説明

膜厚計測装置及び方法

【課題】静電容量を計測することにより膜厚を計測する膜厚計測装置において、金属接触状態と油膜が薄い状態とを判別する。
【解決手段】エンジンSを構成するシリンダライナs1の壁面に検出電極1を面一に設け、該検出電極1とピストンリングp1との間隙に形成される計測対象コンデンサCxの静電容量を検出することにより上記間隙に形成された潤滑油の油膜厚さを計測する膜厚計測装置であって、計測対象コンデンサCxに直列接続されるコイルLと、該コイルLを介して計測対象コンデンサCxに充電電流を供給して充電時間を計測すると共に計測対象コンデンサCxに充電された電荷を放電させ、充電時間に基づいて潤滑油の油膜厚さを計測すると共にシリンダライナs1とピストンリングp1との金属接触を判定する信号処理手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンリングとシリンダライナとの間の静電容量に基づいて潤滑油の油膜厚さを計測する膜厚計測装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、エンジンにおけるピストンリングとシリンダライナに設けられた電極との間隙の静電容量を計測することにより、ピストンリングとシリンダライナとの間に形成される潤滑油の油膜厚さを計測し、もってエンジンの焼きつきの兆候を評価する技術が開示されている。すなわち、この従来技術は、ピストンリングとシリンダライナとの間に形成されるコンデンサの充電時間を評価することにより、当該コンデンサの静電容量を計測し、この静電容量に基づいて潤滑油の油膜厚さを計測するものである。
【特許文献1】特開2007−107947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、エンジンの焼きつきは、ピストンリングとシリンダライナとの空隙つまり潤滑油の油膜厚さが徐々に薄くなり、最終的にピストンリングとシリンダライナとが直接接触(金属接触)することにより発生する。
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、油膜厚さが減少した状態つまりピストンリングとシリンダライナとの空隙が狭くなった状態とピストンリングとシリンダライナとが直接接触(金属接触)した状態とを識別することができないため、油膜厚さが所定の閾値以下となった状態をピストンリングとシリンダライナとが直接接触(金属接触)した状態と判定するものであり、上記金属接触の事実を直接的に検知するものではない。したがって、エンジンの焼きつきの兆候を評価する技術としては、改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ピストンリングとシリンダライナとの金属接触を潤滑油の油膜厚さが薄くなった状態と識別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、膜厚計測装置に係る第1の解決手段として、エンジンを構成するシリンダライナの壁面に検出電極を面一に設け、該検出電極とピストンリングとの間隙に形成される計測対象コンデンサの静電容量を検出することにより前記間隙に形成された潤滑油の油膜厚さを計測する膜厚計測装置であって、前記計測対象コンデンサに直列接続される誘導性回路素子と、該誘導性回路素子を介して前記計測対象コンデンサに充電電流を供給して充電時間を計測すると共に前記計測対象コンデンサに充電された電荷を放電させ、前記充電時間に基づいて前記潤滑油の油膜厚さを計測すると共にシリンダライナとピストンリングとの金属接触を判定する信号処理手段とを具備する、という手段を採用する。
【0007】
膜厚計測装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記誘導性回路素子は、前記検出電極と前記信号処理手段とを接続する電線が分布定数として有するインダクタンスからなる、という手段を採用する。
【0008】
