説明

自動ミキサー

【課題】細かく切り砕かれた食材がカップから飛散するのを防止する蓋が自動で下降及び上昇する自動ミキサーで、カップが蓋とともに上昇しないようにする。
【解決手段】自動ミキサー10は、容器台30に載置したカップ20の上部開口を覆う蓋61と回転刃44が自動で上下方向に移動するように制御されており、容器台30にはカップ20の下部が嵌合する嵌合凹部31を備え、カップ20の下部外周面には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜した複数の突条21と、容器台30の嵌合凹部31の内周面には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜してカップ20の突条21が上下方向に摺動可能に係合する複数の凹溝32とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実、野菜や飲料等からなる食材を切り砕いてジュースを作るための自動ミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、本発明に先立って、果物、野菜や飲料等からなる食材を細かく切り砕いてジュースにする自動ミキサーを開発した。この自動ミキサーは、顧客に提供するカップ2内で食材を直接細かく切り砕いてジュースを作るための装置であり、食材を切り砕く回転刃6及びカップ2から細かく切り砕かれた食材が飛散するのを防止する蓋7が自動で昇降するようにしたものである。この自動ミキサーは、図8に示すように、ハウジング1の下部に果物や飲料等の食材を収容するカップ2を載置する容器台3と、容器台3に載置したカップ2の上側で上下方向に移動可能に設けられてモータ4により回転する回転軸5と、回転軸5の下端部に取り付けられてカップ2内の食材を細かく切り砕く回転刃6と、回転刃6より上側となる位置で回転軸5に支持されてカップ2の上部開口を覆う蓋7とを備えている。
【0003】
この自動ミキサーは、以下に示す制御により、容器台3に載置したカップ2内の食材を細かく砕いてジュースにする。容器台3に果物等の食材を収容したカップ2を載置して図示しない操作パネルのスイッチをオンすると、昇降用モータ8の駆動により、回転軸5がカップ2の上側にある位置から下降する。これにより、蓋7はカップ2の上部開口を覆うようになり、回転刃6はカップ2内に収容される位置となる。回転刃6がカップ2内に収容される位置まで回転軸5が下降すると、昇降用モータ8の駆動により回転刃6をカップ2内で上下方向に数回移動させながらモータ4により回転刃6を回転させる。これにより、カップ2内の食材が細かく切り砕かれて果物等によるジュースが作られる。次に、昇降用モータ8の駆動により、回転軸5をカップ2の上側に上昇させと、蓋7はカップ2の上部開口から離脱して上昇し、回転刃6はカップ2の上側に移動する。回転軸5がカップ2の上側に上昇すると、容器台3に載置したカップ2を取り出すことが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自動ミキサーにより果物等の食材を用いたジュースを作るときに、カップ2の上部開口を蓋7により覆った状態で回転刃6を回転させると、カップ2内は回転刃6の回転により減圧され、蓋7はカップ2に吸着することがある。このような状態で、昇降用モータ8を用いて回転軸5とともに蓋7を上昇させると、カップ2が蓋7とともに上昇してから、カップ2が内部のジュースの自重により落下して零れることがあった。そこで、容器台3にカップ2の下部を着脱可能に嵌合固定させる筒状のホルダを設け、このホルダにカップ2の下部を強く嵌合固定すれば、カップ2が蓋7に吸着して上昇することがない。しかし、カップ2をホルダに強く嵌合固定すると、カップ2を取り外す力加減によっては、カップ2を取り外すときにジュースがこぼれ落ちることがあった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、果実や飲料等の食材を収容するための容器と、容器を載置する容器台と、容器台に載置した容器の上側で上下方向に移動可能に設けられてモータにより回転する回転軸と、回転軸の下部に取り付けられて容器内の食材を切り砕く回転刃と、容器台に載置した容器の上側で上下方向に移動可能に設けられて容器の上部開口を覆う蓋とを備え、食材を収容した容器を容器台に載置し、蓋を下降させることで容器の上部開口を覆うとともに回転刃を容