自動ドア
【課題】上枠の収容空間に電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、ベルト、戸車、コントローラを収容して、その上枠の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできる自動ドアとする。
【解決手段】上枠1の収容空間1aの下部にレール部2を備え、ドア10の上部に取り付けた移動用ハンガー11の戸車13を前記レール部2上を転がるようにしてドア10を吊り下げ支持し、前記収容空間1aで、長手方向一端側の幅方向他端寄りに駆動プーリ4を垂直状態として取り付け、長手方向他端側の上部に従動プーリ6を水平状態に設け、前記ベルト7の下方側部7aと幅方向一端側部7cを前記移動用ハンガー11に連結し、前記駆動プーリ4と収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bとの間に電動モータ3を設け、前記ベルト7の幅方向一端側部7cと前記縦面1bとの間にコントローラ8を設け、上枠1の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくする。
【解決手段】上枠1の収容空間1aの下部にレール部2を備え、ドア10の上部に取り付けた移動用ハンガー11の戸車13を前記レール部2上を転がるようにしてドア10を吊り下げ支持し、前記収容空間1aで、長手方向一端側の幅方向他端寄りに駆動プーリ4を垂直状態として取り付け、長手方向他端側の上部に従動プーリ6を水平状態に設け、前記ベルト7の下方側部7aと幅方向一端側部7cを前記移動用ハンガー11に連結し、前記駆動プーリ4と収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bとの間に電動モータ3を設け、前記ベルト7の幅方向一端側部7cと前記縦面1bとの間にコントローラ8を設け、上枠1の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関などの出入口に設置される自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアは、玄関などの出入口に設置されており、その出入口上部の上枠に、ドアを開閉方向に移動するドア開閉駆動装置を設けている。
このドア開閉駆動装置としては次のものが知られている。
前記上枠の内部で、その長手方向一端側に配した電動モータと、この電動モータに連結された駆動プーリ、前記上枠の内部で、その長手方向他端側に配した従動プーリ、前記駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けたベルトを有し、前記上枠の下端側にはレール部を備え、ドアは、その上部にハンガーを備え、そのハンガーには、前記レール部上を転がって移動する戸車を持ち、ドアが戸車でレール部に吊り下げられている。
前記ハンガーを前記駆動プーリと従動プーリに巻き掛けたベルトに連結し、前記電動モータで駆動プーリを駆動してベルトを移動することで、そのベルトの移動に伴ってドアが開閉方向に移動するようにしてある。
【0003】
前述したドア開閉駆動装置を有した自動ドアにおいては、前記上枠の内部に、電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、ベルト、戸車と、前記電動モータを駆動制御してドアの開閉を制御するコントローラが収容され、それらがそれぞれ干渉しない位置に配置する必要性から、上枠自体が大きくなるとの問題点を有している。
【0004】
具体的には、駆動プーリと従動プーリが垂直状態(水平な回転軸で回転する状態)で、その駆動プーリと従動プーリに巻き掛けたベルトが上枠の上部に位置し、そのベルトよりも下方において戸車を備えたハンガーが移動するようになっているため、上枠の高さ寸法(見付寸法)を小さくできず、上枠の高さ寸法が大きくなっていた。
このように、上枠の高さ寸法が大きいと、意匠性が悪いと共に、最近の小型化の要望を満足させることができなくなってしまう。
【0005】
前述の問題点を解決するために、上枠の高さ寸法を小さくできるようにした自動ドアが特許文献1に開示されている。
この自動ドアは、駆動プーリ、従動プーリを上枠の内部に水平状態(垂直な回転軸で回転する状態)として配し、その駆動プーリと従動プーリにベルトを巻き掛け、そのベルトの内側(つまり、ベルトの往動側と復動側との間)に戸車が走行するように配置し、電動モータおよびコントローラを縦枠に配置することで、上枠の高さ寸法(見付寸法)を小さくできるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平5−18468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の自動ドアは、駆動プーリと従動プーリにベルトを水平に巻き掛け、そのベルトの内側を戸車が走行するから、上枠の高さ寸法を小さくできるが、電動モータ、駆動プーリおよびコントローラを縦枠に配置してあるので、自動ドアの修理などのメンテナンス、交換などが大変困難で、実際には不可能である。
【0008】
このことを解消するために、本出願人は電動モータ、駆動プーリおよびコントローラを上枠の内部に配置することを試みたが、電動モータ、コントローラをベルトとレール部との間で、かつベルトの内側に配置すると、その電動モータ、コントローラに戸車が干渉する恐れがあるため、上枠の幅方向(見込み方向)一方の縦面とベルトとの間に電動モータ、コントローラを配置しなければならず、上枠の幅方向寸法が大きくなる。
【0009】
本発明の目的は、上枠の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできると共に、上枠の内部に、電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、ベルト、戸車、コントローラを収容してメンテナンス、交換などが容易にできる自動ドアとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上枠1の収容空間1aの下部に、長手方向に向かうレール部2と、幅方向一端側に縦面1bとを備え、
ドア10の上部に設けた移動用ハンガー11が備えた戸車13を、前記レール部2上を転がって移動することで、ドア10を開閉方向に移動可能とし、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側の幅方向他端側寄りに、駆動プーリ4を垂直状態として取り付け、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側の高さ方向上部に、従動プーリ6を水平状態として取り付け、
前記駆動プーリ4と従動プーリ6にベルト7を巻き掛け、そのベルト7の駆動プーリ4に巻き掛け下部側に位置する下方側部分7aを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記ベルト7の従動プーリ6に巻き掛け幅方向一端側に位置する幅方向一端側部7cを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記上枠1の縦面1bと前記ベルト7との間に、前記駆動プーリ4を回転する電動モータ3、この電動モータ3を駆動制御するコントローラ8を設けたことを特徴とする自動ドアである。
【0011】
本発明の自動ドアにおいては、前記上枠1の収容空間1aで、前記駆動プーリ4に対し長手方向他端側に隣接した位置に駆動側ガイドローラ20を設け、
この駆動側ガイドローラ20で、ベルト7の下方側部7aを押し上げガイドして、当該下方側部7aの駆動側ガイドローラ20よりも長手方向他端側のベルト部分7a−1を、前記ベルト7の上方側部7bに接近することができる。
【0012】
このようにすれば、レール部2を駆動プーリ4の最下部4cに接近した位置、または最下部4cよりも上方の位置とすることができるので、上枠1の高さ寸法をより小さくできる。
【0013】
本発明の自動ドアにおいては、前記レール部2は上枠1と別体で、かつ上枠1よりも短い長さとし、
前記レール部2を上枠1の収容空間1aの下部に、そのレール部2の長手方向一端部2bよりも上枠1の長手方向一端部が長手方向端部に張り出すように取り付け、
前記上枠1のレール部2の長手方向一端部2bより張り出した張り出し部分1cに駆動プーリ4と駆動側ガイドローラ20を設けることができる。
【0014】
このようにすれば、レール部2の長さを短くする加工が容易である。
【0015】
本発明の自動ドアにおいては、前記上枠1の収容空間1aで、前記従動プーリ6に対し長手方向一端側に隣接した位置に、従動側ガイドローラ21を設け、
この従動側ガイドローラ21で、ベルト7の幅方向一端側部7cを幅方向他端側に向けて押しつけガイドし、
前記ベルト7の幅方向一端側部7cの従動側ガイドローラ21よりも長手方向一端側寄りのベルト部分7c−1を、ベルト7の幅方向他端側部7dに接近することができる。
【0016】
