説明

自動倉庫の物品格納方法

【課題】 デッドスペースの発生を防止して棚の利用効率を向上させる。
【解決手段】 複数段の棚板2を物品Wの搬送路1に沿って設け、搬送路1を移動及び昇降して物品Wを棚板2の所定位置に格納する移載装置5を設けた自動倉庫において、1段の棚板2に幅が異なる複数の物品Wを格納する方法であって、物品Wを幅別にグループ分けし、棚板2を複数の格納スペース2bに区画し、区画した格納スペース2bを特定グループの所定個数の物品Wの格納用に割り当て、同一グループの物品Wは同じ格納スペース2bのみに格納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板に幅が異なる複数の物品を格納する自動倉庫の物品格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棚板に幅が異なる複数の物品を格納する技術が特許文献1〜4に開示されている。特許文献1の技術は、棚板に物品の格納位置を幅別に設定し、物品の幅に応じて選択した格納位置に移載装置を停止させて格納する技術である。特許文献2の技術は、棚板に物品の最小幅より狭い間隔毎の基準点を設定し、物品の占有スペースを物品の幅を超える整数倍の基準点間距離とする技術である。特許文献3の技術は、棚板の格納可能な幅を認識して格納すべき物品を割り当てる技術である。特許文献4の技術は、棚板の2本の柱間を複数の間口単位に分割し、格納された様々な幅の物品で占められる間口単位の個数及び位置に基づいて格納すべき物品を割り当てる技術である。
【0003】
ところで、これらの技術はいずれも幅が異なる複数の物品を1個単位で混在させて格納するものであるから、物品を取り出した後の空いた格納スペースには取り出した物品と同等あるいはそれ以下の幅の物品しか格納できない。それ以下の幅の物品を格納した場合はデッドスペース(余分な隙間)が発生し、入出庫を繰り返すとデッドスペースが徐々に増加して棚の利用効率が低下してしまう問題があった。
【特許文献1】特公昭56−12568号公報
【特許文献2】特開平2−48314号公報
【特許文献3】特開平7−309406号公報
【特許文献4】特開平8−113328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、デッドスペースの発生を防止して棚の利用効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 複数段の棚板を物品の搬送路に沿って設け、搬送路を移動及び昇降して物品を棚板の所定位置に格納する移載装置を設けた自動倉庫において、1段の棚板に幅が異なる複数の物品を格納する方法であって、物品を幅別にグループ分けし、棚板を複数の格納スペースに区画し、区画した格納スペースを特定グループの所定個数の物品格納用に割り当て、同一グループの物品は同じ格納スペースのみに格納するようにしたことを特徴とする、自動倉庫の物品格納方法
2) 空きの格納スペースを同格納スペースに格納する最初の物品の入庫時点でその物品のグループ用に割り当てるようにした、前記1)記載の自動倉庫の物品格納方法
3) 格納スペースを複数の小スペースに分割して小スペース単位で物品を格納するようにし、格納スペースに主座標を設定し、分割した小スペースに副座標を設定し、移載装置の格納位置までの移動量は、原点位置から目的とする主座標までの走行距離値に、小スペースの分割ピッチを目的とする副座標の数値に乗算した値を加算して求めるようにした、前記1)又は2)記載の自動倉庫の物品格納方法
4) 棚板が複数の柱で支持されたものであって、柱間の間口を通じて格納できる領域を1つの格納スペースとして区画し、上流側の柱の位置をその格納スペースの主座標とした、前記3)記載の自動倉庫の物品格納方法
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、物品を取り出して格納スペースに空きが生じても、その空いたスペースには取り出した物品と同一グループ(同じ幅)の物品のみを格納するようにしているから、空いたスペースにその後同一グループの物品を格納してもスペースの過不足なく納まってデッドスペースは一切発生することがなく、従来技術と比較して棚全体の利用効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の格納スペースの割り当ては、空きの格納スペースを同格納スペースに格納する最初の物品の入庫時点でその物品のグループ用に割り当てる方法と、全ての格納スペースを入庫前から予め特定グループ用に固定的に割り当てておく方法がある。前者の方法は、入庫する物品のグループ別の個数が状況に応じて変化する場合に適し、後者の方法は、入庫する物品のグループ別の個数が予め決められている場合に適する。移載装置の格納位置までの移動量は、格納スペースの上流側の端点(柱又はその近傍)を主座標に設定して算出するのが一般的であるが、主座標を間口の1/2や1/3の位置に設定する場合は、その設定位置から前記端点までの距離値を除算して求める。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜4に示す実施例は、空きの格納スペースを物品の入庫時点でそのグループ用に割り当てるようにした例である。図1は実施例の棚板の平面図、図2は実施例の棚板の正面図、図3は実施例の管理コンピュータのデータベースの説明図、図4は実施例のフローチャートである。図中、1は搬送路、2は棚板、2aは間口、2bは格納スペース、2cは小スペース、3は柱、4は軌道、5は移載装置、6は管理コンピュータ、Wは物品である。
【0009】
本実施例では、1段の棚板2は、4本の柱3で囲まれる1つの領域を1グループ用の格納スペース2bとして搬送路1に沿って複数に区画している。取り扱う物品WはSS,S,M,L,LLの5種類の幅サイズにグループ分けしている。格納スペース2bの特定グループ用への割り当ては物品Wの入庫時点で成され、割り当てと同時にその格納スペース2bを格納可能な最大個数に応じた数の小スペース2cに搬送路1に沿って分割される。1つの格納スペース2bに1個の物品Wしか格納できない幅サイズでは小スペース2cを設定しない。
