説明

腸溶コーティングされた脂肪族アミンポリマーの胆汁酸捕捉因子

1種以上の脂肪族アミンポリマーを有する錠剤、カプセル、包み、または紙は、胃腸管(特に小腸)の特定の領域におけるポリマーの標的型放出を可能にする。これらの錠剤、カプセル、包み、または紙は、コレステロールを低下させる必要がある哺乳動物においてコレステロールを低下させるための方法に有用である。この錠剤は、脂肪族アミンポリマーを有する錠剤のコアおよびこのコアのための腸溶コーティングを含む。このカプセル、包み、または紙は、複数のビーズを含み、このビーズは脂肪族アミンポリマーを有するビーズのコア、このコアのための腸溶コーティングを含み、そしてこのビーズは、必要に応じて水溶性コーティングを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮特許出願番号60/533,563(2003年12月31日出願)の利益を主張し、この出願の全技術は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの脂肪族アミンポリマーは、種々の状態(例えば、高脂血症および高コレステロール血症)の処置のために記述されてきた。多くのこれらの脂肪族アミンポリマーは、消化管において吸収されないイオン交換樹脂として機能する。このような吸収されない脂肪族アミンポリマーは、胆汁酸、コレステロールの代謝産物を結合するか、または捕捉し、そして小腸と肝臓とを通う循環によってそれらの吸収を防止する。このような胆汁酸捕捉因子(bile acid sequestrant)(BAS)の例としては、コレステロールを低下させる薬剤として有用な多くの脂肪族アミンポリマーが挙げられ、これらの脂肪族アミンポリマーは、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4、特許文献5および特許文献6に開示される。
【0003】
患者の血清コレステロールを低下させるための脂肪族アミンポリマーの治療有効用量は、概して大きい。例えば、エピクロヒドリンと架橋し、かつ1−ブロモデカンおよび臭化(6−ブロモヘキシル)−トリメチルアンモニウムによってアルキル化されたポリ(アリルアミン塩酸塩)(特許文献7および特許文献8に記載される)(コレセベラムとも称され、そして米国でWelcholTMとして市販される)の治療有効用量は、代表的には1日あたり3グラム〜6グラムの桁である。
【特許文献1】米国特許第5,607,669号明細書
【特許文献2】米国特許第5,624,963号明細書
【特許文献3】米国特許第5,679,717号明細書
【特許文献4】米国特許第6,423,754号明細書
【特許文献5】国際公開第98/29107号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/22721号パンフレット
【特許文献7】米国特許第5,607,669号明細書
【特許文献8】米国特許第5,679,717号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、脂肪族アミンポリマーの必要用量を下げ得る脂肪族アミンポリマーの投薬形態の開発は、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、腸溶コーティングを有する脂肪族アミンポリマーを含有するコア(core)を有する錠剤、カプセル、包み、または紙に関し、この腸溶コーティングは、1つ以上の特定の小腸領域に対する脂肪族アミンポリマーの放出を目的とする。腸管の特定の領域における脂肪族アミンポリマーの放出は、脂肪族アミンポリマーの治療効果を上昇させ、それによって脂肪族アミンポリマーの必要用量を減少させる。
【0006】
1つの局面において、本発明は、一般的に、錠剤のコアおよびそれのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングを含む錠剤に関する。この錠剤のコアは、脂肪族アミンポリマーを含む。1つの実施形態において、この腸溶コーティングは、約37℃にてpHが約5.0と約6.0との間である水溶液に可溶化する。別の実施形態において、この腸溶コーティングは、約37℃にてpHが約6.0と約7.0との間である水溶液に可溶化する。
【0007】
別の局面において、本発明は、脂肪族アミンポリマーを含む錠剤のコアおよびこのコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングを有する錠剤を含む。哺乳動物に対して経口的に投与される場合、この錠剤は、小腸の特定の領域(すなわち、十二指腸、空腸または回腸)に脂肪族アミンポリマーを放出する。
【0008】
本発明はまた、脂肪族アミンポリマーを有する第1の複数のビーズおよびこのビーズのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングを有するカプセル、包み、または紙を含み、この腸溶コーティングは、約37℃にてpHが約5.0と約7.0との間の範囲である水溶液に可溶化する。
【0009】
さらなる局面において、本発明は、脂肪族アミンポリマーを含む第1の複数のビーズおよびこのビーズのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングを有するカプセル、包み、または紙に関し、このカプセル、包み、または紙は、哺乳動物に対して経口的に投与された場合に、体温においてこの哺乳動物の十二指腸、空腸または回腸に脂肪族アミンポリマーを放出する。本発明のカプセル、包み、または紙は、上記第1の複数のビーズと異なる腸溶コーティングまたは異なる腸溶コーティングの量を有する第2の複数のビーズを、さらに含み得、その結果この腸溶コーティングは、異なるpHで可溶化するか、または第2の複数のビーズは、哺乳動物の小腸の異なる領域に上記脂肪族アミンポリマーを放出する。
【0010】
本発明はまた、ポリマーの活性成分を有する錠剤のコアを含む錠剤に関し、この錠剤のコアは、水溶性コーティングによってコーティングされ、そしてこの水溶性コーティングは、腸溶コーティングによってコーティングされる。
【0011】
本発明はさらに、本発明の1つ以上の錠剤、カプセル、包み、または紙の治療有効量を哺乳動物に投与する工程によってコレステロールを低下させる必要がある哺乳動物においてコレステロールを低下させるための方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
脂肪族アミンポリマーは、一般的に、胆汁酸捕捉因子として機能することが公知であり、胆汁酸捕捉因子は、血清コレステロールレベルを低下させる。例えば、エピクロヒドリンと架橋し、かつ1−ブロモデカンおよび臭化(6−ブロモヘキシル)−トリメチルアンモニウムによってアルキル化されたポリ(アリルアミン塩酸塩)(米国特許第5,607,669号、および同第5,679,717号(これらの内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載される)(コレセベラムとも称され、そして米国でWelcholTMとして市販される)は、患者の血清コレステロールレベルを低下させるのに有効であることが示された。別の例において、エピクロヒドリン架橋型ポリ(アリルアミン塩酸)樹脂(米国特許第6,423,754号(これらの内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載される)(セベラマーとも称され、そしてRenagel(登録商標)として市販される)は、高コレステロール血症を処置するのに有効であることが示されている。
【0013】
本発明で使用される脂肪族アミンポリマーは、脂肪族アミンモノマーを重合することによって生産されるポリマーである。脂肪族アミンは、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状または環状の非芳香族炭化水素であり、この炭化水素は、アミノ置換基を有し、そして必要に応じて1つ以上のさらなる置換基を有する。この脂肪族アミンポリマーは、米国特許第5,487,888号、同第5,496,545号、同第5,607,669号、同第5,618,530号、同第5,624,963号、同第5,667,775号、同第5,679,717号、同第5,703,188号、同第5,702,696号、同第5,693,675号、同第5,900,475号、同第5,925,379号、同第6,083,497号、同第6,177,478号、同第6,083,495号、同第6,203,785号、同第6,423,754号、同第6,509,013号および同第6,556,407号ならびに米国特許出願公開番号第2002/0159968 A1号、同第2003/0086898 Al号、および同第2003/0133902 A1号(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載される脂肪族アミンポリマーの1つであり得る。本発明に使用するのに適したポリマーはまた、米国特許出願番号第08/823,699号(既に放棄された);同第08/835,857号(既に放棄された);同第08/470,940号(既に放棄された);同第08/927,247号(既に放棄された);同第08/964,498号;同第09/691,429号および同第10/125,684号(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示される。
【0014】
脂肪族アミンポリマーの例としては、以下:
【0015】
【化6】

