説明

自動取引システム、および取引媒体回収方法

【課題】自動取引装置が回収した取り忘れカードの不正利用の可能性を低減して所有者に取り忘れカードを返却する。
【解決手段】自動取引装置10は、取引終了後に利用者が取り忘れたキャッシュカード70を回収をした旨をホストコンピュータに通知する。ホストコンピュータ20は、返却コードを生成して、キャッシュカード70の利用者に連絡する。キャッシュカード70が第三者と提携したカード機能を有する場合は、ホストコンピュータ20は、第三者に対して提携するカード機能の停止を依頼する。自動取引装置10は、利用者から返却コードの入力を受け付けて、返却要求を返却コードとともにホストコンピュータ20に通知する。ホストコンピュータ20は、返却コードの照合の後、返却の許可を自動取引装置10に通知する。自動取引装置10は、返却許可を受け付けて、キャッシュカード70を利用者に返却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引媒体を受け付けて自動取引を実行可能な自動取引装置と、自動取引装置と接続するホストコンピュータとを含んで構成される自動取引システム、および顧客が自動取引装置に忘れた取引媒体を回収する取引媒体回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通帳やキャッシュカードを受け付けて、現金の自動預かりや自動出金、振込等を処理可能な自動取引装置(現金自動預け払い機やATM(Automated Teller Machine)とも呼ばれる)が広く普及している。自動取引装置は、銀行等の顧客が自らの操作によりさまざまな取引を可能にし、銀行等の窓口業務の効率化や、小売店や公共施設などさまざまな場所に設置されることで顧客の利便性向上に寄与している。
【0003】
しかしながら、顧客自身が操作するために、自動取引装置における取引終了後に、顧客が現金や、取引明細、通帳、キャッシュカード等を自動取引装置から取り忘れる事案が後を絶たない。顧客が自動取引装置から取り忘れた現金や、取引明細、通帳、キャッシュカード等は、第三者により持ち去られるおそれがあり、顧客が損害を負うことがある。また、通帳やキャッシュカード等を持ち去られた場合には、第三者による口座預金の引き出しなど、顧客はより一層大きな損害を生じる危険を負う。
【0004】
こうした顧客の危険に備え、自動取引装置は、現金や、取引明細、通帳、キャッシュカード等が一定時間内に取り去られない場合に、これらを自動取引装置内に回収して第三者による持ち去りを防止する機能を備える。
【0005】
このような自動取引装置には、媒体(現金・通帳・キャッシュカード等の一部または全部)の取り忘れが発生し、電子メールアドレスが登録されている場合に「媒体(現金・通帳・キャッシュカード等)の取り忘れ通知」を電子メールにて送信するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
また、事後の取引におけるカードの搬送を妨げない位置に設けられた退避部に取り忘れカードを退避し、取り忘れカードが存在する場合には、返却メニューを提示する自動取引装置の提案がある。このような自動取引装置は、取り忘れカードの所有者が、その返却メニューに応じて暗証番号の入力などの操作をおこなうことにより、所有者と操作者の照合を行って、取り忘れカードを返却する(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−251133号公報
【特許文献2】特開2007−299412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、自動取引装置の複数の金融機関での相互利用が広くおこなわれるようになると、自動取引装置が回収した取り忘れカードが自行の顧客のものでないケースがあり、自動取引装置を管理する銀行は、取り忘れカードの所有者を特定できないことから所有者に連絡することができない場合がある。
【0009】
また、自動取引装置が回収した取り忘れカードがクレジットカードなどの機能を備えていたりする場合、自動取引装置を管理する銀行は、所有者の手元を離れたカードの不正利用があった場合に回収した取り忘れカードの管理責任を負うおそれがある。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、自動取引装置が回収した取り忘れカードの不正利用の可能性を低減して所有者に取り忘れカードを返却する自動取引システム、および取引媒体回収方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、自動取引システムは、取引媒体を受け付けて自動取引を実行可能な自動取引装置と、自動取引装置と接続するホストコンピュータとを含んで構成される。自動取引装置は、取引媒体回収手段と、返却要求受付手段と、取引媒体返却手段とを備える。ホストコンピュータは、取引媒体受付手段と、返却情報生成手段と、返却情報連絡手段と、返却要求確認手段とを備える。
【0012】
取引媒体回収手段は、取り忘れた取引媒体を回収して、取引媒体の回収をホストコンピュータに通知する。返却要求受付手段は、返却情報の入力により回収した取引媒体の返却要求を受け付けて、取引媒体の返却要求を返却情報とともにホストコンピュータに通知する。取引媒体返却手段は、返却要求を受け付けた取引媒体を、ホストコンピュータからの許可を受けて返却する。
【0013】
取引媒体受付手段は、取引媒体の回収の通知を自動取引装置から受け付ける。返却情報生成手段は、取引媒体の回収に一意に対応する返却情報を生成する。返却情報連絡手段は、返却情報を取引媒体の利用者に連絡する。返却要求確認手段は、取引媒体の返却要求を自動取引装置から受け付けて、返却情報の照合により返却要求の対象となる取引媒体を確認して、取引媒体の返却の許可を自動取引装置に通知する。
【発明の効果】
【0014】
上記の自動取引システム、および取引媒体回収方法によれば、自動取引装置が回収した取り忘れカードの不正利用の可能性を低減して所有者に取り忘れカードを返却可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の自動取引システムのブロック図である。
【図2】実施形態の自動取引システムの適用環境を示す図である。
【図3】実施形態の自動取引装置のブロック図である。
【図4】実施形態のカード処理部のブロック図である。
【図5】実施形態のホストコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【図6】実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。
【図7】実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。
