5076DPPはシスプラチンに対する耐性及びカルボプラチンに対する交差耐性を発生させているネズミ線維肉腫である。これらの白金配位化合物及びCPT−11の各々との組合せにおけるCA4P及びCA1Pのインビボの抗腫瘍活性をM5076DDP腫瘍担持マウスにおいて評価した。
i)CA4P+シスプラチン
毎日x10(月曜〜金曜)日程を用いた進行(300mg)M5076DDP腫瘍を担持したマウスのCA4P投与は中等度ではあるが有意な抗腫瘍作用をもたらした。その最適用量(150mg/kg/inj)において、コンブレタスタチンA−4ホスフェート2ナトリウム塩は1.1の対数細胞殺傷(LCK)を示した。これと比較して、単剤シスプラチンは4日毎3投薬(Q4Dx3)で注射した場合に7.5mg/kgの最高耐容性用量(MTD)において0.8の対数細胞殺傷(LCK)を示した。これと比較して、同時に投与したCA4P(250mg/kg/inj)+シスプラチン(5mg/kg/inj)の組合せは、2.0LCKを達成し、これはCA4Pとシスプラチンの間の相乗作用と合致している(図2A)。
【0105】
興味深いことに、組合せは投与後の腫瘍の有意な収縮をもたらしたのに対し、単剤シスプラチンはもたらさなかった(図1)。この相乗作用的組合せ用法の別の特筆すべき特徴は他の用法では不活性(低値)用量のシスプラチンの薬効を有意に向上させるCA4Pの能力である(図2B)。
ii)CA4P+カルボプラチン
CA4Pはまたカルボプラチンと組み合わせて使用した場合に、大型のscM5076腫瘍(H300mg)に対する相乗作用的抗腫瘍活性をもたらした。この感受性腫瘍モデルにおいて、カルボプラチン単独では1.4LCKであったが、そのMTDである90mg/kg/inj、iv、Q4Dx3において腫瘍の退行は観察されなかった。別の実験ではQ4Dx3投与の単剤CA4Pはこのモデルにおいて活性を有していないことが示された。
【0106】
これと比較して、最良の組合せは2.0LCKをもたらし、これは顕著な腫瘍収縮を伴っていた(図3A)。これらのデータはCA4Pとカルボプラチンとの間の相乗作用的案腫瘍活性と合致していた。
【0107】
CA4P+カルボプラチン組合せ用法により惹起された腫瘍応答の2つの重要な特徴は(1)治療の相乗性の為に必要な最適CA4P用量(<90mg/kg/inj)は単剤としてのそのMTD(>250mg/kg/inj)より有意に低値であった(図3B)であり;(2)最適抗腫瘍作用をもたらすために必要なカルボプラチンの用量(単剤として投与した場合90mg/kg/inj)はCA4Pと組み合わせて使用した場合には大きく低減された(図3B)。
【0108】
順序時期試験は、カルボプラチン(CB−pt)とCA4Pは好ましくは概ね同時に投与することを示していた(図4)。最も好ましくは、カルボプラチンはCA4Pの直前に投与する。このグラフで示される腫瘍モデルはM5076ddp(M5076ネズミ線維肉腫の白金耐性変異体)である。
【0109】
CA4P二ナトリウム塩の腫瘍灌流に対する作用もまたエバンズブルー染料取り込み試験を用いて調べた。scA2780ヒト卵巣癌を担持するマウス又はラットにCA4P2ナトリウム塩のiv用量を投与した。1時間後、エバンズブルーをiv注射した。腫瘍内に蓄積したエバンズブルーの量は腫瘍を通過する血流に比例する。この手法を用いたところ、CA4Pはマウス及びラットの両方において腫瘍への血流を劇的に抑制しており、最適濃度において、それぞれ、腫瘍血流の67%及び87%減少をもたらした(図5A及び5B)。
【0110】
ここで示されるようなシスプラチン及びカルボプラチンとの頑健な治療上の相乗性のために、好ましいCA4P用量がかなり低値である(遊離酸45〜63mg/m)ことをヒトの薬物動態データが示していることから、CA4P二ナトリウム塩の用量を低減した。従って、中等度のカルボプラチン耐性のネズミ線維肉腫M5076/DDPにおけるカルボプラチンとの組合せ療法の為に必要とされる最低CA4P用量を決定するための試験を実施した。単剤活性を有さないCA4Pの用量及び投与用法(iv,q4dx3)を用いたところ、ある範囲の用量レベルにおいて投与されるカルボプラチンの抗腫瘍活性を増強するためには、CA4Pは12.5〜25mg/mもの低値の用量で十分であったことが示された。図7A、7B及び7Cを参照できる。
iii)CA4P+CPT−11
組み合わせたCPT−11及びCA4P二ナトリウム塩の投与の抗腫瘍活性を評価するために組合せ化学療法試験を実施した。2剤の実質的同時(5分間隔)投与〜CPT−11の3又は24時間先行投与後CA4Pという範囲において、本発明に従って種々の投薬日程を用いた。自身のMTDにおいて、CTP−11は3.3LCKを示した。2剤同時投与又は3時間間隔ではCPT−11単独と等しい結果が得られた。しかしながら、CPT−11を24時間CA4Pに先行させたところ、増強された抗腫瘍作用が観察され(図6)、本発明の好ましい実施形態を示していた。
iv)CA4P+パクリタキセル
本発明は例えばCA4Pのようなコンブレタスタチン化合物をパクリタキセルと共に、又はパクリタキセル及びカルボプラチンと共に投与することを意図する。CA4Pとパクリタキセルの2剤を投与する場合の最適投与日程、即ち逐次性又は順序を決定するための多くの試験が実施されている。この論点がこの組合せの場合に特に重要であると考えられる理由は以下の2点、即ち(1)CA4Pはチューブリン脱重合剤であるのに対し、パクリタキセルはチューブリン重合剤であるため、チューブリンレベルにおいて相互作用の潜在性があること及び2)腫瘍内のパクリタキセルの限局的微小薬物動態並びに腫瘍増殖状態に影響する可能性のある腫瘍血流をCA4Pが抑制すること、である。
【0111】
初回の試験はCA4P(100mg/kg)と共にパクリタキセル(30mg/kg)を投与することの作用を評価するために実施した。2剤の投与の間には15分間隔を設けた。結果によれば、組合せ療法としての2剤の投与はこのモデルにおいて組合せの全体的薬効に対して意外にも相乗性であった(図8)。この結果は各薬剤に関して一般的に受け入れられている作用機序に鑑みれば特に予測されないことであった。タキソールは急速に増殖する腫瘍細胞の重合化微小管への結合及びそれらを安定化させることにより、それらの脱重合を抑制し、腫瘍細胞の分裂を停止させることにより、腫瘍細胞増殖に対してその作用を発揮していることがわかっている(例えばGelmon K.,et al.The Lancet,(1994);344:1267−1272参照)。これとは対照的に、CA4Pは、(重合化チューブリンとは反対に)β−チューブリン単量体への薬剤の結合がそれらの微小管への組立を防止するという逆の作用機序を提唱されている(Sackett D.,et al.Pharmacol Ther.,(1993);59(2):163−228)。
