説明

臓器領域特定方法、および臓器領域特定装置

【課題】対象者、症例、撮像条件等に応じて変化する原画像データに適した閾値を、診断者による設定変更に不要とし、自動で設定することを目的とする。
【解決手段】各対象臓器に対応する閾値を設定する工程と、画素値と前記閾値とを比較してピクセルを抽出する工程と、抽出したピクセルに基づいて対象臓器の領域を特定する工程とを備え、閾値を設定する工程において、各原画像データ毎に、その原画像データの各ピクセルに付与された画素値から対象臓器毎に閾値を設定する。対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値と、対象臓器を特定する閾値との相関関係を予め求めておき、この相関関係を用いて、各原画像データの対象臓器に適した閾値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像データから臓器が存在する領域を特定する方法および装置に関し、PET画像、CT画像を用いて診断を行う際に、これら画像データからの臓器の特定に適用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療の検査データを用いて、医師が行う診断のプロセスをコンピュータに代行させる試みが行われているが(非特許文献1)、人体の複雑さや、検査データと医学知識との関連付けの困難さとから、有効なものとなっていない。
【0003】
また、医師による診断手法と異なる手法を用いてコンピュータで診断を行うことは、信頼性の点から実用化は困難である。そこで、診断支援では、コンピュータの利用は画像変換や画像処理などの補助的なものが一般的である。
【0004】
また、CT,MRI,PETに代表される人体内情報を断層画像を用いて診断する手法も提案されている。医療分野において、例えばPET画像等の断層画像撮像装置で得られた断層画像を用いて医療診断を行うことが知られている。この断層画像等の画像データや数値データを用いた医療診断では、医療専門家が撮像画像を読影し、専門知識や経験に照らし合わせることで疑わしい領域の抽出や推論を行っている。
【0005】
PET−CT画像において、PET画像はガンに集まりやすい薬剤(FDG)の分布を表し、X線CT画像(以下CT画像)は放射線の透過度により組織の硬さを表している。全身FDG−PET(FDG-Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮像)画像を用いたガン診断では、放射性フッ素(f-18)を標識としてFDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た放射性の薬剤を体内に投入し、その体内分布を撮影してFDG−PET画像を得る。FDGの集積の度合いはSUVという値で表され、ガンがある部位はSUV値が高く表れる。
【0006】
PET画像による癌の疑いがある領域の抽出は、FDGが糖代謝の高い部位に集積するという特徴と、ガンは基本的に糖代謝が高くFDGが集積しやすいという特徴を利用している。
【非特許文献1】E.H. Shortliffe,“Computer based Medical Consultations:MYCIN”, American:Elsevier,1976
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
全身PET診断では、体軸方向に約3mm間隔で、大腿部から頭頂部までの断層撮影が行われ、患者一人につき約300枚程度の断層画像(スライス画像)が撮像される。この全身PET診断では、炎症が起きている部位やFDGを取り込みやすい臓器・組織(腎臓・膀胱・肝臓等)では、ガンがない場合であってもSUV値が高く表れるため、診断者は正しく診断するために多くの負担がかかっている。
【0008】
全身PET診断による集団検診が検討されるなかで、上記のように断層画像の読影は長い時間や多大な労力を要するため、多数の人の診断に対応できないことが予想されている。
【0009】
このような断層画像の読影の係わる診断者の負担を軽減する手法として、診断者が行っている断層画像の読影による診断をコンピュータに行わせることが考えられる。
【0010】
FDGを用いて診断を行う場合には、FDGが生理的に正常な場合であっても糖代謝行うが高い部位に集積するため、正常・異常の判定基準は臓器によって異なるという特性がある。そのため、PET画像の読影をコンピュータに行わせる場合には、はじめに糖代謝が大きく異なる臓器領域を特定し、次に、特定した臓器について異常が疑われる領域を抽出するという手順をとる必要がある。
【0011】
図1は、PET画像において各臓器に集積されるFDGの集積の程度と、CT画像において各臓器の放射線の透過の程度を表している。PET画像およびCT画像は、各臓器によって画素値の大きさの範囲が異なるものの、一部では重なっているため、単なる閾値処理だけでは臓器の領域を特定することは困難である。
【0012】
そこで、はじめに閾値処理によって臓器の概略領域を抽出する。この段階で得られる概略領域は、隣接する複数の臓器は分離されずにつながった状態で抽出される場合がある。そこで、次に、得られた概略臓器について、臓器の形状や解剖学的特徴を適用することによって、つながって抽出された複数の臓器から個々の臓器を特定する。
【0013】
このとき、はじめに概略領域を抽出する閾値処理に用いる閾値は、その後に行う臓器の特定処理において重要な要素となる。例えば、閾値が小さい場合には、複数の臓器が強くつながった状態で抽出されるため、対象とする臓器を特定することが困難となる。一方、閾値が大きい場合には、複数の臓器が強くつながった状態で抽出されることは避けられるが、抽出される画素数が少なくなるため、対象臓器の領域および形状を特定することが困難となる。
【0014】
また、診断機器により得られる医学画像の原画像データの画素値は、対象者の症例や測定環境、撮像装置の設定パラメータ等の撮像条件など種々の条件によって強度差(濃淡差)が生じるため、閾値処理に適切な閾値は各条件によって異なる。そのため、一律に定めた閾値によって適切な閾値処理を行うことは困難であり、また、各条件に応じて診断者が閾値を設定することは多くの労力と時間を要するという問題がある。
【0015】
そこで、診断機器により得られる医学画像の原画像データから臓器の領域を特定する際、原画像データから対象臓器のピクセルを抽出するために画素値との比較に用いる閾値を、対象者、症例、撮像条件等による原画像データの変動に応じて設定することを目的とする。
【0016】
また、対象者、症例、撮像条件等に応じて変化する原画像データに適した閾値を、診断者による閾値の設定変更を要することなく、自動で設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、診断機器により得られる医学画像の原画像データから複数の対象臓器が存在する各領域を特定するに際して、原画像データから対象臓器のピクセルを抽出するために画素値との比較に用いる閾値を、各原画像データに基づいて設定する。これによって、対象者、症例、撮像条件等に応じて原画像データが変化した場合であっても、閾値を連動させることで適切な閾値を設定することができる。
【0018】
本発明は臓器領域特定方法の態様と臓器領域特定装置の態様とを含む。
【0019】
本発明の臓器領域特定方法の態様は、各対象臓器に対応する閾値を設定する工程と、画素値と前記閾値とを比較してピクセルを抽出する工程と、抽出したピクセルに基づいて対象臓器の領域を特定する工程とを備える。ここで、原画像データは複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値とを含んでいる。閾値を設定する工程は、各原画像データ毎に、その原画像データの各ピクセルに付与された画素値から対象臓器毎に閾値を設定する。これによって、原画像データが変化した場合であっても、閾値を連動させて設定することができる。
【0020】