【図8】実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。
【図9】実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。
【図10】実施形態の自動取引システムの通信内容を示す図である。
【図11】実施形態の自動取引システムの通信内容を示す図である。
【図12】実施形態のホストコンピュータが管理する情報を示す図である。
【図13】実施形態のカード回収処理のフローチャートである。
【図14】実施形態の回収カード返却処理のフローチャートである。
【図15】実施形態の自動取引装置案内画面を示す図である。
【図16】実施形態の携帯電話連絡画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。図1は、実施形態の自動取引システムのブロック図である。
自動取引システム1は、自動取引装置10と、自動取引装置10と接続するホストコンピュータ20とを含んで構成される。自動取引装置(たとえば、ATM)10は、キャッシュカード(取引媒体)70を受け付けて、顧客の操作にしたがい現金の自動預かりや自動出金、振込等を処理する。自動取引装置10は、銀行等の金融機関のホストコンピュータ20と通信回線を介して接続される。ホストコンピュータ20は、キャッシュカード70の利用者をキャッシュカード70に記録された口座情報(銀行番号、支店番号、口座番号、科目等)と顧客が自動取引装置10から入力した暗証番号とを照合して認証をおこない、利用者の要求を処理する。
【0017】
自動取引装置10は、取引終了後に利用者が取り忘れたキャッシュカード70を回収するカード回収手段(取引媒体回収手段)101を備える。カード回収手段101は、利用者が取り忘れたキャッシュカード70を回収する。カード回収手段101は、利用者が取り忘れたキャッシュカード70の回収をした旨をホストコンピュータに通知する。
【0018】
ホストコンピュータ20は、利用者が取り忘れたキャッシュカード70の回収をした旨の通知(カード回収通知)を自動取引装置10から受け付けるカード回収受付手段(取引媒体受付手段)201を備える。
【0019】
また、ホストコンピュータ20は、返却コード(返却情報)を生成する返却情報生成手段203を備える。返却コードは、1枚のキャッシュカード70の1回の回収に一意に対応する。したがって、ホストコンピュータ20は、返却コードを参照することで、どのキャッシュカード70のどの回収かを特定できる。言い換えれば、返却コードは、同じキャッシュカード70であっても自動取引装置10に回収される都度、異なる値が生成される。
【0020】
また、ホストコンピュータ20は、返却コードをキャッシュカード70の利用者に連絡するために利用者の連絡先を検索する利用者連絡先検索手段205を備える。利用者連絡先検索手段205は、ホストコンピュータ20が備える顧客情報データベースから利用者連絡先を検索する。
【0021】
キャッシュカード70がホストコンピュータ20の管理主体により発行されている場合は、利用者宛連絡手段207が顧客情報データベースに登録されている利用者連絡先に連絡をおこなう。利用者宛連絡手段207は、たとえば、電子メールや自動音声による電話などの通信手段を用いて利用者に、キャッシュカード70の取り忘れがあったこと、キャッシュカード70を回収している自動取引装置10、返却コードを連絡する。
【0022】
また、キャッシュカード70が第三者(たとえば、他の銀行やクレジット会社など)により発行されているなどして利用者連絡先を特定できない場合は、利用者宛連絡依頼手段208が管理主体となる第三者に利用者への連絡の依頼をおこなう。利用者宛連絡依頼手段208は、たとえば、電子メールなどの通信手段を用いて第三者に、キャッシュカード70の取り忘れがあったこと、キャッシュカード70を回収している自動取引装置10、返却コードを利用者に連絡するよう依頼する。
【0023】
また、キャッシュカード70が第三者(たとえば、他の銀行やクレジット会社、量販店、公共機関など)と提携したカード機能を有する場合は、カード機能停止依頼手段206が提携先となる第三者に対して提携するカード機能の停止を依頼する。カード機能停止依頼手段206は、たとえば、電子メールなどの通信手段を用いて第三者に、キャッシュカード70の取り忘れがあり利用者の管理下にないためカード機能を停止するよう依頼する。提携するカード機能は、たとえば、他の銀行のキャッシュカード機能、信販会社のクレジットカード機能、電子マネー管理会社の電子マネー機能、量販店のポイント機能、公共機関が提供する公共サービスのための機能などがある。
【0024】
また、カード提携先検索手段204は、カード機能停止依頼手段206がカード機能の停止を依頼する提携先をデータベースから検索する。
また、キャッシュカード70がホストコンピュータ20の管理主体が提供するカード機能(たとえば、自行のキャッシュカード機能)を有する場合は、カード機能停止手段202がカード機能を停止する。
【0025】
これにより、自動取引装置10に利用者が取り忘れたキャッシュカード70が備えるカード機能は停止され、キャッシュカード70の不正利用の可能性は低減する。また、自動取引装置10がキャッシュカード70を回収していることを利用者に通知するため、利用者は自動取引装置10にキャッシュカード70の返却を求めることができる。
【0026】
また、自動取引装置10は、返却要求受付手段102を備える。返却要求受付手段102は、返却情報の入力により回収したキャッシュカード70の返却要求を受け付けて、キャッシュカード70の返却要求を返却コードとともにホストコンピュータ20に通知する。
【0027】
ホストコンピュータ20は、返却要求確認手段209を備える。返却要求確認手段209は、キャッシュカード70の返却要求の通知(返却要求通知)を自動取引装置10から受け付ける。返却要求確認手段209は、返却コードの照合により返却要求の対象となるキャッシュカード70を確認する。返却要求確認手段209は、キャッシュカード70の返却の許可を自動取引装置10に通知する。
【0028】
また、カード機能停止依頼手段206が提携先となる第三者に対して提携するカード機能の停止を依頼している場合は、カード機能停止解除依頼手段211が提携先となる第三者に対して提携するカード機能の停止解除を依頼する。カード機能停止解除依頼手段211は、たとえば、電子メールなどの通信手段を用いて第三者に、キャッシュカード70の返却があり利用者の管理下に戻ったためカード機能を停止解除するよう依頼する。
【0029】
また、カード機能停止手段202がカード機能を停止している場合は、カード機能停止解除手段210がカード機能を停止解除する。