v)CA1P+カルボプラチン又はシスプラチン
CA1Pの治療能力を更に調べるために、CA1Pの3つの薬理学的特徴、即ち[1]単剤としての抗腫瘍薬効、[2]シスプラチンとの組合せにおける抗腫瘍薬効、及び[3]腫瘍血流に対する作用を評価するために試験を実施した。
【0112】
CA1PはN87ヒト胃癌及びA2780卵巣癌を包含するヒト腫瘍異種移植片モデルにおいて向上した単剤活性を示している。A2780において、CA1PはそのMTDの9mg/kg、ip、q1dx8において2.1LCKを達成したのに対し、CA4Pは150mg/kg、ipにおいて1.1LCKであった。図9を参照できる。
【0113】
腫瘍灌流試験においては、CA1Pナトリウム塩はマウスにおけるA2780ヒト卵巣腫瘍異種移植片及びN87胃癌腫瘍異種移植片の両方において、腫瘍血流を顕著に抑制した。腫瘍担持マウスに対し10日間単剤として毎日投与した場合にはCA1Pナトリウム塩はヌードマウスにおけるヒト腫瘍異種移植片でCA4Pを用いた場合に観察されたものと等しい血流抑制を示したが、5〜10倍より強力であった。
【0114】
組合せ化学療法試験において、治療上の相乗性はカルボプラチンを使用した場合に観察された。図10に示す通り、組合せ化学療法により、CA1PがCA4Pの場合に観察されたものと同様の態様においてカルボプラチンの抗腫瘍活性を増強したことが明らかになった。相乗的抗腫瘍活性もまた明らかになった。好都合なことに、相乗的増強の為に必要な最小有効用量はCA4P(25〜50mg/kg)と比較してCA1P(4〜8mg/kg)においてかなり低値となった。更に又、CA1Pをカルボプラチンと組み合わせて投与すると、完全な応答(腫瘍の消失)をもたらす相乗的抗腫瘍活性が観察された。何れかの薬剤を単独で投与した場合、この応答は観察されなかった。図11を参照できる。
【0115】
別の試験では、CaNT乳房腫瘍モデルにおいてシスプラチンと組み合わせてCA1Pを投与した。図12からわかる通り、シスプラチンとCA1Pの組合せ投与は相乗的に腫瘍サイズを低減した。
【0116】
(実施例2.3成分組合せ化学療法)
タキサン及び白金配位化合物の両方と組合せてコンブレタスタチンを投与することの作用を評価するための試験を実施した。カルボプラチン及びパクリタキセルの標準的な化学療法の用法と組み合わせたCA4Pの三重薬剤カクテルを検討の為に選択した。更に又、多くの投与順序を試験した。
【0117】
ヒト乳房腺癌モデルをフォックスチェイスCB−17SCIDマウスにおいて培養MDA−MB−231細胞の皮下注射により樹立した。平均腫瘍サイズが50〜100mmに達した時点で、マウスを無作為に、体重及び腫瘍サイズに有意差が無いように数群(I〜VII)に分割した。第0日において、各群に抗癌剤を投与した。第I群のマウスは対照群として食塩水担体のみを投与した。第II群のマウスには9mg/kgの用量のパクリタキセルを腹腔内(ip)注射し、次いで30分後に30mg/kgの用量でカルボプラチンを注入した。第III群のマウスには100mg/kgの用量でCA4P2ナトリウム塩を投与した。第IV群のマウスには第III群のマウスと同じ用量のCA4Pを投与し、次いで24時間後に第II群と同じ用量のパクリタキセル及びカルボプラチンを投与した。第V群のマウスには第IV群と同様にCA4Pを投与し、次いで1時間後にパクリタキセル及びカルボプラチンを投与した。第VI及びVII群のマウスにはパクリタキセル及びカルボプラチンを先ず投与した。CA4Pは4時間後(第VI群)又は24時間後(第VII群)に投与した。この投与用法を週1回で3週間継続した。第2、6、9、13、16、20及び23日において、各投与群(n=2)の腫瘍を幅及び長さにより計測した。腫瘍サイズ(即ち体積)は以下の式、即ち、長さx幅x0.4により計算した。図17に示す通り、カルボプラチン及びパクリタキセルの2成分療法は増殖遅延に影響したのに対し、CA4P、パクリタキセル及びカルボプラチンの三重組合せはほぼ完全に腫瘍増殖を抑制した。更に又、CA4Pの投与は同時(1時間以内)又は逐次(24時間以内)の何れの順序においても、相乗的抗腫瘍作用をもたらした。
【0118】
(実施例3.薬剤耐性腫瘍の治療)
薬剤耐性腫瘍の治療のためにタキサン及び白金配位化合物の両方と組み合わせてコンブレタスタチンを投与することの作用を評価するために試験を実施した。三重薬剤カクテル(コンブレタスタチン+パクリタキセル+カルボプラチン)の有効性はカルボプラチン及びパクリタキセルの標準的な組合せ化学療法に対して耐性である腫瘍において検討した。
【0119】
多剤耐性ES2ヒト明細胞卵巣癌をフォックスチェイスCB−17SCIDマウスにおいて培養ES2細胞の皮下注射により樹立した。1つの実施形態において、腫瘍担持マウスには、CA4Pを100mg/kg用量(第II群)、食塩水担体のみ(第I群)、腹腔内(ip)注射によるパクリタキセル9mg/kg用量と30分後の注入カルボプラチン30mg/kg用量(第II群)、又は、CA4P(100mg/kg)と24時間後の第II群と同様のパクリタキセル及びカルボプラチン(第IV群)を投与した。抗癌剤の投与は、週1回で4週間行った(即ち第11、19、26及び33日)。各投与群(n=2)の腫瘍は4日毎に幅及び長さにより計測した。腫瘍サイズ(即ち体積)は以下の式、即ち、長さx幅x0.4により計算した。図13に示す通り、パクリタキセル及びカルボプラチンのみの2成分療法は腫瘍増殖の制御においてはほぼ完全に無効であった。更に又、CA4P単独ではパクリタキセル及びカルボプラチンよりも有意により有効ではなかった。しかしながら、CA4P、カルボプラチン及びパクリタキセルの組合せは薬剤耐性を明確に退行させ、そして顕著な増殖遅延が達成された。更に又この3重組合せは腫瘍担持動物の生存を明確に延長した(図14参照)。3重組合せにより80%を超える治療された動物が実験終了時になお生存していたのに対し、CA4Pでは30%、そしてパクリタキセル及びカルボプラチンでは生存例はなかった。
【0120】
第2の実験において、腫瘍担持マウスにCA1P及び/又はカルボプラチン及びパクリタキセルを第1の実験と同じ治療用法において投与した。図15に示す通り、パクリタキセル及びカルボプラチンのみのニ成分療法は腫瘍増殖の制御においてはほぼ完全に無効であった。しかしながらCA4Pとは対象的に、CA1P単独で、多剤耐性表現型にも関わらず、かなりの抗腫瘍増殖遅延が生じた。CA1P、カルボプラチン及びパクリタキセルの組合せは更に、薬剤耐性の退行も強化し、そして腫瘍増殖遅延に対する相乗作用が達成された。更に又、この3重組合せは腫瘍担持動物の生存性を明確に強化した(図16参照)。3重組合せにより70%を超える治療された動物が実験終了時になお生存していたのに対し、パクリタキセル及びカルボプラチンを投与した動物でなお存在しているものはいなかった。
