説明

自動ドア装置

【課題】正常な使用時には施錠することができ、悪戯による施錠を確実に防止することができる自動ドア装置を提供する。
【解決手段】便房2の出入り口10を閉じているドアパネル12が、便房2の外部に設けられた外部操作及び案内装置16の外部スイッチを操作すると、開かれる。ドアパネル12が開放状態で、便房2の内部に設けられた内部操作案内装置30の内部スイッチを操作すると、ドアパネル12が閉じられ、施錠される。出入り口10付近に行動検知センサ38が、検知エリア39を持ち、ドアパネル12が開かれた状態における行動検知センサ38の検知結果に従って、内部スイッチが操作されていても、ドアパネル12は少なくとも解錠状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置に関し、特にトイレに設置される自動ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレに設置される自動ドア装置は、例えば身障者の使用を考慮して、ドアパネルが内部から操作されて閉じられた場合、ドアパネルを施錠するものがある。しかし、トイレ内部に使用者がいないにも拘わらず、悪戯によってドアパネルが施錠されることがある。この悪戯による施錠を回避する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の技術によれば、トイレへの入退出を検出する入退室センサを設け、この入退室センサの検知回数をカウント手段によってカウントし、そのカウント数が零を含む偶数の場合、施錠を拒否し、奇数の場合に施錠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−120124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術によれば、例えば子連れ等によって複数の人がトイレ内部に入った場合、カウント数が偶数となることがあり、本来、施錠すべきであるのに、施錠拒否と判断されることがある。近年、身障者専用としてではなく、多目的トイレとして、健常者も使用することがあるトイレでは、上記の子連れでの使用の機会が多く、誤って施錠拒否となる可能性が高い。
【0006】
本発明は、正常な使用時には確実に施錠することができ、悪戯による施錠を確実に防止することができる自動ドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の自動ドア装置は、便房の出入り口を閉じているドアパネルを有している。前記便房の外部に外部操作手段が設けられている。この外部操作手段が、操作されたことに応じて、前記ドアパネルが開放される。前記便房の内部に内部操作手段が設けられている。前記ドアパネルが開放されている状態において、内部操作手段が操作されたことに応じて、前記ドアパネルが閉じられ、且つ施錠される。前記出入り口付近に検知エリアを持つ検知センサが設けられている。前記ドアパネルが開かれた状態における前記検知センサの検知結果に従って、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルが少なくとも解錠状態が維持される。例えば、解錠状態のみでなく、ドアパネルの開放状態を維持することもある。
【0008】
このように構成された自動ドア装置では、内部操作手段が操作されていても、検知センサの検知結果に従ってドアパネルは少なくとも解錠状態を維持する。従って、ドアパネルが開かれた状態において、悪戯で内部操作手段が操作されても、ドアパネルが施錠されることはないので、外部操作手段の操作によって開放することができる。また、正常な使用によって内部操作手段が奏された場合には、ドアパネルは施錠される。
【0009】
前記検知センサは、前記検知エリアの状況を時系列的に判断することができるものを使用することができる。例えば出入り口近傍に行列状に複数の小検知エリアを形成し、これら小検知エリアでの人の検出を所定時間、例えば検出時間の経過ごとに行う。或いは、出入り口付近を動画撮影し、この動画撮影像から動体検出を行う。
【0010】
このように時系列的に検知エリアの状況を判断することによって、検知エリアで検知された人の移動方向、例えば検知エリアを超えて便房内に入ったとか、検知エリアを超えて出入り口から出たとかを検知することができ、便房への人の出入りを確実に検知することができる。
【0011】
前記ドアパネルが開放されている状態において、前記検知センサによって前記検知エリアで人が検知され、その後に前記人が前記出入り口を出たことが検知されたとき、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルの解錠状態を維持することもできる。検出される人は、複数であっても単数であってもよい。
【0012】
このように構成することによって、人が悪戯目的で、ドアパネルを開いて、出入り口付近で内部操作手段を操作して、出入り口付近から便房の外へ出ても、ドアパネルは出入り口を閉じるが、施錠されていないので、外部操作手段を操作することによって、ドアパネルを開放することができる。
【0013】
