説明

自動倉庫の仕分けシステム

【課題】物品の種類や向け先の変動に対応し易く、省スペースで且つ効率的に仕分け作業ができ、少ない設備費で設置可能な自動倉庫の仕分けシステムを提供する。
【解決手段】自動倉庫の仕分けシステムは、貯留コンベア(31)が配置された複数の仕分けゾーン(3)と、自動倉庫(1)と仕分けゾーン(3a),(3b)・・の間でパレット(5)を受渡しする搬送台車(2)と、各仕分けゾーンゾーン(3a),(3b)・・に端末装置(80)が配置され且つ自動倉庫(1)の入出庫、搬送台車(2)及び各仕分けゾーンゾーン(3a),(3b)・・の貯留コンベア(31)の作動を制御する管理用コンピュータとを備え、仕分け作業開始の際には、該当するパレット(5)を自動倉庫(1)から所定の仕分けゾーン(3c)へ移動させ、仕分け作業終了の際には、余剰の物品(C)が積載されたパレット(5)を仕分けゾーン(3c)から自動倉庫(1)へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫の仕分けシステムに関するものであり、詳しくは、自動倉庫に設置されて当該自動倉庫から出荷する物品の仕分け使用される自動倉庫の仕分けシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫は、庫内に作業者が入ることなく荷物を保管可能な倉庫であり、斯かる倉庫においては、外部からのコンピュータ操作によってスタッカークレーン等の自動運搬装置や搬送用コンベアを制御することにより、セグメント化された保管領域の決められた位置に荷物を搬入し、必要に応じて荷物を仕分けゾーンへ搬出する。そして、仕分けゾーンでは、物品の形態や配送形態を考慮して各種の仕分けシステム(仕分け装置)が使用されている(特許文献1〜4)。
【0003】
仕分けシステムの一例としては、新聞の折込チラシやパンフレット等を多数の販売店にトラック配送するための「仕分け保管システム」が提案されている。斯かるシステムでは、自動倉庫にパレット単位で保管したチラシ等の物品を有軌道台車でピッキングエリアへ搬送し、ピッキングエリアにおいて配送先毎に仕分けた物品を物品収納装置に収容した後、当該物品収納装置を配送先毎に一旦待機させ、トラック積込の際に物品収納装置からコンベヤを介してトラックヤードまで連続的に物品を出荷する。
【0004】
なお、トラックヤードに向けて物品を迅速に出荷するため、上記の物品収納装置は、多数のローラを一定間隔で配置して成る駆動ローラコンベヤと、多数の櫛を一定間隔で配置して棚板が構成され且つ駆動ローラコンベヤの上方に配置された昇降棚とを備え、物品の積卸しの際には昇降棚を下降させて棚板の櫛の隙間から駆動ローラコンベヤのローラを突出させ、物品の保管時には昇降棚を上昇させる様になされている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−306497号公報
【特許文献2】特開2002−37412号公報
【特許文献3】特開2002−37422号公報
【特許文献4】特開2004−10289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、折込チラシ等の出荷では、これらを一塊に結束した状態で取り扱うことが出来、しかも、物品の種類が少なく、主に向け先(配送先)を中心に仕分けを行うため、仕分けた物品の出荷前の一時的な貯留用として且つ送出し装置として前述の物品収納装置を使用することにより、効率的な出荷作業が見込まれる。
【0007】
しかしながら、物品の種類が多岐に渡り且つ多数の向け先に配送することを前提とした一般的な自動倉庫の仕分けシステムとしては、上記の様な物品収納装置の利用が必ずしも有効ではない。すなわち、物品の形態(大きさや形状)によっては落下や引掛りの問題から物品収納装置のコンベヤに直接載せることが出来なかったり、形態の異なる物品を1つのコンベヤに混載すると出荷の際に落下する虞がある。また、物品の種類毎および向け先毎に物品収納装置を設置しようとすると、物品収納装置が多数必要となり、高額の設備費と出荷するまでの広い待機場所が必要となる。殊に、既存の自動倉庫においては、現行の仕分け場所を拡張するのが容易ではない反面、保管する物品の種類や向け先の変動もあり、斯かる変動に対応して一層効率的な仕分け作業が望まれている。