【0121】
(実施例4.臨床予後のインジケーターとしての好中球増加症)
CA4Pの第I相治験に参加した患者から得た全血に対して血液学的分析を実施した(Rustin et al.,J.Clin.Oncol.(2003)参照)。全患者は組織学的に確認された腫瘍を有しており、そして標準的な治癒療法に適しないか、又は、従来の療法に対しては難治性であった。投与1分前、投与後最初の1時間は15分毎、そして、CA4P(52〜114mg/m)の初回用量の注入後1.5、2、4、8、12及び24時間後に各患者から採決した。当該分野で知られている血液学的方法を分析において使用した。
【0122】
全又は分画血球計数の全てを血液学的フローサイトメーターを用いて実施した(Technicon H2,Bayer Inc.)。全白血球(WBC)及び赤血球(RBC)の計数値は直接レーザーフローサイトメトリーを用いて明らかにした。骨髄起源の白血球の分画計数(例えば好酸球、好中球、単球)はミエロパーオキシダーゼ染色した細胞の蛍光フローサイトメトリーにより求めた。未染色の細胞はリンパ球及び好塩基球と推定した。リンパ球数は第2の好塩基球特異的細胞染色で染色陰性であった細胞を差し引くことにより求めた。平均赤血球容積(MCV)及び平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)もまたレーザーフローサイトメトリーを用いて求めた。ヘマトクリット(Hct)はRBC数とMCVから計算した。各血液試料の凝固状態はフィブリノーゲン含有量、プロトロンビン時間及びカオリン部分トロンボプラスチン時間(活性化剤としてミクロ化シリカの代わりにカオリンを使用した場合)を測定することにより調べた。
【0123】
細胞数はある範囲のCA4P投与(52〜114mg/m)を受けた19人の患者から平均した。投与後4及び24時間に得られた完全な血液学的分析の結果を相当する投与前の値のパーセントとして図18に示す。下向きの矢印で示される通り、患者はCA4P投与後4時間で全白血球の高度に顕著な増大を示した。白血球の増大はリンパ球数の顕著な低下にも関わらず生じた(即ちT及びBリンパ球)。より精密に調べたところ、全WBC数の増大は、CA4P投与後の好中球数の主要な増大に起因していた。比で表示した場合、データは好中球のリンパ球に対する比が約4:1から約11:1に増大していることを示している(図19参照)。しかしながら好中球の2倍超の増大、及び、リンパ球の20%を超える減少は一過性であり、白血球数は投与24時間以内に正常レベルに戻った。
【0124】
好中球は多くの細胞毒性及び細胞溶解性の機序を介して腫瘍細胞を殺傷する能力を有しているため、好中球数は、コンブレタスタチン又は何れかの他の抗血管剤の投与の後の治療薬効の予後的インジケーター又は予測子として利用してよい。好中球数増加(好中球増加症)の証拠は、コンブレタスタチン投与患者の生物学的試料において観察される場合に、コンブレタスタチンの継続投与に付す患者を選択するために使用してよい。患者が好中球増加症を示すことができなかった場合は、情報は、患者の治療を継続するべきか、又は、治療を中断すべきかを決定する場合に有用となる。治療薬効のマーカー(即ち「バイオマーカー」)としての好中球の信頼性は患者の大型群の血液中の好中球の増大した数の観察を患者のその群の治療薬効と相関付けることにより確認してよい。
【0125】
(実施例5.進行癌及び進行卵巣癌を有する患者におけるカルボプラチン及びパクリタキセルの化学療法と組み合わせたCA4Pの臨床第I/II相治験)
カルボプラチン及びパクリタキセルと組み合わせたCA4Pの第I/II相治験を実施することによりこの3重組合せの最適用量を明確にし、そしてアジュバント療法又は転移の状況において白金配位化合物を含む用法による第1選択肢の治療の後に回帰している卵巣癌/原発性腹膜癌を有する患者におけるその薬効を評価した。
【0126】
第I相試験のコホートは、18歳以上の等しい(20)成人(男性及び女性)である、各々10人の被験者の2組のコホートよりなるものとした。各患者は標準的治療法が功を奏さないか、又は、対抗する延命治療法が存在しない、組織病理学的又は細胞学的に確認された悪性固形腫瘍を有していたという試験参加基準に合致していた。更に又、被験者は十分な臓器機能を有し、何れの他の主要な併発疾患を有していなかった。臨床的に問題となる心臓の異常又はQT延長の証拠は明らかにされなかった。各被験者は12週間より長い余命、十分な骨髄機能(絶対顆粒球数>1500個/mm及び血小板数>100,000個/mm)、十分な肝機能(総ビリルビン<1.5mg/dl;ALT及びAST<2.5x正常値上限)及び十分な腎機能(EDTAクリアランスにより測定した糸球体濾過率(GFR)>35ml/分)を有していた。
【0127】
被験者が最後に化学療法及び/又は免疫療法を受けた時点から最小28日の間隔又は放射線療法の場合は14日の間隔を被験薬剤の初回投与の前に経過させなければならない(ニトロソ尿素又はマイトマイシンCのような遅延毒性を伴うことがわかっている治療薬の場合は42日間)。患者が重篤な独立併発の感染症、又は、制御不可能であるか、制御が本治療の合併症により危うくなるような他の非悪性の疾患を有する場合は、それらは試験から除外した。患者が2等級以上の既存の末梢神経障害(運動又は感覚)、持続する症状により明確化される制御不可能な脳転移又はコルチコステロイドの必要性、第1サイクルの投与を受ける前4週以内の大手術、兆候性の末梢血管疾患又は脳血管疾患、又は、患者をプロトコルの必要性に準拠できなくするような精神障害又は他の状態を呈している場合は、それらを除外した。
【0128】
初回の第I相試験については、2治療アーム(CA4P+カルボプラチン及びCA4P+パクリタキセル)の一方を用量漸増治験において患者に投与した。カルボプラチン、パクリタキセル及びCA4Pの用量漸増は最大耐容性用量(MTD)が樹立されるまで実施した。サイクル時間は21日とした。第1日において、3人の患者の二つの群がCA4Pの2開始用量レベルの一方の10分間注入を受けた。第1群は36mg/mの遊離酸(44mg/mの二ナトリウム塩と同等)用量のCA4Pをカルボプラチンとの組合せの場合に投与され、そして第2群は27mg/mの遊離酸(30mg/mの二ナトリウム塩と同等)用量のCA4Pをパクリタキセルとの組合せの場合に投与された。第2日において、第1群はカルボプラチンの1時間注入を受け、そして第2群はパクリタキセルの3時間注入を受けた。カルボプラチンの開始用量はAUC4とし、パクリタキセルの開始用量は135mg/mとした。
【0129】