膜厚計測装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記信号処理手段は、所定の繰り返し周波数のクロック信号を出力するクロック発生回路と、前記該誘導性回路素子を介して前記計測対象コンデンサに充電電流を供給する電流源と、前記計測対象コンデンサに充電された電荷を放電させる放電回路と、前記クロック信号及び前記電流源の出力端の電圧に基づいて前記放電回路を制御する放電制御部と、前記クロック信号及び前記電流源の出力端の電圧に基づいて充電時間に相当する電圧信号を生成する時間/電圧変換部と、該時間/電圧変換部から入力された電圧信号に基づいて前記潤滑油の油膜厚さを計測すると共に、シリンダライナとピストンリングとの金属接触を判定する演算部とを備える、という手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、膜厚計測方法に係る第1の解決手段として、シリンダライナの壁面に検出電極を面一に設け、該検出電極とピストンリングとの間隙に形成される計測対象コンデンサの静電容量を検出することにより前記間隙に形成された潤滑油の油膜厚さを計測する方法であって、前記計測対象コンデンサに誘導性回路素子を直列接続し、該誘導性回路素子を介して前記計測対象コンデンサに充電電流を供給して充電時間を計測すると共に該前記計測対象コンデンサに充電された電荷を放電させ、前記充電時間に基づいて前記潤滑油の油膜厚さを計測すると共にシリンダライナとピストンリングとの金属接触を判定する、という手段を採用する。
【0010】
膜厚計測方法に係る第5の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記誘導性回路素子として、前記検出電極への充電電流の供給及び前記検出電極からの放電電流の受入を行うための電線が分布定数として有するインダクタンスを利用する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、誘導性回路素子に充電電流を供給する接点の電圧変化がシリンダライナとピストンリングとが金属接触している場合としていない場合とでは極端に異なる、つまり金属接触が発生していない場合は電圧変化の時間が比較的長く、金属接触が発生している場合には電圧変化の時間が極端に短いので、この電圧変化の時間の相違によってピストンリングとシリンダライナとの空隙における潤滑油の油膜厚さが薄い状態とピストンリングとシリンダライナとの金属接触とを確実に識別することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る膜厚計測装置の構成を示す図である。この膜厚計測装置は、エンジンSにおけるシリンダライナs1の内壁面(ピストン摺動面s2)とピストンPに設けられたピストンリングp1との間隙に形成される潤滑油の油膜厚さLを計測するものであり、静電容量センサ1、同軸ケーブル2、静電容量/電圧変換部3、ロータリエンコーダ4及び演算部5から構成されている。これら構成要素のうち、静電容量/電圧変換部3及び演算部5は、本実施形態における信号処理手段を構成している。なお、ピストンPは、ピストンロッドp2及びクランクシャフトKを介して往復動(上下動)自在にエンジンSに支持されている。
【0013】
静電容量センサ1は、ピストン摺動面s2と面一となるようにシリンダライナs1に絶縁状態で設けられた検出電極(金属電極)であり、同軸ケーブル2を介して静電容量/電圧変換部3に接続されている。同軸ケーブル2は、上記静電容量センサ1と静電容量/電圧変換部3とを電気的に接続するシールド線である。
【0014】
静電容量/電圧変換部3は、静電容量センサ1に検出用充電電流Isを供給すると共に、この検出用充電電流Is及び静電容量センサ1とピストンリングp1との間隙に潤滑油によって形成されるコンデンサの静電容量とに基づいて発生する静電容量センサ1の電圧変化に基づいて上記静電容量を示す電圧信号(静電容量信号)を生成して演算部5に出力する。また、この静電容量/電圧変換部3は、本膜厚計測装置における特徴的な構成要素であり、上記静電容量信号の生成に加え、ピストンリングp1とシリンダライナs1(つまり静電容量センサ1)との金属接触を示す接触検出信号を生成して演算部5に出力する。
【0015】
図2は、このような静電容量/電圧変換部3の詳細構成を示す回路図である。この図に示すように、静電容量/電圧変換部3は、電流源10、コンパレータ11、基準電圧源12、放電抵抗器13、電圧源14、開閉スイッチ15、クロック発生回路16、Dフリップフロップ17、ORゲート回路18及び時間/電圧変換部19から構成されている。これら構成要素のうち、コンパレータ11、電圧源14、Dフリップフロップ17及びORゲート回路18は、本実施形態における放電制御部を構成している。
【0016】
なお、この図2では、上記静電容量センサ1とシリンダライナs1と同軸ケーブル2とによって等価的に形成される回路素子を計測対象コンデンサCx、開閉スイッチSs及びコイルLとして示しており、また図2における接点Aは、同軸ケーブル2と静電容量/電圧変換部3との接続点を示している。
【0017】
