説明

膜処理装置

【課題】安価かつ確実に膜破断の発生を検知する手段を備えた膜処理装置を提供する。
【解決手段】中空糸膜4に破断が有る場合、コンプレッサCからの加圧気体は該破断部を通過して処理水室12に流出して膜破断検知部50を通過する。処理水中に気泡が存在する場合には、電極54,55間の電流又は電圧が変化する。この変化パターンから膜破断を検知する。気泡を電極54,55と確実に接触させるために、短管51の天井面部位に溝53を設け、電極54,55を該溝53に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水を濾過する膜を備えた中空糸膜分離装置などの膜処理装置に係り、特に膜破断を検知する手段を備えた膜処理装置に関する。詳しくは、本発明は、膜処理装置における膜破断検知を気泡の検知により行うようにした膜処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
膜処理装置における膜の破断を検知する技術として、空気逆洗工程において破断箇所から漏れる気泡を目視、超音波センサ、粒子計、濁度計、光電センサによって検知する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開2001−269551号公報には、浄水処理装置における中空糸膜の破断を超音波流速計を用いて検知する方法が開示されている。当該公報の膜破断検知方法においては、処理水室を処理水で満たし、循環水室に加圧気体を吹き込む。中空糸膜が破断している場合には、加圧気体がこの破断部から中空糸膜内を通って処理水室に移動し、さらに処理水室に接続された処理水管から流出する。この処理水管内を通過する気体を該処理水管に設けた超音波流速計を用いて検出することによって、中空糸膜の破断を検知する。
【0004】
また特開2000−126563号公報には、ハウジング内が中空糸膜によって原水室と処理水室とに区画され、該ハウジングの該処理水室と接続された処理水排出管に空気溜まりが設けられた中空糸膜濾過装置において、原水室内に加圧空気を供給し、該加圧空気が中空糸膜の破断箇所から処理水室及び処理水排出管を通って空気溜まりに溜まり、該空気溜まりに溜まった空気を目視や水位計等で検知することによって中空糸膜の破断を確認する方法が開示されている。
【0005】
さらに、特開2003−144866号公報には、中空糸膜モジュール内が中空糸膜によって上部側の原水室と下部側の処理水室に区画され、該原水室の上部に中空糸膜破断検知用透明管を備えた気泡抜管が接続された中空糸膜モジュール式濾過装置において、空気逆洗時に処理水室内に圧入された空気が処理水室から中空糸膜の破断箇所及び原水室を通って気泡抜管に備えられた中空糸膜破断検知用透明管を通過し、該透明管内を通過する空気を目視又は光電センサで検知することにより、膜破断と判定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−269551号公報
【特許文献2】特開2000−126563号公報
【特許文献3】特開2003−144866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
破断した膜を通過し、流路内を流れる液中に混入した気泡をセンサによって検知する場合、気泡は該流路の天井部付近に集まってくるが、流路内の水流(乱流)によって気泡が天井内面に沿って左右にぶれてしまったときには、流路内を気泡が流れても検知されないことがある。
【0007】
本発明は、流路内を液と共に流れる気泡を確実に検知して膜破断を検知することができる膜処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の膜処理装置は、被処理液を濾過する膜と、該膜で隔てられた一方の側に気体又は気液混合液を流通させる手段と、該膜の破断検知のために該膜で隔てられた他方の側における気泡を検知する気泡検知器とを有する膜処理装置において、該膜を透過した液が流れる流路が設けられ、該流路内に臨む天井面部位に、流れ方向に沿って延在する溝が設けられ、該溝内に該気泡検知器が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の膜処理装置は、請求項1において、該検知器は、先端部が該溝内に臨むように設けられた1対の針状電極を有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の膜処理装置は、請求項2において、該針状電極は、溝長手方