説明

自動倉庫の制御装置

【課題】収納部に収納された荷を荷崩れさせることなく、安定した状態で移載すること。
【解決手段】大荷WLを1つ又は小荷WSを2つ収納する収納部と、フォーク装置23とを備えた自動倉庫の制御装置において、フォーク装置23を構成する上フォーク23aの先端部中央に荷検出センサSEと、フォーク装置23による大荷WL及び小荷WSの移載動作を制御する制御部とが設けられている。収納部のうち小荷WSを収納する小荷収納部15bには、前記小荷WSが収納されない非収納領域Bによって間口に対して奥行き方向に離間された2つの収納領域Aが設定されている。そして、小荷収納部15bの間口側の収納領域Aに収納された小荷WSをフォーク装置23に移載させる場合、荷検出センサSEによって非収納領域Bで荷が検出されたときには、当該移載動作を停止する。一方、荷が検出されなかったときには、当該移載動作を継続するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫では、荷の収納部を複数有する棚と、該棚に沿って走行するフォーク装置(荷移載装置)を有するスタッカクレーンを備え、所望の収納部にスタッカクレーンを走行させることにより、フォーク装置にて荷を収納部へ移載する荷置き作業と、フォーク装置にて荷を収納部からフォーク装置へ移載する荷取り作業が行われている。
【0003】
このような自動倉庫において、移載動作の精度を高めるためにフォーク装置に荷検出器を設けた自動倉庫が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1に記載の自動倉庫によれば、フォーク装置の最上段稼動部に複数の荷検出器を備えるとともに、荷置きしようとする収納部に既に荷が存在するかどうかや、荷置きしようとする荷の大きさを検出して、荷の移載ミスの検出を可能としている。
【0004】
また、特許文献2に記載のフォーク制御装置によれば、荷検出器によって荷の大きさを把握するとともに、該荷の大きさに応じてフォーク装置の動作距離を短くして移載動作の効率化を図っている。
【特許文献1】特開昭62−157102
【特許文献2】特開平9−86609
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記収納部には、その間口から奥行き方向の長さが長い大荷が1つ、又は長さの短い小荷を2つ離間した状態で収納している自動倉庫がある。この自動倉庫に設けられた制御装置には、収納部毎に大荷か小荷のどちらが収納されているか、また小荷がいくつ収納されているかといった在庫データを記憶保持した在庫管理コンピュータが接続されている。制御装置は、在庫管理コンピュータからの入出庫指示にしたがって、当該荷の大きさや位置に対応する場所にフォーク装置を停止させるように制御している。
【0006】
ところが、このような自動倉庫において、自動運転時におけるフォーク装置の停止位置は、在庫管理コンピュータの指示に基づいて決定されている。また、手動運転時においては、操作する者の目視によってフォーク装置の停止位置が決定されている。そのため、在庫管理コンピュータが誤った在庫データに基づいて入出庫指示をした場合や、手動運転時の操作ミスによって、収納部に大荷が収納されているにもかかわらず、収納部の間口に近い位置に収納されている小荷を荷取りする動作を行ってしまう可能性がある。この場合、当該大荷の全体がフォーク装置に移載されていない状態、すなわち不安定な状態でフォーク装置に積載され、フォーク装置の昇降運動やスタッカクレーンの走行動作中に荷崩れする虞があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、収納部に収納された荷を荷崩れさせることなく、安定した状態で移載できる自動倉庫の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、棚板で区画された荷の収納部を複数有し、走行路に沿って走行する移動体に装備した荷移載装置にて荷取り及び荷置きを行う自動倉庫に設けられ、前記収納部に対する前記荷移載装置の移載動作を制御する自動倉庫の制御装置において、前記荷移載装置に設けられ、前記収納部に収納された前記荷を検出する荷検出手段と、前記荷移載装置の荷の移載を制御する制御部と、を備え、前記収納部は、大荷を収納する大荷収納部と、前記大荷より小さい小荷を複数収納