説明

自動写真作成装置及び自動写真作成方法

【課題】 自動写真作成装置の全体の遊戯時間を増大させなくても、利用者が所有する画像データを携帯端末に取り込めるようにして、顧客の回転率を適正に維持しつつ、利用者の娯楽性を向上する。
【解決手段】 利用者U1を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段12A,12Bと、撮影画像を利用者U1に提示するための表示手段16,17と、撮影画像に付加画像を付加して編集画像を作成するための編集手段32,33,35と、撮影画像又は前記編集画像を印刷するための印刷手段4とを備えた自動写真作成装置において、編集手段32,33,35での編集工程の開始から印刷手段4での印刷工程の終了までの間に、利用者U2が有する携帯端末30に撮影画像又は編集画像の画像データを転送するデータ転送手段34,35を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者を含む被写体の撮影画像やこの画像を含む編集画像を、印刷媒体への印刷だけでなく、携帯端末への転送によっても出力することができる自動写真作成装置及び自動写真作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、利用者を含む被写体をカメラで撮影し、その撮影画像を印刷写真として出力する遊戯用の自動写真作成装置がゲームセンターその他の遊戯施設に設置されている。
このような自動写真作成装置は、利用者の遊戯性ないし娯楽性が高いことから、利用者の嗜好に応じて、予め用意された撮影条件の設定作業(例えば、全身、半身又は顔アップ撮影等のズーム選択、背景画像や前景画像の選択等)や、撮影画像に合成すべき描画や文字(以下、「付加画像」という。)を取捨選択して当該撮影画像に合成することで編集画像を作成する編集作業(例えば、タッチペンその他のペン型入力部材を用いた落書き等)を行うことができるように構成されたものが多い。
【0003】
上記遊戯用の自動写真作成装置は、通常、撮影手段としてのカメラ、入力及び表示手段としてのタッチパネル式のディスプレイ、及び、印刷手段としてのプリンタがすべて一つの撮影用ブース内に搭載された構造になっており、カメラで撮影した撮影画像やその撮影画像に付加画像を合成した編集画像をプリンタにより印刷媒体に印刷して、印刷写真として出力するようになっている(特許文献1参照)。
一方、昨今の携帯電話機の進化は目覚ましく、電子メールの送受信機能はもとより、デジタル写真の撮影機能やその画像データの記憶機能及びテレビ受像機能等の、本来の通話以外の多様な機能を有する携帯電話機が既に一般的になっている。このため、自動写真作成装置で得た撮影画像や編集画像を単に印刷するだけでなく、画像記憶機能を有する携帯電話機に画像データとして取り込みたいという要望が強い。
【0004】
しかし、通常の自動写真作成装置では、その装置で得られた撮影画像や編集画像の出力手段がプリンタだけであるため、利用者が画像データの記憶機能を有する携帯電話機を携帯していても、上記撮影画像や編集画像の携帯電話機への取り込みを行うことができず、高度化する利用者の要望に十分に応えることができなかった。
そこで、自動写真作成装置を制御するコンピュータ装置の記憶領域に、撮影画像や編集画像の画像データを記憶させ、利用者の携帯電話機をそのコンピュータ装置と通信可能に接続することにより、当該画像データを利用者の携帯電話機に取り込むようにした画像配信システムが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−311496号公報
【特許文献2】特開2001−309108号公報(請求項1及び請求項4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載の画像配信システムによれば、画像データを記憶するコンピュータ装置に携帯電話機を通信可能に接続しているので、その画像データを携帯電話機へ転送することができる。
ところで、この種の自動写真作成装置では、撮影画像に対して付加画像を合成する編集工程は予め定められた所定時間に設定され、その編集工程の終了後にプリンタによる印刷工程が行われるが、例えば、携帯電話機への画像データの転送作業をその編集工程や印刷工程がすべて完了してから利用者に行わせるようにすると、その転送に必要な時間だけ全体の遊戯時間を長く設定する必要があり、このため、顧客の回転率が減少するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、自動写真作成装置の全体の遊戯時間を増大させなくても、利用者が所有する画像データを携帯端末に取り込めるようにして、顧客の回転率を適正に維持しつつ、利用者の娯楽性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る自動写真作成装置は、利用者を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、前記撮影画像を利用者に提示するための表示手段と、前記撮影画像に付加画像を付加して編集画像を作成するための編集手段と、前記撮影画像又は前記編集画像を印刷するための印刷手段と、前記編集手段での編集工程の開始から前記印刷手段での印刷工程の終了までの間に、前記利用者が所有する携帯端末に前記撮影画像又は前記編集画像の画像データを転送することができるデータ転送手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る自動写真作成装置によれば、上記データ転送手段により、利用者が所有する携帯端末に撮影画像又は編集画像の画像データを転送することができるので、その撮影画像や編集画像を印刷手段でプリントアウトするだけでなく、利用者が所有する携帯端末にも取り込むことができ、これによって利用者の娯楽性が向上する。
また、上記データ転送手段は、編集手段での編集工程の開始から印刷手段での印刷工程の終了までの間に画像データの転送を行うので、それらの工程がすべて完了してから画像データを転送する場合に比べて、当該自動写真作成装置の全体の遊戯時間を短く設定することができる。
【0010】
本発明の自動写真作成装置において、前記編集手段は、データ転送手段による転送中においても並行して編集画像の編集が可能であることが好ましい。
この場合、利用者は、携帯端末へ画像データを転送している間でも編集画像の編集を行えるので、転送中に編集作業が行えない場合に比べて、編集工程での作業時間を有効利用することができ、利用者の満足度を向上することができる。なお、この点は、携帯端末に対する転送時間が比較的長い場合に特に有用である。
【0011】
また、本発明の自動写真作成装置において、前記編集手段が複数の利用者による同時並行の編集作業が可能である場合には、前記データ転送手段は、その複数の利用者の携帯端末に対して独自に画像データを転送可能であることが好ましい。
この場合、編集手段において同時並行して編集作業を行っている複数の利用者がそれぞれ独自に画像データの転送を行えるので、複数の利用者が順番にデータ転送を行う場合に比べて、編集工程での作業時間を有効利用することができ、この点で利用者の満足度を向上することができる。
【0012】
更に、本発明の自動写真作成装置において、前記編集手段は、携帯端末の載置台を備えていることが好ましい。
この場合、画像データの転送中に利用者が携帯端末を載置台に置いておくことにより、利用者が携帯端末を手に持っておく必要がなくなるので、画像データの転送中であっても編集作業を行いやすいという利点がある。
また、本発明の自動写真作成装置において、前記データ転送手段による画像データの伝送方式は、有線及び無線を問わず種々の伝送方式を採用できるが、有線方式ではケーブルの接続作業が繁雑であるため、無線方式(ワイヤレス伝送方式)の方が好ましく、その中でも携帯電話機に多用されている赤外線通信を採用することが好ましい。
【0013】
本発明の自動写真作成装置において、前記編集手段は、画像データの転送を行う利用者の携帯端末の機種に応じた転送手順を表示可能であることが好ましい。
この場合、携帯端末の機種によって様々に異なっている転送手順が編集手段において表示されるので、利用者が画像データの転送作業を手間取ることがなく、その転送作業の手間取りによって編集工程での遊戯時間が無駄に過ぎるのを未然に防止することができる。
【0014】
また、本発明の自動写真作成装置において、前記編集手段が、複数の画像データの中から転送したい画像データを利用者に選択させる機能を有している場合には、利用者は自分の嗜好に合致する撮影画像や編集画像だけを選択的に携帯端末に取り込むことができるので、携帯端末への転送時間を最小限に抑えることができ、編集工程での遊戯時間を有効に活用することができる。
【0015】
本発明の自動写真作成装置において、編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースを備えている場合には、他人同士である各編集ブースの利用者がそれぞれ編集手段を逐次利用することで、利用者の待ち時間が短縮され、顧客の回転率を向上することができる。このように複数の編集ブースが用意されている場合には、印刷手段は、画像データを印刷媒体に印字する一つの印刷装置と、複数の編集ブースで得られた画像データを個別に払い出す複数の払い出し口を備えていることが好ましい。