器内に下降させて回転させることで容器内の食材を切り砕き、その後蓋及び回転刃を上昇させて容器から離脱させるようにした自動ミキサーであって、容器台には容器の下部が上方から嵌合する嵌合凹部を備え、容器台の嵌合凹部の内周面と容器の下部外周面との何れか一方には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜した複数の突条を備え、容器台の嵌合凹部の内周面と容器の下部外周との他方には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜して突条が摺動可能に係合する複数の凹溝を備えたことを特徴とする自動ミキサーを提供するものである。
【0006】
上記のように構成した自動ミキサーにおいては、容器台には容器の下部が上方から嵌合する嵌合凹部を備え、容器台の嵌合凹部の内周面と容器の下部外周面との何れか一方には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜した複数の突条を備え、容器台の嵌合凹部の内周面と容器の下部外周との他方には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜して突条が上下方向に摺動可能に係合する複数の凹溝を備えたので、容器内の食材を回転刃の回転により切り砕いた後で、容器の上面開口を覆う蓋を上昇させるときに、蓋が容器に吸着したとしても、容器と容器台とは垂直方向から水平方向に所定角度傾斜した突条と凹溝とが係合しているので、容器は蓋とともに上昇しないようになる。また、容器を回転させるようにして上方に持ち上げて突条を凹溝に摺動させれば、容器を容器台の嵌合凹部に複雑な動きをさせることなく嵌合させることができ、また、容器を容器台の嵌合凹部から大きな力を加えることなく取り外すことができる。
【0007】
上記のように構成した自動ミキサーにおいては、突条は凹溝に対する入口部の幅が狭くなるようなテーパを形成するのが好ましく、このようにすれば、容器を容器台の嵌合凹部に嵌合させるときに、突条を凹溝に係合させるのが容易となる。
【0008】
また、上記のように構成した自動ミキサーにおいては、凹溝の突条に対する入口部の幅が広くなるようなテーパを形成するのが好ましく、このようにしても、容器を容器台の嵌合凹部に嵌合させるときに、突条を凹溝に係合させるのが容易となる。
【0009】
また、上記のように構成した自動ミキサーにおいては、突条及び凹溝を垂直方向から水平方向に15°〜30°の間で傾斜するのが好ましく、このようにすれば、蓋を上昇させても容器が蓋に吸着されて上昇することなく、かつ、容器を容器台の嵌合凹部に嵌合させるときに、容器を大きく回転させることなく突条を凹溝に摺動させながら係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の自動ミキサーのフロントパネルを外した正面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図2の回転軸を下降させた状態を示す断面図である。
【図4】(a)はカップの側面図であり、(b)は(a)のB−B線における端面図である。
【図5】容器台の斜視図である。
【図6】自動ミキサーの電気制御装置のブロック図である。
【図7】自動ミキサーの電気制御装置による制御プログラムを示すフローチャートである。
【図8】従来の自動ミキサーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による自動ミキサーの一実施形態を図面を用いて説明する。本発明に係る自動ミキサー10は、顧客に提供するカップ20内で果実、野菜や飲料等の食材を直接細かく切り砕いてジュースを作るための装置であり、食材を切り砕く回転刃44及びカップ20から細かく切り砕かれた食材が飛散するのを防止する蓋61が自動で昇降するようにしたものである。この自動ミキサー10は、図1及び図2に示すように、果実や飲料等の食材を収容するためのカップ(容器)20と、カップ20を載置する容器台30と、容器台30に載置したカップ20の上側で上下方向に移動可能に設けられて切砕用モータ41により回転する回転軸43と、回転軸43の下部に取り付けられてカップ20内に収容した食材を切り砕く回転刃44と、容器台30に載置したカップ20の上側に上下方向に移動可能に設けられてカップ20の上部開口を覆う蓋61とを備え、容器台30に食材を収容したカップ20を載置し、蓋61を下降させることでカップ20の上部開口を覆うとともに回転刃44をカップ20内に下降させて回転させることでカップ20内の食材を切り砕き、その後、蓋61と回転刃とを上昇させてカップ20から離脱させるように制御したものである。