説明

膜延伸装置

【課題】延伸ムラやネックインが発生せず、薄膜化が容易な膜延伸装置を提供する。
【解決手段】膜材2を、幅方向端部を把持手段3によって把持しつつ一方向に搬送させることにより、把持手段3側において幅方向に広げて膜延伸を行う膜延伸装置であって、把持手段3を、外周に環状溝11が形成された延伸ロールR1と、膜材2の幅方向端部を挟み込んだ状態で環状溝11の適宜の回転角度範囲に亘ってその環状溝11内に円弧状に嵌挿される無端ワイヤ12とを備えて構成する。延伸ロールR1は、膜材2の搬送方向下流側に向かって末広がりに開く方向に傾けて配置され、膜材2を、延伸ロールR1と無端ワイヤ12とによって挟圧把持しつつ一方向に搬送させることにより幅方向に広げて膜延伸を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状、シート状等を呈する膜材を延伸する膜延伸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の膜延伸技術としては特許文献1に記載のものがあった。
これは、多数の把持手段、例えばクリップを設けたチェーンを膜の両端側に各々備え、膜の両端を各チェーンに設けた各クリップにより把持し、両チェーンをガイドレールに沿って、すなわち膜を幅方向に広げる方向に駆動させることで膜を延伸させる、というもの(テンタ方式)である。
【0003】
【特許文献1】特開2004−67804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術では、膜の両端を、膜駆動(搬送)方向に間隔を置いて設けたクリップで把持して延伸するために、クリップ近くで延伸応力が集中する。このため、クリップ近くで延伸ムラ、ひいては穴あきが生じ、クリップ相互間ではネックイン(膜幅方向の収縮)が生じた。したがってまた、薄膜化が著しく困難になった。
【0005】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、延伸ムラやネックインが生じなく、薄膜化が容易に可能な膜延伸装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、膜延伸装置を下記各態様の構成とすることによって解決される。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0007】
以下の各項のうち、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項が請求項5に、各々対応する。(6)項及び(7)項は請求項に係る発明ではない。
【0008】
(1) 膜材を、その幅方向端部を把持手段によって把持しつつ一方向に搬送させることにより、前記把持手段側において幅方向に広げて膜延伸を行う膜延伸装置であって、前記把持手段は、外周に環状溝が形成された延伸ロールと、前記膜材の幅方向端部を挟み込んだ状態で前記環状溝の適宜の回転角度範囲に亘ってその環状溝内に円弧状に嵌挿される把持用線材とを備えてなり、前記延伸ロールは、前記膜材の搬送方向下流側に向かって末広がりに開く方向に傾けて配置され、前記膜材を、前記延伸ロールと把持用線材とによって挟圧把持しつつ一方向に搬送させることにより幅方向に広げて膜延伸を行うこと特徴とする膜延伸装置。
膜材としては、分離膜、光学フィルム、包装材、衣料、断熱材又は絶縁材等に用いられる樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、ナイロン(商品名)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
把持用線材としては、ステンレス、鉄、アルミニウム、タングステン、真鍮等の金属や、ナイロン(商品名)、ビニロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等の樹脂、あるいは炭素繊維、麻、綿からなる線材等、特にこれらの線材からなるワイヤやベルト等が用いられる。
把持手段は、少なくとも膜材の幅方向端部の片側に設けられる。
(2) 前記延伸ロールとによって前記膜材を挟圧把持する際の前記把持用線材による挟圧力が調整可能であることを特徴とする(1)項に記載の膜延伸装置。
(3) 前記把持手段は、前記膜材の幅方向両端部側に設けられることを特徴とすることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の膜延伸装置。