【0008】
本発明は、上記の様な実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、種類が多岐に渡り且つ向け先が多数に及ぶ物品を保管する自動倉庫に適した仕分けシステムであって、物品の種類や向け先の変動に対応し易く、省スペースで且つ効率的に仕分け作業ができ、しかも、少ない設備費で設置可能な自動倉庫の仕分けシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、仕分けゾーンを複数設けると共に、複数のパレットを搭載可能な貯留コンベアによって各仕分けゾーンを構成し、最初に、自動倉庫からパレット単位で出庫した物品をその種類に応じて所定の仕分けゾーンへ搬送台車によって搬送し、次いで、各仕分けゾーンにおいて、貯留コンベア上に一時的に滞留させたパレットから向け先に応じて必要数だけ物品をピッキングした後、パレット上の余剰の物品をそのまま搬送台車によって自動倉庫へ搬送して再入庫する様にした。これにより、装置構成の簡素化、省スペース化を図り、物品の種類および向け先の変動に対する対応性を高めた。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、パレットに積載された物品をパレット単位で入出庫可能な自動倉庫において物品を出荷する際に使用される仕分けシステムであって、複数のパレットを搭載可能な貯留コンベアを配置して成り且つ出庫したパレット上の物品をピッキングして仕分け作業を行う複数の仕分けゾーンと、自動倉庫と仕分けゾーンの間の循環経路を移動し且つこれらの間でパレットを受渡しする搬送台車と、各仕分けゾーンに端末装置が配置され且つ自動倉庫の入出庫と共に搬送台車および各仕分けゾーンの貯留コンベアの作動を制御する管理用コンピュータとを備え、当該管理用コンピュータの制御により、仕分け作業開始の際には、端末装置から入力した出庫指示情報に基づき、該当するパレットを自動倉庫から出庫して搬送台車に載せ換え、当該搬送台車を所定の仕分けゾーンへ移動させ、仕分け作業終了の際には、端末装置から入力した再入庫指示情報に基づき、余剰の物品が積載されたパレットを仕分けゾーンから搬送台車に乗せ換え、当該搬送台車を自動倉庫へ移動させる様に構成されていることを特徴とする自動倉庫の仕分けシステムに存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自動倉庫の仕分けシステムによれば、装置構成の簡単な貯留コンベアにより各仕分けゾーンが構成され、自動倉庫と各仕分けゾーンの間の物品の搬送をパレット単位で行うため、狭いスペースに少ない設備費で設置でき、また、配置変更や増設が容易であり、物品の種類や向け先の変動に容易に対応することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る自動倉庫の仕分けシステムの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る自動倉庫の仕分けシステムの主な機器構成を示す平面図である。図2は、図1の仕分けシステムにおける仕分けゾーンの構成を示す平面図である。図3は、図2の仕分けゾーンに配置された仕分け棚の構造および仕分け方法を示す側面図であり、図4は、図2の仕分けゾーンにおける仕分け棚と貯留コンベアの配置および仕分け方法を示す縦断面図である。また、図1の仕分けシステムに備えられた管理用コンピュータの機能を示すブロック図である。なお、以下の説明では、自動倉庫の仕分けシステムを「仕分けシステム」と略記する。
【0013】
本発明の仕分けシステムは、図1に示す様に、パレット(5)に積載された物品(C)(図3及び図4参照)をパレット単位で入出庫可能な自動倉庫(1)において物品(C)を出庫する際に使用される装置であり、多数の種類の物品(C)を多数の向け先毎に仕分けるのに好適である。
【0014】