前記ドアパネルが開放されている状態において、前記検知センサによって前記検知エリアで少なくとも1人の人が検知され、その後に前記少なくとも1人の人が、前記便房内に移動したことが検知され、前記検知エリア内で非検知となり、前記検知エリア内で検知され、前記出入り口を出たことが検知されたとき、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルの解錠状態を維持することもできる。複数の人が検知エリアで検知され、そのうちの1人のみが、便房内に入り、内部操作手段を操作して、検知エリア内で検知され、出入り口を出て、他の人が検知エリア内に止まり、上記1人よりも先に、或いはほぼ同時に或いは遅れて出入り口を出た場合も同様に、ドアパネルの解錠状態は維持される。
【0014】
このように構成することによって、人が悪戯目的で、ドアパネルを開いて、内部操作手段を操作して、出入り口付近から便房の外へ出ても、ドアパネルは出入り口を閉じるが、施錠されていないので、外部操作手段を操作することによって、ドアパネルを開放することができる。
【0015】
前記検知エリア内で、予め定めた複数の数以上の人が検知されたとき、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルの開放状態を維持することもできる。このように構成すると、悪戯目的で多くの人が検知エリア内に入ると、内部操作手段が操作されても、ドアパネルは開放状態が維持される。
【0016】
前記検知センサが前記検知エリア内において1人の人を検知し、前記内部操作手段の操作後、前記検知センサが新たに人を検知したとき、前記ドアパネルを開放することもできる。
【0017】
このように構成すると、1人の人が内部操作手段を操作して、ドアパネルを閉じようとしたとき、新たに人が便房内に入るというトイレの使用法は通常無いので、異常な状態であると判断して、ドアパネルを開放したままとする。
【0018】
上記の一態様において、前記内部操作手段が、前記出入り口から操作可能に設けられ、前記検知センサが前記出入り口付近に存在する人を検出したとき、前記内部操作手段が操作されても、前記ドアパネルの解錠状態を維持することもできる。この場合、検知センサとしては、光電センサや赤外センサのような人の有無のみを検知するものを使用できる。
【0019】
このように構成された自動ドア装置では、悪戯目的で、出入り口付近に立って、内部操作手段を操作して、ドアパネルを閉じたとしても、ドアパネルは解錠状態にあるので、外部操作手段の操作によって、ドアパネルを開くことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、正常な使用時には確実にドアパネルを施錠することができ、悪戯によるドアパネルの施錠を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態の自動ドア装置の縦断側面図と平面図である。
【図2】図1の自動ドア装置のブロック図である。
【図3】図1の自動ドア装置の第1の使用例の説明図である。
【図4】図1の自動ドア装置の第2の使用例の説明図である。
【図5】図1の自動ドア装置の第3の使用例の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の自動ドア装置の第1の使用例の説明図である。
【図7】図6の自動ドア装置の第2の使用例の説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の自動ドア装置の縦断側面図と平面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の自動ドア装置の縦断側面図と平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態の自動ドア装置は、図1(a)及び(b)に示すように、トイレに設けられている。トイレは、例えば概略直方体の部屋状の便房2を有し、その内部には便器4、手洗い6及び仕切り壁8が配置されている。この便房2の出入り口10を開閉するようにドアパネル12が設置されている。ドアパネル12は、図2に示すドア駆動装置14によって制御されて開閉する。
【0023】
便房2の外部、例えば便房2の出入り口10付近の外部壁には、外部操作及び案内装置16が設置されている。この外部操作及び案内装置16は、図2に示すように、外部操作手段、例えば外部スイッチ18と、外部案内手段、例えば外部音声装置20及び外部表示装置22とを、備えている。
【0024】
外部スイッチ18は、図示していないが、操作されることによってドアパネル12が開放される開スイッチと、操作されることによってドアパネル12が閉じられる閉スイッチとを、備えており、これらの操作による指示は、ドア制御駆動装置8内の制御手段、例えば制御部24に送られ、制御部24がドアパネル12を制御する。
【0025】
外部音声装置20は、制御部24からの指示に従って後述するように外部スイッチ18の操作等を音声によって案内するものである。外部表示装置22も、制御部24からの指示に従って、外部スイッチ18の操作等を表示によって案内するものである。
【0026】
図1(a)、(b)に示すように、出入り口10のドアパネル12の側柱26と、ドアパネル12が収容される戸袋27の側面とには、出入り口10に通行者が止まっているか否かを検出する光電センサ28として投光器28Eと受光器28Rが設置されている。光電センサ28の検知信号は図2に示すように制御部24に供給され、ドアパネル12を閉じる指示が制御部24に与えられていても、光電センサ28が通行者を検知している場合には、ドアパネル12は閉じられない。