する小荷収納部とを有し、前記小荷収納部には、前記小荷が収納されない非収納領域によって間口に対して奥行き方向に離間された複数の収納領域が設定され、前記収納領域には、前記収納領域毎に1つの前記小荷が収納され、前記大荷収納部には、その大荷収納部を前記小荷収納部と仮定した場合に前記小荷収納部に設定される前記収納領域と前記非収納領域を跨ぐようにして前記大荷が収納され、前記制御部は、奥側に他の収納領域が存在する収納領域に収納された前記小荷を前記荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域に対して奥側に隣接する非収納領域において前記荷検出手段が、前記荷を検出したときには移載動作を停止させる一方で、前記荷を検出しなかった場合には移載動作を継続させることを要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、制御部は、収納領域に収納された小荷を荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域に対して奥側に隣接する非収納領域において前記荷検出手段が、荷を検出したときには移載動作を停止するようにした。このため、小荷を移載する指示に対して当該収納部に大荷が収納されている場合、移載動作を停止させることができる。したがって、誤って大荷が荷移載装置に移載されることが防止され、収納部に収納された荷を荷崩れさせることなく、安定した状態で移載できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動倉庫の制御装置において、前記制御部は、前記大荷収納部に収納された前記大荷を前記荷移載装置に移載させる場合、前記小荷収納部に設定される前記非収納領域に対応する位置において前記荷検出手段が、前記荷を検出したときには移載動作を継続させる一方で、前記荷を検出しなかったときには移載動作を停止させることを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、大荷収納部に収納された大荷を荷移載装置に移載させる場合、非収納領域に対応する位置において荷検出手段が荷を検出しなかったときには、移載動作を停止するようにした。このため、誤って小荷が荷移載装置に移載されることを防止できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の自動倉庫の制御装置において、前記制御部は、間口側に他の収納領域が存在する収納領域に収納された前記小荷を前記荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域と間口側に隣接する非収納領域において前記荷検出手段が、前記荷を検出したときには移載動作を停止させる一方で、前記荷を検出しなかったときには移載動作を継続させることを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、間口側に他の収納領域が存在する収納領域に収納された小荷を荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域と間口側に隣接する非収納領域において荷検出手段が荷を検出したときには、移載動作を停止させるようにした。このため、誤って大荷が荷移載装置に移載されることを防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の自動倉庫の制御装置において、前記小荷収納部には前記収納領域が2つ設定されていることを要旨とする。請求項4に記載の発明によれば、収納領域を2つとしため、間口側の収納領域に収納された小荷を荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域と奥側に隣接する非収納領域において荷検出手段が、荷を検出したときには移載動作を停止するようにした。したがって、収納部に収納された荷を荷崩れさせることなく、安定した状態で移載できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、収納部に収納された荷を荷崩れさせることなく、安定した状態で移載できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。なお、本実施形態の自動倉庫に収納される荷Wには、大荷WLと小荷WSがある。ここで大荷WLとは、図2に示すように、荷棚15を略占有する大きさの荷を指し、小荷WSとは、荷棚15の奥行き方向の長さが大荷WLより小さく形成されている荷を指す(本実施形態では、奥行き方向の長さが大荷WLの半分より僅かに小さく形成されている)。また以下の説明で、荷Wは大荷WL及び小荷WSの両方を指すものとする。