からなる群より選択される少なくとも1つの式によって示される1つ以上の反復ユニットを有するポリマー、またはその塩もしくはコポリマーが挙げられ、yは、1以上の整数であり(例えば、約1と約10との間であり、好ましくは1と4との間であり、より好ましくは1である)、そして各R、R、RおよびRは独立して、H、置換アルキル基または非置換アルキル基(例えば、包括的に、1個と25個との間の炭素原子、または1個と5個との間の炭素原子を有する)、またはアリール(例えば、フェニル)基であり、そして各Xは、交換可能な負に荷電した対イオンである。
【0016】
本発明に使用される好ましいポリマーにおいて、R、R、RまたはRの少なくとも1つは、水素原子である。より好ましくは、これらの基の各々は、水素である。
【0017】
アルキル基またはアリールの場合、R、R、RおよびRは、1つ以上の置換基を保有し得る。適切な置換基としては、カチオン性基(例えば、4級アンモニウム基)、またはアミン基(例えば、1級、2級もしくは3級のアルキルまたはアリールアミン)が挙げられる。他の適切な置換基の例としては、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、ハロゲン、アルキル、アリール、ヒドラジン、グアニジン、尿素、ポリ(エチレンイミン)のようなポリ(アルキレンイミン)、およびカルボン酸エステルが挙げられる。
【0018】
特定の好ましい実施形態において、上記脂肪族アミンポリマーは、ポリアリルアミン、アルキル化ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ(ジアリルアミン)もしくはポリ(エチレンイミン)または薬学的に受容可能な酸を有するそれらの塩である。この脂肪族アミンポリマーは、必要に応じて、1つ以上の窒素原子がアルキル基または置換アルキル基(例えば、トリアルキルアンモニオアルキル(trialkylammonioalkyl)基)で置換される。この脂肪族アミンポリマーは、必要に応じて、多官能性の架橋剤によって(例えば、多官能性モノマー、または2つの異なるポリマー鎖由来の2つのアミノ窒素原子を連結する架橋基を介して)架橋され得る。
【0019】
本発明に利用される好ましいポリマーは、水に不溶性であり、吸収されない、架橋型ポリアミンである。
【0020】
本発明に使用するのに適したポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0021】
多官能性の架橋剤は、モノマーまたはポリマーのアミノ基と反応する官能基によって特徴付けられ得る。あるいは、架橋基は、アミンモノマーとフリーラジカル重合を起こす2つ以上のビニル基によって特徴付けられ得る。架橋型ポリマーの重合度(すなわち、「n」の値)は、一般的に、これらのポリマーの不溶性および大きさに起因して決定され得ない。
【0022】
適切な多官能性架橋剤の例としては、ジアクリレートおよびジメチルアクリレート(例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよびポリエチレングリコールジアクリレート)、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレンビスメタクリルアミド、エチリデンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ビスフェノールA、ジメタクリレートおよびビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。適切な多官能性架橋剤の他の例としては、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,2−ジブロモプロパン、アクリロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ブタンジオールジグリシジルエーテル、エタンジオールジグリシジルエーテル、ジメチルスクシネート、スクシニルジクロリド、ビスフェノールAのジグリシダルエーテル、ピロメリト酸(pyromellitic)二無水物、トルエンジイソシアネート、エチレンジアミンまたはジメチルスクシネートが挙げられる。
【0023】
より高度な架橋は、ポリマーの水溶性を減少させ、そのポリマーを、(例えば、腸管によって)より吸収されにくくし、従ってそのポリマーが、経口投与または直腸投与される場合、腸管に対する架橋型ポリマーの活性を実質的に制限する。
【0024】
本発明の架橋型ポリマーが吸収されないことに起因して、患者における全身的な副作用は、顕著に排除される。従って、この組成物は、活性において非全身性である傾向にある。代表的に、この架橋剤は、約0.5重量%〜35重量%の量、または約0.5重量%〜25重量%(例えば、約2.5重量%〜20重量%または約1重量%〜10重量%)の量で存在し、この重量は、モノマーに架橋剤を足した総重量に基づく。
【0025】
好ましい架橋剤は、その高い有効性および低いコストに起因して、エピクロロヒドリンである。エピクロロヒドリンはまた、その低い分子量、および親水性の性質に起因して有利であり、この親水性の特徴は、水による膨張性およびポリアミンのゲル特性を増加させる。本発明のポリマーの分子量は、その分子量は、ポリマーが胃腸管で吸収されないために十分大きい限り、重要であると考えられない。代表的に、この分子量は、少なくとも1,000である。例えば、この分子量は、約1,000〜約500万であるか、約1,000〜約300万であるか、約1,000〜約200万であるかまたは約1,000〜約100万であり得る。
【0026】
上記で議論されたように、このポリマーは、薬学的に受容可能な塩の形態で投与され得る。「塩」によって、反復ユニット中の窒素基はプロトン化されて、負に荷電した対イオンと結合する正に荷電した窒素原子を生成することを意味する。このポリマーはまた、ポリマー中に酸性置換基および/または塩基性置換基の薬学的に受容可能な塩を含み得る。
【0027】
脂肪族アミンポリマーは、生理学的に受容可能なアニオンを含む、有機酸または無機酸によって、プロトン化され得る。このアニオンは、種々の手段によって他の生理学的に受容可能なアニオンで、一部または完全に置換され得、この手段は、このポリマーを架橋前にアニオン交換樹脂に通す工程を包含する。脂肪族アミンポリマーは、1種類より多い型のアニオンを含み得る。
【0028】
脂肪族アミンに対して適切なアニオンの例としては、有機イオン、無機イオンまたはそれらの組み合わせ(例えば、ハライド(ClおよびBr)、CHOSO、HSO、SO2−、HCO、CO2−、ニトレート、水酸化物、パーサルフェート、サルファイト、アセテート、ラクテート、スクシネート、プロピオネート、オキサレート、ブチレート、アスコルベート、シトレート、二水素シトレート、タータレート、タウロコレート、グリココレート、コレート、一水素シトレート、マレエート、ベンゾエート、フォレート、アミノ酸誘導体、ヌクレオチド、脂質、またはリン脂質)が挙げられる。クロリド、カルボネート、およびビカルボネートは、好ましいアニオンである。この対イオンは、互いに同じであっても互いに異なってもよい。例えば、このポリマーは、2つ以上の異なる型の対イオンを有し得る。2価のアニオンおよび多価のアニオンは、1つより多いプロトン化アミンに対する対イオンであり得る。
【0029】
本発明に使用される脂肪族アミンポリマーは、そのアミン基の40%未満(例えば、30%未満、具体的には20%未満、そしてより具体的には10%未満)がプロトン化される。
【0030】
脂肪族アミンポリマー樹脂は、水和され得る。1つの例において、この樹脂は、セベラマー(例えば、セベラマーの塩酸塩)に対して、約5重量%かまたはそれより大きい(例えば、約3重量%〜約10重量%、そしてより具体的には約7重量%)水分含量を有し、そしてコレセベラム(コレセベラムの塩酸塩)に対して約8.2重量%〜約9.2重量%の水分含量を有する。ポリマー樹脂が水和される実施形態において、水和水がこの樹脂の成分であることが考慮されることが理解されるべきである。従って、本発明の錠剤のコアは、少なくとも約95重量%か、少なくとも約96重量%か、または少なくとも約98重量%の水和したポリマーを有し、このコアは、ポリマー重量中に水和水を含む。錠剤のコアはまた、少なくとも約70重量%(例えば、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、例えば、少なくとも約85重量%、そしてより具体的には少なくとも約90重量%)の水和したポリマー樹脂を有し得る。
【0031】
直打法による錠剤処方物の例は、WO01/28527および米国特許公報公開番号第2002/0054903 A1号(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載される。例えば、本発明の錠剤のコアは、以下の工程を包含する方法によって調製され得る:(1)脂肪族アミンポリマーを所望の水分レベルまで水和するかまたは乾燥する工程;(2)この脂肪族アミンポリマーを賦形剤と混合する工程;および(3)この混合物を慣例の打錠技術を使用して圧縮する工程。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「腸溶コーティング」は、医薬のコアを入れる1つ以上のポリマー性物質を含む。「腸溶コーティング」とはまた、本明細書中で「トップコート(topcoat)」と称される。本発明の腸溶コーティングは、薬学的に受容可能(すなわち、無毒性)であり、そして投与される量において容認できない副作用を生じない。
【0033】