【0027】
図1(a)及び(b)に示すように、便房2内の出入り口10の近傍には、内部操作及び案内装置30が設置されている。この内部操作及び案内装置30は、図2に示すように、内部操作手段、例えば内部スイッチ32と、内部案内手段、例えば内部音声装置34及び内部表示装置36とを、備えている。内部スイッチ32も開スイッチと閉スイッチとを備え、ドアパネル12が開いている状態において、閉スイッチを操作すると、ドアパネル12が閉じられ、かつ、電気錠41による施錠が行われる。内部スイッチ32の閉スイッチの操作によってドアパネル12が閉じられている状態において、開スイッチを操作すると、電気錠41が解錠され、ドアパネル12が開かれる。部音声装置34及び内部表示装置36は、悪戯等によってドアパネル12が閉じられようとするときに、注意を促す案内を音声及び表示で行う。
【0028】
図1(a)に示すように、便房2内の出入り口10の上方には、検知センサ、例えば行動検知センサ38が取り付けられている。行動検知センサ38は、図1(b)に破線で示すように、出入り口10から便房2内の床面に検知エリア39を形成し、この検知エリア39は例えば行列状に形成した多数の小検知エリア40、40・・・からなる。行動検知センサ38は、各小検知エリア40、40・・・に対応する投光器及び受光器を備え、これら小検知エリア40、40・・・内に物体が存在するか否かを個別に検出するものである。この検出を時系列的に行い、例えば予め定めた検出時間の経過ごとに検出を繰り返す。この検知結果を行動検知センサ38が比較することによって、検知エリア39内における物体の移動方向を検知することができる。この検知結果も、制御部24に供給されている。なお、図1(a)、(b)に示すように内部操作及び案内装置30は、行動検知センサ38の検知エリア内に設置されている。
【0029】
制御部24は、ドアパネル12が閉じられたとき、ドアパネル12を施錠する電気錠41も制御する。電気錠41は、通常には、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されて、ドアパネル12が閉じたとき、ドアパネル12を施錠するが、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の閉スイッチの操作によってドアパネル12が閉じられたとき、ドアパネル12を施錠せず、解錠のままとする。
【0030】
この自動ドア装置の第1の使用例を図3(a)乃至(c)を参照しながら説明する。ドアパネル12が閉じられている状態において、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を開放する。ドアパネル12が開かれた状態において、同図(a)に示すように、人42が行動検知センサ38によって出入り口10の近傍で検出されたことが制御部42に指示され、検出時間が経過するごとに人42が検知されるが、例えば予め定めた時間が最初の検出から経過しても、同図(b)に示すように殆ど出入り口10付近から人42が移動していないことが制御部24に指示された後、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されると、制御部24はドアパネル12を閉じ始める。
【0031】
ドアパネル12が閉じ始めた後に、人42が同図(c)に示すように出入り口10から出て、行動検知センサ38が非検知状態となると、制御部24は、ドアパネル12は閉じるが、電気錠41による施錠は行わない。従って、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチを操作すると、ドアパネル12を開くことができ、悪戯によってドアパネル12を開くことができない状態となることを回避できる。
【0032】
なお、複数、例えば2人または3人の人が検知エリア39内に入り、そのうちの少なくとも1人が内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作して、全員が出入り口10から出た場合も同様にドアパネル12は制御される。
【0033】
この自動ドア装置の第2の使用例を図4(a)乃至(c)を参照しながら説明する。ドアパネル12が閉じられている状態において、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を開放する。ドアパネル12が開かれた状態において、同図(a)に示すように、多数の人42が検知エリア39内に入ると、そのことが行動検知センサ38によって制御部24に指示される。制御部42は、予め定めた人数以上の人数が検知エリア39で検知されると、内部操作及び案内装置30の内部音声装置34及び内部表示装置36によって、不正な使用方法であるので、便房2から退室することを促す音声案内と表示案内とを行う。予め定めた人数としては、例えば2人の子供を連れて親が便房2内に入ることを想定すると、4人と決定する。
【0034】
