説明

自動分析装置

【課題】反応容器内へ洗浄ノズルを挿入したり、引き上げたりする際、洗浄ノズルから洗浄水や反応容器に収容されていた混合液等が飛び散り、他の反応容器内へ入ってしまうことを防止し、反応容器の洗浄効率の向上させる。
【解決手段】反応ディスクは、サンプルと試薬とが収容される反応容器72を保持可能に構成される。洗浄機構は、反応容器72をノズル115で洗浄する。覆い127は、ノズル115の軸に沿って移動可能に設けられ、反応容器72の開口部を覆うように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、生化学検査項目や免疫検査項目などの測定項目を測定対象とする。自動分析装置は、サンプルと各測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注し、攪拌する。サンプルと試薬とが混合されると、混合液は、化学反応をし、色調や濁度などが変化する。自動分析装置は、この色調や濁度等の変化を光の透過量を測定することにより、サンプル中の様々な成分の濃度や酵素の活性を測定している。測定後、混合液は、廃棄される。そして、混合液が入っていた反応容器は、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、洗浄ノズルにより洗剤や水で洗浄され、乾燥ノズルで乾燥される。乾燥された反応容器は、再び測定に利用される。
【0003】
反応容器の最適な洗浄パターンは、測定項目、すなわちサンプルや試薬に応じて異なっている。なお洗浄パターンとは、例えば、使用する洗浄水の種類や使用回数、使用順序等である。しかしながら、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、各洗浄ノズルの役割分担は、固定されている。すなわち反応容器は、サンプルや試薬の種類に関係なく一定の洗浄パターンで洗浄されている。従って、測定項目に最適な洗浄パターンで反応容器を洗浄できない場合が多く、反応容器の洗浄精度や洗浄効率の向上が望まれている。
【0004】
また、反応容器内へ洗浄ノズルを挿入したり、反応容器から洗浄ノズル引き上げたりする際、洗浄ノズルから洗浄水や反応容器に収容されていた混合液等が飛び散り、他の反応容器内へ入ってしまう場合がある。このような反応容器への洗浄水の混入により、反応容器の洗浄精度や洗浄効率が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−102282号公報
【特許文献2】特開平6−160398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的は、反応容器の洗浄効率を向上させる自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る自動分析装置は、サンプルと試薬とが収容される反応容器を保持可能な反応ディスクと、前記反応容器をノズルで洗浄する洗浄機構と、前記ノズルの軸に沿って移動可能に設けられ、前記反応容器の開口部を覆うための覆いと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る自動分析装置の構成を示す図。
【図2】図1の分析機構の構造を示す斜視図。
【図3】図1の洗浄パターン設定部により設定される洗浄パターンの一例を示す図。
【図4】図1の洗浄パターン設定部により反応容器毎に設定された洗浄パターンの一例を示す図。
【図5】第1実施形態の第1実施例に係る洗浄機構の構造を模式的に示す図。
【図6】図5の洗浄機構の構造を概略的に示す斜視図。
【図7】第1実施例に係る自動分析装置の洗浄系の機能ブロック図。
【図8】図7の洗浄機構制御部の制御による洗浄機構の動作例を説明するための図であって、各洗浄位置に配置される反応容器を回動サイクル毎に示す図。
【図9】第1実施例の変形例1に係る洗浄機構の構造を模式的に示す図。
【図10】第1実施例の変形例1に係るノズルと覆いとからなるモジュールの斜視図。
【図11】第1実施例の変形例2に係る洗浄機構の構造を模式的に示す図。
【図12】第1実施形態の第2実施例に係る洗浄機構の構造を模式的に示す図。
【図13】図12の洗浄機構の正面方向に関する概略斜視図。
【図14】図12の洗浄機構の側面方向に関する概略斜視図。
【図15】第1実施形態の第2実施例に係る自動分析装置の洗浄系の機能ブロック図。
【図16】第2実施形態の洗浄パターン設定部により設定される洗浄パターンの一例を示す図。
【図17】第2実施形態の洗浄パターン設定部により反応容器毎に設定された洗浄パターンの一例を示す図。
【図18】第2実施形態に係るノズルと覆いとの構造を説明するための斜視図。
【図19】第2実施形態に係るノズルと覆いとの構造を説明するための他の斜視図。
【図20】第2実施形態に係る自動分析装置の洗浄系の機能ブロック図。
【図21】図20の洗浄機構制御部の制御によるノズルと覆いとの動作例について説明であり、待機時のノズルと覆いと反応容器との位置関係を示す図。
【図22】図20の洗浄機構制御部の制御によるノズルと覆いとの動作例について説明であり、洗浄動作スキップ(OFF)時のノズルと覆いと反応容器との位置関係を示す図。
【図23】図20の洗浄機構制御部の制御によるノズルと覆いとの動作例について説明であり、洗浄動作時のノズルと覆いと反応容器との位置関係を示す図。
【図24】変形例1に係る覆いの構造を示す断面図である。
【図25】図24のノズルに固着されている覆いの構造を示す断面図。
【図26】変形例2に係る覆いの構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる自動分析装置について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。図1に示すように、自動分析装置1は、分析部10、データ処理部20、出力部30、操作部40、洗浄パターン設定部50、及びシステム制御部60を備える。
【0011】
分析部10は、血清や尿などのサンプルを測定項目毎に試薬を用いて測定し、サンプルに関する測定データを生成する。分析部10は、分析機構11と分析機構制御部12と分析機構駆動部13とを備える。
【0012】
図2は、分析機構11の構造を示す斜視図である。図2に示すように、分析機構11は、反応ディスク71を備える。反応ディスク71は、円周上に等間隔で配列された複数(m個)の反応容器72を回動可能に保持する。反応ディスク71は、既定角度の回動と一定期間の停止とを交互に繰り返す。ここで、一回の回動とそれに続く一回の停止とからなる一連の動作単位を回動サイクルと呼ぶことにする。回動角度は、例えば、反応ディスク71の周回サイクルに応じて規定される。周回サイクルは、反応容器72を1セル分だけ移動するための一連の動作単位である。例えば、回動角度は、1/3周分程度である。この場合、反応ディスク71は、3回回動すると、1周と1セル分だけ回動することとなる。換言すれば、反応容器72は、周回サイクル毎に1セル分だけ移動する。そして反応ディスク71のセル数分の周回サイクルが繰り返されると、反応容器72は、元のセル位置に戻る。例えば、反応ディスク71に40個のセルが設けられている場合、反応容器72が元のセル位置に戻るためには、40回分の周回サイクルが繰り返される必要がある。このように、反応容器72が回動を開始してから全てのセル位置に順番に配置されて元のセル位置に戻るための一連の動作単位を分析サイクルと呼ぶことにする。
【0013】