腸溶コーティングは、薬物の放出を遅らせ、そして胃を通過した後(例えば、腸管内の特定の位置)に薬物が放出されることを可能にする。腸溶コーティングが調製される物質および/または腸溶コーティングの厚さは、医薬が腸管(例えば、小腸)において放出される前の時間を制御するために選択され得る。具体的には、この腸溶コーティングの物質および/または腸溶コーティングの厚さは、医薬が十二指腸(例えば、十二指腸球部、Cループ、横行部分および/または上行部分)、空腸(例えば、近位空腸、空腸の中部および/または遠位空腸)および/または回腸において選択的に放出されるように選択され得る。例えば、腸管の入口に近い部位(すなわち、十二指腸および/または近位空腸)で上記脂肪族アミンポリマーを放出することは、有益であり得る。あるいは、食物の吸収のほとんどが行われる遠位空腸においてこの脂肪族アミンポリマーが放出されることは、有益であり得る。また、空腸の中部におけるこの脂肪族アミンポリマーを放出することは、有益であり得る。
【0034】
腸溶コーティングは代表的に、酸性官能基を有するポリマーまたは塩基性官能基を有するポリマーを含み、より代表的には、この腸溶コーティングが酸耐性である場合に酸性官能基を有するポリマーを含む。本発明の腸溶コーティングは、pHが約5.0と約6.0との間(例えば、pHが約5.0と約5.5との間かまたはpHが約5.5と約6.0との間)である水溶液に可溶化し得る。また、この腸溶コーティングは、約37℃にてpHが約6.0と約7.0との間(例えば、pHが約6.0と約6.5との間)である水溶液に可溶化し得る。本明細書中において、「腸溶コーティングが可溶化するpH」は、酸性官能基を有する腸溶ポリマーが実質的に溶解する最低pH、または塩基性官能基を有する腸溶ポリマーが実質的に溶解する最大pHを意味する(例えば、酸性官能基を有するポリマーを使用する腸溶コーティングが、この最低pHを下回るpHにて非常に安定であり、そして塩基性官能基を有するポリマーを使用する腸溶コーティングが、この最大pHを上回るpHにて非常に安定である)。
【0035】
腸溶コーティングの1つの型は、耐酸性コーティングである。「耐酸性コーティング」は、胃の酸性の性質に耐性である(すなわち、胃のpH(pH約1〜pH約4.5)において実質的に不溶性)。酸耐性コーティングは代表的に、胃のpHより大きいpH値(例えば、pHが中性(pH約5.0〜pH約7.2)まで次第に上昇する、小腸または大腸)にて可溶性になる。
【0036】
腸溶コーティングの内側に含まれる医薬は、この腸溶コーティング層が可溶化するかまたは溶解して、破裂が起こる時点まで有効である。好ましくは、一旦、腸溶コーティングが破裂すると、その医薬の放出は、迅速かつ完全である(例えば、全用量は、腸溶コーティングの破裂後、約1分間以内〜30分間(例えば、1分間〜20分間、またはより具体的には5分間〜10分間)以内に放出される)。
【0037】
多くの型の耐酸性コーティングが、利用可能である。耐酸性コーティングの例としては、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、アクリル酸ホモポリマーもしくはアクリル酸コポリマー、メタクリル酸ホモポリマーもしくはメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい耐酸性コーティング物質は、アクリル酸ホモポリマーもしくはアクリル酸コポリマーまたはメタクリル酸ホモポリマーもしくはメタクリル酸コポリマー、またはそれらの組み合わせである。メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマーは、特に好ましい。多くのメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマーは、当該分野において公知であり、そしてそれらは市販されている。このようなポリマーの例としては、メチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、およびエチルアクリレートとメタクリル酸とのコポリマーが挙げられ、そして商品名Eudragit(登録商標)(Rohm GmbH & Co.KG)で販売され:例としては、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L30−D55、Eudragit(登録商標)L 100、Eudragit(登録商標)S100−55およびEudragit(登録商標)FS 30 Dが挙げられる。
【0038】
約5.5より低いpHで可溶化するポリマー物質は、十二指腸を標的とするのに特に適しているが、これらの物質はまた、腸管の他の領域を標的とするために使用され得る。このようなポリマーの特定の例としては、商品名AEA(Sankyo Co.,Ltd)で販売されるようなポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ならびに商品名HP−50および商品名HP−55(Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.)で販売されるようなヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが挙げられる。
【0039】
Eudragit(登録商標)L100−55およびEudragit(登録商標)L30−D55は、約5を下回るpHでは不溶性であり、そして約5.5より大きいpH値で可溶化するポリマーの例である。
【0040】
pH約6.0またはそれより高いpHで可溶化するポリマー物質は、大腸とともに、空腸および/または回腸を標的とするために適切である。このようなポリマーの例としては、メチルメタクリレート−メタクリル酸(1:1)のコポリマー(Eudragit(登録商標)L 100)、メチルメタクリレート−メタクリル酸(2:1)のコポリマー(Eudragit(登録商標)S 100)、エチルアクリレート−メタクリル酸(1:1)のコポリマー(Eudragit(登録商標)LD−100)、セルロースアセテートフタレート、およびシェラックが挙げられる。Eudragit(登録商標)S 100(メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー)は、遊離型カルボキシル基とエステル基の比が約1:2であり、このポリマーは、pH約7.0またはそれ以上にて可溶化し、回腸に対する標的型送達のために使用され得る。
【0041】
これらの腸溶コーティング物質は、別個に使用されてもそれらの適切な混合物として使用されてもよい。すなわち、2つ以上の物質は、腸溶コーティングが中間のpHにて可溶化するように、特定の比で一緒に混合され得る。例えば、Eudragit(登録商標)L 100とEudragit(登録商標)S 100との混合物は、6.0〜6.5の範囲のpHで活性成分の放出を可能にし得る。
【0042】
腸溶コーティングの破裂およびその後の活性成分の放出はまた、この腸溶コーティングのポリマー物質の溶解特性に加えて、コーティングの量(すなわち、厚さ)に依存する。耐酸性腸溶コーティングがpH応答性であることに起因して、これらのコーティングは、適切な環境に曝された場合にのみ可溶化し、そして破裂する。代表的により厚いコーティングの適用は、その腸溶コーティングの破裂が起きるまでの時間を増加する。
【0043】
本適用において、錠剤のコアまたはビーズのコアは代表的に、その錠剤のコアの約5重量%〜約15重量%である腸溶コーティングによってコーティングされる。腸溶コーティングの量は代表的に、上記コアに対するコーティング層の適用によってもたらされる重量ゲインによって測定される。したがって、この腸溶コーティングの量は、コーティングされていない錠剤のコアまたはビーズのコアの重量に対して示される。1つの例において、錠剤のコアは、その錠剤のコアの約5重量%〜約7重量%である腸溶コーティングによってコーティングされる。別の例において、この腸溶コーティングは、その錠剤のコアの約10重量%〜約14重量%である。実施例3および実施例4は、錠剤の崩壊時間が、腸溶コーティングの量を変化させることによってどのように制御され得るかを実証する。これらの例において、Eudragit(登録商標)L30−D55は、腸溶コーティングとして使用され、この錠剤のコアに適用される腸溶コーティングの量は、錠剤のコアの重量に基づいて約5重量%〜15重量%であった。この腸溶コーティングの量に関して、37℃のpH5.75において錠剤の崩壊時間は、約21分間〜約77分間(実施例3)の範囲および約35分間〜約98分間(実施例4)の範囲であった。
【0044】
腸溶コーティング(上記されるような腸溶コーティング)は、pH応答性ではない他の公知のコーティング生成物と混合することによって改変され得る。このような生成物の例としては、商品名Eudragit(登録商標)RLおよびEudragit(登録商標)RSで現在販売される4級アンモニウム基を有するアクリレートとメタクリレートとのコポリマー、ならびに商品名Eudragit(登録商標)NE30−Dで販売されるいかなる官能基も有さない中性エステルの分散物が挙げられる。
【0045】
腸溶コーティングはまた、徐放性コーティングであり得る。この徐放性コーティングは、このコーティングが十分に溶解して破裂するまで比較的一定の速度で分解される。したがって、この腸溶コーティングの破裂に必要な時間は、ほぼ時間依存性(すなわち、厚さ)であり、そしてほぼpH非依存性である。徐放性コーティング物質の例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、および4級アンモニウム基を有するアクリレートとメタクリレートとのコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)RLおよびEudragit(登録商標)RS)ならびにEudragit(登録商標)NE30−Dが挙げられる。徐放性コーティングの量は、そのコーティングが、約0.3時間〜約10時間で破裂し、好ましくは約0.5時間〜約4時間(例えば、約0.5時間〜約1時間、約1時間〜約1.5時間、約1.5時間〜約2時間、約2時間〜約3時間、および約3時間〜約4時間)で破裂するように選択され得る。本発明の徐放性コーティングは、単独かまたは耐酸性コーティングと組み合わせて使用され得る。