【0017】
図1に示すように、自動倉庫11は通路を挟んで左右両側に一対の棚12a,12bが並設されている。なお、図1では片側の棚12bを省略して図示しており、棚12bは棚12aと同一構成とされている。各棚12a,12bは、通路の長手方向(連方向)に沿って配設された複数本の支柱13と、隣り合う支柱13で対をなすよう通路の高さ方向(段方向)に沿って配設された複数の棚板14とから構成されている。棚板14は、図2に示すように、対をなす支柱13の間を水平に連結固定する連結材14aと、連結材14aの両端部側面から水平方向に突設された4本の支持材14bと、支持材14bによって支持される腕木14cとから枠組み形成されている。そして、図1に示すように、各棚12a,12bには、支柱13と棚板14の枠組みにより収納部としての荷棚15が連方向及び段方向にそれぞれ複数ずつ区画形成されている。棚12aの荷棚15と棚12bの荷棚15は、それぞれ対向して配置されている。
【0018】
通路の底面には、当該通路の長手方向(連方向)に沿って走行路としての走行レール16が敷設されている。走行レール16は、一直線に延設されている。そして、走行レール16上を、移動体としてのスタッカクレーン17が走行可能に配置されている。スタッカクレーン17は、予め定めたホームポジションとオポジットポジションとの間を走行するように配置され、両ポジション間を往復動作可能とされている。
【0019】
スタッカクレーン17は、走行レール16上を走行可能な前後一対の図示しない走行輪を有する走行台18と、当該走行台18上に立設された一対のマスト19と、一対のマスト19の間に上下動可能に配設された昇降キャリッジ20とを備えている。昇降キャリッジ20上には、荷棚15に対して荷Wを出し入れするための荷移載装置としてのフォーク装置23が設けられている。そして、昇降キャリッジ20は、図示しないワイヤを介してマスト19間に吊り下げられている。
【0020】
本実施形態のフォーク装置23は、図3に示すように、荷棚15に対する荷Wの移載動作を可能に形成されている。フォーク装置23は、高い伸縮率を確保すべく、上フォーク23a、中間フォーク23b、下フォーク23cからなる三段式とされている。フォーク装置23の下フォーク23cは、昇降キャリッジ20の底壁22に固定されているとともに、中間フォーク23bは下フォーク23cに対してスライド(摺動)可能に支持され、さらに上フォーク23aは中間フォーク23bに対してスライド(摺動)可能に支持されている。そして、フォーク23a,23bは、昇降キャリッジ20に設けられたフォーク用モータM3を駆動源とし、当該フォーク用モータM3(図4参照)の動作によって伸縮動作する。上フォーク23aの先端部中央には、荷を検出する荷検出手段としての荷センサSEが設けられている。荷センサSEは反射式の光センサを使用している。
【0021】
また、走行台18には、図1に示すように、走行用モータM1と昇降用モータM2が設けられている。走行用モータM1と昇降用モータM2には、例えばサーボモータが使用されている。図示しない走行輪は、走行用モータM1により回転駆動される。そして、スタッカクレーン17は、走行輪が走行レール16上を転動することにより当該走行レール16に沿って走行する。また、昇降キャリッジ20は、図示しない巻上げ装置が昇降用モータM2により駆動されることで、前記巻き上げ装置にて昇降キャリッジ20を吊り下げるためのワイヤが巻き上げ及び繰り出しされることによって昇降する。
【0022】
図2に示すように、各荷棚15には、荷棚15を挟んで対向する一対の棚板14を掛け渡すように、大荷WL及び小荷WSが収納されるとともに、荷Wの下面は開放されてフォーク装置23による移載動作ができるように構成されている。荷棚15は、大荷WLを1つ収納する大荷収納部15aとして、又は小荷WSを複数(本実施形態では、2つ)収納する小荷収納部15bとして使用される。
【0023】