実際に投与されたカルボプラチンの総用量は標的の濃度曲線下面積(AUC)に相当し、そして変形したCalvertの式:(標的AUC)x(CrCl+25)=ミリグラム表示のサイクル当たりのカルボプラチン用量を用いて計算される。クレアチニンクリアランス(CrCL)は100cc/分を上限とし、そして、Cockroft−Gaultの式:(140−年齢xボディマス)/(血漿中クレアチニンx72)xGFを用いて計算される。この式はミリグラム値としての全用量カルボプラチンを与える(mg/m用量ではない)。
【0130】
用量漸増は表IIIに示す通り実施した。用量制限毒性(DLT)が患者の1人において観察された場合は、コホートを6患者まで拡大しなければならないものとした。1人の患者においてDLTが生じなかった場合は、最小3患者を各用量レベルにおいて治療しなければならないものとした。現用量レベルにおける3患者が投与コース2を完了するまで、その後の用量レベルは開始しないものとした。最大耐容性用量(MTD)は1人以下の患者がDLTを経験する最高用量として定義した。カルボプラチンを併用投与された3患者において、及びパクリタキセルを併用投与された3患者においてMTDが60mg/mCA4Pと決定された後、60mg/mCA4Pの用量をパクリタキセル(3時間注入)、次いでカルボプラチン(1時間注入)と組み合わせて、3患者において評価した。
【0131】
(表III:第I相用量漸増日程)
【0132】
【表4】

第II相の試験については、アジュバント療法又は転移の状況において白金配位化合物を含む用法による第1選択肢の治療の後に回帰している卵巣癌、原発腹膜癌又はファローピウス管癌を有する患者を対象とし、2重(CA4P+カルボプラチン又はCA4P+パクリタキセル)又は3重(CA4P+カルボプラチン+パクリタキセル)の組合せの被験薬剤を投与した。第II相治験の実際の用量は60mg/m又は70mg/mのコホートが終了した後にのみ決定される。CA4PのMTDが何れの二重投与群でも60mg/m未満である場合は、最低MTDを3重投与群で使用する。3薬剤全てを推奨第II相用量(RP2D)で組合せ、6患者のコホートで検討する。1例以下のDLTが観察されれば、この用量を試験の第II相の要素のための追加24患者に進めることとする。RP2Dにおいて6患者の第1のコホートにおいて3重薬剤組合せを用いた場合に1例より多いDLTが観察されれば、1つ以上の薬剤の用量レベルの低下を6患者の別のコホートにおいて評価した後に、試験の第II相の要素に拡張するものとする。いずれの場合においても、試験の第II相要素における3重組合せの為に使用される最大用量はカルボプラチンAUC5、パクリタキセル175mg/m及びCA4P70mg/mとなる。
【0133】
CA4Pを第1日、8日及び15日にそのRP2Dにおいて注入により無作為に投与する。第2日において、患者はカルボプラチンの60分注入又はパクリタキセルの3時間注入を受けるか、又は、両方の化学療法剤を投与される場合は、パクリタキセル3時間注入の後にカルボプラチン60分注入を受ける。投与サイクルは21日とし、最大6サイクルの投与を行う。QTを延長することがわかっている何れの薬剤もCA4Pの静脈内投与の前72時間は保留し、CA4P投与後24時間以降に再開するものとする。全患者は十分な臓器機能を有し、他の大きな併発疾患を有していてはならない。患者は臨床的に問題となる心臓の異常又はQT延長の証拠を呈してはならない。
【0134】
(実施例6 進行した画像化可能な悪性疾患を有する患者におけるカルボプラチン及びパクリタキセルの化学療法と組み合わせたCA4Pの臨床第II相治験)
アジュバント療法又は転移の状況において白金配位化合物を含む用法による第1選択肢の治療の後に回帰している患者を参加させ、カルボプラチン及びパクリタキセルと組み合わせたCA4Pの2用量の一方を投与する。
【0135】
CA4Pを第1日、8日及び15日に45又は63mg/mの遊離酸用量において10分間注入により無作為に投与する。全投与量はCA4Pの遊離酸(非溶媒和)形態のmgに基づいて計算する。投与した薬剤の総量は対象の体表面積測定値(BSA)に用量をかけることにより求める。BSA(即ちm)はMostellerの式:BSA=([身長(cm)x体重(kg)]/3600)1/2を用いて求める。第2日(CA4P投与後21〜28時間)、患者にパクリタキセル(200mg/m)の3時間注入、次いでカルボプラチン(AUC=6)の60分注入を受けさせる。カルボプラチンの用量は標的の濃度曲線下面積(AUC)に相当し、そして変形したCalvertの式:(標的AUC)x(CrCl+25)=ミリグラム表示のサイクル当たりのカルボプラチン用量を用いて計算される。クレアチニンクリアランス(CrCL)は100cc/分を上限とし、そして、Cockroft−Gaultの式:(140−年齢xボディマス)/(血漿中クレアチニンx72)xGFを用いて計算され、式中GFは性別補正ファクターである。この式はミリグラム値としてのカルボプラチンの全用量を与える。
【0136】
投与サイクルは21日とし、最大6サイクルの投与を行う。QTを延長することがわかっている何れの薬剤もCA4Pの静脈内投与の前72時間は保留し、CA4P投与後24時間以降に再開するものとする。
【0137】
腫瘍評価日程は2サイクルにつき2週に1回とする(即ち6週間)。抗腫瘍活性は種々の方法、例えば腫瘍サイズ、腫瘍灌流及び有効化されたバイオマーカーの存在により評価される。
i)腫瘍応答に対する作用に関する試験方法
最低2サイクルの治療を受けている計測可能な疾患を有する対象全てを腫瘍応答、即ち腫瘍サイズの変化に関して評価する。腫瘍サイズ及び解剖学的特徴に対する抗腫瘍療法の作用は臨床検査及び好ましくは臨床画像化により調べることができる。臨床測定は定規又はカリパスを用いて行い、計量的記載により記録しなければならない。臨床的な腫瘍患部はそれらが表在性(例えば皮膚結節、触診可能なリンパ節)である場合に計測可能とみなされるのみである。皮膚患部の場合は、患部のサイズを測定するための定規が含まれるカラー写真による文書化が推奨される。
【0138】
本明細書において使用される「計測可能な疾患」という用語は、少なくとも1つの計測可能な患部の存在を指す。「計測可能な患部」とは少なくとも1つの寸法において正確に計測することができ、最長直径が20mm以上であり、そして、骨患部、軟髄膜疾患、腹水、胸膜又は心臓周囲の溢出、炎症性胸部疾患、皮膚/肺リンパ管炎、画像化手法により確認追跡されない腹部塊状物、又は、嚢胞性患部又は放射線療法の終了以来新しい患部として明確化されない場合の以前に照射された領域内に生じる嚢胞と分類されない患部として定義される。
【0139】