向に離隔して設置されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の膜処理装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、溝の幅Wが1〜20mmであり、溝の深さDが1〜20mmであり、W/Dが0.05〜20であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の膜処理装置において、破断した膜を通過した気泡が液と共に流路内を流れる場合、気泡は該流路の天井面部位の溝内に捕集されるようになり、該流路の左右方向にぶれることが防止される。従って、この溝に気泡検知器を設けておくことにより気泡を確実に検知することができる。
【0013】
請求項2の膜処理装置において、破断した膜を通過した気泡が溝内を流れ、針状電極と接触すると、該針状電極を流れる電流あるいは針状電極の印加電圧等が変化し、気泡が検知される。
【0014】
請求項3の膜処理装置において、気泡が集まって溝内を流れる場合、溝に沿って気泡が長く延在したり、複数の気泡が溝に沿って列状に連なったりするようになる。そのため、溝長手方向に離隔させて1対の針状電極を配置することにより、1対の針状電極がいずれも気泡に接するようになり、気泡を確実に検知することができる。
【0015】
請求項4の通り、溝をある程度幅狭とし且つ所要程度の深さを有したものとすることにより、溝内に流入した気泡が会合して成長したり、複数の気泡が溝に沿って列状に連なったりし易くなり、気泡検知精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0017】
第1図は本発明の実施の形態に係る膜処理装置の模式図、第2図(a)は第1図の膜破断検知部の流路方向に沿う断面図、第2図(b)は同(a)のB−B線断面図、第3図は同装置の回路図である。なお、第1図では図面を明瞭とするために中空糸膜を4本としているが、実際には中空糸膜は多数本配置されている。
【0018】
第1図の通り、内圧式中空糸膜モジュール1のケーシング2内に、複数本の中空糸膜4が束ねられて配置されている。この中空糸膜4の束の下端及び上端はそれぞれ合成樹脂等よりなる封止材6,8によって結束されている。この封止材6,8は、例えば円盤状とされ、その外周面若しくは外周縁部がケーシング2の内面に水密的に接している。下側の封止材6の下側に原水室10が形成され、上側の封止材8の上側に循環水室14が形成され、両封止材6,8の間に処理水室12が形成されている。
【0019】
中空糸膜4の上端側は封止材8を貫通しており、その上端の開口4aは循環水室14に臨んでいる。同様に、中空糸膜4の下端側は封止材6を貫通しており、その下端の開口4bは原水室10に臨んでいる。
【0020】
ケーシング2の原水室10側には、原水入口ノズル10a及び気体入口ノズル10bが設けられている。原水入口ノズル10aは、原水配管21、原水弁V及び原水ポンプPを介して原水槽20に接続されている。原水配管21の原水ノズル10aと原水弁Vとの間の箇所から、排水弁Vを備えた排水配管24が分岐している。気体入口ノズル10bは開閉弁Vを備えた気体配管27を介してコンプレッサCと接続されている。
【0021】
ケーシング2の循環水室14側には循環水出口ノズル14aが設けられている。この循環水出口ノズル14aは、循環水弁Vを備えた循環水配管31を介して原水槽20と接続されている。この循環水配管31の循環水出口ノズル14aと循環水弁Vとの間の箇所から、ベント弁Vを備えたベント配管33が分岐している。
【0022】
ケーシング2の処理水室12側の上部には処理水出口ノズル12aが設けられている。この処理水出口ノズル12aは処理水配管41を介して膜破断検知部50に接続されている。なお、処理水出口ノズル12aは、配管41を介さず、直接に膜破断検知部50に接続されてもよい。この膜破断検知部50は処理水配管42を介して処理水槽40に接続されている。
【0023】
第2図の通り、膜破断検知部50にあっては、配管41,42間に、短管51が配管41,42と同軸状に配置されている。この短管51の天井面部位には、平坦部52が設けられ、この平坦部52に、水の流れ方向(この実施の形態では短管52の管軸方向と平行方向)に延在する溝53が設けられている。この溝53内に先端側が突出するようにして1対の針状電極54,55が設けられている。この針状電極54,55は、該溝53の長手方向に間隔をおいて配置されている。
【0024】