内部操作及び案内装置30の内部音声装置34及び内部表示装置3の音声案内と表示案内とは、行動検知センサ38による検知が何回かに亘って行われるうちに、たとえ同図(b)に示すように検知される人数が減少しても、制御部24は、上記の案内は停止しない。特に、行動検知センサ38では、検知された人の移動方向が判明するので、検知される人数が減ったことが、当初検知されていた人のうち何人かが便房2の便器4の方向に入ったことによる場合には、悪戯をしている可能性が高いからである。
【0035】
無論、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されても、制御部24はドアパネル12を閉じない。そして、同図(c)に示すように、検知エリア39において人が検知されなくなっても、例えば同図(b)に示すように検知エリア39内に残っていた人42も、便器4の方向へ移動しているような場合には、制御部24はドアパネル12を閉じない。但し、検知されていた全ての人が出入り口10を介して便房2の外部に出たことが検知された場合には、例えば予め定めた時間の経過後に、制御部24はドアパネル12を閉じる。この予め定めた時間内に、予め定めた人数内の人が便房2内に入って、内部スイッチ32の閉スイッチが操作された場合には、制御部24はドアパネル12を閉じ、施錠する。
【0036】
この自動ドア装置の第3の使用例を図5(a)乃至(d)を参照しながら説明する。ドアパネル12が閉じられている状態において、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を開放する。その後、同図(a)に示すように出入り口10に立ち止まらずに、出入り口10から検知エリア39内に入った人42aが検知され、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されると、制御部24はドアパネル12を閉じ始める。ドアパネル12が閉じ始めていて、まだ完全に閉じていない状態において、同図(b)に示すように新たに人42bが検知範囲39内に入ったことが検知されると、制御部42は、ドアパネル12を再び開放し、内部操作及び案内装置30の内部音声装置34及び内部表示装置36によって不正な使用方法であるので便房2の外部に出ることを促す音声案内と表示案内とを行う。
【0037】
なお、同図(c)に示すように、先に入っていた人42aが便器4側に移動して、検知エリア39内で検知できなくなった場合にも、音声案内及び表示案内は継続するし、同図(d)に示すように後から入った人42bも便器4側に移動して検知されなくなった場合にも、音声案内及び表示案内は継続する。
【0038】
また、この案内に従って、検知されていた人42a、42bが出入り口10から便房2の外部に退出したことが行動検知センサ38によって検知されると、制御部24は予め定めた時間の経過後にドアパネル12を閉じる。例えば先に検出された人42aが例えば親で、後で検出された人が子であるような場合、一度退出した後、2人が同時に便房2内に入ることによって、内部スイッチ32を操作すれば、制御部24はドアパネル12を閉じ、施錠する。
【0039】
第2の実施形態の自動ドア装置を図6乃至図8を参照しながら説明する。この実施形態の自動ドア装置では、内部操作及び案内装置30が、検知エリア39よりも便器4に近い位置に設けられ、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作する際に、人が行動検知センサ38によって検知されなくなるものである。他の構成は、第1の実施形態と同一に構成されている。同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
第2の実施形態での第1の使用例を図6(a)乃至(f)を参照して説明する。ドアパネル12が閉じられている状態において、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を開放する。ドアパネル12が開かれた状態において、同図(a)に示すように、1人の人42が行動検知センサ38によって出入り口10の近傍で検出され、さらに同図(b)に示すように検知エリア39内を内部操作及び案内装置30側に移動し、同図(c)に示すように検知エリア39で人42が非検知となったことがそれぞれ制御部24に指示される。この状態までの間に内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を閉じ始める。
【0041】
ドアパネル12が閉じ始めた状態で、同図(d)に示すように便器4側から戻ってきた人42が検知エリア39内で再び検知され、さらに同図(e)に示すように、その人42が出入り口10側に向かい、同図(f)に示すようにドアパネル12が閉じ終わる前に、出入り口10から出たことがそれぞれ検知された場合、制御部24は、ドアパネル12が閉じ終わった後、施錠せずに解錠状態を維持する。これによって、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチを操作することによってドアパネル12を開くことができるので、悪戯によるドアパネル12の閉鎖であっても、外部からの操作によって開くことができる。
【0042】
なお、複数の人全員が、検知エリア39を通過して、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作して、検知エリア39を通過して出入り口10から出た場合も同様に制御される。
【0043】