臓器当たり最大5患部及び全関与臓器の全典型例における10患部までの全ての計測可能な患部を測定すべき標的患部として発見し、ベースラインにおいて記録しなければならない。標的患部はそのサイズ(最大直径を有する患部)及び正確な反復査定へのその適性に基づいて選択しなければならない。ベースラインにおいて、全ての標的患部に関する最も長い直径(LD)の合計を計算し、ベースライン合計LDとみなす。ベースライン合計LDは計測可能な疾患の他覚的腫瘍応答を判定するための比較対照店として使用する。10箇所を超える計測可能な患部及び非計測可能な疾患の全部位は非標的患部として識別する。非標的患部はベースラインにおいて「存在」と記録し、そして標的患部と同じ査定時点において評価しなければならない。同じ査定方法及び同じ手法を用いてベースライン及び治療中の再査定において各患部を識別して報告する。
【0140】
従来のコンピューター断層撮影(CT)及び/又は磁気共鳴画像化(MRI)を用いながら、隣接したスライス厚み10mm以下の画像化カットを使用して計測可能な患部を画像化する。スパイラルCTは5mm隣接再構築ある子リズムを用いながら実施する。スパイラルCTスキャンの場合、患部は少なくとも1つの寸法が10mmでなければならない。胸部エックス線上の患部はそれらが明確な境界を有し、空気を満たした肺により包囲されている場合に計測可能な患部として許容される。解剖学的画像化プロトコルは、腫瘍領域の識別及び最適な視野の決定のためにはターボスピンエコーの息こらえ位置特定のシーケンス(5000msTR、100msTE、7mm冠状スライス、〜3mmのin−plane解像度)よりなるものとする。T1加重脂肪飽和息こらえFLASHシーケンス(100〜250msTR)を調節することにより、息こらえ時間に渡って腫瘍領域が完全に含まれるようにする(2.3msout−of−phase及び4.6msin−phase、TE、7mm軸方向スライス、〜1mmの面内解像度、90度フリップ角)。T2加重脂肪飽和ターボスピンエコーシーケンスを呼吸ゲーティング(呼吸速度により測定した4000〜6000msTR、100msTE、7mm軸方向スライス、〜1mmの面内解像度)において使用する。
【0141】
腫瘍は標的患部の全ての臨床的及び放射線的な証拠が消失した場合に完全な応答(CR)を示したものとみなす。腫瘍マーカーレベルの規格化は、適宜、必要となる場合もある。腫瘍は、全標的患部のLDの合計がベースライン合計LDと比較対照した場合に30%以上の減少していた場合に部分的な応答(PR)を示したものとみなす。腫瘍がPRと認定するための十分な収縮、及び、進行性の疾患(PD)と認定するための十分な増大の何れも示していない場合は、腫瘍は安定な疾患(SD)を示しているものとみなす。腫瘍は、標的患部のLDの合計が、治療開始又は新しい患部1つ以上の出現以来に記録されたLDの最小合計と比較して少なくとも20%増大している場合に、進行性の疾患(PD)を示しているとみなされる。
ii)腫瘍灌流に対する作法の試験方法
動的コントラスト強調磁気共鳴画像化(DCE−MRI)を用いて一連の時間分解動的コントラスト強調画像を得ることにより、正常な実質及び腫瘍組織の内部のGd−DTPA造影剤の分布に関する薬力学的情報を得る。この画像化プロトコルの主要な目的は治療に対する腫瘍灌流の応答の尺度を得ること、及び、灌流の定量化及び最終的には長期の応答を包含する他の治療の帰結への腫瘍応答の相関付けの両方を容易にすることである。
【0142】
DCE−MRIは1cmより大きく、そして、呼吸、蠕動又は拍動性の流動に起因する運動の人工産物により影響を受けない全ての腫瘍に対して実施する(即ち、肺及び腸は許容されない)。初回のスクリーニングDCE−MRIはベースライン灌流の読み取りの為に実施する。CA4Pの初回用量投与後4時間以内にDCE−MRIスキャンを完了することにより腫瘍の灌流を記録する。二回目のDCE−MRIスキャンはサイクル3の直前に完了する。任意の最終フォローアップスキャンもまた実施してよい。
【0143】
腫瘍灌流は高速T1加重ターボFLASHシーケンス(4msTR、1.5msTE、7mmスライス、〜1mmの面内解像度、15度フリップ角)により、外因性Gd−DTPA造影剤を用いながら測定する。逐次的画像獲得は造影剤0.2ミリモル/kgの瞬時注射の5秒前に開始し、0.5/sの周波数で60秒間、その後0.25/sの周波数で120秒間進行させ、0.2/sで180秒で終了とし、これにより、合計96スライスを得る。スライスの方向は腫瘍、周囲の実質及び組織供給機能の測定の為に適する構造(例えば冠動脈/門脈、脾臓、下大静脈、腹部大動脈)の可視性を最適にするために選択してよい。治療に応答した灌流の変化の予備的査定は供給機能に対して企画化された目的の腫瘍領域内の相対的灌流を計算する。より定量的な分析は交換の速度論的コンパートメントモデリング及び変形Ketyモデルに基づいた組織内の造影剤のウオッシュアウトを包含する。
iii)抗腫瘍活性を測定するためのバイオマーカー法
各サイクルにつき、CA4P灌流の前の幾つかの時点において、及び、CA4P灌流後4時間において、血液試料を採取する。抗凝固剤を含有する試験管内に全血を採取し、白血球分画及び血小板数を包含する完全な血球計測を採取1時間以内に実施する。完全な白血球数及び完全な好中球数をCA4P灌流後4時間において測定する。
結論
上記した結果は、コンブレタスタチン化合物に抗癌剤1つ以上を組み合わせることにより達成される種々の利点を容易に明らかにしている。抗癌剤は、このような薬剤に対する耐性を以前に発生させている腫瘍の増殖又は腫瘍の転移を調節するために効果的に使用できる。更に、本発明者等は癌の治療法も開発しており、これによれば、医師は、適切な投与日程により抗癌剤を低減用量で投与することが可能となり、これにより望ましくない副作用を低減しつつ、薬効は維持できるのである。
【0144】
本発明は本明細書に記載した特定の実施形態によりその範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載したものに加えて本発明の種々の変形例が、上記説明及び添付図面から当業者には明らかとなるものである。このような変形例は添付する請求項の範囲内に属することを意図している。例えば、他の抗血管剤をコンブレタスタチン化合物の代わりに本発明において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】中等度の白金耐性のM5076DDPネズミ線維肉腫において単独投与されたシスプラチン及びCA4P2ナトリウム塩の抗癌活性のグラフ。腫瘍は投与開始時において300mgに段階付けられた。シスプラチンは静脈内(iv)で4日ごとに3用量投与した(Q4Dx3)。CA4Pはivで10日間毎日(月曜〜金曜)投与した。