また、自動取引装置10は、カード返却手段(取引媒体返却手段)103を備える。カード返却手段103は、利用者から返却要求を受け付けたキャッシュカード70の返却許可をホストコンピュータ20から受け付けて、キャッシュカード70を利用者に返却する。
【0030】
これにより、利用者は、自動取引装置10からキャッシュカード70の返却を受けることができる。また、キャッシュカード70が備えるカード機能は停止解除され、利用者は、キャッシュカード70のカード機能を利用可能になる。
【0031】
次に、自動取引システム1の適用環境について図2を用いて説明する。図2は、実施形態の自動取引システムの適用環境を示す図である。
自動取引システム1は、銀行Aが管理するホストコンピュータ20と、ホストコンピュータ20とネットワーク2を介して接続する複数の自動取引装置10を含んで構成される。自動取引装置10は、銀行Aが発行して銀行Aの顧客が利用する自行発行カード70aを利用可能にしている。また、自動取引装置10は、銀行A以外の銀行(たとえば、銀行B、銀行C)が発行する他行発行カード70b、信販会社(たとえば、企業D)や公共団体(たとえば、団体E)が発行する提携カード70cも利用可能にしている。
【0032】
ホストコンピュータ20は、銀行系のネットワーク3を介して複数の銀行のホストコンピュータと接続する。たとえば、ホストコンピュータ20は、ネットワーク3を介して銀行Bのホストコンピュータ30、銀行Cのホストコンピュータ40と接続する。
【0033】
また、ホストコンピュータ20は、専用回線、または公衆回線を利用したネットワーク4を介して企業や団体のホストコンピュータと接続する。たとえば、ホストコンピュータ20は、ネットワーク4を介して企業Dのホストコンピュータ50、団体Eのホストコンピュータ60と接続する。
【0034】
次に、自動取引装置10について図3、図4を用いて説明する。図3は、実施形態の自動取引装置のブロック図である。図4は、実施形態のカード処理部のブロック図である。
自動取引装置10は、主制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示制御部14と、音声出力部15と、記帳処理部16と、入出金処理部17と、レシート発行部18と、通信処理部19と、カード処理部100とを備え、各々は通信線により接続される。
【0035】
主制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などからなり、記憶部12に格納されているプログラムや、各種データに応じて、自動取引装置10の各部を制御する。
記憶部12は、各種データや入出金取引などの各処理をおこなうためのプログラムを格納する。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、およびハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)によって構成される。RAMには、主制御部11に実行させるOS(Operating System)のプログラムや自動取引装置10として機能するためのプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAMには、主制御部11による処理に必要な各種データが格納される。HDDには、OSや自動取引装置10として機能するためのプログラムが格納される。
【0036】
操作部13は、たとえば、自動取引装置10の前面側の操作画面上に配置されたタッチパネルなどによる、利用者の操作にもとづく取引内容の入力を受け付ける。また、操作部13は、キャッシュカード70を用いた取引の認証をおこなうための暗証番号の入力を受け付ける。また、操作部13は、自動取引装置10が回収したキャッシュカード70を利用者に返却するための返却コードの入力を受け付ける。返却コードが、文字や数字、記号である場合は、タッチパネルとすることができるが、たとえば、携帯電話画面に表示された二次元コードなどの入力を受け付けるために光学的読取手段などであってもよい。
【0037】
表示制御部14は、主制御部11の描画命令に応じて操作画面上に取引の内容を示す画像や利用者を案内するメッセージを含む画像などを表示させる。
音声出力部15は、スピーカから、利用者に取引の状況や操作を案内する音声案内や警告音を出力する。
【0038】
記帳処理部16は、通帳受付部に挿入された通帳に対して、記帳処理をおこない、通帳受付部から排出する。
入出金処理部17は、投入された現金を計数して格納する。また、入出金処理部17は、格納されている現金を計数して排出する。
【0039】
レシート発行部18は、取引結果の確認のための取引明細が印刷されたレシートを発行し、レシート発行口から排出する。
カード処理部100は、図4に示すように、カード処理制御部110と、リーダライタ部120と、回収カード保留部130と、カードイメージリーダ140と、一時保留部150と、搬送部160とを備え、各々は通信線により接続される。カード処理部100は、カード受付口から挿入されたカードの磁気ストライプを読み取ることで、またはICチップと通信をすることでカード情報を読み取る。このカード処理部100では、取引が終了した際に挿入されたカードが排出される。
【0040】
これら各処理部、すなわち記帳処理部16、レシート発行部18、カード処理部100はユニット化されており、各部を動作させるための図示しないMPU(Micro Processing Unit)が備えられて、このMPUがファーム(ファームウェア)にもとづいて動作し、各部の制御をおこなう。
【0041】
通信処理部19は、ネットワーク2を介して管理センタに配置された金融機関のホストコンピュータ20と接続される。
カード処理制御部110は、通信線を介して主制御部11と通信し、主制御部11の指示にもとづいて、カード処理部100を構成する各ユニット(リーダライタ部120、回収カード保留部130、カードイメージリーダ140、一時保留部150、搬送部160)を統括的に制御する。
【0042】
リーダライタ部120は、カード受付口から挿入されたキャッシュカード70の磁気ストライプを読み取る、またはキャッシュカード70が備えるICチップと通信をしてカード情報の読み書きをおこなう。
【0043】
カードイメージリーダ140は、キャッシュカード70の外観を撮影してイメージデータを作成する。回収カード保留部130は、取引終了後に排出したキャッシュカード70の取り忘れがあったときに、自動取引装置10の内部に引き込み回収したキャッシュカード70を保留する。回収カード保留部130は、複数枚のキャッシュカード70を保留可能であるが、1枚のみを保留可能であってもよい。
【0044】
一時保留部150は、回収カード保留部130が保留するキャッシュカード70が複数枚ある場合に、保留順序を入れ替えるために一時的にキャッシュカード70を保留する。