この場合、各編集ブースで得られた画像データが印字された印刷媒体(例えば、シールプリント等)が、当該ブースに対応する払い出し口から個別に払い出されるので、ある編集ブースで編集作業を行った利用者が、誤って他の編集ブースで編集作業を行った他人の印刷媒体を受け取るのを防止することができる。
【0016】
また、本発明の自動写真作成装置において、顧客の回転率を向上するため、撮影手段での撮影作業を行うための一つの撮影ブースと、編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースとを備えた構造にすることもでき、この場合には、後続利用者が撮影ブースに来ていないときは、先行利用者による編集手段での編集可能時間を延長する時間設定手段を設けることが好ましい。
この場合、後続利用者が撮影手段を使用していないという、自動写真作成装置が比較的空いている条件下において、通常よりも長い或いは無制限の編集時間を先行利用者に確保することができ、これによって先行利用者の満足度を向上させることができる。
【0017】
更に、本発明の自動写真作成装置において、編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースと、この各編集ブースの利用者が共用する一つの印刷手段とを備えている場合には、先行利用者が印刷手段を使用しているときは、その先行利用者のための印刷が終わるまで後続利用者による編集ブースでの編集可能時間を延長する時間設定手段を設けることが好ましい。
この場合、先行利用者が印刷手段を使用しているという、自動写真作成装置が比較的混んでいる条件下において、通常よりも長い編集時間を後続利用者に確保することができ、これによって後続利用者の満足度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の自動写真作成装置は、利用者を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、前記撮影画像を利用者に提示するための表示手段と、前記撮影画像に付加画像を付加して編集画像を作成するための編集手段と、前記撮影画像又は前記編集画像を印刷するための印刷手段と、前記利用者が所有する携帯端末に前記撮影画像又は前記編集画像の画像データを転送するデータ転送手段と、前記編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースと、この各編集ブースの利用者がその編集作業後に共用する一つの出口ブースとを備え、前記データ転送手段による画像データの転送作業が前記出口ブースにおいて行われることを特徴とする。
【0019】
この場合、編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースが設けられ、データ転送手段による画像データの転送作業がその編集作業後の共用スペースである出口ブースにおいて行われるようにしたので、先行利用者が出口ブースで画像データの転送作業を行っている場合には、複数の後続利用者を各編集ブースに振り分け、その後続利用者にそれぞれ編集作業を行わせることができる。従って、顧客の回転率を適正に維持しつつ、利用者の娯楽性を向上することができる。
上記の自動写真作成装置において、上記出口ブースに対する画像データの転送のための操作が一定時間行われない場合には、当該出口ブースの利用時間を終了させる時間設定手段を設けることが好ましい。
かかる時間設定手段を設けると、編集手段での編集が終わった利用者がデータ転送手段によるデータ転送を利用しない場合に、出口ブースの利用時間を強制的に終了することができる。
【0020】
また、前記時間設定手段において、前記編集ブースでの編集作業が終了するまでの間は、前記出口ブースの利用時間を確保することが好ましい。
この場合、編集ブースでの編集作業が終了していないという、自動写真作成装置が比較的空いている条件下において、通常よりも長い或いは無制限の利用時間を出口ブースの利用者に確保することができ、これによって先行利用者の満足度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の通り、本発明によれば、全体の遊戯時間を余り増大させずに利用者が所有する画像データを携帯端末に取り込むことができるので、顧客の回転率を適正に維持しつつ、利用者の娯楽性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の自動写真作成装置及び自動写真作成方法の一実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る自動写真作成装置の平面図及び側面図である。
〔装置全体及び撮影ブースの構造〕
図1に示すように、本実施形態の自動写真作成装置1は、内部前面に各種の装置が設けられた一つの撮影ブース2と、この撮影ブース2を両側から挟んだ状態で配置された合計四つの編集ブース3A〜3Dと、撮影ブース2の側面部分に設置された一つの印刷装置(プリンタ)4とを備えている。
【0023】
なお、撮影ブース2の説明では、その内部の利用者U1に対面する側を「前面側」、その反対側を「背面側」といい、正面側を向く当該利用者U1にとっての右側を「右側」、同利用者U1にとっての左側を「左側」という。
また、編集ブース3の説明では、その内部の利用者U2に対面する側を「前面側」、その反対側を「背面側」という。
【0024】
上記撮影ブース2は、その前面側部分に配置された前部筐体6と、この前部筐体6から背面側に離れて設置された後部筐体7とを有しており、これらの両筐体6,7間で利用者U1の撮影空間8が構成されている。この撮影空間8の左右両側は利用者U1の出入口9とされ、この出入口9は遮蔽カーテン10で外部と仕切られている。
後部筐体7の天井部分には、複数の背景カーテン(図示せず)を繰り出し可能なロール式のカーテン収納部11が設けられている。このカーテン収納部11は、後述の撮影制御装置21によって駆動制御され、撮影ブース2内の利用者U1が撮影時に好みの色や模様の背景カーテンを選択できるようになっている。
【0025】
図2も参照して、撮影ブース2の前部筐体6には、利用者U1を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段として、二つのカメラ12A,12Bが設けられている。この二つのカメラ12A,12Bは、利用者U1を斜め上方から撮影する上部カメラ12Aと、利用者U1をほぼ正面から撮影する下部カメラ12Bとからなる。
この各カメラ12A,12Bは、利用者U1が後述するタッチパネル式の操作画面17にシャッター入力操作することにより撮影動作を行うものであり、予め設定された所定回数の撮影動作を実施する。
【0026】
前部筐体6及び後部筐体7の各所には、カメラ12A,12Bの撮影動作と同時に利用者U1を照射するストロボ13,14が設けられている。後部筐体7に設けられる後部ストロボ14は、撮影空間8内の利用者U1をその背後及び斜め上方から照射できるように、当該後部筐体6の天井部分と前面部分に配置されている。また、図2(a)に示すように、前部筐体6に配置される前部ストロボ13は、当該筐体6の上部、中央部及び下部にそれぞれ配置されており、ほぼ六角形状のストロボ発光面15を備えている。
なお、撮影空間8の天井部分には、利用者U1を上方から照明するためのライト(図示せず。)が設けられている。
【0027】
図2(a)に示すように、前部筐体6の上部には、上部カメラ12Aに映し出された利用者U1を含む被写体をリアルタイムで表示する表示手段としての上部モニタ16が設けられている。この上部モニタ16はCRT又は液晶表示装置等よりなり、撮影を行う利用者U1の現況を見易く表示してプレビュー確認が行い易くなるように、上部カメラ12Aの直下に隣接して配置されている。
また、前部筐体6の中央部には、下部カメラ12Aに映し出された利用者U1を含む被写体をリアルタイムで表示する表示手段としての機能と、利用者U1が撮影ブース2の各装置を操作する入力手段としての機能を併有する操作画面17が設けられている。
【0028】
この操作画面17は、液晶タブレット等のタッチパネル式のディスプレイにより構成されており、後述の撮影制御装置21に対する利用者U1による選択又は命令の入力手段として機能している。
具体的には、この操作画面17には、どのカメラ12A,12Bで撮影するかのカメラ選択、利用者U1に対するズーム選択、背景カーテンの選択、前記各ストロボ13,14によるライティングの強度選択、撮影画像のぼかし程度等の補正選択、マニュアルモード又はおまかせモード等の撮影モード(これについては後述する。)の選択といった、利用者U1が選択可能な撮影条件が提示され、利用者U1は当該撮影画面17に指でタッチしてそれらの各種選択を行うことができる。
【0029】
図2(b)は、撮影時に操作画面17に表示されるプレビュー表示の一例を示している。この場合のプレビュー表示は、利用者U1の現況を示すプレビュー表示部18と、既に撮影が完了した撮影画像のサムネイル表示部19と、撮影ポーズの参考になる静止画像又は動画を表示する参考ポーズ表示部20とから構成されている。このため、利用者U1は、既に撮影済みの撮影画像や、参考ポーズ表示部20に表示されたポーズを参考にしつつ、これから撮影しようとする自己の撮影ポーズを決定することがでる。
【0030】