図1に示す様に、本発明の仕分けシステムは、複数のパレット(5)を搭載可能な貯留コンベア(31)を配置して成り且つ出庫したパレット(5)上の物品(C)をピッキングして仕分け作業を行う複数の仕分けゾーン(3)(符号(3a)〜(3f)で例示した分けゾーン)と、自動倉庫(1)と仕分けゾーン(3)の間の循環経路を移動し且つこれら自動倉庫(1)と仕分けゾーン(3)の間でパレット(5)を受渡しする搬送台車(2)と、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・に端末装置(80)が配置され且つ自動倉庫(1)のパレット(5)の入出庫と共に搬送台車(2)及び各仕分けゾーン(3a),(3b)・・の貯留コンベア(31)の作動を制御する管理用コンピュータ(8)(図5参照)とから主として構成される。
【0015】
本発明を適用する自動倉庫(1)としては、管理用コンピュータの制御により、予め多数に区画された保管場所に荷物である物品(C)を保管し且つパレット(5)に積載した状態で物品(C)を入出庫し得る限り、移動棚方式、流動棚方式などの各種形態の立体倉庫や保管設備が挙げられる。
【0016】
自動倉庫(1)は、例えば図1に示す様に、多数のパレット収容室が水平方向に一列に配置された棚段を上下方向に複数段積み重ねて成る保管棚(10)と、各保管棚(10)の長手方向の一端に配置された入庫用コンベア(11)と、各保管棚(10)の長手方向の他端に配置された受払いコンベア(12)と、保管棚(10)に沿って入庫用コンベア(11)から受払いコンベア(12)までの間の直線経路を進退移動するスタッカークレーン(13)とから構成される。
【0017】
上記の自動倉庫(1)においては、入庫の際、物品(C)を積載したパレット(5)が入庫用コンベア(11)から送り込まれると、物品(C)の識別コード(商品コード)に基づく管理用コンピュータ(8)の制御情報により、スタッカークレーン(13)がパレット(5)を保持し且つ保管棚(10)の所定位置の側方に移動し、保持したパレット(5)を保管棚(10)に移し替え、また、出庫の際、管理用コンピュータ(8)の制御情報により、スタッカークレーン(13)が保管棚(10)の所定位置の側方に移動し且つ保管棚(10)のパレット(5)を保持し、受払いコンベア(12)の側方に移動して保持したパレット(5)を当該受払いコンベアに移し替え、受払いコンベア(12)からパレット(5)を送り出す様になされている。なお、受払いコンベア(12)は、当該受払いコンベアの搬送方向下流端に搬送台車(2)が停止した際に作動可能になされている。
【0018】
搬送台車(2)としては、一定パターンで設置された軌道上を走行する軌道台車、または、床面に一定パターンで設置された追尾用アンテナ線に沿って走行する無軌道台車が使用される。搬送台車(2)の循環経路は、上記の軌道やアンテナ線の設置パターンにより、例えば、自動倉庫(1)の受払いコンベア(12)における払出し・受入れ方向に直交し且つ当該受払いコンベアの下流端側を横切る一方向への直進路と、当該一方向への直進路から逆方向への方向転換路と、仕分けゾーン(3)の貯留コンベア(31)における受入れ・払出し方向に直交し且つ当該貯留コンベアの搬送方向上流端および下流端側を横切る他方向への直進路と、当該他方向への直進路から前記の一方向への直進路への方向転換路とから成り、一方向へ搬送台車(2)を循環させる様に構成される。
【0019】
搬送台車(2)の上面には、パレット(5)の受入れ・払出しを行うため、当該搬送台車の移動方向と直交する方向にパレット(5)を移動させるチェーンコンベヤ又はローラーコンベヤが設けられる。そして、搬送台車(2)は、循環経路に設けられた位置センサー等の位置検出手段および管理用コンピュータ(8)の指示情報に基づいて、自動倉庫(1)の受払いコンベア(12)及び仕分けゾーン(3)の後述する貯留コンベア(31)に隣接して停止する様に構成される。これにより、物品(C)を出庫する場合には、自動倉庫(1)の受払いコンベア(12)から搬送台車(2)にパレット(5)を載せ換えて仕分けゾーン(3)に搬送し、搬送台車(2)から貯留コンベア(31)の後述するパレット導入部にパレット(5)を載せ換えることが出来、また、仕分け後の余剰の物品(C)を再入庫する場合には、貯留コンベア(31)の後述するパレット排出部から搬送台車(2)にパレット(5)を載せ換えて自動倉庫(1)に搬送し、搬送台車(2)から受払いコンベア(12)にパレット(5)を載せ換えることが出来る。
