自動取引装置および精査方法
【課題】非定常精査を定常精査に先駆けて行いたいときがある。このようなとき、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みであれば、非定常精査の実行の必要がない場合がある。このような場合に、非定常精査を実行してしまうと、本来必要のない精査を実行することになり、業務効率の低下につながる。
【解決手段】判定部22が、非定常精査を行う前に、定常精査が既に行われているか否かを判定し、定常精査が既に行われていた場合、制御部21が、処理を終了させる。定常精査が既に行われていなかった場合、制御部21が、非定常精査を行うことを特徴とする。
【解決手段】判定部22が、非定常精査を行う前に、定常精査が既に行われているか否かを判定し、定常精査が既に行われていた場合、制御部21が、処理を終了させる。定常精査が既に行われていなかった場合、制御部21が、非定常精査を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置における精査処理の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関による精査の業務とは、自動取引装置に装填した現金の金額を運用した結果が、自動取引装置内の残金(在高)と合致しているか否かをチェックすることである。この精査の業務は、運用規定に従い所定の周期でユーザにより実行される。
従来、サーバなどからの遠隔指示により、精査を開始したり、所定の時間になると自動的に精査を開始したり(定常精査)する自動取引装置が開示されている。また、精査実行時に上位装置と通信を行い、上位装置に備えられている確認手段により精査実行可と判断された場合に精査を実行する自動取引装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、ユーザが直接自動取引装置を操作して、精査のプログラムを立ち上げ、自動取引装置に精査を実行させる非定常精査も従来行われている。
【特許文献1】特開平9−204557号公報(請求項1、段落0008〜0013、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、場合によっては非定常精査を定常精査に先駆けて行いたいときがある。このようなとき、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みであれば、非定常精査の実行の必要がない場合がある。このような場合に、非定常精査を実行してしまうと、本来必要のない精査を実行することになり、業務効率の低下につながるといった問題があった。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した課題を解決するため、本発明は、金融業務における精査を所定のタイミングで行う定常的な精査を実行し、定常的な精査の結果を記憶する自動取引装置であって、定常的な精査が実行されたか否かを示す情報である定常精査実施情報を管理する記憶部と、記憶部の定常精査実施情報を基に、定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定する判定部と、判定部による判定の結果、定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、判定部による判定の結果、定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行する制御部と、を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、自動取引装置は、定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定し、この判定の結果、定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、前記した判定の結果、定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行する。この結果、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みである状況下において、非定常精査を行いたい場合、非定常精査を行わず済むことができるため、業務効率の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る自動取引装置の構成例を示すブロック図である。
自動取引装置1は、処理部2、紙幣入出金部3、硬貨入出金部4、小束出金部5、および棒金出金部6を備えてなる。
処理部2は、自動取引装置1全体を制御し、定常精査、非定常精査などの精査の処理を行う機能を有する。紙幣入出金部3は、小束ではない紙幣の入出金処理を行う機能を有する。硬貨入出金部4は、棒金ではない硬貨の入出金処理を行う機能を有する。小束出金部5は、小束となっている紙幣の出金処理を行う機能を有する。棒金出金部6は、棒金となっている硬貨の出金処理を行う機能を有する。
【0007】
図2は、本実施形態に係る自動取引装置の処理部の構成例を示すブロック図である。
自動取引装置1(図1参照)の処理部2は、制御部21、判定部22、表示部23、タイマ部24、入力部25、カードリーダ部26、および記憶部27を備えてなる。
制御部21は、処理部2全体を制御し、定常精査や、非定常精査などの各精査の実行、各データの取得や、情報の処理などを行う機能を有する。より具体的には、制御部21は、記憶部27に格納されている定常精査実行リストなどを参照して、判定部22によって定常精査が実行されたか否かの判定を行った結果、定常精査が実行されていた場合は、処理を終了し、定常精査が実行されていない場合は、非定常精査指示に従い、非定常精査を実行するなどの機能を有する。記憶部27は、定常精査実行リストや、現金管理テーブルなどを格納する。定常精査実行リストの説明は、図3を参照して、現金管理テーブルの説明は、図4を参照して、それぞれ後記する。判定部22は、各種の判定を行い、その結果を制御部21に送る機能を有する。具体的には、記憶部27に格納されている定常精査実行リストなどを参照して、判定部22によって定常精査が実行されたか否かの判定などを行う。表示部23は、制御部21から送られた各種の情報を表示する機能を有する。入力部25は、各種の情報を制御部21に入力する機能を有する。カードリーダ部26は、オペレータカード100などの投入を検知し、このオペレータカード100に格納されている情報を取得し、オペレータカード100から取得した情報を制御部21に送信するなどの機能を有する。
【0008】
オペレータカード100は、自動取引装置1のカードリーダ部26に投入されることで、自動取引装置1の各設定や、精査などを行うことが可能となるカードである。このオペレータカード100には、オペレータカード100の所有者のランク情報が登録されている。ランク情報とは、該所有者が自動取引装置1において操作できる内容を制限するランクに関する情報である。例えば最も高いランクには、精査の実行など、自動取引装置1におけるすべての操作が許可され、最も低いランクには、出納処理の実行のみを許可するなどの制限が加えられる。
【0009】
処理部2、および処理部2を構成する制御部21、判定部22、およびタイマ部24などは、図示しないROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムが、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されたり、図示しないハードディスクに格納されているプログラムが、図示しないRAM(Random Access Memory)に展開され、図示しないCPUにより実行されたりすることによって具現化される。
【0010】
図3は、定常精査実行リストの構成例を示す図である。
定常精査実行リストは、定常精査を行う日付である実行日と、定常精査を行う時刻である実行時刻と、これらの日時に行う定常精査を実行したか否かを判別する実行フラグとを有する。実行フラグは、実行済みであれば「1」が登録され、実行済みでなければ「0」が登録される。
例えば、現在の日時が2006年8月3日だとすると、レコード201,202は、既に定常精査が実行済みであるので、実行フラグのフィールドには「1」が登録されている。これに対し、レコード203は、未だ定常精査が実行されていないため、実行フラグのフィールドには「0」が登録されている。
定常精査実行リストは、管理者が入力部25を介して記憶部27に入力する。または、自動取引装置1にネットワークなどを介して接続されているサーバなどを介して、管理者が記憶部27に入力する。新規に入力されたとき、定常精査実行リストの実行フラグは、「0」が入力されている。
なお、実行日や、実行日時は、運用規定に従った所定の周期で設定される。
【0011】
図4は、現金管理テーブルの構成例を示す図である。
現金管理テーブルは、以下のデータを含んでなる。
実行日時は、精査が実行された日時である。
額面価格は、精査を行った貨幣または紙幣の額面価格である。
精査前在高には、精査を行う直前に自動取引装置1内に格納されていた貨幣の個数、または紙幣の枚数が額面価格ごとに登録されている。
精査結果は、精査を行った結果、自動取引装置1内に格納されているべき貨幣の個数、または紙幣の枚数が額面価格ごとに登録されている。
