自動取引システム
【課題】セキュリティの高い認証機能を保持しつつ、利用者にとって利便性の高い、利用限度額を超えた高額な取引を可能とする自動取引方法を実現する。
【解決手段】キャッシュカードの暗証番号だけではなく、本人しか知り得ない本人認証用情報を併せて使用することで、自動取引装置での利用限度額の引き上げ取引を行うことを可能する。これにより、自動取引装置以外の端末操作を要することなく、自動取引装置での高額取引を実現可能とする。
【解決手段】キャッシュカードの暗証番号だけではなく、本人しか知り得ない本人認証用情報を併せて使用することで、自動取引装置での利用限度額の引き上げ取引を行うことを可能する。これにより、自動取引装置以外の端末操作を要することなく、自動取引装置での高額取引を実現可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュカードを用いて自動取引装置で取引を行う自動取引装置システムに関するもので、特にキャッシュカードのみを用いて1日あるいは1回の取引の利用限度額を引き上げることができる自動取引システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの金融機関では、スキミング等により偽造されたキャッシュカードや、盗難されたキャッシュカードによる不正取引の被害を最小限にとどめるべく、自動取引装置(Automatated Tellers Machine:ATM)における1日あるいは1回の取引の利用限度額を設定している。
【0003】
近年では、セキュリティの向上等のため、利用者でさらに1日あるいは1回の取引の利用限度額を自動取引装置にて引き下げることができる金融機関もあり、利用者自身で被害を最小限にとどめる手段も提供されている。
【0004】
通常、ATMにおいて利用限度額を超える取引を行うことはできないが、キャッシュカードの暗証番号だけでなく、さらに別の認証情報を併せて用いて本人認証を行うことで、利用限度額を超えた取引を行うことができる金融処理システムが提案されている(特許文献1参照)。利用者が携帯する情報端末を操作してWEBサーバーへアクセスし、利用限度額を超える取引を申し込み、その際に1度限り使用可能な認証情報を取得し、自動取引装置にてキャッシュカードの暗証番号と取得した認証情報を使用することで利用限度額を超える取引を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例によれば、利用限度額を設定することで、被害を最小限にとどめるという効果はあるが、ATMにおいて一時的に利用限度額を超えた取引を行いたい場合、あるいは利用者によって一時的に引き下げた利用限度額を、再度、引き上げたい場合には、金融機関の窓口にて手続きを行う必要があり、利用者にとって利便性が低下するという不都合がある。
【0007】
また、一部の金融機関においても、利用者自身の利用限度額を引き下げる手段を提供しているところもあるが、利便性が低下するという理由から、利用限度額の引き下げを行う利用者は少ないのが実情である。
【0008】
窓口での手続きを必要とすることなく、自動取引装置にて利用限度額を超えた取引あるいは利用限度額の引き上げが可能であれば、利便性が向上することで上記課題が解決できる。特許文献1では、キャッシュカードの暗証番号による本人認証だけではなく、1度限り使用可能な認証情報を併せて用いることでセキュリティ性を確保し、利用限度額を超えた取引を可能とさせているが、認証情報を取得するためには利用者が携帯している情報端末などを操作してWEBサーバーにアクセスして取得する必要があり、自動取引装置以外の端末操作が必要となるため、利用者にとっての利便性は必ずしも高いものとは言えない。
【0009】
さらに、預金の引き出し取引の場合、自動取引装置にて1回に引き出せる金額にはATMの運用上の限界がり、その限界を超えた金額を引き出したい場合には、複数回に分けて引き出しを行う必要があるため、同様に認証情報も複数回取得する必要がある。
【0010】
また、利用者はWEBサーバーにアクセスするための情報端末を所有している必要があり、情報端末を所有していたとしても利用者が高齢者の場合には、操作が複雑で利用が困難となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本発明は、顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、顧客の口座情報および口座開設時など予め設定されたキャッシュカードの暗証番号とは別の本人認証用情報が登録された顧客データベースを有しかつ前記自動取引装置が接続されたホストコンピュータとを備えた自動取引システムであって、顧客が前記自動取引装置で利用限度額の引き上げ取引を行う際、前記自動取引装置は本人認証用情報を顧客に入力させ、その本人認証用情報を前記ホストコンピュータへ送信し、前記ホストコンピュータは前記顧客データベースから本人認証用情報を取得し、その本人認証用情報を前記自動取引装置から受信した本人認証用情報とで照合して一致した場合、前記自動取引装置での利用限度額の引き上げを許可し、以後引き上げた利用限度額の範囲内での取引を可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高いセキュリティ性を確保したまま、自動取引装置以外の端末等の操作を必要とせずに利用限度額の引き上げによる高額取引を行うことが可能であるため、利用者にとっての利便性が向上する。