小荷収納部15bには、小荷WSを1つ収納する複数の収納領域A(本実施形態では、2つ)が、小荷WSを収納しない非収納領域Bによって、間口に対して奥行き方向に離間されるように設定されている。大荷収納部15aには、小荷収納部15bに設定される収納領域A及び非収納領域Bに対応する部分全て(本実施形態では、2つの収納領域Aと1つの非収納領域Bとに対応する部分)に跨るように大荷WLが収納される。また、小荷収納部15bには、2つの収納領域Aの両方に小荷WSが1つずつ収納される場合と、間口に対して奥側の収納領域Aにのみ小荷WSが収納される場合とがある。
【0024】
また、図1に示すように、スタッカクレーン17には、マスト19の下部と対応する位置にクレーンコントローラ21が配設されている。クレーンコントローラ21は、運行制御コントローラ25からの指令(指示)信号に基づいて走行用モータM1や昇降用モータM2などを制御するようになっている。また、運行制御コントローラ25には、図1及び図4に示すように、各種データを自動倉庫11のオペレータの操作により入力するキーボードKYと、各種情報を表示するディスプレイDSが設けられている。
【0025】
図1及び図4に示すように、スタッカクレーン17及び運行制御コントローラ25は、クレーンコントローラ21と運行制御コントローラ25との間で無線により信号の授受を行う送受信装置24a,24bを備えている。運行制御コントローラ25には、荷棚15毎に大荷WLか小荷WSのどちらが収納されているか、また小荷WSがいくつ収納されているか、といった在庫データを記憶保持する図示しない在庫管理コンピュータが接続されている。在庫管理コンピュータは、例えば自動倉庫11が設置された工場内の管理室に設けられている。そして、在庫管理コンピュータは、在庫データに基づいた入出庫指令(指示)を運行制御コントローラ25に送信し、当該指令を受信した運行制御コントローラ25はクレーンコントローラ21に入庫先の荷棚15あるいは出庫元の荷棚15の位置を指令する。
【0026】
入出庫作業には、荷棚15と荷受台27との間における荷Wを搬出(出庫)して入庫先(出庫元)の荷棚15へ荷Wを搬入(入庫)する作業もある。荷受台27は、自動倉庫11に入庫する荷Wや自動倉庫11から出庫する荷Wを載置する入出庫部として機能し、自動倉庫11の最外連よりも外側に設置される場合や、棚12aや棚12bの中に設置される場合がある。そして、クレーンコントローラ21は、運行制御コントローラ25の指令に基づいて、入庫作業又は出庫作業を行うように、スタッカクレーン17の走行用モータM1や昇降用モータM2を制御する。クレーンコントローラ21は、コンピュータ及びメモリを備え、当該メモリに記憶された各種制御プログラムに従って、各種の制御を実行する。
【0027】
本実施形態の自動倉庫11には、自動運転モードと手動運転モードが用意されている。手動運転モードにおいて、オペレータは運行制御コントローラ25のキーボードKYを操作してクレーンコントローラ21に指令し、走行用モータM1、昇降用モータM2、フォーク用モータM3の駆動等をさせることができる。すなわち、オペレータはキーボードKYを操作して、自動倉庫11に備えられたスタッカクレーン17、昇降キャリッジ20、フォーク装置23を直接操作して、移載作業をすることができる。
【0028】
一方、自動運転モードにおいて、運行制御コントローラ25やクレーンコントローラ21などは、在庫管理コンピュータの入出庫指令を受信して、オペレータのキーボードKYの操作なしに荷Wの移載動作を行う。
【0029】
次に、本実施形態の自動倉庫11の電気的構成を図4に従って説明する。
クレーンコントローラ21は、中央演算装置である制御部としてのCPU(CENTRAL PROCESSING UNIT )21aとメモリ21bを備えている。メモリ21bは、読み出し専用メモリ(ROM:READ ONLY MEMORY)であるプログラムメモリと、読み出し及び書き換え可能なメモリ(RAM:RANDOM ACCESS MEMORY)である作業用メモリからなる。プログラムメモリには、スタッカクレーン17の走行及び昇降キャリッジ20の昇降を制御するための各種制御用プログラムが記憶されている。作業用メモリには、各種演算処理結果や、運行制御コントローラ25からの各種制御データなどが一時記憶される。また、クレーンコントローラ21には、走行用モータM1と、昇降用モータM2と、フォーク用モータM3及び、荷センサSEが接続されている。荷センサSEは、荷を検出するための検出手段であり、その検出結果を荷検出信号としてクレーンコントローラ21に出力する。本実施形態では、図4において二点鎖線で示すように、運行制御コントローラ25と、送受信装置24a,24bと、クレーンコントローラ21と、荷センサSEとから自動倉庫11の制御装置が構成されている。