計測対象コンデンサCxは、静電容量センサ1とピストンリングp1とにより形成される計測対象コンデンサである。この計測対象コンデンサCxに並列接続されたスイッチSsは、ピストンリングp1とシリンダライナs1(つまり静電容量センサ1)とが金属接触を起こしたときに閉状態となる開閉スイッチである。コイルLは、上記同軸ケーブル2のインダクタンスに起因して静電容量センサ1と電流源10との間(つまり、静電容量センサ1と静電容量/電圧変換部3との間)に挿入される。
【0018】
電流源10は、上述した検出用充電電流Isを発生する直流電圧源であり、出力端が上記接点Aに接続されている。コンパレータ11は、正相入力端が接点Aに接続される一方、逆相入力端が基準電圧源12の正極端に接続され、接点Aの電圧Vcと基準電圧源12の電圧(しきい値電圧Vth)とを比較し、当該比較の結果を時間/電圧変換部13のstop入力端に出力する。基準電圧源12は、上記しきい値Vthとなる電圧を発生してコンパレータ11の逆相入力端に出力する。
【0019】
放電抵抗器13、電圧源14及び開閉スイッチ15は、互いに直列接続されており、接点AとGND(接地点)との間に挿入される放電回路を構成している。放電抵抗器13は、放電電流を規定するための所定の抵抗値を有し、一端が接点Aに接続されている。電圧源14は、端子電圧Vresetの直流電圧源であり、負極端が開閉スイッチ15の一端に、正極端がGNDに接続されている。開閉スイッチ15は、上記放電抵抗器13と電圧源14との間に挿入されており、ORゲート回路18によって開閉が設定される。
【0020】
クロック発生回路16は、所定繰り返し周波数のクロック信号CLKを発生して、Dフリップフロップ17のリセット端子(RST)、ORゲート回路18の片方の入力端及び時間/電圧変換部19のstart端子に出力する。上記クロック信号CLKは、例えば繰り返し周波数が400kHzの周期パルスである。Dフリップフロップ17は、データ入力端子(D)が電源電圧にプルアップされ、クロック入力端子(C)に上記コンパレータ11の出力が入力され、またリセット端子(RST)にクロック信号CLKが入力されており、コンパレータ11の出力に同期して正相出力(Q)の出力論理レベルが変化すると共にクロック信号CLKによってリセットされる順序回路である。
【0021】
ORロゲート回路18は、時間/電圧変換部19は、Dフリップフロップ17の出力と上記クロック信号CLKとの論理和を取る論理回路であり、当該論理和の結果に基づいて開閉スイッチ15を開閉駆動する。時間/電圧変換部19は、上記クロック信号CLKを開始タイミング、またコンパレータ11の出力を終了タイミングとし、開始タイミングから終了タイミングまでの時間を電圧値に変換し、当該電圧を出力端(Vout)から演算部5に出力する。
【0022】
ロータリエンコーダ4は、エンジンシリンダSにおけるクランク角度θを検出して演算部5に出力する。演算部5は、上記時間/電圧変換部19の出力電圧及びロータリエンコーダ4の出力に基づいてピストンリングp1とシリンダライナs1との空隙における計測対象コンデンサCxの静電容量を算出し、この静電容量に基づいてピストンリングp1とシリンダライナs1との空隙における潤滑油の油膜厚さを算出する。また、演算部5は、時間/電圧変換部19の出力電圧に基づいてピストンリングp1とシリンダライナs1との金属接触をも判定する。
【0023】
次に、このように構成された本膜厚計測装置の動作について、図3をも参照して詳しく説明する。
【0024】
最初に、周知のようにエンジンSは、運転状態において爆発行程、排気行程、吸気行程、圧縮行程を繰り返しており、ピストンPはシリンダライナs1内を往復運動する。そして、演算部5は、往復運動におけるピストンPの位置、正確にはピストンリングp1の位置をロータリエンコーダ4から入力されるクランク角度θに基づいて判断し、ピストンリングp1が静電容量センサ1に対向した時点における計測対象コンデンサCxの静電容量を算出し、この静電容量に基づいてピストンリングp1とシリンダライナs1との空隙における潤滑油の油膜厚さを算出する。
【0025】
すなわち、計測対象コンデンサCxの静電容量を「Cc」、真空中の誘電率を「ε」、潤滑油の比誘電率を「ε」及び静電容量センサ1の面積(ピストンリングp1と対向する面積)を「S」とすると、ピストンリングp1と静電容量センサ1との距離、つまり潤滑油の油膜厚さLは、下式(1)によって表される。つまり、計測対象コンデンサCxの静電容量Ccが分かれば、油膜厚さLを式(1)によって計算することができる。
L=ε・ε・S/Cc (1)
【0026】
