説明

自動取引システムおよび自動取引装置

【課題】予め携帯端末で取引情報の入力を受け付けるためのプログラムが更新された場合であっても新たなプログラムをダウンロードする操作を不要にするとともにそのプログラムを実行する携帯端末で入力された取引情報にしたがって取引を行う。
【解決手段】自動取引装置1が携帯端末2から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムの版数を携帯端末入力管理サーバ3へ送信し、携帯端末入力管理サーバ3がその版数と記憶部32に記憶した版数とを比較して不一致であることを検知した場合、記憶部32から読み出したプログラムを自動取引装置1へ送信し、自動取引装置1は受信したプログラムを携帯端末2へ送信する。携帯端末2は受信したプログラムを実行して入力された取引情報を自動取引装置1へ送信し、自動取引装置1は受信した取引情報にしたがって取引を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の店舗等に設置され、顧客の操作を受け付けて現金引出し等の取引を行なう自動取引装置、および金融機関の事務センタ等に設置され自動取引装置で行う取引を許可する勘定系ホストコンピュータからなる自動取引システムに関し、特に携帯端末を使用して取引に必要な情報を入力する自動取引システム、および自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引システムは、自動取引装置で顧客の操作を受け付けて現金引出し、現金入金、振込み等の各種取引を行うことが可能になっているため、自動取引装置が設置されたキャッシュコーナーは取引を希望する顧客で待ち行列を形成し、混雑することが慢性化している。
このような状況に鑑み、予め携帯端末に取引の内容を示す取引情報を入力して記憶させ、その取引情報を自動取引装置へ送信して取引を行なうことにより顧客の入力操作時間を短縮し、混雑を緩和させているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ウェブ機能を有する携帯電話で金融機関に設置されたサーバ等にアクセスして予め取引の申し込みを行い、その際に連絡された取引番号と暗証番号を自動取引装置に入力することで取引を可能にし、顧客の入力操作の時間を短縮させているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−162243号公報(段落「0043」〜段落「0070」、図1)
【特許文献2】特開2003−123126号公報(段落「0012」〜段落「0019」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、予め携帯端末で取引情報の入力を受け付けるためのプログラムを携帯端末の記憶部に記憶させておく必要があるが、そのプログラムが更新された場合、新たなプログラムをダウンロードする操作が必要であるという問題がある。
また、取引情報の入力を受け付けるためのプログラムをダウンロードせずにウェブ機能を有する携帯電話で公衆回線を使用して金融機関に設置されたサーバ等にアクセスして取引の申し込みを行う場合、その申し込みを行う都度、金融機関のサーバ等と通信を行なう必要があり、通信費用が必要になるとともに、多くの通信時間が必要になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、記憶部に記憶した顧客の口座情報に基づいて現金支払いや振込み等の取引の可否を判定する勘定系ホストコンピュータと、顧客の操作により入力された取引内容を特定する取引情報を携帯端末から受信して前記勘定系ホストコンピュータへ送信し、該勘定系ホストコンピュータから取引の許可を受信して取引を行なう自動取引装置とからなる自動取引システムにおいて、携帯端末の入力手段で取引情報の入力を受け付けるためのプログラム、およびその版数を記憶するデータベースを備えた携帯端末入力管理サーバを設け、前記自動取引装置が携帯端末から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムの版数を携帯端末入力管理サーバへ送信し、該携帯端末入力管理サーバが受信した該版数と前記記憶部に記憶した版数とを比較して不一致であることを検知した場合、前記記憶部から読み出したプログラムを前記自動取引装置へ送信し、前記自動取引装置が受信した該プログラムを前記携帯端末へ送信し、該プログラムを実行して入力された取引情報を該携帯端末から受信した前記自動取引装置が、その取引情報にしたがって取引を実行するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、顧客の操作により入力された取引内容を特定する取引情報