【0030】
そして、自動倉庫11においては、荷取り及び荷置きをする場合に、小荷収納部15bの収納領域Aに対してフォーク装置23を位置決めする位置として移載の間口側停止位置と、移載の奥側停止位置とが予め定められている。これらの間口側停止位置と奥側停止位置に係る情報は、自動倉庫11の設計時に求められ、クレーンコントローラ21のメモリ21bに予め記憶されている。
【0031】
荷取り時の間口側停止位置は、図6(a)に示すように、小荷収納部15bの間口側の収納領域Aのみがフォーク装置23の上方に配置される状態まで、フォーク装置23を荷棚15の下に差し込んだ位置となる。なお、フォーク装置23が間口側停止位置に停止したとき、フォーク装置23の先端部中央に設けられた荷センサSEは、非収納領域Bの直下に位置する。
【0032】
一方、荷取り時の奥側停止位置は、図6(b)に示すように、小荷収納部15bの2つの収納領域Aの両方がフォーク装置23の上方に配置される状態まで、フォーク装置23を荷棚15の下に差し込んだ位置となる。また、奥側停止位置は大荷収納部15aから大荷を荷取りする際のフォーク装置23の停止位置と同位置である。
【0033】
以下、本実施形態の自動倉庫11において、自動運転モードで小荷収納部15bの間口側の収納領域Aに収納された小荷WSを荷取りする場合の制御手順について図2、図5〜図7にしたがって説明する。
【0034】
図2、図6(a)に示すように、小荷収納部15bにおいて、2つの収納領域Aに1つずつ小荷WSが収納されている。クレーンコントローラ21のCPU21aは、在庫管理コンピュータからの出庫指令を受信した運行制御コントローラ25から、出庫元の荷棚15(小荷収納部15b)及び収納領域Aを示す位置指令を入力すると、指令された荷棚15にフォーク装置23を移動させるべくスタッカクレーン17を走行動作させるとともに、昇降キャリッジ20を昇降動作させる(ステップS11)。これにより、フォーク装置23は、荷取りの対象となる荷棚15に位置決めされる(ステップS12)。
【0035】
CPU21aはフォーク用モータM3を制御してフォーク装置23を伸長させ(ステップS13)、間口側停止位置に停止させる(ステップS14)。そして、ステップS15において、CPU21aは荷センサSEの荷検出信号が荷Wの検出を示す状態(ON状態)であるか否かを判定する。図6(a)で示す状態では、荷センサSEは小荷WSが収納された2つの収納領域A間の非収納領域Bの真下に位置し、荷センサSEは荷Wを検出しない状態(OFF状態)となる。この場合、CPU21aはステップS15を否定と判定してステップS16に移行し、フォーク装置23への移載動作を継続させる。CPU21aは、昇降用モータM2を作動させてフォーク装置23を上に移動させ、小荷WSをフォーク装置23の上に積載する。CPU21aはフォーク用モータM3を作動させ、昇降キャリッジ20の底壁22上に小荷WSを移動させる。その後、CPU21aは、フォーク装置23を荷受台27に向けて移動させるように、スタッカクレーン17を走行動作させるとともに昇降キャリッジ20を下降動作させ、荷受台27に小荷WSを降ろす。
【0036】
一方、図6(a)の二点鎖線で示すように、当該荷棚15に大荷WLが収納されている場合には、荷センサSEは荷Wの検出を示す状態(ON状態)となる。この場合、CPU21aはステップS15を肯定と判定してステップS17に移行し、フォーク装置23による移載動作(荷取り動作)を停止するとともに、運行制御コントローラ25に対して移載異常信号を出力する。そして、ステップS18において、異常停止信号を入力した運行制御コントローラ25は、ディスプレイDSに収納状態の異常を表示して、当該小荷収納部15bの収納状態の異常をオペレータに報知する。
【0037】