(4) 前記把持用線材は、回転軸が各々前記延伸ロールの同心円上に所定の回転角度をおいて配置された複数の搬送ロール間に掛け回された無端の把持用線材であり、前記複数の搬送ロールは、各々外周面が前記延伸ロール外周の環状溝に前記膜材の幅方向端部を介在させて対向配置されることを特徴とする(1)項、(2)項又は(3)項に記載の膜延伸装置。
(5) 前記無端の把持用線材を隣接する2つの搬送ロール間位置において外周側から押圧してその張り具合を調整し、前記挟圧力を調整可能なテンション調整機を備えることを特徴とする(4)項に記載の膜延伸装置。
(6) 前記無端の把持用線材に無端ワイヤ又は無端ベルトが用いられることを特徴とする(4)項又は(5)項に記載の膜延伸装置。
本項に記載の膜延伸装置によれば、(4)項又は(5)項の膜延伸装置において、延伸ロールとによる膜材の挟圧把持を確実に行える。
(7) 前記延伸ロールは、所望のキャンバ角度を有して配置されることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1の項に記載の膜延伸装置。
本項に記載の膜延伸装置によれば、所望のキャンバ角度を設定して所望の延伸軌道を設定できる。
【発明の効果】
【0009】
(1)項に記載の発明によれば、延伸ムラやネックインが生じなく、薄膜化が容易に可能な膜延伸装置を提供できる。
(2)項に記載の発明によれば、膜材に対する挟圧力を調整できる。
(3)項に記載の発明によれば、膜材を1回の搬送で高倍率に延伸できる。
(4)項に記載の発明によれば、延伸ロールに対する搬送ロールの位置(角度)を変更することで、延伸軌道における延伸開始,終了位置を制御することができ、延伸区間内で延伸速度(倍率)を変化させることができる。
(5)項に記載の発明によれば、無端ワイヤの張り具合を調整でき、膜材に対して一定の把持力を確保しつつ膜厚に追従でき、薄膜の延伸が可能となる。テンション調整機は、延伸に伴う薄膜化で生じる把持用線材による挟圧力の低下を抑制できる。
なお、(6)項及び(7)項に記載の発明は、本発明(特許請求の範囲に記載した発明)ではないので、上記課題を解決するための手段の欄に、その効果を述べた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明による膜延伸装置の一実施形態の概略を示す図で、(a)は上面図、(b)は左側面図〔(a)図を下方側から見た図〕である。
図示するように、本実施形態に係る膜延伸装置は、膜材供給ロール1から帯状に引き出された膜材2を、その幅方向端部を把持手段3によって把持しつつ一方向、図示例では右方向(矢印ア方向)に搬送させることにより、把持手段3側において幅方向に広げていって膜延伸を行う膜延伸装置である。
図示例では、把持手段3を膜材2の左右(図中、上下)、各側に設け、膜材2の左右の幅方向端部を各々把持手段3によって把持しているので、膜材2は、左右の把持手段3側、つまり膜材幅方向左右、各側において幅方向に広げられる(両方向矢印イ参照)。
なお、延伸後の膜材2は膜材巻取ロール4に巻き取られる。図中、1a、4aは、ロール1,4の軸を示し、矢印ウ,エは軸1a、4aの回転方向を示す。
【0011】
上記把持手段3は、外周に環状溝11が形成された延伸ロールR1と、上記膜材2の幅方向端部を挟み込んだ状態で上記環状溝11の適宜の回転角度範囲に亘ってその環状溝11内に円弧状に嵌挿される把持用線材12とを備えてなる。
なお図2は、膜材2の幅方向端部、図示例では左側端部が、延伸ロールR1の環状溝11に挟み込まれた状態でその環状溝11内に把持用線材12が嵌挿されている様子を示す。
【0012】
ここで、上記延伸ロールR1は、膜材2の搬送方向下流側に向かって末広がりに開く方向に傾けて配置されていて〔図1(a)中、θ1参照〕、膜材2を、この延伸ロールR1と上記把持用線材12とによって挟圧把持しつつ一方向、図示例では右方向に搬送させることにより、幅方向に広げていって膜延伸を行うようになされている。
また把持用線材12は、無端ワイヤ又は無端ベルト等の無端の把持用線材12、ここでは無端ワイヤからなる。
この無端ワイヤ12は、回転軸が各々延伸ロールR1の同心円上に所定の回転角度をおいて配置された複数の、図示例では3個の搬送ロールR2〜R4間に掛け回されている。
この3個の搬送ロールR2〜R4は、各々外周面を延伸ロールR1外周の環状溝11に膜材2の幅方向端部を介在させて対向配置されており、これにより、無端ワイヤ(把持用線材)12が延伸ロールR1の環状溝11の適宜の回転角度範囲に亘って円弧状に嵌挿されている。