を携帯端末から受信して現金支払いや振込み等の取引を行う自動取引装置において、携帯端末の入力手段で取引情報の入力を受け付けるためのプログラム、およびその版数を記憶する記憶部を設け、携帯端末から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムの版数と前記記憶部に記憶した版数とを比較して不一致であることを検知した場合、前記記憶部から読み出したプログラムを携帯端末へ送信し、該プログラムを実行して入力された取引情報を携帯端末から受信し、受信した取引情報にしたがって取引を実行するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、予め携帯端末で取引情報の入力を受け付けるためのプログラムが更新された場合であっても新たなプログラムをダウンロードする操作が不要になるという効果が得られる。
また、取引を行う度に公衆回線を使用して金融機関のサーバに接続する必要がなくなり、通信費用が不要になるとともに通信時間を短縮することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1は実施例における自動取引システムの構成を示すブロック図である。
図1において、1は自動取引装置であり、銀行等の金融機関の店舗またはコンビニエンスストア等の店舗等に設置されるものである。この自動取引装置1は、通信回線5に通信可能に接続され、顧客の操作により現金引出しや現金入金および振込み等の取引ができるものである。また、この自動取引装置1は、無線通信部を備え、非接触型ICチップを内蔵した携帯端末等と無線通信が可能なものである。
【0011】
11は顧客操作表示部であり、タッチパネル等の操作部および液晶ディスプレイ等の表示部で構成されたものである。この顧客操作表示部11はCRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示部上にタッチパネルを配置し顧客が入力操作等を行なうものであり、また、取引選択画面、顧客が選択した取引に対して顧客の入力操作等の誘導を行なう画面および入力された情報等を表示するものである。
【0012】
12はカードリーダ部であり、カード読取り書込み機構を備えたものである。このカードリーダ部12は、顧客がカード挿入口に挿入したカードの磁気ストライプやIC(Integrated Circuit)チップ等から口座番号等の顧客情報を読取る。口座番号等を読取ったカードはカード排出口から排出して顧客に返却する。
13は入出金部であり、紙幣入出金機および硬貨入出金機で構成されたものである。この入出金部13は現金引出し取引や現金入金取引に伴う紙幣や硬貨の入出金処理を行なう。ここで、入金処理とは顧客が紙幣入出金口に入れた紙幣を紙幣入出金機で計数して金庫に収納し、硬貨入出金口に入れた硬貨を硬貨入出金機で計数して金庫に収納することである。また、出金処理とは顧客の操作により指定した金額に相当する紙幣および硬貨をそれぞれ紙幣入出金機および硬貨入出金機の金庫から繰り出して計数し紙幣入出金口および硬貨入出金口に搬送して顧客に払い出すことである。
【0013】
14は無線通信部であり、後述する携帯端末に内蔵されたICチップとの間で行う近距離無線通信6の制御を行い、情報の授受を可能とするものである。この無線通信部14は顧客の操作を受け付ける自動取引装置1の前面に配置され、顧客の操作により携帯端末の接近を検知するとその携帯端末に内蔵されたICチップとの間で近距離無線通信を行う。
15は記憶部であり、半導体メモリや磁気ディスク等で構成され情報を記憶し、記憶した情報を読取ることができるものである。この記憶部15には自動取引装置1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)、顧客操作表示部11に表示する画面データおよび顧客が行なう取引に必要な情報等を記憶する。
【0014】
16は制御部であり、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の演算および制御手段等で構成されたものである。この制御部16は顧客操作表示部11、カードリーダ部12、入出金部13、無線通信部14、記憶部15および図示しない通信部を含めて自動取引装置1全体の動作を記憶部15に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
【0015】
なお、通信部は通信回線5を介して接続された後述する携帯端末入力管理サーバや勘定系ホストコンピュータ等と相互にする通信を制御する手段であって、任意の情報を送信および受信することができるものである。また、制御部16は日時や時刻等を計測する手段であるカレンダーおよび時計機能等も有している。