前部筐体6の内部には、撮影ブース2内の各部の制御手段を構成するプログラマブルなコンピュータ装置よりなる撮影制御装置21が格納されている。この撮影制御装置21は、利用者U1による操作画面17に対する入力等に応じて、撮影ブース2内の各部を駆動制御するものであるが、利用者U1の撮影画像を後述する各編集ブース3A〜3Dの編集制御装置35に転送するために、その各編集制御装置35とデータ通信可能に接続されている。
この撮影制御装置21は、予め設定された所定の撮影時間が終了すると、その終了を操作画面17に表示するとともに、次の編集工程を行うための編集ブース3A〜3Dがどれかを操作画面17に表示して、利用者U1を当該ブース3A〜3Dに案内する。
【0031】
また、撮影制御装置21は、撮影終了時にすべての編集ブース3A〜3D内に利用者U2が入っていて満員である場合には、その旨を操作画面17に表示して利用者U1を待機させる。
この場合、操作画面17を利用したゲーム機能を有する撮影制御装置21を採用すれば、待機中の利用者U1にゲームを行わせることで、利用者U1の苛立ちを防止することができる。更に、撮影制御装置21おいて、各編集ブース3A〜3Dでの利用回数をカウントしておき、空いているブース3A〜3Dのうちでその利用回数の少ないものから利用者U1を案内するようにすれば、特定の編集ブース3A〜3Dに利用が集中して早期に故障するのを未然に防止することができる。
【0032】
〔編集ブースの構造〕
図1に示すように、合計四つの編集ブース3A〜3Dのうち、二つの編集ブース3A,3Bが前部筐体6の前側に配置され、かつ、他の二つの編集ブース3C,3Dが後部筐体7の背面側に配置されており、これにより、各編集ブース3A〜3Dが自動写真作成装置1の四隅に配置されている。
この各編集ブース3A〜3Dは、図3に示す編集用の作業ユニット24と、このユニット24を側方及び背面側から覆う遮蔽カーテン25とを備えており、作業ユニット24の前面とカーテン25で囲まれたスペースが、利用者U2が編集作業を行う編集領域になっている。
【0033】
前部筐体6の背面側に配置された編集ブース3A,3Bの各作業ユニット24は互いに背中合わせの状態で設置され、両編集ブース3A,3Bに居る利用者U2同士が互いに顔合わせしないように、両作業ユニット24の間に仕切り板26が立設されている。
図3に示すように、編集用の作業ユニット24は、ほぼ直方体の下部筐体27と、この下部筐体27の上に連結されかつ前面が傾斜した入力作業台28と、下部筐体27の上端部分から手前に突出する平板状の載置台29とを備えている。
この載置台29は、利用者U2が所有する携帯電話機30を置くことができる大きさに形成されており、当該電話機30に引っ掛かってその落下を防止する落下防止部31を先端部に備えている。
なお、載置台29の構造は上記のものに限らず、携帯電話機30等の携帯端末を安定して一時的に固定できるものであればよい。例えば、載置台29は、穴状又は筒状を呈するホルダーであってもよいし、ベルトや可動金具で携帯端末を締結して固定するタイプのものであってもよい。
【0034】
各編集ブース3A〜3Dの入力作業台28の前面には、利用者U2が撮影画像に付加画像を合成する編集作業を行う一つの編集画面32と、この編集画面32に対する入力手段である二つのタッチペン33,33と、利用者U2の携帯電話機30との間で画像データの転送を含むデータ通信が可能な赤外線通信ポートよりなる二つの通信ポート34,34が設けられている。
また、各編集ブース3A〜3Dの下部筐体27の内部には、プログラマブルなコンピュータ装置よりなる編集制御装置35が格納されており、この編集制御装置35には、上記編集画面32、タッチペン33及び通信ポート34が接続されている。
【0035】
各編集ブース3A〜3Cの編集画面32は、液晶タブレット等のタッチパネル式のディスプレイにより構成されており、前記タッチペン33ととともに、編集制御装置35に対する利用者U2による選択又は命令の入力手段を構成している。本実施形態では、編集画面32の左右両側に、当該編集画面32への入力手段である前記タッチペン33が取り付けられており、二人の利用者U2が同時並行して、編集画面32に対する入力操作を行えるようになっている。
【0036】
すなわち、編集ブース3A〜3D内の二人の利用者U2が編集画面32に表示される指示に従い、その表面をタッチペン33のペン先や自身の指先で軽く触れると、各種の操作信号が編集制御装置35に送信され、その操作信号に応じた処理が行われる。また、このタッチペン33は、そのペン先を編集画面32の表面に接触させて文字や図形等の描画を入力することができる。
このようにして手書き入力されたいわゆる落書き画像や、予め編集制御装置35に記憶されている背景画像、フレーム(前景)画像及びスタンプ画像は、カメラ12A,12Bで撮影された利用者U1の撮影画像に付加して合成され、これによって編集画像が作成されて編集画面32に表示されるようになっている。
【0037】
このため、各編集ブース3A〜3Dの編集制御装置35は、上記編集画面32及びタッチペン33とともに、利用者U2の入力指示に従って撮影画像に対する他の画像の合成を含む編集作業を行うための編集手段を構成している。
なお、撮影ブース2の前部筐体6と編集ブース3の下部筐体27には、それぞれスピーカ(図示せず)が設置されている。このスピーカから、操作画面17や編集画面32への入力手順を音声で案内したり、軽快な音楽を流したりすることにより、利用者U1,U2が自動写真作成装置1を円滑に操作でき、かつ、楽しんでプレイできるようになっている。
【0038】
前記通信ポート34は、利用者U2が所有する携帯電話機30に撮影画像や編集画像の画像データを転送するためのデータ転送手段として機能するものであり、本実施形態では、編集画面32の下方の左右両側に当該通信ポート34が二つ設けられている。
このうち、左側の通信ポート34は左側のタッチペン33の入力指示に従って作動し、右側の通信ポート34は右側のタッチペン33の入力指示に従って作動する。このため、編集画面32に対して同時に並行して編集作業を行っている各利用者U2は、各通信ポート34からの画像データを各自の携帯電話機30に対して独自に転送できるようになっている。
【0039】
また、編集ブース3A〜3D内の利用者U2は、携帯電話機30を載置台29に置いた状態で画像データの転送を行うことができる。このため、利用者U2は携帯電話機30を手に持ちながらタッチペン33による編集作業を行う必要がないので、画像データの転送中であっても編集作業を行い易くなっている。
なお、通信ポート34としては、有線及び無線を問わず種々の伝送方式を採用できるが、有線方式ではケーブルの接続作業が繁雑であるため、無線方式(ワイヤレス伝送方式)の方が好ましく、その中でも携帯電話機33に多用されている赤外線通信を採用することが好ましい。
【0040】
〔印刷装置の構造〕
図1に戻り、前記印刷装置(プリンタ)4は、撮影画像や編集画像よりなる画像データを印刷媒体に印字する印刷手段として機能するものであり、撮影ブース2の前部筐体6の左側下部に設置されている。この印刷装置4の下部には、各編集ブース3A〜3Dで得られた画像データが印刷された印刷媒体を個別に払い出す四つの払い出し口37が設けられている。
この各払い出し口37は、編集ブース3A〜3Dと同じ数だけ設けられており、その各払い出し口37は編集ブース3A〜3Dと一対一対応の番号又は記号を備えている。
【0041】
図1及び図4に示すように、上記印刷装置4は、プログラマブルなコンピュータ装置よりなる印刷制御装置38に接続されている。この印刷制御装置38には、当該印刷装置4と、印刷媒体を各払い出し口37のいずれかに搬送するフィーダ39が接続されている。
印刷制御装置38は、各編集ブース3A〜3Dの編集制御装置35とデータ通信可能に接続されており、転送された画像データがどの編集ブース3A〜3Dの編集制御装置35からのものかを識別し、その識別した編集ブース3A〜3Dに対応する払い出し口37に印刷媒体を搬送するように、フィーダ39を駆動する。
【0042】
従って、ある特定の編集ブース3Aで編集作業を行った利用者U2の印刷媒体は、そのブース3Aと同じ番号又は記号を有する払い出し口37(この場合は「A」)から払い出されることになる。このため、その利用者U2が、誤って他の編集ブース3B〜3Dで編集作業を行った他人の印刷媒体を受け取るのを未然に防止することができる。
〔システム構成〕
図4に示すように、前記撮影制御装置21は、内部にCPU、メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)及び入出力インタフェース(I/O)を有するコンピュータ装置よりなり、そのインタフェースには、前記カメラ12A,12B、上部モニタ16、操作画面17及びストロボ13,14が接続されている。
【0043】
また、前記各編集制御装置35も、内部にCPU、メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)及び入出力インタフェース(I/O)を有するコンピュータ装置よりなり、そのインタフェースには、編集画面32、タッチペン33及び通信ポート34が接続されている。
更に、前記印刷制御装置38も、内部にCPU、メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)及び入出力インタフェース(I/O)を有するコンピュータ装置よりなり、そのインタフェースには、印刷装置4とフィーダ39が接続されている。
【0044】