【0013】
さらに、利便性が向上することで、利用限度額の引き下げを利用する利用者の増加にも繋がり、その結果、不正取引の被害額減少にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の自動取引システムの構成図である。
【図2】本発明の顧客データベース内のデータの一例を示す図である。
【図3】本発明の自動取引システムの取引処理を示すフロー図である。
【図4】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図5】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図6】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図7】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図8】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図9】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図10】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図11】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図12】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図13】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図14】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、銀行システムなどの金融機関システムに採用される例えばATMのような自動取引装置に関する。
【0016】
図1は本実施形態に係る自動取引装置1と通信網2を介して金融機関のセンタ10と接続されたシステムの構成図である。
【0017】
自動取引装置(以下ATMとする)1は金融機関の営業店等に設置され、顧客の操作により入金取引や出金取引、振込取引等を行う機能を有し、図示しない回線接続部により通信網2を介して金融機関のセンタ10に備えられたホストコンピュータ3に接続されている。
【0018】
ATM1は利用者の要求する種々の取引を自動的に実行する装置であり、図示しない操作部、カード/明細票機構部、通帳機構部、紙幣入出金機構部、硬貨入出金機構部、音声案内ガイダンス部、そしてこれら各部を制御する制御部などで構成されている。制御部は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理、取引を制御する。
【0019】
金融機関のセンタ10には勘定系のホストコンピュータ3と、ホストコンピュータ3により管理される顧客データベース(以下顧客DBとする)4とが設置されている。
【0020】
顧客DB4には顧客毎にその氏名、口座番号、暗証番号、口座残高、取扱限度額等が顧客の属性情報として登録されており、ホストコンピュータ3はこの属性情報を基にATMでの顧客の取引実行の可否を判断するものとなっているが、本実施例ではこの顧客DB4に暗証番号とは別の本人認証用情報が前記属性情報と共に登録されている。
【0021】
図2は顧客DB4に登録されている本人認証用情報のデータ構成例である。本人認証用情報は暗証番号とは別の本人しか知り得ない情報であり、本人であることを認証するための情報である。これらの情報は、予め、金融機関の窓口やATM等によって本人によって登録されている。
【0022】
次に利用者がATM1で利用限度額の引き上げ取引を実施する場合の取引フローを図3、図4〜図14を用いて説明する。図3はATM1での取引処理フローの一例を示す。また、図4〜図14はATM1での取引操作時の操作案内画面のイメージ図を示す。
【0023】
まず、ATM1の操作部に設けた取引操作の誘導画面の初期画面(図4)は顧客が取引を開始するための各種取引項目の開始ボタンが表示されている。例えば、「お引き出し」「お預け入れ」「残高照会」「お振り込み」「お振り替え」「通帳記入」「定期預金」「暗証番号変更」「限度額変更」など、ATM1にて取引可能な各種取引項目が表示されている。
【0024】
次に利用者は、前記取引項目の中から「限度額変更」を選択すると、その選択を操作部が検知することで利用限度額変更取引の詳細項目の選択案内画面(図5)を表示する。例えば、「引き下げ」「引き上げ」などが表示されている(S300)。
【0025】
次に利用者は、前記取引詳細項目の中から「引き上げ」を選択すると、その選択を操作部が検知することで利用限度額の引き上げ取引を開始する。続いて、操作部は操作案内画面にカード挿入を促すカード挿入案内画面(図6)を表示し、カード機構部は利用者の挿入するキャッシュカードを受付けるカード挿入待ち状態で待機する。
【0026】
次に利用者が自分の保有する前記カードを前記カード機構部のカード挿入口に挿入する(S301)と、カード機構部では挿入されたカードの磁気ストライプ情報を読み取る。次に、操作部は暗証番号入力画面(図7)を表示し、利用者は暗証番号を操作案内画面のテンキーから入力する(S302)。
【0027】