なお、処理水のpHの影響を受けないように、電極54,55の材料は白金やステンレスであることが好ましい。
【0025】
膜破断検知を行うために、電極54,55間に電圧を印加する電源と、電極54,55間の電流、電圧又は導電率を計測する計測部と、電流、電圧又は導電率の経時変化を記憶する記憶部と、電流、電圧又は導電率の経時変化のパターンから気泡の発生を判定する判定部とが設けられている。
【0026】
この膜破断検知方式を定電圧方式とした場合、電極54,55間に一定の電圧を印加する。この印加電圧により、電極54,55間に処理水の電気抵抗に応じた電流が流れる。水中に気泡が存在する場合には、この気泡が電極54,55間を通過する際に、電極54,55間の電流が変化する。
【0027】
そこで、記憶部に記憶された電流値の変化パターンと、計測した電流値の経時変化パターンとが対比され、膜破断の有無が判定される。
【0028】
第3図には、定電圧源として乾電池を用い、電極54,55間に流れる電流の変化をトランジスタで増幅して検知するように構成した定電圧方式の膜破断検知回路図が示されている。
【0029】
トランジスタTのコレクタが抵抗R,Rを介して電極54と接続されている。トランジスタTのエミッタが乾電池58の陰極と接続されている。乾電池58の陽極が上記抵抗RとRとの間の箇所と接続されている。抵抗Rの電圧降下を測定するように電圧計Vが設けられている。電極54,55間に乾電池58から定電圧が印加されている。溝53内を水のみが流通するときは、電極54,55間の電流値は一定であるが、溝53内を気泡が通過するとこの電流値が低下する。この電流変化がトランジスタTで増幅され、トランジスタTのコレクタ電流が変化し、電圧計Vで検出される抵抗Rの両端間の電圧が変化する。この電圧計Vの検出電圧の変化より、溝53内の気泡通過が検知される。特に、この検知機構では気泡が針状電極54,55に接することにより、該針状電極54,55間を流れる電流値が大幅に変化するので、気泡を敏感に検知することができる。
【0030】
なお、膜破断検知を定電流方式とした場合には、電極54,55間に定電流が流れるように電圧を印加する。水中に気泡が存在する場合には、この気泡が電極54,55間を通過する際に、電極54,55間の電圧が変化する。そこで、記憶部に記憶された電圧値の変化パターンと、計測した電圧値の経時変化パターンとが対比され、膜破断の有無が判定される。
【0031】
また、膜破断検知を導電率検知方式とした場合には、電極54,55間に所定の電圧を印加し、電極54,55間に電流を通電させる。水中に気泡が存在する場合には、この気泡が電極54,55間を通過する際に、電極54,55間の導電率が変化する。そこで、記憶部に記憶された導電率の変化パターンと、計測された導電率の経時変化パターンとが判定器で対比され、膜破断の有無が判定される。
【0032】
いずれの検知方式においても、短管51の天井面部位に水の流れ方向に沿って溝53が設けられているので、配管41の天井面部位に沿って流れてきた気泡が該短管51内に流入してきた場合、気泡が溝53内に入り込み、針状電極54,55と確実に接触する。また、気泡が溝53内に集まることにより気泡が会合して成長し易い。しかも、溝53が水の流れ方向に沿って延在しているので、気泡が溝53の長手方向に沿って細長く引き伸ばされたり、溝53に沿って列状に連なった形態を取り易い。このため、針状電極54,55の少なくとも一方の先端が気泡でくるまれた状態となり易く、針状電極54,55のいずれの先端も気泡でくるまれた状態も生じ易くなる。このように、針状電極54,55の先端が気泡でくるまれた状態となることにより、該針状電極54,55間の電流、電圧又は導電率が顕著に変化するようになり気泡を確実に検知することが可能となる。この結果、膜破断を高精度にて検知することが可能となる。
【0033】
この実施の形態では、溝53の幅Wを1〜20mm、好ましくは3〜10mm、深さDを1〜20mm、好ましくは3〜10mm、両者の比W/Dを0.05〜20、好ましくは0.5〜2.0とすることにより気泡が溝53内に集まり易くなると共に、溝53内で気泡が溝長手方向に延在したり、列状に連なって針状電極54,55と接触し易くなり、膜破断検知精度を著しく向上させることができる。
【0034】
なお、第2図において、針状電極54,55の直径を1mmとし、両者の間隔を6mmとし、配管41,42及び短管51の内径を80mmとし、溝53の幅Wを10mmとし、深さDを5mmとした場合と、短管51の代わりに第5図の如く円筒形の短管51’を採用した場合とで気泡検知感度を対比したところ、第2図のものは第5図のものに比べて平均して2〜3倍の感度を示すことが認められた。