このようにすれば、上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bと、ベルト7のベルト部分7c−1との間の幅方向間隔が大きく、その部分にコントローラ8を設けることができる。
したがって、上枠1の幅方向寸法Lをより小さくできる。
【0017】
本発明の自動ドアにおいては、前記ドア10の上部で、長手方向の駆動プーリ4側の位置に、戸車13を備えた移動用ハンガー11を取り付け、
前記ドア10の上部で、長手方向の従動プーリ6側の位置に、戸車13を備えた案内用ハンガー12を取り付け、
前記案内用ハンガー12と戸車13が従動プーリ6の下部よりも下方に位置して干渉しないようにできる。
【0018】
このようにすれば、案内用ハンガー12をドア10の従動プーリ6側の端部10aの近くに取り付けしてドア10を安定して支持できる。
【0019】
本発明の自動ドアにおいては、前記上枠1は、第1縦板30と第2縦板31と上横板32と下横板33を備え、その第2縦板31と下横板33との間に開口部34を有した断面形状とし、
前記レール部2は、板状の取付部2cを有し、
前記取付部2cを、前記第1縦板30と下横板33で支持して上枠1の収容空間1aの下部に取り付け、前記レール部2が開口部34の上方に位置するようにできる。
【0020】
このようにすれば、レール部2を上枠1に簡単に取り付けできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電動モータ3で駆動プーリ4を一方向、他方向に回転してベルト7を移動することで、ドア10を開閉方向に移動できる。
しかも、駆動プーリ4が垂直状態で幅方向他端側寄りに設けると共に、従動プーリ6が水平状態で高さ方向上部に設けたので、上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1aとベルト7との間に電動モータ3、コントローラ8を設けるスペースを確保でき、上枠1の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできると共に、上枠1の収容空間1aに電動モータ3、駆動プーリ4、従動プーリ6、ベルト7、戸車13、コントローラ8を収容してメンテナンス、交換などが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの閉じ状態の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの閉じ状態の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの開き状態の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す自動ドアの閉じ状態の正面図である。
【図5】図1の駆動プーリ部分の拡大図である。
【図6】図2の従動プーリ部分の拡大図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの斜視図である。
【図8】図1の従動プーリ部分の拡大図である。
【図9】図1のA−A断面図である。
【図10】図1のB−B断面図である。
【図11】図1のC−C断面図である。
【図12】図1のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明において、上枠1に対しレール部2が延びる方向であり、戸車13によりドア10が移動する方向を長手方向とし、上枠1の駆動プーリ4が設けられる側を一端側、従動プーリ6が設けられる側を他端側とする。そして、その長手方向に垂直で、ドア10の平面に対して水平な方向を高さ方向(または垂直方向)とし、高さ方向はドア10側を下部、その反対側を上部とする。また、ドア10の平面に対して垂直な方向を幅方向とし、後述する収容空間1aの縦面1b側を幅方向一端側、その反対側を幅方向他端側とする。
図1と図2に示すように、上枠1は収容空間1aを有し、その収容空間1aの下部にレール部2を備え、このレール部2は上枠1の長手方向に向けて延びていると共に、水平である。なお、上枠1は一点鎖線で図示してある。
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側に電動モータ3、駆動プーリ4、その電動モータ3の回転を駆動プーリ4に伝えるギヤボックス5が設けてある。
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側に従動プーリ6が設けてある。
この従動プーリ6と前記駆動プーリ4とに亘ってベルト7が巻き掛けてある。
前記上枠1の収容空間1aで、その収容空間1aの幅方向(見込み方向)一端側の縦面1bと前記ベルト7との間にコントローラ8が設けてある。
【0024】
この自動ドアは2つのドア10を有した引き分けタイプで、その2つのドア10の上部には移動用ハンガー11と案内用ハンガー12が移動方向に間隔を置いてそれぞれ設けてある。
この各ハンガーは戸車13をそれぞれ備え、その各戸車13が前記レール部2上を転がって移動することで、ドア10を吊り下げ支持する。
前記ベルト7が前記各移動用ハンガー11に連結され、電動モータ3によって駆動プーリ4を回転してベルト7を移動することで、そのベルト7の移動に伴って2つのドア10が、図1に示す閉じ位置と図3に示す開き位置とに亘って開閉方向に移動する。
【0025】
前記駆動プーリ4は、水平な(幅方向に平行な)回転軸4aで回転する状態、つまり垂直状態で、上枠1の幅方向他端側寄りで、高さ方向(見付方向)中間に設けてある。
この駆動プーリ4と、前記上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bとの間に、前記電動モータ3、ギヤボックス5が設けてある。
前記電動モータ3の回転軸は上枠1の長手方向と平行で、ギヤボックス5は電動モータ3の回転を駆動プーリ4に伝達するもので、前記電動モータ3は長手方向他端側(従動プーリ6側)に、ギヤボックス5は長手方向一端側(駆動プーリ4側)に設けられる。
前記従動プーリ6は、垂直な(高さ方向に平行な)回転軸6aで回転する状態、つまり水平状態で、前記上枠1の収容空間1aの高さ方向上部寄りで、幅方向中間に設けてある。
【0026】
前記ベルト7は駆動プーリ4に垂直に巻き掛けてあり、そのベルト7の往動側、復動側は上下で、下方側部7aが前記2つのドア10における一方のドア10(図1で右側のドア10)の移動用ハンガー11に連結され、上方側部7bが従動プーリ6に巻き掛けてある。
ベルト7は、レール部2に水平な上方側部7bを駆動プーリ4の上部から巻き掛け、駆動プーリ4の下部からレール部2に水平に延びる下方側部7aとして巻き掛けられている。
前記ベルト7は従動プーリ6に水平に巻き掛けてあり、そのベルト7の往動側、復動側は上枠1の幅方向で、幅方向一端側部7c、つまり上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1b側部が前記一方のドア10の移動用ハンガー11に連結され、幅方向他端側部7dが、前記駆動プーリ4に巻き掛けた部分の上方側部7bと連続し、他方のドア10(図1で左側のドア10)の移動用ハンガー11に連結される。
【0027】
前記ベルト7の駆動プーリ4に巻き掛けた部分は水平で、従動プーリ6に巻き掛けた部分は垂直で、前述の上方側部7bが水平で、幅方向他端側部7dが垂直であるから、ベルト7は、駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1において、駆動プーリ4側部分が水平で、従動プーリ6側部分が垂直となるようにねじれている。
【0028】
前記ベルト7の駆動プーリ4に巻き掛け上方側に位置する上方側部7bと従動プーリ6に巻き掛け幅方向他端側に位置する幅方向他端側部7dとの間の部分、つまり、駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1が、前記2つのドア10における他方のドア10の移動用ハンガー11に連結されている。
図1、図2においては、ベルト7の垂直な部分を移動用ハンガー11に連結し、この移動用ハンガー11よりも駆動プーリ4寄りでベルト7がねじれるようにしてある。
【0029】
なお、ベルト7の駆動プーリ4と従動プーリ6との間の部分(掛渡しベルト部分7−1)を不連続とし、水平である上方側部7bの端部と、垂直である幅方向他端側部7dの端部を、前述の他方のドア10の移動用ハンガー11にそれぞれ連結しても良い。
要するに、ベルト7を駆動側のベルトと従動側のベルトの2本とし、この駆動側のベルトを駆動プーリ4に巻き掛けて下方側部の端部を一方のドア10の移動用ハンガー11に連結し、かつ上方側部の端部を他方のドア10の移動用ハンガー11に連結する。
前記従動側のベルトを従動プーリ6に巻き掛けて幅方向一端側部の端部を一方のドア10の移動用ハンガー11に連結し、幅方向他端側部の端部を他方のドア10の移動用ハンガー11に連結する。
【0030】
このようにすれば、駆動プーリ4と従動プーリ6との間でベルト7が水平と垂直とにねじれることがない。