本発明の臓器領域特定方法の態様は、複数の形態によって閾値を設定することができる。第1の方法形態は、対象臓器外の臓器の画素値を用いて閾値を設定するものであり、第2、3の方法形態は対象臓器のヒストグラムを用いて閾値を設定するものである。
【0021】
第1の方法形態において、対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値と、対象臓器を特定する閾値との相関関係を予め求めておき、この相関関係を用いて各原画像データの対象臓器に適した閾値を設定する。
【0022】
第1の方法形態は、臓器領域特定方法が備える閾値を設定する工程において、原画像データから所定臓器のピクセルに付与された画素値を求め、相関関係に基づいて所定臓器の画素値に対する閾値を求め、求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値として設定する。
【0023】
相関関係は、取得した原画像データについて、対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値を求めると共に、従来の閾値処理によって対象臓器を特定する閾値を複数求めておき、この対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値と、対象臓器を特定する閾値との関係を統計的に求めることで取得する。この相関関係は、診断対象の原画像データについて対象臓器の抽出処理を行う前に求めておく。この相関関係は、所定臓器の画素値に対して複数の対象臓器の閾値を定めることができる
【0024】
この相関関係は、所定臓器の画素値と対象臓器の閾値との関係を表している。この相関関係を用いることで、診断対象の原画像データについて所定臓器の画素値を取得することによって、対象臓器の閾値を求めることができる。
【0025】
ここで、所定臓器は、例えば小脳や肺とすることができる。小脳に蓄積されるFDGのSUV値は他の臓器と比較して数値が高いため、閾値を用いることなく小脳の形状条件によって他の臓器と区別して抽出することができる。この形態では、抽出した小脳のSUV値を基準とし、予め求めておいた他の臓器との相関関係から他の臓器を抽出する閾値を求める。
【0026】
また、肺はCT画像からその形成を特定することが容易であるため、閾値を用いることなく肺の形状条件によって他の臓器と区別して抽出することができる。この形態では、抽出した肺のSUV値を基準とし、予め求めておいた他の臓器との相関関係から他の臓器を抽出する閾値を求める。
【0027】
この閾値以上の画素値を有するピクセルを抽出することで対象臓器を特定する。なお、所定臓器の画素値は、小脳や肺に対応する複数のピクセルの画素値の平均値を用いることで、画素値のばらつきによる誤差を低減させることができる。
【0028】
第2、3の方法形態は、原画像データのピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成し、このヒストグラムを用いて閾値を設定する。
【0029】
原画像データから得られるヒストグラムは、各臓器のヒストグラムを重ね合わせたものであるため、原画像データから得られるヒストグラムピーク位置は各臓器のヒストグラムのピーク位置とほぼ一致し、また、原画像データから得られるヒストグラムのプロファイルは、各臓器のヒストグラムのプロファイルパターン重ね合わせに相当する。
【0030】
第2の方法形態は、原画像データから形成したヒストグラムにおいてピクセル数のピーク位置に対応する画素値を求め、この画素値を、対象臓器を特定する閾値として設定する。この閾値以上の画素値を有するピクセルを抽出することで対象臓器を特定する。
【0031】
第3の方法形態は、原画像データから形成したヒストグラムに、各臓器のプロファイルパターンを当てはめることによって対象臓器の画素値の分布を求め、このプロファイルパターンの画素値の分布から分散を求め、この分散を用いて閾値を定め、対象臓器を特定する閾値とする。この第3の方法形態では、ピーク値を挟んで上下の画素値を設定し、この画素値を上下の閾値とし設定する。ピーク値を挟む上下の画素値は、プロファイルパターンの分散によって定められる、この上下の閾値間に存在するピクセルを抽出することで対象臓器を特定する。
【0032】
本発明の臓器領域特定装置の態様は、本発明の臓器領域特定方法の態様を装置構成としたものである。
【0033】
本発明の臓器領域特定装置の態様は、診断機器により得られる医学画像の原画像データから複数の対象臓器が存在する各領域を特定する装置であり、診断機器により得られる医学画像の原画像データと、この原画像データから臓器を特定して得られる対象臓器の領域を記憶する記憶部と、対象臓器の領域を求めて前記記憶部に記憶させる演算部とを備える。原画像データは、複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値とを含む構成である。原画像データは、例えば、PET画像データとすることができる。PET画像の場合には、ピクセルにはSUV値が付与されている。
【0034】
演算部は、各対象臓器に対応する閾値を設定する閾値設定部と、画素値と前記閾値とを比較してピクセルを抽出する比較・抽出部と、抽出したピクセルに基づいて対象臓器の領域を特定する領域特定部とを備える。
【0035】
閾値設定部は各原画像データ毎に、その原画像データの各ピクセルに付与された画素値から対象臓器毎に閾値を設定する。各対象臓器に対して設定された閾値は、原画像データに基づいて設定されるため、対象者、症例、撮像条件等による変動に連動して設定することができる。
【0036】
比較・抽出部は、閾値設定部で設定した閾値を用いて各ピクセルの画素値と比較し、閾値以上の画素値を有するピクセルを抽出する。抽出されたピクセルは閾値以上の画像値を有している。対象臓器に対して異なる閾値が設定される場合には、原画像データ中のピクセルが何れの対象臓器に属するかの指標とすることができ、同じ閾値によって抽出されるピクセルの集合をその閾値が設定された対象臓器の領域として、その対象臓器を特定することができる。
【0037】
なお、各臓器のピクセルの画素値の大きさは拡がりを有して分布するため、隣接する臓器間において画素値の大きさの分布が重なる場合がある。この場合には、この閾値による領域特定によって対象臓器を特定することが困難である。このような場合には、臓器の配置や形状の特性を参照して対象臓器の領域を特定する。
【0038】
本発明の臓器領域特定装置の態様は、第1〜第3の方法形態と対応して第1〜第3の装置形態とすることができる。
【0039】
本発明の臓器領域特定装置の第1の形態は、第1の方法形態に対応する装置構成である。第1の形態において、記憶部は、対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値と、対象臓器を特定する閾値との相関関係を記憶している。また、第1の形態は、記憶部に記憶する原画像データから所定臓器に対応するピクセルに付与された画素値を読み出す。読み出した画素値は、相関関係を用いた閾値の読み出しに用いる。
【0040】
閾値設定部は、所定臓器に付与される画素値を相関関係に適用させることによって、対象臓器を特定する閾値を求め、求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値として設定する。
【0041】
ここで、記憶部に記憶される相関関係において、所定臓器は例えば小脳又は肺であり、所定臓器に付与される画素値は小脳又は肺に対応するピクセルの画素値の平均値とすることができ、画素値の平均値に対応して設定された対象臓器の閾値を読み出すことができる。この相関関係は、例えば、FDGの蓄積の程度を表すSUV値の画素値と、臓器を識別する閾値との間の関係を表している。この画素値と閾値との関係は各臓器について定めることができる。
【0042】