小荷収納部15bである荷棚15に大荷WLが収納されているにもかかわらず、間口側停止位置に停止したフォーク装置23をそのまま上に移動させてしまうと、図7に示すように、大荷WLの略半分がフォーク装置23に積載されていない状態となる。このような状態では、フォーク装置23の伸縮動作やスタッカクレーン17の走行動作などによる振動で、図7において二点鎖線で示すように、フォーク装置23から大荷WLが荷崩れして落下してしまう虞がある。
【0038】
次に、大荷収納部15aに収納された大荷WLを荷取りする場合について説明する。
クレーンコントローラ21のCPU21aは、運行制御コントローラ25から出庫元の荷棚15(大荷収納部15a)を示す位置指令を入力すると、指令された荷棚15にフォーク装置23を移動させるべくスタッカクレーン17を走行動作させるとともに昇降キャリッジ20を昇降動作させる。そしてCPU21aは、図6(b)に示すように、フォーク用モータM3を制御してフォーク装置23を伸長させ、奥側停止位置に停止させる。そして、CPU21aは、昇降用モータM2を作動させてフォーク装置23を上に移動させて、大荷WLをフォーク装置23の上に積載する。以降の動作については、小荷収納部15bの間口側の収納領域Aに収納された小荷WSについて荷取り作業を行う場合と同様である。
【0039】
また、図6(b)において二点鎖線で示すように、小荷収納部15bの2つの収納領域Aに収納された小荷WSを同時に荷取りする場合も、フォーク装置23によって2つの小荷WSが同時に移載される点を除いて、大荷WLを荷取りする場合と同様の制御が行われる。
【0040】
続いて、手動運転モードで小荷収納部15bの間口側の収納領域Aに収納された小荷WSの荷取りを行う場合について説明する。手動運転モードにおいて、オペレータはキーボードKYを操作して、目的の小荷WSが収納された荷棚15にフォーク装置を移動させるとともに、所望の位置にフォーク装置23を停止させる。このとき、フォーク装置23が停止したことを契機としてCPU21aは荷センサSEの荷検出信号が荷Wの検出を示す状態(ON状態)であるか否かを判定する。判定結果が否定である場合は、オペレータがフォーク装置23を上に移動させるキーボードKY操作をしたとき、これを有効として、フォーク装置23を上に移動させる。一方、当該判定結果が肯定である場合、CPU21aは、オペレータがフォーク装置23を上に移動させるキーボードKY操作をしたとき、これを無効として、運行制御コントローラ25に対して移載異常信号を出力する。そして、運行制御コントローラはディスプレイDSに移載異常であることを表示して、フォーク装置23の停止位置の修正、あるいは当該小荷収納部15bの収納状態の確認を促す。
【0041】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、自動運転モードにおいて、小荷収納部15bの間口側の収納領域Aに収納された小荷WSを荷取りする際、非収納領域B(間口側停止位置)で荷Wを検出した場合には、当該移載動作を停止するようにした。このため、小荷WSを移載する指令に対して当該荷棚15に大荷WLが収納されている場合、移載動作を停止させることができる。したがって、小荷WSを移載する指令をしたにもかかわらず誤って大荷WLがフォーク装置23に移載されることが抑制され、不安定な状態でフォーク装置23に積載されることによる荷崩れを防止できる。
【0042】
(2)また、移載動作を停止させることで、オペレータに対して、実際に収納された荷Wが大荷WLであるか小荷WSであるかを確認して、在庫管理コンピュータに記録された在庫データを修正するように促すことができる。
【0043】
(3)移載動作を停止するとともに、運行制御コントローラ25に設けられたディスプレイDSに収納状態の異常を表示してオペレータに報知するようにした。このため、オペレータは移載状態の異常を容易に認識して、速やかに対応することができる。
【0044】
(4)手動運転モードにおいて、フォーク装置23を停止させた場所で荷Wが検出された場合には、フォーク装置23を上に移動させるキーボードKYの操作を無効とするようにした。これにより、オペレータの荷Wの種類の認識間違いによって、大荷WLを不安定な状態でフォーク装置23に積載してしまうことを防止できる。また、オペレータの操作ミスや目視による位置の認識間違いによって、停止位置が小荷WSに対してずれたままフォーク装置23を上に移動させ、小荷WSを不安定な状態でフォーク装置23に積載してしまうことを防止できる。したがって、荷崩れを防止できる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 大荷収納部15aに収納された大荷WLを荷取りする場合に、小荷収納部15bに設定される非収納領域Bに対応する部分で荷の検出を行ってもよい。