【0031】
図1、図2に示すドア閉じ状態において、電動モータ3を駆動して駆動プーリ4を矢印a方向(一方向)に回転すると、ベルト7の下方側部7aが長手方向一端側に向けて引張られ、一方のドア10が開き方向に移動する。
これに伴ってベルト7の幅方向一端側部7cが、前述の一方のドア10の移動用ハンガー11によって長手方向一端側に向けて移動し、ベルト7の幅方向他端側部7dが長手方向他端側に向けて引張られるので、他方のドア10が開き方向に移動する。
これによって、2つのドア10が図3に示す開き位置まで移動してドアが開き状態となる。
【0032】
図3に示す開き状態において、電動モータ3を駆動して駆動プーリ4を矢印b方向(他方向)に回転すると、ベルト7の上方側部7bが長手方向一端側に向けて引張られ、ベルト7の幅方向他端側部7dが長手方向一端側に向けて移動すると共に、ベルト7の幅方向一端側部7cが長手方向他端側に向けて引張られる。
これによって、2つのドア10が閉じ方向に移動し、図1に示す閉じ位置となることでドアが閉じ状態となる。
【0033】
前述の実施の形態は、2つのドアを備えた引き分けタイプであるが、ドアを1つだけ備えた片開きタイプとすることができる。
例えば、図4に示すように、ドア10に移動用ハンガー11と案内用ハンガー12を移動方向に間隔を置いて取り付け、ベルト7の駆動プーリ4に巻き掛けた部分の下方側部7aを移動用ハンガー11に連結すると共に、ベルト7の従動プーリ6に巻き掛けた部分の幅方向一端側部7cを前記移動用ハンガー11に連結する。
【0034】
このようにすれば、電動モータ3を駆動して駆動プーリ4を矢印a方向に回転すると、ベルト7の下方側部7aが長手方向一端側に向けて引張られるので、ドア10は閉じ位置から開き位置に向けて開き移動する。
前記駆動プーリ4を矢印b方向に回転すると、ベルト7の上方側部7bが長手方向一端側に向けて引張られ、ベルト7の幅方向一端側部7cが長手方向他端側に向けて引張られるので、ドア10は開き位置から閉じ位置に向けて閉じ移動する。
この場合には、ドア10が閉じ位置のときには縦枠9にドア10が当接するようにしてある。
【0035】
以上のように、駆動プーリ4を垂直状態として上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側の幅方向他端側寄りに設けると共に、従動プーリ6を水平状態として上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側の高さ方向上部に設け、その駆動プーリ4と従動プーリ6に巻き掛けたベルト7の下方側部7aをドア10の移動用ハンガー11に連結し、前記ベルト7の幅方向一端側部7cを前記移動ハンガー11に連結することで、その駆動プーリ4を一方向、他方向に回転してベルト7を移動することにより、ドア10を開閉方向に移動できる。
前記上枠1の幅方向一端側の縦面1bとベルト7との間に、電動モータ3、ギヤボックス5、コントローラ8を設けるスペースを確保することができ、上枠1の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできると共に、メンテナンス、交換などが容易にできる。
【0036】
次に、各部の詳細を説明する。
図1に示すように、従動プーリ6が高さ方向の上部に位置し、その従動プーリ6の水平となっているベルト巻き掛け部と、駆動プーリ4の垂直となっているベルト巻き掛け部の上部が同一高さである。
これによって、駆動プーリ4に巻き掛けたベルト7の上方側部7bと従動プーリ6に巻き掛けたベルト7の幅方向他端側部7d、つまり駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1は、レール部2の上面2aと平行である。
【0037】
図2に示すように、駆動プーリ4が幅方向他端側寄りに位置し、その駆動プーリ4のベルト巻き掛け部と、従動プーリ6のベルト巻き掛け部の幅方向他端側が上枠1の幅方向に同一位置であるから、前述のベルト7の上方側部7bとベルト7の幅方向他端側部7d(つまり、掛渡しベルト部分7−1)は、レール部2と幅方向に平行である。
【0038】
しかも、ベルト7の下方側部7a、ベルト7の幅方向一端側部7cもレール部2の上面と平行、レール部2と幅方向に平行である。
【0039】
このようであるから、ベルト7の移動で移動用ハンガー11が移動したときに、戸車13はレール部2に沿って正しく転がるので、ドア10はスムーズに開閉方向に移動する。
【0040】
図1と図5に示すように、上枠1の収容空間1aで、駆動プーリ4に対し長手方向他端側に隣接した位置に、駆動側ガイドローラ20が設けてある。
この駆動側ガイドローラ20は水平な回転軸20aで回転する垂直状態で、ベルト7の下方側部7aを上部へ押し上げるようにガイドし、そのベルト7の下方側部7aにおける駆動側ガイドローラ20よりも長手方向他端側寄り(移動用ハンガー11側)のベルト部分7a−1が、駆動プーリ4のベルト巻き掛け部4bの最下部よりも上方に位置する、つまりベルト7の上方側部7bに接近する。
前記駆動側ガイドローラ20は、レール部2の上面2aよりも上方で、レール部2の上面2aよりも下方となる直径である。
【0041】
このようであるから、上枠1のレール部2の高さ方向位置が駆動プーリ4の最下部4cに接近した位置、あるいは駆動プーリ4の最下部4cよりも上方の位置であっても、ベルト7の下方側部7aのベルト部分7a−1とレール部2との間に所定の大きさの間隔を保持することができる。
したがって、上枠1の高さ方向寸法Hを小さくできる。
【0042】
前記レール部2は上枠1よりも短く、そのレール部2の長手方向一端部2bよりも上枠1の長手方向一端部が長手方向に張り出し、その上枠1の収容空間1a内でレール部2よりも張り出した張り出し部分1cに駆動プーリ4と駆動側ガイドローラ20が設けてある。
前記レール部2は後述するように上枠1と別体で、上枠1に取り付けられるようにしてある。
このようであるから、レール部2を上枠1よりも短い長さに切断等の加工してから、そのレール部2を上枠1に取り付ければ良いので、レール部2の長さを短くする加工が容易である。
【0043】
なお、レール部2を上枠1と一体とし、そのレール部2の長手方向端部寄り部分を切断等して除去することで、レール部2を上枠1よりも短くしても良い。
【0044】
図5においては、レール部2の上面2aと駆動プーリ4の最下部4cとがほぼ同じ高さである。
この場合、駆動側ガイドローラ20が無ければ、ベルト7の下方側部7aとレール部2の上面2aとの間隔が著しく小さくなるか、ベルト7の下方側部7aがレール部2の上面2aと接触するので、レール部2を図5に示すよりも下方に設けなければならず、上枠1の高さ寸法Hが大きくなる。
【0045】
図2と図6に示すように、上枠1の収容空間1aで、従動プーリ6に対し長手方向一端側に隣接した位置に従動側ガイドローラ21が設けてある。
この従動側ガイドローラ21は垂直な回転軸21aで回転する水平状態で、ベルト7の従動プーリ6に巻き掛けた部分の幅方向一端側部7cを幅方向他端側部7dに向けて押し付けガイドし、その幅方向一端側部7cの従動側ガイドローラ21よりも長手方向一端側寄りのベルト部分7c−1が、従動ローラ6のベルト巻き掛け部6bの幅方向一端側6cよりも幅方向他端側寄りに位置する。
【0046】
このようであるから、ベルト7の幅方向一端側部7cのベルト部分7c−1と収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bとの間の幅方向間隔Sが、前記従動プーリ6のベルト巻き掛け部6bの幅方向一端側部6cと前述の縦面1bとの間の幅方向間隔(つまり、従動側ガイドプーリ21が無い場合の幅方向間隔)よりも大きい。
【0047】
したがって、前述のベルト部分7c−1と縦面1bとの間に、コントローラ8を設ける大きなスペースを確保することができ、上枠1の幅方向寸法Lをより小さくできる。
【0048】
図2と図7に示すように、前記ベルト7の駆動プーリ4と従動プーリ6に掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1(上側部分7bと幅方向他端側部7d)は、上枠1の幅方向他端側寄りに位置し、この掛渡しベルト部分7−1のほぼ真下にレール部2が位置している。
前記ドア10、各ハンガー11,12は、前述のベルト7の掛渡しベルト部分7−1よりも幅方向他端側に位置して掛渡しベルト部分7−1とは干渉しないようにしてある。
そして、各ハンガー11,12に戸車13が幅方向一端側に突出して取り付けてあり、その各戸車13がレール部2上を転がるようにしてある。
【0049】
前記一方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は第1ベルト連結部22と第2ベルト連結部23を有し、その第1ベルト連結部22にベルト7の下方側部7aが連結してある。
前記第2ベルト連結部23は、ベルト7の上方側部7bよりも幅方向一端側に位置し、この第2ベルト連結部23にベルト7の幅方向一端側部7c(ベルト部分7c−1)が連結してある。