2は携帯端末であり、自動取引装置1を利用する顧客が携帯するものである。この携帯端末2は液晶ディスプレイ等の表示部や操作ボタン等の入力部(入力手段)、半導体メモリ等で構成された記憶部、その記憶部に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて全体を制御する制御部を備えた携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)や持ち運び可能なノート型パーソナルコンピュータ等であり、近距離無線通信機能(無線通信手段)を有する非接触型ICチップ(例えば、FeliCA(登録商標)、Mifare(登録商標)等のICチップ)を内蔵し、自動取引装置1と無線通信が可能なものである。
【0016】
また、この携帯端末2は、制御部を介さずに非接触型ICチップの近距離無線通信手段が自動取引装置1と無線通信を行なうため、電源が投入されていなくても自動取引装置1と無線通信が可能になっている。
さらに、この携帯端末2は自動取引装置1から近距離無線通信6を介して記憶部にダウンロードしたプログラムを制御部により実行することが可能なものである。
【0017】
なお、上述した近距離無線通信手段は赤外線等の無線通信手段であってもよい。
3は携帯端末入力管理サーバであり、銀行等の金融機関の事務センタ等に設置される自動取引装置1の上位装置である。この携帯端末入力管理サーバ3はCPU等の演算および制御手段である制御部33、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段である記憶部32、および通信手段である通信制御部31等を備えるものであり、通信回線5を介して自動取引装置1等と相互に通信可能に接続されている。
【0018】
321はダウンロードプログラムデータベースであり、携帯端末2の入力部で取引入力項目の入力を受け付けるための携帯端末操作用プログラムを入力可能取引種別毎に予め記憶部32に格納したものである。
このダウンロードプログラムデータベース321に格納された携帯端末操作用プログラムは通信回線5、自動取引装置1、および近距離無線通信6を介して携帯端末2にダウンロードされるものである。
【0019】
また、この携帯端末操作用プログラムには有効期限情報や版数情報等が含まれており、携帯端末2に必要な携帯端末操作用プログラムがダウンロードされていない場合、ダウンロードされている携帯端末操作用プログラムの有効期限が切れている場合や最新の版数でない場合にダウンロードプログラムデータベース321に格納された携帯端末操作用プログラムが携帯端末2にダウンロードされる。
【0020】
なお、ダウンロードプログラムデータベース321は、例えば携帯端末2を提供する携帯端末会社毎に携帯端末操作用プログラムを格納するものとし、各携帯端末会社の携帯端末2にその携帯端末操作用プログラムをダウンロードして実行させることができるものとする。
331は携帯端末入力処理部であり、記憶部32に備えたダウンロードプログラムデータベース321に格納された携帯端末操作用プログラムを自動取引装置1および近距離無線通信6を介して携帯端末2にダウンロードするための処理を行うものである。
【0021】
この携帯端末入力処理部331は、自動取引装置1から受信した取引種別が入力対象取引であるかを判定し、入力対象取引であると判定した場合、その取引種別に関連付けてダウンロードプログラムデータベース321に格納された携帯端末操作用プログラムを抽出し、携帯端末2にダウンロードするための処理等を行う。
制御部33はこの携帯端末入力処理部331等で構成されるものである。
【0022】
7は勘定系ホストコンピュータであり、銀行等の金融機関の事務センタ等に設置される自動取引装置1の上位装置である。この勘定系ホストコンピュータ7はCPU等の演算および制御手段である制御部、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段である記憶部、および通信手段である通信制御部等を備えるものであり、通信回線5を介して自動取引装置1等と相互に通信可能に接続されている。
【0023】
この勘定系ホストコンピュータ7は顧客の口座番号、暗証番号や残高等の口座情報、顧客の氏名や住所等の個人情報、および顧客が自動取引装置1や窓口で行った取引の履歴である取引履歴情報等からなる図示しない勘定系データベースを備え、自動取引装置1との間で現金引出し、現金入金、振込み等の取引電文の送受信を行い顧客の取引を成立させるか否かを判断するとともにその取引の処理や顧客の口座番号と顧客の暗証番号等で本人であるか否かの本人認証等の処理を行う。
【0024】
このように自動取引システムは、自動取引装置1、携帯端末入力管理サーバ3、および勘定系ホストコンピュータ7が通信回線5で相互に通信可能に接続され、また携帯端末2は自動取引装置1と相互に無線通信可能に構成されたものである。
