説明

膵臓内分泌細胞の前駆体を介した該細胞のDDR1媒介性細胞精製

本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の培養体を、同定、獲得及び/又は定量する方法に関する。また、このような細胞の数を増やす、並びにこのような細胞を選別する方法も考慮される。さらに本発明は、膵臓内分泌前駆体表現型を有する細胞独特のサブセットの選択を可能にする、選択的細胞表面マーカーDDR1に関する。またさらに、本発明はこのような細胞から選択される単離された細胞及びその組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膵臓内分泌前駆体表現型を有する細胞独特のサブセットの同定、選択及び/又は定量を可能にする、選択的細胞表面マーカーDDR1に関する。
一態様においては、膵臓内分泌前駆体細胞及び初期の内分泌細胞を含む組成物、細胞培養体及び細胞個体群、並びに成熟した内分泌細胞を生成させ、内分泌前駆体細胞及び初期の内分泌細胞を検出する方法が考慮される。いくつかの態様においては、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞及び/又は十分に分化した内分泌細胞を含む組成物、細胞培養体及び細胞個体群、並びに成熟した内分泌細胞を生成させ、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞を検出する方法が考慮される。
【背景技術】
【0002】
ベータ細胞移植には、1型糖尿病の処置が改善されるとの大きな期待が寄せられているが、まずは多くの障害を克服する必要がある。これらのなかには、ドナー島の不足がある。ベータ細胞から誘導される胚性幹(ES)細胞は、原則的には、無制限の数の移植用ベータ細胞を供給可能であるが、完全に機能するベータ細胞を作製するための信頼のおけるプロトコルは、未だ開発されていない。胚性幹細胞からの確定的内胚葉(DE)細胞の形成が、例えば、 国際公開第2005/116073、国際公開第2005/063971及び米国特許第2006/0148081において、マウス及びヒトES細胞の双方で報告されている。例えば、DE細胞からの膵臓内胚葉(PE)細胞の効率的生成は、糖尿病を処置するためのインスリン生成ベータ細胞の作製にとっては有利である。
【0003】
成人の膵島細胞を培養する試みにおいて、目的は、膵臓ベータ細胞又は島に分化可能な、膵臓及び膵臓内分泌前駆体細胞を単離することが切望されている。膵臓内分泌前駆体細胞の単離における重要な段階の一つは、膵臓内分泌前駆体細胞に対して特異的な、認識可能な細胞マーカーを同定することである。いくつかの態様において、腺房系列からの膵臓内分泌系列の単離における重要な段階の一つは、膵臓管/内分泌細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び膵臓の初期の内分泌細胞に対して特異的な、認識可能な細胞マーカーを同定することである。細胞内及び細胞外マーカーの双方が、この目的のために調査される。細胞内マーカー、特に成熟した島細胞において成長した胚細胞からのものは、前駆体マーカーとして、広範囲にわたって研究されている。転写因子、例えばPdx1、Ngn3、Pax6、及びIsl-1が研究されている。それらは、胚発育中に、膵臓内分泌細胞になるようにプログラムされた細胞において発現している。しかしながら、これらの細胞内マーカーは細胞外マーカーよりも実用的価値が低く、これは、それらのマーカーの発現の分析には、細胞内でのレポーター遺伝子を遺伝的に設計することによる、細胞の永続的修飾又は細胞を殺すことが必要であるからである。
同定されると、細胞外マーカーは、マーカーを発現する細胞が滅菌条件下で選別可能で、生存し続けるという利点を提供する。上皮細胞付着分子、例えばEp-CAM及びインテグリンは、膵臓島前駆体マーカーとして研究されている。例えば、Cirulliら, J. Cell Biol. 140: 1519-1534 (1998);及び Cirulliら, J. Cell Biol. 150: 1445-1460 (2000)を参照のこと。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、ヒトDDR1のCLUSTAL W配列アラインメントを示す。「-」により示されるアミノ酸位置は、欠失したアミノ酸位置を称する。「*」により示されるアミノ酸位置は、アイソフォームが同一のアミノ酸を有する位置を示す。3つのアイソフォームがヒトには存在する。Cが最も長く、A、ついでBが続く。しかしながら、細胞外サイドでのアミノ酸配列は、A、B及びCで同一である。膜貫通ドメインはボールド体で強調している(aa417-439)。細胞外部分はアミノ酸1-416である。
【図2】図2は、マウスDdr1のCLUSTAL W配列アラインメントを示す。「-」により示されるアミノ酸位置は、欠失したアミノ酸位置を称する。「*」により示されるアミノ酸位置は、アイソフォームが同一のアミノ酸を有する位置を示す。2つのアイソフォームがマウスには存在する。1が最も長い。しかしながら、細胞外サイドでのアミノ酸配列は、1と2で同一である。膜貫通ドメインはボールド体で強調している(aa415-437)。細胞外部分はアミノ酸1-414である。
【図3】図3は、膵臓細胞の発育経路の略図を示す。 図3Aは、略図として、典型的な8μmのマウスe15.5膵臓組織切片を示す。マウスの膵臓において、細胞は同時に分化しない。よって、発達段階の異なる細胞が、付与された時間で観察可能である。e15.5での2つの主要なドメイン、中心及び末梢が観察される。中心ドメインには、初期の内分泌細胞、内分泌前駆体、及び管/内分泌前駆体に発育する細胞が含まれる。この中心ドメインは、外分泌系列の細胞を含まない。腺房系列の細胞は末梢ドメインに見出される。末梢ドメインにおける細胞はPtf1a+及びPdx1+であるが、Nk6.1−、Ddr1−ではない。中心ドメインおいて、細胞はPdx1+であるが、多くのPdx1+細胞のなかでも、いつかの細胞はベータ-細胞系列のものである。ベータ-細胞系列のこのような細胞のいくつかは、インスリンに対してポジティブである。匹敵する細胞及びその局在性がヒト膵臓で見出されると仮定される。 図3Bは、細胞が通過する種々の段階の略図を示す。膵臓において、細胞は、多分化能性の膵臓前駆体プール、すなわちPdx1+/Nkx6.1+/Ptf1a+の一部となり始める。細胞によりなされる運命の最初の選択は、外分泌(Ptf1a+)又は管/内分泌系列(Pdx1+及びNkx6.1+、又はPdx1+、Nkx6.1+、及びDdr1+並びにPtf1a−)のいずれに進むかである。これらの細胞のいくつかは、管系列の運命をとるであろう。膵臓細胞がDdr1+である場合、内分泌運命又は管運命を選択する可能性があり、よって、後にNgn3を活性化させる可能性がある。細胞がNgn3を活性化させたら、それは内分泌前駆体細胞である。また、Ngn3+細胞はPdx1+でもある。Ngn3発現は、内分泌前駆体細胞内でのみ一時的に生じ、特定の段階を介して内分泌分化プログラムを誘発し、そこではNeuroD、Pax6、Arx(アルファ細胞内)、及びPax4(ベータ細胞内)を含む他の転写因子が活性化される。これらの転写因子は、一部、ホルモン遺伝子活性化の原因であり、初期の内分泌細胞がホルモンに対してポジティブになった場合、それらのほとんどは、Ngn3に対して既にネガティブであるが、一方でPax6+ではない。この時点から、細胞は、以前及び未来の運命決定インプットに応じて、十分に分化した内分泌細胞型(アルファ-、ベータ-、デルタ-、pp-、及びグレリン-細胞)の一つに発育していく。
【図4】図4は、FACSを介し、DDR1を使用する、マウス胚膵臓細胞の選別の結果を示す。図4Aは、10μg/mlの一次抗体として、マウス抗-Ddr1を使用する結果を示す。図4Bは、10μg/mlの一次抗体として、アイソタイプ(IgG2a)の負の対照体を使用する結果を示す。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、膵臓内分泌細胞の内分泌前駆体の同定及び選択に、細胞外マーカーDDR1/Ddr1を使用することを開示する。いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞を同定する方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させることを含む。
いくつかの態様において、本発明は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法に関する。
【0006】
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法に関する。
【0007】
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法に関する。
【0008】
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法に関し、ここで細胞はここに記載された方法により得られたもので、該方法は:哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む。
いくつかの態様において、本発明は、a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定する;ことによる、DDR1ポジティブ細胞を定量する方法に関する。
いくつかの態様において、本発明は、インビトロプロトコルを最適化する方法に関し、ここでDDR1発現細胞(DDR1ポジティブ細胞)の数は、定期的にモニターされる。
【0009】
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法により得られた、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される単離された細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞に関する。
【0010】
いくつかの実施態様において、本発明は、ここに記載された方法により得られた、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群からの一又は複数の細胞から選択される、単離された細胞を含有する組成物に関する。
いくつかの態様において、本発明は、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するための、DDR1結合試薬の使用に関する。
いくつかの態様において、本発明は、膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質の使用に関する。
【0011】
本発明の一態様は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:膵臓内分泌前駆体細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞の培養体を得る方法に関する。
また本発明の他の態様は、上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の培養体を得る方法に関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌前駆体細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞の数を増やす方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の数を増やす方法に関する。
【0013】
さらなるの態様において、本発明は、少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法に関し、該方法は、該哺乳動物において、測定可能な量の、少なくとも一の膵臓ホルモンが生成するのに十分な量、上述にて論議された本発明の方法のいずれかにより得られた細胞をインプラントする工程をさらに含む。
さらなる態様において、本発明は、a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、膵臓細胞を含む細胞の培養体をモニターする方法に関する。
本発明の方法で単離されたDDRポジティブ細胞は、種々の膵臓内分泌細胞型に分化する可能性を有している。重要な態様において、DDRポジティブ細胞は、インスリン生成細胞ににおいてさらに分化し−このことは、膵臓ポリペプチド及び/又はスマトスタチン及び/又はグルカゴン生成細胞を含む、細胞の培養体が生成されるように、又はインスリン生成細胞が単独で得られるように実施されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
DDR1は、管/内分泌前駆体細胞から初期の内分泌細胞までの分化段階から膵臓細胞に存在する。従って、DDR1は、分化段階における、膵臓細胞の細胞外マーカーを提供し、ここで細胞は、管/内分泌系列に関連している。膵臓細胞の同定、富化、及び/又は単離に細胞外マーカーDDR1を使用すると、十分に分化した内分泌細胞になる可能性はあるが、外分泌細胞になる可能性が失われた細胞が提供される。
【0015】
膵臓内分泌細胞−及びそれらの前駆体
膵臓においては、いくつかの異なった種類の膵臓細胞が見出される。膵臓細胞には、例えば、多能性の膵臓前駆体細胞、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞が含まれる。これらの細胞型の概略は、図3に見出すことができる。
ここで使用される場合、「膵臓管/内分泌前駆体細胞」(「管/内分泌前駆体細胞」とも称される)は、膵臓外分泌細胞において発育する可能性を失い、Ptf1aを発現せず、ホルモン発現をしないが、膵臓内分泌細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞細胞に分化する可能性を有し、通常、これらの細胞の表現型特徴の少なくとも一部を共有する細胞のことである。
【0016】
いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓内分泌前駆体細胞」(「膵臓内分泌前駆体」及び「内分泌前駆体」とも称される)とは、ホルモン発現をしないが、膵臓内分泌細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞に分化する可能性を有し、通常、これらの細胞の表現型特徴の少なくとも一部を共有する細胞のことである。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓内分泌前駆体細胞」(「膵臓内分泌前駆体」及び「内分泌前駆体」とも称される)とは、Ngn3タンパク質発現細胞であるが、ホルモン発現はせず、膵臓内分泌細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞に分化する可能性を有し、通常、これらの細胞の表現型特徴の少なくとも一部を共有する細胞のことである。
【0017】
いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓初期の内分泌細胞」(「初期の内分泌細胞」とも称される)とは、膵臓内分泌ホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチド)の一つの発現を開始させるが、成人膵臓のランゲルハンス島に見出される、十分に成熟した膵臓内分泌細胞の特徴全てを共有してはいない細胞のことである。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓初期の内分泌細胞」(「初期の内分泌細胞」とも称される)とは、Ngn3を活性化するが、成人膵臓のランゲルハンス島に見出される、十分に分化した膵臓内分泌細胞の特徴全て、例えばグルカゴンに対する反応性を共有してはおらず、膵臓内分泌ホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリン)の一つに対してポジティブな内分泌細胞のことである。
【0018】
いくつかの態様において、ここで交換可能に使用される場合、「膵臓内分泌細胞」、「膵臓ホルモン発現細胞」とは、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドの少なくとも一を発現可能な細胞を称する。いくつかの態様において、ここで交換可能に使用される場合、「膵臓内分泌細胞」、又は「膵臓ホルモン発現細胞」とは、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンの少なくとも一を発現可能な細胞を称する。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓ホルモン分泌細胞」とは、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドの少なくとも一を分泌可能な細胞を称する。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓ホルモン分泌細胞」とは、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンの少なくとも一を分泌可能な細胞を称する。
【0019】
いくつかの態様において、「膵臓ホルモン発現細胞」及び「膵臓ホルモン分泌細胞」は、初期から十分に分化した表現型までの範囲で、「膵臓内分泌細胞」とみなされる。
ここで使用される場合、「膵臓の十分に分化した内分泌細胞」(「十分に分化した内分泌細胞」、「膵臓の成熟した内分泌細胞」又は「膵臓の成人内分泌細胞」とも称される)とは、成人膵臓のランゲルハンス島に見出される、十分に分化した膵臓内分泌細胞の全ての特徴を共有する細胞のことである。ここで使用される場合、「ベータ細胞系列」とは、転写因子PDX1、及び次の転写因子:Ngn-3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、IsI-1、Hnf-3 ベータ、MafA、Pax4、及びPax6の少なくとも一に対して、ポジティブな遺伝子発現を有する細胞を称する。ベータ細胞系列に特徴的な細胞発現マーカーにはベータ細胞が含まれる。