これにより暗証番号、キャッシュカードから読み取った口座番号等の磁気ストライプ情報がATM1から回線接続部2を介してホストコンピュータ3に送られる(S303)。
【0028】
ホストコンピュータ3はこれらの情報を受信すると、暗証番号を基に顧客の本人確認を行い、本人であることが確認されると、本人認証用情報の質問番号をランダムに複数個決定し(S304)、決定した質問番号を回線接続部2を介してATM1に送る。この間、利用者には図8に示すようなATM1において処理中である旨を示す画面を表示する。
【0029】
ATM1が質問番号を受信する(S305)と、次に操作部は質問番号に対応した回答入力案内画面(図9)を表示し、利用者は回答内容を回答入力案内画面のキーから入力する(S306)。操作部は、この回答入力案内画面の表示および回答内容の受付の処理フローを受信した質問番号の数だけ繰り返す。本実施例では、質問数が4個の場合を示している。ATM1は受信した全ての質問番号および各質問に対する回答内容を本人認証用情報として、回線接続部2を介してホストコンピュータ3に送る(S307)。
【0030】
ホストコンピュータ3は、ATM1から本人認証用情報を受信すると、顧客DB4に登録された本人認証用情報の回答内容と照合し(S308)、1つでも回答内容が一致しなかった場合は、本人認証不成立の旨をATM1に通知し、取引を中止する。すべてが一致した場合、本人認証成立の通知および利用者の現在の利用限度額を回線接続部2を介してATM1に送る(S309)。この間、利用者には図10に示すようなATM1において処理中である旨を示す画面を表示する。
【0031】
ATM1が本人認証成立の通知を受信すると、次に操作部は利用限度額入力案内画面(図11)を表示し、利用者は希望する利用限度額を操作案内画面のテンキーから入力する(S310)。この画面には、現在の利用者の利用限度額が表示される。利用者に対して、変更後の利用限度額の再確認を促す画面(図12)を表示し、利用者によって確認がなされると、変更後の利用限度額、キャッシュカードから読み取った口座番号等の磁気ストライプ情報等がATM1から回線接続部2を介してホストコンピュータ3に送られる(S311)。
【0032】
ホストコンピュータ3は、ATM1から変更後の利用限度額を受信すると、顧客DB4に登録されている利用者の利用限度額を受信した変更後の利用限度額へ更新し、利用限度額の更新が正常に完了した旨をATM1に通知する(S312)。この間、利用者には図13に示すようなATM1において処理中である旨を示す画面を表示する。
【0033】
ATM1が利用限度額の更新完了通知を受信すると、次に操作部は利用限度額が変更された旨を利用者に知らせるための案内画面(図14)を表示し(S313)、前記カード機構部のカード挿入口からカードを返却する(S314)。
【0034】
利用者がキャッシュカードを抜き取ったことをカード機構部が検知することで、ATM1は取引を終了する。
【0035】
なお、本発明は上述した実施例に限られるものではなく、例えば、上述した実施例では、ホストコンピュータから本人認証用の質問番号を受信し、受信した質問番号に対応する回答入力案内画面を表示しているが、ATM1でランダムに質問番号を決定し、決定した質問番号に対応する回答入力案内画面を表示してもよい。
【0036】
また、上述した実施例では、回答させる質問番号の決定方法を、全てランダムに決定するものとしているが、必須回答の質問番号を設けておき、残りの質問番号についてランダムに決定するという決定方法にすることも可能である。
【0037】
また、上述した実施例では、利用限度額の引き上げは永久的なものとしているが、30分間のみなど一時的な利用限度額の引き上げとすることで、さらにセキュリティ性を高くすることも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…自動取引装置、2…回線接続部、3…ホストコンピュータ、4…顧客データベース、10…金融機関のセンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュカードを用いて自動取引装置で取引を行う自動取引装置システムに関するもので、特にキャッシュカードのみを用いて1日あるいは1回の取引の利用限度額を引き上げることができる自動取引システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの金融機関では、スキミング等により偽造されたキャッシュカードや、盗難されたキャッシュカードによる不正取引の被害を最小限にとどめるべく、自動取引装置(Automatated Tellers Machine:ATM)における1日あるいは1回の取引の利用限度額を設定している。
【0003】
近年では、セキュリティの向上等のため、利用者でさらに1日あるいは1回の取引の利用限度額を自動取引装置にて引き下げることができる金融機関もあり、利用者自身で被害を最小限にとどめる手段も提供されている。
【0004】
通常、ATMにおいて利用限度額を超える取引を行うことはできないが、キャッシュカードの暗証番号だけでなく、さらに別の認証情報を併せて用いて本人認証を行うことで、利用限度額を超えた取引を行うことができる金融処理システムが提案されている(特許文献1参照)。利用者が携帯する情報端末を操作してWEBサーバーへアクセスし、利用限度額を超える取引を申し込み、その際に1度限り使用可能な認証情報を取得し、自動取引装置にてキャッシュカードの暗証番号と取得した認証情報を使用することで利用限度額を超える取引を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例によれば、利用限度額を設定することで、被害を最小限にとどめるという効果はあるが、ATMにおいて一時的に利用限度額を超えた取引を行いたい場合、あるいは利用者によって一時的に引き下げた利用限度額を、再度、引き上げたい場合には、金融機関の窓口にて手続きを行う必要があり、利用者にとって利便性が低下するという不都合がある。