上述した構成の作用について説明する。
まず、携帯端末2に携帯端末操作用プログラムをダウンロードする処理を説明する。
【0025】
図2は実施例における携帯端末操作用プログラムのダウンロード処理を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
なお、以下に説明する各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
【0026】
S1a:図示しない自動取引装置1の近接センサにより顧客の接近を検知すると自動取引装置1の顧客操作表示部11は通常の取引選択画面を表示する。この取引選択画面は、「いらっしゃいませ。お取引をお選びください。」等の文言および「お引出し」、「お振込み」、「お預入れ」、「残高照会」等の取引選択ボタンで構成されたものである。
顧客操作表示部11に取引選択画面が表示されると顧客は希望する取引に対応する取引選択ボタン、例えば、「お振込み」ボタンを押下するものとする。
【0027】
S2a:顧客操作表示部11が「お振込み」等の取引選択ボタンの押下を検知すると制御部16の指示により顧客操作表示部11は図5に示す携帯端末利用選択画面50を表示する。この携帯端末利用選択画面50は、例えば「今回の取引は、お客様が入力する情報を携帯端末で事前に入力しておくことができます 携帯端末を利用しますか」等の文言、携帯端末を利用することを指示する「はい」ボタン51、および携帯端末を利用しないことを指示する「いいえ」ボタン52等で構成されたものである。
【0028】
S3a:携帯端末利用選択画面50を表示すると自動取引装置1の制御部16は顧客の操作による「はい」ボタン51または「いいえ」ボタン52の押下を待機する。
制御部16が顧客操作表示部11で「いいえ」ボタン52の押下を受け付けたことを検知すると処理をS4aへ移行し、一方、「はい」ボタン51の押下を受け付けたことを検知すると処理をS6aへ移行する。
【0029】
S4a:「いいえ」ボタン52の押下を検知すると制御部16は通常の取引(例えば、顧客の操作により振込先等の入力を受け付ける通常の振込み取引)を行う。
S5a:制御部16の指示によりカードリーダ部12は挿入されたカードをカード挿入排出口から排出し、顧客に返却して取引を終了する。
S6a:S3aにおいて「はい」ボタン51の押下を検知すると顧客操作表示部11は制御部16の指示により顧客にカードの挿入を促すカード挿入誘導画面を表示する。顧客はカード挿入誘導画面にしたがって所持しているカードをカードリーダ部12のカード挿入排出口から挿入する。
【0030】
カードリーダ部12は挿入されたカードの磁気ストライプやICチップ等から口座番号等の口座情報を読取る。カードが挿入されると顧客操作表示部11は顧客の暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力画面を表示する。この暗証番号入力画面には「1」から「9」および「0」ボタン等で構成される操作ボタンを表示する。顧客操作表示部11が暗証番号入力画面を表示すると顧客は表示された操作ボタンを押下して暗証番号を入力する。
【0031】
顧客が暗証番号を入力すると制御部16は通信回線5を介してその暗証番号をカードから読取った口座情報等とともに勘定系ホストコンピュータ3へ送信する。
勘定系ホストコンピュータ3は受信した顧客の口座番号等の口座情報に基づいて図示しない顧客データベースを検索して暗証番号を抽出し、受信した暗証番号と比較して一致するか否かの照合、すなわち、本人認証を行う。勘定系ホストコンピュータ3は通信部を介してその結果を自動取引装置1へ送信する。
【0032】
なお、本人認証は暗証番号を使用したものに限られるものでなく、生体認証等を使用した本人認証であってもよい。
本人認証の結果、本人であることが確認できると処理をS7aへ移行する。
一方、本人認証の結果、本人であることが確認できなかった場合、制御部16の指示によりカードリーダ部12は挿入されたカードを顧客に返却して当該取引を終了する。
【0033】
S7a:本人であることが確認できると制御部16の指示により顧客操作表示部11は「携帯端末をかざしてください」等の文言で構成された誘導画面を表示する。
顧客はその誘導画面にしたがって携帯端末2を自動取引装置1の前面にかざすものとし、携帯端末2の接近を検知した無線通信部14はその携帯端末2との近距離無線通信を開始し、ダウンロードされている携帯端末操作用プログラムの版数を問い合わせる電文を携帯端末2へ送信する。
【0034】