上記撮影制御装置21及び印刷制御装置35は、各編集ブース3A〜3Dに対応する編集制御装置35と通信ケーブル40を介してデータ通信可能に接続されている。撮影制御装置21のメモリに一時的に記憶された撮影画像の画像データは、撮影ブース2での撮影工程が終了した時に、当該撮影制御装置21が選択した空きの編集ブース3A〜3Dに対応する編集制御装置35に転送される。また、各編集制御装置35のメモリに一時的に記憶された撮影画像や編集画像の画像データは、編集ブース3A〜3Dでの編集工程が終了する際に、印刷制御装置38に転送される。
なお、これらの各制御装置21,35,38の通信システムは、スイッチングハブを経由したスター型接続のLANで構築することもできる。
【0045】
〔編集画面の構成例〕
図5は、二人の利用者U2がそれぞれ独自に編集作業を行うことができる、前記編集画面32の表示例を示している。
この編集画面32では、左右で独立した入力表示領域41L,41Rが左右対称に並設されており、左側の入力表示領域41Lに対しては左側のタッチペン33のみで入力操作でき、右側の入力表示領域41Rに対しては右側のタッチペン33のみで入力操作することができる。これら左右の入力表示領域41L,41Rは、タッチペン33による手書き入力機能を有するメイン表示部42と、ペンの色彩やスタンプ画像の種類等の種々のアイテムを表示するパレット表示部43とを備えており、パレット表示部43はメイン表示部42の下方に配置されている。
【0046】
メイン表示部42には、編集対象となる撮影画像が表示される他、その撮影画像に背景画像やフレーム画像等の付加画像を付加した場合の編集画像がリアルタイムに表示される。このメイン表示部42の側方にはタスク選択部44が設けられ、左右の両メイン表示部42,42間にはサムネイル表示部45が設けられ、パレット表示部43の側方には入力選択部46が設けられている。
このうち、タスク選択部44は、タッチペン33で触れることで所望のタスクを利用者U2に選択させるためのツールボタン(アイコンボタンでもよい。)よりなり、このツールボタンは、上から順に、編集の強制終了ボタン47、編集の全消去ボタン47D、一つ戻るボタン48、通常用消しゴムボタン49、背景用消しゴムボタン50、太ペンボタン51、中太ペンボタン52及び細ペンボタン53よりなる。
【0047】
また、サムネイル表示部45は、上から順に、編集工程の残り時間を表示するタイマ表示部54と、サムネイルを左右の入力表示領域41L,41R間で入れ替えるための入れ替えボタン55と、所定枚数(図例では左右で各四枚)のサムネイル56とを備えている。
入力選択部46は、タッチペン33で触れることで所望の入力モードを利用者U2に選択させるためのツールボタン(アイコンボタンでもよい。)よりなり、このツールボタンは、上から順に、ペン選択ボタン57、スタンプ選択ボタン58、フレーム(前景)選択ボタン59及び背景選択ボタン60よりなる。
【0048】
利用者U2がタッチペン33のペン先でペン選択ボタン57に触れると、メイン表示部42に対するタッチペン33による手書き入力(落書き)が可能となり、パレット表示部43のタブ61に、その手書き入力に用いる多種類の色彩が表示される。
他方、利用者U2がタッチペン33のペン先でスタンプ選択ボタン58に触れると、パレット表示部43に多種類のスタンプ画像が表示される。利用者U2は、パレット表示部43のタブ61でスタンプ画像を選択でき、このタブ61で選択されたスタンプ画像がメイン表示部42の画像データに合成される。なお、フレーム選択ボタン59及び背景選択ボタン60についても、これと同様である。
【0049】
図6は、編集画像の階層構造を示す概念図である。
図6に示すように、編集画像は複数のレイヤーからなる。利用者U2は、それぞれのレイヤーに対して選択的に書き込み、変更及び消去することができる。例えば、本実施形態では、前記背景用消しゴムボタン50は背景画像のレイヤーのみを消去することができ、通常用消しゴムボタン49は、手書き入力よる落書きと、フレーム画像のレイヤーを消去することができる。
なお、利用者U2が写っている撮影画像はクロマキー処理されており、利用者U2の人物部分以外の部分が透過となっている。
【0050】
〔編集画面による画像データの転送方法(1)〕
図7は、前記編集画面32による画像データの転送方法の一例を示している。
図7(a)に示すように、この例では、編集画面32におけるメイン表示部42の下縁部に転送用のツールボタン62が常設されており、利用者U2がこのボタン62をタッチペン33で操作すると、その時にメイン表示部42に表示されている撮影画像又は編集画像が携帯電話機30に転送する画像データとして選択される。
【0051】
また、上記ツールボタン62の操作後には、図7(b)に示すダイアログボックス63が表示される。同図に示すように、このダイアログボックス63には、携帯電話機30が受信状態になっていることを利用者U2に確認させる受信確認メッセージと、その利用者U2の携帯電話機30の機種に応じた転送手順と、利用者U2が最終的に転送を行う否かを決定するための最終決定ボタン(図7(b)の「OK」及び「CANCEL」)が表示される。
【0052】
前記編集制御装置35は、携帯電話機30で赤外線通信を行うための機種に応じた最適な転送手順を予め記憶している。利用者U2が編集画面32を用いて自分の携帯電話機30の機種を入力すると、編集制御装置35は、その機種に対応した最適な転送手順(例えば、図7(b)における「FOMA N902なら実行ボタンを押して22を押してください。」)をダイアログボックス63に表示する。
このため、利用者U2が編集工程中において画像データの転送作業に手間取ることがなく、編集工程での遊戯時間が無駄に過ぎるのを未然に防止することができる。
【0053】
なお、利用者U2の携帯電話機30が当該自動写真作成装置1とは通信できない非対応のものである場合には、編集制御装置35は、その旨(例えば、「ごめんさない。この機種はダウンロードできません。」)をダイアログボックス63に表示する。また、編集制御装置35は、利用者U2に対する注意喚起として、「ダウンロードがうまく行かない場合にはやり直してください。」等の表示をダイアログボックス63に表示することにしてもよい。
【0054】
利用者U2がダイアログボックス63のOKボタンを操作すると、編集制御装置35は、通信ポート34を介して画像データを利用者U2の携帯電話機30に転送する。従って、本実施形態では、コンピュータ装置よりなる当該編集制御装置35と、そのインタフェースに接続された作業ユニット24の両通信ポート34,34が、利用者U2の携帯電話機30に撮影画像又は編集画像の画像データを転送するデータ転送手段として機能する。
また、上記OKボタンが操作されると、ダウンロード中であることを示す転送表示ボックス64がパレット表示部43の下方に現れ、これと同時にダイアログボックス63が消滅し、メイン表示部42やパレット表示部43等がすべてオープンになってタッチペン33での編集入力操作が可能となる。
【0055】
これにより、利用者U2は、画像データの転送中においても並行して編集画像の編集が可能になっている。このため、携帯電話機30へのダウンロードに比較的時間がかかる場合であっても、そのダウンロード時間による編集工程での遊戯時間の減少を防止ないし最小限に抑えることができ、この点で利用者U2の満足度を向上することができる。
また、本実施形態では、二人の利用者U2が編集画面32の各入力表示領域41L,41Rに対して個別に入力することで同時並行の編集作業が可能であり、各入力表示領域41L,41Rに対応して設けた通信ポート34,34から独自に画像データを転送することができるので、二人の利用者U2が順番にデータ転送を行う場合に比べて、編集工程での作業時間を有効利用することができ、この点においても、利用者U2の満足度を向上することができる。
【0056】
〔編集画面による画像データの転送方法(2)〕
図8は、前記編集画面32によるデータ転送方法の他の例を示している。
図8(a)に示すように、この例では、タスク選択部44のツールボタンとして、ダウンロードボタン66が設けられており、利用者U2がこのボタン66をタッチペン33で操作すると、入力表示領域41Lが図8(b)に示すダウンロード画面67に移行する。
このダウンロード画面67には、転送可能な複数枚の画像データのサムネイル68が表示され、利用者U2はカーソル69でダウンロードしたい画像データを選択することができる。
【0057】
また、ダウンロード画面67には、落書き付きの画像データの転送を行うための第一転送ボタン70と、落書きなしの画像データの転送を行うための第二転送ボタン71が設けられており、利用者U2は、このうちのいずれかのダウンロード方式を選択することができる。利用者U2が上記転送ボタン70,71のいずれかを操作すると、編集制御装置35は、通信ポート34を介して画像データを利用者U2の携帯電話機30に転送する。
【0058】
また、上記転送ボタン70,71が操作されると、ダウンロード中であることを示す転送表示ボックス72が編集画面32の最下部に現れ、これと同時にダウンロード画面66が通常入力画面(図8(a))に移行して、タッチペン33での編集入力操作が可能となる。
このため、図8に示す例においても、利用者U2は、画像データの転送中に並行して編集画像の編集が可能である。また、図8に示す例においても、二人の利用者U2が編集画面32の各入力表示領域41L,41Rに対して個別に入力することで同時並行の編集作業が可能であり、各入力表示領域41L,41Rに対応して設けた通信ポート34,34から独自に画像データを転送することができる。