前記他方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は、ベルト連結部24を有し、このベルト連結部24にベルト7の前述した掛渡しベルト部分7−1が連結してある。
【0050】
図1に示す2つのドア10、図4に示す1つのドア10は、移動用ハンガー11が備えた戸車13と、案内用ハンガー12が備えた戸車13とでレール部2に移動自在に吊り下げ支持されているので、その2つの戸車13をドア10の移動方向の両端部に近い位置とすることでドア10を安定して支持することができる。
前記移動用ハンガー11はドア10の上部で、長手方向の駆動プーリ4側の位置に取り付けてある。
前記案内用ハンガー12はドア10の上部で、長手方向の従動プーリ6側の位置に取り付けてある。
【0051】
そして、案内用ハンガー12を、ドア10(図1では他方のドア10)の従動プーリ6側の端部10aに接近した位置に取り付けるために、この案内用ハンガー12、戸車13がベルト7の駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1(上方側部分7b、幅方向他端側部7d)よりも下方に位置すると共に、従動プーリ6と干渉しないように構成してある。
【0052】
例えば、図8に示すように案内用ハンガー12の高さを、その上面12aが前述の掛渡しベルト部分7−1の下面、従動プーリ6の下部(回転軸6aの下部)よりも下方に位置する高さとし、戸車13が案内用ハンガー12の上面12aとほぼ同一高さで、前述の掛渡しベルト部分7−1の下面、従動プーリ6の下部と干渉しないように構成する。
【0053】
このようにすることで、移動用ハンガー12を従動プーリ6とは関係なしにドア10の従動プーリ6側の端部10aの近くに取り付けできるから、ドア10を安定して支持できる。
【0054】
前記上枠1は図9に示すように、幅方向一端側の第1縦板30と、幅方向他端側の第2縦板31と、第1縦板30の上部と第2縦板31の上部を連結する上横板32と、第1縦板30の下部に一体に設けた下横板33を備え、この下横板33と第2縦板31との間には長手方向に連結した開口部34を有している。前記収容空間1aは、第1・第2縦板30,31と上横板32の間に形成される空間である。
前記第1縦板30の内側面が前述の上枠1の幅方向一端側の縦面1bである。
前記第2縦板31は上横板32と別体で、その上横板32を着脱自在としてカバー体とすることもできる。
【0055】
前記レール部2は上枠1と別体で、幅方向一端部に板状の取付部2cを一体に有する。
前記第1縦板30の内側面の下部と下横板33で前記取付部2cを着脱自在に支持し、そのレール部2が開口部34の上方に位置している。これにより、レール部2上面を転がり移動する戸車13を備えるハンガー11,12が開口部34を通ってドア10を吊り下げ保持できる。
例えば、第1縦板30の内側面の下部に下向き鉤形の係止受片35を設け、取付部2cの幅方向一端部に上向きの係止片36を設け、この係止片36を前記係止受片35に係止して取付部2cが幅方向に動かないように支持すると共に、取付部2cの下面を下横板33の上面に接してレール部2を水平として保持する。
【0056】
前記電動モータ3が収容空間1aで、第1縦板30の内側面に固着して取り付けてある。また、コントローラ8も第1縦板30の内側面に固着してある。
前記駆動プーリ4は、前記開口部34の上方に位置している。
前記ドア10の上部が開口部34内に入り込み、各ハンガー11,12が開口部34から収容空間1a内に突出し、戸車13がレール部2上を転がるようにしてある。
【0057】
前記一方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は図7と図10に示すように、取付片40とこの取付片40と一体に連続した高さ方向に延びる縦向片41と、この縦向片41の上部と一体に連続した幅方向一端側に向かう横向片42と、この横向片42の長手方向端部寄りと連続した立上り片43を有し、その取付片40がドア10の上面にボルト44で固着して取り付けてある。
前記縦向片41に前述の第1ベルト連結部22を有し、上向片43に前述の第2ベルト連結部23を有している。
前記横向片42の戸車13が干渉する部分に開口42aを形成してある。
【0058】
前記他方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は図7と図11に示すように、取付片40と、この取付片40と一体に連続した縦向片41と、この縦向片41の長手方向端部と一体に連続した上向き片45を有し、その取付片40が他方のドア10の上面にボルト44で固着して取り付けてある。
前記上向き片45に前述のベルト連結部24を有している。
前記縦向片41に戸車13が取り付けてある。
【0059】
前記他方のドア10の上部に取り付けた案内用ハンガー12は図7と図12に示すように、取付片40と、この取付片40と一体に連続した縦向片41でL字形状で、その取付片40がドア10の上面にボルト44で固着して取り付けてある。
前記縦向片41に戸車13が回転自在に取り付けてある。
前記従動プーリ6は戸車13よりも上方の位置に取り付けてある。
前記一方のドア10の上部に取り付けた案内用ハンガー12は、前述の案内用ハンガー12と同様である。
【0060】
図7、図9において、駆動プーリ4の回転軸4aはギヤボックス5で支持されている。
このようであるから、上枠1の幅方向他端側からベルト7を駆動プーリ4に巻き掛けたり、取り外しする作業がやり易い。
【0061】
図7、図12において、従動プーリ6の回転軸6aは上枠1に設けたブラケットで支持する。
例えば、図12に示すように、コ字形状のブラケット50を上枠1の上横板32に取り付け、このブラケット50の上片51と下片52で回転軸6aを支持する。
【符号の説明】
【0062】
1…上枠、1a…収容空間、1b…縦面、2…レール部、2c…取付部、3…電動モータ、4…駆動プーリ、4a…回転軸、6…従動プーリ、6a…回転軸、7…ベルト、7a…下方側部、7b…上方側部、7c…幅方向一端側部、7d…幅方向他端側部、7−1…掛渡しベルト部分、8…コントローラ、10…ドア、11…移動用ハンガー、12…案内用ハンガー、13…戸車、20…駆動側ガイドローラ、21…従動側ガイドローラ、22…第1ベルト連結部、23…第2ベルト連結部、24…ベルト連結部、30…第1縦板、31…第2縦板、32…上横板、33…下横板、34…開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関などの出入口に設置される自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアは、玄関などの出入口に設置されており、その出入口上部の上枠に、ドアを開閉方向に移動するドア開閉駆動装置を設けている。
このドア開閉駆動装置としては次のものが知られている。
前記上枠の内部で、その長手方向一端側に配した電動モータと、この電動モータに連結された駆動プーリ、前記上枠の内部で、その長手方向他端側に配した従動プーリ、前記駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けたベルトを有し、前記上枠の下端側にはレール部を備え、ドアは、その上部にハンガーを備え、そのハンガーには、前記レール部上を転がって移動する戸車を持ち、ドアが戸車でレール部に吊り下げられている。
前記ハンガーを前記駆動プーリと従動プーリに巻き掛けたベルトに連結し、前記電動モータで駆動プーリを駆動してベルトを移動することで、そのベルトの移動に伴ってドアが開閉方向に移動するようにしてある。
【0003】
前述したドア開閉駆動装置を有した自動ドアにおいては、前記上枠の内部に、電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、ベルト、戸車と、前記電動モータを駆動制御してドアの開閉を制御するコントローラが収容され、それらがそれぞれ干渉しない位置に配置する必要性から、上枠自体が大きくなるとの問題点を有している。
【0004】
具体的には、駆動プーリと従動プーリが垂直状態(水平な回転軸で回転する状態)で、その駆動プーリと従動プーリに巻き掛けたベルトが上枠の上部に位置し、そのベルトよりも下方において戸車を備えたハンガーが移動するようになっているため、上枠の高さ寸法(見付寸法)を小さくできず、上枠の高さ寸法が大きくなっていた。
このように、上枠の高さ寸法が大きいと、意匠性が悪いと共に、最近の小型化の要望を満足させることができなくなってしまう。
【0005】
前述の問題点を解決するために、上枠の高さ寸法を小さくできるようにした自動ドアが特許文献1に開示されている。