【0046】
大荷収納部15aに収納された大荷WLを荷取りする場合に、CPU21aはフォーク用モータM3を制御して、まず間口側停止位置にフォーク装置23を停止させる。そして、CPU21aは荷センサSEの荷検出信号が荷Wの検出を示す状態(ON状態)であるか否かを判定する。当該判定が肯定である場合、CPU21aは移載動作を継続させる。CPU21aは、フォーク用モータM3を制御してさらにフォーク装置23を伸長させ奥側停止位置に停止させる。その後、CPU21aは昇降用モータM2を制御してフォーク装置23を上に移動させて、大荷WLをフォーク装置23に積載する。一方、判定が否定である場合、荷棚15に小荷WSが収納されている虞があるため、CPU21aは移載動作を停止するとともに、運行制御コントローラ25に異常停止信号を出力する。このように構成することで、大荷WLを移載する指令に対して小荷WSが誤ってフォーク装置23に移載され、そのまま小荷WSが出庫されてしまうことを防止できる。また、オペレータに対して、実際に収納された荷Wが大荷WLであるか小荷WSであるかを目視により確認して、在庫管理コンピュータに記録された在庫データを修正するように促すことができる。
【0047】
○ 小荷収納部15bの奥側の収納領域Aに収納された小荷WSを荷取りする場合に、非収納領域Bで荷の検出を行ってもよい。小荷収納部15bの奥側の収納領域Aに収納された小荷WSを荷取りする場合に、CPU21aはフォーク用モータM3を制御して、まず間口側停止位置にフォーク装置23を停止させる。そして、CPU21aは荷センサSEの荷検出信号が荷Wの検出を示す状態(ON状態)であるか否かを判定する。当該判定が否定である場合、CPU21aは移載動作を継続させる。CPU21aは、フォーク用モータM3を制御して、さらにフォーク装置23を伸長させて奥側停止位置に停止させる。その後、CPU21aは昇降用モータM2を制御してフォーク装置23を上に移動させて、小荷WSをフォーク装置23に積載する。一方、判定が肯定である場合、荷棚15には大荷WLが収納されている虞があるため、移載動作を停止するとともに、運行制御コントローラ25に異常停止信号を出力する。このように構成することで、小荷WSを移載する指令に対して、大荷WLが誤って荷移載装置に移載され、そのまま出庫されてしまうことを防止できる。また、オペレータに対して、実際に収納された荷Wが大荷WLであるか小荷WSであるかを目視により確認して、在庫管理コンピュータに記録された在庫データの修正をするように促すことができる。
【0048】
○ 本実施形態では、小荷収納部15bに収納する小荷WSは2つとしたが、小荷WSの数は3つ以上としてもよい。この場合、小荷収納部15bに収納する小荷WSの数に応じた数の収納領域Aを設定する。ただし、収納領域Aは、非収納領域Bによって間口に対して奥行き方向へ相互に離間されるように設定する。
【0049】
○ 荷センサSEによる荷Wの検出は、間口側停止位置にフォーク装置23が到達してから実行してもよいし、移載動作中も連続して行ってもよい。この場合、非収納領域Bにおける荷センサSEの荷検出信号の状態のみに基づいてCPU21aに判定させる。
【0050】
○ 本実施形態では、フォーク装置23のフォークは1本としたが、フォークを2本以上備えた構成としてもよい。
○ 本実施形態では、荷移載装置としてフォーク装置23を設けた自動倉庫11に具体化したが、荷移載装置の構造としては、荷Wを2本のフォークによって挟み込むことにより荷取り及び荷置きを行う構造であってもよい。この場合、荷センサSEはフォークの先端部内側に設けてもよい。
【0051】
○ 荷センサSEは、上フォーク23aの先端部中央に設けることに限られない。例えば、上フォーク23aの先端角部に設けてもよい。すなわち、非収納領域Bで荷Wの検出を行える位置であればよい。
【0052】
○ ディスプレイDSによって収納状態の異常を報知するだけでなく、スピーカ及び音声制御装置を設けて音声による報知を行ってもよい。このように構成することで、オペレータが運行制御コントローラ25付近に居ない場合でも、容易に異常を認識させることができる。
【0053】
