説明

膜電極接合体の製造方法、膜電極接合体、固体高分子形燃料電池

【課題】低加湿環境下においても十分な水保持性を有し、高い電池特性を有する膜電極接合体の提供を課題とする。
【解決手段】ベース基材の一方の面に触媒を担持させた粒子と高分子電解質と溶媒を含む触媒インクを塗布する工程と、一組の前記触媒インクが塗布されたベース基材と高分子電解質膜を、前記触媒インク塗布面と該高分子電解質膜が相対するように挟持する工程と、前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程と、前記ベース基材を剥離する工程とを順に備え、ベース基材が剥離された後の高分子電解質膜上に形成される触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%の範囲内であることを特徴とする高分子電解質膜の両面に触媒層を備える膜電極接合体の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用、家庭据え置き用、携帯機器用の電源として用いる燃料電池及びそれに用いられる膜電極接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、その反応生成物が原理的に水のみであり環境への悪影響がほとんどない発電システムとして注目されている。近年、燃料電池のなかでも、水素イオン伝導性を有するイオン交換膜を電解質として使用する固体高分形型燃料電池は、作動温度が低く、出力密度が高く、かつ、小型化が容易にできるため、車載用、家庭据え置き用、携帯機器用の電源として有望視されている。
【0003】
固体高分子形燃料電池は低温領域での運転が可能であり、80〜100℃の運転温度で使用されるのが一般的であり、車載用電源や家庭据置用電源などへの使用が有望視されている。固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体と呼ばれる高分子電解質膜の両面に一対の触媒電極層を配置させた接合体を、前記電極の一方に水素を含有する燃料ガスを供給し、前記電極の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路を形成した一対のセパレータ板で挟持した電池である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−063909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体高分子形燃料電池では電解質膜の導電性を確保するために、膜電極接合体を加湿する必要があるが、加湿する為には加湿器が必要となり燃料電池システム全体のコスト高に繋がってしまう為、低加湿での運転が好ましくさらには無加湿運転が望ましい。
【0006】
低加湿条件でも高い電池特性を得るためには、膜電極接合体における触媒層が低加湿条件でも乾きにくく水を保持しやすいことが求められる。本発明にあっては、低加湿環境下においても十分な水保持性を有し、高い電池特性を有する膜電極接合体およびそれを用いた固体高分子形燃料電池の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、ベース基材の一方の面に触媒を担持させた粒子と高分子電解質と溶媒を含む触媒インクを塗布する工程と、一組の前記触媒インクが塗布されたベース基材と高分子電解質膜を、前記触媒インク塗布面と該高分子電解質膜が相対するように挟持する工程と、前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程と、前記ベース基材を剥離する工程とを順に備え、ベース基材が剥離された後の高分子電解質膜上に形成される触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%の範囲内であることを特徴とする高分子電解質膜の両面に触媒層を備える膜電極接合体の製造方法とした。
【0008】
また、請求項2に係る発明としては、前記触媒インクが、遊星ボールミルによる分散処理工程を含むことを特徴とする請求項1記載の膜電極接合体の製造方法とした。
【0009】
また、請求項3に係る発明としては、前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程において、その転写圧力が20kgf/cm以上200kgf/cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の膜電極接合体の製造方法とした。
【0010】
また、請求項4に係る発明としては、前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程において、その転写温度が120℃以上150℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法とした。
【0011】
また、請求項5に係る発明としては、前記ベース基材が剥離された後の高分子電解質膜上に形成される触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.05μm以上0.40μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が50%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに膜電極接合体の製造方法とした。
【0012】
また、請求項6に係る発明としては、前記請求項1乃至5のいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする膜電極接合体とした。