ここで使用される場合、「マーカー」は、関心ある細胞内で、差異的に発現する核酸又はポリペプチド分子である。文中で、差異的発現とは、ポジティブマーカーに対してはレベルの上昇、ネガティブマーカーに対してはレベルの低下を意味する。マーカー核酸又はポリペプチドの検出可能なレベルは、関心ある細胞が、当該技術で公知の種々の任意の方法を使用し、同定及び他の細胞と区別できるように、他の細胞と比較して、関心ある細胞内で十分に高い又は低いことである。
【0020】
本発明の一態様において、膵臓内分泌細胞はインスリン生成細胞である。本発明のいくつかの態様において、膵臓内分泌細胞は、場合によっては、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及び/又はグレリン生成細胞の方向に分化した細胞と共に、インスリン生成細胞である。ここで使用される場合、「インスリン生成細胞」とは、検出可能な量のインスリンを生成又は分泌する細胞を称する。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「インスリン生成細胞」とは、検出可能な量のインスリンを生成及び保管又は分泌可能な細胞を称する。「インスリン生成細胞」は、個々の細胞又は細胞の収集物であってよい。
【0021】
本発明のいくつかの態様において、膵臓DDR1+本発明の方法により得られた細胞 は、管/内分泌前駆体細胞を含む。本発明の他の態様において、膵臓DDR1+本発明の方法により得られた細胞は、内分泌前駆体細胞を含む。本発明のいくつかの態様において、膵臓DDR1+本発明の方法により得られた細胞は、初期の内分泌細胞を含む。本発明のいくつかの態様において、膵臓DDR1+本発明の方法により得られた細胞は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞を含有する。このような細胞は、1)内分泌細胞内で成熟可能な非分裂細胞、2)成熟前に、制限された回数増殖可能な分裂細胞、3)細胞分割を受け、一つの培養容器から他の容器に継代可能な分裂細胞であってよい。細胞表面マーカーとしてDDR1を示す膵臓細胞を増殖させるための培養は、検出可能なDDR1細胞表面発現に加え、インスリン生成膵臓ベータ細胞を含む、成熟した膵臓内分泌細胞に分化可能な、膵臓前駆体細胞の培養と称される。通常、細胞の「継代」は、部分的コンフルエント状態から、コンフルエント状態までの、播種した培養容器の転移状態を称し、それらが培養容器から取り出された時点で、低密度にて、培養容器に再播種される。しかしながら、細胞はコンフルエンスに達する前に継代されてもよい。典型的には、継代により、コンフルエンスに達するまで成長するため、細胞個体群が増殖する結果となる。細胞個体群の増殖は、当初の播種密度に依存するが、典型的には、1〜10、1〜5、1〜3、又は1〜2回の増殖である。よって、一般的に継代では、培養中に、複数回細胞分裂可能である細胞が必要である。
【0022】
膵臓細胞を含む細胞個体群
ここで使用される場合、「膵臓細胞を含む細胞個体群」なる用語は、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の膵臓内分泌細胞、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン分泌細胞、胎児膵臓細胞、成人膵臓細胞、及び他の非膵臓細胞からなる群から選択される、一又は複数の細胞型を含む細胞個体群を称する。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓細胞を含む細胞個体群」とは、腺房細胞、中心-腺房細胞、管細胞、複数の強力な膵臓前駆体細胞、管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の膵臓内分泌細胞、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン分泌細胞、胎児膵臓細胞、成人膵臓内分泌細胞、及び他の非膵臓細胞からなる群から選択される、一又は複数の細胞型を含む細胞個体群を称する。細胞の「個体群」とは、出発細胞に特定の単離及び培養手順により得られる、複数の細胞を称する。細胞個体群の特性は、一般的に、特定の特性を有する個々の細胞のパーセンテージ(例えば、特定のマーカーでポジティブ染色される細胞のパーセンテージ)、又は全個体群で測定した場合の特性のバルク平均値(例えば、細胞個体群から作製された溶菌液中のmRNA量、又はNgn3、Pax6、インスリン又はグルカゴン等、組織化学的マーカーに対してポジティブな細胞のパーセント年齢)により定められる。
【0023】
本発明の一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、胎児膵臓を含む、膵臓から得られる。本発明のいくつかの態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、胎児膵臓又は成人膵臓を含む、膵臓から得られる。一態様において、膵臓は哺乳動物、例えばヒトからのものである。
【0024】
本発明の他の態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は体細胞個体群である。本発明のいくつかの態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、体細胞個体群から得られる。本発明のさらなる態様において、体細胞個体群は、胚様幹(ES、例えば多能性)細胞への脱分化を誘発する。このような脱分化細胞は、人工多能性幹細胞(IPS)とも称される。
さらなる態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は胚性幹(ES、例えば多能性)細胞である。さらなる態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、胚性幹(ES、例えば多能性)細胞から得られる。いくつかの態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は多能性細胞、例えばES様細胞である。
さらなる態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、分化した胚幹(ES又は多能性)細胞である。分化は、胚様体及び/又は単層細胞培養、又はその組合せで生じる。
【0025】
本発明の一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は哺乳動物由来のものである。本発明の一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群はヒト由来のものである。本発明のいくつかの態様において、細胞個体群は、膵臓内分泌系列に向かって分化している。
本発明の一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、一又は複数の提供膵臓から得られる。ここに記載された方法は、提供膵臓の年齢に依存しない。従って、胎児から成人の年齢範囲のドナーから単離された膵臓物質を使用することができる。
【0026】
膵臓がドナーから収集されると、典型的にはプロセシングされて、種々の方法を使用して培養される、個々の細胞又は細胞の小グループが生じる。このような方法では、収集した膵臓組織を、酵素消化用に浄化し、調製することが必要である。収集された組織の実質が膵臓細胞物質のより小さな単位に解離されるように、酵素的プロセシングが使用されて、結合組織が消化される。収集された膵臓組織は一又は複数の酵素で処理され、収集された器官の全体的構造から、膵臓細胞物質、部分構造、及び個々の膵臓細胞が分離される。コラゲナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、リベラーゼ(Liberase)調製物(米国特許第5830741号及び同5753485号を参照)、及び他の酵素が、ここに記載の方法に使用されると考えられる。
【0027】
さらに、単離された原物質は、一又は複数の所望の細胞個体群に富むようにプロセシングすることができる。いくつかの態様において、培養用に解離した未分画の膵臓組織は、さらなる分離をすることなく、本発明の培養方法に直接使用することもできる。しかしながら、培養用に解離した未分画の膵臓組織は、さらなる分離をすることなく、本発明の培養方法に直接使用することができ、中間細胞個体群が生じるであろう。一実施態様において、単離された膵臓細胞物質は、密度勾配を介した遠心分離により精製される(例えば、Nycodenz、Ficoll、又はPercoll)。例えば、米国特許第5739033号に記載された勾配法は、島において、プロセシングされた膵臓物質を富ませるための手段として使用可能である。ドナー源から収集された細胞混合物は、典型的には異種性であり、よってアルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、管細胞、腺房細胞、通性前駆体細胞、及び他の膵臓細胞型を含有する。
【0028】
典型的な精製手順により、多くの層又は界面において、単離された細胞物質の分離に至る。典型的には、2つの界面が形成される。上部界面は島に富み、典型的には、懸濁液に10〜100%の島細胞を含有する。
第2の界面は、典型的には、島、腺房、及び管細胞を含む細胞の混合個体群である。低層はペレットであり、傾斜の底部に形成される。
この層は、典型的には、主として腺房細胞、いくつかの捕捉された島、及びいくつかの管細胞を含有している。管状樹状成分(ductal tree components)を、さらなるマニピュレ−ション用に、別に収集することもできる。
さらなるマニピュレーション用に選択されたフラクションの細胞支持層は、選択される勾配フラクション、及び各単離の最終結果に応じて変化するであろう。
【0029】
島細胞が所望の細胞型である場合、単離されたフラクション内で島細胞に適切に富む個体群は、少なくとも10%〜100%の島細胞を含有する。他の膵臓細胞型及び濃度も、富化後に収集可能である。例えば、ここに記載の培養方法は、使用される精製勾配に応じて、第2の界面、ペレット、又は他のフラクションから単離された細胞を用いて、使用することができる。
【0030】
一態様において、中間膵臓細胞培養体は、島に富む(上部)フラクションから作製される。しかしながら、さらに、典型的には、島、腺房、及び管細胞、又は管状樹木成分、腺房細胞、及びいくつかの捕捉された島細胞の混合細胞個体群を含有する、より異種性の第2の界面及び底層フラクションは、それぞれ、培養に使用することができる。双方の層は、ここに記載のDDR1ポジティブ個体群を生じさせることのできる細胞を含有しており、各層は、開示された方法を用いた使用に対し、特定の利点を有する。
【0031】
本発明の一態様において、細胞個体群は幹細胞の個体群である。本発明の他の態様において、細胞個体群は、膵臓内分泌系列に向かって分化した幹細胞の個体群である。
幹細胞は、単細胞レベルで、自己再生前駆体、非再生前駆体、及び末端で分化する細胞を含む子孫細胞を生成するために、自己再生し分化するといった、それらの能力により定められる未分化細胞である。また幹細胞は、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉及び外胚葉)から、種々の細胞系列の機能的細胞においてインビトロで分化する、並びに、移植後、複数の胚様組織を生じせしめ、胚胎盤への注射後、全てではないならば、ほとんどの組織に対してかなり寄与する能力により特徴付けられる。
【0032】
幹細胞は、それらの発育可能性により:(1)全ての胚及び胚外細胞型を生成可能であることを意味する全能性;(2)全ての胚細胞型を生成可能であることを意味する多能性;(3)全てではないが、特定の組織、器官、又は生理学的システムにおける細胞系列のサブセットを生成可能(例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己再生)、血液細胞制限少能性(oligopotent)前駆体、及び血液の通常の成分である全ての細胞型及び成分(例えば、血小板)を含む子孫を生成可能)であることを意味する多分化能性;(4)多分化能性幹細胞よりもさらに制限された細胞系列のサブセットを生成可能であることを意味する少能性;及び(5)単一の細胞系列(例えば、精子形成幹細胞)のみを生成可能であることを意味する単能性に分類される。
【0033】
幹細胞から膵臓細胞を得るためのプロトコルは、限定されるものではないが、D'Amour, K. Aら. (2006), Nat Biotechnol 24, 1392-401; Jiang, Jら. (2007), Stem Cells 25, 1940-53;及びKroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]により記載されたプロトコルに例証される。
体細胞、又はES様細胞等、多能性細胞への脱分化が誘発される体細胞から、膵臓細胞を得るためのプロトコルは、限定されるものではないが、Aoi, Tら. (2008), Science, 2008年2月14日, [Epub印刷準備中]; D'Amour, K. Aら. (2006), Nat Biotechnol 24, 1392-401; Jiang, Jら. (2007), Stem Cells 25, 1940-53; Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]; Takahashi, Kら. (2007), Cell 131, 861-72; Takahashi, K., 及びYamanaka, S. (2006), Cell 126, 663-76; 及びWernig, Mら. (2007), Nature 448, 318-24により記載されたプロトコルに例証される。
【0034】
分化とは、特定化していない(「非コミット」)、又はあまり特定化していない細胞が、特定化細胞、例えば神経細胞又は筋肉細胞の特徴を獲得するプロセスである。分化した又は分化誘発性細胞は、細胞の系列内のより特定化された(「コミットされた」)位置をとるものである。分化のプロセスに適用される場合、「コミットされる」なる用語は、正常な環境下で、特定の細胞型又は細胞型のサブセットに分化し続け、正常な環境下で、異なる細胞型への分化が不可能であるか、あまり分化していない細胞型への復帰が不可能な分化経路における点まで進行した細胞を意味する。脱分化とは、細胞が、細胞系列内であまり特定化されていない(又は、コミットされていない)位置に復帰するプロセスを称する。ここで使用される場合、細胞の系列は、細胞の遺伝、すなわち細胞がどこから来て、細胞が何を生成するのかを定める。細胞系列を、発育及び分化の遺伝概略図の細胞に配する。系列特異的マーカーは、関心ある細胞系列の表現型に特異的に関連した特徴を称し、関心ある系列の非コミット細胞の分化を評価するのに使用することができる。
【0035】
いくつかの態様において、ここで使用される場合、「分化する」又は「分化」とは、未熟な状態から、あまり未熟でない状態へと、細胞が発育していくプロセスを称する。他の態様において、ここで使用される場合、「分化する」又は「分化」とは、未分化の状態から分化した状態へ、又は未熟な状態から成熟した状態へと、細胞が発育していくプロセスを称する。一態様において、例えば未分化の膵臓細胞は増殖し、Pdx-1等の特徴的マーカーを発現可能である。いくつかの態様において、初期の未分化胚膵臓細胞は増殖し、Pdx1等の特徴的マーカーを発現可能である。一態様において、成熟又は分化した膵臓細胞は増殖せず、高レベルの膵臓内分泌ホルモンを分泌しない。いくつかの態様において、成熟又は分化した膵臓細胞は増殖せず、高レベルの膵臓内分泌ホルモン又は消化酵素を分泌しない。一態様において、例えば成熟したベータ細胞は、高レベルでインスリンを分泌する。いくつかの態様において、例えば成熟したベータ細胞は、グルコースに反応して、高レベルでインスリンを分泌する。細胞の相互作用及び成熟における変化は、細胞が未分化細胞のマーカーを失うか、又は分化した細胞のマーカーを獲得するために生じる。一態様において、単一のマーカーの損失又は獲得は、細胞が「成熟又は分化した」ことを示す。いくつかの態様において、単一のマーカーの損失又は獲得は、細胞が「成熟又は十分に分化した」ことを示す。「分化因子」なる用語は、インスリン生成ベータ細胞をも含む、成熟した内分泌細胞へのそれらの分化を高めるために、膵臓細胞に添加される化合物を称する。例示的な分化因子には、肝細胞増殖因子、ケラチノサイト増殖因子、エキセンディン-4、塩基性線維芽細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、神経成長因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、及びグルカゴン様ペプチド1が含まれる。本発明の一態様において、細胞分化は、一又は複数の分化因子を含有する培地において、細胞を培養することを含む。
【0036】
一態様において、膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーは、Ngn-3、NeuroD、島−1、Pdx1、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、MafB、Arx、Brn4、Pax-4、及びPax-6、Glut2、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド(PP)からなる群から選択される。いくつかの態様において、膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーは、Ngn-3、NeuroD、島-1、Pdx1、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、MafB、Arx、Brn4、Pax-4及びPax-6、Glut2、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド(PP)及びグレリンからなる群から選択される。一実施態様において、膵臓内分泌細胞は、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及びPPの少なくとも一を発現可能である。いくつかの実施態様において、膵臓内分泌細胞は、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、PP及びグレリンの少なくとも一を発現可能である。本発明での使用に適しているのは、膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーの少なくとも一を発現可能な細胞である。本発明の一態様において、膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーを発現する細胞は、膵臓内分泌細胞である。膵臓内分泌細胞は膵臓ホルモン発現細胞であってもよい。また、膵臓内分泌細胞は膵臓ホルモン分泌細胞であってもよい。