第2の実施形態での第2の使用例を図7(a)乃至(f)を参照して説明する。ドアパネル12が閉じられている状態において、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を開放する。ドアパネル12が開かれた状態において、同図(a)に示すように、2人の人42a、42bが行動検知センサ38によって出入り口10の近傍で検出され、さらに同図(b)に示すように検知エリア39内を内部操作及び案内装置30側に2人の人42a、42bが移動し、同図(c)に示すように検知エリア39で人42aが非検知となったことがそれぞれ制御部24に指示される。この状態までの間に内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されると、制御部24は、ドアパネル12を閉じ始める。
【0044】
ドアパネル12が閉じ始めた状態で、同図(d)に示すように検知エリア39内で再び2人の人42a、42bが検知され、さらに同図(e)に示すように2人の人42a、42bが共に出入り口10側に向かい、同図(f)に示すようにドアパネル12が閉じ終わる前に、出入り口10から出たことがそれぞれ検知された場合、制御部24は、ドアパネル12が閉じ終わった後、施錠せずに解錠状態を維持する。これによって、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチを操作することによってドアパネル12を開くことができ、悪戯でドアパネル12が閉じられた場合でも、外部からの操作によってドアパネル12をひらくことができる。
【0045】
なお、検知エリア39内に入った人が3人で、出入り口10から離れた検知エリア39内に残った人が1人で、2人が内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作しに行った場合も、出入り口10から離れた検知エリア39内に2人が残り、1人だけが操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作しに行った場合もの、同様に制御される。
【0046】
また、1人の人42bが出入り口10付近に止まって、1人の人42aが検知範囲39を通過して内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作して、検知範囲39を通過して、2人の人が共に出入り口10から出たことがそれぞれ検知された場合も、ドアパネル12は閉じられるが、施錠されず、解錠状態を維持する。検知エリア39内に入った人が3人で、出入り口10付近に残った人が1人で、他の1人が検知エリア39の出入り口10から離れた検知エリア39内の位置にいて、1人だけ内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作しに行った場合も、検出入り口10付近に残った人が1人で、他の2人が検知エリア39を通過して内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作しに行った場合も、同様に制御される。
【0047】
このように複数の人が検知エリア39で検知され、少なくとも1人の人が検知エリア39を通過して、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32を操作して、操作した人が検知エリア39を通過して、出入り口10側に移動し、検知エリア39内の出入り口10付近または出入り口10から離れた位置にいた他の人と共に出入り口から出た場合には、ドアパネル12は閉じられるが、施錠されない。
【0048】
例えば4人以上の人が全員検知エリア39内に入った状態では、第1の実施形態の第2の使用例と同様に、ドアパネル12は閉じられず、内部操作及び案内装置30の内部音声装置34及び内部表示装置36によって退去の案内が行われる。
【0049】
第3の実施形態の自動ドア装置を図8(a)、(b)に示す。第3の実施形態の自動ドア装置では、側柱26に、その上下方向に沿って複数、例えば5つの光電センサの投光器44E、46E、48E、50E、52Eが設置され、戸袋27の側面には、これらに対向するように受光器44R、46R、48R、50R、52Rが設置されており、これらは安全センサとしえ使用されるが、そのうちの一部、例えば最も床面に近い位置に或る投光器52E、受光器52Rとを検知センサとして使用したものである。他の構成は、第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
この実施形態の自動ドア装置では、外部スイッチ18の開スイッチによってドアパネル12が開かれ、投光器52Eと受光器52Rとによって通行者が検知され、検知された状態のままで、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32が操作されたとき、即ち、出入り口付近10に人が立ったまま、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32が操作されたとき、悪戯であると判断して、人が5つの光電センサによって検出されなくなった後に、ドアパネル12を閉じるが、施錠は行わない。これによって、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチを操作することによってドアパネル12を開くことができる。
