説明

臨床分析機によって分析される液体サンプルおよび容器の中の干渉物質および物理的寸法を確定するための方法ならびに装置

たとえばサンプルを、赤血球部分、および、血清部分または血漿部分に分離するための遠心分離装置にサンプルをかけることによって、臨床検査血液サンプルの中に検出される可能性を有する1以上の干渉物質の有無について、臨床サンプルの検査方法が提供される。遠心分離の手順に続いて、臨床検査サンプルの血清部分または血漿部分は、1以上の干渉物質、たとえば溶血、黄疸、脂肪血症、または、その中の不均質な液体の有無について試験することができる。加えて、サンプル容器および/またはサンプルの物理的寸法特性を判定することができる。装置が、方法を実施するための他の態様として説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、その開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、2009年8月13日に出願され、「Method And Apparatus For Ascertaining Interferents In Liquid Samples To Be Analyzed By A Clinical Analyzer」と題された米国仮出願第61/274,199号の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、液体サンプルの試験のための方法および装置、より具体的には、液体サンプルの中の成分の有無を判定するための方法および装置に関するものである。
【0003】
背景技術
幅広く多様な自動化された化学分析機が当該技術分野において公知であり、分析メニューおよびスループットを増加させ、所要時間を減らし、ならびに必須サンプル量を減少させるために継続的に改良されている。これらの臨床分析機は、試薬を用いて解析を実施して、体液サンプル、たとえば尿、血清、血漿、脳脊髄液などの中の分析対象物を識別する。便宜上および安全性の理由で、これらの液体サンプルは、ほぼ一般的にフタ付きサンプル容器(例えば、サンプル管)の中に収容される。解析反応は、サンプル中の分析対象物の濃度を判定するために処理されることができるさまざまな信号を生成する。たとえば、本出願人が権利者であり、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,101,715号および第5,985,672号を参照されたい。臨床分析機技術における改良は、研究室自動化システム(LAS)と呼ばれる自動化分析前サンプル前処理システムによって、分析前サンプルの前処理、および取り扱い動作、たとえば分類、バッチ前処理、サンプルの構成成分を分離するためのサンプル管の遠心分離、液体の利用を容易にするためのフタの取り外しなどにおいて、対応する進歩を伴ってきた。LASは、サンプル管の中のサンプルを、共に本明細書に引用される米国特許第6,984,527号および第6,442,440号に記述されているように「互いにリンクされて」いる数々の分析前サンプルの処理装置へ自動的に搬送する。
【0004】
これらのLASは、標準的にバーコードラベルが付いて空にされたサンプル管に収容される数々の異なる患者のサンプルを取り扱うことができる。バーコードラベルは、試験順序および他の所望の情報とともに、病院の研究室情報システム(LIS)に入力されることがある人口統計学的な属性情報にリンクおよび関連付けられることがある受託番号を包含することができる。オペレータは、サンプルが同様にLASに「リンクされている」可能性がある1以上の分析装置による臨床分析にかけられる前に、たとえば遠心分離、フタの除去、および分割する前処理のような検査前オペレーションのための必須の処理装置へ向けて、サンプル管を自動的に分類及び経路決めをすることができるLASシステムへ、ラベル付きのサンプル容器(例えば、管)を置くことができる。
【0005】
ある種の臨床解析のために、(遠心分離によって全血から得られた)血清部分または血漿部分が、臨床分析で用いられることがある。凝固を防止するために、抗凝固剤、たとえばクエン酸塩またはヘパリンを、最初に得られた直後に血液サンプルに添加することができる。代替として、抗凝固剤を、患者のサンプルを得る前に空のサンプル容器(例えば、管)に置いてもよい。赤血球部分から血清部分または血漿部分を分離するために、サンプルは後工程で遠心分離されてもよい。血清部分または血漿部分から赤血球部分を分離するのを補助するために、サンプル容器に血清分離剤を添加することができる。
【0006】
遠心分離およびそれに続くフタの除去処理後に、開いたサンプル容器(例えば、管)を、サンプル容器から液体サンプルを抜き取ること、および特別の反応容器(例えば、キュベットまたはカップ)の中でサンプルを1以上の試薬と混合することができるような、適切な臨床分析機へ搬送することができる。そして、多くの場合、分析ための測定を実施することができ、たとえば、光度測定または蛍光定量的吸収の指示値などによる、サンプルと試薬の混合物と相互作用する識別放射ビームが用いられる。測定は、周知の較正技術を用いて判定することができた患者の健康に関連した分析対象物の量から、終点または進度値の判定を可能にする。残念ながら、ある既存のサンプル条件または処理の結果として、サンプル中のある種の成分(例えば、着色された干渉物質)の有無が、臨床分析機から得た分析対象物の測定結果の精度に悪影響を与えることがある。
【0007】
場合によっては、サンプルの血清部分または血漿部分の完全性が、結果、すなわち臨床分析機の分析対象物の測定値の解釈に影響を与えることがある。たとえば、患者の病状に関連しない血清部分または血漿部分の分析前の変量が、患者の病状の異なる解釈の原因となることがある。分析前変量には、溶血(砕けた赤血球)、黄疸(ビリルビン過剰)、および脂肪血症(認識可能な高脂質含量)を含む。
【0008】
一般的には、サンプルの血清部分または血漿部分の完全性は、熟練した研究室技術者によって視覚的に検査される。これは、サンプルの血清部分または血漿部分の色の点検を含むことができる。通常の血清部分または血漿部分は、薄黄色から薄琥珀色を有する。代わりに、溶血を包含する血清部分または血漿部分は、かなり赤みがかった色になることがある。この場合の干渉物質、たとえば、過剰な数の赤血球は、おそらく静脈穿刺や遠心分離の間に、または長期保存の後に損傷を受けると、生じることがある。赤血球が傷つけられると、サンプルの中へ低密度で赤みがかった色のヘモグロビンを放出して、サンプルが「溶血」を呈すると言われる赤みがかった色の原因となる。遊離ヘモグロビン(Hb)の有無は、溶血度を測定するために用いることができ、ヘモグロビン濃度が約20mg/dlを超過すると、ヘモグロビンは、サンプルに包含された赤みがかった干渉物質により、臨床分析機内での分析対象物の比色定量に干渉することがある。
【0009】
黄疸を包含するサンプルは、暗黄色/茶色になることがある。この場合の干渉物質は、たとえば、崩壊する赤血球が脾臓でビリルビンに変換される結果、過剰なビリルビンから生じることがある。2〜3mg/dlを超えるレベルのビリルビンは明白に黄色がかっていて、特に酵素系免疫測定に悪影響を与えることがある。このような状態は、ビリルビン血症または黄疸と称される。
【0010】
脂肪血症を包含するサンプルは、白色がかっていることがある。この場合の干渉物質は、たとえば、過剰な脂質の存在により、血清部分または血漿部分の中に白色がかった外観で生じることがある。このような状態は脂肪血症と呼ばれ、約50mg/dlを超えるレベルの脂質は、免疫測定における抗体結合に干渉することがあり、それに応じて免疫測定結果にも影響を与えることがある。
【0011】
このようにして、血清サンプル中の赤色度は、サンプルの血清部分または血漿部分に存在する溶血量に対応することができ、暗黄色/茶色度は、サンプルの血清部分または血漿部分に存在する黄疸量に対応することができ、白色がかった着色度は、サンプルの血清部分または血漿部分に存在する脂肪血症量に対応することができる。
【0012】
遠心分離に続いて、赤血球部分が血清部分または血漿部分から分離されていたら、熟練した技術者は血清部分または血漿部分を視覚的に検査することができ、通常の薄黄色から薄琥珀色を有しないと判断されると、そのサンプルは廃棄されることがある。あるいはまた、サンプルは順序どおりに処理および分析される。しかしながら、目視検査は、非常に主観的で、労働集約的であり、および人為的過誤の可能性をはらんでいる。このようにして、サンプルの血清部分または血漿部分の中に溶血、黄疸、および脂肪血症(これら3つの状態は、たびたび「HIL」と呼ばれる)が存在するかどうかを確定するために、さまざまな方法が実施されてきた。
【0013】
一般的には、研究室技術者が、色に基づいて、サンプルの血清および血漿部分に溶血指数、黄疸指数、および脂肪血症指数を割り当てる。溶血指数、黄疸指数、および脂肪血症指数の値に基づいて、臨床分析機からの結果の解釈を評価することができる。代わりに、溶血指数、黄疸指数、および脂肪血症指数のうち1以上の値が高すぎると、臨床分析機による分析をせずにサンプルを廃棄してもよい。
【0014】
上述のように、目視検査は労働集約的であり、費用が高くつくことがある。さらにまた、目視検査には人為的過誤の可能性が存在し、目視検査の結果は大変主観的になることがあり、作業者間でばらつくことがあり、1つのばらつきが他のばらつきを分からなく、または隠しうる。さらにまた、密閉容器へのサンプル採取、容器上へ直接のバーコードラベル、および、自動化臨床分析機を使用する場合では、多くの例において、研究室技術者が、サンプルの血清部分または血漿部分を視覚的に認めるための明確な機会を、単純に、有しないことがある。そのため、研究室技術者による目視検査を使用せずに、サンプルの血清部分または血漿部分の完全性を評価することがますます重要になっている。
【0015】
この問題を解決するための1つの試みは、サンプルの血清部分または血漿部分を臨床分析機のキュベットの1つへ移動させた後に、その血清部分または血漿部分を光学的に検査することを含む。臨床分析機の中のサンプルの光学的特性を測定することは、目視検査の必要性をなくす。しかしながら、この試験は臨床分析機の総作動時間を利用し、サンプルの完全性が不全であると判定されると、追加された作動時間および作動サイクルが無駄になる。さらにまた、この手順は、サンプルの血清部分または血漿部分を加える前にキュベットへ試薬を添加する臨床分析機には用いることができない。
【0016】
米国特許第5,734,468号は、プローブの実質的に透明な部分を通してプローブ内腔の中の血清サンプルの分光光度法による分析を実施する検出器で、血清サンプルを監視することを開示する。分光光度法による分析から、血清サンプルの溶血指数、黄疸指数、および、脂肪血症指数を定めることができる。これらの血清指数に基づいて、血清サンプルを更なる試験のための臨床分析機へ移送することができ、または、サンプル不全のため処分することができる。
【0017】
米国特許第6,372,503号は、血漿または血清サンプルの中の溶血、濁度、ビリルビン血症、およびビリベルジン血症の量を、別々に、または任意の2つ、または任意の3つ、または同時に4つ全て、のいずれかで評価する機器のための、機器較正を監視するために用いられるか、または、再較正するために用いられる品質管理用材料を開示する。
【0018】
米国特許第6,628,395号は、オリジナルの到着した容器から取り外される前および臨床分析機へ移送される前の、最初の受入れたサンプル容器の中でHILについてサンプルを予備的に試験することを開示する。この手法では、サンプルは消滅されず、評価結果に基づいて、臨床分析機または、廃棄物収容部へ移送することができる。
【0019】
米国第6,353,471号は、(1)サンプルに少なくとも1つの発光周波数で照射すること;(2)干渉物質の濃度を判定するために、サンプルによる放射光の吸光度を干渉物質の基準値に関連付けること;および、(3)干渉物質の濃度が判定基準を超過するとサンプルを受け付けないようにすること:によって、サンプルの中の少なくとも1つの干渉物質の濃度判定に基づいて、サンプルのさらなる分析を受け付けないようにするための方法を開示する。
【0020】
分光光度法による分析を実施するにあたっての1つの課題は、サンプルが、最初に、多様な第一次の患者のサンプル収集容器(「サンプル容器」)で得られることであった。これらのサンプル容器は、通常、直径および長さにばらつきのある管状容器である。患者の血液サンプルの場合、細胞の相(例えば、赤血球部分)から、液体の血清部分または血漿部分が遠心分離で分離されることが多い。このようなサンプル容器は、患者の識別ラベルを有することができ、サンプル全体の中で分析される血清部分または血漿部分の量は変化して予測不能であるので、比較的大量のサンプル液体を収容する。