○ 小荷収納部15bには、大きさの異なる複数の小荷WSを収納してもよい。この場合、収納領域Aは、収納しようとする小荷WSの大きさに応じて設定してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0054】
(a)前記移載動作の停止を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の自動倉庫の制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】自動倉庫の概略を示す斜視図。
【図2】大荷と小荷の収納状態を示す荷棚の模式平面図。
【図3】フォーク装置の模式側面図。
【図4】自動倉庫の電気的構成を示すブロック図。
【図5】荷取り時における移載動作の制御手順を示すフローチャート。
【図6】(a)は小荷の荷取り時における移載動作を示す模式図、(b)は大荷の荷取り時における移載動作を示す模式図。
【図7】小荷を荷取りする移載動作で大荷を荷取りした状態を示す模式図。
【符号の説明】
【0056】
11…自動倉庫、14…棚板、15…収納部としての荷棚、15a…大荷収納部、15b…小荷収納部、16…走行路としての走行レール、17…移動体としてのスタッカクレーン、21a…制御部としてのCPU、23…荷移載装置としてのフォーク装置、A…収納領域、B…非収納領域、SE…荷検出手段としての荷センサ、W…荷、WL…大荷、WS…小荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板で区画された荷の収納部を複数有し、走行路に沿って走行する移動体に装備した荷移載装置にて荷取り及び荷置きを行う自動倉庫に設けられ、前記収納部に対する前記荷移載装置の移載動作を制御する自動倉庫の制御装置において、
前記荷移載装置に設けられ、前記収納部に収納された前記荷を検出する荷検出手段と、
前記荷移載装置の荷の移載を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、大荷を収納する大荷収納部と、前記大荷より小さい小荷を複数収納する小荷収納部とを有し、
前記小荷収納部には、前記小荷が収納されない非収納領域によって間口に対して奥行き方向に離間された複数の収納領域が設定され、
前記収納領域には、前記収納領域毎に1つの前記小荷が収納され、
前記大荷収納部には、その大荷収納部を前記小荷収納部と仮定した場合に前記小荷収納部に設定される前記収納領域と前記非収納領域を跨ぐようにして前記大荷が収納され、
前記制御部は、奥側に他の収納領域が存在する収納領域に収納された前記小荷を前記荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域に対して奥側に隣接する非収納領域において前記荷検出手段が、前記荷を検出したときには移載動作を停止させる一方で、前記荷を検出しなかった場合には移載動作を継続させることを特徴とする自動倉庫の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記大荷収納部に収納された前記大荷を前記荷移載装置に移載させる場合、前記小荷収納部に設定される前記非収納領域に対応する位置において前記荷検出手段が、前記荷を検出したときには移載動作を継続させる一方で、前記荷を検出しなかったときには移載動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、間口側に他の収納領域が存在する収納領域に収納された前記小荷を前記荷移載装置に移載させる場合、移載を指示した小荷の収納領域と間口側に隣接する非収納領域において前記荷検出手段が、前記荷を検出したときには移載動作を停止させる一方で、前記荷を検出しなかったときには移載動作を継続させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動倉庫の制御装置。
【請求項4】
前記小荷収納部には前記収納領域が2つ設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の自動倉庫の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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