【0037】
本発明の一態様において、膵臓内分泌細胞はベータ細胞系列に特徴的なマーカーを発現する細胞である。ベータ細胞系列に特徴的なマーカーを発現する細胞は、Pdx1、及び次の転写因子:Ngn-3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、IsI-1、Hnf-3ベータ、MafA、Pax4、及びPax6の少なくとも一を発現する。本発明の一態様において、ベータ細胞系列に特徴的なマーカーを発現する細胞はベータ細胞である。本発明の一態様において、膵臓内分泌細胞は、マーカーNkx6.1を発現する細胞である。本発明の他の態様において、膵臓内分泌細胞はマーカーPdx1を発現する細胞である。本発明のさらなる態様において、膵臓内分泌細胞はマーカーNkx6.1及びPdx1を発現する細胞である。
【0038】
ここで使用される場合、「Pdx1」とは、膵臓発育に係るホメオドメイン転写因子を称する。一態様において、ここで使用される場合、「Pax-4」はベータ細胞に特異的な因子であり、ここで使用される場合、「Pax-6」は膵島細胞(に特異的な)転写因子であり;双方とも、島発育に関連している。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「Pax-4」はベータ細胞に特異的な因子であり、ここで使用される場合、「Pax-6」は膵島細胞に特異的な転写因子であり;双方とも、島発育に関連している。「Hnf-ベータ」は、転写因子の肝臓の核内因子に属し、高度に保存されたDNA結合ドメインと2つの短いカルボキシ末端ドメインにより特徴付けられる。また、「Hnf-3ベータ」は「FoxA2」としても公知である。ここで使用される場合、「NeuroD」は、神経発生に係る塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)転写因子である。ここで使用される場合、「Ngn-3」は、塩基ループ-ヘリックス-ループ転写因子のニューロゲンファミリーのメンバーである。ここで使用される場合、「Nkx-2.2」及び「Nkx-6.1」は、Nkx転写因子ファミリーのメンバーである。ここで使用される場合、「島-1」又は「IsI-1」は、転写因子のLIM/ホメオドメインファミリーのメンバーであり、発育している膵臓において発現する。ここで使用される場合、「MafA」は、膵臓で発現する転写因子であり、インスリンの生合成及び分泌に係る遺伝子の発現をコントロールする。
【0039】
Nkx6.1及びPdx1は、成人膵臓で見出される全ての細胞型(例えば、腺房、管、及び内分泌細胞)で発育可能な初期の膵臓多分化能性細胞において、Ptf1aと共に同時発現する。この細胞個体群において、Ngn3を一時的に発現する細胞個体群が見出された。細胞がNgn3を発現又は発現していると、それは、後にランゲルハンス島を形成する、内分泌細胞(一つのタイプはインスリン生成ベータ細胞である)を生成する、内分泌系列の一部である。Ngn3が存在しないと、膵臓発育中に、内分泌細胞は形成されない。発育進行時、Nkx6.1及びPdx1は、今はPtf1a発現を欠く、膵臓のさらに中央のドメインにおいて同時発現し、Nkx6.1及びPdx1ポジティブ細胞は、もはや腺房細胞を生成できない。このNkx6.1及びPdx1ポジティブ細胞個体群において、有意な数の細胞が、一過性にNgn3を同時発現し、発生の初期におけるように内分泌系列に対してそれらをマークする。
【0040】
DDR1
ここで使用される場合、「DDR1タンパク質」又は「Ddr1タンパク質」とは、DDR/TKT型タンパク質キナーゼ、ジスコイジンドメインレセプターファミリー、メンバー1を称する。ここで使用される場合、本用語は、全てが大文字で書かれている「DDR1」、又は最初の文字のみが大文字である「Ddr1」があってよく、ヒト及びマウスを含む任意の哺乳動物からの、ジスコイジンドメインレセプターファミリー、メンバー1を意味する。いくつかの態様においては、マウス又はラット等の哺乳動物からのDDR1が、本発明での使用を考慮される。いくつかの態様においては、ニワトリ等の脊椎動物からのDDR1が、本発明での使用を考慮される。DDR1はI型からIV型までを含む、色々なタイプのコラーゲンにより活性化される。DDR1タンパク質にコラーゲンが結合すると自己リン酸化し、チロシンキナーゼの活性化が遅延化するが、持続的になる。DDR1は細胞対細胞の相互作用、又は認識においても機能する。876、913及び919アミノ酸の異なるタンパク質アイソフォームに帰する、少なくとも3つのmRNA変異体が、ヒトにおいては報告されている。マウスには2つのアイソフォーム、それぞれ874及び911アミノ酸が報告されている。DDR1タンパク質は、ヒトの乳房、卵巣、食道、及び小児脳腫瘍で過剰発現することが示されている。タンパク質は細胞内レセプターチロシンキナーゼ活性を有し、種々のタイプのコラーゲンにより活性化される。その自己リン酸化は、今までテストされた全てのコラーゲン(I型からVI及びXI型)でなされている。
【0041】
いくつかの態様において、用語「DDR1タンパク質」は、70、例えば80、85、90、92、94パーセント同一のタンパク質を含む。いくつかの態様において、用語 DDR1タンパク質は、95、例えば96、97、98又は99パーセント同一のタンパク質を含む。パーセント同一性は、2つの配列を整列させ、整列した同一残基の数から異なる残基の数を引き、さらに長い配列の全残基数で割り、100を掛けることで決定される。
【0042】
ここで使用される場合、「ヒトDDR1タンパク質」は、位置30.99-31.01Mbの染色体c6_COX_、又は位置6p21.3の染色体6において、自然に生じる。ヒトDDR1タンパク質アイソフォームaは、GenPept受入番号NP_054699.2を有する。ヒトDDR1タンパク質アイソフォームbは、GenPept受入番号NP_001945.3を有する。ヒトDDR1タンパク質アイソフォームcは、GenPept受入番号NP_054700.2を有する。
【0043】
ここで使用される場合、「マウスDdr1タンパク質」は、位置35.29-35.31 Mb又は17C;17 21.5cMの染色体17において自然に生じる。マウスDDR1タンパク質アイソフォーム1は、GenPept受入番号NP_031610.2を有する。マウスDDR1タンパク質アイソフォーム2は、GenPept受入番号NP_766550.1を有する。
【0044】
用語「アイソフォーム」及び「アイソタイプ」は、ここでは交換可能に使用され、例えば単一のヌクレオチド多型を故に、形成された同じタンパク質の異なる形態を称し、ここで異なる形態のタンパク質は、関連遺伝子から生成されてもよいし、スプライシングにより同じ遺伝子から生じたものであってもよい。ここで使用される場合、用語「DDR1結合試薬」とは、DDR1タンパク質、又はDDR1タンパク質に共有結合する分子に特異的に結合する化合物、例えば抗体、その抗体フラグメント、分子から誘導された合成抗体、DDR1結合抗体(例えば、合成分子は、scFV、多重特異性抗体等であってよい)からのCDRを含むもの、レクチン、及びコラーゲンタイプ又はそのフラグメントを称する。
【0045】
一態様において、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である。一態様において、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に転写後結合する、天然の炭水化物に特異的に結合する抗体であり;実施例1に示すように、炭水化物は、DDR1アミノ酸配列の多くの特定部位に出現しやすいようである。他の態様において、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に結合する天然の炭水化物構造体に特異的に結合するレクチンである。他の対応において、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質のリガンドである。さらなる実施態様において、リガンドは、コラーゲンI-XI、トランスサイレチン、膜貫通4サブファミリー、メンバー1(TM4SF1)からなる群から選択される。他の態様において、DDR1結合試薬は、細胞膜の細胞外又は細胞内側において、DDR1と相互作用する、無毒の蛍光標識された分子である。「DDR1に結合するオリゴ糖」は、DDR1タンパク質に共有結合する多糖類分子である。好ましい実施態様において、オリゴ糖はアルギニン残基を介して結合している。用語「レクチン」は、特定の炭水化物分子を認識するタンパク質を称する。好ましい実施態様において、炭水化物は、DDR1タンパク質分子に結合するオリゴ糖の全て又は一部である。「リガンド」は、タンパク質により特異的に結合する分子である。また、本用語は、タンパク質に結合する分子、例えばタンパク質に特異的に結合する抗体も含む。いくつかの態様において、リガンドは、タンパク質に共有結合する分子、例えば炭水化物又はオリゴ糖に結合する。
【0046】
好ましい実施態様において、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である。また、用語「DDR1結合試薬」は、DDR1タンパク質により特異的に結合する化合物、例えばコラーゲン及びコラーゲンフラグメントを含む。本用語は、抗体及びそのフラグメント、並びにいくつかの種の成分からなるキメラ抗体、さらには完全に合成された抗体様分子、例えばscFV、及び抗体との結合特異性を有する他の合成分子を含む(自然に生じるCDR配列を含む結果として)。
DDR1結合試薬は、細胞表面マーカーとして、DDR1タンパク質を発現する細胞の同定又は選択に使用される。
【0047】
「細胞表面マーカーとしてDDR1を示す」細胞は、ここに記載のDDR1に特異的に結合する試薬、及び方法、例えばFACS、免疫細胞化学、免疫吸着、及びパニングを使用し、細胞個体群から細胞を選択又は取り出し可能な、細胞表面に十分な量のDDR1を示す細胞である。いくつかの態様において、本方法はMACSである。好ましい実施態様において、DDR1抗体は、「細胞表面マーカーとしてDDR1を示す」細胞を選択するのに使用される。
一態様において、DDR1結合試薬は、蛍光染料、例えばPE、cy2、cy3、cy5、又はAlexa488から選択されるもので標識される。他の態様において、DDR1結合試薬は、ハプテン、例えばDIG、ビオチン、エピトープ、例えばFLAG、HA、又はMycで標識される。
【0048】
同定方法
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。さらなる態様においては、DDR1結合試薬に結合する細胞、すなわちDDR1ポジティブ細胞の数/比率が測定されてよい。いくつかの態様において、本発明は、膵臓管/内分泌前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。いくつかの態様において、本発明は、初期の内分泌細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。
【0049】
いくつかの態様において、本発明は、a)細胞とDDR1結合試薬とを接触させ;b)細胞表面マーカーとしてDDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、膵臓細胞を含むDDR1ポジティブ細胞を定量する方法に関する。
【0050】
当業者であれば、DDR1タンパク質を検出するための多くの方法があることを認識しているであろう。例えば、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体を、DDR1の検出に使用することができる。DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体は、当業者に公知であり、例えば、R&D Systems、Research Diagnostics, Inc; Abcam;Ancell Immunology Research Products;eBioscience;アイオワ大学のハイブリドーマバンク;及びZymed Laboratories, Inc.、Abnova Corporation、-Affinity BioReagents BioLegend、GeneTex Lifespan Biosciences、MBL International Novus Biologicals、Proteintech Group, Inc、Santa Cruz Biotechnology, Incから商業的に入手可能である。DDR1の細胞外部分を認識する抗体は、細胞を選別するために、本発明で使用されてよい。いくつかの態様において、DDR1の細胞外部分の種々のエピトープを認識する種々の抗体は、単独で又は組合せて使用されてよい。細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインにおける、DDR1の任意の部分を認識可能な任意のDDR1結合試薬が、DDR1の発現をモニターするのに使用可能である。いくつかの態様において、当業者であれば、DDR1タンパク質の検出に関する上述した記載が、本発明のマーカーとして使用されると考えられる他の細胞外タンパク質にも適用されるであろうと、自覚している。
【0051】
多くの異なる蛍光分子、例えばフルオレセイン、cy2、cy3、cy5、PE、Alexa488、又はローダミンが、抗体とのコンジュゲートに利用される。当業者であれば、いくつかの例において、1以上の細胞外マーカーが、蛍光分子にコンジュゲートする種々の抗体を使用することにより検出可能であることを承知している。FACS分析は、関心ある1以上の胞外マーカーを同定する条件下で、実施することができる。
【0052】
「抗体」又は「抗体群」は、抗原に特異的に結合し、認識する、免疫グロブリン遺伝子又はそのフラグメントからのフレームワーク領域を有するポリペプチドを称する。抗体(免疫グロブリンとしても公知)は、脊椎動物の血液又は他の体液に見出され、細菌又はウイルス等の、外来体を同定し、中和する免疫システムに使用されるタンパク質である。全ての抗体の一般的構造はかなり類似しているが、タンパク質の先端の小さな領域は、極めて多様であり、わずかに異なる先端構造を有する数百万の抗体の存在が可能になる。この領域は高頻度可変領域として知られている。これらの各変異体は、抗原として公知の種々の標的に結合可能である。この非常に多様な抗体により、等しく多様な抗原を認識する免疫系が可能となる。抗体により認識される、抗原の唯一の部分は、エピトープと称される。これらのエピトープは、高度に特異的な相互作用において、それらの抗体と結合し、いわゆる固定が誘発され、抗体は、生物体を構成する数百万の種々の分子の中から、唯一特定の抗原を同定し、結合することができるようになる。
【0053】
培養された、又は単離された細胞における、タンパク質及び核酸マーカーの発現を評価する方法は、当該技術で標準的なものであり、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット法、及びインサイツハイブリダイゼーション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubelら編、補足)を参照)、及びイムノアッセイ、例えば切片物質の免疫組織化学分析、ウエスタンブロット法、、及び無傷抗体で使用しやすいマーカーについては、フローサイトメトリー分析(FACS)(例えば、Harlow及びLane, Using Antibodies : A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (1998)を参照)が含まれる。一態様において、核酸マーカーはmRNAである。また、内分泌細胞分化の、従来からの組織化学マーカーを使用してもよい。免疫組織化学により研究される細胞は、顕微鏡検査用のガラスチャンバースライドにおいて培養されてよい。また、従来からの組織培養で増殖した細胞は、培養体から手動で取り出され、切片化用にパラフィンに包埋されてよい。また、従来からの組織培養で増殖した細胞は、手動で、酵素的に、又は酵素を含有しない細胞解離バッファーを使用して、培養体から取り出され、切片化用にパラフィン又はTissueTechに包埋されるか、包埋の前に、媒体において再度インキュベートされてもよい。細胞分化マーカーは多様であり、従来からの免疫組織化学で検出することができる。一般的に適用されるプロトコルは以下の通りである。
【0054】