分析機構11は、反応ディスク71の近傍にディスクサンプラ73を有する。ディスクサンプラ73は、サンプル容器74を回動可能に保持する。サンプル容器74は、標準試料や被検試料等のサンプルを収容する。また、分析機構11は、反応ディスク71の近傍に第1試薬庫75を有する。第1試薬庫75は、第1試薬容器76を回動可能に保持する。第1試薬容器76は、サンプルに含まれる各測定項目の成分に反応する第1試薬を収容する。また、分析機構11は、反応ディスク71の内周側に第2試薬庫77を有する。第2試薬庫77は、第2試薬容器78を回動可能に保持する。第2試薬容器78は、第1試薬に対応する第2試薬を収容する。
【0014】
分析機構11は、反応ディスク71とディスクサンプラ73との間にサンプルアーム81を備える。サンプルアーム81は、サンプルプローブ82を回動可能及び上下動可能に支持している。サンプルプローブ82は、ディスクサンプラ73上のサンプル吸引位置にあるサンプル容器74からサンプルを吸引し、反応ディスク71上のサンプル吐出位置にある反応容器72にサンプルを吐出する。分析機構11は、反応ディスク71と第1試薬庫75との間に第1試薬アーム83を備える。第1試薬アーム83は、第1試薬プローブ84を回動可能及び上下動可能に支持している。第1試薬プローブ84は、第1試薬庫75上の第1試薬吸引位置にある第1試薬容器76から第1試薬を吸引し、反応ディスク71上の第1試薬吐出位置にある反応容器72に第1試薬を吐出する。分析機構11は、反応ディスク71の近傍に第2試薬アーム85を備える。第2試薬アーム85は、第2試薬プローブ86を回動可能及び上下動可能に支持している。第2試薬プローブ86は、第2試薬庫77上の第2試薬吸引位置にある第2試薬容器78から第2試薬を吸引し、反応ディスク71上の第2試薬吐出位置にある反応容器72に第2試薬を吐出する。
【0015】
また分析機構11は、撹拌機構87、測光機構88、及び洗浄機構89を有する。撹拌機構87は、反応ディスク71上の撹拌位置にある反応容器72内のサンプル及び第1試薬の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌子で撹拌する。測光機構88は、反応ディスク71により回動されている反応容器72に光(測光ビーム)を照射し、サンプルを含む混合液を透過した光を吸光度に変換して測定データを生成する。そして、測光機構88は、生成された測定データをデータ処理部20に出力する。
【0016】
洗浄機構89は、反応ディスク71上の複数の洗浄位置にそれぞれ配置された複数の反応容器72を洗浄用のノズルで洗浄する。また、洗浄機構89は、洗浄された反応容器72を乾燥用のノズルで乾燥する。より詳細には、洗浄機構89は、洗浄対象の反応容器72内のサンプルの測定項目に対応する洗浄パターンに従って、その洗浄対象反応の反応容器72を洗浄する。洗浄パターンは、測定項目毎に設定可能である。洗浄パターンは、ユーザによる操作部40を介した指示に従って任意に設定可能である。
【0017】
分析機構制御部12は、各機構を駆動するために分析機構駆動部13を制御する。具体的には、分析機構制御部12による制御に従って分析機構駆動部13は、反応ディスク71、ディスクサンプラ73、第1試薬庫75、及び第2試薬庫77をそれぞれ回動する。また、分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って、サンプルアーム81、第1試薬アーム83、及び第2試薬アーム85をそれぞれ回動させたり上下動させたりする。また、分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って洗浄機構89を制御する。
【0018】
また、分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って、サンプル分注ポンプを駆動して、サンプルプローブ82にサンプルを吸引させたり、吐出させたりする。また、分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って第1試薬分注ポンプを駆動して、第1試薬プローブ84に第1試薬を吸引させたり、吐出させたりする。また、分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って第2試薬分注ポンプを駆動して、第2試薬プローブ86に第2試薬を吸引させたり、吐出させたりする。分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って洗浄ポンプを駆動して、洗浄機構89のノズルに反応容器72内の混合液を吸引させたり、洗浄液を反応容器72内へ吐出させたり、反応容器72内の洗浄液を吸引させたりする。また、分析機構駆動部13は、分析機構制御部12による制御に従って乾燥ポンプを駆動して、洗浄機構89の乾燥用のノズルに反応容器72内を乾燥させる。
【0019】
上述のように反応ディスク71は、回動サイクル毎に回動と停止とを交互に繰り返す。分析機構制御部12は、このような回動と停止とを繰り返しながら分注や攪拌、測光、洗浄を実行する。例えば、分析機構制御部12は、反応ディスク71の停止期間において分注や洗浄、攪拌を実行し、反応ディスク71の回動期間において測光を実行する。
【0020】
データ処理部20は、分析部10により生成された種々のデータを演算したり、記憶したりする。データ処理部20は、演算部21と記憶部22とを有する。演算部21は、測光機構88により生成された各測定項目の測定データに基づいて検量線を作成し、作成された検量線のデータを記憶部22に記憶させるとともに、出力部30に供給する。また、演算部21は、作成された検量線のデータを利用して測定データから測定項目成分の濃度や活性値等の分析データを生成し、生成された分析データを記憶部22に記憶させるとともに、出力部30に供給する。記憶部22は、ハードディスク等の記憶媒体を備える。記憶部22は、演算部21により生成された検量線のデータを測定項目毎に記憶したり、各測定項目の分析データをサンプル毎に保存したりする。
【0021】
出力部30は、データ処理部20で作成された検量線や生成された分析データ等を種々の態様で出力する。具体的には、出力部30は、印刷部31と表示部32とを備える。印刷部31としては、プリンタ等の出力デバイスが利用可能である。このプリンタは、データ処理部20から出力された検量線や分析データ等をプリンタ用紙に所定のレイアウトで印刷する。表示部32は、データ処理部20から出力された検量線や分析データを表示したり、各測定項目に関するサンプルの液量、第1試薬の液量、第2試薬の液量、測光ビームの波長等の分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検体IDや被検体名等を設定するための被検体情報設定画面を表示する。また、表示部32は、サンプル毎の測定項目を選択するための測定項目選択画面、測定項目毎に洗浄パターンを設定するための洗浄パターン設定画面等を表示したりする。表示部32としては、例えばCRT(cathode-ray tube)ディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機EL(electro luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスが適宜利用可能である。
【0022】
操作部40は、各測定項目の分析条件の入力や、各種コマンド信号の入力などを行う。具体的には、操作部40は、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等の入力デバイスを備える。操作部40は、ユーザからの指示に従って入力デバイスを介して、サンプル毎に測定する測定項目、各測定項目の分析条件、被検体情報(例えば、被検体IDや被検体名等)、各測定項目の洗浄パターン等を入力する。
【0023】
洗浄パターン設定部50は、ユーザによる操作部40を介して入力された洗浄パターンに関する指示に従って洗浄パターンを設定する。
【0024】