搬送部160は、カード受付口から挿入されたキャッシュカード70をリーダライタ部120、回収カード保留部130、カードイメージリーダ140、一時保留部150に搬送する。
【0045】
次に、実施形態のホストコンピュータ20のハードウェア構成例について図5を用いて説明する。図5は、実施形態のホストコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【0046】
ホストコンピュータ20は、CPU21によって装置全体が制御されている。CPU21には、バス26を介してRAM22、入出力インタフェース23、HDD24、および通信インタフェース25が接続されている。
【0047】
RAM22には、CPU21に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM22には、CPU21による処理に必要な各種データが格納される。HDD24には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。
【0048】
入出力インタフェース23は、可搬型記録媒体27への情報の書込み、および可搬型記録媒体27への情報の読出しが可能な可搬型記録媒体インタフェースと接続可能になっている。入出力インタフェース23は、可搬型記録媒体インタフェースから送られてくる信号を、バス26を介してCPU21に送信する。
【0049】
通信インタフェース25は、ネットワーク2、ネットワーク3、ネットワーク4に接続されている。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、主制御部11、カード処理制御部110も同様のハードウェア構成で実現できる。
【0050】
なお、主制御部11、カード処理制御部110は、それぞれFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などからなるモジュールを含んで構成することもでき、CPU21を有しない構成とすることもできる。その場合、主制御部11、カード処理制御部110は、それぞれ不揮発性メモリ(たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、フラッシュメモリ型メモリカードなど)を備え、モジュールのファームウェアを記憶する。不揮発性メモリは、可搬型記録媒体27、あるいは通信インタフェース25を介してファームウェアを書き込むことができる。このように主制御部11、カード処理制御部110は、不揮発性メモリに記憶されているファームウェアを書き換えることにより、ファームウェアの更新をすることもできる。
【0051】
次に、利用者が取り忘れたキャッシュカード70を自動取引装置10が回収した場合に、自動取引システム1を構成する自動取引装置10とホストコンピュータ20(自行ホストコンピュータ)が実行する処理を図6、図10、図12を用いて説明する。図6は、実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。図10は、実施形態の自動取引システムの通信内容を示す図である。図12は、実施形態のホストコンピュータが管理する情報を示す図である。
【0052】
[ステップS1]自動取引装置10は、キャッシュカード70を受け付けて、現金の自動預かりや自動出金、振込等の処理(自動取引)を実行する。
[ステップS2]自動取引装置10は、自動取引の終了により利用者にキャッシュカード70を返却するため、キャッシュカード70を排出する。
【0053】
[ステップS3]自動取引装置10は、キャッシュカード70の排出後、所定時間内のキャッシュカード70の抜き取りを検出しない場合に、キャッシュカード70の取り忘れがあったことを検知してキャッシュカード70を回収するカード回収処理を実行する。自動取引装置10は、カード回収処理の実行によりホストコンピュータ20にカード回収通知(図10(a)参照)を送信する。カード回収通知は、自動取引装置10で利用者のキャッシュカード70を回収したことをホストコンピュータ20に知らせるための通知である。カード回収通知は、自動取引装置10を特定する自動取引装置情報、回収したキャッシュカード70を特定する回収カード情報、キャッシュカード70の回収時の状況を説明する回収情報を含む。
【0054】
自動取引装置情報は、自動取引装置10を一意に特定する識別情報(たとえば、装置ID、通信アドレスなど)、装置が設置されている場所を示す情報(たとえば、設置場所を特定する識別情報や、設置場所を具体的に表す情報として「A銀行X支店4台中左から1番」など)がある。回収カード情報は、キャッシュカード70を一意に特定する情報である。なお、回収カード情報は、キャッシュカード70の所有者、または対応する口座を特定する口座情報であってもよい。また、回収カード情報は、キャッシュカード70のイメージデータを含むようにしてもよい。回収情報は、自動取引装置10がキャッシュカード70を回収した時刻、回収時の利用者の撮影画像、利用者の操作手順などである。回収情報は、利用者が通知を受けることで取り忘れ時の状況を把握するのに役立つ。また、回収情報は、利用者、銀行の双方にとって、再発防止を図るのに役立つ。カード回収処理の詳細については、図13を用いて後で詳述する。
【0055】
[ステップS4]ホストコンピュータ20は、自動取引装置10からカード回収通知を受信することで、自動取引装置10が利用者のキャッシュカード70を回収したことを把握する。ホストコンピュータ20は、自動取引装置10によるキャッシュカード70の回収にもとづいて返却コードを生成する。返却コードは、1枚のキャッシュカード70の1回の回収に一意に対応する情報である。また、ホストコンピュータ20は、回収カード管理情報テーブル(図12(b)参照)を生成する。生成した返却コードは、自動取引装置10から通知された回収カード情報、自動取引装置情報、回収情報とともに回収カード管理情報テーブルに保存する。回収カード管理情報テーブルは、回収カード情報に、返却コード、カード機能停止依頼先情報、自動取引装置情報、回収情報を関連付けて保存する。
【0056】