いくつかの態様において、チャンバースライド内の細胞を、PBSを用いて、非常に優しくすすぎ、4%のパラホルムアルデヒド溶液において、45分、固定する。ついで、細胞をPBSですすぎ、使用するまで、+5で保管する。使用する日、細胞を、等級付けされたシリーズのエタノール(70%から出発して、96%、ついで99%、ついで再度99%、ついで96%、最後に70%、各濃度で5分のインキュベートを使用)に浸透させ、ついで室温にて、TNB(Perkin ElmerからのTSA(チラミド(Tyramide)シグナル増幅)キット又は正常な血清を含有するブロックバッファーにおいてインキュベートする。一次抗体を適切な希釈度に調製し、細胞に添加し、保湿チャンバー内で、室温(RT)にて一晩(O/N)インキュベートする。一次抗体のインキュベートに続き、細胞をPBSですすぐ。適切な希釈度に調製された蛍光二次抗体を細胞に添加し、暗所でインキュベートする。細胞核を対比染色するために、二次抗体と共にDAPI染料をインキュベートしてもよい。ついで、細胞をすすぎ、過度の流体を除去し、スライドのチャンバー部分を取り除き、スライドにカバーガラスを載せる。スライドを乾燥させ、蛍光顕微鏡、例えば共焦点顕微鏡を使用する研究まで、暗所で保管する。いくつかの態様では、染色方法は、スライドのチャンバー部分を取り除いてから始められる。バッファーを用いて、細胞を非常に優しくすすぎ、パラホルムアルデヒド溶液において固定する。ついで、細胞を、室温にて、正常な血清を含有するブロック溶液においてインキュベートする。ブロック溶液において、非イオン性の洗浄剤を用い、細胞を浸透させる。一次抗体を適切な希釈度に調製し、細胞に添加し、インキュベートする。一次抗体のインキュベートに続き、細胞をバッファーですすぐ。適切な希釈度に調製された二次抗体を細胞に添加し、暗所でインキュベートする。インキュベートの後、細胞をすすぎ、Hoechst染料を使用して、核を対比染色する。過度の流体を除去し、スライドを搭載し、カバースライドで覆う。別法として、過度の流体を除去し、スライドを搭載し、カバーガラスで覆う。スライドを乾燥させ、暗所で保管する。
【0055】
また、HRP法を使用し、細胞を、免疫細胞化学用に調製することもできる。簡単には、細胞をパラフィンに包埋し、パラフィン切片とスライドを、37℃で一晩、乾燥させるものである。細胞を脱パラフィンし、過酸化水素水に浸漬し、内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害する。0.01のクエン酸バッファー(pH6.0)で15分、スライドをゆで、所定のエピトープを回復させる。スライドをバッファーですすぎ、保湿チャンバー内で、室温にて、正常な血清を使用してブロックする。
【0056】
いくつかの態様においては、一次抗体をサンプルに添加し、保湿チャンバー内でインキュベートする。スライドを洗浄し、ビオチン-二次抗体と共にインキュベートする。スライドをバッファーで再度すすぎ、アビジン-HRPと共にインキュベートする。スライドを再度すすぎ、TSA試薬と共にインキュベートし、一次抗体を可視化する。いくつかの態様において、TSAは、チラミドシグナル増幅の略語である。スライドを表示用に搭載する。
【0057】
また、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)法を使用し、細胞を、免疫細胞化学用に調製することもできる。二次抗体として、ビオチン結合したものを使用する。ついで、スライドをPBSですすぎ、アビジン-HRPと共にインキュベートする。スライドを再度すすぎ、TSA試薬と共にインキュベートし、一次抗体を可視化する。蛍光顕微鏡、例えば共焦点顕微鏡を使用し、スライドを視覚的研究用に搭載する。いくつかの態様において、展開を、色素原試薬、例えばAECを使用して実施してもよい。いくつかの態様において、展開を、従来からの光学顕微鏡により可視化してもよい。
【0058】
組織切片におけるタンパク質を同定するために、組織を4%のPFA(パラホルムアルデヒド)O/Nで固定し、ついて30%のスクロースO/Nで凍結保護し、TissueTechに包埋する。ついで、切片を凍結状態で切断し、PBS(リン酸緩衝食塩水)ですすぎ、0.01Mのクエン酸バッファー(pH6.0)において15分、マイクロ波処理し、エピトープを回復させる。ついで、このような切片は、上述した方法のいずれかを使用して染色可能であるが、等級付けされたエタノール処理は除く。HRPベースアッセイを使用するケースにおいては、過酸化水素水を使用し、内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害する。いくつかの態様においては、ついで、例えばパラフィン切片を使用する場合は、切片をミクロトームで切断する。
【0059】
分析用FACS選別を、生存している細胞、又はリリー固定液(Lillys fixative)において45分、固定化された細胞において実施する。上清を除去するために、10mlのv-チューブにおいて、室温で5分、1300rpmにより、細胞をペレット化する。ついで、この細胞を、0.1%のBSAを含有するPBSにおいて洗浄する。固定された細胞用:細胞を、二次抗体が生じた動物から、10%血清(最終濃度)に達するまで、血清を添加することにより細胞をブロックし、1時間ブロックしておく。ついで、細胞をペレット状にし、上清を除去する。一次抗体の溶液を添加し、室温、O/Nでインキュベートする。次の日、細胞を10mlのv-チューブにおいて2x5分洗浄する。二次抗体を添加し、室温で1時間インキュベートする。細胞を、10mlのv-チューブにおいて、0.1%のBSAを含有するPBSにて、2x5分洗浄する。最後に、細胞をFACSでアッセイする。生存細胞:一次抗体の溶液を添加し、4℃で1時間インキュベートする。細胞を10mlのv-チューブにおいて2x5分洗浄する。二次抗体を添加し、4℃で30分インキュベートする。細胞を、10mlのv-チューブにおいて、0.1%のBSAと共にPBSにて、2x5分洗浄する。最後に、細胞をFACSでアッセイする。
【0060】
管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞の同定は、細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。特定の実施態様において、内分泌前駆体細胞の同定は、細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。他の特定の実施態様において、内分泌前駆体細胞の同定は、細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。この分析は、蛍光標識細胞分取(FACS)、免疫組織化学(IHC)、ウエスタンブロット法、PCR、又はELISA等の方法を使用して実施されてよい。
【0061】
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される、単離された細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。さらなる態様において、単離された細胞は内分泌前駆体細胞である。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。
【0062】
いくつかの態様において、本発明は、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するための、DDR1結合試薬の使用に関する。いくつかの態様において、本発明は、膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質の使用に関する。さらなる態様において、一又は複数のさらなる細胞表面マーカーは、膵臓内分泌細胞の培養体を得るために、同時に又は逐次使用される。さらなる態様において、さらなる細胞表面マーカーは、プロミニン(prominin)1(CD133としても公知)、及びCD49fからなる群から選択される。
【0063】
分離方法
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、培養体を得る方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。
【0064】
いくつかの態様において、分離工程は、蛍光標識細胞分取(FACS)によりなされる。他の態様において、分離工程は、パニングによりなされる。いくつかの態様において、分離工程は、磁気活性化細胞分取(MACS)によりなされる。
【0065】
DDR1に特異的に結合する蛍光標識された分子、最も一般的には、抗体は、蛍光標識細胞分取(FACS)と併せて、DDR1ポジティブ細胞を選択するのに使用される。簡単には、一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、蛍光標識された抗体と共にインキュベートされ、抗体結合後に、細胞がFACSにより分析される。細胞選別機は、液体に懸濁した単細胞を、蛍光光度計に通過させる。蛍光量を測定し、対照となる未標識の細胞よりも検出的に高い蛍光レベルを有する細胞を、ポジティブ細胞として選択する。
【0066】
また、FACSは、蛍光を測定することに基づき、細胞個体群を物理的に分離するために使用することもできる。流れる細胞は、その強度及び方向が蛍光シグナルの測定される強度に応じて変化する電磁場により偏向する。標識されたDDR1ポジティブ細胞は分離容器において偏向可能で、よって未標識のDDR1ネガティブ細胞から分離される。
【0067】
膵臓細胞を含む細胞個体群が膵臓から単離される態様において、細胞は、まず一又は複数の継代用に培養され、DDR1特異的抗体で標識される。ついで、細胞はFACSを使用してスキャニングされ、DDR1ネガティブ細胞から、DDR1ポジティブ細胞が分離される。この例では、標識された抗体を用いたFACS分析を論議しているが、DDR1に特異的に結合する他の分子、例えばレクチン及びコラーゲン、及び他のDDR1結合パートナー、例えば上述にて列挙したものを、本発明の実施に使用することができる。
【0068】
他の態様において、DDR1ネガティブ細胞から、DDR1ポジティブ細胞を分離する方法は、固体状支持体に、DDR1ポジティブ細胞を親和吸着させることによりなされる。
また、DDR1ポジティブ細胞は、固体状支持体に結合し、DDR1に特異的に結合する分子を使用することにより、DDR1ネガティブ細胞から分離することができる。当業者であれば、DDR1特異的抗体が、抗体結合分子、例えばプロテインG又はプロテインAを介して、固体状支持体に結合可能であり、又は固体状支持体に直接コンジュゲート可能であることを認識しているであろう。DDR1抗体が結合した固体状支持体は、例えばStem Cell Technologiesから、磁気ビーズであるStemSep及びEasySepTMを、商業的に入手可能である。分離工程は、磁気活性化細胞分取(MACS)を使用して、実施されてよい。
【0069】
さらに、DDR1ポジティブ細胞は、パニング技術を介して、DDR1ネガティブ細胞から分離することもできる。パニングは、DDR1結合試薬で固体状支持体を被覆し、適切な条件下、適切な時間、表面で膵臓細胞をインキュベートすることによりなされる。平坦面、例えば培養皿は、DDR1結合試薬で被覆される。
膵臓細胞は表面に添加され、DDR1結合試薬との結合が可能になる。
ついで、培養皿が洗浄され、皿からDDR1ネガティブ細胞が除去される。好ましい実施態様において、DDR1特異的抗体は、膵臓細胞個体群において、DDR1ポジティブ細胞用の培養皿及び「パン」を被覆するために使用される。
【0070】
一態様において、細胞は、Ptprn/IA2-ポジティブ及びPtprn-ネガティブ細胞に細胞を分離することにより、DDR1による選択の前後に精製されてもよい。他の態様において、細胞は、Abcc8/Sur1-ポジティブ及びAbcc8/Sur1-ネガティブ細胞に分離されてもよい。他の態様において、細胞は、(Glut2又はGlut1)-ポジティブ及び(Glut2又はGlut1)-ネガティブ細胞に分離されてもよい。他の態様において、細胞は、Slc30a8/ZnT-8-ポジティブ及びSlc30a8/ZnT-8-ネガティブ細胞に分離されてもよい。
【0071】
それで、本発明は、膵臓細胞を含む細胞個体群が、Ptprn-ポジティブフラクション及び/又はAbcc8-ポジティブフラクション及び/又はGlut-2/1-ポジティブフラクション及び/又はSlc30a8-ポジティブフラクションである実施態様を含む。また、本発明の方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体は、さらにPtprn-ポジティブ/ネガティブフラクション及び/又はAbcb9-ポジティブ/ネガティブフラクション及び/又はGlut-2/1-ポジティブ/ネガティブフラクション及び/又はSlc30a8-ポジティブ/ネガティブフラクションに分離されてもよい。
当業者であれば、DDR1についてはっきりと提示されてはいるが、分離方法に関して上述した部分の詳細は、他の細胞外タンパク質に適用されてもよいことは理解しているであろう。こような細胞外タンパク質には、DDR1、プロミニン1(CD33としても公知)、及びCD49fからなる群から選択されるタンパク質が含まれる。
【0072】
ベータ細胞への胚性幹(ES)細胞の分化中、他の細胞型、例えば神経細胞、及び非膵臓内胚葉が生成されることが予期される。ES細胞は、アクチビンAにより内胚葉細胞、ついで膵臓細胞に分化可能である。膵臓の運命が獲得されたならば、望ましい細胞を単離することができる。ついで、場合によっては一又は複数の付加的なマーカーと組合せて、DDR1は、細胞の所望するサブセットを単離するためのマーカーとして使用することができる。また、DDR1結合試薬は、膵臓細胞以外の他の内胚葉細胞にも結合する。DDR1結合試薬は、膵臓細胞に加えて、食道から前胃、及び小腸の内分泌細胞に結合するであろう。DDR1結合試薬は、分化した神経細胞には結合しない。
【0073】
同定、富化、及び/又は選択のための種々の方法が、例えば以下の実施例のように利用できる:膵臓内胚葉を含む確定的内胚葉への分化が誘導されたES細胞に、DDR1+細胞を単離するためのマーカーとしてのDDR1を使用することができる。この工程により、管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び/又は膵臓の初期の内分泌前駆体細胞と命名される細胞のES-誘導プールの直接単離ができるようになる。さらに、このような細胞のインビトロで媒介される分化において、例えばマーカーとしての、Ptprn/IA2-、Abcc8/Sur1-、又はSlc30a8/ZnT-8-ポジティブ細胞の二次的使用を、初期及び十分に分化した内分泌細胞を単離させるのに使用することができる。
【0074】
本発明のいくつかの態様において、場合によっては、及び/又は付加的なマーカーと組合せて、マーカーとしてDDR1を使用することで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞を、低比率、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満の他の細胞型と共に含む、又は他の細胞型、例えば、膵臓細胞以外の内胚葉細胞を含まない細胞個体群が提供される。
【0075】
一実施態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの実施態様においては、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの実施態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌前駆体細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの実施態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌前駆体細胞を含有する組成物が、生成されてよい。本発明のいくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞及び十分に分化した内分泌細胞と比べて、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。本発明のいくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓管/内分泌前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。本発明のいくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。本発明のいくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓の初期の内分泌細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。
【0076】
いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の管/内分泌前駆体細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌前駆体細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の初期の内分泌細胞からなる方法に関する。
【0077】
いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の管/内分泌前駆体細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌前駆体細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の初期の内分泌細胞からなる方法に関する。
【0078】
いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の管/内分泌前駆体細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌前駆体細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉又は神経由来の細胞を含む場合、DDR1結合試薬が、一又は複数の付加的な結合試薬と組合せて、同時に又は逐次使用され、ここで出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含む方法に関する。本発明のいくつかの実施態様において、付加的な結合試薬は、プロミニン1(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法により得られた、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される、単離された細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法により得られた、単離された管/内分泌前駆体細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離された初期の内分泌細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞に関する。