【0021】
このような干渉物質の有無を判定するように適応された方法および装置に対しては、臨床分析される液体サンプルの中に内在性干渉物質が包含されるときに直面する問題により、満たされていない要求がある。その方法および装置は、分析試験結果が得られる速度へ評価可能な程度に悪影響を与えるべきでなく、このような判定の精度に影響を与えないように、比較的大きいサンプル部分について判定することが可能であるべきである。さらにまた、その方法および装置は、ラベルが付けられた状態のサンプル容器であっても用いることができるべきである。
【発明の概要】
【0022】
本発明の第1の態様によれば、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定する方法が提供される。その方法は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを通して放射ビームを送出させること;サンプル容器を通して送出される放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析することを含む。
【0023】
本発明の別の態様によれば、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定する方法が提供される。その方法は、サンプル容器を通して放射ビームを送出させること;サンプル容器を通して送出される放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、臨床検査サンプルの物理的寸法特性を判定するように検査することを含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、特性を判定する方法が提供される。その方法は、臨床分析サンプルを収容するように適応されたサンプル容器を通して放射ビームを送出させること;サンプル容器を通して送出された放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、サンプル容器の物理的寸法特性を判定するように分析することを含む。
【0025】
本発明の別の態様によれば、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するように適応された装置が提供される。その装置は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを通して放射ビームを送出させるように適応された放射光源;サンプル容器を通して送出されるような放射ビームを検出するように適応された放射光検出デバイス;および、検出された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するようにして分析するように適応されたコンピュータを含む。
【0026】
本発明の別の態様によれば、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するように適応された方法が提供される。その方法は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルへ放射ビームを送出させること;臨床分析サンプルによって反射された放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように検査することを含む。
【0027】
本発明の別の態様において、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するように適応された方法が提供される。その方法は、サンプル容器へ放射ビームを送出させること;サンプル容器の中の臨床分析サンプルによって反射された放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、臨床分析サンプルの物理的寸法特性を判定するように検査することを含む。
【0028】
本発明の別の態様は、物理的特性を判定するように適応された方法を提供する。その方法は、臨床分析サンプルを収容するように適応されたサンプル容器を提供すること;サンプル容器へ放射ビームを送出させること;サンプル容器によって反射された放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、サンプル容器の物理的寸法特性を判定するように検査することを含む。
【0029】
本発明のまた別の態様によれば、特性を判定するように適応された方法が提供される。その方法は、臨床分析サンプルを収容するサンプル容器へ放射ビームを送出させること;サンプル容器の中の臨床分析サンプルによって反射された放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、臨床分析サンプルの物理的寸法特性、サンプル容器の物理的寸法特性、および、臨床分析サンプルの中の干渉物質の有無からなる群から選択される少なくとも1つを判定するように分析することを含む。
【0030】
本発明の別の態様において、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを検査するための装置が提供される。その装置は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルへビームを送出させるように適応された放射光源;サンプル容器によって反射された放射ビームを検出するように位置づけられる放射光検出デバイス;および、検出された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析するように適応されたコンピュータを含む。
【0031】
本発明のまた別の態様によれば、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定する方法が提供される。その方法は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルにおいて放射ビームを送出させること;サンプル容器を通して送出されるか、または臨床分析サンプルから反射された放射ビームを検出すること;および、検出された放射ビームを、1以上の干渉物質が、脂肪血症、溶血、および黄疸からなる群から選択される、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析することを含む。
【0032】
本発明のさらに他の態様、特徴、および利点は、本発明を実施するために考慮された最良の形態を含む数々の例示的な実施形態および実施例が例示されることによって、以下の詳細な説明から容易に明らかにすることができる。本発明は他のおよび異なる実施形態でも可能であることができ、そのいくつかの詳細はさまざまな面で変更することができるが、全ては本発明の趣旨および範囲から逸脱しない範囲である。したがって、図面および記載は、本質的に説明であって制限ではないとみなされるものである。図面は、縮尺通りに描かれるとは限らない。本発明は、本発明の趣旨および範囲内の全ての変形例、均等物、および代替物をカバーする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】本発明を有利に採用することができる1以上の分析前サンプルの品質管理装置および分析装置と協働して制御されるコンベアを含む自動化サンプル取り扱いシステムの概略平面図である。
【図1B】本発明の態様により干渉物質の有無または物理的寸法特性について分析することができる遠心分離されたサンプルを含むラベル付きサンプル容器の側面図である。
【図1C】図1Aの自動化サンプル取扱システムの1以上の臨床分析機によって自動的に処理される前に、干渉物質の有無または物理的寸法特性について自動的に分析するように適応されたサンプルの品質管理装置の実施形態の概略上面図である。
【図1D】臨床分析サンプルの中の干渉物質の有無について自動的に分析するように適応された方法のフローチャートである。
【図2A】臨床分析サンプルまたはサンプル容器の干渉物質の有無または物理的寸法特性について分析するように適応されたサンプルの品質管理装置の別の実施形態の概略側面図である。
【図2B】図2Aのサンプルの品質管理装置の一部分の概略上面図である。
【図2C】本発明の態様による方法を説明するフローチャートである。
【図2D】本発明の態様による方法を説明するフローチャートである。
【図2E】図2Aのサンプルの品質管理装置によって生成されるさまざまなサンプルおよびサンプル容器状態についての放射光反射画像の概略側面図である。
【図2F】図2Aのサンプルの品質管理装置によって生成されるさまざまなサンプルおよびサンプル容器状態についての放射光反射画像の概略側面図である。
【図2G】図2Aのサンプルの品質管理装置によって生成されるさまざまなサンプルおよびサンプル容器状態についての放射光反射画像の概略側面図である。
【図2H】図2Aのサンプルの品質管理装置によって生成されるさまざまなサンプルおよびサンプル容器状態についての放射光反射の実際の側面画像である。
【図2I】図2Aのサンプルの品質管理装置によって生成されるさまざまなサンプルおよびサンプル容器状態についての放射光反射の実際の側面画像である。
【図3】正常サンプルを収容するサンプル容器からの放射光反射の代表説明図である。
【図4】脂肪血症の量が上昇したサンプル、すなわち脂肪血症サンプルを有するサンプル容器からの放射光反射の代表説明図である。
【図5A】基準サンプルを収容するサンプル容器の説明図である。
【図5B】溶血の量が事前に定められた閾値を超えて上昇したサンプルを有するサンプル容器の説明図である。
【図5C】本発明の態様により溶血を検出する方法を説明するフローチャートである。
【図5D】本発明の態様により黄疸を検出する方法を説明するフローチャートである。
【図6】サンプル容器の長手方向のZ軸に沿った放射光源(例えば、レーザ)から垂直に指向されたレーザのライン(列)を提供するように適応された装置の側面説明図である。
【図7】サンプル容器の長手方向のZ軸に沿って放射光源(例えば、レーザ)からビーム(スポット)をスイープするように適応された装置の側面説明図である。
【0034】
定義
本願において用いられる以下の用語は、以下の意味を有する:
「サンプル管」とは、患者から血液を収集するために用いられる血液収集管を意味する。しかしながら、サンプル管は、血液を受け入れ収容するように適応された任意の構造的構成、たとえば管状、わずかに円錐状等を含んでもよい。加えて、サンプル管は、患者からの血液の最初の収集のために用いられてもよいし、または別の容器に収集した後で血液をサンプル管へ移送してもよい。適切な血液収集管は、New Jersey州Franklin LakesにあるBecton Dickinson製である。
【0035】
「血清変量」とは、臨床分析機の結果の精度に影響を与えることがある血清部分または血漿部分における溶血、黄疸、脂肪血症、および他の変量を意味し、含む。
【0036】
「干渉物質」とは、臨床分析機の結果の解釈に影響を与えることがある任意の血清変量、任意の病状、および/または任意の不透明度、着色、または微パーティクルを意味し、含む。
【0037】
「溶血指数」とは、サンプル(試料)の中に存在する溶血の算定含量に基づいて、特定のサンプルに付与される評価を意味する。一般的に、目視観察のための評価尺度は、ゼロから4(0〜4)の範囲である。ゼロは、実質的に溶血がないことを表し、その一方で4は顕著な溶血を表す。代わりに、尺度は、0〜10、0〜20、A〜F、または他の何らかの範囲であり得る。
【0038】
「黄疸指数」とは、サンプル(試料)の中に存在する黄疸の算定含量に基づいて、特定のサンプルに付与される評価を意味する。一般的に、目視観察のための評価尺度は、ゼロから4(0〜4)の範囲である。同様に、ゼロは、実質的に黄疸がないことを表し、その一方で4は黄疸が顕著に存在することを表す。代わりに、尺度は、0〜10、0〜20、A〜F、または他の何らかの範囲であり得る。
【0039】
「脂肪血症指数」とは、サンプル(試料)の中に存在する脂肪血症の算定含量に基づいて、特定のサンプルに付与される評価を意味する。一般的に、目視観察のための評価尺度は、ゼロから4(0〜4)の範囲である。同様に、ゼロは、実質的に脂肪血症がないことを表し、その一方で4は脂肪血症が顕著に存在することを表す。代わりに、尺度は、0〜10、0〜20、A〜F、または他の何らかの範囲であり得る。
