説明

自動取引システム及び自動取引装置

【課題】振り込め詐欺の防止に寄与し得る自動取引装置及び自動取引システムの提供。
【解決手段】ATMに対する振込操作中(ステップ302)に、携帯電話の電波が検出された場合には(ステップ308)、振込処理を中止し(ステップ309)、銀行員などによって解除命令が入力された場合にのみ(ステップ311)、振込処理を続行させる(ステップ315)ことにより、携帯で通話しながらのATM振込操作者(=振り込め詐欺の被害者のおそれがある者)の判断のみによって振込処理が完遂されることを防止し、これによって振り込め詐欺の発生を抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATMなどの自動取引装置に関し、特に、振り込め詐欺の防止に寄与し得る自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被害者と通話しながらATMの操作を誘導し指定口座への振込みを行わせるいわゆる“振り込め詐欺”が社会的な問題となっている。当該“振り込め詐欺”を防止させるための技術が特許文献1などによって開示されている。また、携帯電話の使用の有無を検知する技術が特許文献2などによって開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−18295号公報
【特許文献2】特開2001−28618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被害者と通話しながらATM等の自動取引装置の操作を誘導し指定口座への振込みを行わせる“振り込め詐欺”における問題点(振り込め詐欺の被害が無くならない原因)は、「携帯電話に代表される無線通信装置を使用しながら自動取引装置が操作(振込み)されること」及び「加害者の巧妙な口車等により、被害者が“振り込め詐欺”に気付くだけの思慮分別を欠いた状態にされていること」であると考えられる。本発明は、当該問題点に鑑み、振り込め詐欺の防止に寄与し得る自動取引装置及び自動取引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1の自動取引システムは、自動取引装置と金融システムとがネットワークを介して接続されることにより、自動取引装置による振り込みが可能とされている自動取引システムであって、無線通信装置の通信電波を検出する電波検出装置を前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵させ、前記自動取引装置における取引内容の選択画面において振込みが選択された場合に、当該選択があった時点以降であって振込先情報の入力が終了するまでの間において前記電波検出装置によって通信電波が検出された場合には、前記自動取引装置によって振込み処理を停止させる、又は、前記自動取引装置から前記金融システムに対し通信電波が検出された旨の情報を送信することで当該情報を受信した前記金融システムにおいて振込み処理を停止させることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、無線通信装置(代表的には携帯電話)を使用しながらATM等の自動取引装置によって“振込み”の取引をしているか否かが判別でき、これに該当すると判断された場合には自動的に振込み処理が停止されることとなる。
【0007】
本発明に係る第2の自動取引システムは、上記第1の自動取引システムであって、前記振込みの選択があった時点から、振込先情報の入力が終了するまでの全期間において、前記電波検出装置によって通信電波が検出され続けた場合にのみ、前記振込み処理の停止処理を実行することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ATM等の自動取引装置に対する操作において、“振込み”の選択があった時点から振込先情報の入力が終了するまでの間の一部において通信電波が検出されただけでは振込み処理の停止は行われず、その全期間において通信電波が検出され続けた場合にのみ振込み処理が停止されることとなる。なお、「振込先情報の入力が終了するまでの全期間において、前記電波検出装置によって通信電波が検出され続けた」とは、“厳密に全期間通信電波が検出され続けた”というものに限定するものではなく、「無線通信装置の連続した使用状態を検出する」という目的に沿って、“実質的に全期間通信電波が検出された”と判断できるものであればよいものである。
【0009】
本発明に係る第3の自動取引システムは、上記第1又は第2の自動取引システムであって、前記振込み処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた情報を前記自動取引装置又は前記金融システムによって一時記憶しておくことにより、前記自動取引装置又は前記金融システムに対する振込処理の一時停止解除命令が入力された場合には、前記一時記憶していた情報に基づいて振込み処理を実行することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ATM等の自動取引装置に対する振込みの操作内容が保持されるため、一旦振込み処理が停止した後においても、再度振込み処理の実行をさせることができる。また、金融システム側から一時停止解除命令を入力させるようにする場合、ユーザ(詐欺の被害者となり得る者)の操作だけでは振込み処理を終了できないようにすることができるため、「“振り込め詐欺”に気付くだけの思慮分別を欠いた状態の被害者」のみの判断で振込みが行われてしまうことを防止することができる。また、自動取引装置に一時停止解除命令を入力させる場合においては、ユーザが操作することができない入力部(ATM裏側の保守用のインターフェース等)のみから一時停止解除命令を受け付けるようにしたり、一時停止解除命令の入力にパスワードを要する仕様としたり、銀行の行員がキー操作をすることによりATMを係員モードにしたうえで一時停止解除命令を入力したり、一時停止解除命令自体をユーザが知り得ないコードとすること等により、ユーザのみの判断で振込みが行われてしまうことを防止することができる。
【0011】
本発明に係る第4の自動取引システムは、上記第1乃至第3の何れか1つの自動取引システムであって、前記自動取引装置又は前記金融システムと監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続されることにより、前記振込み処理の停止の際には、前記自動取引装置又は前記金融システムから前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、監視者(例えば、銀行における行員や警備員又は監視センタ等の担当者)の情報処理装置に通報が行われることとなる(例えば「携帯電話を使用しながらATMによって振込み取引が行われている」という情報の情報処理装置へのポップアップ表示や、同内容のメールの自動生成及び送信など)。
【0013】
本発明に係る第5の自動取引システムは、上記第1乃至第4の何れか1つの自動取引システムであって、安全振込先情報を登録しておくことにより、又は、振込先情報が有する属性情報の中で安全属性情報を定めておくことにより、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報が前記安全振込先情報に該当する場合又は安全属性情報に該当する場合には、前記振込み処理の停止処理を行わないことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、例えば、安全振込先情報として具体的な口座番号(口座所有者の身元がしっかりと確認されているもの等)を登録しておくことにより、振込先が当該登録された安全振込先情報に該当する場合には、振込み詐欺のおそれはない(非常に低い)として振込み処理が行われることとなる。また、例えば、振込先情報が有する属性情報として当座預金を定めておくことにより、振込先が当座預金である場合には、振込み詐欺のおそれはない(非常に低い)として振込み処理が行われることとなる。
【0015】
本発明に係る第6の自動取引システムは、上記第1乃至第5の何れか1つの自動取引システムであって、危険振込先情報を登録しておくことにより、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報が前記危険振込先情報に該当する場合には、前記電波検出装置による通信電波検出の有無に関わらず、振込み処理の停止処理を実行することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、例えば、危険振込先情報として具体的な口座番号を登録しておくことにより、振込先が当該登録された危険振込先情報に該当する場合には、通信電波検出の有無に関わらず振込み処理が停止されることとなる。
【0017】
本発明に係る第7の自動取引システムは、上記第1乃至第6の何れか1つの自動取引システムであって、前記自動取引装置又は前記金融システムと監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続され、ユーザの接近を感知するセンサが前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵され、画像撮影装置がユーザの顔を撮影できるように前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵されており、顔認識機能を備えることにより、前記センサによって来客が感知された場合に、前記画像撮影装置による録画を開始し、前記自動取引装置に対する一連の取引き操作が終了するまでの間に、前記顔認識機能によって顔が認識されなかった場合には、前記自動取引装置又は前記金融システムから前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、自動取引装置を使用するユーザの有無がセンサによって判別され、画像撮影装置によって使用中のユーザの撮影が行われ、自動取引装置を使用中に一度も顔認識ができなかった場合(即ち、何らかの形で顔を隠していることが想定される場合)には、監視者に対する通報が行われることとなる。
【0019】
本発明に係る第8の自動取引システムは、上記第1乃至第7の何れか1つの自動取引システムであって、前記振込み操作中の通信電波検出が行われた場合には、入力された振込先情報に通信電波検出が行われたことを示す情報を対応付けて記憶することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、ログ情報として、入力された振込先情報に電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられて保持されることとなる。