【0080】
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群からの一又は複数の細胞から選択される、単離された細胞を含有する組成物に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞を含有する組成物に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞を含有する組成物に関する。
【0081】
細胞分化マーカー
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含有する細胞培養体を得る方法に関し、該方法は:ここに記載の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞を含有する培養体を得る方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含有する培養体を得る方法に関し、該方法は:ここに記載の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
【0082】
膵臓細胞個体群を同定するのに使用可能な、多くの細胞マーカーが存在する。単離され、培養されたドナーー細胞は、分化した膵臓細胞の種々の表現型及び遺伝子型の兆候を示し始める。表現型及び遺伝子型の兆候の例には、調節された(例えば、アップレギュレーション又はダウンレギュレーション)通性前駆体細胞個体群に存在する、種々の分子マーカーが含まれる。これらの分子マーカーには、膵臓の通性幹細胞のマーカーであると仮定されている、CK-19又はPdx1/Nkx6.1/Ptf1aトリプルポジティブ細胞が含まれる。
【0083】
典型的には、哺乳動物幹細胞は、多くの発育段階を介して進行し、最終的な発育終点になるまで成熟する。多くの場合、発育段階は、発育している細胞に存在していない又は存在しているマーカーを同定することにより決定することができる。ヒト内分泌細胞は同様の方式で発育するため、細胞用表現型から偽性島表現型へとそれらが移行する場合の細胞を同定するために、種々のマーカーを使用することができる。
【0084】
本発明の方法により増殖又は分化が誘発された細胞におけるマーカー発現は、正常なヒトの膵臓の発育におけるマーカー発現のシーケンスと、ある程度の類似性を有している。発育のかなりの初期、始原上皮細胞は、ホメオドメイン核内因子である、Pdx-1、初期の細胞マーカーを発現する。細胞が発育すると、それらは出芽し、管を形成し始める。これらの細胞はサイトケラチン19、上皮管細胞のマーカーを発現し、一時的には、発育的に内分泌細胞に至るPdx-1を発現する。これらの細胞は内分泌細胞に向かって発育し続けており、それらは、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、又は膵臓ポリペプチドを発現する能力を獲得する。最終的に分化した細胞は一つのみを発現でき、アルファ細胞(グルカゴン)、ベータ細胞(インスリン)、デルタ細胞(ソマトスタチン)、及びPP-細胞となる。ここで使用されたDDR1ポジティブ細胞個体群は、発育の十分に分化した段階未満であり、成熟した内分泌細胞に分化する可能性、及び増殖する能力を保持していると信じられている。細胞が、発育経路における前駆体の実例であるか、単にインビトロマニピュレーションの結果であるかにかかわらず、DDR1ポジティブ細胞は、増殖し、また最終的には内分泌ホルモンを発現し、又は膵臓の初期の内分泌細胞からさらに成熟した内分泌細胞型へと成熟し、よって任意のタイプの島細胞における欠点を矯正するために使用される可能性を有していると信じられている。
【0085】
ここで使用されるDDR1ポジティブ細胞個体群は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞の主要なカテゴリーに分割可能であると、信じられている。
DDR1の細胞外発現は、膵臓の種々のドメインで変化し、膵臓内分泌細胞の発育段階中に変化する可能性がある。図3の略図を参照。
【0086】
DDR1は、膵臓内胚葉のいくつかの細胞で発現する。DDR1は多分化能性Pdx1+/Nkx6.1+/Ptf1a+膵臓前駆体細胞では発現しない。DDR1は外分泌系列では発現しない。DDR1は管/内分泌前駆体細胞で発現することは明らかである。よって、DDR1は、管/内分泌前駆体細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。DDR1は内分泌前駆体細胞で発現する。よって、DDR1は、内分泌前駆体細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。DDR1は、内分泌前駆体細胞において、高、中又は低レベルで発現する可能性がある。よって、DDR1は、内分泌前駆体細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。DDR1は、初期の内分泌細胞において、高、中又は低レベルで発現する可能性がある。よって、DDR1は、初期の内分泌細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。従って、DDR1は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞を、同定、富化及び/又は単離するのに使用されてよい。特に、多くのタンパク質、例えばPtprn/IA2、Abcc8/Sur1、及びSlc30a8/ZnT-8は、初期の内分泌細胞及び/又は十分に分化した内分泌細胞の同定、富化及び/又は単離に使用可能であるが、DDR1のみが、内分泌前駆体細胞の同定、富化及び/又は単離に使用され得る。
【0087】
DDR1ポジティブ細胞は、また最終的には内分泌ホルモンを発現し、又は膵臓の初期の内分泌細胞からさらに成熟した内分泌細胞型へと成熟し、よって任意のタイプの島細胞における欠点を矯正するために使用される可能性を有している細胞に分化可能な、発育経路における前駆体の具体例であると信じられている。
さらに、DDR1ポジティブ細胞個体群は、発育の十分に分化した段階未満であり、十分に分化した内分泌細胞に分化する可能性、及び増殖する能力を保持していると信じられている。DDR1ポジティブ細胞は、増殖し、また最終的には内分泌ホルモンを発現し、又は膵臓の初期の内分泌細胞からさらに成熟した内分泌細胞型へと成熟し、よって任意のタイプの島細胞における欠点を矯正するために使用される可能性を有している細胞に分化可能な、発育経路における前駆体の具体例であると信じられている。
【0088】
関心あるマーカーは、膵臓において、時間-及び組織-特異的パターンで発現する分子である(Hollingsworth, Ann N Y Acad Sci 880: 38-49 (1999)を参照)。これらの分子マーカーは、一般的に3つのカテゴリー:転写因子、ノッチ経路マーカー、及び中間径フィラメントマーカーに分けられる。転写因子マーカーの例には、Pdx-1、NeuroD、Nkx-6.1、Isl-1、Pax-6、Pax-4、Ngn-3、及びHES-1が含まれる。
【0089】
ノッチ経路マーカーの例には、Notch1、Notch2、Notch3、Notch4、Jagged1、Jagged2、Dll1、及びRBPjkが含まれる。中間径フィラメントマーカーの例には、CK19及びネスチンが含まれる。膵臓ベータ細胞の前駆体のマーカーの例には、Pdx-1、Pax-4、Ngn-3、及びHb9が含まれる。いくつかの態様において、成熟した膵臓fl細胞のマーカーの例には、インスリン、ソマトスタチン、glp-9、及びグルカゴンが含まれる。いくつかの態様において、成熟した膵臓ベータ細胞のマーカーの例には、インスリン、Ptprn/IA2、Abcc8/Sur1、及びSlc30a8/ZnT-8が含まれる。
【0090】
インスリンmRNA発現
膵臓細胞の同一性、分化又は成熟度の特徴付けに使用され得る一つのマーカーは、インスリンmRNAのレベルである。例えば、本発明の中間細胞個体群は、定められた範囲でインスリンmRNA発現を示す。インスリンmRNAを定量する方法には、ノーザンブロット法、ヌクレアーゼプロテクション、及びプライマー伸長法が含まれる。
【0091】
一実施態様において、RNAを、培養された細胞の個体群から抽出し、プロインスリンメッセージの量を、定量的逆転写PCRにより測定する。逆転写の後、インスリンcDNAを、インスリンcDNA配列にハイブリダイゼーションしたプライマーを使用し、増幅した生成物の量が、サンプル中に存在するmRNAの量に関連する増幅条件下で、サンプルから、特異的かつ定量的に増幅させる(例えば、 Zhouら, J Biol Chem 272: 25648-51 (1997)を参照)。動力学的定量手順は、出発mRNAレベルを正確に測定可能であるため、好ましい。
【0092】
インスリンmRNAの量を、構造的に発現したmRNA、例えばアクチンに対して、頻繁に正常化し、アクチンに特異的なプライマーを使用し、同様のRNAサンプルから特異的に増幅させる。よって、インスリンmRNAの発現レベルは、アクチンmRNA増幅生成物に対する、インスリンmRNA増幅生成物の比率、又は単純に、インスリン:アクチンのmRNA比率として報告される。他の膵臓ホルモン(例えば、ソマトスタチン又はグルカゴン)をコードするmRNAの発現は、同様の方法で定量される。また、インスリン及びアクチンのmRNAレベルは、インサイツハイブリダイゼーションにより測定され、ついでインスリン:アクチンのmRNA比率の測定に使用することができる。インサイツハイブリダイゼーション法は、当業者に公知である。
【0093】
増殖方法
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、数を増加させる方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞の数を増加させる方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
【0094】
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。さらなる他の態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。さらなる他の態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。さらなる他の態様において、本発明は、初期の内分泌細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、初期の内分泌細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
【0095】
胎児/成人組織から誘導された膵臓細胞及び幹細胞を増殖させるプロトコルは、限定されるものではないが、Heimberg, Hら. (2000), Diabetes 49, 571-9; Heremans, Yら. (2002), J Cell Biol 159, 303-12; Miralles, Fら. (1998), Development 125, 1017-24; 及びMiralles, Fら. (1999), Dev Dyn 214, 116-26に記載のプロトコルにより例証される。
【0096】
機能アッセイ
ベータ細胞の重要な機能の一つは、グルコースレベルに応じて、そのインスリン分泌を調製することである。典型的には、静的グルコース刺激(SGS)アッセイは、種々のグルコースレベルに応じてインスリンを分泌可能であるかどうかを同定するために、増殖する粘着性膵臓細胞において実施される。細胞は、ほぼコンフルエントになるまで、適切な基質において培養される。SGSテストの3日前、培養培地を、インスリンを欠き、及び、1g/Lのグルコースのみを含有する以外は同様の特性の培地に置き換える。3日間、毎日培地を交換し、4日目にSGSテストを実施する。
【0097】
テストの前に、培養培地を、グルコース及びインスリン分析用に収集しておいてもよい。テスト用の細胞を調製するために、ダルベッコのリン酸緩衝食塩水(DPBS)+0.5%BSAで、細胞を2回洗浄し、各洗浄と共に、5分インキュベートし、ついで、DPBS単独で1回、さらに5分インキュベートする。洗浄後、37℃のインキュベーターにおいて30分、60mg/dlのグルコース(KRB-60)を含有する、10ml(100mmの皿において)又は5ml(60mmの皿において)のクレブスリンゲルSGS液と共にインキュベートする。ついで、このインキュベートを繰り返す。
【0098】
SGSアッセイを予め作製しておくために、細胞を、3ml(100mmの皿)又は4ml(T75フラスコ)又は2ml(60mmの皿dish)のKRB-60において、37℃で20分インキュベートする。培地を吸引してスパンさせ、LG-1(低グルコース刺激工程)としてインスリンアッセイ用に収集する。ついで、KRB-450+テオ(450mg/dlのグルコースと10mMのスレオフィリンを含有するKRB)を、上述した同じ容量で添加し、上述した同様の条件下で細胞を培養する。HG(高グルコース刺激)として、インスリンアッセイ用に上清を収集する。ついで、細胞を、KRB-60と共に、再度インキュベートし、LG-2として、別の時間にはLG-3として培地を収集する。インスリン分析用に培地を収集し、インスリン含有量がラジオイムノアッセイ(RIA)又は他の適切なアッセイにより測定されるまで、−20℃で保管する。
【0099】
SGSテストの結果は、多くの場合、HGインスリン値をLG-1インスリン値で割ったものと定義される、刺激指標として表される。一般的に、約2以上の刺激指標は、SGSアッセイにおいてポジティブの結果であるとみなされ、他の値(例えば、1.5、2.5、3.0、3.5等)は、特定の細胞個体群を定めるために使用され得る。
【0100】
治療方法
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法に関し、ここで細胞は上述した任意の方法により得られたものであり、該方法は、哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む。
いくつかの態様において、膵臓ホルモンの量は、移植後の日より早くには測定されない。いくつかの態様において、分化した膵臓細胞を使用して移植を実施した場合、ベータ細胞機能、例えば膵臓ホルモン及び血糖値の測定は、移植直後、例えば移植後12時間経過前、24時間経過前、又は36時間経過前に実施すべきである。
いくつかの態様において、膵臓ホルモンの量は、インビボ成熟の後、例えば移植後少なくとも1、2、3又は4週間に測定される。いくつかの態様において、未熟な膵臓細胞を含む膵臓細胞を使用する移植を実施した場合は、ベータ細胞機能の測定、例えば膵臓ホルモン及び血糖値のこのような測定は、移植後少なくとも2週間、例えば4週間、少なくとも6週間、又は少なくとも8週間に実施すべきである。当業者であれば、DDR1選択細胞又はさらに培養され分化した細胞が、インプラント用の再生可能な資源であり、哺乳動物における膵臓機能を回復させると認識しているであろう。
【0101】
DDR1ポジティブ膵臓細胞は、哺乳動物において、まずインプラント前に分化する。また、DDR1選択細胞は前駆体状態でインプラントされ、体内で分化可能である。使用者が望むのであれば、DDR1細胞は、インプラント前にカプセル化することができる。
哺乳動物において、インプラント前のDDR1ポジティブ膵臓細胞の分化は、グルコース反応性インスリン生成ベータ細胞を含む、十分に分化した内分泌細胞、すなわち単離されたランゲルハンス島のベータ細胞と同等のものからなる群から選択される分化の状態のものであってよい。いわゆるエドモントンプロトコルを使用する単離されたランゲルハンス島のインプラント例は、Shapiro AM (2000), N Engl J Med.; 343(4):230-8に見出すことができる。
【0102】
DDR1により選択される細胞は、前駆体状態、すなわち未熟な細胞、例えば膵臓管/内分泌前駆体細胞、膵臓前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択され、体内で分化可能な細胞を含む細胞個体群でインプラントされてもよい。一実施態様において、DDR1により選択される細胞は、膵臓前駆体細胞の前駆体状態でインプラントされてもよい。いくつかの実施態様において、DDR1により選択される細胞は、膵臓前駆体細胞の前駆体状態でインプラントされてもよい。従って、DDR1ポジティブ細胞は、移植に直接使用されてもよい。この状況において、インビボ環境により、DDR1+細胞の治療用ベータ細胞への分化が引き起こされると予測される。移植用に未熟な膵臓細胞を使用する例は、Kroon E ら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日 [Epub印刷準備中]に記載されている。
【0103】
DDR1ポジティブ細胞のカプセル化により、カプセル中に、細胞凝集体が形成される結果となる。カプセル化により、1型糖尿病の宿主に膵臓細胞を移植することが可能となり、同時に、宿主動物の免疫反応を最小にすることができる。カプセル化膜の空隙率により、インスリンのような生体材料の、カプセルからの分泌が可能となり、同時に、外来細胞に対する宿主の免疫系へのアクセスが制限される。
カプセル化の方法は当該技術で公知であり、以下の参照:van Schelfgaarde & de Vos, J. Mol. Med. 77: 199-205 (1999), Uludagら. Adv. DrugDel Rev. 42: 29-64 (2000)、及び米国特許第5762959号、同5550178号、及び同5578314号に開示されている。
カプセル化の方法は、参照としてここに導入される、出願PCT/US02/41616に詳細に記載されている。