この自動ドアは、駆動プーリ、従動プーリを上枠の内部に水平状態(垂直な回転軸で回転する状態)として配し、その駆動プーリと従動プーリにベルトを巻き掛け、そのベルトの内側(つまり、ベルトの往動側と復動側との間)に戸車が走行するように配置し、電動モータおよびコントローラを縦枠に配置することで、上枠の高さ寸法(見付寸法)を小さくできるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平5−18468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の自動ドアは、駆動プーリと従動プーリにベルトを水平に巻き掛け、そのベルトの内側を戸車が走行するから、上枠の高さ寸法を小さくできるが、電動モータ、駆動プーリおよびコントローラを縦枠に配置してあるので、自動ドアの修理などのメンテナンス、交換などが大変困難で、実際には不可能である。
【0008】
このことを解消するために、本出願人は電動モータ、駆動プーリおよびコントローラを上枠の内部に配置することを試みたが、電動モータ、コントローラをベルトとレール部との間で、かつベルトの内側に配置すると、その電動モータ、コントローラに戸車が干渉する恐れがあるため、上枠の幅方向(見込み方向)一方の縦面とベルトとの間に電動モータ、コントローラを配置しなければならず、上枠の幅方向寸法が大きくなる。
【0009】
本発明の目的は、上枠の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできると共に、上枠の内部に、電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、ベルト、戸車、コントローラを収容してメンテナンス、交換などが容易にできる自動ドアとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上枠1の収容空間1aの下部に、長手方向に向かうレール部2と、幅方向一端側に縦面1bとを備え、
ドア10の上部に設けた移動用ハンガー11が備えた戸車13を、前記レール部2上を転がって移動することで、ドア10を開閉方向に移動可能とし、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側の幅方向他端側寄りに、駆動プーリ4を垂直状態として取り付け、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側の高さ方向上部に、従動プーリ6を水平状態として取り付け、
前記駆動プーリ4と従動プーリ6にベルト7を巻き掛け、そのベルト7の駆動プーリ4に巻き掛け下部側に位置する下方側部分7aを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記ベルト7の従動プーリ6に巻き掛け幅方向一端側に位置する幅方向一端側部7cを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記上枠1の縦面1bと前記ベルト7との間に、前記駆動プーリ4を回転する電動モータ3、この電動モータ3を駆動制御するコントローラ8を設けたことを特徴とする自動ドアである。
【0011】
本発明の自動ドアにおいては、前記上枠1の収容空間1aで、前記駆動プーリ4に対し長手方向他端側に隣接した位置に駆動側ガイドローラ20を設け、
この駆動側ガイドローラ20で、ベルト7の下方側部7aを押し上げガイドして、当該下方側部7aの駆動側ガイドローラ20よりも長手方向他端側のベルト部分7a−1を、前記ベルト7の上方側部7bに接近することができる。
【0012】
このようにすれば、レール部2を駆動プーリ4の最下部4cに接近した位置、または最下部4cよりも上方の位置とすることができるので、上枠1の高さ寸法をより小さくできる。
【0013】
本発明の自動ドアにおいては、前記レール部2は上枠1と別体で、かつ上枠1よりも短い長さとし、
前記レール部2を上枠1の収容空間1aの下部に、そのレール部2の長手方向一端部2bよりも上枠1の長手方向一端部が長手方向端部に張り出すように取り付け、
前記上枠1のレール部2の長手方向一端部2bより張り出した張り出し部分1cに駆動プーリ4と駆動側ガイドローラ20を設けることができる。
【0014】
このようにすれば、レール部2の長さを短くする加工が容易である。
【0015】
本発明の自動ドアにおいては、前記上枠1の収容空間1aで、前記従動プーリ6に対し長手方向一端側に隣接した位置に、従動側ガイドローラ21を設け、
この従動側ガイドローラ21で、ベルト7の幅方向一端側部7cを幅方向他端側に向けて押しつけガイドし、
前記ベルト7の幅方向一端側部7cの従動側ガイドローラ21よりも長手方向一端側寄りのベルト部分7c−1を、ベルト7の幅方向他端側部7dに接近することができる。
【0016】
このようにすれば、上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bと、ベルト7のベルト部分7c−1との間の幅方向間隔が大きく、その部分にコントローラ8を設けることができる。
したがって、上枠1の幅方向寸法Lをより小さくできる。
【0017】
本発明の自動ドアにおいては、前記ドア10の上部で、長手方向の駆動プーリ4側の位置に、戸車13を備えた移動用ハンガー11を取り付け、
前記ドア10の上部で、長手方向の従動プーリ6側の位置に、戸車13を備えた案内用ハンガー12を取り付け、
前記案内用ハンガー12と戸車13が従動プーリ6の下部よりも下方に位置して干渉しないようにできる。
【0018】
このようにすれば、案内用ハンガー12をドア10の従動プーリ6側の端部10aの近くに取り付けしてドア10を安定して支持できる。
【0019】
本発明の自動ドアにおいては、前記上枠1は、第1縦板30と第2縦板31と上横板32と下横板33を備え、その第2縦板31と下横板33との間に開口部34を有した断面形状とし、
前記レール部2は、板状の取付部2cを有し、
前記取付部2cを、前記第1縦板30と下横板33で支持して上枠1の収容空間1aの下部に取り付け、前記レール部2が開口部34の上方に位置するようにできる。
【0020】
このようにすれば、レール部2を上枠1に簡単に取り付けできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電動モータ3で駆動プーリ4を一方向、他方向に回転してベルト7を移動することで、ドア10を開閉方向に移動できる。
しかも、駆動プーリ4が垂直状態で幅方向他端側寄りに設けると共に、従動プーリ6が水平状態で高さ方向上部に設けたので、上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1aとベルト7との間に電動モータ3、コントローラ8を設けるスペースを確保でき、上枠1の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできると共に、上枠1の収容空間1aに電動モータ3、駆動プーリ4、従動プーリ6、ベルト7、戸車13、コントローラ8を収容してメンテナンス、交換などが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの閉じ状態の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの閉じ状態の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの開き状態の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す自動ドアの閉じ状態の正面図である。
【図5】図1の駆動プーリ部分の拡大図である。
【図6】図2の従動プーリ部分の拡大図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す自動ドアの斜視図である。
【図8】図1の従動プーリ部分の拡大図である。
【図9】図1のA−A断面図である。
【図10】図1のB−B断面図である。
【図11】図1のC−C断面図である。
【図12】図1のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明において、上枠1に対しレール部2が延びる方向であり、戸車13によりドア10が移動する方向を長手方向とし、上枠1の駆動プーリ4が設けられる側を一端側、従動プーリ6が設けられる側を他端側とする。そして、その長手方向に垂直で、ドア10の平面に対して水平な方向を高さ方向(または垂直方向)とし、高さ方向はドア10側を下部、その反対側を上部とする。また、ドア10の平面に対して垂直な方向を幅方向とし、後述する収容空間1aの縦面1b側を幅方向一端側、その反対側を幅方向他端側とする。
図1と図2に示すように、上枠1は収容空間1aを有し、その収容空間1aの下部にレール部2を備え、このレール部2は上枠1の長手方向に向けて延びていると共に、水平である。なお、上枠1は一点鎖線で図示してある。
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側に電動モータ3、駆動プーリ4、その電動モータ3の回転を駆動プーリ4に伝えるギヤボックス5が設けてある。
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側に従動プーリ6が設けてある。