本発明の臓器領域特定装置の第2の形態は、第2の方法形態に対応する装置構成である。第2の形態において、記憶部に記憶する原画像データから前記所定臓器に対応するピクセルに付与された画素値を読み出し、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成するヒストグラム形成部と、ヒストグラムにおいてピクセル数のピークに対応する画素値を求めるピーク検出部とを備える。閾値設定部は、ピーク検出部で求めた画素値を、対象臓器を特定する閾値として設定する。
【0043】
本発明の臓器領域特定装置の第3の形態は、第3の方法形態に対応する装置構成である。第3の形態において、記憶部は、対象臓器について、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムのプロファイルパターンを記憶する。
【0044】
第3の形態は、記憶部に記憶する原画像データから前記所定臓器に対応するピクセルに付与された画素値を読み出し、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成するヒストグラム形成部と、ヒストグラム形成部で形成したヒストグラムに記憶部に記憶するプロファイルパターンを当てはめることによって対象臓器の画素値の分布を求める分布算出部とを備える。閾値設定部は、分布算出部で算出して画素値の分布の分散から閾値を求め、求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値を求める。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、本発明によれば、診断機器により得られる医学画像の原画像データから臓器の領域を特定する際、対象者、症例、測定条件に応じて変化する原画像データに適した閾値を、操作者によることなく自動で設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0047】
図2は、PET−CT画像を用いた診断手順を説明するフローチャートである。PET画像およびCT画像(X線CT画像)を用いた診断において、コンピュータを診断支援に利用する場合、はじめにPET画像から診断対象の臓器領域を特定し(S1)、特定した臓器領域おいて、その臓器ごとに定められた診断基準に基づいて異常と疑われる領域を抽出する(S2)。
【0048】
PET画像は、FDGの集積の程度を各ピクセルに付与されたSUV値で表した画像であり、診断機器により得られる原画像データのままでは臓器を識別し、対象臓器を特定することはできない。そのため、S1の工程において、原画像データから臓器領域を特定する必要がある。
【0049】
このS1の原画像データから臓器領域を特定する工程について、より詳細な手順を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
特定を行う対象臓器について、この臓器を識別するためのSUV値の閾値を設定し(S11)、原画像データの各ピクセルに付与されているSUV値について設定した閾値と比較し、閾値以上のSUV値を有するピクセル(画素)を抽出する。
【0051】
通常、原画像データは複数のピクセルとこのピクセルに付与された画素値とから構成される。PET画像の場合には、画素値としてSUV値が各ピクセルに付与されている。FDGの蓄積の程度を表すSUV値は臓器によって違いがあるため、各ピクセルにSUV値を各臓器に対応した閾値と比較することによって、原画像データから臓器を識別することができる。
【0052】
そこで、原画像データの各ピクセルに付与されているSUV値について閾値と比較し、閾値以上のSUV値を有するピクセル(画素)を抽出することによって、抽出領域を形成する(S12,S13)。
【0053】
しかしながら、各臓器のSUV値には拡がりがあり、同原画像データ内に複数の臓器が存在し、各臓器のSUV値の拡がりに重なりがある場合には、閾値による比較のみでは臓器を区分して識別することは困難である。したがって、形成した抽出領域は対象臓器の他に他の臓器を含む可能性がある。そこで、臓器の位置、体積等を利用して、抽出領域について対象臓器の候補領域を特定する(S14)。
【0054】
抽出領域から候補領域を特定する手順について、図4のフローチャートおよび図5の説明図を用いて説明する。ここでは、PET画像中に、心臓、肝臓、腎臓(右腎、左腎)が含まれる場合を示している。
【0055】
前記したS11〜S13によって、PET画像から閾値を用いて抽出領域を形成し、形成した抽出領域について、臓器の位置、体積などの臓器の特徴を用いて候補領域を特定する。
【0056】
はじめに、臓器の位置、体積などから心臓、肝臓、および右腎が含まれる候補領域を特定し(図5(a))(S21)、次に、臓器の位置、体積などから左腎を特定する(図5(b))(S22)。
【0057】
S21の工程で特定された候補領域中には、心臓、肝臓、および右腎が識別されない状態で特定されている。一方、S22の工程では左腎が特定されている。右腎と左腎との位置関係は知られているため、S21の工程で特定した心臓、肝臓、および右腎が含まれる候補領域から左腎の位置関係を用いて右腎を特定する(図5(c))(S23)。
【0058】
S22,S23の工程によって右腎と左腎が特定されたため、次に、心臓、肝臓、および右腎が含まれる候補領域から腎臓を除くことによって、心臓と肝臓が含まれる候補領域が得られる(S24)。
【0059】
最後に、腎臓を除いた候補領域から、心臓の形状を用いて心臓領域を切り離し、肝臓の領域を特定する(図5(d))(S25)。
【0060】
本発明は、S11の対象臓器を特定するための閾値を設定する臓器領域の特定に係わり、対象臓器外の臓器の画素値を用いて閾値を設定する第1の形態、対象臓器のヒストグラムを用いて閾値を設定する第2、3の形態等に複数の形態によって行うことができる。
【0061】
以下、第1の形態について図6〜図11を用いて説明し、第2の形態について図12〜図19を用いて説明し、第3の形態について図20〜図23を用いて説明する。
【0062】
はじめに、第1の形態について説明する。図6は、画素値(SUV値)と臓器を特定するための閾値との関係を示す図であり、図7は画素値(SUV値)から臓器を特定する閾値を求める手順を説明するための図であり、図8は本発明の第1の形態による臓器領域特定装置の構成例を説明するための図であり、図9は本発明の第1の形態による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートであり、図10,11は本発明の第1の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【0063】
図6は、FDGの小脳への蓄積量を表すSUV値と、原画像データから肝臓および腎臓を特定するための閾値との関係を示す図である。
【0064】
図6に示す図は、対象者、症例、撮像条件等の測定条件を異にして複数の原画像データを取得し、これらの複数の原画像データについて、小脳のSUV値を求めると共に、肝臓および腎臓について手動で閾値を変更しながら各臓器を特定する操作を行うことによって得られる関係を示している。横軸は、小脳に相当する複数個のピクセルに付与されているSUV値の平均SUV値であり、縦軸は肝臓あるいは腎臓を特定した際に手動で求めた閾値を示している。ここでは、小脳に相当する複数個のピクセルに付与される複数個のSUV値を平均して得られる平均SUV値を用いることで、SUV値が変動することによる誤差を低減している。なお、横軸は平均SUV値に限らず、小脳のピクセルに付与される複数のSUV値の内で最も個数の多いSUV値を用いても良い。
【0065】
図6に示す関係から、肝臓を特定する閾値および腎臓を特定する閾値は、小脳のSUV値に対して所定の相関関係があることを示している。この相関関係を用いることによって、小脳の平均SUV値から、肝臓を特定する閾値あるいは腎臓を特定する閾値を求めることができる。
【0066】
なお、小脳はFDGのSUV値は他の臓器より高く、また形状から特定が容易であるため、閾値を用いることなく臓器を特定することができる。