【0046】
本発明の錠剤およびビーズはさらに、腸溶コーティングと錠剤のコアとの間に、必要に応じて水溶性コーティングを含む。「水溶性コーティング」はまた、本明細書中で「シールコート(sealcoat)」または「シールコーティング(seal coating)」と称される。本発明の水溶性コーティングを有する錠剤は、上記される本発明の錠剤のコアとコーティング溶液とを接触させる工程を包含する方法によって調製され、このコーティング溶液は、溶媒、溶媒中に溶解または懸濁された1種以上のコーティング因子を含み、そして必要に応じて1種以上の可塑剤を含む。好ましくは、この溶媒は、水性溶媒(例えば、水または水性緩衝液)、または水性/有機混合溶媒である。好ましいコーティング因子としては、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルエチルセルロース)が挙げられる。適切なヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)溶液としては、低粘度のHMPCを有する溶液および/または高粘度のHMPCを有する溶液が挙げられる。さらなる適切なセルロース誘導体としては、フィルムコーティング処方物に有用なセルロースエーテルが挙げられる。代表的に、上記錠剤のコアは、この錠剤のコアが、約0.5%〜約2.5%の範囲の量まで増加し、好ましくは約0.5%〜約1.5%の範囲の量まで増加し、そしてより好ましくは約0.5%〜約3%の範囲の量まで増加するまで、コーティング溶液と接触される。
【0047】
腸溶コーティング層は、錠剤のコアまたはビーズのコアに対して適用され得、これらのコアは、従来のコーティング技術(例えば、パンコーティング、または水もしくは適切な有機溶媒中でポリマーの溶液を使用する流動層コーティング)によってか、または水性ポリマーの分散物を使用することによるシールコーティングを有しても有さなくてもよい。腸溶コーティングを適用する方法は、米国特許第4,185,088号、同第5,108,758号、同第5,681,584号、同第5,897,910号、および同第6,200,600号(これらの内容は、本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。
【0048】
本発明のカプセル、包みまたは紙は、異なる腸溶コーティング、または互いに異なる量の腸溶コーティングを有する第1および第2の複数のビーズを有し得る。これらのカプセル、包みまたは紙において、活性成分(脂肪族アミンポリマー)の放出は、単一の投薬形態において1つより多い腸管の領域(例えば、小腸の複数の部分)を標的とし得る。腸管に複数の標的領域が存在する場合にこのような投薬形態を使用することは、有利であり得る(例えば、有効性を改善すること)。
【0049】
本発明の別の局面は、ポリマーの活性成分を含む錠剤のコアを有する錠剤に関し、この錠剤のコアは、水溶性コーティングによってコーティングされ、この水溶性コーティングは、腸溶コーティングによってコーティングされる。特定の適用において、水溶性のシールコーティングおよびこのシールコーティング上の腸溶コーティングを有することは、腸溶コーティングのみを有する錠剤より一貫した崩壊時間を提供する(崩壊時間の変化が、より少ない)。このような錠剤のコア中のポリマーは、脂肪族アミンポリマー(例えば、水に不溶性のポリマー)のようなアミンポリマーであり得る。
【0050】
本発明のカプセル、包みまたは紙は、当該分野で公知の従来技術によって調製され得る。これらのカプセル、包みまたは紙は、活性成分を有するビーズのための容器として機能する。ソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセルは、当該分野においてありふれた技術である。ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸、スチレン無水マレイン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルギネート、アクリルアミドコポリマー、グァーガム、カゼイン、一連のエチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースを含むポリマーは、包みに使用されることが公知である。カプセルおよび包みを製造するための手順は、当該分野において公知であり、例えば、水溶性の包みの調製は、米国特許第6,632,785号に開示され、カプセルの調製は、米国特許第4,627,850号およびMack Publishing Co.,Easton,Paによって出版されたRemingtonのPharmaceutical Sciences,第XIV巻,1671−77ページ,(1970)(これらの内容は、本明細書中に参考として援用される)に開示される。
【0051】
本発明の錠剤またはカプセル、包みまたは紙は、1種以上の賦形剤(例えば、可塑剤、硬化剤、滑沢剤、および潤滑剤)をさらに含み得る。錠剤中に含まれる賦形剤としては、例えば、コロイド状の二酸化ケイ素、ジアセチル化モノグリセリド、ステアリン酸、マグネシウムシリケート、カルシウムシリケート、スクロース、カルシウムステアレート、グリセリルベヘネート、マグネシウムステアレート、タルク、ステアリン酸亜鉛、およびステアリルフマル酸(stearylfumarate)ナトリウムが挙げられる。カプセル中に含まれる賦形剤としては、例えば、コロイド状の二酸化ケイ素、ラクトース、ソルビトールおよびステアリン酸が挙げられ得る。カプセルの外装は、例えば、二酸化チタンおよびインジゴカルミンインクを含み得る。この賦形剤は、例えば、0〜約30重量%の錠剤のコアを示し得る。
【0052】
本発明はさらに、コレステロールを低下させる必要がある哺乳動物においてコレステロールを低下させる方法に関し、この方法は、上記される本発明の錠剤、カプセル、包みまたは紙の治療有効量を哺乳動物に投与する工程によって実施される。治療有効量は、本明細書中に、血清コレステロールレベルを低下させる必要がある哺乳動物を処置する脂肪族アミンポリマーの十分量として定義される。例えば、脂肪族アミンポリマーの治療有効量は、約0.5g〜約2g(例えば、約0.5g〜約1.6g)である。錠剤、カプセル、包みまたは紙のこのような用量は、1日に1回または2回、患者に簡便に投与され得る。1日に1回より多く投与される場合、この治療有効量は、適切な時間間隔(例えば、数分間または数時間)によって隔てられる一連の用量で投与され得る。本明細書中に記載される錠剤、カプセル、包みまたは紙は、食前、食事の際、または食後に投与され得る。
【0053】
本発明の錠剤、カプセル、包みまたは紙は、単独かまたは1つ以上のさらなる薬学的因子と組み合わせて投与され得る。適切な薬学的因子としては、例えば、抗高脂血因子(例えば、LXRアゴニスト(WO01/03705を参照のこと);血漿HDL−上昇因子;コレステロール生合成インヒビターのような抗高コレステロール血因子(例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えば、スタチン)、HMG−CoA合成インヒビター、スクアレンエポキシダーゼインヒビター、またはスクアレンシンテターゼインヒビター(いわゆるスクアレンシンターゼインヒビター);アシル−補酵素A;コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター(例えば、メリナミド);プロブコール;ニコチン酸およびその塩ならびにナイアシンアミド;コレステロール吸収インヒビター(例えば、β−シトステロール);およびLDL(低密度リポタンパク質)レセプター誘導因子;フィブラート(例えば、クロフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブリゾール;ビタミンB(いわゆるピリドキシン)およびその薬学的に受容可能な塩(例えば、HCl塩);ビタミンB12(いわゆるシアノコバラミン);抗酸化ビタミン(例えば、ビタミンCおよびビタミンE、ならびにβカロテン);β−遮断薬;およびアンギオテンシンIIアンタゴニスト変換酵素インヒビター;および血小板凝集インヒビター(例えば、フィブリノゲンレセプターアンタゴニスト(すなわち、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノゲンレセプターアンタゴニスト)ならびにアスピリンが挙げられる。
【実施例】
【0054】
(実施例1.800mgのセベラマーHCl腸溶コーティング錠についての崩壊試験)
塩酸セベラマー錠を、最初に水溶性ポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、表1)のシールコートでコーティングした。次いで、このシールコート錠を5重量%〜15重量%のゲイン範囲で、Eudragit L30D55含有処方物によってフィルムコーティングした(表2)。この錠剤の放出部位は、pH5.75の媒体において崩壊試験を行うことによって推定され得る。pH5.75にて行った崩壊試験のデータは、コーティングレベルの上昇に伴う崩壊時間の増加を明確に示し、それによって脂肪族アミンポリマー(例えば、腸管の所望の部位におけるセベラマーHCl)の放出について所望されるコーティングレベルの決定を可能にした。
【0055】
(表1.水溶性コーティング(シールコート)の成分および組成)
【0056】
【表1】