一致の成否は、精査前在高と精査結果とが一致しているか否かを示すフラグである。一致している場合は、「1」が登録され、一致していない場合は、「0」が登録される。
承認フラグは、承認操作が行われたか否かを示すフラグであり、承認操作が行われた額面価格には、「1」が登録され、承認操作が未だ行われていない場合は、「Null」が登録される。
ここで、一致とは、精査前在高と、精査結果との一致のことであり、自動取引装置によって判定される。
また、承認とは、ユーザが精査結果を確認し、この精査結果に対してユーザがOKの判定を行うことである。そして、承認操作とは、ユーザが承認したときに、入力部25を介して承認の情報を制御部21に入力することである。
【0012】
なお、現金管理テーブルのうち、額面価格、精査前在高、精査結果、および一致の成否は、精査を行った順に登録される。そして、承認フラグは、承認操作が行われると登録される。
例えば、現在の日時が、2006年8月3日の午後12時だとし、8月2日における承認は行っているが、8月3日の承認は行われていないとする。このとき図4において、8月2日におけるデータは、承認フラグを含め、すべてのデータが埋まっている状態である。
これに対し、8月3日におけるデータにおいては、精査は行われているが、承認操作が行われていないので、承認フラグ以外のすべてのデータが埋まっており、承認フラグには、「Null」が登録されている。
そして、8月4日以降の精査は、未だ行われていないため、8月4日以降のデータは、すべて「Null」である。
【0013】
以下、図1から図4を参照しつつ、図6から図8に沿って本実施形態における自動取引装置1が実行する現金精査方法の処理を説明する。
【0014】
図5は、本実施形態に係る操作処理の流れを示すフローチャートである。
自動取引装置1が起動されると、まず制御部21が、初期メニュー画面を表示部23に表示させる(S101)。
次に、制御部21は、定常精査処理を実行する(S102)。
次にカードリーダ部26は、オペレータカード100の投入を検知したか否かを判定する(S103)ことによって、オペレータカード100の投入を監視している。
ステップS103の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知していないとカードリーダ部26によって判定された場合(S103,No)、オペレータカード100の投入の検知信号を送られるまで制御部21は、ステップS102の処理を繰り返す。
ステップS103の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知したとカードリーダ部26によって判定された場合(S103,Yes)、カードリーダ部26は、オペレータカード100に登録されているランク情報を取得する(S104)。
そして、カードリーダ部26は、取得したランク情報を制御部21に送り、制御部21は、送られたランク情報に対応した操作メニュー画面を表示部23に表示させる(S105)。操作メニュー画面については、図10を参照して後記するが、操作メニュー画面に表示されるメニューは、ランク情報によって異なる。また、操作メニュー画面を表示させる前に、制御部21が、自動取引装置1内に現在格納されている紙幣や、貨幣を計数することによって、在高を算出し、算出した在高に関する情報を制御部21が、図10で後記する形で操作メニュー画面に表示させてもよい。
【0015】
ステップS105で表示部23に表示されている操作メニュー画面のうち、精査メニューボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S106)のを待って、制御部21は、精査画面を表示部23に表示させる(S107)。
そして、制御部21は、タイマ部24から現在の日付と時刻(日時)とを取得する(S108)。
そして、判定部22は、ステップS108で制御部21によって取得された現在の日時をキーとして記憶部27の定常精査実行リストにおける現在の日時から所定の期間内の実行日と実行時刻とに対応する実行フラグを参照し、現在の日時から所定の期間内において実行フラグが「1」であるか否かを判定する(S109)ことによって、現在の日時において定常精査が実行済みであるか否かを判定する。ここで、所定の期間とは、例えば運用規定に従って決定される所定の周期期間のことである。
【0016】
ステップS109の判定の結果、現在の日時から所定の期間内において実行フラグが「1」であると判定部22によって判定された場合(S109,Yes)、判定部22は、ステップS108で取得した現在の日付をキーとして、現金管理テーブルの該当する実行日時に対応する承認フラグを参照し、当該定常精査が承認済みであるか否かを判定する(S110)。
ステップS110の判定の結果、当該定常精査が承認済みではないと判定部22によって判定された場合(S110,No)、制御部21は、ステップS101へ処理を戻す。
ステップS110の判定の結果、当該定常精査が承認済みであると判定部22によって判定された場合(S110,Yes)、制御部21は、定常精査承認処理を実行した(S111)後、ステップS101に処理を戻す。定常精査承認処理の詳細は、図7を参照して後記する。
【0017】
ステップS109の説明に戻る。
ステップS109の判定の結果、判定部22が、現在の日時から所定の期間内において実行フラグが「1」ではないと判定部22によって判定された場合(S109,No)、制御部21は、非定常精査および非定常精査承認処理を実行した(S112)後、ステップS101に処理を戻す。非定常精査および非定常精査承認処理の詳細は、図8を参照して後記する。
【0018】
ステップS105の説明に戻る。
ステップS105で表示部23に表示されている操作メニュー画面のうち、定常精査実行日時設定ボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S113)のを待って、制御部21は、定常精査実行日時設定画面を表示部23に表示させ(S114)、定常精査を実行する日付(実行日)、および時刻(実効時刻)を設定する定常精査実行日時設定処理を実行した(S115)後、ステップS101へ処理を戻す。ステップS115の定常精査実行日時設定処理の詳細は、省略する。なお、定常精査実行日時設定処理が実行されることにより、記憶部27の定常精査実行リストに、実行日と、実行時刻とが格納される。
【0019】
同様に、ステップS105で表示部23に表示されている操作メニューのうち、精査メニューボタン、または定常精査実行日時設定ボタン以外の他のメニューボタンを、ユーザが入力部25を介して押下した(S116)場合、制御部21は、該当する処理の画面を表示部23に表示させ(S117)、該当する処理を実行した(S118)後、制御部21は、ステップS101へ処理を戻す。
【0020】
図6は、図5のステップS102における定常精査処理の例を示す図である。
まず、制御部21は、タイマ部24から現在の日付と時刻とを取得する(S201)。
次に判定部22は、ステップS201で制御部21によって取得された日付と、記憶部27に記憶してある定常精査実行リストの実行日とを照合して、取得された日付、すなわち現在の日付に一致する実行日が存在するか否かを判定する(S202)。
ステップS202の判定の結果、現在の日付に一致する実行日が存在しないと判定部22によって判定された場合(S202,No)、制御部21は、図5のステップS103へ処理を進める。
ステップS202の判定の結果、現在の日付に一致する実行日が存在すると判定部22によって判定された場合(S202,Yes)、判定部22は、記憶部27の定常精査実行リストの実行フラグを参照し、現在の日付と一致するすべての実行日において実行フラグが「1」であるか否かを判定する(S203)。
ステップS203の判定の結果、現在の日付と一致するすべての実行日において実行フラグが「1」であると判定部22によって判定された場合(S203,Yes)、制御部21は、図5のステップS103へ処理を進める。
ステップS203の判定の結果、現在の日付と一致する一部の実行日において実行フラグが「1」ではないと判定部22によって判定された場合(S203,No)、判定部22は、記憶部27の定常精査実行リストの実行フラグが「0」である実行時刻を参照し、ステップS201で制御部21によって取得された現在の時刻が実行時刻を過ぎているか否かを判定する(S204)。
ステップS204の判定の結果、現在の時刻において定常精査の実行時刻を超過していないと判定部22によって判定された場合(S204,No)、制御部21は、図5のステップS103へ処理を進める。
【0021】
ステップS204の判定の結果、現在の時刻が定常精査の実行フラグが「0」である実行時刻を過ぎていると判定部22によって判定された場合(S204,Yes)、制御部21は、精査処理を実行する(S205)(精査処理の詳細は、特開平10−334308号公報を参照)。
精査処理終了後、制御部21は、精査結果を記憶部27に現金管理テーブルとして記憶し(S206)、定常精査実行リストの該当する実行日および実行日時に対応する実行フラグを「0」から「1」に更新することで、精査済みであることを登録した(S207)後、制御部21は、図5のステップS103へ処理を戻す。
【0022】
図7は、図5のステップS111における定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