【0067】
また、ここでは小脳の場合について示しているが、相関関係を定める臓器として肺を用いてもよい。肺はCT画像から特定することができるため、PET画像において閾値を用いることなく臓器を特定することができる。したがって、この相関関係において閾値を求める基準臓器は、PET画像において閾値を用いることなく特定することができる臓器であれば、小脳や肺の臓器に限らず採用することができる。
【0068】
図7(a)は、小脳の平均SUV値と臓器を特定する閾値との関係を模式的に示している。図7(a),(b)中の実線は肝臓の閾値についての相関関係を示し、破線は腎臓の閾値についての相関関係を示している。
【0069】
図7(b)において、小脳の平均SUV値が“a”である場合には、肝臓を特定する閾値は実線と交差する位置から閾値(SUV2)が求められ、腎臓を特定する閾値は破線と交差する位置から閾値(SUV3)が求められる。
【0070】
また、小脳の平均SUV値が“b”である場合には、肝臓を特定する閾値は実線と交差する位置から閾値(SUV4)が求められ、腎臓を特定する閾値は破線と交差する位置から閾値(SUV5)が求められる。
【0071】
この相関関係を用いることによって、対象者、症例、撮像条件等の測定条件の相違によってSUV値が変動した場合であっても、小脳のSUV値を基準として各臓器の閾値を求めることができる。
【0072】
本発明の第1の形態による臓器領域特定装置1の構成例は、図8に示すように、閾値を設定し対象臓器の領域を特定する演算部2と、記憶部3と、特定臓器設定部4とを備える。
【0073】
記憶部3は、PET像やCT像等の原画像データ3aと、平均SUV値と閾値との相関関係を表す相関データ3cと記憶する他、演算部2で求めた対象臓器の特定領域3bを記憶する。
【0074】
なお、原画像データ3aは、複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値(SUV値)から構成し、特定領域3bは対象臓器の位置を表すピクセルあるいは画素位置で構成し、相関データ3cは平均SUV値と閾値との関係を示す関係式あるいはデータテーブルで構成することができる。
【0075】
特定臓器設定部4は、原画像データ3aから小脳あるいは肺等の相関関係で基準となる臓器を特定する手段である。特定臓器として小脳を用いる場合には、特定臓器設定部4は原画像データ3a中から小脳に相当する高いSUV値のピクセルを抽出し、抽出した領域の形状と小脳の形状とを照らし合わせることによって、小脳の臓器を特定する。
【0076】
また、特定臓器として肺を用いる場合には、特定臓器設定部4は原画像データ3a中から肺の位置および形状に相当するピクセルを抽出することによって、肺の臓器を特定する。
【0077】
演算部2は、閾値を設定する閾値設定部2aと、原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した閾値とを比較する比較部2bと、比較部2bの比較結果に基づいて対象臓器の領域を特定する領域特定部2cと、平均SUV値を算出する平均SUV値算出部2dとを備える。
【0078】
平均SUV値算出部2dは、特定臓器設定部4で設定した小脳や肺等の特定臓器に相当するピクセルについて、そのピクセルに付与されている画素値であるSUV値を記憶部3中の原画像データ3aから読み出して平均値を求める。これは、記憶部3に記憶されている相関データに基づいて各対象臓器の閾値を読み出すために必要な平均SUV値を得るためである。
【0079】
なお、相関データにおいて、特定臓器のSUV値が平均SUV値でなく、最多値SUV値である場合には、平均SUV値算出部2dに代えて最多値SUV値算出部を用いる構成とする。
【0080】
以下、演算部2の演算動作例について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
平均SUV値算出部2dは、記憶部3の原画像データ3aからPET画像を読み込み、特定臓器設定部4で設定した特定臓器に相当するピクセルについて、そのピクセルに付与されているSUV値(画素値)を読み出し(S31)、読み出したSUV値について平均を求めて平均SUV値を算出する(S32)。
【0082】
閾値設定部2aは、平均SUV値算出部2dで算出した平均SUV値と、記憶3bに記憶する平均SUV値と閾値の相関データ3cとを用いて平均SUV値に対応する閾値を読み出し、読み出した閾値を各対象臓器の閾値として設定する(S33)。
【0083】
比較部2bは、記憶部3から読み出した原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した閾値とを比較し、閾値以上のSUV値を有するピクセルを抽出する(S34)。
【0084】
領域特定部2cは、比較部2bによる比較し抽出したピクセルに基づいて、対象臓器の領域を特定する。これによって、対象臓器の形状を求めることができる(S35)。
【0085】
特定した臓器領域は、記憶部3の臓器の特定領域3bに格納される。特定領域3bに格納された臓器領域は、以後の診断に用いられる。なお、特定した臓器領域は特定領域3bに格納する他に、原画像データ3aに付属させて記録する構成としたり、別装置に送信させる構成としてもよい。
【0086】
図10、図11は小脳の平均SUV値と閾値との相関を用いて設定したときの領域特定の一例であり、図10は図7(b)中の平均SUV値が“a”の場合を示し、図11は図7(b)中の平均SUV値が“b”の場合を示している。
【0087】
なお、図10、11では、ピクセル配列として縦方向に6ピクセル横方向に7ピクセルの場合を示し、各ピクセル中の数字はSUV値を表している。また、このSUV値は説明の便宜上から仮に定めたものであり、実際の数値を示すものではない
【0088】
図10に示す例は、SUV値が1〜3の場合を示している。図7(b)に示す小脳の平均SUV値と閾値との相関関係において、小脳の平均SUV値“a”に対して腎臓では閾値としてSUV値“3”が示され、肝臓では閾値としてSUV値“2”が示されている。
【0089】
ここで、腎臓を特定する閾値としてSUV値“3”を設定した場合には、図10(a)においてSUV値が“3”以上のピクセルを抽出することによって、図10(b)の領域が特定される。この特定領域は腎臓の領域に対応するものである。
【0090】
また、肝臓を特定する閾値としてSUV値“2”および“2”を設定した場合には、図10(c)においてSUV値が“2”以上で“3”に満たないピクセルを抽出することによって、図10(d)の領域が特定される。この特定領域は肝臓の領域に対応するものである。
【0091】
図11に示す例は、SUV値が2〜4の場合を示している。図7(b)に示す小脳の平均SUV値と閾値との相関関係において、小脳の平均SUV値“b”に対して腎臓では閾値としてSUV値“5”が示され、肝臓では閾値としてSUV値“4”が示されている。
【0092】
ここで、腎臓を特定する閾値としてSUV値“5”を設定した場合には、図11(a)においてSUV値が“5”以上のピクセルを抽出することによって、図11(b)の領域が特定される。この特定領域は腎臓の領域に対応するものである。
【0093】
また、肝臓を特定する閾値としてSUV値“4”および“5”を設定した場合には、図11(c)においてSUV値が“4”以上で“5”に満たないピクセルを抽出することによって、図11(d)の領域が特定される。この特定領域は肝臓の領域に対応するものである。
【0094】