なお、各搬送ロールR2〜R4の無端ワイヤ12が掛け回される外周には、延伸ロールR1とによる膜材2の延伸機能を妨げない程度の寸法の環状溝(図示せず)が形成されている。搬送ロールR2〜R4からの無端ワイヤ12の脱落防止のためである。搬送ロールR2,R4のみに上記環状溝を設けることにしてもよい。
【0013】
上記のように、膜材2は延伸ロールR1と無端ワイヤ12とによって挟圧把持されるが、この際、膜材2に与えられる挟圧力は調整可能であり、この挟圧力の調整のためにテンション調整機13を備えている。
このテンション調整機13は、3個の搬送ロールR2〜R4中のいずれか隣接する2個の搬送ロール、図示例では搬送ロールR3,R4間位置において、上記無端ワイヤ12を外周側から押圧してその張り具合を調整することにより、上記挟圧力を調整可能に構成されている。
テンション調整機13による無端ワイヤ12の張り具合の調整を、無端ワイヤ12を内周側から押圧して行うように構成してもよい。
図1(b)に示す例では、テンション調整機13は電源ONでレバー14を矢印オ方向に駆動してプーリ15を矢印カ方向に移動させ、無端ワイヤ12を外周側から押圧してその張り具合を強め、あるいは上記挟圧力を均等にするように構成されている。
なお、図1(a)中の上下一対の把持手段3中の上側の把持手段3も図1(b)と同様に構成されている〔上側の把持手段3の側面図(右側面図)は図1(b)を裏面側から透かして見た図となる〕。
【0014】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図1(a)に示すように、膜材供給ロール1から帯状に引き出された延伸前の膜材(ワーク)2は、その幅方向両端部が各々把持手段3により把持、具体的には延伸ロールR1の環状溝11と把持用線材12との間に挟み込まれた状態で矢印ア方向に搬送される。
延伸ロールR1は、膜材2の搬送方向下流側に向かって末広がりに開く方向に傾けて配置されているので〔図1(a)中、θ1参照〕、膜材2は、図1(a)中の矢印イに示すように幅方向に広げられながら、つまり延伸されながら矢印ア方向に搬送される。延伸された膜材2は膜材巻取ロール4に巻き取られる。
【0015】
図3は、図1(a)中から延伸ロールR1を取り出し拡大して示す図であり、図4は従来の膜延伸技術の要部を示す図である。
図4に示すように、膜材2をクリップ21(従来技術)によって把持する場合には、その膜材2は、延伸範囲L2内に間隔おいて配置されたクリップ21で把持、つまり不連続(点状)に把持される。
これに対して、図3に示すように、膜材2を延伸ロールR1により把持する場合には、その膜材2は、延伸ロールR1の環状溝11と把持用線材12との間に挟み込まれている範囲(延伸範囲)、例えばL1の全長近くまで連続して、つまり線状に把持されている。
したがって、本実施形態においては、図4に示すクリップ21近くにおける延伸ムラ(図中点線で囲む領域22はその主な発生箇所を示す。)や、クリップ21相互間におけるネックイン(図中23参照)は、図3中には発生せず、薄膜化が容易に可能となる。
特に、テンション調整機13で無端ワイヤ12の張り具合を制御することで、一定の把持力を確保しつつ膜厚に追従できるため、薄膜の延伸が容易に可能となる。
【0016】
図5は、延伸ロールR1に対する搬送ロールR2〜R4の位置(角度:θR2〜θR4)を変更することで、延伸軌道、及び延伸軌道上の延伸開始位置を制御可能であることを説明するための図で、(a)は延伸ロールR1に対する搬送ロールR2〜R4の位置を示す。(b)は、(a)における延伸軌道31と、搬送ロールR4の位置が180°の位置(θR4=180°)にある場合であって、搬送ロールR2の位置が0°、45°、90°の各場合の延伸開始位置32、33、34を示す。ここで(b)の横軸はMD(フィルム搬送方向)位置を、縦軸にTD(フィルム幅方向)位置を示す。
なお図5(a)は、図1(b)と同じ側面側の延伸ロールR1(把持手段3)について示している。
【0017】
図6〜図8は、図5において纏めて示した延伸ロールR1に対する搬送ロールR2の各位置(0°、45°、90°)と、延伸開始位置32、33、34との対応を、各々別個に示して分かりやすくした図である。
図6〜図8において、搬送ロールR4の位置はいずれも180°の位置(θR4=180°)にあり、各々(a)は延伸ロールR1に対する搬送ロールR2の位置を、(b)は延伸軌道31と延伸開始位置32、33又は34を示す。