【0040】
「血清指数」とは、溶血指数、黄疸指数、および脂肪血症指数を意味し、含む。
【0041】
「所定の値」とは、試験のためのサンプルの完全性が不全であると考えられることがある溶血指数、黄疸指数、または脂肪血症指数のための値を意味する。所定の値は、血清指数の尺度によって変動し、その血清指数が問題になっていて、臨床分析機または他のデバイスによって試験が実施されるものである。たとえば、溶血指数が0〜4の尺度で格付けされるなら、溶血指数3はある試験について不全なサンプルであると考えられ得る。このようにして、この例における所定の値は3になる。代わりに、黄疸指数についての0〜4の尺度で測定値2は、ある例では容認できないものであり得る。このようにして、この例については、所定の値は2である。
【0042】
「分光光度法による分析」とは、任意の角度または角度の集合で、光学的吸光度および/または反射率、免疫比濁法測定による分析、免疫比朧法(ネフェロメトリ−法)測定による分析、および/または、光散乱分析を測定することを意味し、含む。一般に、用語「分光光度法」は、波長範囲にわたるスペクトル応答を撮影すること、および各波長についての応答を関連付けることを指す。この分析を実施するデバイスは、「分光光度計」と称される。このような分光光度法による分析は、ヘモグロビン、グルコース、アルブミン、リポタンパク質、および他の多くの血清成分を確定することが可能な、近赤外線および隣接する可視光で実施されてきた。
【0043】
詳細な説明
第1の広義の態様では、本発明は、分析干渉物質が液体サンプルの中に存在するかを判定するための方法および装置を提供する。この方法は、液体サンプル(試料)が解析的分析のために臨床分析機に提示される前に、分析前工程として実施されてもよい。特に、本発明の1つの態様は、血液サンプルの中に見つかるかもしれないものなどの干渉物質の有無の事前検査に続いて、解析的分析のために遠心分離されたサンプルを供給することを提供する。この態様は、液体血液サンプルを適切な遠心分離にかけて、サンプルを赤血球部分、および血清部分または血漿部分に分離することによって成し遂げられる。この遠心分離手順に続いて、サンプル(試料)の血清部分または血漿部分は、干渉物質、たとえば溶血、黄疸、および/または脂肪血症(以下、HIL)、またはその中の他の不均質な液体(例えば、不適切な上澄みレベル)の有無について試験される。サンプルが干渉物質を含んでいないことがわかると、解析的分析のために定期的に処理するよう、システムを通して継続することが可能になる。
【0044】
1つの態様では、サンプルが脂肪血症を予め定義された量より多く包含することがわかると、サンプルを受け付けないようにすることができる。そして、脂肪血症サンプルを、その中の脂肪血症の量を減らすように適応された特別の前処理オペレーションにかけることができる。そして、サンプルを、分析のために定期的に処理し、またはおそらく干渉物質の有無について再試験することができる。別の態様では、サンプルが溶血を予め定義された量より多く包含することがわかると、サンプルを継続し、解析的分析のために定期的に処理することを可能にすることができる。しかしながら、溶血の程度または度合いは、分析結果とともに報告することができる。代替として、溶血したサンプルは、溶血量のより洗練された判定にかけることができるので、サンプルに実施される、溶血の存在によって影響を与えられない任意の分析試験は、定期的に完了することができ、およびおそらく未使用サンプルの再採血が支持され着手されることができる。サンプルが黄疸を予め定義された量より多く包含することがわかると、サンプルを解析的分析のために定期的に処理することを可能にすることができ、黄疸の程度または度合いは、分析結果とともに報告することができる。本発明は、遠心分離されたサンプルを通して向けられたコリメート(平行化、平行)光のビームの散乱または「ブルーム」の程度が、他のより洗練された方法よりも、サンプルの中の干渉物質(例えば、脂肪血症)の有無をより迅速におよびより複雑でなく判定するという発見に基づく。
【0045】
本発明の、これらおよび他の態様ならびに特徴は、本明細書において図1A〜図7を参照して記述される。
【0046】
図1Aは、臨床分析機32、38、および/または42による分析の前に、複数のサンプルラック18に収容される複数のサンプル容器20、一般的にはサンプル管(例えば、試験管または血液収集管−図1B参照)を自動的に前処理することができる自動化された臨床化学サンプル取扱システム10(以下、「自動化サンプル取扱システム」)を示す。しかしながら、任意の、一般的にクリアまたは透明な容器、たとえばサンプルカップ、キュベット、または他のクリアなガラスまたはプラスチック容器を用いることができる。一般的には、自動的に処理される臨床分析サンプル20A(以下、「サンプル」)は、フタ20Bでフタをされてもよいサンプル容器20の中で、自動化サンプル取扱システム10に提供することができる。各サンプル容器20(例えば、サンプル管)は、1以上のセンサ19によって機械読み取り可能であることができる識別指標および/または情報20C、たとえばバーコード、英字、数字、または英数字指標を備えることができる。指標および/または情報20Cは、患者の識別と同様に、たとえばその中の臨床分析サンプル20Aによって成し遂げられる解析手順を示すことができる。このような指標および/または情報20Cは、一般的に、サンプル容器20の側面に接着、あるいはまた提供されたラベル20D上で提供することができる。このようなラベル20Dは、一般的に、サンプル容器20の全周にわたって延伸されてはいない。したがって、サンプル容器20の側面に沿って窓領域が提供され、そこにはラベル20Dが設置されておらず、ラベル20Dによる干渉なしでこの窓領域の中の側面から、または、窓領域を通した側面から臨床分析サンプル20Aを見ることができる。サンプル容器20は、その上に追加の識別指標を有してもよいラック18に保持することができる。
【0047】
自動化サンプル取扱システム10は、(ベルト状であることができる)コンベアトラック14または他の適切な運搬機構またはシステムが、1以上のラック18と同様に動作中の投入レーンを有するサンプル容器ロード/アンロードロボット装置16から遠心分離機24(例えば、自動化遠心分離機)へ、サンプル容器キャリア22の中で運ばれる個別のサンプル容器20(例えば、サンプル管)を搬送する、動作ベース12(例えば、フレーム)を含むことができる。遠心分離された後に、サンプル容器20は、サンプル20Aの中の1以上の干渉物質の有無を自動的に判定するように適応された後述のサンプル品質管理装置30へ向けて継続してコンベアトラック14上にあることができ、自動化サンプル取扱システム10によって自動的に処理されるように適応される。そして、サンプル20Aは、各サンプル容器20(例えば、サンプル管)をサンプル容器ロード/アンロードロボット装置16に返却する前に、1以上の分析機32、38、および/または42において分析されることができる。コンベアトラック14によって3つより多くの分析機32、38、および42をリンクさせることができるが、簡潔にする目的のために3つのみが示されることが理解されるべきである。加えて、遠隔分析機43は自動化サンプル取扱システム10に直接リンクされていないにもかかわらず、遠隔分析機43は自動化サンプル取扱システム10によって使用可能にすることができる。例えば、独立したロボットシステムが、遠隔検査装置43にサンプルを運ぶようにできる。自動化サンプル取扱システム10は、各サンプル管キャリア22の中に置かれた指標または情報(図示せず)を識別する測定値の手段によって、サンプル容器20の位置を検出するための、1以上の位置にある数々のセンサ(図示せず)を含むことができる。ある実施形態では、異なるRFIDチップを各サンプル管キャリア22の中に埋め込むことができ、従来のRFIDリーダシステムを、たとえばこのような追跡動作に使用することができる。
【0048】
サンプル管キャリア22を、トラック14から取り外すためか、サンプル管キャリア22を、遠心分離機24へおよびそこから移動させるためか、および、分析機32、38、および42へおよびそこから移動させるためか、または、サンプル容器20の分析機32、38、および42の中へおよびそこからの移動を容易にするために、遠心分離機24および各分析機32、38、および42には、それぞれ、一般的に、さまざまなロボット機構26および28、40および44、または、トラック34および36を設けることができる。一般的には、そのようなロード/アンロード装置16は、従来からのロボットのクランプハンドまたはフィンガーが設けられる、少なくとも2つのX−Y−Zロボットアーム21を含むことができる。しかしながら、任意の適切なロボット装置を用いしてもよい。
【0049】
自動化サンプル取扱システム10は、従来と同様にプログラムされたコンピュータ15、好ましくは、自動化サンプル取扱システム10の一部として収容されるか、または、そこから分離して収容されることができるマイクロプロセッサベースの中央処理装置CPUによって制御することができる。従来と同様にプログラムされたコンピュータ15は、後述するように、サンプル容器ロード/アンロードロボット装置16、遠心分離機24、品質管理装置30、および、各臨床分析機32、38、42(さまざまな種類の解析処理を生じさせる)へおよびそこからのサンプル管キャリア22の移動を制御するように動作されることができる。コンピュータ15は、ソフトウェア、ファームウェア、あるいはハードウェアのコマンドまたは回路、たとえばIllinois州DeerfieldのSiemens Healthcare Diagnostics Inc.によって販売されるDimension(登録商標)臨床化学分析機上で用いられるものにより、自動化サンプル取扱システム10を制御することができ、このような制御は、一般的には、コンピュータに基づく電気機械的制御プログラミングの当業者を対象にする。しかしながら、自動化サンプル取扱システム10を制御するための、任意の適切な電子部品またはシステムを用いてもよい。
【0050】
本発明は、ユーザが多様な制御画面および状態情報表示画面に簡単におよび素早くアクセスすることを可能にするコンピュータインタフェイスモジュール(CIM)を用いて実施することができる。これらの画面は、サンプルの前処理および患者のサンプルの臨床分析に用いられる、複数の相互に関連した自動化デバイスのいくつかまたは全ての態様を示すことができる。このようなCIMは、好ましくは、複数の相互に関連した自動化デバイスの動作状態についてのオンライン情報と同様に、任意の具体的なサンプルの位置およびサンプルにおいて実施される臨床試験の状態を示す情報を包含する複数の追加の表示画面に直接リンクされている第1の表示画面を採用する。このため、CIMは、オペレータがそれを通じて自動化サンプル取扱システム10に入出力を行うことができるアイコン、スクロールバー、ボックス、およびボタンを含むメニューを表示するように適合した視覚的タッチパネルを含むことができるものであり、および、メニューが、自動化サンプル取扱システム10の機能的な態様を示すようにプログラムされた数々の機能ボタンを含むものであり、自動化臨床分析システム10とオペレータとの間の相互作用を容易にするように適合される。
【0051】
上述の例では、たとえば、分析機32は、臨床化学分析機32であり、および分析機38が凝固分析機であるので、遠心分離機24では、異なる遠心分離プロトコルを、化学分析機32による試験か、または凝固分析機38による試験かのために、適正に遠心分離されて解析前処理されたサンプルを提供するように定めることができる。前述のように、サンプル容器20は、その中のサンプル上で成し遂げられる解析手順を示す、センサ19によって読み取り可能な識別指標または情報20Cを備えることができる。コンピュータ15は、解析が臨床化学分析か凝固分析か、および、どの分析機32、38、42がこのような分析を実施するように適応されたのかを判定するようにプログラムされる。
【0052】