システム制御部60は、測定項目に関する測定を行うために、自動分析装置1が備える各部を統括して制御する。また、本実施形態に特徴的な技術としてシステム制御部60は、測定項目毎に設定される洗浄パターンに従って各部を制御する。
【0025】
次に洗浄パターン設定部50による洗浄パターンの設定処理について説明する。図3は、洗浄パターン設定部50により設定される洗浄パターンの一例を示す図である。図3に示すように、洗浄パターンは、反応ディスク71上の各洗浄位置における洗浄動作により規定される。洗浄動作は、例えば、高濃度廃液の排出、低濃度廃液の排出、純水による洗浄、アルカリ性洗剤による洗浄、酸性洗剤による洗浄、吸引、乾燥である。高濃度廃液や低濃度廃液の排出、純水による洗浄の場合、反応容器72内の廃液をノズルで吸引・排出後に、純水がノズルから反応容器72へ吐出される。アルカリ性洗剤による洗浄の場合、反応容器72内の廃液をノズルで吸引・排出後に、アルカリ性洗剤がノズルから反応容器72へ吐出される。酸性洗剤による洗浄の場合、反応容器72内の廃液をノズルで吸引・排出後に、酸性洗剤がノズルから反応容器72へ吐出される。
【0026】
反応容器72は、周回サイクル毎に洗浄位置aから洗浄位置hまで順番に配置され各洗浄位置において洗浄される。すなわち、洗浄位置は、反応容器72の洗浄動作の順番を意味している。例えば、洗浄パターンAの場合、まず洗浄位置aにおいて反応容器72は、純水が注入されるとともに高濃度廃液の排出が行われる。次に洗浄位置bにおいて反応容器72は、アルカリ性洗剤で洗浄される。次に洗浄位置cにおいて反応容器72は、酸性洗剤で洗浄される。次に洗浄位置dにおいて反応容器72は、純水で洗浄される。次に洗浄位置eにおいて反応容器72は、純水で洗浄される。次に洗浄位置fにおいて反応容器72は、純水で洗浄される。次に洗浄位置gにおいて反応容器72は、純水等の溶液が吸引される。そして洗浄位置hにおいて反応容器72は、乾燥される。
【0027】
図3に示すように、洗浄位置毎に洗浄動作が規定されているので、同種の洗浄水を複数の洗浄位置において使用することができる。例えば、洗浄パターンBのように洗浄位置bと洗浄位置cとの両方でアルカリ性洗剤による洗浄を実行することができる。また、洗浄パターンEのように洗浄位置bと洗浄位置cとの両方で酸性洗剤による洗浄を実行することができる。
【0028】
洗浄パターンの設定は、例えば、測定項目の設定の後に行われる。洗浄パターンの設定段階においてユーザは、操作部40を介して測定項目毎にこれら複数の規定の洗浄パターンのうちから一つを選択する。洗浄パターン設定部50は、選択された洗浄パターンを設定対象の測定項目に設定する。測定項目と反応容器72とは、例えば、システム制御部60により対応づけられている。洗浄パターン設定部50は、設定された洗浄パターンを設定対象の測定項目の測定に供される反応容器72に設定する。従って、測定項目に洗浄パターンを設定することで、その測定項目の測定に供される反応容器72は、その測定項目に設定された洗浄パターンに従って洗浄される。
【0029】
図4は、洗浄パターン設定部50により反応容器72毎に設定された洗浄パターンの一例を示す図である。図3と図4とを比較すればわかるように、各反応容器72(図4の反応容器A、反応容器B、反応容器C、反応容器D、反応容器E、反応容器F、反応容器G)には、既定の洗浄パターンのうちの何れか一つが割り当てられている。例えば、反応容器Aには、図3の洗浄パターンAが設定されている。
【0030】
なお、上述においては、洗浄パターンは、予め規定されているものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、洗浄パターン設定部50は、操作部40を介したユーザからの指示に従って、各測定項目について洗浄位置毎に洗浄動作を設定してもよい。また、洗浄パターン設定部50は、操作部40を介したユーザからの指示に従って、洗浄パターンの各洗浄動作を変更してもよい。
【0031】
次に、このような洗浄動作を実現するための構成や動作について第1実施例と第2実施例とに分けて詳細に説明する。
【0032】
〔第1実施例〕
図5は、第1実施形態の第1実施例に係る洗浄機構89の構造を模式的に示す図である。図5に示すように、洗浄機構89は、純水タンク101、アルカリ性洗剤タンク103、及び酸性洗剤タンク105等の複数の洗浄水容器を有している。純水タンク101は、洗浄水の一つである純水を貯蔵する。純水タンク101には、純水の流路である純水ライン107が接続されている。純水ライン107は、純水タンク101と流路切り換え弁113とを接続する。アルカリ性洗剤タンク103は、洗浄水の一つであるアルカリ性洗剤を貯蔵する。アルカリ性洗剤タンク103には、アルカリ性洗剤の流路であるアルカリ性洗剤ライン109が接続されている。アルカリ性洗剤ライン109は、アルカリ性洗剤タンク103と流路切り換え弁113とを接続する。酸性洗剤タンク105は、洗浄水の一つである酸性洗剤を貯蔵する。酸性洗剤タンク105には、酸性洗剤の流路である酸性洗剤ライン111が接続されている。酸性洗剤ライン111は、酸性洗剤タンク105と流路切り換え弁113とを接続する。
【0033】
また、反応ディスク71上の複数の洗浄位置a〜hには、複数のノズル115がそれぞれ設けられている。すなわち、1つの洗浄位置に1つのノズル115が設けられている。複数のノズル115は、図示されていない鉛直方向支持機構により鉛直方向に個別に移動可能に支持されている。洗浄位置a〜fの各ノズル115は、洗浄水による洗浄のために利用される。洗浄位置gのノズル115は、吸引のために利用される。洗浄位置hのノズル115は、吸引と乾燥チップ117による乾燥とのために利用される。
【0034】
複数のノズル115には、複数の供給用の流路(以下、供給ラインと呼ぶことにする。)119がそれぞれ接続されている。複数の供給ライン119は、複数のノズル115と流路切り換え弁113とを接続する。供給ライン119には、反応容器72へ吐出するための純水、アルカリ性洗剤、又は酸性洗剤が回動サイクル毎に選択的に流入される。
【0035】
また、複数のノズル115には、複数の排出用の流路(以下、排出ラインと呼ぶことにする。)が接続されている。排出ラインは、高濃度廃液ライン121、低濃度廃液ライン123、又は吸引ライン125である。高濃度廃液ライン121は、比較的に高濃度の廃液のための流路である。例えば、高濃度廃液ライン121は、洗浄位置aに配置されたノズル115に接続される。低濃度廃液ライン123は、比較的に低濃度の廃液のための流路である。例えば、低濃度廃液ライン123は、洗浄位置b〜洗浄位置fまでの各ノズル115に接続される。吸引ライン125は、反応容器72内の水分(例えば、純水による)のための流路である。例えば、吸引ライン125は、洗浄位置hに配置されたノズル115に接続される。
【0036】
流路切り換え弁113は、各ノズル115(供給ライン119)と各洗剤ライン(純水ライン107、アルカリ性洗剤ライン109、及び酸性洗剤ライン111)との接続を切り換える機構である。流路切り換え弁113は、洗浄パターンに従う洗浄水を各ノズル115に流入させるために、各ノズル115と各洗剤ラインとの間の接続を切り換える。流路切り換え弁113は、例えば、電磁弁により構成される。流路切り換え弁113は、後述する弁駆動部からの駆動信号を受けて作動する。流路切り換え弁113は、1の洗浄ラインを同時に複数のノズル115(供給ライン119)に接続することができる。例えば、純水ライン107は、洗浄位置cの供給ライン119、洗浄位置dの供給ライン119、及び洗浄位置eの供給ライン119に同時に接続可能である。
【0037】