【図2】(A)M5076DDP腫瘍モデルにおけるCA4P及びシスプラチンの組合せを用いた場合に観察された治療の相乗作用のグラフ。薬剤投与はiv、Q4Dx3とした。薬剤の組合せは同時に投与した。(B)シスプラチン(3mg/kg/inj)の他の態様では不活性である用量の抗腫瘍活性をCA4Pが有意に増強したことを示すグラフ。
【図3】(A)M5076ネズミ線維肉腫モデルにおけるCA4P及びカルボプラチンの組合せを用いた場合に観察された治療の相乗作用のグラフ。薬剤投与は腹腔内(ip)、Q4Dx3とした。薬剤の組合せは同時にip投与した(混合)。(B)CA4Pは3段階の異なる用量レベル(90〜250mg/kg/inj)においてカルボプラチンの抗腫瘍活性を有意に向上させたことを示すグラフ。
【図4】強化された治療作用を達成するためにCA4P及びカルボプラチンを本質的に同時に投与してよいことを示す対数細胞殺傷における抗腫瘍活性を示すグラフ。
【図5】ヌードマウス(A)又はヌードラット(B)において増殖させたscA2780ヒト卵巣癌におけるCA4Pによる腫瘍血流の抑制のグラフ。
【図6】ヒト卵巣癌細胞(A2780)においてCPT−11及びCA4P化学療法を組み合わせた場合の抗腫瘍作用を示すグラフ。CPT−11はコンブレタスタチン化合物の投与の3〜24時間前に投与する。
【図7】M5076/DDP腫瘍における低用量CA4Pによるカルボプラチンの抗腫瘍作用の増強。パネルA〜Cはカルボプラチンそれぞれ90、60及び40mg/mと種々の用量のCA4Pの組合せに関する結果を示す。
【図8】CaNTネズミ腺癌モデルにおけるパクリタキセル及びCA4Pの組合せを用いて得られた相乗作用的な抗腫瘍作用を示すグラフ。CA4P/タキソールの組合せ療法はCA4P(100mg/kg)又はパクリタキセル(30mg/kg)単独の何れかの単回用量(ip)と比較して腫瘍増殖抑制において多大な向上をもたらした。CA4P/タキソールの組合せ療法はCA4P(100mg/kg)の単回用量と、その15分後のパクリタキセル(30mg/kg)の単回用量よりなるものとした。
【図9】CA1Pがヌードマウスにおけるヒト腫瘍異種移植片における血流をCA4Pに匹敵する態様で抑制することを示す一対のグラフ。図9A:N87胃癌異種移植片モデル;9B:A2780卵巣癌異種移植片モデル。
【図10】M5076線維肉腫異種移植片モデルに対するCA1P及びカルボプラチン単独及び組合せの投与に応答した腫瘍サイズ減少の用量応答曲線を示す一連のグラフ。CA1P及びカルボプラチンの組合せ投与は腫瘍サイズの減少において相乗作用的に機能した。
【図11】CA1P及びカルボプラチンの組合せ投与が相乗作用的な抗腫瘍作用をもたらすことを示すグラフ。完全な応答(腫瘍の消失)がこの組合せにより観察される。
【図12】シスプラチン及びCA1Pの組合せ投与がCBAマウスのCaNT乳房腫瘍モデルにおける腫瘍サイズを相乗作用的に低減するように作用することを示すグラフ。
【図13】マウスのES−2多剤耐性卵巣腫瘍モデルにおいて相乗作用的な腫瘍増殖の遅延が達成されるように、CA4Pがパクリタキセル/カルボプラチンのニ剤化学療法の抗腫瘍活性を強化することを示すグラフ。
【図14】カルボプラチン、パクリタキセル及びCA4Pの組合せ投与は、パクリタキセル及びカルボプラチンの両方による治療に対して耐性であるES−2卵巣腫瘍モデルを担持するマウスの生存を増大させる場合に高度に有効であることを示すグラフ。
【図15】カルボプラチン、パクリタキセル及びCA1Pの組合せ投与は、パクリタキセル及びカルボプラチンの両方による治療に対して耐性であるES−2卵巣腫瘍モデルを担持するマウスにおいて腫瘍体積を低減する場合に高度に有効であることを示すグラフ。
【図16】CA1P、カルボプラチン及びパクリタキセルの組合せ投与は、ES−2多剤耐性卵巣腫瘍モデルを担持するマウスの生存において、有意な向上をもたらすことを示すグラフ。
【図17】CA1P又はCA4Pの何れかとのカルボプラチン及びパクリタキセルの組合せ投与が、投与の順番に関わらず、MDA−MB−234ヒト乳病異種移植片モデルを担持するマウスにおいて腫瘍増殖遅延増強をもたらすことを示すグラフ。
【図18】CA4Pの投与後4時間の腫瘍組織において好中球数の著しい増加及びリンパ球数の著しい減少が観察されることを示すグラフ。
【図19】CA4Pの投与後4時間の腫瘍組織においてリンパ球に対する好中球の比の顕著な増大が観察されることを示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌又は腫瘍に罹患した患者において抗腫瘍作用をもたらすための方法であって、該患者に少なくとも2つの抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物をそのために有効な量で投与することを含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの抗癌剤がアルキル化剤、二官能性アルキル化剤、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、免疫療法剤、抗血管形成剤、ニトロソ尿素化合物、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂抑制剤、放射線、トポイソメラーゼI阻害剤及び抗エストロゲンよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの抗癌剤がタキサンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タキサンがパクリタキセルである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
パクリタキセルが135mg/kg〜175mg/kgの範囲の用量で投与される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの抗癌剤が白金配位化合物を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
白金配位化合物がカルボプラチンである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