而して、この自動ミキサー10においては、図4及び図5に示すように、容器台30にはカップ20の下部が嵌合する嵌合凹部31を備え、カップ20の下部外周面には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜した複数の突条21と、容器台30の嵌合凹部31の内周面には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜してカップ20の突条21が上下方向に摺動可能に係合する複数の凹溝32とを備えている。以下に、本発明に係る自動ミキサー10について詳述する。
【0012】
図4に示すように、この自動ミキサー10に用いるカップ20は、上側の直径が徐々に大きくなるように形成された略円筒形状の樹脂製のカップであり、カップ20の下端部(下部)外周面には垂直方向から水平方向に所定角度として22°傾斜させた複数の突条21が円周方向に連続して形成されている。カップ20の突条21は、幅が2mm、垂直方向の長さが10mm、カップ20の半径方向となる高さが2mmとなっている。なお、カップ20の突条21は、垂直方向から水平方向に22°傾斜しているが、15°〜30°の間で傾斜させてもよい。
【0013】
自動ミキサー10は、ハウジング11の下部にカップ20を載置するための容器台30と、ハウジング11の上部にカップ20内の材料を切り砕く切砕機構40と、切砕機構40を上下方向に移動させる昇降機構50と、カップ20の上部開口を覆う被覆機構60とを備えている。
【0014】
図2及び図5に示すように、容器台30は、カップ20を載置するための格子状をした樹脂部材よりなり、ハウジング11の下部にて上下方向に移動しないように着脱可能に固定されている。図5に示すように、容器台30の中心部には、カップ20の下端部(下部)が嵌合する有底円筒形をした嵌合凹部31が形成されている。嵌合凹部31の内周面には、カップ20の突条21が上下方向に摺動可能に係合する4つの凹溝32が設けられている。4つの凹溝32は、嵌合凹部31の内周面で等間隔となる位置に設けられており、垂直方向から水平方向に所定角度として22°傾斜している。凹溝32は、カップ20を嵌合凹部31に嵌合するときに突条21が挿入される入口部となる上側の幅が広くなるようなテーパが形成されている。凹溝32は、上端の幅が4mm、下端の幅が2mm、垂直方向の長さが10mm、深さは2mmとなっている。なお、嵌合凹部31の凹溝32は、垂直方向から水平方向に22°傾斜しているが、カップ20の突条21に合わせて15°〜30°の間で傾斜させてもよい。
【0015】
図2に示すように、切砕機構40は、切砕用モータ41と、切砕用モータ41により回転する回転軸43と、回転軸43の下端部に取り付けられた回転刃44とを備えている。切砕用モータ41は、昇降機構50により上下方向に移動可能に支持される可動支持板42の上面に固定されている。切砕用モータ41の出力軸41aは、可動支持板42を貫通して下方に突出して設けられており、この出力軸41aには筒状のジョイント41bにより回転軸43が連結されている。回転軸43の下端部には、カップ20内に収容された食材を細かく切り砕きながら撹拌する回転刃44が取り付けられている。また、回転軸43の下端部には、回転刃44より少し上側に後述する蓋61を係止させる係止円板45が設けられている。可動支持板42には、切砕用モータ41より後側に後述する昇降機構50の送りねじ棒54とガイドロッド56とを挿通するための貫通孔42a、42bが形成されている。可動支持板42の下面には、送りねじ棒54を挿通するための貫通孔42aが形成された位置に送りねじ棒54のねじ部に螺合するナット46が固定されている。可動支持板42の上面には、貫通孔42bが形成された位置にガイドロッド56を案内するための筒状のガイドブッシュ47が固定されている。
【0016】
図2に示すように、昇降機構50は、昇降用モータ51と、昇降用モータ51により回転する送りねじ棒54と、ガイドロッド56とを備えている。昇降用モータ51は、切砕機構40と被覆機構60とを昇降させるものであり、ハウジング11の上部にて両側壁に架設された上部支持板52の下面に固定されている。昇降用モータ51の出力軸51aは、上部支持板52を貫通して上方に突出して設けられており、この出力軸51aにはプーリ51bが取り付けられている。