次に第1実施例に係る洗浄機構89の構造について説明する。図6は、第1実施例に係る洗浄機構89の構造を概略的に示す斜視図である。図6に示すように、洗浄機構89は、複数のノズル115を個別に上下動可能な構造を有している。具体的には、洗浄機構89は、複数のリードスクリュ131を有している。リードスクリュ131は、典型的には、表面に螺旋状の溝が形成された円柱形状の構造物である。リードスクリュ131は、軸心が略鉛直方向に沿うように固定されている。リードスクリュ131には、アーム133が取り付けられている。アーム133の一端には、貫通孔が形成されている。貫通孔の内面には、リードスクリュ131の表面の溝に嵌り合う溝が形成されている。アーム133は、この貫通孔においてリードスクリュ131に螺合している。このようにリードスクリュ131は、略鉛直方向に沿って上下動可能にアーム133を支持する鉛直方向支持機構として機能する。アーム133の他端には、ノズル115が取り付けられている。また、リードスクリュ131の一端には、DCモータ(直流電動機)135が設けられている。DCモータ135は、鉛直方向駆動部として機能する。DCモータ135は、後述する洗浄機構制御部141からの制御に従って駆動し、リードスクリュ131を回動させることにより、ノズル115を鉛直方向に沿って上下動させる。
【0038】
リードスクリュ131の両端には、ホトセンサ137が取り付けられている。ホトセンサ137は、アーム133がリードスクリュ131の端部に到達したことを光学的に検出する。アーム133が端部に到達されたことがホトセンサ137により検出されると、DCモータ135が停止する。
【0039】
図7は、本実施形態の第1実施例に係る自動分析装置1の洗浄系の機能ブロック図である。図7に示すように、自動分析装置1の洗浄系は、システム制御部60を中枢として、表示部32、操作部40、洗浄パターン設定部50、洗浄機構制御部141、鉛直方向駆動部(DCモータ)135、及び弁駆動部143を備える。なお、表示部32、操作部40、及び洗浄パターン設定部50については、上述したのでここでの説明を省略する。
【0040】
洗浄機構制御部141は、上述の分析機構制御部12の一部分である。洗浄機構制御部141は、洗浄パターン設定部50により設定された洗浄パターンに従って弁駆動部143と鉛直方向駆動部135とを制御する。弁駆動部143は、上述の分析機構駆動部13の一部分である。弁駆動部143は、洗浄機構制御部141による制御に従って駆動し、流路切り換え弁113を作動し、洗浄ラインとノズル115との間の接続を切り換える。より詳細には、洗浄機構制御部141は、洗浄対象の反応容器72に設定された洗浄動作に応じた洗浄水が、洗浄位置に設けられたノズル115に流通するように、流路切り換え弁113を作動する。鉛直方向駆動部135は、上述の分析機構駆動部13の一部分である。鉛直方向駆動部135は、洗浄機構制御部141による制御に従って駆動し、鉛直方向支持機構(リードスクリュ)131を作動し、ノズル115を上下動する。
【0041】
次に洗浄機構制御部141の制御による洗浄機構89の動作例について具体的に説明する。図8は、各洗浄位置に配置される反応容器72を回動サイクル毎に示す図である。図8に示すように、周回サイクルは、n(例えば、3)回の回動サイクルからなり、分析サイクルは、m(例えば、40)回の周回サイクルからなる。反応容器72は、周回サイクルごとに洗浄位置を1セルずつ移動する。反応ディスク71の回動期間に反応容器72が移動され、反応ディスク71の停止期間に反応容器72が洗浄される。
【0042】
洗浄機構制御部141は、回動サイクル毎に、各洗浄位置に配置される反応容器72の洗浄パターンに従って弁駆動部143を制御し、各洗浄位置の反応容器72に応じた洗浄水をノズル115に供給する。具体的には、洗浄機構制御部141は、回動サイクル毎に各洗浄位置に配置される反応容器72を識別する。各洗浄位置に配置される反応容器は、既存の技術により識別される。反応容器72を識別すると洗浄機構制御部141は、識別された反応容器に設定された洗浄パターンを特定し、特定された洗浄パターンのうちの配置される洗浄位置の洗浄動作を特定する。そして洗浄機構制御部141は、特定された洗浄動作に応じて弁駆動部143を制御し、流路切り換え弁113を作動する。流路切り換え弁113は、例えば、反応ディスク71の回動期間や反応ディスクの停止期間の初期段階において弁駆動部143により作動される。特定された洗浄動作が高濃度廃液の排出や低濃度廃液の排出、水洗浄の場合、弁駆動部143を制御し、その洗浄位置のノズル115と純水ライン107とを接続する。また、洗浄機構制御部141は、特定された洗浄動作がアルカリ性洗剤洗浄の場合、弁駆動部143を制御し、その洗浄位置のノズル115とアルカリ性洗剤ライン109とを接続する。また、洗浄機構制御部141は、特定された洗浄動作が酸性洗剤洗浄の場合、弁駆動部143を制御し、その洗浄位置のノズル115と酸性洗剤ライン111とを接続する。
【0043】
ノズル115と供給ラインとの接続が完了すると洗浄機構制御部141は、鉛直方向駆動部135を制御し、各洗浄位置のノズル115を下降させる。そして各洗浄位置の反応容器72に応じた洗浄水がノズル115から吐出される。例えば、ノズル115と純水ライン107とが接続された場合、ノズル115から純水が吐出される。ノズル115とアルカリ性洗剤ライン109とが接続された場合、ノズル115からアルカリ性洗剤が吐出される。ノズル115と酸性洗剤ライン111とが接続された場合、ノズル115から酸性洗剤が吐出される。洗浄水が吐出されると洗浄機構制御部141は、鉛直方向駆動部135を制御し、各洗浄位置のノズル115を上昇させる。ノズル115が上昇されると反応ディスク71が回動角度だけ回動される。そして再び同様にして流路切り換え弁113の作動と洗浄水の吐出とが繰り返される。
【0044】
このようにして洗浄機構制御部141による制御のもと、各洗浄位置のノズル115から、各洗浄位置の反応容器72に設定された洗浄パターンに従う洗浄水が吐出される。例えば、回動サイクルC1において、洗浄位置aのノズル115からは、反応容器Aに設定された洗浄パターン内の洗浄位置a(1回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置bのノズル115からは、反応容器Bに設定された洗浄パターン内の洗浄位置b(2回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置cのノズル115からは、反応容器Cに設定された洗浄パターン内の洗浄位置c(3回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置dのノズル115からは、反応容器Dに設定された洗浄パターン内の洗浄位置d(4回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置eのノズル115からは、反応容器Eに設定された洗浄パターン内の洗浄位置e(5回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置fのノズル115からは、反応容器Fに設定された洗浄パターン内の洗浄位置f(6回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置gのノズル115からは、反応容器Gに設定された洗浄パターン内の洗浄位置g(7回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出され、洗浄位置hのノズル115からは、反応容器Hに設定された洗浄パターン内の洗浄位置h(8回目の洗浄動作)に対応する洗浄水が吐出される。なお、設定された洗浄動作によっては、ノズル115から洗浄水が吐出されなくてもよい。
【0045】
なお、例えば、回動サイクルC1においてアルカリ性洗剤が流通し、回動サイクルC2において酸性洗剤が流通する場合等、回動サイクル間で1つの供給ライン119に異なる種類の洗浄水が流通する場合がある。この場合、供給ライン119において異なる種類の洗浄水が混じり合い、洗浄精度が悪化したり、供給ライン119が劣化したりする虞がある。