【0010】
格納スペース2bの上流側の柱3の位置はそのグループの格納スペース2bの位置を示す主座標に設定し、分割した小スペース2cを副座標に設定している。副座標のピッチは、SSサイズの物品Wは間口2aの1/6、Sサイズの物品Wは間口2aの1/5、Mサイズの物品Wは間口2aの1/4、Lサイズの物品Wは間口2aの1/3、LLサイズの物品Wは間口2aの1/2としている。ピッチには物品W間に必要な間隔も含めている。
【0011】
管理コンピュータ6は、棚板2の物品Wの格納状態を管理するデータベースと、格納スペース2bの割り当て処理及び移載装置5の移動・昇降・移載を制御するプログラムとを備えている。データベースは、図3に示すように棚板2の列(A列、B列・・・)と、棚板2の連(上流側から1連、2連・・・)と、棚板2の段数(下方から1段、2段・・・)と、小スペース2cの副座標(上流側から1、2、3・・・)と、グループ(SS、S、M・・・)とで1つの格納スペース2bを表すように構成されている。
【0012】
プログラムは、入庫した物品Wのグループを識別する処理と、グループ識別後に格納スペース2bが割り当て済みかデータベースを検索する処理と、未割当ての場合に小スペース2cが全空の格納スペース2bを割り当ててデータベースに記録する処理と、割り当て後又は割り当て済みの場合にその格納スペース2bの空きの小スペース2cに物品Wを搬送して移載するように移載装置5を制御してデータベースを更新する処理と、1つの格納スペース2bの全ての小スペース2cが全空になると割り当て情報をデータベースから削除する処理と、移載装置5の移動量を求める処理とで構成されている。
【0013】
移載装置5の格納位置までの移動量は、入庫した物品Wの搬送を開始する原点位置から目的とする格納スペース2bの主座標までの走行距離値に、小スペース2cの分割ピッチに目的とする副座標の数値を乗算した値を加算して求めるようにしている。
【0014】
本実施例の物品Wの格納手順を図4のフローチャートに基づいて説明する。
1)物品Wが自動倉庫に入庫すると、管理コンピュータ6はその幅サイズをセンサー等で検知してグループを識別する。
2)入庫した物品W用の格納スペース2bが割り当てられているかデータベースを検索する。
3)未割当ての場合は、小スペース2cが全空の格納スペース2bがないかデータベースを検索し、検索された全空の格納スペース2bをその物品Wのグループ用に割り当て、データベースに割り当て情報を記録する。
4)割り当て済みの場合又は前記3)の割り当て後に、その格納スペース2bに空きの小スペース2cがないかデータベースを検索し、検索された空きの小スペース2cに移載装置5を移動させて物品Wを格納し、データベースの格納情報を更新する。
5)ある1つの格納スペース2bから物品Wを全て出庫して小スペース2cが全空になると、その格納スペース2bの割り当て情報をデータベースから削除して次の割り当て用に空けておく。
【0015】
物品Wは格納と取り出しが繰り返され、格納スペース2bの所々に空きが生じる。しかし、空いた小スペース2cには他のグループの物品Wを格納せずに割り当てられているグループの物品Wのみを格納するようにしているから、空きが生じた後に同じグループの物品Wが次に搬送されてくるまではその小スペース2cは空き状態が続くものの、入庫されてきたらスペースの過不足なく格納でき、デッドスペースは一切発生しない。このように、本実施例によれば入出庫を如何に繰り返しても従来技術のようなデッドスペースは一切発生しないから、棚全体としての利用効率が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の自動倉庫の物品格納方法は、幅サイズが数種類に規格化されている段ボール箱等の定形の物品の格納に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の棚板の平面図である。
【図2】実施例の棚板の正面図である。
【図3】実施例の管理コンピュータのデータベースの説明図である。
【図4】実施例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
1 搬送路
2 棚板
2a 間口
2b 格納スペース
2c 小スペース
3 柱
4 軌道
5 移載装置
6 管理コンピュータ
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の棚板を物品の搬送路に沿って設け、搬送路を移動及び昇降して物品を棚板の所定位置に格納する移載装置を設けた自動倉庫において、1段の棚板に幅が異なる複数の物品を格納する方法であって、物品を幅別にグループ分けし、棚板を複数の格納スペースに区画し、区画した格納スペースを特定グループの所定個数の物品格納用に割り当て、同一グループの物品は同じ格納スペースのみに格納するようにしたことを特徴とする、自動倉庫の物品格納方法。
【請求項2】
空きの格納スペースを同格納スペースに格納する最初の物品の入庫時点でその物品のグループ用に割り当てるようにした、請求項1記載の自動倉庫の物品格納方法。
【請求項3】
格納スペースを複数の小スペースに分割して小スペース単位で物品を格納するようにし、格納スペースに主座標を設定し、分割した小スペースに副座標を設定し、移載装置の格納位置までの移動量は、原点位置から目的とする主座標までの走行距離値に、小スペースの分割ピッチを目的とする副座標の数値に乗算した値を加算して求めるようにした、請求項1又は2記載の自動倉庫の物品格納方法。
【請求項4】
棚板が複数の柱で支持されたものであって、柱間の間口を通じて格納できる領域を1つの格納スペースとして区画し、上流側の柱の位置をその格納スペースの主座標とした、請求項3記載の自動倉庫の物品格納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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