【0017】
送りねじ棒54は、上部支持板52とハウジング11の中間部にて両側壁に架設された下部支持板53とに設けられた各軸受52a、53aを介して回転可能に立設して支持されている。送りねじ棒54は、可動支持板42の下面のナット46に螺合した状態で貫通孔42aに挿通されている。送りねじ棒54の上端部にはプーリ54aが取り付けられており、このプーリ54aと昇降用モータ51の出力軸51aに取り付けられたプーリ51bとの間にはタイミングベルト55が設けられている。昇降用モータ51を駆動すると、送りねじ棒54が回転して可動支持板42が上下方向に移動する。
【0018】
ガイドロッド56は、可動支持板42から下方に垂下する回転軸43が容器台30の嵌合凹部31に載置したカップ20の直上位置となるように案内するためのものであり、送りねじ棒54の前側でこれと平行になるようにして上部支持板52と下部支持板53とに支持されている。また、ガイドロッド56は、可動支持板42の貫通孔42b及びガイドブッシュ47に挿通されている。
【0019】
図2に示すように、被覆機構60は、カップ20の上面開口を覆う蓋61と、蓋61を下方に押しつける筒状の重り部材62と、重り部材62を下方に付勢するためのアダプタ63とコイルばね64とを備えている。蓋61は、カップ20の上面開口を覆うものであり、天板61aを備えた略円筒形のシリコンゴム部材よりなる。蓋61の天板61aの中心部には回転軸43が挿通される貫通孔61bが形成されており、この貫通孔61bの周囲には下方に延びて回転軸43の下端部の係止円板45の上面に係止する係止筒部61cが形成されている。蓋61は、天板61aの係止筒部61cが回転軸43の係止円板45の上面に係止して、回転軸43とともに上下方向に移動可能に支持されている。蓋61の下部の外周の大きさは、カップ20の上部の内周とほぼ隙間なく嵌合可能な大きさである。蓋61の上下方向の中間部の外周にはカップ20の上縁に当接して食材の溢出を防ぐための環状のフランジ61dが形成されている。蓋61の外周上部には、回り止めのための係合突部61eが形成されている。蓋61の内周面の下部には、カップ20内で切砕及び撹拌するときの撹拌の効率を良くするための邪魔板部61fが等間隔となるように3箇所に形成されている。
【0020】
重り部材62は、自重により蓋61のフランジ61dをカップ20の上縁に押圧するためのものであり、適度な重さのある金属製の筒部材よりなる。重り部材62の下部は、フランジ61dの上側の蓋61の外周に被嵌されて、ハウジング11の中間部より下側に設けられた仕切板12に固定された筒状のホルダ13に摺動可能に嵌挿されている。重り部材62の外周面には、垂直方向の凹溝62aが等間隔に3つ形成されており、筒状のホルダ13の内周面には、垂直方向の突条13aが等間隔に3つ形成されている。重り部材62は、凹溝62aがホルダ13の内周面の突条13aに摺動可能に係合して回り止めされている。また、重り部材62の内周面には、蓋61の外周面の係合突部61eと係合する係合凹部62bが形成されており、蓋61は係合突部61eが重り部材62の係合凹部62bに係合している。蓋61は、重り部材62及びホルダ13を介して垂直軸線回りに回転しないようになっている。重り部材62の内周には、コイルばね64を係止するための有底円筒形をしたアダプタ63が嵌挿されており、アダプタ63は、上端に形成されたフランジ部63aが重り部材62の上端に係止して支持されている。コイルばね64は、可動支持板42の下面とアダプタ63の底板部との間に設けられており、重り部材62を下方に付勢している。
【0021】
図6に示すように、自動ミキサー10は、切砕用モータ41、昇降用モータ51及びフロントパネルに設けられた操作パネル14に接続された電気制御装置70を備えている。電気制御装置70は、操作パネル14の出力信号に応じて内蔵するマイクロコンピュータ71により下記のプログラムを実行して、切砕用モータ41及び昇降用モータ51の作動を制御する。
【0022】