図1Cは、図1Aのサンプル品質管理装置30で用いることができ、図1Aの自動化サンプル取扱システム10によって自動的に処理されるサンプル20Aの中の1以上の干渉物質の有無を自動的に判定するように適応することができる装置の第1の実施形態の概略平面図である。干渉物質の有無は、自動化サンプル取扱システム10によってさらに試験される前に、サンプル品質管理装置30によって検出することができる。このようにして、サンプル20Aには、干渉物質を含むか、追加の処理か、廃棄か、または再採血か、が実施されることができる。加えて、サンプル容器20自体についてと同様に、サンプル容器20に収容される分析サンプル20Aについても、他の検出方法を実施することができる。たとえば、この装置は、サンプルのある種の物理的寸法特性(例えば、図1Bに示すように、液体−空気の界面LA、赤血球部分20RBCと血清部分または血漿部分20SPとの間の界面SRの位置、赤血球部分の高さHRBC、および血清血漿部分の高さHSP)、および/または、サンプル容器20(例えば、サンプル管)のある種の物理的寸法特性(例えば、高さHまたは幅W)、または、管−フタの界面TCの位置を判定するために用いることができる。
【0053】
ここで、図1Cを参照すると、サンプル品質管理装置30は、たとえば放射光源52(例えば、コリメートされた(平行化された:平行)光の放射光源)を含むことができる。放射光源52は、サンプル容器20(例えば、サンプル管)へコヒーレントな(相関性が高い)放射光のレーザビーム52Aをあてるレーザダイオードであることができる。サンプル容器20は、テーブルまたはプラットフォーム、または回転の間サンプル容器20を一般的に直立状態で支持および保持するように適応された他の回転装置であることができる回転ホルダ54の上に支持することができる。放射光源52のための適切なレーザダイオードは、当該技術分野において周知であり、とりわけHe、Ne、Gas、GAASダイオードを含む。放射光撮影デバイス56、たとえば、従来のデジタルカメラ、電荷結合素子(CCD)、または分光光度計は、ある実施形態では、サンプル容器20を通して送出される放射ビームを撮影することができる。そして、送出された放射ビームの撮影画像は、1以上の干渉物質の有無および/またはサンプル容器20またはサンプル20Aのある種の物理的寸法特性を判定するように分析されることができる。
【0054】
サンプル品質管理装置30は、サンプル容器20へ、非コリメート(平行化されていない)可視光(例えば、白色光)の従来の放射光58Aのビームをあてる放射光源58をさらに含むことができる。放射光は、サンプル容器20を通して送出した後に、放射光撮影デバイス62、たとえば従来のデジタルカメラのデジタル化手段または光検出器のアレイによって撮影することができる。リフレクタ(反射器)および/またはディフューザ(散光器)60は、均一な放射領域を形成および得るために提供されることができる。放射光撮影デバイス62は、好ましくはデジタル化手段を有し、また好ましくは、モノクロで少なくとも8ビットの高精度でアナログからデジタルにする能力を持つ。これらの要件を満たすデジタル化手段は、Data Translationから入手可能なモデルDT 3155 Frame Grabberである。そして、デジタル化された画像は、サンプル20Aの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように、画像処理ソフトウェアプログラムを収容するコンピュータ(例えば、コントローラ、プロセッサ、またはマイクロプロセッサ)で分析することができる。
【0055】
小さい一つのパーティクルによるコヒーレントな放射光の散乱は、パーティクルの形態を散乱光の角度分布に変換することに相当する。数学的には、この変換はフーリエ変換として公知である。これは周知の作用であり、ある種類のパーティクル、たとえば球体については、その変換が正確に知られている。平行でコヒーレントな放射光のビームが生体細胞または構造体のサンプルに直面すると、放射光の一部が吸収され、一部が散乱され、および残りは送出されることができる。送出および散乱された放射光は、本発明の態様にしたがって測定することができ、サンプル20Aについてのある種の情報が得られる。
【0056】
全て放射光源のコヒーレンス長内であるパーティクルの全体的作用によるコヒーレントな放射光の散乱は、個別のパーティクルによって散乱された放射光の重ね合わせによって得られる。このようにして、パーティクルが画一的であってランダムに分散された場合、正味(net)の散乱分布は、一つのパーティクルの散乱強度のN倍(Nはパーティクルの数)になる。これも、パーティクルのサイズを決めることおよびパーティクルの濃度の算定することの両方に用いられてきた周知の作用である。これらの測定は、散乱光の角度分布について直接、または、角度分布のフーリエ変換が行われた後で、実施されることができる。たとえば、血清血漿部分20SPの中に存在する脂質の脂肪沈着物のようなパーティクルが、このような作用を有することが発見された。
【0057】
パーティクルがランダムに分散されない場合、個別のパーティクルからの散乱光が「干渉」して、個別のパーティクルの配置態勢を反映する散乱強度の分布を作り出す。結果として、パーティクルの凝集する傾向を、散乱光の強度の揺らぎ(フラクチュエーション)を測定することによって判定することができる。パーティクルがランダムだと、個別のパーティクルからの散乱光の間の「干渉」もランダムになり、どのような角度であっても、画一的および一定の揺らぎ(フラクチュエーション)が導かれる。しかしながら、パーティクルが凝集し始めると、干渉が大きくなり、増加した揺らぎ(フラクチュエーション)が導かれ、測定することができる。
【0058】
サンプル分析処理は、採血者、医師、看護士または医療関係者が患者から血液サンプルを採血または収集して、サンプル(サンプル20A)をサンプル容器20に挿入するときに、開始されることができる。血液のサンプル容器20(例えば、サンプル管)は、病院の研究室、血液診断研究所、または他の場所に送られて、健康状態、たとえば、疾患、癌、不妊、薬物の乱用、および他の障害について試験される。健康状態についての具体的な試験は、患者によって決まり、これらの研究所および場所の血液診断機器および自動化分析試験システムを用いて評価することができる健康状態は、何百もある。血液診断機器または臨床分析機は、血液サンプルを分析すること、および、その中の成分の有無または量を識別する分析結果を提供することができる。たとえば、図1Aに記述されているような自動化システムは、サンプルを、遠心分離機24のような処理設備の場合と同様に、血液診断分析機器32、38、42へ、および、そこから搬送するために用いられる。
【0059】
病院または血液診断研究所は、一般的には、毎日、何千もの患者のサンプルを取り扱うことがあり、これらのサンプルを精度良く効率的に処理するために、機器および自動化システムにますます依存している。しかしながら、それらの機器は、血液サンプルの品質における不具合の結果から、誤差を発生することがある。サンプルの品質の不具合には、変色、望ましくないパーティクルの存在、凝固、および/または、サンプル管内部の不十分なサンプル量を含むことができる。
【0060】
これらの不具合のほとんどは、遠心分離処理後に認められることができる。遠心分離機24における遠心分離処理では、血清部分または血漿部分20SPから、赤血球(例えば、赤血球部分20RBC)を分離することができ、赤血球がサンプル容器20の底に集められ、血清部分または血漿部分20SP(クリアな、または、比較的クリアな部分)はサンプル容器20(例えば、サンプル管)の上部になる。血清部分または血漿部分20SPは、ほとんどの不具合、たとえば、変色、望ましくないパーティクルの存在、および、凝固、を認めることができるところである。
【0061】
非自動化研究室では、技術者は、サンプルの品質の不具合が存在するかどうかを判定するために、サンプル容器20(例えば、サンプル管)を目視および手動で検査する。多忙な研究室は、それを徹底的には実施できないことがあり、または、検査が本質的に主観的であることにより、その成果に大変ばらつきがあることがある。たとえば、人から人への検査によりばらつくこと、または一個人が検査する場合でも、1つのサンプルから次のサンプルでばらつくことがある。
【0062】
自動化された研究室では、サンプルは、遠心分離機から、自動化システムを介して、多くの場合、全く検査する機会なしで分析機器(例えば、臨床分析機)へ自動的に送られる。これらの不具合を含むサンプル20Aが1以上の分析機器に提供される場合には、多くの望ましくない、問題のある、および、苛立たしい出来事に遭遇することがある。たとえば、サンプルの品質の問題が、変色または不十分なサンプル量である場合、研究室技術者は、そのサンプル20Aを、機器および/または自動化システムから取り外さなくてはならないこと、および、特定の患者の新規の血液サンプルを要請しなくてはならないことがある。これは、研究室の効率性を減少させ、および、より多くの血液が採血されなければならないために、採血者への追加の訪問が必要になることがあり、患者にとって面倒であることがある。
【0063】
別の例では、サンプルの品質の問題が、望ましくないパーティクルの存在および/または凝固である場合、研究室技術者は、分析のために再度システムに再挿入する前に、そのサンプルについて追加の前処理タスクを行わなくてはならないことがある。加えて、技術者は、解析(試験)に干渉したかもしれないパーティクルのために、分析機器および/または自動化システムを停止し、および、システム上のある種の設備、たとえば、プローブおよびピペットを清掃しなくてはならないことがある。
そのため、機器上で任意のサンプルの品質の不具合に遭遇した場合には、そのサンプルについての解析結果に誤りがある可能性があり、研究室の効率性、たとえば試験の所要時間または休止時間に、悪影響を与えることがある。サンプル20A自体が、一部の例では、適切な処理を受け入れる前にサンプルが分析されるため、無駄になることもある。
【0064】
脂肪血症サンプル検出
1つの広い態様によれば、電子画像の分析および検出を可能にするために、本発明は、コリメート(平行)光の放射光源、好ましくは、レーザダイオード、および、放射光撮影デバイス(例えば、デジタルカメラ)を用いて、サンプル(例えば、血液)を収容する遠心分離されたサンプル容器(例えば、サンプル管)の脂肪血症サンプルを検出することができる方法および装置(例えば、デバイス)として導かれる。
【0065】
脂肪血症は、サンプル20Aが分析機上で試験または分析されるか、あるいは、自動化システム上に置かれる前に、特別の処理で解決することがある、特殊なサンプルの品質の変色する不具合である。脂肪血症(lipaemiaと綴られることもある)の定義は、血液中の異常に高い脂質(脂肪)の常在度である。脂質は、水に溶解できない小さいパーティクルとして存在する。一般的には、血清部分または血漿部分20SP(図1B)は、比較的クリアである。しかしながら、脂肪血症サンプルでは、遠心分離された血液の血清部分または血漿部分20SPは、脂質の存在により白色または乳白色に見えることがある。脂肪血症のよくある原因は、高脂肪食を食べることである。研究室では、サンプルが脂肪血症であると認識した後に、脂質を取り除くかまたは減らすために、サンプル20Aをさらに処理することができる。たとえば、脂肪血症の量を減らすために、溶媒または他の物質を導入することができる。いったんこれが完了すると、サンプル20Aは、臨床分析機器(例えば、32、38、および42)によって適正に分析することができ、研究室は、試験結果について相対的により確信することができる。
【0066】
本発明のこの態様は、サンプル20Aの遠心分離後に、第1の可能性のある事例(例えば、次の処理装置)で脂肪血症を検出しようと努めている。処理のその時点で脂肪血症を検出することによって、サンプル20Aは無駄にならず、誤りのある試験結果が予防され、および患者の試験結果の遅延が最小限にされる。このサンプル品質管理装置30が自動化サンプル取扱システム10上で提供されるときに、各サンプル20Aは、遠心分離機24(図1A参照)を離れるときに、脂肪血症の干渉レベルについて検査を受ける。脂肪血症の干渉レベルが検出されると、技術者またはユーザは、画面警報、警報ベル等を介して警告を受ける。そして、サンプル容器20は、その後、たとえば補助処理装置30Aのようなユーザの修正アクションまたは追加の処理、を待つためのシステム10上の位置へ、経路決めをされることができる。サンプル20Aを修正または追加処理した後に、分析のために分析機器(例えば、32、38、および42)へ直接置くこと、または、自動化サンプル取扱システム10のトラック14に戻すことができる。ある実施形態では、自動化サンプル取扱システム10は、ユーザと対話処理をせずにサンプルへのこの修正アクションを実施することができるかもしれない。たとえば、脂肪血症サンプルの経路決めは、ロボット搬送装置30Bを介してサンプルを取り外し、たとえば、分析機器32、38、および/または42上での検査の必須条件として、補助処理装置30Aでの追加の処理を必要とする。