【0051】
第4の実施形態の自動ドア装置を図9(a)、(b)に示す。この実施形態の自動ドア装置では、第1の実施形態で使用した行動検知センサ38に代えて、同図(b)に示すように出入り口付近10に第3の実施形態の投光器52Eと受光器52Rとによって形成される検知エリアよりも広く出入り口10を挟んで便房2の内外にある検知エリア54を形成し、この検知エリア54内に利用者が存在するか否かのみを検知するセンサ、例えば赤外線センサ56を、出入り口10の上部の無目に取り付けてある以外、第1の実施形態の自動ドア装置と同一に構成されている。同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
【0052】
この実施形態の自動ドア装置でも、外部スイッチ18の開スイッチによってドアパネル12が開かれ、赤外線センサ56によって通行者が検知され、検知された状態のままで、内部操作及び案内装置30の内部スイッチ32の閉スイッチが操作されたとき、即ち、出入り口付近10に人が立って内部スイッチ32の閉スイッチ32が操作されたとき、悪戯であると判断して、人が投光器28E及び受光器28Rからなる光電センサで人が検出されなくなった後、ドアパネル12を閉じるが、施錠は行わない。これによって、外部操作及び案内装置16の外部スイッチ18の開スイッチを操作することによってドアパネル12を開くことができる。
【0053】
第1の実施形態では、行動検知センサ38として多数の小検知エリア40を形成するものを使用したが、これに代えてビデオカメラを使用し、その映像からの動体検出結果を検知結果として使用することもできる。但し、プライバシーの保護の観点から、小検知エリアを形成するものの方が望ましい。また、第1の実施形態の第2の使用例や、第3の使用例、第2の実施形態の第2の使用例、では、複数の利用者を個別に判別できるものを行動検知センサとして使用したが、個別に判別できないものを使用することもできる。その場合、人を検知している小検知エリアの面積の増減によって複数の人のうち何人かが検知エリアから出たか否を判断する。
【符号の説明】
【0054】
2 便房
10 出入り口
12 ドアパネル
18 外部スイッチ(外部操作手段)
32 内部スイッチ(内部操作手段)
38 行動検知センサ(検知センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便房の出入り口を閉じているドアパネルと、
前記便房の外部に設けられ、操作されたことに応じて、前記ドアパネルが開放される外部操作手段と、
前記便房の内部に設けられ、前記ドアパネルが開放されている状態において、操作されたことに応じて、前記ドアパネルが閉じられ、且つ施錠される内部操作手段とを、
具備する自動ドア装置において、
前記出入り口付近に検知エリアを持ち、前記ドアパネルが開かれた状態における検知結果に従って、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルは少なくとも解錠状態が維持される検知センサを、備える
自動ドア装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動ドア装置において、前記検知センサは、前記検知エリアの状況を時系列的に判断する自動ドア装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動ドア装置において、前記ドアパネルが開放されている状態において、前記検知センサによって前記検知エリアで人が検知され、その後に前記出入り口を出たことが検知されたとき、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルの解錠状態を維持する自動ドア装置。
【請求項4】
請求項2記載の自動ドア装置において、前記ドアパネルが開放されている状態において、前記検知センサによって前記検知エリアで少なくとも1人の人が検知され、その後に前記少なくとも1人の人が、前記便房内に移動したことが検知され、前記検知エリア内で非検知となり、前記検知エリア内で検知され、前記出入り口を出たことが検知されたとき、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルの解錠状態を維持する自動ドア装置。
【請求項5】
請求項2記載の自動ドア装置において、前記検知エリア内で、予め定めた複数の数以上の人が検知されたとき、前記内部操作手段が操作されていても、前記ドアパネルの開放状態を維持する自動ドア装置。
【請求項6】
請求項2記載の自動ドア装置において、前記検知センサが前記検知エリア内において1人の人を検知し、前記内部操作手段の操作後、前記検知センサが新たに人を検知したとき、前記ドアパネルが開放される自動ドア装置。
【請求項7】
前記内部操作手段が、前記出入り口から操作可能に設けられ、前記検知センサが前記出入り口付近に存在する人を検出したとき、前記内部操作手段が操作されても、前記ドアパネルの解錠状態を維持する自動ドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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