制御部21は、図5のステップS108で取得した日付をキーとして、記憶部27の現金管理テーブルを参照して、直近の実行日時の精査結果を取得し(S301)、取得した精査結果を表示部23に表示させる(S302)。さらに、制御部21は、例えば「承認」ボタンを表示部23に表示させるなどして、承認操作をユーザに対して要求する(S303)。
ユーザは、表示部23に表示された精査結果の内容を確認し、OKであれば、表示画面上に表示されている「承認」ボタンをマウスなどの入力部25を介して押下することによって、承認の情報を入力部25から制御部21へ送る定常精査結果の承認操作を実行する(S304)。すると、制御部21は、記憶部27の現金管理テーブルの該当する承認フラグを「0」から「1」へ更新することにより承認の情報を記憶した(S305)後、制御部21は、図5のステップS101へ処理を戻す。
【0023】
図8は、図5のステップS112における非定常精査および非定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
まず、図5のステップS107で表示部23に表示されている精査画面に表示されている各メニューボタンのうちの一つのメニューボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S401)ことによって、精査指示が入力されると、制御部21は、対応する精査処理を実行する(S402)(精査処理の詳細は、特開平10−334308号公報を参照)。
精査処理が完了すると、制御部21は、精査結果を記憶部27の現金管理テーブルに記憶する(S403)。
そして、制御部21は、ステップS402で実行した精査処理の精査結果を表示部23に表示させる(S404)とともに、例えば「承認」ボタンを表示部23に表示させるなどして、承認操作をユーザに対して要求する(S405)。ユーザは、表示部23に表示された精査結果の内容を確認し、OKであれば、表示画面上に表示されている「承認」ボタンをマウスなどの入力部25を介して押下することによって、承認の情報を入力部25から制御部21へ送る非定常精査結果の承認操作を実行する(S406)。
制御部21は、記憶部27の現金管理テーブルの該当する承認フラグを「0」から「1」に更新することによって、承認の情報を記憶した(S407)後、制御部21は、図5のステップS101へ処理を戻す。
【0024】
次に、図2を参照しつつ、図9から図12に沿って各画面例の説明を行う。
図9は、図5のステップS101における初期メニュー画面例を示す図である。
初期メニュー画面300は、棒金在高表示領域301、小束在高表示領域302、新券在高表示領域303、紙幣在高表示領域304、硬貨在高表示領域305、硬貨払額表示領域306、およびシステム終了ボタン307を備えてなる。
棒金在高表示領域301には、自動取引装置1内に格納されている棒金の数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
小束在高表示領域302には、自動取引装置1内に格納されている小束の数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
新券在高表示領域303には、自動取引装置1内に格納されている新券の枚数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
紙幣在高表示領域304には、自動取引装置1内に格納されている新券ではない紙幣の枚数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
硬貨在高表示領域305には、自動取引装置1内に格納されている硬貨の個数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
硬貨払額表示領域306には、該当する日付において、現在の日時までに支払われた硬貨の個数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
システム終了ボタン307を押下すると、制御部21は、図5で説明した操作処理を終了する(図5中に図示せず)。
【0025】
図10は、図5のステップS105における操作メニュー画面例を示す図である。
操作メニュー画面400は、精査メニューボタン401、定常精査実行日時設定メニューボタン402、現金メンテナンスメニューボタン403、出納処理メニューボタン404、管理メニューボタン405、照会メニューボタン406、整理メニューボタン407、障害処理メニューボタン408、ショートカットボタン409、およびシステム終了ボタン410を備えてなる。
精査メニューボタン401を押下すると、後記して説明する精査画面が制御部21によって表示部23に表示される。
定常精査実行日時設定メニューボタン402を押下すると、図3の定常精査実行リストの実行日や、実行時刻が設定される定常精査実行日時設定処理が制御部21によって実行される。
現金メンテナンスメニューボタン403を押下すると、自動取引装置1に格納されている現金をメンテナンスする処理が制御部21によって実行される。
出納処理メニューボタン404を押下すると、出納処理が制御部21によって実行される。
管理メニューボタン405を押下すると、自動取引装置1の管理メニューが表示され、自動取引装置1の管理処理が制御部21によって実行される。
照会メニューボタン406を押下すると、例えば図示しない金融会社のサーバにアクセスすることができ、各種の情報を照会することができる。
【0026】
整理メニューボタン407を押下すると、自動取引装置1のROM上に残っている不要なデータを削除する整理処理が制御部21によって実行される。
障害処理メニューボタン408を押下すると、制御部21が、自動取引装置1に生じている障害を検知し、検知した障害を表示部23に表示させ、障害の除去を促すメッセージを表示部23に表示させる障害処理が実行される。
ショートカットボタン409を押下すると、複雑な処理を記憶させたショートカット処理が制御部21によって実行される。
システム終了ボタン410を押下すると、制御部21は、図5で説明した操作処理を終了する(図5中に図示せず)。
【0027】
なお、操作メニュー画面400に表示される内容は、制御部21が、カードリーダ部26から取得したオペレータカード100のランク情報によって異なる。
例えば、ランク情報に格納されているランクが、最も高いランクであったときはすべてのメニューボタン401〜408が表示、または押下可能な状態となる。
これに対し、ランク情報に格納されているランクが、最も低いランクであったときは、例えば出納処理メニューボタン404のみが表示、または押下可能であり、その他のメニューボタン401〜403,405〜408は、非表示、または押下不可能な状態となる。
【0028】
図11は、図5のステップS107における精査画面例を示す図である。
精査画面500は、在高点検メニューボタン501、在高点検回収メニューボタン502、在高点検再鑑メニューボタン503、在高点検全回収メニューボタン504、および在高点検再鑑回収メニューボタン505を備えてなる。
在高点検メニューボタン501を押下すると、制御部21は、精査可能なユニットの精査を行い、その他のユニットに関しては精査を行わない精査処理を実行する。ここで、ユニットとは、図1の紙幣入出金部3、硬貨入出金部4、小束出金部5、および棒金出金部6のことである。
在高点検(回収)メニューボタン502を押下すると、制御部21は、精査可能なユニットの精査を行い、その他のユニットの現金は、回収する精査処理を行う。
在高点検(再鑑)メニューボタン503を押下すると、制御部21は、精査可能なユニットの精査を行い、その他のユニットの現金は、再鑑する精査処理を行う。
在高点検(全回収)メニューボタン504を押下すると、制御部21は、全ユニットから現金を回収する精査処理を行う。
在高点検(再鑑・回収)メニューボタン505を押下すると、制御部21は、機会計数可能なユニットの精査を行い、その他のユニットの現金は、再鑑、または回収する精査処理を行う。
【0029】
図12は、図7のステップS302、または図8のステップS404における精査結果画面例を示す図である。
精査結果画面600は、紙幣精査結果タブ601、硬貨精査結果タブ602、および明細印字ボタン603を備えてなる。
紙幣精査結果タブ601は、紙幣の精査を行った結果を表示するタブであり、硬貨精査結果タブ602は、硬貨の精査を行った結果を表示するタブである。また、明細印字ボタン603を押下すると、制御部21は、表示されている精査の結果が図示しない印刷部を介して印刷させる。
【0030】
次に、紙幣精査結果タブ601について説明する。なお、硬貨精査結果タブ602については、紙幣が硬貨に置き換わった以外は、紙幣精査結果タブ601と同様であるので説明を省略する。
紙幣精査結果タブ601は、精査前在高枚数表示エリア604、精査前在高金額表示エリア605、精査結果枚数表示エリア606、精査結果金額表示エリア607、照合結果表示エリア608、精査前在高合計金額表示エリア609、精査結果合計金額表示エリア610、現金不一致額表示エリア611、および紙幣排出ボタン612を備えてなる。
精査前在高枚数表示エリア604には、精査前に自動取引装置1に格納されている紙幣の枚数が、額面価格ごとに表示される。
精査前在高金額表示エリア605には、精査前に自動取引装置1に格納されている紙幣の金額が、額面価格ごとに表示される。