(表2.腸溶コーティング(トップコート)の成分および組成)
【0057】
【表2】

この崩壊試験を、37℃にて溶解装置を使用して行った。この腸溶コーティングした錠剤を、最初に2時間、pH4.5のコハク酸緩衝液の酸性媒体に曝し、次いでpH5.75のコハク酸緩衝液に曝した。破裂時間および崩壊時間を試験の間に測定した。破裂時間(RT)は、錠剤の腸溶コーティングが壊れ始める時間であり、そして崩壊時間(DT)は、錠剤が完全に崩壊される時間である。
【0058】
表3は、シールコートの組成およびトップコートの組成、使用した崩壊装置、崩壊媒体のpH、破裂時間および崩壊時間、ならびに800mgの塩酸セベラマー腸溶コーティング錠についての試験条件を要約する。5.0重量%ゲインのトップコートおよび2.5%のシールコートを有する錠剤、5.8重量%ゲインのトップコートおよび2.5%のシールコートを有する錠剤、ならびに7.9重量%ゲインのトップコートおよび2.5%のシールコートを有する錠剤についての崩壊時間は、それぞれ、21分間〜25分間、29分間〜32分間、および43分間〜44分間であった。11.4重量%ゲインのトップコートおよび2.5%のシールコートを有する錠剤、12.6重量%ゲインのトップコートおよび2.5%のシールコートを有する錠剤、ならびに13.5重量%ゲインのトップコートおよび2.5%のシールコートを有する錠剤についての崩壊時間は、それぞれ、58分間〜82分間、69分間〜87分間、および72分間〜77分間であった(図1)。これらの結果は、pH5.75に達した後の時間遅延による、崩壊部位についての優れた制御を示した。
【0059】
(表3.800mgのセベラマーHCl腸溶コーティング錠の崩壊試験)
【0060】
【表3−1】