この従動プーリ6と前記駆動プーリ4とに亘ってベルト7が巻き掛けてある。
前記上枠1の収容空間1aで、その収容空間1aの幅方向(見込み方向)一端側の縦面1bと前記ベルト7との間にコントローラ8が設けてある。
【0024】
この自動ドアは2つのドア10を有した引き分けタイプで、その2つのドア10の上部には移動用ハンガー11と案内用ハンガー12が移動方向に間隔を置いてそれぞれ設けてある。
この各ハンガーは戸車13をそれぞれ備え、その各戸車13が前記レール部2上を転がって移動することで、ドア10を吊り下げ支持する。
前記ベルト7が前記各移動用ハンガー11に連結され、電動モータ3によって駆動プーリ4を回転してベルト7を移動することで、そのベルト7の移動に伴って2つのドア10が、図1に示す閉じ位置と図3に示す開き位置とに亘って開閉方向に移動する。
【0025】
前記駆動プーリ4は、水平な(幅方向に平行な)回転軸4aで回転する状態、つまり垂直状態で、上枠1の幅方向他端側寄りで、高さ方向(見付方向)中間に設けてある。
この駆動プーリ4と、前記上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bとの間に、前記電動モータ3、ギヤボックス5が設けてある。
前記電動モータ3の回転軸は上枠1の長手方向と平行で、ギヤボックス5は電動モータ3の回転を駆動プーリ4に伝達するもので、前記電動モータ3は長手方向他端側(従動プーリ6側)に、ギヤボックス5は長手方向一端側(駆動プーリ4側)に設けられる。
前記従動プーリ6は、垂直な(高さ方向に平行な)回転軸6aで回転する状態、つまり水平状態で、前記上枠1の収容空間1aの高さ方向上部寄りで、幅方向中間に設けてある。
【0026】
前記ベルト7は駆動プーリ4に垂直に巻き掛けてあり、そのベルト7の往動側、復動側は上下で、下方側部7aが前記2つのドア10における一方のドア10(図1で右側のドア10)の移動用ハンガー11に連結され、上方側部7bが従動プーリ6に巻き掛けてある。
ベルト7は、レール部2に水平な上方側部7bを駆動プーリ4の上部から巻き掛け、駆動プーリ4の下部からレール部2に水平に延びる下方側部7aとして巻き掛けられている。
前記ベルト7は従動プーリ6に水平に巻き掛けてあり、そのベルト7の往動側、復動側は上枠1の幅方向で、幅方向一端側部7c、つまり上枠1の収容空間1aの幅方向一端側の縦面1b側部が前記一方のドア10の移動用ハンガー11に連結され、幅方向他端側部7dが、前記駆動プーリ4に巻き掛けた部分の上方側部7bと連続し、他方のドア10(図1で左側のドア10)の移動用ハンガー11に連結される。
【0027】
前記ベルト7の駆動プーリ4に巻き掛けた部分は水平で、従動プーリ6に巻き掛けた部分は垂直で、前述の上方側部7bが水平で、幅方向他端側部7dが垂直であるから、ベルト7は、駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1において、駆動プーリ4側部分が水平で、従動プーリ6側部分が垂直となるようにねじれている。
【0028】
前記ベルト7の駆動プーリ4に巻き掛け上方側に位置する上方側部7bと従動プーリ6に巻き掛け幅方向他端側に位置する幅方向他端側部7dとの間の部分、つまり、駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1が、前記2つのドア10における他方のドア10の移動用ハンガー11に連結されている。
図1、図2においては、ベルト7の垂直な部分を移動用ハンガー11に連結し、この移動用ハンガー11よりも駆動プーリ4寄りでベルト7がねじれるようにしてある。
【0029】
なお、ベルト7の駆動プーリ4と従動プーリ6との間の部分(掛渡しベルト部分7−1)を不連続とし、水平である上方側部7bの端部と、垂直である幅方向他端側部7dの端部を、前述の他方のドア10の移動用ハンガー11にそれぞれ連結しても良い。
要するに、ベルト7を駆動側のベルトと従動側のベルトの2本とし、この駆動側のベルトを駆動プーリ4に巻き掛けて下方側部の端部を一方のドア10の移動用ハンガー11に連結し、かつ上方側部の端部を他方のドア10の移動用ハンガー11に連結する。
前記従動側のベルトを従動プーリ6に巻き掛けて幅方向一端側部の端部を一方のドア10の移動用ハンガー11に連結し、幅方向他端側部の端部を他方のドア10の移動用ハンガー11に連結する。
【0030】
このようにすれば、駆動プーリ4と従動プーリ6との間でベルト7が水平と垂直とにねじれることがない。
【0031】
図1、図2に示すドア閉じ状態において、電動モータ3を駆動して駆動プーリ4を矢印a方向(一方向)に回転すると、ベルト7の下方側部7aが長手方向一端側に向けて引張られ、一方のドア10が開き方向に移動する。
これに伴ってベルト7の幅方向一端側部7cが、前述の一方のドア10の移動用ハンガー11によって長手方向一端側に向けて移動し、ベルト7の幅方向他端側部7dが長手方向他端側に向けて引張られるので、他方のドア10が開き方向に移動する。
これによって、2つのドア10が図3に示す開き位置まで移動してドアが開き状態となる。
【0032】
図3に示す開き状態において、電動モータ3を駆動して駆動プーリ4を矢印b方向(他方向)に回転すると、ベルト7の上方側部7bが長手方向一端側に向けて引張られ、ベルト7の幅方向他端側部7dが長手方向一端側に向けて移動すると共に、ベルト7の幅方向一端側部7cが長手方向他端側に向けて引張られる。
これによって、2つのドア10が閉じ方向に移動し、図1に示す閉じ位置となることでドアが閉じ状態となる。
【0033】
前述の実施の形態は、2つのドアを備えた引き分けタイプであるが、ドアを1つだけ備えた片開きタイプとすることができる。
例えば、図4に示すように、ドア10に移動用ハンガー11と案内用ハンガー12を移動方向に間隔を置いて取り付け、ベルト7の駆動プーリ4に巻き掛けた部分の下方側部7aを移動用ハンガー11に連結すると共に、ベルト7の従動プーリ6に巻き掛けた部分の幅方向一端側部7cを前記移動用ハンガー11に連結する。
【0034】
このようにすれば、電動モータ3を駆動して駆動プーリ4を矢印a方向に回転すると、ベルト7の下方側部7aが長手方向一端側に向けて引張られるので、ドア10は閉じ位置から開き位置に向けて開き移動する。
前記駆動プーリ4を矢印b方向に回転すると、ベルト7の上方側部7bが長手方向一端側に向けて引張られ、ベルト7の幅方向一端側部7cが長手方向他端側に向けて引張られるので、ドア10は開き位置から閉じ位置に向けて閉じ移動する。
この場合には、ドア10が閉じ位置のときには縦枠9にドア10が当接するようにしてある。
【0035】
以上のように、駆動プーリ4を垂直状態として上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側の幅方向他端側寄りに設けると共に、従動プーリ6を水平状態として上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側の高さ方向上部に設け、その駆動プーリ4と従動プーリ6に巻き掛けたベルト7の下方側部7aをドア10の移動用ハンガー11に連結し、前記ベルト7の幅方向一端側部7cを前記移動ハンガー11に連結することで、その駆動プーリ4を一方向、他方向に回転してベルト7を移動することにより、ドア10を開閉方向に移動できる。
前記上枠1の幅方向一端側の縦面1bとベルト7との間に、電動モータ3、ギヤボックス5、コントローラ8を設けるスペースを確保することができ、上枠1の高さ方向寸法、幅方向寸法を小さくできると共に、メンテナンス、交換などが容易にできる。
【0036】
次に、各部の詳細を説明する。
図1に示すように、従動プーリ6が高さ方向の上部に位置し、その従動プーリ6の水平となっているベルト巻き掛け部と、駆動プーリ4の垂直となっているベルト巻き掛け部の上部が同一高さである。
これによって、駆動プーリ4に巻き掛けたベルト7の上方側部7bと従動プーリ6に巻き掛けたベルト7の幅方向他端側部7d、つまり駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1は、レール部2の上面2aと平行である。
【0037】
図2に示すように、駆動プーリ4が幅方向他端側寄りに位置し、その駆動プーリ4のベルト巻き掛け部と、従動プーリ6のベルト巻き掛け部の幅方向他端側が上枠1の幅方向に同一位置であるから、前述のベルト7の上方側部7bとベルト7の幅方向他端側部7d(つまり、掛渡しベルト部分7−1)は、レール部2と幅方向に平行である。
【0038】
しかも、ベルト7の下方側部7a、ベルト7の幅方向一端側部7cもレール部2の上面と平行、レール部2と幅方向に平行である。
【0039】
このようであるから、ベルト7の移動で移動用ハンガー11が移動したときに、戸車13はレール部2に沿って正しく転がるので、ドア10はスムーズに開閉方向に移動する。
【0040】
図1と図5に示すように、上枠1の収容空間1aで、駆動プーリ4に対し長手方向他端側に隣接した位置に、駆動側ガイドローラ20が設けてある。