次に、上記のように構成した自動ミキサー10を用いた果実のジュースを作るための作動を図7に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、適当な大きさにカットした果実と果汁飲料を収容したカップ20を容器台30の嵌合凹部31に嵌挿させる。カップ20を容器台30の嵌合凹部31に嵌挿させるときには、カップ20の突条21が嵌合凹部31の凹溝32に挿入可能な位置にしてカップ20を手放せば、カップ20は突条21が凹溝32に摺動しながら下降して嵌合凹部31に嵌挿される。このとき、カップ20の突条21及び嵌合凹部31の凹溝32はともに垂直方向から水平方向に22°傾斜しており、カップ20を意識的に回転させることのない程度の傾斜となっている。
【0023】
カップ20を容器台30の嵌合凹部31に嵌合させた状態で、操作パネル14のスイッチをオンすると、電気制御装置70は、ステップ101に示すように、可動支持板42が下降するように昇降用モータ51を駆動させる。可動支持板42の下降により、図3に示すように、回転軸43は下端部の回転刃44がカップ20内となる位置まで下降する。このとき、回転軸43とともに下降する蓋61は、フランジ61dがカップ20の上縁に係止して止まり、カップ20の上部開口を覆うようになる。次に、電気制御装置70は、ステップ102に示すように。切砕用モータ41を駆動させて回転軸43及び下端部の回転刃44を回転させるとともに、回転刃44がカップ20内で所定回数として3回上下移動するように昇降用モータ51を駆動させる。これにより、カップ20内の食材は、細かく切り砕かれて果実のジュースとなる。このとき、カップ20の上面開口は蓋61により覆われているので、果実のジュースがカップ20から飛び散らない。
【0024】
次に、電気制御装置70は、ステップ103に示すように、可動支持板42が上昇するように昇降用モータ51を駆動させる。可動支持板42の上昇により、回転軸43は下端部の回転刃44がカップ20の上側となる位置まで上昇し、蓋61は回転軸43とともに上昇してカップ20から離脱する。このとき、カップ20内は回転刃44の回転により減圧され、蓋61はカップ20に吸着していることがある。このような状態で回転軸43とともに蓋61を上昇させると、カップ20が蓋61とともに上昇しようとする。しかし、蓋61は回転しないように支持されているのに対し、カップ20の下端部の突条21と容器台30の嵌合凹部31の凹溝32とは互いに垂直方向から水平方向に所定角度として22°傾斜して係合しているので、カップ20は回転せずに垂直方向に上昇する蓋61とともに持ち上がることはない。
【0025】
その後、カップ20を手で掴んで上方に持ち上げれば、カップ20の突条21が嵌合凹部31の凹溝32に摺動しながらカップ20が僅かに回転する。特に、突条21が凹溝32に案内されて摺動しながらカップ20が回転するので、カップ20を掴んだ手を意識的に回転させることなくカップ20を持ち上げることが可能となる。このように、カップ20を取り出すのに大きな力を加えたり、例えばカップ20と嵌合凹部31とに鍵形の係合部を設けたときのような複雑な動きをさせたりすることなく、カップ20を容易に取り外すことができる。これにより、カップ20を取り出すときに、果実のジュースがこぼれ落ちにくくなる。
【0026】
上記のように構成した自動ミキサー10においては、容器台30にはカップ20の下端部が上方から嵌合する嵌合凹部31を備え、カップ20の下部外周面には垂直方向から水平方向に所定角度として22°傾斜した複数の突条21を備え、容器台30の嵌合凹部31の内周面には垂直方向から水平方向に所定角度として22°傾斜してカップ20の突条21が上下方向に摺動可能に係合する複数の凹溝32を備えている。カップ20内の食材を回転刃44の回転により切り砕いた後で、カップ20の上面開口を覆う蓋61を上昇させるときに、蓋61が容器台30の嵌合凹部31に嵌合させたカップ20に吸着したとしても、蓋61は回転不能となっているのに対し、カップ20と容器台30とは垂直方向から水平方向に所定角度として22°傾斜した突条21と凹溝32とが係合しているので、カップ20は蓋61とともに上昇しないようになる。また、カップ20を回転させる等して突条21を凹溝32に摺動させれば、カップ20を容器台30の嵌合凹部31に複雑な動きをさせることなく嵌合させることができ、また、カップ20を容器台30の嵌合凹部31から大きな力を加えることなく取り外すことができる。
【0027】
また、自動ミキサー10においては、容器台30の嵌合凹部31の凹溝32は、カップ20の突条21に対する入口部となる上側の幅が広くなるテーパが形成されているので、カップ20の突条21を凹溝32に係合させるのが容易となる。
【0028】