【0067】
また別の態様では、本発明は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定する方法が導かれる。この態様では、その方法は、サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを通して放射ビームを送出させること、サンプル容器を通して送出される放射ビームを撮影すること、および、撮影された放射ビームを臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析することを含む。たとえば、1つの実施形態では、この方法は、サンプル20Aの血清部分または血漿部分20SPの中の脂肪血症の有無を判定することが導かれる。後述するように、他の干渉物質、たとえば溶血または黄疸の有無を判定してもよい。
【0068】
図1B、1C、および1Dを参照して方法100によると、ブロック102のサンプル容器20(例えば、サンプル管)に収容される臨床分析サンプル20Aを通して放射ビーム52Aを送出させる工程は、好ましくはレーザダイオードによって生成された、平行な光の放射光源であることができる放射光源52を用いることによって、ビーム52A(例えば、レーザビーム)を、赤血球部分20RBCおよび血清部分または血漿部分20SPを有する、遠心分離された血液を収容するサンプル容器20へ投射することができる。放射光源52がレーザである場合には、レーザは、任意の適切な波長および出力で動作させることができる。しかしながら、0.9mWAで、635nmまたは650nmのいずれかが適切である。放射光撮影デバイス56、たとえばデジタルカメラ、CCD、または他の適切なデジタル化デバイスは、ブロック104で、サンプル容器20へ、または、それを通して送出された放射ビーム52Aの画像とともに血液のサンプル容器20の画像(例えば、デジタル画像)を撮影することができる。コンピュータソフトウェアプログラムを収容するコンピュータ59は、画像を撮影する放射光撮影デバイス56によって撮影されたデジタル画像の電子画像を分析のために用いることができる。サンプル20Aを通過して撮影されたビームは、ブロック106で、臨床分析サンプル20Aの中の干渉物質の有無について分析されることができる。たとえば、分析においては、干渉物質として、たとえば、脂質の検出を含むことができる。コンピュータソフトウェアが、サンプルが脂肪血症であることを首尾よく検出すると、サンプル20Aは直ちに分析されないことがあり、脂肪血症サンプルの前処理動作(例えば、補助処理装置30C)のために確保されている機器または自動化システム上の別のエリアへ経路決めをしてもよい。そして、研究室技術者は、前処理動作を行って、分析機器32、38、42または自動化サンプル取扱システム10へサンプル20Aを再挿入することができる。
【0069】
サンプル容器20は、最適な画像の撮影のために、非反射ボックスまたは筐体57の内部に設置することができる。また、筐体57の内部には、放射光源52を、追加の高級画像撮影結果(例えば、溶血の判定用)のためにサンプル容器20を適正に照らすのに役立つ別の放射光源58および散光器60と同様に、設置することができる。放射光撮影デバイス56(例えば、デジタルカメラ)は、筐体57の内部または筐体57の外部のいずれかに設置され、サンプル容器20の前述の検査用の窓領域を通して画像を受け入れることができる。サンプル容器20は、臨床分析サンプル20Aの中の干渉物質の有無を判定するために、放射光撮影デバイス56が(おそらく拡散または偏向された)放射ビームを撮影することができるように、関係する可視領域(ラベル20Dが貼り付けられていない窓領域)が示されるまで、サンプル容器20を回転させるためにモータ(例えば、図示しないステッピングモータ)によって制御することができる回転ホルダ54上に位置づけることができる。撮影された放射光は、図1Cのようにサンプル容器20全体を通して撮影してもよいし、または図2Aを参照して記述されるようにサンプルまたはサンプル容器から反射された一部分として撮影してもよい。撮影されたビーム画像のスポットサイズは、測定および存在する脂肪血症の度合いに関連付けることができる。
【0070】
具体的には、脂質は、このような機器の中のサンプルの吸光度を測定するために用いられる放射光のビームに散乱を発生させる主な原因となるため、分析機器の分光光度法による測定に干渉することがある。そして、散乱光は、分析機器の分光光度計の放射光撮影デバイスによって補足されない。散乱光は、測定されないので、放射光は吸収されたとみなされる。そのため、これが不正確な分析的測定を引き起こしている。
【0071】
ここで、図2A〜2Dを参照して、臨床分析サンプル20Aまたはサンプル容器20の1以上の干渉物質の有無または物理的寸法特性を判定するように適応された別の装置200および方法200Aを説明する。装置200は、たとえば、サンプルの品質管理装置30を提供することができる。前述の実施形態のように、装置200は、ブロック202Aで(図2B参照)、窓領域を画像分析のために適切な位置に配向することができるように、サンプル容器20を回転するように適応された回転ホルダ254を含むことができる。方法200Aおよび装置200は、ブロック204Aで、サンプル容器20(例えば、サンプル管)に収容される臨床分析サンプル20Aへ放射ビーム252Aを送出させるように適応された放射光源252を含むことができる。放射ビーム252Aはコヒーレント光であることができる。加えて、放射ビーム252Aは平行化されていてもよい。図示された実施形態では、放射ビーム252Aは、放射光源252に連結した放射ライン生成器252Bによって形成することができるレーザのライン(列)(破線で示される)の形態でサンプル容器20へ投射することができる。放射光撮影デバイス256は、ブロック206Aで、サンプル容器20またはサンプル20Aから反射されたビームの画像を撮影するように適応されることができる。最終的に、ブロック208Aで、撮影されたビームおよびサンプル容器20の画像は、臨床分析サンプル20Aの中の干渉物質の有無を判定するように、コンピュータ259によって分析することができる。分析においては、反射された画像のさまざまな線分(ラインセグメント)が、グループ分けされおよびブロブ(Blob:塊)として解析されて、それらの高さ、幅、および撮影された画像の中の相対的な位置に関して特徴付けられる、ブロブ(Blob)解析を含むことができる。そして、これらのパラメータは、たとえばルックアップテーブルの中の値と比較されることができる。ここから、脂肪血症の指数の値を判定することができる。そのうえ、ある種のサンプル20Aまたはサンプル容器20の物理的寸法および他のパラメータを判定することができる(例えば、サンプル容器管20Tにおける(管−フタの界面TCへの)高さ、血清部分または血漿部分20SPの全体的な充填高さ、垂直高さ、赤血球部分20RBCの垂直高さ等)。追加の干渉物質は、放射光源258(例えば、白色光源)を用いて判定することができる。放射光源258は、実質的に放射光源252と垂直に位置合わせすることができる。
【0072】
前の実施形態のように、ホルダ254は、サンプル容器20を一般的に直立配向で受け入れおよび保持するように適応される。ホルダ254は、図2Bに示すように、窓領域を通してサンプル容器20へビーム252Aを投射すること可能にするように、窓領域を適切に位置づけるように、ラベル20Dを回転させるために、モータ255(例えば、ステッピングモータ)に連結させ、およびそれによって回転させることができる。いったんサンプル容器20およびラベル20Dが窓領域を露出するように適正に回転方向に位置づけられると、ビーム252Aをサンプル容器20へ投射することができ、および画像が記録される。結果として、いくつかの可能性のある結論を、筐体257の背壁257Aからの反射光、および、サンプル容器20の前および後壁からの反射光に基づいて獲得することができる。その結果は、サンプル容器20の中のサンプル20Aの状態によって決まる。
【0073】
脂肪血症サンプルにおいて、分析の間に分光測定法について問題の原因となると記述した光散乱の特性は、脂質の干渉物質を測定するために利用されるまさにその特性である。本発明者によって、放射光源52、252(例えば、レーザ)から放射されたビーム52A、252Aが、正常サンプル20Aの血清部分または血漿部分20SPを通過するときに、サンプル容器20の前および背表面の両方からの光反射、ならびに、図3に示すように、サンプル20A自体からの何らかの小さな反射があることが観察された。高濃度(すなわち、脂肪血症)のサンプルについては、前表面からの何らかの光反射があるが、レーザビーム52A、252Aがサンプル(試料)に入射すると、直ちに分散(散乱)があり、図4に示すようにサンプル20Aから光が反射する。ある単純な画像処理をしたこれらの同じ図面は、放射光源52、252(例えば、レーザ)に曝されるときに脂肪血症サンプルが有する特殊な差異をさらに強調することができる。さらなる視覚的分析、およびサンプル容器20およびサンプル20Aへビームのライン(列)(例えば、レーザのライン(列)ビーム)を投射するためのライン生成光学素子の使用は、容器20の中で空気と血清部分または血漿部分20SPとの間の界面と同様に、血清部分または血漿部分20SPと赤血球部分20RBCとの間の界面SRの検出を可能にすることによって、改良された検出を提供することができる。加えて、容器20のサンプル管20Tとフタ20Bとの間の界面TCを判定することができる。
【0074】
本発明のこの実施形態によれば、方法100は、ブロック102で、サンプル20Aを収容するサンプル容器20へ、放射ビームを送出させることができる放射光源52(252)を提供することを含むことができ、そしてブロック104で、放射光撮影デバイス56(256)は、ブロック106でその上に重ね合わされる反射光および/または分散光を含むビーム52A(252A)で、サンプル容器20の画像を撮影することができる。画像は、図3および4に示すようにレーザビームスポット301、401を包含することができる。図3は正常なスポットサイズ301を図示し、図4は比較的拡大されたスポットサイズ401を含む脂肪血症サンプルの画像を図示する。たとえば、スポット401は、小さい幅寸法W1を持つスポット301を有する正常サンプルと比較すると、幅寸法W2を有して拡大されていることができる。ソフトウェアの処理としては、スポット301、401のサイズを測定すること、および、そのスポットサイズを、ビーム52A(252A)がサンプル20Aの中で分散されるにつれて、サンプル20Aが原因となって引き起こされる分散度と関連付けることができる。このことは、次に、脂質濃度を示唆する。一般的に、このようなサンプル20Aの中の分散の原因となる物質は脂質だけであるが、物質にかかわらず、サンプル20Aを通って行く放射光が評価可能な程度に分散する場合、分析的測定の誤差があり得るので、研究室は、たとえば、画面警報を生成すること、アラームを鳴らすこと、脂肪血症サンプル20Aを降ろすこと、または、自動化システム10を停止すること、によって適切に報告を受けるべきである。上述のように、スポットサイズ(例えば、スポット幅)によって決定付けることができる相対的な分散量は、脂肪血症指数に関連付けることができる。脂肪血症指数が事前に設定された閾値を超過すると、サンプル20Aは、脂肪血症であると判定することができる。ライン生成光学素子が用いられる場合には、撮影された画像(例えば、反射された画像)を、画像の部分を調査することによって1以上の干渉物質の有無を判定するために用いてもよい。任意で、または加えて、脂肪血症の存在は一般的に白色によって表わされるので、血清部分または血漿部分20SPは、その画像を生成するために、放射光源58および撮影デバイス62を用いてさらに分析することができる。撮影された画像から得たRGB値(色分析の赤緑青システム)は、脂肪血症の有無を示すために、保持された閾値と比較することによって分析することができる。
【0075】