[ステップS5]ホストコンピュータ20は、カード回収通知を受けたキャッシュカード70について無効化し、自行が提供するカード機能を停止する。キャッシュカード70は、自動取引装置10が回収しているため第三者の不正使用はないと考えられるが、自動取引装置10とともに盗難にあうことや、自動取引装置10をメンテナンスする作業員の不正使用のおそれを排除するために無効化される。これにより、自動取引システム1は、キャッシュカード70が利用者の管理下にない状況でのキャッシュカード70の不正使用を排除する。ホストコンピュータ20は、キャッシュカード70の無効化をカード情報テーブル(図12(a)参照)のカード有効情報を「無効」に更新することでおこなう。なお、カード情報テーブルは、キャッシュカード70を特定するカード情報、キャッシュカード70の利用者を認証するための暗証番号、キャッシュカード70の有効状態と無効状態の設定情報であるカード有効情報を含む。カード情報テーブルは、さらに、他機関からカード機能停止依頼を受けたときの依頼元を記録するカード機能停止依頼元情報、キャッシュカード70の所有者、連絡先を記録する所有者情報を含む。カード情報テーブルは、さらに、キャッシュカード70の発行元を示す発行元情報、キャッシュカード70を用いたサービスを提供する提携先を示す提携先情報を含む。
【0057】
[ステップS6]ホストコンピュータ20は、カード情報テーブルを参照して、キャッシュカード70を用いたサービスを提供する提携先を検索する。
[ステップS7]ホストコンピュータ20は、検索した提携先(他機関ホストコンピュータ宛)にカード機能停止依頼をおこなう。カード機能停止依頼は、ホストコンピュータ20が他機関ホストコンピュータ宛にカード機能停止依頼通知(図10(b)参照)を送信することでおこなう。カード機能停止依頼通知は、提携するカード機能の停止を他機関ホストコンピュータ(たとえば、ホストコンピュータ30、ホストコンピュータ40、ホストコンピュータ50、ホストコンピュータ60)に知らせるための通知である。カード機能停止依頼通知は、回収カード情報、停止依頼を含む。
【0058】
[ステップS8]他機関ホストコンピュータは、ホストコンピュータ20からカード機能停止依頼通知を受信する。他機関ホストコンピュータは、カード機能停止依頼通知を受けて、回収カード情報にもとづいて特定できるキャッシュカード70のカード機能を停止する。
【0059】
[ステップS9]ホストコンピュータ20は、カード情報テーブルを参照して、発行元が自行であるか否かを判定する。ホストコンピュータ20は、発行元が自行である場合にステップS14にすすみ、発行元が自行でない場合にステップS10にすすむ。
【0060】
[ステップS10]ホストコンピュータ20は、カード情報テーブルを参照して、キャッシュカード70を発行した発行元を検索する。
[ステップS11]ホストコンピュータ20は、検索した発行元(他機関ホストコンピュータ宛)にカード所有者宛連絡依頼をおこなう。カード所有者宛連絡依頼は、ホストコンピュータ20が他機関ホストコンピュータ宛にカード所有者宛連絡依頼通知(図10(c)参照)を送信することでおこなう。カード所有者宛連絡依頼通知は、キャッシュカード70の所有者への連絡を他機関ホストコンピュータ(たとえば、ホストコンピュータ30、ホストコンピュータ40、ホストコンピュータ50、ホストコンピュータ60)に依頼するための通知である。カード所有者宛連絡依頼通知は、回収カード情報、返却コード、回収情報、カード機能停止依頼先情報、カード機能停止依頼元情報を含む。
【0061】
[ステップS12]他機関ホストコンピュータは、ホストコンピュータ20からカード機能停止依頼通知を受信する。他機関ホストコンピュータは、カード所有者宛連絡依頼通知を受けて、キャッシュカード70の所有者の連絡先を検索する。
【0062】
[ステップS13]他機関ホストコンピュータは、電子メールや自動音声による電話などの通信手段を用いて利用者に、キャッシュカード70の取り忘れがあったこと、キャッシュカード70を回収している自動取引装置10、返却コードを連絡する。また、利用者への連絡内容には、発行元によるカード機能の停止の有無、提携しているカード機能の停止依頼の有無を併せて連絡してもよい。また、利用者への連絡内容には、連絡までに提携先からカード機能の停止の有無について、応答を得ている場合は、提携しているカード機能の停止の有無を併せて連絡してもよい。
【0063】
[ステップS14]ホストコンピュータ20は、カード情報テーブルを参照してキャッシュカード70の所有者の連絡先を検索する。
[ステップS15]ホストコンピュータ20は、電子メールや自動音声による電話などの通信手段を用いて利用者に、キャッシュカード70の取り忘れがあったこと、キャッシュカード70を回収している自動取引装置10、返却コードを連絡する。また、利用者への連絡内容には、発行元によるカード機能の停止の有無、提携しているカード機能の停止依頼の有無を併せて連絡してもよい。また、利用者への連絡内容には、連絡までに提携先からカード機能の停止の有無について、応答を得ている場合は、提携しているカード機能の停止の有無を併せて連絡してもよい。
【0064】
これにより、実施形態の自動取引システム1は、自動取引装置10が回収した取り忘れカードの不正利用の可能性を低減する。特に、1枚のカードがキャッシュカード、クレジットカード、マイレージなどのポイントカード、電子マネー、学生証などを兼ねて多機能化していることから、利用者がいちいちすべての提携先に紛失を連絡するのは容易でない。しかし、実施形態の自動取引システム1によれば、利用者は、提携先に連絡する手間から解放される。また、実施形態の自動取引システム1によれば、関係各機関への連絡は、利用者自身がおこなうよりも、より速やかにおこない得る。
【0065】
次に、キャッシュカード70の取り忘れの連絡を受けた利用者が自動取引装置10からキャッシュカード70の返却を受ける場合に、自動取引システム1を構成する自動取引装置10とホストコンピュータ20(自行ホストコンピュータ)が実行する処理を図7、図11を用いて説明する。図7は、実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。図11は、実施形態の自動取引システムの通信内容を示す図である。
【0066】
[ステップS21]自動取引装置10は、キャッシュカード70の取り忘れの連絡を受けた利用者からの返却要求を受け付ける。自動取引装置10は、返却要求を受けてホストコンピュータ20に返却要求通知(図11(a)参照)を送信する。返却要求通知は、自動取引装置10で利用者からキャッシュカード70の返却要求があったことをホストコンピュータ20に知らせるための通知である。返却要求通知は、自動取引装置情報、利用者が入力した所有者情報、利用者が入力した返却コード、利用者が入力した暗証番号を含む。
【0067】
[ステップS22]ホストコンピュータ20は、自動取引装置10から返却要求通知を受信することで、自動取引装置10が利用者からのキャッシュカード70の返却要求を受け付けたことを把握する。ホストコンピュータ20は、返却要求の正当性を返却コードにもとづいて確認する。
【0068】
[ステップS23]ホストコンピュータ20は、返却要求が正当であれば返却許可を、返却要求が不当であれば返却不許可を返却要求応答通知(図11(b)参照)として自動取引装置10に送信する。