【0013】
また、請求項7に係る発明としては、触媒を担持させた粒子と高分子電解質を含む一組の触媒層が高分子電解質膜の両面に挟持された膜電極接合体であって、該触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする膜電極接合体とした。
【0014】
また、請求項8に係る発明としては、前記触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.05μm以上0.40μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が50%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする請求項7に膜電極接合体の製造方法とした。
【0015】
また、請求項9に係る発明としては、請求項6乃至8のいずれかに記載の膜電極接合体を一対のガス拡散層で挟持し、且つ、前記一対のガス拡散層で挟持された膜電極接合体を一対のセパレータで挟持した構造を備える固体高分子形燃料電池とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池とすることにより、低加湿環境下においても触媒層が十分な水保持性を有し高い電池特性を有する膜電極接合体およびそれを用いた固体高分子形燃料電池とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の膜電極接合体の断面模式図である。
【図2】図2は本発明の膜電極接合体の製造方法を説明する断面模式図である。
【図3】図3はレーザー顕微鏡によって得られる触媒層表面の粗さ曲面の一例である。
【図4】図4は本発明の固体高分子形燃料電池の分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の膜電極接合体について説明する。
【0019】
図1に本発明の膜電極接合体の断面模式図を示した。
本発明の膜電極接合体1は、高分子電解質膜11の両面に触媒層12、13を備える。
【0020】
図2に本発明の膜電極接合体の製造方法を説明する断面模式図を示した。
本発明の膜電極接合体は、以下の(工程1)〜(工程4)により製造される。
【0021】
(工程1(図2(a)))
ベース基材21の一方の面に、触媒を担持させた粒子と高分子電解質と溶媒を含む触媒インクAを塗布する工程。
(工程2(図2(b)))
一組の触媒インク12´、13´が塗布されたベース基材21と高分子電解質膜11を、前記触媒インク塗布面と該高分子電解質膜が相対するように挟持する工程。
(工程3(図2(c)))
ベース基材21上に塗布された触媒インク12´、13´を高分子電解質膜の両面に転写する工程。
(工程4(図2(d)))
ベース基材21を剥離し、高分子電解質膜11の両面に触媒層12、13を備える膜電極接合体とする工程。
【0022】
本発明にあっては、製造される膜電極接合体表面の電極層12、13の表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする。本発明者らは、この二つのパラメーターが最適な範囲である膜電極接合体を用いることにより、低加湿環境下でも高い電池特性を有する固体高分子形燃料電池とすることができることを見出した。
【0023】
本発明の膜電極接合体において、触媒層の表面粗さ(SRa)は、0.01μm以上1.00μmの範囲内であることを特徴とする。触媒層の表面粗さ(SRa)が1.00μmを超える場合にあっては、触媒を担持した粒子の分散性が悪く、電池性能が低下する。また、触媒層の表面粗さ(SRa)が1.00μmを超える場合にあっては、触媒層と接するように設けられるガス拡散層との接合面において接触抵抗を生じ電池性能が低下する。一方、触媒層の表面粗さ(SRa)が0.01μmに満たない場合にあっては、発電時においてガスや水の拡散性が低下し、電池特性の低下を招くことになる。なお、さらには触媒層の表面粗さは0.05μm以上0.40μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明の触媒層表面の表面粗さ(SRa)はレーザー顕微鏡を用いて得られる粗さ曲面から下式(1)に従って算出される。
SRa=(1/LM)∬f(x,y)dxdy・・・(1)
(ただし、図3に示すとおり、粗さ曲面のx方向長さをL、y方向長さをM、粗さ曲面をz=f(x,y)とする。)つまり、粗さ曲面の標高の絶対値の平均値を示す。
【0025】
本発明にあっては触媒層表面の表面粗さ(SRa)はレーザー顕微鏡を用いて測定される。図3にレーザー顕微鏡によって得られる触媒層表面の粗さ曲面の一例を示した。レーザー顕微鏡は488nmのアルゴンイオンレーザーを使用している。走査方式は、ガルバノメータスキャナ2個による光偏向であり、走査範囲は視野数16の円に内接する4:3の長方形領域である。ピンホールは円形ピンホール、zレボルバ上下方式、イメージローテータは画像回転角±90°である。
【0026】
走査型レーザー顕微鏡は、レーザービームを対物レンズで微小なスポットに絞り、試料上をx−y方向に走査する。そして、試料表面からの光を検出器でとらえモニタ上へ試料像を出力する。共焦点光学系では、合焦位置と光学的に共役な位置にピンホールをおくことにより、合焦位置以外からの光を排除している。従って、これらの光は画像中において暗黒になり段差のある試料を光学的にスライスすることができ、触媒層表面の粗さ曲面を求めることができる。
【0027】