少なくとも5つのことが、脂肪血症の測定技術を比較的、費用効率良くしている。1つには、事前検査はサンプル20Aを少しも消費しないことである;それは、いかなる方法でも開いたサンプル容器20、またはサンプル20Aと接触する要求を必要としない。2つには、それが速いことである;画像の取得および分析は、化学分析技術よりも顕著に速くすることができる。3つには、変動コストがないことである;消耗品がないことで、分析されるサンプルごとのコストは実質的にゼロである。4つには、事前検査が、サンプル前処理の分析前処理段階の最初に実施することができることである;任意の必要な修正アクションが、臨床分析を試みる前にサンプル20Aにおいて着手することができる。5つには、事前検査は、いかなる化学分析でも分光光度計の干渉の原因となることがある分散現象なしに、直接測定することができることである。
【0076】
加えて、撮影画像は、このような項目:1)用いられるサンプル容器20の相対的な高さ(H)を定めることができる、サンプル管20Tとサンプルフタ20Bとの間の垂直な界面位置TC;2)血清部分または血漿部分20SPと赤血球部分20RBCとの間の垂直な界面位置SR;および3)血清部分または血漿部分20SPとサンプル容器20の中の空気20Eとの間の垂直な界面位置LAを識別するために用いることができる。
【0077】
図2Bに示すように、放射光源252は、約10から45度の間、好ましくは約22度のオフセット角φが、放射光のビーム252Aのベクトル252Vと、撮影デバイスの中央とサンプル容器20の中央との間に位置合わせされた放射光撮影デバイス256のベクトル256Vとの間に提供されるように、放射光撮影デバイス256から角度を付けてオフセットすることができることが分かることができる。ビーム252Aがサンプル容器20へ投射されると、第1の場合には、ビーム252Aは、空気を包含するサンプル管、たとえばビーム(またはその部分)がサンプル管20Tの中の空気に垂直に位置合わせされたときに遭遇することができる。この場合には、ビームは、サンプル容器全体を通過し、筐体257の背壁257Aへ投射される。そして、放射ビーム252Aの位置は、背壁257Aへ投射されると、反射されたビーム252Cによって示されるような放射光撮影デバイス256によって撮影される。したがって、撮影されたビームの画像、および画素空間(垂直および水平の両方)の中のその位置は、臨床分析サンプル20Aおよび/またはサンプル容器20のある種の物理的寸法特性を判定するために用いることができる。
【0078】
たとえば、図2Eに示すように、反射されたビーム252C(図2Bも参照)が、画像上のある位置(例えば、サンプル管20Tの物理的周囲の外側)に位置づけられると判定すると、これはサンプル管20Tの中に存在する空気20Eを示すことができる。図2Eにも示されるのは、フタ20Bの存在を示すことができるビームの反射光252Dである。その反射光はサンプル容器20の正面近傍からなので、ビーム252Aの反射光は、撮影され反射されたビーム252D(図2B参照)として画像の相対的な左側面に示される。画像の中の比較的高い位置と併せて、相対的な左側面への水平な位置は、フタ20Bを示す。これは、管−フタの界面TC、およびこのようにして、サンプル容器20の高さを判定するために用いることができる。容器20の全体的な幅も、その画像から得られる。したがって、サンプル容器のサイズは分類することができる。もちろん、これらの画像の反射されたビームの相対的な位置は、放射光源252の角度オフセットφおよびホルダ254に対する背壁257Aの間隔によって決まる。
【0079】
図2Fに示すように、ラベル20Dの画像は、ラベル20Dが放射光撮影デバイス256に直接配向される/一列になるようにサンプル容器20を回転させるときに示される。処理ソフトウェアは、たとえば窓領域の回転位置を判定するために、この「ラベルパターン」がサンプル容器20の回転の関数(相関関係を示すもの)として見えるときを判定するように、モータ255(およびその回転位置センサ)と併せて用いることができる。いったん窓領域が判定されると、サンプル容器20は、たとえば図2Bに示すように、品質管理撮像を実施するために配向することができる。放射光源252、258が垂直に位置合わせされる(図2A〜2Bの実施形態のように)と、さらなる回転は、溶血または黄疸の分析/検出のために必要がなくなることができる。
【0080】
図2Gは、血清部分または血漿部分ならびに赤血球部分20RBCを持つサンプル20Aを含むサンプル容器20を図示する。ビーム252Aがサンプル容器20およびその中に収容されるサンプル20Aへ投射されると、ある種の画像のパターンが、サンプル20Aの状態に基づいて明白に現れる。たとえば、赤血部分20RBCの反射パターンは、ラベルのそれと同様(そこからわずかにオフセットされ、おそらく幅がわずかに広いが、)の反射光に見えることができる。しかしながら、脂肪血症サンプルにおいては、存在する脂肪血症の度合いによって、画像のパターンが比較的広く決められる。画像のパターンが広いほど、示される脂肪血症の量が比較的高くなる。相対的な幅の測定値Wおよび画像のパターンの垂直な位置は、画像処理ソフトウェアによって測定することができる。サンプル20Aから、および、その中の放射光のビーム252Aの反射光および分散光によって決まるこの幅の測定値Wは、サンプル20Aの血清部分または血漿部分20SPの中に存在する脂肪血症の度合いに関連付けることができる。撮影されたビームは、図2Bの線252Eと252Fとの間に示される。これらの位置は、再度、サンプル20Aの中の放射光のビーム252Aの反射光および分散光の量を示す。
【0081】
図2Gのビームの撮影された画像から、サンプルの物理的寸法特性にかかわる追加の情報は、下記により詳しく記述されているように判定することができることも、明らかにされるべきである。
【0082】
図2Hおよび2Iに示すように、実際の正常サンプル20AN(例えば、図2Hの正常サンプル)、異常サンプル20AA(例えば、図2Iの異常な脂肪血症サンプル)、およびサンプル容器20Aからの反射光のネガ画像が示される。見て分かるように、各画像には、
管−フタの界面TC、
ラベル上端の位置LE、
液体−空気の界面LA(サンプル管20Tの中の空気と血清部分または血漿部分20ANSP、20AASPとの間の界面
サンプル20AN、20AAの血清部分または血漿部分20ANSP、20AASPと、血清分離剤部分20ANSS、20AASSと、の間の界面である、血清−分離剤界面SS、および
サンプル20AN、20AAの血清分離剤部分20ANSS、20AASSと赤血球部分20ANRBS、20AARBSとの間の界面である、分離剤部分−赤血球部分界面SSR
を含む。
多くの場合、サンプル20Aは、赤血球部分20RBCから血清部分または血漿部分20SPの分離を補助するために添加される血清分離剤ゲルを含むことができる。本発明の方法およびシステムは、これら追加の界面SSおよびSSRを、ラベル端LEと同様に容易に判定することができる。
【0083】
溶血サンプル検出
別の広い態様によれば、本発明は、遠心分離された血液のサンプル容器20に収容される溶血したサンプル(試料)を検出するために用いることができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。図5Cに示すような方法500は、サンプル容器20へ放射光(例えば、白色光)を投射するための放射光源、電子画像撮影、そして溶血を検出するために撮影された画像の分析のための放射光撮影デバイス(例えば、デジタルカメラ)を利用する。
【0084】
溶血はサンプルの品質変色の問題であり、それは特別の処理で解決することができない。溶血(haemolysisと綴られることもある)は、赤血球が破壊して、内部のヘモグロビンが遠心分離された血液サンプル20Aの血清/血漿部分20SP(図1B)中へ放出されるときに生じることがあり、このようにして、血清部分または血漿部分20SPにより赤みがかった色または外観を与える。より赤みがかった色とともに、カリウムが血清部分または血漿部分20SP中へ放出されることがあるが、これは分析機器において試験されるときに誤りのある結果を与えることがある。不正な血液収集、取り扱い、保存、および/または処理が、溶血の原因となることがある。
【0085】
臨床分析サンプル20Aが溶血をこうむる場合には、分析機器に良好な品質のサンプル20Aが提示されることを確実にするために、通常の手順で患者から別のサンプル20Aを再度抜き取る。いったん新規のサンプル20Aが処理されると、干渉ヘモグロビンなしで首尾よく分析することができる。
【0086】
別の態様では、本発明は、サンプル20Aの中の溶血の有無を検出することができ、それによって、分析機器が、結果が疑わしいことがあるサンプル20Aにおける分析試験を実施するのを防ぐ。サンプル20Aが脂肪血症について撮像および分析されるとき、血清部分または血漿部分20SPはサンプル容器20(例えば、試験管)の側面(窓領域)を通して視認可能である。この時、品質管理装置30において、溶血について基本的な評価をするために、血清部分または血漿部分20SPの色を記録および分析する機会がある。この評価は単独で実施することができ、または品質管理装置30での脂肪血症の分析と併せて実施することができる。
【0087】
溶血についての評価において、放射光源52(例えば、平行な放射の放射光源またはレーザ)は、電源を切られる。上述のように、ラベル20Dがない「窓領域」または関係する領域は、より最初の検索の間、たとえば潜在的な脂肪血症について分析するときに、サンプル容器20の回転を介して既に見つけておくことができる。そうでなければ、ブロック502でサンプル容器20が放射光源に対して窓領域を指向するために回転させて、溶血評価のためにサンプル容器20を適切に位置づける上記の手順を採用することができる。加えて、溶血分析のための画像撮影および処理では、考慮中のエリアが「窓領域」の中の血清部分または血漿部分20SPだけに減らされる。
【0088】
脂肪血症サンプルとは違って、コンピュータソフトウェアが、サンプル20Aが溶血したことを首尾よく検出すると、そのサンプル20Aは、遅延なく臨床分析機器において試験および分析されることを継続することができる。分析試験の完了後に、サンプル20Aは、溶血したサンプルを評価するために確保されている機器または自動化サンプル取扱システム10におけるエリアに経路決めをすることができる。溶血したサンプルの任意の順調な検出のために、コンピュータは、さらなる評価および/または決定のために職員(例えば、技術者)に警告するために、分析機器または自動化サンプル取扱システム10における品質管理装置30におけるディスプレイ上(例えば、コンピュータ画面)へ表示される警告を提供することができる。
【0089】
溶血したサンプルの評価を研究室職員へ運搬する能力を改良するために、溶血を判定するサンプル20Aを含むサンプル容器20(例えば、試験管)の画像を表示することができる。これは協調情報、たとえば、それに限定されないが、さまざまな溶血したサンプルの基準画像、比較のための色スペクトル、色スペクトルの中のサンプルの評価位置、および/または問題のおよび/またはとるべき研究室アクションを示唆する文章説明とともに、表示することができる。
【0090】
また、ある実施形態では、溶血したサンプル20Aが自動化サンプル取り扱いシステム10のサンプルの品質管理装置30において検出されると、サンプル20Aは、溶血の精密なレベルを測定および特徴付けすることができる分析機器(例えば、専門の臨床分析機)へ送ることができる。分析機器は、溶血のレベル判定でははるかに良好で、サンプルに指示されるさまざまな解析についての解析結果に影響を与えるヘモグロビンの厳密な濃度を判定するという規則を有することが多い。結果として、何らかの試験結果を、サンプルの再採血および再試験が生じる前に報告することができる。しかしながら、溶血の最初検出で、研究室技術者は、サンプル20Aがあるレベルの溶血を包含しているかもしれないにもかかわらず、自動化サンプル取扱システム10が結果を報告することができる再採血の緊急性を、自信を持って決めることができることを明らかにするべきである。加えて、または任意で、警告は、指示されたどの解析結果が悪影響を有することがあり得るのかを検出された溶血の程度によって識別するためにも用い得る。この強化されたプレゼンテーションで、正しい臨床決定をするタスクは顕著に容易になること、および誤差になりにくくすることができる。
【0091】