【0035】
このように構成された膜処理装置の通常運転時及び洗浄運転時の水又は気体の流れは次の通りである。
【0036】
[通常運転時]
通常運転時には、弁V,Vを開とし、その他の弁(V,V,V)を閉とし、原水ポンプPを作動する。原水槽20内の原水は、原水配管21、原水ポンプP、弁Vを通り、原水入口ノズル10aから原水室10内に流入する。原水室10内の原水は、中空糸膜4の下端の開口4bから中空糸膜4内に流入し、この原水の一部は中空糸膜4を透過して処理水室12内に流入し、残りは中空糸膜4の上端の開口4aから循環水室14内に流入する。
処理水室12内の処理水は処理水出口ノズル12aから流出し、処理水配管41、膜破断検知部50及び配管42を介して処理水槽40に送水される。
循環水室14内の循環水は循環水出口ノズル14aから流出し、循環水配管31、弁Vを介して原水槽20に送水される。
【0037】
[気水混合水による洗浄]
膜処理装置を気水混合水で洗浄するときには、上記通常運転の状態において、弁Vを開とし、コンプレッサCを作動する。これにより、コンプレッサCからの加圧気体が、原水ポンプPによって供給された原水と共に中空糸膜4の内部を通過し、中空糸膜4を洗浄する。
中空糸膜4の内部を通過した気体と原水の混合物は循環水室14に流入し、さらに排水管33を介して系外に排出される。
【0038】
[気体による洗浄]
気体による洗浄を行うには、上記水及び気体の混合洗浄運転において、原水ポンプPを停止し、弁Vを閉とした状態とする。これにより、中空糸膜4の内部や原水室10内等に残留している原水と加圧気体との混合水によって中空糸膜4が洗浄される。
【0039】
[膜破断の検知]
膜破断を検知するには、検知作動に先立って、まず膜破断が確認されている膜モジュールを第1図の通りに組み込み、上記通常運転を行って膜モジュール内に水を満たした後、上記「気水混合水による洗浄」を行う。
この膜破断が存在する膜モジュールにおいて気水混合水による洗浄を行うと、コンプレッサCからの加圧気体の一部は、中空糸膜4の破断部を通過して気泡となって処理水室12に流出し、この気泡が処理水配管41を介して膜破断検知部50を通過する。
この気泡が膜破断検知部50を通過する際に電極54,55間の導電率が変化する。即ち、電極54,55間に気泡が入り込んでくると、電極54,55間の電気抵抗が増大する。従って、電極54,55間に定電圧電源から定電圧を印加しているときには、この電極54,55間の電流値が低下し、気泡が電極54,55間を通り過ぎると、電極54,55間の電流値は元に戻る。
【0040】
この気泡通過に伴う電流の変化を電圧変化に変換した波形図の一例が第4図(b)に示されている。記憶部では、この電圧の変化パターンを記憶する。例えば、第4図(b)の如き電圧の変化を2値化処理してパルス波形に変換し、パルスの周波数及び周期の平均値を記憶しておく。
【0041】
実際の水処理装置に組み込まれた膜モジュールの膜破断検知を行うには、この膜モジュールについて気水混合水による洗浄を行い、電極54,55間の電流変化に伴う電圧変化を測定する。膜破断が無ければ、通常は電圧は第4図(a)の如く一定となるので、膜破断なしと判定される。
【0042】
変化パターンが検知される場合、この検知された変化パターンを記憶されている変化パターンと対比し、膜破断であるか否かを判定する。例えば、電圧変化を2値化して得られたパルスパターンの周期及び周波数が記憶された平均値に基づいて定められる所定範囲内にあれば膜破断ありと判定し、該所定範囲外のものであれば膜破断なしと判定する。
【0043】
なお、このように変化パターンを対比して膜破断の判定を行うため、原水水質の変動などの外乱に伴う電圧変化があっても膜破断とは判定されず、判定の精度がきわめて高いものとなる。
【0044】
この説明では、定電圧電源により電極54,55間に電流を通電して変化を測定しているが、定電流電源により定電流を電極54,55間に通電し、気泡通過に伴う印加電圧変化を測定し、その変化パターンから膜破断を判定してもよい。
【0045】
また、電極54,55間の導電率を測定し、この導電率の変化パターンに基づいて膜破断を判定してもよい。
【0046】
膜破断検知工程の終了後、膜破断が有る場合は膜モジュール1内の中空糸膜4を交換し、次いで前記通常運転を再開する。
【0047】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、洗浄運転と膜破断検知運転とを別としたが、洗浄運転中に膜破断検知部50をONとして、膜破断の有無を検知するようにしてもよい。