精査結果枚数表示エリア606には、精査を行った結果、自動取引装置1内に格納されているべき紙幣の枚数が、額面価格ごとに表示される。
精査結果金額表示エリア607には、精査を行った結果、自動取引装置1内に格納されているべき紙幣の金額が、額面価格ごとに表示される。
照合結果表示エリア608は、精査を行った結果による精査前在高と、精査結果との一致の成否が、額面価格ごとに表示される。
精査前在高合計金額表示エリア609には、精査前に自動取引装置1内に格納されている紙幣の合計金額が表示される。
精査結果合計金額表示エリア610には、精査を行った結果、自動取引装置1に格納されているべき紙幣の合計金額が表示される。
現金不一致額表示エリア611には、精査前在高合計金額表示エリア609に表示されている金額と、精査結果合計金額表示エリア610に表示されている金額の差額が表示される。
紙幣排出ボタン612を押下すると、自動取引装置1内に格納されている紙幣が排出される。
【0031】
図13は、比較例における非定常精査の処理例である。
自動取引装置1が起動されると、制御部21が、初期メニュー画面を表示部23に表示させる(S501)。
次にカードリーダ部26は、オペレータカード100の投入を検知したか否かを判定する(S502)ことによって、オペレータカード100の投入を監視している。
ステップS502の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知していないとカードリーダ部26によって判定された場合(S502,No)、オペレータカード100の投入を検知するまで、カードリーダ部26は、ステップS502の処理を繰り返す。
ステップS502の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知したとカードリーダ部26によって判定された場合(S502,Yes)、カードリーダ部26は、オペレータカード100に登録されているランク情報を取得する(S503)。
そして、カードリーダ部26は、取得したランク情報を制御部21に送り、制御部21は、送られたランク情報に対応した操作メニュー画面を表示部23に表示させる(S504)。操作メニュー画面については、図10を参照して説明した操作メニュー画面と同様である。なお、操作メニュー画面を表示させる前に、制御部21が、自動取引装置1内に現在格納されている紙幣や、貨幣を計数することによって、在高を算出し、算出した在高に関する情報を制御部21が、図10に示した形で操作メニュー画面に表示させてもよい。
【0032】
次にユーザが、入力部25を介して操作メニューのうちの精査メニューボタンを押下した(S505)場合、制御部21は、精査画面を表示部23に表示させる(S506)。
そして、図5のステップS107で表示部23に表示されている精査画面に表示されている各メニューボタンのうちの一つのメニューボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S507)ことによって、精査指示が入力されると、制御部21は、精査処理を実行する(S508)(精査処理の詳細は、特開平10−334308号公報を参照)。
精査処理が完了すると、制御部21は、精査結果を記憶部27の現金管理テーブルに記憶する(S509)。
そして、制御部21は、精査の精査結果を表示部23に表示させる(S510)とともに、例えば「承認」ボタンを表示部23に表示させるなどして、承認操作を要求する(S511)。ユーザは、表示部23に表示された精査結果の内容を確認し、OKであれば、表示画面上に表示されている「承認」ボタンをマウスなどの入力部25を介して押下することによって、承認の情報を入力部25から制御部21へ送る非定常精査の精査結果の承認操作を実行する(S512)。
制御部21は、記憶部27の現金管理テーブルの該当する承認フラグを「0」から「1」に更新することによって、承認の情報を記憶した(S513)後、制御部21は、ステップS501へ処理を戻す。
【0033】
従来の自動取引装置1では、図6で説明した定常精査の処理と、図9で説明した非定常精査処理とを独立した形で行っている。
そして図9から明らかなように、従来の非定常精査においては、定常精査の結果や、実行の有無などが何ら反映されていない。
従って、非定常精査を定常精査に先駆けて行いたいときにおいて、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みであり、非定常精査の実行の必要がない場合、既に実行済みである定常精査に関する情報が、何ら提示されないため、本来必要のない定常精査を実行することになり、業務効率の低下につながってしまう。
【0034】
本実施形態によれば、非定常精査を行う場合にも、定常精査の実行の有無や、定常精査の精査結果の表示を行うことにより、ユーザに対し定常精査に関する情報を提示する。この結果、既にある期間内で定常精査が実行済みの状態で、非定常精査を行いたい状況下では、非定常精査を行わず済むことができるため、業務効率の低下を防ぐことができる。
【0035】
本実施形態では、タイマ部24を自動取引装置1に含ませたが、これに限らずタイマ部24は、通信回線を介して自動取引装置1に接続した構成としてもよい。
また、本実施形態では、所定の日時を超過すると、制御部21が定常精査を行う構成としたが、これに限らず、例えば自動取引装置1と通信回線を介して接続した外部装置が、定常精査実行の指示を自動取引装置1に対して送信し、図示しない通信部を介して当該定常精査実行の指示を受信した自動取引装置1の処理部2が定常精査を実行してもよい。
本実施形態では、図7のステップS302において、制御部21が現在の日時から直近の実行日時の精査結果を表示部23に表示させたが、これに限らず、承認フラグが「0」であるすべての精査結果を表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る自動取引装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る自動取引装置の処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】定常精査実行リストの構成例を示す図である。
【図4】現金管理テーブルの構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る操作処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS102における定常精査の処理例を示す図である。
【図7】図5のステップS111における定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図5のステップS112における非定常精査および非定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図5のステップS101における初期メニュー画面例を示す図である。
【図10】図5のステップS105における操作メニュー画面例を示す図である。
【図11】図5のステップS107における精査画面例を示す図である。
【図12】図7のステップS302、または図8のステップS404における精査結果画面例を示す図である。
【図13】比較例における非定常精査の処理例である。
【符号の説明】
【0037】
1 自動取引装置
2 処理部
3 紙幣入出金部
4 硬貨入出金部
5 小束出金部
6 棒金出金部
21 制御部
22 判定部
23 表示部
24 タイマ部
25 入力部
26 カードリーダ部
27 記憶部
100 オペレータカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置における精査処理の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関による精査の業務とは、自動取引装置に装填した現金の金額を運用した結果が、自動取引装置内の残金(在高)と合致しているか否かをチェックすることである。この精査の業務は、運用規定に従い所定の周期でユーザにより実行される。
従来、サーバなどからの遠隔指示により、精査を開始したり、所定の時間になると自動的に精査を開始したり(定常精査)する自動取引装置が開示されている。また、精査実行時に上位装置と通信を行い、上位装置に備えられている確認手段により精査実行可と判断された場合に精査を実行する自動取引装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、ユーザが直接自動取引装置を操作して、精査のプログラムを立ち上げ、自動取引装置に精査を実行させる非定常精査も従来行われている。