サンプルが溶血したときにとるべきアクションは、研究室によって定義された規則に基づいて、それらの具体的な手順に合わせる。規則を引き起こす溶血閾値は研究室によって定めてもよく、試験ごとにばらつきがあってもよく、それは引き続いて経てもよい。研究室は、警告を引き起こす閾値溶血レベルを定めるために、品質管理サンプル(例えば、基準サンプル20R−図5A参照)を使用する。たとえば、図5Aに示すサンプル20Rは、溶血のレベルが上昇した血清部分または血漿部分20SPを有する基準サンプルを図示する。図5Bのサンプル20Hは、閾値を超える溶血のレベルが上昇したサンプルを図示する。さまざまなレベルの溶血の例は、Joseph J. Frank、Edward W. Bermes、Margaret J. Bickel、およびBruce F. Watkinsによる「Effect of In Vitro Hemolysis on Chemical Values for Serum」と題されたClinical Chemistry(Vol. 24, No. 11, 1978)の記事において分かることができる。
【0092】
ここで、図1Cおよび5Cを参照すると、サンプル容器20に収容されるサンプル20R(図5A)の中に存在する溶血の量を判定するために、放射光源58はブロック504でサンプル容器20へ放射光のビーム58Aを投射することができ、画像はブロック506で放射光撮影デバイス62によって撮影することができる。この画像は、血清部分または血漿部分20SPの色を判定するように、ブロック508で分析することができる。色分析の赤緑青(RGB)システムを採用することができる。したがって、放射光撮影デバイス62は、RGB色相を判別することができる任意の適切なカメラまたはデジタル化アレイであることができる。それぞれの赤(R)色相は、1から最大数(例えば、1〜256)の尺度で測定することができる。基準サンプル20Rで較正することによって定めるような閾値を超える赤色相を含むことができる任意のサンプル20Aは、溶血したサンプルであると判定することができる。任意で、1より多くの色を測定することができ、閾値が検出された1より多くの色に基づいて設定することができる。画像分析は、ブロック508で液体−空気の界面LAと界面SRとの間に垂直に、およびおおよそ窓領域の中央に設置されているエリアの血清部分または血漿部分20SPの色を測定することを含むことができる。検出された1つの色相または複数の色相に基づいて、溶血指数は判定することおよび報告すること、あるいはまた品質管理装置30から運搬することができる。溶血指数は、たとえば下記の表1に示すような、測定された色相値の関連付けられた範囲に基づいておおよそ判定することができる。
【0093】
【表1】

【0094】
溶血干渉物質を判定するための上記の方法500は、図2Aに示す装置を用いて成し遂げることもできる。追加の白色光光源258は照明機能を実施することができ、放射光撮影デバイス256はその画像を撮影することができる。溶血についての分析は上述のようであることができる。
【0095】
溶血測定技術は、脂肪血症検出について上記に示した利点のほとんどを共有する。利点の1つは溶血事前検査がサンプル20Aを消費しないことである;それは、いかなる方法でも開いたサンプル容器20、またはサンプル20Aと接触する要求を必要としない。2つには、それが比較的速いことである;画像の取得および分析は、化学分析技術よりも顕著に速くすることができる。3つには、変動コストが実質的にないことができることである;消耗品がないことで、分析されるサンプルごとのコストは実質的にゼロである。4つには、溶血事前検査が、サンプル調製の分析前処理段階の最初に実施することができることである;病院職員は、それらの注意を必要とすることがあるサンプル20Aの状態であることを、できるだけ初期に警告を受けることができる。
【0096】
黄疸検出
別の広い態様によれば、本発明は、遠心分離された血液のサンプル容器20に収容されるサンプル20Aの中の黄疸を検出するために用いることができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。黄疸干渉物質は、たとえば、崩壊する赤血球が脾臓でビリルビンに変換される結果、過剰なビリルビンから生じることがある。2〜3mg/dlを超えるレベルのビリルビンは、一般的に明白に黄色がかった/茶色がかった色で、特に酵素系免疫測定に悪影響を与えることがある。このような状態は、ビリルビン血症とも称される。
【0097】
黄疸検出方法500A(図5D参照)は、溶血を検出するためのそれと同様である。方法500Aは、ブロック502Aで、第1に窓領域を配向するためにサンプル容器を回転させることができる。次に、方法500Aは、ブロック504Aで、臨床分析サンプル20Aを収容するサンプル容器20へ、放射ビーム58A、258A(例えば、白色光)を投射または送出させるために放射光源(例えば、放射光源58、258)を利用することができる。装置は、たとえば図1Cまたは図2A〜2Bに示すようであることができる。デジタル電子画像撮影のために適応された放射光撮影デバイス(例えば、56、256、たとえばデジタルカメラ)は、ブロック506Aで、サンプル容器20およびサンプル20Aの血清部分または血漿部分20SPから、またはそこを通過して反射されたようなビーム52A、252Aの臨床分析サンプル20Aからの画像を撮影することができる。そして、コンピュータ59、259は、黄疸の有無について撮影された画像の分析をブロック508Aで実施することができる。この方法によれば、溶血検出のために撮られた同じデジタル画像を、任意で、黄疸検出のために用いることができる。この場合には、画像を、黄色および/または茶色の有無について分析することができる。これは再度、放射光撮影デバイス56、256(例えば、RGB能力またはRGBセンサを有するデジタルカメラ)で、サンプル20Aの血清部分または血漿部分20SPの中に存在する黄色および/または茶色の度合いを測定することを介して、成し遂げることができる。任意で、CMYKシステムを用いるセンサを採用することができる。黄色および/または茶色のそれぞれについての範囲値は、実験的に判定および設定することができ、黄疸指数を提供するために用いることができる。たとえば、1から4の範囲を採用することができる。他の適切な黄疸指数値を用いることができる。分析のための血清部分または血漿部分20SPの中央部分は、界面LAおよびSRの位置を判定するために、本明細書において記述されている画像分析技術を介して設置されている。
【0098】
物理的寸法特性検出
別の広い態様によれば、本発明は、遠心分離された血液のサンプル容器20に収容されるサンプル20Aの物理的寸法特性を検出するために用いることができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。図2Dに示すような方法200Bは、上述のように、ブロック202Bで、第1に、窓領域を配向するために、サンプル容器20を回転する。次に、放射光源252は、ブロック204Bで、サンプル容器20の中のサンプル20Aへ放射ビーム(例えば、レーザ)を送出(投射)する。放射光撮影デバイス256(例えば、デジタルカメラ、CCDなど)は、ブロック206Bで、サンプル(サンプル20Aから反射または通過のいずれかとして)からビームのデジタル電子画像を撮影することができる。最終的に、そして、ブロック208Bで、コンピュータ259は、サンプル20Aの物理的寸法特性を検出するために撮影された画像の検査を実施することができる。物理的寸法特性には、1)血清部分または血漿部分20SPと赤血球部分20RBCとの間の垂直な界面位置SR;および2)血清部分または血漿部分20SPとサンプル容器20の中の空気20Eとの間の垂直な界面位置LAの少なくとも1つを含むことができる。
【0099】
充填量検出
また別の広い態様によれば、本発明は、サンプル容器20(例えば、血液の管)の中の遠心分離された、または未遠心分離のサンプル20Aの全体量を検出することができる方法および装置が導かれる。この方法および装置は、放射光源52、252(例えば、平行光の放射光源、好ましくはレーザダイオード)、画像撮影のための放射光撮影デバイス56、256(例えば、デジタルカメラ)、および電子画像検査および検出のためのプログラムを実行するためのコンピュータ59、259を採用することができる。この方法は、上述のように液体−空気の界面LAの位置を判定することができる。サンプル容器20の中のサンプル20Aの充填量は、界面LAの位置および特定のサンプル管20Tの全体的な幅に基づいて数学的に算定することができる。
【0100】
ヘマトクリットレベル検出
本発明の別の態様によれば、サンプル20Aのある種の物理的寸法特性を判定することができる。たとえば、別の広い態様では、本発明は、サンプル20A(例えば、遠心分離された血液の管)のヘマトクリットレベルを検出することができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。この方法は、平行光の放射光源、好ましくはレーザダイオード、ならびに電子画像分析および検出のためのデジタルカメラを使用することができる。ヘマトクリットレベルは、血清血漿部分20SPと赤血球部分20RBCとの間の界面SR、または血清分離剤を利用するときには界面SSRの位置を画像分析を介して識別することによって、上述の方法によって判定することができる。サンプル管20Tの底に集まっている赤血球は、放射光源(例えば、レーザ)に曝されるときに、また異なる放射光パターンを有する。撮影された画像から、サンプル20Aについての赤血球部分20RBCの界面SRの画像の中の垂直な位置を判定することができる。したがって、赤血球部分20RBCの相対的な高さまたは量を判定することができる。
【0101】
血漿または血清(上澄み)レベル検出
また別の広い態様によれば、本発明は、サンプル容器20に収容される遠心分離された血液のサンプル20Aの血漿または血清(上澄み)のレベルを検出することができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。その方法は、血清部分または血漿部分20SPとそれより上側の空気20Eと同様に、それより下のヘマトクリットレベルまたは血清分離剤のレベルとの間の異なる放射光パターンを検出することができる。その方法は、血清部分または血漿部分20SPが「クリア」または正常サンプルであるが、ほとんどの場合には高位の脂肪血症のサンプルの中であってもヘマトクリットレベルを検出してもよいサンプル20Aのために容易に用いることができる。その方法は、放射光源(例えば、平行光の放射光源、たとえば52、252)、好ましくはレーザダイオード、および放射光撮影デバイス56、256としてデジタルカメラなど、および電子画像分析および検出のためのコンピュータ59、259を使用することができる。上述の方法は、界面SRまたは界面SSRと同様に液体−空気の界面LAを検出するために用いることができる。加えて、SR値(またはSSR値)およびLA値は、赤血球部分20RBCと血清部分または血漿部分20SPとの間の相対的な比率を判定するために用いることができる。もちろん、サンプル20Aの全体的な高さは、画像の中の界面LAの垂直な位置によって判定することができる。同様に、赤血球部分20RBCおよび血清部分または血漿部分20SPのそれぞれの高さを判定することができる。
【0102】
サンプル容器の物理的特性検出
本発明の別の態様では、サンプル容器20のある種の物理的寸法特性を判定することができる。たとえば、サンプル管20Tの高さまたは幅を判定することができる。このようにして、また別の広い態様によれば、本発明は、放射光源52、252(例えば、平行光の放射光源、好ましくはレーザダイオード)、画像撮影のための放射光撮影デバイス56、256(例えば、デジタルカメラ)、ならびに電子画像分析および検出のためのプログラムを実行するためのコンピュータ59、259を用いて、サンプル容器20(例えば、サンプル管)の物理的寸法特性を検出することができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。その方法は、上述のように管−フタの界面TCの位置を判定すること、およびサンプル容器20のサイズを判定するために、その情報を使用することができる。さらなる画像分析を、血清血漿部分20SPの位置でサンプル管20Tの幅を判定するために利用することができる。
【0103】
サンプル分離検出
また別の広い態様によれば、本発明は、サンプル20Aが、分離を達成するために遠心分離機の中で処理された(かどうか)を検出することができる方法および装置(例えば、デバイス)が導かれる。その方法は、方法により記述された血清部分または血漿部分20SPと赤血球部分20RBCとの間の異なる放射光パターンを検出することができる。結果として、サンプル20Aは、血清部分または血漿のレベル20SPを測定することができると、分離を経ることを結論付けることができる。サンプル20Aが分離を経ていないという逆の結論のために、サンプル容器20の中の全血は、放射光源52、252(例えば、レーザ)に曝されるときに、異なる放射光パターンを有する。