(表3.800mgのセベラマーHCl腸溶コーティング錠(対照)の崩壊試験)
【0061】
【表3−2】

(実施例2.異なる%のシールコートを有する800mgのセベラマーHCl腸溶コーティング錠の崩壊試験)
崩壊試験をまた、7.9重量%および13.5重量%のゲインのEudragit L30D55のトップコートならびに1.5重量%ゲインのSpectrablend SB 50842のシールコートを有する錠剤について、37℃にて行った。この結果(表4に示した通り)は、シールコートの量を1.5%から2.5%まで増加させる工程は、平均崩壊時間に有意に影響しないが、崩壊時間の可変性を減少させることを示す。7.9重量%のトップコートおよび2.5重量%のシールコートを有する錠剤は、43分間〜44分間の崩壊時間を有し、そして7.9重量%のトップコートおよび1.5重量%のシールコートを有する錠剤は、34分間〜51分間の崩壊時間を有する。さらに13.5重量%のトップコートおよび2.5重量%のシールコートを有する錠剤は、73分間〜77分間の崩壊時間を有し、そして13.5重量%のトップコートおよび1.5重量%のシールコートを有する錠剤は、70分間〜75分間の崩壊時間を有する。この結果は、トップコート(Eudragit L30D55)の重量%ゲインが増加すると、破裂時間(RT)および崩壊時間(DT)が増加することを示した。
【0062】
(表4.異なる%のシールコートを有する800mgのセベラマーHCl腸溶コーティング錠の崩壊試験)
【0063】
【表4】

(実施例3.セベラマーHCl(800mg)の腸溶コーティング錠の崩壊時間に対する崩壊媒体のpHの効果)
崩壊試験を、800mgの腸溶コーティングしたセベラマーHCl錠について、pH5.75に代えてpH6.25の0.05Mコハク酸緩衝液の崩壊媒体を使用して37℃にて行った。シールコートの組成およびトップコートの組成、使用した崩壊装置、崩壊媒体のpH、破裂時間および崩壊時間ならびに試験条件は、表5に示される。比較した結果は、図2に示され、この結果は、崩壊媒体のpHをpH5.75からpH6.25まで上昇させると、その破裂時間(RT)および崩壊時間(DT)が減少したことを示す。このことは、この送達システムが意図される放出部位を標的とすることを確かめるための代替手段を提供する。腸管を通過する時間が、より早い場合、この錠剤は、pHの上昇に応じてセベラマーHClをより早く放出し得る。
【0064】
(表5.pH6.25における800mgのセベラマーHCl腸溶コーティング錠についての崩壊試験)
【0065】
【表5】

(実施例4.崩壊時間に対するコーティング重量ゲインの効果)
塩酸コレセベラムを、錠剤中に圧縮し、次いで実施例1に記載した様式と同様の様式でコーティングした。この錠剤の崩壊試験および破裂試験を、37℃にて行った。特定の試験条件および結果を、表6に要約する。図4に示す通り、この結果は、トップコートの重量%ゲインを増加させると、その破裂時間(RT)および崩壊時間(DT)が増加したことを示した。
【0066】
(表6.崩壊時間に対するコーティング重量ゲインの効果)
【0067】
【表6】

本発明は、その好ましい実施形態を参照することによって、詳細に示されかつ記載される一方で、形態および細部における種々の変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る点が、当業者によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2.5%シールコートを有する800mgのRenagel(登録商標)錠のpH5.75における崩壊時間に対するEudragit(登録商標)L30D−55の腸溶コーティング(トップコート)の重量%ゲインを示すグラフである。
【図2】図2は、pH5.75およびpH6.25の0.05Mのコハク酸緩衝液における、Eudragit(登録商標)L30D−55の腸溶コーティング(トップコート)の重量%ゲインに対する800mgのRenagel(登録商標)錠の崩壊時間のプロットである。
【図3】図3は、pH5.75での、625mgのWelcholTM錠の崩壊時間に対する、腸溶コーティング(トップコート)の重量ゲインの効果を示すグラフである。
【図4】図4は、pH5.75での、625mgのWelcholTM錠の崩壊時間に対する、シールコートの重量ゲインの効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤であって、以下:
a)脂肪族アミンポリマーまたはその薬学的に受容可能な塩を含む錠剤のコア;および
b)約37℃にてpHが約5.0と約6.0との間である水溶液に可溶化する、該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む、錠剤。
【請求項2】
前記腸溶コーティングは、約37℃にてpHが約5.0と約5.5との間である水溶液に可溶化する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記腸溶コーティングは、約37℃にてpHが約5.5と約6.0との間である水溶液に可溶化する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
前記脂肪族アミンポリマーは、以下:
【化1】

からなる群より選択される少なくとも1つの式によって示される1つ以上の反復ユニット、またはその塩もしくはコポリマーを含み;
yは、1以上の整数であり;
R、R、RおよびRは独立して、H、置換アルキル基または非置換アルキル基、またはアリール基であり;そして
は、交換可能な負に荷電した対イオンである、
請求項1に記載の錠剤。
【請求項5】
前記脂肪族アミンポリマーは、多官能性の架橋剤によって架橋される、請求項4に記載の錠剤。
【請求項6】
前記脂肪族アミンポリマーは、ポリアリルアミンである、請求項5に記載の錠剤。
【請求項7】
前記ポリアリルアミンは、セベラマーである、請求項6に記載の錠剤。
【請求項8】
前記ポリアリルアミンは、コレセベラムである、請求項6に記載の錠剤。
【請求項9】
前記錠剤のコアは、少なくとも約70重量%の前記脂肪族アミンポリマーを含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項10】
前記錠剤のコアは、少なくとも約95重量%の前記脂肪族アミンポリマーを含む、請求項9に記載の錠剤。
【請求項11】
前記腸溶コーティングは、耐酸性コーティングである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項12】
前記耐酸性コーティングは、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、アクリル酸ホモポリマーもしくはアクリル酸コポリマー、メタクリル酸ホモポリマーもしくはメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項11に記載の錠剤。
【請求項13】
前記耐酸性コーティングは、メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、またはその組み合わせを含む、請求項12に記載の錠剤。
【請求項14】
前記腸溶コーティングは、前記錠剤のコアの約5重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項15】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約5重量%〜約7重量%である、請求項14に記載の錠剤。
【請求項16】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約10重量%〜約14重量%である、請求項14に記載の錠剤。
【請求項17】
請求項1に記載の錠剤であって、前記腸溶コーティングと前記錠剤のコアの間に水溶性コーティングをさらに含む、錠剤。
【請求項18】
前記水溶性コーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項17に記載の錠剤。
【請求項19】
前記水溶性コーティングが、前記錠剤のコアの約0.5重量%〜約3重量%である、請求項17に記載の錠剤。
【請求項20】
錠剤であって、以下:
a)脂肪族アミンポリマーまたはその薬学的に受容可能な塩を含む錠剤のコア;および
b)約37℃にてpHが約6.0と約7.0との間である水溶液に可溶化する、該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む、錠剤。
【請求項21】
前記腸溶コーティングが、約37℃にてpHが約6.0と約6.5との間である水溶液に可溶化する、請求項20に記載の錠剤。
【請求項22】
前記腸溶コーティングが、約37℃にてpHが約6.5と約7.0との間である水溶液に可溶化する、請求項20に記載の錠剤。
【請求項23】
前記脂肪族アミンポリマーが、以下:
【化2】