次に、第2の形態について説明する。図12は、ピクセルに付与されたSUV値(画素値)とそのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを示す図であり、図13は本発明の第2の形態による臓器領域特定装置の構成例を説明するための図であり、図14は本発明の第2の形態による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートであり、図15,16は本発明の第2の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図であり、図17は本発明の第2の形態の別の例による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートであり、図18,19は本発明の第2の形態の別の例による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【0095】
図12に示すヒストグラムにおいて、図12(c)の実線は、肝臓に相当するピクセルに付与されたSUV値(画素値)とそのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数との関係を示し、図12(d)の破線は、腎臓に相当するピクセルに付与されたSUV値(画素値)とそのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数との関係を示し、図12(b)の一点鎖線は、その他の臓器に相当するピクセルに付与されたSUV値(画素値)とそのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数との関係を示し、図12(b)の一点鎖線は、その他の臓器に相当するピクセルに付与されたSUV値(画素値)とそのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数との関係を示し、図12(a)の太い破線は、原画像データ中のピクセルに付与されたSUV値(画素値)とそのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数との関係を示している。なお、ここでは、原画像データ中には、肝臓と腎臓とその他の臓器の画像データが含まれているものとしている。
【0096】
図12(a)に示す太い破線で示すヒストグラムは、腎臓と肝臓とその他の臓器の各ヒストグラムを重ね合わせたものに相当し、原画像データからはこのヒストグラムのみを取得することができ、腎臓、肝臓、およびその他の臓器の各ヒストグラムについては、各臓器の領域が特定されていないため取得することはできない。
【0097】
第2の形態では、このヒストグラムにおいて、臓器全体のヒストグラムで得られるピクセル位置と各臓器のヒストグラムで得られるピクセル位置とは、ほぼ同じ位置に表れることに注目し、このピーク位置から各臓器を特定する閾値を求めるものである。
【0098】
このヒストグラムのピーク位置を用いることによって、対象者、症例、撮像条件等の測定条件の相違によってSUV値が変動した場合であっても、原画像データに対応して各臓器の閾値を求めることができる。
【0099】
本発明の第2の形態による臓器領域特定装置1の構成例は、図13に示すように、閾値を設定し対象臓器の領域を特定する演算部2と、記憶部3とを備える。
【0100】
記憶部3は、PET像やCT像等の原画像データ3aと、演算部2で求めた対象臓器の特定領域3bを記憶する。
【0101】
なお、図8に示す構成例と同様に、原画像データ3aは複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値(SUV値)から構成し、特定領域3bは対象臓器の位置を表すピクセルあるいは画素位置で構成することができる。
【0102】
演算部2は、図8に示す構成例と同様に、閾値を設定する閾値設定部2aと、原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した閾値とを比較する比較部2bと、比較部2bの比較結果に基づいて対象臓器の領域を特定する領域特定部2cとを備える他に、ヒストグラムを形成するヒストグラム形成部2eとヒストグラムからピーク位置を検出するピーク検出部2fとを備える。
【0103】
ヒストグラム形成部2eは、原画像データの各ピクセルに付与されたSUV値(画素値)を用いて、SUV値(画素値)に対するピクセル数のヒストグラムを形成する。ピーク検出部2fは、形成したヒストグラムにおいて、ピクセル数がピークを示すSUV値を求める。
【0104】
以下、演算部2の演算動作例について図14のフローチャートを用いて説明する。ヒストグラム形成部2eは、記憶部3の原画像データ3aからPET画像を読み込み、原画像データの各ピクセルに付与されたSUV値(画素値)について、そのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数を計数することによってヒストグラムを形成する(S41)。
【0105】
ピーク検出部2fは、形成したヒストグラムにおいて、ピクセル数がピークを示すSUV値を求める(S42)。閾値設定部2aは、ピーク検出部2fで検出したピーク位置に相当するSUV値を、そのピーク位置に対応する臓器の閾値として設定する(S43)。
【0106】
比較部2bは、記憶部3から読み出した原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した閾値とを比較し、閾値以上のSUV値を有するピクセルを抽出する(S44)。
【0107】
領域特定部2cは、比較部2bの比較によって抽出したピクセルに基づいて、対象臓器の領域を特定する。これによって、対象臓器の形状を求めることができる(S45)。
【0108】
特定した臓器領域は、記憶部3の臓器の特定領域3bに格納される。特定領域3bに格納された臓器領域は、以後の診断に用いられる。なお、特定した臓器領域は特定領域3bに格納する他に、原画像データ3aに付属させて記録する構成としたり、別装置に送信させる構成としてもよい。
【0109】
図15、図16はヒストグラムを利用し、ヒストグラムのピーク位置から閾値を設定して領域を特定する一例であり、図15はヒストグラムが有する3つのピークの内で、最もSUV値が高いピークから閾値を設定した場合を示し、図16は3つのピークの内の2番目のピークから閾値を設定した場合を示している。
【0110】
なお、図15、16では、ピクセル中の数字は1〜6のSUV値を表しているが、このSUV値は説明の便宜上から仮に定めたものであり、実際の数値を示すものではない。
【0111】
図15、16に示す例において、ヒストグラムはSUV値が2,4,6の近傍でピークを示している。原画像データが含むデータが、腎臓、肝臓、およびその他の臓器を含む範囲である場合には、このヒストグラムは、腎臓、肝臓、およびその他の臓器の各ヒストグラムを重ね合わせたものに相当し、ピーク位置は各臓器のピーク位置と対応する。
【0112】
ここで、各臓器のピーク位置において、SUV値が最も低いピーク位置はその他の臓器のヒストグラムによるピーク位置に対応し、SUV値が中間のピーク位置は肝臓のヒストグラムによるピーク位置に対応し、SUV値が最も高いピーク位置は腎臓のヒストグラムによるピーク位置に対応している。
【0113】
図15(b)の原画像データに対して、図15(a)のヒストグラムでSUV値が最も高いピーク位置に対応するSUV値“6”を閾値とし、この閾値“6”以上のピクセルを抽出することによって、図15(c)の領域が特定される。この特定領域は腎臓の領域に対応するものである。
【0114】
図16(b)は、図15(b)の原画像データから図15(c)で示す腎臓の領域を除いた画像データを示している。この画像データに対して、図16(a)のヒストグラムでSUV値が2番目のピーク位置に対応するSUV値“4”を閾値とし、この閾値“4”以上のピクセルを抽出することによって、図16(c)の領域が特定される。この特定領域は肝臓の領域に対応するものである。
【0115】
次に、図17〜図19を用いて、ヒストグラムのピーク位置から閾値を設定して領域を特定する別の例について説明する。なお、この例は、図13に示して構成例と同様の構成とすることができる。
【0116】