この駆動側ガイドローラ20は水平な回転軸20aで回転する垂直状態で、ベルト7の下方側部7aを上部へ押し上げるようにガイドし、そのベルト7の下方側部7aにおける駆動側ガイドローラ20よりも長手方向他端側寄り(移動用ハンガー11側)のベルト部分7a−1が、駆動プーリ4のベルト巻き掛け部4bの最下部よりも上方に位置する、つまりベルト7の上方側部7bに接近する。
前記駆動側ガイドローラ20は、レール部2の上面2aよりも上方で、レール部2の上面2aよりも下方となる直径である。
【0041】
このようであるから、上枠1のレール部2の高さ方向位置が駆動プーリ4の最下部4cに接近した位置、あるいは駆動プーリ4の最下部4cよりも上方の位置であっても、ベルト7の下方側部7aのベルト部分7a−1とレール部2との間に所定の大きさの間隔を保持することができる。
したがって、上枠1の高さ方向寸法Hを小さくできる。
【0042】
前記レール部2は上枠1よりも短く、そのレール部2の長手方向一端部2bよりも上枠1の長手方向一端部が長手方向に張り出し、その上枠1の収容空間1a内でレール部2よりも張り出した張り出し部分1cに駆動プーリ4と駆動側ガイドローラ20が設けてある。
前記レール部2は後述するように上枠1と別体で、上枠1に取り付けられるようにしてある。
このようであるから、レール部2を上枠1よりも短い長さに切断等の加工してから、そのレール部2を上枠1に取り付ければ良いので、レール部2の長さを短くする加工が容易である。
【0043】
なお、レール部2を上枠1と一体とし、そのレール部2の長手方向端部寄り部分を切断等して除去することで、レール部2を上枠1よりも短くしても良い。
【0044】
図5においては、レール部2の上面2aと駆動プーリ4の最下部4cとがほぼ同じ高さである。
この場合、駆動側ガイドローラ20が無ければ、ベルト7の下方側部7aとレール部2の上面2aとの間隔が著しく小さくなるか、ベルト7の下方側部7aがレール部2の上面2aと接触するので、レール部2を図5に示すよりも下方に設けなければならず、上枠1の高さ寸法Hが大きくなる。
【0045】
図2と図6に示すように、上枠1の収容空間1aで、従動プーリ6に対し長手方向一端側に隣接した位置に従動側ガイドローラ21が設けてある。
この従動側ガイドローラ21は垂直な回転軸21aで回転する水平状態で、ベルト7の従動プーリ6に巻き掛けた部分の幅方向一端側部7cを幅方向他端側部7dに向けて押し付けガイドし、その幅方向一端側部7cの従動側ガイドローラ21よりも長手方向一端側寄りのベルト部分7c−1が、従動ローラ6のベルト巻き掛け部6bの幅方向一端側6cよりも幅方向他端側寄りに位置する。
【0046】
このようであるから、ベルト7の幅方向一端側部7cのベルト部分7c−1と収容空間1aの幅方向一端側の縦面1bとの間の幅方向間隔Sが、前記従動プーリ6のベルト巻き掛け部6bの幅方向一端側部6cと前述の縦面1bとの間の幅方向間隔(つまり、従動側ガイドプーリ21が無い場合の幅方向間隔)よりも大きい。
【0047】
したがって、前述のベルト部分7c−1と縦面1bとの間に、コントローラ8を設ける大きなスペースを確保することができ、上枠1の幅方向寸法Lをより小さくできる。
【0048】
図2と図7に示すように、前記ベルト7の駆動プーリ4と従動プーリ6に掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1(上側部分7bと幅方向他端側部7d)は、上枠1の幅方向他端側寄りに位置し、この掛渡しベルト部分7−1のほぼ真下にレール部2が位置している。
前記ドア10、各ハンガー11,12は、前述のベルト7の掛渡しベルト部分7−1よりも幅方向他端側に位置して掛渡しベルト部分7−1とは干渉しないようにしてある。
そして、各ハンガー11,12に戸車13が幅方向一端側に突出して取り付けてあり、その各戸車13がレール部2上を転がるようにしてある。
【0049】
前記一方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は第1ベルト連結部22と第2ベルト連結部23を有し、その第1ベルト連結部22にベルト7の下方側部7aが連結してある。
前記第2ベルト連結部23は、ベルト7の上方側部7bよりも幅方向一端側に位置し、この第2ベルト連結部23にベルト7の幅方向一端側部7c(ベルト部分7c−1)が連結してある。
前記他方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は、ベルト連結部24を有し、このベルト連結部24にベルト7の前述した掛渡しベルト部分7−1が連結してある。
【0050】
図1に示す2つのドア10、図4に示す1つのドア10は、移動用ハンガー11が備えた戸車13と、案内用ハンガー12が備えた戸車13とでレール部2に移動自在に吊り下げ支持されているので、その2つの戸車13をドア10の移動方向の両端部に近い位置とすることでドア10を安定して支持することができる。
前記移動用ハンガー11はドア10の上部で、長手方向の駆動プーリ4側の位置に取り付けてある。
前記案内用ハンガー12はドア10の上部で、長手方向の従動プーリ6側の位置に取り付けてある。
【0051】
そして、案内用ハンガー12を、ドア10(図1では他方のドア10)の従動プーリ6側の端部10aに接近した位置に取り付けるために、この案内用ハンガー12、戸車13がベルト7の駆動プーリ4と従動プーリ6とに掛け渡しされた掛渡しベルト部分7−1(上方側部分7b、幅方向他端側部7d)よりも下方に位置すると共に、従動プーリ6と干渉しないように構成してある。
【0052】
例えば、図8に示すように案内用ハンガー12の高さを、その上面12aが前述の掛渡しベルト部分7−1の下面、従動プーリ6の下部(回転軸6aの下部)よりも下方に位置する高さとし、戸車13が案内用ハンガー12の上面12aとほぼ同一高さで、前述の掛渡しベルト部分7−1の下面、従動プーリ6の下部と干渉しないように構成する。
【0053】
このようにすることで、移動用ハンガー12を従動プーリ6とは関係なしにドア10の従動プーリ6側の端部10aの近くに取り付けできるから、ドア10を安定して支持できる。
【0054】
前記上枠1は図9に示すように、幅方向一端側の第1縦板30と、幅方向他端側の第2縦板31と、第1縦板30の上部と第2縦板31の上部を連結する上横板32と、第1縦板30の下部に一体に設けた下横板33を備え、この下横板33と第2縦板31との間には長手方向に連結した開口部34を有している。前記収容空間1aは、第1・第2縦板30,31と上横板32の間に形成される空間である。
前記第1縦板30の内側面が前述の上枠1の幅方向一端側の縦面1bである。
前記第2縦板31は上横板32と別体で、その上横板32を着脱自在としてカバー体とすることもできる。
【0055】
前記レール部2は上枠1と別体で、幅方向一端部に板状の取付部2cを一体に有する。
前記第1縦板30の内側面の下部と下横板33で前記取付部2cを着脱自在に支持し、そのレール部2が開口部34の上方に位置している。これにより、レール部2上面を転がり移動する戸車13を備えるハンガー11,12が開口部34を通ってドア10を吊り下げ保持できる。
例えば、第1縦板30の内側面の下部に下向き鉤形の係止受片35を設け、取付部2cの幅方向一端部に上向きの係止片36を設け、この係止片36を前記係止受片35に係止して取付部2cが幅方向に動かないように支持すると共に、取付部2cの下面を下横板33の上面に接してレール部2を水平として保持する。
【0056】
前記電動モータ3が収容空間1aで、第1縦板30の内側面に固着して取り付けてある。また、コントローラ8も第1縦板30の内側面に固着してある。
前記駆動プーリ4は、前記開口部34の上方に位置している。
前記ドア10の上部が開口部34内に入り込み、各ハンガー11,12が開口部34から収容空間1a内に突出し、戸車13がレール部2上を転がるようにしてある。
【0057】
前記一方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は図7と図10に示すように、取付片40とこの取付片40と一体に連続した高さ方向に延びる縦向片41と、この縦向片41の上部と一体に連続した幅方向一端側に向かう横向片42と、この横向片42の長手方向端部寄りと連続した立上り片43を有し、その取付片40がドア10の上面にボルト44で固着して取り付けてある。
前記縦向片41に前述の第1ベルト連結部22を有し、上向片43に前述の第2ベルト連結部23を有している。
前記横向片42の戸車13が干渉する部分に開口42aを形成してある。
【0058】
前記他方のドア10に取り付けた移動用ハンガー11は図7と図11に示すように、取付片40と、この取付片40と一体に連続した縦向片41と、この縦向片41の長手方向端部と一体に連続した上向き片45を有し、その取付片40が他方のドア10の上面にボルト44で固着して取り付けてある。
前記上向き片45に前述のベルト連結部24を有している。