【0059】
更に、図8に示す例では、ダウンロード画面67において転送可能な画像データが複数のサムネイル68として表示され、その中から転送したい画像データを利用者U2がカーソル69で選択することができるので、利用者U2が自分の嗜好に合致する撮影画像や編集画像だけを選択的に携帯電話機30に取り込むことができる。
このため、携帯電話機30に対する転送時間を最小限に抑えることができ、編集工程での遊戯時間を有効に活用することができる。
【0060】
〔自動写真作成装置の動作〕
次に、図9〜図13を参照して、本実施形態の自動写真作成装置1の動作(自動写真作成方法)を説明する
〔撮影工程のフロー〕
図9に示すように、利用者U1が撮影ブース2のコイン投入部(図示せず)にコインを投入すると、撮影制御装置21は、規定対価分のコインが投入されたか否かを判断し(図9のS1)、規定対価分であればその利用者U1が利用すべき次の編集ブース3A〜3Dがどれかを操作画面32に表示する(図9のS2)。
【0061】
その後、撮影制御装置21は、撮影タイマを設定して撮影ブース2での遊戯時間を操作画面17に表示し(図9のS3)、撮影モードの選択画面を操作画面17に表示する(図9のS4)。
この撮影モードの選択画面において、利用者U1はマニュアルモードとおまかせモードのいずれかを選択することができる(図9のS5)。マニュアルモードが選択された場合には、利用者U1は、使用するカメラ12A,12Bの選択、背景の選択、美白の選択を行ったあと、カメラ撮影を二枚行うことができ、撮影時間が続く限りこの撮影作業を繰り返すことができる(図9のS6〜S10)。
【0062】
他方、おまかせモードが選択された場合には、利用者U1は、予め撮影制御装置21に設定されている各種の撮影コースの選択、美白の選択、背景データの順列やポーズ指導の選択を行ったあと、カメラ撮影を四枚行うことができ、撮影時間が続く限りこの撮影作業を繰り返すことができる(図9のS11〜S15)
その後、撮影制御装置21は、所定の撮影時間が経過すると、撮影の終了を操作画面17に表示し(図9のS16)、次の編集工程を行うための編集ブース3A〜3Dがどれかを操作画面17に表示して、利用者U1を当該ブース3A〜3Dに案内する(図9のS17)。
【0063】
また、撮影制御装置21は、その案内した編集ブース3A〜3Dに対応する編集制御装置35に、撮影ブース2での撮影で得られた撮影画像の画像データを転送する(図9のS18)。
なお、撮影制御装置21は、カメラで撮影した撮影画像のデータを編集ブース3A〜3D内に利用者U2が入っていて満員である場合には、その旨を操作画面17に表示して利用者U1を待機させる。
【0064】
〔編集工程のフロー〕
各編集ブース3A〜3Bに設置されている編集制御装置35のうち、撮影制御装置21から画像データを受信した編集制御装置35は図10に示すフローチャートで制御処理を行う。
すなわち、図10に示すように、編集制御装置35は、まず、撮影制御装置21からのデータ転送が完了したか否かを確認した上で(図10のS1)、利用者U2が編集画面32にタッチしたことを確認し(図10のS2)、編集を行うべき撮影画像の画像選択のための時間を設定して(図10のS3)、利用者U2にその画像選択を行わせる(図10のS4)。
【0065】
その後、編集制御装置35は、編集作業の可能時間をタイマ設定したあと(図10のS5)、タッチペン33による編集作業を行うための入力表示領域41L,41Rを編集画面32に表示する(図10のS6)。これによって編集工程が開始する。次に、編集制御装置35は、左右の入力表示領域41L,41Rに対するタッチペン33による入力があったか否かを判断する(図10のS7)。
図11に示すように、編集制御装置35は、二人の利用者U2が同時並行して、画像転送を含む編集作業を行えるように、左右のタッチペン33,33に対する制御処理を独立して行う。
【0066】
すなわち、図11に示すように、右側のタッチペン33による入力があった場合(図11のS1)には、編集制御装置35は、利用者U2が編集画面32に対する編集作業を行っている間は右側の入力表示領域41Rに対する編集処理を受け付ける(図11のS2及びS3)。また、編集制御装置35は、利用者U2が携帯電話機30との赤外線通信を選択した場合にはその転送画像を利用者U2に選択させ、転送指示を待った上で、右側の通信ポート34を介して、右側の入力表示領域41Rの画像データを携帯電話機30に転送する(図11のS4〜S7)。
【0067】
他方、左側のタッチペン33による入力があった場合(図11のS1)には、編集制御装置35は、利用者U2が編集画面32に対する編集作業を行っている間は左側の入力表示領域41Lに対する編集処理を受け付ける(図11のS8及びS9)。また、編集制御装置35は、利用者U2が赤外線通信を選択した場合にはその転送画像を利用者U2に選択させ、転送指示を待った上で、左側の通信ポート34を介して、左側の入力表示領域41Lの画像データを携帯電話機30に転送する(図11のS10〜S13)。
【0068】
図10に戻り、編集制御装置35は、編集工程の残り時間が所定時間(図例では30秒)以下か否かを判断し(図10のS8)、その場合には、後続の利用者U1が撮影後に当該編集ブース3A〜3Dに来るか否かを判断し(図10のS9)、後続の利用者U1による撮影が始まっていてかつ残り時間がない場合(図10のS10及びS12)には、編集工程を終了させる(図10のS14)。
一方、後続の利用者U1が当該編集ブース3A〜3Dに来ない場合(図10のS9でNO)や、その利用者U1の撮影が始まっていない場合(図10のS10でNO)には、編集工程の設定時間を所定時間(図例では1分)だけ延長する(図10のS11)。
【0069】
このように、本実施形態では、編集ブース3A〜3Dにおいて、後続利用者U2が撮影を行っていない場合に、通常よりも多い或いは無制限の編集時間が先行利用者U2に付与されるので、先行利用者U2の満足度を増大することができる。
編集制御装置35は、編集工程の残り時間が無くなったか否かを常に判断しており(図10のS13)、その場合には編集工程が終了したことを編集画面32に表示する(図10のS14)。その後、編集制御装置35は、画像データを印刷媒体に印刷する際の分割レイアウトを選択させ(図10のS15)、印刷装置4の払い出し口37への移動指示を編集画面32に表示し(図10のS16)、その画像データを印刷制御装置38に転送する。(図10のS17)。
【0070】
〔印刷工程のフロー〕
図12に示すように、上記の編集工程が終了した後においても、編集制御装置35は画像データの印刷が終了するまで、赤外線通信の転送作業を受け付ける(図12のS1及びS5)。図13は、印刷工程に入った後の赤外線通信の処理フローを示している。
図13に示すように、編集制御装置35は、編集作業が終了した利用者U2でも、その者が赤外線通信を選択した場合には、転送する画像データを利用者U2に選択させ、転送指示を待った上で、左側又は右側の通信ポート34を介して、左側又は右側の入力表示領域41L,41Rの画像データを携帯電話機30に転送する(図13のS1〜S4)。
【0071】
他方、印刷制御装置38は、編集制御装置35からの画像データの転送が完了すると(図12のS2)、転送元の編集ブース3A〜3Dに対応した印刷媒体の払い出し口37を選択して(図12のS3)、画像データの印刷を開始する(図12のS4)。そして、その印刷の終了によって利用者U1,U2によるプレイがすべて終了する。
上記構成に係る本実施形態の自動写真作成装置1によれば、各編集ブース3A〜3Dに設けたデータ転送手段(通信ポート34とこれを駆動する編集制御装置35)により、利用者U2が所有する携帯電話機30に撮影画像又は編集画像の画像データを転送することができるので、その撮影画像や編集画像を印刷装置4でプリントアウトするだけでなく、利用者U2が所有する携帯電話機30にも取り込むことができ、これによって利用者U2の娯楽性が向上する。
【0072】
また、上記データ転送手段は、編集工程の開始から印刷工程の終了までの間に画像データの転送を行うことができるので、それらの工程がすべて完了してから画像データを転送する場合に比べて、当該自動写真作成装置1の全体の遊戯時間を短く設定することができる。
更に、本実施形態の自動写真作成装置1によれば、異なる利用者U2が編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブース3A〜3Dを備えているので、他人同士である利用者U2が各編集ブース3A〜3Dをそれぞれ利用することで、利用者U2の待ち時間が短縮され、顧客の回転率を向上することができる。
【0073】
また、画像データを印刷媒体に印字する一つの印刷装置4に対して、複数の編集ブース3A〜3Dで得られた画像データが印字された印刷媒体(例えば、シールプリント等)を個別に払い出す複数の払い出し口37が設けられているので、ある編集ブース3Aで編集作業を行った利用者U2が、他の編集ブース3B〜3Dで編集作業を行った他人の印刷媒体を誤って受け取るのを防止することができる。
【0074】
〔編集制御装置による時間延長機能(1)〕