【0046】
このような洗浄精度の悪化や供給ライン119の劣化の防止策を以下に説明する。例えば、洗浄機構制御部141は、供給ライン119内を洗浄するために、洗浄動作のための洗浄水の供給とは別に、回動サイクル毎に純水を供給ライン119に供給する。供給される純水は、供給ライン119内に残留するアルカリ性洗剤や酸性洗剤がノズル115から押し出されるまで供給されるとよい。なお、供給ライン119内の洗浄のための純水の供給は、洗浄水の供給が終了してから反応ディスク71が回動し始めるまでの間が良い。また、反応ディスク71の回動中に純水を供給しても良い。この場合、ノズル115から押し出された溶液が回動中の反応容器に混入してしまうことを防止するために、例えば、ノズル115を洗浄位置から待避させるとよい。ノズル115の待避場所は、例えば、供給ライン119の洗浄のために設けられた洗浄プール等が良い。なお、供給ライン119の洗浄に使用する溶液は、純水のみに限定されない。例えば、洗浄対象の供給ライン119で次の回動サイクルで使用する洗浄水を供給ライン119に供給してもよい。
【0047】
また、各洗浄位置において反応容器72を洗浄している際、洗浄水等の反応容器72内の溶液が飛び散り、他の反応容器72内に入り込む場合がある。この場合、他の反応容器72の洗浄精度や測定精度を悪化してしまう虞がある。
【0048】
このような、溶液の飛び散りを防止するための防止策を以下に説明する。図5に示すように、鉛直方向支持機構131は、反応容器72の開口部を覆うための覆い127を搭載している。覆い127は、ノズル115と一体に上下動可能に設けられていても良いし、ノズル115とは独立して上下動可能に設けられていて良い。以下、覆い127とノズル115とは、一体に設けられているとする。この場合、ノズル115が下降されることにより、反応容器72の開口部が覆い127により塞がれる。すなわち、覆い127は、ノズル115の下降時において反応容器72の開口部を覆うことが可能なノズル115の位置に固着されている。覆い127は、反応容器72の開口部に入り込み可能な先端部を有している。先端部が開口部に入り込むことで、反応容器72が密閉される。従って開口部が塞がれた状態で反応容器72を洗浄することができる。これにより、他の洗浄位置に配置された反応容器72へ洗浄水等の溶液が飛び散ることを防止できる。
【0049】
1分析サイクル経過すると、測定項目の測定が終了する。従って1分析サイクル経過すると、反応容器72に設定された洗浄パターンは、洗浄パターン設定部50により解除される。そして、次の分析サイクルにおいて新たな測定項目を測定する場合、洗浄パターン設定部50は、この新たな測定項目に関する洗浄パターンを反応容器72に設定する。そしてその反応容器72は、反応ディスク71により回動されながら、分注や測光、撹拌、洗浄に供される。
【0050】
上述のように第1実施例に係る自動分析装置1は、測定項目毎にその測定項目の測定に供される反応容器72の洗浄パターン(洗浄水の種類、洗浄水の順番、洗浄水の使用回数)を設定することができる。また、自動分析装置1は、洗剤ライン(純水ライン107、アルカリ性洗剤ライン109、酸性洗剤ライン111)とノズル115との間の接続を切り換える流路切り換え弁113を備えている。自動分析装置1は、設定された洗浄パターンで反応容器72を洗浄するために流路切り換え弁113を駆動する。このような構成により、第1実施例に係る自動分析装置1は、回動サイクル毎に洗浄位置毎の洗浄動作を変更することができる。従って自動分析装置1は、個々の測定項目に適した洗浄パターンで反応容器72を洗浄することができる。かくして第1実施例に係る自動分析装置1は、反応容器72の洗浄効率を向上させることが可能となる。
【0051】
第1実施例の変形例1:
上述の実施形態においては、1つの洗浄位置に1つのノズルが設けられるとした。しかしながら、第1実施例はこれに限定されない。例えば、洗浄水の種類に応じた数のノズルを1の洗浄位置に設けても良い。以下に、このような構造を有する第1実施例の変形例1に係る洗浄機構89について説明する。なお以下の説明において、第1実施例と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0052】
図9は、第1実施例の変形例に係る洗浄機構89の構造を模式的に示す図である。図9に示すように、各洗浄位置に3つのノズル115(純水用のノズル115a、アルカリ性洗剤用のノズル115b、及び酸性洗剤用のノズル115c)が設けられている。3つのノズル115は、例えば、覆い127に取り付けられている。このように3つのノズル115と覆い127とは、モジュール化されている。3つのノズルは、図示しない鉛直方向支持機構により一体に上下動可能に支持されている。純水ライン107は、純水用の流路切り換え弁113aに接続されている。流路切り換え弁113aと各洗浄位置のノズル115aとは、純水用の供給ライン119aに接続される。アルカリ性洗剤ライン109は、アルカリ性洗剤用の流路切り換え弁113bに接続されている。流路切り換え弁113bと各洗浄位置のノズル115bとは、アルカリ性洗剤用の供給ライン119bに接続される。酸性洗剤ライン111は、酸性用の流路切り換え弁113cに接続されている。流路切り換え弁113cと各洗浄位置のノズル115cとは、酸性洗剤用の供給ライン119cに接続される。
【0053】
洗浄機構制御部141は、各洗浄位置に配置される反応容器72に設定された洗浄パターンに従って弁駆動部143を制御し、各洗浄位置の反応容器72に洗浄パターンに従う洗浄水を流入するために、各流路切り換え弁113a、113b、113cを作動する。流路切り換え弁113が作動され、流路が切り換えられると、洗浄機構制御部141は、支持機構駆動部を制御し、ノズル115aとノズル115bとノズル115cとをまとめて下降させる。この各洗浄位置の3種のノズル115a、115b、及び115cは、洗浄水の種類に関らず常に一緒に上下動される。
【0054】
図10は、第1実施例の変形例1に係る複数のノズル115(純水用のノズル115a、アルカリ性洗剤用のノズル115b、酸性洗剤用のノズル115c、吸引用のノズル115d)と覆い127とからなるモジュールの斜視図である。図10に示すように、4つのノズル115は、覆い127に固着されている。複数のノズル115は、まとめて反応容器72内に進入可能なように互いに密着されて覆い127に固着されているとよい。
【0055】
第1実施例の変形例2:
上述の実施形態において洗浄機構89は、複数の洗浄位置にそれぞれ設けられた複数のノズル115を個別に上下動可能な独立駆動機構を装備しているものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、変形例2に係る洗浄機構89は、複数のノズル115をまとめて上下動可能な機構を装備していてもよい。以下に変形例2に係る自動分析装置について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0056】
図11は、変形例2に係る洗浄機構89の構造を模式的に示す図である。図11に示すように、変形例2に係る洗浄機構89は、複数の洗浄位置における複数のノズル115をまとめて鉛直方向に沿って上下動可能に支持する鉛直方向支持機構129を有している。複数のノズル115は、鉛直方向駆動部135の駆動により鉛直方向に沿ってまとめて上下動される。
【0057】
〔第2実施例〕