【0020】
仕分けゾーン(3)は、物品(C)の種類に応じて複数箇所、例えば6箇所に仕分けゾーン(3a),(3b)・・として設けられる。そして、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・には、図1及び図2に示す様に、上記の貯留コンベア(31)と、当該貯留コンベアと平行に配置された仕分け棚(32)と、当該仕分け棚に隣接して配置された送出しコンベア(41)とが備えられている。なお、本発明において、物品(C)の種類とは、その保管や配送の都合を考慮し、商品(または製品)の違い、形態や大きさの違い或いは配送条件の違い等によって予め分類された種類を言い、斯かる種類は、取り扱う物品(C)に応じて適宜決定することが出来る。
【0021】
貯留コンベア(31)は、図2に示す様に、通常、1〜2台程度のパレット(5)を搭載し得る程度の長さの複数基のチェーンコンベヤ又はローラーコンベヤを連続的に配置して構成され、そして、図4に示す様に、ピッキング作業の安全性および労力軽減を図る観点から、その搬送面の高さが床面を基準として約5〜30cmとなる様に設定される。
【0022】
また、図2に示す様に、パレット(5)の滞留時間を十分に確保して確実にピッキング作業を行うため、貯留コンベア(31)には、例えば、数台のパレット(5)が直線状に一列に並ぶ長さのパレット導入部(図2中の貯留コンベア(31)の右側直線部分)と、パレット(5)を一時的に停止させ且つその搬送方向を変えるピッキングポイントとしての方向変換部(図2中の貯留コンベア(31)の下側部分)と、前記のパレット導入部と同様に数台のパレット(5)が直線状に一列に並ぶ長さのパレット排出部(図2中の貯留コンベア(31)の左側直線部分)とが設けられる。
【0023】
上記のパレット導入部の搬送方向上流側の端部は、前述の搬送台車(2)の循環経路(他方向への直進路)に隣接しており、斯かる位置に停止した搬送台車(2)からパレット(5)を受け入れる様に構成されている。そして、パレット排出部の搬送方向下流側の端部は、同様に、搬送台車(2)の循環経路(他方向への直進路)に隣接しており、斯かる位置に停止した搬送台車(2)に対してパレット排出部からパレット(5)を送り出す様に構成されている。
【0024】
本発明においては、図3及び図4に示す様に、仕分け作業の際、パレット(5)からピッキングした物品(C)を収容するために多数の配送用コンテナ(7)が使用される。配送用コンテナ(7)は、例えば多数の店舗に商品としての物品(C)を貨物車で配送するための樹脂製の通箱である。各配送用コンテナ(7)には、各々、個々に異なるコンテナ識別コードが表記されており、斯かるコンテナ識別コードにより、配送用コンテナ(7)は、仕分けに必要な情報および配送に必要な情報が管理用コンピュータ(8)により割り付けられる様になされている。そして、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・においては、仕分け棚(32)に配送用コンテナ(7)を配置して仕分け作業が行われる。
【0025】
仕分け棚(32)は、図1及び図2に示す様に、平面視した場合、上記の貯留コンベア(31)のパレット導入部およびパレット排出部の両側に仕分け作業を行い得る程度の間隔を開けてこれらと平行に配置される。また、仕分け棚(32)は、図3及び図4に示す様に、2段構造に構成されており、後述する搬出用の送出しコンベア(41)(図4参照)の搬送面に配送用コンテナ(7)を滑らせて載せ換え可能な高さの作業用棚段と、当該棚段の下方に配置され且つ補充用の配送用コンテナ(7)を貯留する準備用棚段とを備えている。図3及び図4に示す仕分け棚(32)の上段が作業用棚段であり、下段が準備用棚段である。なお、仕分け棚(32)の配送用コンテナ(7)は向け先毎に区別して使用される。