【特許文献1】特開平9−204557号公報(請求項1、段落0008〜0013、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、場合によっては非定常精査を定常精査に先駆けて行いたいときがある。このようなとき、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みであれば、非定常精査の実行の必要がない場合がある。このような場合に、非定常精査を実行してしまうと、本来必要のない精査を実行することになり、業務効率の低下につながるといった問題があった。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した課題を解決するため、本発明は、金融業務における精査を所定のタイミングで行う定常的な精査を実行し、定常的な精査の結果を記憶する自動取引装置であって、定常的な精査が実行されたか否かを示す情報である定常精査実施情報を管理する記憶部と、記憶部の定常精査実施情報を基に、定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定する判定部と、判定部による判定の結果、定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、判定部による判定の結果、定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行する制御部と、を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、自動取引装置は、定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定し、この判定の結果、定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、前記した判定の結果、定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行する。この結果、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みである状況下において、非定常精査を行いたい場合、非定常精査を行わず済むことができるため、業務効率の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る自動取引装置の構成例を示すブロック図である。
自動取引装置1は、処理部2、紙幣入出金部3、硬貨入出金部4、小束出金部5、および棒金出金部6を備えてなる。
処理部2は、自動取引装置1全体を制御し、定常精査、非定常精査などの精査の処理を行う機能を有する。紙幣入出金部3は、小束ではない紙幣の入出金処理を行う機能を有する。硬貨入出金部4は、棒金ではない硬貨の入出金処理を行う機能を有する。小束出金部5は、小束となっている紙幣の出金処理を行う機能を有する。棒金出金部6は、棒金となっている硬貨の出金処理を行う機能を有する。
【0007】
図2は、本実施形態に係る自動取引装置の処理部の構成例を示すブロック図である。
自動取引装置1(図1参照)の処理部2は、制御部21、判定部22、表示部23、タイマ部24、入力部25、カードリーダ部26、および記憶部27を備えてなる。
制御部21は、処理部2全体を制御し、定常精査や、非定常精査などの各精査の実行、各データの取得や、情報の処理などを行う機能を有する。より具体的には、制御部21は、記憶部27に格納されている定常精査実行リストなどを参照して、判定部22によって定常精査が実行されたか否かの判定を行った結果、定常精査が実行されていた場合は、処理を終了し、定常精査が実行されていない場合は、非定常精査指示に従い、非定常精査を実行するなどの機能を有する。記憶部27は、定常精査実行リストや、現金管理テーブルなどを格納する。定常精査実行リストの説明は、図3を参照して、現金管理テーブルの説明は、図4を参照して、それぞれ後記する。判定部22は、各種の判定を行い、その結果を制御部21に送る機能を有する。具体的には、記憶部27に格納されている定常精査実行リストなどを参照して、判定部22によって定常精査が実行されたか否かの判定などを行う。表示部23は、制御部21から送られた各種の情報を表示する機能を有する。入力部25は、各種の情報を制御部21に入力する機能を有する。カードリーダ部26は、オペレータカード100などの投入を検知し、このオペレータカード100に格納されている情報を取得し、オペレータカード100から取得した情報を制御部21に送信するなどの機能を有する。
【0008】
オペレータカード100は、自動取引装置1のカードリーダ部26に投入されることで、自動取引装置1の各設定や、精査などを行うことが可能となるカードである。このオペレータカード100には、オペレータカード100の所有者のランク情報が登録されている。ランク情報とは、該所有者が自動取引装置1において操作できる内容を制限するランクに関する情報である。例えば最も高いランクには、精査の実行など、自動取引装置1におけるすべての操作が許可され、最も低いランクには、出納処理の実行のみを許可するなどの制限が加えられる。
【0009】
処理部2、および処理部2を構成する制御部21、判定部22、およびタイマ部24などは、図示しないROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムが、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されたり、図示しないハードディスクに格納されているプログラムが、図示しないRAM(Random Access Memory)に展開され、図示しないCPUにより実行されたりすることによって具現化される。
【0010】
図3は、定常精査実行リストの構成例を示す図である。
定常精査実行リストは、定常精査を行う日付である実行日と、定常精査を行う時刻である実行時刻と、これらの日時に行う定常精査を実行したか否かを判別する実行フラグとを有する。実行フラグは、実行済みであれば「1」が登録され、実行済みでなければ「0」が登録される。
例えば、現在の日時が2006年8月3日だとすると、レコード201,202は、既に定常精査が実行済みであるので、実行フラグのフィールドには「1」が登録されている。これに対し、レコード203は、未だ定常精査が実行されていないため、実行フラグのフィールドには「0」が登録されている。
定常精査実行リストは、管理者が入力部25を介して記憶部27に入力する。または、自動取引装置1にネットワークなどを介して接続されているサーバなどを介して、管理者が記憶部27に入力する。新規に入力されたとき、定常精査実行リストの実行フラグは、「0」が入力されている。
なお、実行日や、実行日時は、運用規定に従った所定の周期で設定される。
【0011】
図4は、現金管理テーブルの構成例を示す図である。
現金管理テーブルは、以下のデータを含んでなる。
実行日時は、精査が実行された日時である。
額面価格は、精査を行った貨幣または紙幣の額面価格である。
精査前在高には、精査を行う直前に自動取引装置1内に格納されていた貨幣の個数、または紙幣の枚数が額面価格ごとに登録されている。
精査結果は、精査を行った結果、自動取引装置1内に格納されているべき貨幣の個数、または紙幣の枚数が額面価格ごとに登録されている。
一致の成否は、精査前在高と精査結果とが一致しているか否かを示すフラグである。一致している場合は、「1」が登録され、一致していない場合は、「0」が登録される。
承認フラグは、承認操作が行われたか否かを示すフラグであり、承認操作が行われた額面価格には、「1」が登録され、承認操作が未だ行われていない場合は、「Null」が登録される。
ここで、一致とは、精査前在高と、精査結果との一致のことであり、自動取引装置によって判定される。
また、承認とは、ユーザが精査結果を確認し、この精査結果に対してユーザがOKの判定を行うことである。そして、承認操作とは、ユーザが承認したときに、入力部25を介して承認の情報を制御部21に入力することである。
【0012】
なお、現金管理テーブルのうち、額面価格、精査前在高、精査結果、および一致の成否は、精査を行った順に登録される。そして、承認フラグは、承認操作が行われると登録される。
例えば、現在の日時が、2006年8月3日の午後12時だとし、8月2日における承認は行っているが、8月3日の承認は行われていないとする。このとき図4において、8月2日におけるデータは、承認フラグを含め、すべてのデータが埋まっている状態である。
これに対し、8月3日におけるデータにおいては、精査は行われているが、承認操作が行われていないので、承認フラグ以外のすべてのデータが埋まっており、承認フラグには、「Null」が登録されている。
そして、8月4日以降の精査は、未だ行われていないため、8月4日以降のデータは、すべて「Null」である。
【0013】
以下、図1から図4を参照しつつ、図6から図8に沿って本実施形態における自動取引装置1が実行する現金精査方法の処理を説明する。
【0014】
図5は、本実施形態に係る操作処理の流れを示すフローチャートである。
自動取引装置1が起動されると、まず制御部21が、初期メニュー画面を表示部23に表示させる(S101)。
次に、制御部21は、定常精査処理を実行する(S102)。
次にカードリーダ部26は、オペレータカード100の投入を検知したか否かを判定する(S103)ことによって、オペレータカード100の投入を監視している。
ステップS103の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知していないとカードリーダ部26によって判定された場合(S103,No)、オペレータカード100の投入の検知信号を送られるまで制御部21は、ステップS102の処理を繰り返す。
ステップS103の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知したとカードリーダ部26によって判定された場合(S103,Yes)、カードリーダ部26は、オペレータカード100に登録されているランク情報を取得する(S104)。