本実施形態の自動写真作成装置1のように、顧客の回転率を向上するため、カメラ12A,12Bでの撮影作業を行うための一つの撮影ブース2と、編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブース3A〜3Dとを備えた構造の自動写真作成装置1の場合には、後続利用者U1が撮影ブース2に来ていないことを条件として、先行利用者U2による編集画面32での編集可能時間を延長する時間設定機能を編集制御装置35に付加することが好ましい。
【0075】
図14は、上記時間設定機能を有する編集制御装置35の処理方法を示している。
図14(a)に示すように、例えば自動写真作成装置1に5組以上の来客があり、そのうちの1番目の利用者C1が撮影後に編集ブース3Aに入り、2番目の利用者C2が撮影後に編集ブース3Bに入り、3番目の利用者C3が撮影後に編集ブース3Cに入り、4番目の利用者C4が撮影後に編集ブース3Dに入ったと想定する。
この場合、図14(a)に示す例では、5番目の利用者C5の撮影が終了したときには、1番目の利用者C1は編集ブース3Aから出て既に編集ブース3Aが空いているので、撮影制御装置21は、その5番目の利用者が編集ブース3Aに移動するように、操作画面17に案内表示を行う。
【0076】
一方、図14(b)に示すように、4番目の利用者C4までは集中的に来客があったが、5番目の利用者C5が遅れて来た場合を想定する。
この場合、5番目の利用者C5が撮影を行っているか否かに拘わらず、先行利用者C1〜C4の編集作業を通常の時間設定のままにしてもよいが、自動写真作成装置1が空いている間は先行利用者C1〜C4の編集時間をサービス的に付加しても、後続利用者C5にとって迷惑ではないし、先行利用者C1〜C4の満足度も向上する。
【0077】
そこで、各編集ブース3A〜3Dの編集制御装置35は、5番目の後続利用者C5が撮影ブース2に来ていない場合には、印刷装置4への移動がバッティングしないタイミングまで、先行利用者C1〜C4の編集ブース3A〜3Dでの編集時間を延長する。
すなわち、5番目の利用者C5の撮影が始まった場合にのみ、編集ブース3Aでの編集時間が制限される。例えば、先行利用者C1〜C4の編集時間が残り30秒を切ったときに、後続利用者C5の撮影がまだ始まっていなければ、編集時間を1分延長するようにする。この場合、後続利用者C5の撮影が始まれば、先行利用者C1の編集時間は最大90秒に制限される。
【0078】
つまり、後続利用者C5による撮影ブース2の使用が始まっても、複数の編集ブース3A〜3Dのいずれかに空きがあれば、編集中の先行利用者C1〜C4は、編集時間を延長できるか、もしくは、編集時間に制限がかからない。
編集ブース3A〜3Dがすべて利用中である時、後続利用者C5の撮影ブースの使用が始まったら、編集ブース3Aを最も先に使用を開始した先行利用者C1または編集時間のもっとも長い利用者(例えば、C1)の編集時間が制限される。この場合でも、他の編集ブース3B〜3Dの先行利用者C2〜C4は、編集時間を延長できるか、もしくは編集時間に制限がかからない。
【0079】
撮影時間が120秒とすれば、30秒の移動時間を設けても、後続利用者C5の撮影時間が終了したときには、最初の編集ブース3Aは空いていることになる。
このため、かかる時間設定機能を有する自動写真作成装置1によれば、後続利用者C5による撮影が始まるまでは、先行利用者C1〜C4は編集ブース3A〜3Dでの編集作業を継続することができる。このため、行列が出来ているとき以外は、通常より長めに編集作業を行うことができ、利用者C1〜C4の満足度及び娯楽性が向上する。
【0080】
後続利用者C5が、撮影ブース2に来たかどうかは、後続利用者C5の撮影ブース2の利用状況により検知できる。後続利用者C5が撮影ブース2に来たと認識する利用状況の開始時点は、例えば、後続利用者C5がコインを投入したときからでもよいし、規定対価分のコインが投入されてからでもよいし、撮影が始まった時からでもよい。
すなわち、上記認識の開始時点は、延長された残り編集時間または制限される残り編集時間よりも長時間の残りの撮影ブース2の利用時間が確保できる時点であれば、後続利用者C5の撮影ブース2のどのような利用状況から開始してもよい。
また、営業時間が終了する際には、オペレータが操作するメンテナンスボタンなどによるオペレータの操作により、すべての利用者C1〜C4に対して時間制限をつけることが出来るようにしてもよい。この制限は、編集ブース3Aを最も先に使用を開始した利用者C1または編集時間のもっとも長い利用者(例えば、C1)から順に制限をつけて、印刷装置の処理が重ならないように時間制限をするのが好ましい。
【0081】
〔時間延長機能(2)〕
また、本実施形態のように、編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブース3A〜3Dと、この各編集ブース3A〜3Dの利用者U2が共用する一つの印刷装置4を備えている場合には、先行利用者U2が印刷装置4を使用しているときは、その先行利用者U2のための印刷が終わるまで後続利用者U2による編集画面32での編集可能時間を延長する時間設定機能を編集制御装置35に付加することが好ましい。
【0082】
図15は、上記時間設定機能を有する編集制御装置35の処理方法を示している。
図15(a)に示すように、例えば自動写真作成装置1に対する来客が比較的まばらであり、各利用者C1〜C3のプレイ開始に時間的な空きが多いときは、印刷装置4での印刷処理が混み合って利用者C1〜C3が印刷で待たされることはない。
しかし、図15(b)に示すように、自動写真作成装置1に対して一気に来客があって各利用者C1〜C4のプレイ開始が混んでくると、各編集ブース3A〜3Dでの編集時間を所定の一定時間のままにしておくと、印刷装置4での印刷工程が重なって当該印刷工程がクリティカルパスになる。
【0083】
そこで、後続の利用者C2が利用している編集ブース3Bの編集制御装置35は、先行利用者C1の印刷が終わるまで後続する当該利用者C2による編集画面32での編集可能時間を延長する。更に後続する利用者C3及びC4の編集ブース3C及び3Dの編集制御装置35も、それと同様に印刷工程が重ならないように編集可能時間を延長する。
このため、先行利用者C1が印刷装置4を使用しているという、自動写真作成装置1が比較的混んでいる条件下では、通常より長い編集時間が後続利用者C2〜C4に確保されるので、後続利用者C2〜C4の満足度を向上することができる。
【0084】
〔その他の変形例〕
上記した実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、自動写真作成装置1が合計四つの編集ブース3A〜3Dを有する場合について説明したが、編集ブースの設置数は本発明において限定されるものではない。図16は、三つの編集ブース3A〜3Cを設置した自動写真作成装置1の構造の一例であり、この装置1では、前部筐体6の背面側に、三つの編集ブース3A〜3Dが集中的に配置されている。なお、編集ブース3A〜3Dの設置数に対応して、印刷装置4の払い出し口37も三つ設けられている。
【0085】
また、上記実施形態では、コンピュータ装置よりなる編集制御装置35に予め記憶されたスタンプ画像を編集に利用しているが、その他に、フロッピディスク、CD−ROM、CD−R、光磁気ディスク等の各種の外部記憶媒体に記憶された画像データを読み取ってスタンプ画像として利用することもできる。
更に、上記実施形態では、各編集ブース3A〜3Dの編集画面32でプリンタ4の印刷条件の設定を行っているが、その印刷条件の設定をプリンタ4に近接して設けた操作画面で行わせる構成でもよい。
【0086】
ただし、上記のように、各編集ブース3A〜3Dの編集画面32で印刷条件の設定を行う方が、印刷写真の出力を待っている利用者、すなわちプリンタ4のプリントアウトを除く自動写真作成装置1の全ての作業を終えた利用者に対して編集ブース3A〜3Dの外部への移動を半ば強制的に促すことができる。この結果、その利用者が必要以上に編集ブース3A〜3Dを占領することに伴う使用効率の低下を防止できる点で好ましい。
また、上記実施形態では、画像データの転送先が利用者U2の携帯電話機30になっているが、PHS、ノートパソコン、PDA、通信機能を有するデジタルカメラ等、その他の携帯端末であってもよい。
画像データは撮影ないし編集画像に止まらず、画像としてのデータ形式を持ったものであれば転送可能である。従って、編集用の装飾画像(利用者が編集した落書き等の装飾用画像であってもよい。)のみを転送対象とすることもできる。これは例えば、FOMAの装飾メール機能(例えば、デコメール:なお、「デコメール」は登録商標である。)等で利用できる、スタンプ、フレーム画像及び利用者が落書きした装飾画像であってもよい。
【0087】
更に、上記実施形態において、印刷装置(プリンタ)4としては、昇華型プリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写型プリンタ、溶融型プリンタ、サーマルプリンタ、印画紙プリンタ、インスタントフィルムプリンタ等、各種タイプの印刷装置を採用することができ、特にその機種が限定されるものではない。
また、印刷媒体は一般的なシールプリントに限定されるものではなく、硬質のカード等として出力するものも含まれ、印刷媒体の材質や構造は特に限定されない。
【0088】
また、上記実施形態では、プレイ対価としてコインを使用する場合について説明したが、紙幣、プリペイドカード、メダル、クレジットカード、キャッシュカードなどの各種の態様が含まれる。更に、上記実施形態において、カメラはデジタルカメラやビデオカメラを用いることができるが、撮影画像をデジタル信号に変換しうるものであれば特に限定されるものではない。