【0104】
代替実施形態
本発明には、いくつかの代替実施形態がある。図6に示され、および上述の図2Aおよび2Bを参照して、1つの実施形態では、ライン生成光学素子252Bが、サンプル容器20およびサンプル20Aへ「ライン(列)」の形態でレーザビーム252Aを投射するために、光源252(例えば、平行な放射の光源、たとえばレーザ)に連結される。図7に示すような別の実施形態では、放射光源252は、Z軸と一列になる縦軸に沿って垂直に移動すること、および限度A、B間のサンプル容器20およびサンプル20Aに長手方向で沿ったレーザビームのスポットを単にスイープすることができる。この実施形態において、スポットのさまざまな垂直位置の幅、垂直な位置、および水平な位置は、オフセットされた放射光撮影デバイス256を回転することによって測定することができる。このデータは、脂肪血症の有無と同様に、管−フタの界面TC、液体−空気の界面LA、SR界面、SS界面、SSR界面を設置することができるように関連付けることができる。
【0105】
品質管理装置30が、事前検査を処理画面として遠心分離の直後に実施するように、理想的に設置されている一方で、臨床機器または臨床分析機において直接この特徴を含むために有利であることができる。たとえば、自動化システムに接続されないスタンドアロンの臨床機器および分析機が、臨床分析の前にサンプルを認証するために、この技術を使用し得る。サンプルが、分析機器と互換性がない脂肪血症、溶血、上澄みレベル、充填量等の予め定義されたレベルを超過すると、ユーザは修正アクションをとるよう通知され得る。場合によっては、修正アクションは、機器において自動化することができる(すなわち、救済策として希釈)。任意で、ある実施形態では、分析機器は、臨床機器の検出器に届かない散乱光を示すために、分光光度法による計測定値を修正してサンプルの中の脂肪血症の測定で単に使用してもよい。
【0106】
本発明が広い実用性および用途を受け入れる余地があることは、当業者によって容易に認識されるべきである。本明細書に記述されているもの以外に、本発明の多くの実施形態および適応と同様に、多くの変形例、変更例、および均等物構成が、本発明の本質または範囲から逸脱しない範囲で、本発明およびその前述の説明から明らかになり、または合理的に示唆される。したがって、本発明が具体的な実施形態に関して詳細に本明細書において記述されてきた一方で、この開示は本発明の説明および例示のみであって、単に本発明の十分および可能な開示を提供する目的でなされることが理解される。この開示は本発明を開示された特定のシステム、装置、または方法に限定することを意図せず、逆にその意図は、本発明の趣旨および範囲の中にある全ての変更例、均等物、および代替物をカバーすることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定する方法であって、
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを通して放射ビームを送出させること;
サンプル容器に収容される臨床分析サンプルを通して送出される放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析すること
を含む方法。
【請求項2】
前記放射ビームが、
コヒーレント光であるか;
平行光の放射光であるか;および
コヒーレント光であり且つ平行光の放射光である、
からなる群から選択される特性を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、最初の前記放射ビームが、垂直なラインの形態で形成されること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記撮影された放射ビームの幅を測定すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記1以上の干渉物質の有無の判定が、
臨床分析サンプルの血清部分または血漿部分の中の脂肪血症の量を測定すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記1以上の干渉物質の有無の判定が、
臨床分析サンプルの血清部分または血漿部分の中の溶血の量を測定すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記1以上の干渉物質の有無の判定が、
臨床分析サンプルの血清部分または血漿部分の中の黄疸の量を測定すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するための方法であって、
サンプル容器を通して放射ビームを送出させること;
サンプル容器を通して送出される放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの物理的寸法特性を判定するように分析すること
を含む方法。
【請求項9】
前記臨床分析サンプルの物理的寸法特性を判定することが、
サンプル容器の中の臨床分析サンプルの液体−空気の界面(LA)の位置を判定すること;
遠心分離された臨床分析サンプルの、血清部分または血漿部分と赤血球部分との間の界面(SR)の位置を判定すること;
遠心分離された臨床分析サンプルの、赤血球部分と血清分離剤部分との間の界面(SSR)の位置を判定すること;および
遠心分離された臨床分析サンプルの、血清部分または血漿部分と血清分離剤部分との間の界面(SS)の位置を判定すること
からなる群から選択される1以上の工程を含む、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
特性を判定するための方法であって、
臨床分析サンプルを収容するように適応されたサンプル容器を通して放射ビームを送出させること;
サンプル容器を通して送出された放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、サンプル容器の物理的寸法特性を判定するように分析すること
を含む、方法。
【請求項11】
前記サンプル容器の物理的寸法特性を判定することが、
サンプル容器の管−フタの界面(TC)の位置を判定すること;および
サンプル容器の高さまたは幅を判定すること
からなる群から選択される1以上の工程を含む、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するように適応された装置であって、
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを通して放射ビームを送出させるように適応された放射光源;
サンプル容器を通して送出される放射ビームを撮影するように適応された放射光検出デバイス;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するようにして分析するように適応されたコンピュータ
を含む、装置。
【請求項13】
前記放射光源が、コヒーレントな光の放射光源である、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記放射光源が、平行な光の放射光源である、
請求項12記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記サンプル容器を保持および回転するように適応された回転ホルダ
を含む、請求項12記載の装置。
【請求項16】
前記1以上の干渉物質が、
脂肪血症;
溶血;および
黄疸
からなる群から選択される、
請求項12記載の装置。
【請求項17】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するように適応された方法であって、
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルへ放射ビームを送出させること;
臨床分析サンプルによって反射された放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析すること
を含む、方法。
【請求項18】
前記放射ビームが、コヒーレント光である、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記放射ビームが、平行化光である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
さらに、サンプル容器と放射ビームを撮影する放射光撮影デバイスとの間に位置合わせされたベクトルから回転方向にオフセットされたベクトルの放射ビームを投射すること
を含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定するように適応された方法であって、
サンプル容器へ放射ビームを送出させること;
サンプル容器の中の臨床分析サンプルによって反射された放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの物理的寸法特性を判定するように分析すること
を含む、方法。
【請求項22】
物理的特性を判定するように適応された方法であって、
臨床分析サンプルを収容するように適応されたサンプル容器を提供すること;
サンプル容器へ放射ビームを送出させること;
サンプル容器によって反射された放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、サンプル容器の物理的寸法特性を判定するように分析すること
を含む、方法。
【請求項23】
特性を判定するように適応された方法であって、
臨床分析サンプルを収容するサンプル容器へ放射ビームを送出させること;
サンプル容器の中の臨床分析サンプルによって反射された放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、
臨床分析rサンプルの物理的寸法特性、
サンプル容器の物理的寸法特性、および
臨床分析サンプルの中の干渉物質の有無
からなる群から選択される少なくとも1つを判定するように分析すること
を含む、方法。
【請求項24】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルを分析するための装置であって、
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルへビームを送出させるように適応された放射光源;
サンプル容器によって反射された放射ビームを撮影するように位置づけられる放射光撮影デバイス;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するようにして分析するように適応されたコンピュータ
を含む、装置。
【請求項25】
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルの特性を判定する方法であって、
サンプル容器の中に収容される臨床分析サンプルにおいて放射ビームを送出させること;
サンプル容器を通して送出された、または、臨床分析サンプルから反射された放射ビームを撮影すること;および
撮影された放射ビームを、臨床分析サンプルの中の1以上の干渉物質の有無を判定するように分析すること
を含み、
前記1以上の干渉物質が、
脂肪血症、
溶血、および
黄疸
からなる群から選択される、
方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図2H】
image rotate

【図2I】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−501937(P2013−501937A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524750(P2012−524750)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044515
【国際公開番号】WO2011/019576
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(508147326)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】