【0021】
本発明に係る第9の自動取引システムは、上記第8の自動取引システムであって、自動取引装置に対して、前記通信電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられた振込先情報に該当する口座に対する取引操作があった場合には、自動取引装置によって当該取引処理を停止させる、又は、自動取引装置から当該取引処理依頼命令を受信した前記金融システムにおいて当該取引処理を停止させることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、振込み時に電波検出が行われた振込先の口座に対する取引要求があった場合には、当該取引処理が停止される。
【0023】
本発明に係る第10の自動取引システムは、上記第9の自動取引システムであって、前記取引処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた操作によって得られた情報を前記自動取引装置又は前記金融システムによって一時記憶しておくことにより、前記自動取引装置又は前記金融システムに対する取引処理の一時停止解除命令が入力された場合には、前記一時記憶していた情報に基づいて取引処理を実行することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、ATM等の自動取引装置に対する取引の操作内容が保持されるため、一旦取引処理が停止した後においても、再度取引処理の実行をさせることができる。また、金融システム側から一時停止解除命令を入力させるようにする場合、ユーザ(詐欺の加害者となり得る者)の操作だけでは取引処理(現金の引出し等)をできないようにすることができる。また、自動取引装置に一時停止解除命令を入力させる場合においては、ユーザが操作することができない入力部(ATM裏側の保守用のインターフェース等)のみから一時停止解除命令を受け付けるようにしたり、一時停止解除命令の入力にパスワードを要する仕様としたり、銀行の行員がキー操作をすることによりATMを係員モードにしたうえで一時停止解除命令を入力したり、一時停止解除命令自体をユーザが知り得ないコードとすること等により、ユーザのみの操作で引き出しなどが行われてしまうことを防止することができる。
【0025】
本発明に係る第11の自動取引システムは、上記第1乃至第10の何れか1つの自動取引システムであって、通信電波検出時の振り込み金額の上限値が予め設定されていることにより、振込み金額が当該上限値を超えない場合には、前記振込み処理の停止処理を行わないことを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、所定の上限金額を超えない振込み金額である場合には、振込み処理の停止処理は行われないこととなる。
【0027】
本発明に係る第1の自動取引装置は、金融システムとネットワークを介して接続されることにより、振り込み手続きが可能とされている自動取引装置であって、制御部と、記憶部と、表示部と、入力部と、通信部とを備え、無線通信装置の通信電波を検出する電波検出装置が当該自動取引装置に接続されてその近傍に設置されることにより又は当該自動取引装置に内蔵されることにより、前記表示部に表示される取引内容の選択画面において振込みの選択が前記入力部にされた場合に、当該選択があった時点以降であって振込先情報の入力が終了するまでの間において前記電波検出装置によって通信電波が検出された場合には、前記制御部によって、振込み処理を停止させる、又は、前記金融システムに対し通信電波が検出された旨の情報を前記通信部から送信させることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る第2の自動取引装置は、上記第1の自動取引装置であって、前記振込みの選択があった時点から振込先情報の入力が終了するまでの全期間において、前記電波検出装置によって通信電波が検出され続けたか否かを前記制御部によって判別し、当該判別の結果、全期間に渡り通信電波が検出された場合にのみ前記振込み処理の停止処理又は前記金融システムに対する情報送信処理を実行することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る第3の自動取引装置は、上記第1又は第2の自動取引装置であって、前記振込み処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた情報を前記記憶部に記憶しておくことにより、振込処理の一時停止解除命令が前記入力部から入力された場合若しくは振込処理の一時停止解除命令を前記金融システムから受信した場合には、前記記憶部に記憶していた情報に基づいて振込み処理を実行することを特徴とする。
【0030】
本発明に係る第4の自動取引装置は、上記第1乃至第3の何れか1つの自動取引装置であって、前記自動取引装置と監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続されることにより、前記振込み処理の停止の際には、前記自動取引装置から前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うことを特徴とする。
【0031】
本発明に係る第5の自動取引装置は、上記第1乃至第4の何れか1つの自動取引装置であって、前記金融システムに安全振込先情報を登録しておくことにより、又は、振込先情報が有する属性情報の中で安全属性情報を定めておくことにより、前記安全振込先情報を金融システムから受信することでこれと前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報とを前記制御部によって比較し、入力された振込先情報が安全振込先情報に該当すると判断された場合には、又は、前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報から得られる属性情報と安全属性情報とを前記制御部によって比較し、入力された振込先情報が安全属性情報に該当すると判断された場合には、前記振込み処理の停止処理を行わないことを特徴とする。
【0032】
本発明に係る第6の自動取引装置は、上記第1乃至第5の何れか1つの自動取引装置であって、前記金融システムに危険振込先情報を登録しておくことにより、当該危険振込先情報を金融システムから受信することでこれと前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報とを前記制御部によって比較し、入力された振込先情報が危険振込先情報に該当すると判断された場合には、前記電波検出装置による通信電波検出の有無に関わらず、振込み処理の停止処理を実行することを特徴とする。
【0033】
本発明に係る第7の自動取引装置は、上記第1乃至第6の何れか1つの自動取引装置であって、前記自動取引装置と監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続され、ユーザの接近を感知するセンサが前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵され、画像撮影装置がユーザの顔を撮影できるように前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵されており、顔認識機能を備えることにより、前記センサによって来客が感知された場合に、前記画像撮影装置による録画を開始し、前記自動取引装置に対する一連の取引き操作が終了するまでの間に、前記顔認識機能によって顔が認識されたか否かを前記制御部によって判別し、当該判別の結果顔認識されなかったと判断された場合には、前記自動取引装置から前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うことを特徴とする。
【0034】
本発明に係る第8の自動取引装置は、上記第1乃至第7の何れか1つの自動取引装置であって、前記振込み操作中の通信電波検出が行われた場合には、入力された振込先情報に通信電波検出が行われたことを示す情報を対応付けて前記記憶部に記憶する又は前記金融システムに送信することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る第9の自動取引装置は、上記第1乃至第8の何れか1つの自動取引装置であって、口座を指定した取引要求があった場合には、前記制御部によって当該口座と、前記金融システムから受信した前記通信電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられた振込先情報に該当する口座と若しくは前記記憶部に記憶されている通信電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられた振込先情報に該当する口座と、を比較し、同一の口座であると判断された場合には、当該取引処理を停止させることを特徴とする。
【0036】
本発明に係る第10の自動取引装置は、上記第9の自動取引装置であって、前記取引処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた操作によって得られた情報を前記記憶部に記憶させておくことにより、取引処理の一時停止解除命令が前記入力部から入力された場合若しくは取引処理の一時停止解除命令を前記金融システムから受信した場合には、前記記憶部に記憶していた情報に基づいて取引処理を実行することを特徴とする。
【0037】
本発明に係る第11の自動取引装置は、上記第1乃至第10の何れか1つの自動取引装置であって、通信電波検出時の振り込み金額の上限値が前記記憶部に予め設定されていることにより、若しくは、通信電波検出時の振り込み金額の上限値を前記金融システムから受信することにより、振込み金額が当該上限値を超えないと前記制御部によって判断された場合には、前記振込み処理の停止処理を行わないことを特徴とする。
【0038】