【0069】
[ステップS24]自動取引装置10は、ホストコンピュータ20から返却要求応答通知を受信する。自動取引装置10は、返却要求応答通知が返却許可であれば、キャッシュカード70を利用者に返却する。利用者にキャッシュカード70を返却した自動取引装置10は、ホストコンピュータ20にカード返却確認通知(図11(c)参照)を送信する。カード返却確認通知は、自動取引装置10が利用者にキャッシュカード70の返却をおこなったことをホストコンピュータ20に知らせるための通知である。
【0070】
自動取引装置10は、返却要求応答通知が返却不許可であれば、キャッシュカード70の利用者への返却を実行しない。自動取引装置10がカード返却時に実行する回収カード返却処理の詳細については、図14を用いて後で詳述する。
【0071】
[ステップS25]ホストコンピュータ20は、回収カード管理情報テーブルを参照して、キャッシュカード70のカード機能停止依頼先を検索する。
[ステップS26]ホストコンピュータ20は、検索したカード機能停止依頼先(他機関ホストコンピュータ宛)にカード機能停止解除依頼をおこなう。カード機能停止解除依頼は、ホストコンピュータ20が他機関ホストコンピュータ宛にカード機能停止解除依頼通知(図11(d)参照)を送信することでおこなう。カード機能停止解除依頼通知は、提携するカード機能の停止解除を他機関ホストコンピュータ(たとえば、ホストコンピュータ30、ホストコンピュータ40、ホストコンピュータ50、ホストコンピュータ60)に知らせるための通知である。カード機能停止解除依頼通知は、回収カード情報、停止解除依頼を含む。
【0072】
これにより、実施形態の自動取引システム1は、自動取引装置10が回収した取り忘れカードの利用者への速やかな返却を可能にする。実施形態の自動取引システム1によれば、利用者は、提携先にカードの返却があったことを関係各機関に連絡する手間から解放される。また、実施形態の自動取引システム1によれば、提携先に機能停止を連絡したカードの機能停止解除は、利用者自身がおこなうよりも、より速やかにおこない得る。
【0073】
次に、他行が回収したキャッシュカードについて他行ホストコンピュータから自行ホストコンピュータがカード機能停止依頼を受けた場合に、自動取引システム1を構成するホストコンピュータ20(自行ホストコンピュータ)が実行する処理を図8を用いて説明する。図8は、実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。
【0074】
[ステップS31]他機関ホストコンピュータ(たとえば、ホストコンピュータ30、ホストコンピュータ40、ホストコンピュータ50、ホストコンピュータ60)は、提携先の1つであるホストコンピュータ20宛にカード機能停止依頼をおこなう。
【0075】
[ステップS32]ホストコンピュータ20は、他機関ホストコンピュータからカード機能停止依頼通知を受信する。
[ステップS33]ホストコンピュータ20は、カード機能停止依頼通知を受けて、カード情報テーブルを参照し、通知された回収カードが自行の提供する機能を有するか判定する。ホストコンピュータ20は、通知された回収カードが自行の提供する機能を有する場合にステップS34にすすみ、通知された回収カードが自行の提供する機能を有しない場合にカード機能停止依頼に対する対応をせず終了する。
【0076】
[ステップS34]ホストコンピュータ20は、回収カード情報にもとづいて特定できるキャッシュカード70のカード機能を停止する。
なお、ホストコンピュータ20が他機関ホストコンピュータからカード機能停止依頼を受ける場合について説明したが、ホストコンピュータ20が他機関ホストコンピュータからカード機能停止解除依頼を受ける場合も同様である。
【0077】
次に、他行が回収したキャッシュカードについて他機関ホストコンピュータからホストコンピュータ20(自行ホストコンピュータ)がカード所有者宛連絡依頼を受けた場合に、自動取引システム1を構成するホストコンピュータ20が実行する処理を図9を用いて説明する。図9は、実施形態の自動取引システムの取引媒体回収シーケンスを示す図である。
【0078】
[ステップS41]他機関ホストコンピュータ(たとえば、他行ホストコンピュータ)は、ホストコンピュータ20宛にカード所有者宛連絡依頼をおこなう。
[ステップS42]ホストコンピュータ20は、他機関ホストコンピュータからカード所有者宛連絡依頼通知を受信する。カード所有者宛連絡依頼通知により、ホストコンピュータ20は、キャッシュカード70の取り忘れがあったこと、回収カード情報、返却コード、回収情報、カード機能停止依頼先情報、およびカード機能停止依頼元情報を取得する。
【0079】
[ステップS43]ホストコンピュータ20は、カード所有者宛連絡依頼通知を受けて、カード情報テーブルを参照し、通知された回収カードが自行が発行元であるか否かを判定する。ホストコンピュータ20は、通知された回収カードが自行を発行元とする場合にステップS44にすすみ、通知された回収カードが自行を発行元としない場合にカード所有者宛連絡依頼に対する対応をせず終了する。
【0080】
[ステップS44]ホストコンピュータ20は、カード所有者宛連絡依頼通知を受けたキャッシュカード70について無効化し、自行が提供するカード機能を停止する。ホストコンピュータ20は、キャッシュカード70の無効化をカード情報テーブルのカード有効情報を「無効」に更新することでおこなう。
【0081】
[ステップS45]ホストコンピュータ20は、カード所有者宛連絡依頼通知を受けて、カード情報テーブルを参照してキャッシュカード70の所有者の連絡先を検索する。
[ステップS46]ホストコンピュータ20は、電子メールや自動音声による電話などの通信手段を用いて利用者に、キャッシュカード70の取り忘れがあったこと、キャッシュカード70を回収している自動取引装置10、返却コード、カード回収時の状況を連絡する。また、ホストコンピュータ20は、発行元としてのカード機能の停止の有無、提携しているカード機能の停止依頼先を併せて連絡する。また、提携先からカード機能の停止の有無についての応答情報がカード所有者宛連絡依頼通知に含まれている場合は、ホストコンピュータ20は、提携しているカード機能の停止の有無を併せて連絡してもよい。
【0082】
これにより、実施形態の自動取引システム1は、取り忘れカードについて他機関から連絡を受けた場合に、キャッシュカード70の利用者への速やかな連絡をおこなうことができる。
【0083】
次に、利用者が取り忘れたキャッシュカード70を自動取引装置10が回収するカード回収処理を図13を用いて説明する。図13は、実施形態のカード回収処理のフローチャートである。自動取引装置10は、キャッシュカード70の取り忘れ検知によりカード回収処理を実行する。自動取引装置10は、キャッシュカード70の取り忘れ検知を、排出したキャッシュカード70が所定時間内に抜き取られるか否かを判定しておこなう。