また、本発明の膜電極接合体において、触媒層表面の85°グロス値は、10%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする。触媒層表面の85°グロス値が80%を超える場合にあっては、発電時においてガスや水の拡散性が低下し、電池特性の低下を招くことになる。一方、触媒層表面の85°グロス値が10%に満たない場合であっては、触媒層の保水性低下を招き、低加湿条件下の低負荷領域において電池特性の低下してしまう。なお、さらには触媒層表面の85°グロス値は30%以上80%以下の範囲内であることが好ましく、さらには触媒層表面の85°グロス値は50%以上80%以下の範囲内であることが好ましい。
【0028】
なお、本発明の触媒層表面の85°グロス値は、JIS Z 8741(1997)に基づき、85°鏡面光沢度として求められる。
【0029】
本発明の膜電極接合体は、触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする。さらには触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.05μm以上0.40μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が50%以上80%以下の範囲内であることが好ましい。
【0030】
本発明の膜電極接合体にあっては、媒層表面の表面粗さ(SRa)と触媒層表面の85°グロス値の両方を所定の範囲とすることによりはじめて加湿環境下においても触媒層が十分な水保持性を有し高い電池特性を有する膜電極接合体とすることができる。
【0031】
本発明の膜電極接合体にあっては、触媒層の表面粗さ(SRa)を0.01μm以上1.00μm以下の範囲内とする必要がある。触媒層の表面粗さ(SRa)を所定の範囲内とするためにはベース基材を用いた転写法により触媒層を形成するにあたり、触媒インク中の触媒を担持した粒子の分散性を考慮する必要がある。すなわち、ベース基材に塗布する前の粒子に十分な分散処理をすることにより、触媒層中の粒子の分散性を向上させることができ、触媒層表面の表面粗さ(SRa)を所定の範囲内とすることができる。
【0032】
本発明において触媒インクは、遊星ボールミルを用いて分散処理されることが好ましい。触媒インクの分散の手順は、触媒を担持した粒子を溶媒へあらかじめプレ分散処理し、次いで高分子電解質を投入して遊星ボールミルにより分散処理をおこなうことにより良好な分散状態を得ることができる。遊星ボールミルにあっては、サブμm〜数μm程度のジルコニアビーズを用いてビーズと材料との衝突・せん断力を利用して分散させる。ボールミルの回転数を高めることによって、例えば、たとえばビーズミルを用いた分散よりも処理時間を大幅に短縮することができる。
【0033】
本発明において遊星ボールミルは、公転するミル本体と自転するミルポットで構成されている。自転するミルポットの中に、ジルコニアボールなどの粉砕媒体と処理物を入れて、公転、自転時に発生する遠心力でボールを運転させ、粉砕処理するものをさす。一方、本発明においてビーズミルは、円筒型胴内にジルコニアボールなどの粉砕媒体を入れ、被粉砕物を供給して胴体を回転させ粉砕するものをさす。
【0034】
ジルコニアボールを用いたビーズミルにより遊星ボールミルによる分散処理と同程度の触媒インクの分散性を得るためには、長ければおよそ5倍〜10倍程度の処理時間が必要となり、処理時間がかかりすぎる。また、ビーズミルを用いた分散処理にあっては0.5mmのジルコニアボールの隙間の触媒インクの回収が困難であり、インク回収率を高めることは困難である。さらに、ジルコニアボールの洗浄に大きな手間がかかってしまう。
【0035】
また、ホモジナイザーを用いた分散では、遊星ボールミルほどの分散性を得ることができない場合が多い。本発明の膜電極接合体の製造方法において遊星ボールミルを用いて触媒インクを調整することによって、短時間で且つ分散性が優れた触媒インクを調整することが可能となる。
【0036】
本発明の膜電極接合体にあっては、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%以下の範囲内とする必要がある。触媒層表面の85°グロス値を所定の範囲とするにあっては、ベース基材を用いた転写法により触媒層を形成するにあたり転写工程での転写圧力及び転写温度を考慮する必要がある。
【0037】
転写工程における転写圧力は20kgf/cm以上200kgf/cmの範囲内とすることことが好ましい。転写圧力が20kgf/cmに満たない場合では、転写性が低くなってしまい、一部転写不良が生じることがある。また、転写圧力が200kgf/cmを超える場合にあっては、形成される触媒層表面の80°グロス値を80%以下とすることが困難となる。
【0038】
また、転写温度は120℃以上150℃以下の範囲内であることが好ましい。120℃を下回る場合にあっては転写性が悪く一部転写不良が生じうることがある。一方、150℃以上では、形成される触媒層表面の80°グロス値を80%以下とすることが困難となることがある。
【0039】
以下、さらに詳細に本発明の膜電極接合体およびその製造方法について説明する。
【0040】
本発明の膜電極接合体に用いられる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであればよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。中でも、高分子電解質膜としてデュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
【0041】
本発明の触媒インクとしては、少なくとも触媒粒子を担持させた粒子、高分子電解質、溶媒を含有する。