【0104】
哺乳動物へのインプラント又は移植、ついで、内分泌機能のモニタリングは、島移植に一般的に使用される方法に従い実施されてよい;例えば、Ryanら, Diabetes, 50: 710-19(2001); Peckら, Ann Med 33: 186-92 (2001); Shapiroら, NEngl JMed 343 (4): 230-8(2000); Carlssonら, Ups J Med Sci 105 (2): 107-23 (2000)及びKuhtreiber, WM, Cell Encapsulation Technology and Therapeutics, Birkhauser, Boston, 1999を参照。インプラントの好ましい部位には、腹膜腔、肝臓、及び腎臓カプセルが含まれる。いくつかの態様において、当業者であれば、意図する受容者用のマイクロカプセルの適切な用量を決定することができるであろう。いくつかの態様において、当業者であれば、意図する受容者用の、十分に分化したベータ細胞又はマイクロカプセルの適切な用量を決定することができるであろう。用量は、受容者が必要とするインスリンに依存する。マイクロカプセルにより分泌されるインスリンレベルは、免疫学的に、又は生物活性量により決定することができる。用量を決定する場合、受容者の体重を考慮に入れることができる。カプセル化された細胞に対する受容者の反応をモニターしている場合、必要であるならば、1以上のインプラントを実施することもできる。よって、カプセル化された細胞の用量に対する指針として、インプラントに対する反応性を使用することができる(Ryanら, Diabetes 50: 710-19 (2001))C。
【0105】
受容者に移植された膵臓細胞の機能は、グルコースに対する受容者の反応をモニターすることにより測定することができる。膵臓細胞のインプラントにより、血糖値をコントロールすることができる。さらに、膵臓内分泌ホルモン、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、及びソマトスタチンのレベルが増加したという証拠により、移植細胞の機能に示すことができる。
受容者における、カプセル化された細胞の機能は、グルコースに対する受容者の反応をモニターすることにより測定することができる。カプセル化された細胞のインプラントにより、血糖値をコントロールすることができる。さらに、膵臓内分泌ホルモン、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、及びソマトスタチンのレベルが増加したという証拠により、カプセル化された細胞の機能を示すことができる。
【0106】
当業者であれば、血糖のコントロールは、種々の方法でモニター可能であると、認識しているであろう。例えば、血糖は、体重とインスリン必要量から、直接測定することができる。経口グルコース負荷試験を付与することもできる。腎臓機能は、他の代謝パラメーターから測定することもできる(Soon-Shiong, Pら, PNAS USA 90: 5843-5847 (1993); Soon-Shiong, Pら, La71cet 343: 950-951 (1994))。
【0107】
ここで使用される場合、用語「インスリン生成内分泌膵臓細胞」は、インスリンを生成し、血糖依存方式でインスリンを分泌する細胞を称する。
他の実施態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、(この発明の)培養源から単離される。ついで、単離された細胞は、例えば、さらなる培養に使用されるか、又は米国特許第5762959号のマイクロカプセル化法に従いマイクロカプセル化される。
【0108】
用語「このような機能を必要とする哺乳動物に膵臓機能を付与する」とは、それ自身、このようなホルモンを生成できない哺乳動物の体内で、膵臓ホルモンを生成する方法を称する。一実施態様において、膵臓ホルモンは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、インスリンは糖尿病の哺乳動物の体内で生成される。膵臓機能は、この開示の方法により生成された、インスリンを生成する膵臓細胞を、哺乳動物にインプラント又は移植することにより提供される。インプラントされた凝集体の数は、哺乳動物に、測定可能な量のインスリンを生成するのに十分な量とされる。インスリンは、ウエスタンブロット法、又はインスリン機能、例えば血糖値の維持度合いのアッセイを含む、当業者に公知の他の検出方法により測定可能である。また、インスリンは、Elisaアッセイ又はラジオイムノアッセイにより測定可能である。
【0109】
またインスリンは、血中のC-ペプチドを検出することにより測定することができる。インスリンは、等モル量のC-ペプチドと同時分泌され、よって、インスリン分泌活性は、血中のC-ペプチドを検出することにより測定することができる。他の好ましい実施態様において、膵臓機能の提供は、体外で生成されるインスリンへの、哺乳動物の依存性を低減又は除去するのに十分である。
【0110】
「カプセル化」とは、細胞が、生体融合性のある無細胞物質、例えばアルギン酸ナトリウム及びポリリジンで取り囲まれるプロセスを称する。好ましくは、糖類及び小分子量のタンパク質のような小分子が、カプセル化された細胞周囲の環境から取り込まれるか、又はそこに分泌可能である。同時に、より大きな分子によりカプセル化された細胞、及び免疫細胞へのアクセスは制限される。
「インプラント」は、受容者に細胞をグラフトする又は配置することである。それには、カプセル化した細胞又は非カプセル化が含まれる。細胞は、当該技術で公知の方法により、皮下、筋肉内、門脈内、又は腹腔内に配することができる。
【0111】
一態様において、分離工程は蛍光標識細胞分取により実施される。他の態様において、分離工程はパニングにより実施される。他の態様において、分離工程は流動床により実施される。
【0112】
また本発明は、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するための、DDR1結合剤の使用に関する。いくつかの態様において、本発明は、DDR1結合試薬として、分析の同じ工程(類)にかけられる、一又は複数の付加的な結合試薬と組合せて、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するための、DDR1結合試薬の同時又は逐次使用に関する。本発明の特定の態様において、付加的な結合試薬は、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される。また本発明は、膵臓内分泌前駆体細胞、又は膵臓ホルモン分泌細胞、又は初期の内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用に関する。いくつかの態様において、本発明は、一又は複数の付加的な結合試薬と組合せて、膵臓内分泌前駆体細胞、又は膵臓ホルモン分泌細胞、又は初期の内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質の同時又は逐次使用に関する。いくつかの実施態様において、付加的な結合試薬は、DDR1結合試薬として、分析の同じ工程(類)にかけられてもよい。本発明の特定の態様において、付加的な結合試薬は、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される。本発明の他の態様において、付加的な結合試薬は、初期の、及び十分に分化した内分泌細胞を単離するのに使用可能な、Ptprn/IA2、Abcc8/Sur1、及びSlc30a8/ZnT-8結合試薬からなる群から選択される。
【0113】
また本発明は、このような機能を必要とする哺乳動物に、膵臓機能を提供することによる、1型糖尿病を処置する方法に関する。
一実施態様において、膵臓内分泌細胞を含有し、他の細胞型を実質的に含有しない組成物が生成され得る。本発明の一態様において、細胞培養体又は細胞個体群に対して、表現「実質的に含有しない」とは、細胞培養体又細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。
【0114】
インビトロプロトコルの最適化
本発明のいくつかの態様において、膵臓細胞を含むインビトロ培養体は、DDR1の発現について、定期的にモニターされる。本発明のいくつかの態様において、一又は複数の付加的なマーカーが、同時又は逐次的に、DDR1と組合せて使用されてよい。いくつかの態様において、付加的なマーカーは、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49fからなる群から選択される。DDR1の発現には、内分泌細胞になることに関連しているが、Ngn3タンパク質の発現の前、中又は後の発育段階にある細胞を含む。
胚性幹細胞の分化の最適化について、十分に分化した内分泌細胞に向かった膵臓細胞の発育の種々の段階を同定するマーカーを有することが、非常に重要である。DDR1は、今までは、他のマーカーを使用して検出可能でなかった、細胞分化の重要かつ特定の段階を特定するために、単独で、又は組合せて使用されてよい。DDR1は、一又は複数の付加的なマーカーと組合せて使用されてよい。
DDR1を発現する細胞は、上述した方法、例えばFACS又はMACSを使用し、同定、富化、及び/又は単離することができる。
DDR1+細胞を単離することで、例えばES細胞-誘導性の限定的内胚葉細胞個体群から、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞及び/又は内分泌前駆体細胞の純粋な培養体の生成に、かなりの利点が提供される。よって、より純粋な内分泌細胞個体群に向かっての、さらなる増殖及び/又は分化にかけることのできる培養体が得られる。
【実施例】
【0115】
実施例1:マウスDdr1及びヒトDDR1の生物情報学的分析
ヒトにおけるDDR1の3つのアイソタイプ(図1)、及びマウスに見出される2つのアイソタイプ(図2)間でのアミノ酸差異を研究するために、タンパク質のアミノ酸配列をClustal W (http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.html)を使用して整列させた。 細胞外及び膜貫通ドメインを見出すために、全てのアイソタイプを、CBS(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM/)にて、膜貫通プレディクターTMHMMサーバーv.2.0に通した(データは、マウスDdr1の最も長い形態:アイソフォーム1)、及びヒトDDR1の最も長い形態:アイソフォームcのみを示す)。これにより、3つ全てのヒトアイソタイプは、同じ場所、すなわちアミノ酸417-439(図1のボールド体)に膜貫通ドメインを有し、2つのマウスアイソタイプはアミノ酸415-437(図2のボールド体)にドメインをすることが示された。これにより、DDR1の3つのヒトアイソタイプとDdr1の2つのマウスアイソタイプが、それぞれ細胞外側に同じアミノ酸配列を有していることが確認された。特に、結果には、マウスDdr1、アイソフォーム1が、細胞外側にアミノ酸1-414を有する、単一の膜貫通タンパク質であることが示されている。さらに、結果には、ヒトDDR1、アイソフォームcが、細胞外側にアミノ酸1-416を有する、単一の膜貫通タンパク質であることが示された。
【0116】
DDR1/Ddr1結合試薬により結合可能な修飾についての情報を得るために、cbsにて、ヒトDDR1(アイソタイプc)及びマウスDdr1(アイソタイプ1)を、翻訳後プレディクターサーバーに通した。結果には、細胞外側において、マウスDDR1、アイソタイプ1のリジンのイプシロンアミノ基のグリコシル化が、アミノ酸位置31にある予測修飾であることが示された。また結果には、細胞外側において、ヒトDDR1、アイソタイプcのリジンのイプシロンアミノ基のグリコシル化が、アミノ酸位置30及び243にある予測修飾であることが示された。さらに結果には、細胞外側において、マウスDDR1、アイソタイプ1のムチン型のGalNAc O-グリコシル化が、アミノ酸位置377及び391にある予測修飾であることが示された。またさらに結果には、細胞外側において、ヒトDDR1、アイソタイプcのムチン型のGalNAc O-グリコシル化が、アミノ酸位置379及び393にある予測修飾であることが示された。これらにより、いくつかの翻訳後修飾が予測されることが示された。
【0117】
細胞外及び膜貫通ドメイン、並びに翻訳後予測に関連し、いくつかの修飾を示す結果は、DDR1/Ddr1結合試薬に対する標的として使用可能な、DDR1/Ddr1の細胞外側に存在した。さらに、結果には、DDR1/Ddr1アイソタイプ間の差異が、細胞内側にのみ見出され、従って、アイソタイプ間の変化は、同定可能な細胞では、細胞外ドメインに影響を与えないであろうことが示された。
【0118】
実施例2:e15.5マウス腸において発現するアイソタイプの研究
PCRを、e15.5マウス腸組織(膵臓、胃、十二指腸及び脾臓を含む)のcDNA において実施した。標準的条件下(97℃180秒、ついで96℃30秒を35サイクル、55℃30秒、及び72℃30秒)、アイソフォーム1と比較して、アイソフォーム2に欠けている37アミノ酸の側面にあるプライマーを用い、PCRを実施した。
結果には、Ddr1アイソフォーム1(911aa)が、e15.5マウス腸において、アイソフォーム2よりも高い発現レベルを示すことが示された。アイソフォーム1がテンプレートである場合は328bd、又はアイソフォーム2がテンプレートであるならば215bpのいずれかで、アイソフォーム2に欠けている37アミノ酸についてコードする配列のいずれかの側に位置するPCTプライマーが増幅した。e15.5腸組織からのcDNAがテンプレートとして使用される。半定量用ゲルから、双方のアイソフォームが腸で発現し、アイソフォーム1はアイソフォーム2よりも高レベルで発現することが観察された。
Ddr1アイソフォーム1及び2に相当する、2つのバンドが観察された。よって、双方のDdr1アイソフォームはマウス腸において発現する。
【0119】
実施例3:マウスにおけるDdr1の発現パターンの研究
マウス膵臓における、Ddr1についてのインサイツハイブリダイゼーションを、製造者の使用説明書に従い、Rocheからの試薬を使用するインビトロ転写により生成した、ジゴキシゲニン標識cRNAプローブを使用して実施した。凍結切片を解凍し、ハイブリダイゼーション溶液に1ng/μlまで希釈させた変性cRNAプローブを、切片に直接添加した。切片をカバースリップで覆い、65℃の保湿チャンバー内に一晩配した。スライドを、洗浄溶液にて、65℃で洗浄し、続いて室温でMABTにおいて数回洗浄した。溶液を1時間ブロックし、APコンジュゲートヒツジ-抗-DIG(Roche)と共に、一晩インキュベートした。切片をMABTで洗浄し、ついでNTMTで平衡にした。NTMTにおいて、NBT/BCIPを用い、AP活性を可視化した。
【0120】
Ddr1に対するISHシグナルがますます制限されるにつれ、胚が年をとっていくことが観察された。e12.5においては、膵臓の全ての細胞がISHシグナルに対してポジティブであるが、e18.5では、内分泌細胞を形成することが明らかとなったもののみがポジティブであった。
【0121】
免疫組織化学法(IHC)を切片において実施し、4℃で一晩、4%のPFAにおいて、胚を固定し、PBSに30%のスクロースが入ったもので平衡化し、組織-Tek OCT化合物において凍結した。PBSで切片を洗浄し、0.5%のTNB(PerkinElmer)において少なくとも1時間ブロックした。インスリン、グルカゴン、Nkx6.1、及びDdr1(R&D systems、cat:AF2396)に対する一次抗体を、0.5%のTNBに希釈し、一晩適用した。PBSでの数回の洗浄の1時間後、二次抗体を適用し、スライドを20%グリセロールに配した。二次抗体は、Jackson ImmunoResearch(Cy3コンジュゲートロバ-抗-ウサギ及びロバ-抗-モルモット及びCy5コンジュゲートロバ-抗-マウス)から購入した。LSM 510 METAレーザー走査顕微鏡(Carl Zeiss)により、画像を収集し、蛍光シグナルにZeiss LSMソフトウェアを用い、疑似色を割り当てた。
【0122】
ISHシグナルについて観察されるように、Ddr1の発現は、発育進行において、ますます制限され、成人においては、膵臓Ddr1は、IHCにより容易に検出可能ではなかった。 これらの結果は共に、Ddr1が、膵臓の発育を通して、胚の年齢に応じて程度が変化しつつ、内分泌前駆体、ホルモンポジティブ細胞を標識することを示した。
【0123】
結果には、Ddr1が、マウス膵臓において、膵臓内分泌前駆体細胞個体群をマークすることが示された。特に、ISHにより、e12.5、e15.5、及びe18.5で分析された後、Ddr1が12.5の初期には膵臓の全ての細胞をマークし、ISHシグナルは、e15.5では真ん中部分に制限され、最後に、18.5では、Ddr1 ISHシグナルが終了し、形成される内分泌細胞が明らかになったという結果が示された。特にe15.5でIHCを使用すると、Ddr1及びNkx6.1の間に、かなりの重複が観察された。Ddr1は腺房細胞(Nkx6.1に対してネガティブ)をマークしなかった。e15.5で、Nkx6.1ポジティブ細胞個体群は膵臓内分泌前駆体個体群を含み、グルカゴン生成細胞ではなく、新たにベータ細胞を形成した。e15.5Dで、IHCを使用して測定される場合、2、3の例外を除き、Ddr1を発現する細胞は、インスリン、グルカゴン、又はグレリンを発現しなかった。e18.5にて、IHCは、Ddr1が、初期の内分泌細胞からなる形成されたランゲルハンス島と、該形成された島の近傍の管様構造体で発現し、Nkx6.1ポジティブ細胞のほとんどが、Ddr1に対してポジティブであることを示した。さらに、Ddr1について、e18.5でIHCを使用すると、インスリン及びグルカゴンにより、Ddr1が、インスリン及びグルカゴンを発現する初期の内分泌細胞と同時発現するが、2、3のインスリン及びグルカゴン細胞は、Ddr1に対してネガティブであり、Ddr1ポジティブ細胞も形成された島の近傍の管様構造体で見出されることが明らかとなった。特に、成人の膵臓において、Ddr1は発現しなかったが、Nkx6.1、インスリン及びグルカゴンは、容易に検出された。