更に、上記実施形態では、複数のコンピュータ装置(撮影制御装置21、編集制御装置37及び印刷制御装置38)を用いたシステム構成を例示したが、一つのコンピュータ装置が撮影、編集及び印刷のすべての工程を制御するシステム構成にすることもできる。
【0089】
撮影工程を終了させるための手段としては、予め決められた所定回数を撮影して終了にしてもよいし、利用者の操作により終了してもよいし、また、予め決められた制限時間が経過した時点で終了してもよい。
一方、編集工程を終了させるための手段としては、予め決められた制限時間が経過した時点で終了してもよいし、利用者の操作により終了してもよいし、また、撮影ブース2の後続利用者の利用状況により制限時間を決めて終了させることにしてもよい。
【0090】
〔第二実施形態〕
〔装置全体の構造〕
図17〜図19は、本発明の第二実施形態に係る自動写真作成装置1を示しており、図17はその全体構造を示している。
図17に示すように、本実施形態の自動写真作成装置1は、一つの撮影ブース2と、この撮影ブース2の外側に設けられた複数(図例では二つ)の編集ブース3A,3Bとを有する点で第一実施形態(図1〜図4)の作成装置1と同様であるが、この編集ブース3A,3Bの外側に出口ブース81を更に設けている点で、第一実施形態(図1〜図4)の作成装置1と異なる。
【0091】
〔出口ブースの構造〕
上記出口ブース81は、編集ブース3A,3Bでの編集工程が済んだ利用者U2に対して、画像データの転送を含むコンテンツの提供を行うためのブースである。
図18に示すように、本実施形態の出口ブース81は、コンテンツ提供用の作業ユニット82と、この作業ユニット82内に設けられた前記印刷装置(プリンタ)4とを備えている。上記作業ユニット82は、ほぼ直方体の下部筐体83と、この下部筐体83の上に連結されかつ前面が傾斜した入力作業台84と、下部筐体83の上端部分から手前に突出する平板状の載置台85と備えている。
【0092】
この載置台85は、出口ブース81に来た利用者U3が所有する携帯電話機30を置くことができる大きさに形成されており、当該電話機30に引っ掛かってその落下を防止する落下防止部86を先端部に備えている。
入力作業台84の前面には、編集工程が済んで出口ブース81に入った利用者U3が画像転送等の作業を行うための一つの入力画面87と、利用者U3の携帯電話機30との間で画像データの転送を含むデータ通信が可能な赤外線通信ポートよりなる通信ポート88が設けられている。
【0093】
また、作業ユニット82の下部筐体83の内部には、プログラマブルなコンピュータ装置よりなる前記印刷制御装置38が格納されており、この印刷制御装置38には、上記入力画面87及び通信ポート88が接続されている(図19参照)。
出口ブース81の入力画面87は、液晶タブレット等のタッチパネル式のディスプレイにより構成されており、印刷制御装置38に対する利用者U3による選択又は命令の入力手段を構成している。
【0094】
本実施形態では、入力画面87に対する入力作業は、利用者U2が直接指先で触れることによって行われるが、この入力作業は、前記タッチペン33(図3参照)による入力操作であってもよい。
前記通信ポート88は、利用者U3が所有する携帯電話機30に撮影画像や編集画像の画像データを転送するためのデータ転送手段として機能するものである。
【0095】
図18に示す通り、印刷装置(プリンタ)4は、撮影画像や編集画像よりなる画像データを印刷媒体に印字する印刷手段として機能するものであり、出口ブース81の下部筐体83の内部に設置されている。
この印刷装置4の下部には、各編集ブース3A,3Bで得られた画像データが印刷された印刷媒体を個別に払い出す二つの払い出し口37が設けられている。この各払い出し口37は、編集ブース3A,3Bと同じ数だけ設けられており、その各払い出し口37は編集ブース3A,3Bと一対一対応の番号又は記号を備えている。
【0096】
図18及び図19に示すように、上記印刷装置4は、プログラマブルなコンピュータ装置よりなる印刷制御装置38に接続されている。この印刷制御装置38には、当該印刷装置4と、印刷媒体を各払い出し口37のいずれかに搬送するフィーダ39が接続されている。
印刷制御装置38は、各編集ブース3A,3Bの編集制御装置35とデータ通信可能に接続されており、転送された画像データがどの編集ブース3A,3Bの編集制御装置35からのものかを識別し、その識別した編集ブース3A,3Bに対応する払い出し口37に印刷媒体を搬送するように、フィーダ39を駆動する。
【0097】
〔システム構成〕
図19は、本実施形態の自動写真作成装置1のシステム構成を示している。
前記した通り、本実施形態では、出口ブース81に設けた通信ポート88とこれが接続された印刷制御装置38がデータ転送手段として機能するので、編集制御装置35にはデータ伝送手段としての機能はない。
【0098】
〔出口ブースで行うコンテンツ提供の例〕
本実施形態では、出口ブース81の入力画面を利用して次の各コンテンツを利用者U3に提供できるようになっている。
(1) インターネットへの画像登録
利用者U3は、インターネットを介して、サーバに登録された画像を携帯電話機30からアクセスしてダウンロードすることができる。この場合の画像には、被写体である利用者U3の画像と編集画像を合成した静止画、或いは、被写体である利用者U3の数パターンの画像と数パターンの編集画像とを合成し、画像の切り替えでアニメーションを表現するアニメーション画像(GIFアニメ形式)が含まれる。
【0099】
(2) 携帯端末への画像転送
利用者U3は、赤外線通信等で待ち受け画像やデコメール画像を携帯電話機30に転送することができる。このときの待ち受け画像も、被写体である利用者U3の画像と編集画像を合成した静止画、或いは、被写体である利用者U3の数パターン画像と数パターンの編集画像とを合成し、画像の切り替えでアニメーションを表現するアニメーション画像(GIFアニメ形式)が含まれる。
なお、デコメール画像の場合には、数キロバイトのGIF画像で、静止画あるいはアニメーション形式が選択できる
【0100】
(3) ミニゲーム
利用者U3は、出口ブース81の入力画面87を利用して、パズルや占い等のミニゲームを行うことができる。
【0101】
〔出口ブースでの時間制御〕
本実施形態では、出口ブース81において、基本的に印刷装置4による印刷工程の間に、利用者U3に対して画像転送を含むコンテンツを提供するようにしている。もっとも、かかる画像転送を含むコンテンツの提供は印刷工程終了後に行われる場合もある。
一方、自動写真作成装置1で遊戯する利用者U3の本来の目的は、シールプリント(印刷媒体)を手に入れることであるため、出口ブース81でのコンテンツの延長があっても、これを放置してその場を去ることもあり、この場合には、当該コンテンツを終了させる方法が必要である。
【0102】
そこで、本実施形態では、新しい利用者U3が絶え間なくプレイする場合、出口ブース81を制御する印刷制御装置38が、最大で撮影画面と同じ時間を割り当てるようにしている(例えば、2分半)。
また、新しい利用者U3が入ってこない場合は、編集ブース3では、新しい利用者U2が入るまで、時間制限を外すことができる、この時、出口ブース81においても時間制限を外すことができる。
【0103】
すなわち、出口ブース81を制御する印刷制御装置38は、コンテンツの利用時間を制限又は延長するタイマ機能を有する。この場合、出口ブース81の利用時間は、上流側の編集ブース3A,3Bのいずれかの編集作業が終わるまでは、延長される(或いは、タイマーカウントダウンが停止する)。
また、上記編集作業が終了(終了ボタンで強制終了あるいはタイマによる終了)したら、出口ブース81でのタイマをスタートさせる(なお、分割選択のあと、移動指示が出て、次のユーザが出口に来るまで30秒から1分程度の余裕がある)。
【0104】
〔印刷制御装置によるタイマ制御フロー〕
すなわち、印刷制御装置38が行うより具体的なタイマ制御(時間設定)のフローは、次の通りである。
1.START
2.初期値を設定 たとえば1200秒
3.カウントダウン
4.落書き部が終わった? YES−>10へ
5.カウントが30以下? YES−>11へ
6.タイマに無制限と表示。あるいはスペシャルタイムと表示
7.11へ
【0105】
10.タイマに30秒を設定
11.タイマを表示
12.タイマが0か?YES−>20へ
13.3へ
20.出口画面を終了する
21.END
【0106】
上記タイマ制御フローによれば、編集作業が終了したら、出口ブース81のタイマが30秒からカウントダウンを始める。
編集ブース3A,3Bに人がいない、または無制限の場合は、出口ブース81でのコンテンツ利用が無制限(スペシャルタイム)となり、編集作業が終了した、あるいは所定の初期設定時間が30秒になったときに、その30秒からカウントダウンが始まる。
【0107】
〔編集終了時間のばらつきに伴う時間利用〕
一方、本実施形態の自動写真作成装置1において、例えば、編集作業が二つの編集ブース3A,3Bでほぼ同時に終わった場合、一方の編集ブース3Aの利用者U2は出口ブース81に30秒後に移動できるが、他方の編集ブース3Bの利用者U2は、更に出口ブース81でのプレイ時間が終了するまで、待たされることになる。
このような利用者U2の不満を防ぐために、次のような対策を講じることができる。
【0108】