このような本膜厚計測装置における静電容量/電圧変換部3は、図3に示すタイミングチャートに沿って動作する。この図3は、ピストンリングp1とシリンダライナs1とが金属接触をしていない状態、つまりエンジンSが正常状態にある場合の接点Aの電圧Vc、ピストンリングp1とシリンダライナs1とが金属接触をしている状態、つまりエンジンSが異常状態にある場合の接点Aの電圧Vcをクロック信号CLKとの関係で示したタイミングチャートである。
【0027】
エンジンSが正常状態にある場合、図2に示した開閉スイッチSsは開状態にあり、よって電流源10の出力端には、コイルLと計測対象コンデンサCxとの直列回路が接続された状態となる。また、時刻t0からt1の期間において、クロック信号CLKが‘H’になることにより、Dフリップフロップ17がリセットされ、出力Qが‘L’となる。また、この時刻t0からt1の期間において、クロック信号CLKが‘H’となり、このクロック信号CLKによりORゲート回路18の出力が‘H’になることにより、放電回路を構成する開閉スイッチ15が閉状態となるので、計測対象コンデンサCxに充電された電化が放電回路を介して放電され、この結果、接点Aにおける電圧Vcは電圧源13の端子電圧−Vresetとなる。
【0028】
このような状態において、時刻t1において、クロック信号CLKが‘H’から‘L’に遷移すると、ORゲート回路18の出力が‘L’となる(Dフリップフロップ17の出力Qは‘L’のままである)。これにより、開閉スイッチ15が閉状態から開状態に変化し、この結果、電流源10からコイルLと計測対象コンデンサCxとの直列回路に充電電流Isが定電流として供給されるので、コイルLを介して計測対象コンデンサCxに電荷が順次蓄積されて、接点Aにおける電圧Vcは直線的に順次上昇する。
【0029】
そして、時刻t3において、電圧Vcがしきい値電圧Vthを越えると、コンパレータ11の出力が‘L’から‘H’に遷移するので、Dフリップフロップ17のクロック入力端子Cにコンパレータ11の出力の変化が入力され、Dフリップフロップ17の出力Qが‘L’から‘H’に遷移する。これにより、ORゲート回路18の出力が‘H’となり、放電回路の開閉スイッチ15が開状態から閉状態に変化し、接点Aの電圧Vcは再び電圧−Vresetとなる。
【0030】
ここで、接点Aにおける電圧Vcが電圧−Vresetからしきい値電圧Vthまで上昇するのに要する時間Tnは、計測対象コンデンサCxの静電容量に依存する物理量であり、静電容量が大きい程長くなり、静電容量が小さい程短くなる。また、エンジンSが正常状態にある場合においては、計測対象コンデンサCxの両端が短絡していないので、接点Aにおける電圧Vcが電圧−Vresetからしきい値電圧Vthまで上昇するのに要する時間Tnは、計測対象コンデンサCxを充電するのに時間を要するので比較的長い。
【0031】
続いて、エンジンSが異常状態にある場合について説明する。この場合、計測対象コンデンサCxはスイッチSsが閉状態となるので、両端が短絡された状態となる。すなわち、電流源10の出力端には、コイルLのみが接続された状態となるので、接点Aにおける電圧Vcが電圧−Vresetからしきい値電圧Vthまで上昇するのに要する時間Teは、上述した正常状態における時間Tnと比較して極端に短い。この時間Teは、充電開始時にコイルLに発生する誘起電圧に依るものであり、計測対象コンデンサCxの両端が短絡することなく開放されている場合においては実現し得ない短時間である。
【0032】
演算部5は、接点Aにおける電圧Vcが電圧−Vresetからしきい値電圧Vthまで上昇するのに要する時間を評価することにより、エンジンSの正常/異常を判定する。演算部5は、例えば金属接触の発生頻度が所定の期間において所定回数以上発生した場合には、ピストンPとシリンダライナs1との焼き付きを防止するために、警報信号を出力する。この警報によって、潤滑油の注油量の増加やエンジン回転の減速等の焼き付き対策を施すことが可能となる。
【0033】
本膜厚計測装置によれば、接点Aにおける電圧Vcが電圧−Vresetからしきい値電圧Vthまで上昇するのに要する時間に基づいて計測対象コンデンサCxの静電容量を検出し、この静電容量に基づいてピストンリングp1とシリンダライナs1との空隙に形成さる潤滑油の油膜厚さLを計測することが可能である。
また、本膜厚計測装置によれば、接点Aにおける電圧Vcが電圧−Vresetからしきい値電圧Vthまで上昇するのに要する時間が現実的でない程に短いか否かを評価することにより、ピストンリングp1とシリンダライナs1とが金属接触しているか否かを識別することが可能である。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、異常時における接点Aにおける電圧Vcを評価するために、同軸ケーブル2のインダクタンスに起因するコイルLに発生する誘起電圧を利用したが、このようなコイルLに代えて集中定数素子であるコイルを静電容量センサ1と静電容量/電圧変換部3との間に挿入するようにしても良い。