【0048】
上記実施の形態では、コンプレッサCを原水室10と接続し、中空糸膜4の内部に気体を導入するようにしたが、コンプレッサCを処理水室12と接続し、中空糸膜4の外側に気体を導入して気体逆洗するようにしてもよい。この場合、膜破断検知部50を、例えば循環水配管31に設けることにより、膜破断を検知することができる。
【0049】
上記実施の形態では膜モジュール1は内圧式中空糸モジュールであるが、外圧式中空糸モジュールであってもよい。この場合も、コンプレッサを原水側に設け、膜破断検知装置を処理水側に設けてもよく、逆にコンプレッサを処理水側に設け、膜破断検知装置を原水側に設けてもよい。
【0050】
上記実施の形態では、膜モジュール1は1基であったが、2基以上あってもよい。膜モジュールが複数基ある場合、コンプレッサC及び膜破断検知部50は各モジュール毎に1つずつ設けられていてもよく、共用されていてもよい。コンプレッサC及び膜破断検知部50を共用した場合における各膜モジュールの膜破断検知手順は、例えば以下の通りである。
【0051】
コンプレッサCからの加圧気体を第1の膜モジュールのみに導入し、膜破断検知装置によって膜破断の有無を検知する。第1の膜モジュールの膜破断検知が終了した後、第1の膜モジュールへの加圧気体の導入を停止し、次いで第2の膜モジュールのみに加圧気体を導入し、膜破断検知装置によって膜破断の有無を検知する。同様に、第3の膜モジュールから最後の膜モジュールの膜破断検知を順次行う。
【0052】
膜破断の発生を検知すると、例えば管理室内の警告ランプが点滅し、どの膜モジュールに膜破断が発生したかを保守管理担当者に通知する。通知を受けた保守管理担当者は膜破断が発生している膜モジュールの運転を停止し、膜モジュールを新しいものに交換し、通常運転を再開する。膜破断した膜モジュールは修理し、再利用する。
【0053】
上記実施の形態では膜として中空糸膜を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばスパイラル膜等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態に係る膜処理装置の模式図である。
【図2】図1の膜破断検知部の断面図である。
【図3】図1の膜処理装置に組み込まれた膜破断検知部の回路図である。
【図4】(a)は中空糸膜が切断されていない場合における電圧の経時変化を示す図であり、(b)は中空糸膜が1本切断されている場合における電圧の経時変化を示す図である。
【図5】比較例の短管の断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 内圧式中空糸膜モジュール
2 ケーシング
4 中空糸膜
6,8 封止材
10 原水室
12 処理水室
14 循環水室
20 原水槽
40 処理水層
50 膜破断検知部
51,51’ 短管
52 平坦部
53 溝
54,55 針状電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を濾過する膜と、
該膜で隔てられた一方の側に気体又は気液混合液を流通させる手段と、
該膜の破断検知のために該膜で隔てられた他方の側における気泡を検知する気泡検知器とを有する膜処理装置において、
該膜を透過した液が流れる流路が設けられ、該流路内に臨む天井面部位に、流れ方向に沿って延在する溝が設けられ、該溝内に該気泡検知器が設けられていることを特徴とする膜処理装置。
【請求項2】
請求項1において、該検知器は、先端部が該溝内に臨むように設けられた1対の針状電極を有することを特徴とする膜処理装置。
【請求項3】
請求項2において、該針状電極は、溝長手方向に離隔して設置されていることを特徴とする膜処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、溝の幅Wが1〜20mmであり、溝の深さDが1〜20mmであり、W/Dが0.05〜20であることを特徴とする膜処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−192353(P2006−192353A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5412(P2005−5412)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】