このように、本実施形態においては、延伸ロールR1に対する搬送ロールR2〜R4の位置(角度:θR2〜θR4)を変更することで、延伸軌道における延伸開始,終了位置を制御することができ、延伸区間内で延伸速度(倍率)を変化させることができる。最終延伸倍率は搬送ロールR2〜R4の角度(θR2〜θR4)で設定される。
【0018】
また本実施形態においては、延伸ロールR1のキャンバ(角度)を変更することによっても延伸軌道を制御できる。図9〜図11はその説明図である。
図9、図10及び図11は、延伸ロールR1のキャンバにつき、キャンバなし、ネガティブキャンバ及びポジティブキャンバと設定した場合の一対の延伸ロールR1を示す図で、各図において、(a)は正面図、(b)は上面図である。なお、(a)図においては、搬送ロールR2〜R4、無端ワイヤ12も示されている。
図12は、延伸ロールR1のキャンバにつき、キャンバなし、ネガティブキャンバ、ポジティブキャンバと各々設定した場合の延伸軌道を示す図である。この図12において、41はキャンバなしの場合の延伸軌道を、42はネガティブキャンバの場合の延伸軌道を、43はポジティブキャンバと設定した場合の延伸軌道を示す。図中の矢印キ,クは、延伸ロールR1のキャンバの種類によって延伸軌道が変わる方向を示す。
【0019】
延伸性に関しては、膜材2の種類や必要な物性により延伸条件(温度、速度、倍率等)の最適化が必要となるため、延伸装置は専用設計となることが多いが、本実施形態によれば、図5〜図12に示すように、延伸区間内の延伸軌道や延伸速度(倍率)を制御することができ、1つの装置で種々の材料、物性の膜材2の延伸が可能となる。
なお、延伸ロールR1のキャンバ角度を変更することによれば、搬送ロールR2〜R4の角度(θR2〜θR4)が一定でも、延伸軌道を制御することができる。この方法により延伸軌道を制御する場合は、膜材(ワーク)2の延伸区間距離(ロール抱角に依存)が短縮されないため、同じ延伸区間での延伸倍率を高くすることが可能となる。
【0020】
更に本実施形態によれば、次のような効果もある。
図13は、図14に示す従来技術(テンタ方式)と同様の膜延伸を行う場合の本実施形態の構成例を示す。図13において、51は各々図1中の把持手段3と同様の把持手段である。52及び53は、各々図1中の把持手段3,3と同様の部品からなる把持手段であって、同様に膜材2の幅方向両端部を把持するが、延伸ロールR1は開いてなく(θ1=0°)、少なくとも膜材幅方向の延伸は行わずに、膜材2を搬送方向アに送る機能を有する把持手段である。
図14に示す従来技術では膜材2の把持をクリップ21で行っているので、その延伸角度θ1´は、図13に示す延伸角度(延伸ローラR1の開き角度)θ1に比べて大きくとれない(θ1´<θ1)。図13に示す本実施形態の構成例においては、延伸角度θ1を比較的大きくとれるので、搬送ライン長(搬送方向アの長さ)を短縮できる。
また、図13に示す本実施形態の構成例では、膜材2を把持する無端ワイヤ12(図1参照)は同じ軌道上を移動するので、図14に示す従来技術における延伸ストローク61、搬送チェーン62のスペースが不要になる。したがって、同等の延伸幅を得る場合に、図13に示す本実施形態の構成例では、図14に示す従来技術における構成に比べて幅方向寸法を短縮できる(L1<L1´)。
【0021】
なお上述実施形態では、延伸ロールR1、搬送ロールR2〜R4、無端ワイヤ12及びテンション調整機13を備えて構成した把持手段3を、膜材2の幅方向の左右両端部に各々一組設けた場合について述べたが、これのみに限定されることはない。例えば、膜材2の幅方向の左右両端部に各々2連(二組)設けてもよい。
図15は、膜材2の幅方向の左右両端部に各々2連設けた膜延伸装置の実施形態の概略を示す左側面図である。この図に示すように、二組の把持手段3は、膜材2の搬送方向に直列に連結されており、この実施形態によれば、膜延伸を容易に高倍率化することができ、1つの装置で大幅な延伸倍率の変更が可能となる。また、2つの延伸ロールR1の回転速度(搬送速度)に差をもたせることによって、二組の把持手段3間での縦延伸も可能となり、複数段逐次延伸が可能となる。把持手段3を同様に多段連結すれば多段逐次延伸が可能となる。
【0022】