【0007】
また、一部の金融機関においても、利用者自身の利用限度額を引き下げる手段を提供しているところもあるが、利便性が低下するという理由から、利用限度額の引き下げを行う利用者は少ないのが実情である。
【0008】
窓口での手続きを必要とすることなく、自動取引装置にて利用限度額を超えた取引あるいは利用限度額の引き上げが可能であれば、利便性が向上することで上記課題が解決できる。特許文献1では、キャッシュカードの暗証番号による本人認証だけではなく、1度限り使用可能な認証情報を併せて用いることでセキュリティ性を確保し、利用限度額を超えた取引を可能とさせているが、認証情報を取得するためには利用者が携帯している情報端末などを操作してWEBサーバーにアクセスして取得する必要があり、自動取引装置以外の端末操作が必要となるため、利用者にとっての利便性は必ずしも高いものとは言えない。
【0009】
さらに、預金の引き出し取引の場合、自動取引装置にて1回に引き出せる金額にはATMの運用上の限界がり、その限界を超えた金額を引き出したい場合には、複数回に分けて引き出しを行う必要があるため、同様に認証情報も複数回取得する必要がある。
【0010】
また、利用者はWEBサーバーにアクセスするための情報端末を所有している必要があり、情報端末を所有していたとしても利用者が高齢者の場合には、操作が複雑で利用が困難となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本発明は、顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、顧客の口座情報および口座開設時など予め設定されたキャッシュカードの暗証番号とは別の本人認証用情報が登録された顧客データベースを有しかつ前記自動取引装置が接続されたホストコンピュータとを備えた自動取引システムであって、顧客が前記自動取引装置で利用限度額の引き上げ取引を行う際、前記自動取引装置は本人認証用情報を顧客に入力させ、その本人認証用情報を前記ホストコンピュータへ送信し、前記ホストコンピュータは前記顧客データベースから本人認証用情報を取得し、その本人認証用情報を前記自動取引装置から受信した本人認証用情報とで照合して一致した場合、前記自動取引装置での利用限度額の引き上げを許可し、以後引き上げた利用限度額の範囲内での取引を可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高いセキュリティ性を確保したまま、自動取引装置以外の端末等の操作を必要とせずに利用限度額の引き上げによる高額取引を行うことが可能であるため、利用者にとっての利便性が向上する。
【0013】
さらに、利便性が向上することで、利用限度額の引き下げを利用する利用者の増加にも繋がり、その結果、不正取引の被害額減少にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の自動取引システムの構成図である。
【図2】本発明の顧客データベース内のデータの一例を示す図である。
【図3】本発明の自動取引システムの取引処理を示すフロー図である。
【図4】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図5】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図6】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図7】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図8】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図9】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図10】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図11】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図12】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図13】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【図14】本発明における自動取引装置の案内画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、銀行システムなどの金融機関システムに採用される例えばATMのような自動取引装置に関する。
【0016】
図1は本実施形態に係る自動取引装置1と通信網2を介して金融機関のセンタ10と接続されたシステムの構成図である。
【0017】
自動取引装置(以下ATMとする)1は金融機関の営業店等に設置され、顧客の操作により入金取引や出金取引、振込取引等を行う機能を有し、図示しない回線接続部により通信網2を介して金融機関のセンタ10に備えられたホストコンピュータ3に接続されている。