図17のフローチャートを用いて説明する。ヒストグラム形成部2eは、記憶部3の原画像データ3aからPET画像を読み込み、原画像データの各ピクセルに付与されたSUV値(画素値)について、そのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数を計数することによってヒストグラムを形成する(S51)。
【0117】
ピーク検出部2fは、形成したヒストグラムにおいて、ピクセル数がピークを示すSUV値を求める(S52)。閾値設定部2aは、ピーク検出部2fで検出したピーク位置に相当するSUV値の前後に所定幅の範囲を設定して、この範囲の上下のSUV値をそのピーク位置に対応する臓器の上下の閾値として設定する(S53)。
【0118】
比較部2bは、記憶部3から読み出した原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した上下の閾値とを比較し、上下の閾値間に挟まれるSUV値を有するピクセルを抽出する(S54)。
【0119】
領域特定部2cは、比較部2bの比較によって抽出したピクセルに基づいて、対象臓器の領域を特定する。これによって、対象臓器の形状を求めることができる(S55)。
【0120】
特定した臓器領域は、記憶部3の臓器の特定領域3bに格納される。特定領域3bに格納された臓器領域は、以後の診断に用いられる。なお、特定した臓器領域は特定領域3bに格納する他に、原画像データ3aに付属させて記録する構成としたり、別装置に送信させる構成としてもよい。
【0121】
図18、図19はヒストグラムを利用し、ヒストグラムのピーク位置から上下の閾値を設定して領域を特定する例であり、図18はヒストグラムが有する3つのピークの内で、最もSUV値が高いピークから上下閾値を設定した場合を示し、図19は3つのピークの内の2番目のピークから上下閾値を設定した場合を示している。
【0122】
なお、図18、19では、ピクセル中の数字は1〜7のSUV値を表しているが、このSUV値は説明の便宜上から仮に定めたものであり、実際の数値を示すものではない。
【0123】
ピーク位置に対して上下に幅を持つ範囲は、そのピーク位置に対応する臓器のヒストグラムの拡がりにほぼ対応すると推定される。この例では、このヒストグラムの拡がりに対応して上下に閾値を設定することによって、臓器の領域を特定するものである。
【0124】
図18、19に示す例において、ヒストグラムはSUV値が2,4,6の近傍でピークを示している。原画像データが含むデータが、腎臓、肝臓、およびその他の臓器を含む範囲である場合には、このヒストグラムは、腎臓、肝臓、およびその他の臓器の各ヒストグラムを重ね合わせたものに相当し、ピーク位置は各臓器のピーク位置と対応する。
【0125】
ここで、各臓器のピーク位置において、SUV値が最も低いピーク位置はその他の臓器のヒストグラムによるピーク位置に対応し、SUV値が中間のピーク位置は肝臓のヒストグラムによるピーク位置に対応し、SUV値が最も高いピーク位置は腎臓のヒストグラムによるピーク位置に対応している。
【0126】
図18(b)の原画像データに対して、図18(a)のヒストグラムでSUV値が最も高いピーク位置に対応するSUV値“6”を挟んで上下に閾値を設定する。ここでは、下の閾値としてSUV値“5”を設定し、上の閾値としてSUV値“7”を設定する。この上下の閾値“5”から“7”のSUV値を有するピクセルを抽出することによって、図18(c)の領域が特定される。この特定領域は腎臓の領域に対応するものである。
【0127】
図19(b)の原画像データに対して、図19(a)のヒストグラムでSUV値が2番目のピーク位置に対応するSUV値“4”を挟んで上下に閾値を設定する。ここでは、下の閾値としてSUV値“3”を設定し、上の閾値としてSUV値“5”を設定する。この上下の閾値“3”から“5”のSUV値を有するピクセルを抽出することによって、図19(c)の領域が特定される。この特定領域は肝臓の領域に対応するものである。
【0128】
次に、本発明の第3の形態について説明する。
【0129】
第3の形態は、原画像データから形成したヒストグラムに、各臓器のプロファイルパターンを当てはめることによって対象臓器の画素値の分布を求め、このプロファイルパターンの画素値の分布から分散を求め、ピーク値を挟んで分散で定めた上下の画素値を上下の閾値とし、この上下の閾値間に存在するピクセルを抽出することで対象臓器を特定する閾値を定め、対象臓器を特定する閾値とする。
【0130】
図20は本発明の第3の形態による臓器領域特定装置の構成例を説明するための図であり、図21は本発明の第3の形態による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートであり、図22,23は本発明の第3の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【0131】
このヒストグラムのプロファイルパターンを用いることによって、対象者、症例、撮像条件等の測定条件の相違によってSUV値が変動した場合であっても、原画像データに対応して各臓器の閾値を求めることができる。
【0132】
本発明の第3の形態による臓器領域特定装置1の構成例は、図20に示すように、閾値を設定し対象臓器の領域を特定する演算部2と、記憶部3とを備える。
【0133】
記憶部3は、PET像やCT像等の原画像データ3aと、演算部2で求めた対象臓器の特定領域3bと、各臓器のヒストグラムパターン3dを記憶する。このヒストグラムパターンは、各臓器についてヒストグラムを形成した際のヒストグラムが表すプロファイルパターンである。このプロファイルパターンは、対象者、症例、撮像条件等の測定条件の相違によってSUV値が変動してピーク値や拡がり幅が変化した場合であっても、ヒストグラムの形状は同様であると推定される。なお、ヒストグラムパターン3dの大きさは規格化して記憶しておく。
【0134】
第3の形態は、ピーク値を合わせることでプロファイルパターンの大きさを定め、同じ分散値を用いることでSUV値(画素値)の範囲を定め、この範囲を用いて上下の閾値を定める。
【0135】
なお、図8に示す構成例と同様に、原画像データ3aは複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値(SUV値)から構成し、特定領域3bは対象臓器の位置を表すピクセルあるいは画素位置で構成することができる。
【0136】
演算部2は、図8に示す構成例と同様に、閾値を設定する閾値設定部2aと、原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した閾値とを比較する比較部2bと、比較部2bの比較結果に基づいて対象臓器の領域を特定する領域特定部2cとを備える他に、ヒストグラムを形成するヒストグラム形成部2gと、各対象臓器の分散する分散算出部2hとを備える。
【0137】
ヒストグラム形成部2eは、原画像データの各ピクセルに付与されたSUV値(画素値)を用いて、SUV値(画素値)に対するピクセル数のヒストグラムを形成する。分散算出部2hは、形成したヒストグラムにおいて、プロファイルパターンをヒストグラムにピーク位置を合わせて対照させることによって、各対象臓器の分布状態を表す分散値を求める。この分散値は、ヒストグラムのピーク位置と共に画素値(SUV値)の上下の閾値を定める値として用いられる。
【0138】
次に、図21のフローチャートおよび図22,23の動作説明図を用いて、ヒストグラムのプロファイルパターンから閾値を設定して領域を特定する動作例について説明する。
【0139】
ヒストグラム形成部2gは、記憶部3の原画像データ3aからPET画像を読み込み、原画像データの各ピクセルに付与されたSUV値(画素値)について、そのSUV値(画素値)が付与されているピクセル数を計数することによってヒストグラムを形成する(S61)。
【0140】
分散算出部2hは、形成したヒストグラムにおいて、ピクセル数がピークを示すSUV値を求めると共に(S62)、記憶部3から対象臓器のヒストグラムパターン3dを読み出し、読み出したヒストグラムパターン3dをピーク値に合わせて拡大・縮小する。