また、自動ミキサー10においては、カップ20の突条21及び容器台30の嵌合凹部31の凹溝32を垂直方向から水平方向に15°〜30°の間で傾斜させるのが最適であり、蓋61を上昇させてもカップ20が蓋61に吸着されて上昇することなく、かつ、カップ20を容器台30の嵌合凹部31に嵌合させるときに、カップ20を大きく回転させることなく突条21を凹溝32に摺動させながら係合させることができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、カップ20の下端部の外周面に突条21を設け、容器台30の嵌合凹部31の内周面に凹溝32を設けているが、本発明はこれに限られるものでなく、カップ20の下端部の外周面に凹溝を設け、容器台30の嵌合凹部31の内周面に突条を設けるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、容器台30の凹溝32は、カップ20の突条21に対する入口部となる上側の幅が広くなるテーパが形成されているのが、本発明はこれに限られるものでなく、カップ20の突条21は凹溝32に対する入口部となる下側の幅が狭くなるテーパを形成しても同様の作用効果を得ることができる。また、上記のカップ20の下端部の外周面に凹溝を設け、容器台30の嵌合凹部31の内周面に突条を設けたときも同様に、カップ20の下端部の凹溝は嵌合凹部31の突条に対する入口部となる下側の幅が広くなるテーパ、または、嵌合凹部31の突条はカップ20の下端部の凹溝に対する入口部となる上側の幅が狭くなるテーパを形成しても同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
10…自動ミキサー、20…容器(カップ)、21…突条、30…容器台、31…嵌合凹部、32…凹溝、41…モータ(切砕用モータ)、43…回転軸、44…回転刃、61…蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実や飲料等の食材を収容するための容器と、
前記容器を載置する容器台と、
前記容器台に載置した前記容器の上側で上下方向に移動可能に設けられてモータにより回転する回転軸と、
前記回転軸の下部に取り付けられて前記容器内の食材を切り砕く回転刃と、
前記容器台に載置した前記容器の上側で上下方向に移動可能に設けられて前記容器の上部開口を覆う蓋とを備え、
食材を収容した前記容器を前記容器台に載置し、前記蓋を下降させることで前記容器の上部開口を覆うとともに前記回転刃を前記容器内に下降させて回転させることで前記容器内の食材を切り砕き、その後前記蓋及び前記回転刃を上昇させて前記容器から離脱させるようにした自動ミキサーであって、
前記容器台には前記容器の下部が上方から嵌合する嵌合凹部を備え、
前記容器台の嵌合凹部の内周面と前記容器の下部外周面との何れか一方には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜した複数の突条を備え、
前記容器台の嵌合凹部の内周面と前記容器の下部外周との他方には垂直方向から水平方向に所定角度傾斜して前記突条が摺動可能に係合する複数の凹溝を備えたことを特徴とする自動ミキサー。
【請求項2】
請求項1に記載の自動ミキサーにおいて、
前記突条は前記凹溝に対する入口部の幅が狭くなるようなテーパを形成したことを特徴とする自動ミキサー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動ミキサーにおいて、
前記凹溝は前記突条に対する入口部の幅が広くなるようなテーパを形成したことを特徴とする自動ミキサー。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の自動ミキサーにおいて、
前記突条及び前記凹溝を垂直方向から水平方向に15°〜30°の間で傾斜させるようにしたことを特徴とする自動ミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−156226(P2011−156226A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21534(P2010−21534)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000213231)株式会社中部コーポレーション (35)
【Fターム(参考)】