本発明に係る第1の自動取引装置制御プログラムは、金融システムとネットワークを介して接続されることにより振り込み手続きが可能とされている自動取引装置であって、制御部と、記憶部と、表示部と、入力部と、通信部と、無線通信装置の通信電波を検出する電波検出装置とを備える自動取引装置に、前記表示部に表示される取引内容の選択画面において振込みの選択が前記入力部にされた場合に、当該選択があった時点以降であって振込先情報の入力が終了するまでの間において前記電波検出装置によって通信電波が検出されたか否かを判別するステップと、当該期間において通信電波が検出されたと判断された場合には、振込み処理を停止させるステップ若しくは前記金融システムに対し通信電波が検出された旨の情報を送信させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0039】
本発明に係る第2の自動取引装置制御プログラムは、上記第1の自動取引装置制御プログラムであって、前記振込みの選択があった時点から振込先情報の入力が終了するまでの全期間において前記電波検出装置によって通信電波が検出され続けたか否かを判別するステップと、当該判別の結果全期間に渡り通信電波が検出された場合にのみ前記振込み処理を停止させるステップ若しくは前記金融システムに対する情報を送信させるステップを実行させることを特徴とする。
【0040】
本発明に係る第3の自動取引装置制御プログラムは、上記第1又は第2の自動取引装置制御プログラムであって、前記振込み処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた情報を前記記憶部に記憶させるステップと、振込処理の一時停止解除命令が前記入力部から入力された場合若しくは振込処理の一時停止解除命令を前記金融システムから受信した場合に、前記記憶部に記憶していた情報に基づいて振込み処理を実行するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0041】
本発明に係る第4の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第3の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、前記自動取引装置と監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続されていることにより、前記振込み処理の停止の際には前記自動取引装置から前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うステップを実行させることを特徴とする。
【0042】
本発明に係る第5の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第4の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、前記金融システムに安全振込先情報が登録されていることにより、又は、振込先情報が有する属性情報の中で安全属性情報を定められていることにより、前記安全振込先情報を金融システムから受信するステップと、これと前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報とを比較するステップと、入力された振込先情報が安全振込先情報に該当すると判断された場合には前記振込み処理を停止させるステップを実行させない、又は、前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報から属性情報を取得するステップと、これと前記安全属性情報とを比較するステップと、入力された振込先情報が安全属性情報に該当すると判断された場合には前記振込み処理を停止させるステップを実行させないことを特徴とする。
【0043】
本発明に係る第6の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第5の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、前記金融システムに危険振込先情報を登録しておくことにより、当該危険振込先情報を金融システムから受信するステップと、これと前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報とを比較するステップと、入力された振込先情報が危険振込先情報に該当すると判断された場合には、前記電波検出装置による通信電波検出の有無に関わらず振込み処理の停止処理を実行させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0044】
本発明に係る第7の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第6の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、前記自動取引装置と監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続され、ユーザの接近を感知するセンサが前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵され、画像撮影装置がユーザの顔を撮影できるように前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵されており、顔認識機能を備えていることにより、前記センサによって来客が感知された場合に、前記画像撮影装置による録画を開始させるステップと、前記自動取引装置に対する一連の取引き操作が終了するまでの間に前記顔認識機能によって顔が認識されたか否かを判別するステップと、当該判別の結果顔認識されなかったと判断された場合には前記自動取引装置から前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うステップと、を実行させることを特徴とする。
【0045】
本発明に係る第8の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第7の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、前記振込み操作中の通信電波検出が行われた場合に、入力された振込先情報に通信電波検出が行われたことを示す情報を対応付けて前記記憶部に記憶させるステップ、又は、入力された振込先情報に通信電波検出が行われたことを示す情報を対応付けて前記金融システムに送信するステップを実行させることを特徴とする。
【0046】
本発明に係る第9の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第8の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、口座を指定した取引要求があった場合には、当該口座と、前記金融システムから受信した前記通信電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられた振込先情報に該当する口座と若しくは前記記憶部に記憶されている通信電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられた振込先情報に該当する口座と、を比較するステップと、当該比較の結果同一の口座であると判断された場合には当該取引処理を停止させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0047】
本発明に係る第10の自動取引装置制御プログラムは、上記第9の自動取引装置制御プログラムであって、前記取引処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた操作によって得られた情報を前記記憶部に記憶させるステップと、取引処理の一時停止解除命令が前記入力部から入力された場合若しくは取引処理の一時停止解除命令を前記金融システムから受信した場合に前記記憶部に記憶していた情報に基づいて取引処理を実行させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0048】
本発明に係る第11の自動取引装置制御プログラムは、上記第1乃至第10の何れか1つの自動取引装置制御プログラムであって、通信電波検出時の振り込み金額の上限値が前記記憶部に予め設定されていることにより若しくは通信電波検出時の振り込み金額の上限値を前記金融システムから受信することにより、振込み金額が当該上限値を超えるか否かを判別するステップと、当該判別の結果これを越えないと判断された場合には前記振込み処理を停止させるステップを実行させないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
本発明に係る第1の自動取引システムによれば、振り込め詐欺の被害が無くならない原因である「携帯電話に代表される無線通信装置を使用しながら自動取引装置が操作(振込み)されること」に対し、無線通信装置を使用しながらATM等の自動取引装置によって“振込み”の取引をしている場合には自動的に振込み処理を停止させることができるため、被害の発生を防止することが可能となる。また、第1の自動取引システムの構成とすることにより、少なくとも振込先情報を取得することができるため、当該情報を有効活用することが可能となるものである(取得した振込先情報を利用することにより2次的な被害の発生を防止することや、犯罪摘発のために利用すること等が可能となる)。
【0050】
本発明に係る第2の自動取引システムによれば、ATM等の自動取引装置に対する操作において、“振込み”の選択があった時点から振込先情報の入力が終了するまでの間の一部において通信電波が検出されただけでは振込み処理の停止は行われず、その全期間において通信電波が検出され続けた場合にのみ振込み処理が停止されることとなるため、比較的精度よく(誤動作が少なく)振り込め詐欺の被害の防止を図ることができる。即ち、携帯電話は定期的に基地局と通信をしているため、実際に通話をしていなくとも電源の入った携帯電話を所持しているだけで、通信電波が検出されてしまうおそれがある(これにより、振り込め詐欺の被害のおそれが無いのに、処理が停止される場合がある)。これに対しては電波検出されている時間が“定期的な基地局との通信”より長い場合のみを検出するようにすれば、“定期的な基地局との通信”に基づいて誤動作してしまうことを防止させることが可能となる。しかし、携帯電話では、通話以外にもメールの送受信などにより比較的長い間通信電波を発する場合があり、上記対策では必ずしも十分であるとは言えない。一方、振込め詐欺は、通話しながらATMを操作させることで被害者が冷静になる余地を与えないようにしていると考えられるため、少なくとも振込先情報を入力するまでの間は連続した通話状態であると考えられる。よって、第2の自動取引システムの構成とすることにより、誤動作を抑制しつつ振り込め詐欺の被害の防止を図ることができるものである。