【0018】
ATM1は利用者の要求する種々の取引を自動的に実行する装置であり、図示しない操作部、カード/明細票機構部、通帳機構部、紙幣入出金機構部、硬貨入出金機構部、音声案内ガイダンス部、そしてこれら各部を制御する制御部などで構成されている。制御部は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理、取引を制御する。
【0019】
金融機関のセンタ10には勘定系のホストコンピュータ3と、ホストコンピュータ3により管理される顧客データベース(以下顧客DBとする)4とが設置されている。
【0020】
顧客DB4には顧客毎にその氏名、口座番号、暗証番号、口座残高、取扱限度額等が顧客の属性情報として登録されており、ホストコンピュータ3はこの属性情報を基にATMでの顧客の取引実行の可否を判断するものとなっているが、本実施例ではこの顧客DB4に暗証番号とは別の本人認証用情報が前記属性情報と共に登録されている。
【0021】
図2は顧客DB4に登録されている本人認証用情報のデータ構成例である。本人認証用情報は暗証番号とは別の本人しか知り得ない情報であり、本人であることを認証するための情報である。これらの情報は、予め、金融機関の窓口やATM等によって本人によって登録されている。
【0022】
次に利用者がATM1で利用限度額の引き上げ取引を実施する場合の取引フローを図3、図4〜図14を用いて説明する。図3はATM1での取引処理フローの一例を示す。また、図4〜図14はATM1での取引操作時の操作案内画面のイメージ図を示す。
【0023】
まず、ATM1の操作部に設けた取引操作の誘導画面の初期画面(図4)は顧客が取引を開始するための各種取引項目の開始ボタンが表示されている。例えば、「お引き出し」「お預け入れ」「残高照会」「お振り込み」「お振り替え」「通帳記入」「定期預金」「暗証番号変更」「限度額変更」など、ATM1にて取引可能な各種取引項目が表示されている。
【0024】
次に利用者は、前記取引項目の中から「限度額変更」を選択すると、その選択を操作部が検知することで利用限度額変更取引の詳細項目の選択案内画面(図5)を表示する。例えば、「引き下げ」「引き上げ」などが表示されている(S300)。
【0025】
次に利用者は、前記取引詳細項目の中から「引き上げ」を選択すると、その選択を操作部が検知することで利用限度額の引き上げ取引を開始する。続いて、操作部は操作案内画面にカード挿入を促すカード挿入案内画面(図6)を表示し、カード機構部は利用者の挿入するキャッシュカードを受付けるカード挿入待ち状態で待機する。
【0026】
次に利用者が自分の保有する前記カードを前記カード機構部のカード挿入口に挿入する(S301)と、カード機構部では挿入されたカードの磁気ストライプ情報を読み取る。次に、操作部は暗証番号入力画面(図7)を表示し、利用者は暗証番号を操作案内画面のテンキーから入力する(S302)。
【0027】
これにより暗証番号、キャッシュカードから読み取った口座番号等の磁気ストライプ情報がATM1から回線接続部2を介してホストコンピュータ3に送られる(S303)。
【0028】
ホストコンピュータ3はこれらの情報を受信すると、暗証番号を基に顧客の本人確認を行い、本人であることが確認されると、本人認証用情報の質問番号をランダムに複数個決定し(S304)、決定した質問番号を回線接続部2を介してATM1に送る。この間、利用者には図8に示すようなATM1において処理中である旨を示す画面を表示する。
【0029】
ATM1が質問番号を受信する(S305)と、次に操作部は質問番号に対応した回答入力案内画面(図9)を表示し、利用者は回答内容を回答入力案内画面のキーから入力する(S306)。操作部は、この回答入力案内画面の表示および回答内容の受付の処理フローを受信した質問番号の数だけ繰り返す。本実施例では、質問数が4個の場合を示している。ATM1は受信した全ての質問番号および各質問に対する回答内容を本人認証用情報として、回線接続部2を介してホストコンピュータ3に送る(S307)。
【0030】
ホストコンピュータ3は、ATM1から本人認証用情報を受信すると、顧客DB4に登録された本人認証用情報の回答内容と照合し(S308)、1つでも回答内容が一致しなかった場合は、本人認証不成立の旨をATM1に通知し、取引を中止する。すべてが一致した場合、本人認証成立の通知および利用者の現在の利用限度額を回線接続部2を介してATM1に送る(S309)。この間、利用者には図10に示すようなATM1において処理中である旨を示す画面を表示する。
【0031】
ATM1が本人認証成立の通知を受信すると、次に操作部は利用限度額入力案内画面(図11)を表示し、利用者は希望する利用限度額を操作案内画面のテンキーから入力する(S310)。この画面には、現在の利用者の利用限度額が表示される。利用者に対して、変更後の利用限度額の再確認を促す画面(図12)を表示し、利用者によって確認がなされると、変更後の利用限度額、キャッシュカードから読み取った口座番号等の磁気ストライプ情報等がATM1から回線接続部2を介してホストコンピュータ3に送られる(S311)。
【0032】
ホストコンピュータ3は、ATM1から変更後の利用限度額を受信すると、顧客DB4に登録されている利用者の利用限度額を受信した変更後の利用限度額へ更新し、利用限度額の更新が正常に完了した旨をATM1に通知する(S312)。この間、利用者には図13に示すようなATM1において処理中である旨を示す画面を表示する。