その電文を受信した携帯端末2は、携帯端末操作用プログラムが既にダウンロードされている場合、その版数を示す電文を自動取引装置1へ返送し、ダウンロードされていない場合は、版数に替えてダウンロードされていない旨の電文を返送する。
S8a:その電文を受信した自動取引装置1の制御部16は携帯端末操作用プログラムが既にダウンロードされているか否かを判定する。ダウンロードされていないと判定されると処理をS10aへ移行し、ダウンロードされていると判定されると処理をS9aへ移行する。
【0035】
S9a:携帯端末操作用プログラムが既にダウンロードされていると判定されると制御部16はその携帯端末操作用プログラムの版数と記憶部15に予め記憶させておいた版数と比較し、最新の携帯端末操作用プログラムであるか否かを判定する。最新の携帯端末操作用プログラムであると判定されるとダウンロードは不要であるため処理をS11aへ移行し、最新の携帯端末操作用プログラムでないと判定されると処理をS10aへ移行する。
【0036】
S10a:S8aにおいて携帯端末操作用プログラムが既にダウンロードされていないと判定、またはS9aにおいてダウンロードされている携帯端末操作用プログラムは最新のものでないと判定されると制御部16は携帯端末入力管理サーバ3へ携帯端末操作用プログラムをダウンロードすることを要求する電文を送信する。
その電文を受信した携帯端末入力管理サーバ3の携帯端末入力処理部331はダウンロードプログラムデータベース321から抽出した当該取引種別の携帯端末操作用プログラムを自動取引装置1へ送信し、自動取引装置1の制御部16は無線通信部14を介して受信した携帯端末操作用プログラムを携帯端末2にダウンロード(送信)する。
【0037】
S11a:携帯端末操作用プログラムを携帯端末2にダウンロードすると自動取引装置1の制御部16の指示により顧客操作表示部11は「取引に必要な情報が入力できましたら、入力した情報を自動取引装置にアップロードして取引を行なってください」等の文言で構成された再接続を依頼する画面を表示する。
S12a:制御部16の指示によりカードリーダ部12は挿入されたカードをカード挿入排出口から排出し、顧客に返却して取引を終了する。
【0038】
このようにして顧客の操作により自動取引装置1から携帯端末2に携帯端末操作用プログラムをダウンロードする。
次に、携帯端末2にダウンロードした携帯端末操作用プログラムで行う取引に必要な情報を入力する処理を説明する。
図3は実施例における携帯端末で行う入力処理を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0039】
S1b:携帯端末2の入力部でダウンロードした携帯端末操作用プログラムを起動する顧客の操作を受け付けると、制御部は携帯端末操作用プログラムを実行する。
S2b:携帯端末操作用プログラムを実行する制御部の指示を受けた表示部は取引に必要な情報である取引情報を入力させる画面を表示する。例えば、ダウンロードした携帯端末操作用プログラムが振込み取引のものである場合、振込先口座の金融機関名、店舗名、口座番号、口座名義、振込金額、および振込人名称等の振込情報の入力を促す画面を表示する。
【0040】
携帯端末2の入力部は取引情報(例えば、振込先口座の金融機関名、店舗名、口座番号、口座名義、振込金額、および振込人名称等の振込情報)を入力する顧客の操作を受け付ける。
S3b:取引情報の入力を完了すると制御部の指示により表示部は、振込み取引を示す取引種別を含む取引情報を保存してよいかを確認する画面を表示し、保存する旨の操作を入力部で受け付けると制御部はその取引情報を記憶部に記憶させる。なお、入力した取引情報に誤りがあった場合、再入力を受け付けるものとする。
【0041】
S4b:入力された取引情報を記憶部に記憶すると携帯端末2で行う入力処理を終了する。
次に、携帯端末2に入力した取引情報を自動取引装置1にアップロードして行う取引処理を説明する。
図4は実施例における取引情報のアップロード処理を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0042】
S1c:図示しない自動取引装置1の近接センサにより顧客の接近を検知すると自動取引装置1の顧客操作表示部11は通常の取引選択画面を表示する。この取引選択画面は、「いらっしゃいませ。お取引をお選びください。」等の文言および「携帯端末から取引情報をアップロード」、「お引出し」、「お振込み」、「お預入れ」、「残高照会」等の取引選択ボタンで構成されたものである。
【0043】
顧客操作表示部11に取引選択画面が表示されると顧客は「携帯端末から取引情報をアップロード」ボタンを押下するものとする。
S2c:顧客操作表示部11が「携帯端末から取引情報をアップロード」の取引選択ボタンの押下を検知すると制御部16の指示により顧客操作表示部11は顧客にカードの挿入を促すカード挿入誘導画面を表示する。顧客はカード挿入誘導画面にしたがって所持しているカードをカードリーダ部12のカード挿入排出口から挿入する。