【0051】
本発明に係る第3の自動取引システムによれば、一旦振込み処理が停止した後においても、再度振込み処理の実行をさせることができるため、ユーザの利便性に優れる。また、金融システム側から一時停止解除命令を入力させるようにする場合、ユーザ(詐欺の被害者となり得る者)の操作だけでは振込み処理を終了できないようにすることができるため、「“振り込め詐欺”に気付くだけの思慮分別を欠いた状態の被害者」のみの判断で振込みが行われてしまうことを防止することができる。また、自動取引装置に一時停止解除命令を入力させる場合においては、ユーザが操作することができない入力部(ATM裏側の保守用のインターフェース等)のみから一時停止解除命令を受け付けるようにしたり、一時停止解除命令の入力にパスワードを要する仕様としたり、銀行の行員がキー操作をすることによりATMを係員モードにしたうえで一時停止解除命令を入力したり、一時停止解除命令自体をユーザが知り得ないコードとすること等により、上記と同じくユーザのみの判断で振込みが行われてしまうことを防止することができる。即ち、振り込め詐欺の被害が無くならない原因である「加害者の巧妙な口車等により、被害者が“振り込め詐欺”に気付くだけの思慮分別を欠いた状態にされていること」に対し、被害者の判断のみではなく、第三者の判断に基づいて振込み処理の実行の可否が決められることになるため、被害の発生を防止することが可能となるものである。
【0052】
本発明に係る第4の自動取引システムによれば、監視者(例えば、銀行における行員や警備員又は監視センタ等の担当者)の情報処理装置に通報が行われることとなり、これを受けた銀行員や警備員などが、通話をしながらATMで振込みを行おうとしているユーザに対して直接声をかけること等によってより有効に被害の発生を防止することが可能となる。
【0053】
本発明に係る第5の自動取引システムによれば、例えば、安全振込先情報として具体的な口座番号(口座所有者の身元がしっかりと確認されているもの等)を登録しておくことにより、振込先が当該登録された安全振込先情報に該当する場合には、振り込め詐欺のおそれはない(非常に低い)として振込み処理が行われることとなる。また、例えば、振込先情報が有する属性情報として当座預金を定めておくことにより、振込先が当座預金である場合には、振り込め詐欺のおそれはない(非常に低い)として振込み処理が行われることとなる。従って、振込先情報に基づいて振り込め詐欺のおそれがないと判断された場合には“振込み処理の停止”がなされないため、より精度良く(誤動作が少なく)振り込め詐欺の被害の防止を図ることができる。また、不必要な“処理の停止”が抑止されるため、ユーザ等の利便性に優れる。
【0054】
本発明に係る第6の自動取引システムによれば、例えば、危険振込先情報として実際に振り込み詐欺の被害があった振込先口座番号を登録しておくことにより、振込先が当該登録された危険振込先情報に該当する場合には、通信電波検出の有無に関わらず振込み処理が停止されることとなる。従って、何らかの形で通話をせずに振り込め詐欺がなされるような場合や、装置の不具合などによりたまたま通信電波の検出がうまく行かなかったような場合であっても、危険な振込先である場合には振込み処理が停止されるため、被害の防止を図ることができる。
【0055】
本発明に係る第7の自動取引システムによれば、自動取引装置を使用中に一度も顔認識ができなかった場合(即ち、何らかの形で顔を隠していることが想定される場合)には、監視者に対する通報が行われることとなる。よって、不審者(例えば、現金を引き出しに来た犯人)の発見等に寄与し得る。
【0056】
本発明に係る第8の自動取引システムによれば、ログ情報として、入力された振込先情報に電波検出が行われたことを示す情報が対応付けられて保持されることとなる。これにより、当該情報を利用することで2次的な被害の発生を防止することや、当該情報を犯罪摘発のために利用すること等が可能となる。
【0057】
本発明に係る第9の自動取引システムによれば、振込み時に電波検出が行われた振込先の口座に対する取引要求があった場合には、当該取引処理が停止される。“振込み時に電波検出が行われた振込先の口座”は、振り込め詐欺に使用された口座(即ち犯人が現金引き出し等をする口座)である可能性があるため、当該口座に対する取引を抑制することにより、容疑者の検挙などに寄与し得るものである。
【0058】
本発明に係る第10の自動取引システムによれば、金融システム側から一時停止解除命令を入力させるようにする場合、ユーザ(詐欺の加害者となり得る者)の操作だけでは取引処理(現金の引出し等)をできないようにすることができる。また、自動取引装置に一時停止解除命令を入力させる場合においては、ユーザが操作することができない入力部(ATM裏側の保守用のインターフェース等)のみから一時停止解除命令を受け付けるようにしたり、一時停止解除命令の入力にパスワードを要する仕様としたり、銀行の行員がキー操作をすることによりATMを係員モードにしたうえで一時停止解除命令を入力したり、一時停止解除命令自体をユーザが知り得ないコードとすること等により、上記と同じくユーザのみの操作で引き出しなどが行われてしまうことを防止することができる。従って、振り込め詐欺に使用された可能性のある口座(即ち犯人が現金引き出し等をする可能性のある口座)から、ユーザのみの操作で引き出し等の取引をすることができず、銀行員などの第三者の承認を要することとなるため、犯罪の抑制や容疑者の検挙などに寄与し得るものである。
【0059】
本発明に係る第11の自動取引システムによれば、所定の上限金額を超えない振込み金額である場合には、振込み処理の停止処理は行われないこととなる。振り込め詐欺などの犯罪においては、そのリスクとの関係上、加害者側はある程度の額を要求してくることが考えられ、一方、個人の普段の日常生活においては比較的低額の振込みが生じることがある程度頻繁に起っても、高額の振込みが生じる頻度は一般的には低いと考えられる。よって、振込み額が所定額以下の場合は、振り込め詐欺のおそれは低く且つ低額の取引をいちいち止められたのでは手続きが煩雑となりユーザの利便性を阻害するおそれがあるため、このような場合には、振込み処理の停止処理が行われないようにするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の具体的実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【実施例1】
【0061】
図1は本実施例の自動取引システム1の構成の全体像の概略を示すブロック図である。図2は同自動取引システム1を構成するATM(自動取引装置)の構成の概略を示すブロック図である。
【0062】
自動取引システム1は銀行などの金融機関が運営するシステムであり、図1に示されるように、金融システム20とATM10とがネットワーク50を介して接続されることにより、現金の預け入れや引出し、振り込みなどの各種の取引を、ATM10を操作することで行うことができるように構成されている。金融システム20は本店などのセンタに設置されたサーバやデータベース等の各種の情報処理装置によってその主な機能が実現されるものであり、さらに各支店に備えられるサーバ等の各種の情報処理装置とネットワークを介して接続されることにより全体としてのシステムが機能するものである。ATMは各支店内に設けられる(通常は複数台設けられる)他、各種商業施設内や無人店舗として設けられている。監視センタ40は、各支店や無人店舗に備えられる監視カメラから送られてくる映像の監視などを行うものである。なお、本実施例の金融システム20を構成するサーバ(データベース)には、安全振込先情報として具体的な口座番号(安全口座)が登録されており、危険振込先情報として具体的な口座番号(危険口座)が登録されている。
【0063】
図2に示されるように、ATM10は、装置全体の制御などを行う制御部101と、記憶部102と、ユーザに対するインターフェースである表示部103や入力部104と(タッチパネル等によって構成される)、ネットワークへの情報の送受信を行う通信部105と、外部装置に対する入出力インターフェースであるI/O部106と、等を備える。電波検出装置11は、携帯電話60(無線通信装置)の通信電波を検出する装置であり、ATM10のI/O部106に接続され、その近傍に設置される。電波検出装置11は、単に通信電波を検出した際にその旨の信号を出力するだけの装置であっても良いし、ATM10側からの命令を受け付けてそれに従った動作をするものであっても良い。ここでは、電波検出装置11が外部装置としてATM10に接続されているものを例としているが、電波検出装置11がATM10に内蔵されているものであっても構わない。
【0064】
図3は本実施例のATM10における本発明に関する処理動作の概略を示したフローチャートである。以下、同フローチャートに沿って本発明に関する処理動作を説明する。なお、以下では処理主体を省略して説明する場合があるが、基本的には、入力部104に対する指示に応じて、記憶部101や通信部105(若しくはI/O部106)を介して得られた情報などを参照しつつ制御部101によって処理を行い、その結果に基づいて表示部103への表示処理を行ったり、結果情報を記憶部101に保存若しくは通信部105(若しくはI/O部106)を介して送信などすることによって処理が進められていくものである。
【0065】
ATM10では、通常は表示部に取引メニュー画面(取引内容を選択させる画面)が表示されていて(ステップ301)、ユーザ(客)によって入力部104(タッチパネル等)の操作により取引内容の選択がなされることで、各取引に応じた処理(ステップ315)が実行されることとなるものである。実施例中では、本発明にあまり関係の無い“各取引に応じた処理の具体的な処理内容”については、ステップ315の「各種取引処理」として纏めることで説明を簡略化した。
【0066】
取引メニュー画面における選択が、“振り込み”であった場合にはステップ303へと移行して、通信電波の検出を開始する(ステップ302〜ステップ303)。例えば、電波検出装置11からI/O部106へ入力される信号が、“通信電波が検出されている場合にはハイレベル、検出されていない場合にはローレベル”というようなものであった場合には、ステップ303以降ステップ308までの間において、「I/O部106へ入力される信号がハイレベルであるかローレベルであるか」を監視することになる。具体的な判別(監視)方法は、電波検出装置11の仕様に応じて定めればよいものである。