【0026】
更に、図3に示す様に、上記の仕分け棚(32)の貯留コンベア(31)側のフレームには、そこに配置された配送用コンテナ(7)がそのときの仕分けに使用されるコンテナであることをランプ表示し、かつ、収容すべき物品(C)の数量を表示するための表示盤(81)がコンテナ配置位置に対応して設けられる。仕分け棚(32)には、後述するコンテナ識別コードを読み取るスキャナー(図示省略)が付設されており、表示盤(81)は、読み取った配送用コンテナ(7)のコンテナ識別コードに対して管理用コンピュータ(8)が割り付けた仕分け情報、および、後述する仕分けリスト(9)から作業者がスキャナーで読み取った向け先コードに基づき、上記の各表示を行う様になされている。
【0027】
送出しコンベア(41)は、図1に示す様に、仕分け棚に隣接して当該仕分け棚と平行に配置されており、そして、積出し用プラットホームへ至るバース搬送コンベア(4)に繋げられている。バース搬送コンベア(4)及び送出しコンベア(41)は、通常、ローラーコンベア又はベルトコンベアによって構成される。図4に示す様に、送出しコンベア(41)は、仕分け棚(32)から配送用コンテナ(7)を滑らせて載せ換えるため、その搬送面が上記の仕分け棚(32)の作業用棚段と同程度の高さとなる様に設置されている。なお、バース搬送コンベア(4)は、積出し用プラットホームまで伸長されるが、複数の貨物車への配送用コンテナ(7)の積込みを円滑に行うため、各貨物車へ振り分ける振分け用コンベヤをプラットホーム又はその手前に備えていてもよい。
【0028】
本発明の仕分けシステムにおいては、図1及び図2に示す様に、管理用コンピュータ(8)(図5参照)の端末装置(80)が各仕分けゾーン(3a),(3b)・・に配置されており、各仕分け作業毎に端末装置(80)に入力する指示情報に基づき、管理用コンピュータ(8)により前述の各機器を制御し、パレット(5)を移動させる様になされている。すなわち、本発明においては、図5に示す様に、管理用コンピュータ(8)を使用し、自動倉庫(1)におけるパレット(5)の入出庫制御、搬送台車(2)の作動制御、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・の貯留コンベア(31)の作動制御などを行う様に構成される。なお、管理用コンピュータ(8)としては、通常、自動倉庫(1)の全体制御を行うコンピュータが使用される。
【0029】
具体的には、本発明の仕分けシステムにおいては、上記の管理用コンピュータ(8)の制御により、仕分け作業開始の際には、端末装置(80)から入力した出庫指示情報に基づき、識別コード(商品コード)によって特定される物品(C)の種類に応じて、予め決められた所定の仕分けゾーン(3)へパレット(5)を移動させる様になされている。換言すれば、上記の出庫指示情報に基づき、該当するパレット(5)を自動倉庫(1)から出庫して搬送台車(2)に載せ換え、当該搬送台車を所定の仕分けゾーン(3)へ移動させる様に構成される。
【0030】
また、仕分け作業の際は、前述の仕分けゾーン(3)の機器構成により、貯留コンベア(31)に滞留するパレット(5)上の物品(C)を選択し、仕分け棚(32)に並べられ且つ向け先毎に区別された配送用コンテナ(7)に前記の物品(C)を収容し、所要の物品(C)が納められた配送用コンテナ(7)を仕分け棚(32)から送出しコンベア(41)へ載せ換える様になされている。そして、仕分け作業終了の際には、端末装置(80)から入力した再入庫指示情報に基づき、余剰の物品(C)が積載されたパレット(5)を仕分けゾーン(3)から搬送台車(2)に乗せ換え、当該搬送台車を自動倉庫(1)へ移動させる様に構成される。
【0031】
次に、本発明の仕分けシステムを使用した仕分け方法を具体的に説明する。自動倉庫(1)における物品(C)の保管は、パレット(5)に物品(C)を積載した状態でパレット単位で行われる。そして、自動倉庫(1)に物品(C)を最初に入庫(入荷)する場合は、物品(C)にバーコードで表記された識別コード(商品コード)を読み取り、管理用コンピュータ(8)によって物品毎に予め割り振られた保管棚(10)の所定の保管場所(区画)に物品(C)(パレット)が収められる。