【0124】
e15.5において、Ddr1は、Nkx6.1と著しく重複していることが示された。この時、Nkx6.1に対してポジティブな細胞は、成長したマウスにおいて、いくつかの管細胞及び内分泌細胞を生じると思われる。よって、Ddr1は、内分泌前駆体、初期の内分泌細胞、及びおそらく管細胞前駆体を標識化する。また、e18.5において、Ddr1はNkx6.1と同時発現するが、e15.5と比較して、より多くの細胞がDdr1+/Nkx6.1−である。しかしながら、ホルモンポジティブ細胞は、e15.5と比較して、かなり高い程度で、Ddr1を同時発現した。この発現パターンにより、膵臓内分泌前駆体細胞に対する精製タグとして、Ddr1は優れているとされる。
【0125】
実施例4:蛍光染色により可視化されるe15.5マウス膵臓における、Ddr1の局在化
e15.5マウス膵臓において、Ddr1の局在化を測定するために、蛍光染色を実施した。マウスe15.5の胚を収集し、PBSに4%のパラホルムアルデヒド(PFA)が入ったものにおいて、一晩(O/N)固定した。PBSに30%のスクロースが入ったもので組織を平衡にし、TissueTechに包埋した。8μm切片に切断し、−80℃で保管した。切片を室温(RT)で解凍し、PBSで洗浄し、0.01Mのクエン酸バッファーでマイクロ波処理し、PBSに1%のHが入ったものと共に、30分インキュベートし、ついで、0.5%のTNBブロック試薬(Perkin-Elmerからのもの)を用いてブロックした。ついで、1:150のヤギ抗-Ddr1(R&D systems、AF2396)、1:1000のウサギ抗-グレリン(C.Tomasetto, 1882)、1:4000のウサギ抗-Ngn3(BCBC Abcore、2369A)、1:450のウサギ抗-Ki-67(NeoMarker、RB081−0A)、及び1:250のウサギ抗-Pcna(Santa Cruz、sc-7907)を添加し、室温でO/Nインキュベートした。次の日、スライドをPBSで洗浄し、ビオチニル化した抗-ヤギ抗体と、ロバ抗-ウサギ-cy5を添加し、45分インキュベートした。PBSにおいてスライドを洗浄後、ストレプトアビジン-HRPを添加し、15分、インキュベートした。ついで、スライドをPBSで洗浄した。最終的に、TSA-cy3を添加して、染色を展開し、スライドをPBSで洗浄して配した。
【0126】
e15.5マウス胚におけるDdr1の局在化は、隣接した切片において、蛍光染色により可視化された。Ddr1並びにNkx6.1は、膵臓の中心ドメインで、強く広範囲発現しており、この時点で他の細胞型の中でも、内分泌前駆体を含むことが示された。Ddr1及びNkx6.1は隣接する内胚葉、すなわち十二指腸又は後胃においては発現しなかった。膵臓からさらに距離がある、前胃、食道、及び肺の一部、並びに小腸では、Ddr1は発現した。一般的に、Ddr1は、神経管の中心部分である程度発現することは別にして、神経組織では発現しなかった。
【0127】
結果には、約90%のNgn3ポジティブ細胞が、蛍光染色で可視化されたe15.5膵臓において、Ddr1を同時発現することがさらに示された。
結果には、蛍光染色で可視化された場合に、細胞増殖のマーカーであるKi-67についてポジティブであるため、e15.5膵臓において、約10-20%のDdr1ポジティブ細胞が増殖していることがさらに示された。
結果には、e15.5で、Ddr1は、管から十二指腸への接合部に近接した主な膵臓管のほとんど全ての細胞で発現したことがさらに示された。特にDdr1は膵臓でのみ発現しており、主な膵臓管のDdr1ポジティブ細胞と、十二指腸のDdr1ネガティブ細胞とのはっきりとした境界が、蛍光染色による可視化により観察された。
【0128】
実施例5:FACSを介してDDR1を使用するベータTC3細胞の選別
生存しているベータTC3のDdr1選別を、FACSにより実施した。ベータTC3細胞をトリプシンで処理し、洗浄した。上清を除去するために、10mlのチューブにおいて、室温で5分、1400rpmにて細胞をペレット状にした。次に、この細胞を、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄した。一次抗体溶液を添加し、+4℃で45分、インキュベートした。次に、この細胞を、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄した。二次抗体を添加し、+4℃で30分、インキュベートした。0.1%のBSAを含有するPBS(1.8ml使用)で、細胞を3x5分、洗浄した。最後に、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄された、リリー固定液で、45分、細胞を固定し、FACSによりアッセイした。特に、1:50のマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)を使用し、ロバ抗-マウス-cy2(Jackson ImmunoResearch)(1:300)と共に展開させた。
【0129】
二次ロバ抗-マウスCy2抗体のみと共にインキュベートされた染色ベータTC3細胞のFACSを実施することで、いくつかの蛍光シグナルに帰した。一次マウスIgGa アイソタイプコントロール抗体の添加により、二次抗体単独(すなわち、バックグラウンド)に関しても、ほぼ同じ蛍光になった。しかしながら、マウス抗-Ddr1抗体を添加すると蛍光は際だって増加し、Ddr1タンパク質が、FACSにおけるタグとして使用可能であることが示された。
【0130】
ES細胞は分化して、膵臓細胞になることができるが、多くの非膵臓細胞は、例えば内胚葉細胞(後胃及び十二指腸)、種々の神経細胞、及び間葉系細胞が混入した培養体中に存在する。例えばFACS選別により、Ddr1に対してポジティブ、又はDdr1に対してネガティブな個体群における、このような細胞混合物を選別することで(ベータTC3細胞に対してなされたように)、膵臓の管/内分泌前駆体、内分泌前駆体、及び/又は初期の内分泌細胞が、他の細胞型に対して精製されるであろう。また、種々の膵臓細胞型(腺房、管及び内分泌)の中でも、腺房細胞はDdr1ネガティブ個体群に存在するであろう。よって、Ddr1は、膵臓の管/内分泌前駆体、内分泌前駆体、及び/又は初期の内分泌細胞を、膵臓の他の細胞型から精製するための、タグとしても使用可能である。しかしながら、CD133及びCD49f等の他のマーカーを使用する二重選別を実施すると、所望の細胞の収率がさらに増加するかもしれない。
【0131】
実施例6:FACSを介してDDR1を使用するマウス胚性膵臓細胞の選別
いくつかのe15.5マウスの胚からの膵臓を、マイクロ分析した。単細胞を得るために、1400rpmにて、36℃で5分、時々ペレット化しつつ、組織をトリプシン処理した。ついで、血清を含有しない10mlの培地に、細胞を再懸濁させた。トリプシンを洗浄しきるために、血清を含有しない10mlの培地で3回、細胞を洗浄し、インキュベーターにおいて1.5時間、培地において再度インキュベートした。その後、0.1%のBSAを含有する10mlのPBSで細胞を洗浄し、6つのチューブに分けた。第1のチューブには、10μg/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を入れた。第2のチューブには、10μg/mlのアイソタイプ(IgG2a)ネガティブコントロール抗体を入れた。第3のチューブには、2.5μg/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を入れた。第4のチューブには、2.5μg/mlのアイソタイプ(IgG2a)ネガティブコントロール抗体を入れた。第5及び第6のチューブには何の抗体も入れなかった。ついで、細胞を4℃で45分インキュベートし、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄した。1:300の二次ロバ抗-マウス-cy2抗体を、第6のチューブ以外の全てのチューブに添加した。ついで、細胞を4℃で30分、インキュベートした。その後、0.1%のBSAを含有するPBSで細胞を洗浄し、最終的に、リリー固定液において30分、細胞を固定し、ついで0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄し、FACSにおいて分析した。
【0132】
結果を図4に示す。図4Aは、一次抗体として、10μg/mlのマウス抗-Ddr1を使用した結果を示す。図4Bは、一次抗体として、10μg/mlのアイソタイプ(IgG2a)ネガティブコントロールを使用した結果を示す。特定のDdr1抗体により、細胞の下位個体群が明確に標識化されることが観察された。よって、Ddr1は、一次マウス膵臓細胞において、FACSにて使用可能である。これにより、Ddr1結合試薬が、管/内分泌細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞の単離に使用可能であることが示される。
【0133】
実施例7:FACSを使用する、DDR1を介して単離された胎児膵臓誘導性細胞におけるインスリン生成の検出
本実験の目的は、e15.5膵臓から生じたDdr1ポジティブ細胞が、何の細胞型であるのかを決定することである。
e15.5から細胞を調製し、次の修正がある以外は、実施例6に記載したようにして、Ddrについて染色する:10ug/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を使用する。二次抗体及び洗浄後、細胞を固定せず、しかしDMEM/F12+10%のFCS+P/Sを含有する2つのチューブに、FACSArianにおいて、生存している状態で選別する。Ddr1ポジティブ細胞を、一方のチューブに選別する。Ddr1ネガティブ細胞を他方のチューブに選別する。その後、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]に記載されたようにして、腎臓の下にカプセルをインプラントする。腎臓の下で、30-60日間、カプセルをインビボ成熟させた後、移植された細胞を収集し、リリー固体液で固定し、包埋し、切片化する。インプラントの切片を、1:100のマウス抗-インスリン(Biolabs、HUI-18)、1:100のマウス抗-グルカゴン(Biolabs、Glu-001)、及び1:500のウサギ-抗-アミラーゼ(Sigma、A8273)、ウサギ抗-Nkx6.1(Hagedorn、#174.4 1:700)、Gt-Pdx1(Chris Wright、1:10000)、1:500のウサギ抗-ソマトスタチン(Dako、A0566)、1:300のウサギ抗-PP(Dako、A0169);1:300のヤギ抗-グレリン(Santa Cruz Biotechnology、SC-10368)、1:200のウサギ抗-C-ペプチド(Acris、BP302)について染色した。一次抗体を検出するために、二次-cy2、cy3及びcy5抗体を使用するであろう:
Ddr1ポジティブ個体群を有するインプラントは、インスリン/グルカゴン発現細胞を含んでおり、Ddr1ネガティブ細胞を有するインプラントは、アミラーゼポジティブ細胞を含んでいるであろうと予期される。
【0134】
実施例8:FACSを使用する、DDR1を介して単離されたES誘導性細胞におけるインスリン生成の検出
本実験の目的は、胚幹細胞から生じたDdr1ポジティブ細胞が、何の細胞型であるのかを決定することである。
胚幹細胞を単離し、段階4に達するまで、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]に記載されたプロトコルに従い、分化させてよい。ついで、ES誘導性細胞を調製し、次の修正がある以外は、実施例6に記載したようにして、Ddrについて染色する:10ug/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を使用する。二次抗体及び洗浄後、細胞を固定せず、しかしDMEM/F12+10%のFCS+P/Sを含有する2つのチューブに、FACSArianにおいて、生存している状態で選別する。Ddr1ポジティブ細胞を、一方のチューブに選別する。Ddr1ネガティブ細胞を他方のチューブに選別する。その後、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]に記載されたようにして、腎臓の下にカプセルをインプラントする。実施例7に記載したようにして、移植片を処理し、IHCにより染色する。
Ddr1ポジティブ個体群を有するインプラントは、インスリン/グルカゴン発現細胞を含んでおり、Ddr1ネガティブ細胞を有するインプラントは、アミラーゼポジティブ細胞を含んでいるであろうと予期される。
【0135】
実施例9:DDR1、場合によってはNgn3の発現を定量することによる、幹細胞の分化についてのインビトロプロトコルの最適化
幹細胞、例えばES細胞の分化を最適化するために、十分に分化した内分泌細胞への、膵臓細胞の種々の発育段階を同定するマーカーを有することが非常に重要である(図3を参照)。DDR1は、今までは、他のマーカーを使用して検出可能でなかった、細胞分化の重要かつ特定の段階を特定するために、又は一又は複数の付加的なマーカーと組合せて、又は単独で使用されてよい。
いくつかの態様において、幹細胞の分化についてのインビトロプロトコルを最適化する方法は、最適な培養条件をスクリーニングする方法である。
【0136】
いくつかの態様において、幹細胞の分化についてのインビトロプロトコルを最適化する方法は、以下の工程を含む:
a)1)細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、2)細胞表面マーカーとしてDDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、DDR1ポジティブ細胞の定量;
b)場合によっては、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離。
c)場合によっては、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、DDR1ポジティブ細胞を含む細胞個体群を培養することによる、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増加。
d)管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、DDR1ポジティブ細胞を含む細胞個体群を培養。
e)場合によっては、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、DDR1ポジティブ細胞を含む細胞個体群を培養することによる、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増加
f)1)細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、2)細胞表面マーカーとしてDDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、DDR1ポジティブ細胞の定量;
g)工程f)のDDR1ポジティブ細胞の量が、工程a)のDDR1ポジティブ細胞の量より多いかどうかを測定;
h)場合によっては、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離;
i)場合によっては、分化に影響を与える条件を変えることにより、DDR1ポジティブ細胞の量を増加させるための培養条件、例えば1)分化因子の濃度又は組合せ、2)成長培地の濃度又は組成、3)成長培地へのサプリメントの濃度又は組成、4)インキュベート時間、及び/又は5)酸素分圧、を調節することを導入;
j)場合によっては、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離;
k)満足のいく量のDDR1ポジティブ細胞が得られるまでの、工程a)ないしh)のシーケンスの繰り返し。
【0137】
いくつかの態様において、DDR1ポジティブ細胞の量的測定は、自動化された染色システム、例えば蛍光検出を使用して実施されてよい。
管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞の同定は、場合によっては、他の内胚葉マーカーについての付加的な結合試薬(例えば、Pdx1結合試薬)と組合せて、DDR1結合試薬と細胞個体群とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。結合試薬の選択は、例えばDDR1は内胚葉をマークするが、膵臓を神経支配する神経細胞はマークしないため、神経細胞が存在するかどうか等、細胞培養体の組成に依存してよい。二重ポジティブである、Ngn3及びDDR1細胞に対する同時染色により、内分泌前駆体群のグルーピングが可能となる。この分析は、FACS、MACS、IHC、又はパニング等の方法を使用して実施されてよい。
【0138】
本発明の実施態様:
1.管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞を同定する方法であって、該方法が、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させることを含む方法。
2.DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
3.実施態様2の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
【0139】
4.実施態様2に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
5.実施態様4に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
【0140】
6.少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法であって、細胞が実施態様1-5のいずれか一つの方法により得られたもので、該方法が:哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む方法。