カルボプラチンがAUC4〜AUC6の範囲の用量で投与される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの抗癌剤がタキサン及び白金配位化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記タキサンがパクリタキセルであり、前記白金配位化合物がカルボプラチンである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンブレタスタチン化合物がCA1、CA4、CA1P、CA4P又はそのプロドラッグ又は塩よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コンブレタスタチン化合物を45mg/kg〜63mg/kgの範囲の用量で投与する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの抗癌剤及び前記コンブレタスタチン化合物が同時又は逐次的に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が卵巣癌、ファローピウス管癌、子宮頸癌、乳癌、肺癌又は腹膜の原発癌よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
抗癌剤1つ以上による治療に対して難治性である腫瘍を有する患者において抗腫瘍作用をもたらすための方法であって、該患者にコンブレタスタチン化合物と共に該抗癌剤1つ以上をそのために有効な量で投与することを含む方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの抗癌剤がアルキル化剤、二官能性アルキル化剤、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、免疫療法剤、抗血管形成剤、ニトロソ尿素化合物、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂抑制剤、放射線、トポイソメラーゼI阻害剤及び抗エストロゲンよりなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの抗癌剤がタキサンを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記タキサンがパクリタキセルである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
パクリタキセルが135mg/kg〜175mg/kgの範囲の用量で投与される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの抗癌剤が白金配位化合物である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記白金配位化合物がカルボプラチンである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記カルボプラチンがAUC4〜AUC6の範囲の用量で投与される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの抗癌剤がタキサン及び白金配位化合物を含む請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記タキサンがパクリタキセルであり、前記白金配位化合物がカルボプラチンである請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コンブレタスタチン化合物がCA1、CA4、CA1P、CA4P又はそのプロドラッグ又は塩よりなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記コンブレタスタチン化合物を45mg/kg〜63mg/kgの範囲の用量で投与する請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの抗癌剤及び前記コンブレタスタチン化合物が同時又は逐次的に投与される請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記腫瘍がコンブレタスタチンに耐性である請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍がタキサンに耐性である請求項15に記載の方法。
【請求項30】
前記腫瘍が白金配位化合物に耐性である請求項15に記載の方法。
【請求項31】
前記腫瘍がタキサン及び白金配位化合物の両方に耐性である請求項15に記載の方法。
【請求項32】
前記腫瘍が黒色腫、卵巣腫瘍、頚部腫瘍、乳房腫瘍、小細胞肺腫瘍、非小細胞肺腫瘍、ファローピウス管腫瘍及び腹膜の原発腫瘍よりなる群から選択される固形腫瘍である、請求項15に記載の方法。
【請求項33】
癌に罹患した動物において抗腫瘍作用をもたらすための方法であって、そのために有効な量のコンブレタスタチン化合物及び少なくとも2つの抗癌剤の投与を含み、該抗癌剤の時間依存性の有効腫瘍中濃度を与えるように該腫瘍への血流を調節するために十分な、該少なくとも2つの抗癌剤の投与に相対的な時間において該コンブレタスタチン化合物を投与する方法。
【請求項34】
前記少なくとも2つの抗癌剤が最高腫瘍内濃度剤である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記最高腫瘍内濃度剤が前記コンブレタスタチン化合物と同時又は時間的に近接して投与される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記最高腫瘍内濃度剤がシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンよりなる群から選択される白金配位化合物である請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも2つの抗癌剤が持続曝露剤である請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記持続曝露剤は前記コンブレタスタチン化合物の投与後に投与される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記持続曝露剤がパクリタキセル及びドセタキセルよりなる群から選択されるタキサンである請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも2つの抗癌剤が持続曝露剤及び最高腫瘍内濃度剤である請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記持続曝露剤がカルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンよりなる群から選択される白金配位化合物であり、そして前記最高腫瘍内濃度剤がパクリタキセル及びドセタキセルよりなる群から選択されるタキサンである請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記持続曝露剤及び前記最高腫瘍内濃度剤が前記コンブレタスタチン化合物の投与後に投与される請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記持続曝露剤及び前記最高腫瘍内濃度剤が前記コンブレタスタチン化合物の投与後24時間以内に投与される請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記コンブレタスタチン化合物がCA1、CA4、CA1P、CA4P又はそのプロドラッグ又は塩よりなる群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項45】