【0067】
続くステップ304では、ユーザ(客)の入力に応じて案内画面を表示しながら、必要な情報を取得し、これによって得られた情報を記憶部102に記憶する。ステップ305では、上記ステップ304の処理によって振込先情報(支店名や口座番号など)が取得されたか否かを判別し、これが得られた場合にステップ306へと移行する。
【0068】
ステップ306では、当該取得された振込先情報が安全口座に該当するか否かを判別し、該当する場合には、ステップ314・315の処理へと進む(以下で説明する“振込み処理の停止”を行わない)。本実施例における安全口座は口座所有者の身元がしっかりと確認されている等の、振込先としての安全が確認されている(振り込め詐欺のおそれがない)ものを前提としているため、振り込め詐欺防止のためである、“振込み処理の停止”を行わないものである。なお、安全口座(及び危険口座)の情報は、前述のごとく、金融システム20を構成するサーバ(データベース)に登録されており、ATM10は、ステップ306や307の処理の際には、当該サーバと通信をして安全口座(危険口座)に該当するか否かの判別を行うものである(バッチ処理などにより、予めサーバから安全口座(及び危険口座)の情報を取得して記憶部102に保持しておき、ステップ306や307の処理の際には記憶部102を参照するものであってもよい)。
【0069】
安全口座に該当しなかった場合にはステップ307へと移行して、取得された振込先情報が危険口座に該当するか否かを判別し、危険口座に当たらない場合には、ステップ308へと移行し、危険口座に該当する場合にはステップ313へと移行する。
【0070】
危険口座に該当しなかった場合には、“振り込み”が取引メニュー画面で選択されてからここまでの間、ずっと通信電波が検出され続けていたか否かを判別する(ステップ308)。ステップ308の判別が肯定である場合、これは即ち、“振り込み”が取引メニュー画面で選択されてから振込先情報の入力が終わるまでの間ずっと携帯電話で通話していたことが想定されるものである(=振り込め詐欺である可能性が比較的高いと判断できる)。よって、ステップ308の判別が肯定である場合には、ステップ309へと移行して、振り込み処理を停止させる。ステップ309ではさらに、当該入力された振込先情報と「振り込みの操作中に通話電波が検出されていた」ことを示す情報とを対応付けて金融システム20(サーバ)へと送信する。これを受信した金融システム20側では、当該受信した振込先情報と振り込みの操作中に通話電波が検出されていたことを示す情報とを対応付けて記憶する。
【0071】
続くステップ310では、注意喚起画面を表示部103へと表示すると共に、監視者用情報処理装置(PC)へと通報する処理を行う。監視者とは、本店や支店内の銀行員や警備員、監視センタの職員などであり、監視者用情報処理装置はこれらの者の使用するPCである(その他携帯情報端末などであってよい)。ATM10には監視者用情報処理装置(PC)のアドレスが予め登録されており、当該アドレス情報に基づいて、通報がなされるものである。例えば、「携帯電話を使用しながらATMによって振込み取引が行われている」という情報のPCのモニタへのポップアップ表示をさせるものや、同内容のメールの自動生成及び送信などである。なお、ATMは通常多数存在しており、それぞれに識別情報が付与されているものであるため、当該通報においては、自己の識別情報も付加して送信する。これにより、どのATMにおいて携帯電話を使用しながら振込み取引が行われているのかを監視者側で判断することができる。通報の情報に、ユーザ(客)によって入力された振込先情報などを含めるものであってもよい。
【0072】
ステップ310に続くステップ311とステップ312のループ処理は、「振込処理の一時停止解除命令」の入力(ステップ311)、若しくは、「取り消し」の入力(ステップ312)を待つものである。「振込処理の一時停止解除命令」とは、監視者側の判断により入力される(第三者である監視者が、振り込み詐欺のおそれが無いと判断した場合に入力する)ものであり、解除命令の入力があった場合には、ステップ315へと移行して取引処理の実行が行われる。解除命令は、金融システム側から通信部105を介して入力されるもの(金融システムを構成する情報処理装置に入力された解除命令がネットワークを介してATMに入力されるもの)や、入力部104からコード情報として入力されるもの、入力部104に対する所定操作(パスワード入力など)により管理者権限でログインした後に入力されるもの(銀行の行員がKey操作をすることによりATMを係員モードにしたうえで入力されるもの)、ユーザ(客)用とは別に設けられている管理者用(保守用)の入力インターフェースから入力されるもの等であってよい。何れにせよ、ユーザ(客)には操作できないものとすることにより、第三者の判断を経なければ取引処理の実行(ステップ315への移行)ができないようにすることができる。
【0073】
「取り消し」の入力があった場合には、ステップ301へと戻って処理を繰り返す。「取り消し」の入力とは、ユーザ(客)が手続きの取り消しをするためのものであり、これが入力された場合には初期画面(取引メニュー画面)に戻るものである。「戻る」ボタンにより一つ前の手続き画面に戻るようなものであっても良い。
【0074】
上記ステップ308〜ステップ312の処理により、例えば、通話の検知によって振り込み処理が停止された(ステップ309)際に、「係員が参りますので少しお待ちください」というような画面表示がなされ(ステップ310)、通報を受けた同支店内の行員若しくは警備員が直接お客様に声をかけて状況を確認し、問題ないと判断した場合には入力部104からコード情報として「振込処理の一時停止解除命令」を入力することによって、振り込み処理が続行されることとなる(入力情報などはステップ304によって記憶されているため、再入力の必要は無い)。無人店舗であるような場合には、ATM近くに通話装置を備えておくことにより、注意喚起画面として「係員から連絡いたしますので受話器をお取りください」というような表示を行い、通報を受けた本店や監視センタの職員から電話をかけて直接お客様と通話し、問題ないと判断した場合には監視者用情報処理装置(PC21・41)を使用する等して、「振込処理の一時停止解除命令」を入力することで、振り込み処理が続行されることとなる。なお、注意喚起画面としては、より直接的に「電話による振り込め詐欺にあっていませんか?」というような表示を行うものであっても良い。
【0075】
ステップ307における判別の結果、危険口座であると判断された場合には、ステップ313へと移行して、振り込み処理の停止と、注意喚起画面の表示、監視者用情報処理端末への通報の各処理が行われる。本実施例の危険口座は、例えば実際に振り込み詐欺に使用された口座のごとく、相当程度振り込め詐欺などの危険の高い口座であることが前提であるので、振込先の口座がこれに該当する場合には、電波検出の有無に関わらず、処理を停止させるものである。ステップ313の後はステップ311〜ステップ312のループ処理へ移行するものであり、注意喚起画面の内容や通報、その後の処理などは上記で説明したものと同様のものである。
【0076】
ステップ315は前述したごとく、いわゆる従来のATMが実行する処理である“各取引に応じた処理”を纏めて簡略表現したものであり、振込みでなかった場合(ステップ302)や、上記各処理によって振込め詐欺のおそれが無い(若しくは危険性が低い)と判断された場合に実行され、“各種取引処理”が実行された後は、ステップ301へと戻ることにより、次の取引を待つこととなる。
【0077】
ステップ314は、記載の便宜上ステップ315とは別にしているが、実際にはステップ315の処理の中で実行される処理であり、取引口座が危険口座に該当すると判断された場合には、ステップ313へと移行して、処理(振込みに限らない)を停止させるものである。例えば、現金引出しの取引において、その口座が危険口座に該当する場合には、取引処理を停止させて、ステップ313→ステップ311〜312の処理を実行させるものである。これにより、例えば、危険口座から現金を引き出そうとしても、第三者である監視者の判断を得なければ取引を続行することができないため、犯人が現金を引出ししてしまうことを抑止することが可能となるものである。なお、危険口座だけでなく、ステップ309の処理によって金融システム(サーバ)において登録されている、「振り込みの操作中に通話電波が検出されていたことを示す情報が対応付けられた“振込先情報”」に基づき(必要に応じてサーバから当該情報を取得する)、当該振込先情報の口座が取引口座とされた場合に、取引処理を停止させるようなものであってもよい。“振込み時に通話電波検出が行われた振込先の口座”は、振り込め詐欺に使用された口座(即ち犯人が現金引き出し等をする口座)である可能性があるため、当該口座に対する取引を抑制することにより、容疑者の検挙などに寄与し得るものである。
【0078】
以上のごとく、本実施例の自動取引システムによれば、振り込め詐欺の被害が無くならない原因である「携帯電話に代表される無線通信装置を使用しながら自動取引装置が操作(振込み)されること」に対し、無線通信装置を使用しながらATM等の自動取引装置によって“振込み”の取引をしている場合には自動的に振込み処理が停止されることができるため、被害の発生を防止することが可能となる。また、振り込め詐欺の被害が無くならないもう一つの原因である「加害者の巧妙な口車等により、被害者が“振り込め詐欺”に気付くだけの思慮分別を欠いた状態にされていること」に対し、被害者の判断のみではなく、第三者(銀行員などの監視者)の判断に基づいて振込み処理の実行の可否が決められることになるため、被害の発生を防止することが可能となるものである。
【0079】
なお、図3では、振込先情報が入力されたことをもって通信電波が検出(振込みが選択されてから振込先が入力されるまでの全期間で電波検出)されたか否かを判別して以降の処理へと移行するものを例として説明したが、図4に示したように、振込みに関する全ての入力が終わった後に、通信電波の検出をするようなものであっても良い。また、図4は、振り込み金額が所定額以下であった場合には、振込み処理の停止処理を行わないようにしたものである。
【0080】
図4では、図3と同様の処理については図3と同一の符号を使用している。本処理の前提として、金融システム20を構成するサーバ(データベース)には、通信電波検出による振り込み処理停止の機能を実行させないようにする“上限金額(当該金額未満である場合には処理停止機能が働かないもの)”に関する情報も登録されているものとする。以下、図3との相違部分だけ説明する。