からなる群より選択される少なくとも1つの式によって示される1つ以上の反復ユニット、またはその塩もしくはコポリマーを含み;
yは、1以上の整数であり;
R、R、RおよびRは独立して、H、置換アルキル基または非置換アルキル基、またはアリール基であり;そして
は、交換可能な負に荷電した対イオンである、
請求項20に記載の錠剤。
【請求項24】
前記脂肪族アミンポリマーが、多官能性の架橋剤によって架橋される、請求項23に記載の錠剤。
【請求項25】
前記脂肪族アミンポリマーが、ポリアリルアミンである、請求項24に記載の錠剤。
【請求項26】
前記ポリアリルアミンが、セベラマーである、請求項25に記載の錠剤。
【請求項27】
前記ポリアリルアミンが、コレセベラムである、請求項25に記載の錠剤。
【請求項28】
前記錠剤のコアが、少なくとも約70重量%の前記脂肪族アミンポリマーを含む、請求項21に記載の錠剤。
【請求項29】
前記錠剤のコアが、少なくとも約95重量%の前記脂肪族アミンポリマーを含む、請求項28に記載の錠剤。
【請求項30】
前記腸溶コーティングが、耐酸性コーティングである、請求項21に記載の錠剤。
【請求項31】
前記耐酸性コーティングが、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、アクリル酸ホモポリマーもしくはアクリル酸コポリマー、メタクリル酸ホモポリマーもしくはメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項30に記載の錠剤。
【請求項32】
前記耐酸性コーティングが、メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項31に記載の錠剤。
【請求項33】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約5重量%〜約15重量%である、請求項20に記載の錠剤。
【請求項34】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約5重量%〜約7重量%である、請求項33に記載の錠剤。
【請求項35】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約10重量%〜約14重量%である、請求項33に記載の錠剤。
【請求項36】
請求項20に記載の錠剤であって、前記腸溶コーティングと前記錠剤のコアの間に水溶性コーティングをさらに含む、錠剤。
【請求項37】
前記水溶性コーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項36に記載の錠剤。
【請求項38】
前記水溶性コーティングが、前記錠剤のコアの約0.5重量%〜約3重量%である、請求項36に記載の錠剤。
【請求項39】
錠剤であって、以下:
a)脂肪族アミンポリマーまたはその薬学的に受容可能な塩を含む錠剤のコア;および
b)該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングであって、該錠剤が、哺乳動物に経口投与された場合に、該哺乳動物の十二指腸において該脂肪族アミンポリマーを放出する、薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む錠剤。
【請求項40】
前記脂肪族アミンポリマーが、以下:
【化3】

からなる群より選択される少なくとも1つの式によって示される1つ以上の反復ユニット、またはその塩もしくはコポリマーを含み;
yは、1以上の整数であり;
R、R、RおよびRは独立して、H、置換アルキル基または非置換アルキル基、またはアリール基であり;そして
は、交換可能な負に荷電した対イオンである、
請求項39に記載の錠剤。
【請求項41】
前記脂肪族アミンポリマーが、多官能性の架橋剤によって架橋される、請求項40に記載の錠剤。
【請求項42】
前記脂肪族アミンポリマーが、ポリアリルアミンである、請求項41に記載の錠剤。
【請求項43】
前記ポリアリルアミンが、セベラマーである、請求項42に記載の錠剤。
【請求項44】
前記ポリアリルアミンが、コレセベラムである、請求項42に記載の錠剤。
【請求項45】
前記錠剤のコアが、少なくとも約70重量%の前記脂肪族アミンポリマーまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項39に記載の錠剤。
【請求項46】
前記腸溶コーティングが、耐酸性コーティングである、請求項39に記載の錠剤。
【請求項47】
前記耐酸性コーティングが、メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項46に記載の錠剤。
【請求項48】
前記腸溶コーティングが、徐放性コーティングである、請求項39に記載の錠剤。
【請求項49】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約5重量%〜約15重量%である、請求項39に記載の錠剤。
【請求項50】
請求項39に記載の錠剤であって、前記腸溶コーティングと前記錠剤のコアの間に水溶性コーティングをさらに含む、錠剤。
【請求項51】
錠剤であって、以下:
a)脂肪族アミンポリマーまたはその薬学的に受容可能な塩を含む錠剤のコア;および
b)該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングであって、該錠剤が、哺乳動物に経口投与された場合に、該哺乳動物の空腸において該脂肪族アミンポリマーを放出する、薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む錠剤。
【請求項52】
前記錠剤が、前記脂肪族アミンポリマーを近位空腸において放出する、請求項51に記載の錠剤。
【請求項53】
前記錠剤が、前記脂肪族アミンポリマーを空腸の中部において放出する、請求項51に記載の錠剤。
【請求項54】
前記錠剤が、前記脂肪族アミンポリマーを遠位空腸において放出する、請求項51に記載の錠剤。
【請求項55】
前記脂肪族アミンポリマーが、以下:
【化4】

からなる群より選択される少なくとも1つの式によって示される1つ以上の反復ユニット、またはその塩もしくはコポリマーを含み;
yは、1以上の整数であり;
R、R、RおよびRは独立して、H、置換アルキル基または非置換アルキル基、またはアリール基であり;そして
は、交換可能な負に荷電した対イオンである、
請求項51に記載の錠剤。
【請求項56】
前記脂肪族アミンが、多官能性の架橋剤によって架橋される、請求項55に記載の錠剤。
【請求項57】
前記脂肪族アミンが、ポリアリルアミンである、請求項56に記載の錠剤。
【請求項58】
前記ポリアリルアミンが、セベラマーである、請求項57に記載の錠剤。
【請求項59】
前記ポリアリルアミンが、コレセベラムである、請求項57に記載の錠剤。
【請求項60】
前記錠剤のコアが、少なくとも約70重量%の前記脂肪族アミンポリマーを含む、請求項51に記載の錠剤。
【請求項61】
前記腸溶コーティングが、耐酸性コーティングである、請求項51に記載の錠剤。
【請求項62】
前記耐酸性コーティングが、メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項61に記載の錠剤。
【請求項63】
前記腸溶コーティングが、徐放性コーティングである、請求項51に記載の錠剤。
【請求項64】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約5重量%〜約15重量%である、請求項51に記載の錠剤。
【請求項65】
請求項51に記載の錠剤であって、前記腸溶コーティングと前記錠剤のコアの間に水溶性コーティングをさらに含む、錠剤。
【請求項66】
錠剤であって、以下:
a)脂肪族アミンポリマーまたはその薬学的に受容可能な塩を含む錠剤のコア;および
b)該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティングであって、該錠剤が、哺乳動物に経口投与された場合に、該哺乳動物の回腸において該脂肪族アミンポリマーを放出する、薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む錠剤。
【請求項67】
前記脂肪族アミンポリマーが、以下:
【化5】