そして、カードリーダ部26は、取得したランク情報を制御部21に送り、制御部21は、送られたランク情報に対応した操作メニュー画面を表示部23に表示させる(S105)。操作メニュー画面については、図10を参照して後記するが、操作メニュー画面に表示されるメニューは、ランク情報によって異なる。また、操作メニュー画面を表示させる前に、制御部21が、自動取引装置1内に現在格納されている紙幣や、貨幣を計数することによって、在高を算出し、算出した在高に関する情報を制御部21が、図10で後記する形で操作メニュー画面に表示させてもよい。
【0015】
ステップS105で表示部23に表示されている操作メニュー画面のうち、精査メニューボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S106)のを待って、制御部21は、精査画面を表示部23に表示させる(S107)。
そして、制御部21は、タイマ部24から現在の日付と時刻(日時)とを取得する(S108)。
そして、判定部22は、ステップS108で制御部21によって取得された現在の日時をキーとして記憶部27の定常精査実行リストにおける現在の日時から所定の期間内の実行日と実行時刻とに対応する実行フラグを参照し、現在の日時から所定の期間内において実行フラグが「1」であるか否かを判定する(S109)ことによって、現在の日時において定常精査が実行済みであるか否かを判定する。ここで、所定の期間とは、例えば運用規定に従って決定される所定の周期期間のことである。
【0016】
ステップS109の判定の結果、現在の日時から所定の期間内において実行フラグが「1」であると判定部22によって判定された場合(S109,Yes)、判定部22は、ステップS108で取得した現在の日付をキーとして、現金管理テーブルの該当する実行日時に対応する承認フラグを参照し、当該定常精査が承認済みであるか否かを判定する(S110)。
ステップS110の判定の結果、当該定常精査が承認済みではないと判定部22によって判定された場合(S110,No)、制御部21は、ステップS101へ処理を戻す。
ステップS110の判定の結果、当該定常精査が承認済みであると判定部22によって判定された場合(S110,Yes)、制御部21は、定常精査承認処理を実行した(S111)後、ステップS101に処理を戻す。定常精査承認処理の詳細は、図7を参照して後記する。
【0017】
ステップS109の説明に戻る。
ステップS109の判定の結果、判定部22が、現在の日時から所定の期間内において実行フラグが「1」ではないと判定部22によって判定された場合(S109,No)、制御部21は、非定常精査および非定常精査承認処理を実行した(S112)後、ステップS101に処理を戻す。非定常精査および非定常精査承認処理の詳細は、図8を参照して後記する。
【0018】
ステップS105の説明に戻る。
ステップS105で表示部23に表示されている操作メニュー画面のうち、定常精査実行日時設定ボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S113)のを待って、制御部21は、定常精査実行日時設定画面を表示部23に表示させ(S114)、定常精査を実行する日付(実行日)、および時刻(実効時刻)を設定する定常精査実行日時設定処理を実行した(S115)後、ステップS101へ処理を戻す。ステップS115の定常精査実行日時設定処理の詳細は、省略する。なお、定常精査実行日時設定処理が実行されることにより、記憶部27の定常精査実行リストに、実行日と、実行時刻とが格納される。
【0019】
同様に、ステップS105で表示部23に表示されている操作メニューのうち、精査メニューボタン、または定常精査実行日時設定ボタン以外の他のメニューボタンを、ユーザが入力部25を介して押下した(S116)場合、制御部21は、該当する処理の画面を表示部23に表示させ(S117)、該当する処理を実行した(S118)後、制御部21は、ステップS101へ処理を戻す。
【0020】
図6は、図5のステップS102における定常精査処理の例を示す図である。
まず、制御部21は、タイマ部24から現在の日付と時刻とを取得する(S201)。
次に判定部22は、ステップS201で制御部21によって取得された日付と、記憶部27に記憶してある定常精査実行リストの実行日とを照合して、取得された日付、すなわち現在の日付に一致する実行日が存在するか否かを判定する(S202)。
ステップS202の判定の結果、現在の日付に一致する実行日が存在しないと判定部22によって判定された場合(S202,No)、制御部21は、図5のステップS103へ処理を進める。
ステップS202の判定の結果、現在の日付に一致する実行日が存在すると判定部22によって判定された場合(S202,Yes)、判定部22は、記憶部27の定常精査実行リストの実行フラグを参照し、現在の日付と一致するすべての実行日において実行フラグが「1」であるか否かを判定する(S203)。
ステップS203の判定の結果、現在の日付と一致するすべての実行日において実行フラグが「1」であると判定部22によって判定された場合(S203,Yes)、制御部21は、図5のステップS103へ処理を進める。
ステップS203の判定の結果、現在の日付と一致する一部の実行日において実行フラグが「1」ではないと判定部22によって判定された場合(S203,No)、判定部22は、記憶部27の定常精査実行リストの実行フラグが「0」である実行時刻を参照し、ステップS201で制御部21によって取得された現在の時刻が実行時刻を過ぎているか否かを判定する(S204)。
ステップS204の判定の結果、現在の時刻において定常精査の実行時刻を超過していないと判定部22によって判定された場合(S204,No)、制御部21は、図5のステップS103へ処理を進める。
【0021】
ステップS204の判定の結果、現在の時刻が定常精査の実行フラグが「0」である実行時刻を過ぎていると判定部22によって判定された場合(S204,Yes)、制御部21は、精査処理を実行する(S205)(精査処理の詳細は、特開平10−334308号公報を参照)。
精査処理終了後、制御部21は、精査結果を記憶部27に現金管理テーブルとして記憶し(S206)、定常精査実行リストの該当する実行日および実行日時に対応する実行フラグを「0」から「1」に更新することで、精査済みであることを登録した(S207)後、制御部21は、図5のステップS103へ処理を戻す。
【0022】
図7は、図5のステップS111における定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
制御部21は、図5のステップS108で取得した日付をキーとして、記憶部27の現金管理テーブルを参照して、直近の実行日時の精査結果を取得し(S301)、取得した精査結果を表示部23に表示させる(S302)。さらに、制御部21は、例えば「承認」ボタンを表示部23に表示させるなどして、承認操作をユーザに対して要求する(S303)。
ユーザは、表示部23に表示された精査結果の内容を確認し、OKであれば、表示画面上に表示されている「承認」ボタンをマウスなどの入力部25を介して押下することによって、承認の情報を入力部25から制御部21へ送る定常精査結果の承認操作を実行する(S304)。すると、制御部21は、記憶部27の現金管理テーブルの該当する承認フラグを「0」から「1」へ更新することにより承認の情報を記憶した(S305)後、制御部21は、図5のステップS101へ処理を戻す。
【0023】
図8は、図5のステップS112における非定常精査および非定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
まず、図5のステップS107で表示部23に表示されている精査画面に表示されている各メニューボタンのうちの一つのメニューボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S401)ことによって、精査指示が入力されると、制御部21は、対応する精査処理を実行する(S402)(精査処理の詳細は、特開平10−334308号公報を参照)。
精査処理が完了すると、制御部21は、精査結果を記憶部27の現金管理テーブルに記憶する(S403)。
そして、制御部21は、ステップS402で実行した精査処理の精査結果を表示部23に表示させる(S404)とともに、例えば「承認」ボタンを表示部23に表示させるなどして、承認操作をユーザに対して要求する(S405)。ユーザは、表示部23に表示された精査結果の内容を確認し、OKであれば、表示画面上に表示されている「承認」ボタンをマウスなどの入力部25を介して押下することによって、承認の情報を入力部25から制御部21へ送る非定常精査結果の承認操作を実行する(S406)。
制御部21は、記憶部27の現金管理テーブルの該当する承認フラグを「0」から「1」に更新することによって、承認の情報を記憶した(S407)後、制御部21は、図5のステップS101へ処理を戻す。
【0024】
次に、図2を参照しつつ、図9から図12に沿って各画面例の説明を行う。
図9は、図5のステップS101における初期メニュー画面例を示す図である。
初期メニュー画面300は、棒金在高表示領域301、小束在高表示領域302、新券在高表示領域303、紙幣在高表示領域304、硬貨在高表示領域305、硬貨払額表示領域306、およびシステム終了ボタン307を備えてなる。