上述のように第1実施例は、洗浄パターンに従って流路切り換え弁113を切り換えるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。第2実施例は、1つの洗浄位置について複数のノズルを設け、洗浄パターンに従ってノズルを水平移動し、使用するノズルを機械的に選択する。以下に第2実施例に係る自動分析装置について説明する。
【0058】
図12は、本実施形態の第2実施例に係る洗浄機構89の構造を模式的に示す図である。なお、図12は、わかりやすさのため、1つの洗浄位置に関する機構のみを示している。実際には、第2実施例に係わる洗浄機構89は、第1実施例のように複数の洗浄位置に関する機構を備えている。
【0059】
図12に示すように、各洗浄位置には、洗浄水の種類に応じた複数のノズル115(純水用のノズル115a、アルカリ性洗剤用のノズル115b、及び酸性洗剤用のノズル115c)が機能別に設けられている。純水用のノズル115aには、純水ライン107が接続されている。アルカリ性洗剤用のノズル115bには、アルカリ性洗剤ライン109が接続されている。酸性洗剤用のノズル115cには、酸性洗剤ライン111が接続されている。また、複数のノズル115には、例えば、低濃度廃液ライン123等の排出ラインが接続されている。
【0060】
複数のノズル115は、図12には示されていない鉛直方向支持機構により鉛直方向に個別に移動可能に支持されている。また、複数のノズル115は、図12には示されていない水平方向支持機構による水平方向に移動可能に支持されている。
【0061】
次に第2実施例に係る洗浄機構89の構造について説明する。図13は、第2実施例に係る洗浄機構89の正面方向に関する概略斜視図である。図14は、第2実施例に係る洗浄機構89の側面方向に関する概略斜視図である。図13と図14とに示すように、第2実施例に係る洗浄機構89は、各洗浄位置に配置された複数のノズル115を水平移動可能な構造を有している。具体的には、第2実施例に係る洗浄機構89は、螺旋状の溝が形成されたリードスクリュ151を備えている。リードスクリュ151は、軸心が略鉛直方向に沿うように固定されている。リードスクリュ151には、支持板153が取り付けられている。支持板153の端部には、貫通孔が形成されている。貫通孔の内面には、リードスクリュ151の表面の溝に嵌り合う溝が形成されている。支持板153は、この貫通孔においてリードスクリュ151に螺合している。このようにリードスクリュ151は、略鉛直方向に沿って上下動可能に支持板153を支持している。また、支持板153には、複数のノズル115が取り付けられている。リードスクリュ151の一端には、鉛直移動用のステッピングモータ155が設けられている。ステッピングモータ155は、鉛直方向駆動部として機能する。ステッピングモータ155は、後述する洗浄機構制御部からの制御に従って駆動し、リードスクリュ151を回動させることにより、ノズル115を鉛直方向に沿って上下動させる。
【0062】
また、各洗浄位置には、アーム157が設けられている。アーム157には、各洗浄位置に設けられた複数のノズル115が取り付けられている。アーム157の一端には、水平移動用のステッピングモータ159が設けられている。ステッピングモータ159は、水平方向駆動部として機能する。ステッピングモータ159は、後述する洗浄機構制御部161からの制御に従って駆動し、アーム157を水平方向に沿って横移動させることにより、複数のノズル115を水平移動させる。
【0063】
図15は、第2実施例に係る自動分析装置1の洗浄系の機能ブロック図である。図15に示すように、第2実施例に係る自動分析装置1の洗浄系は、システム制御部60を中枢として、表示部32、操作部40、洗浄パターン設定部50、鉛直方向駆動部155、水平方向駆動部159、及び洗浄機構制御部161を有する。なお、表示部32、操作部40、及び洗浄パターン設定部50については、上述したのでここでの説明を省略する。
【0064】
洗浄機構制御部161は、上述の分析機構制御部12の一部分である。洗浄機構制御部161は、各洗浄位置に配置される反応容器72に設定された洗浄パターンに従って水平方向駆動部(水平移動用のステッピングモータ)159と鉛直方向駆動部(鉛直移動用のステッピングモータ)155とを制御する。水平方向駆動部159は、洗浄機構制御部161による制御に従ってノズル115を水平方向に横移動し、洗浄位置に配置される反応容器72の洗浄パターンに従う洗浄水用のノズル115を洗浄位置に配置する。より詳細には、洗浄機構制御部161は、各洗浄位置に設けられた複数のノズル115のうちの、洗浄対象の反応容器72に設定された洗浄動作に応じた洗浄水のためのノズル115を洗浄位置に配置する。これにより、各洗浄位置に配置される反応容器72の洗浄パターンに応じたノズル115を機械的に選択することができる。鉛直方向駆動部155は、洗浄機構制御部161による制御に従ってノズル115を鉛直方向に上下動する。
【0065】
次に洗浄機構制御部161の制御による洗浄機構89の動作例について説明する。洗浄機構制御部161は、回動サイクル毎に、各洗浄位置に配置される反応容器の洗浄パターンに従って水平方向駆動部159を制御し、各洗浄位置に応じた洗浄水用のノズル115を洗浄位置に配置する。具体的には、洗浄機構制御部161は、回動サイクル毎に各洗浄位置に配置される反応容器72を識別する。反応容器72を識別すると洗浄機構制御部161は、識別された反応容器72に設定された洗浄パターンを特定し、特定された洗浄パターンのうちの配置される洗浄位置の洗浄動作を特定する。そして洗浄機構制御部161は、特定された洗浄動作に応じて水平方向駆動部159を制御し、複数のノズル115を水平方向に横移動し、特定された洗浄動作に応じたノズル115を洗浄位置に配置する。例えば、特定された洗浄動作が高濃度廃液の排出や低濃度廃液の排出、水洗浄の場合、水平方向駆動部159を制御し、その洗浄位置に純水用のノズル115aを配置する。また、洗浄機構制御部161は、特定された洗浄動作がアルカリ性洗剤洗浄の場合、水平方向駆動部159を制御し、その洗浄位置にアルカリ性洗剤用のノズル115bを配置する。また、洗浄機構制御部161は、特定された洗浄動作が酸性洗剤洗浄の場合、水平方向駆動部159を制御し、その洗浄位置に酸性洗剤用のノズル115cを配置する。ノズル115は、例えば、反応ディスク71の回動期間や反応ディスクの停止期間の初期段階において水平方向駆動部159により横移動される。
【0066】
各洗浄位置へのノズル115の配置が完了すると洗浄機構制御部161は、鉛直方向駆動部155を制御し、各洗浄位置へ配置されたノズル115を下降させる。そして各洗浄位置の反応容器72に応じた洗浄水がノズル115から吐出される。洗浄水が吐出されると洗浄機構制御部161は、鉛直方向駆動部155を制御し、各洗浄位置のノズル115を上昇させる。ノズル115が上昇されると反応ディスク71が回動角度だけ回動される。そして再び同様にして洗浄位置へのノズル115の配置と洗浄水の吐出とが繰り返される。
【0067】
このようにして洗浄機構制御部161による制御のもと、各洗浄位置のノズル115から、各洗浄位置の反応容器72に設定された洗浄パターンに従う洗浄水が吐出される。
【0068】
上述のように第2実施例に係る自動分析装置1は、洗浄位置毎に洗浄水の種類に応じたノズル(純水用のノズル115a、アルカリ性洗剤用のノズル115b、酸性洗剤用のノズル115c)を設けている。また、自動分析装置1は、これらノズル115を水平移動するための水平方向支持機構(アーム157)を備えている。自動分析装置1は、設定された洗浄パターンで反応容器72を洗浄するために、水平方向支持機構を作動し、洗浄対象の反応容器72に対応するノズル115を洗浄位置に配置する。
【0069】
従って第2実施例に係る自動分析装置1は、個々の測定項目に応じた洗浄パターンで反応容器を洗浄することができる。かくして第2実施例に係る自動分析装置1は、反応容器の洗浄効率を向上させることが可能となる。