【0084】
[ステップS101]自動取引装置10は、キャッシュカード70の取り忘れ検知を受け付けて、自動取引を休止する。
[ステップS102]自動取引装置10は、排出していたキャッシュカード70を自動取引装置10内部に回収する。
【0085】
[ステップS103]自動取引装置10は、キャッシュカード70を回収カード保留部130に収納する。これにより、回収されたキャッシュカード70が搬送部160上から退避され、自動取引装置10は、次の利用者のキャッシュカードを受け入れ可能となる。
【0086】
[ステップS104]自動取引装置10は、カード回収通知の内容を編集する。自動取引装置10は、自動取引装置情報としてホストコンピュータ20が自動取引装置10を識別するための装置IDをカード回収通知に含ませる。自動取引装置10は、回収カード情報としてキャッシュカード70の口座情報をカード回収通知に含ませる。また、自動取引装置10は、回収カード情報としてキャッシュカード70のイメージデータをカード回収通知に含ませる。自動取引装置10は、回収情報としてキャッシュカード70を回収した時刻をカード回収通知に含ませる。
【0087】
[ステップS105]自動取引装置10は、ホストコンピュータ20にカード回収通知を送信する。
[ステップS106]自動取引装置10は、自動取引を再開する。
【0088】
このようにすることで、自動取引装置10は、キャッシュカード70の第三者の持ち去りによる不正利用を防止する。また、自動取引装置10は、キャッシュカード70の回収についての情報をホストコンピュータ20に報告することで、ホストコンピュータ20にその後の対応を委ね、自動取引を速やかに再開することができる。
【0089】
次に、キャッシュカード70の取り忘れの連絡を受けた利用者が自動取引装置10からキャッシュカード70の返却を受ける場合に、自動取引装置10が実行する回収カード返却処理を図14、図15を用いて説明する。図14は、実施形態の回収カード返却処理のフローチャートである。図15は、実施形態の自動取引装置案内画面を示す図である。
【0090】
自動取引装置10は、自動取引装置案内画面90を利用者に提示する。自動取引装置案内画面90は、「いらっしゃいませ。ご希望のお取引を選択してください。」という案内表示に加え、取引Aの選択メニュー90a、取引Bの選択メニュー90b、取引Cの選択メニュー90c、カード受取の選択メニュー90dを表示する。自動取引装置10は、選択メニューのうちからカード受取を選択する操作入力を受け付けて回収カード返却処理を実行する。
【0091】
[ステップS201]自動取引装置10は、自動取引装置案内画面91を利用者に提示する。自動取引装置案内画面91は、カード所有者名の入力案内表示に加え、入力欄91aを表示する。自動取引装置10は、カード所有者名の入力を受け付ける。なお、所有者情報の入力は、省略することもできる。
【0092】
[ステップS202]自動取引装置10は、自動取引装置案内画面92を利用者に提示する。自動取引装置案内画面92は、返却コードの入力案内表示に加え、入力欄92aを表示する。自動取引装置10は、返却コードの入力を受け付ける。利用者は、ホストコンピュータ20、または他機関のホストコンピュータから電子メール等の通信手段により連絡を受けた返却コードを入力する。返却コードは、利用者のみが知るため、返却コードの入力により、返却対象となるキャッシュカード70の特定、および利用者の認証をおこなうことができる。
【0093】
なお、返却コードの入力は、自動取引装置10が備えるイメージスキャナで携帯電話に表示した二次元コードを取得しておこなうようにしてもよい。また、返却コードの入力は、携帯電話が備える通信機能(たとえば、赤外線通信)を介しておこなうようにしてもよい。その場合、自動取引装置10は、必要な入力手段、または通信手段を備えるものとする。
【0094】
[ステップS203]自動取引装置10は、自動取引装置案内画面93を利用者に提示する。自動取引装置案内画面93は、暗証番号の入力案内表示に加え、入力欄93aを表示する。自動取引装置10は、暗証番号の入力を受け付ける。なお、暗証番号の入力は、生体認証など、その他の照合手段により置き換え可能である。
【0095】
[ステップS204]自動取引装置10は、返却要求通知の内容を編集する。自動取引装置10は、自動取引装置情報としてホストコンピュータ20が自動取引装置10を識別するための装置IDを返却要求通知に含ませる。また、自動取引装置10は、利用者が入力した所有者情報、利用者が入力した返却コード、利用者が入力した暗証番号を返却要求通知に含ませる。
【0096】
[ステップS205]自動取引装置10は、ホストコンピュータ20に返却要求通知を送信する。
[ステップS206]自動取引装置10は、ホストコンピュータ20から返却要求応答通知を待ち受け、返却要求応答通知の受信によりステップS207にすすむ。
【0097】
[ステップS207]自動取引装置10は、返却要求応答通知が返却許可であれば、ステップS208にすすむ。一方、自動取引装置10は、返却要求応答通知が返却不許可であれば、回収カード返却処理を終了する。
【0098】
[ステップS208]自動取引装置10は、回収カード保留部130に収納しているキャッシュカード70を利用者に返却する。なお、自動取引装置10は、回収カード保留部130に複数枚のカードを収納している場合、一時保留部150にその他のカードを退避してキャッシュカード70の返却をおこなう。これにより、自動取引装置10が複数枚のカード回収をおこなっても、自動取引装置10は、回収したカードのうちから1つのカードを選択して返却可能である。また、自動取引装置10が複数回のカード回収に対応できることで、自動取引装置10が休止中になる時間を低減可能である。
【0099】
[ステップS209]自動取引装置10は、利用者がキャッシュカード70の返却を受けたことを確認して、ホストコンピュータ20にカード返却確認通知を送信する。ホストコンピュータ20にカード返却確認通知を送信した自動取引装置10は、回収カード返却処理を終了する。
【0100】
次に、ホストコンピュータ20が利用者宛に連絡する電子メールの内容について、図16を用いて説明する。図16は、実施形態の携帯電話連絡画面を示す図である。
携帯電話連絡画面80は、電子メールを受信した携帯電話の表示画面である。携帯電話連絡画面80は、利用者がキャッシュカード70を忘れた日時と、ATMの設置場所を案内する。また、携帯電話連絡画面80は、預かっているキャッシュカード70の顧客名を案内する。また、携帯電話連絡画面80は、預かっているキャッシュカード70の返却コードを案内する。
【0101】