【0081】
ステップ401は、振り込み手続きに関する全ての入力が終わった後の確認画面(入力情報の確認画面)を表示部103に表示させる処理であり、当該画面において確認の入力があった場合にはステップ402へと移行して、振り込み金額と上限金額との比較を行う。振り込み金額は、振り込み手続きに関する情報入力において得られている情報であり、これが予め登録されている“上限金額”に満たない場合には、ステップ314・315へと移行する(ステップ309の処理停止を実行させない)。一方、振り込み金額が上限金額以上である場合には、ステップ403へと移行して通話電波が検出されたか否かを判別し、以降図3と同様の処理となる。なお、ステップ403における電波検出は、図3の処理と同様に“振込みが選択されてから振込先が入力されるまでの全期間で電波検出”であっても構わないし、“振込みが選択されてから全ての情報入力が終わるまでの全期間で電波検出”というものであっても構わない。ステップ402の処理の際には、サーバと通信をして上限金額との大小比較の判別を行うものである(バッチ処理などにより、予めサーバから上限金額の情報を取得して記憶部102に保持しておくものであってもよい)。
【0082】
なお、本実施例中では、処理主体が主にATM10であるものを例として説明したが、本発明をこれに限るものではなく、処理主体は上記説明した本発明の概念に沿って適宜定めることができる。例えば、処理の殆どを金融システム20(サーバ)側で行わせることも可能であるし(この場合、上記説明における入力部104としての機能をATMが担い、上記説明における制御部101の機能をサーバが担うようなイメージとなる)、一部だけを金融システム20(サーバ)側に行わせることも可能である。各種情報の保存場所なども同様であり、本発明の概念に沿って適宜定めることができる(説明中で金融システム20(サーバ)側で保持するとした情報を、ATM10で保持することもあり得るし、その逆もあり得る)。
【0083】
本実施例中では、“振込みが選択されてから振込先が入力されるまでの全期間で電波検出”するものを例としており、これによれば、比較的精度よく(誤動作が少なく)振り込め詐欺の被害の防止を図ることができるものであるが、“振込みが選択された後に電波検出された場合には処理停止をするもの”というようなものであっても構わない。“一瞬でも電波検出された場合には処理停止”というようなものでは誤動作が多発すると思われるが、「ある程度の時間以上電波検出された場合には処理停止(所定時間や、振込操作をした期間に対する電波検出期間の割合などを定めておき、これら以下である場合には処理停止しない)」というものとすれば、誤動作を抑制することは可能である。
【0084】
本実施例では、安全口座として振り込め詐欺に利用されるおそれがないことが確認された具体的な口座番号が登録されるものを例として説明したが、振込先情報が持つ属性情報(当該属性をもつ振込先であれば振り込め詐欺に利用されるおそれがない若しくは低いと判断されるもの)を登録しておき、振込操作によって得られた振込先が当該安全な属性情報を有する場合には、振込みの停止処理を行わないようにしてもよい。例えば、当座預金は、振り込め詐欺に利用されるおそれは低いと評価できるため、“当座預金”という属性情報を安全属性情報として定めておくことにより、振込先が“当座預金”である場合には、振込みの停止処理を行わないようにするものである。
【実施例2】
【0085】
図5は本実施例の自動取引システムの構成の内、主にATM70の構成の概略を示すブロック説明図である。
【0086】
本実施例の自動取引システムの全体的な構成は、実施例1(図1)と同様のものである。図5の遠隔監視センタ80が実施例1の監視センタ40に相当する。本実施例のATM70には遠隔監視センタ80とネットワークを介して接続される監視制御部72が設けられている。監視制御部72は遠隔監視センタ80からATM70(外部環境調査装置71)の制御などを可能とさせるためのものである。また、監視制御部72には操作部(入力インターフェース)が備えられていることにより、これを直接操作することによっても外部環境調査装置71の制御が可能である。
【0087】
ATM70に設けられる外部環境調査装置71は、携帯電話・PHSの電波の検出等をする携帯電話電波検出装置711と、無線LAN及び無線LANを使用した音声通話(IP電話)の検出等をする無線LAN電波検出装置712と、画像入力・記録機能・顔検出機能等を有する画像処理装置713と、等によって構成され、ATM70近傍の環境情報の取得(電波検出や、監視カメラによる映像の取得)などを行うものである。外部環境調査装置71は監視制御部72と接続されることにより遠隔監視センタ80から制御することができる。なお、図示はしていないが、ATM70の近傍には人体センサ(例えば赤外線センサ)が設置され(若しくはATMに内蔵され)ており、来客を感知することが可能なように構成されているものである。
【0088】
ここで、図5に記載されている信号線上を流れる信号の説明をする。
“STR”は、BUS上の信号をOUTPUT
Registerに取込む事を指示するコントロール信号である。なお、“BUS”は、制御部が外部装置(レジスタ)と信号の授受を行うためのデータを乗せる信号線群である。
“OE”は、INPUT Registerの内容をCPUが取り込むためBUSに乗せるよう指示するコントロール信号である。
“CTR信号”は、制御部がATMの各機能UNITに対し各種指示を出す、一連の指示信号である。
“01〜03”は、それぞれ該当する携帯、無線、監視の検出機能を有効にする指示信号であり、ATMのCPU(制御部)からの指示信号である。
“OP1〜OP3”は、該当する携帯、無線、監視の検出機能を有効にする指示信号であり、監視制御部72からの指示信号である(即ち、オペレータや監視センタによる各機能オン/オフの設定に基づく信号)。
“in1〜in3”は、それぞれ該当する携帯、無線、監視の検出機能による検出結果を示す信号である。
【0089】
図6は、本実施例のATM70における本発明に関する処理動作の概略を示したフローチャートである。
【0090】
人体センサにより来客が感知された場合には(ステップ601)、図12(a)で示されるようなメニュー画面の表示処理を行う(ステップ602)。続くステップ603では、画像処理装置713に対して画像の記録開始と顔検知機能をONにさせる。
【0091】
前記メニュー画面に対してなされた選択が、“お振込み”であった場合には、ステップ605の「電波検出・振込処理一時停止処理」へと移行し、その他の選択であった場合には、ステップ606へと移行する。なお、“お振込み”の選択があった時点が、後に図9で説明するソフトウェア処理ポイントAに該当する。
【0092】
図7は、図6のステップ605の「電波検出・振込処理一時停止処理」の処理動作の概略を示したフローチャートである。
【0093】
「電波検出・振込処理一時停止処理」が実行されると、携帯電話電波検出装置711と無線LAN電波検出装置712に対して電波の検出を指示する(ステップ701)。
【0094】
ステップ702〜ステップ705の処理は、ATM70に対する一連の振り込み操作に伴う処理であり、各操作内容を記憶しつつ(ステップ703)、必要な入力が終わった後には、入力内容の確認画面を表示し(ステップ704)、確認OKであった場合にはステップ706へと移行する(ステップ705)。なお、振込み入力内容の確認OKの選択があった時点が、後に図9で説明するソフトウェア処理ポイントBに該当する。
【0095】
ステップ706では、電波が検出されたか否か(in1〜in2の信号状態)を判別し、電波が検出されたと判断された場合にはステップ707〜ステップ709の処理を実行させる。
【0096】
ステップ707では振り込み処理を一時停止させ、続くステップ708において、図12(b)に示されるような注意喚起画面を表示すると共に、遠隔監視センタへの通報や、銀行職員への通報を行う。銀行職員への通報は、例えばブザーの鳴動や警告灯を点灯させることによるもの等であってもよい。通報によって銀行職員や遠隔監視センタ職員がお客様に声をかけることや、注意喚起画面(図12(b))に基づいてお客様の側から銀行職員や遠隔監視センタ職員と連絡を取ることにより、第三者である銀行職員や遠隔監視センタ職員がお客様に直接確認をとることで、振り込め詐欺の危険性の有無を判断し、振り込め詐欺の危険性が無いと判断された場合には振込処理の一時停止を解除(解除方法は実施例1と同様)することにより、ATM70には振込処理の一時停止の解除命令が入力され、これを受けたATM70では振込処理の一時停止を解除する(ステップ709)。これにより、お客様の判断のみではなく、第三者(銀行職員など)の判断に基づいて振込み処理の実行の可否が決められることになるため、被害の発生を防止することが可能となるものである。
【0097】
ステップ706の判別の結果、電波が検出されなかったと判断された場合には、ステップ707〜ステップ709の処理をスキップして「電波検出・振込処理一時停止処理」を終了する(=振り込み処理の一時停止をしない)。
【0098】
図6に戻って説明を続ける。上記「電波検出・振込処理一時停止処理」が終了すると(若しくは取引が“お振込”ではない場合)、ステップ606〜ステップ607の処理を実行する。当該処理は、ATM70に対する一連の操作に伴う処理(従来のATMが有する各取引に対する処理)であり、処理が終了(1つの手続きが終了)した場合にはステップ608へと移行する。
【0099】
ステップ608では、画像処理装置713の顔検出機能により顔が検出されたか否か(in3の信号状態)を判別し、顔が検知されなかったと判断された場合にはステップ609〜ステップ612の処理を実行させる。
【0100】
ステップ609では、ステップ603から録画されていた監視カメラの記録画像を保存する処理を行う。続くステップ610では、遠隔監視センタ80への画像転送の可否を判別し、画像転送可能である場合には、監視カメラの記録画像を遠隔監視センタ80へ転送する処理を行う(ステップ611)。“遠隔監視センタ80への画像転送の可否”とは、装置に対する機能設定として予め定められているものである。なお、転送不可である場合には、バッチ処理などによって、必要に応じて画像確認等の措置が取られる。
【0101】