【0070】
(第2実施形態)
混合液の最適な反応時間は、測定項目や試薬に応じて異なる。これに伴い反応時間を通常の反応時間よりも延長させたい場合がある。反応時間の延長方法としては、反応ディスク71の回動速度を短くする方法がある。しかしながら、この方法では、処理速度(スループット)が著しく低下してしまう。他の延長方法としては、延長対象の反応容器について洗浄動作をスキップする方法が考えられる。しかし単に洗浄動作をスキップさせただけでは、延長対象の反応容器内に、その近傍の反応容器の洗浄に利用される洗剤や水が混入してしまう虞がある。第2実施形態に係る自動分析装置は、スループットの低下を抑制し、さらにサンプルの測定結果の悪化を抑制したうえで、個々の反応容器の反応時間の延長を実現する。以下に第2実施形態に係る自動分析装置について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0071】
まず第2実施形態に係る洗浄パターン設定部50による洗浄パターンの設定処理について説明する。図16は、第2実施形態に係る洗浄パターン設定部50により設定される洗浄パターンの一例を示す図である。図16に示すように、第2実施形態に係る洗浄パターンは、洗浄動作として洗浄動作なし(OFF)が少なくとも1つ含まれている。換言すれば、洗浄パターン設定部50は、洗浄位置毎に洗浄動作の有無を設定することができる。例えば、洗浄パターンFは、洗浄位置aにおいて洗浄動作がスキップされる(洗浄動作がなされない)。すなわち、洗浄パターンFにより、1周回サイクル分だけ反応時間を延長させることができる。また、洗浄パターンGは、全ての洗浄位置において洗浄動作がスキップされる。すなわち、洗浄パターンGにより1分析サイクル分だけ反応時間を延長させることができる。なお、洗浄パターンGが設定された場合、その分析サイクルにおいて反応容器72は洗浄されない。従って、その反応容器72を洗浄するため、洗浄パターンGが設定された分析サイクルの次の分析サイクルの洗浄パターンも設定する必要がある。なお、洗浄動作OFFの洗浄位置は、操作部40を介して任意に設定可能である。
【0072】
洗浄パターン設定部50は、ユーザによる操作部40を介した指示に従って設定対象の測定項目の洗浄パターンに設定する。そして洗浄パターン設定部50は、設定された洗浄パターンを設定対象の測定項目の測定に供される反応容器72に設定する。図17は、洗浄パターン設定部50により反応容器72に設定された洗浄パターンの一例を示す図である。図16と図17とに示すように、反応容器Gには、図16の洗浄パターンFが設定されている。このようにして各反応容器72に種々の洗浄パターンが設定される。
【0073】
次に、反応時間の延長を実現するためのノズル115と覆い127との構造について説明する。図18と図19とは、ノズル115と覆い127との構造を説明するための斜視図である。図18と図19とに示すように、覆い127は、貫通孔171を有している。貫通孔171の径は、ノズル115が通過可能な大きさに設計される。典型的には、貫通孔171の径は、ノズル115の径と略同一に設計される。ノズル115と覆い127とは、互いの軸心173が略一致するように図示しない支持機構により個別に軸心173に沿って上下動可能に支持されている。ノズル115と覆い127とは、軸心173が鉛直方向に沿うように支持される。
【0074】
図20は、第2実施形態に係る自動分析装置1の洗浄系の機能ブロック図である。図20に示すように、第2実施形態に係る自動分析装置1は、システム制御部60を中枢として、表示部32、操作部40、洗浄パターン設定部50、洗浄機構制御部181、弁駆動部143、第1鉛直方向駆動部183、及び第2鉛直方向駆動部185を有する。なお、表示部32、操作部40、洗浄パターン設定部50、及び弁駆動部143については、上述したのでここでの説明を省略する。
【0075】
洗浄機構制御部181は、分析機構制御部12の一部分である。洗浄機構制御部181は、洗浄パターン設定部50により設定された洗浄パターンに従って弁駆動部143、第1鉛直方向駆動部183、及び第2鉛直方向駆動部185を制御する。第1鉛直方向駆動部183は、分析機構駆動部13の一部分である。第1鉛直方向駆動部183は、洗浄機構制御部181による制御に従って駆動し、ノズル115を覆い127とは独立に鉛直方向(軸心173)に沿って上下動する。第2鉛直方向駆動部185は、分析機構駆動部13の一部分である。第2鉛直方向駆動部185は、洗浄機構制御部181による制御に従って駆動し、覆い127をノズル115とは独立に鉛直方向(軸心173)に沿って上下動する。
【0076】
次に洗浄機構制御部181の制御によるノズル115と覆い127との動作例について説明する。図21と図22と図23とは、ノズル115と覆い127との動作例を示す図である。図21は、待機時のノズル115と覆い127と反応容器72との位置関係を示している。図22は、洗浄動作スキップ(OFF)時のノズル115と覆い127と反応容器72との位置関係を示している。図23は、洗浄動作時のノズル115と覆い127と反応容器72との位置関係を示している。
【0077】
図21に示すように、待機時においては、ノズル115と覆い127とは初期位置に配置されている。初期位置は、ノズル115と覆い127との両方が下降前にとる配置である。例えば、初期位置は、ノズル115が覆い127の貫通孔171に挿入されている状態で図示しない支持機構により支持されている。
【0078】
洗浄機構制御部181は、洗浄位置に配置された反応容器72の洗浄動作を特定する。そして洗浄動作をスキップさせることが特定された場合(洗浄動作スキップ時)、洗浄機構制御部181は、図22に示すように、第2鉛直方向駆動部185を制御し、覆い127により反応容器72の開口部が塞がれるまで、覆い127を鉛直方向173に沿って下降させる。洗浄動作スキップ時において、ノズル115は下降されず初期位置に配置されたままである。このように洗浄動作スキップ時においては、反応時間の延長対象の反応容器72の開口部が覆い127により塞がれる。そして一定時間経過後(例えば、反応ディスク71の停止期間の終了時。換言すれば、他の洗浄位置における洗浄動作の終了時)、洗浄機構制御部181は、第2鉛直方向駆動部185を制御し、覆い127を鉛直方向173に沿って上昇し、覆い127を初期位置に配置させる。従って、延長対象の反応容器72に洗浄水等の溶液が入り込む可能性が低減される。
【0079】
一方、洗浄動作を行うことが特定された場合(洗浄動作時)、洗浄機構制御部181は、図23に示すように、第1鉛直方向駆動部183と第2鉛直方向駆動部185とを制御し、ノズル115と覆い127とを鉛直方向173に沿って下降させる。具体的には、覆い127は、洗浄動作スキップ時と同様に反応容器72の開口部を塞ぐまで下降される。ノズル115は、反応容器72内に入り込むまで下降される。ノズル115と覆い127とは、同時に下降されてもよいし、別々のタイミングで下降されてもよい。そして一定時間経過後(例えば、反応ディスク71の停止期間の終了時。換言すれば、洗浄動作の終了時)、洗浄機構制御部181は、第1鉛直方向駆動部183と第2鉛直方向駆動部185とを制御し、ノズル115と覆い127とを鉛直方向173に沿って上昇し、ノズル115と覆い127とを初期位置に配置させる。
【0080】