すなわち、出口ブース81が塞がっていることを後続の利用者U3に知らせ、編集作業に戻してやることができる。
また、出口ブース81が塞がっていることを後続の利用者U3に知らせ、出口ブース81の入力画面87で行うコンテンツの選択処理やミニゲーム等を、編集ブース3A,3Bの入力画面(編集画面32)で行わせることにしてもよい。
更に、出口ブース81が塞がっていることを後続の利用者U3に知らせ、編集ブース3A,3Bの入力画面(編集画面32)を用いて、行う待ち受け転送やデコメ転送を編集ブース3A,3Bにおいて行わせることにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る自動写真作成装置の平面図であり、(b)は同装置の側面図である。
【図2】(a)は撮影ブース内の利用者から見た前部筐体の正面図であり、(b)は操作画面に表示されるプレビュー表示の一例を示す図である。
【図3】(a)は撮影ブースの作業ユニットの正面図であり、(b)は同作業ユニットの側面図である。
【図4】自動写真作成装置を制御するコンピュータ装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図5】二人の利用者が独自に編集作業を行うことができる編集画面の表示例を示す図である。
【図6】編集画像の階層構造を示す概念図である。
【図7】編集画面による画像データの転送方法の一例を示す図であり、(a)は転送用のツールボタンを操作する前の状態、(b)は同ボタンを操作した後の状態を示す。
【図8】編集画面による画像データの転送方法の他の例を示す図であり、(a)はダウンロードボタンを操作する前の状態、(b)は同ボタンを操作した後の状態を示す。
【図9】撮影工程のフローチャートである。
【図10】編集工程のフローチャートである。
【図11】編集工程における左右のタッチペン入力に対するフローチャートである。
【図12】印刷工程のフローチャートである。
【図13】印刷工程に入った後の赤外線通信の処理フローである。
【図14】編集可能時間を延長する時間設定機能の一例を示すパイプラインであり、(a)は延長前の状態、(b)は延長後の状態を示す。
【図15】編集可能時間を延長する時間設定機能の他の例を示すパイプラインであり、(a)は延長の必要がないまばら状態、(b)は延長の必要がある混雑状態を示す。
【図16】(a)は他の実施形態に係る自動写真作成装置の平面図であり、(b)は同装置の側面図である。
【図17】(a)は第二実施形態に係る自動写真作成装置の平面図であり、(b)は同装置の側面図である。
【図18】(a)は出口ブースの作業ユニットの正面図であり、(b)は同作業ユニットの側面図である。
【図19】第二実施形態に係る自動写真作成装置を制御するコンピュータ装置のシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0110】
1 自動写真作成装置
2 撮影ブース
3A 編集ブース
3B 編集ブース
3C 編集ブース
3D 編集ブース
4 印刷装置(印刷手段)
12A 上部カメラ(撮影手段)
12B 下部カメラ(撮影手段)
16 上部モニタ(表示手段)
17 操作画面(表示手段)
29 載置台
30 携帯電話機(携帯端末)
32 編集画面(編集手段)
33 タッチペン(編集手段)
34 通信ポート(データ転送手段)
35 編集制御装置(編集手段、データ転送手段、時間設定手段)
37 払い出し口
38 印刷制御装置(データ転送手段、時間設定手段)
81 出口ブース
87 入力画面
88 通信ポート(データ転送手段)
U1 撮影ブース内の利用者
U2 編集ブース内の利用者
U3 出口ブースの利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記撮影画像を利用者に提示するための表示手段と、
前記撮影画像に付加画像を付加して編集画像を作成するための編集手段と、
前記撮影画像又は前記編集画像を印刷するための印刷手段と、
前記編集手段での編集工程の開始から前記印刷手段での印刷工程の終了までの間に、前記利用者が所有する携帯端末に前記撮影画像又は前記編集画像の画像データを転送することができるデータ転送手段と、
を備えていることを特徴とする自動写真作成装置。
【請求項2】
前記編集手段は、前記データ転送手段による前記画像データの転送中においても並行して前記編集画像の編集が可能である請求項1に記載の自動写真作成装置。
【請求項3】
前記編集手段は、複数の利用者による同時並行の編集作業が可能であり、前記データ転送手段は、その複数の利用者の携帯端末に対して独自に前記画像データを転送可能である請求項1又は2に記載の自動写真作成装置。
【請求項4】
前記編集手段は、前記携帯端末の載置台を備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項5】
前記データ転送手段による前記画像データの伝送方式は、赤外線通信等のワイヤレス伝送方式である請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項6】
前記編集手段は、前記画像データの転送を行う利用者の携帯端末の機種に応じた転送手順を表示可能である請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項7】
前記編集手段は、複数の前記画像データの中から転送したい画像データを前記利用者に選択させる機能を有している請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項8】
前記編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースを備えており、
前記印刷手段は、前記画像データを印刷媒体に印字する一つの印刷装置と、前記複数の編集ブースで得られた画像データが印刷された印刷媒体を個別に払い出す複数の払い出し口を備えている請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項9】
前記撮影手段での撮影作業を行うための一つの撮影ブースと、
前記編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースと、
後続利用者が前記撮影ブースに来ていないときは、先行利用者による前記編集ブースでの編集可能時間を延長する時間設定手段とを備えている請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項10】
前記編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースと、
この各編集ブースの利用者が共用する一つの前記印刷手段と、
先行利用者が前記印刷手段を使用しているときは、その先行利用者のための印刷が終わるまで後続利用者による前記編集ブースでの編集可能時間を延長する時間設定手段とを備えている請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動写真作成装置。
【請求項11】
利用者を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記撮影画像を利用者に提示するための表示手段と、
前記撮影画像に付加画像を付加して編集画像を作成するための編集手段と、
前記撮影画像又は前記編集画像を印刷するための印刷手段と、
前記利用者が所有する携帯端末に前記撮影画像又は前記編集画像の画像データを転送するデータ転送手段と、
前記編集手段での編集作業をそれぞれ行うための複数の編集ブースと、
この各編集ブースの利用者がその編集作業後に共用する一つの出口ブースとを備え、
前記データ転送手段による画像データの転送作業が前記出口ブースにおいて行われることを特徴とする自動写真作成装置。
【請求項12】
前記出口ブースに対する画像データの転送のための操作が一定時間行われない場合に、当該出口ブースの利用時間を終了させる時間設定手段が設けられている請求項11に記載の自動写真作成装置。
【請求項13】
前記時間設定手段は、前記編集ブースでの編集作業が終了するまでの間は、前記出口ブースの利用時間を確保する請求項12に記載の自動写真作成装置。
【請求項14】
利用者を含む被写体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、前記撮影画像を利用者に提示するための表示手段と、前記撮影画像に付加画像を付加して編集画像を作成するための編集手段と、前記撮影画像又は前記編集画像を印刷するための印刷手段とを備えた自動写真作成装置による自動写真作成方法であって、
前記編集手段での編集工程の開始から前記印刷手段での印刷工程の終了までの間に、前記利用者が有する携帯端末に前記撮影画像又は前記編集画像の画像データを転送するデータ転送工程が含まれていることを特徴とする自動写真作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−61225(P2008−61225A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181812(P2007−181812)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(597047392)辰巳電子工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】