7.膵臓ホルモンの量が、移植後又はインビボ成熟の後の日より早くには測定されない、例えば、移植後少なくとも1、2、3又は4週間で測定される、実施態様6の方法。
8.前記少なくとも一の膵臓ホルモンがインスリンである、実施態様6又は7の方法。
9.哺乳動物がヒトである、実施態様6-8のいずれかの方法。
10.前記少なくとも一の膵臓ホルモンが、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチド、及びグレリンからなる群から選択される、実施態様1-9のいずれか一つの方法。
【0141】
11.a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定する;ことによる、DDR1ポジティブ細胞を定量する方法。
12.インビトロプロトコルを最適化する方法であって、ここでDDR1発現細胞(DDR1ポジティブ細胞)の数が、定期的にモニターされる方法。
【0142】
13.一又は複数の付加的な結合試薬を、DDR1結合試薬と組合せて、同時又は逐次使用する、実施態様1-12のいずれか一つの方法。
14.付加的な結合試薬が、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される、実施態様13の方法。
【0143】
15.DDR1ポジティブ細胞が、場合によってはグルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリン生成細胞からなる群から選択される細胞にさらに分化される細胞と共に、インスリン生成細胞にさらに分化される、実施態様1-14のいずれか一つの方法。
16.膵臓細胞を含む細胞個体群が膵臓から得られる、実施態様1-15のいずれか一つの方法。
17.膵臓細胞を含む細胞個体群が体細胞個体群である、実施態様1-15のいずれか一つの方法。
18.体細胞個体群が、ES様細胞、特に、IPS細胞、胚盤葉上層幹細、又は生殖細胞等の多能性細胞への脱分化を誘発する、実施態様17の方法。
19.膵臓細胞を含む細胞個体群が、ES細胞等の多能性細胞から得られる、実施態様1-15のいずれか一つの方法。
【0144】
20.膵臓細胞を含む細胞個体群が脊椎動物由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
21.膵臓細胞を含む細胞個体群が哺乳動物由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
22.膵臓細胞を含む細胞個体群がヒト由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
23.膵臓細胞を含む細胞個体群がマウス由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
24.膵臓細胞を含む細胞個体群がラット由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
25.膵臓細胞を含む細胞個体群がニワトリ由来である、実施態様20の方法。
【0145】
26.細胞個体群が膵臓内分泌系列に分化する、実施態様20-25のいずれかの方法。
27.細胞分化が、一又は複数の分化因子(類)を含有する培地において、細胞を培養することを含む、実施態様26の方法。
【0146】
28.膵臓細胞を含む細胞個体群がベータ細胞-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
29.膵臓細胞を含む細胞個体群がptprn/IA2-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
30.膵臓細胞を含む細胞個体群がAbcc8/Sur1-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
31.膵臓細胞を含む細胞個体群がSlc30a8/ZnT-8-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
【0147】
32.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、ベータ細胞-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
33.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Ptprn/IA2-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
34.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Abcc8/Sur1-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
35.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Slc30a8/ZnT-8-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
36.DDR1結合試薬が、DDR1に特異的に結合する抗体である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
【0148】
37.分離又はモニター工程が蛍光標識細胞分取によりなされる、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
38.分離又はモニター工程が磁気活性化細胞分取によりなされる、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
39.分離工程がパニングによりなされる、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
40.細胞が内分泌前駆体細胞である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
【0149】
41.実施態様1-40のいずれかに定められた方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び実施態様3又は5-40のいずれかに定められた方法により得られた十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される、単離された細胞。
42.実施態様1-40のいずれかに定められた方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞。
43.実施態様3又は5-40のいずれかに定められた方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞。
【0150】
44.実施態様1-40のいずれかに定められた方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び実施態様3又は5-40のいずれかに定められた方法により得られた十分に分化した内分泌細胞からなる群からの、一又は複数の細胞から選択される単離された細胞を含有する組成物。
【0151】
45.細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDDR1結合試薬の使用。
46.膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用。
47.一又は複数のさらなる細胞表面マーカーが、膵臓内分泌細胞の培養体を得るために、同時又は逐次使用される、実施態様46の使用。
48.さらなる細胞表面マーカーが、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49fからなる群から選択される、実施態様47の使用。
【0152】
本発明のさらなる実施態様:
1.DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:膵臓内分泌前駆体細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞の培養体を得る方法。
2.実施態様1の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の培養体を得る方法。
【0153】
3.実施態様1に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌前駆体細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞の数を増やす方法。
4.実施態様3に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の数を増やす方法。
【0154】
5.少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法であって、細胞が実施態様1-4のいずれか一つの方法により得られたもので、該方法が:哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む方法。
6.前記少なくとも一の膵臓ホルモンが、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドからなる群から選択される、実施態様1-5のいずれか一つの方法。
【0155】
7.a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定する;ことによる、膵臓細胞を含む細胞の培養体をモニターする方法。
8.DDR1ポジティブ細胞が、場合によってはグルカゴン及び/又はソマトスタチ及び/又は膵臓ポリペプチド生成細胞にさらに分化される細胞と共に、インスリン生成細胞にさらに分化される、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
【0156】
9.膵臓細胞を含む細胞個体群が膵臓から得られる、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
10.膵臓細胞を含む細胞個体群が体細胞個体群である、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
11.体細胞個体群が、ES様細胞等の多能性様細胞への脱分化を誘発する、実施態様10の方法。
12.膵臓細胞を含む細胞個体群が、ES様細胞等の多能性様細胞である、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
【0157】
13.膵臓細胞を含む細胞個体群が哺乳動物由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
14.膵臓細胞を含む細胞個体群がヒト由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
15.細胞個体群が膵臓内分泌系列に分化する、実施態様13又は14のいずれかの方法。
16.細胞分化が、一又は複数の分化因子(類)を含有する培地において、細胞を培養することを含む、実施態様15の方法。
【0158】
17.膵臓細胞を含む細胞個体群がPtprn-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
18.膵臓細胞を含む細胞個体群がAbcc8-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
19.膵臓細胞を含む細胞個体群がGlut-2/1-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
20.膵臓細胞を含む細胞個体群がSlc30a8-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
【0159】
21.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Ptprn-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
22.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Abcc8-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
23.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Glut-2/1-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
24.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Slc30a8-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
25.DDR1結合試薬が、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
【0160】
26.分離工程が蛍光標識細胞分取によりなされる、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
27.分離工程がパニングによりなされる、実施態様1-26のいずれか一つの方法。
【0161】
28.細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDDR1結合試薬の使用。
29.膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用。
【0162】
30.前記少なくとも一の膵臓ホルモンがインスリンである、実施態様6の方法。
31.哺乳動物がヒトである、実施態様30の方法。
【0163】
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに説明されるかの如く、その全体が出典明示によりここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解するべきではない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解するべきではない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。 この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに付加される請求項に列挙された主題事項の全ての修正点及び等価物を含む。
ここに記載の本発明は、バンダービルト大学を通し、NIH/NIDDKからの付与(#5U01-DK072473)により支持されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞を同定する方法であって、該方法が、膵臓細胞を含む細胞個体群をDDR1結合試薬と接触させることを含む方法。
【請求項2】
膵臓細胞を含む細胞個体群をDDR1結合試薬と接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む、管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
【請求項3】
請求項2の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
【請求項4】
請求項2に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
【請求項5】
請求項4に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
【請求項6】
少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法であって、細胞が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法により得られたもので、該方法が、哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む方法。
【請求項7】
a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、DDR1ポジティブ細胞を定量する方法。
【請求項8】
インビトロプロトコルを最適化する方法であって、DDR1発現細胞(DDR1ポジティブ細胞)の数が、定期的にモニターされる方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び請求項3又は5ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される、単離された細胞。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞。
【請求項11】
請求項3又は5ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群からの一又は複数の細胞から選択される単離された細胞を含有する組成物。
【請求項13】
細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDDR1結合試薬の使用。
【請求項14】
膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−509076(P2011−509076A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540110(P2010−540110)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068061
【国際公開番号】WO2009/083502
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】