上記構成により第2実施形態に係る自動分析装置1は、上下動可能な覆い127を装備している。自動分析装置1は、反応時間の延長対象の反応容器72の開口部を覆い127で塞ぐ。これにより反応時間の延長対象の反応容器72内に、洗浄水等の溶液が入り込む可能性を著しく低減できる。また、自動分析装置1は、独立駆動機構により洗浄位置毎に個別に洗浄動作を設定することが可能である。従って、複数の洗浄位置に配置された全ての反応容器について反応時間を延長することなく、全ての反応容器のうちの延長対象の反応容器72について反応時間を延長することができる。また、従来のように反応時間を延長するために反応ディスク71の回動速度を低下させる必要がなく、回動速度を維持したまま反応時間を延長できる。従って自動分析装置1は、反応時間の延長に伴うスループットの低下を抑制したうえで、個々の反応容器72の反応時間を延長できる。かくして第2実施形態に係る自動分析装置1は、反応容器72の洗浄効率を向上させることができる。
【0081】
なお上述の第2実施形態において洗浄機構89は、流路切り換え弁113により洗浄水を切り換え可能な構成を有するとした。しかしながら、第2実施形態はこれに限定されない。例えば、第2実施形態に係る洗浄機構89は、図13や図14のように、水平方向支持機構(アーム157)により洗浄水を切り換え可能な構成であるとしてもよい。
【0082】
また、第1実施形態と第2実施形態とは、適宜組み合わせ可能である。すなわち、1の回動サイクルにおいて、ある洗浄位置では洗浄動作が行われ、ある洗浄位置では洗浄動作がスキップされてもよい。
【0083】
(変形例1)
第1及び第2実施形態において、覆い127は、反応容器72の開口部を完全に塞ぐとした。具体的には、例えば、図22及び図23に示すように、覆い127は、反応容器72の開口部に入り込み可能な先端部を有している。この先端部が開口部に入り込むことで反応容器72は密閉される。複数の反応容器72は、代わる代わる覆い127に塞がれる。ある一つの反応容器72の開口部が汚れている場合、覆い127の先端部を介して、他の反応容器72が汚染されてしまう場合がある。以下、変形例1に係る覆いについて説明する。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0084】
図24は、変形例1に係る覆い201の構造を示す断面図である。図24に示すように、変形例1に係る覆い201は、反応容器72内に入り込むこと無く、開口部を覆うことが可能な形状を有している。例えば、覆い201は、笠形状を有している。覆い201は、ノズル115のための貫通孔を有している。覆い201とノズル115とは、互いに軸心173が略一致するように図示しない支持機構により個別に軸心173に沿って上下動可能に支持されている。
【0085】
なお、覆い201は、図25に示すように、ノズル115の下降時において反応容器72の開口部を覆うことが可能なノズル115の位置に固着されていてもよい。上記構造のように、覆い201は、反応容器72の開口部に入り込み可能な部分を有していない。従って、覆い201は、第1及び第2実施形態に係る覆い127に比して、反応容器72を汚染しにくい。
【0086】
(変形例2)
第1及び第2実施形態に係る覆いは、ノズルが通過可能な貫通孔を有するとした。変形例2に係る覆いは、貫通孔の代わりに、ノズルが通過可能な隙間を有する。以下、変形例2に係る覆いについて説明する。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0087】
図26は、変形例2に係る覆い203の構造を示す平面図である。なお、図26においてノズル115は、紙面の手前から奥、又は奥から手前に動くものとする。図26に示すように、覆い203は、複数の覆い部分205から構成される。例えば、覆い203は、二つの覆い部分205から構成される。複数の覆い部分205は、ノズル115が複数の覆い部分205の間を通過可能な大きさの隙間206を有している。覆い部分205の数は、3つ以上であってもよい。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…自動分析装置、10…分析部、11…分析機構、12…分析機構制御部、13…分析機構駆動部、20…データ処理部、21…演算部、22…記憶部、30…出力部、31…印刷部、32…表示部、40…操作部、50…洗浄パターン設定部、60…システム制御部、72…反応容器、101…純水タンク、103…アルカリ性洗剤タンク、105…酸性洗剤タンク、107…純水ライン、109…アルカリ性洗剤ライン、111…酸性洗剤ライン、113…流路切り換え弁、115…ノズル、117…乾燥チップ、119…供給ライン、121…高濃度廃液ライン、123…低濃度廃液ライン、125…吸引ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルと試薬とが収容される反応容器を保持可能な反応ディスクと、
前記反応容器をノズルで洗浄する洗浄機構と、
前記ノズルの軸に沿って移動可能に設けられ、前記反応容器の開口部を覆うための覆いと、
を具備する自動分析装置。
【請求項2】
前記覆いは、前記ノズルの下降時において前記反応容器の開口部を覆うことが可能な位置に前記ノズルに固着されている、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記覆いは、前記ノズルとは独立して前記軸に沿って移動可能に設けられている、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記反応容器に反応時間を延長させるか否かを設定する設定部と、
前記設定部により延長させると設定された場合、前記覆いにより前記開口部を塞ぐために前記覆いを前記軸に沿って下降し、前記設定部により延長させないと設定された場合、前記覆いにより前記開口部を塞ぎ且つ前記ノズルの先端を含む一部分を前記反応容器内に進入させるために前記覆いと前記ノズルとを前記軸に沿って下降する制御部と、
をさらに備える請求項3記載の自動分析装置。
【請求項5】
サンプルと試薬とが収容される複数の反応容器を保持する反応ディスクと、
前記複数の反応容器を複数のノズルで洗浄する洗浄機構と、
前記サンプルの複数の測定項目の各々について、前記複数の反応容器のうちの前記測定項目の測定に供される特定の反応容器に洗浄水の種類、使用順序、及び使用回数の少なくとも1つからなる洗浄パターンを設定する設定部と、
前記設定された洗浄パターンに従って前記特定の反応容器を洗浄するために前記洗浄機構を制御する制御部と、
を具備する自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄機構は、
前記反応ディスク上の洗浄位置に設けられた前記複数のノズルを鉛直移動可能に支持する第1ノズル支持機構と、
前記複数のノズルを水平移動可能に支持する第2ノズル支持機構と、
を備え、
前記制御部は、前記設定された洗浄パターンに従って前記第1ノズル支持機構と前記第2ノズル支持機構とを作動する、
請求項5記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄機構は、
前記複数の反応容器を洗浄するための複数の洗浄水が貯蔵される複数の洗浄水容器と、
前記複数のノズルと前記複数の洗浄水容器とをそれぞれ接続する複数の流路と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記複数のノズルのうちの前記設定された種類の洗浄水のためのノズルを前記洗浄位置に配置するように前記第2ノズル支持機構を作動する、
請求項6記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記複数の洗浄水は、水、アルカリ性洗剤、酸性洗剤である、請求項5記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−227065(P2011−227065A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70741(P2011−70741)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】