説明

膨化させた食品について電子レンジ耐性を有する生地の作り方。

【課題】 肉まん等の膨化食品の中には喫食前に再加熱調理を必要とする物がある。
古くはセイロを利用して再加熱が行われ、商品特性を失うことなく、おいしく喫食されてて来たが電子レンジの普及に伴い、より簡便性の高い電子レンジの利用が多くなった。しかし、電子レンジによる加熱はセイロによる加熱とは違い、商品中の水分を揮散し、ぱさついた食感にしてしまい、商品特性を失わせてしまう。
【解決手段】 本発明は肉まん等の膨化食品の生地に寒天、ペクチン又はその混合物を添加して形成し、寒天、ペクチン又はその混合物のゲル化、ゾル化時の保水力の差を利用して電子レンジで加熱時の遺失水分の補填をするものである。
即ち、低温時に於いてはゲル化し水分を保持している寒天、ペクチン又はその混合物はマイクロ波により加熱された時、徐々にゾル化し逸失した水分の補填をする。その結果、商品特性を維持する事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明は膨化食品を電子レンジで加熱調理する時、水分揮散による物性変化を防止する方法である。
【背景技術】
【0002】
肉まん等の膨化食品は生産後、チルド又は冷凍状態で流通され、喫食直前にせいろ等で蒸し上げ、再加熱されていた。しかし、近年より省力的な電子レンジ加熱を行い喫食される事が多くなった。
しかし、電子レンジを利用し加熱処理を行うと、乾燥状態の環境下で加熱が行われる事と、マイクロ波の特性として中心部の水分子の活性を高める事により、製品中の水分が極端に減少し、パサパサした好ましからざる食感になってしまう。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子レンジによる加熱はセイロ加熱の様に商品個体外部からの熱伝導加熱と違い商品個体内部で水分子の分子運動を促進することにより発熱する。
商品内部の水分は外部環境の乾燥条件の効果もあり、限りなく商品外部へ放出される。商品内部に水分が補給される事はなく、商品物性が破壊される。
電子レンジ加熱により消失した水分を商品内部に補給することが出来れば商品物性の破壊を防ぐことが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は寒天、ペクチンが常温、低温領域に於いては大量の水分を保持してゲル化し、100℃前後の高温下に於いては保持する水分を放しゾル化する事に着目し、肉まん等の生地に寒天、ペクチンを混入して商品物性の破壊を防ぐ事に成功したものである。寒天、ペクチンをそれぞれ単独で利用する時、又、混合して利用する時、いずれもその効果を得ることが出来る。
【作用及び効果】
【0005】
電子レンジを利用し加熱処理を行うとき、電子レンジから発生するマイクロ波は製品中にある水の分子に衝突し、分子運動を活性化させる。その作用により発熱効果が得られるが、又この発熱が製品全体で同時に発生し、水分は製品の外に容易に移動してしまう。電子レンジの内部が乾燥状態にある事も製品の乾燥を助長する。電子レンジによりこの作用を受けるとき、製品中に寒天、ペクチン又は双方を混入してあると低温時に水分を抱き込んでゲル化している寒天、ペクチン又は双方の物質は加熱によりゾル化して徐々にその水分を製品中に放す。この水分が製品の物性破壊を防いで品質を維持する。
【実施例】
【0006】
以下に本発明の実施方法を説明する。
【調整工程】
【0007】
望ましくは寒天、ペクチンを重量比で20倍程度の水に溶解しておく。この行程を行う事により、寒天、ペクチンが十分な水分を含有する。
この調整行程を実施しないで粉末状の寒天、ペクチン又はその混合物を用いても十分では無いが効果を得ることが出来る。
【生地作成工程】
肉まん等の膨化食品の生地は小麦粉に砂糖、食塩、水飴、粉乳、澱粉、等を混合し、これにイースト及びイーストフーズ、時にはベーキングパウダー等の膨剤を添加し、ミキシングされるが、ミキシングの前、又はミキシング中にあらかじめ調整しておいた寒天、ペクチン又は両者の混合物を添加する。
ミキシングは専用にミキサーを使用して行われることが多いが、いずれの方法でも、小麦粉に含まれるグルテンのマトリックス形成が十分になるまでゆっくりと実施される。練りあげた生地は時にはフロアータイムをとり、パンチングマシンにかけて、より安定した生地とする。
【後工程】
完成した生地は手作業又は包餡機により内包材を包み込み、ホイロ発酵の工程を経て、セイロ蒸し、又は蒸し器により蒸し上げられる。
蒸し行程を終えた製品は冷却行程に移行し冷却される。
常温まで冷却した製品を包装し、4℃程度のチルド温度帯で保存、又、時にはマイナス20℃からマイナス50℃の冷凍状態で保存する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
(P1)寒天、又はペクチン又はその混合物
(P2)必要量の水
(P3)混合、溶解した寒天、又はペクチン又はその混合物
(P4)生地形成に必要な原料
(1a)ミキシング行程
(1b)包餡行程
(1c)ホイロ発酵工程
(1d)蒸し行程
(1e)冷却行程
(1f)包装工程
(2a)チルド保存、流通
(2b)電子レンジによる加温
(3a)冷凍保存流通

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉まん等イーストを使用して発酵膨化した生地、又は各種膨剤を使用して膨化した食品の生地を寒天、ペクチン、又は両方を使用して作る事で、喫食前の電子レンジによる調理時の乾燥による物性変化を防止する方法である。
【請求項2】

【請求項1】
の方法で補助的に澱粉、化工澱粉、公知の食品添加物を併用することで
【請求項1】
の目的を達成する方法である。

【図1】
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【公開番号】特開2006−67985(P2006−67985A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288624(P2004−288624)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(502229831)西尾製粉株式会社 (2)
【Fターム(参考)】