【0044】
カードリーダ部12は挿入されたカードの磁気ストライプやICチップ等から口座番号等の口座情報を読取る。カードが挿入されると顧客操作表示部11は顧客の暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力画面を表示する。この暗証番号入力画面には「1」から「9」および「0」ボタン等で構成される操作ボタンを表示する。顧客操作表示部11が暗証番号入力画面を表示すると顧客は表示された操作ボタンを押下して暗証番号を入力する。
【0045】
顧客が暗証番号を入力すると制御部16は通信回線5を介してその暗証番号をカードから読取った口座情報等とともに勘定系ホストコンピュータ7へ送信する。
勘定系ホストコンピュータ7は受信した顧客の口座番号等の口座情報に基づいて図示しない顧客データベースを検索して暗証番号を抽出し、受信した暗証番号と比較して一致するか否かの照合、すなわち、本人認証を行う。勘定系ホストコンピュータ7は通信部を介してその結果を自動取引装置1へ送信する。
【0046】
なお、本人認証は暗証番号を使用したものに限られるものでなく、生体認証等を使用した本人認証であってもよい。
S3c:本人認証の結果、本人であることが確認できると制御部16の指示により顧客操作表示部11は「携帯端末をかざしてください」等の文言で構成された誘導画面を表示する。
【0047】
S4c:顧客はその誘導画面にしたがって携帯端末2を自動取引装置1の前面にかざすものとし、携帯端末2の接近を検知した無線通信部14はその携帯端末2と近距離無線通信を開始し、顧客により入力され、記憶部に記憶された取引情報をアップロードすることを要求する電文を携帯端末2へ送信する。
S5c:その電文を受信した携帯端末2の制御部は記憶部から読み出した取引情報を通知する電文を自動取引装置1へアップロード(送信)する。
【0048】
S6c:取引情報を受信した自動取引装置1の制御部16の指示により顧客操作表示部11は受信した取引情報(例えば振込み取引を示す取引種別、振込先口座の金融機関名、店舗名、口座番号、口座名義、振込金額、および振込人名称等の振込情報)を表示するとともに、その取引情報にしたがって取引を行なうことを指示する「確認」ボタン等を表示する。
【0049】
この「確認」ボタン等の押下を顧客操作表示部11で受け付けたことを検知した制御部16はその取引情報にしたがって取引を実行する。
S7c:制御部16の指示によりカードリーダ部12は挿入されたカードをカード挿入排出口から排出し、顧客に返却して取引を終了する。
このようにして携帯端末2に入力しておいた取引情報を自動取引装置1にアップロードし、自動取引装置1はその取引情報にしたがって取引を実行する。
【0050】
本実施例では、ダウンロードプログラムデータベース321は携帯端末入力携帯端末入力管理サーバ3に備えるようにしたが、さらにダウンロードに必要な通信時間を短縮させるため自動取引装置1の記憶部に備えるようにしてもよい。
なお、ダウンロードした携帯端末操作用プログラムは取引情報をアップロードしても引き続き携帯端末2の記憶部に記憶させておくようにしてもよく、また携帯端末操作用プログラムの更新が頻繁に発生するような場合、取引情報をアップロードしたときに記憶部から消去して取引を行う毎にダウンロードするようにしてもよい。
【0051】
また、本実施例では、取引選択画面で通常の取引ボタン(お引出し、お振込み)を選択後、携帯端末操作用プログラムのダウンロード処理を行うが、取引選択画面に「携帯端末操作用プログラムのダウンロード」ボタンを設け、該ボタン押下後ダウンロード対象取引を選択させて、本人認証処理を行い、プログラムを携帯にダウンロードさせてもよい。
以上説明したように、本実施例では、予め携帯端末で取引情報の入力を受け付けるためのプログラムが更新された場合であっても新たなプログラムをダウンロードする操作が不要になるという効果が得られる。
【0052】
また、自動取引装置1との間で近距離無線通信を介してダウンロードした携帯端末操作用プログラムを携帯端末で実行して予め取引情報を入力しおき、さらにその取引情報を自動取引装置にアップロードして取引を行うようにしたことにより、取引を行う度に公衆無線回線を使用して顧客の携帯端末で金融機関のサーバに接続する必要がなくなり、通信費用が不要になるとともに通信時間を短縮することができるという効果が得られる。
【0053】
さらに、予め携帯端末で入力しておいた取引情報を自動取引装置にアップロードするため、顧客が自動取引装置で行う操作時間を短縮することができ、自動取引装置の待ち行列を減少させることができるという効果が得られる。