(2)また、放電回路の構成や放電開始を設定する放電駆動回路の構成については、上記実施形態以外に種々の回路構成が考えられるので、必要に応じて適宜変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係わる膜厚計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における静電容量/電圧変換部3の詳細構成を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施形態における静電容量/電圧変換部の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1…静電容量センサ、2…同軸ケーブル、3…静電容量/電圧変換部、4…ロータリエンコーダ、5…演算部、10…電流源、11…コンパレータ、12…基準電圧源、13…放電抵抗器、14…電圧源、15…開閉スイッチ、16…クロック発生回路、17…Dフリップフロップ、18…ORゲート回路、19…時間/電圧変換部、Cx…計測対象コンデンサ、Ss…開閉スイッチ、L…コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを構成するシリンダライナの壁面に検出電極を面一に設け、該検出電極とピストンリングとの間隙に形成される計測対象コンデンサの静電容量を検出することにより前記間隙に形成された潤滑油の油膜厚さを計測する膜厚計測装置であって、
前記計測対象コンデンサに直列接続される誘導性回路素子と、
該誘導性回路素子を介して前記計測対象コンデンサに充電電流を供給して充電時間を計測すると共に前記計測対象コンデンサに充電された電荷を放電させ、前記充電時間に基づいて前記潤滑油の油膜厚さを計測すると共にシリンダライナとピストンリングとの金属接触を判定する信号処理手段と
を具備することを特徴とする膜厚計測装置。
【請求項2】
前記誘導性回路素子は、前記検出電極と前記信号処理手段とを接続する電線が分布定数として有するインダクタンスからなることを特徴とする請求項1記載の膜厚計測装置。
【請求項3】
前記信号処理手段は、
所定の繰り返し周波数のクロック信号を出力するクロック発生回路と、
前記該誘導性回路素子を介して前記計測対象コンデンサに充電電流を供給する電流源と、
前記計測対象コンデンサに充電された電荷を放電させる放電回路と、
前記クロック信号及び前記電流源の出力端の電圧に基づいて前記放電回路を制御する放電制御部と、
前記クロック信号及び前記電流源の出力端の電圧に基づいて充電時間に相当する電圧信号を生成する時間/電圧変換部と、
該時間/電圧変換部から入力された電圧信号に基づいて前記潤滑油の油膜厚さを計測すると共に、シリンダライナとピストンリングとの金属接触を判定する演算部と
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の膜厚計測装置。
【請求項4】
シリンダライナの壁面に検出電極を面一に設け、該検出電極とピストンリングとの間隙に形成される計測対象コンデンサの静電容量を検出することにより前記間隙に形成された潤滑油の油膜厚さを計測する方法であって、
前記計測対象コンデンサに誘導性回路素子を直列接続し、
該誘導性回路素子を介して前記計測対象コンデンサに充電電流を供給して充電時間を計測すると共に該前記計測対象コンデンサに充電された電荷を放電させ、前記充電時間に基づいて前記潤滑油の油膜厚さを計測すると共にシリンダライナとピストンリングとの金属接触を判定する
ことを特徴とする油膜厚さ計測方法。
【請求項5】
前記誘導性回路素子として、前記検出電極への充電電流の供給及び前記検出電極からの放電電流の受入を行うための電線が分布定数として有するインダクタンスを利用することを特徴とする請求項1記載の膜厚計測装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−300376(P2009−300376A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158074(P2008−158074)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】