【0032】
また、出荷時の仕分け作業を物品(C)毎に一定の場所で行うため、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・において取扱う物品(C)が管理用コンピュータ(8)により上記の識別コードを利用して予め割り振られる。例えば、仕分けゾーン(3a)に対しては、識別コード「1****」(1桁目の数値が「1」)の物品(C)を処理する様に割り振られ、仕分けゾーン(3b)に対しては、識別コード「2****」(1桁目の数値が「2」)の物品(C)を処理する様に割り振られ、同様に、仕分けゾーン(3f)に対しては、識別コード「N****」(1桁目の数値が「N」)の物品(C)を処理する様に割り振られる。これにより、管理用コンピュータ(8)の指示に従い、物品(C)の1桁目の識別コードに対応させて所定の仕分けゾーン(3)へ該当するパレット(5)を自動的に供給できる。
【0033】
更に、向け先毎に配送用コンテナ(7)を指定するため、管理用コンピュータ(8)により、仕分け棚(32)に配置された各配送用コンテナ(7)のコンテナ識別コードに対し、出荷時に収容される物品(C)の種類と数量、店舗などの向け先、および、仕分け時の仕分け棚(32)における位置(ロケーション番号)が仕分け配送情報として割り付けられる。
【0034】
物品(C)を出荷する場合には、先ず、物品毎に予め割り振られた1つの仕分けゾーン(3)、例えば仕分けゾーン(3c)に作業者が待機し、端末装置(80)から出庫指示情報(ピッキング開始の合図)を入力する。斯かる出庫指示情報を入力すると、処理すべき識別コード「3****」の物品(C)のピッキング数量が端末装置(80)に表示されると共に、端末装置(80)に付設されたプリンターにより、向け先毎の物品(C)の出荷数量、先コード(バーコード)及び処理する総数量向けが示された仕分けリスト(9)(図3参照)が印刷される。また、上記の出庫指示情報に基づいて、識別コード「3****」の物品(C)を積載したパレット(5)が自動倉庫(1)から出庫される。
【0035】
自動倉庫(1)の受払いコンベア(12)から送り出されたパレット(5)は、搬送台車(2)に載せ換えられて仕分けゾーン(3)に搬送される。搬送台車(2)は、仕分けゾーン(3c)の貯留コンベア(31)のパレット導入部に隣接して停止し、当該搬送台車上面のコンベヤの駆動および貯留コンベア(31)の駆動により、パレット(5)が貯留コンベア(31)に載せ換えられる。そして、パレット(5)は、ピッキングポイントである方向変換部(図2中の貯留コンベア(31)の下側部分)に達した際にコンベアの駆動制御により停止する。或いは、貯留コンベア(31)に付設されたストッパーの作動により停止する。
【0036】
仕分け作業では、これから配送すべき全向け先に対する物品(C)の総数量分を作業者が端末装置(80)の表示または仕分けリスト(9)で確認し(図3参照)、上記のピッキングポイント(貯留コンベア(31)の方向変換部)において物品(C)をピッキングし、そして、ピッキングした物品(C)を一旦手押台車(6)に搭載する。また、ピッキングポイントに停止させたパレット(5)上の物品(C)の数が仕分け総数よりも少なく、パレット(5)が空状態になった場合には、端末装置(80)からの移動指示により、空のパレット(5)を貯留コンベア(31)の下流側へ移動させ、同時に、貯留コンベア(31)のパレット導入部で待機させた別のパレット(5)をピッキングポイントである方向変換部に移動させて、上記のピッキング作業を行う。なお、ピッキングを含む仕分け作業の間、管理用コンピュータ(8)の制御により、貯留コンベア(31)には、自動倉庫(1)内の該当するパレット(5)が継続的に自動供給される。
【0037】