【0141】
前記したように、ヒストグラムは予め想定される対象臓器のヒストグラムを重ね合わせることで得られ、ヒストグラムのピーク位置は各対象臓器のヒストグラムのピーク位置とほぼ対応している。
【0142】
本発明は、ヒストグラムが有する各ピーク位置に対して、そのピーク位置に対応する臓器のヒストグラムパターンのピーク位置を合わせ、ピーク値が一致するようにヒストグラムパターン3dを拡大・縮小させることで、対象臓器のヒストグラムを推定する(S64)。
【0143】
第3の形態では、対象臓器のヒストグラムの所定の拡がりの範囲内にあるピクセルを対象臓器のピクセルとして抽出する。この所定の拡がりは、ヒストグラムの分散σを用いて定める。
【0144】
S64で形成した各対象臓器のヒストグラムから分散σを算出する。閾値設定部2aは、nσの範囲をピクセルを抽出する画素値(SUV値)の範囲とし、ピーク値の画素値(SUV値)からnσを減算した値を下の閾値とし、ピーク値の画素値(SUV値)にnσを加算した値を上の閾値として設定する。なお、“n”は、各対象臓器のヒストグラムの重なり等を配慮して任意に設定することができる(S65)。
【0145】
比較部2bは、記憶部3から読み出した原画像データ3aと閾値設定部2aで設定した上下の閾値とを比較し、上下の閾値間に挟まれるSUV値を有するピクセルを抽出する(S66)。
【0146】
領域特定部2cは、比較部2bの比較によって抽出したピクセルに基づいて、対象臓器の領域を特定する。これによって、対象臓器の形状を求めることができる(S67)。
【0147】
特定した臓器領域は、記憶部3の臓器の特定領域3bに格納される。特定領域3bに格納された臓器領域は、以後の診断に用いられる。なお、特定した臓器領域は特定領域3bに格納する他に、原画像データ3aに付属させて記録する構成としたり、別装置に送信させる構成としてもよい。
【0148】
図22、図23はヒストグラムを利用し、ヒストグラムのプロファイルパターンから閾値を設定して領域を特定する例であり、図22はヒストグラムが有する3つのピークの内で、最もSUV値が高いピークから上下閾値を設定した場合を示し、図23は3つのピークの内の2番目のピークから上下閾値を設定した場合を示している。
【0149】
なお、図22、23では、ピクセル中の数字は1〜7のSUV値を表しているが、このSUV値は説明の便宜上から仮に定めたものであり、実際の数値を示すものではない。
【0150】
ピーク位置に対して上下に幅を持つ範囲は、そのピーク位置に対応する臓器のヒストグラムの拡がりにほぼ対応すると推定される。この例では、このヒストグラムの拡がりに対応して上下に閾値を設定することによって、臓器の領域を特定するものである。
【0151】
図22、23に示す例において、ヒストグラムはSUV値が2,4,6の近傍でピークを示している。原画像データが含むデータが、腎臓、肝臓、およびその他の臓器を含む範囲である場合には、このヒストグラムは、腎臓、肝臓、およびその他の臓器の各ヒストグラムを重ね合わせたものに相当し、ピーク位置は各臓器のピーク位置と対応する。
【0152】
ここで、各臓器のピーク位置において、SUV値が最も低いピーク位置はその他の臓器のヒストグラムによるピーク位置に対応し、SUV値が中間のピーク位置は肝臓のヒストグラムによるピーク位置に対応し、SUV値が最も高いピーク位置は腎臓のヒストグラムによるピーク位置に対応している。
【0153】
図22(b)の原画像データに対して、図22(a)のヒストグラムでSUV値が最も高いピーク位置に対応するSUV値“6”に対して腎臓のヒストグラムパターンを当てはめ、ピーク値が一致するようにヒストグラムパターンの大きさを合わせる。形成したヒストグラムパターンの分散σを用い、ピーク位置の上下にnσの幅の範囲で閾値を設定する。ここでは、下の閾値としてSUV値“5”を設定し、上の閾値としてSUV値“6”を設定する。この上下の閾値“5”から“6”のSUV値を有するピクセルを抽出することによって、図22(c)の領域が特定される。この特定領域は腎臓の領域に対応するものである。
【0154】
図23(b)の原画像データに対して、図23(a)のヒストグラムでSUV値が2番目のピーク位置に対応するSUV値“4”を挟んで上下に閾値を設定する。
【0155】
この場合には、図23(a)のヒストグラムでSUV値が2番目のピーク位置に対応するSUV値“4”に対して肝臓のヒストグラムパターンを当てはめ、ピーク値が一致するようにヒストグラムパターンの大きさを合わせ、形成したヒストグラムパターンの分散σを用いてピーク位置の上下にnσの幅の範囲で閾値を設定する。
【0156】
ここでは、下の閾値としてSUV値“3”を設定し、上の閾値としてSUV値“5”を設定する。この上下の閾値“3”から“5”のSUV値を有するピクセルを抽出することによって、図23(c)の領域が特定される。この特定領域は肝臓の領域に対応するものである。
【0157】
上記した実施形態では、肝臓と腎臓の臓器領域を特定する例について示しているが、肝臓や腎臓に限らず他の臓器についても適用することができる。
【0158】
第1の形態では、基準となる臓器として小脳、肺の臓器について示しているが、閾値に依らず形状等の特徴から特定できる他の臓器を基準として閾値を設定することもできる。また、第2、3の形態で特定した臓器を基準として、さらに別の臓器の閾値を設定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明の臓器領域特定に係わる技術は、医療分野に限らず、所定の判断手法や判断基準に基づいて推定操作を行う一連の操作を有する診断操作を行う分野に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】PET画像のFDGの集積の程度とCT相の放射線の透過の程度を示す図である。
【図2】PET−CT画像を用いた診断手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】原画像データから臓器領域を特定する工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】抽出領域から候補領域を特定する手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】抽出領域から候補領域を特定する手順を説明するための説明図である。
【図6】画素値(SUV値)と臓器を特定するための閾値との関係を示す図である。
【図7】画素値(SUV値)から臓器を特定する閾値を求める手順を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の形態による臓器領域特定装置の構成例を説明するための図である。
【図9】本発明の第1の形態による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第1の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図11】本発明の第1の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図12】SUV値(画素値)とピクセル数との関係を表すヒストグラムを示す図である。
【図13】本発明の第2の形態による臓器領域特定装置の構成例を説明するための図である。
【図14】発明の第2の形態による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の第2の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図16】本発明の第2の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図17】本発明の第2の形態の別の例による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第2の形態の別の例による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図19】本発明の第2の形態の別の例による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図20】本発明の第3の形態による臓器領域特定装置の構成例を説明するための図である。