またさらに、携帯端末操作用プログラムの携帯端末へのダウンロードは勘定系ホストコンピュータでの本人認証終了後に行なうため、携帯端末の登録等の手続が不要になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例における自動取引システムの構成を示すブロック図
【図2】実施例における携帯端末操作用プログラムのダウンロード処理を示すフローチャート
【図3】実施例における携帯端末で行う入力処理を示すフローチャート
【図4】実施例における取引情報のアップロード処理を示すフローチャート
【図5】実施例における携帯端末利用選択画面の説明図
【符号の説明】
【0055】
1 自動取引装置
2 携帯端末
3 携帯端末入力管理サーバ
5 通信回線
7 勘定系ホストコンピュータ
11 顧客操作表示部
12 カードリーダ部
13 入出金部
14 無線通信部
15、32 記憶部
16、33 制御部
31 通信制御部
321 ダウンロードプログラムデータベース
331 携帯端末入力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部に記憶した顧客の口座情報に基づいて現金支払いや振込み等の取引の可否を判定する勘定系ホストコンピュータと、顧客の操作により入力された取引内容を特定する取引情報を携帯端末から受信して前記勘定系ホストコンピュータへ送信し、該勘定系ホストコンピュータから取引の許可を受信して取引を行なう自動取引装置とからなる自動取引システムにおいて、
携帯端末の入力手段で取引情報の入力を受け付けるためのプログラム、およびその版数を記憶するデータベースを備えた携帯端末入力管理サーバを設け、
前記自動取引装置が携帯端末から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムの版数を携帯端末入力管理サーバへ送信し、該携帯端末入力管理サーバが受信した該版数と前記記憶部に記憶した版数とを比較して不一致であることを検知した場合、前記記憶部から読み出したプログラムを前記自動取引装置へ送信し、前記自動取引装置が受信した該プログラムを前記携帯端末へ送信し、該プログラムを実行して入力された取引情報を該携帯端末から受信した前記自動取引装置が、その取引情報にしたがって取引を実行するようにしたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
請求項1の自動取引システムにおいて、
前記自動取引装置が携帯端末から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムが存在しない旨を示す情報を携帯端末入力管理サーバへ送信し、該携帯端末入力管理サーバがその情報を受信したことを検知した場合、前記記憶部から読み出したプログラムを前記自動取引装置へ送信し、前記自動取引装置が受信した該プログラムを前記携帯端末へ送信し、該プログラムを実行して入力された取引情報を該携帯端末から受信した前記自動取引装置が、その取引情報にしたがって取引を実行するようにしたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項3】
顧客の操作により入力された取引内容を特定する取引情報を携帯端末から受信して現金支払いや振込み等の取引を行う自動取引装置において、
携帯端末の入力手段で取引情報の入力を受け付けるためのプログラム、およびその版数を記憶する記憶部を設け、
携帯端末から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムの版数と前記記憶部に記憶した版数とを比較して不一致であることを検知した場合、前記記憶部から読み出したプログラムを携帯端末へ送信し、該プログラムを実行して入力された取引情報を携帯端末から受信し、受信した取引情報にしたがって取引を実行するようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項3の自動取引装置において、
携帯端末から受信した取引情報の入力を受け付けるためのプログラムが存在しない旨を示す情報を受信したことを検知した場合、前記記憶部から読み出したプログラムを携帯端末へ送信し、該プログラムを実行して入力された取引情報を携帯端末から受信し、受信した取引情報にしたがって取引を実行するようにしたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−328707(P2007−328707A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161112(P2006−161112)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】