必要な数量またはその一部の物品(C)をピッキングした後は、作業者が所持しているバーコードスキャナーを使用し、仕分けリスト(9)の向け先と共に併記された向け先コードを読み取る。これにより、その信号が端末装置(80)から管理用コンピュータ(8)に送信され、管理用コンピュータ(8)の制御により、使用する配送用コンテナ(7)とこれに収容する物品(C)の数量が仕分け棚(32)の表示盤(81)に表示される。すなわち、使用すべき配送用コンテナ(7)が配置された位置に相当する表示盤(81)には、該当コンテナであることを示すランプが点灯し、当該配送用コンテナ(7)に収容される物品(C)の数量が表示される。
【0038】
そこで、作業者は仕分け棚(32)のランプが点灯している表示盤(81)の箇所まで手押台車(6)を移動させ、仕分けリスト(9)と表示盤(81)の数量表示を確認し、指示された数量の物品(C)を配送用コンテナ(7)に収容する。同様にして、各向け先毎に所定の配送用コンテナ(7)に指定数量の物品(C)を収容する。そして、個々の配送用コンテナ(7)への収容作業が終了した際には、仕分け棚(32)の各表示盤(81)に付設された終了ボタンを押し、表示盤(81)のランプを消灯し且つ表示を終了させる。また、斯かる操作と同時に、仕分け終了の情報が管理用コンピュータ(8)に送信される。なお、仕分け作業においては、端末装置(80)に付設されたプリンターで発送状などのリストを印刷し、斯かるリストを配送用コンテナ(7)へ物品(C)と共に収める様にしてもよい。
【0039】
個々の配送用コンテナ(7)に対する仕分けが終了した段階、または、全ての仕分けが終了した段階において、作業者は、所定数量の物品(C)が収容された配送用コンテナ(7)を仕分け棚(32)から送出しコンベア(41)へ送り込む。送り込まれた配送用コンテナ(7)は、送出しコンベア(41)からバース搬送コンベア(4)に搬送され、バース搬送コンベア(4)により積出し用プラットホームまで搬送される。
【0040】
一方、仕分け作業において前述のピッキングが終了した際には、端末装置(80)から再入庫指示情報(ピッキング終了の合図)を入力する。斯かる再入庫指示情報を入力すると、余剰の物品(C)を積載したパレット(5)が自動倉庫(1)に再入庫される。パレット(5)の再入庫においては、上記の再入庫指示情報に基づき、搬送台車(2)が貯留コンベア(31)のパレット排出部に隣接して停止し、貯留コンベア(31)の駆動および搬送台車(2)上面のコンベヤの駆動により、パレット(5)を搬送台車(2)に載せ換える。そして、パレット(5)を搭載した搬送台車(2)が自動倉庫(1)まで移動すると、搬送台車(2)上のパレット(5)が受払いコンベア(12)を通じて自動倉庫(1)に戻される。
【0041】
なお、全ての物品(C)がピッキングされた空状態のパレット(5)は、再入庫する上記のパレット(5)と同様に自動倉庫(1)に一旦戻して自動倉庫(1)の他の出口から排出してもよいし、或いは、搬送台車(2)の経路の途中に設けられたパレット排出ゾーン(図示省略)に排出する様にしてもよい。
【0042】
上記の様に、本発明の仕分けシステムでは、仕分けゾーン(3)が複数設けられ、複数のパレット(5)を搭載可能な貯留コンベア(31)によって各仕分けゾーン(3a),(3b)・・が構成されており、最初に、自動倉庫(1)からパレット単位で出庫した物品(C)をその種類に応じて所定の仕分けゾーン(3a),(3b)・・へ搬送台車(2)によって搬送し、次いで、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・において、貯留コンベア(31)上に一時的に滞留させたパレット(5)から必要数だけ物品(C)をピッキングした後、物品(C)上の余剰の物品をそのまま搬送台車(2)によって自動倉庫(1)へ搬送して再入庫する。
【0043】