【図21】本発明の第3の形態による臓器領域特定の動作を説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明の第3の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【図23】本発明の第3の形態による臓器領域特定の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0161】
1 臓器領域特定装置
2 演算部
2a 閾値設定部
2b 比較部
2c 領域特定部
2d SUV平均値算出部
2e ヒストグラム形成部
2f ピーク検出部
2g ヒストグラム形成部
2h 分散算出部
3 記憶部
3a 原画像データ
3b 特定領域
3c 相関データ
3d ヒストグラムパターン
4 特定部位設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断機器により得られる医学画像の原画像データから複数の対象臓器が存在する各領域を特定する方法であり、
前記原画像データは複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値とを含み、
各対象臓器に対応する閾値を設定する工程と、
前記画素値と前記閾値とを比較してピクセルを抽出する工程と、
前記抽出したピクセルに基づいて対象臓器の領域を特定する工程とを備え、
前記閾値を設定する工程は、各原画像データ毎に、その原画像データの各ピクセルに付与された画素値から対象臓器毎に閾値を設定することを特徴とする臓器領域特定方法。
【請求項2】
対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値と、対象臓器を特定する閾値との相関関係を予め求めておき、
前記閾値を設定する工程は、
前記原画像データから所定臓器のピクセルに付与された画素値を求め、
前記相関関係に基づいて所定臓器の画素値に対する閾値を求め、
求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値として設定することを特徴とする、請求項1に記載の臓器領域特定方法。
【請求項3】
前記所定臓器は小脳又は肺であり、前記相関関係において、所定臓器に付与される画素値は小脳又は肺に対応するピクセルの画素値の平均値であることを特徴とする、請求項2に記載の臓器領域特定方法。
【請求項4】
前記閾値を設定する工程は、
前記原画像データに基づいて、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成し、
前記ヒストグラムにおいてピクセル数のピークに対応する画素値を求め、
求めた画素値を、対象臓器を特定する閾値として設定することを特徴とする、請求項1に記載の臓器領域特定方法。
【請求項5】
対象臓器について、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムのプロファイルパターンを予め求めておき、
前記閾値を設定する工程は、
前記原画像データに基づいて、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成し、
前記原画像データから形成したヒストグラムに前記プロファイルパターンを当てはめることによって対象臓器の画素値の分布を求め、当該画素値の分布の分散から閾値を求め、
求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値を求めることを特徴とする、請求項1に記載の臓器領域特定方法。
【請求項6】
前記原画像データはPET画像データであり、前記ピクセルに付与された値はSUV値であることを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載の臓器領域特定方法。
【請求項7】
診断機器により得られる医学画像の原画像データから複数の対象臓器が存在する各領域を特定する装置であり、
前記原画像データは複数のピクセルと各ピクセルに付与された画素値とを含み、
診断機器により得られる医学画像の原画像データと、この原画像データから臓器を特定して得られる対象臓器の領域を記憶する記憶部と、
対象臓器の領域を求めて前記記憶部に記憶させる演算部とを備え、
前記演算部は、
各対象臓器に対応する閾値を設定する閾値設定部と、
前記画素値と前記閾値とを比較してピクセルを抽出する比較・抽出部と、
前記抽出したピクセルに基づいて対象臓器の領域を特定する領域特定部とを備え、
閾値設定部は、各原画像データ毎に、その原画像データの各ピクセルに付与された画素値から対象臓器毎に閾値を設定することを特徴とする臓器領域特定装置。
【請求項8】
前記記憶部は、対象臓器以外の所定臓器に付与される画素値と、対象臓器を特定する閾値との相関関係を記憶し、
前記閾値設定部は、
原画像データから所定臓器のピクセルに付与された画素値を読み出し、
前記記憶部から相関関係を読み出し、
読み出した相関関係に基づいて所定臓器の画素値に対する閾値を求め、求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値として設定することを特徴とする、請求項7に記載の臓器領域特定装置。
【請求項9】
前記所定臓器は小脳又は肺であり、
前記記憶部に記憶される相関関係において、所定臓器に付与される画素値は小脳又は肺に対応するピクセルの画素値の平均値であることを特徴とする、請求項8に記載の臓器領域特定装置。
【請求項10】
前記記憶部に記憶する原画像データから前記所定臓器に対応するピクセルに付与された画素値を読み出し、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成するヒストグラム形成部と、
前記ヒストグラムにおいてピクセル数のピークに対応する画素値を求めるピーク検出部とを備え、
前記閾値設定部は、
前記ピーク検出部で求めた画素値を、対象臓器を特定する閾値として設定することを特徴とする、請求項7に記載の臓器領域特定装置。
【請求項11】
前記記憶部は、対象臓器について、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムのプロファイルパターンを記憶し、
前記記憶部に記憶する原画像データから前記所定臓器に対応するピクセルに付与された画素値を読み出し、ピクセルに付与された画素値とその画素値が付与されているピクセル数との関係を表すヒストグラムを形成するヒストグラム形成部と、
前記ヒストグラム形成部で形成したヒストグラムに記憶部に記憶するプロファイルパターンを当てはめることによって対象臓器の画素値の分布を求める分布算出部とを備え、
前記閾値設定部は、
前記分布算出部で算出して画素値の分布の分散から閾値を求め、求めた閾値を、対象臓器を特定する閾値を求めることを特徴とする、請求項7に記載の臓器領域特定装置。
【請求項12】
前記原画像データはPET画像データであり、前記ピクセルに付与された値はSUV値であることを特徴とする、請求項7から11の何れか一つに記載の臓器領域特定装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−219610(P2009−219610A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66264(P2008−66264)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(801000038)よこはまティーエルオー株式会社 (31)
【Fターム(参考)】