【0042】
触媒を担持させた粒子に用いる触媒としては、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属又はこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が使用できる。中でも、白金もしくは白金合金を好適に用いることができる。白金及び白金合金にあっては、タングステン、スズ、レニウムなどが添加物として含まれていてもよい。該添加物を添加することによりCO耐被毒性が高まる。
【0043】
触媒を担持するための粒子としては、カーボン粒子が好適に使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンが使用できる。カーボン粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると電極触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりするので、10nm以上1000nm以下の範囲内が好ましい。さらには10nm以上100nm以下の範囲内が好ましい。
【0044】
本発明の触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜と同素材の材料を用いることができる。フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができ、フッ素系高分子電解質としては、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。なお、触媒層と高分子電解質膜の密着性を考慮すると、高分子電解質膜と同一の材料を用いることが好ましい。
【0045】
触媒インクにあっては、触媒粒子を担持させた粒子、高分子電解質を分散させるために溶媒を用いる。溶媒としては、触媒を担持した粒子、高分子電解質が反応することがない揮発性の有機溶媒が含まれることが望ましい。これらの溶媒は、触媒粒子を担持させた粒子、高分子電解質の分散性を考慮して選択される。また、その量は、触媒インクの粘度等を考慮して決定される。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、2−ヘプタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイゾブチルケトン、メチルアミルケトン、ペンタノン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、アニリンなどのアミン類、蟻酸プロピル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチルなどのエステル類、その他酢酸、プロピオン酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等が使用される。また、溶媒として、水を用いることもできる。また、これらの溶媒のうち二種以上を混合させたものも使用できる。
【0046】
また、触媒インクにあっては、触媒物質を担持したカーボン担体を分散させるために分散剤が含まれていても良い。分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを用いることができる。
【0047】
また、触媒インクにあっては造孔剤が含まれても良い。造孔剤は、電極触媒層の形成後に除去することで、細孔を形成することが出来る。酸やアルカリ、水に溶ける物質や、ショウノウなどの昇華する物質、熱分解する物質などを挙げることが出来る。温水で溶ける物質であれば、発電時に発生する水で取り除いても良い。
【0048】
高分子電解質、触媒を担持した粒子、溶媒は分散処理され、触媒インクとすることができる。分散の手順は、触媒を担持した粒子を溶媒へあらかじめプレ分散処理し、次いで高分子電解質を投入して遊星ボールミルにより分散処理をおこなうことが好ましい。
【0049】
本発明において転写基材として用いるベース基材は、転写性がよい材質であればよく、例えばエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いることができる。また、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレートなどの高分子フィルムも用いることができる。
【0050】
本発明の膜電極接合体の製造方法にあっては、ベース基材の一方の面に触媒を担持させた粒子と高分子電解質と溶媒を含む触媒インクが塗布される。触媒インクの塗布方法は、刷毛塗り、筆塗り、バーコータ塗工、ナイフコータ塗工、ダイコータ塗工、スクリーン印刷、スプレー塗工などの塗工方法を用いることができる。ベース基材上に触媒インクを塗布した後には、必要に応じて触媒インク中の溶媒を除去するための乾燥工程が設けられる。
【0051】
次に、触媒インクが塗布されたベース基材を2枚用意し、触媒インク塗布面と該高分子電解質膜が相対するように挟持し、さらに、ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する。
【0052】
転写工程は、ベース基材に塗布された触媒インクを電解質膜の両面へ転写して膜電極接合体を作製する工程である。加熱成形機を用いて熱と圧力を印加することにより、ベース基材上の触媒インクを転写させることができる。転写圧力は、20kgf/cm以上200kgf/cm以下の範囲内であることが望ましい。転写圧力が20kgf/cmに満たない場合では、転写性が低くなってしまい、一部転写不良が生じうることがある。また、転写圧力が200kgf/cmを超える場合にあっては、形成される触媒層表面の80°グロス値を80%以下とすることが困難となる。また、転写温度は120℃以上150℃以下の範囲内であることが好ましい。120℃を下回る場合にあっては転写性が悪く一部転写不良が生じうることがある。一方、150℃以上では、形成される触媒層表面の80°グロス値を80%以下とすることが困難となることがある。