棒金在高表示領域301には、自動取引装置1内に格納されている棒金の数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
小束在高表示領域302には、自動取引装置1内に格納されている小束の数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
新券在高表示領域303には、自動取引装置1内に格納されている新券の枚数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
紙幣在高表示領域304には、自動取引装置1内に格納されている新券ではない紙幣の枚数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
硬貨在高表示領域305には、自動取引装置1内に格納されている硬貨の個数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
硬貨払額表示領域306には、該当する日付において、現在の日時までに支払われた硬貨の個数が、額面価格ごとにヒストグラムの形で示されている。
システム終了ボタン307を押下すると、制御部21は、図5で説明した操作処理を終了する(図5中に図示せず)。
【0025】
図10は、図5のステップS105における操作メニュー画面例を示す図である。
操作メニュー画面400は、精査メニューボタン401、定常精査実行日時設定メニューボタン402、現金メンテナンスメニューボタン403、出納処理メニューボタン404、管理メニューボタン405、照会メニューボタン406、整理メニューボタン407、障害処理メニューボタン408、ショートカットボタン409、およびシステム終了ボタン410を備えてなる。
精査メニューボタン401を押下すると、後記して説明する精査画面が制御部21によって表示部23に表示される。
定常精査実行日時設定メニューボタン402を押下すると、図3の定常精査実行リストの実行日や、実行時刻が設定される定常精査実行日時設定処理が制御部21によって実行される。
現金メンテナンスメニューボタン403を押下すると、自動取引装置1に格納されている現金をメンテナンスする処理が制御部21によって実行される。
出納処理メニューボタン404を押下すると、出納処理が制御部21によって実行される。
管理メニューボタン405を押下すると、自動取引装置1の管理メニューが表示され、自動取引装置1の管理処理が制御部21によって実行される。
照会メニューボタン406を押下すると、例えば図示しない金融会社のサーバにアクセスすることができ、各種の情報を照会することができる。
【0026】
整理メニューボタン407を押下すると、自動取引装置1のROM上に残っている不要なデータを削除する整理処理が制御部21によって実行される。
障害処理メニューボタン408を押下すると、制御部21が、自動取引装置1に生じている障害を検知し、検知した障害を表示部23に表示させ、障害の除去を促すメッセージを表示部23に表示させる障害処理が実行される。
ショートカットボタン409を押下すると、複雑な処理を記憶させたショートカット処理が制御部21によって実行される。
システム終了ボタン410を押下すると、制御部21は、図5で説明した操作処理を終了する(図5中に図示せず)。
【0027】
なお、操作メニュー画面400に表示される内容は、制御部21が、カードリーダ部26から取得したオペレータカード100のランク情報によって異なる。
例えば、ランク情報に格納されているランクが、最も高いランクであったときはすべてのメニューボタン401〜408が表示、または押下可能な状態となる。
これに対し、ランク情報に格納されているランクが、最も低いランクであったときは、例えば出納処理メニューボタン404のみが表示、または押下可能であり、その他のメニューボタン401〜403,405〜408は、非表示、または押下不可能な状態となる。
【0028】
図11は、図5のステップS107における精査画面例を示す図である。
精査画面500は、在高点検メニューボタン501、在高点検回収メニューボタン502、在高点検再鑑メニューボタン503、在高点検全回収メニューボタン504、および在高点検再鑑回収メニューボタン505を備えてなる。
在高点検メニューボタン501を押下すると、制御部21は、精査可能なユニットの精査を行い、その他のユニットに関しては精査を行わない精査処理を実行する。ここで、ユニットとは、図1の紙幣入出金部3、硬貨入出金部4、小束出金部5、および棒金出金部6のことである。
在高点検(回収)メニューボタン502を押下すると、制御部21は、精査可能なユニットの精査を行い、その他のユニットの現金は、回収する精査処理を行う。
在高点検(再鑑)メニューボタン503を押下すると、制御部21は、精査可能なユニットの精査を行い、その他のユニットの現金は、再鑑する精査処理を行う。
在高点検(全回収)メニューボタン504を押下すると、制御部21は、全ユニットから現金を回収する精査処理を行う。
在高点検(再鑑・回収)メニューボタン505を押下すると、制御部21は、機会計数可能なユニットの精査を行い、その他のユニットの現金は、再鑑、または回収する精査処理を行う。
【0029】
図12は、図7のステップS302、または図8のステップS404における精査結果画面例を示す図である。
精査結果画面600は、紙幣精査結果タブ601、硬貨精査結果タブ602、および明細印字ボタン603を備えてなる。
紙幣精査結果タブ601は、紙幣の精査を行った結果を表示するタブであり、硬貨精査結果タブ602は、硬貨の精査を行った結果を表示するタブである。また、明細印字ボタン603を押下すると、制御部21は、表示されている精査の結果が図示しない印刷部を介して印刷させる。
【0030】
次に、紙幣精査結果タブ601について説明する。なお、硬貨精査結果タブ602については、紙幣が硬貨に置き換わった以外は、紙幣精査結果タブ601と同様であるので説明を省略する。
紙幣精査結果タブ601は、精査前在高枚数表示エリア604、精査前在高金額表示エリア605、精査結果枚数表示エリア606、精査結果金額表示エリア607、照合結果表示エリア608、精査前在高合計金額表示エリア609、精査結果合計金額表示エリア610、現金不一致額表示エリア611、および紙幣排出ボタン612を備えてなる。
精査前在高枚数表示エリア604には、精査前に自動取引装置1に格納されている紙幣の枚数が、額面価格ごとに表示される。
精査前在高金額表示エリア605には、精査前に自動取引装置1に格納されている紙幣の金額が、額面価格ごとに表示される。
精査結果枚数表示エリア606には、精査を行った結果、自動取引装置1内に格納されているべき紙幣の枚数が、額面価格ごとに表示される。
精査結果金額表示エリア607には、精査を行った結果、自動取引装置1内に格納されているべき紙幣の金額が、額面価格ごとに表示される。
照合結果表示エリア608は、精査を行った結果による精査前在高と、精査結果との一致の成否が、額面価格ごとに表示される。
精査前在高合計金額表示エリア609には、精査前に自動取引装置1内に格納されている紙幣の合計金額が表示される。
精査結果合計金額表示エリア610には、精査を行った結果、自動取引装置1に格納されているべき紙幣の合計金額が表示される。
現金不一致額表示エリア611には、精査前在高合計金額表示エリア609に表示されている金額と、精査結果合計金額表示エリア610に表示されている金額の差額が表示される。
紙幣排出ボタン612を押下すると、自動取引装置1内に格納されている紙幣が排出される。
【0031】
図13は、比較例における非定常精査の処理例である。
自動取引装置1が起動されると、制御部21が、初期メニュー画面を表示部23に表示させる(S501)。
次にカードリーダ部26は、オペレータカード100の投入を検知したか否かを判定する(S502)ことによって、オペレータカード100の投入を監視している。
ステップS502の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知していないとカードリーダ部26によって判定された場合(S502,No)、オペレータカード100の投入を検知するまで、カードリーダ部26は、ステップS502の処理を繰り返す。
ステップS502の判定の結果、オペレータカード100の投入を検知したとカードリーダ部26によって判定された場合(S502,Yes)、カードリーダ部26は、オペレータカード100に登録されているランク情報を取得する(S503)。
そして、カードリーダ部26は、取得したランク情報を制御部21に送り、制御部21は、送られたランク情報に対応した操作メニュー画面を表示部23に表示させる(S504)。操作メニュー画面については、図10を参照して説明した操作メニュー画面と同様である。なお、操作メニュー画面を表示させる前に、制御部21が、自動取引装置1内に現在格納されている紙幣や、貨幣を計数することによって、在高を算出し、算出した在高に関する情報を制御部21が、図10に示した形で操作メニュー画面に表示させてもよい。
【0032】
次にユーザが、入力部25を介して操作メニューのうちの精査メニューボタンを押下した(S505)場合、制御部21は、精査画面を表示部23に表示させる(S506)。
そして、図5のステップS107で表示部23に表示されている精査画面に表示されている各メニューボタンのうちの一つのメニューボタンをユーザが入力部25を介して押下する(S507)ことによって、精査指示が入力されると、制御部21は、精査処理を実行する(S508)(精査処理の詳細は、特開平10−334308号公報を参照)。