ステップ603において録画(及び顔検知)を開始し、処理が終了(1つの手続きが終了)した後に、それまでの間において顔検知がされた否かを判別して(ステップ608)、顔が検知されなかった(=顔を隠してATMを操作したことが想定される)場合には、その映像を遠隔監視センタへ送信することで、不審人物の発見などに有効となるものである。なお、顔検知の有無に関わらず監視カメラの記録画像を保存するものであってもよいし、顔検知がされた場合には、録画していた画像を消去するようにしてもよい。
【0102】
ステップ612では、ステップ603やステップ701(図7)でONにした指示信号を全てリセットする。続くステップ613で待機モードへの推移をして処理を終了する(次の来客により、ステップ601からの処理が繰り返されることとなる)。
【0103】
図8は、携帯電話電波検出装置711の構成及び動作の概略を説明するための機能ブロック図である。図9は同じく携帯電話電波検出装置711の動作の概略を説明するためのタイムチャートである。
【0104】
図8は、受信アンテナが複数あるものを例としているが1つの受信アンテナを共有しても良い。アンテナ7111及び検波部7112から得られる信号と“基準レベル信号”とをコンパレータ7113に入力することによって得られる出力と、OP−1信号と、01信号とをAND回路7114に入力する。即ち、OP−1がハイレベル(監視制御部72からの機能オンの指示信号)であって、且つ、01がハイレベル(図7のステップ701の処理によるオン)で、携帯電話の電波信号が基準レベル以上の場合に“真(ハイレベル)”となるカウントアップ指示信号が得られる(図8の左下の説明参照)。当該カウントアップ指示信号とClock信号が入力されるカウンタ7115では、カウントアップ指示信号がハイレベル信号である際にClock信号をカウントし、これが規定値以上になることでオーバフローを出力する(図8の真中下の説明参照)。これにより、規定時間以上電波が継続して検出された場合に、overflow信号としてのハイレベル信号がOR回路7116へと入力されることとなる。周波数帯別の複数のアンテナ7111〜カウンタ7115の回路からのoverflow信号がOR回路7116へと入力されることで、ラッチ回路(フリップフロップ)7117がセットされる。すなわち何れかの周波数帯において振込み処理中に規定時間以上電波が継続して検出された場合にラッチ回路7117がセットされることとなる。なお、カウンタ7115の代わりに積分回路を用いた場合の説明が図8の右下のものである。
【0105】
ラッチ回路7117は振込み処理中に規定値以上の強さの携帯電波を一定時間以上検出したことを記憶するためのものである。これにより振込み処理の途中で携帯電話が切られたときでも、ステップ706で電波検出を判定する時に正確な判定が可能となる。振込み処理中ではない場合、即ち、01信号がローレベルである(NOT回路によりラッチ回路にはハイレベルが入力されている)場合には、in−1信号としてローレベル出力され、一方、振込み処理中(“Reset”にローレベル入力)に、ラッチ回路7117がセット(“Set”にハイレベル入力)された場合には、その出力信号であるin−1信号がハイレベルとなるものである。
【0106】
上記の携帯電話電波検出装置711の動作について、図9のタイムチャートを参照しつつさらに説明する。
【0107】
01信号は、図6のステップ605(図7のステップ701)の処理によってオンとなり(ソフトウェア処理ポイントA)、ステップ612の処理によってオフとなる。即ち、ATMに対する振込操作がされることによって処理を行っている間において、01信号がオンとなるものである。
【0108】
overflow信号は、前述した如く、カウントアップ指示信号が“規定期間”以上ハイレベルでなければ(電波が検出され続けなければ)ハイレベルにはならないため、定期的な基地局との通信によって発生する短い時間の電波検出では、in−1信号もハイレベルにはならない(図9の上側)。一方、カウントアップ指示信号が“規定期間”以上ハイレベルとなると、overflow信号が出力されるためin−1信号もハイレベル出力される。図7のステップ706のソフトウェア処理ポイントBにおいてin−1信号がハイレベル出力されている場合には、“ATMの振込み操作中に通話が検出された”と判断してステップ707へと移行することとなる。一方、ソフトウェア処理ポイントBにおいてin−1信号がローレベルであった場合にはステップ707から709をスキップすることとなるものである。なお、図8及び図9は携帯電話電波検出装置711として説明したが、無線LAN電波検出装置712も同様のものとなる。
【0109】
図10は、画像処理装置713の構成及び動作の概略を説明するための機能ブロック図である。図11は同じく画像処理装置713の動作の概略を説明するためのタイムチャートである。
【0110】
メニュー画面表示指示信号を微分回路7131に入力することでその出力はメニュー画面表示がなされる時点のみにおいてハイレベル出力されるパルス波形となる。これをフリップフロップ7133に入力することにより、メニュー画面表示がなされるごとにその出力を1(ハイレベル)にすることができる。さらにフリップフロップ7133に顔認識部7132からの出力(顔検知時にハイレベル出力)を入力することにより、顔検知された場合にフリップフロップ7133の出力を0(ローレベル)とさせることができる。即ち、前状態の如何に関わらず、メニュー画面表示がなされると一旦フリップフロップ7133の出力は1となり、顔検知がなされた場合にはその出力は0となる(それ以外の場合は出力状態を維持)。従って、AND回路7134には、メニュー画面表示後に顔検知がなされた場合であって次のメニュー画面表示があるまでの間は0が入力され、それ以外の期間は1が入力されることとなる。
【0111】
ATM取引終了信号を微分回路7135に入力することでその出力はATM取引終了の時点のみにおいてハイレベル出力されるパルス波形となる。これと、上記のフリップフロップ7133の出力を、AND回路7134に入力することにより、その出力(in−3)は、ATM取引終了時において、“メニュー画面表示の後からATM取引終了(操作終了)間での間において顔検知がなされなかったと判断された場合”にハイレベルとなる。
【0112】
上記の画像処理装置713の動作について、図11のタイムチャートを参照しつつさらに説明する。
【0113】
メニュー画面表示によって、微分回路7131からのパルスが出力され、これによってフリップフロップ7133の出力がハイレベルとなる(顔未検知)。その後、顔認識部7132から顔検知の信号があると、フロップ7133の出力がローレベルとなる。一方、ATM取引終了まで、顔認識部7132から顔検知の信号が無い場合には、フロップ7133の出力はハイレベルのままとなる(顔未検知)。来客の時点から画像記録部によって録画がされているので(ステップ603)、ATM取引終了時点においてフロップ7133の出力がハイレベルであった場合には、ステップ609〜ステップ611の処理が実行されることとなる。
【0114】
本実施例中では、外部環境調査装置として、携帯電話電波検出装置711と、無線LAN電波検出装置712と、画像処理装置713との3つの装置を包含するものを例として説明したが、必ずしもこれら全てを備えている必要は無く、単独又は何れかの組み合わせなどによって構成されるものであっても構わない。
【0115】
また、ATM本体と、監視制御部、外部環境調査装置の相互の構成においても、図5に示したものに限るものでは無く、上述してきた本発明の概念に沿って適宜変更することができる。即ち全てを一体の装置として構成するものであっても構わないし、さらに細分化した複数の装置を相互に接合することによって構成するものであっても構わない。そのようなものの一例を図13〜図16に示した。図13は、USBのインターフェースを介してATM本体と外部環境調査装置が接続されるものの例であり、図6〜7で説明してきた処理の一部を外部環境調査装置側のCPUにて行うようにするものである。図14は、電波検出装置と論理機能が分離しているものの例であり、図15〜図16はそれぞれ、同様に電波検出装置と論理機能が分離していて、監視制御部や外部環境調査装置がATM本体に対して内蔵若しくは外付けとされているものである。図8や図10では、ハード的な構成のものを例として説明したが、同様の機能をソフトウェア的に実現しているものであっても勿論構わない。
【0116】
なお、図17は、図6のステップ605における「電波検出・振込処理一時停止処理」につき、図7とは別の処理動作の概略を示したフローチャートである。
【0117】
図17の処理は、“不審口座管理センター”において、身元の確認が取れている安全な口座が登録されていることを前提とした処理である。“不審口座管理センター”は例えば銀行協会等によって共同運営され、上記安全口座が登録されたDBやサーバが各銀行のシステムとネットワークを介して接続されるものである。図17において図7と同様の処理概念となるものについては同様の符号を使用することで説明を省略し、以下、主に図7との相違点について説明する。
【0118】
振り込み処理操作が終了し(ステップ705)、電波が検出された場合には(ステップ706)、不審口座管理センターと通信を行い(ステップ1701)、振り込み処理操作において入力された振込先口座が安全口座であるか否かを判別する(ステップ1702)。当該判別の結果登録された安全口座であると判断された場合には、振込み詐欺のおそれは無い(若しくは低い)ため、「電波検出・振込処理一時停止処理」を終了する(=振り込み処理の一時停止をしない)。
【0119】
一方、不審口座管理センターに対する問合せの結果、安全な口座ではなかったと判断された場合には(ステップ1702)、振り込み処理操作において入力された情報に基づいて、振込みが現金によるものか口座振替によるものであるかを判別し(ステップ1703)、口座振替であった場合にはステップ1704〜ステップ1706の処理を実行する。
【0120】
ステップ1704では、振込先口座の名義人の名字が、振込元の口座の名義人の名字と同一であるか否かを判別し(ステップ1704)、同一であった場合には、図12(c)で示したような確認メッセージを画面表示させ(ステップ1705)、これに対する入力の結果、親族宛の振込みであった場合には(ステップ1706)、「電波検出・振込処理一時停止処理」を終了する(=振り込み処理の一時停止をしない)。一方、現金振込であった場合や(ステップ1703)、振込先と振込元の名字が異なった場合(ステップ1704)、名字が同一であっても親族でなかった場合には(ステップ1706)、ステップ707〜ステップ709の処理を実行する。