癌に罹患した動物において抗腫瘍作用をもたらすための医薬組成物であって、少なくとも2つの抗癌剤及びコンブレタスタチン化合物をそのために有効な量で製薬上許容しうる担体中に含む医薬組成物。
【請求項46】
前記少なくとも2つの抗癌剤がアルキル化剤、二官能性アルキル化剤、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、免疫療法剤、抗血管形成剤、ニトロソ尿素化合物、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂抑制剤、放射線、トポイソメラーゼI阻害剤及び抗エストロゲンよりなる群から選択される請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記少なくとも2つの抗癌剤が白金配位化合物及びタキサンを含む請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記白金配位化合物がカルボプラチンであり、そして前記タキサンがパクリタキセルである請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
パクリタキセルが135mg/kg〜175mg/kgの単位用量形態で投与される請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
カルボプラチンがAUC4〜AUC6の単位用量形態で投与される請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記コンブレタスタチン化合物がCA1、CA4、CA1P、CA4P又はそのプロドラッグ又は塩よりなる群から選択される請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記コンブレタスタチン化合物が45mg/kg〜63mg/kgの単位用量形態を含む請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
癌に罹患した患者の予後を決定するための方法であって、該患者は抗癌剤を投与されており、該方法は、下記工程:
(a)該患者から生物学的試料を得ること;
(b)該生物学的試料の顆粒球レベルを測定すること;
(c)該顆粒球レベルをベースラインレベルと比較すること;
(d)該顆粒球レベルが該ベースラインレベルより高値である場合に該顆粒球レベルを望ましくない予後の表示に関連付ける、又は該顆粒球レベルが該ベースライン以下である場合に好中球レベルを望ましい予後の表示に関連付けること;
からなり、これにより該患者の予後を決定する方法。
【請求項54】
前記抗癌剤がコンブレタスタチンである請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記顆粒球レベルが好中球レベルである請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記生物学的試料が前記抗癌剤治療後24時間未満に得られる請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記生物学的試料が前記抗癌剤治療後6時間未満に得られる請求項53に記載の方法。
【請求項58】
追加的抗癌剤治療のために患者を選択するための方法であって、下記工程:
(a)該患者由来の第1の生物学的試料中の顆粒球レベルを測定すること;
(b)該患者に該抗癌剤を投与すること;
(c)該患者から得られた第2の生物学的試料に由来する第2の顆粒球レベルを測定すること;
(d)該第1及び第2の顆粒球レベルを比較すること;及び、
(e)該顆粒球レベルの上昇が観察された場合に追加的治療の為に該患者を選択すること;
を含む方法。
【請求項59】
前記抗癌剤がコンブレタスタチンである請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記顆粒球レベルが好中球レベルである請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記生物学的試料が前記抗癌剤治療後24時間未満に得られる請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記生物学的試料が前記抗癌剤治療後6時間未満に得られる請求項58に記載の方法。
【請求項63】
患者における腫瘍の進行をモニタリングするための方法であって、下記工程:
(a)該患者由来の第1の生物学的試料中の顆粒球レベルを測定すること;
(b)該患者に抗癌剤を投与すること;
(c)該患者から得られた第2の生物学的試料に由来する第2の顆粒球レベルを測定すること;及び、
(d)該第1及び第2の顆粒球レベルを比較すること;
を含み、これにより、該患者における該腫瘍の進行をモニタリングする方法。
【請求項64】
前記抗癌剤がコンブレタスタチンである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記顆粒球レベルが好中球レベルである請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記生物学的試料が前記抗癌剤治療後24時間未満に得られる請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記生物学的試料が前記抗癌剤治療後6時間未満に得られる請求項63に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2008−525493(P2008−525493A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548565(P2007−548565)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046960
【国際公開番号】WO2006/078422
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(506195848)オキシジーン, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】