さらに、携帯電話連絡画面81は、カード機能を停止した提携先機関、カード機能を停止依頼している提携先機関を案内する。これにより、利用者は、さらに連絡が必要な提携先機関を判断することができる。
【0102】
なお、携帯電話を例に挙げたが、利用者に帰属する端末装置であれば、携帯電話に限らなくともよい。また、携帯電話連絡画面80、81は、電子メールによって直接通知されるものに限らず、通知された参照先(たとえば、図示しないWebサーバ)から取得するようにしてもよい。
【0103】
なお、自動取引装置10が回収する取引媒体は、キャッシュカードに限らず、クレジットカードなどであってもよい。また、取引媒体は、磁気カードに限らず、ICカードや、携帯電話などその他の形態であってもよい。
【0104】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、自動取引装置10、ホストコンピュータ20が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(可搬型記録媒体を含む)に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto - Optical disk)などがある。
【0105】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0106】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0107】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0108】
1 自動取引システム
2 ネットワーク
10 自動取引装置
20 ホストコンピュータ
70 キャッシュカード
100 カード処理部
101 カード回収手段
102 返却要求受付手段
103 カード返却手段
201 カード回収受付手段
202 カード機能停止手段
203 返却情報生成手段
204 カード提携先検索手段
205 利用者連絡先検索手段
206 カード機能停止依頼手段
207 利用者宛連絡手段
208 利用者宛連絡依頼手段
209 返却要求確認手段
210 カード機能停止解除手段
211 カード機能停止解除依頼手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引媒体を受け付けて自動取引を実行可能な自動取引装置と、前記自動取引装置と接続するホストコンピュータとを含んで構成される自動取引システムにおいて、
前記自動取引装置は、
取り忘れた前記取引媒体を回収して、前記取引媒体の回収を前記ホストコンピュータに通知する取引媒体回収手段と、
返却情報の入力により回収した前記取引媒体の返却要求を受け付けて、前記取引媒体の返却要求を前記返却情報とともに前記ホストコンピュータに通知する返却要求受付手段と、
前記返却要求を受け付けた前記取引媒体を、前記ホストコンピュータからの許可を受けて返却する取引媒体返却手段と、
を備え、
前記ホストコンピュータは、
前記取引媒体の回収の通知を前記自動取引装置から受け付ける取引媒体受付手段と、
前記取引媒体の回収に一意に対応する返却情報を生成する返却情報生成手段と、
前記返却情報を前記取引媒体の利用者に連絡する返却情報連絡手段と、
前記取引媒体の返却要求を前記自動取引装置から受け付けて、前記返却情報の照合により前記返却要求の対象となる前記取引媒体を確認して、前記取引媒体の返却の許可を前記自動取引装置に通知する返却要求確認手段と、
を備えることを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータは、前記取引媒体を用いて提供されるサービスの提供先にサービス停止を依頼するサービス停止依頼手段を備えることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項3】
前記サービス停止依頼手段は、前記取引媒体を用いて提供されるサービスの提供先を検索するサービス提供先検索手段を備えることを特徴とする請求項2記載の自動取引システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、前記サービス停止依頼手段がサービス停止を依頼した前記提供先に、サービス停止の解除を依頼するサービス停止解除依頼手段を備えることを特徴とする請求項2記載の自動取引システム。
【請求項5】
前記ホストコンピュータは、
前記取引媒体を用いてサービスを提供している場合にサービスの提供を停止するサービス提供停止手段と、
前記サービス提供停止手段によるサービス停止を解除するサービス停止解除依頼手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項6】
前記返却情報連絡手段は、前記取引媒体の利用者連絡先を管理している場合は、管理している前記利用者連絡先に前記返却情報を連絡し、前記取引媒体の利用者連絡先を管理していない場合は、前記取引媒体の利用者連絡先の管理先に、前記返却情報を前記利用者に連絡するよう依頼することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の自動取引システム。
【請求項7】
取引媒体を受け付けて自動取引を実行可能な自動取引装置と、前記自動取引装置と接続するホストコンピュータとを含んで構成される自動取引システムの取引媒体回収方法において、
前記自動取引装置は、取り忘れた前記取引媒体を回収して、前記取引媒体の回収を前記ホストコンピュータに通知し、
前記ホストコンピュータは、前記取引媒体の回収の通知を前記自動取引装置から受け付け、前記取引媒体の回収に一意に対応する返却情報を生成し、前記返却情報を前記取引媒体の利用者に連絡し、
前記自動取引装置は、返却情報の入力により回収した前記取引媒体の返却要求を受け付けて、前記取引媒体の返却要求を前記返却情報とともに前記ホストコンピュータに通知し、
前記ホストコンピュータは、前記取引媒体の返却要求を前記自動取引装置から受け付けて、前記返却情報の照合により前記返却要求の対象となる前記取引媒体を確認して、前記取引媒体の返却の許可を前記自動取引装置に通知し、
前記自動取引装置は、前記返却要求を受け付けた前記取引媒体を、前記ホストコンピュータからの許可を受けて返却する、
ことを特徴とする自動取引システムの取引媒体回収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−198014(P2011−198014A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63946(P2010−63946)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】