【0053】
最後に、ベース基材を剥離し、高分子電解質膜の両面に触媒層を備える膜電極接合体とすることができる。
【0054】
以下に、本発明の燃料電池について説明する。
【0055】
図3に本発明の固体高分子形燃料電池の分解模式図を示した。本発明の固体高分子型燃料電池にあっては、膜電極接合体1の触媒層12および触媒層13と対向してカソード側ガス拡散層14およびアノード側ガス拡散層15が配置される。これによりそれぞれカソード電極16及びアノード電極17が構成される。そしてガス流通用のガス流路を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路を備えた導電性でかつ不透過性の材料よりなる1組のセパレータ18、19が配置される。
【0056】
アノード側のセパレータ17からはガス流路を通じて、燃料ガスである水素が供給される。一方、カソード側のセパレータからはガス流路を通じて、空気または酸素ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と酸素ガスとを、触媒の存在下で電極反応させることにより、アノードとカソードの間に起電力を生じることができる。
【0057】
本発明に用いられるガス拡散層およびセパレータとしては通常の燃料電池に用いられているものを用いることができる。具体的にはガス拡散層としてはカーボンクロス、カーボンペーパー、不織布などのポーラスカーボン材が用いられる。セパレータとしては、カーボンタイプあるいは金属タイプのもの等を用いることができる。また、燃料電池としては、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより製造される。
【0058】
図4に示した固体高分子形燃料電池は一組のセパレータ18、19に固体高分子電解質膜11、電極触媒層12、13、ガス拡散層14、15が挟持された。いわゆる単セル構造の固体高分子型燃料電池であるが、本発明にあっては、セパレータ10を介して複数のセルを積層して燃料電池とすることもできる。また、燃料電池としては、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより製造される。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
[触媒インクの調製]
ジルコニア製の遊星ボールミル用50ccポットの中へ、白金担持カーボン(Pt:45質量%担持)1.5g、水4g、2−プロパノール6gの順番で混合し、遊星ボールミルにて200rpm5分プレ分散を行った。ついでNafion(デュポン社製・登録商標)20w%溶液3.5gを追加し、遊星ボールミルにて700rpmで10分処理して触媒インクを調製した。直径3mmジルコニアボールを使用した。
【0061】
[触媒層の作製と膜電極接合体の作製]
触媒インクをテトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のベース基材へ白金触媒担持量が0.3mg/cmになるようにダイコータ塗布し、80℃10分で乾燥することによって、ベース基材上に形成した触媒層を得た。所定のサイズにカットしたベース基材上に形成した触媒層を2枚用意して、膜厚50μmのNafion212(デュポン社製・登録商標)膜を挟み込むようにセットし、転写圧力100kgf/cmで、130℃で10分間の条件で加圧成形機にて成形し、膜電極接合体を作製した。
【0062】
[表面粗さ(SRa)の測定]
オリンパス社製レーザー顕微鏡OLS1100システムを用いて、膜電極接合体の触媒層のSRaを測定した。なお、対物レンズ100倍(測定領域126μm×252μm)、測定強度90、測定感度600の設定で測定をおこない、求められた触媒層表面の粗さ曲面(3次元形状)に対し、輝度補正を1回、傾き補正をx方向、y方向に対して各1回おこなった後にSRaを求めた。その結果、SRaは0.18μmという値を得た。
【0063】
[85°グロス値の測定]
ドイツ・ビックガードナー社製のグロスメーターを用いて、転写後における触媒層の剥離面の85°グロス値をJIS Z 8741(1997)に基づき測定したところ、55%という値を得た。
【0064】
[電池特性評価]
膜電極接合体をガス拡散層2枚、カーボン製セパレータ2枚および2枚のチタン製集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積5cmの燃料電池を組み立てた。燃料電池の温度を80℃に保ち、アノード側に湿度40%RHで水素ガスを流量200cc/min供給し、カソード側に湿度50%RHで空気ガスを流量800cc/minで供給し、低加湿条件下とした。さらに、両極とも背圧90kPaとした。電流密度0.2A/cmにおける電圧を測定したところ、0.78Vを得た。
【0065】
<実施例2>
触媒インクの調製において、白金担持カーボン(Pt:45質量%担持)1.5g、水4g、2−プロパノール6gおよびナフィオン20w%溶液3.5gをビーズミル分散機にて1時間分散を行った。直径が0.5mmのジルコニアビーズを用いた。それ以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。得られた膜電極接合体に対し、実施例1と同じ評価(表面粗さ(SRa)の測定、85°グロス値の測定、電池特性評価)をおこなった。