精査処理が完了すると、制御部21は、精査結果を記憶部27の現金管理テーブルに記憶する(S509)。
そして、制御部21は、精査の精査結果を表示部23に表示させる(S510)とともに、例えば「承認」ボタンを表示部23に表示させるなどして、承認操作を要求する(S511)。ユーザは、表示部23に表示された精査結果の内容を確認し、OKであれば、表示画面上に表示されている「承認」ボタンをマウスなどの入力部25を介して押下することによって、承認の情報を入力部25から制御部21へ送る非定常精査の精査結果の承認操作を実行する(S512)。
制御部21は、記憶部27の現金管理テーブルの該当する承認フラグを「0」から「1」に更新することによって、承認の情報を記憶した(S513)後、制御部21は、ステップS501へ処理を戻す。
【0033】
従来の自動取引装置1では、図6で説明した定常精査の処理と、図9で説明した非定常精査処理とを独立した形で行っている。
そして図9から明らかなように、従来の非定常精査においては、定常精査の結果や、実行の有無などが何ら反映されていない。
従って、非定常精査を定常精査に先駆けて行いたいときにおいて、前回実行した定常精査がある期間内に実行済みであり、非定常精査の実行の必要がない場合、既に実行済みである定常精査に関する情報が、何ら提示されないため、本来必要のない定常精査を実行することになり、業務効率の低下につながってしまう。
【0034】
本実施形態によれば、非定常精査を行う場合にも、定常精査の実行の有無や、定常精査の精査結果の表示を行うことにより、ユーザに対し定常精査に関する情報を提示する。この結果、既にある期間内で定常精査が実行済みの状態で、非定常精査を行いたい状況下では、非定常精査を行わず済むことができるため、業務効率の低下を防ぐことができる。
【0035】
本実施形態では、タイマ部24を自動取引装置1に含ませたが、これに限らずタイマ部24は、通信回線を介して自動取引装置1に接続した構成としてもよい。
また、本実施形態では、所定の日時を超過すると、制御部21が定常精査を行う構成としたが、これに限らず、例えば自動取引装置1と通信回線を介して接続した外部装置が、定常精査実行の指示を自動取引装置1に対して送信し、図示しない通信部を介して当該定常精査実行の指示を受信した自動取引装置1の処理部2が定常精査を実行してもよい。
本実施形態では、図7のステップS302において、制御部21が現在の日時から直近の実行日時の精査結果を表示部23に表示させたが、これに限らず、承認フラグが「0」であるすべての精査結果を表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る自動取引装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る自動取引装置の処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】定常精査実行リストの構成例を示す図である。
【図4】現金管理テーブルの構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る操作処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS102における定常精査の処理例を示す図である。
【図7】図5のステップS111における定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図5のステップS112における非定常精査および非定常精査承認処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図5のステップS101における初期メニュー画面例を示す図である。
【図10】図5のステップS105における操作メニュー画面例を示す図である。
【図11】図5のステップS107における精査画面例を示す図である。
【図12】図7のステップS302、または図8のステップS404における精査結果画面例を示す図である。
【図13】比較例における非定常精査の処理例である。
【符号の説明】
【0037】
1 自動取引装置
2 処理部
3 紙幣入出金部
4 硬貨入出金部
5 小束出金部
6 棒金出金部
21 制御部
22 判定部
23 表示部
24 タイマ部
25 入力部
26 カードリーダ部
27 記憶部
100 オペレータカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融業務における精査を所定のタイミングで行う定常的な精査を実行し、前記定常的な精査の結果を記憶する自動取引装置であって、
前記定常的な精査が実行されたか否かを示す情報である定常精査実施情報を管理する記憶部と、
前記記憶部の定常精査実施情報を基に、前記定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定する判定部と、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行する制御部と、を含んでなることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていた場合は、前記精査の結果を出力し、表示部に前記精査の結果を表示させ、承認の要求を行い、
前記自動取引装置の入力部を介して前記承認の信号が入力されると、前記承認の信号が入力されたことを示す情報である承認実施情報を前記記憶部に記憶する機能をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行した後、前記精査の結果を出力し、表示部に前記精査の結果を表示させ、承認の要求を行い、
入力部を介して前記承認の信号が入力されると、前記承認の信号が入力されたことを示す情報である承認実施情報を前記記憶部に記憶する機能をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
金融業務における精査を所定のタイミングで行う定常的な精査を実行し、前記定常的な精査の結果を記憶する自動取引装置の精査方法であって、
前記定常的な精査が実行されたか否かを示す情報である定常精査実施情報を管理する記憶部を有し、
判定部が、
前記記憶部の定常精査実施情報を基に、前記定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定し、
制御部が、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行することを特徴とする精査方法。
【請求項1】
金融業務における精査を所定のタイミングで行う定常的な精査を実行し、前記定常的な精査の結果を記憶する自動取引装置であって、
前記定常的な精査が実行されたか否かを示す情報である定常精査実施情報を管理する記憶部と、
前記記憶部の定常精査実施情報を基に、前記定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定する判定部と、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行する制御部と、を含んでなることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていた場合は、前記精査の結果を出力し、表示部に前記精査の結果を表示させ、承認の要求を行い、
前記自動取引装置の入力部を介して前記承認の信号が入力されると、前記承認の信号が入力されたことを示す情報である承認実施情報を前記記憶部に記憶する機能をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行した後、前記精査の結果を出力し、表示部に前記精査の結果を表示させ、承認の要求を行い、
入力部を介して前記承認の信号が入力されると、前記承認の信号が入力されたことを示す情報である承認実施情報を前記記憶部に記憶する機能をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
金融業務における精査を所定のタイミングで行う定常的な精査を実行し、前記定常的な精査の結果を記憶する自動取引装置の精査方法であって、
前記定常的な精査が実行されたか否かを示す情報である定常精査実施情報を管理する記憶部を有し、
判定部が、
前記記憶部の定常精査実施情報を基に、前記定常的な精査が、所定の時間以後に実行されたか否かを判定し、
制御部が、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていた場合は、処理を終了し、
前記判定部による前記判定の結果、前記定常的な精査が実行されていない場合は、入力部から入力された精査指示に従い、精査を実行することを特徴とする精査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−77602(P2008−77602A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259323(P2006−259323)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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