【0033】
ATM1が利用限度額の更新完了通知を受信すると、次に操作部は利用限度額が変更された旨を利用者に知らせるための案内画面(図14)を表示し(S313)、前記カード機構部のカード挿入口からカードを返却する(S314)。
【0034】
利用者がキャッシュカードを抜き取ったことをカード機構部が検知することで、ATM1は取引を終了する。
【0035】
なお、本発明は上述した実施例に限られるものではなく、例えば、上述した実施例では、ホストコンピュータから本人認証用の質問番号を受信し、受信した質問番号に対応する回答入力案内画面を表示しているが、ATM1でランダムに質問番号を決定し、決定した質問番号に対応する回答入力案内画面を表示してもよい。
【0036】
また、上述した実施例では、回答させる質問番号の決定方法を、全てランダムに決定するものとしているが、必須回答の質問番号を設けておき、残りの質問番号についてランダムに決定するという決定方法にすることも可能である。
【0037】
また、上述した実施例では、利用限度額の引き上げは永久的なものとしているが、30分間のみなど一時的な利用限度額の引き上げとすることで、さらにセキュリティ性を高くすることも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…自動取引装置、2…回線接続部、3…ホストコンピュータ、4…顧客データベース、10…金融機関のセンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、顧客の認証情報が登録されたデータベースを有するホストコンピュータとからなる自動取引システムであって、
前記データベースは、前記自動取引装置における取引に使用するキャッシュカードの暗証番号とは異なる認証情報を有し、
前記自動取引装置は、顧客によって取引限度額の引き上げ要求があると、顧客によって入力された所定の認証情報を前記ホストコンピュータへ送信し、
前記ホストコンピュータは、前記データベースから前記認証情報を取得し、前記自動取引装置から受信した認証情報とが一致した場合、前記自動取引装置における利用限度額の引き上げを許可することを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記認証情報は自動取引装置の利用者に対する質問事項と回答内容とからなることを特徴とする自動取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動取引システムにおいて、
前記認証情報は複数の質問事項とその回答内容の対によって構成されており、
前記ホストコンピュータは、前記自動取引装置からの利用者による取引限度額の引き上げ要求があると、前記複数の認証情報から無作為に選択して前記自動取引装置へ通知し、利用者に回答させることを特徴とする自動取引システム。
【請求項4】
請求項3に記載の自動取引システムにおいて、
前記認証情報には、必ず回答させる必須の質問事項が設定されており、その他の質問事項について無作為に決定することを特徴とする自動取引システム。
【請求項1】
顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、顧客の認証情報が登録されたデータベースを有するホストコンピュータとからなる自動取引システムであって、
前記データベースは、前記自動取引装置における取引に使用するキャッシュカードの暗証番号とは異なる認証情報を有し、
前記自動取引装置は、顧客によって取引限度額の引き上げ要求があると、顧客によって入力された所定の認証情報を前記ホストコンピュータへ送信し、
前記ホストコンピュータは、前記データベースから前記認証情報を取得し、前記自動取引装置から受信した認証情報とが一致した場合、前記自動取引装置における利用限度額の引き上げを許可することを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記認証情報は自動取引装置の利用者に対する質問事項と回答内容とからなることを特徴とする自動取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動取引システムにおいて、
前記認証情報は複数の質問事項とその回答内容の対によって構成されており、
前記ホストコンピュータは、前記自動取引装置からの利用者による取引限度額の引き上げ要求があると、前記複数の認証情報から無作為に選択して前記自動取引装置へ通知し、利用者に回答させることを特徴とする自動取引システム。
【請求項4】
請求項3に記載の自動取引システムにおいて、
前記認証情報には、必ず回答させる必須の質問事項が設定されており、その他の質問事項について無作為に決定することを特徴とする自動取引システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−99031(P2012−99031A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248044(P2010−248044)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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