すなわち、本発明の仕分けシステムにおいては、装置構成が複雑な高額の自動仕分け装置を使用することなく、装置構成の簡単な貯留コンベア(31)で構成された各仕分けゾーン(3a),(3b)・・を使用し、自動倉庫(1)と各仕分けゾーン(3a),(3b)・・の間の物品(C)の搬送をパレット単位で行う。従って、本発明の仕分けシステムは、比較的狭いスペースに少ない設備費で設置することが出来る。しかも、配置変更や増設が容易であり、物品(C)の種類や向け先の変動に容易に対応することが出来る。また、物品(C)の種類毎に仕分けゾーン(3a),(3b)・・が割り振られており、各仕分けゾーン(3a),(3b)・・においては、供給されたパレット(5)上の物品(C)を管理用コンピュータ(8)の数量指示に従って配送用コンテナ(7)に投入するだけで正確に仕分けることが出来、ピッキングの際に向け先毎の数量を勘案する必要がないため、仕分け時の労力を一層軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る自動倉庫の仕分けシステムの主な機器構成を示す平面図である。
【図2】図1の仕分けシステムにおける仕分けゾーンの構成を示す平面図である。
【図3】図2の仕分けゾーンに配置された仕分け棚の構造および仕分け方法を示す側面図である。
【図4】図2の仕分けゾーンにおける仕分け棚と貯留コンベアの配置および仕分け方法を示す縦断面図である。
【図5】図1の仕分けシステムに備えられた管理用コンピュータの機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 :自動倉庫
10:保管棚
12:受払いコンベア
13:スタッカークレーン
2 :搬送台車
3 :仕分けゾーン
31:貯留コンベア
32:仕分け棚
4 :バース搬送コンベア
41:送出しコンベア
5 :パレット
6 :手押台車
7 :配送用コンテナ
8 :管理用コンピュータ
80:端末装置
81:表示盤
9 :仕分けリスト(向け先別ピッキングリスト)
C :物品(商品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに積載された物品をパレット単位で入出庫可能な自動倉庫において物品を出荷する際に使用される仕分けシステムであって、複数のパレットを搭載可能な貯留コンベアを配置して成り且つ出庫したパレット上の物品をピッキングして仕分け作業を行う複数の仕分けゾーンと、自動倉庫と仕分けゾーンの間の循環経路を移動し且つこれらの間でパレットを受渡しする搬送台車と、各仕分けゾーンに端末装置が配置され且つ自動倉庫の入出庫と共に搬送台車および各仕分けゾーンの貯留コンベアの作動を制御する管理用コンピュータとを備え、当該管理用コンピュータの制御により、仕分け作業開始の際には、端末装置から入力した出庫指示情報に基づき、該当するパレットを自動倉庫から出庫して搬送台車に載せ換え、当該搬送台車を所定の仕分けゾーンへ移動させ、仕分け作業終了の際には、端末装置から入力した再入庫指示情報に基づき、余剰の物品が積載されたパレットを仕分けゾーンから搬送台車に乗せ換え、当該搬送台車を自動倉庫へ移動させる様に構成されていることを特徴とする自動倉庫の仕分けシステム。
【請求項2】
仕分け作業開始の際には、識別コードによって特定される物品の種類に応じて、予め決められた所定の仕分けゾーンへパレットを移動させる様になされている請求項1に記載の仕分けシステム。
【請求項3】
各仕分けゾーンには、貯留コンベアと平行に配置された仕分け棚と、当該仕分け棚に隣接して配置された搬出用の送出しコンベアとが備えられ、仕分け作業の際、貯留コンベアに滞留するパレット上の物品を選択し、仕分け棚に並べられ且つ向け先毎に区別された配送用コンテナに前記の物品を収容し、所要の物品が納められた配送用コンテナを仕分け棚から送出しコンベアへ載せ換える様になされている請求項1又は2に記載の仕分けシステム。
【請求項4】
仕分け棚が、送出しコンベアに配送用コンテナを滑らせて載せ換え可能な高さの作業用棚段と、当該棚段の下方に配置された準備用棚段とを備えている請求項3に記載の仕分けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−126668(P2009−126668A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305518(P2007−305518)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000176763)三菱化学エンジニアリング株式会社 (85)
【Fターム(参考)】