【0066】
<実施例3>
触媒インクの調製において、遊星ボールミル処理に用いるジルコニアボールを直径1mmとしたこと以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。
【0067】
<実施例4>
触媒インクの調製において、遊星ボールミル処理に用いるジルコニアボールを直径0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。
【0068】
<実施例5>
触媒インクの調製において、遊星ボールミル処理に用いるジルコニアボールを直径3mmと0.5mmを混合して使用したこと以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。
【0069】
<実施例6>
触媒インクの調製において、転写工程における転写温度を140℃としたこと以外は、実施例5と同様におこない、膜電極接合体を作製した。
【0070】
<比較例1>
触媒インクの調製において、白金担持カーボン(Pt:45質量%担持)1.5g、水4g、2−プロパノール6gを混合し、ホモジナイザーにて200rpm5分プレ分散をおこない、ついでナフィオン20w%溶液3.5gを追加し、ホモジナイザーにて700rpmで20分処理して触媒インクを調製したこと以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。得られた膜電極接合体に対し、実施例1と同じ評価(表面粗さ(SRa)の測定、85°グロス値の測定、電池特性評価)をおこなった。
【0071】
<比較例2>
膜電極接合体の作製において、転写圧力を20kgf/cmとしたこと以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。
【0072】
<比較例3>
膜電極接合体の作製において、転写圧力を400kgf/cmとしたこと以外は、実施例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。得られた膜電極接合体に対し、実施例1と同じ評価(表面粗さ(SRa)の測定、85°グロス値の測定、電池特性評価)をおこなった。
【0073】
<比較例4>
膜電極接合体の作製において、転写温度を180℃としたこと以外は、比較例3と同様におこない、膜電極接合体を作製した。得られた膜電極接合体に対し、実施例1と同じ評価(表面粗さ(SRa)の測定、85°グロス値の測定、電池特性評価)をおこなった。
【0074】
<比較例5>
触媒インクの調製において、白金担持カーボン(Pt:45質量%担持)1.5g、水4g、2−プロパノール6gを混合し、ホモジナイザーにて200rpm5分プレ分散をおこない、ついでナフィオン20w%溶液3.5gを追加し、ホモジナイザーにて700rpmで20分処理して触媒インクを調製したあとに、ついでホモジナイザーにて10000rpmで20分処理したこと以外は、比較例1と同様におこない、膜電極接合体を作製した。得られた膜電極接合体に対し、実施例1と同じ評価(表面粗さ(SRa)の測定、85°グロス値の測定、電池特性評価)をおこなった。
【0075】
(表1)に、(実施例)(比較例)におけるSRa、グロス値、電池特性の測定結果を示した。
【0076】
【表1】



【0077】
(実施例2)では触媒インクの分散処理をビーズミルで行ったが、SRaが0.19μm、85°グロス値が59%であった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧が0.77Vであり、(実施例1)と同等の電池特性を得た。しかしながら、分散処理の時間が長く生産性が低いことが難点である。
【0078】
(実施例3)では触媒インクの遊星ボールミルでの分散処理を1mmのジルコニアボールを用いて行ったが、SRaが0.11μm、85°グロス値が59%であった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧が0.77Vであり、(実施例1)と同等の電池特性を得た。
【0079】
(実施例4)では触媒インクの遊星ボールミルでの分散処理を0.5mmのジルコニアボールを用いて行ったが、SRaが0.08μm、85°グロス値が67%であった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧が0.79Vであり、(実施例1)と同等の電池特性を得た。
【0080】
(実施例5)では触媒インクの遊星ボールミルでの分散処理を0.5mmと3mmのジルコニアボールを混合して用いて行ったが、SRaが0.07μm、85°グロス値が71%であった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧が0.80Vであり、(実施例1)と同等の電池特性を得た。
【0081】
(実施例6)では触媒インクの遊星ボールミルでの分散処理を0.5mmと3mmのジルコニアボールを混合して用い、さらに転写温度を140℃で行ったが、SRaが0.06μm、85°グロス値が75%であった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧が0.79Vであり、(実施例1)と同等の電池特性を得た。
【0082】
(比較例1)では触媒インクの分散処理をホモジナイザーでおこなったが、触媒インクの分散性が低いために、SRaが1.5μmと低く、グロス値は20%であった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧は0.69Vとなり、(実施例1)の電池特性と比較して低い結果となった。