からなる群より選択される少なくとも1つの式によって示される1つ以上の反復ユニット、またはその塩もしくはコポリマーを含み;
yは、1以上の整数であり;
R、R、RおよびRは独立して、H、置換アルキル基または非置換アルキル基、またはアリール基であり;そして
は、交換可能な負に荷電した対イオンである、
請求項66に記載の錠剤。
【請求項68】
前記脂肪族アミンが、多官能性の架橋剤によって架橋される、請求項67に記載の錠剤。
【請求項69】
前記脂肪族アミンポリマーが、ポリアリルアミンである、請求項68に記載の錠剤。
【請求項70】
前記ポリアリルアミンが、セベラマーである、請求項69に記載の錠剤。
【請求項71】
前記ポリアリルアミンが、コレセベラムである、請求項69に記載の錠剤。
【請求項72】
前記錠剤のコアが、少なくとも約70重量%の前記脂肪族アミンポリマーを含む、請求項66に記載の錠剤。
【請求項73】
前記腸溶コーティングが、耐酸性コーティングである、請求項66に記載の錠剤。
【請求項74】
前記耐酸性コーティングが、メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項73に記載の錠剤。
【請求項75】
前記腸溶コーティングが、徐放性コーティングである、請求項66に記載の錠剤。
【請求項76】
前記腸溶コーティングが、前記錠剤のコアの約5重量%〜約15重量%である、請求項66に記載の錠剤。
【請求項77】
請求項66に記載の錠剤であって、前記腸溶コーティングと前記錠剤のコアの間に水溶性コーティングをさらに含む、錠剤。
【請求項78】
第1の複数のビーズを含むカプセル、包み、または紙であって、該ビーズが、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含むビーズのコア
b)約37℃にてpHが約5.0と約7.0との間である水溶液に可溶化する、該ビーズのコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング;および
c)該腸溶コーティングと該ビーズのコアとの間に必要に応じてある水溶性コーティング
を含む、カプセル、包み、または紙。
【請求項79】
前記腸溶コーティングが、約37℃にてpHが約5.0と約6.0との間である水溶液に可溶化する、請求項78に記載のカプセル、包み、または紙。
【請求項80】
前記腸溶コーティングが、約37℃にてpHが約6.0と約7.0との間である水溶液に可溶化する、請求項78に記載のカプセル、包み、または紙。
【請求項81】
第2の複数のビーズをさらに含む請求項78に記載のカプセル、包み、または紙であって、該第2の複数のビーズが、前記第1の複数のビーズの腸溶コーティングと異なるpHにて可溶化する腸溶コーティングを有する、カプセル、包み、または紙
【請求項82】
第2の複数のビーズをさらに含む請求項78に記載のカプセル、包み、または紙であって、該第2の複数のビーズが、前記第1の複数のビーズより少ないか、または多い量の腸溶コーティングを有する、カプセル、包み、または紙。
【請求項83】
第1の複数のビーズを含むカプセル、包み、または紙であって、該ビーズが、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含むビーズのコア
b)該ビーズのコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング;および
c)該腸溶コーティングと該ビーズのコアとの間に必要に応じてある水溶性コーティング
を含み、
該ビーズが、哺乳動物に経口投与された場合に、該哺乳動物の十二指腸において該脂肪族アミンポリマーを放出する、カプセル、包み、または紙。
【請求項84】
第1の複数のビーズを含むカプセル、包み、または紙であって、該ビーズが、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含むビーズのコア
b)該ビーズのコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング;および
c)該腸溶コーティングと該ビーズのコアとの間に必要に応じてある水溶性コーティング
を含み、
該ビーズが、哺乳動物に経口投与された場合に、該哺乳動物の空腸において該脂肪族アミンポリマーを放出する、カプセル、包み、または紙。
【請求項85】
第1の複数のビーズを含むカプセル、包み、または紙であって、該ビーズが、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含むビーズのコア
b)該ビーズのコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング;および
c)該腸溶コーティングと該ビーズのコアとの間に必要に応じてある水溶性コーティング
を含み、
該ビーズが、哺乳動物に経口投与された場合に、該哺乳動物の回腸において該脂肪族アミンポリマーを放出する、カプセル、包み、または紙。
【請求項86】
第1および第2の複数のビーズを含むカプセル、包み、または紙であって、該ビーズが、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含むビーズのコア
b)該ビーズのコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング;および
c)該腸溶コーティングと該ビーズのコアとの間に必要に応じてある水溶性コーティング
を含み、
該第1の複数のビーズが、該第2の複数のビーズと異なる小腸の領域に、該脂肪族アミンポリマーを放出する、カプセル、包み、または紙。
【請求項87】
コレステロールを低下させる必要がある哺乳動物においてコレステロールを低下させるための方法であって、該方法は、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含む錠剤のコア;および
b)約37℃にてpHが約5.0と約6.0との間である水溶液に可溶化する、該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む錠剤を該哺乳動物に投与する工程によって実施される、方法。
【請求項88】
コレステロールを低下させる必要がある哺乳動物においてコレステロールを低下させるための方法であって、該方法は、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含む錠剤のコア;および
b)約37℃にてpHが約6.0と約7.0との間である水溶液に可溶化する、該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング、
を含む錠剤を該哺乳動物に投与する工程によって実施される、方法。
【請求項89】
コレステロールを低下させる必要がある哺乳動物においてコレステロールを低下させるための方法であって、該方法は、複数のビーズを含むカプセル、包み、または紙を該哺乳動物に投与する工程によって実施され、該ビーズが、以下:
a)脂肪族アミンポリマーを含むビーズのコア;
b)約37℃にてpHが約5.0と約7.0との間である水溶液に可溶化する、該錠剤のコアのための薬学的に受容可能な腸溶コーティング;および
c)該腸溶コーティングと該ビーズのコアとの間に必要に応じてある水溶性コーティング、
を含む、方法。
【請求項90】
ポリマーの活性成分を有する錠剤のコアを含む錠剤であって、該錠剤のコアは、水溶性コーティングによってコーティングされ、そして該水溶性コーティングは、腸溶コーティングによってコーティングされる、錠剤。
【請求項91】
前記ポリマーは、アミンポリマーである、請求項90に記載の錠剤。
【請求項92】
前記アミンポリマーは、脂肪族アミンポリマーである、請求項91に記載の錠剤。
【請求項93】
前記脂肪族アミンポリマーは、水に不溶性のポリマーである、請求項92に記載の錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−517047(P2007−517047A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547440(P2006−547440)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043537
【国際公開番号】WO2005/065291
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(500579888)ジェンザイム・コーポレーション (34)
【Fターム(参考)】