【0121】
以上のように図17の処理によれば、不審口座管理センターにおいて安全口座として登録されている口座が振込先である場合や、口座振替によって振込先と振込元の名字が同じであってそれが親族であるとの入力があった場合には、振込詐欺のおそれは無い(若しくは低い)として、振込処理の一時停止がされないため、利便性に優れる。
【0122】
ステップ708による通報を受けてお客様に直接確認をした銀行職員や遠隔監視センタ職員によって、振り込め詐欺である疑いがあると判断された場合には、不審口座管理センターに口座情報などを通報することで、不審口座管理センターではこれを管理し、このような不審口座についてそれぞれ口座所有者の身元確認などを行い、その結果安全性が確認された場合にはこれを安全口座として登録する。一方、危険であると判断された口座については不良口座として登録すると共に、各金融機関にこれを通知し、これを受けた金融機関において口座凍結などの必要な処理を行うようにする。このようにすることで、それぞれの機関が連携され、有効に振込詐欺の発生を抑止することができる。
【0123】
実施例としては、実施例1と実施例2にわけて説明したが、それぞれが別個独立でなければならないということではなく、上記説明の趣旨に従い、それぞれの実施例の構成や機能を相互に入れ替え若しくは統合したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】自動取引システムの構成の全体像の概略を示すブロック図
【図2】ATM(自動取引装置)の構成の概略を示すブロック図
【図3】ATMの本発明に関する処理動作の概略を示したフローチャート
【図4】ATMの本発明に関する別の処理動作の概略を示したフローチャート
【図5】自動取引システムの構成の内主にATMの構成の概略を示すブロック説明図
【図6】実施例2のATMの本発明に関する処理動作の概略を示したフローチャート
【図7】「電波検出・振込処理一時停止処理」の処理動作の概略を示したフローチャート
【図8】携帯電話電波検出装置の機能ブロック図
【図9】携帯電話電波検出装置の動作説明のためのタイムチャート
【図10】画像処理装置の機能ブロック図
【図11】画像処理装置の動作説明のためのタイムチャート
【図12】ATMに表示される画面の一例
【図13】主にATMの構成の概略を示す別のブロック説明図
【図14】主にATMの構成の概略を示す別のブロック説明図
【図15】主にATMの構成の概略を示す別のブロック説明図
【図16】主にATMの構成の概略を示す別のブロック説明図
【図17】別の「電波検出・振込処理一時停止処理」の処理動作の概略を示したフローチャート
【符号の説明】
【0125】
1 自動取引システム
10・70 ATM(自動取引装置)
11 電波検出装置
20 金融システム
21・31・41 PC(監視者用情報処理装置)
50 ネットワーク
60 携帯電話(無線通信装置)
101 制御部
102 記憶部
103 表示部
104 入力部
105 通信部
711 携帯電話電波検出装置
712 無線LAN電波検出装置
713 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置と金融システムとがネットワークを介して接続されることにより、自動取引装置による振り込みが可能とされている自動取引システムであって、無線通信装置の通信電波を検出する電波検出装置を前記自動取引装置と接続してその近傍に設置又は前記自動取引装置に内蔵させ、前記自動取引装置における取引内容の選択画面において振込みが選択された場合に、当該選択があった時点以降であって振込先情報の入力が終了するまでの間において前記電波検出装置によって通信電波が検出された場合には、前記自動取引装置によって振込み処理を停止させる、又は、前記自動取引装置から前記金融システムに対し通信電波が検出された旨の情報を送信することで当該情報を受信した前記金融システムにおいて振込み処理を停止させることを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
前記振込みの選択があった時点から、振込先情報の入力が終了するまでの全期間において、前記電波検出装置によって通信電波が検出され続けた場合にのみ、前記振込み処理の停止処理を実行することを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項3】
前記振込み処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた情報を前記自動取引装置又は前記金融システムによって一時記憶しておくことにより、前記自動取引装置又は前記金融システムに対する振込処理の一時停止解除命令が入力された場合には、前記一時記憶していた情報に基づいて振込み処理を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動取引システム。
【請求項4】
前記自動取引装置又は前記金融システムと監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続されることにより、前記振込み処理の停止の際には、前記自動取引装置又は前記金融システムから前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の自動取引システム。
【請求項5】
安全振込先情報を登録しておくことにより、又は、振込先情報が有する属性情報の中で安全属性情報を定めておくことにより、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報が前記安全振込先情報に該当する場合又は安全属性情報に該当する場合には、前記振込み処理の停止処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の自動取引システム。
【請求項6】
危険振込先情報を登録しておくことにより、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報が前記危険振込先情報に該当する場合には、前記電波検出装置による通信電波検出の有無に関わらず、振込み処理の停止処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の自動取引システム。
【請求項7】
金融システムとネットワークを介して接続されることにより、振り込み手続きが可能とされている自動取引装置であって、制御部と、記憶部と、表示部と、入力部と、通信部とを備え、無線通信装置の通信電波を検出する電波検出装置が当該自動取引装置に接続されてその近傍に設置されることにより又は当該自動取引装置に内蔵されることにより、前記表示部に表示される取引内容の選択画面において振込みの選択が前記入力部にされた場合に、当該選択があった時点以降であって振込先情報の入力が終了するまでの間において前記電波検出装置によって通信電波が検出された場合には、前記制御部によって、振込み処理を停止させる、又は、前記金融システムに対し通信電波が検出された旨の情報を前記通信部から送信させることを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
前記振込みの選択があった時点から振込先情報の入力が終了するまでの全期間において、前記電波検出装置によって通信電波が検出され続けたか否かを前記制御部によって判別し、当該判別の結果、全期間に渡り通信電波が検出された場合にのみ前記振込み処理の停止処理又は前記金融システムに対する情報送信処理を実行することを特徴とする請求項7記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記振込み処理の停止処理が実行される場合において、前記自動取引装置に対して行われた振込み操作によって得られた情報を前記記憶部に記憶しておくことにより、振込処理の一時停止解除命令が前記入力部から入力された場合若しくは振込処理の一時停止解除命令を前記金融システムから受信した場合には、前記記憶部に記憶していた情報に基づいて振込み処理を実行することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記自動取引装置と監視者用情報処理装置とがネットワークを介して接続されることにより、前記振込み処理の停止の際には、前記自動取引装置から前記監視者用情報処理装置に対する通報を行うことを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか1つに記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記金融システムに安全振込先情報を登録しておくことにより、又は、振込先情報が有する属性情報の中で安全属性情報を定めておくことにより、前記安全振込先情報を金融システムから受信することでこれと前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報とを前記制御部によって比較し、入力された振込先情報が安全振込先情報に該当すると判断された場合には、又は、前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報から得られる属性情報と安全属性情報とを前記制御部によって比較し、入力された振込先情報が安全属性情報に該当すると判断された場合には、前記振込み処理の停止処理を行わないことを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れか1つに記載の自動取引装置。
【請求項12】
前記金融システムに危険振込先情報を登録しておくことにより、当該危険振込先情報を金融システムから受信することでこれと前記自動取引装置の入力部に対して行われた振込み操作によって得られた振込先情報とを前記制御部によって比較し、入力された振込先情報が危険振込先情報に該当すると判断された場合には、前記電波検出装置による通信電波検出の有無に関わらず、振込み処理の停止処理を実行することを特徴とする請求項7乃至請求項11の何れか1つに記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−122794(P2010−122794A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294374(P2008−294374)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
【Fターム(参考)】