【0083】
(比較例2)では、電解質膜と触媒層を接合する際に転写不良が生じ、膜電極接合体を得ることはできなかった。そのため、SRa、グロス値、電池特性は測定しなかった。
【0084】
(比較例3)では、SRaは0.16μmで、グロス値は90%という値を示した。電流密度0.2A/cmにおける電圧は0.62Vと(実施例1)と比較して低い結果となった。これは、転写圧力が400kgf/cmと高すぎたために、触媒層がつぶれてしまったためと考えられる。
【0085】
(比較例4)では、SRaは0.02μmで、グロス値は93%という値を示した。電流密度0.2A/cmにおける電圧は0.41Vと(実施例1)と比較して低い結果となった。これは、転写温度と転写圧力が180℃で400kgf/cmであったために、触媒層が著しくつぶれてしまったためと考えられる。
【0086】
(比較例5)では触媒インクの分散処理をホモジナイザーで念入りにおこなったが、触媒インクの分散性が低いために、SRaが1.20μmと高く、グロス値は35%となった。そして、電流密度0.2A/cmにおける電圧は0.72Vとなり、(実施例1)の電池特性と比較して低いという結果になった。
【0087】
以上より、(実施例1)〜(実施例6)では、低加湿条件下における電流密度0.2A/cmという低負荷領域の電池特性が優れた膜電極接合体を作製できることが確認された。
【符号の説明】
【0088】
1 膜電極接合体
11 高分子電解質膜
12 触媒層(カソード側)
13 触媒層(アノード側)
A 触媒インク
12´ 触媒インク(転写前)
13´ 触媒インク(転写前)
14 ガス拡散層(カソード側)
15 ガス拡散層(アノード側)
16 カソード電極
17 アノード電極
18 セパレータ(カソード側)
19 セパレータ(アノード側)
21 ベース基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材の一方の面に触媒を担持させた粒子と高分子電解質と溶媒を含む触媒インクを塗布する工程と、
一組の前記触媒インクが塗布されたベース基材と高分子電解質膜を、前記触媒インク塗布面と該高分子電解質膜が相対するように挟持する工程と、
前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程と、
前記ベース基材を剥離する工程とを順に備え、
ベース基材が剥離された後の高分子電解質膜上に形成される触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%の範囲内であることを特徴とする
高分子電解質膜の両面に触媒層を備える膜電極接合体の製造方法。
【請求項2】
前記触媒インクが、遊星ボールミルによる分散処理工程を含むことを特徴とする請求項1記載の膜電極接合体の製造方法。
【請求項3】
前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程において、その転写圧力が20kgf/cm以上200kgf/cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の膜電極接合体の製造方法。
【請求項4】
前記ベース基材上に塗布された触媒インクを高分子電解質膜の両面に転写する工程において、その転写温度が120℃以上150℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法
【請求項5】
前記ベース基材が剥離された後の高分子電解質膜上に形成される触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.05μm以上0.40μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が50%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに膜電極接合体の製造方法。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする膜電極接合体。
【請求項7】
触媒を担持させた粒子と高分子電解質を含む一組の触媒層が高分子電解質膜の両面に挟持された膜電極接合体であって、該触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が10%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする膜電極接合体。
【請求項8】
前記触媒層表面の表面粗さ(SRa)が0.05μm以上0.40μm以下の範囲内であり、且つ、触媒層表面の85°グロス値(JIS Z 8741)が50%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする請求項7に膜電極接合体の製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の膜電極接合体を一対のガス拡散層で挟持し、且つ、前記一対のガス拡散層で挟持された膜電極接合体を一対のセパレータで挟持した構造を備える固体高分子形燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−259782(P2009−259782A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19485(P2009−19485)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】