また上述実施形態では、膜材2の幅方向の左右両端部に各々把持手段3を設け、膜材2を、その幅方向両端部を把持しつつ搬送させ、膜材幅方向両端部側について幅方向に広げていって膜延伸を行っているが、膜材2の幅方向端部の片側のみに把持手段3を設け、膜材幅方向片側についてのみ膜延伸を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による膜延伸装置の一実施形態の概略を示す図で、(a)は上面図、(b)は左側面図である。
【図2】同上装置の延伸ロールの環状溝内に把持用線材が嵌挿されている様子を示す図である。
【図3】図1(a)中から延伸ロールを取り出し拡大して示す図である。
【図4】従来の膜延伸技術の要部を示す図である。
【図5】図1に示す装置において、延伸ロールに対する搬送ロールの位置の変更により延伸軌道、延伸開始位置が制御可能であることを説明するための図である。
【図6】延伸ロールに対する搬送ロールの位置が0°である場合の延伸軌道、延伸開始位置の説明図である。
【図7】延伸ロールに対する搬送ロールの位置が45°である場合の延伸軌道、延伸開始位置の説明図である。
【図8】延伸ロールに対する搬送ロールの位置が90°である場合の延伸軌道、延伸開始位置の説明図である。
【図9】延伸ロールのキャンバ角度がない場合の一対の延伸ロールを示す正面図及び上面図である。
【図10】ネガティブキャンバ状態の一対の延伸ロールを示す正面図及び上面図である。
【図11】ポジティブキャンバ状態の一対の延伸ロールを示す正面図及び上面図である。
【図12】延伸ロールのキャンバにつき、キャンバなし、ネガティブキャンバ、ポジティブキャンバと各々設定した場合の延伸軌道を示す図である。
【図13】従来技術におけると同様の膜延伸を行う場合の本実施形態の構成例を示す上面図である。
【図14】従来技術を示す上面図である。
【図15】本発明の他の実施形態をの概略を示す左側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1:膜材供給ロール、2:膜材、3:把持手段、4:膜材巻取ロール、11:環状溝、12:無端ワイヤ(把持用線材)、13:テンション調整機、R1:延伸ロール、R2〜R4:搬送ロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜材を、その幅方向端部を把持手段によって把持しつつ一方向に搬送させることにより、前記把持手段側において幅方向に広げて膜延伸を行う膜延伸装置であって、
前記把持手段は、
外周に環状溝が形成された延伸ロールと、
前記膜材の幅方向端部を挟み込んだ状態で前記環状溝の適宜の回転角度範囲に亘ってその環状溝内に円弧状に嵌挿される把持用線材とを備えてなり、
前記延伸ロールは、前記膜材の搬送方向下流側に向かって末広がりに開く方向に傾けて配置され、
前記膜材を、前記延伸ロールと把持用線材とによって挟圧把持しつつ一方向に搬送させることにより幅方向に広げて膜延伸を行うこと特徴とする膜延伸装置。
【請求項2】
前記延伸ロールとによって前記膜材を挟圧把持する際の前記把持用線材による挟圧力が調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の膜延伸装置。
【請求項3】
前記把持手段は、前記膜材の幅方向両端部側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜延伸装置。
【請求項4】
前記把持用線材は、
回転軸が各々前記延伸ロールの同心円上に所定の回転角度をおいて配置された複数の搬送ロール間に掛け回された無端の把持用線材であり、
前記複数の搬送ロールは、各々外周面が前記延伸ロール外周の環状溝に前記膜材の幅方向端部を介在させて対向配置されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の膜延伸装置。
【請求項5】
前記無端の把持用線材を隣接する2つの搬送ロール間位置において外周側から押圧してその張り具合を調整し、前記挟圧力を調整可能なテンション調整機を備えることを特徴とする請求項4に記載の膜延伸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−99889(P2010−99889A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272180(P2008−272180)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(508317170)株式会社常盤製作所 (2)
【Fターム(参考)】