前記縦向片41に戸車13が取り付けてある。
【0059】
前記他方のドア10の上部に取り付けた案内用ハンガー12は図7と図12に示すように、取付片40と、この取付片40と一体に連続した縦向片41でL字形状で、その取付片40がドア10の上面にボルト44で固着して取り付けてある。
前記縦向片41に戸車13が回転自在に取り付けてある。
前記従動プーリ6は戸車13よりも上方の位置に取り付けてある。
前記一方のドア10の上部に取り付けた案内用ハンガー12は、前述の案内用ハンガー12と同様である。
【0060】
図7、図9において、駆動プーリ4の回転軸4aはギヤボックス5で支持されている。
このようであるから、上枠1の幅方向他端側からベルト7を駆動プーリ4に巻き掛けたり、取り外しする作業がやり易い。
【0061】
図7、図12において、従動プーリ6の回転軸6aは上枠1に設けたブラケットで支持する。
例えば、図12に示すように、コ字形状のブラケット50を上枠1の上横板32に取り付け、このブラケット50の上片51と下片52で回転軸6aを支持する。
【符号の説明】
【0062】
1…上枠、1a…収容空間、1b…縦面、2…レール部、2c…取付部、3…電動モータ、4…駆動プーリ、4a…回転軸、6…従動プーリ、6a…回転軸、7…ベルト、7a…下方側部、7b…上方側部、7c…幅方向一端側部、7d…幅方向他端側部、7−1…掛渡しベルト部分、8…コントローラ、10…ドア、11…移動用ハンガー、12…案内用ハンガー、13…戸車、20…駆動側ガイドローラ、21…従動側ガイドローラ、22…第1ベルト連結部、23…第2ベルト連結部、24…ベルト連結部、30…第1縦板、31…第2縦板、32…上横板、33…下横板、34…開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠1の収容空間1aの下部に、長手方向に向かうレール部2と、幅方向一端側に縦面1bとを備え、
ドア10の上部に設けた移動用ハンガー11が備えた戸車13を、前記レール部2上を転がって移動することで、ドア10を開閉方向に移動可能とし、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側の幅方向他端側寄りに、駆動プーリ4を垂直状態として取り付け、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側の高さ方向上部に、従動プーリ6を水平状態として取り付け、
前記駆動プーリ4と従動プーリ6にベルト7を巻き掛け、そのベルト7の駆動プーリ4に巻き掛け下部側に位置する下方側部分7aを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記ベルト7の従動プーリ6に巻き掛け幅方向一端側に位置する幅方向一端側部7cを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記上枠1の縦面1bと前記ベルト7との間に、前記駆動プーリ4を回転する電動モータ3、この電動モータ3を駆動制御するコントローラ8を設けたことを特徴とする自動ドア。
【請求項2】
前記上枠1の収容空間1aで、前記駆動プーリ4に対し長手方向他端側に隣接した位置に駆動側ガイドローラ20を設け、
この駆動側ガイドローラ20で、ベルト7の下方側部7aを押し上げガイドして、当該下方側部7aの駆動側ガイドローラ20よりも長手方向他端側のベルト部分7a−1を、前記ベルト7の上方側部7bに接近した請求項1記載の自動ドア。
【請求項3】
前記レール部2は上枠1と別体で、かつ上枠1よりも短い長さとし、
前記レール部2を上枠1の収容空間1aの下部に、そのレール部2の長手方向一端部2bよりも上枠1の長手方向一端部が長手方向端部に張り出すように取り付け、
前記上枠1のレール部2の長手方向一端部2bより張り出した張り出し部分1cに駆動プーリ4と駆動側ガイドローラ20を設けた請求項2記載の自動ドア。
【請求項4】
前記上枠1の収容空間1aで、前記従動プーリ6に対し長手方向一端側に隣接した位置に、従動側ガイドローラ21を設け、
この従動側ガイドローラ21で、ベルト7の幅方向一端側部7cを幅方向他端側に向けて押しつけガイドし、
前記ベルト7の幅方向一端側部7cの従動側ガイドローラ21よりも長手方向一端側寄りのベルト部分7c−1を、ベルト7の幅方向他端側部7dに接近した請求項1〜3いずれか1項記載の自動ドア。
【請求項5】
前記ドア10の上部で、長手方向の駆動プーリ4側の位置に、戸車13を備えた移動用ハンガー11を取り付け、
前記ドア10の上部で、長手方向の従動プーリ6側の位置に、戸車13を備えた案内用ハンガー12を取り付け、
前記案内用ハンガー12と戸車13が従動プーリ6の下部よりも下方に位置して干渉しないようにした請求項1〜4いずれか1項記載の自動ドア。
【請求項6】
前記上枠1は、第1縦板30と第2縦板31と上横板32と下横板33を備え、その第2縦板31と下横板33との間に開口部34を有した断面形状とし、
前記レール部2は、板状の取付部2cを通し、
前記取付部2cを、前記第1縦板30と下横板33で支持して上枠1の収容空間1aの下部に取り付け、前記レール部2が開口部34の上方に位置するようにした請求項1〜5いずれか1項記載の自動ドア。
【請求項1】
上枠1の収容空間1aの下部に、長手方向に向かうレール部2と、幅方向一端側に縦面1bとを備え、
ドア10の上部に設けた移動用ハンガー11が備えた戸車13を、前記レール部2上を転がって移動することで、ドア10を開閉方向に移動可能とし、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向一端側の幅方向他端側寄りに、駆動プーリ4を垂直状態として取り付け、
前記上枠1の収容空間1aで、その長手方向他端側の高さ方向上部に、従動プーリ6を水平状態として取り付け、
前記駆動プーリ4と従動プーリ6にベルト7を巻き掛け、そのベルト7の駆動プーリ4に巻き掛け下部側に位置する下方側部分7aを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記ベルト7の従動プーリ6に巻き掛け幅方向一端側に位置する幅方向一端側部7cを、前記移動用ハンガー11に連結し、
前記上枠1の縦面1bと前記ベルト7との間に、前記駆動プーリ4を回転する電動モータ3、この電動モータ3を駆動制御するコントローラ8を設けたことを特徴とする自動ドア。
【請求項2】
前記上枠1の収容空間1aで、前記駆動プーリ4に対し長手方向他端側に隣接した位置に駆動側ガイドローラ20を設け、
この駆動側ガイドローラ20で、ベルト7の下方側部7aを押し上げガイドして、当該下方側部7aの駆動側ガイドローラ20よりも長手方向他端側のベルト部分7a−1を、前記ベルト7の上方側部7bに接近した請求項1記載の自動ドア。
【請求項3】
前記レール部2は上枠1と別体で、かつ上枠1よりも短い長さとし、
前記レール部2を上枠1の収容空間1aの下部に、そのレール部2の長手方向一端部2bよりも上枠1の長手方向一端部が長手方向端部に張り出すように取り付け、
前記上枠1のレール部2の長手方向一端部2bより張り出した張り出し部分1cに駆動プーリ4と駆動側ガイドローラ20を設けた請求項2記載の自動ドア。
【請求項4】
前記上枠1の収容空間1aで、前記従動プーリ6に対し長手方向一端側に隣接した位置に、従動側ガイドローラ21を設け、
この従動側ガイドローラ21で、ベルト7の幅方向一端側部7cを幅方向他端側に向けて押しつけガイドし、
前記ベルト7の幅方向一端側部7cの従動側ガイドローラ21よりも長手方向一端側寄りのベルト部分7c−1を、ベルト7の幅方向他端側部7dに接近した請求項1〜3いずれか1項記載の自動ドア。
【請求項5】
前記ドア10の上部で、長手方向の駆動プーリ4側の位置に、戸車13を備えた移動用ハンガー11を取り付け、
前記ドア10の上部で、長手方向の従動プーリ6側の位置に、戸車13を備えた案内用ハンガー12を取り付け、
前記案内用ハンガー12と戸車13が従動プーリ6の下部よりも下方に位置して干渉しないようにした請求項1〜4いずれか1項記載の自動ドア。
【請求項6】
前記上枠1は、第1縦板30と第2縦板31と上横板32と下横板33を備え、その第2縦板31と下横板33との間に開口部34を有した断面形状とし、
前記レール部2は、板状の取付部2cを通し、
前記取付部2cを、前記第1縦板30と下横板33で支持して上枠1の収容空間1aの下部に取り付け、前記レール部2が開口部34の上方に位置するようにした請求項1〜5いずれか1項記載の自動ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−122366(P2011−122366A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281172(P2009−281172)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
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